本明細書に開示のある実施形態は、ガス富化流体を含む治療組成物を、対象に投与することによるインスリン耐性および/または糖尿病の状態もしくは障害、あるいはそれらの少なくとも1つの症状に対する治療組成物および治療方法を提供することに関する。ある特定の実施形態では、ガス富化流体は、酸素富化水を含む。
糖尿病の障害もしくは状態
本明細書のある実施形態は、インスリン耐性および/または糖尿病関連状態もしくは疾患のうちの少なくとも1つの症状を予防するまたは緩和することによる対象に対する治療組成物および治療方法に関する。
本明細書の更なる実施形態では、例えば、糖尿病性網膜症の症状を緩和することを含む、インスリン耐性および/または糖尿病関連状態に関する合併症を予防するまたは緩和するための治療組成物および治療方法に関する。
界面動電的に生成された流体:
本明細書で使用する「界面動電的に生成された流体」とは、本明細書に詳述される、例示的な混合デバイスにより、本明細書の実施例のために生成された、出願者の発明の界面動電的に改変された流体を指す(第US200802190088号および第WO2008/052143号も参照のこと、双方は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)。本明細書に開示され、示されるデータにより示されるように、界面動電流体は、先行技術の含酸素非界面動電流体(例えば、加圧ポットの含酸素流体等)を含む、先行技術の非界面動電流体と比較して、新規の根本的に異なる流体を示す。本明細書の様々な態様に開示されるように、界面動電的に生成された流体は、以下のものを含むが、これらに限定されない、独特かつ新規の物理的および生物学的特性を有する。
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、約100ナノメートル未満の平均直径を実質的に有する帯電安定化した酸素含有のナノ構造および流体により生細胞に接触し、少なくとも1つの細胞膜電位および細胞膜伝導性の調節を提供するのに十分な量のイオン水性流体中に安定に設定された、イオン水溶液を含む。
特定の態様では、界面動電的に生成された流体とは、本明細書に記載されるように、デバイス機能局在効果等の流体力学的に誘発された、局在(例えば、全流体容量に対して不均一)界面動電効果(例えば、電圧/電流パルス)の存在下で生成される流体を指す。特定の態様では、前記流体力学的に誘発された、局在界面動電効果は、本明細書に開示され、論じられるように、表面に関連した二重層および/または荷電電流効果と組み合わせる。
特定の態様では、投与される本発明の界面動電的に改変された流体は、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節を提供するのに十分な量で、帯電安定化した酸素含有のナノ構造を含む。ある実施形態では、界面動電的に改変された流体は、超酸素化される(例えば、標準食塩水中に、それぞれ、20ppm、40ppm、および60ppmの溶解酸素を含むRNS−20、RNS−40、およびRNS−60)。特定の実施形態では、界面動電的に改変された流体は、超酸素化されない(例えば、10ppm(例えば、標準食塩水においてほぼ環境レベルの溶解酸素)を含む、RNS−10またはSolas。ある態様では、本発明の界面動電的に改変された流体の塩分、滅菌状態、pH等は、流体が界面動電的に産生される時に構築され、滅菌流体は、適切な経路により投与される。代替として、該流体の塩分、滅菌状態、pH等の少なくとも1つは、流体の投与前に、投与経路に生理学的に適合するように、(例えば、滅菌食塩水または適切な希釈剤を用いて)適切に調整される。好ましくは、該流体の塩分、滅菌状態、pH等の少なくとも1つを調節するのに使用された希釈剤および/または食塩溶液および/または緩衝液組成はまた、界面動電流体であるか、またはそうでなければ適合するものである。
特定の態様では、本発明の界面動電的に改変された流体は、食塩水(例えば、1つ以上の塩;例えば、アルカリ金属ベースの塩(Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+等)、アルカリ土類ベースの塩(例えば、Mg++、Ca++)等、または遷移金属ベースの陽イオン(例えば、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等)を、それぞれの場合において、F−、Cl−、Br−、I−、PO4−、SO4−、および窒素ベースのアニオンが含まれるが、これらに限定されない、任意の好適なアニオン成分と共に含む。特定の態様は、種々の組み合わせおよび濃度において、および任意に対イオンの混合物と共に、混合塩ベースの界面動電流体(例えば、Na+、K+、Ca++、Mg++、遷移金属イオン等)を含む。特定の態様では、本発明の界面動電的に改変された流体は、標準食塩水(例えば、約0.9% NaCl、または約0.15M NaCl)を含む。特定の態様では、本発明の界面動電的に改変された流体は、少なくとも0.0002M、少なくとも0.0003M、少なくとも0.001M、少なくとも0.005M、少なくとも0.01M、少なくとも0.015M、少なくとも0.1M、少なくとも0.15M、または少なくとも0.2Mの濃度で食塩水を含む。特定の態様では、本発明の界面動電的に改変された流体の伝導性は、少なくとも10μS/cm、少なくとも40μS/cm、少なくとも80μS/cm、少なくとも100μS/cm、少なくとも150μS/cm、少なくとも200μS/cm、少なくとも300μS/cm、または少なくとも500μS/cm、少なくとも1mS/cm、少なくとも5mS/cm、10mS/cm、少なくとも40mS/cm、少なくとも80mS/cm、少なくとも100mS/cm、少なくとも150mS/cm、少なくとも200mS/cm、少なくとも300mS/cm、または少なくとも500mS/cmである。特定の態様では、任意の塩を、それらが、本明細書に開示されるような、生物活性のある塩を安定化したナノ構造(例えば、塩で安定化した酸素含有のナノ構造)の形成を可能にさせるならば、本発明の界面動電的に改変された流体を調製するのに使用することができる。
特定の態様によれば、帯電安定化したガス含有のナノ構造を含む本発明の流体組成物の生物学的効果は、流体のイオン成分を変えることにより、または流体のガス成分を変えることにより、調節する(例えば、増加させる、減少させる、調整)ことができる。
特定の態様によれば、帯電安定化したガス含有のナノ構造を含む本発明の流体組成物の生物学的効果は、流体のガス成分を変えることにより、調節する(例えば、増加させる、減少させる、調整する)ことができる。好ましい態様では、酸素が、本発明の界面動電流体を調製するのに使用される。更なる態様では、酸素の混合物は、窒素、酸素、アルゴン、二酸化炭素、ネオン、ヘリウム、クリプトン、水素、およびキセノンから選択される少なくとも1つの他のガスを含む。上述のように、ガス構成物を変化させることを伴うことを含み、これらのイオンを変化させることもできる。
本明細書に開示の教示およびアッセイシステム(例えば、細胞ベースのサイトカインアッセイ、パッチクランプアッセイ等)を考えると、当業者は、容易に、本明細書に開示の生物活性を達成するために、適切な塩およびその濃度を選択することができよう。
本開示は、糖尿病および糖尿病関連障害の治療に有用な、ガス富化イオン水溶液、水性食塩溶液(例えば、標準水性食塩溶液、および本明細書に論じられ、当技術分野に認識されるような、任意の生理学的相溶性食塩溶液を含む他の食塩溶液)、細胞培養培地(例えば、最少培地、および他の培養培地)が含まれるが、これらに限定されない、新規のガス富化流体を記述する。培地または複数の培地は、成長にとって必須の栄養素のみを含む場合、「最少」と称する。原核生物の宿主細胞に関しては、最少培地は、一般に、炭素、窒素、リン、マグネシウムの源、ならびに微量の鉄およびカルシウムを含む(Gunsalus and Stanter,The Bacteria,V.1,Ch.1 Acad.Press Inc.,N.Y.(1960))。ほとんどの最少培地は、炭素源としてグルコース、窒素源としてアンモニア、およびリン源としてオルトリン酸塩(例えば、PO4)を使用する。標的タンパク質産生を阻害することなく、最適成長を促すために、成長した特定の原核生物または真核生物に従って、培地を変化させるか、または補完することができる(Thompson et al.,Biotech.and Bioeng.27:818−824(1985))。
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、その中に溶解されるレポーター溶質(例えば、トレハロース)の13C−NMR線幅を調節するのに適している。NMR線幅効果は、特定の実施例において、本明細書に記載されるように、例えば、試験流体において溶質の「回転」を測定するための間接法である。
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、−0.14V、−0.47V、−1.02V、および−1.36Vのうちのいずれかにおける、特有の矩形波ボルタンメトリーのピーク、−0.9ボルトでのポーラログラフピーク、ならびに−0.19および−0.3ボルトでの、ポーラログラフピークの不在のうちの少なくとも1つによって特徴付けられ、これらは、特定の実施例において、本明細書に開示されるように、界面動電的に生成された流体に対して特有である。
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、細胞膜伝導性(例えば、本明細書に開示のパッチクランプ試験において測定される、全細胞伝導性の電位依存性寄与)を改変するのに適している。
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、含酸素であり、流体中の酸素は、大気圧で、少なくとも15ppm、少なくとも25ppm、少なくとも30ppm、少なくとも40ppm、少なくとも50ppm、または少なくとも60ppmの溶解酸素の量で存在する。特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、大気圧で、またはほぼ大気中の酸素レベルで、15ppm未満、10ppm未満の溶解酸素を有する。
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、含酸素であり、流体中の酸素は、約8ppm〜約15ppmの量で存在し、この場合、場合により、本明細書で、「Solas」と称される。
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、溶媒和電子(例えば、分子酸素により安定化された)、ならびに界面動電的に修飾された、および/または荷電された酸素種のうちの少なくとも1つを含み、ある実施形態では、溶媒和電子、および/または界面動電的に修飾された、もしくは荷電された酸素種は、少なくとも0.01ppm、少なくとも0.1ppm、少なくとも0.5ppm、少なくとも1ppm、少なくとも3ppm、少なくとも5ppm、少なくとも7ppm、少なくとも10ppm、少なくとも15ppm、または少なくとも20ppmの量で存在する。
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、細胞内シグナル変換の調節を提供するのに十分な細胞膜構造または機能を改変する(例えば、膜結合タンパク質の立体配座、リガンド結合活性、または触媒活性を改変する)のに適しており、特定の態様では、膜結合タンパク質は、受容体、膜貫通受容体(例えば、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)、TSLP受容体、β2アドレナリン受容体、ブラジキニン受容体等)、イオンチャネルタンパク質、細胞内付着タンパク質、細胞接着タンパク質、およびインテグリンからなる群から選択される少なくとも1つを含む。ある態様では、影響を受けたGタンパク質共役型受容体(GPCR)は、Gタンパク質αサブユニット(例えば、Gαs、Gαi、Gαq、およびGα12)と相互作用する。
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、細胞内シグナル変換を調節するのに適しており、カルシウム依存性の細胞伝達経路またはシステムの調節(例えば、ホスホリパーゼC活性の調節、またはアデニル酸シクラーゼ(AC)活性の調節)を含む。
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、実施例および本明細書のいずれかの箇所で記載される、種々の生物学的活性(例えば、サイトカイン、受容体、酵素および他のタンパク質、ならびに細胞内シグナル経路の調節)を特徴とする。
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、メトホルミンとの相乗効果および/または相加活性を示す。
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、本明細書の実施例に示されるように、気管支上皮細胞(BEC)におけるDEP誘発されたTSLP受容体の発現を低下させる。
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、本明細書の実施例に示されるように、気管支上皮細胞(BEC)のDEP誘発された細胞表面結合MMP9レベルを阻害する。
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体の生物学的効果は、ジフテリア毒素により阻害され、これは、本明細書の実施例に示されるように、β遮断薬、GPCR遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬が、(例えば、制御性T細胞機能における)界面動電的に改変された水性流体の活性に影響を及ぼすことを示す。
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体の物理的および生物学的効果(例えば、細胞内シグナル変換の調整を提供するのに十分な細胞膜構造または機能を改変する能力)は、密閉された容器内(例えば、密閉された気密性容器内)において、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも5ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、またはそれ以上の長期間持続する。
したがって、更なる態様は、前記界面動電的に生成された溶液および界面動電的に改変された含酸素水性流体または溶液を生産する方法を提供し、該方法は、相対運動で、2つの離間した表面間で流体物質の流れを提供し、それらの間に混合容量を画定することであって、混合容量内およびそれを通して流動流体物質の単一パスの滞留時間は、0.06秒以上、または0.1秒以上である、ことと、少なくとも20ppm、少なくとも25ppm、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、もしくは少なくとも60ppmの酸素を該物質に溶解し、流体または溶液を界面動電的に改変するのに適する条件下で、混合容量内で流動流体物質に酸素(O2)を導入することと、を含む。ある態様では、該酸素は、100ミリ秒未満、200ミリ秒未満、300ミリ秒未満、または400ミリ秒未満で、該物質に注入される。特定の実施形態では、表面積の容量に対する比は、少なくとも12、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、または少なくとも50である。
なお更なる態様は、界面動電的に改変された含酸素水性流体または溶液を生産する方法を提供し、該方法は、2つの離間した表面間で流体物質の流れを提供し、それらの間に混合容量を画定することと、100ミリ秒未満、200ミリ秒未満、300ミリ秒未満、または400ミリ秒未満において、該物質に、少なくとも20ppm、少なくとも25ppm、少なくとも30ppm、少なくとも40ppm、少なくとも50ppm、もしくは少なくとも60ppmの酸素を注入するのに適する条件下で、混合容量内で流動流体に酸素を導入することと、を含む。ある態様では、混合容量内で流動物質の滞留時間は、0.06秒超、または0.1秒超である。特定の実施形態では、表面積の容量に対する比は、少なくとも12、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、または少なくとも50である。
追加の実施形態は、界面動電的に改変された含酸素水性流体または溶液を生産する方法を提供し、該方法は、第1の物質と第2の物質を混合することにより出力混合物を作製するための混合デバイスの使用を含み、該デバイスは、第1の物質の源から第1の物質を受容するように構成された第1のチャンバと;固定子と;回転軸を有する回転子であり、該固定子内部に配設され、その中の回転軸の周囲を回転するように構成され、回転子および固定子のうちの少なくとも1つは、複数のスルーホールを有する、回転子と;回転子と固定子の間に画定される混合チャンバであり、第1のチャンバと流体連通しており、そこから第1の物質を受容するように構成され、第2の物質は、回転子および固定子のうちの1つに形成された複数のスルーホールを介して混合チャンバに提供される、混合チャンバと;混合チャンバと流体連通しており、そこから出力物質を受容するように構成される、第2のチャンバと;第1のチャンバ内部に格納された第1の内部ポンプであり、第1のチャンバから混合チャンバに、第1の物質を送出するように構成される、内部ポンプと、を含む。ある態様では、該第1の内部ポンプは、第1の物質が混合チャンバに流入する前に、第1の物質に周速度を与えるように構成される。
更なる実施形態は、界面動電的に改変された含酸素水性流体または溶液を生産する方法を提供し、該方法は、第1の物質と第2の物質を混合することにより出力混合物を作製するための混合デバイスの使用を含み、該デバイスは、固定子と;回転軸を有する回転子であり、該固定子内部に配設され、その中の回転軸の周囲を回転するように構成される、回転子と;回転子と固定子の間に画定される混合チャンバであり、それを通って、第1の物質が混合チャンバに入る第1の開口末端と、それを通って、出力物質が混合チャンバを出る第2の開口末端と、を有し、第2の物質が回転子および固定子のうちの少なくとも1つを通って混合チャンバに流入する、混合チャンバと;混合チャンバの第1の開口末端の少なくとも大部分と連通する第1のチャンバと;混合チャンバの第2の開口末端と連通する第2のチャンバと、を含む。
追加の態様は、上記の方法のいずれかに従って作製された、界面動電的に改変された含酸素水性流体または溶液を提供する。
糖尿病およびインスリン耐性
真性糖尿病は、血中グルコースの慢性的に上昇したレベル(高血糖症)の存在によって定義される重篤な生涯にわたる代謝性疾患である。高血糖症のこの状態は、ペプチドホルモンであるインスリンの活性の相対的もしくは絶対的欠乏の結果である。インスリンは、膵臓のβ細胞によって産生され、分泌される。インスリンは、グルコースの利用、タンパク質の合成、およびグリコーゲンとして炭水化物エネルギーの形成および保存を促進する。グルコースは、身体中でグリコーゲンとして、すなわち代謝要件に適合させるようにグルコースに変換され得る、重合したグルコースの形態で保存される。通常の条件下では、インスリンは、基礎速度およびグルコース刺激後の促進速度の双方で分泌されて、どの場合でもグルコースのグリコーゲンへの変換により、代謝の恒常性を維持する。
真性糖尿病という用語は、幾つかの異なる高血糖性状態を含む。これらの状態は、1型(インスリン依存性真性糖尿病またはIDDM)および2型(非インスリン依存性真性糖尿病またはNIDDM)糖尿病を含む。1型糖尿病は、生理学的範囲内の血中グルコースレベルを維持するには不十分である、欠乏した、低下した、または存在しないインスリンのレベルと関連している。
2型糖尿病は、老化するにつれてますますよく見られる疾患である。最初に、インスリンへの感受性の低下またはインスリン耐性、および循環型インスリン濃度の補償増加を特徴とし、この後者は、正常な血中グルコースレベルを維持するために必要とされる。インスリンレベルの増加は、膵臓β細胞からの分泌増加により生じ、得られた高インスリン血は、糖尿病の心血管系の合併症と関連する。インスリン耐性が悪化すると、膵臓β細胞における要求は、膵臓が、インスリンの適切なレベルをもはや提供できなくなるまで、着実に増加し、血液中のグルコースのレベルの増加をもたらす。最終的に、顕性の高血糖および脂質異常症を生じ、心臓血管疾患、腎不全、および失明を含む糖尿病と関連する壊滅的な長期にわたる合併症をもたらす。
II型糖尿病に起因する心臓血管系の循環障害がもたらす1つの特定の合併症は、糖尿病性網膜症であり、眼、更に具体的には、網膜が、低下した心臓血管機能により損傷を受ける。網膜において、循環の欠如からの損傷は、最初は、それらを漏出させる動脈の弱体化によって、現れる。この漏出は、小さな点状の出血および腫れをもたらす。疾患が進行すると、循環系の問題は、網膜の一部に、虚血、または酸素不足を生じ、これにより、循環系は、網膜内の適切な酸素レベルを維持しようとして、新しい、脆弱な血管発生をもたらす。新血管形成と称する、このプロセスは、新しい血管が、壊れやすく、容易に大出血するため、網膜への血液の頻回の漏出を引き起こす。糖尿病の後期において、異常な血管の増殖が続き、瘢痕組織が発生する。脆弱な血管および瘢痕組織からの結果は、極めて重篤で、しばしば、網膜剥離、緑内障、および失明を引き起こし得る。
2型糖尿病を生じる正確な機序は、知られていないが、不適切なインスリン反応に加えて、骨格筋へのグルコース輸送の障害および肝臓でのグルコース産生の増加をもたらす。食習慣の改善は、多くの場合、効果がなく、したがって、大部分の患者は、最終的に、疾患の合併症の進行を予防および/または遅延するために、医薬介入を必要とする。多くの患者は、インスリン、αグルコシダーゼ阻害剤、ビグアニド、DPP−4阻害剤、メグリチニド、スルホニル尿素、およびチアゾリジンジオンを含む、利用可能な多くの経口抗糖尿病剤のうちの1つ以上で治療され得る。
αグルコシダーゼ阻害剤(アカルボースおよびミグリトールを含む)は、炭水化物を消化するある酵素、具体的には、小腸におけるαグルコシダーゼ酵素を競合的に阻害する単糖類であり、膜結合αグルコシダーゼは、オリゴ糖、三糖、および二糖をグルコースおよび他の単糖に加水分解する。
ビグアニド(メトホルミン、ブホルミン、およびフェンホルミン等)は、肝臓グルコース新生を阻害することにより、および血流に既に存在するグルコースの吸収を増加させることにより、血清グルコースのレベルを低下させる。DPP−4阻害剤(ビルダグリプチン、シタグリプチン、サクサグリプチン、リナグリプチン、およびアログリプチンを含む)は、インクレチンレベル(GLP−1およびGIP)を増加させると考えられている。インクレチンは、グルカゴンの放出を阻害し、それによりグルコースレベルを制限し、インスリン分泌を増加させ、胃内容排出を低下させる。
スルホニル尿素(アセトヘキサミド、クロルプロパミド、トルブタミド、トラザミド、グリプジド、グリクラジド、グリベンクラミド(グリブリド)、グリキドン、グリコピラミド、およびグリメピリドを含む)は、膵臓β細胞の細胞膜上のATP依存性K+(KATP)チャンネルに結合し、それによって、(プロ)インスリンの分泌を増加させる。また、スルホニル尿素は、1)グルコースに対してβ細胞を過敏にする、2)肝臓におけるグルコース産生を制限する、3)脂肪分解(脂肪組織による脂肪酸の分解および放出する)を低下させる、ならびに4)肝臓によるインスリンのクリアランスを低下させるとも考えられている。
メグリチニド(ナテグリニド、ミチグリニド、およびレパグリニドを含む)の作用機序は、スルホニル尿素の作用機序に類似する。メグリチニドは、膵臓β細胞の細胞膜上のATP依存性K+(KATP)チャンネルに結合し、これは、次いで、(プロ)インスリンの分泌を増加させる。
チアゾリジンジオン(トログリタゾン、ピオグリタゾン、およびロジグリタゾンを含む)は、細胞核内の受容体分子の一群であるペルオキシソーム増殖剤活性化受容体に結合する。これらの受容体に対する正常なリガンドは、遊離脂肪酸(FFA)およびエイコサノイドである。活性化されると、この受容体は、DNAに移動し、いくつかの特定の遺伝子の転写を活性化する。これらの異なる遺伝子の活性化は、1)インスリン耐性の低下、2)脂肪細胞分化の改善、3)VEGF誘発の血管形成の阻害、4)レプチンレベルの低下(食欲の増加をもたらす)、5)あるインターロイキン(例えば、IL−6)レベルの低下、および6)アディポネクチンレベルの増加をもたらす。
最近の科学的発見は、慢性炎症と糖尿病の前兆であるインスリン耐性との関連を示唆している。Solinas et al.,Cell Metabolism 6,386−397(2007)(参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)、Duncan et al.,Diabetes 52,1799−1805(2003)(参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)、Kathryn E.Wellen and Gokhan S.Hotamisligil,J.Clin.Invest.115,1111−1119(2005)(参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)。更に具体的には、炎症は、インスリン受容体基質−1(IRS−1)のセリンリン酸化反応を促進することによりインスリン耐性を誘発し、これにより、インスリンシグナルを弱める。インスリンシグナルを減弱することにより、個々の細胞は、血清インスリンに対して更に耐性を示し、むしろ、血流へのグルコース(グリコーゲンから)の放出をさせるようになる。これは、炎症の薬理学的標的が、特に、インスリン耐性を低減し、それによって、糖尿病を予防し得ることを示唆している。加えて、糖尿病の薬物治療と抗炎症治療療法を組み合わせる、双対アプローチを用いて、インスリン耐性および糖尿病の症状の緩和の増大をもたらし得る。
炎症
炎症は、異物、特に、微生物起源からの対象への侵入による防衛反応として生じ得る。更に、物理的外傷、毒素、および新生組織形成が、炎症反応を誘発し得る。白血球の蓄積およびその後の活性化が、炎症のほとんどの形態の発症原因における主要な事象である。炎症による欠失は、宿主を弱化させ、感染症または創傷を悪化させやすい状態にさせ得る。長期的炎症反応等の重度の炎症は、インスリン耐性、糖尿病、動脈硬化症、白内障、慢性皮膚疾患、再かん流傷害、および癌が挙げられるが、これらに限定されない炎症性疾患、感染性髄膜炎、リウマチ熱等の感染後症候群、全身性エリテマトーデスおよびリウマチ性関節炎等のリウマチ性疾患を引き起こし得る。これらの疾患は、毎年世界中の何百万人の人々に影響を及ぼし、死亡率および罹患率の増加を引き起こす。これらの異なる疾患の進行における炎症反応の共通性は、その制御をヒト疾患の予防または治療における主要な要素にする。
炎症性サイトカインの過剰産生は、多数の炎症性および自己免疫疾患の発症原因に関連付けられている。TNFαの分泌は、炎症カスケードの開始において、初期事象であり(Brennan F.M.,et.al.Lancet,1989,2:244−7、Haworth C,et.al.Eur.J.Immunol.1991,21:2575−2579)、これらの疾患の開始および維持の直接的な一因となる。インターロイキン1β(IL−1β)、IL−6、IL−8、IL−12、一酸化窒素(NO)、IFN−γ、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、およびIL−10を含む、他のサイトカインもまた、一因となる。これらのサイトカインのうちの一部(例えば、IL−8)は、炎症反応を増加させる、または悪化させ得るが、他(例えば、IL−10)は、炎症反応を軽減させる、または緩和させ得る。
免疫系の細胞、特に、マクロファージは、活性化する刺激に反応してこれらのサイトカインの多くを分泌する。サイトカインの標的細胞は、何らかの身体要素に局在され得、長距離機序を介して作用し得る、または隣接細胞において作用し得る。したがって、サイトカインは、局在された、または全身的な方法において、炎症を制御し得る。
胸腺間質リンホポエチン(TSLP) 胸腺間質リンホポエチン(TSLP)は、樹状細胞媒介したTh2型炎症反応の引き金となり、アレルギー性炎症の主幹スイッチと見なれるIL−7様サイトカインである。TSLPは、BおよびT細胞の双方の成長および成熟に対する不可欠な成長因子である。特に、マウスTSLPは、Bリンパ球産生を支援し、B細胞増殖に必要である。マウスTSLPは、T細胞受容体γ(TCRγ)遺伝子座の再構成を制御する重要な役割を果たし、胸腺細胞および成熟T細胞に対して大きい促進作用がある。例えば、Friend et al.,Exp. Hematol.,22:321−328,1994、Ray et al.,Eur.J.Immunol.,26:10−16,1996、Candeias et al.,Immunology Letters,57:9−14,1997を参照のこと。
TSLPは、IL−7に類似したサイトカイン活性を有する。例えば、TSLPは、B細胞増殖反応を刺激する際には、IL−7の代わりをすることが可能である(Friendら、上記を参照)。TSLPおよびIL−7は、標的細胞の類似の効果を仲介するが、異なるシグナル経路を有するようであり、それらの生物学的反応において異なる可能性が高い。例えば、TSLPは、STAT5の活性を調節するが、Janusファミリーサイトカインキナーゼメンバーのいずれも活性化しない(Levin et.al.,J.Immunol.,162:677−683,1999)。
樹枝状細胞およびTNF産生に対するTSLP効果 ヒトTSLPおよびヒトTSLP受容体が、2001年にクローン化された後、ヒトTSLPは、未成熟CD11c+骨髄樹状細胞(mDC)を強く活性化したことが発見された(例えば、Reche et al.,J.Immunol.,167:336−343,2001およびSoumelis et al.,Nat.Immunol.,3:673−680,2002を参照のこと)。Th2細胞は、概して、IL−4、IL−5、IL−13、およびIL−10を産生する、CD4+T細胞として免疫学の教科書および文献に定義され、CD4+T細胞等のTh1細胞は、IFN−γ、および場合によっては、TNFを産生する。TSLP−DCを使用して、体外で、未感作同種異系CD4+T細胞を刺激すると、古典的なTh2サイトカインIL−4、IL−5、およびIL−13、ならびに大量のTNFを産生するが、IL−10またはインターフェロン-γはほとんど、または全く産生しない、独特型のTh2細胞が誘発される(Recheら、上記を参照)(例えば、Soumelis et al.,Nat.Immunol.,3:673−680,2002も参照のこと)。TNFは、一般に、Th2サイトカインとは見なされない。しかしながら、TNFは、喘息気道において顕著であり、TNF分泌の増加と相関する遺伝子型が、喘息のリスク増加と関連するしている。Shah et al.,Clin.Exp.Allergy.,25:1038−1044,1995およびMoffatt,M.F.and Cookson,W.O.,Hum.Mol.Genet.,6:551−554,1997を参照のこと。
TSLPは、mRNAおよびタンパク質レベルの双方で、ヒトmDCが、TNFスーパーファミリータンパク質OX40Lを発現するように誘発する(Ito et al.,J.Exp.Med.,202:1213−1223)。TSLP−DCによるOX40Lの発現は、炎症性Th2細胞の生成に重要である。したがって、TSLP活性化DCは、Th1分極サイトカインの産生を誘発することなく、上方調節OX40LによりTh2許容型微環境を生成する。同上。
TSLP発現、アレルゲン特異反応、および喘息 初期の研究では、TSLP mRNAは、ヒト一次皮膚ケラチン生成細胞、気管支上皮細胞、平滑筋細胞、および肺線維芽細胞により高度に発現することが示されている(Soumelis et al.,Nat.Immunol.,3:673−680,2002)。TSLPは、主に、表皮の上層のケラチン生成細胞に発現し、これは、TSLP産生が完全に分化したケラチン生成細胞の特徴であることを示唆している。アトピー性皮膚炎に罹患している患者におけるTSLP発現は、原位置でランゲルハンス細胞の移動および活性化と関連し得、これは、TSLPが、流入領域リンパ節および主要なアレルゲン特異反応に移動し得る、これらの細胞の活性化に直接寄与し得ることを示唆している。同上。更に最近の研究では、TSLP発現は、喘息気道を増加させ、Th2誘引性サイトカインの発現と、疾病重症度との双方に相関することが、原位置ハイブリッド形成法により示され、これはTSLPと喘息との関連を提供する(Ying et al.,J.Immunol.,174:8183−8190,2005)。
TSLP受容体(TSLPR)、アレルギー、および喘息 TSLP受容体(TSLPR)は、約50kDaタンパク質であり、共通γ鎖との著しい類似点を有する。TSLPRは、新型1サイトカイン受容体であり、これは、IL−7Rα(CD127)と組み合わされ、例えば、Pandey et al.,Nat.Immunol.,1:59−64,2000に記載されるように、TSLP受容体複合体の構成要素となる。TSLPRは、そのカルボキシル末端付近でチロシン残基を有し、これは、リン酸化STAT5と関連し、TSLPと関与する際、複数の生物学的機能を媒介する(Isaksen et al.,J.Immunol.,168:3288−3294,2002)。
ヒトTSLPRは、単球およびCD11c+樹枝状細胞により発現され、TSLP結合は、TH2細胞誘引性ケモカインCCL17およびCCL22を誘発する。更に、上記のように、TSLPR誘発された樹枝状細胞の活性化は、TH2サイトカインIL−4、−5、および−13の分泌の増加を間接的にもたらし、これは、CD4+T細胞ホメオスタシスの調節に必要であり得る。マウスにおいて、TSLPRの欠損は、リンパ球数に影響を及ぼさない。しかしながら、TSLPRおよび共通γ鎖の欠損は、共通γ鎖のみを欠損するマウスと比較する際、より少ないリンパ球をもたらす。Reche et al.,J.Immunol.,167:336−343,2001およびSoumelis et al.,Nat.Immunol.,3:673−680,2002を参照のこと。
研究は、TSLPおよびTSLPRが、マウスにおいて、アレルギー性疾患の発症に重要な役割を果たすことを見出している。ある1つの研究では、皮膚において、TSLPを過剰発現するように改変されたマウスは、炎症性浸潤を含む湿疹性皮膚病変、循環型Th2細胞の劇的な増加、および血清IgEの上昇を特徴とするアトピー性皮膚炎を発症することが実証された(Yoo et al.,J.Exp.Med.,202:541−549,2005)。その研究は、TSLPが、マウスにおいて、DCを直接活性化し得ることを示唆した。Liらにより行われた別の研究では、該グループは、皮膚において、TSLPを過剰発現する遺伝子導入マウスが、アトピー性皮膚炎を発症することを確認し、これは、TSLPとアトピー性皮膚炎の発症との関連を確固にした。
別の研究集団は、TSLPが、生体内で、アレルギー性気道炎症の発症に必要であることを実証した。ある研究では、Zhouらは、白血球(Th2細胞を含む)の広範囲の浸潤、杯細胞の異常増殖、上皮下繊維症、および血清IgEレベルの増加を特徴とする、TSLP導入遺伝子の肺特異的発現がアレルギー性気道炎症(喘息)を誘発することを実証した(Zhou et al.,Nat.Immunol.,6:1047−1053,2005)。しかしながら、対照的に、TSLPRを欠損するマウスは、吸入抗原に反応して喘息を発症しなかった(Zhouら、上記参照およびAl−Shami et al.,J.Exp.Med.,202:829−839,2005)。したがって、これらの研究は共に、TSLPが、マウスにおいて、アレルギー性気道の発症に必要であることを実証した。
更に、Yong−Junらにより行われた研究では、上皮細胞由来のTSLPは、ヒトにおいて、DC媒介炎症性Th2反応の引き金となり、これは、TSLPが上皮細胞DC界面でアレルギー性炎症の主幹スイッチを示すことを示唆する(Yong−Jun et al.,J.Exp.Med.,203:269−273,2006)。
最近の研究では、TSLPRを阻害することによるDC機能の調節は、マウスにおいて重症度を減少することを示した(Liyun Shi et al.,Clin. Immunol.,129:202−210,2008)。別の研究集団では、TSLPRは、DCにおいてのみ発現するだけでなく、マクロファージ、マスト細胞、およびCD4+T細胞においても発現することを実証した(Rochman et al.,J.Immunol.,178:6720−6724,2007およびOmori M.and Ziegler S.,J.Immunol.,178:1396−1404,2007)。アレルギー性炎症におけるCD4+T細胞または他のエフェクター細胞におけるTSLPR中和反応の直接の効果を除外するために、Liyun Shiらは、OVA充填したDCをナイーブマウスの気道への養子免疫伝達前に、体外において、抗−TSLPRで処置する、実験を行った。OVA−DCは、強い好酸性気道炎症の引き金となり、IL−4およびIL−5等のTh2サイトカインの大量産生を伴うことが以前に見出されている(Sung et al.,J.Immunol.,166:1261−1271およびLambrecht et al.,J.Clin.Invest.,106:551−559,2000)。しかしながら、抗−TSLPRを用いてOVA−DCを前処理することにより、好酸球およびリンパ球浸潤、ならびにIL−4およびIL−5レベルの著しい減少をもたらし、DC抗原刺激を受けたアレルギー性疾患において、TSLPRが果たす役割を更に明らかにした。この結果はまた、DCにおけるTSLPRの遮断が、気道炎症の抑制を助けることも支持する(Liyun Shiら、上記を参照)。
種々の生理学的および病理学的プロセスにおける、TSLP/TSLPRの役割を示唆する一連の実験が増大している。TSLPの生理的役割は、特に、BおよびT細胞増殖、発育、および成熟を刺激する際に、免疫系を調節することを含む。TSLPは、アレルギー性疾患を緩和するために、アレルギー性喘息の病理生理学およびTSLP受容体機能の妨害を媒介した局所抗体に極めて重要な役割を果たす。したがって、TSLPとTSLP受容体との相互作用は、アレルギー性炎症、アトピー性皮膚炎またはアトピー性湿疹に罹患している患者の皮膚病変、インスリン耐性または糖尿病、および喘息等の多くの生理学的疾患プロセスにおいて重要であると考えられる。
炎症関連状態または疾患
本明細書のある実施形態は、ある状態または疾患と関連する炎症の少なくとも1つの症状を予防するまたは緩和することによる対象に対する治療組成物および治療方法に関する。例えば、本明細書に開示の治療組成物および/または方法は、インスリン耐性および糖尿病を治療または予防するために有用であり得る。
治療方法
「治療(treating)」という用語は、疾患、障害、もしくは状態、またはそれらの1つ以上の症状を正常化、緩和、その進行を阻害する、または予防することを指し、かつこれらの意味を含意し、「治療(treatment)」および「治療的に(therapeutically)」とは、本明細書に定義されるように、治療の行為を指す。
「治療有効量」は、疾患、障害、もしくは状態、またはそれらの1つ以上の症状を正常化、緩和、その進行を阻害する、または予防するために十分である、本明細書に提供される本発明を実践する過程において利用されるいずれかの化合物の任意の量である。
本明細書のある実施形態は、糖尿病に関連する状態もしくは疾患、あるいはその症状の治療組成物および治療の方法に関する。例えば、本明細書に開示される治療組成物および/または方法は、糖尿病、インスリン依存性糖尿病もしくはIDDM(1型)、非インスリン依存性糖尿病もしくはNIDDM(2型)、インスリン耐性、および糖尿病性網膜症からなる群から選択される1つ以上の状態または疾患の治療または予防に有用であり得る。
炎症と関連する多くの状態または疾患は、ステロイド、メトトレキサート、シクロホスファミド、シクロスポリン、アザチオプリン、およびレフルノミド等を含む免疫抑制剤、アスピリン、アセトアミノフェンおよびCOX−2阻害剤等の非ステロイド系抗炎症剤、金剤、ならびに抗マラリア治療剤を用いて治療されている。これらの医薬品は、種々の欠点を有し、副作用には、注射部位反応、発疹、上気道感染、自己免疫疾患および感染に対する感受性の増加等が含まれる。加えて、多くの抗炎症性調合薬は、より便利でかつより適合した経口経路または局所皮膚経路とではなく、静脈内(IV)、あるいは皮下(SC)投与を必要とする。したがって、炎症に関連する状態および疾患に対する新規の薬剤および治療方法の開発に対する必要性が未だに存在する。
併用療法:
追加の態様は、本明細書に開示される本発明の方法を提供し、これには、併用療法を更に含み、少なくとも1つの追加の治療剤を患者に投与する。ある態様では、少なくとも1つの追加の治療剤は、インスリン、αグルコシダーゼ阻害剤、ビグアニド、DPP−4阻害剤、メグリチニド、スルホニル尿素、およびチアゾリジンジオンからなる群から選択される。
特定の実施形態では、該少なくとも1つの追加の治療剤は、アカルボースおよびミグリトールからなるαグルコシダーゼ阻害剤;メトホルミン、ブホルミン、およびフェンホルミンからなるビグアニド;ビルダグリプチン、シタグリプチン、サクサグリプチン、リナグリプチン、およびアログリプチンからなるDPP−4阻害剤;アセトヘキサミド、クロルプロパミド、トルブタミド、トラザミド、グリプジド、グリクラジド、グリベンクラミド(グリブリド)、グリキドン、グリコピラミド、およびグリメピリドからなるスルホニル尿素;ナテグリニド、ミチグリニド、およびレパグリニドからなるメグリチニド;トログリタゾン、ピオグリタゾン、およびロジグリタゾンからなるチアゾリジンジオン;ならびにこれらの組み合わせ、からなる群から選択される。
追加の態様は、本明細書に開示される本発明の方法を提供し、TSLPおよび/またはTSLPRアンタゴニスト(例えば、1つより多い受容体鎖の構成要素をコードし、それによって、生理学的受容体ヘテロ二量体または高次オリゴマーを模倣する、TSLPR免疫グロブリンFc分子またはポリペプチド等のTSLPおよびそのTSLP受容体に対して特異的な中和抗体、可溶性TSLP受容体分子、およびTSLP受容体融合タンパク質。この受容体は、1つよりも多いポリペプチド鎖を含む場合、一本鎖融合を利用することができる)との併用療法を更に含む。
炎症および/または糖尿病に対する治療処置は、静脈内に、皮下に、局所に、または経口で投与される多様な調合薬を含み、これは、求められる結果により異なる。しかしながら、今日、利用可能な抗炎症治療の多くは、注射部位での激しい反応、感染症への感受性の増加、発疹、または他の副作用を含む、考慮すべき欠点がある。したがって、より良好な抗炎症治療剤および治療方法の必要性がある。
界面動電的に生成されたガス富化流体および溶液の抗炎症活性:
本発明のある態様によれば、本明細書に開示されるガス富化流体および/または溶液は、抗炎症特性および効果を有し、炎症に関する疾患または障害に苦しんでいる対象の治療のための抗炎症剤として使用され得る。図38は、健常な献血者からの刺激されたリンパ球のサイトカインプロファイルの実験結果を示す。図38に見られ得るように、本発明の酸素富化流体(水)は、特定のサイトカイン、特に、IL−6、IL−8、およびIL−1βの下方調節に影響を及ぼした。
