JP2012524280A - 上皮成長因子受容体キナーゼ阻害剤に対する抗がん反応を予測するための生物学的マーカー - Google Patents

上皮成長因子受容体キナーゼ阻害剤に対する抗がん反応を予測するための生物学的マーカー Download PDF

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Abstract

本発明は、EGFRキナーゼ阻害剤を用いてがん患者の治療の有効性を予測するための診断方法を提供する。これらの方法は、EGFRキナーゼ阻害剤を用いた治療の有効性が、患者の腫瘍細胞が生物マーカーであるビメンチンおよびEカドヘリンを高レベルで発現するか、または低レベルで発現するかにより予測されるという驚くべき発見に基づいており、これにより、腫瘍が生物マーカーであるビメンチンおよびEカドヘリンの少なくとも1つを高レベルで発現する患者は、腫瘍がビメンチンおよびEカドヘリンの両方を低レベルで発現する患者よりも長期にわたる生存率および進行のない生存を有する。本発明は、患者において腫瘍または腫瘍転移を治療するための方法であって:腫瘍細胞が生物マーカーであるビメンチンおよびEカドヘリンの少なくとも1つを高レベルで発現するか否かを判断することによって、EGFRキナーゼ阻害剤に対する患者の反応性が有望であることを診断する工程、および特に阻害剤の有効性が予測される場合に、前記患者に治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤(例えば、エルロチニブ)を投与する工程を含む方法をさらに提供する。

Description

発明の背景
[1]がんは、広範囲の細胞機能不全および調節不全の総称であり、無秩序な増殖、分化の欠如、および局部組織に侵入し遠隔部位に転移する潜在性によって特徴付けられる。これらの新生物形成性の悪性腫瘍は、種々の有病率の程度で、体におけるあらゆる組織および器官に影響を及ぼし得る。本発明は、がん患者を診断し、および治療するための方法に向けられる。本発明は特に、患者が上皮成長因子受容体(EGFR)キナーゼ阻害剤(例えばエルロチニブ)による治療から最も高い恩恵を受けるかどうかを決定するための方法に向けられる。
[2]上皮成長因子受容体(EGFR)ファミリーは、分化および増殖などの細胞の反応に関わる4つの密接に関連する受容体(HER1/EGFR、HER2、HER3およびHER4)を含む。EGFRキナーゼまたはそのリガンドである形質転換成長因子−α(TGF-α)の過剰発現は、乳房、肺、結腸直腸、卵巣、腎臓の細胞、膀胱、頭および頚部のがん、グリア芽細胞腫、ならびに星細胞腫を含む、多くのがんとよく関連し、かつこれらの腫瘍の悪性成長に寄与すると考えられる。EGFR遺伝子(EGFRvIII)における特定の欠失-突然変異が、細胞の腫瘍原性を増大させることもまた見いだされた。EGFR刺激を受けたシグナリング経路の活性化により、潜在的にがんを促進するプロセス、例えば増殖、脈管形成、細胞運動および浸潤、アポトーシス(プログラムされた細胞死)の減少および薬物耐性の誘導などの、複数のプロセスが促進される。HER1/EGFR発現の増加は、疾患の進行、転移および予後不良に高い頻度でつながる。例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)および胃がんにおいて、HER1/EGFR発現の増加は、高い転移率、乏しい腫瘍分化および腫瘍増殖の増加と相関することが示された。
[3]NSCLCおよびグリア芽細胞腫において、受容体の固有タンパク質チロシンキナーゼ活性を活性化させ、および/または下流のシグナリングを増大させる突然変異が観察された。しかし、EGFR阻害剤、例えばエルロチニブ(TARCEVA(登録商標))またはゲフィチニブ(IRESSA(商標))、に対する感受性を与えるという原理メカニズムとしての突然変異の役割は、議論の余地があった。最近では、全長EGFRの突然変異体形態において、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤ゲフィチニブに対する反応性が予測されることが報告されている(Paez、J. G. et al.(2004)Science 304:1497-1500;Lynch(T. J. et al.)(2004)N. Engl. J. Med. 350:2129-2139)。細胞培養研究によって、EGFRの突然変異体形態を発現する細胞株(すなわちH3255)がEGFRチロシンキナーゼ阻害剤ゲフィチニブによる増殖阻害に対してより感受性であること、また野生型EGFRを発現する腫瘍細胞株を阻害するためには非常により高い濃度のゲフィチニブが必要とされることが示されている。これらの観察により、EGFRの特異的突然変異体形態は、EGFR阻害剤に対するより高い感受性に反映され得るが、完全に非反応性の表現型は示さないことが示唆される。
[4]EGFRのキナーゼ活性を直接阻害する化合物、ならびにEGFR活性化を遮断することによってEGFRキナーゼ活性を減少させる抗体の、抗腫瘍薬としての使用に関する発展は、熱心に研究努力されている領域である(de Bono J.S. and Rowinsky, E.K. (2002) Trends in Mol. Medicine 8:S19-S26; Dancey, J. and Sausville, E.A. (2003) Nature Rev. Drug Discovery 2:92-313)。いくつかの研究により、いくつかのEGFRキナーゼ阻害剤は、その他の所与の抗がん剤もしくは化学療法薬または治療と組み合わせて使用される場合に、腫瘍細胞または腫瘍形成死滅を改善し得ることが証明され、開示され、または示唆された(例えばHerbst, R.S. et al. (2001) Expert Opin. Biol. Ther. 1:719-732; Solomon, B. et al (2003) Int. J. Radiat. Oncol. Biol. Phys. 55:713-723; Krishnan, S. et al. (2003) Frontiers in Bioscience 8, e1-13; Grunwald, V. and Hidalgo, M. (2003) J. Nat. Cancer Inst. 95:851-867; Seymour L. (2003) Current Opin. Investig. Drugs 4(6):658-666; Khalil, M.Y. et al. (2003) Expert Rev. Anticancer Ther.3:367-380; Bulgaru, A.M. et al. (2003) Expert Rev. Anticancer Ther.3:269-279; Dancey, J. and Sausville, E.A. (2003) Nature Rev. Drug Discovery 2:92-313; Ciardiello, F. et al. (2000) Clin. Cancer Res. 6:2053-2063;およびPatent Publication No: US 2003/0157104)。
[5]エルロチニブ(例えば、エルロチニブHCl、TARCEVA(登録商標)またはOSI-774としても知られる)は、経口的に利用できるEGFRキナーゼの阻害剤である。インビトロにおいて、エルロチニブは、結腸直腸および乳がんを含む、多数のヒト腫瘍細胞株のEGFRキナーゼに対して実質的な阻害活性を示し(Moyer J.D. et al.(1997)Cancer Res. 57:4838)、また前臨床評価により、EGFRを発現する多数のヒト腫瘍異種移植に対する活性が示された(Pollack, V.A. et al (1999) J. Pharmacol. Exp. Ther. 291:739)。より最近では、エルロチニブは、頭部がんおよび頚部がん(Soulieres, D., et al. (2004) J. Clin. Oncol. 22:77)、NSCLC(Perez-Soler R, et al. (2001) Proc. Am. Soc. Clin. Oncol. 20:310a, abstract 1235)、結腸直腸がん(CRC)(Oza, M., et al. (2003) Proc. Am. Soc. Clin. Oncol. 22:196a, abstract 785)および転移性乳がん(MBC)(Winer, E., et al. (2002) Breast Cancer Res. Treat. 76:5115a, abstract 445)を含む、多数の兆候における第I相および第II相治験において有望な活性を示した。第III相治験において、エルロチニブ単独療法は、進行した治療不応性のNSCLCを患う患者において、有意に延命させ、病気の進行を遅らせ、かつ肺がんに関連する症候の悪化を遅らせた(Shepherd, F. et al. (2004) J. Clin. Oncology, 22:14S (July 15 Supplement), Abstract7022)。エルロチニブに関する大部分の臨床的治験データがNSCLCにおけるその使用に関するが、第I/II相研究より得られた予備結果は、CRC(Oza, M., et al. (2003) Proc. Am. Soc. Clin. Oncol. 22:196a, abstract 785)およびMBC(Jones, R.J., et al. (2003) Proc. Am. Soc. Clin. Oncol. 22:45a, abstract 180)を含む、広範囲のヒト固形腫瘍型を患う患者におけるエルロチニブおよびカペシタビン/エルロチニブ併用療法に関し、有望な活性を示した。2004年11月、米国食品医薬品局(FDA)は、先の1回以上の化学療法処方計画の失敗の後、局所的に進行した、または転移性のNSCLCを患う患者の治療のために、TARCEVA(登録商標)を承認した。TARCEVA(登録商標)は、第III相臨床治験において進行したNSCLC患者の延命を示す、EGFRクラスにおける唯一の薬剤である。
[6]抗新生物薬は理想的には、非悪性細胞に向けられるその毒性と比較して広範な治療指数をもち、がん細胞を選択的に死滅させるだろう。それはまた、薬剤に長時間曝露した後でさえ、悪性細胞に対してその有効性を保持し得る。残念なことに、現在の化学療法のいずれも、このような理想的な性質を有しない。その代わりに、ほとんどは、非常に狭い範囲の治療指数を有する。さらに、致死量よりわずかに少ない濃度の化学療法剤に曝露されたがん細胞は、非常に頻繁にこのような薬剤に対する耐性を生み出し、極めて頻繁にいくつかの他の抗がん剤に対する交差耐性をも生み出し得る。加えて、任意の所与のがんタイプについては、EGFRキナーゼ阻害剤などの、より新しい遺伝子-標的治療でさえ、患者が特定の治療に反応しそうかどうかを予測することは大抵できないため、最も有効な療法を見いだすために、かなりの試行錯誤を必要とし、しばしば患者にかなりのリスクおよび不快感を与える。
[7]従って、がんおよびその他の増殖障害に対するより効果的な治療およびどの腫瘍がどの治療に反応するかを決定するためのより有効な手段に対する需要がある。既存の薬剤の治療有効性を増強するためのストラテジーは、これらの投与のスケジュールの変更およびまたその他の抗がん剤または生化学的調節剤と併用してこれらを使用することなどであった。併用療法は、より優れた有効性を生じ、かつ単独で各薬剤を治療的に適切な用量で使用する場合と比較して副作用を減らすことができる方法として周知である。いくつかの場合には、複合製剤の有効性は、相加的である(併用の有効性は、各薬剤単独の効果の合計にほぼ等しい)が、その他の場合には、効果は、相乗的である(併用の有効性は、各薬剤が単独で与えられる場合の効果の合計より大きい)。標的特異的な治療的アプローチは一般に、従来の細胞毒性薬剤と比較して毒性の減少に結びつくため、併用処方における使用に向いている。
[8]エルロチニブなどの標的特異的な治療的アプローチは一般に、従来の細胞毒性薬剤と比較して毒性の減少に結びつくため、併用療法における使用に向いている。ベバシズマブ(Mininberg, E.D., et al. (2003) Proc. Am. Soc. Clin. Oncol. 22:627a, abstract 2521)およびゲムシタビン(Dragovich, T., (2003) Proc. Am. Soc. Clin. Oncol. 22:223a, abstract 895)と併用したエルロチニブにおける第I/II相研究において、有望な結果が観察された。NSCLCの第III相試験における最近のデータにより、標準的な化学療法と組み合わせた第一線のエルロチニブまたはゲフィチニブが生存能力を改善しないことが示された(Gatzemeier, U., (2004) Proc. Am. Soc. Clin. Oncol. 23:617 (Abstract 7010); Herbst, R.S., (2004) Proc. Am. Soc. Clin. Oncol. 23:617 (Abstract 7011); Giaccone, G., et al. (2004) J. Clin. Oncol. 22:777; Herbst, R., et al. (2004) J. Clin. Oncol. 22:785)。しかし、膵臓がんの第III相治験により、ゲムシタビンと併用した第一線のエルロチニブが、生存能力を改善することが示された(OSI Pharmaceuticals/Genentech/ Roche Pharmaceuticals Press Release, 9/20/04)。
[9]いくつかのグループにより、EGFR阻害剤に対する患者の反応を予測するために、可能性のある生物マーカーについて調査された(例えば、PCT公報:WO 2004/063709、WO 2005/017493、WO 2004/111273、WO 2004/071572、WO 2005/117553、WO 2005/070020およびWO 2009/023172;および米国特許出願公開:US 2005/0019785、US 2004/0132097、US 2006/211060、US 2008/0090233およびUS 2008/113874を参照されたい)。しかし、EGFRキナーゼ阻害剤を用いたこれらの患者の治療において開業医を導くことができる診断上または予後の試験は、たった今出現し始めたばかりであり、また追加的でかつ改善された試験が明らかに必要である。
[10]ほとんどのがんが転移する際、腫瘍細胞において、上皮間葉移行(EMT)として知られる重大な変化が生じる(Thiery, J.P. (2002) Nat. Rev. Cancer 2:442-454; Savagner, P. (2001) Bioessays 23:912-923; Kang Y. and Massague, J. (2004) Cell 118:277-279; Julien-Grille, S., et al. Cancer Research 63:2172-2178; Bates, R.C. et al. (2003) Current Biology 13:1721-1727; Lu Z., et al. (2003) Cancer Cell. 4(6):499-515))。EMTは、上皮創傷癒合において上皮組織の再構成を助けるために一過性EMT状態が誘導されるものの、健康な細胞には胚形成の間を除いて通常存在しない。上皮細胞は、互いに密接に結合し、かつ両極性を示すが、より間葉細胞の表現型に変化し、この場合にはこれらの間葉細胞は、互いによりゆるく保持され、両極性の喪失を示し、かつ組織内で移動する能力を有する。これらの間葉様細胞は、当初の腫瘍を囲んでいる組織に広がることができるとともに、腫瘍から分離して、血液およびリンパ管に侵入し、かつ新たな場所に移動して、その場所で分裂し、さらなる腫瘍を形成できる。最近の研究により、上皮細胞はEGFRおよびインスリン様成長因子-1受容体(IGF-1R)キナーゼ阻害剤によく反応するが、EMTの後に生じる間葉様の腫瘍細胞は、このような阻害剤にそれほど感受性でないことが示された。(例えば、Thompson, S. et al. (2005) Cancer Res. 65(20):9455-9462; 米国特許出願60/997,514を参照されたい)。従って、腫瘍細胞EMTイベントを防止し、もしくは逆転させ(例えば、間葉上皮転換(MET)を刺激する)、またはEMTによって生じる間葉様の腫瘍細胞の成長を阻害できる抗がん剤が、すぐにでも必要である。このような薬剤は、EGFRおよびIGF-1Rキナーゼ阻害剤などのその他の抗がん剤とともに使用される場合に、特に有用であるだろう。
[11]ヒトがんがより浸潤性の転移性状態に進行するにつれて、細胞の生存および遊走を調節する複数のシグナリングプログラムが、細胞および組織の状況に依存して観察される(Gupta, G. P., and Massague, J. (2006) Cell 127, 679-695)。最近のデータは、上皮間葉移行に似たプロセスである上皮がん細胞のより間葉様の状態への分化転換が細胞の浸潤および転移を促進することを際立たせる(EMT;(Oft, M., et al. (1996). Genes & development 10, 2462-2477; Perl, A. K., et al.(1998). Nature 392, 190-193)、(Brabletz、T. et al.(2005)Nat Rev Cancer 5、744-749;Christofori、G.(2006)Nature 441、444-450)。EMT様転換を介して、間葉様の腫瘍細胞は、増殖性の潜在能力を犠牲にして遊走性の能力を得ると考えられる。間葉上皮転換(MET)は、より増殖性の状態を再生させ、かつ遠隔部位にて原発腫瘍に似ているマクロ転移を形成させると仮定されている(Thiery, J. P.(2002)Nat Rev Cancer 2、442-454)。腫瘍細胞におけるEMT様転換は、Znフィンガー、フォークヘッド、bHLHおよびHMG-boxドメインを有する転写因子を介した、かなりの期間(数週間から数カ月)にわたる転写の再プログラムによって生じる(Mani, S. A. et al. (2007) Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 104, 10069-10074; Peinado, H. et al. (2007) Nat Rev Cancer 7, 415-428)。Eカドヘリンの喪失およびより間葉様の状態への転換は、ビメンチンまたはフィブロネクチンなどの間葉タンパク質の発現増加を伴って、がんの進行において主要な役割を果たす可能性が高く(Matsumura, T. et al. (2001) Clin Cancer Res 7, 594-599; Yoshiura, K. et al. (1995). Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 92, 7416-7419)、また間葉表現型の獲得は、予後不良と相関していた(Baumgart, E. et al. (2007) Clin Cancer Res 13, 1685-1694; Kokkinos, M. I. Et al. (2007) Cells, tissues, organs 185, 191-203; Willipinski-Stapelfeldt, B. et al. (2005) Clin Cancer Res 11, 8006-8014.)。腫瘍由来の間質細胞および/または腫瘍に関連する間質細胞をターゲティングすることによって、EMT様転換を遮断し、かつ侵入細胞の生存を阻害するための独特の機構が提供される。
[12]EMT様転換と関連する細胞の変化は、生存のためのEGFRシグナリングネットワークに対するがん腫細胞の依存性を変化させる。EMT様転換がEGFRキナーゼ阻害剤エルロチニブに対する細胞の非感受性と関連していること(Thomson, S. et al.(2005)Cancer Research 65、9455-9462;Witta, S. E., et al. (2006)Cancer Research 66、944-950;Yauch, R. L., et al.(2005)Clin Cancer Res 11、8686-8698)は、部分的にPI3-キナーゼまたはMek-Erk経路のいずれかまたは両方におけるEGFR非依存的な活性化により、観察された(Buck, E. et al. (2007). Molecular Cancer Therapeutics 6, 532-541)。EMT状態をEGFRキナーゼ阻害剤に対する感受性に対して相関させる類似のデータが、膵臓の、CRC(Buck, E. et al.(2007)Molecular Cancer Therapeutics 6、532-541)、膀胱(Shrader, M. et al.(2007)Molecular Cancer Therapeutics 6、277-285)およびHNSCC(Frederick et al.(2007)Molecular Cancer Therapeutics 6、1683-1691)細胞株、異種移植片において、ならびに患者(Yauch, R. L., et al.(2005)Clin Cancer Res 11、8686-8698)において報告されている。PI3-キナーゼおよびErk経路の活性化における別の経路に対する分子決定因子は、EGFR阻害剤に対する細胞の感受性を迂回させることができ、活発に調査されてきた(Chakravarti, A. et al. (2002) Cancer research 62, 200-207; Engelman, J. A. et al. (2007) Science 316:1039-1043)。
[13]従って、近年、EGFRキナーゼ阻害剤に対する腫瘍細胞の感受性に影響する因子の解明は、かなり進行したが、この阻害剤が単一の薬剤として使用されるか、またはその他の抗がん剤と併用されるかにかかわらず、あらゆる所与のがん患者のための治療の最良の形態を決定するための、およびこのような決定をがん患者のためのより有効な治療処方計画に組み込むための改善された方法に対する重要な需要が残されている。
[14]本発明は、EGFRキナーゼ阻害剤を用いたがん患者の治療の有効性を予測するための診断方法および予後の方法を提供する。これらの方法は、EGFRキナーゼ阻害剤を用いた治療の有効性が、患者の腫瘍細胞が生物マーカーであるビメンチンおよびEカドヘリンを高レベルで発現するか、または低レベルで発現するかにより予測され、その結果、腫瘍が生物マーカーであるビメンチンおよびEカドヘリンの少なくとも1つを高レベルで発現する患者は、腫瘍がビメンチンおよびEカドヘリンの両方を低レベルで発現する患者よりも長期にわたる生存率および進行のない生存を有するという驚くべき発見に基づいている。
[15]上述した方法論を組み込む、EGFRキナーゼ阻害剤でがん患者を治療するための改良された方法もまた提供される。従って本発明は、患者において腫瘍または腫瘍転移を治療するための方法であって、腫瘍細胞が生物マーカーであるビメンチンおよびEカドヘリンの少なくとも1つを高レベルで発現するか否かを判断することによって、EGFRキナーゼ阻害剤に対する患者の反応性が有望であることを診断する工程、および特に阻害剤の有効性が予測される場合に、前記患者に治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤(例えば、エルロチニブ)を投与する工程を含む方法をさらに提供する。
[16]Eカドヘリン染色の強度の代表例を、以下のように示す:A. Eカドヘリン+0;B. Eカドヘリン+1;C. Eカドヘリン+2;D. Eカドヘリン+3。 [17]ビメンチン染色の強度の代表例を、以下のように示す:A. ビメンチン+0;B. ビメンチン+1;C. ビメンチン+2;D. ビメンチン+3。 [18]生存についてのKaplan-Meier図。この図は、Eカドヘリンについての全生存解析を示す。左上のプロットは、Eカドヘリンの高サブセットについて、エルロチニブアームをプラセボアームと比較する。右上のプロットは、Eカドヘリンの低サブセットについて、エルロチニブアームをプラセボアームと比較する。下方にあるプロットは、エルロチニブアーム(左下のプロット)について、およびプラセボアーム(右下のプロット)について、Eカドヘリンの高サブセットをEカドヘリンの低サブセットと比較する。Eカドヘリンの高サブセットにおいてはエルロチニブアームがより有利であり、また同様に、エルロチニブアームについては、Eカドヘリンの高サブセットがより有利である。Eカドヘリンの低サブセットおよびプラセボアームについては、効果は、方向が切り替わるが、大きさがより小さい。 図3Aと同じ。 図3Aと同じ。 図3Aと同じ。 [19]PFSについてのKaplan-Meier図。この図は、Eカドヘリンについての無増悪生存解析を示す。左上のプロットは、Eカドヘリンの高サブセットについて、エルロチニブアームをプラセボアームと比較する。右上のプロットは、Eカドヘリンの低サブセットについて、エルロチニブアームをプラセボアームと比較する。下方にあるプロットは、エルロチニブアーム(左下のプロット)について、およびプラセボアーム(右下のプロット)について、Eカドヘリンの高サブセットをEカドヘリンの低サブセットと比較する。Eカドヘリンの高サブセットにおいてはエルロチニブアームがより有利であり、また同様に、エルロチニブアームについては、Eカドヘリンの高サブセットがより有利である。Eカドヘリンの低サブセットおよびプラセボアームについては、効果は、方向が切り替わるが、大きさがより小さい。 図4Aと同じ。 図4Aと同じ。 図4Aと同じ。 [20]生存についてのKaplan-Meier図。この図は、ビメンチンについての全生存解析を示す。左上のプロットは、ビメンチンの高サブセットについて、エルロチニブアームをプラセボアームと比較する。右上のプロットは、ビメンチンの低サブセットについて、エルロチニブアームをプラセボアームと比較する。下方にあるプロットは、エルロチニブアーム(左下のプロット)について、およびプラセボアーム(右下のプロット)について、ビメンチンの高サブセットをビメンチンの低サブセットと比較する。ビメンチンの高サブセットにおいてはエルロチニブアームがより有利であり、また同様に、エルロチニブアームについては、ビメンチンの高サブセットがより有利である。ビメンチンの低サブセットについては、エルロチニブとプラセボとの間に相違がない。プラセボアームにおいては、効果が逆転しており、ビメンチンの低サブセットがビメンチンの高サブセットよりも好ましい。 図5Aと同じ。 図5Aと同じ。 図5Aと同じ。 [21]PFSのためのKaplan-Meier図。この図は、ビメンチンについての無増悪生存解析を示す。左上のプロットは、ビメンチンの高サブセットについて、エルロチニブアームをプラセボアームと比較する。右上のプロットは、ビメンチンの低サブセットについて、エルロチニブアームをプラセボアームと比較する。下方にあるプロットは、エルロチニブアーム(左下のプロット)について、およびプラセボアーム(右下のプロット)について、ビメンチンの高サブセットをビメンチンの低サブセットと比較する。ビメンチンの高サブセットにおいてはエルロチニブアームがより有利であり、また同様に、エルロチニブアームについては、ビメンチンの高サブセットがより有利である。ビメンチンの低サブセットについては、エルロチニブとプラセボとの間に相違がない。プラセボアームにおいては、効果が逆転しており、ビメンチンの低サブセットがビメンチンの高サブセットよりも好ましい。 図6Aと同じ。 図6Aと同じ。 図6Aと同じ。 [22]奏効率。この表は、BR.21患者の特定のサブセットについて、奏効率(完全奏効 + 部分奏効)および病勢コントロール率(完全奏効 + 部分奏効 + 安定)を報告する。報告した比率は、CR+PRまたはCR+PR+SDについての患者の数(n)を、そのサブセットにおける患者の数(N)で割ったものである。これは、各治療選択肢について、比(n/N)および95%の正確な信頼限界での割合として示される。P値(フィッシャーの正確確率検定より)は、エルロチニブアームとプラセボアームとの奏効率における相違についての試験に提供される。 [23]強度+2または+3のEカドヘリン染色:治療選択肢によって、高い場合対低い場合を比較する。 図8Aの続き。 [24]強度+2または+3のEカドヘリン染色:治療選択肢によって、高い場合対低い場合を比較する。 図9Aの続き。 [25]任意の強度のEカドヘリン染色:治療選択肢によって、高い場合対低い場合を比較する。 図10Aの続き。 [26]任意の強度のEカドヘリン染色:Eカドヘリン状態によって、エルロチニブ対プラセボを比較する。 図11Aの続き。 [27]Eカドヘリン複合体のスコア:治療選択肢によって、高い場合対低い場合を比較する。 図12Aの続き。 [28]Eカドヘリン複合体のスコア:Eカドヘリン状態によって、エルロチニブ対プラセボを比較する。 [29]任意の強度のビメンチン染色:治療選択肢によって、高い場合対低い場合を比較する。 図14Aの続き。 [30]任意の強度のビメンチン染色:ビメンチン状態によって、エルロチニブ対プラセボを比較する。 図15Aの続き。 [31]強度+2または+3のビメンチン染色:治療選択肢によって、高い場合対低い場合を比較する。 [32]強度+2または+3のビメンチン染色:ビメンチン状態によって、エルロチニブ対プラセボを比較する。 [33]ビメンチン複合体のスコア:治療選択肢によって、高い場合対低い場合を比較する。 [34]ビメンチン複合体のスコア:ビメンチン状態によって、エルロチニブ対プラセボを比較する。
