JP2012521425A - オーロラa選択的阻害作用を有する新規アミノピリジン誘導体 - Google Patents

オーロラa選択的阻害作用を有する新規アミノピリジン誘導体 Download PDF

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Abstract

本発明は、式(I):[式中、Rは、H又はC1−2アルキルであり;Rは、H又はC1−3アルキルであり;R及びRは、それぞれ独立して、H又はC1−2アルキルであり、ここで、アルキルは、R10から選択される1ないし3個の同一又は異なる置換基で置換されていてもよく;Rは、H、ヒドロキシ、C1−2アルキル、又はOCHであり;かつR10は、F又はClである]の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルに関する。
【化1】

Description

本発明は医薬の分野で有用であり、さらに詳細には、オーロラA選択的阻害作用に基づいて腫瘍細胞の増殖を阻害し、抗腫瘍効果を発揮する、新規アミノピリジン誘導体、及びそれを含むオーロラA選択的阻害剤並びに抗がん剤に関する。
オーロラキナーゼは細胞分裂に関与するセリン/スレオニンキナーゼである。オーロラキナーゼには現在、A、B、Cの3種類のサブタイプが知られており、互いに、極めて高い類似性(ホモロジー)を有している。オーロラAは中心体の成熟および分配、また紡錘体の形成に関与する。一方、オーロラBは染色体の凝集、対合、紡錘体チェックポイントおよび細胞質分裂に関与していると考えられている [ネイチャー レビューズ モレキュラー セル バイオロジー(Nat. Rev. Mol. Cell Biol.)、第4号、842−854]。また、オーロラCはオーロラBと相互作用して同様に働くと考えられている [ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(J. Biol. Chem.)、Epub ahead (2004)]。これまでにオーロラAの高発現が多くの癌細胞で確認されていること、及び、正常細胞にオーロラAを高発現させるとげっ歯類の正常細胞株を形質転換することなどから、オーロラAががん遺伝子の一つとして、抗がん剤の好適なターゲットと認識されている[ザ エンボジャーナル(EMBO J.)、第17号、3052−3065ページ、(1998)]。
また、オーロラAの高発現したがん細胞が、パクリタキセルに対する耐性があるとの報告もある[キャンサー セル(Cancer Cell)、第3巻、51−62頁、(2003)]。一方、オーロラキナーゼ阻害剤については、サブタイプ間の高い類似性や蛋白構造解析などから、サブタイプ選択的な薬剤開発が困難と考えられており、これまでZM447439などのオーロラA、オーロラBを同時に阻害する薬剤に関する報告は知られているが[ジャーナル オブ セルラー バイオロジー(J. Cell Biol.)、第161号、267−280頁、(2003);ジャーナル オブ セルラー バイオロジー(J. Cell Biol.)、第161号、281−294頁、(2003); ネイチャー メディシン(Nat. Med.)、第10号、262−267頁、(2004)]、オーロラA選択的な薬剤に関する報告は知られていない。即ち、これらの報告ではオーロラA、オーロラBを同時に阻害する薬剤を単剤で投与した場合の抗がん効果のみが開示されているに過ぎない。しかも、オーロラA及びオーロラBを同時に阻害する薬剤ではオーロラキナーゼ阻害作用がパクリタキセルの作用を減弱させている様な結果も同時に報告されている[ジャーナル オブ セルラー バイオロジー(J. Cell Biol.)、第161号、281−294頁、(2003)]。
一方、過去にオーロラキナーゼ阻害作用を有する化合物に関する特許出願はなされている(国際公開第02/022606号パンフレット、国際公開第02/022602号パンフレット、国際公開第02/022601号パンフレット、国際公開第2006/046734号パンフレット)。
本発明の目的は、前述に基づき優れたオーロラA選択的阻害作用及び細胞増殖阻害作用を示し、それにより他の抗がん剤と組合せることで相乗作用を達成する、新規なアミノピリジン誘導体を提供することである。
本発明者らは、様々な新規アミノピリジン誘導体を合成してきており、以下の式(I)によって表わされる化合物が優れたオーロラA選択的阻害作用を示すことを見出した。
したがって、本発明は、式(I):
Figure 2012521425
[式中、
は、H又はC1−2アルキルであり;
は、H又はC1−3アルキルであり;
及びRは、それぞれ独立して、H又はC1−2アルキルであり、ここで、アルキルは、R10から選択される1ないし3個の同一又は異なる置換基で置換されていてもよく;
は、H、ヒドロキシ、C1−2アルキル、又はOCHであり;かつ
10は、F又はClである]
の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルに関する。
また、本発明は、がん治療において同時に、別々に、又は順次に投与するための組み合わせ製剤であって、2つの別個の製剤:
(i)薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に、上記一般式[I]で示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを含む製剤、並びに
(ii)薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に、抗がん性アルキル化剤、抗がん性代謝拮抗剤、抗がん性抗生物質、植物由来抗がん剤、抗がん性白金配位化合物、抗がん性カンプトテシン誘導体、抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤、モノクローナル抗体、インターフェロン、生物学的応答調節剤、及びその他抗がん剤からなる群から選択される抗がん剤又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを含む製剤(ここで、
抗がん性アルキル化剤は、ナイトロジェン マスタード N−オキシド、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、ブスルファン、ミトブロニトール、カルボコン、チオテパ、ラニムスチン、ニムスチン、テモゾロミド又はカルムスチンであり、
抗がん性代謝拮抗剤は、メトトレキサート、6−メルカプトプリンリボシド、メルカプトプリン、5−フルオロウラシル、テガフール、ドキシフルリジン、カルモフール、シタラビン、シタラビンオクホスファート、エノシタビン、S−1、ゲムシタビン、フルダラビン又はペメトレクスド ジソディウムであり、
抗がん性抗生物質は、アクチノマイシンD、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ネオカルチノスタチン、ブレオマイシン、ペプロマイシン、マイトマイシンC、アクラルビシン、ピラルビシン、エピルビシン、ジノスタチンスチマラマー、イダルビシン、シロリムス、又はバルルビシンであり、
植物由来抗がん剤は、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、エトポシド、ソブゾキサン、ドセタキセル、パクリタキセル、又はビノレルビンであり、
抗がん性白金配位化合物は、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、又はオキザリプラチンであり、
抗がん性カンプトテシン誘導体は、イリノテカン、トポテカン、又はカンプトテシンであり、
抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤は、ゲフィチニブ、イマチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、ダザチニブ又はエルロチニブであり、
モノクローナル抗体は、セツキシマブ、リツキシマブ、ベバシズマブ、アレムツズマブ又はトラスツズマブであり、
インターフェロンは、インターフェロンα、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、インターフェロンβ、インターフェロンγ−1a、又はインターフェロンγ−n1であり、
生物学的応答調節剤は、クレスチン、レンチナン、シゾフィラン、ピシバニール、又はウベニメクスであり、そして、
その他抗がん剤は、ミトキサントロン、L−アスパラギナーゼ、プロカルバジン、ダカルバジン、ヒドロキシカルバミド、ペントスタチン、トレチノイン、アレファセプト、ダルベポエチン アルファ、アナストロゾール、エキセムスタン、ビカルタミド、リュープロレリン、フルタミド、フルベストラント、ペガプタニブ オクタソディウム、デニリューキン ジフティトクス、アルデスリューキン、チロトロピン アルファ、アルセニック トリオキシド、ボルテゾミブ、カペシタビン、又はゴセレリンである。):
からなる組み合わせ製剤、に関する。
さらに、本発明は、薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に、上記一般式[I]で示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル、並びに抗がん性アルキル化剤、抗がん性代謝拮抗剤、抗がん性抗生物質、植物由来抗がん剤、抗がん性白金配位化合物、抗がん性カンプトテシン誘導体、抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤、モノクローナル抗体、生物学的応答調節剤、及びその他抗がん剤(ここで、各抗がん剤の定義は、上記と同義である。)からなる群から選択される抗がん剤又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを含むことを特徴とする医薬組成物、に関する。
また、本発明は、治療上有効量の上記一般式[I]で示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを、抗がん性アルキル化剤、抗がん性代謝拮抗剤、抗がん性抗生物質、植物由来抗がん剤、抗がん性白金配位化合物、抗がん性カンプトテシン誘導体、抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤、モノクローナル抗体、インターフェロン、生物学的応答調節剤、及びその他抗がん剤(ここで、各抗がん剤の定義は、前記と同じである。)からなる群から選択される治療上有効量の抗がん剤又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルと組み合わせて、同時に、別々に、又は順次に投与することを特徴とするがん治療方法、に関する。
さらに、本発明は、がん治療のための医薬を製造するための、オーロラA選択的阻害剤の使用、及び、がん治療のための医薬を製造するための、抗がん剤と組み合わせた、オーロラA選択的阻害剤の使用、に関し、また、哺乳類(特にヒト)におけるがんを治療する方法であって、当該哺乳類に治療上の有効量のオーロラA選択的阻害剤を投与することを特徴とする方法、及び、哺乳類(特にヒト)におけるがんを治療する方法であって、治療上の有効量の抗がん剤と組み合わせて、当該哺乳類に治療上の有効量のオーロラA選択的阻害剤を投与することを特徴とする方法、に関する。
また、本発明は、オーロラA選択的阻害剤を有効成分として含有する医薬組成物、及び、抗がん剤と一緒に、オーロラA選択的阻害剤を有効成分として含有する医薬組成物、に関する。
次に、本明細書に記載された記号及び用語について説明する。
用語「アルキル」は、特定の数の炭素原子を有する分枝鎖及び直鎖双方の飽和脂肪族炭化水素基を包含することが意図されている。例えば、用語「C1−6アルキル」における場合、C1−6は、1、2、3、4、5、又は6個の炭素を、直鎖又は分枝鎖配列中に有する基を包含するものと定義される。例えば、「C1−6アルキル」は、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどを包含する。一般に、用語「Cm−nアルキル」は、mないしn個の炭素を直鎖又は分枝鎖配列中に有する基を包含するものと定義され、ここで、m及びnは、各々独立して、1ないし6の整数であるが、nはmよりも大きい。
本明細書で用いる「オーロラA選択的阻害剤」とは、オーロラBに比べてオーロラAを選択的に阻害する化合物ないし薬剤である。「オーロラA選択的阻害剤」とは、好ましくは、オーロラBに比べてオーロラAを少なくとも10倍強く阻害する化合物ないし薬剤であり、さらに好ましくは、オーロラBに比べてオーロラAを少なくとも100倍強く阻害する化合物ないし薬剤である。
本明細書で用いる「その薬学的に許容される塩若しくはエステル」、及び「薬学的に許容される担体又は希釈剤」の説明は後述する。