炎症性サイトカインの産生増加は、多くの炎症性および自己免疫疾患の発症原因に関連付けられている。TNFαの分泌は、炎症カスケードの開始において、初期事象であり(Brennan F.M.,et.al.Lancet,1989,2:244−7、Haworth C,et.al.Eur.J.Immunol.1991,21:2575−2579)、炎症性および自己免疫疾患の開始および維持の直接的な一因となる。インターロイキン1β(IL−1β)、IL−6、IL−8、IL−12、一酸化窒素、IFN−γ、およびGM−CSFを含む、他の炎症性サイトカインもまた、ある役割を果たす一方で、IL−10等の抗炎症サイトカインは、疾患を軽減させ得る。免疫系の細胞、具体的には、マクロファージは、活性化する刺激に反応してこれらのサイトカインの多くを分泌する。
様々な細胞型は、炎症過程に関与する。単球、マクロファージ、および他の免疫細胞によるTNFαの過剰産生は、数多くの疾患の発症原因における主要素である。具体的には、マクロファージおよびT細胞は、免疫応答の開始および維持において、中心的な役割を果たす。病理学または免疫原性の刺激により活性化されると、マクロファージは、TNF−α、IL−1β、IL−8、IL−12、一酸化窒素(NO)、IL−6、GM−CSF、G−CSF、M−CSF等を含む、サイトカインの宿主を放出することにより応答する。T細胞は、IL−2、IL−4、INF−γ、および他の炎症性サイトカインを放出する。これらのサイトカインは、他の免疫細胞を活性化し、一部は、独立した細胞毒性剤としての役割も果たし得る。マクロファージおよびT細胞由来の炎症性メディエータの過剰放出は、特に、正常細胞および周辺組織の損傷をもたらす。
炎症性サイトカインは、糖尿病を含む多くの疾患および疾患症状の一因であるとされている。平滑筋細胞からの一酸化窒素の誘発は、敗血症性ショック中、平均動脈圧および全身血管抵抗の減少を介在することから、一酸化窒素に対する基本的役割が示唆される。したがって、IL−8、IL−1β、および一酸化窒素における下方調節作用を標的とする療法は、敗血症、敗血症性ショック、内毒素性ショック、および糖尿病を含む、炎症性疾患または障害の治療に有用となり得る。
TNFαの過剰産生は、糖尿病およびリウマチ性関節炎等の多くの自己免疫疾患の臨床上の徴候の一因となる。全身性エリテマトーデス(SLE)もまた、IL−1βおよびTNFαレベルの増加によって促進される。狼瘡患者においては、血清C反応性タンパク質、IL−1β、およびTNFαレベルは、対照よりも高く、これは、炎症反応の増加が、疾患においてある役割を果たしていることを示唆している(Liou L.B.Clin.Exp.Rheumatol.2001,19:515−523)。SLEの1つの形態である、神経精神的紅斑性狼瘡(NPLE)の患者の研究により、TNFαに対するmRNAを発現する末梢血単核細胞数、および一酸化窒素代謝物質の脳脊髄液濃度が、NPLE疾患の重症度と相関のあることが示された(Svenungsson E.,et al.Ann.Rheum.Dis.2001,60:372−9)。
IL−1およびTNFαは、動物モデルにおいて、様々な急性および慢性反応において、中心的な役割を果たす。さらに、IL−11、IFNα、およびIFNβはまた、炎症性反応を上方調節し得る。反対に、幾つかのサイトカインは、炎症反応の下方調節に関与する(即ち、特に、IL−4、IL−10、IL−13)。実施例1に記述されているように、本発明のガス富化流体と接触した細胞は、T3抗原を有する対照培地においてよりもT3抗原を有するIFN−γレベルの増加を示し、一方、IL−8は、T3抗原を有する対照培地においてよりもT3抗原を有する本発明のガス富化培地において低かった。さらに、IL−6、IL−8、およびTNF−αレベルは、PHAを有する対照培地においてよりも、PHAを有する本発明のガス富化培地において低く、一方、IL−1βレベルは、PHAを有する対照培地と比較した際、PHAを有する本発明のガス富化流体培地において低かった。本発明のガス富化培地単独では、IFN−γレベルは、対照培地においてよりも高かった。これらの結果は、抗炎症微環境と一致している。
一酸化窒素は、炎症反応のメディエータおよびレギュレータとして認識されている。病原体に対する細胞毒性作用を有するが、対象自身の組織に対する悪影響も有し得る(Korhonen et al.,Curr Drug Targets Inflamm Allergy 4(4):471−9,2005)。一酸化窒素は、可溶性グアニル酸シクラーゼと反応して、環状グアノシン一リン酸(cGMP)を形成し、これは多くの一酸化窒素の効果を介在する。一酸化窒素はまた、分子酸素およびスーパーオキシドアニオンと相互作用して、様々な細胞機能を修飾することができる活性酸素種を産生することもできる。一酸化窒素のこれらの間接的な効果は、炎症において重要な役割を持ち、一酸化窒素は、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)による高量で産生され、活性酸素種は、活性化された炎症細胞により合成される。実際、NOの過剰産生は、肥満における筋細胞のインスリン作用およびβ細胞機能の両方の障害の一因となり、インスリン耐性および糖尿病に至る場合がある。
一酸化窒素は、ケラチン生成細胞、線維芽細胞、内皮細胞、および可能性のあるその他により産生され得る。一酸化窒素の血管作用の一部には、血管拡張、血管内皮への血小板粘着の阻害、血管内皮への白血球粘着の阻害、およびスーパーオキシドの補足が含まれる(Shah et al.,Env.Health Persp.v.106(5):1139−1143)。
更に、一酸化窒素合成酵素の阻害は、創傷収縮を遅延し、コラーゲン組織を改変し、新表皮の厚さ(neoepidermis thickness)を改変することが示されている(Amadeu and Costa,J.Cutan.Pathol.33:465−473,2006)。創傷におけるマスト細胞移動および血管形成はまた、一酸化窒素の阻害によっても影響を受ける。(同上)。いずれの特定の理論機構にも拘束されるわけではないが、ある実施形態では、本発明のガス富化流体は、局在性および/もしくは細胞内一酸化窒素産生、または分解を調節し得、本明細書に開示される実施例部分に例示される創傷治癒効果のスペクトルと一致する。可変の調節経路により、ある実施形態では、本発明のガス富化流体は、一酸化窒素産生を増加する、および/または一酸化窒素分解を遅延させ得る一方で、他のある実施形態では、本発明のガス富化流体は、一酸化窒素産生を減少させる、および/または一酸化窒素分解を加速し得る。
特に、本明細書の実施例8に記述されているように、酸素富化食塩溶液で処置した創傷は、4日目〜11日目で創傷治癒が増加し、3日目〜11日目で、酸素富化食塩溶液で処置した創傷の新表皮は、生理食塩水で処置した創傷の表皮の2倍〜4倍の速度で移動したことを示した。試験はまた、15日〜22日で、酸素富化食塩溶液で処置した創傷は、更に成熟した表皮層の早期形成により証明されるように、更に高速で分化したことも示した。全ての段階で、通常の治癒と関連する表皮に生じる肥厚は、酸素富化食塩溶液により処置した創傷内で生じなかった。
したがって、一連の創傷治癒効果の範囲に従い、いかなる特定の理論に拘束されることを意図してはいないが、酸素富化食塩溶液は、創傷内で、一酸化窒素の局在性および/または細胞内レベルを調節し得ると考えられる。一酸化窒素は、創傷治癒において、成長因子、コラーゲン沈着、炎症、マスト細胞移動、表皮肥厚、および新血管形成を調節する。更に、一酸化窒素は、酸素により調節される誘導酵素により産生される。
マスト細胞移動の場合は、酸素富化溶液に対する初期および後期移動のにおける差異も生じる。これは、一酸化窒素合成の阻害に関する当技術分野において既知のものと一致する(Amadeu and Costa,J.Cutan Pathol 33:465−473,2006)。
ここで、図41A〜41Fを参照すると、様々な図解は、酸素富化食塩溶液を用いた、および用いない、ブタの表皮組織の創傷治癒結果を比較する。図に示すように、酸素富化食塩溶液を用いる対照創傷および創傷の治癒を、1日目、4日目、および16日目で追跡した。
図41Aは、1日目における、対照創傷の創傷治癒を示す。そこで見られるように、創傷は、表皮/皮膚の肥厚および輪郭の喪失を示す。図41Bは、酸素富化食塩溶液を用いて処置した創傷に対する1日目における創傷治癒を示す。創傷は、正常な表皮/皮膚の肥厚を示し、正常な輪郭(contouring)は、新規の創傷において典型的である。
ここで、図41Cおよび41Dを参照すると、4日目における、対照創傷に対する創傷治癒、および4日目における、酸素富化食塩溶液で処置した創傷に対する創傷治癒が示されている。図41Cに例示される対照創傷に関しては、創傷は、600ミクロンの表皮突起を示す。図41D中の酸素富化食塩溶液で処置された創傷では、1200ミクロンの表皮突起が示されている。したがって、実験の開始から4日間では、酸素富化食塩溶液を用いて処置された創傷に形成された表皮突起は、酸素富化食塩溶液で処置されなかった創傷のものの2倍の表皮増殖速度を示す。
ここで、図41Eを参照すると、16日目での対照創傷が示されている。創傷は、図41Fに示される、酸素富化食塩溶液で処置した創傷によって示されたものよりも表皮/皮膚の輪郭の喪失を有する分化した表皮が少ないことを示す。図41Fは、創傷において、更に分化した表皮および更に正常の表皮/皮膚の輪郭を示す。
炎症プロセスの最初の2相において、外来体は、破壊されるか(例えば、外来体が有機体である場合)、あるいは、その周辺の組織が弛緩する(loosen)(例えば、外来体が断片(splinter)である場合)かのいずれかである。治癒相において、炎症が鎮静しはじめ、個体の血管および脈管パターンが、再び正常になり、創傷の修復が開始する。修復プロセスにおける3つの主事象は、(1)線維芽細胞を増殖することによる新結合組織の形成、(2)上皮の再生、および(3)新しい毛細血管の増生である。
炎症が鎮静する前でさえ、線維芽細胞は、通常、休眠状態で存在する、周囲の正常組織から損傷領域への移動を開始する。それらは、アメーバ様運動でフィブリンのストランドに沿って移動し、自身を治癒領域全体に分布させる。一旦、損傷組織中の位置に固定されると、線維芽細胞は、コラーゲンを合成し始め、このタンパク質を分泌し、これがそれ自身を繊維として配列する。該繊維は、その長軸で応力が最も高い方向に自身を配向させる。コラーゲンの束が成長して堅固になるにつれ、線維芽細胞は、次第に変性し、この束に密接に付着し、損傷領域は、瘢痕組織に変形する。
瘢痕組織の形成と同時に、創傷の端の無傷の上皮細胞が増殖し始め、1枚のシートとして損傷領域の中心に向かって動き始める。炎症が鎮静するにつれ、血液の直接供給の必要性が生じ、血管形成が創傷部位に生じる。
炎症は、多数の細胞型を含む複合プロセスである。例えば、マスト細胞は、初期相の血管拡張の引き金となるメディエータを放出し、これに内皮細胞の分離および内皮下層中のコラーゲン繊維の露出が伴う。血管中に形成される細胞間の空隙の線維が血小板を捕捉し、これらの細胞からのメディエータの放出の引き金となる。
血小板に加えて、露出したコラーゲン繊維もまた、拡張した血管壁の孔を通って濾過される血漿のタンパク質と相互作用し、これは血液凝固カスケードの引き金となる因子、血管拡張の増加、血管の浸透性および走化性の増加を含む。
また、補体カスケードは、以下の幾つかの刺激により活性化され得る:損傷した血管、傷害を受けた細胞により放出されるタンパク質分解酵素、いずれかの関与する細菌の膜成分、および抗原−抗体複合体。活性化された補体成分のうちの幾つかは、走化因子として作用し、白血球が炎症領域へと流入する原因となる一方、他のものは、食作用を促進し、細胞溶解に関与する。
加えて、本発明のガス富化流体または溶液はまた、炎症の少なくとも1つの態様に関与する少なくとも1つのサイトカインを調節し得、該サイトカインには、MAF(マクロファージ活性化因子)、MMIF(マクロファージ遊走阻止因子)、MCF(マクロファージ走化因子)、LMIF(白血球遊走阻止因子)、HRF(ヒスタミン放出因子)、TF(伝達因子)、インターロイキン(IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15等)、TNF−α、TNF−β、インターフェロン(IFN−α、IFN−β、IFN−γ、IFN−ζ、IFN−δ等)、G−CSF(顆粒球コロニー刺激因子)、GM−CSF(顆粒球マクロファージCSF)、M−CSF(マクロファージCSF)、multi−CSF(IL−3)、線維芽細胞増殖因子(aFGF、bFGF)、EGF(上皮細胞増殖因子)、NGF(神経成長因子)、PDGF(血小板由来増殖因子)、VEGF(血管内皮成長因子)、形質転換増殖因子(TGF−α、TGF−β等)、NAP−2(好中球活性化タンパク質2)、PF−4(血小板因子4)、トロンボグロブリン、MCP−1(単球走化性タンパク質1)、MCP−3、MIP−1α、MIP−1β−+(マクロファージ炎症性タンパク質)、RANTES(活性化において調節された、正常T発現および恐らく分泌されたケモカイン)、HSP(熱ショックタンパク質)、GRP(グルコース調節タンパク質)、ユビキチン等が挙げられるが、これらに限定されない。
したがって、ある実施形態では、ガス富化流体および/または治療組成物は、抗炎症分子もしくはサイトカインの産生および/または分泌を増加させる、または抗炎症分子もしくはサイトカインの分解を低下させ、それにより、炎症の少なくとも1つの症状を緩和または予防し得る。他の実施形態では、本発明のガス富化流体および/または治療組成物は、抗炎症分子もしくはサイトカインの産生および/または分泌を低下させる、または抗炎症分子もしくはサイトカインの分解を増加させ、それにより、炎症の少なくとも1つの症状を緩和または予防し得る。
以前の研究は、リウマチ性関節炎のヒト自己免疫疾患に対する動物モデル系で、脱髄の増加およびEAE(実験的自己免疫性脳脊髄炎)の悪化における、抗−MOG抗体の重要な役割を示した(Linington,et al.1992.J.Neuroimmunol.40:219−224)。また、MOGに対する抗体は、多発性硬化症の発症原因に関与している(Berger et al.N.Engl.J.Med.2003 Jul 10;349(2):139−45)。
図48および実施例12に記述されているように、本発明のガス富化流体は、動物が事前に抗原刺激を受けた抗原に対するリンパ球応答を増幅する。図48に示されるように、リンパ球増殖は、加圧された含酸素流体(加圧ポット)または対照脱イオン流体と比較して、溶媒和電子を含む本発明のガス富化流体を用いて再構成される流体中に培養した場合、MOG刺激に反応して、増加した。
本発明のガス富化流体および溶液
別の流体の拡散または富化は、2つの流体の溶液または懸濁液を生じ得る。特に、ガス(例えば、酸素)を用いた液体の富化は、治療処置を含む、ある用途に対して有用であり得る。本明細書に利用されるように、任意の特定の開示される実施形態に関しては、「流体」とは、該して、液体、ガス、気体、液体および/もしくはガスの混合物、またはこれらのいずれかの組み合わせを指し得る。更に、ある実施形態では、「液体」とは、概して、純正液体を指し得る、またはゲル、ゾル、エマルジョン、流体、コロイド、分散、ならびにこれらのいずれかの組み合わせを指し得、これらのいずれかは、粘度により異なり得る。
本明細書に開示される特定の実施形態では、溶解ガスは、環境大気を含む。好適な実施形態では、溶解ガスは、酸素を含む。別の実施形態では、溶解ガスは、一酸化窒素を含む。
ガス富化液体(酸素富化水等)の幾つかの当該技術分野において認識されている方法がある。例えば、タービン曝気システムは、羽根車の一連の動翼付近の大気を放出し得、これは、大気または酸素と水を混合し、水は、その酸素含有量を増加させるために大気に噴霧され得る。また、市販の他のシステムは、大気または酸素を水に吹き込み、大規模な渦に水/ガスを供する。水中の酸素の自然発生レベルは、一般的に、10ppm(100万分の1)以下であり、これは、100%の溶解酸素のレベルであると見なされる。あるデバイスにおける試験は、理想的な条件下で、デバイスが、約20ppm、または水の天然酸素レベルの2倍の上昇を得ることができることを示している。ある実施形態では、酸素レベルは、更に上昇し得る。
本明細書に開示されるある実施形態では、本発明のガス富化流体は、抗炎症に利点を提供する。本明細書に開示されるある実施形態は、本発明のガス富化流体を含む治療組成物、ならびに調合薬、金属、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、ヌクレオチド、炭水化物もしくは糖化タンパク質、脂肪(油もしくはワックスを含む)のような、任意に、少なくとも1つの追加の治療剤、または炎症と関連する状態または疾患の少なくとも1つの症状を予防する、または緩和する他の薬剤に関する。
更に、本明細書に開示されるある実施形態は、創傷の炎症に関連する治療組成物および方法を含む。創傷ケアは、健康および下層の皮膚組織の外観を改善するために望ましい。創傷は、切傷、擦り傷、または水疱等の損傷起因、あるいは、切開痕または瘻孔等の外科的起因のいずれであっても、患部を治療し、更なる皮膚損傷を予防するための局所治療を必要とする。創傷が適切に処置されない場合、炎症等の更なる皮膚刺激が生じる可能性があり、二次感染をもたらし、対象を更に不快にさせ得る。
本明細書に提供される特定の実施形態は、本明細書に定義されるように、拡散器で処理された治療流体に関し、流体ホスト物質と、該ホスト物質に拡散された注入物質と、任意に、該ホスト物質中に拡散された少なくとも1つの治療剤と、を含み、該注入物質は、ホスト流体中の酸素超微粒気泡を含み、超微粒気泡の大部分は、0.2ミクロン未満、または好ましくは、0.1ミクロン未満の大きさである。ある実施形態では、注入された流体ホスト物質中の溶解酸素レベルは、少なくとも13時間、大気圧で、約30ppmを超えて維持され得る。他の特定の実施形態では、注入された流体ホスト物質中の溶解酸素レベルは、少なくとも3時間、大気圧で、約40ppmを超えて維持され得る。
追加の実施形態では、注入された流体ホスト物質は、食塩溶液を更に含む。更なる実施形態では、注入された流体ホスト物質は、大気圧で、密閉容器内で、少なくとも100日間、好ましくは、少なくとも365日間、少なくとも約20ppm〜約40ppmの溶解酸素レベルを維持する。ある実施形態では、注入された流体ホスト物質は、大気圧で、少なくとも50ppmの溶解酸素レベルを有し得る。
ある実施形態では、注入された流体ホスト物質は、酸素がその中に拡散された後、選択された期間、そこを通して輝くレーザー光線に対するレイリー散乱を示す。
表3は、酸素富化食塩溶液で処置された治癒創傷、および本発明のガス富化酸素富化食塩溶液のサンプルにおいて得られた、様々な分圧測定を示す。
気泡サイズ測定
実験は、混合デバイス100により流体内で拡散されるガスの気泡サイズを決定するために行われた。実験は、気泡のサイズを直接測定するように行われなかったが、流体内で大部分のガス気泡の気泡サイズが、0.1ミクロンよりも小さかったことを確定する実験が、行われた。言い換えれば、実験は、大部分の気泡サイズが収まる以下のサイズ閾値を決定した。
このサイズ閾値またはサイズ限界は、混合デバイス100において、流体およびガスを処理することにより形成された出力物質102を、0.22ミクロンフィルタおよび0.1ミクロンフィルタを通過させることにより確定された。これらの試験を行う際、第1の物質110、この場合、流体、の容量、および第2の物質120、この場合、ガス、の容量は、混合デバイス100を通過させられ、出力物質102(即ち、本明細書に拡散されるガスを有する流体)の容量を生成した。60ミリリットルの出力物質102は、60mLの注射器に流出した。次いで、注射器内の流体の溶解酸素レベルは、オリオン862aを用いて測定された。Orion862aは、流体内の溶解酸素レベルを測定することが可能である。注射器内の流体は、0.22ミクロンフィルタを通して、50mLのビーカーに注入された。フィルタは、Milipor Millex GP50フィルタを含んだ。次いで、50mLのビーカー中の物質の溶解酸素レベルを測定した。実験は、下の表4に示される結果を達成するために、3回行われた。
表に見られるように、注射器内で測定された溶解酸素レベルおよび50mLのビーカー内で測定された溶解酸素レベルは、出力物質102を0.22ミクロンフィルタに通過させることにより激変しなかった。本実験により推測されることは、出力物質102内の溶解ガスの気泡は、0.22ミクロンよりも大きくない、そうでなければ、0.22ミクロンフィルタを通過した出力物質102において、溶解酸素レベルの有意に大きな低下があることである。
0.22ミクロンフィルタの代わりに0.1ミクロンフィルタを使用する第2の試験を、行った。本実験において、食塩溶液は、混合デバイス100において、酸素で処理され、出力物質102のサンプルは、濾過されていない溶液中に収集された。濾過されていないサンプルの溶解酸素レベルは、44.7ppmであった。0.1ミクロンフィルタを用いて、出力物質102を濾過し、2つの追加サンプルを収集した。第1のサンプルの溶解酸素レベルは、43.4ppmであった。第2のサンプルの溶解酸素レベルは、41.4ppmであった。次いで、フィルタを除去し、濾過されていない102から最終サンプルを得た。最終サンプルは、45.4ppmの溶解酸素レベルを有した。これらの結果は、Millipore0.2ミクロンフィルタを用いて見られたものと一致した。これらの結果により、処理された食塩溶液中の大部分の気泡が、0.1ミクロン以下の大きさである表示を提供する、0.1ミクロンフィルタを通過した出力物質102の溶解酸素レベルのわずかな低下があるという結論に至る。ウインクラー滴定法を用いた、上記の溶解酸素レベル試験結果を達成した。
当該技術分野において理解されるように、二重層(界面)(DL)は、液体に入れられる場合、物体の表面上に現れる。例えば、本物体は、固体表面(例えば、回転子および固定子表面)、固体粒子、気泡、溶滴、または多孔質体のものであり得る。混合デバイス100において、気泡表面は、界面動電二重層効果に利用可能であり得る、混合チャンバ内に存在する全表面領域のかなりの部分を示す。したがって、本明細書のいずれかの箇所で論じられる表面積および保持時間に加えて、先行技術のデバイス10と比較して、混合器100内に生成された比較的小さい気泡サイズはまた、本明細書に開示される全界面動電効果および出力流体特性に、少なくともある程度、寄与し得る。特に、好ましい実施形態では、混合器100に示されるように、ガスの全ては、回転子上のアパーチャを介して導入されている(固定子の開口を通して導入されているガスはない)。回転子が、回転子表面で、およびその付近で、実質的なせん断力を生成する高速(例えば、3,400rpm)で回転しているため、回転する回転子表面アパーチャを介して、およびそれに隣接して導入される、気泡の気泡サイズは、不動固定子を介して、およびその付近で、導入されるものよりも実質的に小さい(例えば、2〜3倍小さい)ことが期待され得る。したがって、先行技術のデバイス10の平均気泡サイズは、ガスの少なくとも半分が、不動固定子アパーチャから混合チャンバに導入されるため、実質的に大きくなり得る。球体表面の表面積が、r2により異なるため、混合デバイス100のいずれのこのような気泡構成要素の界面動電表面積は、先行技術の拡散デバイス10のものよりも実質的に大きくなり得る。
したがって、理論に拘束されるわけではないが、混合デバイス100の混合チャンバは、(i)先行技術のデバイス10の容量に対する面積の比が実質的に高い(先行技術のデバイス10は、容量に対する面積の比が、10.9である一方、本混合器100は、容量に対する面積の比が39.4である)、および(ii)滞留時間が7倍長いだけでなく、(iii)本出力溶液の独特の特性が、混合デバイス100において、実質的に大きい気泡表面積からの貢献に更に反映し得る。これらの特徴的な態様は、本混合器100の特徴的な特長に反映され、本発明の出力物質/流体の独特の界面動電特性に、それぞれ貢献すると考えられる。
ここで、図30を参照すると、混合デバイス100において、酸素で富化され、少なくとも365日、500mLの薄壁のプラスチックボトルと1000mLのガラス瓶中に保管された水中の溶解酸素レベルを示す。瓶のそれぞれは、栓をし、華氏65度で保管された。図で見られるように、酸素富化流体の溶解酸素レベルは、少なくとも365日、ほぼ一定を保った。
図31を参照すると、混合デバイス100において、酸素で富化され、500mLの薄壁のプラスチックボトルと1000mLのガラス瓶中に保管された水中の溶解酸素レベルを示す。双方の瓶は、華氏39度で冷蔵保存された。更に、酸素富化流体の溶解酸素レベルは、少なくとも365日、安定した状態のままであり、わずかに低下した。
本発明のプロセスにより本発明の組成物に与えられる水和(溶媒和)電子の形態を含む組成物
ある実施形態では、本明細書に記載されるように(「二重層」の項目を参照のこと)、ガス富化流体は、分子酸素が、流体に拡散される、あるいは混合され、流体に与えられる帯電(例えば、水和(溶媒和)電子)を安定化するように作用し得る、開示された電気機械的プロセスにより生成される。理論または機序に拘束されるわけではないが、本発明のある実施形態は、第1の物質が、混合した出力物質を提供するために、本発明の混合デバイスにおいて、酸素と混合する際に、物質に添加される帯電(例えば、水和(溶媒和)電子)を含む、酸素富化流体(出力物質)に関する。特定の態様によれば、これらの水和(溶媒和)電子(または、「溶媒和電子」として本明細書に称される)は、これらの水和(溶媒和)電子により媒介された測定可能な効果の持続により証明されるように、本発明の溶液中で安定化される。ある実施形態は、水和(溶媒和)電子および/または水電子構造、クラスター等に関連し得る(例えば、Lee and Lee,Bull.Kor.Chem.Soc.2003,v.24,6;802−804;2003を参照のこと)。
西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)効果 西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)は、西洋ワサビの根(Amoracia rusticana)から単離され、ペルオキシダーゼのフェロプロトポルフィリン基(ヘム基)に属する。HRPは、ピロガロール基質を酸化するために、過酸化水素または他の水素供与体と容易に化合する。また、当該技術分野において認識されるように、HRPは、過酸化水素の不在下で、インドール−3−酢酸の自己酸化的分解反応を促進する(例えば、自己酸化は、高効率の分岐機構を含むことが記載されている、Heme Peroxidases,H.Brian Dunford,Wiley−VCH,1999,Chapter 6,pages 112−123を参照のこと;参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)。HRP反応は、酵素活性単位で測定され得、比活性度は、ピロガロール単位の点から表される。1つのピロガロール単位は、pH6.0、20℃で、20秒間でピロガロールから1.0mgのプルプロガリンを形成し得る。プルプロガリン(20秒)単位は、25℃で、1分間あたり約18μM単位に相当する。
西洋ワサビペルオキシダーゼ酵素は、流体中で分子酸素との反応を促成することにより、ピロガロールの自己酸化を触媒することが知られている。(Khajehpour et al.,PROTEINS:Struct,Funct,Genet.53:656−666(2003))。酸素は、酵素の疎水性細孔領域(Phe68とPhe142との間)を通して西洋ワサビペルオキシダーゼ酵素のヘムポケットを結合し、この立体配座が、内部への酸素の接近可能性を決定する可能性があることも知られている。特定の態様によれば、機構に拘束されるわけではないが、タンパク質における表面電荷が、タンパク質構造に影響を及ぼすことがタンパク質分野において知られているため、本発明のガス富化流体に存在する溶媒和電子は、より多くの酸素の接近可能性がもたらされるように、西洋ワサビペルオキシダーゼの立体配座を改変する役目を果たし得る。西洋ワサビペルオキシダーゼ酵素の人工ヘムポケットに対するより多くの酸素の接近可能性は、先行技術の含酸素流体(加圧ポット、微粒子気泡)と比較する場合、同様に、HRP反応を増加させ得る。
いずれの場合においても、特定の態様によれば、本発明の方法およびデバイスを用いた出力物質の産生は、以下の電荷勾配を提供する界面二重層、および摩擦電気効果に基づいて表面から離れた電荷(例えば、電子)を引抜く表面に対して物質の移動を含む、プロセスを含み、物質の流れは、溶媒和電子の流れを産生する。更に、追加の態様によれば、機構に拘束されるわけではないが、二原子酸素の軌道構造は、流体物質(水)内で、水素結合配置において、電荷不均衡(例えば、水の水素結合に影響を及ぼす2つの不対電子)を生成し、電子は、不均衡内で溶媒和され、安定化される。
過酸化水素の存在について、本発明の酸素富化流体の幾つかの化学的試験が、以下に記述されるように行われ、これらの試験のいずれも陽性ではなかった(0.1ppmの過酸化水素の検出感度)。したがって、本願の本発明の酸素富化流体は、過酸化水素がない、または0.1ppm未満の過酸化水素を含有する。
特定の態様によれば、過酸化水素の不在にもかかわらず、現在、特許請求されたデバイスの二重層および構成により与えられる本発明の酸素富化電子と溶媒和電子との組み合わせは、西洋ワサビペルオキシダーゼへの接近可能性がある立体配座および/またはヘム基を改変する役割を果たし得る。
グルタチオンペルオキシダーゼ試験
本発明の酸素富化出力流体物質を、過酸化水素の存在について、標準アッセイ(Sigma)を用いて、グルタチオンペルオキシダーゼとの反応性を試験することにより試験した。簡潔に述べると、グルタチオンペルオキシダーゼ酵素カクテルは、脱イオン水および適切な緩衝液において、構成された。水サンプルは、酵素カクテルを添加し、逆さにすることにより試験された。連続分光測光速度決定は、A340nmで、室温(摂氏25度)でなされた。試験されたサンプルは、1.脱イオン水(負の制御)、2.低濃度の本発明の酸素富化流体、3.高濃度の本発明の酸素富化流体、4.過酸化水素(正の制御)であった。過酸化水素の正の制御は、強力な反応性を示したが、試験した他の流体は、グルタチオンとの反応を示さなかった。
ガス富化流体または溶液を生成するためのデバイス
関連技術の説明
図1は、米国特許第6,386,751号(参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)から複製された、別の気体または液体物質(「ホスト物質」)に1つまたは2つの気体または液体物質(「注入物質」)を拡散するため、または乳化するための先行技術のデバイス10の部分ブロック図、部分断面図を提供する。デバイス10は、固定子30および回転子12を格納するように構成されるハウジングを含む。固定子30は、回転子12を包含する。管状チャネル32は、回転子12と固定子30との間で画定される。通常の円筒形状の回転子12は、直径約7.500インチのおよび長さ約6.000インチを有し、約0.8の長さと直径の比を提供する。
回転子12は、概して、両端で閉口される、中空の円筒を含む。ギャップは、回転子12の第1および第2の末端のそれぞれと一部のハウジング34との間に存在する。モータ18により駆動される回転シャフト14は、回転子12の第2の末端に連結される。回転子12の第1の末端は、入口16に連結される。第1の注入物質は、入口16を通って、回転子12の内部に通過する。第1の注入物質は、回転子12の内部から回転子12中に形成された複数の開口22を通ってチャネル32に通過する。
固定子30はまた、その周辺に形成された開口22を有する。入口36は、固定子30とハウジング34との間の領域35に第2の注入物質を通過させる。第2の注入物質は、領域35から開口22を通ってチャネル32に通過する。
外部ポンプ(図示せず)を使用して、ホスト物質を単一入口ポート37に送出する。ホスト物質は、単一入口ポート37を通って、チャネル32に通過し、ここで、第1および第2の注入物質に遭遇し、開口22を通って、チャネル32に入る。注入物質は、ホスト物質が開口22を通過することを妨害するようにそれらの源で加圧され得る。
入口ポート37は、環状の入口チャネル32の比較的小さい部分(<約5%)のみに沿って配置されるように構成され、かつ位置決めされ、ホスト物質へのチャネル32の一部分に向かって軸流を与えるように、回転子12の回転軸に対して実質的に平行である。
残念ながら、管状チャネル32に流入する前に、ホスト物質は、軸流の方向以外の蛇行方向(例えば、それに実質的に直交する方向を含む)に、および回転子12の第1の末端とハウジング34との間に形成されたギャップ内下方へと、ギャップ間とを移動しなければならない(即ち、回転子12の末端とハウジング34との間の入口16に隣接した回転子の第1の末端の下方へ)。非軸および直交流れ、ならびに回転子12の第1の末端とハウジング34との間のギャップにおけるホスト物質の存在は、望ましくない、不必要な摩擦を生じる。更に、ホスト物質の一部を、回転子の第1の末端とハウジングとの間で渦流する渦電流に捕捉することは可能である。また、デバイス10において、ホスト物質は、管状チャネル32の環状入口のいずれの態様に流入するように少なくとも2つの直角を通り抜けなければならない。
単一出口ポート40は、ハウジング34中に形成される。混合したホスト物質および注入物質(単数または複数)は、出口40を介してチャネル32を流出する。管状チャネル32の環状出口の制限された部分(<約5%)のみに沿っても配置される、出口ポート40は、管状チャネル32の環状出口の制限された部分から離れて出口ポート40に混合物質の軸流を与える、または可能にするように、回転子12の回転軸に対して実質的に平行である。外部ポンプ42を使用して、出口ポート40を介して出口流体を送出する。
残念ながら、管状チャネル32を流出する前に、出力物質のかなりの部分が、軸流の方向以外の蛇行方向(例えば、それに実質的に直交する方向を含む)に、および回転子12の第2の末端とハウジング34との間に形成されたギャップ内下方へと、ギャップ間とを移動しなければならない(即ち、回転子12の末端とハウジング34との間のシャフト14に隣接した回転子の第2の末端の下方へ)。上記のように、非軸および直交流れ、ならびに回転子12の末端(この場合、第2の末端)とハウジング34との間の他のギャップにおけるホスト物質の存在は、更に望ましくない、不必要な摩擦を生じる。更に、ホスト物質の一部を、回転子の第2の末端とハウジングとの間で渦流する渦電流に捕捉することは可能である。また、デバイス10において、出口混合物質の実質的な一部は、管状チャネル32の管状出口から出口ポート40に流出するように、少なくとも2つの直角を通り抜けなければならない。
当業者には明らかであるように、入口ポート37は、ホスト物質に軸流のみを与える。回転子21のみが、ホスト物質に環状流を与える。更に、出口ポート40は、出口物質に軸流のみを与える、または提供する。また、環状流速ベクトルは、管状チャネル32の管状入口37に流入した後のみ、物質に与えられ、次いで、該環状流ベクトルは、物質が出口ポート40に流入する場合、低下される、または除去されなければならない。したがって、チャネル32を通って軸方向に通過する場合、チャネル32からの物質の出口において、物質の進行性の環状加速および環状減速を必要とする。物質が、入口ポート37から出口ポート40に搬送する蛇行経路と組み合わせて、これらの態様は、入口ポート37と出口ポート40との間の実質的な圧力差(60ガロン/分の流速で、26psi)を伴う経路上で実質的な摩擦および流れ抵抗を作成し、これらの要因は、とりわけ、システムの全効率を軽減するように混合される。
界面動電的に酸素富化された水性流体および溶液
図2は、混合デバイス100の構成要素の幾つかおよびデバイスへの、デバイス内で、およびデバイスから外への物質の流れを示すブロック図を提供する。混合デバイス100は、2つ以上の入力物質を混合して、出力物質102を形成し、出力物質102は、そこから保管容器104へと受容され得る。混合デバイス100は、新規の方法で、2つ以上の物質を撹拌して、新しい特徴を有する出力物質102を産生する。出力物質102は、他の入力物質(例えば、エマルジョン)のうちの少なくとも1つにおいて、入力物質のうちの少なくとも1つの懸濁液だけでなく、入力物質の新規の組み合わせ(例えば、静電気的組み合わせ)、入力物質間の化学反応から生じる化合物、新しい静電気的組み合わせを有する組み合わせ、およびこれらの組み合わせを含み得る。
入力物質は、第1の物質の源112により提供される第1の物質110、第2の物質の源122により提供される第2の物質120、および第3の物質の源132により提供される第3の物質130を含み得る。第1の物質110は、水、食塩溶液、化学懸濁液、極性液体、非極性液体、コロイド懸濁液、細胞増殖培地等の液体を含み得る。幾つかの実施形態では、第1の物質110は、混合デバイス100に戻る出力物質102を含み得る。第2の物質120は、酸素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、オゾン、硫黄ガス、亜酸化窒素、一酸化窒素、アルゴン、ヘリウム、臭素、およびこれらの組み合わせ等のガスからなる、または含み得る。好ましい実施形態では、ガスは、酸素である、または酸素を含む。任意の第3の物質130は、液体あるいは気体のいずれかを含み得る。幾つかの実施形態では、第3の物質130は、混合デバイス100に(例えば、ポンプ210、220もしくは230、ならびに/またはチャンバ310、および/もしくは330のうちの1つ以上に)戻る出力物質102であり得る、またはそれを含み得る。
任意に、第1の物質110、第2の物質120、および任意の第3の物質130は、それぞれ、外部ポンプ210、外部ポンプ220、および外部ポンプ230により混合デバイス100に送出し得る。代替として、第1の物質110、第2の物質120、および任意の第3の物質130のうちの1つ以上は、それぞれ、源112、源122、および源132において、圧力下で保管され得、圧力により混合デバイス100に送出し得る。本発明は、それぞれ、源112、源122、および源132から混合デバイス100に、第1の物質110、第2の物質120、および任意に、第3の物質130を移行させるために使用される方法により限定されない。
混合デバイス100は、混合チャンバ330の側面に位置する第1のチャンバ310および第2のチャンバ320を含む。3つのチャンバ310、320、および330は相互に連結され、連続容量を形成する。
第1の物質110は、第1のチャンバ310に移行させられ、そこから混合チャンバ330に流れる。第1のチャンバ310中の第1の物質110は、内部ポンプ410により第1のチャンバ310に送出され得る。第2の物質120は、混合チャンバ330に移行させられる。任意に、第3の物質130は、混合チャンバ330に移行させられ得る。混合チャンバ330中の物質は、その中で混合され、出力物質102を形成する。その後、出力物質102は、出力物質102が混合デバイス100に存在する第2のチャンバ320に流れる。混合チャンバ330中の出力物質102は、内部ポンプ420により第2のチャンバ320に送出し得る。任意に、第2のチャンバ320中の出力物質102は、そこから外部ポンプ430(例えば、単独で、または内部ポンプ410および/または420と組み合わせて)により保管容器104に送出し得る。
特定の態様では、汎用駆動シャフト500は、内部ポンプ410および内部ポンプ420の双方の動力を供給する。駆動シャフト500は、混合チャンバ330を通過し、その中に第1の物質110、第2の物質120、および任意に、第3の物質130を一緒に混合するために使用される、回転力を提供する。駆動シャフト500は、そこに連結されるモータ510により動力を供給される。
図3は、混合デバイス100に第1の物質110を供給し、混合デバイス100から出力物質102を除去するためのシステム512を提供する。システム512において、出力物質102の保管容器104および第1の物質110の源112を組み合わせる。外部ポンプ210は、ホース、管等の流体管514により、一体化した保管容器104および源112に連結される。外部ポンプ210は、流体管514を通って、および混合デバイス100に外部ポンプ210を接続する流体管516に、一体化した保管容器104および源112からの一体化した第1の物質110および出力物質102を送出する。出力物質102は、流体管518を通って混合デバイス100に流出する。流体管518は、一体化した保管容器104および源112に連結され、一体化した保管容器104および源112に、混合デバイス100を流出する出力物質102を輸送する。流体管518は、混合デバイス100内で作動圧力または背圧を確立する弁519を含む。
図2、4〜9、および11を参照すると、混合デバイス100の一実施形態の様々な構成要素の更なる詳細な説明が、提供される。混合デバイス100は、サイズ変更可能である。したがって、様々な構成要素について提供される寸法は、デバイスの一実施形態を構成するために使用され得る、または選択された大きさの混合デバイスを構成するためにサイズ変更され得る。
図4を参照すると、混合デバイス100は、第1のチャンバ310、混合チャンバ330、および第2のチャンバ320のそれぞれを格納するハウジング520を含む。上記のように、混合デバイス100は、駆動シャフト500を含み、これは、デバイスの操作中、回転する。したがって、混合デバイス100は、振動する、またはそうでなければ移動し得る。任意に、混合デバイス100は、底部106に連結され得、これは、実質的に定位置において、混合デバイス100を維持するように床等の表面に取り付けられ得る。
ハウジング520は、2つ以上のハウジング部分から組み立てられ得る。例として、ハウジング520は、第1の機械的密閉ハウジング524および第2の機械的密閉ハウジング526により側面に配置される中央部分522を含み得る。ベアリングハウジング530は、中央部分522の反対側の第1の機械的密閉ハウジング524に連結され得る。ベアリングハウジング532は、中央部分522の反対側の第2の機械的密閉ハウジング526に連結され得る。任意に、ハウジング部分550は、ベアリングハウジング530に連結され得る。
ベアリングハウジング530および532のそれぞれは、ベアリングアセンブリ540を格納し得る(図5および6を参照のこと)。ベアリングアセンブリ540は、www.skf.comで、ウェブサイトを運営するKulpsville,PennsylvaniaのSKF USA Incにより製造されるモデル番号「202SZZST」を含む、当該技術分野において既知の任意の好適なベアリングアセンブリを含み得る。
密閉は、隣接したハウジング部分間で提供され得る。例えば、oリング560(図5を参照のこと)は、ハウジング部分550とベアリングハウジング530との間に配設され得、oリング562(図5を参照のこと)は、第1の機械的密閉ハウジング524と中央部分522との間に配設され得、oリング564(図6を参照のこと)は、第2の機械的密閉ハウジング526と中央部分522との間に配設され得る。
混合チャンバ330
ここで、図7を参照すると、混合チャンバ330は、第1の機械的密閉ハウジング524と第2の機械的密閉ハウジング526との間のハウジング520の中央部分522の内部に配設される。混合チャンバ330は、混合デバイス100の2つの構成要素である回転子600と固定子700との間に形成される。回転子600は、通常、中空の内部610を画定する内表面605および外表面606を有する側壁604を有し得る。側壁604は、厚さ約0.20インチ〜約0.75インチであり得る。幾つかの実施形態では、側壁604は、厚さ約0.25インチであり得る。しかしながら、混合デバイス100は、特定の用途に適合するようにサイズ変更され得るため、本教示の範囲内で、値よりも薄いまたは厚い側壁604を有するデバイスの実施形態を提供する。側壁604は、第1の末端部612および第2の末端部614、ならびに第1の末端部612と第2の末端部614との間に形成される複数のスルーホール608を含む。任意に、側壁604の外表面606は、アパーチャ、突起、テクスチャ等の他の特性を含み得る。第1の末端部612は、カラー618を受容するように設定される解放部616を有し、第2の末端部614は、カラー622を受容するように構成される解放部620を有する。