[35]個々の「がん」という用語は、無秩序な増殖、不死、転移の潜在能力、急速な成長および増殖速度、ならびに一定の特徴的な形態学的特色などの、発がん性細胞の典型的な特徴を有する細胞の存在をいう。がん細胞はしばしば、腫瘍の形態であり得るが、このような細胞が個体内に単独で存在してもよく、または例えば白血病細胞などの独立した細胞として血流において循環し得る。
[36]例えば、「腫瘍細胞成長」の文脈において本明細書に使用される「細胞成長」は、特に明記しない限り、腫瘍学において一般に使用されるように使用され、本用語は、主に細胞数の増大に関連し、後者の速度が細胞死(例えばアポトーシスまたは壊死による)の速度より大きい場合に細胞再生(すなわち、増殖)によって生じて、細胞の集団のサイズを増大させるが、その増大における小さな要素は、一定の環境において、個々の細胞の細胞サイズまたは細胞質容積の増大にもまた起因する。従って、細胞成長を阻害する薬剤は、増殖を阻害すること、もしくは細胞死を刺激することのいずれかまたは両方により、それを行うことができ、その結果、これらの2つの反対のプロセス間の平衡が変化される。
[37]本明細書に使用される「腫瘍成長」または「腫瘍転移成長」は、特に明記しない限り、腫瘍学において一般に使用されるように使用され、本用語は、主に腫瘍細胞成長の結果として、主に腫瘍もしくは腫瘍転移の質量または容積の増加と関連する。
[38]本明細書に使用される「治療すること」という用語は、特に明記しない限り、部分的にまたは完全に、がんを患う患者における腫瘍、腫瘍転移またはその他の発がん性もしくは腫瘍性の細胞の成長を、後退させ、軽減させ、その進行を阻害し、または予防することを意味する。本明細書に使用される「治療」という用語は、特に明記しない限り、治療の行為をいう。
[39]「治療する方法」という句またはその均等物は、例えばがんに適用される場合、個体におけるがん細胞の数を減少させる、もしくは除去する、またはがんの症候を軽減するように計画された手順または行動方針をいう。がんまたは別の増殖障害を「治療する方法」は、必ずしも、がん細胞もしくはその他の障害が実際に除去され得ること、細胞の数もしくは障害が実際に減少し得ること、またはがんもしくはその他の障害の症候が実際に軽減され得ることを意味するわけではない。がんを治療する方法はしばしば、成功の可能性が低い場合でさえも行われ得るが、個々の病歴および余命を考慮すれば、それでもなお全体として有益な行動方針であると判断される。
[40]「治療上有効な薬剤」という用語は、研究者、獣医師、医師またはその他の臨床医によって探求されている組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的な反応を誘発し得る組成物を意味する。
[41]「治療上有効な量」または「有効量」という用語は、研究者、獣医師、医師またはその他の臨床医によって探求されている組織、系、動物もしくはヒトの生物学的または医学的な反応を誘発し得る対象化合物または組み合わせの量を意味する。
[42]下記の本明細書の実施例において提示されるデータは、患者の腫瘍細胞が生物マーカーのビメンチンおよびEカドヘリンを高レベルで発現するか、または低レベルで発現するかによって、EGFRキナーゼ阻害剤を用いたがん患者の治療の有効性が予測されることを示し、これによりその腫瘍が生物マーカーのビメンチンまたはEカドヘリンの少なくとも1つを高レベルで発現する患者は、これらの生物マーカーの両方を低レベルで発現する患者よりも、治療に応答してより長い全生存および無増悪生存を有する。その他の生物マーカーのレベルが低い場合でも、生物マーカーのいずれか1つが高レベルであれば、治療の有効性が予測される。従って、例えばEカドヘリンの発現レベルが低い場合であっても、ビメンチンの発現レベルが高い場合、治療は有効であると予測される。これらの観察は、患者の転帰に対するEGFRキナーゼ阻害剤の効果を予測するための有益で新しい診断方法の基礎となり、またこれらの患者のために最も適切な治療計画を選択する際の助けとなるさらなるツールを腫瘍学者に与える。
[43]腫瘍細胞における高ビメンチン発現(すなわち、EMTの後)が、EGFRキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞の成長の感受性の減少と相関することを示唆するかなり多数の研究を考慮すれば、このビメンチン生物マーカー結果は極めて驚くべきである(例えば、Thomson, S. et al.(2005)Cancer Research 65、9455-9462を参照されたい)。
細胞株および動物モデルにおける以前の調査と本明細書において記述される臨床的研究との間の一致が明らかに不足していることの理由は、いまだ未知である。
[44]従って本発明は、EGFRキナーゼ阻害剤を用いたがん患者の治療の有効性を予測する方法であって:患者の腫瘍細胞によって発現される生物マーカービメンチンのレベルを評価する工程;同じ腫瘍細胞によって発現される生物マーカーEカドヘリンのレベルを評価する工程;例えば、参照レベルもしくは対照試料と比較することにより、または標準化された評価系を使用することにより、腫瘍が2つの生物マーカーを高い発現レベルで発現するか、または低い発現レベルで発現するかを決定する工程;および治療の有効性を予測する工程であって、2つの生物マーカーの少なくとも1つが高レベルであることは治療がより有効であろうことを示し;ならびに、がん患者の治療の有効性は治療に応答してより長い全生存またはより長い無増悪生存のいずれかによって示される工程を含む方法を提供する。
[45]本発明はまた、EGFRキナーゼ阻害剤を用いてがん患者の治療の有効性を予測する方法であって:患者の腫瘍細胞によって発現される生物マーカービメンチンのレベルを評価する工程;例えば、参照レベルもしくは対照試料と比較することにより、または標準化された評価系を使用することにより、腫瘍がビメンチンを高い発現レベルで発現するか、または低い発現レベルで発現するかを決定する工程;および治療の有効性を予測する工程であって、高レベルのビメンチンは治療がより有効であろうことを示し;ならびに、がん患者の治療の有効性は治療に応答したより長い全生存またはより長い無増悪生存のいずれかによって示される工程を含む方法を提供する。
[46]本発明はまた、EGFRキナーゼ阻害剤を用いたがん患者の治療の有効性を予測する方であって:患者の腫瘍細胞によって発現される生物マーカーEカドヘリンのレベルを評価する工程;例えば、参照レベルもしくは対照試料と比較することにより、または標準化された評価系を使用することにより、腫瘍がEカドヘリンを高い発現レベルで発現するか、または低い発現レベルで発現するかを決定する工程;および治療の有効性を予測する工程であって、高レベルのEカドヘリンは治療がより有効であろうことを示し;ならびに、がん患者の治療の有効性は治療に応答したより長い全生存またはより長い無増悪生存のいずれかによって示される工程を含む方法を提供する。
[47]本明細書に記述される生物マーカー診断方法のいずれかを治療処方計画の一部として包含して、EGFRキナーゼ阻害剤を用いたがん患者の治療の有効性を予測することは、EGFRキナーゼ阻害剤から大部分の利益を引き出す患者の集団のみが治療される必要があり、特にEGFRキナーゼ阻害剤を用いた治療からの利益が予測されない患者は治療される必要はないという点で、このような生物マーカー診断工程を含まない治療処方計画に対して利点をもたらす。
[48]本明細書において提示されるデータによって示されるように、Eカドヘリンおよびビメンチンの両方の生物マーカーを測定する本発明の方法は、これらの生物マーカーのただ1つを測定する診断アッセイに対し、潜在的に優れた結果を提供できる。例えば、Eカドヘリンだけを測定する診断方法は、腫瘍がEカドヘリンを低発現するが、ビメンチンを高発現する患者の集団(本明細書において報告された研究における患者の約14%)において、EGFRキナーゼ阻害剤治療の有効性を予測できないだろう。従って、二重のビメンチン/Eカドヘリンの生物マーカーアプローチは、EGFRキナーゼ阻害剤を用いた治療からの利益がないと予測される患者の数を減少させ、従って、潜在的に治療を受けることができない患者の数を減少させ、彼らの寿命を有意に延長し得る。
[49]本発明は、がんを患う患者を治療する方法であって、EGFRキナーゼ阻害剤の有効性を予測するための本明細書に記載された発明の方法のいずれかによって、EGFRキナーゼ阻害剤に対する患者の反応が有望であることを診断する工程;および患者に治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤を投与する工程を含む方法をさらに提供する。
[50]本発明は、がんを患う患者を治療する方法であって:患者の腫瘍細胞によって発現される生物マーカービメンチンのレベルを評価することにより、EGFRキナーゼ阻害剤を用いたがん患者の治療の有効性を予測する工程;同じ腫瘍の細胞によって発現される生物マーカーEカドヘリンのレベルを評価する工程;例えば、参照レベルもしくは対照試料と比較することにより、または標準化された評価系を使用することにより、腫瘍が2つの生物マーカーを高い発現レベルで発現するか、または低い発現レベルで発現するかを決定する工程;および治療の有効性を予測する工程であって、2つの生物マーカーの少なくとも1つが高レベルであることは治療がより有効であろうことを示し;ならびに、がん患者の治療の有効性は治療に応答したより長い全生存またはより長い無増悪生存のいずれかによって示され;および患者に治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤を投与する工程を含む方法を提供する。
[51]本発明はまた、がんを患う患者を治療する方法であって:患者の腫瘍細胞によって発現される生物マーカービメンチンのレベルを評価することにより、EGFRキナーゼ阻害剤を用いたがん患者の治療の有効性を予測する工程;例えば、参照レベルまたは対照試料と比較することにより、または標準化された評価系を使用することにより、腫瘍がビメンチンを高い発現レベルで発現するか、または低い発現レベルで発現するかを決定する工程;および治療の有効性を予測する工程であって、高レベルのビメンチンは治療がより有効であろうことを示し;ならびに、がん患者の治療の有効性は治療に応答したより長い全生存またはより長い無増悪生存のいずれかによって示され;および患者に治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤を投与する工程を含む方法を提供する。
[52]本発明はまた、がんを患う患者を治療する方法であって:患者の腫瘍細胞によって発現される生物マーカーEカドヘリンのレベルを評価することにより、EGFRキナーゼ阻害剤を用いたがん患者の治療の有効性を予測する工程;例えば、参照レベルまたは対照試料と比較することにより、または標準化された評価系を使用することにより、腫瘍がEカドヘリンを高い発現レベルで発現するか、または低い発現レベルで発現するかを決定する工程;および治療の有効性を予測する工程であって、高レベルのEカドヘリンは治療がより有効であろうことを示し;ならびに、がん患者の治療の有効性は治療に応答したより長い全生存またはより長い無増悪生存のいずれかによって示され;および患者に治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤を投与する工程を含む方法を提供する。
[53]本発明はまた、がんを患う患者を治療する方法であって、患者が生物マーカーEカドヘリンを高レベルで発現する腫瘍細胞を有することによって、治療に応答してより長い全生存またはより長い無増悪生存を有し得ると予測される場合、患者に治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤を投与することを含む方法を提供する。
[54]本明細書に記載された患者を治療する方法のいずれかの一態様において、患者に治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤を投与する工程は、先の生物マーカー診断工程が、治療がより有効であろう(すなわち、腫瘍細胞におけるEカドヘリンおよび/またはビメンチンの発現レベルが高い)ことを示すという条件付きである。本明細書に記載された患者を治療する方法のいずれかの別の態様において、先の生物マーカー診断工程が、治療が特に有効である可能性が高くない(例えば、腫瘍細胞におけるEカドヘリンおよびビメンチンの両方の発現レベルが低い)と予測する場合でも、患者は治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤を投与される。後者の態様は例えば、医師判断においていくつかの利益がEGFRキナーゼ阻害剤の投与によってなおも達成され得るし、および/または患者のためのその他の選択肢が限定され、または存在しない場合には、続行されてもよい。
[55]本明細書に記載された治療方法について、好ましいEGFRキナーゼ阻害剤の例は、薬理学的に許容される塩またはその多形を含むエルロチニブである。個々の患者に属する任意のさらなる状況と組み合わせて、EGFRキナーゼ阻害剤に対する患者の反応性の可能性の予測を考慮して、投与する医師によって適切であると判断された場合に、1つ以上のさらなる抗がん剤または治療も、EGFRキナーゼ阻害剤と同時にまたは連続して、共同投与されてもよい。
[56]従って、EGFRキナーゼ阻害剤に対する患者の反応性が有望であるという診断後に、前記患者に治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤を投与する正確な様式が主治医の裁量であるであろうことは、医学分野における当業者によって理解されるであろう。投薬量、その他の抗がん剤との組み合わせ、投与のタイミングおよび頻度などを含む、投与の様式は、EGFRキナーゼ阻害剤に対する患者の反応性が有望であるという診断、ならびに患者の状態および病歴によって影響を受け得る。従って、EGFRキナーゼ阻害剤に対しあまり反応しないと診断された患者であっても、特に他の抗がん剤もしくはEGFRキナーゼ阻害剤に対する患者の反応を変化させる薬剤と組み合わせて、このような阻害剤を用いた治療からでも利益を受け得る。
[57]本発明の方法において、生物マーカーの発現レベルに引用される場合の「高」または「低」の用語は、発現レベルが、EGFRキナーゼ阻害剤(例えば、エルロチニブ)を用いた治療に対して異なる反応をする患者の2つの群を規定する2つの発現レベル範囲に患者の腫瘍発現レベルを分離するカットポイントレベルより上または下を示し、すなわち、ビメンチンまたはEカドヘリンを高く発現する群は、低く発現する群より効率的に治療に反応する。
[58]例えば、一態様において、ビメンチンについて、ビメンチンタンパク質発現は免疫組織化学(IHC)によって決定され、腫瘍細胞の10%が任意のレベル(すなわち、+1、+2または+3の染色強度)のビメンチンを発現するカットポイントレベルが選択され、これにより、ビメンチン、10%以上の細胞が任意のレベルのビメンチンを発現する場合である。従って、この態様において、少なくとも10%の腫瘍細胞(例えば10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%もしくは100%またはこれらの値の間の任意の中間値)が任意のレベルのビメンチンを発現する任意の腫瘍試料は、高ビメンチンを発現すると見なされる。従って、この態様において、低ビメンチンは、10%未満の腫瘍細胞が任意のレベルのビメンチンを発現する場合である。
[59]別の態様において、Eカドヘリンについては、Eカドヘリンタンパク質発現が免疫組織化学(IHC)によって決定されることを特徴とし、腫瘍細胞の40%が+2または+3のEカドヘリン染色強度を有するカットポイントレベルが選択され、ここで高Eカドヘリンとは、40%以上の細胞が+2または+3の染色強度でEカドヘリンを発現する場合をいう。従って、この態様において、少なくとも40%の腫瘍細胞(例えば40%、50%、60%、70%、80%、90%もしくは100%またはこれらの値の間の任意の中間値)が+2または+3の染色強度でEカドヘリンを発現する任意の腫瘍試料は、高Eカドヘリンを発現すると見なされる。従って、この態様において低Eカドヘリンは、40%未満の腫瘍細胞が+2または+3の染色強度でEカドヘリンを発現する場合である(例えば30%、20%、10%、0%またはこれらの値の間の任意の中間値)。
[60]本明細書に記載された方法の他の態様について類似のカットポイントレベルを確立できることは、当業者によって理解されるだろう。例えば、タンパク質生物マーカー発現を測定するために別の方法が使用される場合に、または生物マーカー発現レベルを決定するためにmRNAレベルが評価される場合に、生物マーカーレベルが高いか、または低いかを分類でき、かつEGFRキナーゼ阻害剤を用いた治療に対して異なる反応をする2つの群の患者を同様に規定する、適したレベルを容易に選択できる。
[61]本発明の方法のいずれかにおいて、「参照レベル」または「対照試料」という用語は、試験試料レベルが高いか、または低いかを判断するために、生物マーカーの発現レベルの決定における比較のために使用できる基準をいうために使用される。適した基準は例えば、本明細書に記載された実験研究または相当する研究からの腫瘍試料でもよく、それは患者の集団内で生じる発現レベルの範囲の意味を研究者に与え、またこれにより、試験試料の発現レベルがどの範囲(すなわち高い、または低い)内に入るかについて研究者が知ることができる。
[62]本発明の方法のいずれかにおいて、「標準化された評価系」という用語は、1つの実験から次まで、または1人の研究者から次まで、アッセイ再現性を保証するために使用できる生物マーカー発現レベルを定量化する系をいうために使用され、その結果、このような系を使用する任意の試験試料生物マーカーレベルの評価は、過去の結果、および例えば、高いか低いかのいずれかであると決定された発現レベルと容易に関連付けることができる。実験の節において本明細書に記載された評価系は、免疫組織化学(IHC)に使用するためのこのような標準化された評価系の例である。IHCのための別の評価系または定量化系もまた使用され得ることは、当該技術分野において公知である。
[63]本明細書に記載された本発明の方法のいずれかにおいて、「患者の腫瘍細胞によって発現される生物マーカー(例えば、Eカドヘリン、ビメンチン)のレベルを評価する」工程は、例えば以下の工程の1つ以上などのさらなる工程を包含してもよい:1. がん患者から腫瘍試料を得る工程;2. 抗生物マーカー抗体または生物マーカープローブと腫瘍試料を接触させる工程;および3. 腫瘍試料における抗生物マーカー抗体またはプローブ結合の部位を局在化させかつ定量化するための検出方法(例えば、色素生産性;蛍光性)を使用する工程。
[64]本発明の方法のいずれかにおける、患者の腫瘍細胞におけるビメンチンまたはEカドヘリン生物マーカーの発現レベルが高いか低いかの評価は、参照レベルとしての対照腫瘍細胞試料における前記生物マーカーの発現レベルとの比較によって決定してもよく、この対照腫瘍細胞生物マーカーレベルは、以前にEGFRキナーゼ阻害剤を用いた治療に対する患者の反応性に相関したものである。あるいは、低から高の生物マーカー発現レベルの範囲、また従ってEGFRキナーゼ阻害剤を用いた治療に対する患者の反応性の範囲を表すこのような患者の腫瘍細胞試料のパネルは、EGFRキナーゼ阻害剤に対する反応性を試験腫瘍細胞試料の生物マーカー発現レベルから予測できる標準曲線を構築するために使用できる。あるいは、患者の腫瘍細胞におけるビメンチンまたはEカドヘリン生物マーカーの発現レベルが高いか低いかを決定するために、標準化された評価系を使用できる。
[65]試験腫瘍細胞試料または対照細胞試料における生物マーカーの発現レベルは、「相対的発現レベル」を得るために、細胞数、総タンパク質もしくは総RNAレベルまたは1つの細胞間で発現がほとんどもしくは全く変化しないハウスキーピング遺伝子(例えば、GAPDH、β-アクチン、チューブリンなど)の発現レベルに対して相対的に決定してもよい。試験腫瘍細胞試料と対照細胞試料とにおける生物マーカー発現レベルの比較は、このような相対的発現レベルを比較することによって行ってもよい。
[66]アッセイが行われる時点で、対照細胞試料をそれぞれの新たなアッセイのために確立する必要はなく、しかしむしろ、ベースラインまたは対照は例えば、本明細書に記載された方法のいずれかによって確立される対照レベルなどの、治療される患者(EGFRキナーゼ阻害剤治療に有利に反応する群およびあまり有利に反応しない群の両方を含む)について事前に決定された対照レベルに関して記録された情報の形態を参照することによって確立できることは、当業者によって理解されるだろう。このような記録された情報の形態は例えば、有利に反応する患者およびあまり有利に反応しない患者に関する集団もしくは個々のデータの参照チャート、リストもしくは電子ファイルまたは評価されるべき患者に有用な生物マーカーの対照発現レベルに関するデータについての任意のその他の供与源を含み得るが、限定されない。
[67]本発明はまた、EGFRキナーゼ阻害剤を用いたがん患者の治療がより長い全生存またはより長い無増悪生存につながるかどうかを予測する方法であって:患者の腫瘍細胞によって発現される生物マーカービメンチンのレベルを測定する工程;患者の腫瘍細胞によって発現される生物マーカーEカドヘリンのレベルを測定する工程;および腫瘍がEGFRキナーゼ阻害剤を用いた治療の結果としてより長い全生存またはより長い無増悪生存が示されているカットポイントレベル以上にビメンチンまたはEカドヘリンの少なくとも1つを発現するかどうかを決定する工程を含む方法を提供する。この方法の1つの態様において、生物マーカーのレベルは、タンパク質発現の免疫組織化学的決定によって決定され、かつビメンチンについてのカットポイントレベルは、腫瘍細胞の10%が任意のレベル(すなわち染色強度が+1つ以上)のビメンチンタンパク質を発現することであり、かつEカドヘリンについてのカットポイントレベルは、腫瘍細胞の40%が+2以上の染色強度でEカドヘリンタンパク質を発現することである。
[68]本発明はまた、EGFRキナーゼ阻害剤を用いたがん患者の治療がより長い全生存またはより長い無増悪生存につながるかどうかを予測する方法であって:患者の腫瘍細胞によって発現される生物マーカービメンチンのレベルを測定する工程;および腫瘍がEGFRキナーゼ阻害剤を用いた治療の結果としてより長い全生存またはより長い無増悪生存が示されているカットポイントレベル以上にビメンチンを発現するかを決定する工程を含む方法を提供する。この方法の1つの態様において、ビメンチン生物マーカーのレベルは、ビメンチンタンパク質発現の免疫組織化学的決定によって決定され、かつカットポイントレベルは、腫瘍細胞の10%が任意のレベル(すなわち、染色強度が+1つ以上)のビメンチンタンパク質を発現することである。
[69]本発明はまた、EGFRキナーゼ阻害剤を用いたがん患者の治療がより長い全生存またはより長い無増悪生存につながるかどうかを予測する方法であって:患者の腫瘍細胞によって発現される生物マーカーEカドヘリンのレベルを測定する工程;および腫瘍がEGFRキナーゼ阻害剤を用いた治療の結果としてより長い全生存またはより長い無増悪生存が示されているカットポイントレベル以上にEカドヘリンを発現するかを決定する工程を含む方法を提供する。この方法の1つの態様において、Eカドヘリン生物マーカーのレベルは、Eカドヘリンタンパク質発現の免疫組織化学的決定によって決定され、かつカットポイントレベルは、腫瘍細胞の40%が+2以上の染色強度でEカドヘリンタンパク質を発現することである。
[70]本発明は、がんを患う患者を治療する方法であって:EGFRキナーゼ阻害剤を用いたがん患者の治療がより長い全生存またはより長い無増悪生存につながるかどうかを予測する工程を含み:患者の腫瘍細胞によって発現される生物マーカービメンチンのレベルを測定する工程;患者の腫瘍細胞によって発現される生物マーカーEカドヘリンのレベルを測定する工程;および腫瘍がビメンチンまたはEカドヘリンの少なくとも1つを、EGFRキナーゼ阻害剤を用いた治療の結果としてより長い全生存またはより長い無増悪生存が示されているカットポイントレベル以上に発現するかどうかを決定する工程;および患者に治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤を投与する工程を含む方法を提供する。この方法の1つの態様において、生物マーカーのレベルは、タンパク質発現の免疫組織化学的決定によって決定され、かつビメンチンについてのカットポイントレベルは、腫瘍細胞の10%が任意のレベル(すなわち、+1つ以上の染色強度)のビメンチンタンパク質を発現することであり、かつEカドヘリンについてのカットポイントレベルは、腫瘍細胞の40%が+2以上の染色強度でEカドヘリンタンパク質を発現することである。
[71]本発明は、がんを患う患者を治療する方法であって:EGFRキナーゼ阻害剤を用いたがん患者の治療がより長い全生存またはより長い無増悪生存につながるかどうかを予測する工程を含み:患者の腫瘍細胞によって発現される生物マーカービメンチンのレベルを測定する工程;および腫瘍がEGFRキナーゼ阻害剤を用いた治療の結果としてより長い全生存またはより長い無増悪生存が示されているカットポイントレベル以上にビメンチンを発現するかどうかを決定する工程;および患者に治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤を投与する工程を含む方法を提供する。この方法の1つの態様において、ビメンチン生物マーカーのレベルは、ビメンチンタンパク質発現の免疫組織化学的決定によって決定され、かつカットポイントレベルは、腫瘍細胞の10%が任意のレベル(すなわち+1つ以上の染色強度)のビメンチンタンパク質を発現することである。
[72]本発明は、がんを患う患者を治療する方法であって:EGFRキナーゼ阻害剤を用いたがん患者の治療がより長い全生存またはより長い無増悪生存につながるかどうかを予測する工程を含み、:患者の腫瘍細胞によって発現される生物マーカーEカドヘリンのレベルを測定する工程;および腫瘍がEGFRキナーゼ阻害剤を用いた治療の結果としてより長い全生存またはより長い無増悪生存が示されているカットポイントレベル以上にEカドヘリンを発現するかどうかを決定する工程;および患者に治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤を投与する工程を含む方法を提供する。この方法の1つの態様において、Eカドヘリン生物マーカーのレベルは、Eカドヘリンタンパク質発現の免疫組織化学的決定によって決定され、かつカットポイントレベルは、腫瘍細胞の40%が+2以上の染色強度でEカドヘリンタンパク質を発現することである。
[73]本発明は、EGFRキナーゼ阻害剤を用いた治療により利益を受ける可能性が最も高いがん患者を同定する方法であって:患者の腫瘍試料を得る工程、試料の腫瘍細胞が高レベルのビメンチン生物マーカーを発現するかどうかを決定する工程、および高レベルのビメンチン生物マーカーが見いだされた場合にEGFRキナーゼ阻害剤を用いた治療により利益を受ける可能性が高いものとして患者を同定する工程を含む方法を提供する。この方法の1つの態様において、ビメンチン生物マーカーのレベルは、ビメンチンタンパク質発現の免疫組織化学的決定によって決定される。この方法の別の態様において、ビメンチン生物マーカーのレベルは、ビメンチンのmRNAのレベルを評価することによって決定される。これらの方法の1つの態様において、10%以上の腫瘍細胞が任意のレベルのビメンチン生物マーカー(例えば、ビメンチンタンパク質について、IHCによる+1つ以上の染色強度)を発現する場合、ビメンチン生物マーカーレベルが高い。これらの方法の1つの態様において、治療による利益は、治療に応答してより長い全生存またはより長い無増悪生存によって示される。これらの方法の別の態様において、治療による利益は、治療が有効なことを示す別の生物学的反応または医学的反応、例えば腫瘍後退、血液試料における腫瘍マーカーレベルの減少によって示される。