本明細書で用いる「がん治療」という用語は、がん患者に対して、抗がん剤を投与することにより、がん細胞の増殖を阻害することを意味する。好ましくは、かかる治療は、がん増殖を後退、即ち、測定可能ながんの大きさを減縮させることができる。さらに好ましくは、かかる治療は、がんを完全に消失させる。
本明細書で用いる「がん」という用語は、固形がん及び造血器がんである。ここで、固形がんは、例えば、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、膵がん、結腸がん、直腸がん、卵巣がん、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、腎盂・尿管がん、膀胱がん、前立腺がん、陰茎がん、睾丸がん、胎児性がん、ウイルス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング腫、軟部肉腫などである。一方、造血器がんとしては、例えば、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫などである。
本明細書で用いる「製剤」という用語は、経口製剤及び非経口製剤を含む。経口製剤としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤などであり、一方、非経口製剤としては、例えば、溶液若しくは懸濁液等の殺菌した液状の製剤、具体的には、注射剤、点滴剤などであり、好ましくは、静脈内注射剤又は静脈内点滴剤であり、さらに好ましくは静脈内点滴剤である。
本明細書で用いる「組み合わせ製剤」という用語は、治療において同時に、別々に、又は順次に投与するための2個以上の製剤からなるものをいい、それらが、いわゆるキット型の製剤又は医薬組成物になっていてもよい。上述したような、がん治療において用いる2つの別個の製剤からなる組み合わせ製剤に対して、さらに1個以上の製剤を組み合わせたものも、上記「組み合わせ製剤」に含まれる。
上述した2個の別個の製剤に対して、薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に、抗がん性アルキル化剤、抗がん性代謝拮抗剤、抗がん性抗生物質、植物由来抗がん剤、抗がん性白金配位化合物、抗がん性カンプトテシン誘導体、抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤、モノクローナル抗体、インターフェロン、生物学的応答調節剤、及びその他抗がん剤(ここで、各抗がん剤の定義は、前記と同じである。)からなる群から選択される抗がん剤少なくとも1種以上又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを含む製剤1個以上を、さらに組み合わせることもできる。この場合、さらに加えられた1個以上の製剤は、上記2つの別個の製剤と、同時に、別個に、又は順次に投与されてもよい。例えば、3つの製剤からなる組み合わせ製剤としては、上記一般式(I)で表される化合物を含む製剤、5−フルオロウラシルを含む製剤、及びロイコボリンを含む製剤を包含する。
ここで、上記の組み合わせ製剤において、2個の別個の製剤のいずれか一方又は両方が、経口製剤であってもよく、また、一方が経口製剤であり、もう一方が非経口製剤(注射剤又は点滴剤)であってもよい。
本発明に係る「製剤」においては、通常、本発明に係る化合物の治療上の有効量を薬学的に許容される担体又は希釈剤と共に含んでいてもよい。この製剤化技術は、当該技術分野の当業者にとって技術常識であると考えられ、よく知られている。好ましくは、薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に、当業者によく知られている多くの方法で経口製剤用、静脈内点滴用又は注射用に製剤化することができる。
本明細書で用いる「投与」という用語は、本発明に係る組み合わせ製剤を用いる場合、非経口投与及び/又は経口投与を意味し、好ましくは、経口投与である。即ち、組み合わせ製剤を投与する場合、両方とも非経口投与でもよく、一方が非経口投与でもう一方が経口投与でもよく、また、両方とも経口投与でもよい。好ましくは、組み合わせ製剤の両方が経口投与される。ここで、「非経口投与」は、例えば、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与などであり、好ましくは、静脈内投与である。また、3個以上の製剤が組み合わされて投与される場合でも、いずれも経口製剤であってもよい。
なお、本発明の実施において、上記一般式(I)で示される化合物は、他の抗がん剤と同時に投与してもよい。また、上記一般式(I)で示される化合物を投与してから連続して他の抗がん剤を投与してもよいし、他の抗がん剤を投与してから上記一般式(I)で示される化合物を連続して投与してもよい。さらに、上記一般式(I)で示される化合物を投与し、時間をおいて別々に他の抗がん剤を投与してもよいし、他の抗がん剤を投与し、時間を置いて別々に上記一般式(I)で示される化合物を投与してもよい。かかる投与順序及び投与間隔は、用いられる上記一般式(I)で示される化合物を含む製剤、及びそれと併用される抗がん剤を含む製剤、治療すべきがん細胞の種類、患者の状態などに応じて、当業者が適宜選択することができる。例えば、上記一般式(I)で示される化合物とパクリタキセル又はドセタキセルを投与するときは、好ましくは、まずパクリタキセル又はドセタキセルを投与してから、連続して又は時間をおいて上記一般式(I)で示される化合物を投与する。
また、本明細書で用いる「同時に」とは、ほぼ同じ時間に治療に使用することをいい、「別々に」とは、異なった時間に別々に治療に使用することをいい、例えば、1日目に1つの薬剤、2日目にもう1つの薬剤を治療に使用するような場合をいう。「順次に」とは、順番に従って使用することをいい、例えば、最初に1つの薬剤を使用し、次いで、決められた時間後に、他の薬剤を治療に使用するような場合をいう。
本明細書で用いる「抗がん性アルキル化剤」は、抗がん活性を有するアルキル化剤を意味し、ここで、「アルキル化剤」とは、一般に、有機化合物の水素原子をアルキル基で置換するアルキル化反応において、アルキル基を与えるものをいう。「抗がん性アルキル化剤」は、例えば、ナイトロジェン マスタード N−オキシド、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、ブスルファン、ミトブロニトール、カルボコン、チオテパ、ラニムスチン、ニムスチン、テモゾロミド又はカルムスチンなどである。
本明細書で用いる「抗がん性代謝拮抗物質」は、抗がん活性を有する代謝拮抗物質をいい、ここで、「代謝拮抗物質」とは、広義には、生体にとって重要な代謝物(ビタミン、補酵素、アミノ酸、糖類など)と構造上又は機能上類似しているために、正常な物質代謝を行わなくさせる物質や、電子伝達系を阻害することによって高エネルギー中間体をつくれなくさせる物質を包含する。「抗がん性代謝拮抗物質」は、例えば、メトトレキサート、6−メルカプトプリンリボシド、メルカプトプリン、5−フルオロウラシル、テガフール、ドキシフルリジン、カルモフール、シタラビン、シタラビンオクホスファート、エノシタビン、S−1、ゲムシタビン、フルダラビン又はペメトレクスド ジソディウムなどであり、好ましくは、5−フルオロウラシル、S−1、ゲムシタビンなどである。
本明細書で用いる「抗がん性抗生物質」は、抗がん活性を有する抗生物質をいい、ここで、「抗生物質」とは、微生物によってつくられるか、又は有機合成によりつくられ、微生物その他の生物細胞の発育その他の機能を阻害する物質を包含する。「抗がん性抗生物質」は、例えば、アクチノマイシンD、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ネオカルチノスタチン、ブレオマイシン、ペプロマイシン、マイトマイシンC、アクラルビシン、ピラルビシン、エピルビシン、ジノスタチンスチマラマー、イダルビシン、シロリムス又はバルルビシンなどである。
本明細書で用いる「植物由来抗がん剤」は、植物を起源として見いだされた抗がん活性を有する化合物であるか、或いは、その化合物を化学修飾を加えた化合物を包含する。「植物由来抗がん剤」は、例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、エトポシド、ソブゾキサン、ドセタキセル、パクリタキセル、ビノレルビンなどであり、好ましくは、ドセタキセル及びパクリタキセルである。
本明細書で用いる「抗がん性カンプトテシン誘導体」は、カンプトテシン自身を含み、構造的にカンプトテシンに関連するがん細胞増殖阻害性化合物を意味する。「抗がん性カンプトテシン誘導体」としては、特に限定されないが、カンプトテシン、10−ヒドロキシカンプトテシン、トポテカン、イリノテカン、9−アミノカンプトテシンなどが挙げられ、好ましくは、カンプトテシン、トポテカン、及びイリノテカンである。なお、イリノテカンは、生体内で代謝されてSN−38として抗がん作用を示す。カンプトテシン誘導体は、作用機構および活性はほぼカンプトテシンと同様と考えられる(新田 他、癌と化学療法、14,850−857(1987)など)。
本明細書で用いる「抗がん性白金配位化合物」は、抗がん活性を有する白金配位化合物をいい、ここで、「白金配位化合物」は、イオンの形態で白金を提供する白金配位化合物を意味する。好ましい白金化合物としては、シスプラチン;シス−ジアンミンジアコ白金(II)−イオン;クロロ(ジエチレントリアミン)−白金(II)クロリド;ジクロロ(エチレンジアミン)−白金(II);ジアンミン(1,1−シクロブタンジカルボキシラト)白金(II)(カルボプラチン);スピロプラチン;イプロプラチン;ジアンミン(2−エチルマロナト)−白金(II);エチレンジアミンマロナト白金(II);アクア(1,2−ジアミノジシクロヘキサン)スルファト白金(II);アクア(1,2−ジアミノジシクロヘキサン)マロナト白金(II);(1,2―ジアミノシクロヘキサン)マロナト白金(II);(4−カルボキシフタラト)(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−(イソシトラト)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)オキサラト白金(II);オルマプラチン;テトラプラチン;カルボプラチン;ネダプラチン及びオキザリプラチンであり、好ましくは、カルボプラチン又はオキザリプラチンである。また、本明細書で挙げた他の抗がん性白金配位化合物は、公知であり、商業的に入手可能であり、及び/又は、慣用技術によって当業者が製造することができる。
本明細書で用いる「抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤」とは、抗がん活性を有するチロシンキナーゼ阻害剤をいい、ここで、「チロシンキナーゼ阻害剤」とは、ATPのγ−リン酸基をタンパク質の特定のチロシンのヒドロキシル基に転移する「チロシンキナーゼ」を阻害する化学物質をいう。「抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤」としては、ゲフィチニブ、イマチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、ダザチニブ、エルロチニブなどが挙げられる。
本明細書で用いる「モノクローナル抗体」は、単クローン性抗体ともいわれ、単一クローンの抗体産生細胞が産生する抗体をいい、例えば、セツキシマブ、ベバシズマブ、リツキシマブ、アレムツズマブ、トラスツズマブなどが挙げられる。
本明細書で用いる「インターフェロン」とは、抗がん活性を有するインターフェロンをいい、一般に、ウイルス感染に際して、ほとんどすべての動物細胞が生産・分泌する分子量約2万の糖タンパク質であり、ウイルス増殖抑制のみならず、細胞(特に腫瘍細胞)の増殖抑制や、ナチュラルキラー活性の増強をはじめ多様な免疫エフェクター作用があり、サイトカインの1種と位置づけられる。「インターフェロン」としては、例えば、インターフェロンα、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、インターフェロンβ、インターフェロンγ−1a、インターフェロンγ−n1などが挙げられる。
本明細書で用いる「生物学的応答調節剤」とは、いわゆるバイオロジカル・レスポンス・モディファイヤー(biological response modifier; BRM)であり、一般に、生体のもつ防御機構や組織細胞の生存、増殖、または分化など生物学的反応を調節することによって、腫瘍や感染あるいはその他の疾病に対して、個体に利する方向にもっていくことを目的とする物質や薬剤の総称をいう。「生物学的応答調節剤」としては、例えば、クレスチン、レンチナン、シゾフィラン、ピシバニール、ウベニメクスなどが挙げられる。