回転子600は、固定子700の内部に配設される。固定子700は、回転子600が配設される、一般に中空の内部710を画定する内部705を有する側壁704を有する。側壁704は、厚さ約0.1インチ〜約0.3インチであり得る。幾つかの実施形態では、側壁604は、厚さ約1.5インチである。固定子700は、実質的に不動位置において、ハウジング520に非回転自在に連結され得る。代替として、固定子700は、ハウジング520と一体化して形成され得る。側壁704は、第1の末端部712および第2の末端部714を有する。任意に、複数のアパーチャ708は、第1の末端部712と第2の末端部714との間の固定子700の側壁704に形成される。任意に、側壁704の内表面705は、スルーホール、突起、テクスチャ等の他の特性を含み得る。
回転子600は、図9において、矢印「C3」に示される方向に回転軸「α」周辺に不動固定子700に対して回転する。回転子600および固定子700のそれぞれは、概して、円筒状で、縦方向軸を有し得る。回転子600は、外径「D1」を有し、固定子700は、内径「D2」を有し得る。直径「D1」は、例えば、約0.5インチ〜約24インチの範囲であり得る。幾つかの実施形態では、直径「D1」は、約3.04インチである。幾つかの実施形態では、直径「D1」は、約1.7インチである。直径「D1」よりも大きい、直径「D2」は、約0.56インチ〜約24.25インチの範囲であり得る。幾つかの実施形態では、直径「D2」は、約4インチである。したがって、混合チャンバ330は、厚さ約0.02インチ〜約0.125インチ(即ち、直径「D2」と直径「D1」の差)のリング状の断面形状を有し得る。特定の実施形態では、混合チャンバ330は、厚さ約0.025インチである。先行技術のデバイス10の回転子12と固定子34との間のチャネル32(図1を参照のこと)は、厚さ約0.09インチのリング状の断面形状を有する。したがって、特定の実施形態では、混合チャンバ330の厚さは、先行技術のデバイス10のチャネル32の約1/3未満である。
回転子600の縦方向軸は、その回転軸「α」と整合し得る。回転子600の縦方向軸は、固定子700の縦方向軸と整合し得る。回転子600は、回転軸「α」に沿って長さ約3インチ〜約6インチを有し得る。幾つかの実施形態では、回転子600は、回転軸「α」に沿って長さ約5インチを有し得る。固定子700は、回転軸「α」に沿って長さ約3インチ〜約6インチを有し得る。幾つかの実施形態では、固定子700は、回転軸「α」に沿って長さ約5インチを有し得る。
回転子600および固定子700は、概して、円筒形状を有するように示されているが、当業者は、代替的な形状が使用され得ることを理解されよう。例えば、回転子600および固定子700は、円錐形、球状、任意形状等であり得る。更に、回転子600および固定子700は、同一の形状である必要はない。例えば、回転子600は、円筒形状であり、固定子700が、長方形状である、またはその逆であってもよい。
図4〜7に示される、固定子700およびスルーホール608のアパーチャ708は、概して、円筒形状である。スルーホール608の直径は、約0.1インチ〜約0.625インチの範囲であり得る。アパーチャ708の直径は、約0.1インチ〜約0.625インチの範囲であり得る。固定子700の1つ以上のアパーチャ708は、他のアパーチャ708の直径とは異なる直径を有し得る。例えば、アパーチャ708は、固定子700の第1の末端部712から固定子700の第2の末端部714の直径を増加し得る、あるいはアパーチャ708は、固定子700の第1の末端部712から固定子700の第2の末端部714の直径を減少し得る、またはアパーチャ708の直径は、固定子700に沿って別の方法において異なり得る。回転子600の1つ以上のスルーホール608は、他のスルーホール608の直径とは異なる直径を有し得る。例えば、スルーホール608は、回転子600の第1の末端部612から回転子600の第2の末端部614の直径を増加し得る、あるいは、スルーホール608は、回転子600の第1の末端部612から回転子600の第2の末端部614の直径を減少し得る、またはスルーホール608の直径は、回転子600に沿って別の様式で異なり得る。
代替的実施形態を参照して以下に記述されるように、アパーチャ708およびスルーホール608は、概して、円筒形状以外の形状を有し得、このような実施形態は、本発明の範囲内である。例えば、スルーホール608は、狭小部、弓形部、先細部等を含み得る。図7を参照すると、スルーホール608は、外部608A、狭小部608B、および外部608Aと狭小部608Bとの間の遷移を提供する先細部608Cを含む。同様に、アパーチャ708は、狭小部、弓形部、狭小部等を含み得る。
図8は、固定子700のアパーチャ708および回転子600のスルーホール608の好適な配置の限定されない例を提供する。固定子700のアパーチャ708は、回転軸「α」に実質的に直交する、実質的に平行な横方向列「SLAT−1」から「SLAT−6」に配置され得る。固定子700のアパーチャ708はまた、回転軸「α」に実質的に平行である、実質的に平行な縦方向列「SLONG−1」から「SLONG−7」に配置され得る。言い換えれば、固定子700のアパーチャ708は、回転軸「α」に実質的に平行である、縦方向列「SLONG−1」から「SLONG−7」を有する、格子様パターンの直交列(即ち、横方向列は、縦方向列に直行する)に配置され得る。
固定子700のアパーチャ708と同様に、回転子600のスルーホール608は、回転軸「α」に実質的に直交する、実質的に平行な横方向列「RLAT−1」から「RLAT−6」に配置され得る。しかしながら、格子様パターンの直交列に配置される代わりに、回転子600のスルーホール608はまた、らせん状経路に沿って縦方向に延在する、実質的に平行な列「RLONG−1」から「RLONG−7」に配置され得る。代替として、回転子600のスルーホール608はまた、回転軸「α」と平行以外の角度で縦方向に延在する、実質的に平行な列「RLONG−1」から「RLONG−7」に配置され得る。
固定子700のアパーチャ708および回転子600のスルーホール608は、回転子600が、固定子700内部に配設される場合、横方向列「SLAT−1」から「SLAT−6」が、それぞれ、横方向列「RLAT−1」から「RLAT−6」と少なくとも部分的に整合するように構成され得る。このように、回転子600が、固定子700内部で回転する際、スルーホール608は、アパーチャ708を通過する。
横方向列「RLAT−1」から「RLAT−6」のそれぞれにおいて、スルーホール608は、横方向列のスルーホール608の全てが、同時に、固定子700の横方向列「SLAT−1」から「SLAT−6」のうちの対応する1つにおいて、アパーチャ708と少なくとも部分的に整合するように、横方向に離間され得る。縦方向に延在する列「RLONG−1」から「RLONG−6」は、最後の横方向列「RLAT−6」のスルーホール608が、固定子700の対応する最後の横方向列「SLAT−6」のアパーチャ708と少なくとも部分的に整合し始める前に、縦方向に延在する列のそれぞれにおいて、第1の横方向列「RLAT−1」のスルーホール608が、対応する横方向列「SLAT−1」のアパーチャ708を完全に通過するように構成され得る。
図8において、6つの横方向列および6つの縦方向に延在する列は、回転子600に対して示され、6つの横方向列および7つの縦方向に延在する列は、固定子700に対して示されるが、代替数の横方向列および/または縦方向列は、本教示から逸脱することなく、回転子600および/または固定子700に対して使用され得ることは、当業者には明らかである。
対応する横方向列間の一対の開口のみが、いかなる一時点おいても一致することを確実にするために、固定子700上の横方向列「SLAT−1」から「SLAT−6」のそれぞれにおけるアパーチャ708の数は、回転子600上の対応する横方向列「RLAT−1」から「RLAT−6」のそれぞれにおけるスルーホール608と、既定の数(例えば、1つ、2つ等)だけ異なり得る。したがって、例えば、横方向列「RLAT−1」が、回転子600の外周辺に均一に離間した20のスルーホール608を有する場合、横方向列「SLAT−1」は、固定子700の外周辺に均一に離間した20のアパーチャ708を有し得る。
再び図7を参照すると、混合チャンバ330は、第1の開放末端部332および第2の開放末端部334を有する。回転子600の側壁604に形成されたスルーホール608は、回転子600の内部610を混合チャンバ330と接続する。
回転子600は、回転子600の回転軸「α」と整合した駆動シャフト500により固定子700内部で回転する。駆動シャフト500は、回転子600の第1の末端部612および第2の末端部614に連結され、その中空の内部610を通って延在し得る。言い換えれば、駆動シャフト500の部分720は、回転子600の中空の内部610に配設される。
カラー618は、中空の内部610に配設される駆動シャフト500の部分721を受容するように構成され、カラー622は、中空の内部610に配設される駆動シャフト500の部分722を受容するように構成される。
部分721は、約0.5インチ〜約2.5インチの範囲であり得る外径「D3」を有する。幾つかの実施形態では、直径「D3」は、約0.625インチである。部分722は、直径「D3」と実質的に類似し得る外径「D4」を有するが、これは必須ではない。直径「D4」は、約0.375インチ〜約2.5インチの範囲であり得る。
回転子600は、カラー618およびカラー622のそれぞれにより、駆動シャフト500の部分721および部分722に、非回転で取り付けられ得る。例として、カラー618および622のそれぞれは、それぞれ、解放部616および620内部に設置され得る。次いで、一体化した回転子600ならびにカラー618および622を加熱して、それらを拡張し得る。次に、駆動シャフト500をカラー618および622を通して挿入し、アセンブリを冷却させる。冷却時、カラー618および622が収縮するにつれて、それらは、それぞれ、駆動シャフト500の部分722Aおよび722Bの周辺で堅締し、駆動シャフト500が回転子600に対して回転するのを妨害するように十分に堅く把持する。カラー618は、部分721あるいは、解放部616のいずれに対しても回転せず回転子600の第1の末端部612に、駆動シャフト500の回転を伝達する。部分722あるいは、解放部620のいずれかに対して回転しない、カラー622は、回転子600の第2の末端部614に、駆動シャフト500の回転を平行移動する。駆動シャフト500および回転子600は、単一単位として一緒に回転する。
駆動シャフト500は、第1の末端部724(図5を参照のこと)および第2の末端部726(図6を参照のこと)を有し得る。第1の末端部724は、約0.5インチ〜約1.75インチの直径「D5」を有し得る。特定の実施形態では、直径「D5」は、約1.25インチであり得る。第2の末端部726は、直径「D5」と実質的に同様であり得る直径「D6」を有し得る。
第2の物質120は、回転駆動シャフト500の第1の末端部724および第2の末端部726のうちの一方を通って混合チャンバ330に輸送され得る。駆動シャフト500の第1の末端部724および第2の末端部726の他方は、モータ510に連結され得る。図5および6に示される実施形態では、第2の物質120は、第1の末端部724を通って混合チャンバ330に輸送され、駆動シャフト500の第2の末端部726は、モータ510に連結される。
図5を参照すると、駆動シャフト500は、第1の末端部724から、回転子600の内部610に配設される部分720へと延在する、その中に形成されるチャネル728を有し得る。チャネル728は、第1の末端部724中に形成された開口730を有する。混合デバイス100が動作する場合、第2の物質120は、開口730を通ってチャネル728に導入される。
弁732は、駆動シャフト500の第1の末端部724に配置されたチャネル728の一部の内部に配設され得る。弁732は、中空の内部610の内部からチャネル728を通る第2の物質120の逆流、および/またはチャネル728への第2の物質120の前方流を制限する、または制御し得る。弁732は、逆止弁を含む、当該技術分野において既知の任意の弁を含み得る。好適な逆止弁としては、Bothell,WAに事務所を有し、www.theleeco.comでウェブサイトを運営する、The Lee Company USAにより製造される、部品番号「CKFA1876205A」、自由流の順方向への逆止弁(free flow forward check valve)が挙げられる。
駆動シャフト500は、チャネル728と回転子600の内部610を接続する回転子600の内部610に配置されるアパーチャ740を含み得る。単一アパーチャ740のみが、図5に示されるが、複数の開口が、チャネル728と回転子600の内部610を接続するために使用され得ることは、当業者には明らかである。
図2を参照すると、任意に、外部ポンプ220は、第2の物質120を混合デバイス100に送出し得る。限定されない例として、ポンプ220には、ダイヤフラムポンプ、ケミカルポンプ、蠕動ポンプ、重力送りポンプ、ピストンポンプ、ギアポンプ、前述のポンプの任意の組み合わせ等が挙げられ得る。第2の物質120がガスである場合、ガスは、源122からのガスを放出することにより、駆動シャフト500の第1の末端部724に形成された開口部730に加圧され、送り込まれ得る。
ポンプ220または源122は、弁732によりチャネル728に連結される。チャネル728内部に輸送された第2の物質120は、アパーチャ740を通って、回転子600の内部610へのチャネル728に流出する。次いで、第2の物質120は、回転子600の側壁608に形成されたスルーホール608を通って回転子600の内部610に流出する。
図5を参照すると、混合デバイス100は、駆動シャフト500の第1の末端部724に連結された密閉アセンブリ750を含み得る。密閉アセンブリ750は、ハウジング520に画定されたチャンバ752内に維持される。チャンバ752は、第2の末端部756からチャンバを横断して離間した第1の末端部754を有する。チャンバ752はまた、チャンバ752へのアクセスを提供する入力ポート758および出力ポート759も含む。チャンバ752は、ハウジング部分550およびベアリングハウジング530により画定され得る。第1の末端部754は、ハウジング部分550に形成され得、第2の末端部756は、ベアリングハウジング530に隣接され得る。入力ポート758は、ベアリングハウジング530に形成され得、出力ポート759は、ハウジング部分550に形成され得る。
密閉アセンブリ750は、ハウジング部分550およびベアリングハウジング530において、チャンバ752の第1の末端部754に設置された第1の不動密閉部760を含む。第1の不動密閉部760は、駆動シャフト500の第1の末端部724の部分762周辺に延在する。密閉アセンブリ750はまた、ベアリングハウジング530において、チャンバ752の第2の末端部756に設置された第2の不動密閉部766も含む。第2の不動密閉部766は、駆動シャフト500の第1の末端部724の部分768周辺に延在する。
密閉アセンブリ750は、部分762と部分768の間で駆動シャフト500の第1の末端部724に非回転自在に連結された回転アセンブリ770を含む。回転アセンブリ770は、ユニットとしてそれと共に回転する。回転アセンブリ770は、第2の密閉部774の反対側に第1の密閉部772を含む。バイアス部材776(例えば、バネ)は、第1の密閉部772と第2の密閉部774との間に配置される。バイアス部材776は、第1の密閉部772を、第1の不動密閉部760に対してバイアスをかけ、第2の密閉部774を、第2の不動密閉部766に対してバイアスをかける。
冷却潤滑剤は、チャンバ752に、および回転アセンブリ770周辺に供給される。潤滑剤は、入力ポート758を通ってチャンバ752に流入し、出力ポート759を通ってチャンバ752に流出する。潤滑剤は、ベアリングハウジング530により格納されたベアリングアセンブリ540を潤滑化し得る。チャンバ570は、ベアリングハウジング530と機械的密閉ハウジング524との間で配設され得る。ベアリングハウジング530はまた、潤滑剤を送出し得るチャンバ570に接続された第2の入力ポート759も含み得る。チャンバ570に送出された潤滑剤は、ベアリングアセンブリ540を潤滑化し得る。密閉アセンブリ750は、大幅にとはいかないまでも、回転子600の回転により生じるデバイスのこの部分内で摩擦力を有意に軽減し得、密閉部770の活性寿命を増加し得る。密閉部は、炭化ケイ素を用いて構築された表面を含み得る。
図9を参照すると、回転子600が、矢印「C1」により示された方向に、回転軸「α」周辺を回転すると、回転子は、混合チャンバ330に第2の物質120を排出する。第2の物質120の排出された気泡、溶滴、粒子等は、回転子600から流出し、回転子600により(矢印「C3」により示された方向に)周速度が与えられる。第2の物質120は、ポンプ220(図2を参照のこと)、回転する回転子600の遠心力、第1の物質110に対する第2の物質120の浮力、およびこれらの組み合わせにより混合チャンバ330から押し込まれ得る。
モータ510
図6を参照すると、駆動シャフト500の第2の末端部726は、連結器900によりモータ510の回転支軸780に連結され得る。支軸780は、概して、約0.25インチ〜約2.5インチの直径「D7」を有する、環状断面形状を有し得る。特定の実施形態では、直径「D7」は、約0.25インチ〜約1.5インチであり得る。図6に示される実施形態では、駆動シャフト500の第1の末端部724の直径「D5」は、実質的に、直径「D7」および支軸780に相当するが、直径「D5」および直径「D7」のうちの1つがもう一方よりも大きい実施形態は、本発明の範囲内である。
図4も参照すると、連結器900を被覆する、または遮蔽することが望ましい場合がある。図4および6に示される実施形態では、ドライブガード910は、連結器900を被覆する。ドライブガード910一対の実質的に直線部分915および916により側面に配置された湾曲部分914を有するU字形であり得る。ドライブガード910の実質的に直線部分915および916のそれぞれの遠位末端は、それぞれ、フランジ918および919を有し得る。ドライブガード910は、そのフランジ918および919のそれぞれにより、底部106に締結され得る。
モータ510は、支持部材920により、底部106に支持され得る。支持部材920は、支軸780付近のモータ510に連結され得る。示された実施形態では、支持部材920は、支軸780を通過するスルーホールを含む。支持部材920は、当該技術分野において既知の任意の方法を用いて、モータ510に連結され得、これは、1つ以上のボルト940を用いてモータ510に支持部材920をボルトで固定することを含む。
連結器900は、固定子700内部で回転子600を回転させるために、支軸780から駆動シャフト500への十分なトルク量を伝達するのに適している任意の連結器を含み得る。図4および6に示される実施形態では、連結器900は、ベローズ連結器である。ベローズ連結器は、支軸780と駆動シャフト500が正しく整合されていない場合、有用であり得る。更に、ベローズ連結器は、本来ならば支軸780に伝達される、駆動シャフト500上に加えられた軸力の吸収を助長し得る。好適なベローズ連結器としては、www.ruland.comでウェブサイトを運営する、Marlborough,MAのRuland Manufacturing Company,Inc.により製造されたモデル「BC32−8−8−A」が挙げられる。
モータ510は、約0.1毎分回転数(「rpm」)〜約7200rpmで、回転子600を回転し得る。モータ510は、本教示に従って、固定子700内部で回転子600を回転するのに適しているいずれのモータを含み得る。限定されない例として、好適なモータは、230/460ボルトで、3450rpmで動作する、1/2馬力の電気モータを含み得る。好適なモータとしては、www.leeson.comでウェブサイトを運営する、Grafton,WIのLEESON Electric Corporationにより製造されたモデル「C4T34NC4C」が挙げられる。
第1のチャンバ310
図4および7を参照すると、第1のチャンバ320は、第1の機械的密閉ハウジング524と、回転子600および固定子700のそれぞれの第1の末端部612および712との間のハウジング520の中央部分522内部に配設される。第1のチャンバ310は、環状であり、実質的に円形の断面形状を有し得る。第1のチャンバ310および混合チャンバ330は、連続容量を形成する。駆動シャフト500の部分1020は、第1のチャンバ310を通って延在する。
図4から最も分かるように、第1のチャンバ310は、第1の物質110が混合デバイス100に流入する入力ポート1010を有する。第1の物質110は、外部ポンプ210により第1のチャンバ310内部に送出し得る(図2を参照のこと)。外部ポンプ210は、第1のチャンバ310を供給するのに十分な速度で、第1の物質110を送出すために、当該技術分野において既知の任意のポンプを含み得る。
入力ポート1010は、回転軸「α」に対して実質的に直交するように配向される。したがって、第1の物質110は、第1のチャンバ310を通って延在する駆動シャフト500の部分1020に接線する速度で第1のチャンバ310に流入する。第1のチャンバ310に流入する第1の物質110の接線方向は、矢印「T1」により識別される。図4および7に示される実施形態では、入力ポート1010は、回転軸「α」からのオフセットであり得る。当業者には明らかであるように、駆動シャフト500の回転方向(図9中の矢印「C1」により識別される)は、接線の構成要素を有する。入力ポート1010は、第1の物質110が、第1のチャンバ310に流入するように配置され、駆動シャフト500の回転方向の接線の構成要素と実質的に同一の方向に移動する。
第1の物質110は、第1のチャンバ310に流入し、駆動シャフト500の部分1020周辺に第1のチャンバ310内部により偏向される。第1のチャンバ310が実質的に円形断面形状を有する実施形態では、第1のチャンバ310内部は、駆動シャフト500の部分1020周辺に実質的に円形路(図9中の矢印「C2」により識別される)で、第1の物質110を偏向し得る。このような実施形態では、第1の物質110の接線速度は、接線速度により少なくともある程度決定される周速度で、回転軸「α」周辺にそれを移動させ得る。
第1のチャンバ310内部に流入すると、第1の物質110は、第1のチャンバ310内部に存在するポンプ410により、第1のチャンバ310から混合チャンバ330に送出し得る。外部ポンプ210(図2を参照のこと)を含む実施形態では、外部ポンプ210は、ポンプ410が第1のチャンバ310から第1の物質110を送出する速度と少なくとも同一の高速度で、第1のチャンバ310に第1の物質110を送出するように構成され得る。
第1のチャンバ310は、混合チャンバ330の第1の開放末端部332と連通し、第1のチャンバ310内部の第1の物質110は、混合チャンバ330の第1の開放末端部332に自由に流れ得る。このように、第1の物質110は、いかなる隅部を通り抜けない、または混合チャンバ330と第1のチャンバ310との間を屈曲する。示される実施形態では、第1のチャンバ310は、混合チャンバ330の全第1の開放末端部332と連通する。第1のチャンバ310は、第1の物質110で完全に充填され得る。
ポンプ410は、第1のチャンバ310を通って延在する駆動シャフト500の部分1020により動力を供給される。ポンプ410は、不動ハウジング(即ち、ハウジング520)により画定されるチャンバ(即ち、第1のチャンバ310)内部に格納された回転ポンプ部材2022を有する当該技術分野に既知の任意のポンプを含み得る。好適なポンプの限定されない例は、前進空洞ポンプ、単一ねじポンプ(例えば、アルキメデスねじポンプ)等の回転式容積式ポンプを含む。
図7および9に示されるポンプ410は、概して、単一ねじポンプと称される。本実施形態では、ポンプ部材2022は、駆動シャフト500の部分1020周辺に配設されるカラー部2030を含む。カラー部2030は、単位として、駆動シャフト500の部分1020と共に回転する。カラー部2030は、1つ以上の流体置換部材2040を含む。図7および9に示される実施形態では、カラー部2030は、らせん状経路に沿ってカラー部2030に外接するらせん形状を有する単一流体置換部材2040を含む。
図9を参照すると、第1のチャンバ310の内部を示す。ポンプ410は、混合チャンバ330の第1の開放末端部332に向かって、第1のチャンバ310内部の第1の物質110において、軸流(矢印「A1」および矢印「A2」により識別される)を与える。ポンプ410により与えられる第1の物質110の軸流は、先行技術のデバイス10(図1を参照のこと)の外部ポンプにより得られる圧力を超え得る圧力を有する。
ポンプ410はまた、混合チャンバ330の第1の開放末端部332に向かって、移動する際、第1の物質110において、環状流(矢印「C2」により識別される)を与えるようにも構成され得る。第1の物質110において与えられる環状流は、それが混合チャンバ330に流入する前に、初期周速度で所望の方向に既に移動している第1の物質110を混合チャンバ330に流入させる。図1に示される先行技術のデバイス10において、第1の物質110は、周速度なしで、先行技術のデバイス10のチャネル32に流入した。したがって、先行技術のデバイス10の回転子12は、単独で、第1の物質110への環状流を与えなければならなかった。第1の物質110が軸方向に移動するため、先行技術のデバイス10において、第1の物質110よりも低周速度で、回転子12と固定子30との間に形成されたチャネル32の少なくとも一部を横断した第1の物質110は、混合デバイス100の混合チャンバ330を横断する。言い換えれば、第1の物質110の軸流速度が、先行技術のデバイス10および混合デバイス100の双方において同一である場合、第1の物質110は、チャネル32の軸長を横断する前に完了するよりも、混合チャンバ330の軸長を横断する前に回転軸「α」周辺で更に旋回を完了し得る。更なる旋回は、固定子700の有効な内表面706(図7を参照のこと)の実質的に更に大きな部分に、第1の物質110(ならびに一体化した第1の物質110および第2の物質120)を暴露する。
外部ポンプ210(図2を参照のこと)を含む実施形態では、本教示に従って配向される入力ポート1010と組み合わせた、外部ポンプ210により与えられる周速度は、単独で、回転軸「α」周辺に第1の物質110(ならびに一体化した第1の物質110および第2の物質120)の旋回を十分に増加させ得る。更に、幾つかの実施形態では、ポンプ210により与えられる周速度およびポンプ410により与えられる周速度を組み合わせて、回転軸「α」周辺に第1の物質110(ならびに一体化した第1の物質110および第2の物質120)の十分な数の旋回を達成する。当業者により理解されるように、第1のチャンバ310の断面形状等の他の構造構成要素は、ポンプ210、ポンプ410、およびこれらの組み合わせにより与えられる周速度に寄与し得る。
図10に示される代替的実施形態では、ポンプ410は、混合チャンバ330の第1の開放末端部332に向かって移動する際、第1の物質110において、環状流を与えるように構成される1つ以上の翼2042を含み得る。
第2のチャンバ320
ここで、図4および7を参照すると、第2のチャンバ320は、第2の機械的密閉ハウジング526と、回転子600および固定子700のそれぞれの第2の末端部614および714との間のハウジング520の中央部分522内部に配設される。第2のチャンバ320は、第1のチャンバ310と実質的に同様であり得る。しかしながら、入力ポート1010の代わりに、第2のチャンバ320は、出力ポート3010を含み得る。駆動シャフト500の部分3020は、第2のチャンバ320を通って延在する。
第2のチャンバ320および混合チャンバ330は、連続容量を形成する。更に、第1のチャンバ310、混合チャンバ330、および第2のチャンバ320は、連続容量を形成する。第1の物質110は、第1のチャンバ310から混合チャンバ330まで、最終的に、第2のチャンバ320まで、混合デバイス100を貫流する。混合チャンバ330において、第1の物質110を第2の物質120と混合し、出力物質102を形成する。出力物質102は、出力ポート3010を通って混合デバイス100に流出する。任意に、出力物質102は、入力ポート1010に返流し、追加量の第2の物質120、第3の物質130、またはこれらの組み合わせと混合され得る。
出力ポート3010は、回転軸「α」に実質的に直交するように配向され、第1のチャンバ310に形成された入力ポート1010と反対側に配置され得る。出力物質102は、回転子600によりそこに与えられる周速度を有する混合チャンバ330から第2のチャンバ320に(図9中の矢印「C3」により示される方向に)流入する。周速度は、第2のチャンバ320を通って延在する駆動シャフト500の部分3020に対して接線方向に位置する。図4、6、および7に示される実施形態では、出力ポート3010は、回転軸「α」からのオフセットであり得る。駆動シャフト500が回転する(矢印「C1」により図9に識別される)、実質的に同一方向に移動する第2のチャンバ320に流入する、出力物質102は、出力ポート3010に向かって移動するように、出力ポート3010は、配置される。
出力物質102は、第2のチャンバ320に流入し、駆動シャフト500の部分3020周辺に第2のチャンバ320内部により偏向される。第2のチャンバ320が実質的に円形断面形状を有する実施形態では、第2のチャンバ320内部は、駆動シャフト500の部分3020周辺に実質的に円形路において、出力物質102を偏向し得る。
図2を参照すると、任意に、出力物質102は、外部ポンプ430により第2のチャンバ320から送出し得る。外部ポンプ430は、混合デバイス100の処理量を制限するのを避けるのに十分な速度で、出力物質102を送出するために、当該技術分野において既知の任意のポンプを含み得る。このような実施形態では、外部ポンプ430は、外部ポンプ430が、第2のチャンバ320から出力物質102を送出する際、出力物質102の少なくとも一部に、(図4および11において矢印「T2」により示される方向に)接線速度を導入し得る。出力物質102の一部の接線速度は、接線速度によりある程度決定される周速度で、回転軸「α」周辺にそれを移動させ得る。
ポンプ420
図6および7を参照すると、第2のチャンバ320に存在するポンプ420は、出力ポート3010に第2のチャンバ320から、および/または第2のチャンバ320に混合チャンバ330から出力物質102を送出し得る。外部ポンプ430を含む実施形態では、外部ポンプ430は、ポンプ420が出力ポート3010に出力物質102を送出する速度と少なくとも同一の高速度で、第2のチャンバ320から出力物質102を送出するように構成され得る。
第2のチャンバ320は、混合チャンバ330の第2の開口末端部334と連通し、混合チャンバ330内部の出力物質102は、第2の開口末端部334から第2のチャンバ320に自由に流れ得る。このように、出力物質102は、いかなる隅部も通り抜けない、または混合チャンバ330と第2のチャンバ320との間を屈曲する。示される実施形態では、第2のチャンバ320は、混合チャンバ330の全第2の開口末端部334と連通する。第2のチャンバ320は、出力物質102で完全に充填され得る。
ポンプ420は、第2のチャンバ320を通って延在する駆動シャフト500の部分3020により動力を供給される。ポンプ420は、ポンプ410と実質的に同一であり得る。ポンプ410として使用するのに好適であるとして上で説明したあらゆるポンプが、ポンプ420に対して使用され得る。ポンプ410が第1の物質110を混合チャンバ330に送出する一方、ポンプ420は、混合チャンバ330から出力物質102を送出する。したがって、ポンプ410およびポンプ420は共に、同一方向に送出するように配向され得る。
当業者に理解されるように、第1の物質110は、出力物質102とは異なり得る。例えば、第1の物質110および出力物質102のうちの1つは、もう一方よりも更に粘性であり得る。したがって、ポンプ410は、ポンプ420とは異なり得る。ポンプ410は、第1の物質110の特性に適合するように構成され得、ポンプ420は、出力物質102の特性に適合するように構成され得る。
図6および7に示されるポンプ420は、概して、単一ねじポンプと称される。本実施形態では、ポンプ部材4022は、駆動シャフト500の部分3020周辺に配設されるカラー部4030を含む。カラー部4030は、単位として、駆動シャフト500の部分3020と共に回転する。カラー部4030は、1つ以上の流体置換部材4040を含む。カラー部4030は、らせん状経路に沿ってカラー部4030に外接するらせん形状を有する単一流体置換部材4040を含む。
図11を参照すると、第2のチャンバ320の内部を示す。ポンプ420は、混合チャンバ330の第2の開口末端部334から離れて第2のチャンバ320内部に出力物質102において、軸流(矢印「A3」および矢印「A4」により識別される)を与える。
ポンプ420は、混合チャンバ330の第2の開口末端部334から離れて移動する際、出力物質102において、環状流(矢印「C4」により識別される)を与えるように構成され得る。出力物質102において与えられる環状流は、回転子600により必要とされる仕事量を軽減するのに役立ち得る。環状流はまた、出力ポート3010に向かって出力物質102を誘導する。
代替的実施形態では、ポンプ420は、実質的に、図10に示されるポンプ410と同一の構成を有し得る。このような実施形態では、1つ以上の翼2042は、混合チャンバ330の第2の開口末端部334から離れて移動する際、出力物質102において、環状流を与えるように構成される。
当業者には理解されるように、混合デバイス100の様々なパラメータを修正して、異なる混合特徴を得てもよい。修正され得る例示的なパラメータは、スルーホール608の大きさ、スルーホール608の形状、スルーホール608の配置、スルーホール608の数、アパーチャ708の大きさ、アパーチャ708の形状、アパーチャ708の配置、アパーチャ708の数、回転子600の形状、固定子700の形状、混合チャンバ330の幅、混合チャンバ330の長さ、駆動シャフト500の回転速度、内部ポンプ410により与えられる軸流速度、内部ポンプ410により与えられる周速度、内部ポンプ420により与えられる軸流速度、内部ポンプ420により与えられる周速度、回転子600の外表面606上に形成された擾乱構成(例えば、テクスチャ、突起、凹部、開口等)、固定子700の内表面706上に形成された擾乱構成(例えば、テクスチャ、突起、凹部、開口等)等を含む。
代替的実施形態
図12を参照して、混合デバイス5000を示す。混合デバイス5000は、混合デバイス100の代替的実施形態である。同一の参照番号は、混合デバイス100の実質的に同様の対応する構成要素である混合デバイス5000の構成要素を識別するために、本明細書に使用されている。混合デバイス100の構成要素とは異なる混合デバイス5000の要素のみを説明する。
混合デバイス5000は、回転子600および固定子5700を格納するためのハウジング5500を含む。固定子5700は、その第1の末端部5712およびその第2の末端部5714により、ハウジング5500に非回転自在に連結され得る。チャンバ5800は、ハウジング5500と、第1の末端部5712および第2の末端部5714により側面に配置される固定子5700の部分5820との間に画定される。ハウジング5500は、チャンバ5800へのアクセスを提供する、入力ポート5830を含む。入力ポート5830は、回転軸「α」に実質的に直交するように配向されるが、これは必須ではない。
固定子5700は、チャンバ5800および混合チャンバ330を接続する複数のスルーホール5708を含む(回転子600と固定子5700との間で画定される)。外部ポンプ230を使用して、入力ポート5830を介して、チャンバ5800に、第3の物質130(第2の物質120と同一であり得る)を送出し得る。チャンバ5800に送出される第3の物質130は、固定子5700に形成されるスルーホール5708を介して、混合チャンバ330に流入し得る。第3の物質130は、ポンプ230、第1の物質110に対する第3の物質130の浮力、およびこれらの組み合わせによりチャネル5800から強制移動させられ得る。回転子600が回転する際、チャネル5800から混合チャンバ330に第3の物質130を引き出してもよい。第3の物質130は、気泡、溶滴、粒子等として混合チャンバ330に流入し得、回転子600により周速度が与えられ得る。
代替的実施形態
混合デバイス100の代替的実施形態は、図13に示される中央部分5900、および図14に示されるベアリングハウジング5920を用いて、構成され得る。図13は、その内部に固定子700(図7を参照のこと)を有する中央部分5900を示す。同一の参照番号が、混合デバイス100の実質的に同様の対応する構成要素である中央部分5900と関連する構成要素を識別するために、本明細書に使用されている。中央部分522の構成要素とは異なる中央部分5900の構成要素のみが記載され得る。中央部分5900および固定子700は共に、金属(例えば、ステンレス鋼)等の導電物質から構成される。入力ポート1010および出力ポート3010は共に、プラスチック(例えば、PET、テフロン(登録商標)、ナイロン、PVC、ポリカーボネート、ABS、デルリン、ポリサルフォン等)等の非導電物質から構成される。
電気接点5910は、中央部分5900に連結され、そこに電荷を伝達するように構成される。中央部分5900は、固定子700に電気接点5910に印加される電荷を伝導する。更なる実施形態では、中央部分5900は、非導電物質から構築され得る。このような実施形態では、電気接点5910は、中央部分5900を通過し、固定子700に連結される。固定子700への電気接点5910により印加される電荷は、混合チャンバ330内での酸化還元または他の化学反応を促進するのに役立ち得る。
任意に、絶縁体(図示せず)は、環境からそれを電気的に絶縁するように中央部分5900周辺に配設され得る。更に、絶縁体は、中央部分5900と、混合デバイスの他の構成要素からそれを電気的に絶縁するように、側面に配置する第1および第2の機械的密閉部524および526との間で使用され得る。
ここで、図14を参照して、ベアリングハウジング5920が説明される。ベアリングハウジング5920は、駆動シャフト500の部分726周辺に配設される。電気接点5922は、ベアリングハウジング5920に連結される。回転ブラシ接点5924は、駆動シャフト500と電気接点5922との間に電気的接続を提供する。
この実施形態では、駆動シャフト500および回転子600は双方とも、金属(例えば、ステンレス鋼)等の導電物質から構成される。ベアリングハウジング5920は、導電物質あるいは非導電物質のいずれかから構成され得る。電荷は、電気接点5922および回転ブラシ接点5924により駆動シャフト500に印加される。電荷は、駆動シャフト500により回転子600に伝導される。
図13に示される中央部分5900および図14に示されるベアリングハウジング5920を用いて構成される混合デバイス100の代替的実施形態は、少なくとも2つの方法において、作動され得る。第1に、電気接点5910および5922は、それぞれ、固定子700および回転子600に電荷を提供しないように構成され得る。言い換えれば、電気接点5910および5922のいずれも、電流源、電圧源等に接続されない。
代替として、電気接点5910および5922は、それぞれ、固定子700および回転子600に電荷を提供するように構成され得る。例えば、電気接点5910および5922は、電気接点5910および5922にわたって定常電圧または定電圧を供給するDC電圧源(図示せず)に連結され得る。DC電圧源の負極は、電気接点5910および5922のいずれかに連結され得、DC電圧源の正極は、電気接点5910および5922のもう一方に連結され得る。電気接点5910および5922にわたって供給された電圧は、約0.0001ボルト〜約1000ボルトの範囲であり得る。特定の実施形態では、電圧は、約1.8ボルト〜約2.7ボルトの範囲であり得る。別例として、約1%〜約99%の負荷サイクルを有するパルスDC電圧を使用し得る。
混合デバイスを操作するための方法の上記の例は、電気接点5910および5922にわたってDC電圧を印加するが、当業者には明らかであるように、様々な形状および大きさを有する、対称AC電圧または非対称AC電圧は、電気接点5910および5922にわたって印加され得、このような実施形態は、本発明の範囲内である。
混合チャンバ330内部での混合
上記のように、先行技術のデバイス10(図1に示される)において、第1の物質110は、チャネル32の第2の開口末端の一部分のみに沿って配置される単一の限定された入力ポート37を介して回転子12と固定子30との間のチャネル32に流入した。同様に、出力物質102は、チャネル32の第1の開口末端の一部分のみに沿って配置される単一の限定された出力ポート40を介してチャネル32に流出した。この配置は、望ましくない、不必要な摩擦を生じた。単一の限定された入口ポート37および単一の限定された出口ポート40をチャンバ310および320にそれぞれ差し替えることにより、摩擦は軽減されている。更に、第1の物質110は、混合チャンバ330を流入する前に、隅部を通り抜けることがなく、出力物質102は、混合チャンバ330を流出する前に、隅部を通り抜けない。更に、チャンバ310および320は、チャネル32を流入する前、および流出した後、物質の周速度を提供する。
したがって、混合デバイス100にわたる圧力降下が、実質的に軽減されている。図2、4〜9、および11に示される実施形態では、入力ポート1010と出力ポート3010との間の圧力降下は、混合デバイス100が、毎分約60ガロンの出力物質102を産生するように構成される場合、わずか約12psiである。これは、毎分約60ガロンの出力物質を産生する場合には、少なくとも26psiであった、図1に示される先行技術のデバイス10を超える改善である。言い換えれば、混合デバイス100にわたる圧力降下は、先行技術のデバイス10により経験したものよりも半分以下である。
追加の態様によれば、駆動シャフト500により動力を供給される、ポンプ410および420の含有物は、混合物質において、実質的に更に有効であり、先行技術において使用された外部ポンプよりも少ないエネルギーを要する、構成を提供する。
マイクロキャビテーション
混合デバイス100の動作時、入力物質は、第1の物質110(例えば、流体)および第2の物質120(例えば、ガス)を含み得る。第1の物質110および第2の物質120は、回転子600と固定子700との間に形成される混合チャンバ330内部で混合される。固定子700内部での回転子600の回転は、混合チャンバ330内部で第1の物質110および第2の物質120を撹拌する。回転子600に形成されたスルーホール608および/または固定子700に形成されたアパーチャ708は、混合チャンバ330内部で第1の物質110および第2の物質120の流れにおいて乱流を与える。
理論に制限されるわけではないが、第1の物質110への第2の物質120の有効性および持続性は、マイクロキャビテーションにより部分的に生じると考えられ、これは、図15〜17に関連して説明される。物質が平滑面上を流れる際は何時でも、動流体と不動表面との間の表面張力のため、幾分の層流が、不動または超低速で移動する薄膜境界層によって構築される。スルーホール608、および任意に、アパーチャ708は、層流を妨害し、第1の物質110の局部圧縮および減圧を生じ得る。減圧サイクル時の圧力が、十分低い場合、空隙(キャビテーション気泡)は、物質に形成され得る。キャビテーション気泡は、低圧の局在領域が、図15に示されるように、ホスト物質および注入物質を引き出すため、竜巻のような、環流パターン5990を生成する。キャビテーション気泡が内破する場合、非常に高い圧力が生じる。2つの整合した開口(例えば、アパーチャ708の1つおよびスルーホール608の1つ)が互いに通過する場合、有意なエネルギーを生成する、振盪(衝撃波)が生じる。キャビテーションおよび振盪と関連するエネルギーは共に、恐らく、非常に高度な分子レベルまで、第1の物質110および第2の物質120を混合する。