[74]本発明は、EGFRキナーゼ阻害剤を用いた治療により利益を受ける可能性が最も高いがん患者を同定する方法であって:患者の腫瘍試料を得る工程、試料の腫瘍細胞が高レベルのEカドヘリン生物マーカーを発現するかどうかを決定する工程、および高レベルのEカドヘリン生物マーカーが見いだされた場合にEGFRキナーゼ阻害剤を用いた治療により利益を受ける可能性が高いものとして患者を同定する工程を含む方法を提供する。この方法の1つの態様において、Eカドヘリン生物マーカーのレベルは、Eカドヘリンタンパク質発現の免疫組織化学的決定によって決定される。この方法の1つの態様において、40%以上の腫瘍細胞がIHCによる+2以上の染色強度でEカドヘリンタンパク質を発現する場合、Eカドヘリン生物マーカータンパク質レベルが高い。別の態様において、Eカドヘリン生物マーカーのレベルは、EカドヘリンのmRNAのレベルを評価することによって決定される。これらの方法の1つの態様において、治療による利益は、治療に応答してより長い全生存またはより長い無増悪生存によって示される。これらの方法の別の態様において、治療による利益は、治療が有効なことを示す別の生物学的反応または医学的反応、例えば腫瘍後退、血液試料における腫瘍マーカーレベルの減少によって示される。
[75]本発明は、EGFRキナーゼ阻害剤を用いた治療により利益を受ける可能性が最も高いがん患者を同定する方法であって:患者の腫瘍試料を得る工程、試料の腫瘍細胞が高レベルのビメンチン生物マーカーを発現するかどうかを決定する工程、試料の腫瘍細胞が高レベルのEカドヘリン生物マーカーを発現するかどうかを決定する工程、および高レベルのビメンチン生物マーカーおよび/またはEカドヘリン生物マーカーが見いだされた(すなわち、これらの生物マーカーの少なくとも1つが高レベル)場合に、EGFRキナーゼ阻害剤を用いた治療により利益を受ける可能性が高いものとして患者を同定する工程を含む方法を提供する。この方法の1つの態様において、ビメンチン生物マーカーまたはEカドヘリン生物マーカーのレベルは、ビメンチンタンパク質発現の免疫組織化学的決定によって決定される。この方法のもう1つの態様において、ビメンチン生物マーカーまたはEカドヘリン生物マーカーのレベルは、ビメンチンのmRNAのレベルを評価することによって決定される。これらの方法の1つの態様において、10%以上の腫瘍細胞が任意のレベルのビメンチン生物マーカー(例えば、ビメンチンタンパク質について、IHCによる+1つ以上の染色強度)を発現する場合、ビメンチン生物マーカーレベルが高い。これらの方法の1つの態様において、40%以上の腫瘍細胞がIHCによる+2以上の染色強度でEカドヘリンタンパク質を発現する場合、Eカドヘリン生物マーカータンパク質レベルが高い。これらの方法の1つの態様において、治療による利益は、治療に応答してより長い全生存またはより長い無増悪生存によって示される。これらの方法の別の態様において、治療による利益は、治療が有効なことを示す別の生物学的反応または医学的反応、例えば腫瘍後退、血液試料における腫瘍マーカーレベルの減少によって示される。
[76]本発明は、がん患者を治療する方法であって、前述の方法のいずれかを使用して、がん患者がEGFRキナーゼ阻害剤を用いた治療により利益を受ける可能性が最も高いかどうかを決定する診断工程、ならびに特に患者が生物マーカービメンチンおよびEカドヘリンの少なくとも1つの腫瘍細胞におけるレベルが高いことが見出された場合、この患者に治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤を投与する治療工程を含む方法をさらに提供する。
[77]従って本発明は、がん患者を治療する方法であって:患者の腫瘍試料を得ること、試料の腫瘍細胞が高レベルのビメンチン生物マーカーを発現するかどうかを決定すること、および高レベルのビメンチン生物マーカーが見いだされた場合に、EGFRキナーゼ阻害剤を用いた治療により利益を受ける可能性が高いものとして患者を同定することによって、EGFRキナーゼ阻害剤を用いた治療により利益を受ける可能性が最も高いがん患者を同定する工程、ならびに患者に治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤を投与する工程を含む方法を提供する。
[78]従って本発明は、がん患者を治療する方法であって:患者の腫瘍試料を得ること、試料の腫瘍細胞が高レベルのEカドヘリン生物マーカーを発現するかどうかを決定すること、および高レベルのEカドヘリン生物マーカーが見いだされた場合にEGFRキナーゼ阻害剤を用いた治療により利益を受ける可能性が高いものとして患者を同定することによって、EGFRキナーゼ阻害剤を用いた治療により利益を受ける可能性が最も高いがん患者を同定する工程、ならびに患者に治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤を投与する工程を含む方法を提供する。
[79]本発明は従って、がん患者を治療する方法であって:患者の腫瘍試料を得ること、試料の腫瘍細胞が高レベルのビメンチン生物マーカーを発現するかどうかを決定すること、試料の腫瘍細胞が高レベルのEカドヘリン生物マーカーを発現するかどうかを決定すること、ならびに高レベルのビメンチン生物マーカーおよび/またはEカドヘリン生物マーカーが見いだされた(すなわち、これらの生物マーカーの少なくとも1つの高レベル)場合にEGFRキナーゼ阻害剤を用いた治療により利益を受ける可能性が高いものとして患者を同定することによって、EGFRキナーゼ阻害剤を用いた治療により利益を受ける可能性が最も高いがん患者を同定する工程、ならびに患者に治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤を投与する工程を含む方法を提供する。
[80]生物マーカーEカドヘリンは、NCBI GeneID 999の遺伝子によって発現される産物(タンパク質またはmRNA)である。Eカドヘリン遺伝子によって発現されるタンパク質配列の例は、NCBI RefSeq(Reference Sequence)NP_004351である。生物マーカービメンチンは、NCBI GeneID 7431の遺伝子によって発現される産物(タンパク質またはmRNA)である。ビメンチン遺伝子によって発現されるタンパク質配列の例は、NCBI RefSeq(Reference Sequence)NP_003371である。本明細書にリストされるNCBI GeneID番号は、NCBI Entrez Geneデータベース記録からのヒト遺伝子の独特の識別子である(National Center for Biotechnology Information (NCBI), U.S. National Library of Medicine, 8600 Rockville Pike, Building 38A, Bethesda, MD 20894; インターネットアドレス http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)。これらは、名称および/または頭字語によって書類中の他の場所に参照される遺伝子産物を明白に同定するために、本明細書において使用される。このように同定される遺伝子によって発現されるタンパク質は、本発明の方法において使用され得るタンパク質を表し、またこれらのタンパク質の配列は、NCBIデータベース(例えば、GENBANK(登録商標))記録において開示されたように、異なるアイソフォームを含んでおり、本明細書に引用により援用される。
[81]本発明の方法において、がん患者の腫瘍細胞は、好ましくは、上皮細胞株由来の固形腫瘍からの大部分の腫瘍細胞と同様に、EGFRキナーゼを発現することが公知であり、または予想されるタイプのものである。このような腫瘍細胞は例えば、肺がん腫瘍(例えば、非小細胞肺がん(NSCLC))、膵臓がん腫瘍、乳がん腫瘍、頭頚部がん腫瘍、胃がん腫瘍、大腸がん腫瘍、卵巣がん腫瘍由来のもの、または本明細書において以下に記述されるその他の多様ながんのいずれか由来の腫瘍細胞を含む。これらの腫瘍細胞のEGFRキナーゼは、野生型または突然変異体形態であることができる。
[82]本発明の方法において、EGFRキナーゼ阻害剤は、本明細書において以下に記述される任意のEGFRキナーゼ阻害剤であることができる。1つの態様において、EGFRキナーゼ阻害剤は、6,7-ビス(2-メトキシエトキシ)-4-キナゾリン-4-イル]-(3-エチニルフェニル)アミン(エルロチニブ、OSI-774またはTARCEVA(登録商標)(すなわち、エルロチニブHCl)としてもまた公知である)であり、薬理学的に許容される塩またはその多形を含む。
[83]本発明の方法において、腫瘍細胞生物マーカーの発現レベルは、好ましくは腫瘍生検をアッセイすることによって評価される。しかし、別の態様において、腫瘍細胞生物マーカーの発現レベルは、腫瘍または腫瘍細胞から生じる生物マーカーを検出可能なレベルにて含む体液または排泄物において評価してもよい。本発明において有用な体液または排泄物は、血液、尿、唾液、糞便、胸膜液、リンパ液体、痰、腹水、前立腺液、脳脊髄液(CSF)もしくは任意の他の身体の分泌物またはこれらの派生物を含む。血液には、全ての血、血漿、血清または血液の任意の派生物を含むことが意味される。このような体液または排泄物における腫瘍生物マーカーの評価は、時には、観血的なサンプリング方法が不適当な、または不便である環境において好まれ得る。腫瘍細胞の生物マーカー発現の評価のために、腫瘍細胞を含む患者の試料またはこれらの腫瘍細胞によって産生されるタンパク質もしくは核酸を本発明の方法に使用してもよい。これらの態様において、生物マーカーの発現レベルは、腫瘍細胞試料、例えば、患者から得られる腫瘍生検または腫瘍に由来する材料を含むその他の患者の試料(例えば、本明細書において上述したような血液、血清、尿またはその他の体液もしくは排泄物)におけるマーカーの量(例えば、絶対量または濃度)を評価することによって評価してもよい。細胞試料はもちろん、試料におけるマーカーの量を評価する前に、多様な周知の収集後準備および保存技術(例えば、核酸および/またはタンパク質抽出、固定、保存、凍結、限外ろ過、濃縮、蒸発、遠心など)に供してもよい。同様に、腫瘍生検も、収集後準備および保存技術、例えば固定、に供してもよい。
[84]本発明の方法において、腫瘍細胞によって発現される生物マーカーのレベルは、遺伝子の発現レベルの決定のための当該技術分野において公知の標準的なバイオアッセイ手順のいずれかを使用することによって評価でき、以下でより詳細に記載したように、例えば、免疫組織化学(IHC)、酵素結合抗体免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射免疫アッセイ(RIA)、免疫沈澱、免疫ブロット、免疫蛍光検査鏡検、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、インサイチューハイブリダイゼーション、cDNAマイクロアレイなどを含む。生物マーカータンパク質の発現は、転写されたタンパク質の発現を検出するための多様な周知の方法のいずれによって評価してもよい。このような方法の限定されない例は、分泌された、細胞-表面、細胞質もしくは核タンパク質の検出のための免疫学的方法、タンパク質精製法またはタンパク質の機能もしくは活性アッセイを含む。生物マーカーのmRNAの発現は、転写された核酸の発現を検出するための多様な周知の方法のいずれによって評価してもよい。このような方法の限定されない例は、核酸ハイブリダイゼーション法、核酸逆転写法および核酸増幅法を含む。
[85]1つの態様において、生物マーカータンパク質の発現は、それが腫瘍細胞において通常受ける翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、リン酸エステル化、メチル化など)の全てまたは一部を受けた生物マーカータンパク質を含む生物マーカータンパク質もしくはこれらの断片と特異的に結合する、抗体(例えば、放射標識された、発色団標識された、フルオロフォア標識された、または酵素標識された抗体)、抗体の誘導体(例えば基質と、またはタンパク質-リガンドのペア{例えば、ビオチン-ストレプトアビジン}のタンパク質もしくはリガンドと結合した抗体)または抗体断片(例えば、単鎖抗体、単離された抗体超可変性ドメインなど)を使用して評価される。
[86]本発明の方法を行うために適した抗体の例は、以下の特異的抗体を含む:A. ヒトEカドヘリンに結合する抗体:例えば、クローン24E10(Cell Signaling Technology(CST));またはNCH-38(Dako);およびB. ヒトビメンチンに結合する抗体:例えばクローンV9(販売元Dako、Biocare、Vector LaboratoriesまたはZymed);SP20(販売元LabVision/NeomarkersまたはVector Laboratories);または3B4(販売元LabVision/Neomarkers)。
[87]別の態様において、生物マーカーの発現は、患者の試料における細胞からmRNA/cDNA(すなわち転写されたポリヌクレオチド)を調製することによって、およびmRNA/cDNAを、生物マーカー核酸またはその断片と相補的な参照ポリヌクレオチドとハイブリダイズすることによって評価される。cDNAは任意に、参照ポリヌクレオチドとハイブリダイゼーションする前に、多様なポリメラーゼ連鎖反応法のいずれかを使用して増幅できる。1つ以上の生物マーカーの発現は、1つ以上の生物マーカーの発現レベルを評価するために定量的PCRを使用して同様に検出できる。あるいは、本発明の生物マーカーの突然変異または変異体(例えば、単一のヌクレオチド多型、欠失など)を検出する多くの公知の方法のいずれかを、患者における生物マーカーの発生を検出するために使用してもよい。
[88]関連する態様において、試料から得られる転写されたポリヌクレオチドの混合物は、生物マーカー核酸の少なくとも一部(例えば、少なくとも7、10、15、20、25、30、40、50、100、500またはそれ以上のヌクレオチド残基)と相補的または相同的なポリヌクレオチドに固定された基質と接触される。相補的または相同的なポリヌクレオチドが基体上で作動的に検出可能である場合(例えば、異なる発色団またはフルオロフォアを使用して検出可能であり、または選択された異なる位置に固定されている)、複数の生物マーカーの発現レベルを、単一の基体(例えば、選択された位置に固定されているポリヌクレオチドの「遺伝子チップ」マイクロアレイ)を使用して同時に評価できる。1つの核酸を別の核酸とハイブリダイゼーションさせることを含む、生物マーカー発現を評価する方法が使用される場合、ハイブリダイゼーションは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で行われることが好ましい。ストリンジェントな条件の例は、42℃で、50%のホルムアミド、5x×SSCおよび1%のSDSを含む溶液内でインキュベートし、65℃で、0.2×SSCおよび0.1%のSDSを含む溶液内で洗浄することを含む。
[89]生物学的試料における生物マーカータンパク質または核酸の有無を検出するための例示的な方法は、試験被験体から生物学的試料(例えば、腫瘍に関連する体液)を得る工程、およびその生物学的試料を、ポリペプチドまたは核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNAまたはcDNA)を検出できる化合物または薬剤と接触させる工程を含む。従って、本発明の検出方法は例えば、インビトロ、ならびにインビボの生物学的試料において、mRNA、タンパク質、cDNAまたはゲノムDNAを検出するために使用できる。例えば、mRNAの検出のためのインビトロ技術は、ノーザンハイブリダイゼーションおよびインサイチューハイブリダイゼーションを含む。生物マーカータンパク質を検出するためのインビトロ技術は、ELISA、IHC、ウェスタンブロット、免疫沈降および免疫蛍光検査を含む。mRNAを検出するためのインビボ技術は、PCR、ノーザンハイブリダイゼーションおよびインサイチューハイブリダイゼーションを含む。さらにまた、生物マーカータンパク質の検出のためのインビボ技術は、タンパク質またはその断片に対して向けられた標識抗体を被験体に導入することを含む。抗体は例えば、被験体における存在および位置を標準的な撮像技術によって検出できる放射性マーカーで標識されてもよい。
[90]本発明の別の態様において、Eカドヘリン発現は、遺伝子からの発現に反比例し、従って発現を見積もるための代わりのアッセイとして使用できるEカドヘリン遺伝子(CDH1)のプロモーターのメチル化の程度を決定することによって評価できる。Eカドヘリン発現が低いときには、プロモーターの容易に検出可能なメチル化(例えば、プロモーターのメチル化部位に由来するメチル化特異的なPCR増幅された核酸産物の検出中の強力なシグナル)が見いだされるのに対し、Eカドヘリンの発現レベルが高い場合の状況では、プロモーターの検出可能なメチル化は見られないか、あるいはメチル化のレベルは低い(例えば、プロモーターのメチル化部位に由来するメチル化特異的なPCR増幅された核酸産物の検出中のシグナルは、全くないか、または比較的弱い)。
[91]本明細書に記載の診断および予後のアッセイの一般的な原理は、生物マーカーおよびプローブを含み得る試料または反応混合物を、適切な条件下で、および生物マーカーとプローブとを相互作用させ、かつ結合させ、これにより、反応混合物または試料において除去され、および/または検出され得る複合体を形成するために十分な時間にて調製することを含む。これらのアッセイは、多様な方法で行うことができる。
[92]例えば、このようなアッセイを行う1つの方法は、基体ともいわれる固相支持体上に生物マーカーまたはプローブをアンカーさせ、反応の最後に固相上にアンカーされた標的の生物マーカー/プローブ複合体を検出することを含む。このような方法の1つの態様において、生物マーカーの存在および/または濃度についてアッセイするためのものである被験体からの試料を、担体または固相支持体上にアンカーできる。別の態様において、逆の状態が可能であり、プローブを固相にアンカーでき、また被験体からの試料をアッセイにおいてアンカーされていない成分として反応させることができる。
[93]固相にアッセイ成分をアンカーさせるための多くの確立した方法がある。これらは、限定されないが、ビオチンおよびストレプトアビジンの結合を介して固定される生物マーカーまたはプローブ分子を含む。このようなビオチン化されたアッセイ成分は、当該技術分野において公知の技術(例えば、ビオチン化キット、Pierce Chemicals、イリノイ州ロックフォード)を使用してビオチン-NHS(N-ヒドロキシ-スクシンイミド)から調製され、かつストレプトアビジンでコートされた96ウェルプレート(Pierce Chemical)のウェル中に固定できる。一定の態様において、固定されたアッセイ成分の表面は、事前に調製して保存できる。
[94]このようなアッセイに適したその他の担体または固相支持体は、生物マーカーまたはプローブが属する種類の分子を結合できる任意の材料を含む。周知の支持体または担体は、限定されないが、ガラス、ポリスチレン、ナイロン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン、デキストラン、アミラーゼ、天然および修飾セルロース、ポリアクリルアミド、斑糲岩(gabbro)および磁鉄鉱を含む。
[95]上述したアプローチでアッセイを行うために、第2の成分がアンカーされた固相に非固定化成分が添加される。反応が完了した後、形成された任意の複合体が固相に固定されたままであり得る条件で、非複合体成分を除去してもよい(例えば、洗浄によって)。固相にアンカーされる生物マーカー/プローブ複合体の検出は、本明細書において概説される多数の方法で達成できる。
[96]1つの態様において、プローブは、アンカーされないアッセイ成分である場合、アッセイにおける検出および読み出しの目的で、本明細書に述べられている、また当業者に周知である、検出可能な標識で、直接的または間接的のいずれかにより標識してもよい。
[97]例えば、蛍光エネルギー移動(すなわち、FET、例えばLakowicz et al.,米国特許第5,631,169号;Stavrianopoulos、et al.,米国特許第4,868,103号を参照されたい)の技術を利用することによって、さらなる操作またはいずれの成分(生物マーカーまたはプローブ)の標識化もすることなく、生物マーカー/プローブの複合体形成を直接検出することもまた可能である。第1の「ドナー」分子上のフルオロフォア標識は、適切な波長の投射光による励起により、その放射された蛍光エネルギーが第2の「アクセプター」分子上の蛍光標識によって吸収され、それが次に吸収エネルギーにより蛍光を発することができるように、選択される。あるいは、「ドナー」タンパク質分子は、単にトリプトファン残基の天然の蛍光エネルギーを利用してもよい。標識は、光の異なる波長を放射するものが選択され、そのため「アクセプター」分子標識は、「ドナー」とは別のものであってもよい。標識間のエネルギー移動の効率は、分子を分離する距離に関連があるので、分子間の空間的な関係を評価できる。分子間に結合が生じる状況では、アッセイにおける「アクセプター」分子標識の蛍光発光は、最大であるはずである。FET結合イベントは、当該技術分野において周知である標準的な蛍光定量的検出手段を介して(例えば、蛍光光度計を使用して)、簡便に測定できる。
[98]別の態様において、生物マーカーを認識するプローブの能力の決定は、リアルタイムBiomolecular Interaction Analysis(BIA)などの技術を利用することにより、アッセイ成分(プローブまたは生物マーカー)のいずれも標識することなく達成できる(例えば、Sjolander, S. and Urbaniczky, C., 1991, Anal. Chem. 63:2338-2345およびSzabo et al., 1995, Curr. Opin. Struct. Biol. 5:699-705を参照されたい)。本明細書に使用されるように、「BIA」または「表面プラスモン共鳴」は、反応体のいずれも標識することなく、リアルタイムで生物特異的相互作用を研究するための技術である(例えば、BIAcore)。結合表面における質量変化(結合イベントを指し示す)は、この表面の近くで光の屈折率の変化を生じ(表面プラスモン共鳴(SPR)の光学現象)、生体分子間のリアルタイムの反応の指標として使用され得る検出可能なシグナルを生じる。
[99]あるいは、別の態様において、液相における溶質としての生物マーカーおよびプローブで、類似の診断および予後のアッセイを行うことができる。このようなアッセイでは、生物マーカーおよびプローブは、分画遠心法、クロマトグラフィー、電気泳動および免疫沈澱を含むが限定されない複合体化した多数の標準的な技術のいずれかによって非複合体成分から分離される。分画遠心法において、生物マーカー/プローブ複合体は、これらのサイズおよび密度が異なることに基づいた複合体の異なる沈降平衡により、非複合体アッセイ成分から一連の遠心工程を介して分離され得る(例えばRivas, G., and Minton, A. P., 1993, Trends Biochem Sci. 18(8):284-7を参照されたい)。複合体分子を非複合体分子から分離するために、標準的なクロマトグラフィーの技術もまた利用し得る。例えば、ゲル濾過クロマトグラフィーは、サイズに基づいて、かつカラム形式内の適切なゲル濾過樹脂の利用を介して分子を分離し、例えば、相対的により大きな複合体は、相対的により小さな非複合体成分から分離され得る。同様に、非複合体成分から複合体を区別するために、非複合体成分と比較した生物マーカー/プローブ複合体の相対的に異なる電荷特性を、例えばイオン交換クロマトグラフィー樹脂の利用を介して利用してもよい。このような樹脂およびクロマトグラフィーの技術は、当業者に周知である(例えば、Heegaard, N. H., 1998, J. Mol. Recognit. Winter 11(1-6):141-8; Hage, D. S., and Tweed, S. A. J. Chromatogr B Biomed Sci Appl 1997 Oct 10;699(1-2):499-525を参照されたい)。複合体アッセイ成分を結合していない成分から分離するために、ゲル電気泳動もまた使用してもよい(例えば、Ausubel et al., ed., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, 1987-1999を参照されたい)。この技術において、タンパク質または核酸の複合体は例えば、サイズまたは電荷に基づいて分離される。電気泳動プロセスの間の結合性相互作用を維持するために、非変性ゲルマトリクス材料および還元剤のない条件が典型的には好ましい。特定のアッセイ条件およびその成分に適切な条件は、当業者に周知であろう。
[100]特定の態様において、生物マーカーのmRNAのレベルは、当該技術分野において公知の方法を使用して、生物学的試料においてインサイチューによる、およびインビトロによる両方の形式で決定できる。「生体試料」という用語は、被験体から単離された組織、細胞、生物学的液体およびこれらの単離物、ならびに被験体中に存在する組織、細胞および液体を含むことが意図される。多くの発現検出方法は、単離されたRNAを使用する。インビトロの方法について、腫瘍細胞からRNAを精製するために、mRNAの単離に対して選択されない任意のRNA単離技術を利用できる(例えば、Ausubel et al., ed., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York 1987-1999を参照されたい)。加えて、例えばChomczynski(1989年の米国特許第4,843,155号)の1ステップRNA単離プロセスなどの、当業者に周知の技術を使用して、多数の組織試料を容易に処理できる。
[101]単離されたmRNAは、ハイブリダイゼーションまたは増幅アッセイ法において使用でき、サザンまたはノーザン解析、ポリメラーゼ連鎖反応解析およびプローブアレイを含むが、限定されない。mRNAレベルの検出のための1つの好ましい診断法は、単離されたmRNAを、検出される遺伝子によってコードされるmRNAにハイブリダイズし得る核酸分子(プローブ)と接触させることを含む。核酸プローブは例えば、長さが少なくとも7、15、30、50、100、250または500ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドなどの、全長cDNAまたはその一部であり、かつ本発明の生物マーカーをコードするmRNAまたはゲノムDNAにストリンジェントな条件下で特異的にハイブリダイズするために十分であり得る。本発明の診断アッセイに使用するためのその他の適したプローブは、本明細書に記載してある。mRNAがプローブとハイブリダイゼーションすることは、問題になっている生物マーカーが発現されていることを示す。
[102]1つの形式において、例えばアガロースゲル上で単離されたmRNAを泳動し、ゲルからニトロセルロースなどの膜にmRNAを移すことによって、mRNAを固体表面上に固定化し、そしてプローブと接触させる。別の形式において、例えばAFFYMETRIX(登録商標)遺伝子チップアレイにおいて、プローブを固体表面上に固定化し、mRNAをプローブと接触させる。当業者は、本発明の生物マーカーによってコードされるmRNAのレベルの検出に使用するために、公知のmRNA検出方法を容易に適応させることができる。
