JP2012519500A - クロストリジウム(Clostridium)種からの発酵最終産物の生産 - Google Patents

クロストリジウム(Clostridium)種からの発酵最終産物の生産 Download PDF

Info

Publication number
JP2012519500A
JP2012519500A JP2011554130A JP2011554130A JP2012519500A JP 2012519500 A JP2012519500 A JP 2012519500A JP 2011554130 A JP2011554130 A JP 2011554130A JP 2011554130 A JP2011554130 A JP 2011554130A JP 2012519500 A JP2012519500 A JP 2012519500A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
medium
fermentation
ethanol
clostridium
end product
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2011554130A
Other languages
English (en)
Inventor
サラド パレク,
クルシード カリム,
ジョン キルベーン,
Original Assignee
クテロス, インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by クテロス, インコーポレイテッド filed Critical クテロス, インコーポレイテッド
Publication of JP2012519500A publication Critical patent/JP2012519500A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P7/00Preparation of oxygen-containing organic compounds
    • C12P7/02Preparation of oxygen-containing organic compounds containing a hydroxy group
    • C12P7/04Preparation of oxygen-containing organic compounds containing a hydroxy group acyclic
    • C12P7/06Ethanol, i.e. non-beverage
    • C12P7/08Ethanol, i.e. non-beverage produced as by-product or from waste or cellulosic material substrate
    • C12P7/10Ethanol, i.e. non-beverage produced as by-product or from waste or cellulosic material substrate substrate containing cellulosic material
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N1/00Microorganisms, e.g. protozoa; Compositions thereof; Processes of propagating, maintaining or preserving microorganisms or compositions thereof; Processes of preparing or isolating a composition containing a microorganism; Culture media therefor
    • C12N1/22Processes using, or culture media containing, cellulose or hydrolysates thereof
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P7/00Preparation of oxygen-containing organic compounds
    • C12P7/02Preparation of oxygen-containing organic compounds containing a hydroxy group
    • C12P7/04Preparation of oxygen-containing organic compounds containing a hydroxy group acyclic
    • C12P7/06Ethanol, i.e. non-beverage
    • C12P7/065Ethanol, i.e. non-beverage with microorganisms other than yeasts
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E50/00Technologies for the production of fuel of non-fossil origin
    • Y02E50/10Biofuels, e.g. bio-diesel

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Tropical Medicine & Parasitology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Processing Of Solid Wastes (AREA)

Abstract

一態様では、クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)のようなクロストリジウム(Clostridium)微生物による、多種多様な供給原料からのエタノールおよびその他の発酵最終産物の生産を増大させる方法が開示される。フェドバッチ法の使用によりクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)のようなクロストリジウム(Clostridium)微生物の発酵性能を向上させる方法、ならびに脂肪酸含有化合物の存在下および/または低pHでのクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)のようなクロストリジウム(Clostridium)微生物の発酵による、アルコールおよび/または化学製品などの発酵最終産物の生産方法が記載されている。

Description

関連出願の相互参照
本願は、2009年3月9日に出願された米国特許仮出願第61/158,581号、2009年3月9日に出願された米国特許仮出願第61/158,600号、2009年4月20日に出願された米国特許仮出願第61/171,077号に対する優先権を主張するものであり、これらはそれぞれその内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
石油ベースの輸送燃料のコスト上昇、石油埋蔵量の減少および石油燃料燃焼の環境への影響に関する懸念により、石油ベース燃料に替わる実行可能な代替物への要求が強まっている。特に、酵素および酵母/細菌系と組み合わせた、様々な前処理バイオマス原料、例えばリグノセルロース原料、デンプンまたは農業廃棄物/副産物などの生物学的変換によるバイオ燃料生産の有望性が近年注目されている。木質または非木質植物原料のような多糖含有原料、ならびに植物性物質の加工から生じる廃棄原料および副産物を、高価値な輸送燃料およびその他のエネルギー形態または化学供給原料へ安価に変換する可能性のある技術の開発が、特に課題となっている。上記多糖含有原料の様々な例として、セルロース、リグノセルロースおよびヘミセルロース原料;ペクチン含有原料;デンプン;木材;トウモロコシ茎葉;スイッチグラス;紙;および製紙パルプスラッジが挙げられる。
上記多糖含有原料をエタノールのようなバイオ燃料に変換するプロセスのいくつかは、最初に、例えば単純糖類の酵素的加水分解による、デンプンまたはセルロース含有原料のような前処理バイオマス基質から単純糖類への変換(糖化)、次いで、酵母による発酵を介した、これらの単純糖類からエタノールのようなバイオ燃料への変換(発酵)を必要とする。しかし、現在の生物学的変換技術は、高い生産コストおよび食糧供給からの農産物の転換という問題に直面している。
エタノール生産のための発酵のいくつかにおいては、スクロースのような単純糖を入手して直接エタノールに発酵する。例えばブラジルでは、このようなプロセスを用いて、甘蔗糖を燃料用エタノールに変換する。こうしたプロセスは、サトウキビ栽培地域のような、単純糖源が安価な場所に地理的に限定される。さらに、こうしたプロセスには、糖のような貴重な食糧源を食糧用途ではなく工業用途に転換するという、望ましくない面がある。
エタノール生産のための発酵では、エタノールに変換する前に、最初により単純なまたは低分子量の糖類への加水分解または変換を必要とする原料を利用することがある。このようなプロセスは、トウモロコシエタノールの生産に関して多く記載されており、トウモロコシ由来のデンプンを、例えば添加酵素により分解し、次いで、サッカロミケス(Saccharomyces)またはザイモモナス(Zymomonas)種のような微生物により最終的にエタノールへと変換する。他の原料、例えば、同様に添加酵素による加水分解またはその他の化学物質/熱的手段を必要とすることが多い、セルロース、ヘミセルロースまたはリグノセルロース原料などの使用が多くの研究の対象となっているが、これまでほとんど成功していない。
このプロセスに添加される上記酵素の使用は、コストの観点および一般に処理装置が容易に購入可能な酵素に限定されている事実、この両者から望ましくない。これまで市販の酵素は、デンプンからグルコースまたはフルクトースのような単純糖類への変換などのプロセス、洗濯用途および穀物食品用に選択されてきた。これらは概して、高度に特化している、つまり、単一酵素は一般に多種多様な供給原料に使用できないということである。代わりに、多数の酵素を使用して「酵素カクテル」として組み合わせる場合が多い。このような混合物によって幅広い活性が得られるが、添加される酵素の一部のみがいずれかの特定のバッチで使用される特定の基質に有用であり得るため、この幅広い活性は非常に割高となり得る。カクテルの一部である他の酵素は、1つの基質に対して活性でないかもしれないが、使用され得る他の供給基質に有用性をもたらすために混合物に含まれている。その結果、いずれかの特定のバッチにおいて、添加された酵素の少なくとも一部は処理にあまり寄与しない可能性があり、廃棄される。
したがって、様々な供給原料からエタノールまたはその他の望ましい生成物を高い収率および生産性で生産するための発酵プロセスが望ましい。
セルロース、リグノセルロース、ペクチン、ポリグルコースおよび/またはポリフルクトース含有バイオマスを含めたバイオマスからのエタノール発酵は、世界のエネルギー問題に大いに必要とされる解決策をもたらし得る。酵母、真菌および細菌種は、モノマー糖類からなるセルロースバイオマスをエタノールへ変換すること可能であると報告されている。しかし、これらの微生物の多くは、低濃度でしかエタノールを生産しない。この制限は、微生物のエタノールに対する耐性の全般的な欠如、または微生物内に存在するフィードバック阻害もしくは抑制機構、または他の何らかの機構、およびこれらの機構の組合せに起因し得る。このようなエタノール生産の制限は、エタノール力価に影響し得るだけでなく、エタノール生産性にも影響し得る。
発酵によるエタノール生産のための野生型および遺伝子改良微生物が数多く記載されている。これらには、サーモアナエロバクター・エタノリカス(Thermoanaerobacter ethanolicus)、クロストリジウム・サーモセラム(Clostridium thermocellum)、クロストリジウム・ベイジェリニキイ(Clostridium beijerinickii)、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)、クロストリジウム・チロブチリカム(Clostridium tyrobutyricum)、クロストリジウム・サーモブチリカム(Clostridium thermobutyricum)、クロストリジウム・サッカロリティカム(Thermoanaerobacterium saccharolyticum)、サーモアナエロバクター・サーモヒドロスルフリカス(Thermoanaerobacter thermohydrosulfuricus)、およびサッカロミケス・セレビジアエ(Saccharomyces cerevisiae)、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)、モーレラ(Moorella)亜種、カルボキシドセラ(Carboxydocella)亜種、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)、組換え大腸菌(E.Coli)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)およびクロストリジウム・ベイジェリキイ(Clostridium beijerickii)、およびその他の微生物が含まれる。上記および他の微生物を工業規模のアルコール生産に使用する際の問題点として、比較的低アルコール濃度での細胞毒性、比較的低アルコール濃度での細胞増殖もしくは生存率の低下、低いアルコール力価または低いアルコール生産性を挙げることができる。アルコール耐性は、種および菌株によって大きく左右される。例えば、発酵プロセスによっては、約10〜20g/Lのアルコールでアルコール生産が減速するかまたは完全に停止する。微生物によっては、エタノールのようなアルコールが約20g/Lで死滅するかたまは著しく損なわれる。
一態様では、以下のものを含む発酵最終産物の生産方法が本明細書に提供される:クロストリジウム(Clostridium)を含む培地を、前記クロストリジウム(Clostridium)による発酵最終産物の生産に適した条件下で第一の期間の間培養すること;発酵最終産物の回収前の間に、クロストリジウム(Clostridium)を含む培地に1つ以上の栄養素を添加すること;クロストリジウム(Clostridium)を含む培地を第二の期間の間培養すること;および培地から発酵最終産物を回収すること。一実施形態では、クロストリジウム(Clostridium)菌株はクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)である。別の実施形態では、発酵最終産物はエタノールである。別の実施形態では、培地はセルロースおよび/またはリグノセルロース原料を含む。別の実施形態では、セルロースまたはリグノセルロース原料を、24時間以内に15%を超えるセルロースまたはリグノセルロース原料が単純糖類に変換されるのに十分な量の酵素で酵素処理しない。
一態様では、次の段階を含む発酵最終産物の生産方法が本明細書に提供される:クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株を培地で培養する段階;培地中の糖化合物の総濃度を少なくとも約18g/Lに維持する段階;および培地から発酵最終産物を回収する段階。一実施形態では、糖化合物の総濃度の維持は、その少なくとも1つが1つ以上の糖化合物を含む、1つ以上の培地成分を、培養中に少なくとも一回培地に添加することを含み、培地成分は培養物を含む容器に添加する。別の実施形態では、培養の間の一部では、培地中の糖化合物の総濃度を約1g/L〜約100g/Lの範囲内に維持する。別の実施形態では、発酵最終産物生産の期間における培地中の糖化合物の総濃度の変化は、約25%未満である。別の実施形態では、発酵最終産物はエタノールである。別の実施形態では、1つ以上の窒素含有原料を含む培地成分を、発酵中に少なくとも一回培地に添加することをさらに含み、培地成分は培養物を含む容器に添加する。別の実施形態では、1つ以上の培地成分は1つ以上の窒素含有原料を含む。別の実施形態では、培地はセルロースまたはリグノセルロース原料を含む。別の実施形態では、セルロースまたはリグノセルロース原料を、24時間以内に15%を超えるセルロースまたはリグノセルロース原料が単純糖類に変換されるのに十分な量の酵素で酵素処理しない。
一態様では、発酵最終産物の生産方法が本明細書に提供され、この方法は次の段階を含む:クロストリジウム(Clostridium)菌株を培地で培養する段階;およびクロストリジウム(Clostridium)の培養中に1つ以上の培地成分を培地に添加する段階であって、1つ以上の培地成分が1つ以上の糖化合物を含み、かつクロストリジウム(Clostridium)により他の化合物に変換される糖の量に関連させて、1つ以上の糖化合物を添加する段階。一実施形態では、1つ以上の培地成分は窒素源を含む。別の実施形態では、窒素源は、プロリン、グリシン、ヒスチジンおよび/またはイソロイシンを含む。別の実施形態では、培地成分はセルロースまたはリグノセルロース原料を含む。別の実施形態では、セルロースまたはリグノセルロース原料を、24時間以内に15%を超えるセルロースまたはリグノセルロース原料が単純糖類に変換されるのに十分な量の酵素で酵素処理しない。
一態様では、発酵最終産物の生産方法が本明細書に提供され、この方法は以下のものを含む:クロストリジウム(Clostridium)菌株の第一の接種材料を培地に添加すること;クロストリジウム(Clostridium)をエタノール生産に適した条件下で培養すること;第一のクロストリジウム(Clostridium)接種材料を培地に添加後5時間を過ぎてから、追加のクロストリジウム(Clostridium)種の生細胞を培地に添加すること;および培地から発酵最終産物を回収すること。一実施形態では、この方法は、第一のクロストリジウム(Clostridium)接種材料を培地に添加した後に、1つ以上の培地成分を培地に添加することをさらに含む。別の実施形態では、培地成分の添加および生細胞の添加は、逐次的にまたは同時に行う。
一態様では、エタノールの生産方法が本明細書に提供され、この方法は次の段階を含む:不純なエタノール原料から不純物を除去して精製エタノール原料を生産する段階であって、精製エタノール原料が約90%(wt.)を超えるエタノールであり、かつ不純なエタノール原料が、フェドバッチ培養でクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)細胞を培養することにより生成される発酵培地に由来し、かつ発酵培地中のエタノール濃度が約7g/Lより高い段階。
一態様では、発酵最終産物の生産方法が本明細書に提供され、この方法は次の段階を含む:クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株を含む培地を培養する段階であって、発酵最終産物が少なくとも約3g/(L・日)の瞬間生産性で生産される段階。
一態様では、以下のものを含む発酵最終産物の生産方法が本明細書に提供される:セルロース原料を提供することであって、前記セルロース原料が、外部から補充された化学物質または酵素で処理されていないこと;培地中でセルロース原料を微生物と混合することであって、培地が、外部から補充された酵素を含まないこと;ならびに発酵最終産物を生産するのに十分な条件および十分な時間で、セルロース原料を発酵させること。
一態様では、発酵最終産物の生産方法が本明細書に提供され、この方法は以下のものを含む:pH調整剤の存在下でクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)細胞を発酵させて、発酵最終産物を生産すること。一実施形態では、発酵最終産物はエタノールである。別の実施形態では、約6.0〜約7.2のpHで細胞の発酵が起こる。別の実施形態では、pHは約6.5である。
一態様では、発酵最終産物の生産方法が本明細書に提供され、この方法は以下のものを含む:添加脂肪酸原料の存在下でクロストリジウム(Clostridium)菌株の細胞を発酵させて、発酵最終産物を生産すること。一実施形態では、脂肪酸含有原料は、コーン油、ヒマワリ油、ベニバナ油、カノーラ油、ダイズ油またはナタネ油の1つ以上を含む。別の実施形態では、脂肪酸含有原料はリン脂質またはリゾリン脂質を含む。
一態様では、発酵培地が本明細書に提供され、この培地はクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)細胞およびpH調整剤を含み、発酵最終産物が生産される。
一態様では、発酵培地が本明細書に提供され、この培地はクロストリジウム(Clostridium)菌株の細胞および添加脂肪酸含有化合物を含み、発酵最終産物が生産される。
一態様では、クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株と、プロリン、グリシン、ヒスチジンおよび/またはイソロイシンを含む窒素源と、セルロースまたはリグノセルロース原料とを含む発酵培地が本明細書に提供される。