回転子600の接線速度および回転ごとに互いに通過する開口数が、混合デバイス100での周波数を決定し得る。超音波周波数の範囲内で混合デバイス100を動作させることは、多くの用途において有用であり得ることが判断されている。超音波の周波数領域において混合デバイス100を動作させることは、流体分子の結合角度を変化させるために最大振盪衝撃エネルギーを提供し、これは、通常、保持することが不可能な第2の物質120の追加量を輸送することが可能である。混合デバイス100を拡散器として使用する場合、混合デバイス100が操作される周波数は、撹拌の程度に影響を及ぼすように思われ、第1の物質110(ホスト物質)において、第2の物質120(注入物質)の更に長い持続性をもたらす。
ここで、図15を参照すると、回転子600の代替的実施形態である、回転子6000を提供する。混合チャンバ330において、第1の物質110内に作成されたキャビテーションは、混合チャンバ330の長さに沿って異なる周波数で生じるように構成され得る。キャビテーションの周波数は、回転子600の長さに沿ってスルーホール6608の数および/または配置を改変することにより改変され得る。スルーホール6608のそれぞれは、スルーホール608に実質的に同様であり得る(上記で論じられた)。
限定されない例として、回転子6000は、3つの別々の例示的な部分6100、6200、および6300に更に分割され得る。スルーホール6608は、部分6100から部分6200へと密度を増加し、部分6100のホール数は、部分6200のホール数よりも多い。スルーホール6608はまた、部分6200から部分6300へと密度を増加し、部分6200のホール数も、部分6300のホール数よりも多い。部分6100、6200、および6300のそれぞれは、そこに形成されたスルーホール6608の数が異なるため、異なる周波数でそれらの特定領域内で振盪を生じる。
特定領域において適切に配列された所望の複数のスルーホール6608を用いて回転子6000を製造することにより、混合チャンバ330内で所望の振盪周波数を決定し得る。同様に、所望のキャビテーションの周波数は、回転子600が回転する固定子700上に特定領域に適切に配列された所望の複数のアパーチャ708により決定され得る。更に、混合チャンバ330内で所望の振盪周波数(単数または複数)は、固定子700に形成されたアパーチャ708の特定数および配置と、回転子600に形成されたスルーホール608の特定数および配置の双方を選択することにより達成され得る。
図19〜21は、作成されたキャビテーションに対して異なる結果を達成するように構成される、固定子700に形成されたアパーチャ708および回転子600に形成されたスルーホール608の様々な代替的な配置を示す。図19は、アパーチャ708およびスルーホール608が、回転子600の回転軸「α」を通って引き出されるいずれの線(例えば、線7010)とは平行ではない軸7000に沿って整合される構造を示す。言い換えれば、回転子600が、円筒状を有する場合、軸7000は、回転子600の中央を通って通過しない。したがって、混合チャンバ330内の第1の物質110は、アパーチャ708およびスルーホール608により作成された圧縮および減圧に対して垂直に配向され得ない。代わりに、圧縮および減圧は、混合チャンバ330内の第1の物質110の円周流(図9の矢印「C3」の方向)に平行な、少なくとも1つの構成要素を有する力ベクトルを有し得る。
アパーチャ708およびスルーホール608の相対的な整合はまた、混合チャンバ330においてキャビテーションの作成にも影響を及ぼし得る。図20は、アパーチャ708が、スルーホール608を有する混合チャンバ330にわたって整合される、実施形態を示す。本実施形態では、回転子600の回転は、固定子700のアパーチャ708を有する直接整合に、回転子のスルーホール608をもたらす。互いに直接整合中である場合、アパーチャ708およびスルーホール608により作成された圧縮力および減圧力は、互いに直接整列される。
図21に示された実施形態では、アパーチャ708およびスルーホール608は、回転軸「α」に沿ってオフセット量「X」でオフセットされる。限定されない例として、オフセット量「X」は、アパーチャ708の大きさの関数として決定され得る。例えば、オフセット量「X」は、アパーチャ708の直径のほぼ半分に相当し得る。代替として、オフセット量「X」は、スルーホール608の大きさの関数として決定され得る。例えば、オフセット量「X」は、スルーホール608の直径のほぼ半分に相当し得る。スルーホール608およびアパーチャ708以外、またはこれに加えて特長(例えば、凹部、突起等)が、回転子600あるいは固定子700のいずれかに含まれる場合、オフセット量「X」は、このような特長の大きさの関数として決定され得る。このように、固定子700のアパーチャ708および回転子600のスルーホール608により生じた圧縮力および減圧力は、混合チャンバ330内で追加の回転およびねじり力を生じるわずかなオフセットで衝突する。これらの追加の力は、混合チャンバ330内で第1の物質110への第2の物質120の混合(例えば、拡散作用)を増加させる。
ここで、図22〜25を参照して、アパーチャ708およびスルーホール608に対する好適な断面形状の限定されない例を提供する。アパーチャ708および/またはスルーホール608の断面形状は、図22に示されるような正方形であり、図23に示されるような円等であり得る。
アパーチャ708および/またはスルーホール608の様々な断面形状が、回転子600が、固定子700内で回転する際、第1の物質110の流れを改変するために使用され得る。例えば、図24は、広い部分7022の反対側に狭い部分7020を有する涙滴型の断面形状を示す。スルーホール608が、この涙滴型形状を有する場合、回転子600を回転する際(矢印「F」により概して示される方向に)、混合チャンバ330内で第1の物質110、第2の物質120、および任意に第3の物質130上に圧力を加えた力は、涙型の広い部分7022から狭い部分7020へ通過する際に増加する。
追加の回転力は、図25に示されるように、らせん状構造を有するアパーチャ708および/またはスルーホール608を形成することにより混合チャンバ330に導入され得る。らせん状構造を有する、アパーチャ708および/またはスルーホール608に流入する、および流出する物質は、らせん状構造により誘発された回転力を経験する。混合デバイス100内で採用され得る代替的実施形態の限定されない例示として図22〜25に示される例を提供する。当業者の適用により、アパーチャ708および/またはスルーホール608は、多くの方法において、混合チャンバ330内で物質を混合するのに適切である様々な振盪および撹拌力を達成するように構成され得る。
二重層効果
混合デバイス100は、複合体との第1の物質110および第2の物質120の複合かつ非線形流体動的相互作用によって、出力物質102を生成するように構成され、動的乱流は、界面動電効果に更に有利に働く混合複合体をもたらし得る(以下に記述される)。これらの界面動電効果の結果は、電荷再分配および酸化還元反応として出力物質102内で観察され得、これには、出力物質内で安定化される可溶化電子の形態が含まれる。
表面基のイオン化または解離および/または液体からのイオン吸収は、液体と接触してほとんどの固体表面を荷電させる。図26を参照すると、電気二重層(「EDL」)7100は、液体7120と接触して例示的な表面7110周辺に形成される。EDL7100において、ある電荷のイオン7122(この場合は、負の電荷を持つイオン)が、表面7120に吸着し、スターン層(Stern layer)として一般に称される、表面層7124を形成する。表面層7124は、反対電荷かつ均等の大きさの対イオン7126(この場合、正の電荷を持つイオン)を誘引し、これは、拡散層として一般に称される、表面層7124の下に対イオン層7128を形成する。対イオン層7128は、表面層7124よりも更に拡散分布され、下のバルク物質7130において、両イオンの均一かつ同等な分布上にある。中性水中のOH−およびH+イオンに関しては、Gouy−Chapmanモデルは、拡散対イオン層が水中に約1ミクロン延在することを示唆し得る。
特定の態様によれば、上記の界面動電効果は、荷電表面7110に隣接する液体7120の移動により生じる。液体7120(例えば、水、食塩溶液等)内で、表面層7124を形成する吸収イオン7122は、液体7120が運動している(例えば、矢印「G」で示される方向に流れる)場合でさえ、表面7120に固定される。しかしながら、せん断面7132は、表面7120から離間した拡散対イオン層7128内で存在する。このように、液体7120が移動すると、拡散対イオン7126の幾つかは、表面7120から離れて輸送され、一方、吸収イオン7122は、表面7120で維持される。これにより、いわゆる「荷電電流」を生じる。
混合チャンバ330内で、第1の物質110、第2の物質120、および任意に、第3の物質130は、固定子700の内面705および/もしくは回転子600の外面606により生成された電磁場、内面705と外面606との間の電圧、ならびに/または第1の物質110に形成された、少なくとも1つのEDLにより生じる界面動電効果(例えば、荷電電流)を受ける。少なくとも1つのEDLは、固定子700の内面705および回転子600の外面606のうちの少なくとも1つにより、第1の物質110に導入され得る。
表面擾乱(例えば、スルーホール608およびアパーチャ708)に対して混合チャンバ330を通過する第1の物質110の移動は、混合チャンバ330内で第1の物質110においてキャビテーションを作成し、これは、第2の物質120を第1の物質110に拡散し得る。これらのキャビテーションは、固定子700の内面705に形成された電気二重層および/もしくは回転子600回転子600の外面606に形成される電気二重層で、第1の物質110および/もしくは第2の物質120の間での接触を増強し得る。混合チャンバの容量比に対する表面積が大きいほど、混合チャンバ内で混合した物質の滞留時間が増加し、更に、小さい平均気泡サイズ(および故に、実質的に更に大きい気泡表面積)と組み合わせて、本発明の出力物質に対してEDL媒介効果の効果的付与をもたらす。
内面705および外面606が、ステンレス鋼等の金属物質から構成される実施形態では、液体7120および/または荷電電流(単数または複数)の運動は、内面705および外面606で、H2O、OH−、H+、およびO2を含む、酸化還元反応を促進する。
図27を参照すると、理論に制限されるわけではないが、内面705と外面606との間の混合チャンバ330の部分7140は、一組の平行板7142および7144としてモデル化され得る。第1の物質110が液体である場合、第1の物質110は、入口「IN」を通って部分7140に流入し、出口「OUT」を通って部分7140に流出する。入口「IN」および出口「OUT」は、部分7140の流入および流出を限定する。
図28を参照すると、平行板7142と7144との間の領域は、高い表面積対容量比を有する。したがって、対イオン層7128(および対イオン7126)の実質的な部分は、第1の物質110が、板7142と7144との間を移動する際、運動している場合がある。運動している対イオン7126の数は、入口「IN」により部分7140に流入することができる数、および出口「OUT」により部分7140に流出することができる数を超え得る。第1の物質110を供給する、および部分7140から第1の物質110を除去する、入口「IN」および出口「OUT」は、それぞれ、平行板7142および7144よりもはるかに小さい表面積(およびより小さい表面積対容量比)を有し、それによって、部分7140に流入するおよび流出する第1の物質110において、運動している対イオン7126の部分を軽減する。したがって、部分7140からの流入および流出は、局所的に荷電電流を増加させる。いずれかの表面にわたって第1の物質110を流れることにより生じるバックグラウンド荷電電流(矢印「BSC」により識別される)が、常に、混合デバイス100内部に存在するが、板7142および7144は、部分7140内で増加した「過剰」荷電電流(矢印「ESC」により識別される)を導入する。
第1の物質110の流れと反対方向の板7142および7144において、導電性反流(矢印「RC」により識別される)なしに、吸収イオン7122と同一の符号を有する過剰電荷7146は、入口「IN」付近で蓄積し、対イオン7126と同一の符号を有する過剰電荷7148は、出口「OUT」付近で蓄積し得る。このような蓄積電荷7146および7148が、反対であって、かつそれ故に互いに誘引しあうために、導電手段により結合しようとする蓄積電荷を無制限に蓄積することはできない。板7142および7144が、完全に電気的に絶縁される場合、蓄積電荷7146および7148は、第1の物質110それ自体を通してのみ移動することができる。導電性反流(矢印「RC」により識別される)が、部分7140において、過剰荷電電流(矢印「ESC」により識別される)と実質的に同等である場合、ゼロ正味(zero net)の過剰荷電電流を有する定常状態を達成し、入口「IN」付近の過剰電荷7146と出口「OUT」付近の過剰電荷7148との間の静電電位差は、その間に別々の定常状態の電荷を生成する。
電荷分離量、およびひいては、入口「IN」付近の過剰電荷7146と出口「OUT」付近の過剰電荷7148との間の静電電位差は、イオン(即ち、イオン7122および7126)のない液体により得られる流速に近似する液体流速を生成するように、電荷を、反電場(電荷分離により生成された)に対して「プッシュ(push)」する、ポンプ(例えば、回転子600、内部ポンプ410、および/もしくは外部ポンプ210)により供給される、単位電荷あたりの追加のエネルギーにより異なる。板7142および7144が絶縁体である場合、静電電位差は、ポンプ(例えば、回転子600、内部ポンプ410、および/もしくは外部ポンプ210)が生成することができる、EMFの直接測定である。この場合は、入口「IN」付近の第1の物質110において、リード線の一方と、出口「OUT」付近の第1の物質110において、他方のリード線を設置することによる、一組のリード線を有する電圧計を用いて、静電電位差を測定することができ得る。
絶縁板7142および7144では、いずれの反流も、反流が、第1の物質110を通ってイオンの伝導のみに関与するという点において、純粋にイオン電流(またはイオンの流れ)である。更に導電経路を通って他の導電機構が、入口「IN」付近の過剰電荷7146と出口「OUT」付近の過剰電荷7148との間に存在する場合、反流は、更にこれらの導電経路を使用し得る。例えば、導電性金属板7142および7144は、更に導電経路を提供し得るが、これらの更なる導電経路は、電子電流のみ送信し、イオン電流は送信しない。
当業者には明らかであるように、金属中の1つ以上の電子へとイオンにより担持される電荷を搬送するために(逆も然り)、1つ以上の酸化還元反応は、金属の表面で生じ、反応生成物を生成するはずである。第1の物質110は、水(H2O)であり、第2の物質120は、酸素(O2)であると仮定すると、導電性板7142および7144へと負電荷を注入し得る酸化還元反応の限定されない例は、以下の既知の半電池反応を含む。
O2+H2O→O3+2H++2e
ここでも、第1の物質110は、水(H2O)であり、第2の物質120は、酸素(O2)であると仮定すると、酸化還元反応の限定されない例は、導電性板7142および7144から負電荷を除去し得る、以下の既知の半電池反応を含む。
2H++e−→H2
導電性金属板7142および7144では、第1の物質110(限定要因にならないように十分迅速な酸化還元反応を提供する)よりも更に導電性があるため、ほとんどの反流は、電子電流であると考えられる。導電性金属板7142および7144に関しては、更に小さい電荷分離が、入口「IN」と出口「OUT」との間で蓄積し、より小さい静電電位が、その間に存在する。しかしながら、これは、EMFが更に小さいという意味ではない。
上記のように、EMFは、ポンプが、電荷分離により生成された反対の電場に対して第1の物質110の流れを促進するように提供する、単位電荷あたりのエネルギーに関連する。静電電位は更に小さいため、該ポンプは、第1の物質110の流れが生じるのに、単位電荷あたりより少ないエネルギーを供給し得る。しかしながら、上記の例示的な酸化還元反応は、必ずしも自発的に生じず、ひいては、ポンプにより供給され得る、作業入力を必要とする場合がある。したがって、EMFの一部分(より小さい静電電位差に反映しない)を使用して、酸化還元反応を起こすのに必要なエネルギーを提供し得る。
言い換えれば、絶縁板7142および7144に対して電荷分離により生成された反対の電場に対して押動するようにポンプにより提供される同一の圧力差を用いて、導電性板7142および7144を通して電荷を「押動し」、かつ酸化還元反応を起こし得る。
図29を参照すると、発明者により行われた実験に対する実験装置を提供する。実験は、一対の実質的に同一の離間した500mLの標準の三角フラスコ7150および7152を含み、それぞれは、多量の脱イオン水7153を含有した。ゴム栓7154は、それぞれのフラスコ7150および7152の開口端に挿入された。栓7154には、3つの経路である、中空管7156、陽極7158、および陰極7160をそれぞれ1つずつ含んだ。フラスコ7150および7152に関して、中空管7156、陽極7158、および陰極7160のそれぞれは、全て、フラスコの外部から、栓7154を貫通して、フラスコ内部の脱イオン水7153に延在した。陽極7158および陰極7160は、ステンレス鋼で構成された。双方のフラスコ7150および7152において、中空管7156は、共通の酸素供給7164に連結された開口端部7162を有した。陽極7158および陰極7160は、直流電源7168の陽極および負極にそれぞれ連結された、フラスコ7152に挿入した。全く同一のスパージャーをそれぞれのフラスコに使用した。
酸素は、約1SCFH〜約1.3SCFHの流速(供給)(混合した流速)で、中空管7156から、フラスコ7150および7152の双方に流れた。フラスコ7152に挿入された陽極7158および陰極7160にわたって印加した電圧は、約2.55ボルトであった。全ての酸素種に作用するのに十分な電気化学的電圧値であると考えられるため、この値が、選択された。供給7164からの酸素が、フラスコ7150および7152のそれぞれにおいて、脱イオン水7153に吹き込まれる、3〜4時間にわたって、この電圧を、継続的に印加した。
HRPおよびピロガロールを用いたフラスコ7150中での脱イオン水7153の試験は、本明細書に記載の代替的な回転子/固定子の実施形態を用いて生成した、流体の特性と一致する、HRP媒介したピロガロール反応活性を与えた。HRPの光学密度は、同等の酸素含有量の加圧ポットまたは微粒子気泡と比較して、約20%高かった。この実験の結果は、混合チャンバ330内の混合は、酸化還元反応を伴うことを示す。特定の態様によれば、本発明の混合チャンバは、本発明の出力溶液内で酸素富化水構造、あるいは、プロセス内での電気的効果により存在する幾つかの型の酸素種のいずれかにより安定化される、追加の電子を含む出力物質を提供する。
また、フラスコ7150および7152の双方において、脱イオン水7153は、過酸化水素に対して0.1ppmおよびオゾンに対して0.6ppmの感度を有する、業界標準比色試験アンプルを採用して、オゾンおよび過酸化水素の双方に対して試験した。これらのアンプルの検出限界までいずれの種の陽性反応もなかった。
滞留時間
滞留時間は、混合チャンバ330において費やす、第1の物質110、第2の物質120、および任意に第3の物質130の時間である。混合チャンバ330の直径に対する混合チャンバ330の長さの比が、滞留時間に有意に影響を及ぼし得る。比が大きくなるほど、滞留時間は長くなる。背景技術の項において言及されるように、先行技術のデバイス10(図1を参照のこと)の回転子12は、直径に対する長さの比の約0.8を提供する、約7.500インチの直径および約6.000インチの長さを有した。対照的に、特定の実施形態では、混合デバイス100の混合チャンバ330の長さは、約5インチであり、回転子600の直径「D1」は、約1.69インチであり、これは、直径に対する長さの比の約2.95をもたらす。
滞留時間は、第1の物質110、第2の物質120、および任意に第3の物質130が、本明細書に記載の界面動電現象と相互作用することが可能である、時間を示す。先行技術のデバイス10は、毎分約60ガロンの出力物質102を生成するように構成され、混合デバイス100は、毎分約0.5ガロンの出力物質102を生成するように構成され、先行技術のデバイス10(図1を参照のこと)は、約0.05秒の流体滞留時間を有し、一方、混合デバイス100の実施形態は、約0.35秒の実質的により長い(約7倍長い)滞留時間を有する。このより長い滞留時間は、第1の物質110、第2の物質120、および任意に、第3の物質130を、先行技術のデバイス10において可能であったよりも約7倍長く、混合チャンバ330内で、互いに、および表面606および705(図7を参照のこと)と相互作用することを可能にする。追加の実施形態では、滞留時間は、先行技術のデバイス10において、可能であったよりも少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、またはそれ以上である。
下の表5を参照すると、上記の滞留時間は、毎秒のガロンにおいて、各デバイスに対する流速を第1に決定することにより計算された。先行技術のデバイス10の場合は、毎分約60ガロンの出力物質で操作するように構成され、一方、混合デバイス100は、毎分約0.5ガロンの出力物質の最適範囲を含む、より広範囲の流速にわたって操作するように構成される。次いで、流速は、1ガロン当たりの立方インチ数(即ち、231立方インチ)で、毎秒のガロンの流速を乗算することにより、毎秒立方インチに変換された。次いで、先行技術のデバイス10のチャネル32の容量(12.876立方インチ)を、デバイスの流速(231立方インチ/秒)で除算し、滞留時間(秒単位)を得、混合デバイス100の混合チャンバ330の容量(0.673立方インチ)を、デバイス(毎秒立方インチにおける)の流速(1.925立方インチ/秒)で除算し、滞留時間(秒単位)を得た。
注入速度
混合デバイス100の特定の態様は、先行技術のデバイス10(図1を参照のこと)をを含む、先行技術を超える、改善された酸素注入速度を提供する。第1の物質110は、水であり、第2の物質120は、酸素であり、これらの双方は、摂氏20℃で、またはほぼ摂氏20℃で、単一パス(即ち、図2の戻りのブロックが、「NO」に設定される)において、混合デバイス100により処理され、出力物質102は、約43.8ppm(100万分の1)の溶解酸素レベルを有する。ある態様では、約43.8ppmの溶解酸素を有する出力物質は、本発明の非加圧(非加圧ポット)法を介した本発明の流動を経由して、約350ミリ秒で生成される。対照的に、第1の物質110(水)および第2の物質120(酸素)が共に、先行技術のデバイス10により、摂氏20℃で、またはほぼ摂氏20℃で、単一パスにおいて、処理され、出力物質は、56ミリ秒の単一パスで、わずか35ppm(100万分の1)の溶解酸素レベルを有した。
出力物質102
第1の物質110が、液体(例えば、淡水、食塩水、GATORADE(登録商標)等)であり、第2の物質120が、気体(例えば、酸素、窒素等)である場合、混合デバイス100は、第1の物質110に第2の物質120を拡散し得る。以下は、出力物質102に行われた分析の結果を論じ、混合デバイス100により処理されているものに由来する出力物質102の1つ以上の特性を特徴付ける。
第1の物質110が、食塩溶液であり、第2の物質120が、酸素ガスである場合、実験は、食塩溶液内で生成した酸素気泡の大部分が、0.1ミクロン以下の大きさであることを示している。
溶解酸素レベルの減衰
ここで、図30を参照すると、混合デバイス100において、酸素で処理され、500mLの薄壁のプラスチックボトルと1000mLのガラス瓶中に保管された、溶解酸素レベルを示す。瓶のそれぞれは、栓をし、華氏65度で保管された。点7900は、瓶詰めでの溶解酸素レベルである。線7902は、Henry法の平衡状態を示し(即ち、華氏65度で、水中であるべき溶解酸素量)、これは、わずか10ppm未満の溶解酸素レベルである。点7904および7906は、それぞれ、65日および95日でのプラスチックボトル内の水中の溶解酸素レベルである。点7904に示されるように、プラスチックボトルが、瓶詰めから約65日後に開口される場合、水中の溶解酸素レベルは、約27.5ppmである。該ボトルが、瓶詰めから約95日後に開口される場合、点7906で示されるように、溶解酸素レベルは、約25ppmである。同様に、ガラス瓶に関しては、溶解酸素レベルは、点7908で示されるように、65日で、約40ppmであり、点7910で示されるように、95日で、約41ppmである。このようにして、図30は、プラスチックボトルおよびガラス瓶の双方の溶解酸素レベルは、華氏65度で相対的に高い状態にあることを示す。
ここで、図30を参照すると、混合デバイス100において、酸素で富化され、少なくとも365日、500mLの薄壁のプラスチックボトルと1000mLのガラス瓶中に保管された水中の溶解酸素レベルを示す。瓶のそれぞれは、栓をし、華氏65度で保管された。図で見られるように、酸素富化流体の溶解酸素レベルは、少なくとも365日、ほぼ一定を保った。
図31を参照すると、混合デバイス100において、酸素で富化され、500mLの薄壁のプラスチックボトルと1000mLのガラス瓶中に保管された水中の溶解酸素レベルを示す。双方の瓶は、華氏39度で冷蔵保存された。更に、酸素富化流体の溶解酸素レベルは、少なくとも365日、安定した状態のままであり、わずかに低下した。
分子間相互作用
従来、量子的特性は、10−10メートル未満の素粒子に属すると考えられ、一方、日常生活の巨視的世界は、ニュートンの運動の法則に従い、素粒子が運動するという点において、古典的であると称される。
最近、分子は、希釈と共に大きさが増加するクラスターを形成するように記載されている。これらのクラスターは、直径において、幾つかのマイクロメートルを測定し、希釈と共に非線形に大きさが増加することが報告されている。直径で100ナノメートルを測定する量子のコヒーレントドメインが、純水中に発生すると仮定され、コヒーレントドメインにおける水分子の集団振動が、最終的に、電磁場変動に固定される相になり得、水中で安定振動を提供し、水の集合構造を変化させる水中の溶解物質に特異的な長続きするコヒーレント振動の励起の形態において、「記憶」の一形態を提供し、これは、同様に、発達する特異的なコヒーレント振動を決定し得る。これらの振動は、連結する磁場相により安定化される場合、希釈する際の水は、更に、「種(seed)」コヒーレント振動を運び得る。分子のクラスターの大きさが増加すると、その電磁的な特徴が、対応して増幅され、水により運ばれるコヒーレント振動を増強する。
溶解分子のクラスターサイズの変化、および水の詳細な微視的構造にもかかわらず、コヒーレント振動の特異性は、なお、存在し得る。水の特性の変化を考慮するための1つのモデルは、結晶化に関与する考慮に基づいている。
図36を参照すると、ナノスケールケージ8700を形成する、簡易プロトン化水クラスターを示す。プロトン化水クラスターは、一般に、H+(H20)nの形態をとる。幾つかのプロトン化水クラスターは、電離層等に自然発生する。任意の特定の理論に拘束されるわけではないが、特定の態様に従って、水クラスターまたは構造の他の型(クラスター、ナノケージ等)が可能であり、これには、本発明の出力物質に与えられる、酸素および安定化した電子を含む構造が含まれる。酸素原子8704は、得られる構造8700に取り込まれ得る。セミ結合ナノケージの化学反応は、酸素8704および/または安定化した電子を、長期間、溶解したままにすることが可能である。医薬化合物等の他の原子または分子は、徐放目的のためにケージされ得る。溶液物質および溶解化合物の特異的化学反応は、これらの物質の相互作用により異なる。
混合デバイス100により処理された流体を、クラスター構造において流体の分析と一致する異なる構造特性を示すように実験を介して示している。
混合デバイス100を通して処理された水は、通常の未処理の水と比較される場合、検出可能な構造差を有することが示されている。例えば、処理された水は、未処理の水に観察される、更に、レイリー散乱を有することが示されている。行われた実験において、処理された水および未処理の水のサンプルは、調製され(別々の瓶中にそれぞれ密閉することにより)、コードされ(処理サンプルおよび未処理サンプルの後の識別のために)、分析のために独立した試験室に送られた。試験が完了した後のみ、どのサンプルが、混合デバイス100により処理されたものであるかを示すコードが解釈された。
試験室で、2つのサンプルを、633ナノメートルの波長を有するレーザー光線に置いた。流体は、試験前の約1週間、ガラス瓶中に密閉されていた。処理されたサンプルに関しては、サンプルBは、レーザー光線と相対的なその位置にかかわらず光を散乱させた。しかしながら、サンプルAには行わなかった。瓶を開口してから2〜3時間後、サンプルBの散乱効果は、消失した。これらの結果は、水にその特性を保持させ、かつ時間と共に消失する、記憶を水が示したことを意味する。これらの結果はまた、処理された水の構造が、未処理の流体の構造とは光学的に異なることも意味する。最後に、これらの結果は、実験の開始時の溶解酸素レベルが、45ppmであり、実験の終了時は、約32ppmであることが推測されたため、光学的効果は、溶解酸素レベルには、直接に関連しないことを意味する。
帯電安定化したナノ構造(例えば、帯電安定化した酸素含有のナノ構造):
「二重層効果」、「滞留時間」、「注入速度」、「気泡サイズ測定」の項目にて本明細書に上記されるように、混合デバイス100は、複合体と第1の物質110および第2の物質120の独特の、非線形流体動的相互作用、本明細書に記載される、新規の界面動電効果を提供する効果的に膨大な表面積(デバイスの面積および100nm未満の例外的に小さい気泡の面積を含む)と接触して混合する複合体を提供する、動的乱流をおよそミリ秒で作成する。また、絶縁回転子および固定子を含む、特別に設計された混合デバイスを用いて、機能局在界面動電効果(電圧/電流)を、本明細書(実施例20を参照のこと)に実証した。
当該技術分野においてよく認識されるように、電荷再分配および/または溶媒和電子は、水溶液中で、極めて不安定であることが知られている。特定の態様によれば、出願の界面動電効果(例えば、特定の態様では、溶媒和電子を含む、電荷再分配)は、出力物質(例えば、食塩溶液、イオン溶液)内で、驚くほど安定化される。実際には、本明細書に記載されるように、本発明の界面動電流体(例えば、RNS−60またはSolas)の特性および生物活性の安定性は、気密性容器内において、数ヶ月間、維持され得、本発明の溶液の特性および活性を精製する、および/もしくは維持する、および/もしくは媒介するように役立てることに、溶解ガス(例えば、酸素)の関与を示す。有意に、本明細書の実施例に記載されるように、電荷再分配および/または溶媒和電子は、流体により生細胞(例えば、哺乳類細胞)と接触した際に、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節を提供するのに十分な量において、本発明の界面動電イオン水性流体中に安定的に構成される(例えば、細胞パッチクランプの実施例23および24を参照のこと)。
本発明の界面動電流体(例えば、界面動電食塩溶液)の安定性および生物学的適合性を説明するために、「分子間相互作用」の項において本明細書で記載されるように、出願者は、水分子と水中に溶解された物質(例えば、酸素)の分子との間の相互作用が、水の集合構造を変化させ、ナノスケールケージクラスターを提供することが提案され、これには、本発明の出力物質に与えられる、酸素および/または安定化した電子を含むナノ構造が含まれる。機構に拘束されるわけではないが、本明細書に記載の特性および活性に従って、特定の態様では、ナノ構造の構造は、それらが、溶解ガス(例えば、酸素)を(少なくとも、形成および/もしくは安定性および/もしくは生物活性のために)含む;細胞膜もしくはその関連した構成要素と接触する際に、界面動電流体(例えば、RNS−60またはSolas食塩流体)が、電荷および/もしくは電荷効果を調節する(例えば、与えるまたは受容する)のを可能にする;ならびに、特定の態様では、生物学的に関連した形態において、溶媒和電子の安定化を提供する(例えば、運ぶ、持つ、捕獲する)。
特定の態様によれば、本開示により支持されるように、イオンまたは食塩(例えば、標準食塩水、NaCl)溶液において、本発明のナノ構造は、帯電安定化した水和殻内で、少なくとも1つの溶解ガス分子(例えば、酸素)を含み得る、帯電安定化したナノ構造(例えば、平均直径100nm未満)を含む。追加の態様によれば、本明細書のいずれかの箇所で記載されるように、帯電安定化した水和殻は、該少なくとも1つの溶解ガス分子(例えば、酸素)を持つケージまたは空隙を含み得る。更なる態様によれば、好適な帯電安定化した水和殻の供給によって、帯電安定化したナノ構造および/または帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、溶媒和電子(例えば、安定化した溶媒和電子)を更に含み得る。
機構または特定の理論に拘束されるわけではないが、この優先日後、周囲(大気)気体と平衡状態にある水性液体中のイオンにより安定化された帯電安定化超微粒気泡が、提案されている(Bunkin et al.,Journal of Experimental and Theoretical Physics,104:486−498,2007;参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)。本発明の特定の態様によれば、出願者の新規の界面動電流体は、帯電安定化した酸素含有のナノ構造の新規の生物学的活性形態を含み、そして、このような構造の新規の配列、クラスター、または会合を更に含み得る。
帯電安定化した超微粒気泡モデルによれば、水構造の短距離分子秩序は、ガス分子の存在により破壊され(例えば、非吸着イオンと初期に複合した溶解ガス分子は、短距離秩序の欠陥をもたらす)、これは、イオン性溶滴の濃縮を提供し、欠陥は、水分子の第1および第2の配位圏により取り囲まれ、配位圏において、それぞれ、6および12の空孔を占める、吸着イオン(例えば、電気二重層を形成するためのNa+イオンの「スクリーニングシェル(screening shell)」の捕捉)および非吸着イオン(例えば、第2の配位圏を占めるCl−イオン)により代替的に充填される。不飽和イオン溶液(例えば、不飽和食塩溶液)において、この水和した「細胞核」は、第1および第2の配位圏が、それぞれ、6つの吸着イオンおよび5つの非吸着イオンにより充填されるまで、安定した状態を保ち、次いで、ガス分子を含有する内部空隙を生成するクーロン爆発を受け、吸着イオン(例えば、Na+イオン)は、得られる空隙の表面に吸着され、一方、非吸着イオン(またはそれらの幾つかの部分)は、溶液に拡散する(Bunkinら、上記を参照)。このモデルにおいて、ナノ構造における空隙は、その表面に吸着されたイオン(例えば、Na+イオン)間でのクーロン爆発により崩壊されない。空隙含有のナノ構造の安定性は、空隙/気泡表面への同電荷との溶解イオンの選択的吸着、および溶解ガスと気泡内部のガスとの間の拡散平衡によるものであると仮定され、負の静電圧(得られる電気二重層により与えられる外部からの静電圧)は、界面張力に対して安定補償を提供し、気泡内部のガス圧力は、周囲圧力により均衡を保つ。該モデルによれば、このような超微粒気泡の形成は、イオン成分を必要とし、ある態様では、粒子間の衝突媒介した会合は、より大きな秩序クラスター(配列)の形成を提供し得る(同上)。
帯電安定化した超微粒気泡モデルは、粒子が、ガス超微粒であり得ることを示唆するが、周囲大気と平衡状態にあるイオン溶液中のこのような構造の自然形成のみ企図し、酸素が、このような構造を形成することができるかどうかに関して、特性化されておらず、かつ未特定のままであり、同様に、溶媒和電子が、このような構造により会合および/または安定化され得るかどうかに関しても、未特定のままである。
特定の態様によれば、帯電安定化したナノ構造および/または帯電安定化した酸素含有のナノ構造を含む本発明の界面動電流体は、新規であり、超微粒気泡モデルに従って、仮定非界面動電、大気の帯電安定化超微粒気泡構造とは基本的には異なる。注目すべきは、対照食塩溶液は、本明細書に開示される生物学的特性を持たないが、その一方で、出願者の帯電安定化したナノ構造は、帯電安定化した酸素含有のナノ構造の新規の生物学的活性形態を提供するという事実に、少なくとも一部分において由来する、本結論は、避けられない状態である。
本発明の特定の態様によれば、出願者の新規の界面動電デバイスおよび方法は、大気と平衡状態にあるイオン流体、またはいずれの非界面動電的に生成された流体中で自発的に発生し得る、または発生し得ない、任意の量を超えて、かなりの量の帯電安定化したナノ構造を含む、新規の界面動電的に改変された流体を提供する。特定の態様では、帯電安定化したナノ構造は、帯電安定化した酸素含有のナノ構造を含む。追加の態様では、帯電安定化したナノ構造は、全て、もしくは実質的に全ての帯電安定化した酸素含有のナノ構造である、または帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、界面動電流体中で主要な帯電安定化したガス含有のナノ構造種である。
なお更なる態様によれば、帯電安定化したナノ構造および/または帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、溶媒和電子を含む、または持ち得、それによって、新規の安定化した溶媒和電子担体を提供する。特定の態様では、帯電安定化したナノ構造および/または帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、電極の新型(または逆電極)を提供し、単一の有機配位カチオンを有する従来の溶質電極と対照的に、むしろ、空隙または酸素原子を含有する空隙周辺に安定的に配列された複数のカチオンを有し、配列されたナトリウムイオンは、有機分子によってよりはむしろ、水の水和殻によって配位される。特定の態様によれば、溶媒和電子は、水分子の水和殻により収容され得る、または好ましくは、全てのカチオンにわたって分布するナノ構造の空隙内で収容され得る。ある態様では、本発明のナノ構造は、複数の配列したナトリウムカチオンにわたって溶媒和電子(一連のナトリウム原子および少なくとも1つの酸素原子にわたって分布する溶媒和電子)の分布/安定化を提供するだけでなく、空隙中の閉じ込め(caged)酸素分子(単数または複数)と溶媒和電子の会合または部分会合を提供することにより、溶液中の新規の「スーパー電極」を提供する。したがって、特定の態様によれば、本発明の界面動電流体と関連して現在開示されるように、「溶媒和電子」は、水分子による直接水和を含む従来のモデルにおいて溶媒和され得ない。代替として、乾燥電極塩を用いた限定された例では、本発明の界面動電流体中の溶媒和電子は、水溶液中の高度な秩序配列を安定化させるために、「格子接着(lattice glue)」を提供するように複数の帯電安定化したナノ構造にわたって分布され得る。
特定の態様では、本発明の帯電安定化したナノ構造および/または帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、生物学的活性を媒介するために、細胞膜もしくはその構成要素、またはタンパク質等と相互作用することが可能である。特定の態様では、本発明の帯電安定化したナノ構造および/または溶媒和電子を持つ帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、生物学的活性を媒介するために、細胞膜もしくはその構成要素、またはタンパク質等と相互作用することが可能である。
特定の態様では、本発明の帯電安定化したナノ構造および/または帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、生物学的活性を媒介するために、帯電および/もしくは帯電効果提供者(送達)として、ならびに/または帯電および/もしくは帯電効果受容者として、細胞膜もしくはその構成要素、またはタンパク質等と相互作用する。特定の態様では、本発明の帯電安定化したナノ構造および/または溶媒和電子を持つ帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、生物学的活性を媒介するために、帯電および/もしくは帯電効果提供者として、ならびに/または帯電および/もしくは帯電効果受容者として、細胞膜と相互作用する。
特定の態様では、本発明の帯電安定化したナノ構造および/または帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、本発明の界面動電流体の観察された安定性および生物学的特性と一致し、かつ説明し、そして、イオン水溶液(例えば、食塩溶液、NaCl等)中の安定化した溶媒和電子を提供する、新規の電極(または逆電極)を更に提供する。
特定の態様では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、帯電安定化した酸素含有ナノバブルを実質的に含み、その形態をとる、またはそれを発生させることができる。特定の態様では、帯電安定化した酸素含有クラスターは、帯電安定化した酸素含有のナノ構造の相対的に大きい配列、および/または帯電安定化した酸素含有ナノバブルもしくはそれらの配列の形成を提供する。特定の態様では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、疎水性表面と接触する際、疎水性ナノバブルの形成を提供することができる(実施例25の項で、本明細書のいずれかの箇所を参照のこと)。
特定の態様では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、実質的に、少なくとも1つの酸素分子を含む。ある態様では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、実質的に、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも50個、少なくとも100個、またはそれ以上の酸素分子を含む。特定の態様では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、約20nm×1.5nmのナノバブル(例えば、疎水性ナノバブル)を含む、または発生し、約12個の酸素分子(例えば、酸素分子の大きさ(約0.3nm×0.4nm)、理想気体の状態方程式n=PV/RTに基づき、ここで、P=1atm、R=0.082 057 l.atm/mol.K;T=295K;V=pr2h=4.7×10−22L、ここで、r=10×10−9m、h=1.5×10−9m、およびn=1.95×10−22モル)を含む。
ある態様では、イオン水性流体中の帯電安定化構造を有する、このようなナノ構造、またはそれらの配列にある流体中に存在する、酸素分子の割合は、0.1%、1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、および95%超からなる群から選択される割合である。好ましくは、この割合は、約5%以上、約10%以上、約15%以上、または約20%以上である。追加の態様では、イオン水性流体中の帯電安定化構造を有する、帯電安定化した酸素含有のナノ構造の実質的な大きさ、またはそれらの配列は、100nm、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、20nm、10nm、5nm、4nm、3nm、2nm、および1nm未満からなる群から選択される大きさである。好ましくは、この大きさは、約50nm未満、約40nm未満、約30nm未満、約20nm未満、または約10nm未満である。