[103]試料におけるmRNA生物マーカーのレベルを決定するための別の方法は、例えばRT-PCR(Mullis、1987、米国特許第4,683,202号に記載される実験態様)、リガーゼ連鎖反応(Barany、1991、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、88:189-193)、自家持続配列複製(Guatelli et al., 1990、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:1874-1878)、転写増幅系(Kwoh et al., 1989、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:1173-1177)、Q-Betaレプリカーゼ(Lizardi et al., 1988、Bio/Technology 6:1197)、ローリングサークル複製(Lizardi et al.,米国特許第5,854,033号)またはその他の任意の核酸増幅方法による核酸増幅のプロセス、続いて当業者に周知の技術を使用して増幅された分子を検出することを含む。これらの検出スキームは、このような分子が非常に少数にて存在する場合の核酸分子の検出に特に有用である。本明細書に使用されるように、増幅プライマーは、遺伝子の5'または3'領域に(プラス鎖およびマイナス鎖に、それぞれ、または反対に)アニールすることができ、またその間の短い領域を含み得る核酸分子の対として定義される。増幅プライマーは一般に、約10〜30ヌクレオチドの長さであり、かつ約50〜200ヌクレオチドの長さの領域に隣接する。適切な条件下および適切な試薬により、このようなプライマーは、プライマーに隣接するヌクレオチド配列を含む核酸分子の増幅を可能にする。
[104]インサイチュー法について、mRNAは、検出の前に腫瘍細胞から単離する必要はない。このような方法において、細胞または組織試料を公知の組織学的方法を使用して調製/処理する。次いで、試料を支持体、典型的にはスライドガラス上に固定し、次いで生物マーカーをコードするmRNAにハイブリダイズすることができるプローブと接触させる。
[105]生物マーカーの絶対発現レベルに基づいて決定する代わりとして、決定は生物マーカーの規準化された発現レベルに基づいてもよい。発現レベルは、その発現を、生物マーカーでない遺伝子、例えば恒常的に発現されるハウスキーピング遺伝子の発現と比較することによって、生物マーカーの絶対発現レベルを修正することにより規準化される。規準化に適する遺伝子は、アクチン遺伝子などのハウスキーピング遺伝子を含む。この規準化により、1つの試料、例えば患者の試料における発現レベルを、異なる患者からの、もしくは異なる時間における同じ患者からの、もしくは非腫瘍試料からの別の試料との比較または同じ患者からの異なる腫瘍試料間の比較が可能になる。
[106]あるいは、発現レベルは、相対的な発現レベルとして提供できる。患者の試料における生物マーカーの相対的発現レベルを決定するために、問題となっている試料についての発現レベルの決定の前に、低い生物マーカー発現の腫瘍細胞試料(好ましくは50以上の試料)と対比させた高い生物マーカー発現のうちの約10以上の試料について、生物マーカーの発現レベルを決定する。より多数の試料においてアッセイされる生物マーカーの平均発現レベルを決定し、これを生物マーカーについての発現レベルのベースラインとして使用する。次いで、試験試料について決定される生物マーカーの発現レベル(絶対発現レベル)を、高い生物マーカー発現、または低い生物マーカー発現の腫瘍細胞試料からその生物マーカーについて得られた平均発現値で割る。これにより、相対的発現レベルが提供される。
[107]本発明の別の態様において、生物マーカータンパク質が検出される。本発明の生物マーカータンパク質を検出するための好ましい試薬は、このようなタンパク質またはその断片に対して結合し得る抗体、好ましくは検出可能な標識を有する抗体である。抗体は、ポリクローナル、またはより好ましくはモノクローナルであってもよい。原型の抗体またはその断片もしくは誘導体(例えば、FabまたはF(ab').sub.2)を使用してもよい。プローブまたは抗体に関して「標識する」という用語は、プローブまたは抗体に検出可能な物質を結合する(すなわち、物理的に連結する)ことによってプローブまたは抗体を直接標識すること、ならびに直接標識されている別の試薬と反応させることによりプローブまたは抗体を間接的に標識することを包含することが意図される。間接的な標識化の例は、蛍光標識した二次抗体を使用する一次抗体の検出およびビオチンでDNAプローブを末端-標識することを含み、その結果、蛍光標識したストレプトアビジンで検出できる。
[108]腫瘍細胞由来のタンパク質は、当業者に周知の技術を使用して単離できる。使用されるタンパク質単離方法は、例えばHarlowおよびLane(Harlow and Lane, 1988, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.)で記載されたものなどであってもよい。
[109]試料が所与の抗体に結合するタンパク質を含むかどうか決定するために、多様な形式を使用できる。このような形式の例は、限定されないが、酵素免疫アッセイ(EIA)、放射免疫アッセイ(RIA)、ウェスタンブロット解析および酵素結合免疫測定法(ELISA)を含む。当業者は、腫瘍細胞が本発明の生物マーカーを発現するかどうかの決定に使用するために、公知のタンパク質/抗体検出方法を容易に適応させることができる。
[110]1つの形式において、抗体または抗体の断片もしくは誘導体は、発現されたタンパク質を検出するためのウェスタンブロットまたは免疫蛍光法などの方法に使用できる。このような用途において、一般に固体支持体上に抗体またはタンパク質を固定することが好ましい。適切な固相支持体または担体は、抗原または抗体を結合させることのできる任意の支持体を含む。周知の支持体または担体は、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然および修飾セルロース、ポリアクリルアミド、ガブロス(gabbros)、ならびに磁鉄鉱を含む。
[111]当業者は、抗体または抗原を結合するための他の多くの適切な担体を知っているであろうし、本発明において使用するためにこのような支持体を適応させることができるだろう。例えば、腫瘍細胞から単離されたタンパク質は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動で泳動させ、ニトロセルロースなどの固相支持体上に固定してもよい。次いで、支持体を適切な緩衝液で洗浄し、続いて検出可能に標識された抗体で処理してもよい。次いで、結合していない抗体を除去するために、固相支持体洗浄を緩衝液でもう一度洗浄してもよい。次いで、固体支持体上に結合した標識の量を従来の手段によって検出できる。
[112]ELISAアッセイ法については、特異的結合対は、免疫性または非免疫性タイプであり得る。免疫特異的結合対は、抗原-抗体系またはハプテン/抗ハプテン系によって例示される。フルオレセイン/抗フルオレセイン、ジニトロフェニル/抗ジニトロフェニル、ビオチン/抗ビオチン、ペプチド/抗ペプチドなどを挙げることができる。特異的結合対の抗体要素は、当業者によく知られている慣習的な方法によって産生できる。このような方法は、特異的結合対の抗原メンバーで動物を免疫化することを含む。特異的結合対の抗原メンバーが免疫原性でない場合、例えばハプテンである場合、これに免疫原性を与えるために担体タンパク質に共有結合させてもよい。非免疫性結合対は、2つの成分が互いに自然な親和性を共有するが、しかし抗体でない系を含む。非免疫性対の代表例は、ビオチン-ストレプトアビジン、内因子-ビタミンB12、葉酸-葉酸塩結合タンパク質などである。
[113]標識抗体と、特異的結合対のメンバーとを共有結合させるため、さまざまな方法が利用できる。特異的結合対のメンバーの性質、所望の結合のタイプおよび種々の共役化学に対する抗体の寛容性に基づいて、方法が選択される。ビオチンは、市販の活性な誘導体を利用することによって抗体に共有結合されていてもよい。これらのいくつかは、タンパク質上のアミン基に結合するビオチン-N-ヒドロキシ-スクシンイミド;カルボジイミド結合を介して炭水化物分子、アルデヒドおよびカルボキシル基に結合するビオチンヒドラジド;ならびにスルフヒドリル基に結合するビオチンマレイミドおよびヨードアセチルビオチンである。フルオレセインは、フルオレセインイソチオシアネートを使用して、タンパク質のアミン基に結合させることができる。ジニトロフェニル基は、2,4-ジニトロベンゼンサルフェートまたは2,4‐ジニトロフルオロベンゼンを使用してタンパク質のアミン基に結合させることができる。特異的結合対のメンバーにモノクローナル抗体を結合させるために、ジアルデヒド、カルボジイミド結合、同種官能性架橋および異種二官能性架橋を含む他の標準的結合方法を使用し得る。カルボジイミド結合は、ある物質上のカルボキシル基を別の物質上のアミン基に結合させるのに有効な方法である。カルボジイミド結合は、市販の試薬1-エチル-3-(ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド(EDAC)を使用することによって促進される。
[114]二官能性イミドエステルおよび二官能性N-ヒドロキシスクシンイミドエステルを含む同種二官能性架橋剤が市販されており、ある物質上のアミン基を別の物質上のアミン基に結合するのに使用される。異種二官能性架橋剤は、異なる官能基を有する試薬である。最も一般的な市販の異種二官能性架橋剤は、1つの官能基としてアミン反応性N-ヒドロキシスクシンイミドエステルを有し、第2の官能基としてスルフヒドリル反応基を有する。最も一般的なスルフヒドリル反応基は、マレイミド、ピリジルジスルフィドおよび活性ハロゲンである。官能基の1つは、照射によって種々の基と反応する光活性アリールニトレンであってもよい。
[115]検出可能に標識された抗体または特異的結合対の検出可能に標識されたメンバーは、ラジオアイソトープ、酵素、蛍光発生的、化学発光または電気化学的材料であり得るリポーターに結合することによって調製される。一般に使用される2つのラジオアイソトープは、125Iおよび3Hである。標準的な放射性同位体標識手順は、125IのためにクロラミンT、ラクトペルオキシダーゼおよびBolton-Hunter法、ならびに3Hのために還元的メチル化を含む。「検出可能的に標識された」という用語は、それ自体を容易に検出できる、標識に内在する酵素活性によって、または別の成分の標識に結合することによって、容易に検出され得るような方法で標識された分子をいう。
[116]本発明における使用に適した酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ホタルおよびウミシイタケを含むルシフェラーゼ、β-ラクタマーゼ、ウレアーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)およびリゾチームを含むが、限定されない。酵素標識は、特異的結合対のメンバーと抗体との結合について上述したように、ジアルデヒド、カルボジイミド結合、同種二官能性架橋剤および異種二官能性架橋剤を使用することによって促進される。
[117]選択される標識化方法は、標識されるべき酵素および材料において利用可能な官能基、ならびに結合条件に対する両方の寛容性に依存する。本発明において使用される標識化方法は、Engvall and Pearlmann, Immunochemistry 8, 871 (1971), Avrameas and Ternynck, Immunochemistry 8, 1175 (1975), Ishikawa et al., J. Immunoassay 4(3):209-327 (1983)およびJablonski, Anal. Biochem. 148:199 (1985)によって記載されたものを含む、現在使用される任意の従来の方法の1つであることができるが、限定されない。
[118]標識化は、スペーサーまたは特異的結合対における他のメンバーを使用することなどの、間接的な方法によって達成できる。この例は、標識化されていないストレプトアビジンおよびビオチン化酵素を用いたビオチン化抗体の検出であり、ストレプトアビジンおよびビオチン化酵素は連続的または同時のいずれかにより添加される。従って、本発明によると、検出のために使用される抗体は、リポーターで直接的に、または特異的結合対の第1のメンバーで間接的に検出可能に標識できる。抗体が特異的結合対の第1のメンバーに結合される場合、次いで検出は、上述したように、特異的結合複合体の抗体−第1のメンバーを、標識化されている、または標識化されていない結合対の第2のメンバーと反応することによって遂行される。
[119]さらに、標識化されていない検出抗体は、標識化されていない抗体を標識化されていない抗体に特異的な標識化抗体と反応することによって検出できる。この例において、上で使用される「検出可能に標識された」は、標識化されていない抗体に特異的な抗体が結合できるエピトープを含むことを意味するとされる。このような抗抗体は、上述したアプローチのいずれかを使用して、直接的または間接的に標識化できる。抗抗体は例えば、ビオチンに結合でき、これは上述したストレプトアビジン-西洋ワサビペルオキシダーゼ系と反応することによって検出される。
[120]本発明の一態様において、ビオチンが利用される。ビオチン化抗体を、次にストレプトアビジン-西洋わさびペルオキシダーゼ複合体と反応させる。色素産生検出を遂行するために、オルトフェニレンジアミン、4-クロロ-ナフトール、テトラメチルベンジジン(TMB)、ABTS、BTSまたはASAを使用できる。
[121]本発明を実施するための1つの免疫アッセイ形式において、従来の技術を使用して、支持体表面上に捕捉試薬が固定されているフォワードサンドイッチアッセイが使用される。アッセイにおいて使用される適切な支持体は、ポリプロピレン、ポリスチレン、置換されたポリスチレン、例えばアミノ化もしくはカルボキシ化されたポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ガラスビーズ、アガロースまたはニトロセルロースなどの合成重合体支持体を含む。
[122]本発明はまた、生物学的試料における生物マーカータンパク質または核酸の存在を検出するためのキットを包含する。このようなキットは、被験体が、EGFRキナーゼ阻害剤による阻害に対し、より感受性でない腫瘍に罹患し、またはその発症のリスクが増加しているかどうかを決定するために使用できる。キットは例えば、生物学的試料における生物マーカータンパク質または核酸を検出できる標識された化合物または試薬および試料におけるタンパク質またはmRNAの量を決定するための手段(例えば、タンパク質もしくはこれらの断片に結合する抗体またはタンパク質をコードするDNAまたはmRNAに結合するオリゴヌクレオチドプローブ)を含んでもよい。キットはまた、キットを使用して得られた結果を解釈するための説明書をも含むことができる。
[123]抗体に基づいたキットについては、キットは例えば、以下を含むことができる:(1)生物マーカータンパク質に結合する第1の抗体(例えば、固体支持体に付着されている);および任意に(2)タンパク質または第1の抗体に結合し、および検出可能な標識に結合される、第2の異なる抗体。
[124]オリゴヌクレオチドに基づいたキットについては、キットは例えば、以下を含んでもよい:(1)生物マーカータンパク質をコードする核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、例えば検出可能に標識されたオリゴヌクレオチド、または(2)生物マーカー核酸分子を増幅するために有用な一対のプライマー。キットはまた、例えば緩衝剤、保存剤またはタンパク質安定化剤を含むことができる。キットは、検出可能な標識を検出するために必要な成分(例えば、酵素または基質)をさらに含むことができる。キットはまた、アッセイして試験試料と比較できる1つの対照試料または一連の対照試料を含むことができる。キットの各成分は、個々の容器内に封入され、かつ種々の容器の全ては、キットを使用して行われるアッセイの結果を解釈するための説明書とともに単一のパッケージ内にあることができる。
[125]本発明は、本明細書に記載されたようにがん患者における腫瘍または腫瘍転移を治療する方法であって、治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤およびさらに、同時にまたは連続して、1つ以上のその他の細胞毒性剤、化学療法薬もしくは抗がん剤またはこのような薬剤の効果を増強する化合物を患者に投与することを含む方法をさらに提供する。本発明の状況において、その他の抗がん剤は例えば、その他の細胞毒性剤、化学療法薬もしくは抗がん剤またはこのような薬剤の効果を増強する化合物、抗ホルモン剤、脈管形成阻害剤、EMTを阻害する、もしくは逆転させる薬剤(例えば、TGF-β受容体阻害剤)、腫瘍細胞のアポトーシスを促進させる、もしくはアポトーシスを刺激する薬剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ヒストンデメチラーゼ阻害剤、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、シグナル伝達阻害剤、抗増殖剤、抗HER2抗体もしくは免疫治療的に活性なこれらの断片、抗増殖薬剤、COX II(シクロオキシゲナーゼII)阻害剤および抗腫瘍免疫応答を増強できる薬剤を含む。
[126]本発明の状況において、さらなるその他の細胞毒性剤、化学療法薬もしくは抗がん剤またはこのような薬剤の効果を増強する化合物は例えば、以下を含む:シクロホスファミド(CTX;例えばCYTOXAN(登録商標))、クロラムブシル(CHL;例えばLEUKERAN(登録商標))、シスプラチン(CisP;例えばPLATINOL(登録商標))、ブスルファン(例えば、MYLERAN(登録商標))、メルファラン、カルマスティン(BCNU)、ストレプトゾトシン、トリエチレンメラミン(TEM)、マイトマイシンCなどのアルキル化剤またはアルキル化作用を有する薬剤;メトトレキセート(MTX)、エトポシド(VP16;例えばVEPESID(登録商標))、6-メルカプトプリン(6MP)、6-チオグアニン(6TG)、シタラビン(Ara-C)、5-フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン(例えばXELODA(登録商標))、ダカルバジン(DTIC)などの抗代謝剤;アクチノマイシンD、ドキソルビシン(DXR;例えばADRIAMYCIN(登録商標))、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシンなどの抗生物質;ビンクリスチン(VCR)などのビンカアルカロイド、ビンブラスチンなどのアルカロイド;パクリタキセル(例えば、TAXOL(登録商標))およびパクリタキセル誘導体などのその他の抗腫瘍薬、細胞増殖抑制剤、デキサメタゾン(DEX;例えばDECADRON(登録商標))などの糖質コルチコイドおよびプレドニゾンなどのコルチコステロイド、水酸化尿素などのヌクレオシド酵素阻害剤、アスパラギナーゼなどのアミノ酸を枯渇させる酵素、ロイコボリンおよびその他の葉酸誘導体、ならびに類似の多様な抗腫瘍薬。以下の薬剤も、さらなる薬剤として使用してもよい:アミホスチン(例えば、ETHYOL(登録商標))、ダクチノマイシン、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、ストレプトゾシン、シクロホスファミド、ロムスチン(CCNU)、ドキソルビシンリポ(例えば、DOXIL(登録商標))、ゲムシタビン(例えば、GEMZAR(登録商標))、ダウノルビシンリポ(例えば、DAUNOXOME(登録商標))、プロカルバジン、マイトマイシン、ドセタキセル(例えば、TAXOTERE(登録商標))、アルデスロイキン、カルボプラチン、オキサリプラチン、クラドリビン、カンプトセシン、CPT 11(イリノテカン)、10-ヒドロキシ7-エチル-カンプトセシン(SN38)、フロキシウリジン、フルダラビン、イホスファミド、イダルビシン、メスナ、インターフェロンβ、インターフェロンα、ミトキサントロン、トポテカン、ロイプロリド、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、プリカマイシン、ミトタン、ペグアスパルガーゼ、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、タモキシフェン、テニポシド、テストラクトン、チオグアニン、チオテパ、ウラシルマスタード、ビノレルビン、クロラムブシル。
[127]本発明は、患者における腫瘍または腫瘍転移を治療するための前述の方法であって、治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤およびさらに、同時にまたは連続して、1つ以上の抗ホルモン剤を患者に投与することを含む方法をさらに提供する。本明細書に使用される、「抗ホルモン薬」という用語は、腫瘍に対するホルモン作用を調節または阻害するように作用する、天然もしくは合成の有機またはペプチド化合物を含む。
[128]抗ホルモン剤は例えば、以下を含む:ステロイド受容体アンタゴニスト、タモキシフェン、ラロキシフェン、4(5)-イミダゾールを阻害するアロマターゼ、その他のアロマターゼ阻害薬、42-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY 117018、オナプリストンおよびトレミフェン(例えば、FARESTON(登録商標))などの抗エストロゲン;フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリドおよびゴセレリンなどの抗アンドロゲン;ならびに上述のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体;卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、ならびに黄体形成ホルモン(LH)およびLHRH(黄体形成ホルモン-放出ホルモン)などの糖タンパク質ホルモンのアゴニストおよび/またはアンタゴニスト;ZOLADEX(登録商標)(AstraZeneca)として市販されているLHRHアゴニストゴセレリンアセテート;LHRHアンタゴニストであるD-アラニンアミドN-アセチル-3-(2-ナフタレニル)-D-アラニル-4-クロロ-D-フェニルアラニル-3-(3-ピリジニル)-D-アラニル-L-セリル-N6-(3-ピリジニルカルボニル)-L-リジル-N6-(3-ピリジニルカルボニル)-D-リジル-L-ロイシル-N6-(1-メチルエチル)-L-リジル-L-プロリン(例えば、ANTIDE(登録商標)、Ares-Serono);LHRHアンタゴニストであるゲニレリクス(ganirelix)アセテート;ステロイド性抗アンドロゲンである酢酸シプロテロン(CPA)および、MEGACE(登録商標)(Bristol-Myers Oncology)として市販されているメゲストロールアセテート;EULEXIN(登録商標)(Schering Corp.)として市販されている、非ステロイド性抗アンドロゲンであるフルタミド(2-メチル-N-[4、20-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニルプロパンアミド);非ステロイド性抗アンドロゲンであるニルタミド、(5,5-ジメチル-3-[4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル-4'-ニトロフェニル)-4,4-ジメチル-イミダゾリジン-ジオン);ならびにRAR、RXR、TR、VDR等に対するアンタゴニストなどの、その他の非許容的な受容体に対するアンタゴニスト。
[129]化学療法処方計画における上述された細胞毒性剤およびその他の抗がん剤の使用は一般に、がん治療分野においてよく特徴付けられており、また本明細書におけるこれらの使用は、モニタリング寛容性および有効性について、ならびに投与経路および投薬量の制御について、同じように考慮されるとともに、いくらか調整される。例えば、細胞毒性剤の実際の投薬量は、組織培養方法を使用して決定される培養された患者の細胞の反応に応じて変更してもよい。投薬量は一般に、さらなる他の薬剤がない状態において使用される量と比較して減少される。
[130]有効な細胞毒性剤の典型的な投薬量は、製造業者によって推奨される範囲であることができ、およびインビトロ反応または動物モデルにおける反応により示される場合、濃度または量の大きさを最大約1桁減少させることができる。従って、実際の投薬量は、医師の判断、患者の状態および初代培養された悪性細胞または組織培養された組織試料のインビトロ反応または適切な動物モデルにおいて観察された反応に基づいた治療方法の有効性に依存するだろう
[131]本発明は、患者における腫瘍または腫瘍転移を治療する前述の方法であって、治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤およびさらに、同時にまたは経時的に、1つ以上の脈管形成阻害剤を患者に投与することを含む方法をさらに提供する。
[132]抗血管新生薬剤は例えば、以下を含む:例えば、SU-5416およびSU-6668(Sugen Inc. of South San Francisco, Calif., USA)などの、または例えば、国際出願番号WO 99/24440、WO 99/62890、WO 95/21613、WO 99/61422、WO 98/50356、WO 99/10349、WO 97/32856、WO 97/22596、WO 98/54093、WO 98/02438、WO 99/16755およびWO 98/02437、ならびに米国特許第5,883,113号、第5,886,020号、第5,792,783号、第5,834,504号および第6,235,764号に記載されているような、VEGFR阻害剤;IM862(米国ワシントン州カークランドのCytran Inc.)などのVEGF阻害剤;Ribozyme(コロラド州ボルダー)およびChiron(カリフォルニア州エメリービル)由来の合成リボザイムであるアンギオザイム;ならびにVEGFに対する組み換えヒト化抗体であるベバシズマブ(例えば、AVASTIN(商標)、Genentech、カリフォルニア州サウスサンフランシスコ)などのVEGFに対する抗体;αvβ3、αvβ5およびαvβ6インテグリン、ならびにそのサブタイプ、例えばシレンジタイド(EMD 121974)などのインテグリン受容体アンタゴニストおよびインテグリンアンタゴニスト、または例えば、αvβ3特異的なヒト化抗体(例えば、VITAXIN(登録商標))などの抗インテグリン抗体;IFN-α(米国特許第41530,901号、第4,503,035号および第5,231,176号)などの因子;アンジオスタチンおよびプラスミノゲン断片(例えば、クリングルk1-4、クリングルk5、クリングルk1-3(O'Reilly、M. S. et al.(1994)Cell 79:315-328;Cao et al.(1996)J. Biol. Chem. 271:29461-29467;Cao et al.(1997)J. Biol. Chem. 272:22924-22928);エンドスタチン(O'Reilly、M. S. et al.(1997)Cell 88:277;ならびに国際特許公開番号WO 97/15666);トロンボスポンジン(TSP-1;Frazier、(1991)Curr. Opin. Cell Biol. 3:792);血小板第4因子(PF4);プラスミノーゲンアクチベーター/ウロキナーゼ阻害剤;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;ヘパリナーゼ;TNP-4701などのフマギリン類似体;スラミンおよびスラミン類似体;血管抑制作用ステロイド;bFGFアンタゴニスト;flk-1およびflt-1アンタゴニスト;MMP-2(マトリックス-メタロプロテイナーゼ2)阻害剤およびMMP-9(マトリックス-メタロプロテイナーゼ9)阻害剤などの抗脈管形成剤。有用なマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤の例は、国際特許公開公報第WO 96/33172、WO 96/27583、WO 98/07697、WO 98/03516、WO 98/34918、WO 98/34915、WO 98/33768、WO 98/30566、WO 90/05719、WO 99/52910、WO 99/52889、WO 99/29667およびWO 99/07675、欧州特許公開公報番号818,442、780,386、1,004,578、606,046および931,788;英国特許公開公報番号9912961および米国特許第5,863,949号および第5,861,510号において記述されている。好ましいMMP-2およびMMP-9阻害剤は、MMP-1を阻害する活性をほとんどまたは全く有しないものである。より好ましくは、他のマトリックスメタロプロテイナーゼ(すなわち、MMP-1、MMP-3、MMP-4、MMP-5、MMP-6、MMP-7、MMP-8、MMP-10、MMP-11、MMP-12およびMMP-13)と比較してMMP-2および/またはMMP-9を選択的に阻害するものである。