一態様では、アルコールの生産方法が本明細書に提供され、この方法は、クロストリジウム(Clostridium)菌株の細胞の発酵と、pH調整剤および脂肪酸原料の存在とを含み、発酵最終産物が生産される。
一態様では、培地およびクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株を収容するように設定された発酵槽を含む燃料プラントであって、前記発酵槽が、発酵中の変動が約25%未満のレベルで糖化合物の量を維持するように設定されている燃料プラントが本明細書に提供される。
一態様では、培地およびクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株を収容するように設定された発酵槽を含む燃料プラントであって、前記発酵槽が、追加の培地成分または追加のクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)生細胞を定期的に培地に補充するように設定されている燃料プラントが本明細書に提供される。
一態様では、培地およびクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株を収容するように設定された発酵槽を含む燃料プラントであって、前記培地がpH調整剤およびセルロースまたはリグノセルロース原料を含む燃料プラントが本明細書に提供される。一実施形態では、前記培地は脂肪酸原料をさらに含む。
一態様では、培地およびクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株を収容するように設定された発酵槽を含む燃料プラントであって、前記培地が、プロリン、グリシン、ヒスチジンおよび/またはイソロイシンを含む窒素源ならびにセルロースまたはリグノセルロース原料を含む、燃料プラントが本明細書に提供される。
一態様では、培地およびクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株を収容するように設定された発酵槽を含む燃料プラントであって、前記培地が脂肪酸原料およびセルロースまたはリグノセルロース原料を含む燃料プラントが本明細書に提供される。
一態様では、セルロースまたはリグノセルロース原料を、発酵中の変動が約25%未満のレベルの糖化合物量を含む培地中でクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株を用いて発酵させることにより生産される、発酵最終産物が本明細書に提供される。
一態様では、セルロースまたはリグノセルロース原料を、pH調整剤を含む培地中でクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株を用いて発酵させることにより生産される、発酵最終産物が本明細書に提供される。
一態様では、セルロースまたはリグノセルロース原料を、脂肪酸を含む培地中でクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株を用いて発酵させることにより生産される、発酵最終産物が本明細書に提供される。
一態様では、セルロースまたはリグノセルロース原料を、プロリン、グリシン、ヒスチジンおよび/またはイソロイシンを含む窒素源を含む培地中で、クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株を用いて発酵させることにより生産される、発酵最終産物が本明細書に提供される。
本発明の別の態様では、エタノール生産のための方法が開示される。この方法は、(1)増殖培地にクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株を接種してブロスを形成すること;(2)クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)の増殖およびクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)によるエタノール生産に適した条件下でブロスを培養すること;(3)クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)が存在する間に、1つ以上の栄養素をブロスに添加すること;ならびに(4)クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)の増殖およびクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)によるエタノール生産に適した条件下でブロスを培養し続けることであって、エタノールがブロス中に約5g/L以上の濃度で存在することを含む。
上記プロセスの一実施形態では、ブロス中にエタノールが約7g/L以上の濃度で存在する。別の実施形態では、ブロス中にエタノールが約9g/L以上の濃度で存在する。別の実施形態では、ブロス中にエタノールが約11g/L以上の濃度で存在する。別の実施形態では、ブロス中にエタノールが約13g/L以上の濃度で存在する。別の実施形態では、ブロス中にエタノールが約10〜14g/Lの濃度で存在する。
別の実施形態では、増殖培地はセルロースおよび/またはリグノセルロース原料を含む。別の実施形態では、増殖培地はセルロースまたはリグノセルロース原料を含み、セルロースまたはリグノセルロース原料は、24時間以内に15%を超えるセルロースまたはリグノセルロース原料が単純糖類に変換されるのに十分な量の酵素で酵素処理されていない。
別の態様では、エタノール製造のための本発明の好適な実施形態に従ったプロセスが開示される。このプロセスは、(1)クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株をブロス中で培養すること;(2)ブロス中の糖化合物の総濃度を約18g/Lを超えて維持すること;および(3)約10g/L以上の濃度でエタノールを生産することを含む。上記プロセスの一実施形態では、培養中のある時間におけるブロスは、約7g/Lを超えるエタノールを含む。
別の実施形態では、糖化合物の総濃度の維持は、その少なくとも1つが1つ以上の糖化合物を含む1つ以上の培地補充物を、培養中に少なくとも一回ブロスに添加することを含み、培地補充物は培養物を含む容器に添加する。
別の実施形態では、培養の間の一部でブロス中の糖化合物の総濃度を約25g/Lを超えて維持する。別の実施形態では、培養の間の一部でブロス中の糖化合物の総濃度を約30g/L〜約100g/Lの範囲内に維持する。
別の実施形態では、糖化合物の総濃度の維持は、その少なくとも1つが1つ以上の糖化合物を含む1つ以上の培地補充物を、培養中に少なくとも一回ブロスに添加することを含み、かつ1つ以上の培地補充物はフィチン酸塩を含み、培地補充物は培養物を含む容器に添加する。
別の実施形態では、ブロス中の糖化合物の総濃度をある期間維持し、その期間は少なくとも約10時間である。
別の実施形態では、ブロス中の糖化合物の総濃度をある期間維持し、その期間は少なくとも約10時間であり、かつその期間中、ブロス中の糖化合物の総濃度の変化が約25%未満である。
別の実施形態では、このプロセスは、1つ以上の窒素含有原料を含む培地補充物を、発酵中に少なくとも一回ブロスに添加することを含み、培地補充物は培養物を含む容器に添加する。
別の実施形態では、糖化合物の総濃度の維持は、その少なくとも1つが1つ以上の糖化合物を含む1つ以上の培地補充物を、培養中に少なくとも一回ブロスに添加することを含み、かつ1つ以上の1つ以上の培地補充物は、1つ以上の窒素含有原料を含み、培地補充物は培養物を含む容器に添加する。
別の実施形態では、ブロスはセルロースまたはリグノセルロース原料を含む。別の実施形態では、増殖培地はセルロースまたはリグノセルロース原料を含み、かつセルロースまたはリグノセルロース原料は、24時間以内に15%を超えるセルロースまたはリグノセルロース原料が単純糖類に変換されるのに十分な量の酵素で酵素処理されていない。
別の態様では、エタノール製造のための本発明の好適な実施形態に従ったプロセスが開示される。このプロセスは、(1)クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株をブロス中で培養すること;および(2)クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)の培養中に1つ以上の培地成分をブロスに添加することであって、1つ以上の培地補充物が1つ以上の糖化合物を含み、かつクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)により他の化合物に変換される糖の量に関連させて、1つ以上の糖化合物を添加し、かつエタノールが約10g/Lよりも多く生産されることを含む。
上記プロセスの一実施形態では、1つ以上の培地成分は窒素源を含む。別の実施形態では、1つ以上の培地成分は、窒素源と、プロリン、グリシン、ヒスチジンおよび/またはイソロイシンを含む窒素源とを含む。別の実施形態では、1つ以上の培地成分は窒素源を含み、窒素源はプロリン、グリシン、ヒスチジンおよび/またはイソロイシンを含み、かつプロリン、グリシン、ヒスチジンまたはイソロイシンが少なくとも0.9g/Lの量で供給される。
別の実施形態では、クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)の培養は増殖期を含み、かつ増殖期の間に培地成分の少なくとも一部をブロスに添加する。
別の実施形態では、クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)の培養は静止期を含み、かつ静止期の間に培地補充物の少なくとも一部をブロスに添加する。
別の態様では、エタノール製造のための本発明の好適な実施形態に従ったプロセスが開示される。このプロセスは、(1)クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)を含むブロスをエタノール生産に適した条件下で培養すること;および(2)ブロス中でクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)により生産されたエタノールを回収することであって、ブロス中のエタノール濃度が約8g/Lを超えることを含む。上記プロセスの一実施形態では、クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)培養中のある時点におけるブロス中のエタノール濃度は、約8〜約14g/Lの範囲にある。
別の態様では、エタノール製造のための本発明の好適な実施形態に従ったプロセスが開示される。このプロセスは、クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)を含むブロスをエタノール生産に適した条件下で培養することを含み、ブロスは約8g/Lを超える濃度のエタノールを含む。
別の態様では、エタノール製造のための本発明の好適な実施形態に従ったプロセスが開示される。このプロセスは、(1)第一のクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)接種材料を培地に添加してブロスを形成すること;(2)クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)を含むブロスをエタノール生産に適した条件下で培養すること;(3)第一のクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)接種材料を培地に添加後5時間を過ぎてから、追加のクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)生細胞をブロスに添加すること;および(4)ブロスを培養し続けることであって、エタノールが約8g/Lよりも多く生産されることを含む。
上記プロセスの一実施形態では、このプロセスは、第一のクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)接種材料の添加後に、1つ以上の培地成分をブロスに添加することをさらに含む。
別の実施形態では、このプロセスは、第一のクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)接種材料の添加後に、1つ以上の培地成分をブロスに添加することをさらに含み、かつ培地成分の添加および生細胞の添加は逐次的にまたは同時に行う。
別の態様では、エタノール製造のための本発明の好適な実施形態に従ったプロセスが開示される。このプロセスは、(1)不純なエタノール原料から不純物を除去して精製エタノール原料を生産することであって、精製エタノール原料が約90%(wt.)を超えるエタノールであり、かつ不純なエタノール原料がフェドバッチ培養でクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)細胞を培養することにより生成される発酵ブロスに由来することを含み、発酵ブロス中のエタノール濃度が約7g/Lより高い。
上記プロセスの一実施形態では、不純なエタノール原料から除去される不純物は水を含む。
別の態様では、エタノール製造のための本発明の好適な実施形態に従ったプロセスが開示される。このプロセスは、(1)培地にクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)微生物を接種してブロスを形成すること;(2)微生物の増殖および微生物によるエタノール生産に適した条件下でブロスを培養すること;(3)微生物が存在する間に、培地をブロスに添加することによりブロス体積を増加させること;ならびに(4)微生物の増殖および微生物によるエタノール生産に適した条件下でブロスを培養し続けることであって、微生物の増殖期を約6時間以上に延長することを含む。
別の態様では、エタノール製造のための本発明の好適な実施形態に従ったプロセスが開示される。このプロセスは、(1)クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株と、プロリン、グリシン、ヒスチジンおよび/またはイソロイシンを含む窒素源とを含むブロスを、約8g/L以上の濃度でのエタノール生産に適した条件下で培養することを含む。
上記プロセスの一実施形態では、プロリン、グリシン、ヒスチジンおよび/またはイソロイシンが少なくとも約0.09g/Lの量で供給される。別の実施形態では、窒素源の少なくとも一部をコーンスティープリカー(corn steep liquor)またはコーンスティープパウダー(corn steep powder)から得る。別の実施形態では、ブロスは少なくとも約0.4g/Lのフィチン酸塩をさらに含む。別の実施形態では、ブロスはセルロースまたはリグノセルロース原料をさらに含む。別の実施形態では、ブロスはセルロースまたはリグノセルロース原料をさらに含み、セルロースまたはリグノセルロース原料は、24時間以内に15%を超えるセルロースまたはリグノセルロース原料が単純糖類に変換されるのに十分な量の酵素で酵素処理されていない。別の実施形態では、ブロスが少なくとも約0.4g/Lのフィチン酸塩をさらに含み、かつプロリン、グリシン、ヒスチジンまたはイソロイシンが少なくとも約0.09g/Lの濃度で供給される。
別の態様では、エタノール製造のための本発明の好適な実施形態に従ったプロセスが開示される。このプロセスは、(1)クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株、窒素源およびフィチン酸塩を含むブロスを培養することであって、約8g/L以上の濃度でのエタノール生産に適した条件下で、フィチン酸塩が約0.4g/L以上の濃度で存在することを含む。
別の態様では、エタノール製造のための本発明の好適な実施形態に従ったプロセスが開示される。このプロセスは、(1)クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株を含むブロスを培養することであって、エタノールが少なくとも約3g/(L・日)の瞬間生産性で生産されることを含む。このプロセスの一実施形態では、エタノールが約3g/(L・日)〜約15g/(L・日)の瞬間速度で生産される。別の実施形態では、エタノールが約5g/(L・日)〜約12g/(L・日)の瞬間生産性で生産される。別の実施形態では、エタノールが約7g/(L・日)〜約10g/(L・日)の瞬間生産性で生産される。
別の実施形態では、ブロスはフィチン酸塩を含む。別の実施形態では、ブロスはプロリン、グリシン、ヒスチジンおよび/またはイソロイシンを含む。別の実施形態では、ブロスはセルロースまたはリグノセルロース原料を含む。別の実施形態では、ブロスはセルロースまたはリグノセルロース原料を含み、セルロースまたはリグノセルロース原料は、24時間以内に15%を超えるセルロースまたはリグノセルロース原料が単純糖類に変換されるのに十分な量の酵素で酵素処理されていない。
別の態様では、エタノール製造のための本発明の好適な実施形態に従ったプロセスが開示される。このプロセスは、(1)クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)の増殖に適した培地にクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)培養物を接種して、クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)のブロスを得ることであって、クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)がその前にエタノール生産に使用されていることを含む。
上記プロセスの一実施形態では、このプロセスは、エタノール生産に適した条件下でクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)のブロスを増殖させること、エタノールを生産することおよびブロスからエタノールを含む原料を回収することをさらに含む。
別の実施形態では、このプロセスは、約6g/Lよりも高いエタノール濃度でクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)のブロスを増殖させることをさらに含む。別の実施形態では、このプロセスは、約6〜約180g/Lのエタノール濃度でクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)のブロスを増殖させることをさらに含む。別の実施形態では、このプロセスは、約15〜約160g/Lのエタノール濃度でクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)のブロスを増殖させることをさらに含む。別の実施形態では、このプロセスは、約20〜約100g/Lのエタノール濃度でクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)のブロスを増殖させることをさらに含む。別の実施形態では、このプロセスは、約30〜約80g/Lのエタノール濃度でクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)のブロスを増殖させることをさらに含む。別の実施形態では、このプロセスは、約8〜約14g/Lのエタノール濃度でクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)のブロスを増殖させることをさらに含む。別の実施形態では、このプロセスは、エタノール生産に適した条件下でクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)のブロスを増殖させること、エタノールを生産することおよびブロスからエタノールを含む原料を回収することをさらに含む。
別の態様では、エタノール製造のための本発明の好適な実施形態に従ったプロセスが開示される。このプロセスは、(1)クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)の増殖に適したある量の培地に、ある量のクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)培養物を接種して、クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)のブロスを得ることであって、培養培地に対する培養物の体積の比は約0.1〜約1であること;および(2)エタノール生産に適した条件下でクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)のブロスを増殖させること、およびクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)のブロスからエタノールを含む原料を回収することを含む。
上記プロセスの一実施形態では、ブロスの増殖中にエタノールが約8〜約150g/Lの濃度で存在する。別の実施形態では、培養培地に対する培養物の体積の比は約0.2〜約1である。別の実施形態では、ブロスの増殖中にエタノールが約8g/Lより高い濃度で存在する。