ある態様では、本発明の界面動電流体は、溶媒和電子を含む。更なる態様では、本発明の界面動電流体は、帯電安定化したナノ構造および/または帯電安定化した酸素含有のナノ構造、および/またはそれらの配列を含み、これらは、溶媒和電子(単数または複数)、および特異な電荷分布(極性、対称、非対称の電荷分布)のうちの少なくとも1つを含む。ある態様では、帯電安定化したナノ構造および/または帯電安定化した酸素含有のナノ構造、および/またはそれらの配列は、常磁性を有する。
対照的に、本発明の界面動電流体に関連して、対照加圧ポット含酸素流体(非界面動電流体)等は、このような帯電安定化した生物学的活性ナノ構造および/または生物学的活性帯電安定化した酸素含有のナノ構造、および/またはそれらの配列を含まず、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調整が可能である。
ガス富化流体を生成するシステム
現在開示されるシステムおよび方法は、最小の受動的損失を伴う高濃度で、ガス(例えば、酸素)を安定的に富化させることが可能である。このシステムおよび方法は、多種多様の流体に、高い割合で、多種多様のガスを富化するために効果的に使用され得る。例示のみとして、室温で、一般に、約2〜3ppm(ppm)の溶解酸素のレベルを有する、脱イオン水は、開示されたシステムおよび/または方法を用いて、少なくとも約5ppm、少なくとも約10ppm、少なくとも約15ppm、少なくとも約20ppm、少なくとも約25ppm、少なくとも約30ppm、少なくとも約35ppm、少なくとも約40ppm、少なくとも約45ppm、少なくとも約50ppm、少なくとも約55ppm、少なくとも約60ppm、少なくとも約65ppm、少なくとも約70ppm、少なくとも約75ppm、少なくとも約80ppm、少なくとも約85ppm、少なくとも約90ppm、少なくとも約95ppm、少なくとも約100ppm、またはいずれかの値以上もしくはそれらの間の範囲の溶解酸素のレベルを達成することができる。特定の例示的な実施形態に従って、酸素富化水は、溶解酸素の約30〜60ppmのレベルで生成され得る。
投与経路および形態
本明細書で使用される「対象」は、いずれの生物体、好ましくは、動物、更に好ましくは、哺乳類、およびなお更に好ましくは、ヒトを指し得る。
特定の例示的な実施形態では、本発明のガス富化流体は、治療組成物が、インスリン耐性および/または糖尿病に関連する障害のうちの少なくとも1つの症状を予防または緩和するように、単独で、または別の治療剤と組み合わせて、治療組成物として機能することができる。本発明の治療組成物は、それを必要とする対象に投与することができる、組成物を含む。ある実施形態では、治療組成物製剤はまた、担体、アジュバント、乳化剤、懸濁剤、甘味料、香味料、香料、および結合剤からなる群から選択される、少なくとも1つの添加剤も含むことができる。
本明細書で使用される「医薬的に許容可能な担体」および「担体」は、概して、非毒性の、不活性固体、半固体、もしくは液体の充填剤、希釈剤、封入物質、またはあらゆる型の製剤補助物質を指す。医薬的に許容可能な担体としての機能を果たし得る物質の幾つかの限定されない例としては、ラクトース、グルコース、およびスクロース等の糖類;コーンスターチおよびポテトスターチ等のデンプン;セルロース、およびその誘導体である、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロース等;トラガカント粉末;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバターおよび坐薬用ワックス等の賦形剤;ピーナッツオイル、綿実油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、および大豆油等の油類;プロピレングリコール等のグリコール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル等のエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム等の緩衝剤;アルギン酸;発熱物質を含まない水、リンゲル液、エチルアルコールおよびリン酸緩衝溶液;ならびにラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム等の他の非毒性の適合する滑沢剤;着色剤;放出剤;コーティング剤;甘味料;香味料および香料であり、配合者の判断に従って、保存料および抗酸化剤もまた、組成物中に存在してもよい。特定の態様では、このような担体および賦形剤は、本発明のガス富化流体または溶液であってもよい。
本明細書に記載の医薬的に許容可能な担体としては、例えば、ビヒクル、アジュバント、賦形剤、または希釈剤は、当業者には既知である。一般に、医薬的に許容可能な担体は、治療剤に対して化学的に不活性であり、使用条件下で、有害な副作用または毒性がない。医薬的に許容可能な担体は、ポリマーおよびポリマーマトリックス、ナノ粒子、超微粒気泡等を含み得る。
本発明の治療ガス富化流体に加えて、治療組成物は、追加の非ガス富化水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油、およびごま油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにこれらの組み合わせを更に含み得る。当業者により明らかであるように、特定の治療組成物の新規の改善された製剤、新規のガス富化治療流体、および新規のガス富化治療流体を送達する新規の方法は、同一の、同様の、または異なる組成物のガス富化流体と1つ以上の不活性希釈剤を差し替えることにより得られ得る。例えば、従来の水は、ガス富化流体を提供するために、水もしくは脱イオン水に酸素を混合することにより生成されたガス富化流体により差し替える、または補完され得る。
ある実施形態では、本発明のガス富化流体は、1つ以上の治療剤と組み合わせ得る、および/または単独で使用され得る。特定の実施形態では、ガス富化流体を抱合することは、脱イオン水、食塩溶液等の当該技術分野において既知の1つ以上の溶液を、1つ以上のガス富化流体を差し替えることを含み、それによって、対象に送達するための改善された治療組成物を提供し得る。
ある実施形態は、本発明のガス富化流体、医薬組成物、もしくは他の治療剤、またはその医薬的に許容可能な塩もしくは溶媒、ならびに少なくとも1つの医薬担体もしくは希釈剤を含む、治療組成物を提供する。これらの医薬組成物は、前述の疾患または状態の予防および治療、ならびに上記のように、治療法において、使用され得る。好ましくは、担体は、医薬的に許容可能であらなければならず、適合する、即ち、組成物中の他の成分において有害効果がないものでなければならない。担体は、固体または液体であり得、好ましくは、単位用量の製剤、例えば、0.05〜95重量%の活性成分を含有し得る錠剤として、製剤化される。
可能な投与経路としては、経口、舌下、口腔、非経口(例えば、皮下、筋肉内、動脈内腹腔内、膀胱内、髄腔内、または静脈内)、直腸、局所(経皮、膣内、眼球内、耳内、鼻腔内、移植可能なデバイスまたは物質の吸入、および注射もしくは挿入を含む)が含まれる。
投与経路
特定の対象に対する投与の最適な手段は、治療され得る疾患もしくは状態の性質および重症度、または使用され得る治療法の性質、ならびに治療組成物もしくは追加の治療剤の性質により異なり得る。ある実施形態では、経口または局所投与が好ましい。
経口投与に好適な製剤は、それぞれ既定量の活性化合物を含有する、錠剤、カプセル、カシェ剤、シロップ、エリキシル剤、チューインガム、「ロリポップ(lollipop)」剤、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、トローチ剤、またはゲルコーティングされたアンプルのような個別単位として、粉末または顆粒として、水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として、または水中油型乳剤もしくは油中水型乳剤として、提供し得る。
舌下または口腔投与等による経粘膜的方法に好適な製剤は、活性化合物および一般に香味ベース、例えば、砂糖およびアカシアまたはトラガカントを含むトローチ剤、パッチ剤、錠剤等、ならびにゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースアカシアのような不活性ベース中に活性化合物を含むペーストリー剤を含む。
非経口投与に好適な製剤は、一般に、既定濃度の活性ガス富化流体および可能な別の治療剤を含有する滅菌水溶液を含み、溶液は、好ましくは、対象とするレシピエントの血液と等張である。非経口投与に好適な更なる製剤は、界面活性剤およびシクロデキストリン等の生理的に好適な共溶媒および/または錯化剤を含有する製剤を含む。水中油型乳剤はまた、ガス富化流体の非経口投与用の製剤に好適であり得る。このような溶液は、好ましくは、静脈内投与されるが、皮下または筋肉内注射により投与されてもよい。
尿道、直腸、または膣内投与に好適な製剤は、ゲル剤、クリーム剤、ローション剤、水性もしくは油性懸濁液、分散性粉末もしくは顆粒、エマルジョン、吸収性固形物質、潅水等を含む。該製剤は、座薬ベースを形成する1つ以上の固体担体、例えば、ココアバター中に、活性成分を含む、単位用量座薬として提供するのが好ましい。代替として、本発明のガス富化流体を用いた結腸洗浄は、結腸または直腸投与用に製剤化され得る。
局所、眼球内、または鼻内投与に好適な製剤は、軟膏、クリーム剤、ペースト剤、ローション剤、ゲル剤(ヒドロゲル等)、スプレー剤、分散性粉末および顆粒、エマルジョン、流動噴射剤を用いたスプレー剤またはエアロゾル(例えば、リポソームスプレー剤、点鼻剤、鼻腔用スプレー剤等)、ならびに油を含む。このような製剤に好適な担体は、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、およびこれらの組み合わせを含む。経鼻または鼻腔内投与は、定量のこれらの製剤またはその他のいずれかを含み得る。同様に、鼻内または眼球内は、点滴剤、軟膏、刺激流体(irritation fluid)等を含み得る。
本発明の製剤は、あらゆる好適な方法、一般に、液体もしくは微粉化した固体担体、またはその双方を有する活性化合物を、ガス富化流体と、必要とされる比率で均一かつ緊密に任意に混合し、次いで、必要であれば、得られた混合物を所望の形状に付形することにより調製され得る。
例えば、錠剤は、活性成分の粉末または顆粒、および1つ以上の任意成分、例えば、結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤または界面活性分散剤を含む均質混合物を圧縮するか、または粉末活性成分および本発明のガス富化流体の均質混合物を成形することにより調製し得る。
吸入による投与に好適な製剤は、種々の型の定量加圧エアロゾル、ネブライザー、または吸入器を用いて発生し得る微粒子粉末またはミスト剤を含む。特に、治療剤の粉末または他の化合物は、本発明のガス富化流体中に溶解または懸濁され得る。
口からの肺投与に関しては、気管支樹への送達を確実にするために、粉末または溶滴の粒度は、一般に、0.5〜10μM、好ましくは1〜5μMである。鼻投与に関しては、鼻腔における保留を確実にするために、10〜500μMの粒度が好ましい。
定量吸入器は、液化噴射剤中の治療剤の懸濁液または溶液製剤を一般に含有する加圧エアロゾルディスペンサーである。ある実施形態では、本明細書に開示されるように、本発明のガス富化流体が、標準液化噴射剤に加えて、またはその代わりに、使用され得る。使用の際に、これらのデバイスは、計量した量、一般に10〜150μLを送達するように適合させた弁を経て製剤を放出して、治療剤およびガス富化流体を含有する微粒子噴霧を生じる。好適な噴射剤は、特定のクロロフルオロカーボン化合物、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、およびこれらの混合物を含む。
製剤は、1つ以上の共溶媒、例えば、エタノール界面活性剤、例えば、オレイン酸または三オレイン酸ソルビタン、酸化防止剤、および好適な風味剤を更に含有し得る。ネブライザーは、商業的に入手可能なデバイスであり、それは、狭いベンチュリ穴を通る圧縮ガス(一般に空気または酸素)の加速によるか、あるいは超音波撹拌のいずれかにより、活性成分の溶液または懸濁液を治療エアロゾルミストに変換するデバイスである。ネブライザーで用いるのに好適な製剤は、ガス富化流体中の別の治療剤からなり、製剤の40%w/wまで、好ましくは20%w/w未満を含む。加えて、他の担体は、一般に、蒸留水、滅菌水、または希釈水性アルコール溶液等を利用し、好ましくは、例えば、塩化ナトリウム等の塩の添加により、体液と等張にされるものであり得る。任意の添加剤は、特に、製剤が滅菌調製されていない場合は、防腐剤を含み、メチルヒドロキシ−ベンゾエート、酸化防止剤、香味剤、揮発油、緩衝剤、および界面活性剤を含み得る。
吸入による投与に好適な製剤は、吸入器により送達されるか、または鼻からの吸入により鼻腔に取り入れられ得る微粉砕散剤を含む。吸入器において、散剤を、一般にゼラチンまたはプラスチック製のカプセルまたはカートリッジに入れ、それらを原位置で突き刺すかまたは開けて、散剤が、吸入時にデバイスから引き出される空気によるか、または手動ポンプにより送達される。吸入器において採用される散剤は、活性成分だけからなるか、または活性成分、好適な粉末希釈剤、例えばラクトース、および任意の界面活性剤を含む粉末ブレンドからなる。活性成分は、一般に、製剤の0.1〜100w/wを含む。
上に具体的に言及された成分に加えて、本発明の製剤は、課題となる製剤の型を考慮して、当業者には既知の他の薬剤を含み得る。例えば、経口投与に好適な製剤は、香味料を含み得、経鼻投与に好適な製剤は、香料を含み得る。
本発明の治療組成物は、個々の治療剤として、あるいは、治療剤と組み合わせて、調合薬と共に使用可能なあらゆる従来の方法により投与され得る。
当然のことながら、投与される用量は、特定の薬剤の薬力学的特性、ならびに投与の様式および経路;レシピエントの年齢、健康状態、および体重;症状の性質および範囲;同時治療の種類;治療頻度;ならびに所望の効果のような既知の要因により異なり得る。活性成分の1日投与量は、体重の1キログラム(kg)あたり約0.001〜1000ミリグラム(mg)であり、好ましくは、0.1〜約30mg/kgの用量であることが期待され得る。
用量形態(投与に好適な組成物)は、単位あたり活性成分の約1mg〜約500mgを包含する。これらの医薬組成物では、活性成分は、通常、組成物の総重量に基づいて、約0.5〜95重量%の量で存在し得る。
軟膏、ペースト剤、フォーム剤、咬合剤(occlusion)、クリーム剤、およびゲル剤はまた、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、シリコン、ベントナイト、シリカ酸、およびタルク、またはこれらの混合物のような賦形剤も含有し得る。散剤およびスプレー剤はまた、ラクトース、タルク、シリカ酸、水酸化アルミニウム、およびケイ酸カルシウム、またはこれらの物質の混合物のような賦形剤も含有し得る。ナノ結晶抗菌性金属の溶液は、エアロゾル医薬品を製造するために日常的に使用される既知の手段のいずれかによりエアロゾルまたはスプレー剤に変換され得る。概して、このような方法は、通常、不活性担体ガスを用いて、溶液の容器を加圧すること、または加圧するための手段を提供すること、および小さい穴から加圧したガスを通過させることを含む。スプレー剤は、窒素、二酸化炭素、および他の不活性ガス等の常用の噴射剤を更に含有し得る。加えて、ミクロスフェアまたはナノ粒子は、対象に治療化合物を投与するために必要とされるいずれかの経路において、本発明のガス富化治療組成物または流体と共に採用され得る。
注射用製剤は、アンプルおよびバイアル等の単位用量または多用量を密閉した容器中に存在し得、使用直前に、滅菌液体賦形剤、またはガス富化流体の添加物のみに必要とされるフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保管され得る。即時注射液および懸濁液は、滅菌粉末、顆粒、および錠剤から調製され得る。注射可能な組成物のために効果的な医薬担体の必要条件は、当業者には公知である。例えば、Pharmaceutics and Pharmacy Practice,J.B.Lippincott Co.,Philadelphia,Pa.,Banker and Chalmers,Eds.,238−250(1982)およびASHP Handbook on Injectable Drugs,Toissel,4th ed.,622−630(1986)を参照のこと。
局所投与に好適な製剤としては、本発明のガス富化流体および任意に追加の治療および香味、通常、スクロースおよびアカシアまたはトラガカントを含むトローチ剤;ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシアのような不活性ベース中のガス富化流体および任意に追加の治療剤を含むパステル剤;好適な液体キャリア中のガス富化流体および任意に追加の治療剤を含むうがい薬または含嗽液;ならびにクリーム剤、エマルジョン、ゲル剤等が挙げられる。
さらに、直腸投与に好適な製剤は、乳化ベースまたは水溶性ベースのような様々なベースと混合することにより座薬として示され得る。膣内投与に好適な製剤としては、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤、または活性成分に加えて、キャリア等を含有するスプレー剤として示され得る。
好適な医薬担体は、本分野における標準的な参照テキスト「Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)」に記載されている。
本発明の文脈において、対象、特に、動物、具体的には、ヒトへの投与される用量は、適当なタイムフレームにおいて動物の治療反応に影響を及ぼすのに十分であるべきである。当業者は、投与量は、動物の状態、動物の体重、ならびに治療されるべき状態を含む、様々な要因により異なり得ることを理解されよう。好適な用量は、所望の反応に影響を及ぼすことが知られている、対象における、治療組成物の濃度をもたらし得るものである。
用量の大きさはまた、投与の経路、タイミングおよび頻度、ならびに治療組成物の投与および所望の生理的効果を伴い得る、いかなる副作用の存在、性質、および範囲によっても決定され得る。
特定の対象に対する投与の最適な手段は、治療され得る疾患もしくは状態の性質および重症度、または使用され得る治療法の性質、ならびに治療組成物もしくは追加の治療剤の性質により異なり得る。ある実施形態では、経口または局所投与が好ましい。
経口投与に好適な製剤は、それぞれ既定量の活性化合物を含有する、錠剤、カプセル、カシェ剤、シロップ、エリキシル剤、チューインガム、「ロリポップ(lollipop)」剤、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、トローチ剤、またはゲルコーティングされたアンプルのような個別単位として、粉末または顆粒として、水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として、または水中油型乳剤もしくは油中水型乳剤として、提供し得る。
経口投与に好適な更なる製剤は、多種の定量加圧エアロゾル、噴霧器、ネブライザー、または吸入器を用いて発生し得る、微粒子粉末またはミスト剤を含むように提供され得る。特に、治療剤の粉末または他の化合物は、本発明のガス富化流体中に溶解または懸濁され得る。
舌下または口腔投与等による経粘膜的方法に好適な製剤は、活性化合物および一般に香味ベース、例えば、砂糖およびアカシアまたはトラガカントを含むトローチ剤、パッチ剤、錠剤等、ならびにゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースアカシアのような不活性ベース中に活性化合物を含むパステル剤を含む。
非経口投与に好適な製剤は、一般に、既定濃度の活性ガス富化流体および可能な別の治療剤を含有する滅菌水溶液を含み、溶液は、好ましくは、対象とするレシピエントの血液を含んだ等張液である。非経口投与に好適な更なる製剤は、界面活性剤およびシクロデキストリン等の生理的に好適な共溶媒および/または錯化剤を含有する製剤を含む。水中油型乳剤はまた、ガス富化流体の非経口投与用の製剤に好適であり得る。このような溶液は、好ましくは、静脈内投与されるが、皮下または筋肉内注射により投与されてもよい。
尿道、直腸、または膣内投与に好適な製剤は、ゲル剤、クリーム剤、ローション剤、水性もしくは油性懸濁液、分散性粉末もしくは顆粒、エマルジョン、吸収性固形物質、潅水等を含む。該製剤は、座薬ベースを形成する1つ以上の固体担体、例えば、ココアバター中に、活性成分を含む、単位用量座薬として提供するのが好ましい。代替として、本発明のガス富化流体を用いた結腸洗浄は、結腸または直腸投与用に製剤化され得る。
局所、眼球内、または鼻内投与に好適な製剤は、軟膏、クリーム剤、ペースト剤、ローション剤、ゲル剤(ヒドロゲル等)、スプレー剤、分散性粉末および顆粒、エマルジョン、流動噴射剤を用いたスプレー剤またはエアロゾル(例えば、リポソームスプレー剤、点鼻剤、鼻腔用スプレー剤等)、ならびに油を含む。このような製剤に好適な担体は、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、およびこれらの組み合わせを含む。経鼻または鼻腔内投与は、定量のこれらの製剤またはその他のいずれかを含み得る。同様に、鼻内または眼球内は、点滴剤、軟膏、刺激流体(irritation fluid)等を含み得る。
本発明の製剤は、あらゆる好適な方法、一般に、液体もしくは微粉化した固体担体、またはその双方を有する活性化合物を、ガス富化流体と、必要とされる比率で均一かつ緊密に任意に混合し、次いで、必要であれば、得られた混合物を所望の形状に付形することにより調製され得る。
例えば、錠剤は、活性成分の粉末または顆粒、および1つ以上の任意成分、例えば、結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤または界面活性分散剤を含む均質混合物を圧縮するか、または粉末活性成分および本発明のガス富化流体の均質混合物を成形することにより調製し得る。
吸入による投与に好適な製剤は、種々の型の定量加圧エアロゾル、噴霧器、ネブライザー、または吸入器を用いて発生し得る微粒子粉末またはミスト剤を含む。特に、治療剤の粉末または他の化合物は、本発明のガス富化流体中に溶解または懸濁され得る。
口からの肺投与に関しては、気管支樹への送達を確実にするために、粉末または溶滴の粒度は、一般に、0.5〜10μM、好ましくは1〜5μMである。鼻投与に関しては、鼻腔における保留を確実にするために、10〜500μMの粒度が好ましい。
定量吸入器は、液化噴射剤中の治療剤の懸濁液または溶液製剤を一般に含有する加圧エアロゾルディスペンサーである。ある実施形態では、本明細書に開示されるように、本発明のガス富化流体は、標準液化噴射剤に加えて、またはその代わりに、使用され得る。使用の際に、これらのデバイスは、計量した量、一般に10〜150μLを送達するように適合させた弁を経て製剤を放出して、治療剤およびガス富化流体を含有する微粒子噴霧を生じる。好適な噴射剤は、特定のクロロフルオロカーボン化合物、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、およびこれらの混合物を含む。
製剤は、1つ以上の共溶媒、例えば、エタノール界面活性剤、例えば、オレイン酸または三オレイン酸ソルビタン、酸化防止剤、および好適な風味剤を更に含有し得る。ネブライザーは、商業的に入手可能なデバイスであり、それは、狭いベンチュリ穴を通る圧縮ガス(一般に空気または酸素)の加速によるか、あるいは超音波撹拌のいずれかにより、活性成分の溶液または懸濁液を治療エアロゾルミストに変換するデバイスである。ネブライザーで用いるのに好適な製剤は、ガス富化流体中の別の治療剤からなり、製剤の40%w/wまで、好ましくは20%w/w未満を含む。加えて、他の担体は、蒸留水、滅菌水、または希釈水性アルコール溶液等を利用し、好ましくは、例えば、塩化ナトリウム等の塩の添加により、体液と等張にされるものであり得る。任意の添加剤は、特に、製剤が滅菌調製されていない場合は、防腐剤を含み、メチルヒドロキシ−ベンゾエート、酸化防止剤、香味剤、揮発油、緩衝剤、および界面活性剤を含み得る。
吸入による投与に好適な製剤は、吸入器により送達されるか、または鼻からの吸入により鼻腔に取り入れられ得る微粉砕散剤を含む。吸入器において、散剤を、一般にゼラチンまたはプラスチック製のカプセルまたはカートリッジに入れ、それらを原位置で突き刺すかまたは開けて、散剤が、吸入時にデバイスから引き出される空気によるか、または手動ポンプにより送達される。吸入器において採用される散剤は、活性成分だけからなるか、または活性成分、好適な粉末希釈剤、例えばラクトース、および任意の界面活性剤を含む粉末ブレンドからなる。活性成分は、一般に、製剤の0.1〜100w/wを含む。
上に具体的に言及された成分に加えて、本発明の製剤は、課題となる製剤の型を考慮して、当業者には既知の他の薬剤を含み得る。例えば、経口投与に好適な製剤は、香味料を含み得、経鼻投与に好適な製剤は、香料を含み得る。
本発明の治療組成物は、個々の治療剤として、あるいは、治療剤と組み合わせて、調合薬と共に使用可能なあらゆる従来の方法により投与され得る。
当然のことながら、投与される用量は、特定の薬剤の薬力学的特性、ならびに投与の様式および経路;レシピエントの年齢、健康状態、および体重;症状の性質および範囲;同時治療の種類;治療頻度;ならびに所望の効果のような既知の要因により異なり得る。活性成分の1日投与量は、体重の1キログラム(kg)あたり約0.001〜1000ミリグラム(mg)であり、好ましくは、0.1〜約30mg/kgの用量であることが期待され得る。ある態様によれば、活性成分の1日投与量は、0.001リットル〜10リットルであり、好ましくは約0.01リットル〜1リットルであり得る。
用量形態(投与に好適な組成物)は、単位あたり活性成分の約1mg〜約500mgを包含する。これらの医薬組成物では、活性成分は、通常、組成物の総重量に基づいて、約0.5〜95重量%の量で存在し得る。
軟膏、ペースト剤、フォーム剤、咬合剤(occlusion)、クリーム剤、およびゲル剤はまた、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、シリコン、ベントナイト、シリカ酸、およびタルク、またはこれらの混合物のような賦形剤も含有し得る。散剤およびスプレー剤はまた、ラクトース、タルク、シリカ酸、水酸化アルミニウム、およびケイ酸カルシウム、またはこれらの物質の混合物のような賦形剤も含有し得る。ナノ結晶抗菌性金属の溶液は、エアロゾル医薬品を製造するために日常的に使用される既知の手段のいずれかによりエアロゾルまたはスプレー剤に変換され得る。概して、このような方法は、通常、不活性担体ガスを用いて、溶液の容器を加圧すること、または加圧するための手段を提供すること、および小さい穴から加圧したガスを通過させることを含む。スプレー剤は、窒素、二酸化炭素、および他の不活性ガス等の常用の噴射剤を更に含有し得る。加えて、ミクロスフェアまたはナノ粒子は、対象に治療化合物を投与するために必要とされるいずれかの経路において、本発明のガス富化治療組成物または流体と共に採用され得る。
注射用製剤は、アンプルおよびバイアル等の単位用量または多用量を密閉した容器中に存在し得、使用直前に、滅菌液体賦形剤、またはガス富化流体の添加物のみに必要とされるフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保管され得る。即時注射液および懸濁液は、滅菌粉末、顆粒、および錠剤から調製され得る。注射可能な組成物のために効果的な医薬担体の必要条件は、当業者には公知である。例えば、Pharmaceutics and Pharmacy Practice,J.B.Lippincott Co.,Philadelphia,Pa.,Banker and Chalmers,Eds.,238−250(1982)およびASHP Handbook on Injectable Drugs,Toissel,4th ed.,622−630(1986)を参照のこと。
局所投与に好適な製剤としては、本発明のガス富化流体および任意に追加の治療および香味、通常、スクロースおよびアカシアまたはトラガカントを含むトローチ剤;ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシアのような不活性ベース中のガス富化流体および任意に追加の治療剤を含むパステル剤;好適な液体キャリア中のガス富化流体および任意に追加の治療剤を含むうがい薬または含嗽液;ならびにクリーム剤、エマルジョン、ゲル剤等が挙げられる。
さらに、直腸投与に好適な製剤としては、乳化ベースまたは水溶性ベースのような様々なベースと混合することにより座薬として示され得る。膣内投与に好適な製剤としては、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤、または活性成分に加えて、担体等を含有するスプレー剤として示され得る。
好適な医薬担体は、本分野における標準的な参照テキスト「Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)」に記載されている。
本発明の文脈において、対象、特に、動物、具体的には、ヒトへの投与される用量は、適当なタイムフレーム上で動物の治療反応に影響を及ぼすのに十分であるべきである。当業者は、投与量は、動物の状態、動物の体重、ならびに治療されるべき状態を含む、様々な要因により異なり得ることを理解されよう。好適な用量は、所望の反応に影響を及ぼすことが知られている、対象における、治療組成物の濃度をもたらし得るものである。
用量の大きさはまた、投与の経路、タイミングおよび頻度、ならびに治療組成物の投与および所望の生理的効果を伴い得る、いかなる副作用の存在、性質、および範囲によっても決定され得る。
組み合わせの化合物は、(1)共製剤における化合物の組み合わせにより同時に、または(2)別々の医薬製剤において、交代で、即ち、連続的に、順次に、並行で、または同時に、送達することにより、投与され得ることが認識されよう。交互の治療において、第2、および任意に第3の活性成分の投与の遅延が、活性成分の組み合わせの相乗的な治療効果の利益を損失するべきではない。(1)あるいは(2)のいずれかの投与方法によるある実施形態によれば、理想的には、組み合わせは、最も有効な結果を達成するように投与されるべきである。(1)あるいは(2)のいずれかの投与方法によるある実施形態では、理想的には、組み合わせは、活性成分のそれぞれのピーク血漿濃度を達成するように投与されるべきである。組み合わせ共製剤の投与による1日に1回1錠レジメン(one pill once−per−day regimen)は、炎症性神経変性疾患に罹患している何人かの患者に実行可能であり得る。ある実施形態によれば、組み合わせの活性成分の効果的なピーク血漿濃度は、約0.001〜100μMの範囲であり得る。最適なピーク血漿濃度は、特定の患者について処方される製剤および投与レジメンにより達成され得る。本発明の流体およびグラチラマー酢酸塩、インターフェロン−β、ミトキサントロン、および/もしくはナタリズマブ、またはこれらのいずれかの生理学的に機能的な誘導体は、同時に与えられるか、または順次与えられるかいずれにせよ、個々に、複数で、または任意のこれらの組み合わせで、投与され得ることもまた理解されよう。概して、交互の治療(2)の間、有効投与量の各化合物は連続的に投与され、共製剤治療(1)においては、有効投与量の2つ以上の化合物が、一緒に投与される。
本発明の組み合わせは、単位投薬形態において、医薬製剤として都合よく示され得る。都合の良い単位投与製剤は、それぞれ、1mg〜1gの任意の量(例えば、10mg〜300mgであるが、これに限定されない)で活性成分を含む。グラチラマー酢酸塩、インターフェロン−β、ミトキサントロン、および/もしくはナタリズマブと組み合わせた、本発明の流体の相乗効果は、広い比にわたって、例えば、1:50〜50:1(本発明の流体:グラチラマー酢酸塩、インターフェロン−β、ミトキサントロン、および/もしくはナタリズマブ)実現され得る。1つの実施形態では、該比は、1:10〜10:1の範囲であり得る。別の実施形態では、丸剤、錠剤、キャプレット、またはカプセル剤のような共製剤の組み合わせ投与形態における、グラチラマー酢酸塩、インターフェロン−β、ミトキサントロン、および/もしくはナタリズマブに対する本発明の流体の重量/重量比は、約1、即ち、ほぼ等量の本発明の流体ならびにグラチラマー酢酸塩、インターフェロン−β、ミトキサントロン、および/もしくはナタリズマブであり得る。他の例示的な共製剤では、より多いか、または少ない本発明の流体ならびにグラチラマー酢酸塩、インターフェロン−β、ミトキサントロン、および/もしくはナタリズマブが存在し得る。1つの実施形態では、各化合物は、単独で使用される場合に抗炎症活性を示す量で組み合わせて利用され得る。前記組み合わせの化合物の他の比および量は、本発明の範囲内で企図される。
単位投薬形態は、本発明の流体ならびにグラチラマー酢酸塩、インターフェロン−β、ミトキサントロン、および/もしくはナタリズマブ、またはこれらのいずれかの生理学的に機能的な誘導体、ならびに医薬的に許容し得るキャリアを更に含み得る。
処置で使用するのに必要とされる本発明の組み合わせ中の活性成分の量は、処置されている状態の性質、ならびに患者の年齢および状態を含む、様々な要因に従って変化し、最終的には、主治医または健康管理者の自由裁量であることが、当業者には、認識されよう。考慮されるべき要因としては、投与経路および製剤の性質、動物の体重、年齢および全身状態、ならびに処置されるべき疾患の性質および重篤度が挙げられる。
同時投与または順次投与のための単位投与形態にある任意の2つの活性成分と、第3の活性成分とを組み合わせることも可能である。3つの部分の組み合わせは、同時にまたは順次投与され得る。順次投与される場合、この組み合わせは、2つまたは3つの投与物で投与され得る。ある実施形態によれば、本発明の流体ならびにグラチラマー酢酸塩、インターフェロン−β、ミトキサントロン、および/もしくはナタリズマブの3つの部分の組み合わせは、任意の順序で投与され得る。
以下の実施例は、例示のためののみに意図され、決して限定することは意図されない。
実施例1
溶解酸素安定性
図30に示されるように、それぞれ栓をし、華氏65度で保管された、500mLの薄壁のプラスチックボトルと1,000mLのガラス瓶中の溶解酸素レベルが示されている。
図に示されるように、瓶詰めしてから約65日後、プラスチックボトルを開口する場合、水中の溶解酸素レベルは、約27.5ppmであった。瓶詰めしてから約95日後、第2のボトルを開口する場合、該溶解酸素レベルは、約25ppmである。同様に、ガラス瓶に関しては、該溶解酸素レベルは、65日で、約40ppmで、95日で、約41ppmであった。したがって、このチャートは、プラスチックボトルおよびガラス瓶内での双方の溶解酸素レベルは、記載されたシステムおよび方法を用いて、酸素を流体内で拡散する場合、華氏65度で、相対的に高率で維持されることを示す。
実施例2
平衡塩類溶液中の減衰した酸素含有量
図33は、最初に、5ppmの溶解酸素レベルを有した500mLの平衡塩類溶液の溶解酸素保持率を示す。本発明の拡散器を用いて、標準温度と標準気圧で溶液の富化をした後、溶解酸素レベルは、約41ppmであった。該溶液は、別のガラス瓶中に保管した。1時間後、溶解酸素レベルは、40ppm、2時間後、36ppm、3時間後、34ppm、約4時間半後、30ppmをわずかに超えた。6時間少し前に、最終測定を行い、この時点で、溶解酸素レベルは、約28ppmであった。
実施例3
超微粒気泡サイズ
実験は、ガス超微粒気泡サイズの限界を決定するために、本発明の拡散器を用いることにより、ガス富化流体を使用して行われた。超微粒気泡サイズの限界は、ガス富化流体を0.22〜0.1ミクロンのフィルタに通過させることにより確定された。これらの試験を行う際、多量の流体が、本発明の拡散器を通過し、ガス富化流体を生成した。60ミリリットルの本流体は、60mLの注射器に流出した。その後、注射器内の流体の溶解酸素レベルは、ウインクラー滴定法により測定された。注射器内の流体は、0.22ミクロンのMillipore Millex GP50フィルタを通して、50mLのビーカーに注入された。その後、50mLのビーカー中の物質の酸素の溶解速度を測定した。実験を3回行って、下の表6に示される結果を達成した。
表に見られるように、注射器内で測定された溶解酸素レベルおよび50mLのビーカー内で測定された溶解酸素レベルは、拡散された物質を0.22ミクロンフィルタに通過させることにより有意に変化せず、これは、流体内の溶解ガスの超微粒気泡は、0.22ミクロン以上ではなかったことを意味する。
食塩溶液のバッチが、本発明の拡散器で富化され、出力溶液のサンプルが、濾過されていない状態で収集された、2回目の試験を行った。濾過されていないサンプルの溶解酸素レベルは、44.7ppmであった。0.1ミクロンフィルタを使用して、本発明の拡散器からの酸素富化溶液を濾過し、2つの追加のサンプルを得た。第1のサンプルに関しては、溶解酸素レベルは、43.4ppmであった。第2のサンプルに関しては、溶解酸素レベルは、41.4ppmであった。最後に、フィルタを除去し、濾過されていない溶液から最終サンプルを得た。この際、最終サンプルは、45.4ppmの溶解酸素レベルがあった。これらの結果は、Milliporeの0.22ミクロンフィルタを使用したものと一致した。したがって、気泡、または食塩溶液内の超微粒気泡の大部分は、約0.1ミクロン未満の大きさであった。
実施例4
スパージング効果
図34および35は、それを通過する流体における本発明の拡散器のスパージング効果を示す。酸素富化水のスパージングは、標準温度と標準気圧で、8ガロンのタンク中で発生した。示されるように、最初に、酸素富化水は、約42ppmの溶解酸素レベルであった。拡散器を通過させてから2分後、溶解酸素レベルが、その後、20ppmをわずかに超えるように、窒素は、酸素富化水をスパージングした。6分間で、溶解酸素レベルは、約6ppmであった。酸素富化水の溶解酸素レベルは、過程の開始から約14分後、最小値のゼロ(0)をわずかに超えた。これらの図は、酸素を水からスパージングするように、窒素が、水に拡散され得る方法を示す。しかしながら、いずれのガスをいかなる流体内に使用しても、あるガスを他のガスからスパージングし、かつ流体に他のガスを拡散することが可能であった。同一の実験は、いかなる流体ホスト物質、およびいかなる流体注入物質に利用し得た。
実施例5
レイリー効果
本明細書に記載される拡散器を通して処理された流体は、通常の未処理水と比較した際、水の構造内での差異を示す。本明細書に開示される実施形態により作られたガス富化水は、未処理水と比較して、更にレイリー散乱を有することが示されている。
実行された実験では、ガス富化および不富化水のサンプルが調製され、光学的分析のために送られた。これらの試験の目的は、通常の(未処理の)脱イオン水と本発明の拡散デバイスにより富化された水との間で、何らかの全体の光学的差異があるかどうかを決定することである。
2つのサンプルは、秘密に特定を維持するためにコード化され、試験が完了した後のみ、サンプルを特定した。2つのサンプルは、図37Aに示される、略図に従って、633ナノメートルのレーザー光線に置いた。本明細書に開示のある実施形態に従って、ガス富化流体であるサンプルBは、レーザー光線と相対的なその位置にかかわらず散乱光を示した。サンプルBの流体は、約1週間、ガラス瓶中に密閉されていた。瓶を開口してから2〜3時間後、散乱効果は、消失した。したがって、ガス富化流体の構造は、未処理流体の構造とは光学的に異なる。光学的効果は、実験の開始時、溶解酸素レベルは、約45ppmであり、実験の終了時は、約32ppmであると推定されたため、溶解酸素レベルには、直接に関連しない。結果を図37Bに示す。
実施例6
溶媒和電子の生成
また、追加の証拠は、本発明の拡散デバイスにより生成された富化過程が、ガス富化流体内で溶媒和電子をもたらすことを示している。ポーラログラフの溶解酸素プローブの結果により、拡散した流体は、電子捕獲効果を示すと考えられ、したがって、該流体は、ガス富化物質内に溶媒和電子を含んだ。
溶解酸素レベルを電気的に測定するための2つの基礎的技術:ガルバニック測定法およびポーラログラフ測定がある。各プロセスは、試験された溶液内の溶解酸素レベルを、電流を発生させるためにプローブのカソードと反応させる電極系を使用する。溶解酸素レベルセンサーは、2つの電極であるアノードおよびカソードから構成され、これらは共に、センサー本体内で電解質中に浸漬する。酸素透過性膜は、試験される溶液からアノードおよびカソードを分離する。酸素は、膜を横断して拡散し、電流を発生するためにプローブの内部成分と相互作用する。カソードは、水素電極であり、アノードに対して負電位を担持する。電解質溶液は、電極対に取り囲まれ、膜により含有される。酸素が存在しない場合、カソードは、水素により偏極され、電流の流れに抵抗する。酸素が膜を通過する場合、カソードは消極され、電子は消費される。カソードは、以下の等式に従って、水酸基イオンに酸素を電気化学的に還元される。
O2+2H2O=4E−=4OH−
本発明のシステムに従って、ガス富化溶液の溶解酸素レベル測定を行う場合、オーバーフロー条件は、繰り返し認められ、溶解酸素メーターは、読み出し可能であるメーターよりも高い示度値を示す。しかしながら、ウインクラー滴定法によるガス富化溶液の評価は、プローブにより示されたものよりも溶液に対する溶解酸素(DO)レベルが低いことを示す。典型的には、DOプローブ(これらの実験に使用されるオリオン862等)は、60ppmの最大示度値がある。しかしながら、該メーターが、本発明のガス富化水に残留する場合、それは、溢出する。
行為のいかなる特定の機構に拘束されるわけではないが、メーターの機構は、酸素が反応する電子に反応する。しかしながら、電子スピン共鳴に従って、自由イオンは、流体中には存在しない。したがって、流体は、流体中にも存在する酸素種により安定化された溶媒和電子を含有すると推定される。
実施例7
体外の創傷治癒
ガス富化流体の効果(酸素で富化された)は、培養されたヒト表皮角化細胞が創傷をふさぐ能力に対して試験された。
ヒト表皮角化細胞は、通常の陰核切除から得、脱特定された、新生児包皮から単離された。包皮は、PBS中で2回洗浄され、表皮から真皮を分離させるために、2.4U/mLのDispase II中でインキュベートした。該表皮は、0.25%トリプシン/1mM EDTAでインキュベートし、大豆トリプシンインヒビターで中和し、撹拌し、70umの篩を通過させ、細胞を分離した。次に、細胞懸濁液を遠心分離し、0.07mM CaCl2、ヒトケラチン生成細胞増殖補助剤(0.2%ヒドロコルチゾン、0.2ng/mLヒト上皮細胞増殖因子)、およびペニシリン/ストレプトマイシン、アンフォテラシン(amphoteracin)抗生物質カクテルが補充された細胞培地(M154)中に再懸濁した。ケラチン生成細胞懸濁液は、コーティングしていない12ウェル培養皿上に平板培養し、初期播種してから24時間後、および48時間ごとに、培地を取り換えた。
細胞合流に到達してから、無菌のp1000ピペットチップを用いて線状の引っかき傷を形成し、均一の無細胞創傷を生じた。単層は、あらゆる細胞残屑を除去するために、ダルベッコPBSで洗浄した。次いで、創傷単層を以下の培地でインキュベートした。i)完全増殖培地(本実施例に上記される)、ii)酸素のないせん断されたバージョンの食塩水を用いて1:1で希釈された完全増殖培地(開示される拡散デバイスを用いて処理される対照流体であるが、ガスを添加しない)、およびiii)酸素富化食塩水を用いて1:1で希釈された完全増殖培地。各研究は、3重に行われた。