[133]本発明は、患者における腫瘍または腫瘍転移を治療する前述の方法であって、治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤およびさらに、同時にまたは経時的に、1つ以上の腫瘍細胞アポトーシス促進剤またはアポトーシス刺激剤を患者に投与することを含む方法をさらに提供する。
[134]本発明は、患者における腫瘍または腫瘍転移を治療するための前述の方法であって、治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤およびさらに、同時にまたは経時的に、1つ以上のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を患者に投与することを含む方法をさらに提供する。
[135]HDAC阻害剤は例えば、以下を含む:SB939、CHR-3996、CRA-024781、ITF2357、JNJ-26854165、JNJ-26481585(Ortho Biotech)、Vorinostat(スベロイルアニリドヒドロキサム酸、SAHA;Merck)、FK-228(デプシペプチド/FR-901228、藤沢薬品工業、日本・大阪府)、Phenylbutyrate(Elan Pharmaceuticals、ダブリン)、LAQ824およびLBH589(Novartis)、PXD101(TopoTarget、コペンハーゲン)、MS-275(Schering AG)、Pyroxamide(Aton Pharma、ニューヨーク州タリータウン)、MGCD0103(MethylGene、モントリオール)、NBM-HD-1(NatureWise Biotech & Medicals Corporation)、CI-994(Pfizer Inc)、Pivanex(Titan Pharmaceuticals Inc)、Romidepsin(Gloucester Pharmaceuticals)およびEntinostat(SNDX-275;Syndax Pharmaceuticals)。
[136]本発明は、患者における腫瘍または腫瘍転移を治療するための前述の方法であって、治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤およびさらに、同時にまたは経時的に、1つ以上のヒストンデメチラーゼ阻害剤を患者に投与することを含む方法をさらに提供する。
[137]本発明は、患者における腫瘍または腫瘍転移を治療するための前述の方法であって、治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤およびさらに、同時にまたは経時的に、1つ以上のDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤を患者に投与することを含む方法をさらに提供する。DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤は例えば、以下を含む:S-110(Supergen、カリフォルニア州ダブリン)、Zebularine、Procaine、(-)エピガロカテキン-3-没食子酸エステル(EGCG)およびPsammaplins。
[138]本発明は、患者における腫瘍または腫瘍転移を治療するための前述の方法であって、治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤およびさらに、同時にまたは経時的に、1つ以上のシグナル伝達阻害剤を患者に投与することを含む方法をさらに提供する。
[139]シグナル伝達阻害剤は例えば、以下を含む:erbB2受容体阻害剤、例えば有機分子またはerbB2受容体に結合する抗体、例えばトラスツズマブ(例えば、HERCEPTIN(登録商標));その他のタンパク質チロシンキナーゼ阻害剤、例えばイミチニブ(例えば、GLEEVEC(登録商標));ras阻害剤;raf阻害剤;MEK阻害剤;PAK1およびPAK2キナーゼ阻害剤;mTORC1およびmTORC2キナーゼの両方に結合しかつ直接阻害するmTOR阻害剤を含む、例えばラパマイシンおよびその類似体(例えば、CCI-779、RAD001およびAP23573)などのmTOR阻害剤;例えば、Fan, Q-W et al (2006) Cancer Cell 9:341-349およびKnight, Z.A. et al. (2006) Cell 125:733-747に記載されているようなPI-103化合物などの、二重のPI3K/mTORキナーゼ阻害剤であるmTOR阻害剤;mTORキナーゼおよび1つ以上のその他のPIKK(またはPIKに関連する)キナーゼファミリーメンバーの二重の阻害剤であるmTOR阻害剤。このようなメンバーは、MEC1、TEL1、RAD3、MEI-41、DNA-PK、ATM、ATR、TRRAP、PI3KおよびPI4Kキナーゼ;サイクリン依存的キナーゼ阻害剤;タンパク質キナーゼC阻害剤;PI-3キナーゼ阻害剤;およびPDK-1阻害剤を含む(このような阻害剤のいくつかの例の記述およびがんの治療のための臨床試験におけるこれらの使用については、Dancey, J. and Sausville, E.A. (2003) Nature Rev. Drug Discovery 2:92-313を参照されたい)。
[140]ErbB2受容体阻害剤は例えば、以下を含む:GW-282974(Glaxo Wellcome plc)などのErbB2受容体阻害剤、AR-209(米国テキサス州ザ・ウッドランズのAronex Pharmaceuticals Inc.)および2B-1(Chiron)などのモノクローナル抗体、ならびに国際公開番号WO 98/02434、WO 99/35146、WO 99/35132、WO 98/02437、WO 97/13760およびWO 95/19970、ならびに米国特許第5,587,458号、第5,877,305号、第6,465,449号および第6,541,481号に記載されているようなerbB2阻害剤。
[141]本明細書に使用される、mTOR阻害剤は、当該技術分野において現在公知である任意のmTOR阻害剤を含み、および患者に対する投与により、患者においてmTORの阻害を生じる任意の化学物質を含む。mTOR阻害剤は、任意の生化学的機構によってmTORを阻害でき、任意の生化学機構には、ATP結合部位での競合、mTORキナーゼの触媒部位における他の位置での競合、非拮抗阻害、不可逆的阻害(例えば、共有結合性タンパク質修飾)、またはmTORキナーゼ活性の阻害を生じさせる方法における、その他のタンパク質サブユニットもしくは結合タンパク質とmTORキナーゼとの相互作用の調整(例えばmTORと、FKBP12、GβL、(mLST8)、RAPTOR(mKOG1)またはRICTOR(mAVO3)との相互作用の調整)を含む。mTOR阻害剤の特異的な例は、以下を含む:ラパマイシン;その他のラパマイシンマクロライド剤またはラパマイシンの類似体、誘導体もしくはプロドラッグ;RAD001(Everolimusとしてもまた公知であり、RAD001は、アルキル化されたラパマイシン(40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン)であり、米国特許第5,665,772号において開示されている;Novartis);CCI-779(Temsirolimusとしてもまた公知であり、CCI-779はラパマイシンのエステル(3-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-2-メチルプロピオン酸との42-エステル)であり、米国特許第5,362,718号において開示されている;Wyeth);AP23573またはAP23841(Ariad Pharmaceuticals);ABT-578(40-エピ-(テトラゾリル)-ラパマイシン;Abbott Laboratories);KU-0059475(Kudus Pharmaceuticals);およびTAFA-93(ラパマイシンプロドラッグ;Isotechnika)。当該技術分野において公知のラパマイシンの類似体および誘導体の例は、米国特許第6,329,386号;第6,200,985号;第6,117,863号;第6,015,815号;第6,015,809号;第6,004,973号;第5,985,890号;第5,955,457号;第5,922,730号;第5,912,253号;第5,780,462号;第5,665,772号;第5,637,590号;第5,567,709号;第5,563,145号;第5,559,122号;第5,559,120号;第5,559,119号;第5,559,112号;第5,550,133号;第5,541,192号;第5,541,191号;第5,532,355号;第5,530,121号;第5,530,007号;第5,525,610号;第5,521,194号;第5,519,031号;第5,516,780号;第5,508,399号;第5,508,290号;第5,508,286号;第5,508,285号;第5,504,291号;第5,504,204号;第5,491,231号;第5,489,680号;第5,489,595号;第5,488,054号;第5,486,524号;第5,486,523号;第5,486,522号;第5,484,791号;第5,484,790号;第5,480,989号;第5,480,988号;第5,463,048号;第5,446,048号;第5,434,260号;第5,411,967号;第5,391,730号;第5,389,639号;第5,385,910号;第5,385,909号;第5,385,908号;第5,378,836号;第5,378,696号;第5,373,014号;第5,362,718号;第5,358,944号;第5,346,893号;第5,344,833号;第5,302,584号;第5,262,424号;第5,262,423号;第5,260,300号;第5,260,299号;第5,233,036号;第5,221,740号;第5,221,670号;第5,202,332号;第5,194,447号;第5,177,203号;第5,169,851号;第5,164,399号;第5,162,333号;第5,151,413号;第5,138,051号;第5,130,307号;第5,120,842号;第5,120,727号;第5,120,726号;第5,120,725号;第5,118,678号;第5,118,677号;第5,100,883号;第5,023,264号;第5,023,263号および第5,023,262号において記述されるこれらの化合物を含む;これらの全ては参照により本明細書に援用される。ラパマイシン誘導体は例えば、WO 94/09010、WO 95/16691、WO 96/41807またはWO 99/15530においてもまた開示され、これらは参照により本明細書に援用される。このような類似体および誘導体は、32-デオキソラパマイシン、16-ペント-2-イニルオキシ-32-デオキソラパマイシン、16-ペント-2-イニルオキシ-32(SまたはR)-ジヒドロ-ラパマイシン、16-ペント-2-イニルオキシ-32(SまたはR)-ジヒドロ-40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン、40-0-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン、32-デオキソラパマイシンおよび16-ペント-2-イニルオキシ-32(S)-ジヒドロ-ラパマイシンを含む。ラパマイシン誘導体は例えば、WO 98/02441およびWO01/14387にて開示されるように、いわゆるラパログをもまた含んでもよい(例えば、AP23573、AP23464、AP23675またはAP23841)。ラパマイシン誘導体のさらなる例は、ビオリムス-7またはビオリムス-9(BIOLIMUS A9(商標))(Biosensors International、シンガポール)の名称で開示されるものである。上述したラパマイシンの類似体または誘導体のいずれも、上述した参照文献に記載されているような手順によって容易に調製し得る。
[142]本明細書に使用される場合、「mTORC1およびmTORC2キナーゼの両方に結合し、かつ直接阻害するmTOR阻害剤」という用語は、mTORC1およびmTORC2キナーゼの両方に結合し、かつ直接阻害する任意のmTOR阻害剤をいい、また患者に対する投与により、患者におけるmTORC1およびmTORC2キナーゼの両方に結合し、直接阻害を生じる任意の化学物質を含む。本明細書に記載された発明において有用なmTOR阻害剤の例は、2006年11月15日に出願の米国特許出願番号11/599,663に開示され、かつ主張されたものである、mTORC1およびmTORC2キナーゼの両方に結合し、かつ直接阻害することによってmTORを阻害する一連の化合物を含む。
[143]本発明は、患者における腫瘍または腫瘍転移を治療するための前述の方法であって、治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤およびさらに、同時にまたは経時的に、抗HER2抗体または免疫治療的に活性なこれらの断片を患者に投与することを含む方法をさらに提供する。
[144]本発明は、患者における腫瘍または腫瘍転移を治療するための前述の方法であって、治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤およびさらに、同時にまたは経時的に、1つ以上のさらなる抗増殖剤を患者に投与することを含む方法をさらに提供する。
[145]さらなる抗増殖剤は例えば、以下を含む:酵素ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼの阻害剤、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)キナーゼ阻害剤で、これには、米国特許第6,080,769号、第6,194,438号、第6,258,824号、第6,586,447号、第6,071,935号、第6,495,564号、第6,150,377号、第6,596,735号および第6,479,513号、ならびに国際出願公開公報WO 01/40217に開示され、かつ主張されている化合物を含む。抗増殖剤はまた、IGF-1Rキナーゼ阻害剤および線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)キナーゼ阻害剤を含む。
[146]本明細書に使用される、「PDGFRキナーゼ阻害剤」という用語は、当該技術分野において現在公知である任意のPDGFRキナーゼ阻害剤を含み、また患者に対する投与により、PDGFRにその天然のリガンドが結合することにより別途生じる下流の生物学的効果のいずれかを含む患者においてPDGFRの活性化と関連する生物学的活性の阻害を生じる任意の化学物質を含む。このようなPDGFRキナーゼ阻害剤は、PDGFR活性化または患者におけるがん治療に関連するPDGFR活性化の下流の生物学的効果のいずれかを遮断できる任意の薬剤を含む。このような阻害剤は、直接受容体の細胞内ドメインと結合すること、およびそのキナーゼ活性を阻害することによって作用し得る。あるいは、このような阻害剤は、PDGFRにおけるリガンド結合部位またはその一部を占領することによって作用でき、これによって、その天然のリガンドが受容体に近づけないようになり、その結果、その正常な生物学的活性が防止され、または減少させられる。あるいは、このような阻害剤は、PDGFRポリペプチドの二量体化またはその他のタンパク質とPDGFRポリペプチドとの相互作用を調節することによって作用でき、またはPDGFRのユビキチン結合およびエンドサイトーシス分解を増強できる。PDGFRキナーゼ阻害剤は、限定されないが、低分子阻害剤、抗体または抗体断片、アンチセンス構築物、阻害性の小RNA(すなわちdsRNAによるRNA干渉;RNAi)およびリボザイムを含む。PDGFRキナーゼ阻害剤は、抗PDGF(抗血小板由来成長因子)または抗PDGFRアプタマー、抗PDGFもしくは抗PDGFR抗体または同族の受容体に対するPDGFの結合を防止する可溶性PDGF受容体のデコイを含む。好ましい態様において、PDGFRキナーゼ阻害剤は、ヒトPDGFRに特異的に結合する有機低分子または抗体である。化合物または薬剤がPDGFRキナーゼ阻害剤としての役割を果たす能力は、技術分野において公知の方法、ならびにさらに、例えばDai et al., (2001)Genes & Dev. 15: 1913-25; Zippel, et al., (1989) Eur. J. Cell Biol. 50(2):428-34;および Zwiller, et al., (1991) Oncogene 6: 219-21に記載の方法に従って決定してもよい。
[147]本発明は、当該技術分野において公知のPDGFRキナーゼ阻害剤、ならびに以下に支持されるものおよび通常の創作技術の範囲内にあるありとあらゆる均等物を含む。例えば、PDGFに対し向けられる阻害抗体は、当該技術分野において公知であり、例えば米国特許第5,976,534号、第5,833,986号、第5,817,310号、第5,882,644号、第5,662,904号、第5,620,687号、第5,468,468号およびPCT WO 2003/025019において記載されたものであり、これらの内容はその全体が参照により援用される。さらに、本発明は、PDGFRキナーゼ阻害剤であるN-フェニル-2-ピリミジン-アミン誘導体、例えば米国特許第5,521,184号、ならびにWO2003/013541、WO2003/078404、WO2003/099771、WO2003/015282およびWO2004/05282において開示されたものを含み、これらは参照によりこれらの全体が本明細書に援用される。
[148]PDGFの作用を遮断する低分子は、当該技術分野において公知であり、例えば米国特許または公開出願の第6,528,526号(PDGFRチロシンキナーゼ阻害剤)、第6,524,347号(PDGFRチロシンキナーゼ阻害剤)、第6,482,834号(PDGFRチロシンキナーゼ阻害剤)、第6,472,391号(PDGFRチロシンキナーゼ阻害剤)、第6,949,563号、第6,696,434号、第6,331,555号、第6,251,905号、第6,245,760号、第6,207,667号、第5,990,141号、第5,700,822号、第5,618,837号、第5,731,326号および2005/0154014、ならびに国際公開出願番号WO 2005/021531、WO 2005/021544およびWO 2005/021537に記載されたものであり、これらの内容はその全体が参照により援用される。
[149]PDGFの作用を遮断するタンパク質およびポリペプチドは、当該技術分野において公知であり、例えば米国特許第6,350,731号(PDGFペプチド類似体)および第5,952,304号において記述されたものであり、これらの内容はその全体が参照により援用される。
[150]EGFおよび/またはPDGF受容体チロシンキナーゼを阻害するビスモノおよび二環式アリールおよびヘテロアリール化合物は、当該技術分野において公知であり、例えば米国特許第号5,476,851号、第5,480,883号、第5,656,643号、第5,795,889号および第6,057,320号において記述されたものであり、これらの内容はその全体が参照により援用される。
[151]PDGFの阻害のためのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、当該技術分野において公知であり、例えば米国特許第5,869,462号および第5,821,234号において記述されたものであり、これらの内容のそれぞれは、その全体が参照により援用される。
[152]PDGFの阻害のためのアプタマー(核酸リガンドとしても知られる)は、当該技術分野において公知であり、例えば米国特許第6,582,918号、第6,229,002号、第6,207,816号、第5,668,264号、第5,674,685号および第5,723,594号において記述されたものであり、これらの内容のそれぞれは、その全体が参照により援用される。
[153]当該技術分野において公知である、PDGFを阻害するための他の化合物は、米国特許第5,238,950号、第5,418,135号、第5,674,892号、第5,693,610号、第5,700,822号、第5,700,823号、第5,728,726号、第5,795,910号、第5,817,310号、第5,872,218号、第5,932,580号、第5,932,602号、第5,958,959号、第5,990,141号、第6,358,954号、第6,537,988号および第6,673,798号において記述したものを含み、これらの内容のそれぞれは、その全体が参照により援用される。
[154]PDGFRなどのチロシンキナーゼ受容体酵素に対して選択的であるチロシンキナーゼ阻害剤の多数のタイプが公知である(例えば、Spada and Myers ((1995) Exp. Opin. Ther. Patents, 5: 805)およびBridges ((1995) Exp. Opin. Ther. Patents, 5: 1245を参照されたい)。さらに、LawおよびLydonは、チロシンキナーゼ阻害剤の抗がん可能性を概説した((1996) Emerging Drugs: The Prospect For Improved Medicines, 241-260)。例えば、米国特許第6,528,526号は、選択的に血小板由来成長因子-受容体(PDGFR)チロシンキナーゼ活性を阻害する置換されたキノキサリン化合物を記述している。PDGFRチロシンキナーゼ活性の公知の阻害剤は、Maguire et al., ((1994) J. Med. Chem., 37: 2129)によって、およびDolle, et al., ((1994) J. Med. Chem., 37: 2627)によって報告されたキノリンに基づいた阻害剤を含む。フェニルアミノ-ピリミジンに基づいた阻害剤の種類は、EP 564409におけるTraxler, et al.,およびZimmerman et al., ((1996) Biorg. Med. Chem. Lett., 6: 1221-1226)およびBuchdunger, et al., ((1995) Proc. Nat. Acad. Sci. (USA), 92: 2558)によって、最近報告された。PDGF受容体チロシンキナーゼ活性を阻害することにおいて有用であるキナゾリン誘導体は、ビスモノ-および二環式アリール化合物、ならびにヘテロアリール化合物(例えばWO 92/20642を参照されたい)、キノキサリン誘導体((1994) Cancer Res., 54: 6106-6114を参照されたい)、ピリミジン誘導体(日本の公開された特許出願第87834/94号)およびジメトキシキノリン誘導体(Abstracts of the 116th Annual Meeting of the Pharmaceutical Society of Japan (Kanazawa), (1996), 2, p. 275, 29(C2)15-2を参照されたい)を含む。
[155]本発明において使用できる低分子のPDGFRキナーゼ阻害剤の具体的な好ましい例は、以下を含む:イマチニブ(GLEEVEC(登録商標);Novartis);SU-12248(スニチブリンゴ酸塩、SUTENT(登録商標);Pfizer);ダサチニブ(SPRYCEL(登録商標);BMS; BMS-354825としても知られる);ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標);Bayer; Bay-43-9006としても知られる);AG-13736(アキシチニブ;Pfizer);RPR127963(Sanofi-Aventis);CP-868596(Pfizer/OSI Pharmaceuticals);MLN-518(タンズチニブ;Millennium Pharmaceuticals);AMG-706(モテサニブ;Amgen);ARAVA(登録商標)(レフルノミド;Sanofi-Aventis; SU101としても知られる)およびOSI-930(OSI Pharmaceuticals);本発明において使用できるFGFRキナーゼ阻害剤でもある低分子のPDGFRキナーゼ阻害剤のさらなる好ましい例は、以下が挙げられる:XL-999(Exelixis);SU6668(Pfizer);CHIR-258/TKI-258(Chiron);RO4383596(Hoffmann-La Roche)およびBIBF-1120(Boehringer Ingelheim)。
[156]本明細書に使用される、「FGFRキナーゼ阻害剤」という用語は、当該技術分野において現在公知である任意のFGFRキナーゼ阻害剤を含み、また患者に対する投与により、その天然のリガンドのFGFRへの結合から別途生じる下流の生物学的効果のいずれかを含む、患者においてFGFRの活性化と関連する生物学的活性の阻害を生じる任意の化学物質を含む。このようなFGFRキナーゼ阻害剤は、FGFR活性化または患者におけるがん治療に関連するFGFR活性化の下流の生物学的効果のいずれかを遮断できる任意の薬剤を含む。このような阻害剤は、受容体の細胞内ドメインと直接結合すること、およびそのキナーゼ活性を阻害することによって作用し得る。あるいは、このような阻害剤は、FGF受容体におけるリガンド結合部位またはその一部を占領することによって作用でき、これによって、その天然のリガンドが受容体に近づけないようにさせ、その結果、その正常な生物学的活性が防止され、または減少させられる。あるいは、このような阻害剤は、FGFRポリペプチドの二量体化またはその他のタンパク質とFGFRポリペプチドとの相互作用を調節することによって作用すること、またはFGFRのユビキチン結合およびエンドサイトーシス分解を増強できる。FGFRキナーゼ阻害剤は、限定されないが、低分子阻害剤、抗体または抗体断片、アンチセンス構築物、阻害性の小RNA(すなわちdsRNAによるRNA干渉;RNAi)およびリボザイムを含む。FGFRキナーゼ阻害剤は、抗FGF(抗線維芽細胞成長因子)または抗FGFRアプタマー、抗FGFもしくは抗FGFR抗体または同族の受容体に対するFGFRの結合を防止する可溶性FGFR受容体のデコイを含む。好ましい態様において、FGFRキナーゼ阻害剤は、ヒトFGFRに特異的に結合する有機低分子または抗体である。抗FGFR抗体は、FR1-H7(FGFR-1)およびFR3-D11(FGFR-3)(Imclone Systems, Inc.)を含む。
[157]FGFRキナーゼ阻害剤はまた、ヘパラン硫酸プロテオグリカンのFGFR活性を調節する能力に影響を及ぼすことによってFGFRシグナル伝達を阻害する化合物を含む。細胞外マトリックスにおけるヘパラン硫酸プロテオグリカンは、FGFの作用、例えば、成長因子のタンパク質分解からの保護、局在化、貯蔵および内部移行を媒介でき(Faham, S. et al. (1998) Curr. Opin. Struct. Biol., 8:578-586)、またその同族のFGFRに対してFGFを提示するように作用する低親和性FGF受容体としての役割を果たし、および/または受容体オリゴマー形成を促進させ得る(Galzie, Z. et al. (1997) Biochem. Cell. Biol., 75:669-685)。
[158]本発明は、当該技術分野において公知のFGFRキナーゼ阻害剤(例えば、PD173074)、ならびに以下に支持されるものおよび通常の創作技術の範囲内にあるありとあらゆる均等物を含む。