本明細書で用いる「その他抗がん剤」とは、抗がん活性を有する上記のいずれにも属しない抗がん剤をいう。「その他抗がん剤」としては、ミトキサントロン、L−アスパラギナーゼ、プロカルバジン、ダカルバジン、ヒドロキシカルバミド、ペントスタチン、トレチノイン、アレファセプト、ダルベポエチン アルファ、アナストロゾール、エキセムスタン、ビカルタミド、リュープロレリン、フルタミド、フルベストラント、ペガプタニブ オクタソディウム、デニリューキン ジフティトクス、アルデスリューキン、チロトロピン アルファ、アルセニック トリオキシド、ボルテゾミブ、カペシタビン、ゴセレリン、などが挙げられる。
上記「抗がん性アルキル化剤」、「抗がん性代謝拮抗物質」、「抗がん性抗生物質」、「植物由来抗がん剤」、「抗がん性白金配位化合物」、「抗がん性カンプトテシン誘導体」、「抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤」、「モノクローナル抗体」、「インターフェロン」、「生物学的応答調節剤」、及び「その他抗がん剤」は、いずれも公知であり、商業的に入手可能であり、或いは、それ自体公知の方法ないし周知・慣用的な方法によって当業者が製造することができる。また、 ゲフィチニブの製造方法は、例えば、米国特許第5,770,599号明細書に;セツキシマブの製造方法は、例えば、国際公開WO96/40210号パンフレットに; ベバシズマブの製造方法は、例えば、国際公開WO94/10202号パンフレットに; オキザリプラチンの製造方法は、例えば、米国特許第5,420,319号明細書、同第5,959,133号明細書に; ゲムシタビンの製造方法は、例えば、米国特許第5,434,254号明細書、同第5,223,608号明細書に; カンプトテシンの製造方法は、米国特許第5,162,532号明細書、同第5,247,089号明細書、同第5,191,082号明細書、同第5,200,524号明細書、同第5,243,050号明細書、同第5,321,140号明細書に; イリノテカンの製造方法は、例えば、米国特許第4,604,463号明細書に; トポテカンの製造方法は、例えば、米国特許第5,734,056号明細書に; テモゾロミドの製造方法は、例えば、日本特許公報平4−5029号明細書に; リツキシマブの製造方法は、日本公表特許公報平2−503143号明細書に、それぞれ記載されている。
上記の抗がん性アルキル化剤については、例えば、ナイトロジェンマスタード N−オキシドは、ナイトロミン(商品名)として三菱ウェルファーマから; シクロホスファミドは、エンドキサン(商品名)として塩野義製薬から; イホスファミドは、イフォミド(商品名)として塩野義製薬から; メルファランは、アルケラン(商品名)としてグラクソスミスクラインから; ブスルファンは、マブリン(商品名)として武田薬品から; ミトブロニトールは、ミエブロール(商品名)として杏林製薬から; カルボコンは、エスキノン(商品名)として三共から; チオテパは、テスパミン(商品名)として住友製薬から; ラニムスチンは、シメリン(商品名)として三菱ウエルファーマから; 及びニムスチンは、ニダラン(商品名)として三共から; テモゾロミドは、テモダール(商品名)としてシェリングから; 及びカルムスチンは、グリアデル ウォファー(商品名)としてグリフォードから、それぞれ市販で入手することができる。
上記の抗がん性代謝拮抗剤については、例えば、メトトレキサートは、メトトレキセート(商品名)として武田薬品から; 6−メルカプトプリンリボシドは、チオイノシ(商品名)としてアベンティスから; メルカプトプリンは、ロイケリン(商品名)として武田薬品から; 5−フルオロウラシルは、5−FU(商品名)として協和発酵から; テガフールは、フトラフール(商品名)として大鵬薬品から; ドキシフルリジンは、フルツロン(商品名)として日本ロシュから; カルモフールは、ヤマフール(商品名)として山之内製薬から; シタラビンは、シロサイド(商品名)として日本新薬から; シタラビンオクホスファートは、ストラシド(商品名)として日本化薬から; エノシタビンは、サンラビン(商品名)として旭化成から; S−1は、TS−1(商品名)として大鵬薬品から; ゲムシタビンは、ゲザール(商品名)としてリリーから; フルダラビンは、フルダラ(商品名)として日本シェーリングから; 及びペメトレクスド ジソディウムは、アリムタ(商品名)としてイーライリリーから、それぞれ市販で入手することができる。
上記の抗がん性抗生物質としては、例えば、アクチノマイシンDは、コスメゲン(商品名)として万有製薬から; ドキソルビシンは、アドリアシン(商品名)として協和発酵から; ダウノルビシンは、ダウノマイシン(商品名)として明治製菓から; ネオカルチノスタチンは、ネオカルチノスタチン(商品名)として山之内製薬から; ブレオマイシンは、ブレオ(商品名)として日本化薬から; ペプロマイシンは、ペプロ(商品名)として日本化薬から; マイトマイシンCは、マイトマイシン(商品名)として協和発酵から; アクラルビシンは、アクラシノン(商品名)として山之内製薬から; ピラルビシンは、ピノルビン(商品名)として日本化薬から; エピルビシンは、ファルモルビシン(商品名)としてファルマシアから; ジノスタチンスチマラマーは、スマンクス(商品名)として山之内製薬から; イダルビシンは、イダマイシン(商品名)としてファルマシアから; シロリムスは、ラパムン(商品名)としてワイスから; 及びバルルビシンは、バルスター(商品名)としてアンスラ ファーマシューティカルからそれぞれ市販で入手することができる。
上記の植物由来抗がん剤としては、例えば、ビンクリスチンは、オンコビン(商品名)として塩野義製薬から; ビンブラスチンは、ビンブラスチン(商品名)として杏林製薬から; ビンデシンは、フィルデシン(商品名)として塩野義製薬から; エトポシドは、ラステット(商品名)として日本化薬から; ソブゾキサンは、ペラゾリン(商品名)として全薬工業から; ドセタキセルは、タキソテール(商品名)としてアベンテイスから; パクリタキセルは、タキソール(商品名)としてブリストルから; 及びビノレルビンは、ナベルビン(商品名)として協和発酵から、それぞれ市販で入手することができる。
上記の抗がん性白金配位化合物としては、例えば、シスプラチンは、ランダ(商品名)として日本化薬から; カルボプラチンはパラプラチン(商品名)としてブリストルから; ネダプラチンは、アクプラ(商品名)として塩野義製薬から;及びオキザリプラチンは、エロキサチン(商品名)としてサノフィから、それぞれ市販で入手することができる。
上記の抗がん性カンプトテシン誘導体としては、例えば、イリノテカンは、カンプト(商品名)としてヤクルトから; トポテカンは、ハイカムチン(商品名)としてグラクソスミスクラインから; 及びカンプトテシンは、米国アルドリッチケミカルなどから、それぞれ市販で入手することができる。
上記の抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤としては、例えば、ゲフィチニブは、イレッサ(商品名)としてアストラゼネカから; イマチニブは、グリベック(商品名)としてノバルティスから; ソラフェニブは、ネキサバー(商品名)としてバイエルから; スニチニブは、ステント(商品名)としてファイザーから;ダザチニブは、スプライセル(商品名)としてブリストル・マイヤーズ・スクイブから;及びエルロチニブは、タルセバ(商品名)としてオーエスアイ ファーマシューティカルから、それぞれ市販で入手することができる。
上記のモノクローナル抗体としては、例えば、セツキシマブは、エルビタックス(商品名)としてブリストルマイヤーズスクイブから; ベバシズマブは、アバスチン(商品名)としてジェネンテックから; リツキシマブは、リツキサン(商品名)としてバイオジェンから; アレムツズマブは、カンパス(商品名)としてベルレックスから; 及びトラスツズマブは、ハーセプチン(商品名)として中外製薬から、それぞれ市販で入手することができる。
上記のインターフェロンとしては、例えば、インターフェロンαは、スミフェロン(商品名)として住友製薬から; インターフェロンα−2aは、カンフェロン−A(商品名)として武田薬品から; インターフェロンα−2bは、イントロンA(商品名)としてシェリングプラウから; インターフェロンβは、IFNβ(商品名)として持田製薬から; インターフェロンγ−1aは、イムノマックス−γ(商品名)として塩野義製薬から; 及びインターフェロンγ−n1は、オガンマ(商品名)として大塚製薬から、それぞれ市販で入手することができる。
上記の生物学的応答調節剤としては、例えば、クレスチンは、クレスチン(商品名)として三共から; レンチナンは、レンチナン(商品名)としてアベンテイスから; シゾフィランは、ソニフィラン(商品名)として科研製薬から; ピシバニールは、ピシバニール(商品名)として中外製薬から; 及びウベニメクスは、ベスタチン(商品名)として日本化薬から、それぞれ市販で入手することができる。
上記のその他抗がん剤としては、例えば、ミトキサントロンは、ノバントロン(商品名)として日本ワイスレダリーから; L−アスパラギナーゼは、ロイナーゼ(商品名)として協和発酵から; プロカルバジンは、ナツラン(商品名)として日本ロシュから; ダカルバジンは、ダカルバジン(商品名)として協和発酵から; ヒドロキシカルバミドは、ハイドレア(商品名)としてブリストルから; ペントスタチンは、コフォリン(商品名)として化学及び血清療法研究所から; トレチノインは、ベサノイド(商品名)として日本ロシュから; アレファセプトは、アメビブ(商品名)としてバイオジェンから; ダルベポエチン アルファは、アラネスプ(商品名)としてアムジェンから; アナストロゾールは、アリミデックス(商品名)としてアストラゼネカから; エキセメスタンは、アロマシン(商品名)としてファイザーから; ビカルタミドは、カソデックス(商品名)としてアストラゼネカから; リュープロレリンは、リュープリン(商品名)として武田薬品から; フルタミドは、ユーレキシン(商品名)としてシェリングプラウから; フルベストラントは、ファスロデックス(商品名)としてアストラゼネカから; ペガプタニブ オクタソディウムは、マクゲン(商品名)としてギリードサイエンスから; デニリューキン ジフティトクスは、オンタック(商品名)としてリガンドから; アルデスリューキンは、プロリューキン(商品名)としてキロンから; チロトロピン アルファは、チロゲン(商品名)としてゲンザイムから; アルセニック トリオキシドは、トリセノックス(商品名)としてセル セラピューティクスから; ボルテゾミブは、ベルケイド(商品名)としてミレニウムから; カペシタビンは、ゼロダ(商品名)としてロシュから; 及びゴセレリンは、ゾラデックス(商品名)としてアストラゼネカから、それぞれ市販で入手することができる。
本明細書で用いる「抗がん剤」とは、上記「抗がん性アルキル化剤」、「抗がん性代謝拮抗物質」、「抗がん性抗生物質」、「植物由来抗がん剤」、「抗がん性白金配位化合物」、「抗がん性カンプトテシン誘導体」、「抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤」、「モノクローナル抗体」、「インターフェロン」、「生物学的応答調節剤」、及び「その他抗がん剤」から選ばれる抗がん剤をいう。
本明細書で用いる「アミノピリジン誘導体」とは、ピリジル基又はピリジン類似基を有する任意の化合物を包含するが、これらに限定されることはなく、これらのいずれもがアミノ基で置換されている。それは、上記式(I)の化合物、及び好ましくは下記の(a)ないし(i)に列挙されるいずれか1つの化合物:
(a)(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル{(3S)−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
(b)(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル{(3R,4R)−4−ヒドロキシ−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
(c)(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル{(3S)−1−[4−メチル−6−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
(d)1,1,1−トリフルオロ−2−メチルプロパン−2−イル{(3S)−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
(e)tert−ブチル{(3S)−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
(f)tert−ブチル{(3S)−1−[4−メチル−6−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
(g)(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル{(3R,4R)−4−メチル−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