インキュベーション前、ウェルは、それぞれの培地で充填され、各ウェルの上部に25×25mmのガラス製のカバースリップを置くことにより密閉された。創傷してから6、12、24、および48時間後、酸素測定を行い、培養物を推測した。
創傷してから6時間後、食塩水およびガス富化培地中の創傷の端部は、本明細書に開示される拡散デバイスを用いて処理されるが、ガスを添加しない対照培地中のものよりも更にひだ状であった。創傷してから12時間後、全て3つの培地中の創傷の端部は、創傷の中心部に向かって移動する縁に沿ってケラチン生成細胞を有する、凸凹が現れた。ケラチン生成細胞を移動する定量化は、食塩水およびガス富化培地中のケラチン生成細胞移動とほぼ同レベルを示した。実験の結果を図40Aおよび44Bに示す。
実施例8
改善された創傷治癒
試験は、本明細書に開示される実施形態に従って処理された酸素富化食塩溶液に暴露された創傷の改善された治癒特性を決定するために行われた。この実験において、ブタの皮膚切除生検創傷上に包帯をした。包帯は、酸素富化食塩溶液に浸潤した、または、対照群の包帯は、酸素富化されていない食塩水に浸潤した。顕微鏡により、以下の1)表皮化、2)新血管形成、3)表皮分化、4)マスト細胞移動、および5)有糸分裂を含む、幾つかの要因を、研究により評価した。
外面的に、創傷は、異なる速度で、治癒するように思われた。酸素富化食塩溶液で処置した創傷は、4日目〜11日目で、創傷治癒の増加を示した。しかしながら、創傷は共に、ほぼ同時に治癒を完了すると考えられた。試験は、3日目〜11日目で、酸素富化食塩溶液で処置した創傷の新表皮は、生理食塩水で処置した創傷の表皮の2倍〜4倍の速度で移動したことを示した。試験はまた、15日〜22日で、酸素富化食塩溶液で処置した創傷は、更に成熟した表皮層の早期形成により証明されるように、更に高速で分化したことも示した。全ての段階で、通常の治癒と関連する表皮に生じる肥厚は、酸素富化食塩溶液により処置した創傷内で生じなかった。
いずれかの特定の理論機構に拘束されるわけではないが、酸素富化食塩溶液は、創傷内の一酸化窒素の局在レベルを増加し得ることが考えられる。一酸化窒素は、創傷治癒において、成長因子、コラーゲン沈着、炎症、マスト細胞移動、表皮肥厚、および新血管形成を調節する。更に、一酸化窒素は、酸素により調節される誘導酵素により産生される。
したがって、いずれかの特定の理論機構に拘束されるわけではないが、本発明のガス富化流体は、一酸化窒素産生を刺激し得、これは、創傷治癒効果のスペクトルに従って、これらの実験に見られる。
治癒するブタの表皮は、15日目〜22日目で、酸素富化食塩水群において、早期分化を経験した。マスト細胞移動の場合は、酸素富化溶液に対する初期および後期移動においても差異が生じた。有糸分裂のレベルに対する最終的な結果は、染色の困難により確認できなかった。
ここで、図41A〜41Fを参照すると、様々な図解は、酸素富化食塩溶液を用いた、また用いなかった、ブタの表皮組織の創傷治癒結果を比較する。したがって、酸素富化食塩溶液を用いる対照創傷および創傷の治癒を、1日目、4日目、および16日目で追跡した。図41Aは、1日目における、対照創傷の創傷治癒を示す。図に示すように、創傷は、表皮/皮膚の肥厚および輪郭の喪失を示す。図41Bは、酸素富化食塩溶液を用いて処置した創傷に対する1日目における創傷治癒を示す。創傷は、正常な表皮/皮膚の肥厚を示し、正常な輪郭(contouring)は、新規の創傷において典型的である。
ここで、図41Cおよび41Dを参照すると、4日目における、制御創傷に対する創傷治癒、および4日目における、酸素富化食塩溶液で処置した創傷に対する創傷治癒を例示する。図41Cに例示される対照創傷に関しては、創傷は、600ミクロンの表皮突起を示す。図41D中の酸素富化食塩溶液で処置された創傷では、1200ミクロンの表皮突起が示されている。したがって、実験の開始から4日間では、酸素富化食塩溶液を用いて処置された創傷に形成された表皮突起は、酸素富化食塩溶液で処置されなかった創傷のものの2倍の表皮増殖速度を示す。
ここで、図41Eを参照すると、16日目での制御創傷が示されている。創傷は、図41Fに示される、酸素富化食塩溶液で処置した創傷により示されたものよりも表皮/皮膚の輪郭の喪失を有する分化した表皮が少ないことを示す。図41Fは、創傷において、更に分化した表皮および更に正常の表皮/皮膚の輪郭を示す。
したがって、図41A〜41Fについて示されるように、酸素富化食塩溶液で処置した創傷は、処置しなかった創傷よりもはるかに高い治癒特性を示し、更に正常の表皮/皮膚の輪郭を有する、更に分化した表皮を示す。
実施例9
グルタチオンペルオキシダーゼ試験
本発明の酸素富化流体は、過酸化水素の存在下で、標準アッセイ(Sigma)を用いて、グルタチオンペルオキシダーゼとの反応性を試験することにより試験された。水サンプルは、酵素カクテルを添加し、逆さにすることにより試験された。連続分光測光速度決定は、A340nmで、室温(摂氏25度)でなされた。試験されたサンプルは、1)脱イオン水(負の制御)、2)低濃度の本発明の酸素富化流体、3)高濃度の本発明の酸素富化流体、および4)過酸化水素(正の制御)であった。過酸化水素の正の制御は、強力な反応性を示したが、試験した他の流体は、グルタチオンペルオキシダーゼとの反応を示さなかった。
実施例10
(界面動電的に生成された超酸素化流体およびSolasは、ヒト気管支収縮(ヒト喘息モデル)の当該技術分野において認識されている動物モデルにおいて、生体内でアルブテロールを用いて、相乗延長効果(例えば、気管支収縮の抑制)を提供することが示された)
実験1:
初期実験において、メタコリン誘発された気管収縮と共に気道機能における気管支拡張剤の効果について、16頭のモルモットを評価した。最適用量の決定後、各動物は、1動物あたり250μLにおいて、標的用量の12.5μgの硫酸アルブテロールを送達するように、投薬された。
試験は、体重およびベースラインPenH値に対して無作為化ブロック設計であった。2つの群(AおよびB)には、1つまたは2つの希釈剤中の50μg/mL硫酸アルブテロールの250μLの気道内注入を与えた:A群は、酸素を添加せずに、本発明のデバイスを通過させた脱イオン水であり、一方、B群は、本発明のガス富化水であった。各群は、Penn Century Microsprayerを用いて、溶液と共に気管内に投薬された。加えて、動物は、プレチスモグラフおよび記録ユニットを供給するネブライザー内で均一に示されるように、BUXCOプレチスモグラフユニットにわたって階層化された。
アルブテロールを投与してから2時間後、それらのベースラインPenH値の少なくとも75%を示した動物は、データ分析には含まれなかった。この除外基準は、気管支拡張剤を用いた気管支保護を観察するための欠陥が、投与エラーと関連し得る過去の試験に基づく。結果として、対照群から1頭の動物が、データ分析から除外された。
動物は、50%以上の気管支収縮があると、該動物は、保護されていないと見なされた。下の表7に記述されているように、B群の動物のうちの50%(影付き)は、10時間まで(試験が終了する時点)、気管支収縮から保護された。
実験2:オスのハートレー系モルモットにおける、硫酸アルブテロールを用いたRDC1676の気管支収縮評価。
オスのモルモットにおける、硫酸アルブテロールの単独投与、または希釈剤として投与する際、メタコリン誘発された気管支収縮に対する本発明の界面動電的に生成された流体(例えば、RDC1676−00、RDC1676−01、RDC1676−02、およびRDC1676−03)の保護効果を評価するために、より多数の動物を用いて、追加の一連の実験を行った。
材料:
モルモット(Cavia porcellus)は、Charles River Canada Inc.(St.Constant,Quebec,Canada)からのハートレー系アルビノ、Crl:(HA)BRであった。体重:処置の開始時で、約325±50g。群数は、1群あたり7頭のオス動物を有する、32頭であった(加えて、24頭の予備が、動物の同一バッチを形成する)。食事:全ての動物は、指定された処置時を除いては、標準の認定されたペレット式の市販の実験食(PMI Certified Guinea Pig 5026;PMI Nutrition International Inc.)を自由に摂食させた。
方法:
投与経路は、Penn Century Microsprayerを介した気道内注入および全身吸入を介したメタコリン刺激であった。気管内経路は、試験物質/対照溶液への肺暴露を最大限にするように選択された。全身吸入刺激は、上気道過敏性反応(即ち、気管支収縮)を引き起こすために、メタコリン刺激に対して選択されている。
処置の継続は、1日であった。
表8は、実験設計を示す。全ての動物は、TA/対照投与してから2時間後、メタコリン(500μg/mL)の吸入暴露を行った。全ての動物は、250μLの用量容量を受容した。したがって、硫酸アルブテロールは、(対照物質および4つの試験物質において)0、25、50、および100μg/mLの濃度まで希釈された。
投薬する30分前、4つの異なる濃度(0、25、50、および100μg/mL)の硫酸アルブテロール溶液は、これらの4つの試験物質溶液(RDC1676−00、RDC1676−01、RDC1676−02、およびRDC1676−03)のそれぞれにおいて、l Oxストック(500μg/mL)中で作製された。これらの濃度の硫酸アルブテロールはまた、非界面動電的に生成された対照流体(対照1)中でも作製された。投与溶液は、適切な希釈の各ストック溶液を作製することにより調製された。全てのストックおよび投与溶液は、調製されるとすぐに、氷上で維持した。試験/対象物質を作製してから1時間以内に、投与を完了した。メタコリン(500μg/mL)の溶液は、投与日に調製した。
各動物に、Penn Century microsprayerを用いて、試験または対照物質の気道内注入を行った。動物は、一晩絶食させ、イソフルレンを用いて麻酔をかけ、喉頭を、喉頭鏡(または好適な代替物)下で可視化し、マイクロ噴霧器(microsprayer)の先端を気管に挿入した。試験物質または対照物質の用量容量の250μL/動物を投与した。
メタコリンエアロゾルは、Buxcoバイアス流動ポンプからの空気が供給されたエアロネブ超音波ネブライザーを用いて、混合チャンバの空気吸入口に生成された。同様に、この混合チャンバは、4つの個々の全身無拘束プレチスモグラフを供給し、わずかに負圧下で動作されたそれぞれは、排気ラインに位置する仕切り弁によって維持した。真空ポンプを使用して、必要とされる流速で、吸入チャンバを排出した。
試験の主相を開始する前に、12頭の予備動物を、3つの群(n=4/群)に割り付けて、動物が、重症であるが、非致命的急性気管支収縮を誘発するようにメタコリンに暴露され得る、最大暴露期間を決定した。4頭の動物は、30秒間、メタコリン(500μg/mL)に暴され、エアロゾルを開始してから10分後まで、呼吸パラメータを測定した。メタコリンネブライザー濃度および/またはエアロゾル化の暴露時間は、Penhの一過性増加を特徴とするように、重症であるが、非致命的急性/可逆性気管支収縮を誘発するように適切に調整された。
試験物質投与前(1日目)、また、投薬してから2、6、10、14、18、22、および26時間後の時点で、動物をチャンバ内に入れ、メタコリンへのエアロゾル刺激の開始後、換気パラメータ(1回換気量、呼吸速度、誘導分時排出量)およびenhanced pause Penhを、Buxco Electronics BioSystem XAシステムを用いて、10分間測定した。動物がチャンバ内にいる時点で、ベースラインの値は、1分間記録され、次いで、メタコリンネブライザー濃度の500ug/mLを、30秒間、エアロゾル化し、動物は、換気パラメータを連続的に評価した際、更に10分間、エアロゾルに暴された。Penhは、気管支収縮の指標として使用され、Penhは、ピーク吸気流、ピーク呼気流、および呼気時間から得られた誘導値である。Penh=(ピーク呼気流/ピーク吸気流)*(呼気時間/呼気容量の65%を呼気するため時間−1)
メタコリン刺激の事前投与時、重症の急性気管支収縮を示さなかった動物は、差し替えられた。投与してから2時間後、それらのベースラインPenhPenes値の少なくとも75%を示す、どの動物も、データ分析には含まれなかった。呼吸パラメータは、20秒法として記録された。
非生理的であると見なされたデータは、更に分析から除外された。
Penhの変化は、15分間にわたりプロットされ、Penh値は、濃度曲線下面積として表された。数値データは、群平均値および標準偏差(適用され得る場合)の算出がなされた。
結果:
図107A〜Dに示されるように、アルブテロールの不在下で、本発明の界面動電的に生成された流体の投与は、26時間まで測定した際、ベースライン平均のpenh値における明らかな効果がなかった。
しかしながら、驚いたことには、図108A〜Dに示されるように、本発明の界面動電的に生成された流体中で製剤化されたアルブテロールの投与(25μgのアルブテロール/動物群に対して代表的なデータを示す)(試験した全ての酸素レベルで;周囲(図108A)、20ppm(図108B)、40ppm(図108C)、および60ppm(図108D))は、対照流体と比較して、アルブテロールの抗気管支収縮作用の顕著な延長を生じた。つまり、メタコリンの結果は、少なくとも26時間で、アルブテロールの気管支拡張の延長を示した。図108A〜Dは、RDC1676と生理食塩水対照との間の全ての酸素レベルで一貫した差異があったことを示す。全て4つのRDC1676流体を合成すると、全処置と生理食塩水との差異であるp値は、0.03であった。
したがって、本発明の特定の態様によれば、本発明の界面動電的に生成された溶液は、アルブテロールとの相乗的延長作用を提供し、故に、患者のアルブテロール使用量の軽減を提供し、更に効率的な費用効率が高い薬物使用を可能にし、かつアルブテロールによる治療に応答して、患者を治療し得る期間を増大させる。
実施例11
サイトカインプロファイル
混合リンパ球を、1人の健常なヒトボランティアドナーから得た。淡黄色のコーティングサンプルを標準手順に従って洗浄し、血小板を除去した。リンパ球は、本発明のガス富化流体あるいは蒸留水(対照)のいずれかで希釈した、RPMI培地(+50mm HEPES)中で1プレートあたり2×106の濃度で、平板培養した。細胞は、1マイクログラム/mLのT3抗原、もしくはは1マイクログラム/mLのフィトヘムアグルチニン(PHA)レクチン(pan−T細胞活性剤)で刺激したか、または刺激しなかった(陰性対照)。24時間のインキュベーション後、細胞は、生存能力を確認し、浮遊物を抽出し、冷凍した。
浮遊物を解凍し、遠心分離を行い、XMAP(登録商標)(Luminex)ビーズLITEプロトコルおよびプラットフォームを用いて、サイトカイン発現を試験した。とりわけ、IFN−γレベルは、T3抗原を有する対照培養培地においてよりも、T3抗原を有する本発明のガス富化培養培地において高く、一方、IL−8は、T3抗原を有する対照培養培地においてよりも、T3抗原を有する本発明のガス富化培養培地において低かった。また、IL−6、IL−8、およびTNF−αレベルは、PHAを有する対照培地においてよりも、PHAを有する本発明のガス富化培地において低く、一方、IL−1βレベルは、PHAを有する対照培地と比較した際、PHAを有する本発明のガス富化流体培地において低かった。本発明のガス培地単独では、IFN−γレベルは、対照培地においてよりも高かった。
200万の細胞を、本発明の酸素富化流体(水)(ウェル1、3、および5)、あるいは蒸留水(2、4、および6)(1×を作製するために水に希釈された10×RPMI)を用いて、全RPMI+50mm Hepes中で24ウェルプレートの6ウェルに平板培養した。細胞は、1ug/mLのT3抗原(ウェル1および2)またはPHA(ウェル3および4)で刺激された。対照ウェル5および6は、刺激しなかった。24時間後、細胞は、生存能力を確認し、浮遊物を抽出し、冷凍した。次に、浮遊物を解凍し、沈殿させるために、8,000gで回転させた。浄化した浮遊物を、LUMINEX BEAD LITE(商標)プロトコルおよびプラットフォームを用いて、列挙したサイトカインに対してアッセイした。数値データは、表9に示され、対応する棒グラフを図38に示す。
実施例12
ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)
図48に記述されているように、MOG抗原ペプチドに反応してリンパ球増殖は、加圧された含酸素流体(加圧ポット)または対照脱イオン流体と比較する場合、本発明のガス富化流体の存在下で培養される際、増加した。したがって、本発明のガス富化流体は、細胞が事前に抗原刺激を受けた抗原に対してリンパ球応答を増幅する。
既知のマウス配列に対応する、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質ペプチド35−55(MOG35−55)(M−E−V−G−W−Y−R−S−P−F−S−R−O−V−H−L−Y−R−N−G−K)(配列番号1;本配列番号1のためのものを含む、公開第US20080139674号を参照のこと、本明細書に参照することにより組み込まれる)を、合成した。次に、5×105脾臓細胞を、MOGの免疫を事前に持つ、MOG T細胞受容体トランスジェニックマウスから除去し、本発明のガス富化流体、加圧された含酸素水(加圧ポット水)または対照脱イオン水で再構成した0.2mLのTCM流体中で培養した。膵細胞を、それぞれ、48または72時間、MOG p35−55で培養した。培養物を、1Ci[3H]−チミジンでパルス化し、16時間後収穫した。三重培養の[3H]チミジン組み込みの平均値cpmを算出した。結果を図48に示す。
実施例13
サイトカイン発現
特定の態様では、ヒト混合リンパ球は、界面動電的に生成された、酸素富化された流体、または対照流体中のT3抗原またはPHAで刺激し、IL−1β、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−10、IL−12(p40)、IL−12(p70)、IL−13、IL−17、エオタキシン、IFN−γ、GM−CSF、MIP−1β、MCP−1、G−CSF、FGFb、VEGF、TNF−α、RANTES、レプチン、TNF−β、TFG−β、およびNGFの変化を評価した。図38に示すように、試験した、炎症性サイトカイン(IL−1β、TNF−α、IL−6、およびGM−CSF)、ケモカイン(IL−8、MIP−1α、RANTES、およびエオタキシン)、炎症性酵素(iNOS、COX−2、およびMMP−9)、アレルゲン応答(MHCクラスII、CD23、B7−1、およびB7−2)、およびTh2サイトカイン(IL−4、IL−13、およびIL−5)は、試験流体対対照流体において、減少した。対照的に、試験した抗炎症サイトカイン(例えば、IL1R−α、TIMP)は、試験流体対対照流体において、増加した。
これらのデータを拡大するために、出願者は、アレルギー性超過敏反応を評価するために、オボアルブミン感作を含む、当該技術分野において認識されているモデル系を使用した。研究されたエンドポイントは、反応の特定の細胞学的かつ細胞成分、ならびにタンパク質およびLDHの血清学測定であった。エオタキシン、IL−1A、IL−1B、KC、MCP−1、MCP−3、MIP−1A、RANTES、TNF−A、およびVCAMの分析を含む、サイトカイン分析を行った。
簡潔に述べると、オスのBrown Norwayラットは、1日目、2日目、および3日目のそれぞれで1回、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)(200mg/mL)を含有する溶液(2.0mg/mL)中で0.5mLのオボアルブミン(OVA)グレードV(A5503−1G、Sigma)を腹腔内注射した。研究は、2×2要因配置無作為化(4群)の処置であった。免疫反応を生じさせるまでの2週間の待機期間後、ラットは、RDC1676−00(前記混合デバイスによって処理した滅菌食塩水)、およびRDC1676−01(更に酸素を添加した前記混合デバイスによって処理した滅菌食塩水)のいずれかを用いて、1週間曝露または治療のいずれかを受けた。1日1回の1週間の処置の終了時に、2つの群は、半分に分けられ、各群において、ラットの50%は、吸入により食塩水あるいはOVA刺激のいずれかを受容した。
特に、初期シリアル化してから14日後、12頭のラットを、連続7日間、毎日30分間、吸入によりRDC1676−00に暴した。システムを通して気流速度を、10リットル/分で設定した。計12頭のラットを、噴霧物質をエアロネブの12のサブチャンバに入れ、均一に分布させる単一ポートを有する、パイチャンバ中に整列させた。
初期シリアル化してから15日後、12頭のラットを、連続7日間、毎日30分間、吸入によりRDC1676−01に暴した。気流はまた、10リットル/分で設定され、同一のネブライザーおよびチャンバを使用した。第1に、RDC1676−00を噴霧し、RDC1676−01を噴霧する前に、エアロネブチャンバを完全に乾燥させた。
最終の噴霧処置をしてから約2時間後、RDC1676−00群からの6頭のラットを、Penn Century Microsprayer(モデル1A−1B)を用いて、気管内注入により送達されるOVA(食塩水中1%)で、再刺激した。RDC1676−00群からの他の6頭のラットを、気管内注入経由により送達される対照群として食塩水で刺激した。翌日、手順をRDC1676−01群で繰り返した。
再刺激してから24時間後、各群において全てのラットは、ペントバルビタールナトリウムを過剰摂取させることにより安楽死させた。全血サンプルは、下大静脈から採血し、2つの別個の採血管のQiagen PAXgene(商標) Blood RNA TubeおよびQiagen PAXgene(商標) Blood DNA Tubeに入れた。このモデルにおいて、肺の炎症と関連することで既知のサイトカイン発現のマーカーの変化を評価するために、肺の臓器を処置して、RT−PCRのための気管支肺胞洗浄(BAL)流体および肺組織を得た。肺の右側上の4つの肺葉の整合性を保つために、片側洗浄技術を採用した。左「大」葉を洗浄し、一方、4つの右葉は、縛られ、TRI−zol(商標)を直ちに入れられ、均質化され、更なる処置のために実験室に送られた。
BAL分析 肺洗浄物を、収集し、細胞を沈殿させるために、4℃で、600〜800gで、10分間遠心分離を行った。浮遊物を、新しい管に移し、−80℃で冷凍させた。気管支洗浄液(BAL)を、2つのアリコートに分取した。第1のアリコートを沈降させ、浮遊物を破砕したドライアイス上で急冷凍し、−80℃中に入れ、更なる処置のために実験室に出荷した。タンパク質およびLDHの示す量は、それぞれ、血清タンパク質のレベル(タンパク質は、本実験等の場合、刺激される際、膜を漏出する血清成分である)および細胞死を示す。独自の試験側は、対照物よりもわずかに少ないタンパク質を示した。
気管支洗浄液(BAL)の第2のアリコートは、総タンパク質およびLDH含有量について評価し、細胞学的検査に供された。処置群は、総細胞が、食塩水対照群よりも多いことを示した。更に、対照群に対して処置群において、好酸球の増加があった。対照群に対して処置群においてもわずかに異なる多形核球細胞もあった。
血液分析 1つの管に1.2〜2.0mLの血液を移すことにより、全血を分析し、少なくとも30分間、血液を凝固させた。残りの血液サンプル(約3.5〜5.0mL)は、TRI−zol(商標)またはPAXgene(商標)を用いて、RNA抽出のために保存した。次に、凝固させた血液サンプルを、室温で、1200gで、10分間、遠心分離を行った。血清(浮遊物)を除去し、2つの新しい管に入れ、血清を−80℃で保存した。
TRI−Reagent(TB−126、Molecular Research Center,Inc.)を利用するRNA抽出に関しては、0.2mLの全血または血漿あたり20μLの5N酢酸が補完される、0.75mLのTRI Reagent BDに、0.2mLの全血または血漿を、添加した。管を振盪し、−80℃で保存した。PAXgene(商標)を利用して、管を、約2時間、室温でインキュベートした。次いで、管をそれらの側に置き、−20℃の冷凍庫で24時間保存し、次いで、長期保存のため、−80℃へ移動させた。
Luminex分析 Luminexプラットフォームにより、マイクロビーズ分析は、抗体関連の結合反応に対する基質として利用され、これは、光度単位において、読み出され、定量化標準と比較することができる。各血液サンプルは、2つのサンプルを同時に検査した。測定単位は、光度単位であり、群は、OVA刺激された対照群、OVA刺激された処置群、および食塩水刺激された独自の流体による処置群に分けられた。
アジレント遺伝子アレイデータ生成のために、肺組織を単離し、TRI試薬(TR118、Molecular Research Center,Inc.)中に浸水した。簡潔に述べると、約1mLのTRI試薬を、各管中の50〜100mgの組織に添加した。サンプルは、ガラス製Teflon(商標)またはPolytron(商標)ホモジナイザーを用いて、TRI試薬中で均質化された。サンプルは、−80℃で保存した。
血液サンプル:
図49〜58は、全血サンプルの評価結果を示す。
例示的な図49は、血液サンプルデータに対する基本的な光度データの表示書式を示す。測定したサイトカインの識別を指定する文字(この場合は、KC)は、各データ図の右上にある。データは、個々のサンプルのデータ点(上部グラフ)および棒グラフ(下部グラフ)として共に示される。いずれの場合にも、グラフは、4つの群におて、左から右に分割される。初めの2つの群(それぞれ、RDC1676−00 OVAおよびRDC1676−01 OVA)は、吸入によりOVAで再刺激されたものであり、一方、最後の2つの群(それぞれ、RDC1676−00 OVAおよびRDC1676−01 OVA)は、食塩水対照のみで再刺激されたものであった。また、末尾00は、食塩水処置を示し、末尾01は、本発明の界面動電的に生成された流体処置群を示す。
各血液サンプルは、2つのサンプルに分けられ、該サンプルは、同時に検査された。測定の単位は、光度の単位であり、群は、左から右に向かって、OVA刺激された対照、OVA刺激された界面動電的に生成された流体処置、次いで、食塩水刺激された処置、および食塩水刺激された界面動電的に生成された流体処置である。概説を容易にするために、RDC1676−01群は共に、グレーで強調表示された影付き背景であり、一方、食塩水対照処置群は、影なし背景である。
概して、2つの左の群と比較すると、RDC1676−01群データの広がりは、若干大きい、一方、全体として、特に、RDC1676−01群のサイトカインレベルは、対照処置群のサンプルよりも小さく、一般に、2群間での約30%の数値の差異がある。概して、最右の2つの群を比較すると、RDC1676−01群は、RDC1676−00群と比較して、わずかに高い数値を有する。
図50は、特定の例示的な態様に従って、血液サンプルデータ中のRANTES(IL−8スーパーファミリー)の分析を示す。最左の2つの群(OVA刺激群)に対する光度単位は、上のグラフ部分のドットプロットで示されるように、RDC1676−01処置群の値が、一般に、RDC1676−00対照群よりも低いことを示し、また、2つの群間で30〜35%の差異を示し、一方、食塩水のみで暴露された群において、サイトカインレベル値は、ほぼ同一であるか、またはRDC1676−01処置群において、恐らく若干増加したことを示す。
図51は、特定の例示的な態様に従って、血液サンプルデータ中のMCP−1の分析を示す。最左の2つの群(OVA刺激群)に対する光度単位は、上のグラフ部分のドットプロットで示されるように、RDC1676−01処置群の値が、一般に、RDC1676−00対照群よりも低いことを示し、一方、食塩水のみで暴露された群において、サイトカインレベル値は、ほぼ同一であるか、またはRDC1676−01処置群において、恐らく若干増加したことを示す。
図52は、特定の例示的な態様に従って、血液サンプルデータ中のTNFαの分析を示す。最左の2つの群(OVA刺激群)に対する光度単位は、上のグラフ部分のドットプロットで示されるように、RDC1676−01処置群の値が、一般に、RDC1676−00対照群よりも低いことを示し、一方、食塩水のみで暴露された群において、サイトカインレベル値は、ほぼ同一であるか、またはRDC1676−01処置群において、恐らく若干増加したことを示す。
図53は、特定の例示的な態様に従って、血液サンプルデータ中のMIP−1αの分析を示す。最左の2つの群(OVA刺激群)に対する光度単位は、上のグラフ部分のドットプロットで示されるように、RDC1676−01処置群の値が、一般に、RDC1676−00対照群よりも低いことを示し、一方、食塩水のみで暴露された群において、サイトカインレベル値は、ほぼ同一であるか、またはRDC1676−01処置群において、恐らく若干増加したことを示す。
図54は、特定の例示的な態様に従って、血液サンプルデータ中のIL−1αの分析を示す。最左の2つの群(OVA刺激群)に対する光度単位は、上のグラフ部分のドットプロットで示されるように、RDC1676−01処置群の値が、一般に、RDC1676−00対照群よりも低いことを示し、一方、食塩水のみで暴露された群において、サイトカインレベル値は、ほぼ同一であるか、またはRDC1676−01処置群において、恐らく若干増加したことを示す。
図55は、特定の例示的な態様に従って、血液サンプルデータ中のVcamの分析を示す。最左の2つの群(OVA刺激群)に対する光度単位は、上のグラフ部分のドットプロットで示されるように、RDC1676−01処置群の値が、一般に、RDC1676−00対照群よりも低いことを示し、一方、食塩水のみで暴露された群において、サイトカインレベル値は、ほぼ同一であるか、またはRDC1676−01処置群において、恐らく若干増加したことを示す。
図56は、特定の例示的な態様に従って、血液サンプルデータ中のIL−1βの分析を示す。最左の2つの群(OVA刺激群)に対する光度単位は、上のグラフ部分のドットプロットで示されるように、RDC1676−01処置群の値が、一般に、RDC1676−00対照群よりも低いことを示し、一方、食塩水のみで暴露された群において、サイトカインレベル値は、ほぼ同一であるか、またはRDC1676−01処置群において、恐らく若干増加したことを示す。
図57および58は、それぞれ、特定の例示的な態様に従って、血液サンプルデータ中のエオタキシンおよびMCP−3の分析を示す。それぞれの場合において、最左の2つの群(OVA刺激群)に対する光度単位は、上のグラフ部分のドットプロットで示されるように、RDC1676−01処置群の値が、一般に、RDC1676−00対照群よりも低いことを示し、一方、食塩水のみで暴露された群において、サイトカインレベル値は、ほぼ同一であるか、またはRDC1676−01処置群において、恐らく若干増加したことを示す。
気管支洗浄サンプル:
図59〜68は、相当する気管支肺胞洗浄液(BAL)サンプルの評価結果を示す。
図59は、特定の例示的な態様に従って、BALデータ中のKCの分析を示す。この場合には、サンプル用変動性と相まって感度レベルは、RDC1676−01とRDC1676−00処置群との間の差異に対して決定的ではない;つまり、KCは、2群間で比較的小さい差異を示したが、光度単位は非常に低かった。
同様に、図60は、特定の例示的な態様に従って、BALデータ中のRANTESの分析を示し、RDC1676−01群において、1つの読み出しが、他のものよりも著しく高い、著しいばらつきを示し、結果が非対称になっている。
同様に、図61は、特定の例示的な態様に従って、BALデータ中のTNFαの分析を示し、RDC1676−01とRDC1676−00処置群との差異に関して比較的小さい有意性を示す。
図62は、特定の例示的な態様に従って、BALデータ中のMCP−1の分析を示し、RDC1676−01とRDC1676−00処置群との差異に関して比較的小さい有意性を示す。
図63〜68は、それぞれ、特定の態様に従って、BALデータ中のMIP1−A、IL−1α、Vcam、IL−1β、MCP−3、およびエオタキシンの分析を示し、RDC1676−01とRDC1676−00処置群との差異に関して比較的小さい有意性を示す。
要約すると、既知の感作に対する炎症反応のこの標準アッセイは、少なくとも血液サンプルにおいて、著しい臨床的かつ血清学的作用を生じた。加えて、著しい数の対照動物が、該プロセスにおいて、生理的にストレスを感じ、危うく死亡するところであったが、RDC1676−01処置群のいずれも、このような臨床的なストレス効果を示さなかった。次いで、これは、RDC1676−01処置群と、OVA刺激群におけるRDC1676−01処置群との間で約30%の差異を有する、サイトカインの血中濃度において、反映した。対照的に、RDC1676−01処置群と、OVA無刺激群におけるRDC1676−01処置群との間でのサイトカイン、細胞、および血清学的プロファイルの小量、かつごくわずかな変化があり、これは、流体自体の最小限のベースラインの変化を単に示すと考えられる。
実施例14
ブラジキニンB2受容体の親和結合
Bio−Layer Interferometryバイオセンサー、Octet Rapid Extended Detection(RED)(forteBio(商標))は、ブラジキニンB2受容体とのブラジキニンリガンドの膜受容体の親和結合を調べるために、利用した。バイオセンサーシステムは、先端でセンサー特異的化学反応があるポリプロピレンハブ部に埋め込まれた研磨光ファイバーからなる。バイオセンサー設定は、検出器で干渉パターンを生成する光ファイバーの先端に接着する一層の分子を有する。分子結合数の任意の変化は、光パターンにおいて、測定偏移を生じる。
図69に示されるように、ブラジキニンB2膜受容体は、アミノプロピルシラン(APS)バイオセンサーに固定化された。サンプルプレート設定は、図69に指定し、図70に分析した。次に、図71に指定されるように、サンプル設定に従い、固定化受容体へのブラジキニンの結合を評価した。ブラジキニン結合の結果を図72に示す。受容体へのブラジキニン結合は、図73に指定されるように、設定に従い、更に滴定された。
図74に示されるように、B2受容体へのブラジキニン結合は、濃度依存性であり、結合親和性は、生理食塩水と比較して本開示の独自のガス富化食塩水流体で増加した。B2受容体へのブラジキニン結合の安定化を図75に示す。
実施例15
(制御性T細胞アッセイを使用して、制御性T細胞アッセイにおけるサイトカイン(Il−10)および他のタンパク質(例えば、GITR、Granzyme A、XCL1、pStat、およびFoxp3))のT細胞増殖および同化の調節において、本発明の界面動電的に生成された流体の効果、ならびに例えば、PBMC中のトリプターゼの効果を示した)
T細胞を制御するために本明細書に開示される特定の実施形態の能力を、抗原提示細胞を照射し、抗原およびT細胞を導入することにより研究した。一般に、これらの刺激を受けたT細胞は増殖する。しかしながら、制御性T細胞の導入において、通常のT細胞増殖は、抑制される。
方法:
簡潔に述べると、選別に使用されるFITC共役型抗CD25(ACT−1)抗体は、DakoCytomation(Chicago,IL)から購入した。使用した他の抗体は、以下の通りであった。CD3(可溶条件に対してHIT3a)、GITR(PE共役型)、CD4(Cy−5およびFITC共役型)、CD25(APC共役型)、CD28(CD28.2クローン)、CD127−APC、Granzyme A(PE共役型)、FoxP3(BioLegend)、マウスIgG1(イソタイプ制御)、およびXCL1抗体。全ての抗体は、製造業者の取扱説明書に従って使用した。
CD4+T細胞は、CD4+Rosetteキット(Stemcell Technologies)を用いて、末梢全血から単離された。CD4+T細胞は、抗CD127−APC、抗CD25−PE、および抗CD4−FITC抗体でインキュベートした。細胞は、CD4+CD25hiCD127lo/nTregおよびCD4+CD25反応性T細胞にFACSAriaを用いて、フローサイトメトリーにより選別された。
丸底96ウェルマイクロタイタープレートにおいて、抑制アッセイを行った。指示されたように、3.75×103 CD4+CD25陰性反応性T細胞、3.75×103自己T制御性、3.75×104同種照射CD3減損PBMCを添加した。全てのウェルは、抗CD3(5.0ug/mLで、クローンHIT3a)で補完した。T細胞は、10%ウシ胎仔血清で補完したRPMI1640培地中で、37℃で、7日間、培養された。インキュベーションが終了する16時間前、1.0mCiの3H−チミジンを、各ウェルに添加した。プレートは、Tomtec細胞ハーベスターを用いて収穫し、3H−チミジン組み込みは、Perkin Elmerシンチレーションカウンターを用いて決定した。抗原提示細胞(APC)は、StemSepヒトCD3+T細胞枯渇(StemCell Technologies)、次いで、40Gyの照射を用いて、T細胞を枯渇した末梢血単核細胞(PBMC)からなった。
制御性T細胞は、抗CD3および抗CD28条件で刺激を受け、次いで、live/dead red生存能の染色(Invitrogen)で、表面マーカーCD4、CD25、およびCD127を染色した。細胞は、Lyze/Fix PhosFlow(商標)緩衝液中で固定し、変性Permbuffer III(登録商標)中で透過した。次いで、細胞をそれぞれの特定の選択された分子に対して抗体で染色した。
GraphPad Prismソフトウェアを用いて、統計的分析を行った。両側の対応のないスチューデントのt検定を使用することにより2群間の比較はなされた。1方向ANOVAを使用することにより3群間の比較はなされた。0.05未満のP値が、有意であると見なされた(両側)。2群間の相関は、r値が、0.7以上または−0.7未満である場合、スピアマン係数を介して統計的に有意であることを決定した(両側)。
結果:
図76に示されるように、制御性T細胞の増殖は、ディーゼル排出微粒子状物質(EPAからのPM)で細胞を刺激することにより研究された。図76のx軸は、実線の黒いバーとして、活性化自己CD4+エフェクターT細胞(反応性細胞)を、および灰色バーとして、制御性T細胞のみ(アネルギーの確認のために示す)を示し、これは、白色バーとして示されるように、1:1の比率で混合された。y軸は、3H−チミジンの摂取により測定されるように、増殖を示す。x軸に沿って左から右に示されるように、「PM」は、ディーゼル排出微粒子状物質を示し、「PM+Rev」は、PM+本開示のガス富化界面動電的に生成された流体(Rev)を示し、「Solis」は、雰囲気を超えて、ガス富化しない、本開示の界面動電的に生成された流体およびデバイスのみ(PMを添加しない)を示し、「Rev」は、上で定義されるように、Revのみ(PMを添加しない)を示し、「Media」は、細胞成長培地のみの対照(−PM;Revなし、Solisなし)を示し、「Saline Con」は、食塩水対照(−PM;Revなし、Solisなし)を示し、「V」は、ベラパミルを示し、「P」は、プロパノロールを示し、および「DT」は、1:50でのDT390である。
図77に示されるように、PM(Revなし、Solisなし)で刺激された細胞は、分泌されるIL−10の低下を生じたが、一方、本開示の流体の存在下で、PMに暴される細胞(「PM+Rev」)は、食塩水および培地対照(PMなし)と比較して、IL−10の維持された産生またはわずかに低下した産生を生じた。更に、ジフテリア毒素(DT390、先端ジフテリア毒素分子;標準市販濃度の1:50の希釈)を、本発明の流体サンプルに滴定され、図77において、IL−10のRev媒介された効果の増加を遮断した。Revのみによる処置が、食塩水および培地対照と比較して、より高いIL−10レベルを生じることに留意されたい。
同様に、図78〜82に示される、類似の結果を、それぞれ、GITR、Granzyme A、XCL1、pStat、およびFoxp3で得た。図において、「NSC」は、「Solis」と同一である(PMなし)。
図83は、AA PBMCデータを示し、トリプターゼを評価する末梢血液単核細胞(PBMC)のアレルギー喘息(AA)プロファイルから得られた。AA PBMCデータは、粒子状物質(PM)で刺激された細胞が、高レベルのトリプターゼを示した際、上記のT制御性細胞データと一致したが、一方、本開示の流体の存在下で、PMによる処置した細胞(「PM+Rev」)は、食塩水および培地対照のものと同様に有意に低いトリプターゼレベルを生じた。T制御性細胞からのデータと一致して、DT390への暴露はトリプターゼレベルにおけるRev媒介効果を遮断し、PMのみ(−Rev、Revなし、Solisなし)に見られたように、細胞中に上昇したレベルのトリプターゼを生じた。Revのみによる処置は、食塩水および培地対照と比較して低いトリプターゼレベルを生じたことに留意されたい。
要約すると、図76のデータは、対照流体中のPM(Revなし、Solisなし)と比較して、PMおよびRevの存在下で、増殖の低下を示し、アッセイにおいて、比較的に低下した増殖により示されるように、本発明の界面動電的に生成された流体のRevが、制御性T細胞を改善したことを示す。更に、本実施例および図76〜83の証拠は、β遮断、GPCR遮断、およびCaチャネル遮断は、Treg機能におけるReveraの活性に影響を及ぼすことを示す。
実施例16
(本発明の界面動電的に生成された流体による一次気管支上皮細胞(BEC)の処置は、気道炎症性経路のMMP9およびTSLPの2つの主要なタンパク質の発現および/または活性の軽減を生じた)
概略 上の実施例14に示されるように(例えば、Bio−Layer Interferometryバイオセンサー、Octet Rapid Extended Detection(RED)(forteBio(商標))を用いて、B2受容体へのブラジキニン結合の安定化を示す図75)、B2受容体へのブラジキニン結合は、濃度依存性であり、結合親和性は、生理食塩水と比較して、本開示の界面動電的に生成された流体(例えば、Rev、ガス富化した界面動電的に生成された流体)で増加した。追加として、ディーゼル排出微粒子状物質(PM)で刺激されたT制御性細胞の文脈において実施例15に示されるように、データは、対照流体中のPM(Revなし、Solisなし)と比較して、PMおよびRevの存在下で、T制御性細胞の増殖の低下を示し(図76)、(例えば、アッセイにおいて、比較的低下した増殖により示されるように)本発明の界面動電的に生成された流体のRevは、制御性T細胞機能を改善したことを示した。更に、本発明の流体への暴露は、食塩水および培地対照(PMなし)と比較して、維持されたIL−10の産生または若干低下した産生を生じた。同様に、粒子状物質(PM)で刺激された末梢血液単核細胞(PBMC)のアレルギー喘息(AA)プロファイル細胞の文脈において、データは、本開示の流体(「PM+Rev」)への暴露は、食塩水および培地対照のレベルと同様の有意に低いトリプターゼレベルをもたらすことを示した。追加として、ジフテリア毒素(DT390、先端ジフテリア毒素分子;標準市販濃度の1:50の希釈)効果を、実施例15および図76〜83に示し、β遮断、GPCR遮断、およびCaチャネル遮断は、TregおよびPBMC機能における界面動電的に生成された流体の活性に影響を及ぼすことを示す。更に、追加の態様によれば、実施例18のデータは、本発明の流体に暴露されると、密着結合関連タンパク質が、肺組織中で上方調節されたことを示す。図85〜89は、それぞれ、結合接着分子JAM2および3、GJA1、3、4および5(結合接着)、OCLN(オクリーディン)、クローディン(例えば、CLDN3、5、7、8、9、10)、TJP1(密着結合タンパク質1)の上方調節を示す。更に、実施例23のパッチクランプ試験に示されるように、本発明の界面動電的に生成された流体(例えば、RNS−60)は、気管支上皮細胞(BEC;例えば、Calu−3)において、全細胞伝導性の調節(例えば、過分極条件下で)に影響を及ぼし、追加の態様によれば、全細胞伝導性の調節は、イオンチャネルの調節に反映する。
本実施例において、出願者は、気道炎症性経路の2つの主要なタンパク質の産生の効果を測定するために、追加の実験を行うことによりこれらの発見を拡大している。具体的には、MMP9およびTSLPは、一次気管支上皮細胞(BEC)においてアッセイされた。