[159]線維芽細胞成長因子(FGF)作用をアンタゴナイズし得、および従って本明細書に記載の方法においてFGFRキナーゼ阻害剤として使用できる化学物質の例は、スラミン、スラミンの構造類似体、ペントサンポリサルフェート、スコポラミン、アンジオスタチン、スプラウティー(sprouty)、エストラジオール、カルボキシメチルベンジルアミンデキストラン(CMDB7)、スラジスタ、インスリン様成長因子結合タンパク質-3、エタノール、ヘパリン(例えば、6-O-脱硫酸化ヘパリン)、低分子ヘパリン、硫酸プロタミン、シクロスポリンAまたはbFGFのためのRNAリガンドを含む。
[160]当該技術分野において公知のFGFRキナーゼを阻害するためのその他の薬剤または化合物は、以下に記載されたものを含む:米国特許第7,151,176号(Bristol-Myers Squibb Company;ピロロトリアジン化合物);第7,102,002号(Bristol-Myers Squibb Company;ピロロトリアジン化合物);第5,132,408号(Salk Institute;ペプチドFGFアンタゴニスト);および第5,945,422号(Warner-Lambert Company;2-アミノ置換ピリド[2,3-d]ピリミジン);米国特許出願公開番号2005/0256154(4-アミノ-チエノ[3,2-c]ピリジン-7-カルボン酸アミド化合物);および2004/0204427(ピリミジノ化合物);および公開された国際特許出願WO-2007019884(Merck Patent GmbH;N-(3-ピラゾリル)-N'-4-(4-ピリジニルオキシ)フェニル)尿素化合物);WO-2007009773(Novartis AG;ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン誘導体);WO-2007014123(Five Prime Therapeutics, Inc.;FGFR融合タンパク質);WO-2006134989(協和発酵工業株式会社;窒素性ヘテロ環化合物);WO-2006112479(協和発酵工業株式会社;アザヘテロ環);WO-2006108482(Merck Patent GmbH;9-(4-ウレイドフェニル)プリン化合物);WO-2006105844(Merck Patent GmbH;N-(3-ピラゾリル)-N'-4-(4-ピリジニルオキシ)フェニル)尿素化合物);WO-2006094600(Merck Patent GmbH;テトラヒドロピロロキノリン誘導体);WO-2006050800(Merck Patent GmbH;N,N'-ジアリール尿素誘導体);WO-2006050779(Merck Patent GmbH;N,N'-ジアリール尿素誘導体);WO-2006042599(Merck Patent GmbH;フェニル尿素誘導体);WO-2005066211(Five Prime Therapeutics, Inc.;抗FGFR抗体);WO-2005054246(Merck Patent GmbH;ヘテロシクリルアミン);WO-2005028448(Merck Patent GmbH;2-アミノ-1-ベンジル置換ベンズイミダゾール誘導体);WO-2005011597(Irm Llc;置換複素環誘導体);WO-2004093812(Irm Llc/Scripps;6-フェニル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン誘導体);WO-2004046152(F. Hoffmann La Roche AG;ピリミド[4,5-e]オキサジアジン誘導体);WO-2004041822(F. Hoffmann La Roche AG;ピリミド[4,5-d]ピリミジン誘導体);WO-2004018472(F. Hoffmann La Roche Ag;ピリミド[4,5-d]ピリミジン誘導体);WO-2004013145(Bristol-Myers Squibb Company;ピロロトリアジン誘導体);WO-2004009784(Bristol-Myers Squibb Company;ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル化合物);WO-2004009601(Bristol-Myers Squibb Company;アザインドール化合物);WO-2004001059(Bristol-Myers Squibb Company;複素環誘導体);WO-02102972(Prochon Biotech Ltd./Morphosys Ag;抗FGFR抗体);WO-02102973(Prochon Biotech Ltd.;抗FGFR抗体);WO-00212238(Warner-Lambert Company;2-(ピリジン-4-イルアミノ)-6-ジアルコキシフェニル-ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-オン誘導体);WO-00170977(Amgen, Inc.;FGFR-Lおよび誘導体);WO-00132653(Cephalon, Inc.;ピラゾロン誘導体);WO-00046380(Chiron Corporation;FGFR-Ig融合タンパク質);およびWO-00015781、(Eli Lilly;ヒトSPROUTY-1タンパク質関連のポリペプチド)。
[161]本発明に従って使用できる低分子FGFRキナーゼ阻害剤の特に好ましい例は、以下を含む:RO-4396686(Hoffmann-La Roche);CHIR-258(Chiron; TKI-258としても知られる);PD 173074(Pfizer);PD 166866(Pfizer);ENK-834およびENK-835(両方ともEnkam Pharmaceuticals A/S);およびSU5402(Pfizer)。また、本発明に従って使用できるPDGFRキナーゼ阻害剤でもある低分子FGFRキナーゼ阻害剤のさらなる好ましい例は、XL-999(Exelixis);SU6668(Pfizer);CHIR-258/TKI-258(Chiron);RO4383596(Hoffmann-La Roche)およびBIBF-1120(Boehringer Ingelheim)を含む。
[162]本明細書に使用される、「IGF-1Rキナーゼ阻害剤」という用語は、当該技術分野において現在公知である任意のIGF-1Rキナーゼ阻害剤を含み、また患者に対する投与により、IGF-1Rにその天然のリガンドが結合することにより別途生じる下流の生物学的効果のいずれかを含む、患者においてIGF-1受容体の活性化と関連する生物学的活性の阻害を生じる任意の化学物質を含む。このようなIGF-1Rキナーゼ阻害剤は、IGF-1R活性化または患者におけるがん治療に関連するIGF-1R活性化の下流の生物学的効果のいずれかを遮断できる任意の薬剤を含む。このような阻害剤は、直接受容体の細胞内ドメインと結合すること、およびそのキナーゼ活性を阻害することによって作用し得る。あるいは、このような阻害剤は、IGF-1受容体におけるリガンド結合部位またはその一部を占領することによって作用でき、これによって、その天然のリガンドが受容体に近づけないようになり、その結果、その正常な生物学的活性が防止され、または減少させられる。あるいは、このような阻害剤は、IGF-1Rポリペプチドの二量体化またはその他のタンパク質とIGF-1Rポリペプチドとの相互作用を調節することによって作用すること、またはIGF-1Rのユビキチン結合およびエンドサイトーシス分解を増強できる。IGF-1Rキナーゼ阻害剤は、またIGF-1Rの活性化に利用可能なIGF-1の量を減少させることによって、例えば、その受容体へのIGF-1の結合をアンタゴナイズすることによって、IGF-1のレベルを減少させることによって、またはIGF結合タンパク質(例えば、IGFBP3)などのIGF-1R以外のタンパク質とIGF-1との会合を促進することによって、作用し得る。IGF-1Rキナーゼ阻害剤は、限定されないが、低分子阻害剤、抗体または抗体断片、アンチセンス構築物、阻害性の小RNA(すなわちdsRNAによるRNA干渉;RNAi)およびリボザイムを含む。好ましい態様において、IGF-1Rキナーゼ阻害剤は、特異的にヒトIGF-1Rに結合する有機低分子または抗体である。
[163]IGF-1Rキナーゼ阻害剤は、例えば、以下を含む:イミドアゾピラジンIGF-1Rキナーゼ阻害剤、アザ二環式アミン阻害剤、キナゾリンIGF-1Rキナーゼ阻害剤、ピリドピリミジンIGF-1Rキナーゼ阻害剤、ピリミドピリミジンIGF-1Rキナーゼ阻害剤、ピロロ-ピリミジンIGF-1Rキナーゼ阻害剤、ピラゾロピリミジンIGF-1Rキナーゼ阻害剤、フェニルアミノ-ピリミジンIGF-1Rキナーゼ阻害剤、オキシインドールIGF-1Rキナーゼ阻害剤、インドロカルバゾールIGF-1Rキナーゼ阻害剤、フタラジンIGF-1Rキナーゼ阻害剤、イソフラボンIGF-1Rキナーゼ阻害剤、キナロンIGF-1Rキナーゼ阻害剤およびチロホスチンIGF-1Rキナーゼ阻害剤、ならびにこのようなIGF-1Rキナーゼ阻害剤の薬学的に許容される全ての塩および溶媒和物。
[164]IGF-1Rキナーゼ阻害剤の例は、以下を含む:アザ二環式アミン誘導体を記述する国際特許公開番号WO 05/097800、イミドアゾピラジンIGF-1Rキナーゼ阻害剤を記述する国際特許公開番号WO 05/037836、IGF-1R関連障害を治療するためのピリミジンを記述する国際特許公開第WO 03/018021およびWO 03/018022、シクロリグナンおよびIGF-1R阻害剤としてのシクロリグナンを記述する国際特許公開第WO 02/102804およびWO 02/102805、IGF-1Rチロシンキナーゼの阻害に反応する疾患の治療のためのピロロピリミジンを記述する国際特許公開番号WO 02/092599、チロシンキナーゼ阻害剤としてピロロピリミジンを記述する国際特許公開番号WO 01/72751、およびキナーゼのピロロトリアジン阻害剤を記述する国際特許公開番号WO 00/71129、およびピロロ[2,3-d]ピリミジンおよびそのチロシンキナーゼ阻害剤としての使用を記述する国際特許公開番号WO 97/28161、インビトロおよびインビボのIGF-1R阻害活性を有するチロホスチンを記述するParrizas、et al.(Endocrinology, 138:1427-1433 (1997))、IGF-1R阻害剤としてのヘテロアリール-アリール尿素を記述する国際特許公開番号WO 00/35455、ピリミジン誘導体をIGF-1Rのモジュレーターとして記述する国際特許公開番号WO 03/048133、キナーゼタンパク質に対する阻害性効果を有する化学化合物を記述する国際特許公開番号WO 03/024967、WO 03/035614、WO 03/035615、WO 03/035616およびWO 03/035619、高増殖性状態を治療する方法および組成物を記述する国際特許公開番号WO 03/068265、ピロロピリミジンをプロテインキナーゼ阻害剤として記述する国際特許公開番号WO 00/17203、セフェム化合物、その産生および抗菌組成物を記述する日本特許公開番号JP 07/133280、プテリジン研究および4位において非置換のプテリジンを記述するAlbert, A. et al., Journal of the Chemical Society, 11: 1540-1547 (1970)、ならびに3-4-ジヒドロプテリジンを経たピラジンからの(4位において非置換の)プテリジンの合成を記述するA. Albert et al., Chem. Biol. Pteridines Proc. Int. Symp., 4th, 4: 1-5 (1969)。
[165]さらに、本発明に従って使用できるIGF-1Rキナーゼ阻害剤の具体的な例は、以下を含む:h7C10(Centre de Recherche Pierre Fabre)、IGF-1アンタゴニスト;EM-164(ImmunoGen Inc.)、IGF-1Rモジュレーター;CP-751871(Pfizer Inc.)、IGF-1アンタゴニスト;ランレオチド(Ipsen)、IGF-1アンタゴニスト;IGF-1Rオリゴヌクレオチド(Lynx Therapeutics Inc.);IGF-1オリゴヌクレオチド(National Cancer Institute);Novartisによって開発されたIGF-1Rタンパク質-チロシンキナーゼ阻害剤(例えばNVP-AEW541、Garcia-Echeverria、C. et al.(2004)Cancer Cell 5:231-239;またはNVP-ADW742、Mitsiades、C.S. et al.(2004)Cancer Cell 5:221-230);IGF-1Rタンパク質-チロシンキナーゼ阻害剤(Ontogen Corp);OSI-906(OSI Pharmaceuticals);AG-1024(Camirand、A. et al.(2005)Breast Cancer Research 7:R570-R579(DOI 10.1186/bcr1028);Camirand, A. and Pollak, M. (2004) Brit. J. Cancer 90:1825-1829; Pfizer Inc.)、IGF-1アンタゴニスト;チロホスチンAG-538およびI-OMe-AG 538;BMS-536924、IGF-1Rの低分子阻害剤;PNU-145156E(Pharmacia & Upjohn SpA)、IGF-1アンタゴニスト;BMS 536924、二重のIGF-1RおよびIRキナーゼ阻害剤(Bristol-Myers Squibb);AEW541(Novartis);GSK621659A(Glaxo SmithKline);INSM-18(Insmed);およびXL-228(Exelixis)。
[166]抗体に基づいたIGF-1Rキナーゼ阻害剤は、その天然のリガンドによるIGF-1R活性化を部分的にまたは完全に遮断できる任意の抗-IGF-1R抗体または抗体断片を含む。抗体に基づいたIGF-1Rキナーゼ阻害剤はまた、IGF-1R活性化を部分的にまたは完全に遮断できる任意の抗-IGF-1抗体または抗体断片を含む。抗体に基づいたIGF-1Rキナーゼ阻害剤の非限定的な例は、以下を含む:Larsson, O. et al (2005) Brit. J. Cancer 92:2097-2101およびIbrahim, Y.H. and Yee, D. (2005) Clin. Cancer Res. 11:944s-950sに記載されたもの;またはImcloneによって開発されたもの(例えば、IMC-A12)、もしくはAMG-479、抗-IGF-1R抗体(Amgen));R1507、抗-IGF-1R抗体(Genmab/Roche);AVE-1642、抗-IGF-1R抗体(Immunogen/Sanofi-Aventis);MK 0646またはh7C10、抗-IGF-1R抗体(Merck);またはSchering-Plough Research Instituteによって開発された抗体(例えばSCH 717454または19D12;または米国特許出願公開番号US 2005/0136063 A1およびUS 2004/0018191 A1に記載されたもの。IGF-1Rキナーゼ阻害剤は、モノクローナル抗体またはその結合特異性を有する抗体もしくは抗体断片であってもよい。
[167]本発明は、患者における腫瘍または腫瘍転移を治療するための前述した方法であって、治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤およびさらに、同時にまたは経時的に、COX II(シクロオキシゲナーゼII)阻害剤を患者に投与することを含む。有用なCOX-II阻害剤の例は、アレコキシブ(例えば、CELEBREX(商標))、バルデコキシブおよびロフェコキシブを含む方法をさらに提供する。
[168]本発明は、患者における腫瘍または腫瘍転移を治療するための前述の方法であって、治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤、およびさらに、同時にまたは経時的に、放射線または放射性医薬品による治療を患者に投与することを含む方法をさらに提供する。
[169]放射線源は、治療される患者に対して外部であっても内部であってもよい。供与源が患者の外部の場合、療法は、体外照射療法(EBRT)として公知である。放射線源が患者の内部の場合、治療は、近接照射療法(BT)と呼ばれている。本発明の状況における使用のための放射性原子は、限定されないが、ラジウム、セシウム-137、イリジウム-192、アメリシウム-241、金-198、コバルト-57、銅-67、テクネチウム-99、ヨウ素-123、ヨウ素-131およびインジウム-111を含む群から選択できる。本発明に従ったEGFRキナーゼ阻害剤が抗体である場合、このようなラジオアイソトープで抗体を標識することもまた可能である。
[170]放射線治療は、切除不能な、または手術不能の腫瘍および/または腫瘍転移を制御するための標準的な治療である。放射線治療を化学療法と組み合わせた場合には、改善された結果が観察された。放射線治療は、標的領域に送達される高用量放射線が腫瘍および正常組織の両方の生殖細胞の死滅を生じるであろうという原理に基づいている。放射線投薬量の処方計画は、一般に吸収放射線量(Gy)、時間および細分化に関して規定され、かつ腫瘍学者によって慎重に規定されなければならない。患者が受ける放射線量は、種々の考慮点に依存するであろうが、最も重要な2つは、その他の重要な構造体または体の器官との関係における腫瘍の位置および腫瘍が広がった範囲である。放射線治療を受ける患者のための治療の典型的なコースは、1〜6週間の期間にわたる治療スケジュールであり、10〜80Gyの総量が、1週につき5日、約1.8〜2.0Gyの1日分の分量で患者に投与される。本発明の好ましい態様において、ヒト患者における腫瘍が、本発明の治療および放射線治療を併用して治療される場合には、相乗作用がある。つまり、放射線治療と、任意にさらなる化学療法薬または抗がん剤と併用される場合には、本発明の組み合わせを含む薬剤による腫瘍成長の阻害は増強される。補助的な放射線治療のパラメーターは例えば、国際出願公開WO 99/60023に含まれている。
[171]本発明は、患者における腫瘍または腫瘍転移を治療するための前述の方法であって、治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤、およびさらに、同時にまたは経時的に、抗腫瘍免疫応答を増強できる1つ以上の薬剤による治療を患者に投与することを含む方法をさらに提供する。
[172]例えば、抗腫瘍免疫応答を増強できる薬剤は、以下を含む:CTLA4(細胞傷害性リンパ球抗原4)抗体(例えば、MDX-CTLA4)およびCTLA4を遮断できるその他の薬剤。本発明において使用できる特異的CTLA4抗体は、米国特許第6,682,736号に記載されたものを含む。
[173]本発明の状況において、薬剤または療法の「有効量」は、上述した通りである。薬剤または療法の「治療量以下の量」は、その薬剤または療法のための有効量より少ない量であるが、別の薬剤または療法の有効な、または治療量以下の量と併用した場合には、例えば生じる有効な効果の相乗作用または副作用の減少のため、医師による所望の結果を生むことができる。
[174]本明細書に使用される、「患者」という用語は、好ましくは、がんのためにEGFRキナーゼ阻害剤による治療が必要なヒトをいう。しかし、「患者」という用語はまた、EGFRキナーゼ阻害剤による治療が必要なヒト以外の動物、好ましくは、とりわけイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジおよび非ヒト霊長類などの哺乳類をいうことができる。
[175]好ましい態様において、患者は、がんのための治療の必要があるヒトである。患者のがんは、好ましくは、EGFRキナーゼ阻害剤の投与によって部分的にまたは完全に治療可能な任意のがんである。がんは例えば、肺がん、非小細胞肺がん、細気管支肺胞性細胞肺がん、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、頭頸部がん、皮膚性または眼内メラノーマ、子宮がん、卵巣がん、直腸がん、肛門部がん、胃がん、胃腸がん、大腸がん、乳がん、子宮がん、卵管のがん腫、子宮内膜のがん腫、頚部のがん腫、膣のがん腫、外陰部のがん腫、ホジキン病、食道がん、結腸直腸がん、小腸がん、内分泌系がん、甲状腺がん、上皮小体がん、副腎がん(例えば、副腎皮質性がん腫)、軟組織の肉腫、尿道がん、陰茎がん、前立腺がん、膀胱がん、腎臓または尿管がん、腎がん、腎盤のがん腫、中皮腫、肝細胞性がん、胆道がん、慢性または急性白血病、リンパ球性リンパ腫、中心的神経系(CNS)の腫瘍、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、多形神経膠芽腫、星細胞腫、シュワン細胞腫、脳室上衣細胞腫、髄芽細胞腫、髄膜腫、扁平細胞がん腫、下垂体腺腫であることができ、上記がんのいずれかの不応性のもの、または上記がんの1つ以上の組み合わせを含む。
[176]本発明の目的については、EGFRキナーゼ阻害剤およびさらなる抗がん剤(両方の成分を、以後「2つの活性薬剤」という)の「同時投与」および同左を「同時投与する」とは、2つの活性薬剤の、別々のまたは共なる任意の投与をいい、2つの活性薬剤は、併用療法の利益を得るように計画された適切な用量処方計画の一部として投与される。従って、2つの活性薬剤は、同じ医薬組成物の一部として、または別々の医薬組成物において、いずれで投与されてもよい。さらなる薬剤を、EGFRキナーゼ阻害剤の投与前に、同時に、もしくは投与後に、またはこれらのいくつかの組み合わせで投与してもよい。EGFRキナーゼ阻害剤が繰り返される間隔にて患者に投与される場合、例えば治療の標準的なコースの間に、さらなる薬剤は、EGFRキナーゼ阻害剤またその組み合わせのそれぞれの投与前に、同時に、もしくはその後に、あるいはEGFRキナーゼ阻害剤治療に関して異なる間隔にて投与でき、またはEGFRキナーゼ阻害剤を用いた治療過程の前、その過程中の任意の時間にて、もしくはその後に単一の投与で投与できる。
[177]EGFRキナーゼ阻害剤は、当技術分野において公知のように、および例えば国際特許公開番号WO 01/34574において開示されるように、典型的には、(有効性および安全面の両方から)患者が治療されるがんの最も有効な治療を提供する用量処方計画において、患者に投与されるだろう。本発明の治療方法を行う際に、EGFRキナーゼ阻害剤は、治療されるがんのタイプ、使用されるEGFRキナーゼ阻害剤のタイプ(例えば、低分子、抗体、RNAi、リボザイムまたはアンチセンス構築物)および、例えば公開された臨床試験の結果に基づいた、処方医師の医学的判断に依存して、経口、局所的、静脈内、腹腔内、筋肉内、関節内、皮下、鼻腔内、眼内、膣、直腸または皮内経路によるなどの、当該技術分野において公知の任意の有効な様式で投与できる。
[178]投与されるEGFRキナーゼ阻害剤の量およびEGFRキナーゼ阻害剤の投与のタイミングは、治療される患者のタイプ(人種、性別、年齢、体重、その他)および状態、治療される疾患または状態の重症度に、ならびに投与の経路に依存するだろう。例えば、低分子のEGFRキナーゼ阻害剤は、日あたりもしくは週あたり、単一もしくは分割された用量で、0.001〜100mg/体重のkgの範囲の用量で、または連続的な注入により、患者に投与できる(例えば、国際特許公開番号WO 01/34574を参照されたい)。特に、エルロチニブHClは、1日につき5〜200mgまたは週あたり100〜1600mgの範囲の用量で、単一もしくは分割された用量において、または連続的な注入により、患者に投与できる。好ましい用量は、150mg/日である。抗体に基づいたEGFRキナーゼ阻害剤またはアンチセンス、RNAiもしくはリボザイム構築物は、日あたりまたは週あたり、単一もしくは分割された用量において、0.1〜100mg/体重のkgの範囲の用量において、または連続的な注入により、患者に投与できる。いくつかの例において、上述した範囲の下限以下の投薬量レベルが適切量を超えてもよく、その一方で、その他の場合において、さらに多い用量を、任意の有害な副作用を生じさせることなく使用してもよく、ただし、このようなより多い用量は、まず1日を通した投与のためにいくつかの小さな用量に分割される。
[179]EGFRキナーゼ阻害剤およびその他のさらなる薬剤は、同一または異なる経路によって、別々に、または同時のいずれかで、および非常に多様な異なる投薬形態において投与できる。例えば、EGFRキナーゼ阻害剤は、好ましくは経口的にまたは非経口的に投与される。EGFRキナーゼ阻害剤がエルロチニブHCl(TARCEVA(登録商標))である場合、経口投与が好ましい。EGFRキナーゼ阻害剤およびその他のさらなる薬剤の両方は、単一または複数の用量において投与し得る。
[180]EGFRキナーゼ阻害剤は、錠剤、カプセル、ロゼンジ、トローチ、ハードキャンディー、粉末、スプレー、クリーム、膏薬、坐薬、ゼリー、ゲル、ペースト、ローション、軟膏、エリキシル、シロップなどの形態で、種々の薬学的に許容される不活性な担体とともに投与できる。このような投薬形態の投与は、単一または複数の用量において実施できる。担体は、固体の希釈剤または充填剤、無菌の水性媒体および種々の無毒性の有機溶媒などを含む。経口医薬組成物は、適切に甘味および/または風味をつけてもよい。
[181]EGFRキナーゼ阻害剤は、スプレー、クリーム、膏薬、坐薬、ゼリー、ゲル、ペースト、ローション、軟膏などの形態で、種々の薬学的に許容される不活性な担体とともに組み合わせることができる。このような投薬形態の投与は、単一または複数の用量において実施できる。担体は、固体の希釈剤または充填剤、無菌の水性媒体および種々の無毒性の有機溶媒などを含む。タンパク様EGFRキナーゼ阻害剤を含む全ての製剤は、阻害剤の生物学的活性の変性および/または分解および喪失を回避するように選択されるべきである。
[182]EGFRキナーゼ阻害剤を含む医薬組成物を調製する方法は、当該技術分野において公知であり、例えば国際特許公開番号WO 01/34574において記述されている。本発明の教示を考慮すれば、EGFRキナーゼ阻害剤を含む医薬組成物を調製する方法は、上で引用した刊行物から、およびRemington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, Pa.,18th edition(1990)などのその他の公知の引用文献から、明らかであろう。
[183]EGFRキナーゼ阻害剤の経口投与については、活性薬剤の1つまたは両方を含む錠剤を、例えば微晶質セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、ジカルシウムホスフェートおよびグリシンなどの種々の賦形剤のいずれかと、デンプン(および好ましくはトウモロコシ、ジャガイモまたはタピオカデンプン)、アルギン酸および所与の複合体シリケートなどの種々の崩壊剤とともに、ポリビニルピロリドン、スクロース、ゼラチンおよびアカシアのような顆粒化結合剤とともに組み合わせる。加えて、ステアリン酸マグネシウム、ドデシル硫酸ナトリウムおよびタルクなどの潤滑剤は大抵、タブレット化する目的に非常に有用である。類似のタイプの固形組成物も、ゼラチンカプセルにおける充填剤として使用してもよい;また、この結合における好ましい材料は、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールを含む。水性懸濁液および/またはエリキシルが経口投与のために望まれる場合、EGFRキナーゼ阻害剤に、種々の甘味料または香味料薬剤、着色剤または色素、ならびに望まれる場合、同様に乳化剤および/または懸濁剤を、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンなどの希釈剤および種々の同様のこれらの組み合わせとともに、組み合わせてもよい。
[184]活性薬剤のいずれかまたは両方の非経口的投与については、ゴマまたは落花生油の、または水性プロピレングリコールのいずれかの溶液、ならびに活性薬剤またはその対応する水溶性塩を含む無菌の水性溶液を使用してもよい。このような無菌の水性溶液は、好ましくは適切に緩衝され、およびまた、例えば十分な生理食塩水またはグルコースによって、好ましくは等張性が与えられる。これらの特定の水性溶液は、特に静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内注射目的に適する。油性溶液は、関節内、筋肉内および皮下注射目的に適する。無菌条件下でこれら全ての溶液を調製することは、当業者に周知の標準的な医薬品技術によって容易に達成される。タンパク質様EGFRキナーゼ阻害剤の投与のために選択される任意の非経口的製剤は、阻害剤の生物学的活性の変質および喪失を回避するように選択されるべきである。