(h)(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル{(3R,4R)−4−メトキシ−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、又は
(i)tert−ブチル{(3R,4R)−4−メチル−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
である化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルによって例示される。
上記式(I)によって表わされる化合物の実施態様を、さらに詳細に例示する。
は、H又はC1−2アルキルである。
好ましくは、Rは、H又はメチルである。
は、H又はC1−3アルキルである。
好ましくは、Rは、H又はメチルである。
及びRは、それぞれ独立して、H又はC1−2アルキルであり、ここで、アルキルは、R10から選択される1ないし3個の同一又は異なる置換基で置換されていてもよい。
好ましくは、R及びRは、それぞれ独立して、H又はメチル(これは、R10から選択される1ないし3個の同一又は異なる置換基で置換されていてもよい)である。
は、H、ヒドロキシ、C1−2アルキル、又はOCHである。
好ましくは、Rは、H、ヒドロキシ、メチル、又はOCHである。
10は、F又はClである。
好ましくは、R10は、Fである
さらに、本発明の2つの別個の製剤を含んでなる組合せ製剤においては、好ましくは、2つの別個の製剤のいずれか又は双方は、経口製剤である。
本発明の2つの別個の製剤を含んでなる組合せ製剤は、好ましくは、一方の製剤が、薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に、以下:
(a)(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル{(3S)−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
(b)(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル{(3R,4R)−4−ヒドロキシ−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
(c)(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル{(3S)−1−[4−メチル−6−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
(d)1,1,1−トリフルオロ−2−メチルプロパン−2−イル{(3S)−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
(e)tert−ブチル{(3S)−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
(f)tert−ブチル{(3S)−1−[4−メチル−6−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
(g)(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル{(3R,4R)−4−メチル−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
(h)(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル{(3R,4R)−4−メトキシ−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、又は
(i)tert−ブチル{(3R,4R)−4−メチル−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを含有するものであり;かつ
他方の製剤は、パクリタキセル又はドセタキセル、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを、薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に含有する製剤である。
さらに、薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に本発明の2つの別個の製剤を含んでなる組合せ製剤は、抗がん性アルキル化剤、抗がん性代謝拮抗剤、抗がん性抗生物質、植物由来抗がん剤、抗がん性白金錯化合物、抗がん性カンプトテシン誘導体、抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤、モノクローナル抗体、インターフェロン、生物学的応答調節剤、及び他の抗がん剤(ここで、各抗がん剤の定義は、上記に定義されたものと同様である)からなる群より選択される抗がん剤、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを含有する、少なくとも1つの製剤とさらに組合せてもよい。
また、本発明の医薬組成物は、好ましくは、薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に、以下:
(a)(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル{(3S)−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
(b)(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル{(3R,4R)−4−ヒドロキシ−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
(c)(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル{(3S)−1−[4−メチル−6−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
(d)1,1,1−トリフルオロ−2−メチルプロパン−2−イル{(3S)−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
(e)tert−ブチル{(3S)−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
(f)tert−ブチル{(3S)−1−[4−メチル−6−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
(g)(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル{(3R,4R)−4−メチル−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
(h)(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル{(3R,4R)−4−メトキシ−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、又は
(i)tert−ブチル{(3R,4R)−4−メチル−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル;及び、パクリタキセル又はドセタキセル、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを、薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に含有する。
式(I)の化合物の製造プロセスの記載
式(I):
Figure 2012521425
[式中、R、R、R、R、及びRは、上記式(I)の記号と同じ意味を有する]
によって表わされる化合物は、例えば、以下の方法によって調製し得る。以降、用語「上記式(I)の記号」は、本明細書で用いるとき、「本明細書で最初に記載された、式(I)について記載されたそれぞれの記号」を意味する。
Figure 2012521425
(プロセスI)
本プロセスは、化合物(II)(ここで、R及びRは、上記式(I)の記号と同じ意味を有する)及び4−ニトロフェニルクロロホルマートを、O−アシル化反応に付して、それにより化合物(III)(ここで、R及びRは、上記式(I)の記号と同じ意味を有する)を生成する方法である。
このプロセスで使用する化合物(II)としては、2−トリフルオロメチル−2−プロパノール、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールなどが例示されてよい。化合物(II)は、市販されているか、又は既知の方法により調製し得る。
このプロセスで使用するO−アシル化反応は、当業者に周知の方法を用いる。このプロセスで使用するO−アシル化反応では、具体的には、例えば、化合物(II)をクロロホルムなどの溶媒中でピリジンなどの塩基と反応させること、続いて4−ニトロフェニルクロロホルマートをそれに添加することにより、化合物(III)を合成し得る。この反応では、1molの化合物(II)に対し、4−ニトロフェニルクロロホルマートは、1ないし10mol、好ましくは1ないし5molの量で使用し;かつ塩基は、1ないし10mol、好ましくは1ないし5molの量で使用する。反応温度は、用いる出発化合物又は反応溶媒に合わせて、当業者により適宜選択可能であるが、典型的には、室温から60℃までである。また、反応は、典型的には1ないし48時間以内に完了するが、反応時間は、適宜延長又は短縮し得る。
得られた化合物(III)は、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、又はクロマトグラフィーなどの既知の分離及び精製手段により、単離及び精製に付すか、又は単離及び精製なしに次のプロセスに付してもよい。
(プロセス2)
本プロセスは、上記記載のプロセス1で得られた化合物(III)(ここで、R及びRは、上記式(I)の記号と同じ意味を有する)、及び化合物(IV)(ここで、PGは、ベンジル及びtert−ブトキシカルボニルなどの保護基であり、かつRは、上記式(I)の記号と同じ意味を有する)を、アルコキシカルボニル化反応に付し、それにより化合物(V)(ここで、PGは、ベンジル及びtert−ブトキシカルボニルなどの保護基であり、またR、R、及びRは、上記式(I)の記号と同じ意味を有する)を生成する方法である。
このプロセスで使用する化合物(IV)としては、(3S)−(+)−1−ベンジル−3−アミノピロリジン、tert−ブチル(3R,4R)−3−アミノ−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシラートなどが例示されてよい。化合物(IV)は、市販されているか、又は既知の方法により調製し得る。
このプロセスで使用するアルコキシカルボニル化反応は、当業者に周知の方法を用いる。このプロセスで使用されるアルコキシカルボニル化反応では、具体的には、例えば、化合物(III)をクロロホルムなどの溶媒中でN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基と反応させること、続いて化合物(IV)をそれに添加することにより、化合物(V)を合成し得る。この反応では、1molの化合物(III)に対し、化合物(IV)は、1ないし10mol、好ましくは1ないし5molの量で使用し;かつ塩基は、1ないし10mol、好ましくは1ないし5molの量で使用する。反応温度は、用いる出発化合物又は反応溶媒に合わせて、当業者により適宜選択可能であるが、典型的には、室温から60℃までである。また、反応は、典型的には1ないし48時間以内に完了するが、反応時間は、適宜延長又は短縮し得る。
得られた化合物(V)は、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、又はクロマトグラフィーなどの既知の分離及び精製手段により、単離及び精製に付すか、又は単離及び精製なしに次のプロセスに付してもよい。
(プロセス3)
本プロセスは、上記記載のプロセス2で得られた化合物(V)(ここで、PGは、ベンジル及びtert−ブトキシカルボニルなどの保護基であり、またR、R、及びRは、上記式(I)の記号と同じ意味を有する)の保護基PGを脱保護し、それにより化合物(VI)(ここで、R、R、及びRは、上記式(I)の記号と同じ意味を有する)を生成する方法である。
PGの脱保護反応には、保護基のタイプ及び化合物の安定性に依存して方法を変更してもよいが、文献に記載された方法[グリーン(T.W.Greene)著、「Protective Groups in Organic Synthesis(有機合成における保護基)」、John Wiley & Sons、1981年参照]、又はそれと同等の方法を実行し得る。例えば、そのPGがtert−ブトキシカルボニルである化合物(V)は、トリフルオロ酢酸及びクロロホルムの混合溶媒中で脱保護し得る。反応温度は、用いる出発化合物又は反応溶媒に合わせて、当業者により、適宜選択され得るが、典型的には、0℃から溶媒の沸点までである。また、反応は、典型的には1ないし24時間以内に完了するが、反応時間は、適宜延長又は短縮し得る。