燃料生産のための別の方法および組成物が提供される。一態様では、本発明はアルコール生産のための方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法は、添加pH調整剤の存在下でクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)細胞を発酵させて、アルコールを生産することを含む。いくつかの実施形態では、アルコールはエタノールである。
この態様のいくつかの実施形態では、細胞の発酵は約6.0〜約7.2のpHで起こる。他の実施形態では、細胞の発酵は約6.2〜約6.8のpHで起こる。
この態様のいくつかの実施形態では、アルコールは約15〜約200g/Lの濃度で生産される。他の実施形態では、アルコールは約15〜約150g/Lの濃度で生産される。他の実施形態では、アルコールは約18〜約100g/Lの濃度で生産される。他の実施形態では、アルコールは約20〜約60g/Lの濃度で生産される。
別の態様では、本発明は、添加脂肪酸含有原料の存在下でクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)細胞を発酵させることによるアルコールの生産方法を提供する。いくつかの実施形態では、脂肪酸含有原料は食用油脂である。いくつかの実施形態では、脂肪酸含有原料は、デルタ−9位に不飽和を有する脂肪酸を含む。いくつかの実施形態では、脂肪酸含有原料は、オメガ−9位に不飽和を有する脂肪酸を含む。いくつかの実施形態では、脂肪酸含有原料は1つ以上のオレイン酸およびリノール酸を含む。いくつかの実施形態では、脂肪酸含有原料は、コーン油、ヒマワリ油、ベニバナ油、カノーラ油、ダイズ油またはナタネ油の1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、脂肪酸含有原料はリン脂質またはリゾリン脂質を含む。
別の態様では、本発明は発酵ブロスを提供し、このブロスはクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)細胞および添加pH調整剤を含み、そこではアルコールが生産される。
別の態様では、本発明は発酵ブロスを提供し、このブロスはクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)細胞および添加脂肪酸含有化合物を含み、そこではアルコールが生産される。
別の態様では、本発明はアルコールの生産方法を提供し、それはクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)細胞の発酵ならびにpH調整剤および脂肪酸含有原料の存在を含み、そこではアルコールが生産される。
参照による組込み
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許および特許出願は、各個々の刊行物、特許または特許出願が具体的かつ個別に参照により組み込まれることが示された場合と同様に、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲において詳細に記載される。本発明の特徴および利点は、本発明の原理を用いた具体的な実施形態を記載した以下の詳細な説明およびその添付の図面を参照することにより、さらに理解されるであろう。
クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)によるバッチ発酵の基質およびエタノール濃度のグラフである。 クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)によるフェドバッチ発酵の基質およびエタノール濃度のグラフである。 酵母抽出物を用いたクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)発酵中の時間関数としてのエタノール濃度のグラフである。 異なる脂肪酸の発酵条件に対する経時的なエタノール濃度のグラフを示す。 異なるpHの発酵条件に対する経時的なエタノール濃度のグラフを示す。 異なる脂肪酸およびpHの発酵条件に対する経時的なエタノール濃度のグラフを示す。 クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)を形質転換するために使用されるプラスミドpIMPT1029の地図である。 最初に、加水分解ユニット内で高い温度および圧力においてバイオマスを酸で処理することにより、バイオマスから発酵最終産物を生産するための方法の例である。 バイオマスを発酵容器に投入することにより、バイオマスから発酵最終産物を生産するための方法を図示する。
定義
別途定義されない限り、本明細書で使用される技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般に理解されているものと同じ意味を有する。
「約」は、言及される数値表示のプラス・マイナス10%の数値表示を意味する。例えば、約4という用語であれば3.6〜4.4の範囲を包含する。
本明細書では「発酵最終産物」は、バイオ燃料、化学製品、液体燃料、ガス燃料、試薬、化学供給原料、化学添加物、加工助剤、食品添加物として適した化合物およびその他の生成物を包含するために使用される。発酵最終産物の例としては、1,4−二酸(コハク酸、フマル酸およびリンゴ酸)、2,5フランジカルボン酸、3ヒドロキシプロピオン酸、アスパラギン酸、グルカル酸、グルタミン酸、イタコン酸、レブリン酸、3−ヒドロキシブチロラクトン、グリセロール、ソルビトール、キシリトール/アラビニトール、ブタンジオール、ブタノール、メタン、メタノール、エタン、エテン、エタノール、n−プロパン、1−プロペン、1−プロパノール、プロパナール、アセトン、プロピオン酸、n−ブタン、1−ブテン、1−ブタノール、ブタナール、ブタノアート、イソブタナール、イソブタノール、2−メチルブタナール、2−メチルブタノール、3−メチルブタナール、3−メチルブタノール、2−ブテン、2−ブタノール、2−ブタノン、2,3−ブタンジオール、3−ヒドロキシ−2−ブタノン、2,3−ブタンジオン、エチルベンゼン、エテニルベンゼン、2−フェニルエタノール、フェニルアセトアルデヒド、1−フェニルブタン、4−フェニル−1−ブテン、4−フェニル−2−ブテン、1−フェニル−2−ブテン、1−フェニル−2−ブタノール、4−フェニル−2−ブタノール、1−フェニル−2−ブタノン、4−フェニル−2−ブタノン、1−フェニル−2,3−ブタンジオール、1−フェニル−3−ヒドロキシ−2−ブタノン、4−フェニル−3−ヒドロキシ−2−ブタノン、1−フェニル−2,3−ブタンジオン、n−ペンタン、エチルフェノール、エテニルフェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)エタノール、4−ヒドロキシフェニルアセトアルデヒド、1−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、4−(4−ヒドロキシフェニル)−1−ブテン、4−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブテン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−ブテン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノール、4−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノン、4−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2,3−ブタンジオール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヒドロキシ−2−ブタノン、4−(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヒドロキシ−2−ブタノン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2,3−ブタノンジオン、インドリルエタン、インドリルエテン、2−(インドール−3−)エタノール、n−ペンタン、1−ペンテン、1−ペンタノール、ペンタナール、ペンタノアート、2−ペンテン、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−ペンタノン、3−ペンタノン、4−メチルペンタナール、4−メチルペンタノール、2,3−ペンタンジオール、2−ヒドロキシ−3−ペンタノン、3−ヒドロキシ−2−ペンタノン、2,3−ペンタンジオン、2−メチルペンタン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−2−ペンテン、4−メチル−3−ペンテン、4−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノン、2−メチル−3−ペンタノン、4−メチル−2,3−ペンタンジオール、4−メチル−2−ヒドロキシ−3−ペンタノン、4−メチル−3−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−メチル−2,3−ペンタンジオン、1−フェニルペンタン、1−フェニル−1−ペンテン、1−フェニル−2−ペンテン、1−フェニル−3−ペンテン、1−フェニル−2−ペンタノール、1−フェニル−3−ペンタノール、1−フェニル−2−ペンタノン、1−フェニル−3−ペンタノン、1−フェニル−2,3−ペンタンジオール、1−フェニル−2−ヒドロキシ−3−ペンタノン、1−フェニル−3−ヒドロキシ−2−ペンタノン、1−フェニル−2,3−ペンタンジオン、4−メチル−1−フェニルペンタン、4−メチル−1−フェニル−1−ペンテン、4−メチル−1−フェニル−2−ペンテン、4−メチル−1−フェニル−3−ペンテン、4−メチル−1−フェニル−3−ペンタノール、4−メチル−1−フェニル−2−ペンタノール、4−メチル−1−フェニル−3−ペンタノン、4−メチル−1−フェニル−2−ペンタノン、4−メチル−1−フェニル−2,3−ペンタンジオール、4−メチル−1−フェニル−2,3−ペンタンジオン、4−メチル−1−フェニル−3−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−メチル−1−フェニル−2−ヒドロキシ−3−ペンタノン、1−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−ペンテン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ペンテン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−ペンテン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ペンタノール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−ペンタノール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ペンタノン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−ペンタノン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2,3−ペンタンジオール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシ−3−ペンタノン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヒドロキシ−2−ペンタノン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2,3−ペンタンジオン、4−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ペンテン、4−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−ペンテン、4−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−ペンテン、4−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−ペンタノール、4−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ペンタノール、4−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−ペンタノン、4−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ペンタノン、4−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2,3−ペンタンジオール、4−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2,3−ペンタンジオン、4−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシ−3−ペンタノン、1−インドール−3−ペンタン、1−(インドール−3)−1−ペンテン、1−(インドール−3)−2−ペンテン、1−(インドール−3)−3−ペンテン、1−(インドール−3)−2−ペンタノール、1−(インドール−3)−3−ペンタノール、1−(インドール−3)−2−ペンタノン、1−(インドール−3)−3−ペンタノン、1−(インドール−3)−2,3−ペンタンジオール、1−(インドール−3)−2−ヒドロキシ−3−ペンタノン、1−(インドール−3)−3−ヒドロキシ−2−ペンタノン、1−(インドール−3)−2,3−ペンタンジオン、4−メチル−1−(インドール−3−)ペンタン、4−メチル−1−(インドール−3)−2−ペンテン、4−メチル−1−(インドール−3)−3−ペンテン、4−メチル−1−(インドール−3)−1−ペンテン、4−メチル−2−(インドール−3)−3−ペンタノール、4−メチル−1−(インドール−3)−2−ペンタノール、4−メチル−1−(インドール−3)−3−ペンタノン、4−メチル−1−(インドール−3)−2−ペンタノン、4−メチル−1−(インドール−3)−2,3−ペンタンジオール、4−メチル−1−(インドール−3)−2,3−ペンタンジオン、4−メチル−1−(インドール−3)−3−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−メチル−1−(インドール−3)−2−ヒドロキシ−3−ペンタノン、n−ヘキサン、1−ヘキセン、1−ヘキサノール、ヘキサナール、ヘキサノアート、2−ヘキセン、3−ヘキセン、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、2,3−ヘキサンジオール、2,3−ヘキサンジオン、3,4−ヘキサンジオール、3,4−ヘキサンジオン、2−ヒドロキシ−3−ヘキサノン、3−ヒドロキシ−2−ヘキサノン、3−ヒドロキシ−4−ヘキサノン、4−ヒドロキシ−3−ヘキサノン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2−メチル−2−ヘキセン、2−メチル−3−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、5−メチル−2−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、4−メチル−2−ヘキセン、3−メチル−3−ヘキセン、3−メチル−2−ヘキセン、3−メチル−1−ヘキセン、2−メチル−3−ヘキサノール、5−メチル−2−ヘキサノール、5−メチル−3−ヘキサノール、2−メチル−3−ヘキサノン、5−メチル−2−ヘキサノン、5−メチル−3−ヘキサノン、2−メチル−3,4−ヘキサンジオール、2−メチル−3,4−ヘキサンジオン、5−メチル−2,3−ヘキサンジオール、5−メチル−2,3−ヘキサンジオン、4−メチル−2,3−ヘキサンジオール、4−メチル−2,3−ヘキサンジオン、2−メチル−3−ヒドロキシ−4−ヘキサノン、2−メチル−4−ヒドロキシ−3−ヘキサノン、5−メチル−2−ヒドロキシ−3−ヘキサノン、5−メチル−3−ヒドロキシ−2−ヘキサノン、4−メチル−2−ヒドロキシ−3−ヘキサノン、4−メチル−3−ヒドロキシ−2−ヘキサノン、2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチル−2−ヘキセン、2,5−ジメチル−3−ヘキセン、2,5−ジメチル−3−ヘキサノール、2,5−ジメチル−3−ヘキサノン、2,5−ジメチル−3,4−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−3,4−ヘキサンジオン、2,5−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−ヘキサノン、5−メチル−1−フェニルヘキサン、4−メチル−1−フェニルヘキサン、5−メチル−1−フェニル−1−ヘキセン、5−メチル−1−フェニル−2−ヘキセン、5−メチル−1−フェニル−3−ヘキセン、4−メチル−1−フェニル−1−ヘキセン、4−メチル−1−フェニル−2−ヘキセン、4−メチル−1−フェニル−3−ヘキセン、5−メチル−1−フェニル−2−ヘキサノール、5−メチル−1−フェニル−3−ヘキサノール、4−メチル−1−フェニル−2−ヘキサノール、4−メチル−1−フェニル−3−ヘキサノール、5−メチル−1−フェニル−2−ヘキサノン、5−メチル−1−フェニル−3−ヘキサノン、4−メチル−1−フェニル−2−ヘキサノン、4−メチル−1−フェニル−3−ヘキサノン、5−メチル−1−フェニル−2,3−ヘキサンジオール、4−メチル−1−フェニル−2,3−ヘキサンジオール、5−メチル−1−フェニル−3−ヒドロキシ−2−ヘキサノン、5−メチル−1−フェニル−2−ヒドロキシ−3−ヘキサノン、4−メチル−1−フェニル−3−ヒドロキシ−2−ヘキサノン、4−メチル−1−フェニル−2−ヒドロキシ−3−ヘキサノン、5−メチル−1−フェニル−2,3−ヘキサンジオン、4−メチル−1−フェニル−2,3−ヘキサンジオン、4−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、5−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−ヘキセン、5−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヘキセン、5−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヘキセン、4−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−ヘキセン、4−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヘキセン、4−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヘキセン、5−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヘキサノール、5−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヘキサノール、4−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヘキサノール、4−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヘキサノール、5−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヘキサノン、5−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヘキサノン、4−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヘキサノン、4−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヘキサノン、5−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2,3−ヘキサンジオール、4−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2,3−ヘキサンジオール、5−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヒドロキシ−2−ヘキサノン、5−メチル−1−(4