[185]さらに、標準的な薬務に従って、例えばクリーム、ローション、ゼリー、ゲル、ペースト、軟膏、膏薬などの方法によって、活性薬剤のいずれかまたは両方を局所的に投与可能である。例えば、約0.1%(w/v)〜約5%(w/v)の濃度のEGFRキナーゼ阻害剤を含む局所的な製剤を調製してもよい。
[186]獣医学の目的については、活性薬剤は、上述した形態のいずれかを使用して、および上述した経路のいずれかによって、別々にまたは共に、動物に投与してもよい。好ましい態様において、EGFRキナーゼ阻害剤は、カプセル、ボーラス、錠剤、液体飲薬の形態において、注射によって、またはインプラントとして投与される。あるいは、EGFRキナーゼ阻害剤は、動物飼料とともに投与することもでき、またこの目的のために、正常な動物飼料のための濃縮した飼料添加物またはプレミックスを調製してもよい。このような製剤は、標準的な獣医学の手法に従って、従来の様式において調製される。
[187]本明細書に使用される、「EGFRキナーゼ阻害剤」という用語は、当該技術分野において現在公知である任意のEGFRキナーゼ阻害剤を含み、また患者に対する投与により、その天然のリガンドのEGFRへの結合により別途生じる下流の生物学的効果のいずれかを含む、患者におけるEGFRの活性化と関連する生物学的活性の阻害を生じさせる任意の化学物質を含む。このようなEGFRキナーゼ阻害剤は、患者におけるEGFR活性化またはがん治療に関連するEGFR活性化の下流の生物学的効果のいずれかを遮断し得る、任意の薬剤を含む。このような阻害剤は、受容体の細胞内ドメインと直接結合すること、およびそのキナーゼ活性を阻害することによって作用し得る。あるいは、このような阻害剤は、EGFRにおけるリガンド結合部位またはその一部を占領することによって作用でき、これによって、その天然のリガンドが受容体に近づけないようになり、その結果、その正常な生物学的活性が防止され、または減少させられる。あるいは、このような阻害剤は、EGFRポリペプチドの二量体化またはその他のタンパク質とEGFRポリペプチドとの相互作用を調節することによって作用すること、またはEGFRのユビキチン結合およびエンドサイトーシス分解を増強できる。EGFRキナーゼ阻害剤は、低分子阻害剤、抗体もしくは抗体断片、アンチセンス構築物、阻害性の小RNA(すなわちdsRNAによるRNA干渉;RNAi)およびリボザイムを含むが、限定されない。好ましい態様において、EGFRキナーゼ阻害剤は、ヒトEGFRに特異的に結合する有機低分子または抗体である。
[188]EGFRキナーゼ阻害剤は例えば、以下を含む:キナゾリンEGFRキナーゼ阻害剤、ピリドピリミジンEGFRキナーゼ阻害剤、ピリミドピリミジンEGFRキナーゼ阻害剤、ピロロ-ピリミジンEGFRキナーゼ阻害剤、ピラゾロピリミジンEGFRキナーゼ阻害剤、フェニルアミノ-ピリミジンEGFRキナーゼ阻害剤、オキシインドールEGFRキナーゼ阻害剤、インドロカルバゾールEGFRキナーゼ阻害剤、フタラジンEGFRキナーゼ阻害剤、イソフラボンEGFRキナーゼ阻害剤、キノロンEGFRキナーゼ阻害剤およびチロホスチンEGFRキナーゼ阻害剤、例えば以下の特許刊行物に記載されるもの、ならびに前記EGFRキナーゼ阻害剤における薬学的に許容される全ての塩および溶媒和物:国際特許公開番号WO 96/33980、WO 96/30347、WO 97/30034、WO 97/30044、WO 97/38994、WO 97/49688、WO 98/02434、WO 97/38983、WO 95/19774、WO 95/19970、WO 97/13771、WO 98/02437、WO 98/02438、WO 97/32881、WO 98/33798、WO 97/32880、WO 97/3288、WO 97/02266、WO 97/27199、WO 98/07726、WO 97/34895、WO 96/31510、WO 98/14449、WO 98/14450、WO 98/14451、WO 95/09847、WO 97/19065、WO 98/17662、WO 99/35146、WO 99/35132、WO 99/07701およびWO 92/20642;欧州特許出願番号EP 520722、EP 566226、EP 787772、EP 837063およびEP 682027;米国特許第5,747,498号、第5,789,427号、第5,650,415号および第5,656,643号;ならびに独国特許出願番号DE 19629652。低分子EGFRキナーゼ阻害剤のさらなる非限定的な例は、Traxler, P., 1998, Exp. Opin. Ther. Patents 8(12):1599-1625に記載されるEGFRキナーゼ阻害剤のいずれかを含む。
[189]本発明に従って使用できる低分子EGFRキナーゼ阻害剤の特に好ましい例は、以下を含む:[6,7-ビス(2-メトキシエトキシ)-4-キナゾリン4-イル]-(3-エチニルフェニル)アミン(OSI-774、エルロチニブまたはTARCEVA(登録商標) (エルロチニブHCl)としても公知である;OSI Pharmaceuticals/Genentech/Roche)(米国特許第5,747,498号;国際特許公開番号WO 01/34574およびMoyer, J.D. et al. (1997)Cancer Res. 57:4838-4848);カネルチニブ(CI-1033としても公知であり、および以前にはPD183805として公知である;Pfizer)(Sherwood et al., 1999, Proc. Am. Assoc. Cancer Res. 40:723);PD-158780(Pfizer);AG-1478(カリフォルニア大学);CGP-59326(Novartis);PKI-166(Novartis);EKB-569(Wyeth);GW-2016(GW-572016またはラパニチブジトシラートとしても知られる;GSK);バンデタニブ(ZD6474;Astrazeneca)、PF00299804(Pfizer)およびゲフィチニブ(ZD1839またはIRESSA(商標)としても知られる;Astrazeneca)(Woodburn et al., 1997, Proc. Am. Assoc. Cancer Res. 38:633)。本発明において使用できる特に好ましい低分子EGFRキナーゼ阻害剤は、[6,7-ビス(2-メトキシエトキシ)-4-キナゾリン4-イル]-(3-エチニルフェニル)アミン(すなわち、エルロチニブ)、その塩酸塩(すなわち、エルロチニブHCl、TARCEVA(登録商標))またはその他の塩形態(例えば、エルロチニブメシラート)である。
抗体に基づいたEGFRキナーゼ阻害剤は、その天然のリガンドによってEGFR活性化を部分的にまたは完全に遮断できる任意の抗EGFR抗体または抗体断片を含む。抗体に基づいたEGFRキナーゼ阻害剤の非限定的な例は、以下に記載されたものを含む:Modjtahedi, H., et al., 1993, Br. J. Cancer 67:247-253; Teramoto, T., et al., 1996, Cancer 77:639-645; Goldstein et al., 1995, Clin. Cancer Res. 1:1311-1318; Huang, S. M., et al., 1999, Cancer Res. 15:59(8):1935-40;およびYang, X., et al., 1999, Cancer Res. 59:1236-1243。従って、EGFRキナーゼ阻害剤は、モノクローナル抗体Mab E7.6.3(Yang、X.D. et al.(1999)Cancer Res. 59:1236-43)もしくはMab C225(ATCC Accession No. HB-8508)またはその結合特異性を有する抗体もしくは抗体断片であってもよい。適したモノクローナル抗体EGFRキナーゼ阻害剤は、IMC-C225(セツキシマブまたはERBITUX(商標)としても知られる;Imclone Systems)、パニツムマブ(ABX-EGFとしても知られる;Abgenix)、マツズマブ(EMD 72000としても知られる;Merck KgaA、Darmstadt)、RH3(York Medical Bioscience Inc.)、MDX-447(Medarex/Merck KgaA)、ニモツズマブ(h-R3)、ザルツムマブおよびch806(標的変異体EGFRvIII)を含むが、限定されない。
[190]さらなる抗体に基づいたEGFRキナーゼ阻害剤は例えば、とりわけブタ、ウシ、ウマ、ウサギ、ヤギ、ヒツジおよびマウスから選択される宿主動物に適切な抗原またはエピトープを投与することによって、公知の方法に従って生じさせることができる。当該技術分野において公知の種々の免疫賦活剤を、抗体産生を増強するために使用できる。
[191]本発明の実施において有用な抗体は、ポリクローナルであることができ、モノクローナル抗体が好ましい。EGFRに対するモノクローナル抗体は、連続的な培養において細胞株によって抗体分子を生産させる任意の技術を使用して調製し、かつ単離できる。生産および単離のための技術は、当初KohlerおよびMilsteinによって記述されたハイブリドーマ技術(Nature、1975、256:495-497);ヒト骨髄性リンパ細胞ハイブリドーマ技術(Kosbor et al., 1983, Immunology Today 4:72; Cote et al., 1983, Proc. Nati. Acad. Sci. USA 80: 2026-2030);およびEBV-ハイブリドーマ技術(Cole et al, 1985, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96)を含むが、限定されない。
[192]あるいは、一本鎖抗体の生産について記述された技術(例えば、米国特許第4,946,778号を参照されたい)を、抗EGFR一本鎖抗体を生産するために適応させることができる。また、本発明の実施において有用な、抗体に基づいたEGFRキナーゼ阻害剤は、無処置の抗体分子のペプシン消化によって産生できるF(ab').sub.2 断片またはF(ab').sub.2断片のジスルフィド架橋を還元することによって産生できるFab断片などの抗EGFR抗体断片を含むが、限定されない。あるいは、Fabおよび/またはscFvの発現ライブラリーを構築でき、EGFRに対して所望の特異性を有する断片の迅速な同定できる(例えば、Huse et al., 1989, Science 246: 1275-1281を参照されたい)。
[193]モノクローナル抗体および抗体断片の産生および単離のための技術は、周知技術であり、またHarlow and Lane, 1988, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory,およびJ. W. Goding, 1986, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Academic Press, Londonにおいて記述される。ヒト化された抗EGFR抗体および抗体断片は、またVaughn, T. J. et al., 1998, Nature Biotech. 16:535-539およびその中に引用される参照文献において記述されたものなどの公知の技術に従って調製でき、またこのような抗体またはその断片は、本発明の実施においても有用である。
[194]本発明において使用するためのEGFRキナーゼ阻害剤は、あるいは、アンチセンスオリゴヌクレオチド構築物に基づくことができる。アンチセンスRNA分子およびアンチセンスDNA分子を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドは、EGFR mRNAに結合することによりその翻訳を直接遮断するように作用し、従って、タンパク質翻訳が防止され、またはmRNA分解が増加され、これによりEGFRキナーゼタンパク質のレベルおよび従って細胞における活性を減少させる。例えば、少なくとも約15塩基であり、かつEGFRをコードするmRNA転写配列の独特の領域に対して相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは例えば、従来のリン酸ジエステル技術によって合成でき、また例えば、静脈内注射または注入によって投与できる。配列が公知の遺伝子の遺伝子発現を特異的に阻害するためにアンチセンス技術を使用する方法は、当該技術分野において周知である(例えば、米国特許第6,566,135号;第6,566,131号;第6,365,354号;第6,410,323号;第6,107,091号;第6,046,321号;および第5,981,732号を参照されたい)。
[195]阻害性の小RNA(siRNAs)も、本発明において使用するEGFRキナーゼ阻害剤として機能し得る。EGFR遺伝子発現は、腫瘍、被験体または細胞を、小さな二重鎖RNA(dsRNA)または小さな二重鎖RNAを産生するベクターもしくは構築物と接触させることによって減少させることができ、その結果、EGFRの発現が特異的に阻害される(すなわち、RNA干渉またはRNAi)。配列が公知である遺伝子について、適切なdsRNAまたはdsRNAをコードするベクターを選択する方法は、当該技術分野において周知である(例えば、Tuschi, T., et al. (1999) Genes Dev. 13(24):3191-3197; Elbashir, S.M. et al. (2001) Nature 411:494-498; Hannon, G.J. (2002) Nature 418:244-251; McManus, M.T.およびSharp, P. A. (2002) Nature Reviews Genetics 3:737-747; Bremmelkamp, T.R. et al. (2002) Science 296:550-553; 米国特許第6,573,099号および第6,506,559号;ならびに国際特許公開番号WO 01/36646、WO 99/32619およびWO 01/68836を参照されたい)。
[196]リボザイムも、本発明において使用するEGFRキナーゼ阻害剤として機能し得る。リボザイムはRNAの特異的切断を触媒できる酵素的RNA分子である。リボザイム作用の機構は、相補的な標的RNAへのリボザイム分子の配列特異的なハイブリダイゼーション、続くヌクレオチド鎖切断を含む。これにより、特異的かつ効率的にEGFR mRNA配列のヌクレオチド鎖切断を触媒する、人工ヘアピンまたはハンマーヘッドモチーフのリボザイム分子は、本発明の範囲内で有用である。任意の潜在的RNA標的内の特異的リボザイム切断部位は、リボザイム切断部位について標的分子を走査することによって最初に同定され、それは、典型的には、以下の配列、GUA、GUUおよびGUCを含む。一度同定されると、切断部位を含む標的遺伝子の領域に対応する約15〜20リボヌクレオチドの短いRNA配列は、不適当なオリゴヌクレオチド配列を与え得る、二次構造などの予測される構造的特徴について評価できる。また、標的候補の適合性は、例えばリボヌクレアーゼ保護アッセイ法を使用して、これらの相補的なオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションに対する到達性を試験することによって評価できる。
[197]EGFRキナーゼ阻害剤として有用なアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびリボザイムは、重宝とも公知の方法によって調製できる。これらは、例えば、固相ホスホラミダイト化学合成などによる化学的合成技術を含む。あるいは、アンチセンスRNA分子は、RNA分子をコードするDNA配列のインビトロまたはインビボ転写によって産生できる。このようなDNA配列は、T7またはSP6ポリメラーゼプロモーターなどの適切なRNAポリメラーゼプロモーターを組み込む広範なベクターに組み込んでもよい。本発明のオリゴヌクレオチドに対する種々の修飾を細胞内安定性および半減期を増加させるために導入してもよい。可能な修飾は、分子の5'および/もしくは3'末端に対するリボヌクレオチドもしくはデオキシリボヌクレオチドのフランキング配列の添加またはオリゴヌクレオチド骨格内におけるホスホジエステラーゼ結合以外のホスホロチオアートもしくは2'-O-メチルの使用を含むが、限定されない。
[198]本発明の治療方法の状況において、EGFRキナーゼ阻害剤は、薬学的に許容される担体と無毒の治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤化合物(その薬学的に許容される塩を含む)とを含む組成物として使用される。
[199]「薬学的に許容される塩」という用語は、薬学的に許容される無毒の塩基または酸から調製される塩をいう。本発明の化合物が酸性の場合、その対応する塩は、無機塩基および有機塩基を含む薬学的に許容される無毒性の塩基から簡便に調製できる。このような無機塩基から得られる塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅(第二銅および第一銅)、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン(第二マンガンおよび第一マンガン)、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの塩を含む。アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩が特に好ましい。薬学的に許容される無毒の有機塩基から得られる塩は、第一級、第二級および第三級アミン、ならびに天然に存在し、および合成された置換アミンなどの環状アミンおよび置換アミンの塩を含む。塩が形成され得るその他の薬学的に許容される無毒の有機塩基は、以下などのイオン交換樹脂である:例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N',N-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2‐ジエチルアミノエタノール、2‐ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリニウム、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなど。
[200]本発明において使用される化合物が塩基性の場合、その対応する塩は、無機酸および有機酸を含む薬学的に許容される無毒の酸から簡便に調製できる。このような酸は例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタン硫酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸などを含む。クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸および酒石酸が特に好ましい。
[201]活性成分としてEGFRキナーゼ阻害剤化合物(その薬学的に許容される塩を含む)を含む、本発明において使用される医薬組成物は、薬学的に許容される担体および任意にその他の治療的な成分または補助剤を含むことができる。その他の治療的な薬剤は、上にリストを挙げたように、これらの細胞障害性薬剤、化学療法薬もしくは抗がん剤またはこのような薬剤の効果を増強する薬剤などを含んでいてもよい。組成物は、経口、直腸、局所的および非経口的(皮下、筋肉内および静脈内を含む)投与に適した組成物を含むが、任意の所与の場合において、最も適した経路は、特定の宿主、ならびに活性成分が投与されている状態の性質および重症度に依存するであろう。医薬組成物は、単一剤形にて簡便に提示されてもよく、また薬学分野において周知の方法のいずれかによって調製されてもよい。
[202]実際に、本発明のEGFRキナーゼ阻害剤化合物(その薬学的に許容される塩を含む)は、従来の医薬品調合技術に従って、均質な混合物中に活性成分として医薬品担体と組み合わせてもよい。担体は、投与、例えば経口的または非経口的(静脈内を含む)のために望まれる製剤の形態に応じて広範な形態をとってもよい。従って、本発明の医薬組成物は、あらかじめ定められた量の活性成分を各々含むカプセル、カシェ剤または錠剤などの、経口投与に適した分離した単位として提示できる。さらに組成物は、粉末として、顆粒として、溶液として、水性液中の懸濁液として、非水性液として、水中油型乳剤として、または油中水型液体乳剤として提示できる。上に記載した一般的投薬形態に加えて、EGFRキナーゼ阻害剤化合物(その各成分の薬学的に許容される塩を含む)は、制御された放出手段および/または送達装置によっても投与し得る。組み合わせ組成物は、薬学的方法のいずれによって調製してもよい。このような方法は一般に、1つ以上の必須成分を構成する担体と活性成分とを結合させる工程を含む。組成物は一般に、液体担体もしくは微粉固体担体または両方と活性成分とを、一様かつ均質に混合することによって調製される。次いで、生成物を所望の表象に簡便に成形できる。
[203]本発明において使用されるEGFRキナーゼ阻害剤化合物(その薬学的に許容される塩を含む)はまた、1つ以上のその他の治療的に活性な化合物と併用して医薬組成物に含めることができる。その他の治療的に活性な化合物は、上にリストを挙げたように、これらの細胞障害性薬剤、化学療法薬もしくは抗がん剤またはこのような薬剤の効果を増強する薬剤を含み得る。
[204]従って、本発明の1つの態様において、医薬組成物は、抗がん剤と併用してEGFRキナーゼ阻害剤化合物を含んでもよく、前記抗がん剤は、アルキル化剤、抗代謝剤、微小管阻害剤、ポドフィロトキシン、抗生物質、ニトロソ尿素、ホルモン療法、キナーゼ阻害剤、腫瘍細胞アポトーシスの活性化剤および抗血管新生薬剤からなる群より選択されるメンバーである。
[205]使用される医薬品担体は例えば、固体、液体または気体であることができる。固体の担体の例は、ラクトース、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸を含む。液体の担体の例は、糖シロップ、落花生油、オリーブ油および水である。気体の担体の例は、二酸化炭素および窒素を含む。
[206]経口投薬形態のための組成物の調製において、任意の簡便な医薬品媒体を使用してもよい。例えば、水、グリコール、油、アルコール、香料添加剤、防腐剤、着色剤などを、懸濁液、エリキシルおよび溶液などの経口液体製剤を形成するために使用してもよく;一方では、例えばデンプン、糖、微晶質セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などの担体を、粉末、カプセルおよび錠剤などの経口固体製剤を形成するために使用してもよい。これらの投与の容易性のため、錠剤およびカプセルは、好ましい経口投薬単位であり、そのために固体の医薬品担体が使用される。錠剤は任意に、標準的な水性または非水性の技術によって被覆されていてもよい。
[207]本発明に使用される組成物を含む錠剤は、任意に1つ以上の補助的な成分または補助剤とともに、圧縮または成形することによって調製してもよい。圧縮錠剤は、粉末または顆粒などの流動性形態の活性成分を、任意に結合剤、潤滑剤、不活性な希釈剤、界面活性剤または分散剤と混合し、適切な機械において、圧縮することによって調製してもよい。成形錠剤は、不活性な液体の希釈剤で湿らせた粉末状化合物の混合物を、適切な機械において成形することによって作製してもよい。各錠剤は、好ましくは約0.05mg〜約5gの活性成分を含み、各カシェ剤またはカプセルは、好ましくは約0.05mg〜約5gの活性成分を含む。
[208]例えば、ヒトに経口投与することが意図される製剤は、約0.5mg〜約5gの活性薬剤を含んでいてもよく、それは適切かつ簡便な量の担体材料とともに調合され、総組成物の約5〜約95パーセントにおいて変更し得る。単一剤形は、一般に約1mg〜約2g、典型的には25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mgまたは1000mgの活性成分を含むだろう。
[209]本発明において使用される非経口的投与に適した医薬組成物は、活性化合物の水中の溶液または懸濁液として調製してもよい。例えば、ヒドロキシプロピルセルロースなどの適切な界面活性剤を含むことができる。また、分散液は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール類および油中のこれらの混合物中に調製できる。さらに、微生物の有害な成長を防止するために保存剤を含むことができる。
[210]本発明において使用される注射剤の用途に適した医薬組成物は、無菌の水性の溶液または分散液を含む。さらに、組成物は、このような無菌の注射剤溶液または分散液の用時調製のための無菌の粉末の形態であってもよい。全ての場合において、最終的な注射剤形は、無菌でなければならず、また効率よく簡単に注射可能な液体でなければならない。医薬組成物は、製造および貯蔵の条件下で安定でなければならない;従って、好ましくは、細菌および真菌などの微生物の混入作用に対して保護されるべきである。担体は例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、植物性油脂、およびこれらの適切な混合物を含む溶媒または分散媒体であることができる。
[211]本発明のための医薬組成物は例えば、エアロゾル、クリーム、軟膏、ローション、散布剤などの局所使用に適した形態であることができる。さらに、組成物は、経皮装置における使用に適する形態であることができる。これらの製剤は、従来の処理方法によってEGFRキナーゼ阻害剤化合物(その薬学的に許容される塩を含む)を利用して調製してもよい。一例として、クリームまたは軟膏は、所望の粘稠性を有するクリームまたは軟膏を製造するために、約5重量%〜約10重量%の化合物とともに、親水性材料および水を混合することによって調製される。
[212]本発明のための医薬組成物は、担体が固体である直腸投与に適した形態であることができる。混合物は、単位用量坐薬を形成することが好ましい。適した担体は、当該技術分野において一般に使用されるカカオ脂およびその他の材料を含む。坐薬は、まず軟化させ、または融解させた担体とともに組成物を混合して、続いて型において冷凍し、かつ造形させることによって簡便に形成し得る。
[213]上述した担体成分に加えて、上述した医薬品製剤は適宜、例えば希釈剤、緩衝液、香料添加剤、結合剤、界面活性剤、増粘剤、潤滑剤、防腐剤(抗酸化剤を含む)などの1つ以上のさらなる担体成分を含んでいてもよい。さらに、他の補助剤は、所与の受益者の血液と等張性の製剤にするために含まれてもよい。EGFRキナーゼ阻害剤化合物(その薬学的に許容される塩を含む)を含む組成物はまた、粉末または液体濃縮物形態に調製してもよい。
[214]本発明を実施するために使用される化合物の投薬レベルは、ほぼ本明細書に記載された通り、またはこれらの化合物についての技術文献に記載されている通りであろう。しかし、任意の特定の患者のための具体的用量は、年齢、体重、一般的な健康、性別、食生活、投与の時間、投与の経路、排泄の速度、薬剤の組み合わせおよび治療を受けている特定の疾患の重症度を含む、多様な要因に依存するであろうことが理解される。
[215]例えば、本発明に関連する技術の領域において利用可能な優れたマニュアルおよび教科書の多くに記述されるように(例えば、Using Antibodies, A Laboratory Manual, edited by Harlow, E. and Lane, D., 1999, Cold Spring Harbor Laboratory Press, (例えば、ISBN 0-87969-544-7); Roe B.A. et. al. 1996, DNA Isolation and Sequencing (Essential Techniques Series), John Wiley & Sons.(例えば、ISBN 0-471-97324-0); Methods in Enzymology: Chimeric Genes and Proteins", 2000, ed. J.Abelson, M.Simon, S.Emr, J.Thorner. Academic Press; Molecular Cloning: a Laboratory Manual, 2001, 3rd Edition, by Joseph Sambrook and Peter MacCallum, (the former Maniatis Cloning manual)(例えば、ISBN 0-87969-577-3); Current Protocols in Molecular Biology, Ed. Fred M. Ausubel, et. al. John Wiley & Sons (例えば、ISBN 0-471-50338-X); Current Protocols in Protein Science, Ed. John E. Coligan, John Wiley & Sons (例えば、ISBN 0-471-11184-8);および Methods in Enzymology: Guide to protein Purification, 1990, Vol. 182, Ed. Deutscher, M.P., Acedemic Press, Inc.(例えば、ISBN 0-12-213585-7))、または分子生物学における実験法を記述することに寄与する多くの大学および商業的なウェブサイトに記載されているように、当該技術分野において公知の多くの代替の実験法を、本発明の実施において本明細書に具体的に記述されている方法と首尾よく置換し得る。