得られた化合物(VI)は、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、又はクロマトグラフィーなどの既知の分離及び精製手段により、単離及び精製に付すか、又は単離及び精製なしに次のプロセスに付してもよい。
(プロセス4)
本プロセスは、上記記載のプロセス3で得られた化合物(VI)(ここで、R、R、及びRは、上記式(I)の記号と同じ意味を有する)、及び化合物(VII)(ここで、R及びRは、上記式(I)の記号と同じ意味を有する)を、アミノ化反応に付し、それにより化合物(I)(ここで、R、R、R、R、及びRは、上記式(I)の記号と同じ意味を有する)を生成する方法である。
このプロセスで用いる化合物(VII)としては、2−クロロ−6−メチル−N−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)ピリミジン−4−アミン、2−クロロ−6−メチル−N−(1H−ピラゾール−3−イル)ピリミジン−4−アミンなどが例示されてよい。化合物(VII)は、既知の方法により調製し得る。
このプロセスで使用するアミノ化反応は、当業者に周知の方法を用いる。このプロセスで使用するアミノ化反応では、具体的には、例えば、化合物(VI)をジメチルスルホキシドなどの溶媒中でN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基と反応させること、続いて化合物(VII)をそれに添加することにより、化合物(I)を合成し得る。この反応では、1molの化合物(VI)に対し、化合物(VII)は、1ないし10mol、好ましくは1ないし5molの量で使用し;かつ塩基は、1ないし10mol、好ましくは1ないし5molの量で使用する。反応温度は、用いる出発化合物又は反応溶媒に合わせて、当業者により適宜選択可能であるが、典型的には、室温から100℃までである。また、反応は、典型的には1ないし48時間以内に完了するが、反応時間は、適宜延長又は短縮し得る。
得られた化合物(I)は、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、又はクロマトグラフィーなどの既知の分離及び精製手段により、単離及び精製に付すか、又は単離及び精製なしに次のプロセスに付してもよい。
Figure 2012521425
式(I)によって表わされる化合物(ここで、R、R、R、R、及びRは、上記式(I)の記号と同じ意味を有する)はまた、例えば、以下の方法によっても調製し得る。
(プロセス5)
本プロセスは、化合物(VII)(ここで、R及びRは、上記式(I)の記号と同じ意味を有する)及び化合物(VIII)(ここで、Rは、上記式(I)の記号と同じ意味を有する)を、アミノ化反応に付し、それにより化合物(IX)(ここで、R、R、及びRは、上記式(I)の記号と同じ意味を有する)を生成する方法である。
このプロセスで使用する化合物(VII)としては、2−クロロ−6−メチル−N−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)ピリミジン−4−アミン、2−クロロ−6−メチル−N−(1H−ピラゾール−3−イル)ピリミジン−4−アミンなどが例示されてよい。化合物(VII)は、既知の方法により調製し得る。
このプロセスで使用する化合物(VIII)としては、(3S,4R)−4−メチルピロリジン−3−アミン、(4aR,7aR)−オクタヒドロピロロ[3,4−b][1,4]オキサジンなどが例示されてよい。化合物(VIII)は、市販されているか、又は既知の方法により調製し得る。
このプロセスで使用するアミノ化反応は、当業者に周知の方法を用いる。このプロセスで使用するアミノ化反応では、具体的には、例えば、化合物(VII)をジメチルスルホキシドなどの溶媒中でN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基と反応させること、続いて化合物(VIII)をそれに添加することにより、化合物(IX)を合成し得る。この反応では、1molの化合物(VII)に対し、化合物(VIII)は、1ないし10mol、好ましくは1ないし5molの量で使用し;かつ塩基は、1ないし10mol、好ましくは1ないし5molの量で使用する。反応温度は、用いる出発化合物又は反応溶媒に合わせて、当業者により適宜選択可能であるが、典型的には、室温から120℃までである。また、反応は、典型的には1ないし48時間以内に完了するが、反応時間は、適宜延長又は短縮し得る。
得られた化合物(IX)は、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、又はクロマトグラフィーなどの既知の分離及び精製手段により、単離及び精製に付すか、又は単離及び精製なしに次のプロセスに付してもよい。
(プロセス6)
本プロセスは、上記記載のプロセス5で得られた化合物(IX)(ここで、R、R、及びRは、上記式(I)の記号と同じ意味を有する)、及び上記記載のプロセス1で得られた化合物(III)(ここで、R及びRは、上記式(I)の記号と同じ意味を有する)を、ジアルコキシカルボニル化反応に付し、それにより化合物(X)(ここで、R、R、R、R、及びRは、上記式(I)の記号と同じ意味を有する)を生成する方法である。
このプロセスで使用するジアルコキシカルボニル化反応は、当業者に周知の方法を用いる。このプロセスで使用するジアルコキシカルボニル化反応では、具体的には、例えば、化合物(IX)をクロロホルムなどの溶媒中でN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基と反応させること、続いて化合物(III)をそれに添加することにより、化合物(X)を合成し得る。この反応では、1molの化合物(IX)に対し、化合物(III)は、2ないし20mol、好ましくは2ないし10molの量で使用し;かつ塩基は、2ないし20mol、好ましくは2ないし10molの量で使用する。反応温度は、用いる出発化合物又は反応溶媒に合わせて、当業者により適宜選択可能であるが、典型的には、室温から60℃までである。また、反応は、典型的には1ないし48時間以内に完了するが、反応時間は、適宜延長又は短縮し得る。
得られた化合物(X)は、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、又はクロマトグラフィーなどの既知の分離及び精製手段により、単離及び精製に付すか、又は単離及び精製なしに次のプロセスに付してもよい。
(プロセス7)
本プロセスは、上記記載のプロセス6で得られた化合物(X)(ここで、R、R、R、R、及びRは、上記式(I)の記号と同じ意味を有する)を加水分解し、それにより化合物(I)(ここで、R、R、R、R、及びRは、上記式(I)の記号と同じ意味を有する)を生成する方法である。
このプロセスで使用する加水分解は、当業者に周知の方法を用いる。このプロセスで使用する加水分解反応は、具体的には、例えば、化合物(X)をメタノールなどの溶媒中で炭酸カリウムなどの塩基と反応させることにより、化合物(I)を合成し得る。この反応では、1molの化合物(I)に対し、塩基は、2ないし20mol、好ましくは2ないし10molの量で使用する。反応温度は、用いる出発化合物又は反応溶媒に合わせて、当業者により適宜選択可能であるが、典型的には、0℃から室温までである。また、反応は、典型的には1ないし48時間以内に完了するが、反応時間は、適宜延長又は短縮し得る。
得られた化合物(I)は、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、又はクロマトグラフィーなどの既知の分離及び精製手段により、単離及び精製に付すか、又は単離及び精製なしに次のプロセスに付してもよい。
次に、本発明の一般式(I)の化合物のオーロラA及びオーロラB阻害作用を、以下に説明する。
オーロラA阻害作用
(1)オーロラAの精製
アミノ末端にヒスチジンタグを融合させたオーロラAのcDNAを、発現ベクターに組み込み、次にこれを大腸菌(Eschericha coli)BL21−CodonPlus(DE3)−RIL細胞の中で高発現させた。大腸菌細胞を回収して、可溶化した後、ヒスチジンタグ付加オーロラAタンパク質をニッケルキレートカラムに吸着させ、イミダゾールでカラムから溶出した。活性画分を、脱塩カラムで脱塩し、精製酵素とした。
(2)オーロラAの活性測定
オーロラAの活性測定において、基質は、合成ペプチドであるケンプチド(Kemptide; Leu−Arg−Arg−Ala−Ser−Leu−Gly)(SEQ.ID.NO.:1)をシグマ・アルドリッチ・インク(Sigma−Aldrich,Inc.)から購入して用いた[分析証明書(Certificate of analysis)(アップステート・インク(Upstate,Inc.)]。
反応は、アップステート・インクによる方法[キナーゼプロファイラー(Kinase Profiler)(商標)アッセイプロトコール]を部分的に変更して実施した。反応液量は、21.1μLであり、反応バッファー(R2バッファー)の組成は、50mM トリス−塩酸バッファー(pH7.4)/15mM 酢酸マグネシウム/0.2mM エチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸(EDTA)であった。これに、精製されたオーロラA、100μMの基質ペプチド、20μMの未標識アデノシン三リン酸(ATP)、及び0.5μCiの[γ−33P]標識ATP(2,500Ci/mmol以上)を添加し、混合物を30℃で20分間反応させた。次に、350mMのリン酸バッファー10μLを反応系に添加して、反応を停止した。基質ペプチドを、P81ペーパーフィルター96ウェルプレートに吸着させ、次に130mMリン酸バッファーで数回洗浄した。ペプチドの放射活性を、液体シンチレーションカウンターで測定した。[γ−33P]標識ATPは、アマシャム・バイオサイエンス社(Amersham Biosciences Co.,Ltd.)から購入した。
試験化合物を反応系に添加して、化合物の希釈シリーズをまずジメチルスルホキシド中で調製し、この溶液1.1μLを添加した。コントロールは、DMSO1.1μLを反応系に添加することによって提供した。
オーロラB阻害作用
(1)オーロラBの精製
アミノ末端にヒスチジンタグを融合したヒトオーロラBのcDNAを発現ベクターに組み込み、大腸菌BL21−CodonPlus(DE3)−RIL細胞で高発現させた。大腸菌を回収して可溶化した後、ヒスチジンタグ付加オーロラBタンパク質をニッケルキレートカラムに吸着させ、イミダゾールでカラムから溶出した。活性画分を脱塩カラムで脱塩し精製酵素とした。
(2)オーロラBの活性測定
オーロラBの活性測定において、基質は合成ペプチドであるケンプチド(Kemptide; Leu−Arg−Arg−Ala−Ser−Leu−Gly)(SEQ.ID.NO.:1)をシグマ社より購入して用いた[分析証明書(アップステート・インク)]。
反応はオーロラAの活性測定方法を一部改変して行った。反応液量は21.1μLで、反応バッファー(R2バッファー)の組成は50mMトリス−塩酸バッファー(pH7.4)/15mM酢酸マグネシウム/0.2mMエチレンジアミン−N、N,N’,N’−四酢酸(EDTA)であった。そこに精製したオーロラBと100μMの基質ペプチドと100μMの非標識アデノシン三リン酸(ATP)および1μCiの[γ−33P]標識ATP(2500Ci/mmole以上)を添加して、30℃で20分間反応させた。その後、10μLの350mMリン酸バッファーを反応系に添加して反応を停止させた。基質ペプチドをP81ペーパーフィルタ−96ウエルプレートに吸着させた後、130mMリン酸バッファーで数回洗浄した。その放射活性を液体シンチレーションカウンターで測定した。[γ−33P]標識ATPはアマシャムバイオサイエンス社から購入した。
Figure 2012521425
以上より、本発明に係る化合物は、優れたオーロラA選択的阻害活性を示し、他の抗がん剤との併用により相乗作用をもたらすので、抗がん剤として有用であると考えられる。即ち、本発明に係る新規アミノピリジン誘導体又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを含む医薬組成物及びオーロラA選択的阻害剤、或いは、本発明に係る化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを含む抗がん剤は、がん患者の治療において有効と考えられる。