−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシ−3−ヘキサノン、4−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヒドロキシ−2−ヘキサノン、4−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシ−3−ヘキサノン、5−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2,3−ヘキサンジオン、4−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2,3−ヘキサンジオン、4−メチル−1−(インドール−3−)ヘキサン、5−メチル−1−(インドール−3)−1−ヘキセン、5−メチル−1−(インドール−3)−2−ヘキセン、5−メチル−1−(インドール−3)−3−ヘキセン、4−メチル−1−(インドール−3)−1−ヘキセン、4−メチル−1−(インドール−3)−2−ヘキセン、4−メチル−1−(インドール−3)−3−ヘキセン、5−メチル−1−(インドール−3)−2−ヘキサノール、5−メチル−1−(インドール−3)−3−ヘキサノール、4−メチル−1−(インドール−3)−2−ヘキサノール、4−メチル−1−(インドール−3)−3−ヘキサノール、5−メチル−1−(インドール−3)−2−ヘキサノン、5−メチル−1−(インドール−3)−3−ヘキサノン、4−メチル−1−(インドール−3)−2−ヘキサノン、4−メチル−1−(インドール−3)−3−ヘキサノン、5−メチル−1−(インドール−3)−2,3−ヘキサンジオール、4−メチル−1−(インドール−3)−2,3−ヘキサンジオール、5−メチル−1−(インドール−3)−3−ヒドロキシ−2−ヘキサノン、5−メチル−1−(インドール−3)−2−ヒドロキシ−3−ヘキサノン、4−メチル−1−(インドール−3)−3−ヒドロキシ−2−ヘキサノン、4−メチル−1−(インドール−3)−2−ヒドロキシ−3−ヘキサノン、5−メチル−1−(インドール−3)−2,3−ヘキサンジオン、4−メチル−1−(インドール−3)−2,3−ヘキサンジオン、n−ヘプタン、1−ヘプテン、1−ヘプタノール、ヘプタナール、ヘプタノアート、2−ヘプテン、3−ヘプテン、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2,3−ヘプタンジオール、2,3−ヘプタンジオン、3,4−ヘプタンジオール、3,4−ヘプタンジオン、2−ヒドロキシ−3−ヘプタノン、3−ヒドロキシ−2−ヘプタノン、3−ヒドロキシ−4−ヘプタノン、4−ヒドロキシ−3−ヘプタノン、2−メチルヘプタン、3−メチルヘプタン、6−メチル−2−ヘプテン、6−メチル−3−ヘプテン、2−メチル−3−ヘプテン、2−メチル−2−ヘプテン、5−メチル−2−ヘプテン、5−メチル−3−ヘプテン、3−メチル−3−ヘプテン、2−メチル−3−ヘプタノール、2−メチル−4−ヘプタノール、6−メチル−3−ヘプタノール、5−メチル−3−ヘプタノール、3−メチル−4−ヘプタノール、2−メチル−3−ヘプタノン、2−メチル−4−ヘプタノン、6−メチル−3−ヘプタノン、5−メチル−3−ヘプタノン、3−メチル−4−ヘプタノン、2−メチル−3,4−ヘプタンジオール、2−メチル−3,4−ヘプタンジオン、6−メチル−3,4−ヘプタンジオール、6−メチル−3,4−ヘプタンジオン、5−メチル−3,4−ヘプタンジオール、5−メチル−3,4−ヘプタンジオン、2−メチル−3−ヒドロキシ−4−ヘプタノン、2−メチル−4−ヒドロキシ−3−ヘプタノン、6−メチル−3−ヒドロキシ−4−ヘプタノン、6−メチル−4−ヒドロキシ−3−ヘプタノン、5−メチル−3−ヒドロキシ−4−ヘプタノン、5−メチル−4−ヒドロキシ−3−ヘプタノン、2,6−ジメチルヘプタン、2,5−ジメチルヘプタン、2,6−ジメチル−2−ヘプテン、2,6−ジメチル−3−ヘプテン、2,5−ジメチル−2−ヘプテン、2,5−ジメチル−3−ヘプテン、3,6−ジメチル−3−ヘプテン、2,6−ジメチル−3−ヘプタノール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、2,5−ジメチル−3−ヘプタノール、2,5−ジメチル−4−ヘプタノール、2,6−ジメチル−3,4−ヘプタンジオール、2,6−ジメチル−3,4−ヘプタンジオン、2,5−ジメチル−3,4−ヘプタンジオール、2,5−ジメチル−3,4−ヘプタンジオン、2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−ヘプタノン、2,6−ジメチル−4−ヒドロキシ−3−ヘプタノン、2,5−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−ヘプタノン、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3−ヘプタノン、n−オクタン、1−オクテン、2−オクテン、1−オクタノール、オクタナール、オクタノアート、3−オクテン、4−オクテン、4−オクタノール、4−オクタノン、4,5−オクタンジオール、4,5−オクタンジオン、4−ヒドロキシ−5−オクタノン、2−メチルオクタン、2−メチル−3−オクテン、2−メチル−4−オクテン、7−メチル−3−オクテン、3−メチル−3−オクテン、3−メチル−4−オクテン、6−メチル−3−オクテン、2−メチル−4−オクタノール、7−メチル−4−オクタノール、3−メチル−4−オクタノール、6−メチル−4−オクタノール、2−メチル−4−オクタノン、7−メチル−4−オクタノン、3−メチル−4−オクタノン、6−メチル−4−オクタノン、2−メチル−4,5−オクタンジオール、2−メチル−4,5−オクタンジオン、3−メチル−4,5−オクタンジオール、3−メチル−4,5−オクタンジオン、2−メチル−4−ヒドロキシ−5−オクタノン、2−メチル−5−ヒドロキシ−4−オクタノン、3−メチル−4−ヒドロキシ−5−オクタノン、3−メチル−5−ヒドロキシ−4−オクタノン、2,7−ジメチルオクタン、2,7−ジメチル−3−オクテン、2,7−ジメチル−4−オクテン、2,7−ジメチル−4−オクタノール、2,7−ジメチル−4−オクタノン、2,7−ジメチル−4,5−オクタンジオール、2,7−ジメチル−4,5−オクタンジオン、2,7−ジメチル−4−ヒドロキシ−5−オクタノン、2,6−ジメチルオクタン、2,6−ジメチル−3−オクテン、2,6−ジメチル−4−オクテン、3,7−ジメチル−3−オクテン、2,6−ジメチル−4−オクタノール、3,7−ジメチル−4−オクタノール、2,6−ジメチル−4−オクタノン、3,7−ジメチル−4−オクタノン、2,6−ジメチル−4,5−オクタンジオール、2,6−ジメチル−4,5−オクタンジオン、2,6−ジメチル−4−ヒドロキシ−5−オクタノン、2,6−ジメチル−5−ヒドロキシ−4−オクタノン、3,6−ジメチルオクタン、3,6−ジメチル−3−オクテン、3,6−ジメチル−4−オクテン、3,6−ジメチル−4−オクタノール、3,6−ジメチル−4−オクタノン、3,6−ジメチル−4,5−オクタンジオール、3,6−ジメチル−4,5−オクタンジオン、3,6−ジメチル−4−ヒドロキシ−5−オクタノン、n−ノナン、1−ノネン、1−ノナノール、ノナナール、ノナノアート、2−メチルノナン、2−メチル−4−ノネン、2−メチル−5−ノネン、8−メチル−4−ノネン、2−メチル−5−ノナノール、8−メチル−4−ノナノール、2−メチル−5−ノナノン、8−メチル−4−ノナノン、8−メチル−4,5−ノナンジオール、8−メチル−4,5−ノナンジオン、8−メチル−4−ヒドロキシ−5−ノナノン、8−メチル−5−ヒドロキシ−4−ノナノン、2,8−ジメチルノナン、2,8−ジメチル−3−ノネン、2,8−ジメチル−4−ノネン、2,8−ジメチル−5−ノネン、2,8−ジメチル−4−ノナノール、2,8−ジメチル−5−ノナノール、2,8−ジメチル−4−ノナノン、2,8−ジメチル−5−ノナノン、2,8−ジメチル−4,5−ノナンジオール、2,8−ジメチル−4,5−ノナンジオン、2,8−ジメチル−4−ヒドロキシ−5−ノナノン、2,8−ジメチル−5−ヒドロキシ−4−ノナノン、2,7−ジメチルノナン、3,8−ジメチル−3−ノネン、3,8−ジメチル−4−ノネン、3,8−ジメチル−5−ノネン、3,8−ジメチル−4−ノナノール、3,8−ジメチル−5−ノナノール、3,8−ジメチル−4−ノナノン、3,8−ジメチル−5−ノナノン、3,8−ジメチル−4,5−ノナンジオール、3,8−ジメチル−4,5−ノナンジオン、3,8−ジメチル−4−ヒドロキシ−5−ノナノン、3,8−ジメチル−5−ヒドロキシ−4−ノナノン、n−デカン、1−デセン、1−デカノール、デカノアート、2,9−ジメチルデカン、2,9−ジメチル−3−デセン、2,9−ジメチル−4−デセン、2,9−ジメチル−5−デカノール、2,9−ジメチル−5−デカノン、2,9−ジメチル−5,6−デカンジオール、2,9−ジメチル−6−ヒドロキシ−5−デカノン、2,9−ジメチル−5,6−デカンジオンn−ウンデカン、1−ウンデセン、1−ウンデカノール、ウンデカナール.ウンデカノアート、n−ドデカン、1−ドデセン、1−ドデカノール、ドデカナール、ドデカノアート、n−ドデカン、1−デカデセン、1−ドデカノール、ドデカナール、ドデカノアート、n−トリデカン、1−トリデセン、1−トリデカノール、トリデカナール、トリデカノアート、n−テトラデカン、1−テトラデセン、1−テトラデカノール、テトラデカナール、テトラデカノアート、n−ペンタデカン、1−ペンタデセン、1−ペンタデカノール、ペンタデカナール、ペンタデカノアート、n−ヘキサデカン、1−ヘキサデセン、1−ヘキサデカノール、ヘキサデカナール、ヘキサデカノアート、n−ヘプタデカン、1−ヘプタデセン、1−ヘプタデカノール、ヘプタデカナール、ヘプタデカノアート、n−オクタデカン、1−オクタデセン、1−オクタデカノール、オクタデカナール、オクタデカノアート、n−ノナデカン、1−ノナデセン、1−ノナデカノール、ノナデカナール、ノナデカノアート、エイコサン、1−エイコセン、1−エイコサノール、エイコサナール、エイコサノアート、3−ヒドロキシプロパナール、1,3−プロパンジオール、4−ヒドロキシブタナール、1,4−ブタンジオール、3−ヒドロキシ−2−ブタノン、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ホモクエン酸、ホモイソクエン酸、b−ヒドロキシアジピン酸、グルタル酸、グルタルセミアルデヒド、グルタルアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−シクロペンタノン、1,2−シクロペンタンジオール、シクロペンタノン、シクロペンタノール、(S)−2−アセト乳酸、(R)−2,3−ジヒドロキシ−イソバレラート、2−オキソイソバレラート、イソブチリル−CoA、イソブチラート、イソブチルアルデヒド、5−アミノペンタアルデヒド、1,10−ジアミノデカン、1,10−ジアミノ−5−デセン、1,10−ジアミノ−5−ヒドロキシデカン、1,10−ジアミノ−5−デカノン、1,10−ジアミノ−5,6−デカンジオール、1,10−ジアミノ−6−ヒドロキシ−5−デカノン、フェニルアセトアルデヒド、1,4−diフェニルブタン、1,4−ジフェニル−1−ブテン、1,4−ジフェニル−2−ブテン、1,4−ジフェニル−2−ブタノール、1,4−ジフェニル−2−ブタノン、1,4−ジフェニル−2,3−ブタンジオール、1,4−ジフェニル−3−ヒドロキシ−2−ブタノン、1−(4−ハイドキシフェニル(hydeoxyphenyl))−4−フェニルブタン、1−(4−ハイドキシフェニル(hydeoxyphenyl))−4−フェニル−1−ブテン、1−(4−ハイドキシフェニル(hydeoxyphenyl))−4−フェニル−2−ブテン、1−(4−ハイドキシフェニル(hydeoxyphenyl))−4−フェニル−2−ブタノール、1−(4−ハイドキシフェニル(hydeoxyphenyl))−4−フェニル−2−ブタノン、1−(4−ハイドキシフェニル(hydeoxyphenyl))−4−フェニル−2,3−ブタンジオール、1−(4−ハイドキシフェニル(hydeoxyphenyl))−4−フェニル−3−ヒドロキシ−2−ブタノン、1−(インドール−3)−4−フェニルブタン、1−(インドール−3)−4−フェニル−1−ブテン、1−(インドール−3)−4−フェニ

ル−2−ブテン、1−(インドール−3)−4−フェニル−2−ブタノール、1−(インドール−3)−4−フェニル−2−ブタノン、1−(インドール−3)−4−フェニル−2,3−ブタンジオール、1−(インドール−3)−4−フェニル−3−ヒドロキシ−2−ブタノン、4−ヒドロキシフェニルアセトアルデヒド、1,4−ジ(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,4−ジ(4−ヒドロキシフェニル)−1−ブテン、1,4−ジ(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブテン、1,4−ジ(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノール、1,4−ジ(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノン、1,4−ジ(4−ヒドロキシフェニル)−2,3−ブタンジオール、1,4−ジ(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヒドロキシ−2−ブタノン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(インドール−3−)ブタン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(インドール−3)−1−ブテン、1−ジ(4−ヒドロキシフェニル)−4−(インドール−3)−2−ブテン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(インドール−3)−2−ブタノール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(インドール−3)−2−ブタノン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(インドール−3)−2,3−ブタンジオール、1−(4−ヒドロキシフェニル−4−(インドール−3)−3−ヒドロキシ−2−ブタノン、インドール−3−アセトアルデヒド、1,4−ジ(インドール−3−)ブタン、1,4−ジ(インドール−3)−1−ブテン、1,4−ジ(インドール−3)−2−ブテン、1,4−ジ(インドール−3)−2−ブタノール、1,4−ジ(インドール−3)−2−ブタノン、1,4−ジ(インドール−3)−2,3−ブタンジオール、1,4−ジ(インドール−3)−3−ヒドロキシ−2−ブタノン、コハク酸セミアルデヒド、ヘキサン−1,8−ジカルボン酸、3−ヘキセン−1,8−ジカルボン酸、3−ヒドロキシ−ヘキサン−1,8−ジカルボン酸、3−ヘキサノン−1,8−ジカルボン酸、3,4−ヘキサンジオール−1,8−ジカルボン酸、4−ヒドロキシ−3−ヘキサノン−1,8−ジカルボン酸、フコイダン、ヨウ素、クロロフィル、カロテノイド、カルシウム、マグネシウム、鉄、ナトリウム、カリウム、リン酸、乳酸、酢酸、ギ酸、イソプレノイドおよびゴムを含めたポリイソプレンが挙げられるが、これらに限定されない。さらに上記産物は、コハク酸、ピルビン酸、酵素、例えばセルラーゼ、ポリサッカラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、リグニナーゼおよびヘミセルラーゼなどを包含し得、純粋化合物、混合物または不純もしくは希釈形態として存在し得る。
本明細書で使用される「脂肪酸含有原料」という用語は、当業者に公知のその通常の意味を有し、1つ以上の脂肪酸部分を含む1つ以上の化合物および上記化合物の誘導体、ならびに1つ以上の上記化合物を含む原料を含み得る。1つ以上の脂肪酸部分を含有する化合物の一般的な例としては、トリアシルグリセリド、ジアシルグリセリド、モノアシルグリセリド、リン脂質、リゾリン脂質、遊離脂肪酸、脂肪酸塩、石鹸、脂肪酸含有アミド、脂肪酸と一価アルコールのエステル、脂肪酸とグリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールなど)を含めた多価アルコールのエステル、脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、脂肪酸とポリエーテルのエステル、脂肪酸とポリグリコールのエステル、脂肪酸と糖類のエステル、脂肪酸と他のヒドロキシル含有化合物とのエステルなどが挙げられる。脂肪酸含有原料は、単離または精製された形態の1つ以上の上記化合物であり得る。これは、他の同様のまたは異なる原料と組み合わされたまたは混合された、1つ以上の上記化合物を含む原料であり得る。これは、脂肪酸含有原料が、他の同様のまたは異なる原料、例えば、植物および動物油;植物および動物油の混合物;植物および動物油副生成物;植物および動物油副生成物の混合物;植物および動物ワックスエステル;植物および動物ワックスエステルの混合物、誘導体および副生成物;種子;加工種子;種子副生成物;殻果;加工殻果;殻果副生成物;動物性物質;加工動物性物質;動物性物質副生成物;トウモロコシ;加工トウモロコシ;トウモロコシ副生成物;蒸留穀物残渣(distiller’s grains);豆;加工豆;豆副生成物;大豆製品;脂質を含有する植物性、魚類性または動物性物質;加工された、脂質を含有する植物性または動物性物質;脂質を含有する植物性、魚類性または動物性物質の副生成物;脂質を含有する微生物原料;加工された、脂質を含有する微生物原料;ならびに脂質を含有する微生物物質の副生成物などと共に生じるか、または提供される物質であり得る。このような原料は、液体または固体形態で使用され得る。固体形態としては、全形態、例えば細胞、豆および種子など;粉末化、寸断、スラリー化、抽出、薄片化、粉砕された形態などが挙げられる。脂肪酸含有化合物の脂肪酸部分は、置換または非置換アルキル基と結合しているカルボキシル基を含む脂肪酸のような単純脂肪酸であり得る。置換または非置換アルキル基は、直鎖または分岐、飽和または不飽和であり得る。アルキル基上での置換は、ヒドロキシル、リン酸、ハロゲン、アルコキシまたはアリール基を含み得る。置換または非置換アルキル基は、7〜29個の炭素、好ましくは、側鎖および/または置換を有するかまたは有さない直鎖状に配列された11〜23個の炭素(例えば、カルボキシル基も含めて8〜30個の炭素、好ましくは12〜24個の炭素)を有し得る。脂肪酸含有化合物の添加は、脂肪酸含有化合物を含有する原料の添加によるものであり得る。
本明細書で使用される「pH調整剤」という用語は、当業者に公知のその通常の意味を有し、ブロスまたは培地のpHを上昇、低下または安定させる傾向のある任意の物質を包含し得る。pH調整剤は、酸、塩基、緩衝剤、または存在する他の物質と反応してpHを上昇、低下もしくは安定させる働きのある物質であり得る。いくつかの実施形態では、2つ以上のpH調整剤、例えば2つ以上の酸、2つ以上の塩基、1つ以上の酸と1つ以上の塩基、1つ以上の酸と1つ以上の緩衝剤、1つ以上の塩基と1つ以上の緩衝剤、または1つ以上の酸と1つ以上の塩基と1つ以上の緩衝剤などであり得る。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、ブロスもしくは培地中でまたは別個に生成され、少なくとも一部はそれぞれ酸もしくは塩基と塩基もしくは酸の形で反応することにより、一成分として使用され得る。2つ以上のpH調整剤を使用する場合、これらは同じ時間または異なる時間に添加し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の酸と1つ以上の塩基を組み合わせて1つの緩衝剤を得てもよい。いくつかの実施形態では、炭素源または窒素源のような培地成分もpH調整剤として働くことができ;適切な培地成分としては、高いもしくは低いpHのもの、または緩衝能を有するものが挙げられる。培地成分の例としては、酸または塩基で加水分解された、残留酸または塩基を有する植物多糖類、アンモニア繊維爆砕(AFEX)処理された、残留アンモニアを有する植物原料、乳酸、コーンスティープソリッド(corn steep solid)またはコーンスティープリカー(corn steep liquor)が挙げられる。
本明細書で使用される「発酵」という用語は、当業者に公知のその通常の意味を有し、微生物用の適切な培地中または培地上での微生物または微生物群の培養を包含し得る。微生物は、好気性菌、嫌気性菌、通性嫌気性菌、従属栄養生物、独立栄養生物、光独立栄養生物、光従属栄養生物、化学合成独立栄養生物および/または化学合成従属栄養生物であり得る。微生物は、好気的または嫌気的に生育し得る。これらは、遅滞(または誘導)期、対数期、移行期、定常期、死滅期、静止期、栄養期、胞子形成期などを含めた任意の増殖期であり得る。
「増殖期」は、「誘導期」の後かつ「静止期」および「死滅期」の前に起こる細胞増殖のタイプを記述するために使用される。増殖期は、指数期または対数期(log phaseまたはlogarithmic phase)と呼ばれることもある。
本明細書で使用される「植物多糖」という用語は、当業者に公知のその通常の意味を有し、糖および糖誘導体ポリマー、ならびに/または植物性物質中に存在するその他のポリマー原料を1つ以上含み得る。植物多糖類の例としては、リグニン、セルロース、デンプン、ペクチンおよびヘミセルロースが挙げられる。他の多糖類は、キチン、硫酸化多糖類、例えばアルギン酸、アガロース、カラゲナン、ポルフィラン、フルセレランおよびフノランなどが挙げられる。一般に多糖は、2つ以上の糖単位または糖単位誘導体を有し得る。糖単位および/または糖単位誘導体は、規則的なパターンまたはそれ以外で反復し得る。糖単位は、ヘキソース単位またはペントース単位あるいはこれらの組合せであり得る。糖単位誘導体は、糖アルコール、糖酸、アミノ糖などであり得る。多糖類は、直鎖状、分岐状、架橋またはそれらの組合せであり得る。多糖の1つのタイプまたはクラスは、別のタイプまたはクラスの多糖と架橋され得る。