材料および方法:
市販の一次ヒト気管支上皮細胞(BEC)(Promocell,GermanyからのHBEpC−c)を、これらの研究のために使用した。約50,000細胞を、約80%の密集度に到達するまで、12ウェルプレートの各ウェル中に平板培養した。次いで、本明細書の実施例8に記載されるように、FACS分析のために引き上げられる前に、ディーゼル排出微粒子状物質(DEPまたはPM)と共に、1:10の希釈(1mLの気道上皮成長培地中の100uL)で、生理食塩水、対照流体Solasまたは試験流体Revera60を用いて、細胞を、6時間処置した。MMP9およびTSLP受容体抗体は共に、BD Biosciencesから取得し、製造業者の仕様書のように使用した。
結果:
図115および116において、DEPは、ディーゼル排出微粒子状物質(PM、標準の市販源)単独で、暴された細胞を示し、「NS」は、生理食塩水単独で、暴された細胞を示し、「DEP+NS」は、生理食塩水の存在下で、微粒子状物質で処置された細胞を示し、「Revera60」とは、試験材料にのみ暴された細胞を指し、「DEP+Revera60」とは、試験材料Revera60の存在下で、微粒子状物質で処置された細胞を指す。加えて、「Solas」および「DEP+Solas」は、それぞれ、対照流体Solas単独で、または微粒子状物質と組み合わせて、暴された細胞を示す。
図115は、試験材料Revera60が、気管支上皮細胞(BEC)において、DEP誘発されたTSLP受容体の発現を約90%低下させることを示す。Solasは、TSLP受容体の発現の55%の低下をもたらしたが、一方、生理食塩水は、TSLP受容体の発現の同様のレベルの低下(約20%低下)を生じなかった。TSLP受容体の発現を低下させる本発明の溶液の効果は、TSLPが、アレルギー性疾患を緩和するアレルギー喘息の病理生物学およびTSLP受容体機能の妨害を媒介した局所抗体において極めて重要な役割を果たす(Liu,YJ,Thymic stromal lymphopoietin:Master switch for allergic inflammation,J Exp Med 203:269−273,2006、Al−Shami et al.,A role for TSLP in the development of inflammation in an asthma model,J Exp Med 202:829−839,2005、およびShi et al.,Local blockade of TSLP receptor alleviated allergic disease by regulating airway dendritic cells,Clin Immunol.2008,Aug 29.(Epub ahead of print))。
同様に、図116は、DEP媒介されたMMP9の増加における、Revera60、Solasおよび生理食塩水の効果を示す。具体的には、Revera60は、気管支上皮細胞において、DEP誘発された細胞表面結合MMP9レベルの約80%を阻害し、Solasは、約70%の阻害効果があり、一方、生理食塩水(NS)は、限界効果の約20%の低下があった。MMP−9は、喘息において、気道炎症および気管支リモデリングに関与する主要なプロテイナーゼのうちの1つである。近年では、MMP−9のレベルは、健常な対照対象と比較して、安定した喘息に罹患する患者において、有意に増加し、急性喘息患者において更に高いことを示している。MMP−9は、気道炎症細胞の侵入および気道過敏性の誘発に重要な役割を果たし、MMP−9が、喘息を誘発し、保持するのに重要な役割を果たし得ることを示す(Vignola et al.,Sputum metalloproteinase−9/tissue inhibitor of metalloproteinase−1 ratio correlates with airflow obstruction in asthma and chronic bronchitis,Am J Respir Crit Care Med 158:1945−1950,1998、Hoshino et al.,Inhaled corticosteroids decrease subepithelial collagen deposition by modulation of the balance between matrix metalloproteinase−9 and tissue inhibitor of metalloproteinase−1 expression in asthma,J Allergy Clin Immunol 104:356−363,1999、Simpson et al.,Differential proteolytic enzyme activity in eosinophilic and neutrophilic asthma,Am J Respir Crit Care Med 172:559-565,2005、Lee et al.,A murine model of toluene diisocyanate−induced asthma can be treated with matrix metalloproteinase inhibitor,J Allergy Clin Immunol 108:1021−1026,2001、およびLee et al.,Matrix metalloproteinase inhibitor regulates inflammatory cell migration by reducing ICAM−1 and VCAM−1 expression in a murine model of toluene diisocyanate−induced asthma,J Allergy Clin Immunol 2003;111:1278−1284)。
したがって、追加の態様によれば、本発明の界面動電的に生成された流体は、TSLP受容体の発現を調節するため(例えば、低下させる)、および/またはMMP−9の発現および/もしくは活性を阻害するために、実質的な治療的有用性を有し、これには、例えば、炎症および喘息の治療のためを含む。
実施例17
(本発明の界面動電的に生成された流体は、アレルギー喘息に対する当該技術分野において認識されている動物モデルにおいて、ブデソニドを用いて、相乗抗炎症効果を有することを示した)
本実施例は、Brown Norwayラットオボアルブミン感作モデルにおいて、本発明の界面動電的に生成された流体(例えば、RDC−1676−03)の気道抗炎症特性を評価するために行われた実験を説明する。Brown Norwayラットは、気道機能における試験材料の効果を決定するための当該技術分野において認識されているモデルであり、この系統は、例えば、アレルギー喘息のモデルとして幅広く使用されている。このモデルにおいてオボアルブミン感作により誘発された気道病変および生化学的変化は、ヒトに観察されたものと類似している(Elwood et al.,J Allergy Clin Immuno 88:951-60,1991、Sirois & Bissonnette,Clin Exp Immunol 126:9-15,2001)。吸入経路は、試験材料または対照溶液への肺暴露を最大限にするように選択された。オボアルブミン感作動物は、オボアルブミン刺激する前の7日間、ブデソニド単独で、または試験材料RDC1676−03と組み合わせて、処置された。刺激してから6時間および24時間後、全血数ならびに幾つかの炎症性および抗炎症サイトカインのレベル、ならびに様々な呼吸パラメータを測定して、様々な炎症性パラメータにおける試験材料を投与する任意の有益な効果を推定した。
材料および方法:
実験の開始時で、約275±50gの体重がある、Brown Norwayラットの系統Bn/Crlを、Charles River Kingstonから取得した。全ての動物研究は、PCS−MTL Institutional Animal Care and Use Committeeによる承認を得て行われた。研究時、動物の使用およびケアは、USA National Research CouncilならびにCanadian Council of Animal Careのガイドラインに従って行われた。
感作 実験の1日目に、動物(各処置群において14頭の動物)は、1mLの0.9%塩化ナトリウムあたり2mgオボアルブミン/100mg水酸化アルミニウムの新しく調製された溶液の1mLの腹腔内注射の投与により感作され、次いで、3日目に注射を繰り返した
処置 初期感作から15日後、動物は、対照(生理食塩水)または試験溶液(界面動電的に生成された流体RDC1676−00、RDC1676−02、およびRDC−1676−03)への噴霧暴露を施し、連続7日間、1日1回15分間、単独で、またはブデソニドと組み合わせて投与される。動物は、約20Lの全身チャンバ中で投薬され、試験環境は、Buxcoバイアス流動ポンプからの空気が供給されたエアロネブ超音波ネブライザーを用いて、チャンバの空気入口に生成された。気流速度は、10リットル/分で設定された。
オボアルブミン刺激 21日目に、試験溶液で処置してから2時間後、全ての動物は、1%オボアルブミン噴霧溶液で、15分間、刺激された(気流2L/分で全身チャンバ中)。
サンプル収集 オボアルブミン刺激してから6および24時間の時点で、血液サンプルは、全および差動血液細胞数、ならびに様々な炎症性および抗炎症サイトカインのレベルを測定するために、採血された。加えて、オボアルブミン刺激してから6および24時間直後、enhanced pause Penhおよび1回換気量を、Buxco Electronics BioSystem XAシステムを用いて、10分間測定した。
結果:
好酸球数:予想され、図109に示されるように、ブデソニドによる処置(「NS+ブデソニド750μg/Kg」;細かい斜線の棒グラフ)は、生理食塩水単独での対照による処置(白抜きの棒グラフ)と比較して、刺激された動物における全好酸球数を低下させた。追加として、本発明の流体「RDC1676−03」単独による処置(粗い斜線の棒グラフ)は、好酸球数の有意に低下しなかったが、とはいえ、好酸球数を低下させる際、ブデソニドとの実質的な相乗効果(「RDC1676−03+ブデソニド750μg/Kg」、黒ベタ塗りの棒グラフ)を示した。同様に、図110において、好酸球率はまた、同様の傾向を示した。RDC1676−03(粗い斜線の棒グラフ)またはブデソニド750ug/kg(細かい斜線の棒グラフ)単独では、刺激された動物において、好酸球率において有意な効果を有さなかったが、組み合わせた2つは、好酸球率を有意に低下させた(黒ベタ塗りの棒グラフ)。
したがって、本発明の特定の態様によれば、図109および110は、本発明の界面動電的に生成された流体(例えば、RDC1676−03)は、ヒトアレルギー喘息に対する当該分野において認識されているラットモデルにおいて、好酸球数(「好酸球率」および全数)を有意に低下させるように、ブデソニドと組み合わせて、実質的な相乗的有用性を有することが立証されたことを示す。
呼吸パラメータ:
図111A〜Cおよび112A〜Cは、オボアルブミン刺激から6および24時間後、直後に測定されるように、Penhおよび1回換気量における試験流体の観察された効果を示す。Penhは、ピーク吸気流、ピーク呼気流、および呼気時間から得られた誘導値であり、penh値の低下は、肺機能の有益な結果を反映する。
Penh=(ピーク呼気流/ピーク吸気流)*(呼気時間/呼気容量の65%を呼気するため時間−1)
図111A〜Cから明らかであるように、ブデソニド(500および750ug/kgの双方で)単独で、または試験流体のいずれかとの組み合わせによる処置は、刺激直後のPenh値に有意に影響を及ぼさなかった。しかしながら、刺激から6時間後、RDC1676−03単独で、またはブデソニド500もしくは750ug/kgと組み合わせによる処置を行った動物は、Penh値の大幅な低下を示した。この低下の範囲は、刺激してから24時間後には消失したが、ブデソニドおよびRDC流体の相乗効果の傾向は、この時点で更に観察された。
1回換気量は、呼気終末位から吸気中の肺に吸い込まれる空気容量であり、これは、安静呼吸の間の呼気中、受動的に肺を排気される。図112A〜Cに示されるように、ブデソニド単独により処置される動物は、刺激直後、1回換気量の変化がないことを示した。しかしながら、RDC1676−03単独では、この初期時点でさえ、1回換気量における有意な促進効果があった。また一方では、ブデソニド(500および750ug/kgの双方)と組み合わせたRDC1676−03は、この時点で、1回換気量の測定における更になお顕著な効果があった。刺激から6時間後、RDC1676−03単独では、1回換気量の有意な増加を生じるのに十分であり、単独で、または組み合わせた、治療レジメンへのブデソニドの添加は、1回換気量における更なる効果がなかった。しかしながら、これらの早期時点で観察された任意の効果は、24時間の時点までに消失した。
総合すれば、刺激してから6時間後、1回換気量の増加およびPenh値の低下により証明されるように、これらのデータは、RDC1676−03単独で、またはブデソニドと組み合わせて、気道炎症の著しい緩和を提供することを示す。
サイトカイン分析:
上記で論じられた生理学的パラメータに見られる効果の機構を分析するために、多数の炎症性ならびに抗炎症サイトカインは、刺激してから6および24時間後、次いで、生理学的測定の直後、採血された血液サンプルにおいて測定された。
図113Aおよび113Bは、Rev60(またはRDC1676−03)単独では、刺激してから6および24時間後の双方で、有意にエオタキシンの血液レベルを低下させたことを明らかに示す。ブデソニド750ug/kgはまた、これらの時点の双方で、血液エオタキシンレベルを軽減したが、一方、ブデソニド250ug/kg単独は、後の時点で、顕著な効果があった。しかしながら、試験溶液Rev60単独では、双方の時点で、ブデソニドの双方の濃度よりも更に著しく強力な(血液エオタキシンレベルを低下させる際)効果を示した。エオタキシンは、喘息の肺およびアレルギー反応における他の組織(例えば、クローン病の腸)に好酸球を蓄積し、かつ好酸球を誘引することで知られている、小量のC−Cケモカインである。エオタキシンは、Gタンパク質共役型受容体CCR3に結合する。CCR3は、Th2リンパ球、好塩基球およびマスト細胞等の多くの細胞型により発現されるが、Th2リンパ球によるこの受容体の発現は、これらの細胞が、好酸球動員を調節する際、特定の対象となる。幾つかの研究は、喘息肺における、エオタキシンおよびCCR3の産生増加、ならびにこれらの分子と気道過敏性の間の関連を構築することを示している(エオタキシンおよび喘息肺への好酸球の誘引において概説、Dolores M Conroy and Timothy J Williams Respiratory Research 2001,2:150−156)。これらの研究は、好酸球数における図109および110の結果と完全に一致することを留意することは特に興味深い。
総合すれば、これらの結果は、RDC1676−03単独で、またはブデソニドと組み合わせた処置が、オボアルブミン刺激から24時間後、総好酸球数および血中濃度を著しく低下させることができることを強く示唆する。これは、刺激してから早ければ6時間後に観察された、血液中のエオタキシンレベルの大幅な低下と相関する。
2つの主要な抗炎症サイトカインである、IL10およびインターフェロンγの血液レベルはまた、Rev60単独で、またはブデソニドと組み合わせた治療の結果として、刺激してから6時間後に、著しく増強される。図113Cおよび113Dは、それぞれ、インターフェロンγおよびIL10における効果を示す。Rev60単独で、またはブデソニド250ug/kgと組み合わせたRev60は、刺激してから最長6時間、刺激された動物において、IL10の血液レベルを著しく増加させることが、これらの図から明白である。同様に、Rev60単独で、またはブデソニド250もしくは750ug/kgと組み合わせたRev60は、刺激してから6時間後、IFNγの血液レベルを著しく増加させた。これらの抗炎症サイトカインの増加は、刺激してから6時間後に見られる、生理学的呼吸パラメータに見られる有益な効果を、少なくともある程度、十分に説明し得る。これらのサイトカインにおける効果は、刺激してから24時間後、もはや観察されなかった(データは示さず)。
RantesまたはCCL5は、循環型T細胞により発現したサイトカインであり、T細胞、好酸球および好塩基球に対して走化性であり、炎症性部位に白血球を動員するのに積極的な役割を果たす。Rantesはまた、例えば、好酸球カチオン性タンパク質を放出する好酸球を活性化する。好酸球の密度を変化させ、好酸球を低濃度にし、これは、一般的な細胞活性化の状態を示すと考えられる。Rantesはまた、好酸球に対して特異的な酸化的代謝の強力な活性剤でもある。
図114に示されるように、Rantesの全身レベルは、Rev60単独で、またはブデソニド250もしくは750ug/kgと組み合わせて処置された動物において、刺激してから6時間後、著しく低下したが、24時間後は、低下しなかった。前と同様に、このデータのセットに言及される、ブデソニド750ug/kgおよびRev60の明らかな相乗効果がある。同様の下方傾向は、KCまたはIL8、MCP3、IL1b、GCSF、TGFb、ならびにNGF等の多くの他の炎症性サイトカインにおいて観察され、Rev60単独で、またはブデソニドと組み合わせて処置された動物において、刺激してから6時間後、あるいは24時間後のいずれかで観察された。
実施例18
(本発明の治療流体は、細胞間密着結合を調節するために実質的な有用性を有する)
特定の態様によれば、本発明の拡散処理された治療流体は、細胞間密着結合を調節するための実質的な有用性を有し、これには、肺および全身送達と関連するもの、ならびに例示的なポリペプチドサケカルシトニン(sCT)を含む、ポリペプチドのバイオアベイラビリティを含む。
実施例の概略 サケカルシトニン(sCT)は、3,432ダルトンの分子量を有する、32個のアミノ酸ペプチドである。カルシトニンの肺送達は、モデル系(例えば、げっ歯類モデル系、ラットモデル系等)において、肺薬物送達(例えば、気管内薬物送達)を強化するための方法を調査するために、広範囲にわたって研究されている。特定の例示的な態様によれば、本発明の拡散処理された治療流体は、細胞間密着結合、例えば、ラットモデル系において、肺および全身送達と関連するもの、ならびにsCTのバイオアベイラビリティを調節する(例えば、強化する)ために実質的な有用性を有する。
方法:
気管内薬物送達 特定の実施形態によれば、sCTは、本発明の治療流体中で製剤化され、気管内薬物送達デバイスを用いて、ラットに投与される。ある態様では、げっ歯類気管内薬物送達のために設計されたPenn Century Micro−Sprayerデバイスを使用して、良好な肺送達を可能にさせるが、当該技術分野において理解されるように、ペプチドの不良な全身バイオアベイラビリティをもたらす比較的低い肺胞沈着がある。特定の態様によれば、この当該分野において認識されているモデル系を使用して、本発明の拡散処理した治療流体が、細胞間密着結合(肺および全身送達と関連するもの、ならびにポリペプチドのバイオアベイラビリティを含む)を調節する(例えば、強化する)ために実質的な有用性を有することを確認した。
動物群および用量 ある態様では、ラットは、以下の3つの群のうちの1つに割り付けられる(1群あたりn=6):a)滅菌食塩水、b)O2富化しない基礎液(「基礎液」)、またはc)本発明の拡散処理された治療流体(「本発明の富化ベースの溶液」)。本発明の富化ベースの溶液は、例えば、0.9%食塩水中で酸素を注入することにより形成される。好ましくは、基礎液は、上皮細胞の低浸透圧崩壊の可能性を最小化するように、約0.9%食塩水を含む。ある実施形態では、sCTは、基礎液および本発明の富化ベースの溶液において、別々に再構成され、60分間以内で、それぞれの動物に気道内注入により送達される(1動物あたり200μL中の10μg sCT)。
アッセイ 特定の態様では、血液サンプル(例えば、200μL)を採取し、投薬する前、ならびに投薬してから5、10、20、30、60、120、および240分間後、EDTAコーティングされた管に挿入した。血漿を、収穫し、ELISAを用いて、sCTのアッセイを行うまで、−70℃以下で保存した。
アジレント遺伝子アレイデータ生成のために、肺組織を単離し、TRI試薬(TR118、Molecular Research Center,Inc.)中に浸水した。簡潔に述べると、約1mLのTRI試薬を、各管中の50〜100mgの組織に添加した。サンプルは、ガラス製Teflon(商標)またはPolytron(商標)ホモジナイザーを用いて、TRI試薬中で均質化された。サンプルは、−80℃で保存した。
結果:
密着結合の強化 図84は、RDC1676−01(更に添加された酸素を用いて、本開示の独自のデバイスを通して処理した滅菌食塩水、本開示のガス富化界面動電的に生成された流体(Rev))が、全身送達およびsCTのバイオアベイラビリティを低下させることを示す。特定の態様によれば、全身送達の低下は、sCTの吸着の低下に由来し、肺密着結合の強化に由来する可能性が最も高い。RDC1676−00は、本開示の方法に従って処理したが、酸素化されていない、滅菌食塩水を示す。
追加として、特定の態様によれば、密着結合関連タンパク質は、肺組織中で上方調節された。図85〜89は、それぞれ、結合接着分子JAM2および3、GJA1、3、4および5(結合接着)、OCLN(オクリーディン)、クローディン(例えば、CLDN3、5、7、8、9、10)、TJP1(密着結合タンパク質1)の上方調節を示す。
実施例19
(本発明の治療流体は、一酸化窒素レベルを調節するために実質的な有用性を有する)
特定の態様によれば、本発明の拡散処理された治療流体は、一酸化窒素レベル、および/または関連酵素を調節するために実質的な有用性を有する。図90〜94は、NOS1および3、ならびにNostrin、NOS3の上方調節を示す、RDC1676−01(添加された追加の酸素を用いて本開示の独自のデバイスを通して処理された滅菌食塩水、本開示のガス富化された界面動電的に生成された流体(Rev))に暴露されるヒト包皮ケラチン生成細胞から得たデータを示す。対照的に、ラット肺組織(上記の実施例の表題「サイトカイン発現」の組織)から得たデータを、Revを有する、NOS2および3、Nostrin、ならびにNOS1APを示す(図93、94)。
実施例20
(絶縁回転子および固定子機能を含む、特別に設計された混合デバイスを用いて、局在界面動電効果(電圧/電流)を示した)
本実施例では、絶縁回転子および固定子機能を含む、特別に設計された混合デバイスを用いて、機能局在界面動電効果(電圧/電流)を示した。
概略 「二重層効果」の項で本明細書の上記で詳細に論じられるように(図26および28も参照のこと)、混合デバイス100は、複合体との第1の物質110および第2の物質120の複合かつ非線形流体動的相互作用によって、出力物質102を生成するように構成され、動的乱流は、界面動電効果に更に有利に働く混合複合体をもたらし得る。特定の態様によれば、これらの界面動電効果の結果は、電荷再分配および酸化還元反応として出力物質102内で観察され得、これには、出力物質内で安定化される可溶化電子の形態が含まれる。
混合チャンバ中の一般の表面に関連した二重層効果に加えて、出願者は、更に、局在界面動電効果が、機能の近くに機能誘発したマイクロキャビテーション、ならびに流体加速および減速によって与えられ得る理由を付した。本実施例の研究は、故に、前記追加の界面動電態様を更に調査し、確認するために行われた。
材料:
本明細書に記載の本発明の混合デバイスに類似する試験デバイスを構成し、これには、2つの機能18を有するステンレス製の回転子12(180度で配設される)、ならびに回転子機能18および固定子機能16に対して、回転で対置できるように配置された、単一機能16を有する固定子14を含む。注目すべきは、いずれの場合にも、回転子および固定子機能は、それぞれの回転子および固定子本体から絶縁されている(図95)。デバイスは、本明細書のいずれかの箇所で開示されるデバイスと一致するように、0.020インチの一貫した回転子と固定子の間隙20を提供するために機械加工した。回転子表面および絶縁回転子機能のための電気路を提供する、回転子軸(図示せず)の末端で、回転接点(図示せず)がある。同様に、固定子は、類似の絶縁機能16(図95)を有し、ここで、固定子内表面および絶縁ステンレス製機能は、固定子の外側でそれぞれの接点に接続される。
演算増幅器(OpAmp)回路(M)22は、接点間で接続される。演算増幅器(OpAmp)回路は、このような増幅器が高入力インピーダンスを活用することにより超低電圧測定の収集を提供するように構成された。OpAmpの出力は、オシロスコープ(例えば、Pico Scope 3000(商標)を用いてオシロスコープアプリケーションを起動する電池式ラップトップ型コンピュータ)の入力を供給する。
デバイスの試験中、いかなる周囲雑音(例えば、ワイヤレスネットワーク信号、および60Hz電力線からのRF波)の導入をも除外するために、微細な銅メッシュ、ファラデーシールド要素(約3×4×5フィート)で構成して、ファラデー箱を供給した。60Hz AC騒音(例えば、約2ボルト)からの干渉信号および高周波RFが、対象の信号をはるかに下回って低下した場合、この構成は、実験試験中、優れた信号対騒音比を提供した。Pico Scope3000を用いてオシロスコープアプリケーションを起動する電池式ラップトップ型コンピュータを使用して、試験デバイスの機能により生成された30mV信号の検出を可能にした(図96等の場合)。加えて、変速DCモータは、ファラデー箱の外側に配置し、試験デバイスから離れてモータ騒音を効果的に絶縁するように非金属シャフトを介して回転可能な試験デバイスに連結された。
方法:
OpAmp回路を使用して、固定子内表面12と絶縁固定子機能16を接続する接点間の電位を測定した。特定の回路装置を用いて、電位のみを測定した。デバイスの回転速度は、約700〜約2800rpm(約1800rpmで起動するデバイスを用いて測定された図96のデータを用いて)の間で変化させ得た。
ポンプまたは蠕動ポンプによる任意の外来の電圧発生を避けるために、デバイスを通して流体流動は、デバイスに接続されるタンク中の流体に作用する不活性窒素または空気またはアルゴンを用いて達成された。流動機構からの知覚可能な電圧寄与はなく、一般に、デバイスを通して流体流動を提供するためのポンプ力として、空気を使用した。
デバイスを通る流体流動率は、約1L/分であった。
固定子本体12と絶縁機能16との間の任意の電圧の存在を評価するために、デバイスチャンバを通るが、回転子を回転することなく、流体流動を誘導することにより、初期セットの非回転実験を行った。双方の流動方向に対して、別々の実験を行った。
次いで、同一の流速で、約300〜約1800rpmの様々な速度で回転する、デバイス回転子を用いて、追加のセットの回転実験を行った。任意の既定の実験のために、流速および回転速度を一定に保った。
結果:
非回転実験に関して、デバイスを通して流動する流体があり、回転子が回転しないいずれの方向において、固定子の本体と絶縁機能との間の知覚可能な電圧はほとんどなかった(例えば、1〜2mV)。
回転実験に関して、図96を参照すると、電圧パルス(電位パルス)、回転子固定子機能に相対する回転配列との時間的な相関(この場合は、約1800rpmで)は、動作する試験デバイスにおいて、OpAmpを用いて測定可能であったことが見られ得る。更に、このような周期電圧パルス、機能整合との相関は、約250または300rpm〜約1800rpmの範囲にわたり観察され得た。追加として、流体流動の有無にかかわらず、このような電圧パルスは、デバイスの空洞/流体チャンバが、流体で充填される限り、回転実験において観察された。特定の態様によれば、機構に拘束されるわけではないが、反復的に回転整合した機能付近で、流体流動の急速な、激しい圧縮(例えば、キャビテーション)、加速、および減速は、回転周期と正確に相関する、それぞれの局在電圧パルスを生成し、これは、本発明に従って、少なくともある程度、界面動電的に生成された流体を提供した。追加の実験は、電圧パルスの振幅(ピーク形状および高さ)は、この特定の試験デバイスにおいて、回転速度の増加と共に増加し、約250〜300rpmで当初観察することができ、少なくとも約2800rpmまで増加する。回転整合した機能付近で、流体流動の激しい加速および減速等の大きさは、一般に、少なくとも最大値が、形状により与えられた反映する物理的限界に達するまで、回転速度の増加と共に増加することが期待され得る。追加の態様によれば、局在電圧ノイズが存在するため、局在電流流動(例えば、電流パルス)は、機構付近で生成され、本発明に従って、少なくともある程度、界面動電的に生成された流体を提供する(例えば、機構に拘束されるわけではないが、本明細書のいずれかの箇所で論じられるように、電気化学反応を提供する)。
追加の態様によれば、機構に拘束されるわけではないが、「二重層効果」の項で本明細書の上記で詳細に論じられるように(図26および28も参照のこと)、このような機能局在効果(例えば、電圧パルスならびに電流および/または電流パルス)は、更に一般的な表面関連二重層と組み合わせて、界面動電的に生成された流体の生成および荷電電流効果に寄与する。
実施例21
(非界面動電的に生成された対照流体と比較して、本発明の界面動電的に生成された流体は、溶解溶質のα,α−トレハロースの13C NMR分析において、特異的に影響された線幅を示した)
概略 本明細書のいずれかの箇所で開示された出願者のデータは、有用性および機構を支援し、ここで、本発明の界面動電的に生成された流体は、細胞膜、細胞膜電位/伝導性、膜タンパク質(例えば、Gタンパク質共役型受容体等の膜受容体)、カルシウム依存性細胞シグナルシステム、ならびに細胞間結合(例えば、密着結合、ギャップ結合、接着帯、およびデスモソーム)のうちの少なくとも1つの調節により、細胞内シグナル変換の制御および調節を媒介する。具体的には、様々な当該分野において認識されている生物学的試験システムおよびアッセイを用いて、出願者のデータは、対照流体と比較して、例えば、制御性T細胞増殖;サイトカインおよびタンパク質レベル(例えば、IL−10、GITR、Granzyme A、XCL1、pStat5、Foxp3、トリプターゼ、密着結合関連タンパク質、TSLP受容体、MMP9等);ブラジキニンB2受容体とのブラジキニンリガンドの結合;TSLP受容体の発現、全細胞伝導性等における、本発明の流体の差動効果を示す。更に、本明細書に示されるジフテリア毒素(DT390)効果は、β遮断(β2アドレナリン受容体)、および/またはGPCR遮断、および/またはCaチャネル遮断は、例えば、TregおよびPBMC機能における界面動電的に生成された流体の活性に影響を及ぼす。
総合すれば、これらの効果は、本発明の界面動電的に生成された流体が、先行技術の流体とは基本的に異なるだけでなく、本明細書に現在開示され、かつ特許請求されるもの等の新規組成物および実質的な有用性を提供することを示す。
本実施例において 出願者は、本実施例において、本発明の界面動電的に生成された流体の基本的性質を更に特徴付けるために核磁気共鳴(NMR)研究を行っている。具体的には、出願者は、非界面動電的に生成された流体中の溶解と比較して、界面動電的に生成された流体中の溶解されたα,α−トレハロースの13C NMRスペクトルを分析している。トレハロース(参照のために番号付けされた炭素を用いて以下に示す)は、コスモトロピック溶質であり、例えば、冷凍等の際、タンパク質の変性、膜乾燥、生物の生存を保護することで知られている。上記の要約されたデータを考えると、出願者は、α,α−トレハロースが、本発明の界面動電的に生成された流体の特性/構造を更に精査するための効果的なツールを提供し得ると判断した。出願者は、NMR関連の「化学シフト」および「線幅」における効果を使用して、本発明の流体の特性を評価することができた。これらの研究のために、非超酸素化された本発明の界面動電的に生成された流体(本明細書では、「Solas」と称する)を利用して、溶解酸素等の常磁性不純物が、分析される効果に対抗する、または別様に遮蔽するように作用する可能性を最小限にした。
材料および方法:
溶液調製 リン酸塩(ナトリウム塩)およびD−(+)−トレハロース二水和物(T9531−10G、金属含有量の低下)、ならびに1%DSSを含有する99.9%D2Oは、Sigmaから購入した。「生理食塩水」は、Hospiraからの0.9%塩化ナトリウム、pH5.6(4.5〜7.0)である。0.25M α,α−トレハロース溶液を、965μL生理食塩水および35mLリン酸緩衝生理食塩水に、0.949gトレハロースを溶解することにより調製した(35μLのこの緩衝液を1.0mLトレハロース溶液に添加して、pHが6.93になるような方法で調製された0.9%NaCl中の100mMリン酸緩衝液)。
核磁気共鳴スペクトル収集 スペクトルは、Bruker BBO:X{1H}プローブおよび起動するXWINNMR3.5を装着した、500MHzあるいは300MHzのBruker Avanceシリーズの器具を用いて、University of WashingtonのNMR施設で収集した。13C NMRスペクトルは、64Kまたは128Kのデータ点、および128または256スキャンを用いて、14000Hzまたは7900Hzの掃引幅を用いて、125.7MHzまたは75.46MHzで収集した。得られたFIDは、2回、ゼロ充填され、1.0Hz線幅拡大因子で処理された。温度は、Bruker Biospin Variable Temperatureユニットを用いて制御された。同軸NMR挿入管中に、99.9%D2O+1%DSS+微量のアセトンを挿入することにより、Wilmadから購入した外部重水素化ロッキング(External deuterium locking)を利用した。NMRデータは、Mestrelab ResearchからのiNMRソフトウェアv.2.6.4を用いて処理した。
結果:
サンプルスペクトル 図97A〜Cは、DSS信号が、−2.04ppmで一列に整列するように、互いの上部で覆われた、6つの13C−NMRスペクトルの拡張を示す。図の極右にDSS信号を示し、30.9ppm近くでアセトンメチル信号を示す。残りの信号は、上のα,α−トレハロース構造に示されるように、トレハロースの6個の炭素に対応する。図に見られるように、Solas溶液中の炭素信号は、対照溶液と比較して、小量の化学シフト(一般に、高磁場)を示す。
線幅測定 下の表10は、Solas食塩水(本発明の界面動電的に生成された流体)に対して、3つの異なる温度で、トレハロースの6個の炭素およびアセトンのメチル炭素に対して測定した
13C NMR線幅を示す。対応する生理食塩水サンプルは、各温度で、非界面動電対照溶液を示す。Solas溶液中の該線幅は、各炭素原子に対して、対照溶液中の線幅とは著しく異なる。低温でSolas溶液中のより小量の線幅は、対照溶液と比較して、全体としてトレハロース分子(任意の溶媒和水分子を含む)のより高速の回転率に由来する可能性が高い。
アセトン線に対して正規化されたいずれの場合にも、Solasおよび生理食塩水中のα,α−トレハロースに対する13C NMR線幅は、図97Aにグラフを使用して示す。結論として、Solasおよび生理食塩水中のα,α−トレハロースに対する13C NMR線幅のNMRデータは、本発明の溶液が溶質の回転を変化させる特性があることを示す。
上記および本明細書のいずれの箇所の生物活性の概要を総合すれば、これらの13C NMR線幅効果は、本発明の界面動電的に生成された流体が、溶質相互作用の点から見て先行技術の流体とは基本的に異なるだけでなく、本明細書に現在開示され、かつ特許請求されるもの等の新規の組成物および実質的な有用性を提供することを示す。
実施例22
(非界面動電的に生成された対照流体と比較して、本発明の界面動電的に生成された流体は、差動矩形波ボルタンメトリープロファイルを生成し、ストリッピングポーラログラフィー下で、独特の電気化学的特性を示した)
概略 本明細書のいずれかの箇所で開示された出願者のデータは、有用性および機構を支援し、ここで、本発明の界面動電的に生成された流体は、細胞膜、細胞膜電位/伝導性、膜タンパク質(例えば、Gタンパク質共役型受容体等の膜受容体)、カルシウム依存性細胞シグナルシステム、ならびに細胞間結合(例えば、密着結合、ギャップ結合、接着帯、およびデスモソーム)のうちの少なくとも1つの調節により、細胞内シグナル変換の制御および調節を媒介する。具体的には、様々な当該分野において認識されている生物学的試験システムおよびアッセイを用いて、出願者のデータは、対照流体と比較して、例えば、制御性T細胞増殖、サイトカインおよびタンパク質レベル(例えば、IL−10、GITR、Granzyme A、XCL1、pStat5、Foxp3、トリプターゼ、密着結合関連タンパク質、TSLP受容体、MMP9等)、ブラジキニンB2受容体とのブラジキニンリガンドの結合、TSLP受容体の発現、および全細胞伝導性等における、本発明の流体の差動効果を示す。更に、本明細書に示されるジフテリア毒素(DT390)効果は、β遮断(β2アドレナリン受容体)、および/またはGPCR遮断、および/またはCaチャネル遮断は、例えば、TregおよびPBMC機能における界面動電的に生成された流体の活性に影響を及ぼす。
総合すれば、これらの効果は、本発明の界面動電的に生成された流体が、先行技術の流体とは根本的に異なるだけでなく、本明細書に現在開示され、かつ特許請求されるもの等の新規組成物および実質的な有用性を提供することを示す。
本実施例において 出願者は、本実施例において、本発明の界面動電的に生成された流体の基本的性質を更に特徴付けるためにボルタンメトリー研究を行っている。ボルタンメトリーは、酸化還元電位を決定するか、または流体の運動速度および定数を測定するために、よく使用される。全てのボルタンメトリー法の共通する特徴は、電極への電位の適用を伴うことと、得られる電流流動は、電気化学細胞を通してモニタリングされることである。印加された電位は、電気活性種を電気化学的に還元するか、または酸化することにより、電極表面で電気活性種の濃度の変化を生じる。
具体的には、出願者は、対照食塩水流体と本発明の界面動電的に生成された試験流体(例えば、SolasおよびRevera)との間で基本的な相違を更に特徴付けるために、ボルタンメトリー法(即ち、矩形波ボルタンメトリーおよびストリッピングポーラログラフィー)を利用している。上記の要約された生物学的および膜効果のデータを考えると、出願者は、矩形波ボルタンメトリーおよびストリッピングポーラログラフィーが、本発明の界面動電的に生成された流体の独特の特性を更に特徴付けるための効果的な手段を提供し得ると判断した。
出願者は、特定の電圧での電流差、電気活性酸化還元化合物の異なる濃度の生成、新規の酸化還元化合物の作製、および独特の電気化学特性の所有を使用して、本発明の流体の特性を評価し、かつ特徴付けることができた。これらの研究のために、超酸素化界面動電的に生成された流体(Revera)および非超酸素化された本発明の界面動電的に生成された流体(Solas)を共に、使用した。
材料および方法:
材料および溶液調製 実験は、EG & G SMDE 303A polarographer(Princeton Applied Research)において行われた。矩形波ボルタンメトリー実験において使用された、電解液のNaOHは、Sigmaから購入した。10mLの本発明の流体溶液のサンプルは、100μLのNaOHを9.9mLのRevera食塩水に添加することにより調製し、0.18モル溶液を作製した。ストリッピングポーラログラフィー実験に対して、追加の電解液は利用しなかった。
矩形波ボルタンメトリー 上記のように、ボルタンメトリーは、酸化還元電位を決定するか、または流体の運動速度および定数を測定するために、使用される。矩形波ボルタンメトリー実験において、0.0〜約−1.75Vの電位を、電極に印加し、電気化学細胞を通して得られた電気流動をモニタリングした。
ストリッピングポーラログラフィー ストリッピングポーラログラフ法は、矩形波ボルタンメトリー法に類似する。しかしながら、上記のように、電解液は利用せず、また前ステップを必要とした。前ステップにおいて、静的水銀滴下電極は、水銀中で溶解した還元型の任意の化合物をアマルガムにするために、−1.1Vで、30秒間、維持した。次いで、−1.1V〜0.0Vの電位をスキャンし、電気化学細胞を通して得られた電気流動をモニタリングした。このアマルガム上の負電位への線形スキャンは、これらの化合物の感度の高い測定を提供した。
結果:
矩形波ボルタンメトリー 図98から明らかであるように、−0.14V、−0.47V、−1.02V、および−1.36Vでの電流プロファイルは、様々な試験剤間で異なる。特定の態様によれば、様々な特定の電圧で生成された電流差は、電気活性酸化還元化合物の異なる濃度、および/または新規もしくは独特の酸化還元化合物、および/または水銀滴下を取り囲む拡散限界の変化のうちの少なくとも1つを示す。
ストリッピングポーラログラフィー 図99は、本発明の界面動電的に生成された流体のReveraおよびSolasが、−0.9ボルトで顕著なピークを有する独特のスペクトルを示し、これらは、非界面動電的に生成されたブランクおよび食塩水対照流体中に存在しないことを示す。追加として、非界面動電的に生成されたブランクおよび食塩水対照流体のスペクトルは、−0.19および−0.3ボルトで特徴のあるピークを示し、これらは、界面動電的に生成されたSolasおよびRevera流体に対するスペクトル中で不在である。
したがって、特定の態様によれば、これらの結果は、非界面動電的に生成された食塩水対照流体と比較して、本発明の界面動電的に生成されたSolasおよびRevera流体の独特の電気化学特性を示す。追加の態様によれば、該結果は、界面動電的に生成された流体対非界面動電的に生成された流体において、電気活性酸化還元化合物の異なる濃度、ならびに新規および/もしくは独特の酸化還元化合物のうちの少なくとも1つの存在または生成を示す。
本明細書のいずれかの箇所で示された様々な生物学的データに加えて、特に、全細胞伝導性における差動効果の変化に従って考慮される際、この差動ボルタンメトリーデータ、13CNMR線幅分析、および混合デバイスの機能局在効果(例えば、電圧パルスならびに電流および/または電流パルス)は、本発明の界面動電的に生成された流体が、先行技術の流体とは基本的に異なるだけでなく、本明細書に現在開示され、かつ特許請求されるもの等の新規組成物および実質的な有用性を提供することを示す。
実施例23
(本発明の界面動電的に生成された流体(RNS−60)で灌流された気管支上皮細胞(BEC)において行われたパッチクランプ分析は、RNS−60への暴露が、全細胞伝導性の低下、およびcAMP刺激「カクテル」での刺激をもたらし、これは、全細胞伝導性を劇的に増加させ、また、全細胞伝導性の薬物感受性部分も増加させ、これは、基本条件下で観察されたものよりも10倍高かった)
本実施例において、パッチクランプ研究を行い、細胞膜構造、膜電位、または膜伝導性、膜タンパク質もしくは受容体、イオンチャネル、ならびにカルシウム依存性細胞伝達システムのうちの少なくとも1つの調節により細胞内シグナル変換を調節するための本発明の界面動電的に生成された流体の有用性を更に確認した。