また、該医薬組成物及び該阻害剤並びに該抗がん剤は、薬学的に許容される担体又は希釈剤を含んでいてもよい。ここで、「薬学的に許容される担体又は希釈剤」は、賦形剤〔例えば、脂肪、蜜蝋、半固体及び液体のポリオール、天然若しくは硬化オイルなど〕; 水(例えば、蒸留水、特に、注射用蒸留水など)、生理学的食塩水、アルコール(例えば、エタノール)、グリセロール、ポリオール、ブドウ糖水溶液、マンニトール、植物オイルなど; 添加剤〔例えば、増量剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、湿潤剤、安定剤、乳化剤、分散剤、保存剤、甘味料、着色剤、調味料若しくは芳香剤、濃化剤、希釈剤、緩衝物質、溶媒若しくは可溶化剤、貯蔵効果を達成するための薬剤、浸透圧を変えるための塩、コーティング剤、又は抗酸化剤〕などを意味する。
また、本発明に係る化合物の治療効果が期待される好適な腫瘍としては、例えばヒトの固形がん等が挙げられる。ヒトの固形がんとしては、例えば、脳がん、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞がん、非小細胞がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、膵がん、結腸がん、直腸がん、卵巣がん、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、腎盂・尿管がん、膀胱がん、前立腺がん、陰茎がん、睾丸がん、胎児性がん、ウイルムスがん、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユ−イング腫、軟部肉腫などが挙げられる。
次に、上述した「その薬学的に許容される塩もしくはエステル」について説明する。
本発明に係る化合物は、抗がん剤などとして使用される場合には、その薬学的に許容しうる塩としても使用することができる。薬学的に許容しうる塩の典型例としては、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、過塩素酸塩等の無機酸塩;例えば酢酸塩、プロピオン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマール酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩等の有機酸塩;例えばメタンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;例えばアスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等の酸性アミノ酸塩等を挙げることができる。前記式(I)の化合物の塩は、好ましくは、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、過塩素酸塩等の無機酸塩であり、さらに好ましくは、塩酸塩である。
本発明に係る化合物の薬学的に許容しうる塩の製造法は、有機合成化学分野で通常用いられる方法を適宜組み合わせて行うことができる。具体的には、本発明に係る化合物の遊離型の溶液をアルカリ溶液あるいは酸性溶液で中和滴定すること等が挙げられる。
本発明に係る化合物のエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステルなどを挙げることができる。これらのエステルは遊離カルボキシ基を常法に従ってエステル化して製造することができる。
本発明に係る組み合わせ製剤中の各製剤は、各種の形態を選択することができ、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤若しくは液剤等の経口製剤、或いは、例えば溶液若しくは懸濁液等の殺菌した液状の非経口製剤、坐剤、軟膏剤等が挙げられる。
固体の製剤は、そのまま錠剤、カプセル剤、顆粒剤又は粉末の形態として製造することもできるが、適当な担体(添加物)を使用して製造することもできる。そのような担体(添加物)としては、例えば乳糖若しくはブドウ糖等の糖類; 例えばトウモロコシ、小麦若しくは米等の澱粉類; 例えばステアリン酸等の脂肪酸; 例えばメタケイ酸アルミン酸マグネシウム若しくは無水リン酸カルシウム等の無機塩; 例えばポリビニルピロリドン若しくはポリアルキレングリコール等の合成高分子; 例えばステアリン酸カルシウム若しくはステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸塩; 例えばステアリルアルコール若しくはベンジルアルコール等のアルコール類; 例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース若しくはヒドロキシプロピルメチルセルロース等の合成セルロース誘導体; その他、ゼラチン、タルク、植物油、アラビアゴム等通常用いられる添加物が挙げられる。
これらの錠剤、カプセル剤、顆粒剤及び粉末等の固形製剤は一般的には、製剤全体の重量を基準として、例えば、上記式(I)で示される化合物0.1〜100重量%、好ましくは5〜98重量%の有効成分を含んでいてもよい。
液状製剤は、水、アルコール類又は例えば大豆油、ピーナツ油、ゴマ油等の植物由来の油等の液状製剤において通常用いられる適当な添加物を使用し、懸濁液、シロップ剤、注射剤、点滴剤(静脈内輸液)等の形態として製造される。
特に、非経口的に筋肉内注射、静脈内注射又は皮下注射の形で投与する場合の適当な溶剤又は希釈剤としては、例えば注射用蒸留水、塩酸リドカイン水溶液(筋肉内注射用)、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、静脈内注射用液体(例えばクエン酸及びクエン酸ナトリウム等の水溶液)若しくは電解質溶液(点滴静注及び静脈内注射用)等、又はこれらの混合溶液が挙げられる。
これらの注射剤は予め溶解したものの他、粉末のまま或いは適当な担体(添加物)を加えたものを用時溶解する形態もとり得る。これらの注射液は、製剤全体の重量を基準として、例えば、0.1〜10重量%の有効成分を含むことができる。
また、経口投与用の懸濁剤、シロップ剤等の液剤は、製剤全体の重量を基準として、例えば、0.1〜10重量%の有効成分を含むことができる。
本発明に係る組み合わせ製剤中のそれぞれの製剤はまた、常法或いは慣用技術に従っても、当業者が容易に製造することができる。例えば、上記式(I)で示される化合物と併用される他の抗がん剤を含む製剤は、それが経口製剤の場合、例えば、該抗がん剤適量と、乳糖適量を混合し、経口投与に適した硬ゼラチンカプセルに詰めることにより製造することができる。一方、該抗がん剤を含む製剤が注射剤の場合は、例えば、該抗がん剤適量を0.9%生理食塩水適量と混合し、この混合物を注射用バイアルに詰めることにより製造することができる。
また、本発明に係る上記式(I)で示される化合物と他の抗がん剤を含む合剤の場合にも、常法或いは慣用技術に従って、当業者が容易に製造することができる。
本発明に係る方法において、好ましい治療単位は、上記式(I)で示される化合物の投与形態、使用される上記式(I)で示される化合物の種類、使用される上記式(I)で示される化合物の剤型; 併用される他の抗がん剤の種類、投与形態、剤型など;及び治療されるがん細胞、患者の状態などによって変化してもよい。所定の条件において最適な治療は、慣用の治療決定単位を基にして、及び/又は、本明細書を考慮して、当業者が決定することができる。
本発明に係る方法において、上記式(I)で示される化合物の治療単位は、具体的に言うと、使用される化合物の種類、配合された組成物の種類、適用頻度及び治療すべき特定部位、病気の軽重、患者の年令、医師の診断、がんの種類等によって変えることができるが、一応の目安として、例えば、1日当たりの成人1人当りの投与量は、経口投与の場合、例えば、1ないし1000mgの範囲内とすることができる。また非経口投与、好ましくは静脈内投与、さらに好ましくは点滴静注の場合、例えば、1日当たり1ないし100mg/m(体表面積)の範囲内とすることができる。ここで、点滴静注の場合、例えば、1〜48時間連続して投与してもよい。なお、投与回数は、投与方法及び症状により異なるが、例えば、1日1回ないし5回である。また、隔日投与、隔々日投与などの間けつ投与等の投与方法でも用いることができる。非経口投与の場合の治療の休薬期間は、例えば、1〜6週間である。
また、上記式(I)で示される化合物と併用される他の抗がん剤の治療単位は、特に限定されないが、公知文献などにより当業者が必要に応じて決定することができる。例えば、以下に示す通りである。
5−フルオロウラシル(5−FU)の治療単位は、経口投与の場合、例えば、1日200〜300mgを1〜3回に連日投与し、注射剤の場合は、例えば、1日5〜15mg/kgを最初の5日間連日1日1回静注又は点滴静注し、以後、5〜7.5mg/kg を隔日に1日1回静注又は点滴静注する(投与量は、適宜増減してもよい)。
S−1(テガフール・ギメスタット・オスタットカリウム)の治療単位は、例えば、初回投与量(1回量)を体表面積に合わせて次の基準量とし、朝食後及び夕食後の1日2回、28日間連日経口投与し、その後14日間休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。体表面積当たりの初回基準量(テガフール相当量)は、1.25m未満:40mg/回、1.25m2以上〜1.5m2未満:50mg/回、1.5m以上:60mg/回であり、患者の状態により適宜増減する。
ゲムシタビンの治療単位は、例えば、ゲムシタビンとして1回1g/mを30分かけて点滴静注し、週1回投与を3週連続し、4週目は休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。年齢、症状又は副作用の発現に応じて適宜減量する。
ドキソルビシン(例えば、塩酸ドキソルビシン)の治療単位は、静脈内注射の場合、例えば、1日1回10mg(0.2mg/kg)(力価)で4〜6日間連日静脈内ワンショット投与後、7〜10日間休薬し、これを1コースとし、2〜3コース繰り返す。ここで、総投与量は、500mg(力価)/m(体表面積)以下が好ましく、その範囲内で適宜増減してもよい。
エトポシドの治療単位は、静脈内注射の場合、例えば、1日60〜100mg/m(体表面積)で5日間連続投与し、3週間休薬する(投与量は、適宜増減してもよい)。これを1コースとして繰り返す。一方、経口投与の場合は、例えば、1日175〜200mgを5日間連続投与し、3週間休薬する(投与量は、適宜増減してもよい)。これを1コースとして繰り返す。
ドセタキセル(ドセタキセル水和物)の治療単位は、例えば、1日1回、ドセタキセルとして60mg/m(体表面積)を1時間以上かけて3〜4週間間隔で点滴静注する(投与量は、適宜増減することができる)。
パクリタキセルの治療単位は、例えば、1日1回210mg/m(体表面積)を3時間かけて点滴静注し、少なくとも3週間休薬する。これを1コースとして、繰り返す。投与量は適宜増減することができる。
シスプラチンの治療単位は、静脈内注射の場合、例えば、1日1回50〜70mg/m(体表面積)で投与し、3週間以上休薬する(投与量は、適宜増減してもよい)。これを1コースとして繰り返す。
カルボプラチンの治療単位は、例えば、1日1回300〜400mg/mを30分以上かけて点滴静注し、少なくとも4週間休薬する(投与量は適宜増減してもよい)。これを1コースとして繰り返す。
オキザリプラチンの治療単位は、1日1回85mg/mを静注し、2週間休薬し、これを1コースとして繰り返す。
イリノテカン(例えば、塩酸イリノテカン)の治療単位は、例えば、1日1回100mg/m、1週間間隔で3〜4回点滴静注し、少なくとも2週間休薬する。
トポテカンの治療単位は、例えば、1日1回1.5mg/mを5日間点滴静注し、少なくとも3週間休薬する。
シクロホスファミドの治療単位は、静脈内注射の場合、例えば、1日1回100mg連日静注し、患者が耐えられる場合は1日200mgに増量してもよく、総量で3000〜8000mg投与するが、適宜増減してもよい。また必要に応じて筋肉内、胸腔内、又は腫瘍内に注射又は注入してもよい。一方、経口投与の場合は、例えば、1日100〜200mgで投与する。
ゲフィチニブの治療単位は、例えば、1日1回250mgを経口投与する。
セツキシマブの治療単位は、例えば、第1日目に400mg/mを点滴静注し、その後250mg/mを毎週点滴静注する。
ベバシズマブの治療単位は、例えば、3mg/kgを毎週点滴静注する。
トラスツズマブの治療単位は、例えば、通常、成人に対して1日1回、トラスツズマブとして初回投与時には4mg/kg(体重)を、2回目以降は2mg/kgを90分以上かけて1週間間隔で点滴静注する。
エキセメスタンの治療単位は、例えば、通常、成人には1日1回25mgを食後に経口投与する。
リュープロレリン(例えば、酢酸リュープロレリン)の治療単位は、例えば、通常、成人には12週に1回として11.25mgを皮下に投与する。
イマチニブの治療単位は、例えば、通常、慢性骨髄性白血病の慢性期の成人には1日1回400mgを食後に経口投与する。
5−FUとロイコボリンを組み合わせた場合の治療単位は、例えば、第1日目から第5日目に5−FU 425mg/m、ロイコボリン 200mg/mを点滴静注し、これを4週間間隔で繰り返す。