本明細書で使用される「発酵性糖」という用語は、当業者に公知のその通常の意味を有し、炭素源として微生物により利用され得る1つ以上の糖および/または糖誘導体を包含し得、2つ以上の上記化合物を含む、上記化合物のモノマー、ダイマーおよびポリマーを包含する。ある場合には、分解原料を加える前に、微生物がこれらのポリマーを加水分解などにより分解し得る。典型的な発酵性糖としては、グルコース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マンノース、ラムノース、セロビオース、ラクトース、スクロース、マルトースおよびフルクトースが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「糖化」という用語は、当業者に公知のその通常の意味を有し、植物多糖類を微生物により直ちに利用され得る低分子量種に変換することを包含する。いくつかの微生物では、これは、約7モノマー単位以下の単糖類、二糖類、三糖類およびオリゴ糖類、ならびに同様の大きさの鎖の糖誘導体および糖と糖誘導体の組合せへの変換を包含し得る。いくつかの微生物では、許容可能な鎖長は、より長いものであり得、いくつかの微生物では、許容可能な鎖長はより短いものであり得る。
本明細書で使用される「バイオマス」という用語は、当業者に公知のその通常の意味を有し、バイオ燃料、化学製品またはその他の生成物に変換され得る1つ以上の生物学的原料を包含し得る。バイオマス源の一例は植物性物質である。植物性物質は、例えば、木質植物性物質、非木質植物性物質、セルロース原料、リグノセルロース原料、ヘミセルロース原料、炭水化物、ペクチン、デンプン、イヌリン、フルクタン、グルカン、トウモロコシ、サトウキビ、草、スイッチグラス、タケ、藻およびこれらに由来する原料であり得る。植物性物質は、存在する化学種、例えばタンパク質、多糖類および油に言及することにより、さらに記載することができる。多糖類としては、グルコース、フルクトース、ラクトース、ガラクツロン酸、ラムノースなどを含めた様々な単糖類および単糖類誘導体のポリマーが挙げられる。また植物性物質として、農業廃棄物の副生成物またはサイドストリーム、例えば絞り粕、コーンスティープリカー(corn steep liquor)、コーンスティープソリッド(corn steep solid)、蒸留穀物残渣(distillers grains)、皮、種子、発酵廃棄物、わら、材木、汚水、生ごみおよび残飯も挙げられる。これらの原料は、農場、林業、工業発生源、家庭などから生じ得る。別の非限定的なバイオマスの例は動物性物質であり、例えば、乳、肉、脂肪、動物加工廃棄物および動物廃棄物が挙げられる。本明細書に記載のようなプロセスに使用されるバイオマスを指すために、「供給原料」がよく使用される。
本明細書では「ブロス」は、接種直後の時点および任意のまたはすべての細胞活動が停止した後の期間を含めた、任意の増殖段階で接種された培地を指すために使用され、発酵処理後の原料を包含し得る。これは必要に応じて、可溶性および不溶性物質、懸濁物質、細胞ならびに培地の組合せの全内容物を包含する。
本明細書で使用される「生産性」という用語は、当業者に公知のその通常の意味を有し、所与の体積中で所与の時間内に生産される目的物質の質量を包含し得る。単位は、例えば、リットル−時間当たりのグラム数、または質量、体積および時間の他の組合せであり得る。発酵では、生産性は、所与の発酵体積内で生産物が生成され得る速さの特性を表すために使用される。体積は、発酵容器の総体積、発酵容器の稼動体積または発酵されているブロスの実体積を基準とし得る。この語句の文脈により、当業者を対象とした意味が示されるであろう。生産性は、それが時間の用語を含むという点で「力価」とは異なり、力価は濃度と類似している。力価および生産性は一般に、発酵中の任意の時点、例えば開始、終了時またはある中間時点などで測定することができ、力価は、目的とする時点で存在するまたは生産された特定物質の量と関連し、生産性は、所与の時間量で1リットル当たりに生産される特定物質の量と関連する。生産性判定で使用される時間量は、発酵の開始または他のある時間から、発酵の終了、例えば、さらなる物質が生産されない時点、または回収が行われる時点、またはこの用語が使用される文脈により示される他のある時点までであり得る。「全生産性」は、最終力価および全発酵時間を用いて判定される。「最大力価に対する生産性」は、最大力価および最大力価を達成するための時間を用いて判定される生産性を指す。「瞬間生産性」は、ある瞬間の生産性を指し、目的化合物の力価対時間曲線の傾きから、または実施状況および用語の文脈により決定される他の適当な手段により判定することができる。「生産性増加量」は、発酵時間の一部分、例えば数分、1時間または数時間などにわたる生産性を指す。多くの場合、生産性増加量は、瞬間生産性を意味するか、またはそれに近い意味である。この値の決定方法を示す文脈よって、他のタイプの生産性も使用され得る。
「力価」は、発酵ブロス中に存在する特定物質の量を指す。これは濃度と同様であり、全発酵サイクルからのブロス中の微生物により生成される物質の量、または進行中の発酵サイクルにおいてもしくは所与の時間にわたって生成される物質の量、またはあらゆる源由来の存在する物質、例えば微生物により生産されたもしくはブロスに添加された物質の量を指し得る。多くの場合、可溶種の力価は不溶物を除去したブロスの液体部分を基準とし、不溶種の力価は不溶種が存在するブロスの総量を基準とするが、場合によっては、可溶種の力価が総ブロス体積を基準とし得、不溶種の力価が液体部分を基準とし得るが、この場合、意図される両方の基準系に関してどちらの系が使用されるかが文脈により示される。多くの場合、一方の系を基準にして決定される値は、他方の系を基準にした値と同じであるか、または十分に近似している。ブロス中の物質を指す場合の「濃度」は一般に、微生物により生成されたものまたはブロスに添加されたものに関係なく、すべての源由来の存在する物質の量を指す。「力価」に関しては、濃度は可溶種または不溶種を指し得、ブロスの液体部分かブロスの総体積のいずれかを基準とし得る。
本明細書で使用される「生体触媒」という用語は、当業者に公知のその通常の意味を有し、溶液、懸濁液および酵素と微生物の混合物を含めた、1つ以上の酵素および微生物を包含し得る。文脈によっては、この単語は、特定の機能を果たす酵素または微生物の可能な使用を指す場合、2つを組み合わせた使用を指す場合、および2つのうちの一方のみを指す場合がある。この語句の文脈により、当業者を対象とした意味が示されるであろう。
本明細書で使用される「変換効率」または「収率」という用語は、当業者に公知のその通常の意味を有し、ある質量の基質から生成される生産物の質量を包含し得る。この用語は、開始質量の基質に由来する生産物のパーセント収率として表すことができる。グルコースからのエタノール生産では、正味の反応は一般に:
12→2COH+2CO
と考えられており、理論上の最大変換効率または収率は51%(wt.)である。多くの場合、変換効率は理論最大値を基準とし、例えば「理論最大値の80%」となる。グルコースからエタノールへの変換の場合、この記述は41%(wt.)の変換効率を示すことになる。この語句の文脈により、当業者を対象とした基質および生産物が示されるであろう。
本明細書では「前処理」または「前処理された」は、複合段階によるか、または逐次的に行われるかに関係なく、バイオマスが酵素および/または微生物による攻撃をより受けやすくするためにバイオマスの破壊または膨張を達成する任意の機械的、化学的、熱的、生化学的プロセスまたはこれらのプロセスの組合せを指すために使用される。いくつかの実施形態では、前処理は、植物中のセルロースおよびヘミセルロースポリマーをセルロース分解酵素および/または微生物により利用されやすくするために、例えば、酸または塩基での処置により、リグニンを除去または破壊することを含み得る。いくつかの実施形態では、前処理は、例えば、酸または塩基での処置により、植物多糖類を別の種類の微生物がより利用しやすくするために、ある種類の微生物を使用することを含み得る。いくつかの実施形態では、前処理は、セルロースおよび/またはヘミセルロース原料の破壊または膨張も含み得る。水蒸気爆砕およびアンモニア繊維膨潤(爆砕)(AFEX)は、公知の熱的/化学的技術である。酸、塩基および/または酵素を使用する方法を含めた加水分解を使用することができる。他の熱的、化学的、生化学的、酵素的技術も使用することができる。
本明細書では「フェドバッチ」または「フェドバッチ発酵」は、培養の間に、栄養素、他の培地成分または生体触媒(例えば、酵素、新たな微生物、細胞外ブロスなどを含む)は発酵槽へ供給するが、培養ブロスは発酵終了まで発酵槽から回収しない微生物の培養法を包含するために使用されるが、発酵槽体積の一部を回収し、次いで、発酵槽内の残りのブロスに新たな培地を加え、少なくとも接種材料の一部は発酵槽内に残ったブロスである、「自然接種」または「部分回収」技術も包含し得る。フェドバッチ発酵の間に、ブロス体積は、発酵微生物が存在する間に培地または栄養素をブロスに添加することにより、少なくともある期間は増加し得る。いくつかのフェドバッチ発酵では、ブロス体積が栄養素の添加による影響を受けず、場合によっては栄養素の添加により変化しないことがあり得る。使用することができる適切な栄養素としては、気体、液体および固体を含めた、可溶性、不溶性および一部可溶性のものが挙げられる。いくつかの実施形態では、フェドバッチプロセスは、「細胞増加を伴うフェドバッチ」のような語句と共に言及され得る。この語句は、栄養素および細胞を加える操作、または実質量の栄養素なしで細胞を加える操作を包含し得る。より一般的な語句「フェドバッチ」も上記操作を包含する。任意の上記語句が使用される文脈により、考慮されている技術が当業者に示されるであろう。
本明細書で使用される「フィチン酸塩」という用語は、当業者に公知のその通常の意味を有し、フィチン酸、その塩およびその混合形態、ならびにこれらの組合せを包含し得る。
本明細書では「糖化合物」は、ヘキソースおよびペントースを含むがこれらに限定されない単糖;糖アルコール;糖酸;糖アミン;これらが共有結合またはイオン結合により直接的または間接的に2つ以上結合したものを含有する化合物;ならびにそれらの混合物を包含するために使用される。この記述には、二糖類;三糖類;オリゴ糖類;多糖類;ならびに任意の長さの分岐および/または直鎖状糖鎖が含まれる。
本明細書では「乾燥細胞重量」は、ブロスまたは接種材料の細胞含有量を決定する方法およびそれにより決定される値を指す。一般にこの方法は、必須ではないが、ある体積のブロスをリンスまたは洗浄した後に、残渣を乾燥させて重量を量ることを含む。ある場合には、ブロス試料を単に遠心分離して細胞含有層を回収し、乾燥させて重量を量る。多くの場合、ブロスを遠心分離し、次いで、水、または水と他成分、例えば緩衝剤、等張状態を生じる成分、浸透圧の任意の変化を調節する成分などとの混合物中に再懸濁する。遠心分離−再懸濁段階を必要に応じて繰り返すことができ、最終的な遠心分離および乾燥の前に、異なる再懸濁溶液を使用することができる。不溶性の培地成分が存在する場合、不溶性成分の存在を無視して、上記のように値を決定する。不溶性の培地成分が存在する場合の好適な方法としては、不溶性成分を、可溶型のものと反応させる、水を含み得る異なる溶媒中に溶解させる、もしくはその中に抽出するか、あるいは適当な方法、例えば遠心分離、勾配遠心分離、浮選、ろ過、または他の適当な技術もしくは技術の組合せなどにより分離する方法が挙げられる。
説明
以下の説明および例は、本開示の発明の典型的ないくつかの実施形態を詳細に説明するものである。本発明の範囲に包含される本発明の変更および修正が数多く存在することを、当業者は理解するであろう。したがって、特定の例示的な実施形態の説明が本発明の範囲を限定するものと見なすべきではない。
C.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)(「Q微生物」)はAmerican Type Culture Collection 700394を含み、いくつかの実施形態では、培養株ISDgの表現型および遺伝子型の特徴に基づき定義することができる(Warnickら,International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology,52:1155−60,2002)。本発明の態様は概略的には、エタノールのような燃料および/または他の有用な有機生成物を生産するためのシステム、方法および組成物を含み、これらは例えば、ISDg株、および/または遺伝子組換え菌株または別に分離された菌株を含めた、ISDg株に由来し得る菌株を含む、任意の他のクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)種の菌株を含む。いくつかの典型的な種は、標準的な分類学的考察を用いて定義することができる(StackebrandtおよびGoebel,International Journal of Systematic Bacteriology,44:846−9,1994):菌株(ISDg)タイプと比べて97%以上の16S rRNA配列相同値を有する菌株および少なくとも約70%のDNA再結合値を有する菌株はクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)と見なすことができる。70%以上のDNA再結合値を有する多くの微生物はまた、少なくとも96%のDNA配列同一性を有し、種を定義する表現型形質を共有することを示す証拠が多数存在する。クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)ISDg株のゲノム配列解析は、植物多糖発酵の機構および経路に関与する可能性のある数多くの遺伝子および遺伝子座の存在を示しており、これらはクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)種のすべてまたはほぼすべての菌株に見られる、この微生物の並外れた発酵特性を生じさせる。クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株は天然の分離菌または遺伝子組換え株であり得る。
C.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)の特性
「Q」微生物は、バイオマスからエタノールおよびその他の生成物への変換に有用な利点をもたらす。Q微生物の1つの利点は、多糖類および高分子量糖類を、オリゴ糖、二糖および単糖類のような低分子量糖類に加水分解することができる酵素を生産するその能力である。Q微生物は、広い範囲の加水分解酵素を生産することができ、これらの酵素は、セルロース、ヘミセルロース、リグノセルロース原料;ペクチン;デンプン;木材;紙;農産物;森林廃棄物;樹木廃棄物;樹皮;葉;草;ソーグラス(sawgrass);木質植物性物質;非木質植物性物質;炭水化物;ペクチン;デンプン;イヌリン;フルクタン;グルカン;トウモロコシ;サトウキビ;草;タケ;藻および上記原料に由来する原料を含めた様々なバイオマス原料の発酵を促進し得る。この微生物は通常、上記酵素を必要に応じて、多くの場合は不必要な加水分解酵素を過剰に生産せずに生産し得るか、またはいくつかの実施形態では、1つ以上の酵素を添加して微生物の生産能をさらに向上させることができる。非常に広範囲の加水分解酵素を生産するこの能力は、バイオマス発酵、特に、供給原料として単純糖を利用しないバイオマス発酵において、Q微生物および関連技術に明らかな利点をもたらす。様々な発酵条件が微生物の活動を増大させる結果、より高い収率、より高い生産性、より優れた生成物選択性および/またはより高い変換効率を生じ得る。いくつかの実施形態では、発酵条件は、フェドバッチ操作および細胞増加を伴うフェドバッチ操作;コーンスティープパウダー(corn steep powder)または酵母抽出物のような複合窒素源の添加;プロリン、グリシン、イソロイシンおよび/またはヒスチジンを含めた特定アミノ酸の添加;1つ以上の上記アミノ酸を含有する複合体原料の添加;フィチン酸塩、プロテアーゼ酵素またはポリサッカラーゼ酵素のような他の栄養素または他の化合物の添加を含み得る。一実施形態では、発酵条件は、有機窒素源を有する培地の補充を含み得る。別の実施形態では、発酵条件は、無機窒素源を有する培地の補充を含み得る。いくつかの実施形態では、1つの原料の添加が、例えばアミノ酸とフィチン酸塩を供給するなど、2つ以上の部類に属する補充物を供給し得る。
いくつかの実施形態では、Q微生物を用いて、エタノール、水素または他の化学製品、例えばギ酸、酢酸および乳酸を含めた有機酸などを生産する発酵の準備などで、バイオマス中に存在する様々な高分子糖類(高分子量)を低分子糖類(低分子量)に加水分解することができる。Q微生物の別の利点は、多糖類ならびにヘキソース糖単位を含有する、またはペントース糖単位を含有する、および両方を含有する高分子糖類を、低分子糖類および場合によっては単糖類に加水分解するその能力である。上記酵素および/または加水分解物を発酵で使用して、燃料およびその他の化学製品を含めた様々な生成物を生産することができる。Q微生物の別の利点は、単糖類のような低分子糖類(低分子量)からエタノール、水素およびその他の燃料または化合物、例えば酢酸、ギ酸および乳酸を含めた有機酸などを生産するその能力である。Q微生物の別の利点は、糖類を含有する高分子量バイオマスおよび/または高分子糖類または多糖類を低分子糖類に加水分解する段階と、これらの低分子糖類を、エタノール、水素およびその他の燃料または化合物、例えばギ酸、酢酸および乳酸を含めた有機酸などを含めた所望の生成物に発酵する段階との組合せを行うその能力である。
Q微生物の別の利点は、高エタノール濃度、高糖濃度、低糖濃度を含む条件下で増殖する、不溶性炭素源を利用するおよび/または嫌気性条件下で働くその能力である。上記特性は、様々な組合せで、長い発酵周期での作動を達成するために使用することができ、かつバッチ発酵、フェドバッチ発酵、自然接種/部分回収発酵、および接種材料として最終発酵からの細胞の再利用と組み合わせて使用することができる。
一般的に、細胞再利用および部分回収発酵のような技術は、こうした技術に固有の様々な問題点により、生産規模での操作ではあまり使用されない。例えば、細胞が単に、十分なまたは最初もしく以前の発酵と同様の収率および/または生産性の発酵を後に提供しなくなる「培養物の疲弊」は稀ではない。さらに、特に、ブロスの回収中であり無菌性が中断される危険性がある場合、長期間にわたる単一培養による操作により、それが使用されている培養物および発酵物の汚染の深刻な問題が生じ得る。その結果、細胞再利用および/または部分回収発酵のための微生物の適合性は、一般的に期待されない。
ある場合には、バイオマス原料をエタノールに変換するプロセスは、バイオマス原料(例えば、「供給原料」)の前処理、前処理バイオマスの加水分解による多糖類からオリゴ糖への変換、オリゴ糖類から単糖類へのさらなる加水分解および単糖類からエタノールへの変換を含む。ある場合には、バイオマスは、エタノールまたは他の生成物を生産するために発酵微生物によって利用され得る単糖類または他の糖類へ直接加水分解され得る。異なる最終産物、例えば炭化水素、水素、メタン、アルコール(例えば、ブタノール、プロパノール、メタノールなど)のようなヒドロキシ化合物、アルデヒドおよびケトン(例えば、アセトン、ホルムアルデヒド、1−プロパナールなど)のようなカルボニル化合物、有機酸、エステル(例えば、ワックスエステル、グリセリドなど)のような有機酸誘導体、ならびに限定されないが、1、2−プロパンジオール、1、3−プロパンジオール、乳酸、ギ酸、酢酸、コハク酸、ピルビン酸、酵素、例えばセルラーゼ、ポリサッカラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、リグニナーゼおよびヘミセルラーゼなどを含めた他の機能的化合物などが望まれる場合、その特定化合物の生合成に単糖類を使用することができる。利用可能なバイオマス原料としては、木質植物性物質、非木質植物性物質、セルロース原料、リグノセルロース原料、ヘミセルロース原料、炭水化物、ペクチン、デンプン、イヌリン、フルクタン、グルカン、トウモロコシ、サトウキビ、草、スイッチグラス、タケおよびこれらに由来する原料が挙げられる。次いで、所望の最終産物の特性に適するように、最終産物を分離および/または精製することができる。場合によっては、糖アルコールまたは糖酸のような糖関連化合物も利用することができる。
この実施形態では、いつでも2つ以上の上記段階を行うことができる。例えば、前処理供給原料の加水分解とオリゴ糖類の加水分解を行い、そしてこれらの1つ以上を同時に行って、単糖類をエタノールに変換することができる。