[216]本発明は、以下の実験の詳細から、よりよく理解されるだろう。しかし当業者は、記述された具体的な方法および結果が、その後に続く特許請求の範囲においてより完全に記述される本発明の単なる具体例であること、かつこれに限定することを決して意図していないことを容易に認識するだろう。
[217]実験の詳細:
[218]導入
[219]NCIC CTG. BR.21研究は、TARCEVA(登録商標)の第3相試験であり、非小細胞肺がんのための標準的な化学療法の後の進行を有した患者を含んでいた(すなわち2nd and 3rdline NSCLC; Shepherd FA, et al. N Engl. J Med 2005; 353:123-132.)。患者は、毎日TARCEVA(登録商標)(エルロチニブHCl)150mgを受けるか、またはプラセボを受けるかを、2:1の比率で無作為に割り当てられた。一次エンドポイントは、全生存であった。無増悪生存および反応は、二次的エンドポイントであった。随意の組織バンキングおよび相関研究のために別々の同意書を得た。結果は、その後公開され、これらの結果においてTARCEVA(登録商標)治療のポジティブな効果が証明され、およびこの効能についてのTARCEVA(登録商標)の承認を導いた。
[220]BR21治験は、多数の患者および未治療のプラセボ群を含む、TARCEVA(登録商標)のわずかな臨床試験の1つであるため、それは、生物マーカーの予測的および予後の潜在性を評価するように最適に設計されている。従って、全生存および無実行生存のための予測的な生物マーカーとしての役割を果たすビメンチンおよびEカドヘリンタンパク質発現の可能性について、BR21研究における残りの腫瘍試料を使用して評価した。NCICから受領した腫瘍組織試料のIHC解析を、Eカドヘリンおよびビメンチンタンパク質発現を決定するために使用した。生存および無増悪生存のための予後のおよび/または予測的なマーカーとして使用するために、Eカドヘリンおよびビメンチンを「高い」または「低い」として分類するためのEカドヘリンおよびビメンチン染色について、最適のカットポイントを決定するために、感受性解析を行った。生存、無増悪生存、反応および病勢コントロールの臨床的結果との生物マーカー状態の可能性ある相関を評価するために、さらなる解析を行った。
[221]材料および方法
[222](腫瘍生検、および免疫組織化学のためのスライドの調製)
[223]腫瘍組織は、以前に切断したスライドから得た。標準的な組織学的プロセスを、組織獲得のためのスライドの製作に使用した。現場または保管施設から一度受けとったら、スライドを利用する前に室内環境条件にて保持した。
[224](免疫組織化学)
選択された腫瘍の組織内のEカドヘリンおよびまたはビメンチンタンパク質の相対的な有無の決定は、ホルマリン固定パラフィン包埋組織切片に対する免疫組織化学(IHC)によって決定した。試料を、エピトープの利用能を最大にするための修復法で初めに処理した。抗Eカドヘリンまたは抗ビメンチン一次抗体(ビオチン化されている)で試料を処理した後に、過剰な抗体をすすぎによって除去し、アビジン-ビオチンペルオキシダーゼ複合体技術を使用して、二次および三次の抗体工程でHRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)で抗体を標識して、HRP基質としてDAB(3,3'-ジアミノベンジジン)を使用して、生物マーカーを視覚化した。光学顕微鏡を使用して、茶色の酸化DAB産物(クロマゲン)の、および従って、Eカドヘリンまたはビメンチンの局在化および定量化を熟練した病理学者によって評価した。
[225]Eカドヘリンおよびビメンチンタンパク質についての染色は、選択されたタンパク質のIHC検出のために特別に作製された市販のキットを使用して、個々のスライド上で成し遂げられた。組織学研究室Standard Operating Proceduresおよび標準的な操作を使用して、キットの説明書に従った。使用した材料、手順およびプロトコル(Dako Autostainerとともに)は、本質的に以下の通りである:
[226](修復プロトコル)
[227]材料:
[228]このプロトコルは、94〜95℃に達するスチーマーで使用されるものである。
[229]および、Dako(S1699)製のTarget Retrieval Solution(10X)pH 6、脱イオン水と1:10で混合される
[230]プロトコル:
[231]Hemo-De(登録商標)および脱イオン水を用いて水和物を使用して脱パラフィンする。
[232]Target Retrieval Solution(1瓶につき30ml)を94〜95℃まで予熱する(およそ20〜25分)。
[233]30mlのTarget溶液を含むCoplin瓶の中にスライドを置く(各瓶内のスライド数が等しい)。
[234]94〜95℃(およそ10分)まで温度上昇させ、15分間蒸気に当てる。
[235]カウンター上部にスチーマーの上部を除去し、そして20分間冷却させる。
[236]脱イオン水ですすぎ、そして染色する。
[237](Eカドヘリンアッセイ)
[238]処理されたスライドは、Eカドヘリン抗体を使用して染色した(クローン24E10;Cell Signaling、マサチューセッツ州ダンバース: 製造番号3195)。この抗体は、ヒトまたはマウスのEカドヘリンのどちらにも結合し得るウサギモノクローナルIgGである。
[239]Dako製のTarget Retrieval Solution(カリフォルニア州カーピンテリア:製造番号S1699)を使用して94〜95℃にて10分間、典型的な修復を行い、その後検出系を進める前に20分間冷却した。
[240]Dako製の抗体希釈剤(カリフォルニア州カーピンテリア:製造番号S0809)を使用した一次抗体の1:50希釈液を、60分間インキュベートした。
[241]検出系は、Vector Laboratories製のウサギVectastain Elite ABCキット(カリフォルニア州バーリンゲーム:製造番号PK6106)であり、キットの説明書に従って使用した。視覚化は、DAB(ジアミノベンジジン)、Dako(カリフォルニア州カーピンテリア:製造番号K3468)を使用して行った。スライドは、ヘマトキシリンで対比染色し、段階的なアルコールで脱水した後HEMO-DE(登録商標)で洗浄し、そしてカバーガラスをかけた
[242]使用したさらなる材料は、以下の通りである:ペルオキシダーゼ遮断試薬、Dako(S2001)または代わりに、3%過酸化水素水。PBS 5リットルあたり2.5mlのTween 20、Dako(S1966)を加えたPBS pH 7.4。
[243]プロトコル:
[244]PBSですすぐ
[245]H2O2ブロック:10分
[246]水ですすぐ
[247]PBSですすぐ
[248]タンパク質ブロック(ウサギキットから):20分
[249]すすがずに、空気を送る
[250]一次抗体:60分
[251]PBSですすぐ
[252]二次抗体(ウサギキットから):30分
[253]PBSですすぐ
[254]三次抗体(ウサギキットから):30分
[255]PBSですすぐ
[256]交換する(危険製品処理用)
[257]DAB +:10分
[258]水ですすぐ
[259]着色液からスライド取り出し、軽く対比染色し、段階的なアルコールで脱水し、洗浄し、カバーグラスをかける。
[260](ビメンチンアッセイ)
[261]処理したスライドは、ビメンチン抗体を使用して染色した、(クローンV9;Dako(カリフォルニア州カーピンテリア:製品番号M 0725)。この抗体は、ヒトビメンチンを認識するマウスモノクローナルであるが、マウスと交差反応しない。
[262]エピトーム(Epitome)の取得は、Dako製のTarget Retrieval溶液(カリフォルニア州カーピンテリア:製品番号S1699)を使用して94〜95℃にて10分間行い、続いて検出系を進める前に20分冷却を行った。
[263]Dako製の抗体希釈剤(カリフォルニア州カーピンテリア:製品番号S0809)を使用した一次抗体の1:100希釈液を、30分間インキュベートした。
[264]検出系は、Vector Laboratories製のマウスVectastain Elite ABCキット(カリフォルニア州バーリンゲーム:製品番号PK6102)であり、キットの説明書に従って使用した。視覚化は、DAB(ジアミノベンジジン)、Dako(カリフォルニア州カーピンテリア:製品番号K3468)を使用して行った。スライドは、Gillのヘマトキシリンで対比染色し、段階的なアルコールで脱水した後HEMO-DE(登録商標)で洗浄し、カバーガラスをかけた。
[265]使用したさらなる材料は、以下の通りである:ペルオキシダーゼ遮断試薬、Dako(S2001)または代わりに、3%の過酸化水素水。PBS 5リットルあたり2.5mlのTween 20、Dako(S1966)を加えたPBS pH 7.4。
[266]プロトコル:
[267]PBSですすぐ
[268]H2O2ブロック:10分
[269]水ですすぐ
[270]PBSですすぐ
[271]タンパク質ブロック(マウスキットから):20分
[272]すすがずに、空気を送る
[273]一次抗体:30分
[274]PBSですすぐ
[275]二次抗体(マウスキットから):30分
[276]PBSですすぐ
[277]三次抗体(マウスキットから):30分
[278]PBSですすぐ
[279]交換する(危険製品処理用)
[280]DAB +:10分
[281]水ですすぐ
[282]着色液からスライドを取り出し、軽く対比染色し、段階的なアルコールで脱水し、洗浄し、カバーグラスをかける。
[283](免疫染色および解析の定量化)
[284]染色したスライドは、経験豊かな病理学者によって評価した。スライドは、組織の質および染色の質についてまず評価した。次いで、条件に合ったスライドを、病理学者がクロマゲン標識抗体の染色強度の主観的な解釈に基づいた「H-score」を生成することにより、評価した。4つの強度レベルを使用して染色した切片を評価した:染色されていない場合は0、弱い、または最小の染色については+1、中程度の染色については+2、および強い染色については+3。強度レベルを発現する全ての標的細胞の相対的な割合をデータとして記録する。このデータから、任意の強度を発現する標的細胞の割合を算出でき、およびさらなる評価パラダイムを、基準となる収集データを使用して算出できる。Eカドヘリンおよびビメンチン染色強度の代表例を図1〜2に示してある。
評価可能な組織を持つ全ての患者を使用して、ランダム化した治療群(ITT集団)を解析した。研究者によって評価した疾患進行を、PFS(Progression Free Survival)解析のために使用した。Eカドヘリンまたはビメンチン発現の潜在的な予測的利益は、ハザード比における傾向を比較することによって評価した。生物マーカー相互作用試験による治療は行わなかった。
3つの評価法を、Eカドヘリンおよびビメンチンのために使用した:
・1. 腫瘍細胞のいかなる染色の割合
・2. 強度+2または+3で染色された腫瘍細胞の割合
・3. 複合評価
例:染色なし5%、強度+1の染色35%、強度+2の染色45%、および強度+3の染色15%として読み取られた試料は、以下のように評価されるであろう:
・いかなる染色95%
・強度+2または+3の染色60%
・0(5)+ 1(35)+ 2(45)+ 3(15)= 複合評価170
全生存は、研究治療開始日から死亡日までの期間として定義される。患者が研究治療を受けたが、その患者がまだ生存しているか、死亡日が入手できない場合、全生存は、研究治療開始日と、患者が生存していたことが分かっている最後の日との間の差として、算出される。これらのデータは、「打ち切り」であるとして、解析において記述する。無増悪生存(PFS)は、研究治療開始日から、疾患進行の書類作成日または死亡日までの期間として定義される。全生存と同様に、進行/死亡日が入手できない場合、PFSは、研究治療開始日から、腫瘍評価についての最後の書類作成日までの期間として算出され、かつ「打ち切り(censored)」と記述する。
[285]結果
Figure 2012524280
[286]表1:受領した腫瘍組織試料および評価可能な結果の概要:表1は、腫
瘍組織試料を有する患者の数、ならびに組織試料がQC要求を通過し、かつOSI病理学者によるEカドヘリンおよびビメンチンアッセイ法についての結果が生成された患者の数を示す。報告した割合は、研究における患者の総数(N=731)におけるものである。
Figure 2012524280
[287]表2:組織解析についての成功割合。
表2は、組織試料がQC要求を通過し、かつOSI病理学者によってEカドヘリンおよびビメンチンアッセイ法についての結果が生成された患者の数を示す。報告した割合は、組織試料を有する患者の数(N=163)におけるものである。
Figure 2012524280
Figure 2012524280
[288]表3:人口統計。
表3は、全体の研究集団(N=731)について、ならびにEカドヘリンおよびビメンチン結果を入手できた患者のサブセット(N=95)についての両方の人口統計を記述する。
Figure 2012524280
[289]表4:先の療法。
表4は、全体の研究集団(N=731)、ならびにEカドヘリンおよびビメンチン結果を入手できた患者のサブセット(N=95)の両方についての患者が受けた先の療法を記述する。
Figure 2012524280
[290]表5:疾患特徴。
表5は、全体の研究集団(N=731)、ならびにEカドヘリンおよびビメンチン結果を入手できた患者のサブセット(N=95)の両方についての患者の疾患特徴(組織学的、疾患段階、その他)を記述する。
Figure 2012524280
[291]表6:評価可能な結果。
表6は、Eカドヘリンおよびビメンチン結果を入手できた患者のサブセット(N=95)について、Eカドヘリンが高い場合対低い場合、およびビメンチンが高い場合対低い場合の、各治療アームにおける患者の数を示す。p値は、一変量Kaplan-Meier解析により決定される。ハザード比は信頼限界とともに、Cox比例ハザードモデルによる決定される。
Figure 2012524280
[292]表7:全生存、エルロチニブ対プラセボ。
表7は、BR.21における患者の種々のサブセットについて、エルロニチブおよびプラセボアームの間の全生存の比較を記述する。この表において、ハザード比<1は、エルロチニブアームがプラセボアームよりも優れた生存を有したことを示し、その一方で、ハザード比>1は、エルロチニブアームがプラセボアームよりも下方の生存を有したことを示す。p値は、一変量Kaplan-Meier解析により決定される。ハザード比は信頼限界とともに、Cox比例ハザードモデルにより決定される。
Figure 2012524280
[293]表7B:全生存、Eカドヘリンが高い場合対Eカドヘリンが低い場合。
表7Bは、評価可能なEカドヘリン結果を有するBR.21における患者のサブセット(N=95)について、Eカドヘリンが高い場合とEカドヘリンが低い場合との間の全生存の比較を記述する。この表において、ハザード比<1は、高いEカドヘリンサブセットが低いEカドヘリンサブセットよりも優れた生存を有したことを示し、その一方で、ハザード比>1は高いEカドヘリンサブセットが低いEカドヘリンサブセットよりも下方の生存を有したことを示す。p値は、一変量Kaplan-Meier解析により決定される。ハザード比は信頼限界とともに、Cox比例ハザードモデルにより決定される。
Figure 2012524280
[294]表7C:全生存、ビメンチンが高い場合対ビメンチンが低い場合。
表7Cは、評価可能なビメンチン結果を有するBR.21における患者のサブセット(N=95)について、ビメンチンが高い場合とビメンチンが低い場合との間の全生存の比較を記述する。この表において、ハザード比<1は、高いビメンチンサブセットが低いビメンチンサブセットよりも優れた生存を有したことを示し、その一方で、ハザード比>1は高いビメンチンサブセットが低いビメンチンサブセットよりも下方の生存を有したことを示す。p値は、一変量Kaplan-Meier解析により決定される。ハザード比は、一変量Cox比例ハザードモデルにより決定される。
Figure 2012524280
[295]表8:無増悪生存、エルロチニブ対プラセボ。
表8は、BR.21における患者の種々のサブセットについて、エルロチニブアームとプラセボアームとの間の無増悪生存(PFS)の比較を記述する。この表において、ハザード比<1は、エルロチニブアームがプラセボアームよりも優れたPFSを有したことを示し、その一方で、ハザード比>1は、エルロチニブアームがプラセボアームよりも下方のPFSを有したことを示す。p値は、一変量Kaplan-Meier解析により決定される。ハザード比は信頼限界とともに、Cox比例ハザードモデルにより決定される。
Figure 2012524280
[296]表8B:無増悪生存、Eカドヘリンが高い場合対Eカドヘリンが低い場合。
表8Bは、評価可能なEカドヘリン結果を有するBR.21における患者のサブセット(N=95)について、Eカドヘリンが高い場合とEカドヘリンが低い場合との間の無増悪生存(PFS)の比較を記述する。この表において、ハザード比<1は、高いEカドヘリンサブセットが低いEカドヘリンサブセットよりも優れたPFSを有したことを示し、その一方で、ハザード比>1は、高いEカドヘリンサブセットが低いEカドヘリンサブセットよりも下方のPFSを有したことを示す。p値は、一変量Kaplan-Meier解析により決定される。ハザード比は信頼限界とともに、Cox比例ハザードモデルにより決定される。
Figure 2012524280
[297]表8C:無増悪生存、ビメンチン高対ビメンチン低。
表8Cは、評価可能なビメンチン結果を有するBR.21における患者のサブセット(N=95)について、ビメンチンが高い場合とビメンチンが低い場合との間の無増悪生存(PFS)の比較を記述する。この表において、ハザード比<1は、高いビメンチンサブセットが低いビメンチンサブセットよりも優れたPFSを有したことを示し、その一方で、ハザード比>1は、高いビメンチンサブセットが低いビメンチンサブセットよりも下方のPFSを有したことを示す。p値は、一変量Kaplan-Meier解析により決定される。ハザード比は信頼限界とともに、Cox比例ハザードモデルから決定される。
[298]生存のためのカットポイント解析およびEカドヘリンおよびビメンチンのためのPF:
[299]Eカドヘリン解析に関し高および低についての最適のカットポイントを決定するために、各評価法についての多数のカットポイントのそれぞれにて複数の解析を行った。各群における10人以上の患者にて十分に定義され、かつ各群が評価可能な患者の総数のサイズの20〜80%である、十分なデータがあったカットポイントのみを考慮した。
[300]測定基準として強度+2または+3の染色を使用する図8の表において、1、5、10のカットポイントおよび95まで5ずつ増加するカットポイントにおいて解析を行った。40%のカットポイントは、エルロチニブアームにおける区別化を提供する(無増悪生存についてHR = 0.571および全生存について0.682)。さらに、社内の病理学者による考察によって、これが実用的に有用なカットポイントであることが確認された。統計的な区別化と臨床的関連性との組み合わせにより、強度+2または+3の染色40%という選択が促進された。
[301]Eカドヘリンおよびビメンチンの両方について、2つの他の測定基準、任意の強度(+1、+2または+3)の染色、ならびに複合評価(以前に定義した)について、類似の表を生成した(図8〜19)。
[302]結果の要約
[303]NCICから受領した163個の組織試料(全ての患者の22%)のうち、95人の患者が評価可能なEカドヘリンスライドを有し、かつ同じ95人の患者が評価可能なビメンチンスライドを有した。従って結果は、163個の組織試料の58%から得られた。
[304]評価可能な組織結果を有する患者における処理前の特徴(人口統計、先の療法、疾患特徴)は、一般に研究における全体の集団に類似であった(表3〜5)。
[305]感受性解析に基づいて、Eカドヘリンについて、強度+2または+3の染色40%のカットポイントが選択された。このカットポイントを使用することによって、評価可能な患者の63%が高いEカドヘリンとして分類され、かつ37%が低いEカドヘリンとして分類された(表6)。
[306]感受性解析に基づいて、ビメンチンについて、任意の強度の染色10%のカットポイントが選択された。このカットポイントを使用することによって、評価可能な患者の29%が高いビメンチンとして分類され、かつ71%が低いビメンチンとして分類された(表6)。
[307]患者の集団における腫瘍によるEカドヘリンおよびビメンチンの発現は、以下の通りであった(表6を参照されたい):
[308]16%は、Eカドヘリンおよびビメンチンの両方について高かった。
[309]14%は、Eカドヘリンについて低く、かつビメンチンについて高かった。
[310]47%は、Eカドヘリンについて高く、かつビメンチンについて低かった。
[311]23%は、Eカドヘリンについて低く、かつビメンチンについて低かった。
[312]全生存およびPFS(表7、8およびK-Mプロット、図3〜6):
[313]評価可能な生物マーカー結果を有する患者における生存結果は、全体の研究集団において観察される生存に類似していた(全体の集団におけるHR=0.76対EMTマーカーが評価可能なサブセットにおけるHR=0.69)。
[314]評価可能な生物マーカー結果を有する患者におけるPFS結果は、全体の研究集団において観察されるPFSに類似していた(全体の集団におけるPFS HR=0.64対EMTマーカーが評価可能なサブ群におけるHR=0.72)。
[315]エルロチニブアームにおけるEカドヘリンの結果により、高いEカドヘリン発現群においてより優れた結果に結びつくカットポイントが提供される。プラセボアームでは、効果は逆方向であり、高いEカドヘリンが不満足な予後因子であり得るが、優れた予測因子であり得ることを示唆する。
[316]ビメンチンを高発現する患者は、エルロチニブアームにおいてビメンチンを低発現する患者より長い全生存および無増悪生存を有するように見える。
[3173]図7は、Eカドヘリンおよびビメンチンの状態による反応および病勢コントロール率を表す。
生存およびPFSについてのプロットは、図3〜6に表される。
[318]結論
[319]簡潔に、この結果は、以下を証明した:1)残りの組織試料は、BR21患者集団全体を人工統計学的に、組織学的におよび治療結果において表した、2)Eカドヘリンを高発現する患者に処置されたTARCEVA(登録商標)のサブセットは、「材料および方法」に記載されるように評価され、TARCEVA(登録商標)で処置した場合のより長い生存を証明した、3)ビメンチンを高発現する患者に処置されたTARCEVA(登録商標)のサブセットは、「材料および方法」に記載されるように評価され、TARCEVA(登録商標)で処置した場合の著しくより長い生存を証明した、4)どちらのマーカーについての効果も、プラセボ集団において観察されなかった。この結果は、腫瘍がビメンチンおよび/またはEカドヘリンタンパク質を高レベルで発現する2ndラインおよび3rdラインのNSCLC患者が、TARCEVA(登録商標)による増強された利益と関連していたことを示す。
[320]略語
HR=ハザード比;PFS=無増悪生存;OS=全生存;CI=信頼区間;E=エルロチニブ;P=プラセボ;H=高い;L=低い;EGF=上皮成長因子;EMT=上皮間葉移行;NSCLC=非小細胞肺がん腫;HNSCC=頭頸部扁平上皮がん腫;CRC=結腸直腸がん;MBC=転移性乳がん;EGFR=上皮成長因子受容体;LC=液体クロマトグラフィー;MS=質量分析;IGF-1=インスリン様成長因子-1;TGFα=トランスフォーミング成長因子アルファ;HB-EGF=ヘパリン結合上皮成長因子;TGFα=トランスフォーミング成長因子アルファ;IC50=半数阻害濃度;pY=ホスホチロシン;wt=野生型;PI3K=フォスファチジルイノシトール-3キナーゼ;GAPDH=グリセルアルデヒド3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ。
[321]引用例による援用
本明細書において開示される全ての特許、公開された特許出願およびその他の参照文献は、ここで明白に参照により本明細書に援用される。
[322]均等物
当業者は、ルーチンの実験しか使用せずに、本明細書に具体的に記述された発明の具体的態様の多くの均等物を認識でき、または確認できる。このような均等物は、以下の特許請求の範囲に包含されることが意図される。

Claims (10)

  1. EGFRキナーゼ阻害剤を用いたがん患者の治療の有効性を予測する方法であって:患者の腫瘍細胞によって発現される生物マーカーEカドヘリンのレベルを評価する工程;腫瘍がEカドヘリンを高い発現レベルで発現するか、または低い発現レベルで発現するかを決定する工程;および治療の有効性を予測する工程を含み、高レベルのEカドヘリンは、治療がより有効であろうことを示し;かつがん患者の治療の有効性は、治療に応答したより長い全生存またはより長い無増悪生存のいずれかによって示される方法。
  2. がんを患う患者を治療するための方法であって:患者の腫瘍細胞により発現される生物マーカーEカドヘリンのレベルを評価することによって、EGFRキナーゼ阻害剤を用いたがん患者の治療の有効性を予測する工程;腫瘍がEカドヘリンを高い発現レベルで発現するか、または低い発現レベルで発現するかを決定する工程;および治療の有効性を予測する工程であって、高レベルのEカドヘリンは、治療がより有効であろうことを示し;かつがん患者の治療の有効性は、治療に応答したより長い全生存またはより長い無増悪生存のいずれかによって示される工程;および患者に治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤を投与する工程を含む方法。
  3. 患者が生物マーカーEカドヘリンを高レベルで発現する腫瘍細胞を有することによって、治療に応答してより長い全生存またはより長い無増悪生存を有し得ると予測される場合、上記患者に治療上有効な量のEGFRキナーゼ阻害剤を投与する工程を含む、がん患者を治療するための方法。
  4. 上記腫瘍細胞は、非小細胞肺がん、膵臓がん、乳がん、頭頚部がん、胃がん、大腸がん、または卵巣がんである、請求項1、2または3の方法。
  5. 上記EGFRキナーゼ阻害剤は、エルロチニブ、ゲフィチニブ、カネルチニブ、バンデタニブ、セツキシマブ、パニツムマブ、またはマツズマブである、請求項1、2または3の方法。
  6. Eカドヘリンの発現レベルがEカドヘリンタンパク質を測定することにより評価される、請求項1、2または3の方法。
  7. Eカドヘリンの発現レベルが免疫組織化学によって評価される、請求項6の方法。
  8. Eカドヘリンの発現レベルが標準化された評価系の使用によって決定される、請求項7の方法。
  9. Eカドヘリンの高い発現レベルは、40%以上の腫瘍細胞がEカドヘリンについて+2または+3の染色強度を有することによって示される、請求項8の方法。
  10. Eカドヘリンの発現レベルがEカドヘリンのmRNAを測定することにより評価される、請求項1、2または3の方法。
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