ソラフェニブの治療単位は、例えば、食前少なくとも1時間前、或いは、食後少なくとも2時間後で、1日2回各200mg(1日あたり400mg)を経口投与する。
スニチニブの治療単位は、例えば、1日1回50mgを4週間経口投与をし、2週間休薬する。
実施例及び参考例の薄層クロマトグラフィーでは、シリカゲル60 F254(メルク(Merck))及びクロマトレックス(Chromatolex)NH(富士シリシアケミカル(Fuji Silysia Chemical))をプレートとして使用し、検出法についてはUV検出器を用いた。クロマトグラフィー用の充填済みシリカゲルカラムとしては、バイオタージ(Biotage)KP−Silフラッシュカートリッジ(FLASH Cartridge)(バイオータージ)又はPurif−Pack Si(モリテックス(Moritex))を使用した。また、KP−NHフラッシュカートリッジ(バイオタージ)又はPurif−Pack NH(モリテックス)を、塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィーに使用した。逆相分取用高速液体クロマトグラフィーでは、XBridge Prep C18(30x50mm)(ウォーターズ(Waters))をカラムとして使用し、0.1% トリフルオロ酢酸水溶液及び、アセトニトリル中の0.1% トリフルオロ酢酸溶液を、移動相において使用した。ESI−MSスペクトルは、ミクロマスZQ(ミクロマス(Micromass))を用いて測定した。NMRスペクトルは、AL 400(400MHz;JEOL)及びイノバ(Inova)600(600MHz;バリアン(Varian))型のスペクトロメ−タ−を用いて測定した。マイクロ波反応には、イニシエーター(Initiator)(バイオタージ)を使用した。
NMR測定において用いた略語の意味は、以下の通りである。
Figure 2012521425
実験のセクションにおいて用いた略語の意味は、以下の通りである。
Figure 2012521425
実施例1
(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル{(3S)−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマートの調製
Figure 2012521425
工程1:4−ニトロフェニル(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イルカルボナートの調製
Figure 2012521425
CHCl(30ml)中の(S)−(−)−1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール(1.95g)の溶液に、4−ニトロフェニルクロロホルマート(5.16g)及びピリジン(1.35g)を、室温で添加した。60℃で1時間の攪拌後、得られた混合物を室温に冷却した。得られた混合物に、2−(ジメチルアミノ)エタノール(1.52g)を添加して、室温で1時間攪拌した。混合物を1M HCl水溶液に注入し、CHClで抽出した。抽出物を水で洗浄し、次にNaSO上で乾燥し、濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/EtOAc=1/0〜50/50)で精製して、4−ニトロフェニル(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イルカルボナートを、淡黄色の油として得た。
工程2:(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル[(3S)−1−ベンジルピロリジン−3−イル]カルバマートの調製
Figure 2012521425
CHCl(30ml)中の4−ニトロフェニル(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イルカルボナート(2.20g)の溶液に、(3S)−1−ベンジルピロリジン−3−アミン(1.39g)を室温で添加した。得られた混合物を、2時間還流し、次に室温に冷却した。混合物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/EtOAc=1/0〜0/1)で精製して、(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル[(3S)−1−ベンジルピロリジン−3−イル]カルバマートを、淡黄色の油として得た。
工程3:(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル(3S)−ピロリジン−3−イルカルバマートの調製
Figure 2012521425
THF(20ml)及びMeOH(20ml)中の(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル[(3S)−1−ベンジルピロリジン−3−イル]カルバマート(1.82g)の溶液に、活性炭上の20%水酸化パラジウム(200mg)を添加した。得られた溶液を、H雰囲気(バルーン圧)下に置き、室温で15時間攪拌した。セライトを通した濾過及び、フィルターケークをMeOHで洗浄することで得られた溶液を、真空中で濃縮して、(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル(3S)−ピロリジン−3−イルカルバマートを、淡黄色の油として得た。
工程4:(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル{(3S)−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマートの調製
Figure 2012521425
DMSO(5ml)中の(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル(3S)−ピロリジン−3−イルカルバマート(50mg)の溶液に、参考例1で調製された2−クロロ−6−メチル−N−(1H−ピラゾール−3−イル)ピリミジン−4−アミン(46mg)、及びDIEA(28mg)を、室温で添加した。得られた混合物を、110℃で15時間攪拌し、次に室温に冷却した。混合物を分取用RP−HPLCで精製して、(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル{(3S)−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマートを、淡黄色の固体として得た。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ1.25−1.40(3H,m),1.78−1.92(1H,m),2.02−2.20(4H,m),3.25−3.75(4H,m),4.05−4.20(1H,m),5.20−5.40(1H,m),5.95−6.75(2H,m),7.50−7.60(1H,m),7.92−8.00(1H,m),9.40(1H,brs),12.14(1H,brs)
ESI−MS m/z400[M+H]
実施例2
(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル{(3R,4R)−4−ヒドロキシ−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマートの調製
Figure 2012521425
工程1:tert−ブチル(3R,4R)−3−ヒドロキシ−4−[({[(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル]オキシ}カルボニル)アミノ]ピロリジン−1−カルボキシラートの調製
Figure 2012521425
標題化合物は、実施例1の工程2に記載されたものと同様の方法により、(3S)−1−ベンジルピロリジン−3−アミンの代わりにtert−ブチル(3R,4R)−3−アミノ−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシラートを使用して調製した。
工程2:(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル[(3R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−3−イル]カルバマートの調製
Figure 2012521425
CHCl(0.5ml)中のtert−ブチル(3R,4R)−3−ヒドロキシ−4−[({[(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル]オキシ}カルボニル)アミノ]ピロリジン−1−カルボキシラート(100mg)の溶液に、TFA(0.5ml)を添加した。室温で1時間攪拌した後、混合物を飽和NaHCO水溶液に注入し、CHClで抽出した。抽出物をNaSO上で乾燥し、濃縮して、(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル[(3R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−3−イル]カルバマートを、淡黄色の泡沫として得た。
工程3:(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル{(3R,4R)−4−ヒドロキシ−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマートの調製
Figure 2012521425
標題化合物は、実施例1の工程4に記載されたものと同様の方法により、(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル(3S)−ピロリジン−3−イルカルバマートの代わりに(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル[(3R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−3−イル]カルバマートを使用して調製した。
ESI−MS m/z416[M+H]
実施例3
(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル{(3S)−1−[4−メチル−6−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマートの調製
Figure 2012521425
標題化合物は、実施例1の工程4に記載されたものと同様の方法により、2−クロロ−6−メチル−N−(1H−ピラゾール−3−イル)ピリミジン−4−アミンの代わりに、参考例2で調製された2−クロロ−6−メチル−N−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)ピリミジン−4−アミンを使用して調製した。
ESI−MS m/z414[M+H]
実施例4
1,1,1−トリフルオロ−2−メチルプロパン−2−イル{(3S)−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマートの調製
Figure 2012521425
工程1:4−ニトロフェニル1,1,1−トリフルオロ−2−メチルプロパン−2−イルカルボナートの調製
Figure 2012521425
THF(30ml)中の1,1,1−トリフルオロ−2−メチルプロパン−2−オール(1.0g)の溶液に、n−ヘキサン(3.9ml)中の2M n−ブチルリチウムの溶液を、次に4−ニトロフェニルクロロホルマート(2.4g)を−75℃で添加した。混合物を室温に温め、酢酸エチルで希釈し、水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(0−50% EtOAc/ヘキサン)により精製して、4−ニトロフェニル1,1,1−トリフルオロ−2−メチルプロパン−2−イルカルボナートを、淡黄色の油として得た。
工程2:1,1,1−トリフルオロ−2−メチルプロパン−2−イル{(3S)−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマートの調製
Figure 2012521425
標題化合物は、実施例1の工程4に記載されたものと同様の方法により、(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル(3S)−ピロリジン−3−イルカルバマートの代わりに4−ニトロフェニル1,1,1−トリフルオロ−2−メチルプロパン−2−イルカルボナートを使用して調製した。
ESI−MS m/z414[M+H]
実施例5
tert−ブチル{(3S)−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマートの調製
Figure 2012521425