場合によっては、酵素は多糖類を単糖類に直接変換し得る。場合によっては、酵素が多糖類をオリゴ糖類に加水分解し、そしてその酵素または別の酵素がそのオリゴ糖類を単糖類に加水分解し得る。
一実施形態では、発酵中に存在する酵素は、別途生産されて、次いで発酵に添加され得るか、またはそれらは発酵中に存在する微生物により生産され得る。他の実施形態では、発酵中に存在する微生物が酵素を生産し得る場合もあれば、酵素が別途生産されて発酵に添加され得る場合もある。
前処理バイオマスから最終産物への変換が全般的に速い速度で行われるためには、各変換段階に必要な各酵素が、十分に高い活性状態で存在する必要がある。これらの酵素の1つが不在であるか、または不十分な量で存在すれば、エタノールまたは他の所望の生成物の生産速度が低下する。また、単糖類から生成物への変換に関与する微生物が、単糖類を低速でしか取り込まない、あるいは/または単糖類およびエタノールへの変換中に生産される中間産物を転移するのに限られた能力しか有さない場合にも、生産速度が低下する。
一実施形態では、この方法の酵素はQ微生物それ自体により生産され、その酵素はバイオマス原料に適した範囲の加水分解酵素を含む。一実施形態では、Q微生物は、存在する多糖の糖化に必要な酵素の生産を誘導および/または促進するのに適した条件下で増殖する。上記酵素の生産は、播種用発酵容器または他の発酵容器のような別の容器内で、またはエタノール生産が行われる生産用発酵容器内で行われ得る。酵素が別の容器内で生産される場合、それらは、例えば細胞と共に、または酵素と共に細胞間媒介物を含有する、細胞を比較的含まない溶液として、生産用容器に移される。酵素が別の容器で生産される場合、それらを、生産用発酵容器に添加される前に乾燥および/または精製することもできる。酵素の生産に適した条件は、続く発酵段階で細胞が加水分解すると予想されるバイオマスを含む培地で細胞を増殖させることにより管理される場合が多い。追加の培地成分、例えば、限定されないがフィチン酸塩、アミノ酸およびペプチドを含めた、塩補充物、増殖因子および補助因子なども、所望の生成物の生産において微生物により利用される酵素の生産の補助となり得る。
供給原料および供給原料の前処理
セルロース、ヘミセルロースおよび/またはリグノセルロース原料を含有し得る供給原料は、農作物、作物残渣、樹木、木片、おがくず、紙、ボール紙、草およびその他の源に由来し得る。
セルロースは、グルコース単位がβ(1→4)結合により結合した、グルコースの線状ポリマーである。ヘミセルロースは、グルコース、キシロース、マンノース、ガラクトース、ラムノースおよびアラビノースを含めた多数の糖モノマーからなる分岐ポリマーであり、存在するマンヌロン酸およびガラクツロン酸のような糖酸も有し得る。リグニンは、主としてp−クマリルアルコール、コンフェリルアルコール(conferyl alcohol)およびシナピルアルコールからなる、架橋されたラセミ巨大分子である。これら3つのポリマーは、植物性バイオマス中のリグノセルロース原料中に一緒に存在する。この3つのポリマーの異なる特性により、各ポリマーが他のポリマーを酵素の攻撃から保護する傾向があるため、加水分解の組合せが困難となり得る。
本発明の一態様では、発酵ならびにバイオ燃料およびエタノール生産で使用する供給原料の前処理の方法が提供される。前処理段階は、燃料および化学製品生産のためのバイオプロセスで使用される前の機械的、熱的、圧力、化学的、熱化学的および/または生化学的試験前処理を含み得るが、未処理のバイオマス原料をこのプロセスで使用することもできる。機械的プロセスは、バイオマス原料がバイオプロセスにおいてより好都合に処理されるようにその粒子サイズを減少させることができ、さらに供給原料の表面積を増加させて、化学物質/生化学物質/生体触媒との接触を容易にすることができる。機械的プロセスは、1つのタイプのバイオマス原料を別のものから分離することもできる。バイオマス原料に熱的および/または化学的前処理を行うことにより、植物性ポリマーをより利用しやすくすることもできる。複数の処理段階を使用することもできる。
機械的プロセスとしては、洗浄、浸漬、粉砕、サイズ減少、篩過、剪断、サイズによる分別および密度による分別プロセスが挙げられるが、これらに限定されない。化学的プロセスとしては、漂白、酸化、還元、酸処理、塩基処理、亜硫酸処理、酸性亜硫酸処理、塩基性亜硫酸処理、アンモニア処理および加水分解が挙げられるが、これらに限定されない。熱的プロセスとしては、滅菌、アンモニア繊維膨潤または爆砕(「AFEX」)、水蒸気爆砕、水の存在または非存在下における加圧下または非加圧下での高温保持および凍結が挙げられるが、これらに限定されない。生化学的プロセスとしては、酵素による処理および微生物による処理が挙げられるが、これらに限定されない。利用可能な様々な酵素としては、セルラーゼ、アミラーゼ、β−グルコシダーゼ、キシラナーゼ、グルコナーゼ(gluconase)およびその他のポリサッカラーゼ;リゾチーム;ラッカーゼおよびその他のリグニン修飾酵素;リポキシゲナーゼ、ペルオキシダーゼおよびその他の酸化酵素;プロテアーゼ;ならびにリパーゼを挙げることができる。機械的、化学的、熱的、熱化学的および生化学的プロセスを1つ以上組み合わせるか、または別々に用いることができる。このような複合プロセスは、紙、セルロース製品、微結晶性セルロースおよびセルロース系物質の生産に使用されるものも含み得、さらにパルプ製造、クラフト・パルプ法、酸性亜硫酸処理を含み得る。供給原料は、セルロース、ヘミセルロースまたはリグノセルロース原料のようなバイオマス原料に1つ以上の上記プロセスを用いる施設からのサイドストリームまたは廃水流であり得る。例としては、製紙工場、セルロース系工場、木綿加工工場および微結晶性セルロース工場が挙げられる。供給原料は、セルロース含有またはセルロース系物質含有廃棄物も含み得る。供給原料は、例えば、クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)などによるエタノールまたは他の生成物生産を目的とした供給原料として生産または収穫された木材、草、トウモロコシ、デンプンまたは糖などのバイオマス原料も含み得る。
さらなる実施形態では、本発明の方法は、それぞれその内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許および米国特許出願第US20040152881号、第US20040171136号、第US20040168960号、第US20080121359号、第US20060069244号、第US20060188980号、第US20080176301号、第5693296号、第6262313号、第US20060024801号、第5969189号、第6043392号、第US20020038058号、第US5865898号、第US5865898号、第US6478965号、第5986133号、第US20080280338号に開示されている前処理プロセスを利用し得る。
別の実施形態では、AFEXプロセスをバイオマスの前処理に使用し得る。好適な一実施形態では、セルロース、ヘミセルロースまたはリグノセルロース原料をエタノールまたはその他の生成物へ発酵するための準備に使用する。このプロセスは概略的には、供給原料とアンモニアの混合、圧力下での加熱および急激な圧力除去を含む。様々な量で水が存在し得る。AFEXプロセスは、数多くの特許および刊行物の主題となっている。
別の実施形態では、バイオマスの前処理は、バイオマスが分解を受けやすくするためにバイオマスに水酸化カルシウムを添加することを含む。前処理は、バイオマスに水酸化カルシウムおよび水を添加して混合物を形成すること、ならびにその混合物を比較的高温に維持することを含む。あるいは、酸素および酸素含有ガスからなる群より選択される酸化剤を、圧力下で混合物に添加し得る。水酸化炭素処理の例は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Holtzappleに対する米国特許第5865898号ならびにS.KimおよびM.T.Holzapple,Bioresource Technology,96,(2005)1994に開示されている。
他の実施形態では、バイオマスの前処理は希酸加水分解を含む。希酸加水分解処理の例は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、T.A.LloydおよびC.E Wyman,Bioresource Technology,(2005)96,1967に開示されている。
他の実施形態では、バイオマスの前処理はpH制御液体熱水処理を含む。pH制御液体熱水処理の例は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、N.Mosierら,Bioresource Technology,(2005)96,1986に開示されている。
他の実施形態では、バイオマスの前処理は水溶性アンモニアリサイクルプロセス(ARP)を含む。水溶性アンモニアリサイクルプロセスの例は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、T.H.KimおよびY.Y.Lee,Bioresource Technology,(2005)96,2007に記載されている。
いくつかの実施形態では、上記方法は次の2つの段階を有する:洗浄流を生じる前処理段階および加水分解流を生じる前処理バイオマスの酵素的加水分解段階。上記方法では、前処理段階が行われるpHは、酸加水分解、熱水前処理またはアルカリ試薬による方法(AFEX、ARPおよび石灰前処理)を含む。希酸および熱水処理法が主としてヘミセルロースを可溶化するのに対し、アルカリ試薬を用いる方法は、前処理段階中に大部分のリグニンを除去する。その結果、前者の方法での前処理からの洗浄流が、主としてヘミセルロース系の糖類を含有するのに対し、この流水は、主として高pH法のためのリグニンを含む。これに続く残留バイオマスの酵素的加水分解では、アルカリによる前処理法においては混合糖(C5およびC6)を生じるが、グルコースが低pHおよび中性pH法による加水分解物中の主要生成物である。残留バイオマスの酵素的消化性は、セルラーゼ酵素のセルロースへの接触を阻害し得るリグニンが除去されることから、高pH法の方がやや優れている。
いくつかの実施形態では、バイオマスの前処理はイオン液体前処理を含む。バイオマスをイオン液体とのインキュベーションにより前処理を行い、次いで、アルコールまたは水のような洗浄溶媒でIL抽出を行い得る。次いで、この処理バイオマスを遠心分離またはろ過によりイオン液体/洗浄溶媒溶液から分離し、糖化リアクターまたは容器に移し得る。イオン液体前処理の例は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2008/0227162号に開示されている。
前処理法の例は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Daleに対する米国特許第4600590号、Chouに対する米国特許第4644060号、Daleに対する米国特許第5037663号、Holtzappleらに対する米国特許第5171592号、Karstensらに対する米国特許第5939544号、Bredereckらに対する米国特許第5473061号、Karstensに対する米国特許第6416621号、Daleらに対する米国特許第6106888号、Daleらに対する米国特許第6176176号、Daleらに対するPCT公開第WO2008/020901号、Felix,A.ら,Anim.Prod.51,47−61(1990)、Wais,A.C.,Jr.ら,Journal of Animal Science,35,No.1,109−112(1972)に開示されている。
いくつかの実施形態では、バイオマスの前処理は酵素加水分解を含む。一実施形態では、酵素または酵素混合物、例えば、エンドヌクレアーゼ、エキソヌクレアーゼ、セロビオヒドロラーゼ、セルラーゼ、ベータ−グルコシダーゼ、グリコシドヒドロラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、リアーゼ、エステラーゼおよび糖質結合モジュール含有タンパク質で前処理し得る。いくつかの実施形態では、酵素または酵素混合物は、異なる活性を有する別々の酵素であり得る。いくつかの実施形態では、酵素または酵素混合物は、特定の触媒活性を有する酵素ドメインであり得る。例えば、複数の活性を有する酵素は、例えばグリコシドヒドロラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、リアーゼおよび/またはエステラーゼ触媒ドメインを含めた複数の酵素ドメインを有し得る。
いくつかの実施形態では、バイオマスの前処理は、C.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)由来の1つ以上の酵素での酵素加水分解を含む。いくつかの実施形態では、バイオマスの前処理は、C.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)由来の1つ以上の酵素での酵素加水分解を含み、1つ以上の酵素は、エンドヌクレアーゼ、エキソヌクレアーゼ、セロビオヒドロラーゼ、ベータ−グルコシダーゼ、グリコシドヒドロラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、リアーゼ、エステラーゼおよび糖質結合モジュール含有タンパク質からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、バイオマスを、C.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)において同定される加水分解酵素で前処理し得る。C.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)において同定される加水分解酵素の例としては、Cphy3367、Cphy3368、Cphy0430、Cphy3854、Cphy0857、Cphy0694およびCphy1929(www.genome.jp/)が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、バイオマスの前処理は、表1、表2、表3または表4に記載の1つ以上の酵素での酵素加水分解を含む。表1〜4はそれぞれ、C.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)に存在すると予想されるグリコシドヒドロラーゼ、リアーゼ、エステラーゼおよび糖質結合モジュール含有タンパク質ファミリーメンバーの一部の既知の活性の例を示す。既知の活性は、活性、および国際生化学・分子生物学連合により決定されている通りの対応するPC番号により記載する。
いくつかの実施形態では、多糖類を分解する酵素をバイオマスの前処理に使用し、セルロースを分解する酵素、すなわちセルラーゼを含み得る。いくつかのセルラーゼの例は、エンドセルラーゼ(EC 3.2.1.4)およびエキソセルラーゼ(EC 3.2.1.91)を含み、ベータ−1,4−グルコシド結合を加水分解する。
バイオマスの前処理で使用し得る、C.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)において予想されるエンドセルラーゼの例としては、GH5ファミリー、例えばCphy3368、Cphyl163およびCphy2058など;Cphy3207のようなGH8ファミリー;ならびにCphy3367のようなGH9ファミリー内の遺伝子が挙げられる。バイオマスの前処理で使用し得る、C.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)のエキソセルラーゼの例としては、Cphy3368のようなGH48ファミリー内の遺伝子が挙げられる。一部のエキソセルラーゼは、多糖類を加水分解してグルコースからなる2〜4単位のオリゴ糖を生成し、セロデキストリン二糖(セロビオース)、三糖(セロトリオース)または四糖(セロテトラオース)を生じる。GH5、GH9およびGH48ファミリーのメンバーは、エキソ−およびエンド−セルラーゼ活性の両方を有し得る。
いくつかの実施形態では、多糖類を分解する酵素をバイオマスの前処理に使用し、ヘミセルロースを分解する能力を有する酵素、すなわちヘミセルラーゼを含み得る(Leschine、S.B.in Handbook on Clostridia(Durre,P.編)(CRC Press,Boca Raton、2005))。ヘミセルロースは、植物バイオマスの主要成分となり得、ペントースおよびヘキソース、例えば、D−キシロピラノース、L−アラビノフラノース、D−マンノピラノース、D−グルコピラノース、D−ガラクトピラノース、D−グルコピラノシルウロン酸およびその他の糖類の混合物を含有し得る(Aspinall,G.O.The Biochemistry of Plants 473,1980;Han、J.S.& Rowell,J.S.in Paper and composites from agro−based resources 83,1997)。特定の実施形態では、バイオマスの前処理で使用し得る、C.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)において同定される予想されるヘミセルラーゼとしては、ヘミセルロースの直線状主鎖に対して活性な酵素、例えば、エンド−ベータ−1,4−D−キシラナーゼ(EC 3.2.1.8)、例えばGH5、GH10、GH11、およびGH43ファミリーメンバーなど;1,4−ベータ−D−キシロシドキシロヒドロラーゼ(EC 3.2.1.37)、例えばGH30、GH43およびGH3ファミリーメンバーなど;ならびにGH6ファミリーメンバーのようなベータ−マンナナーゼ(EC 3.2.1.78)が挙げられる。
さらなる実施形態では、バイオマスの前処理で使用し得る、C.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)において同定される予想されるヘミセルラーゼとしては、ヘミセルロースの側基および置換基に対して活性な酵素、例えば、アルファ−L−アラビノフラノシダーゼ(EC 3.2.1.55)、例えばGH3、GH43およびGH51ファミリーメンバーなど;GH31ファミリーメンバーのようなアルファ−キシロシダーゼ;GH95およびGH9ファミリーメンバーのようなアルファ−フコシダーゼ(EC 3.2.1.51);ガラクトシダーゼ、例えばGH1、GH、GH4、GH36およびGH43ファミリーメンバーなど;ならびにCE2およびCE4のようなアセチル−キシランエステラーゼ(EC 3.1.1.72)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、多糖類を分解する酵素をバイオマスの前処理に使用し、ペクチンを分解する能力を有する酵素、すなわちペクチナーゼを含み得る。植物細胞壁において、架橋されたセルロースのネットワークが、キシログルカンおよびある種の構造タンパク質と共有結合で架橋され得るペクチンの基質中に埋め込まれ得る。ペクチンはホモガラクツロナン(HG)またはラムノガラクツロナン(RH)を含み得る。
さらなる実施形態では、バイオマスの前処理は、C.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)において同定される、HGを加水分解し得るペクチナーゼを含む。HGは、アセチル化およびメチル化され得るD−ガラクツロン酸(D−galA)単位から構成され得る。HGを加水分解する酵素としては、例えば、1,4−アルファ−D−ガラクツロナンリアーゼ(EC 4.2.2.2)、例えばPL1、PL9およびPL11ファミリーメンバーなど;GH88およびGH105ファミリーメンバーのようなグルクロニルヒドロラーゼ;CE12ファミリーメンバーのようなペクチンアセチルエステラーゼ;ならびにCE8ファミリーメンバーのようなペクチンメチルエステラーゼを挙げ得る。
さらなる実施形態では、バイオマスの前処理は、C.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)において同定される、RHを加水分解し得るペクチナーゼを含む。RHは、交互に繰り返す1,2−アルファ−L−ラムノース(L−Rha)および1,4−アルファ−D−ガラクツロン残基からなる主鎖であり得る(Lau,J.M.,McNeil M.,Darvill A.G.& Albersheim P.Structure of the backbone of rhamnogalacturonan I,a pectic polysaccharide in the primary cell walls of plants. Carbohydrate research 137,111(1985))。主鎖のラムノース残基は、C4に結合したガラクタン、アラビナンまたはアラビノガラクタンを側鎖として有し得る。HGを加水分解する酵素としては、例えば、GH8ファミリーメンバーのようなエンドラムノガラクツロナーゼ;およびPL11ファミリーメンバーのようなラムノガラクツロナンリアーゼを挙げ得る。