概略 上の実施例14に示されるように(例えば、Bio−Layer Interferometryバイオセンサー、Octet Rapid Extended Detection(RED)(forteBio(商標))を用いて、B2受容体へのブラジキニン結合の安定化を示す、図75)、B2受容体へのブラジキニン結合は、濃度依存性であり、結合親和性は、生理食塩水と比較して、本開示の界面動電的に生成された流体(例えば、Rev、ガス富化した界面動電的に生成された流体)で増加した。追加として、PMで刺激されたT制御性細胞の文脈において実施例15に示されるように、データは、対照流体中のPM(Revなし、Solisなし)と比較して、PMおよびRevの存在下で、T制御性細胞の増殖の低下を示し(図76)、例えば、アッセイにおいて、比較的低下した増殖により示されるように、本発明の界面動電的に生成された流体のRevは、制御性T細胞機能を改善したことを示した。更に、本発明の流体への暴露は、食塩水および培地対照(PMなし)と比較して、維持されたIL−10の産生または若干低下した産生を生じた。同様に、PMで刺激された末梢血液単核細胞(PBMC)のアレルギー喘息(AA)プロファイル細胞の文脈において、データは、本開示の流体(「PM+Rev」)への暴露は、食塩水および培地対照のレベルと同様の有意に低いトリプターゼレベルをもたらすことを示した。追加として、ジフテリア毒素(DT390)効果を、実施例15および図76〜83に示し、β遮断、GPCR遮断、およびCaチャネル遮断は、TregおよびPBMC機能における界面動電的に生成された流体の活性に影響を及ぼすことを示す。更に、追加の態様によれば、実施例18のデータは、本発明の流体に暴露されると、密着結合関連タンパク質が、肺組織中で上方調節されたことを示す。図85〜89は、それぞれ、結合接着分子JAM2および3、GJA1、3、4および5(結合接着)、OCLN(オクリーディン)、クローディン(例えば、CLDN3、5、7、8、9、10)、TJP1(密着結合タンパク質1)の上方調節を示す。
パッチクランプ研究を行い、前記有用性を更に調査し、かつ確認した。
材料および方法:
気管支上皮細胞株Calu−3は、パッチクランプ研究に使用した。Calu−3気管支上皮細胞(ATCC #HTB−55)は、実験する時まで、ガラス製のカバースリップ上に10%FBSで補完した、1:1のHam F12とDMEM培地の混合物において、増殖させた。簡潔に述べると、全細胞電圧クランプデバイスを使用して、本発明の界面動電的に生成された流体(例えば、RNS−60、60ppmの溶解酸素を含む界面動電的に生成された生理食塩水、場合によっては、本実施例において「薬物」と称される)に暴露された、Calu−3細胞における効果を測定した。
パッチクランプ法を利用して、上皮細胞膜の極性およびイオンチャネル活性における試験材料(RNS−60)の効果を評価した。具体的には、全細胞電圧クランプは、135mM NaCl、5mM KCl、1.2mM CaCl2、0.8mM MgCl2、および10mM HEPES(N−メチルD−グルカミンでpHを7.4まで調整)からなる浸液中で、気管支上皮細胞株Calu−3上で行った。基礎電流は、RNS−60が細胞に灌流された後、測定された。
更に具体的には、パッチピペットは、2段階のNarishige PB−7vertical pullerを用いて、ホウケイ酸ガラス(Garner Glass Co,Claremont,CA)から引き上げ、次いで、Narishige MF−9マイクロフォージ(Narishige International USA,East Meadow,NY)を用いて、6〜12メガオームの抵抗までファイヤーポリッシュされた。ピペットは、135KCl、10NaCl、5EGTA、10Hepesを含有する細胞内液(mM中)で充填され、NMDG(N−メチル−D−グルカミン)を用いてpHを7.4まで調整した。
培養されたCalu−3細胞は、以下の細胞外溶液(mM):135NaCl、5KCl、1.2CaCl2、0.5MgCl2、および10Hepes(遊離酸)を含有する、チャンバ中に入れ、NMDGを用いてpHを7.4まで調整した。
細胞は、Olympus IX71顕微鏡(Olympus Inc.,Tokyo,Japan)の40X DIC対物レンズを用いて見た。細胞接着型偽がシールを構築した後、軽度の吸引を適用して、全細胞構成をならし運転し、全細胞構成を得た。ならし運転した直後、細胞は、−120、−60、−40、および0mVで電圧クランプされ、±100mV間の電圧ステップ(500ms/ステップ)で刺激された。対照条件下で、全細胞電流を収集した後、同一の細胞を、上記の対照流体と同一の細胞外溶質およびpHを含む、試験流体を用いて、浴槽を通して灌流し、異なる保持電位で全細胞電流を、同一のプロトコルを用いて記録した。
電気生理学的データは、Axon Patch 200B増幅器を用いて取得し、10kHzで低域フィルタリングして、1400A Digidata(Axon Instruments,Union City,CA)を用いてデジタル化した。pCLAMP10.0ソフトウェア(Axon Instruments)を使用して、データを取得し、分析した。電流(I)−電圧(V)関係(全細胞伝導性)は、該ステップに、約400ミリ秒で実際の電流値、対保持電位(V)をプロットするにより得た。I/V関係の傾きは、全細胞伝導性である。
薬物および薬品 示される時にはいつでも、細胞は、8−Br−cAMP(500mM)、IBMX(イソブチル−1−メチルキサンチン、200mM)、およびホルスコリン(10mM)を含有する、cAMP刺激カクテルで刺激された。H2O溶液中の25mMストックからcAMP類似体8−Br−cAMP(Sigma Chem.Co.)を、使用した。10mMホルスコリンおよび200mM IBMXストック溶液の双方を含有するDMSO溶液からホルスコリン(Sigma)およびIBMX(Sigma)を、使用した。
パッチクランプの結果:
図100は、基礎(cAMPなし)条件下で、0mVの保持電位から+/−100mVをステッピングするプロトコルを用いて、全細胞電流を示す。代表的な透写図は、n=12細胞の平均である。左にある透写図は、対照であり、次いで、試験溶液を灌流する間の全細胞透写図(中央)である。右にある透写図は、対照条件下での値から、試験平均値の残算により得た複合差分である。電流−電圧関係から得た全細胞伝導性は、双方の条件下で、高線形であり、少量ではあるが、試験条件による、伝導性の著しい変化に反映する。全細胞伝導性への寄与、即ち、薬物(本発明の界面動電的に生成された流体)により阻害された成分はまた、線形であり、逆転電位は、ほぼ0mVである。過分極条件下で、全細胞伝導性の低下がある。
図101は、基礎条件下で、−40mVの保持電位から±100mVをステッピングするプロトコルを用いて、全細胞電流を示す。代表的な透写図は、n=12細胞の平均である。左にある透写図は、対照であり、次いで、試験溶液を灌流する間の全細胞透写図(中央)である。右にある透写図は、対照条件下での値から、試験平均値の残算により得た複合差分である。電流−電圧関係から得た全細胞伝導性は、双方の条件下で、高線形であり、少量ではあるが、試験条件による、伝導性の著しい変化に反映する。全細胞伝導性への寄与、即ち、薬物(本発明の界面動電的に生成された流体)により阻害された成分はまた、線形であり、逆転電位は、ほぼ0mVである。値は、0mVプロトコルを用いて得たものと比較的同様である。
図102は、基礎条件下で、−60mVの保持電位から±100mVをステッピングするプロトコルを用いて、全細胞電流を示す。代表的な透写図は、n=12細胞の平均である。左にある透写図は、対照であり、次いで、試験溶液を灌流する間の全細胞透写図(中央)である。右にある透写図は、対照条件下での値から、試験平均値の残算により得た複合差分である。電流−電圧関係から得た全細胞伝導性は、双方の条件下で、高線形であり、微量であるが、試験条件による、伝導性の著しい変化に反映する。全細胞伝導性への寄与、即ち、薬物により阻害された成分はまた、線形であり、逆転電位は、ほぼ0mVである。値は、0mVプロトコルを用いて得たものと比較的同様である。
図103は、基礎条件下で、−120mVの保持電位から±100mVをステッピングするプロトコルを用いて、全細胞電流を示す。代表的な透写図は、n=12細胞の平均である。左にある透写図は、対照であり、次いで、試験溶液を灌流する間の全細胞透写図(中央)である。右にある透写図は、対照条件下での値から、試験平均値の残算により得た複合差分である。電流−電圧関係から得た全細胞伝導性は、双方の条件下で、高線形であり、微量であるが、試験条件による、伝導性の著しい変化に反映する。全細胞伝導性への寄与、即ち、薬物により阻害された成分はまた、線形であり、逆転電位は、ほぼ0mVである。値は、0mVプロトコルを用いて得たものと比較的同様である。
図104は、cAMP刺激された条件下で、様々な保持電位から±100mVをステッピングするプロトコルを用いて、全細胞電流を示す。代表的な透写図は、n=5細胞の平均である。左にある透写図は、対照であり、cAMP刺激し、次いで、薬物含有溶液で灌流した後の全細胞透写図である。右にある透写図は、対照条件下(cAMPのみ)での値から、drug+cAMPの試験平均値の残算により得た複合差分である。上部にある透写図は、0mVでの、電圧プロトコルから得たものであり、下のものは、−40mVでのものである。電流−電圧関係から得た全細胞伝導性は、全ての条件下で、高線形であり、試験条件による、伝導性の変化に反映する。
図105は、cAMP刺激された条件下で、様々な保持電位から±100mVをステッピングするプロトコルを用いて、全細胞電流を示す。代表的な透写図は、n=5細胞の平均である。左にある透写図は、対照であり、cAMP刺激し、次いで、薬物含有溶液で灌流した後の全細胞透写図である。右にある透写図は、対照条件下(cAMPのみ)での値から、drug+cAMPの試験平均値の残算により得た複合差分である。上部にある透写図は、−60mVでの、電圧プロトコルから得たものであり、下のものは、−120mVでのものである。電流−電圧関係から得た全細胞伝導性は、全ての条件下で、高線形であり、試験条件による、伝導性の変化に反映する。
図106は、cAMP活性化電流における保持電位の効果を示す。全細胞伝導性における薬物(本発明の界面動電的に生成された流体、RNS−60、60ppmの溶解酸素を含む界面動電的に処理された生理食塩水)の効果は、異なる電圧プロトコル(0、−40、−60、−120mVの保持電位)下で観察された。基礎条件下で、薬物感受性全細胞電流は、全ての保持電位(電圧感度の低い寄与、左上パネル)で同一であった。しかしながら、cAMP活性化条件において、薬物感受性電流は、更に高く、印加した電圧プロトコルに対して感受性があった。電流−電圧関係は、高度に非線形である。これは、減算された電流において更に観察され(下パネル)、0mVでの全細胞伝導性の寄与は、各プロトコル(n=5)に更に減算された。
実施例の概要 したがって、特定の態様によれば、データは、基礎条件下で、薬物(本発明の界面動電的に生成された流体、RNS−60、60ppmの溶解酸素を含む界面動電的に処理された生理食塩水)の少量ではあるが、一貫した効果があることを示す。全細胞伝導性における薬物の効果を増強するために、実験はまた、cAMP刺激「カクテル」での刺激後、薬物を灌流することにより行われ、これは、全細胞伝導性を劇的に増加させた。興味深いことに、このプロトコルはまた、全細胞伝導性の薬物感受性部分も増加させ、これは、基礎条件下で観測されたものよりも10倍高かった。追加として、cAMP刺激の存在下で、薬物は、様々な電圧プロトコルに対して異なる効果を示し、界面動電的に生成された流体が、全細胞伝導性の電位依存性の寄与に影響を及ぼすことを示す。伝導性の線形成分の減少もあり、これは、別の経路(例えば、イオンチャネル、電位依存陽イオンチャネル等)の阻害への薬物の少なくとも1つの寄与を更に示唆している。
特定の態様では、機構に拘束されるわけではないが、出願者のデータは、原形質膜から遮断されるか、または回収される、チャネル(単数または複数)の変化を生成する、本発明の界面動電的に生成された流体(例えば、RNS−60、60ppmの溶解酸素を含む界面動電的に処理された生理食塩水)と一致する。
出願者の他のデータ(例えば、実施例のデータ)を総合すれば、本発明の特定の態様は、細胞膜構造、膜電位もしくは膜伝導性、膜タンパク質もしくは受容体、イオンチャネル、およびカルシウム依存性の細胞内シグナリングシステムのうちの少なくとも1つの調節を含む、細胞内シグナル変換を調節するための組成物および方法を提供し、これには、GPCRおよび/またはgタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない、細胞膜構造(例えば、膜および/もしくは膜タンパク質、受容体、または他の成分)の電気化学および/または立体構造の変化を与えるための本発明の界面動電的に生成された溶液の使用を含む。追加の態様によれば、これらの効果は、遺伝子発現を調節し、例えば、個々の伝達成分等の半減期において、持続、依存し得る。
実施例24
(本発明の界面動電的に生成された流体(RNS−60およびSolas)で灌流されたCalu−3細胞において行われたパッチクランプ分析は、(i)RNS−60およびSolasへの暴露が、全細胞伝導性の増加をもたらした、(ii)RNS−60への細胞の暴露が、15分間のインキュベーション時間で明らかな、非線形伝導性の増加を生じた、および(iii)RNS−60への細胞の暴露が、カルシウム透過性チャネルにおけるRNS−60食塩水の効果を生じたことを示した)
概略 本実施例において、パッチクランプ研究を行い、本明細書に記載されるように、全細胞電流を調節するための有用性を含む、本発明の界面動電的に生成された食塩水流体(RNS−60およびSolas)の有用性を更に確認した。2セットの実験を行った。
第1のセットの実験のデータの概要は、Solas食塩水を用いて得た全細胞伝導性(電流−電圧関係)は、双方のインキュベーション時間(15分間、2時間)、および全ての電圧プロトコルに対して、高度な線形であることを示す。しかしながら、Solasを用いた、更に長時間のインキュベーション(2時間)が、全細胞伝導性を増加させることは明らかである。RNS−60への細胞の暴露は、デルタ電流(Rev−Sol減算)に示されるように、非線形伝導性の増加を生じ、これは、15分間のインキュベーション時間でのみ明らかである。この非線形電流におけるRNS−60の効果は、消失し、その代わりに、2時間のインキュベーション時間での高度な線形がある。全ての電圧プロトコルで存在するが、非線形全細胞伝導性の寄与は、上で観察されるように、電圧感受性があった。
第2のセットの実験のデータの概要は、非線形電流において、RNS−60食塩水の効果があることを示し、これは、外液中の高カルシウムにおいて明らかにされた。非線形全細胞伝導性の寄与は、電圧感受性ではあるが、双方の電圧プロトコルに存在し、カルシウム透過性チャネルにおけるRNS−60食塩水の効果を示す。
第1の実験(伝導性の増加、および非線形電圧調節された伝導性の活性化)
第1のセットの実験のための方法:
一般的なパッチクランプ法に関しては、実施例23を参照のこと。以下の第1のセットの実験において、パッチクランプ研究を行い、基礎条件下で、Calu−3細胞を用いて、0mV保持電位、−120mVあるいは−60mVのいずれかからステッピングするプロトコルを用いて、全細胞電流を調節するために、本発明の界面動電的に生成された食塩水流体(RNS−60およびSolas)の有用性を更に確認した。
いずれの場合にも、全細胞伝導性は、15分間、あるいは2時間のいずれかでインキュベートされた細胞から得た、電流−電圧関係から得られ、実施例23の結果を更に確認した。本研究において、群は、SolasあるいはRNS−60食塩水溶液に対して、既定の時間で得た。得られたデータは、5〜9個の細胞に対して、平均値±SEM全細胞電流として表す。
結果:
図117A〜Cは、2つの時点(15分(左パネル)および2時間(右パネル))で、および異なる電圧プロトコル(A.0mVからのステッピング、B.−60mVからのステッピング、C.−120mVからのステッピング)で、上皮細胞膜極性およびイオンチャネル活性における界面動電的に生成された流体(例えば、RNS−60およびSolas)の効果を評価した、パッチクランプ実験の一連の結果を示す。結果は、RNS−60(黒丸)は、Solas(白丸)よりも全細胞伝導性におけるより大きな効果があることを示す。実験において、同様の結果が、3つの電圧プロトコルにおいて、および15分および2時間のインキュベーション時点で見られた。
図118A〜Cは、3つの電圧プロトコル(「デルタ電流」))(A.0mVからのステッピング、B.−60mVからのステッピング、C.−120mVからのステッピング)で、および2つの時点(15分間(白丸)および2時間(黒丸))で、RNS−60電流データからSolas電流データの減算から生じるグラフを示す。これらのデータは、RNS−60を用いた15分間の時点で、2時間の時点で、不在する非線形電位依存性成分があることを示した。
前の実験等の場合、「生理」食塩水を用いたデータは、参照として使用された、非常に一貫した、時間依存性伝導性を得た。本結果は、SolasあるいはRNS−60食塩水のいずれかと群を一致させることにより得られ、基礎条件(cAMPなし、または任意の他の刺激なし)下で、RNS−60食塩水へのCalu−3細胞の暴露は、時間依存性効果を生成し、より短期のインキュベーション時間(15分間)で、電圧調節された伝導性の活性化と一致することを示す。この現象は、2時間のインキュベーション時点では明らかではなかった。本明細書のいずれかの箇所で記載されるように、線形成分は、伝導性が、cAMP「カクテル」での刺激により増加する際、更に明らかである。それでもなお、2時間のインキュベーション時間は、RNS−60およびSolas食塩水の双方に対してより高い線形伝導性を示し、この場合、RNS−60食塩水は、Solas単独と比較して、全細胞伝導性が倍になった。この証拠は、全細胞伝導性への少なくとも2つの寄与、即ち、非線形電圧調整された伝導性および線形伝導性の活性化が、RNS−60食塩水により影響を及ぼし、これは、更に長時間のインキュベーション時間で、更に明らかである。
第2のセットの実験(カルシウム透過性チャネルにおける効果)
第2のセットの実験のための方法:
一般的なパッチクランプ法に関しては、実施例23を参照のこと。以下の第2のセットの実験において、なお更なるパッチクランプ研究を行い、基礎条件下で、Calu−3細胞を用いて、0mVあるいは−120mVのいずれかの保持電位からステッピングするプロトコルを用いて、全細胞電流を調節するために、本発明の界面動電的に生成された食塩水流体(RNS−60およびSolas)の有用性を更に確認した。
いずれの場合にも、全細胞伝導性は、いずれかの食塩水を用いて、15分間、インキュベートされた細胞から得た電流−電圧関係から得た。全細胞伝導性へのカルシウム透過性チャネルの寄与があるかどうか、および全細胞伝導性のこの部分に、RNS−60食塩水を用いたインキュベーションにより影響を及ぼすかどうかを決定するために、細胞は、インキュベーション期間後、生理食塩水中にパッチされた(高NaClの外部溶液を伴うが、内部溶液は、高KClを含有する)。次いで、外部食塩水は、NaClをCsClにより置換した溶液と置換し、主要な外部陽イオンを置換することにより、伝導性の変化があるかどうかを判定した。これらの条件下で、同一の細胞は、次いで、カルシウム入力ステップが、更に明らかにされるように、カルシウムの濃度を増加させるように暴露された。
結果:
図119A〜Dは、異なる外部食塩水を用いて、異なる電圧プロトコルで(パネルAおよびCは、0mVからのステッピングを示し、パネルBおよびDは、−120mVからのステッピングを示す)、上皮細胞膜極性およびイオンチャネル活性における、界面動電的に生成された流体(例えば、Solas(パネルAおよびB)ならびにRNS−60(パネルCおよびD))の効果を評価した、パッチクランプ実験の一連の結果を示す。これらの実験において、15分間の一時点を使用した。Solas(パネルAおよびB)に関して、結果は、1)外部溶液として、NaClの代わりにCsCl(四角印)を用いて、対照(ひし形印)と比較した際、線形挙動と共に全細胞伝導性が増加したこと、ならびに2)20mM CaCl2(丸印)および40mM CaCl2(三角印)の双方で、CaCl2は、非線形法において、全細胞伝導性が増加したことを示す。RNS−60(パネルCおよびD)に関して、結果は、1)外部溶液として、NaClの代わりにCsCl(四角印)を用いて、対照(ひし形印)と比較した際、全細胞伝導性における効果がほとんどなかったこと、ならびに2)40mMでのCaCl2(三角印)は、非線形法において、全細胞伝導性を増加したことを示す。
図120A〜Dは、Solas(パネルAおよびB)ならびにRevera60(パネルCおよびD)に対する2つの電圧プロトコルで(パネルAおよびC.0mVからのステッピング、BおよびD.−120mVからのステッピング)、20mM CaCl2(ひし形印)および40mM CaCl2(四角印)電流データからのCsCl電流データ(図119に示す)の減算から生じるグラフを示す。結果は、SolasおよびRNS−60溶液は共に、カルシウム誘発された非線形全細胞伝導性を活性化したことを示す。RNS−60(投与量反応性を示す)を用いた場合の効果が、より大きく、RNS−60を用いた場合のみ、より高いカルシウム濃度で増加した。更に、より高いカルシウム濃度で、非線形カルシウム依存性伝導性はまた、電圧プロトコルにより増加した。
この第2のセットの実験のデータは、Calu−3細胞中で得られた全細胞伝導性データに対して、RNS−60食塩水およびSolas食塩水の効果を更に示す。データは、いずれかの食塩水を用いた15分間のインキュベーションは、全細胞伝導性における明らかな効果を生じ、これは、RNS−60を用いた場合、最も明らかであり、外部カルシウムが増加する際、RNS−60食塩水は、全細胞伝導性のカルシウム依存性非線形成分を増加することを示す。
蓄積された証拠は、イオンチャネルのRevalesio食塩水による活性化を示唆し、これは、基底細胞伝導性への異なる寄与をなす。
出願者の他のデータ(例えば、出願者の他の実施例のデータ)を総合すれば、本発明の特定の態様は、細胞膜構造、膜電位もしくは膜伝導性、膜タンパク質もしくは受容体、イオンチャネル、脂質成分、または細胞により置換可能な細胞内成分(例えば、カルシウム依存性の細胞シグナリングシステム等のシグナル経路)のうちの少なくとも1つの調節を含む、細胞内シグナル変換を調節するための組成物および方法を提供し、これには、GPCRおよび/またはgタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない、細胞膜構造(例えば、膜および/もしくは膜タンパク質、受容体、または他の膜成分)の電気化学および/または立体構造の変化を与えるための本発明の界面動電的に生成された溶液の使用を含む。追加の態様によれば、これらの効果は、遺伝子発現を調節し、例えば、個々の伝達成分等の半減期において、持続、依存し得る。
実施例25
(本発明の界面動電流体(RNS−60)の原子間力顕微鏡法(AFM)測定は、制御「加圧ポット」に存在するもの(PNS−60)流体)よりも実質的に小さかった疎水性表面ナノバブルの存在および/または形成を示した
概略 出願者は、本発明の界面動電流体(RNS−60)において、疎水性ナノバブルを特徴付けるために、原子間力顕微鏡法(AFM)測定を使用した。
材料および方法:
AFM研究 AFM研究は、当該分野において認識されているNanotech User Facility(NTUF)で行われた。AFM研究のために、極細で精密な針を、疎水性表面に置かれた水の液滴に浸漬する。次いで、針を、約15分間、1mm2等の速度で水/表面干渉上でスキャンする。針は、表面形状において、何らかの欠陥を記録し、小量の気泡の存在を記録するのに十分精密である。
水滴を置いたシリコン基板を、トリクロロ(1H,1H,2H,2H−ペルフルオロオクテル)シラン)を用いて調製し、得られる疎水性表面は、約95度の接触角で、水にビーズ形成(bead up)させる。このコーティングは、特に耐久性があるため、ある程度、多くのAFM研究において使用される。
溶液調製 2つの試験溶液:RNS−60およびPNS−60を研究した。RNS−60は、60ppmの酸素を含む、本発明の界面動電流体であり、一方、PNS−60は、加圧酸素ヘッド(即ち、加圧ポット含酸素流体)への従来の暴露により調製された60ppmの酸素を含む、非界面動電対照流体である。各試験溶液を、最初に、少量の中性リン酸緩衝(pH7)溶液の添加により緩衝化し、約60〜70uLの各緩衝化された試験溶液(約22℃)を予め調製したシリカプレート上に置いた。
結果:
AFMの元で、RNS−60の液滴は、幅約20nm、高さ約1.5nm以下の寸法を有する、1mm2の面積において、約20個の疎水性ナノバブルを示した(図121A)。対照的に、AFMの元で、PNS−60の液滴は、幅約60nm、高さ約5nmの寸法を有する、1mm2の面積において、約5個の疎水性ナノバブルを示した(図121B)。したがって、PNS−60の液滴は、RNS60の液滴と比較して、更に少なく、更に大きい疎水性ナノバブルを得た。
したがって、特定の態様によれば、RNS−60とPNS−60試験溶液との間で、疎水性表面ナノバブルの大きさ分布において実質的な差異があり、ナノバブルは、AFM測定中、試験流体中に当初から存在する、および/または試験流体内で形成されるかのいずれかである。
本明細書のいずれかの箇所で論じられるように、本発明の特定の態様において、本発明の界面動電的に改変された水性流体は、約100ナノメートル未満の平均直径を実質的に有する帯電安定化した酸素含有のナノ構造および流体によって生細胞に接触した際に、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節を提供するのに十分な量において、イオン水性流体中に安定的に構成された、イオン水溶液を含む。
しかしながら、出願者は、AFM実験において観察されるもの等の疎水性気泡(疎水性表面上に形成する)は、本明細書に開示される本発明の生物学的活性帯電安定化したナノ構造とは基本的には異なる可能性があることを指摘する。したがって、特定の態様によれば、大きさおよび分布疎水性気泡形成に基づいて、本発明の界面動電流体(例えば、RNS−60)が、非界面動電対照流体とは基本的には異なる、本実施例におけるAFM実験は、支援するが、疎水性気泡は、本明細書のいずれかの箇所で詳細の本発明の帯電安定化した酸素含有のナノ構造とは異なる、および/または由来する可能性がある。いずれにしても、本発明の界面動電流体に関して、対照加圧ポット含酸素流体は、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つを調節することが可能な帯電安定化した酸素含有のナノ構造を含まない。
実施例26
(RNS−60は、蛍光活性化細胞分類(FACS)分析により、細胞表面受容体:CD193(CCR3)、CD154(CD40L)、CD11B、およびCD3の発現への顕著な効果があったことを示した)
概略 出願者は、本発明の界面動電流体(RNS−60)あるいは生理食塩水対照流体のいずれかを用いてインキュベートした白血球における、細胞表面受容体のCD193(CCR3)、CD154(CD40L)、CD11B、およびCD3の発現レベルを比較するために、蛍光活性化細胞分類(FACS)分析を使用した。
方法:
フィコールハイパックで分離したPBMC(アフェレーシス−全ての細胞)を、RNS60または生理食塩水(NS)の30% 溶液中で、約1時間プレインキュベートした。
PBMCは、24時間または40時間、2μg/mLのPHA−Lで活性化した。
細胞は、収集し、遮断/染色緩衝液で洗浄し、染色し、固定した。
フローサイトメトリーにより細胞を分析した。
結果:
CD193(CCR3)について、図122Bに示されるように、この受容体は、RNS−60の存在下で、生理食塩水対照の受容体発現レベルと比較して、実質的に下方調節される。この下方調節は、MAPK p38のリン酸化反応に影響を及ぼし(データは示さず)、同様に、エオタキシンを下方調節し(例えば、実施例13および図57を参照のこと)、同様に、IL5を下方調節し(データは示さず)、その上、好酸球数も変化させ(例えば、実施例13を参照のこと)、このような例は、気管支収縮反応を変化させる、要因の一つである。
オホアルブミン刺激モデルの文脈において実施例13において上記で論じられ、図57に示されるように、RNS−60は、生理食塩水の効果と比較して、OVA刺激群における血清エオタキシンレベルを低下させた。したがって、特定の態様によれば、RNS−60は、リガンドエオタキシンおよびその受容体CCR3の双方を低下させる可能性がある。
CD154(CD40L)に関しては、図123Aに示されるように、この受容体は、RNS−60の存在下で、生理食塩水の受容体発現レベルと比較して、下方調節される。
CD11Bに関しては、図123Bに示されるように、この受容体は、RNS−60の存在下で、生理食塩水の受容体発現レベルと比較して、下方調節される。
CD3に関しては、図123Cに示されるように、この受容体は、RNS−60の存在下で、生理食塩水の受容体発現レベルと比較して、下方調節される。
実施例27
(RNS60は、MBP抗原刺激を受けたT細胞におけるNFκの活性化を減衰したが、生理食塩水(NS)は、減衰しなかった)
本実施例は、RNS60は、MBP抗原刺激を受けたT細胞におけるNFκの活性化を減衰したが、生理食塩水(NS)は、減衰しなかったことを示す。したがって、特定の態様によれば、本発明の界面動電的に生成された流体は、糖尿病および関連代謝性障害、インスリン耐性、神経変性疾患(例えば、多発性硬化症(M.S.)、パーキンソン病、アルツハイマー病等)、喘息、嚢胞性線維症、血管/冠状動脈性疾患、網膜および/もしくは黄斑変性、消化系障害(例えば、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病等)が含まれるが、これらに限定されない、炎症および炎症を媒介した状態および疾患を治療するために、実質的な実用性を有する。
概略:
インスリン受容体シグナル経路の阻害は、炎症およびストレス反応が、インスリン耐性を媒介する中枢機序であることは、より一層明らかである(例えば、Wellen & Hotamisligil,The Journal of Clinical Investigation,115:1111−1119,2005による概説を参照のこと)。
代謝および免疫経路のオーバーラップ 幾つかのセリン/トレオニンキナーゼは、炎症またはストレス刺激によって活性化され、JNK、NF−κBキナーゼ(IKK)の阻害剤、およびPKC−θを含む、インスリンシグナルの阻害に寄与する(Zick,Y.2003.Role of Ser/Thr kinases in the uncoupling of insulin signaling.Int.J.Obes.Relat.Metab.Disord.27(Suppl.3):S56−S60)。更に、肥満におけるこれらのキナーゼの活性化は、代謝および免疫経路のオーバーラップを明らかにし、これらは、LPS、ペプチドグリカン、二本鎖RNA、および他の微生物産物に応答して、トール様受容体(TLR)シグナルによる生得的免疫応答において活性化されるものと同じキナーゼ、特に、IKKおよびJNKである(Medzhitov,R.2001.Toll−like receptors and innate immunity.Nat.Rev.Immunol.1:135−145)。したがって、TLRシグナル経路の構成要素はまた、強力な代謝活性も示す可能性がある。
PKCおよびIKKは、細胞脂質の代謝産物により活性化される。特に、脂質の代謝産物に応答して、インスリン作用に拮抗するのに大きな役割を果たす、2つの他の炎症性キナーゼは、IKKおよびPKC−θである。脂質注入は、ジアシルグリセロール(DAG)および脂肪酸アシルCoA等の細胞内脂肪酸の代謝産物のレベルの増加をもたらすことを実証している。この増加は、PKC−θの活性化に相関し、IRS−1のSer307リン酸化反応を増加させる(Yu,C.,et al.2002.Mechanism by which fatty acids inhibit insulin activation of insulin receptor substrate−1(IRS−1)−associated phosphatidylinositol 3−kinase activity in muscle.J.Biol.Chem.277:50230−50236)。PKC−θは、別のセリン/トレオニンキナーゼのIKKβまたはJNKの活性化によりインスリン作用を低下させ得る(Perseghin,G.,Petersen,K.,and Shulman,G.I.2003.Cellular mechanism of insulin resistance:potential links with inflammation.Int.J.Obes.Relat.Metab.Disord.27(Suppl.3):S6−S11)。他のPKCアイソフォームはまた、脂質により活性化されることが報告されており、また、インスリンシグナルの阻害にも関与し得る(Schmitz−Peiffer,C.2002.Protein kinase C and lipid−induced insulin resistance in skeletal muscle.Ann.N.Y.Acad.Sci.967:146−157)。
IKKβは、NF−κBを活性化することによりインスリンシグナルに影響を与えることができる。IKKβは、少なくとも2つの経路を通ってインスリンシグナルに影響を与えることができる。第一に、セリン残基において、IRS−1を直接リン酸化することができる(Yin,M.J.,Yamamoto,Y.,and Gaynor,R.B.1998.The anti−inflammatory agents aspirin and salicylate inhibit the activity of IκB kinase−β.Nature.396:77−80、Gao,Z.,et al.2002.Serine phosphorylation of insulin receptor substrate 1 by inhibitor kappa B kinase complex.J.Biol.Chem.277:48115−48121)。
第二に、IKKβは、NF−κB(IκB)の阻害剤をリン酸化し、ひいては、他の標的のうちで、TNF−αおよびIL−6を含む、複数の炎症性メディエータの産生を刺激する転写因子のNF−κBを活性化することができる(Shoelson,S.E.,Lee,J.,and Yuan,M.2003.Inflammation and the IKKβ/IκB/NF−κB axis in obesity− and diet−induced insulin resistance.Int.J.Obes.Relat.Metab.Disord.27(Suppl.3):S49−S52)。IKKβに対するマウスヘテロ接合体は、脂質注入、高脂肪食、または遺伝的肥満により、インスリン耐性に対して、部分的に保護される(Yuan,M.,et al.2001.Reversal of obesity− and diet induced insulin resistance with salicylates or targeted disruption of IKKβ Science.293:1673−1677、Kim,J.K.,et al.2001.Prevention of fat−induced insulin resistance by salicylate.J.Clin.Invest.108:437−446、doi:10.1172/JCI200111559)。
更に、高用量のアスピリン治療によるヒト糖尿病におけるIKKβの阻害はまた、インスリンシグナルを向上するが、この用量で、他のキナーゼも影響を及ぼすかどうかは明らかではない(Hundal,R.S.,et al.2002.Mechanism by which high−dose aspirin improves glucose metabolism in type 2 diabetes.J.Clin.Invest.109:1321−1326.doi:10.1172/JCI200214955)。最近の研究はまた、インスリン耐性の発症における個々の組織または細胞型のIKKの重要性を探り出し始めている。肝細胞および骨髄性細胞におけるIKKの活性化は、肥満によって誘発されたインスリン耐性に寄与するように思われるが、この経路は、筋肉においてはあまり重要ではないかもしれない(Cai,D.,et al.2005.Local and systemic insulin resistance resulting from hepatic activation of IKKβ and NF−κB.Nat.Med.11:183−190、Arkan,M.C.,et al.2005.IKKβ links inflammation to obesity−induced insulin resistance.Nat.Med.11:191−198、およびRohl,M.,et al.2004.Conditional disruption of IκB kinase 2 fails to prevent obesity−induced insulin resistance.J.Clin.Invest.113:474−481、doi:10.1172/JCI200418712)。
方法 図124Aおよび124Bに示される実験に関しては、MBPの免疫マウスから単離したT細胞は、MBPで再度抗原刺激を受け、24時間後、細胞は、異なる濃度のRNS60およびNSを得た。処置から2時間後、NF−κBのDNA結合活性は、電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)においてモニターした。
図124Cに示される実験に関しては、MBPの免疫マウスから単離したT細胞は、NF−κB依存性レポーター構築物のPBIIX−Lucでトランスフェクトし、続いて、MBPで再度抗原刺激を受けた。MBPで再度抗原刺激を受けてから24時間後、異なる濃度のRNS60およびNSで、2時間、細胞を処理し、続いて、ルシフェラーゼアッセイキット(Promega)により全細胞抽出物のルシフェラーゼ活性のアッセイを行なった。別の場合では、MBP抗原刺激を受けたT細胞はまた、30nM PMAで1時間刺激を受けた。これらの場合では、RNS60およびNSで事前に処理してから1時間後、PMAを添加した。結果は、3つの異なる実験の平均値+標準偏差である。
結果 図124A〜Cは、RNS60が、MBP抗原刺激を受けたT細胞におけるNF−κBの活性化を減衰したが、生理食塩水(NS)は、減衰しなかったことを示す。具体的には、図124Aおよび124Bは、RNS60(図124Aおよび124Bの真ん中の3つのレーンを参照のこと)が、用量反応法において、MBP抗原刺激を受けたT細胞におけるNF−κBの活性化を減衰したが、NS(図124Aおよび124Bの最右のレーンを参照のこと)は、減衰しなかったことを示す。
同様に、図124Cの棒グラフは、RNS60(図124Aおよび124Bの2番目、3番目、および4番目の棒を参照のこと)が、用量反応法において、MBP抗原刺激を受けたT細胞におけるNF−κBの活性化を減衰したが、NS(図124Aおよび124Bの5番目の棒を参照のこと)は、減衰せず、ひいては、全細胞抽出物のNF−κB依存性レポーター構築物(PBIIX−Luc)からのトランスフェクトしたルシフェラーゼ活性も減衰した。
したがって、特定の態様によれば、本開示の界面動電的に生成された流体は、糖尿病および関連代謝性障害、インスリン耐性、神経変性疾患(例えば、多発性硬化症(M.S.)、パーキンソン病、アルツハイマー病等)、喘息、嚢胞性線維症、血管/冠状動脈性疾患、網膜および/もしくは黄斑変性、消化系障害(例えば、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病等)が含まれるが、これらに限定されない、炎症および炎症を媒介した状態および疾患を治療するために、実質的な実用性を有する。
参照による組み込み
本願において言及される、および/または出願データシートに挙げられている、上記の米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許刊行物の全ては、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
本明細書の図面および詳細な説明は、制限的方法よりむしろ例示的なものであると見なされ、開示される特定の形態および例に対して本発明を限定することを意図しない。それとは逆に、本発明には、以下の特許請求により定義されるように、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、当業者には明らかな任意の更なる修正、変更、再配置、置換、代替、設計選択、および実施形態が含まれる。したがって、以下の特許請求は、全てのこのような修正、変更、再配置、置換、代替、設計選択、および実施形態を包含すると解釈されるべきであることを意図する。
前述の実施形態は、異なる他の成分内に含有された、または接続された、異なる成分を示す。このような示された構築物は、単に例示的であり、かつ同一の機能性を達成する多くの他の構築物が実施され得るという事実は、理解されるものとする。概念的な意味において、同一の機能性を達成するための成分の任意の配置は、所望の機能性を達成するように、効果的に「会合」される。故に、特定の機能性を達成するために組み合わせた本明細書の2つの成分は、構築物または媒介の成分に関係なく、所望の機能性を達成するように、互いに「会合する」と見なされ得る。同様に、このように会合された2つの成分はまた、所望の機能性を達成するように、互いに、「操作可能に接続される」または「操作可能に連結される」ものとして見られ得る。
本発明の特定の実施形態を示し、記載するが、本明細書の教示に基づいて、本発明およびその広範な態様から逸脱することなく、変更および修正がなされ得ることは、当業者には明らかであるため、それらの範囲内で全てのこのような変更および修正を包含する添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲内にある。更に、本発明が、単に添付の特許請求の範囲により定義されるものであることを理解されよう。一般に、本明細書、および特に、添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の主要部)に使用される用語は、一般的に、「開放的な(open)」用語(例えば、「含む(including)」という用語は、「〜が含まれるが、これらに限定されない(including but not limited to)」として解釈されるものとし、「有する(having)」という用語は、「少なくとも〜を有する(having at least)」として解釈されるものとし、「含む(includes)」という用語は、「〜が含まれるが、これらに限定されない(includes but is not limited to)」として解釈されるものとする等)として、意図されるものであることは、当業者には理解されよう。特定の数の導入される特許請求の範囲の詳述が意図される場合、このような意図は、特許請求の範囲中に明確に引用され、このような詳述がない場合、このような意図は存在しないことは、当業者には更に理解されよう。例えば、理解を助けるために、以下の添付の特許請求の範囲は、特許請求の範囲の詳述を導入するために、前置きの語句「少なくとも1つの(at least one)」および「1つ以上(one or more)」の使用を含有し得る。しかしながら、このような語句の使用は、同一の請求項が前置きの語句「1つ以上」または「少なくとも1つの」、および「a」または「an」等の不定冠詞を含むときでさえも、不定冠詞「a」または「an」による特許請求の範囲の詳述の導入が、ただ1つのこのような詳述を含む発明のこのような導入された特許請求の範囲の詳述を含むいかなる特定の特許請求の範囲を制限することを意味すると解釈するべきではない;同じことが特許請求の範囲の詳述の導入に使用される定冠詞の使用にも当てはまる。加えて、特定の数の導入される特許請求の範囲の詳述が明確に引用される場合であっても、このような詳述は、少なくとも引用される数(例えば、他の修飾語句なしの「2つの詳述」の単なる詳述は、一般に少なくとも2つの詳述、または2つ以上の詳述を意味する)等を意味すると一般に解釈すべきことは、当業者には認識されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲による場合を除いて限定されない。