標題化合物は、実施例1の工程4に記載されたものと同様の方法により、(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル(3S)−ピロリジン−3−イルカルバマートの代わりにtert−ブチル(3S)−ピロリジン−3−イルカルバマートを使用して調製した。
ESI−MS m/z360[M+H]
実施例6
tert−ブチル{(3S)−1−[4−メチル−6−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマートの調製
Figure 2012521425
標題化合物は、実施例5に記載されたものと同様の方法により、2−クロロ−6−メチル−N−(1H−ピラゾール−3−イル)ピリミジン−4−アミンの代わりに、参考例2で調製された2−クロロ−6−メチル−N−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)ピリミジン−4−アミンを使用して調製した。
ESI−MS m/z374[M+H]
実施例7
(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル{(3R,4R)−4−メチル−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマートの調製
Figure 2012521425
工程1:2−[(3R,4R)−3−アミノ−4−メチルピロリジン−1−イル]−6−メチル−N−(1H−ピラゾール−3−イル)ピリミジン−4−アミンの調製
Figure 2012521425
標題化合物は、実施例1の工程4に記載されたものと同様の方法により、(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル(3S)−ピロリジン−3−イルカルバマートの代わりに(3S,4R)−4−メチルピロリジン−3−アミンを使用して調製した。
工程2:(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル{(3R,4R)−4−メチル−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマートの調製
Figure 2012521425
CHCl(10ml)中の2−[(3S,4R)−3−アミノ−4−メチルピロリジン−1−イル]−6−メチル−N−(1H−ピラゾール−3−イル)ピリミジン−4−アミン(20mg)の混合物に、実施例1の工程1で調製された4−ニトロフェニル(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イルカルボナート(41mg)、及びDIEA(19mg)を室温で添加した。60℃で4時間の攪拌後、得られた混合物を室温に冷却し、濃縮した。残渣をMeOH(5mL)で希釈した。得られた混合物に、0℃で炭酸カリウム(100mg)を添加し、0℃で30分間攪拌した。混合物を飽和NHCl水溶液に注入し、CHClで抽出した。抽出物を食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:CHCl/MeOH=99/1〜80/20)で精製して、(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル{(3R,4R)−4−メチル−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマートを、淡黄色の泡沫として得た。
ESI−MS m/z414[M+H]
実施例8
(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル{(3R,4R)−4−メトキシ−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマートの調製
Figure 2012521425
標題化合物は、実施例7に記載されたものと同様の方法により、(3S,4R)−4−メチルピロリジン−3−アミンの代わりに、参考例3で調製された(3R,4R)−4−メトキシピロリジン−3−アミンビス(トリフルオロアセタート)を使用して調製した。
ESI−MS m/z430[M+H]
実施例9
tert−ブチル{(3R,4R)−4−メチル−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマートの調製
Figure 2012521425
標題化合物は、実施例7の工程2に記載されたものと同様の方法により、4−ニトロフェニル(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イルカルボナートの代わりにジ−tert−ブチルジカルボナートを使用して調製した。
ESI−MS m/z374[M+H]
参考例
参考例1
2−クロロ−6−メチル−N−(1H−ピラゾール−3−イル)ピリミジン−4−アミンの調製
Figure 2012521425
NMP(30ml)中の、2,4−ジクロロ−6−メチルピリミジン(3.00g)及び1H−ピラゾール−3−アミン(1.31g)の溶液に、NaI(2.36g)及びDIEA(6.33ml)を添加した。そして混合物を攪拌下、80℃に加熱した。1日後、混合物を室温に冷却した。混合物をEtOで希釈した。沈殿物を濾過により収集し、ヘキサン及びEtOAcの混合溶媒で洗浄し、真空中で乾燥させて、2−クロロ−6−メチル−N−(1H−ピラゾール−3−イル)ピリミジン−4−アミン(2.60g)を、淡黄色の固体として得た。
参考例2
2−クロロ−6−メチル−N−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)ピリミジン−4−アミンの調製
Figure 2012521425
標題化合物は、参考例1に記載されたものと同様の方法により、1H−ピラゾール−5−アミンの代わりに5−メチル−1H−ピラゾール−3−アミンを使用して調製した。
参考例3
(3R,4R)−4−メトキシピロリジン−3−アミンビス(トリフルオロアセタート)の調製
Figure 2012521425
工程1:tert−ブチル(3R,4R)−3−アジド−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシラートの調製
Figure 2012521425
標題化合物は、文献[「Org.Lett.」、2008年、第10巻、第8号、p.1617−1619]の表2に記載されたものと同様の方法により、(1R,2R)−(−)−[1,2−シクロヘキサンジアミノ−NN’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)]クロム(III)クロリドの代わりに、(1S,2S)−(+)−[1,2−シクロヘキサンジアミノ−NN’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)]クロム(III)クロリドを使用して調製した。
工程2:(3R,4R)−4−メトキシピロリジン−3−アミンビス(トリフルオロアセタート)の調製
Figure 2012521425
DMF(10mL)中のtert−ブチル(3R,4R)−3−アジド−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシラート(600mg)の溶液に、ヨードメタン(2.2g)を0℃で添加した。10分後、油中の60% NaH(110mg)を添加し、混合物を室温で1時間攪拌した。反応を飽和NHCl水溶液でクエンチし、混合物をEtOAcで抽出した。抽出物を水及び食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、真空中で濃縮した。残渣を、THF(5mL)及びMeOH(5mL)中に溶解した。溶液に、活性炭上の10%パラジウム(100mg)を添加した。得られた溶液を、H雰囲気(バルーン圧)下に置き、室温で3日間攪拌した。セライトを通した濾過及び、フィルターケークをMeOHで洗浄することで得られた溶液を、真空中で濃縮した。残渣を、TFA(5mL)及び水(0.5mL)中に溶解し、室温で30分間攪拌し、真空中で濃縮して、(3R,4R)−4−メトキシピロリジン−3−アミンビス(トリフルオロアセタート)を、淡黄色の泡沫として得た。
本発明の化合物は、優れたオーロラA選択的阻害作用を示し、それ故医薬の分野における有用な抗がん剤として期待される。

Claims (9)

  1. 式(I):
    Figure 2012521425
    [式中、
    は、H又はC1−2アルキルであり;
    は、H又はC1−3アルキルであり;
    及びRは、それぞれ独立して、H又はC1−2アルキルであり、ここで、アルキルは、R10から選択される1ないし3個の同一又は異なる置換基で置換されていてもよく;
    は、H、ヒドロキシ、C1−2アルキル、又はOCHであり;かつ
    10は、F又はClである]
    の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
  2. が、H又はメチルである、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
  3. が、H又はメチルである、請求項2に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
  4. 及びRが、それぞれ独立して、H又はメチル(これは、R10から選択される1ないし3個の同一又は異なる置換基で置換されていてもよい)であり;かつR10が、Fである、請求項3に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
  5. が、H、ヒドロキシ、メチル、又はOCHである、請求項4に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
  6. (a)(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル{(3S)−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
    (b)(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル{(3R,4R)−4−ヒドロキシ−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
    (c)(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル{(3S)−1−[4−メチル−6−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
    (d)1,1,1−トリフルオロ−2−メチルプロパン−2−イル{(3S)−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
    (e)tert−ブチル{(3S)−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
    (f)tert−ブチル{(3S)−1−[4−メチル−6−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
    (g)(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル{(3R,4R)−4−メチル−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
    (h)(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル{(3R,4R)−4−メトキシ−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、又は
    (i)tert−ブチル{(3R,4R)−4−メチル−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピロリジン−3−イル}カルバマート、
    である化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
  7. 請求項1に記載の少なくとも1種の化合物を活性成分として、薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に含んでなる、医薬組成物。
  8. 請求項1に記載の少なくとも1種の化合物を活性成分として、薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に含んでなる、オーロラA選択的阻害剤。
  9. 請求項1に記載の少なくとも1種の化合物を活性成分として、薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に含んでなる、抗がん剤。
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