いくつかの実施形態では、バイオマスの前処理は、デンプンを加水分解し得る酵素を含む。C.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)はデンプンおよびキチンを分解することができる(Warnick,T.A.,Methe,B.A.& Leschine,S.B.Clostridium phytofermentans sp.nov.,a cellulolytic mesophile from forest soil.Int.J.Syst.Evol.Microbiol.52,1155−1160(2002);Leschine,S.B.in Handbook on Clostridia(Durre,P.編(「u」はウムラウト付き))(CRC Press,Boca Raton,2005);Reguera,G.& Leschine,S.B.Chitin degradation by cellulolytic anaerobes and facultative aerobes from soils and sediments. FEMS Micro biol.Lett. 204,367−374(2001))。デンプンを加水分解する酵素としては、アルファ−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、ベータ−アミラーゼ、エキソ−アルファ−1,4−グルカナーゼおよびプルラナーゼが挙げられる。デンプン加水分解に関与し、C.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)において同定される予想される酵素の例としては、GH13ファミリーメンバーが挙げられる。
さらなる実施形態では、バイオマスの前処理は、キチンを加水分解し得る加水分解酵素を含む。キチンを加水分解し得る酵素の例としては、GH18およびGH19ファミリーメンバーが挙げられる。さらなる実施形態では、加水分解酵素は、地衣類を加水分解する酵素、すなわちリケナーゼとして、例えば、Cphy3388のようなGH16ファミリーメンバーを挙げ得る。
いくつかの実施形態では、バイオマスの前処理は、糖質結合モジュール含有タンパク質ファミリーのメンバー(CBM)である加水分解酵素を含む。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、CBMドメインは、酵素複合体を特定の基質に局在させるために機能し得る。セルロースと結合し得る、C.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)において同定される予想されるCBMファミリーの例としては、CBM2、CBM3、CBM4、CBM6およびCBM46ファミリーメンバーが挙げられる。キシランと結合し得る、C.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)において同定される予想されるCBMファミリーの例としては、CBM2、CBM4、CBM6、CBM13、CBM22、CBM35およびCBM36ファミリーメンバーが挙げられる。さらなる実施形態では、CBMドメインファミリーメンバーは、酵素複合体を安定化するために機能し得る。
いくつかの実施形態では、任意の上記方法による前処理後に、供給原料は、セルロース、ヘミセルロース、可溶性オリゴマー、単純糖、リグニン、揮発性物質および灰分を含有する。前処理のパラメーターを変化させて、前処理供給原料の成分濃度を変え得る。例えば、いくつかの実施形態では、前処理後に可溶性オリゴマーの濃度が高く、リグニンの濃度が低くなるように前処理を選択する。前処理のパラメーターの例としては、温度、圧力、時間およびpHが挙げられる。
いくつかの実施形態では、前処理原料の成分濃度が、Q微生物のような微生物での発酵に最適となるように、前処理のパラメーターを変化させて前処理供給原料の成分濃度を変える。
いくつかの実施形態では、前処理供給原料中の利用可能なセルロース濃度が1%、5%、10%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、19%、20%、30%、40%または50%になるように、前処理のパラメーターを変化させる。いくつかの実施形態では、前処理供給原料中の利用可能なセルロース濃度が5%〜30%になるように、前処理のパラメーターを変化させる。いくつかの実施形態では、前処理供給原料中の利用可能なセルロース濃度が10%〜20%になるように、前処理のパラメーターを変化させる。
いくつかの実施形態では、前処理供給原料中のヘミセルロース濃度が1%、5%、10%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、40%または50%になるように、前処理のパラメーターを変化させる。いくつかの実施形態では、前処理供給原料中のヘミセルロース濃度が5%〜40%になるように、前処理のパラメーターを変化させる。いくつかの実施形態では、前処理供給原料中のヘミセルロース濃度が10%〜30%になるように、前処理のパラメーターを変化させる。
いくつかの実施形態では、前処理供給原料中の可溶性オリゴマー濃度が1%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%になるように、前処理のパラメーターを変化させる。可溶性オリゴマーの例としては、セロビオースおよびキシロビオースが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、前処理供給原料中の可溶性オリゴマー濃度が30%〜90%になるように、前処理のパラメーターを変化させる。いくつかの実施形態では、前処理供給原料中の可溶性オリゴマー濃度が45%〜80%になるように、前処理のパラメーターを変化させる。いくつかの実施形態では、前処理供給原料中の可溶性オリゴマー濃度が45%〜80%であり、かつ可溶性オリゴマーが主としてセロビオースおよびキシロビオースであるように、前処理のパラメーターを変化させる。
いくつかの実施形態では、前処理供給原料中の単純糖濃度が1%、5%、10%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、19%、20%、30%、40%または50%になるように、前処理のパラメーターを変化させる。いくつかの実施形態では、前処理供給原料中の単純糖濃度が0%〜20%になるように、前処理のパラメーターを変化させる。いくつかの実施形態では、前処理供給原料中の単純糖濃度が0%〜5%になるように、前処理のパラメーターを変化させる。単純糖の例としては、C5およびC6単量体および二量体が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、前処理供給原料中のリグニン濃度が1%、5%、10%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、19%、20%、30%、40%または50%になるように、前処理のパラメーターを変化させる。いくつかの実施形態では、前処理供給原料中のリグニン濃度が0%〜20%になるように、前処理のパラメーターを変化させる。いくつかの実施形態では、前処理供給原料中のリグニン濃度が0%〜5%になるように、前処理のパラメーターを変化させる。いくつかの実施形態では、前処理供給原料中のリグニン濃度が1%〜2%未満になるように、前処理のパラメーターを変化させる。いくつかの実施形態では、フェノール類濃度が最小となるように、前処理のパラメーターを変化させる。
いくつかの実施形態では、前処理供給原料中のフルフラールおよび低分子量リグニンの濃度が10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%未満になるように、前処理のパラメーターを変化させる。いくつかの実施形態では、前処理供給原料中のフルフラールおよび低分子量リグニンの濃度が1%〜2%未満になるように、前処理のパラメーターを変化させる。
いくつかの実施形態では、利用可能なセルロース濃度が10%〜20%であり、ヘミセルロース濃度が10%〜30%であり、可溶性オリゴマー濃度が45%〜80%であり、単純糖濃度が0%〜5%であり、かつリグニン濃度が0%〜5%であり、かつ前処理供給原料中のフルフラールおよび低分子量リグニンの濃度が1%〜2%未満であるように、前処理のパラメーターを変化させる。
いくつかの実施形態では、高濃度のヘミセルロースおよび低濃度のリグニンを得るために、前処理のパラメーターを変化させる。いくつかの実施形態では、前処理原料の成分濃度が、Q微生物のような微生物での発酵に最適となるように、前処理のパラメーターを変化させて高濃度のヘミセルロースおよび低濃度のリグニンを得る。
いくつかの実施形態では、供給原料をpH8〜12で前処理して、前処理供給原料中の高濃度のヘミセルロースおよび低濃度のリグニンを得る。いくつかの実施形態では、前処理原料の成分濃度が、Q微生物のような微生物での発酵に最適となるように、供給原料をpH8〜12で前処理して高濃度のヘミセルロースおよび低濃度のリグニンを得る。温度および時間のような他のパラメーターを変化させて、所望の結果を得ることができる。例えば、いくつかの実施形態では、供給原料を低温下、pH8〜12で長時間前処理して、前処理供給原料中の高濃度のヘミセルロースおよび低濃度のリグニンを得る。
いくつかの実施形態では、前処理のパラメーターを変化させて、最大数のC5成分炭水化物を得る。いくつかの実施形態では、供給原料中の成分の結晶化度が天然の量以下になるように、前処理のパラメーターを変化させる。
いくつかの実施形態では、供給原料を様々な条件下、NaOH、KOHおよびCa(OH)のようなアルカリ化合物で処理して、前処理供給原料中での所望の成分濃度を得る。例えば、いくつかの実施形態では、処理後にヘミセルロースの濃度が高く、リグニンの濃度が低くなるように、供給原料を様々な条件下、NaOH、KOHおよびCa(OH)のようなアルカリ化合物で処理する。アルカリ処理は、過酸化水素または尿素のような薬剤と組み合わせて行い得る。
いくつかの実施形態では、前処理原料中の成分濃度が、Q微生物のような微生物での発酵に最適となるように、供給原料を様々な条件下、NaOH、KOHおよびCa(OH)のようなアルカリ化合物で処理する。アルカリ処理は、過酸化水素または尿素のような薬剤と組み合わせて行い得る。
いくつかの実施形態では、前処理原料中の成分濃度がQ微生物での発酵に最適となるように、供給原料をNaOHで処理する。NaOH前処理は、過酸化水素または尿素のような薬剤と組み合わせて行い得る。NaOH前処理は、単独でまたは過酸化水素もしくは尿素と組合せて、60℃、80℃、90℃、100℃、120℃、140℃、1600℃または180℃で行い得る。NaOH前処理は、単独でまたは過酸化水素もしくは尿素と組合せて、10、15、20、30、35、40、50分間、または1、5、7、9、10、11、15、20、25、30、35もしくは36時間行い得る。
いくつかの実施形態では、前処理原料中の成分濃度がQ微生物での発酵に最適となるように、供給原料をKOHで処理する。一実施形態では、KOH前処理は、過酸化水素または尿素のような薬剤と組み合わせて行い得る。別の実施形態では、Ca(OH)前処理は、単独でまたは過酸化水素もしくは尿素と組合せて、約60℃〜180℃で行い得る。別の実施形態では、KOH前処理は、単独でまたは過酸化水素もしくは尿素と組合せて、約60℃、80℃、90℃、100℃、120℃、140℃、160℃または180℃で行い得る。一実施形態では、KOH前処理は、単独でまたは過酸化水素もしくは尿素と組合せて、約1〜60分間行い得る。別の実施形態では、KOH前処理は、単独でまたは過酸化水素もしくは尿素と組合せて、約1〜96時間行い得る。別の実施形態では、KOH前処理は、単独でまたは過酸化水素もしくは尿素と組合せて、約10、15、20、30、35、40もしくは50分間、または約1、5、7、9、10、11、15、20、25、30、35、36、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90もしくは96時間行い得る。
一実施形態では、前処理原料中の成分濃度がQ微生物での発酵に最適となるように、供給原料をCa(OH)で処理する。別の実施形態では、Ca(OH)前処理は、過酸化水素または尿素のような薬剤と組合せて行い得る。別の実施形態では、Ca(OH)前処理は、単独でまたは過酸化水素もしくは尿素と組合せて、約60℃〜180℃で行い得る。別の実施形態では、Ca(OH)前処理は、単独でまたは過酸化水素もしくは尿素と組合せて、約60℃、80℃、90℃、100℃、120℃、140℃、160℃または180℃で行い得る。一実施形態では、Ca(OH)前処理は、単独でまたは過酸化水素もしくは尿素と組合せて、約1〜60分間行い得る。別の実施形態では、Ca(OH)前処理は、単独でまたは過酸化水素もしくは尿素と組合せて、約1〜96時間行い得る。別の実施形態では、Ca(OH)前処理は、単独でまたは過酸化水素もしくは尿素と組合せて、約10、15、20、30、35、40もしくは50分間、または約1、5、7、9、10、11、15、20、25、30、35、36、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90もしくは96時間行い得る。
エタノールまたは他の発酵最終産物の回収
本発明の別の態様では、アルコール(例えば、エタノール、プロパノール、メタノール、ブタノールなど)または別のバイオ燃料もしくは化学製品のような発酵最終産物を回収するための方法が提供される。一実施形態では、発酵中のある時点でブロスを回収し、1つまたは複数の発酵最終産物を回収する。エタノールを含んだ回収されるブロスは、エタノールおよび不純物を共に含む。不純物は、水、細胞体、細胞残屑、余剰炭素基質、余剰窒素基質、その他の残存栄養素、非エタノール代謝産物およびその他の培地成分または消化された培地成分などの物質を含む。ブロス処理の過程において、ブロスを加熱する、および/または様々な試薬と反応させることにより、ブロス中にさらなる不純物が生じ得る。
一実施形態では、エタノールを回収するための処理段階は多くの場合、例えば、純エタノール含有量の少ない原料からの高濃度エタノール原料の蒸留を含めた、いくつかの分離段階を含む。他の実施形態では、非常に高濃度、例えば98%または99%または99.5%(wt.)以上などのエタノールを得るために、高濃度エタノール原料をさらに濃縮し得る。他の分離段階、例えばろ過、遠心分離、抽出、吸着なども、製品もしくはバイオ燃料としてのエタノール、またはその他のバイオ燃料もしくは化学製品のいくつかの回収プロセスの一部であり得る。
一実施形態では、プロセスは、商業的に有用なバイオ燃料を生産するように調節し得る。別の実施形態では、Q微生物を用いて、アルコール、例えばエタノール、ブタノール、プロパノール、メタノール、または燃料、例えば炭化水素、水素、メタンおよびヒドロキシ化合物などを生産する。別の実施形態では、Q微生物を用いて、アルデヒドまたはケトン(例えば、アセトン、ホルムアルデヒド、1−プロパナールなど)のようなカルボニル化合物、有機酸、エステルのような有機酸誘導体(例えば、ワックスエステル、グリセリドなど)、1、2−プロパンジオール、1、3−プロパンジオール、乳酸、ギ酸、酢酸、コハク酸、ピルビン酸、あるいは酵素、例えばセルラーゼ、ポリサッカラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、リグニナーゼおよびヘミセルラーゼなどを生産する。
一実施形態では、発酵最終産物生産のためのフェドバッチ発酵が記載されている。別の実施形態では、エタノール生産のためのフェドバッチ発酵が記載されている。フェドバッチ培養は微生物プロセスの一種であり、このプロセスでは、培養中に、培地成分、例えば炭素基質、窒素基質、ビタミン、無機物、増殖因子、補助因子など、または生体触媒(例えば、新たな微生物、別の発酵でQ微生物により調製した酵素、他の微生物により調製した酵素、またはこれらの組合せ)を発酵槽に補充するが、培養ブロスは同じ時間および体積で回収しない。可溶性および不溶性基質、例えばバイオ燃料生産で使用され得るような基質などからの生物変換を向上させるために、様々な供給ストラテジーを用いて収率および/または生産性を高める。この技術を用いて、所与の時間内に高細胞密度を達成し得る。また、この技術を用いて、生物変換プロセスのための栄養をおよび基質の十分な供給も維持し得る。また、この技術を用いて、別の方法であれば達成が遅いか、または全く達成されないような、所望の生成物のより高い力価および生産性も達成し得る。
別の実施形態では、供給ストラテジーは、細胞生産速度とエタノール生産を伴うバイオマス供給原料の加水分解速度とのバランスをとる。十分な培地成分を多量に添加して、細胞生産およびエタノール生産を伴うバイオマス供給原料の加水分解の維持を達成する。いくつかの実施形態では、十分な炭素および窒素基質を多量に添加して、新たな細胞および多糖類から低分子量糖類への変換のための加水分解酵素の生産の維持、ならびに低分子量糖類から新たな細胞およびエタノールへの変換の維持を達成する。
別の実施形態では、微生物による成分の消費または摂取に合わせて追加の培地成分を添加することにより、培地成分のレベルを所望のレベルに維持する。培地成分の例としては、炭素基質、窒素基質、ビタミン、無機物、増殖因子、補助因子および生体触媒が挙げられるが、これらに限定されない。培地成分は、継続的に、または規則的もしくは不規則的な間隔で添加し得る。いくつかの実施形態では、培地中の培地成分が完全に枯渇する前に追加の培地成分を添加する。いくつかの実施形態では、例えば、異なる代謝経路を開始させるために、下流操作を簡素化するために、またはその他の理由でも、完全な枯渇を有効に利用し得る。いくつかの実施形態では、培地成分レベルをおよそ中間点で約10%変動させ、いくつかの実施形態では、それをおよそ中間点で約30%変動させ、またいくつかの実施形態では、それをおよそ中間点で60%以上変動させる。いくつかの実施形態における操作では、培地成分を適当なレベルまで枯渇させた後、培地成分レベルを別の適当なレベルまで増加させることにより、培地成分レベルを維持する。一実施形態では、ビタミンのような培地成分を、発酵プロセス中の2つの異なる時点で添加する。例えば、発酵開始時に総ビタミン量の半分を添加し、発酵の中間点で残りの半分を添加する。
別の実施形態では、微生物による窒素の消費または摂取に合わせて追加の窒素含有原料を添加することにより、窒素レベルを所望のレベルに維持する。窒素含有原料は、継続的に、または規則的もしくは不規則的な間隔で添加し得る。いくつかの実施形態では、培地中の利用可能な窒素が完全に枯渇する前に追加の窒素含有原料を添加する。いくつかの実施形態では、例えば、異なる代謝経路を開始させるために、下流操作を簡素化するために、またはその他の理由でも、完全な枯渇を有効に利用し得る。いくつかの実施形態では、窒素レベル(ブロス1リットル当たりの窒素含有原料中の実際の窒素グラム数により測定される)をおよそ中間点で約10%変動させ、いくつかの実施形態では、それをおよそ中間点で約30%変動させ、またいくつかの実施形態では、それをおよそ中間点で60%以上変動させる。いくつかの実施形態における操作では、窒素を適当なレベルまで枯渇させた後、窒素レベルを別の適当なレベルまで増加させることにより、窒素レベルを維持する。有効な窒素レベルとしては、約5〜約10g/Lのレベルが挙げられる。一実施形態では、約1〜約12g/Lのレベルも有効に使用され得る。別の実施形態では、約0.5、0.1g/Lなどのまたはさらに低いレベル、およびより高レベル、約20、30g/Lなどまたはさらに高いレベルが使用される。別の実施形態では、有効な窒素レベルは約0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30g/Lである。このような窒素レベルは、新たな細胞および加水分解酵素の生産を促進し得る。窒素レベルを増加させることにより、より高レベルの酵素および/またはより多くの細胞生産が起こり、その結果、所望の生成物のより高い生産性が生じ得る。窒素は、単純な窒素含有原料、例えばアンモニア化合物(例えば、硫酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、アンモニア、硝酸アンモニウム、またはアンモニウム部分を含有する任意の他の化合物もしくは混合物)、硝酸もしくは亜硝酸化合物(例えば、カリウム、ナトリウム、アンモニウム、カルシウム、または硝酸もしくは亜硝酸部分を含有する他の化合物もしくは混合物)などとして、あるいはより複雑な窒素含有原料、例えばアミノ酸、タンパク質、加水分解タンパク質、加水分解酵母、酵母抽出物、乾燥醸造酵母、酵母加水分解物、大豆タンパク質、加水分解大豆タンパク質、発酵産物、および加工またはコーンスティープパウダー(corn steep powder)または未加工の、タンパク質が豊富な植物性または動物性物質(豆、種子、大豆、豆類、殻果、乳、ブタ、ウシ、哺乳動物、魚類、およびその他の植物の一部分および他の種類の動物を含む)などとして供給し得る。様々な実施形態において有用な窒素含有原料としては、窒素含有原料を含有する原料も挙げられ、これには炭素源、別の窒素含有原料または他の栄養素もしくは非栄養素、およびAFEX処理された植物性物質と混合された、単純な、またはより複雑な窒素含有原料の混合物が含まれるが、これらに限定されない。
別の実施形態では、微生物による糖の消費または摂取に合わせて糖化合物または糖化合物を含有する原料(糖含有原料)を添加することにより、炭素レベルを所望のレベルに維持する。糖含有原料は、継続的に、または規則的もしくは不規則的な間隔で添加し得る。いくつかの実施形態では、培地中の利用可能な糖化合物が完全に枯渇する前に追加の糖含有原料を添加する。いくつかの実施形態では、例えば、異なる代謝経路を開始させるために、下流操作を簡素化するために、またはその他の理由でも、完全な枯渇を有効に利用し得る。いくつかの実施形態では、炭素レベル(ブロス1リットル当たりの糖含有原料中の実際の糖グラム数により測定される)をおよそ中間点で約10%変動させ、いくつかの実施形態では、それをおよそ中間点で約30%変動させ、またいくつかの実施形態では、それをおよそ中間点で60%以上変動させる。いくつかの実施形態における操作では、炭素を適当なレベルまで枯渇させた後、炭素レベルを別の適当なレベルまで増加させることにより、炭素レベルを維持する。いくつかの実施形態では、炭素レベルを約5〜約120g/Lのレベルに維持し得る。しかし、約30〜約100g/Lのレベルも約60〜約80g/Lのレベルと同様に、有効に使用し得る。一実施形態では、炭素レベルを、培養の間の一部で25g/Lよりも高く維持する。別の実施形態では、炭素レベルを約5g/L、6g/L、7g/L、8g/L、9g/L、10g/L、11g/L、12g/L、13g/L、14g/L、15g/L、16g/L、17g/L、18g/L、19g/L、20g/L、21g/L、22g/L、23g/L、24g/L、25g/L、26g/L、27g/L、28g/L、29g/L、30g/L、31g/L、32g/L、33g/L、34g/L、35g/L、36g/L、37g/L、38g/L、39g/L、40g/L、41g/L、42g/L、43g/L、44g/L、45g/L、46g/L、47g/L、48g/L、49g/L、50g/L、51g/L、52g/L、53g/L、54g/L、55g/L、56g/L、57g/L、58g/L、59g/L、60g/L、61g/L、62g/L、63g/L、64g/L、65g/L、66g/L、67g/L、68g/L、69g/L、70g/L、71g/L、72g/L、73g/L、74g/L、75g/L、76g/L、77g/L、78g/L、79g/L、80g/L、81g/L、82g/L、83g/L、84g/L、85g/L、86g/L、87g/L、88g/L、89g/L、90g/L、91g/L、92g/L、93g/L、94g/L、95g/L、96g/L、97g/L、98g/L、99g/L、100g/L、101g/L、102g/L、103g/L、104g/L、105g/L、106g/L、107g/L、108g/L、109g/L、110g/L、111g/L、112g/L、113g/L、114g/L、115g/L、116g/L、117g/L、118g/L、119g/L、120g/L、121g/L、122g/L、123g/L、124g/L、125g/L、126g/L、127g/L、128g/L、129g/L、130g/L、131g/L、132g/L、133g/L、134g/L、135g/L、136g/L、137g/L、138g/L、139g/L、140g/L、141g/L、142g/L、143g/L、144g/L、145g/L、146g/L、147g/L、148g/L、149g/Lまたは150g/Lに維持する。
炭素基質は、窒素基質と同様に細胞生産および酵素生産に必要であるが、窒素基質とは異なり、それはエタノールの原材料となる。多くの場合、炭素基質が多いほどエタノールの生産量は多い。
別の実施形態では、発酵時間の少なくとも一部で、炭素レベルと窒素レベルを互いに関連させて操作することが有利であり得る。一実施形態では、窒素に対する炭素の比を約30:1〜約10:1の範囲内に維持する。別の実施形態では、炭素−窒素比を約20:1〜約10:1、またはより好ましくは約15:1〜約10:1に維持する。別の実施形態では、炭素−窒素比は約30:1、29:1、28:1、27:1、26:1、25:1、24:1、23:1、22:1、21:1、20:1、19:1、18:1、17:1、16:1、15:1、14:1、13:1、12:1、11:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1または1:1である。
炭素の割合および窒素の割合を特定の範囲内に維持することにより、エタノール生産速度とバランスのとれた、存在する炭素基質量および酵素の量と活性に依存する炭素基質の加水分解速度のような操作に利益がもたらされる。こうしたバランスは重要であり得るが、これは例えば、高濃度の低分子量糖類の存在による細胞活動の阻害の可能性および長鎖糖類が存在しかつ加水分解に利用可能である期間を通して、酵素的加水分解の活性を維持する必要性が理由である。窒素に対する炭素の比のバランスをとることは、例えば、活性を失った酵素に替わるような酵素生産の維持を促進し得る。
別の実施形態では、炭素、窒素または他の培地成分添加の量および/またはタイミングは、発酵中に得られる測定結果に関連させ得る。例えば、存在する単糖類の量、存在する不溶性多糖の量、ポリサッカラーゼ活性、存在するエタノールの量、細胞原料の量(例えば、圧縮細胞量、乾燥細胞重量など)および/または存在する窒素(例えば、硝酸、亜硝酸、アンモニア、尿素、タンパク質、アミノ酸など)の量を測定し得る。特定種の濃度、発酵槽中に存在する種の総量、発酵を行った時間数および発酵槽の容積が考慮され得る。様々な実施形態では、これらの測定結果を相互に比較し得る、および/またはそれらを同じ発酵または別の発酵から以前得られた同じパラメーターの以前の測定結果と比較し得る。培地成分量の調節は、その成分を含有する流れの流速を変化させることにより、またはその成分の添加頻度を変化させることにより行い得る。一実施形態では、単糖類レベルがエタノールレベルの増加よりも速く増加場合に、多糖類の量を減少させ得る。別の実施形態では、単糖類レベルは低下しているがエタノール生産はほぼ一定である場合に、多糖類の量を増加させ得る。別の実施形態では、単糖類レベルが生細胞レベルよりも速く増加する場合に、窒素の量を増加させ得る。細胞生産がエタノール生産よりも速く増加する場合にも、多糖類の量を増加させ得る。別の実施形態では、酵素活性レベルが減少する場合に、窒素の量を増加させ得る。
別の実施形態では、例えば、異なる代謝経路を開始させる、または発酵プロセスの異なる生成物の収率を変化させために、培地成分の異なるレベルまたは完全枯渇を有効に利用し得る。例えば、培地成分の異なるレベルまたは完全枯渇を有効に利用して、エタノールの収率および生産性を増加させ、炭素利用(例えば、gエタノール/g発酵糖)および酸生産の減少(例えば、g酸/gエタノールおよびg酸/g発酵糖)を向上させ得る。いくつかの実施形態では、窒素の異なるレベルまたは完全枯渇を有効に利用して、エタノールの収率および生産性を増加させ、炭素利用(例えば、gエタノール/g発酵糖)および酸生産の減少(例えば、g酸/gエタノールおよびg酸/g発酵糖)を向上させ得る。いくつかの実施形態では、炭素の異なるレベルまたは完全枯渇を有効に利用して、エタノールの収率および生産性を増加させ、炭素利用(例えば、gエタノール/g発酵糖)および酸生産の減少(例えば、g酸/gエタノールおよびg酸/g発酵糖)を向上させ得る。いくつかの実施形態では、少なくとも一部の発酵時間での窒素レベルに対する炭素レベルの比を有効に利用して、エタノールの収率および生産性を増加させ、炭素利用(例えば、gエタノール/g発酵糖)および酸生産の減少(例えば、g酸/gエタノールおよびg酸/g発酵糖)を向上させ得る。
別の実施形態では、回収のためのブロスの一部を発酵終了の前に取り出さずに、発酵中に培地成分および/または新たな細胞を添加する、フェドバッチ操作を用い得る。一実施形態では、フェドバッチプロセスは、微生物培養物への増殖制限栄養培地の供給による。一実施形態では、供給培地は、バイオリアクターの希釈を避けるために非常に濃縮されている。別の実施形態では、制御された栄養素の添加が、培養物の増殖速度に直接影響し、かつ副代謝産物の形成のような過剰な代謝を回避する。一実施形態では、増殖制限栄養素は窒素源または糖源である。
別の実施形態では、別々の時間にブロスの一部を回収する、改変されたフェドバッチ操作を用い得る。このような改変されたフェドバッチ操作は、例えば、非常に長い発酵サイクルが用いられる場合に有利に用い得る。非常に長い発酵条件下では、発酵槽内の液体の体積が増加する。非常に長い期間操作するために、例えば、体積がほぼ一杯になったときに、発酵槽を一部空けることが有利であり得る。フェドバッチ操作などによる、ブロスの部分回収とそれに続く新たな培地成分の補充により、発酵槽の利用を向上させることができ、かつ設備の清掃および滅菌のような作業時間の削減による、より高いプラント処理能力を促進することができる。「部分回収」型の操作を用いる場合、発酵槽に残っているブロス、または新たな接種材料、またはこの2つの混合物を発酵に接種し得る。さらに、ブロスを新たな接種材料として、単独でまたは他の新たな接種材料と組み合わせて使用するために再利用し得る。
いくつかの実施形態では、ブロスの加水分解活性が減少したときに発酵中に培地成分および/または新たな細胞を添加する、フェドバッチ操作を用い得る。いくつかの実施形態では、ブロスの加水分解活性が約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または100%減少したときに、発酵中に培地成分および/または新たな細胞を添加する。
Q微生物は、長いまたは短い発酵サイクルで使用し得るが、ブロスにおいて低糖濃度を生じるか否かに関係なく、発酵の嫌気性条件、アルコールの存在、微生物の速い増殖速度、およびいくつかの実施形態では、固体の炭素基質の使用という理由から、長い発酵サイクルならびに部分回収、自然接種およびブロス再利用操作を伴う発酵での使用に特によく適している。
別の実施形態では、高濃度の1つ以上の炭素源を含む培地でQ微生物株を培養すること、および/または発酵過程でQ微生物の新たな細胞を添加して培養を増強することにより、エタノールを生産するための発酵を行う。得られるエタノール生産量は、バッチプロセスよりも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍まで、および場合により10倍以上まで高い体積生産性であり得、理論最大値に近い炭素変換効率を達成し得る。理論最大値は基質および生成物によって変化し得る。例えば、グルコースからエタノールへの一般に認められている最大変換効率は、0.51gエタノール/gグルコースである。一実施形態では、Q微生物は、エタノールの理論最大収率の約40〜100%を生産し得る。別の実施形態では、Q微生物は、エタノールの理論最大収率の約40%まで生産し得る。別の実施形態では、Q微生物は、エタノールの理論最大収率の約50%まで生産し得る。別の実施形態では、Q微生物は、エタノールの理論最大収率の約70%を生産し得る。別の実施形態では、Q微生物は、エタノールの理論最大収率の約90%を生産し得る。別の実施形態では、Q微生物は、エタノールの理論最大収率の約95%を生産し得る。別の実施形態では、Q微生物は、エタノールの理論最大収率の約95%を生産し得る。別の実施形態では、Q微生物は、エタノールの理論最大収率の約99%を生産し得る。別の実施形態では、Q微生物は、エタノールの理論最大収率の約100%を生産し得る。一実施形態では、Q微生物は、エタノールの理論最大収率の約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.99%または100%まで生産し得る。
種菌接種または細胞増加に使用するQ微生物細胞は、生産培地の成分の加水分解に有用な酵素を生産するその能力に関連する方法で調製または処理し得る。例えば、一実施形態では、Q微生物細胞は、生産培地または生産発酵槽に移された後に有用な酵素を生産し得る。別の実施形態では、Q微生物細胞は、生産培地または生産発酵槽への移動の前に、既に有用な酵素を生産していてもよい。別の実施形態では、Q微生物細胞は、生産培地もしくは生産発酵槽に一度移されると、有用な酵素を生産する態勢になり得る、またはQ微生物細胞は、上記酵素生産特性の何らかの組合せを有し得る。一実施形態では、種菌を最初にコーンシロップのような単純糖源を含有する培地で増殖させ、次いで、生産培地への移動の前に生産培地炭素源に移行させる。別の実施形態では、生産培地への移動の前に、単純糖および生産培地炭素源を組合せたもので種菌を増殖させる。別の実施形態では、種菌を始めから生産培地炭素源で増殖させる。別の実施形態では、種菌を生産培地で増殖させ、次いで、生産培地への移動の前に別の生産培地炭素源に移行させる。別の実施形態では、生産培地への移動の前に、生産培地炭素源を組合せたもので種菌を増殖させる。別の実施形態では、生産培地成分に対する活性を有する加水分解酵素の生産に有利な炭素源で増殖させる。
別の実施形態では、Q微生物株を培養すること、ならびに発酵槽内の細胞が増殖している間に新たな培地成分および新たなQ微生物細胞を添加することにより、エタノールを生産するための発酵を行う。炭素、窒素およびこれらの組合せのような培地成分と同様に、培地中のこれら栄養素の有効なレベルを維持するのに十分なビタミン、因子類、補助因子、酵素、無機物、塩などを含めた他の栄養素を、本明細書に開示される通りに添加し得る。培地およびQ微生物細胞は、同時にまたは1つずつ添加し得る。別の実施形態では、加水分解酵素の活性が減少したとき、特に、アルコールの存在に対してより感受性の高いこれら加水分解酵素の活性が減少したときに、新たなQ微生物細胞を添加し得る。新たなQ微生物細胞の添加後に、窒素供給物または窒素供給物と炭素供給物の組合せ、および/または他の培地成分を供給して、酵素生産または他の細胞活動を延長し得る。別の実施形態では、細胞に十分な炭素および窒素を添加して、次の新たな細胞添加まで酵素生産または他の細胞活動を十分に延長し得る。別の実施形態では、発酵層内に存在する窒素レベルおよび炭素レベルが共に減少したときに、新たなQ微生物細胞を添加し得る。別の実施形態では、生細胞数が減少したとき、特に、窒素レベルが比較的安定しているかまたは増加しているときに、新たなQ微生物細胞を添加し得る。別の実施形態では、かなりの割合の生細胞が、胞子形成過程にあるかまたは既に胞子を形成しているときに、新たな細胞を添加し得る。新たなQ微生物細胞の添加に適した時期は、胞子形成過程にあるかまたは既に胞子を形成している細胞の割合が、約2%〜約100%、約10%〜約75%、約20%〜約50%であるか、あるいは約25%〜約30%の細胞が、胞子形成過程にあるかまたは既に胞子を形成しているときであり得る。
他の実施形態では、接種材料として再利用細胞を培養することにより、エタノールを生産するための発酵を行う。より高い個体密度を使用してエタノール生産を増加させ得る。接種材料の適切なレベルとしては、約0.01%(v/v)未満または約0.01%〜約0.1%(v/v)、約0.1%〜約1%(v/v)、約1%〜約3%(v/v)、約3%〜約5%(v/v)、または10%(v/v)、またはそれを超えるレベルの使用が挙げられる。接種材料の細胞数は、様々な方法、例えば吸光度、顕微鏡解析、圧縮細胞量、乾燥細胞重量、DNA解析などにより測定し得る。接種材料中の適切な細胞レベルは、約0.01g/mL〜約0.05g/mL乾燥細胞重量(DCW)、約0.05g/mL〜約0.1g/mL乾燥細胞重量(DCW)、または約0.1g/mL〜約0.3g/mL乾燥細胞重量(DCW)であり得る。発酵培地内に接種される細胞総量は、乾燥細胞重量または他の適当な手段により決定されるような細胞レベルと、接種材料レベルとを関連させることで決定し得る。好適な総細胞量としては、ブロス1ml当り約0.0001〜約0.001g乾燥細胞、ブロス1ml当り約0.001〜約0.01g乾燥細胞、またはブロス1ml当り約0.01〜約0.03g乾燥細胞が挙げられるが、場合によっては、これより高いまたは低い総量を使用し得る。より高いエタノール力価は、例えば再利用細胞の量を変化させること;細胞を再利用する回数を変化させること;本明細書に記載の手段などにより培地成分レベル(例えば、炭素および窒素レベルを別々にまたは状況に合わせて)を変化させること;および本明細書に記載のような培地成分源(例えば、炭素および/または窒素源)を変化させることなどのような技術により達成し得る。これらを含めた技術により高エタノール濃度を達成し得る。一実施形態では、本明細書に記載の方法により達成し得るエタノール濃度は約20g/L、21g/L、22g/L、23g/L、24g/L、25g/L、26g/L、27g/L、28g/L、29g/L、30g/L、31g/L、32g/L、33g/L、34g/L、35g/L、36g/L、37g/L、38g/L、39g/L、40g/L、41g/L、42g/L、43g/L、44g/L、45g/L、46g/L、47g/L、48g/L、49g/L、50g/L、51g/L、52g/L、53g/L、54g/L、55g/L、56g/L、57g/L、58g/L、59g/L、60g/L、61g/L、62g/L、63g/L、64g/L、65g/L、66g/L、67g/L、68g/L、69g/L、70g/L、71g/L、72g/L、73g/L、74g/L、75g/L、76g/L、77g/L、78g/L、79g/L、80g/L、81g/L、82g/L、83g/L、84g/L、85g/L、86g/L、87g/L、88g/L、89g/L、90g/L、91g/L、92g/L、93g/L、94g/L、95g/L、96g/L、97g/L、98g/L、99g/L、100g/L、101g/L、102g/L、103g/L、104g/L、105g/L、106g/L、107g/L、108g/L、109g/L、110g/L、111g/L、112g/L、113g/L、114g/L、115g/L、116g/L、117g/L、118g/L、119g/L、120g/L、121g/L、122g/L、123g/L、124g/L、125g/L、126g/L、127g/L、128g/L、129g/L、130g/L、131g/L、132g/L、133g/L、134g/L、135g/L、136g/L、137g/L、138g/L、139g/L、140g/L、141g/L、142g/L、143g/L、144g/L、145g/L、146g/L、147g/L、148g/L、149g/L、150g/L、151g/L、152g/L、153g/L、154g/L、155g/L、156g/L、157g/L、158g/L、159g/L、160g/L、161g/L、162g/L、163g/L、164g/L、165g/L、166g/L、167g/L、168g/L、169g/L、170g/L、171g/L、172g/L、173g/L、174g/L、175g/L、176g/L、177g/L、178g/L、179g/L、180g/Lまたは181g/Lである。
別の実施形態では、Q微生物株を培養すること、ならびに発酵槽内の細胞が細胞増殖段階(例えば、接種段階)および/または発酵の最終発酵段階である間に再利用Q微生物細胞を添加することにより、エタノールを生産するための発酵を行う。いかなる理論にも拘束されることを意図しないが、本明細書に記載の結果は、再利用細胞が、高エタノール濃度に対する耐性およびそのような環境中での増殖能力を有することを示している。したがって、こうした耐性および能力は、細胞増殖段階(例えば、接種段階)およびエタノール生産発酵を含めた上記濃度のエタノールが存在する発酵の最終発酵段階のような状況に対して、または上記濃度のエタノール存在下での他の生成物生産に対して有用であり得る。
培地組成物
様々な実施形態では、特定の培地成分が発酵の遂行に有益な効果、例えば所望の生成物力価の増加または所望の生成物の生産速度の増加などを有し得る。特定のアミノ酸、促進因子、補助因子または他の有用な化合物を提供するために、特定のアミノ酸のような特定の純成分として特定の化合物を供給してもよく、あるいは微生物性、植物性または動物性製品を培地成分として用いるなどして、より複雑な原料の一成分として特定の化合物を供給してもよい。ある場合には、培地成分中に供給される特定の化合物は、発酵に有用な化合物を生じる微生物による他の化合物と組み合わせ得る。この状況の一例は、微生物が発酵に有用な酵素を生成するために使用する特定のアミノ酸を培地成分が提供する場合であり得る。他の例としては、増殖を引き起こすまたは促進因子を生産するために使用される培地成分を挙げ得る。このような場合、酵素、プロモーター、増殖因子などを補充することにより、または前駆体を添加することにより、発酵に有用な結果を得ることが可能であり得る。場合によっては、培地成分が発酵に利益をもたらす特定の機構が不明で、有用な結果だけが達成される。
一実施形態では、酵母抽出物を添加することにより、有用な発酵結果を達成し得る。酵母抽出物の典型的な組成を表8に示す。酵母抽出物の添加は、バッチ発酵におけるエタノール力価の増加、生産性の向上および有機酸のような副生成物生産の減少をもたらし得る。一実施形態では、約0.5〜約50g/L、約5〜約30g/Lまたは約10〜約30g/Lの使用レベルでの実施形態の方法において、酵母抽出物による有用な結果を達成し得る。別の実施形態では、酵母抽出物を約0.5g/L、0.6g/L、0.7g/L、0.8g/L、0.9g/L、1g/L、1.1g/L、1.2g/L、1.3g/L、1.4g/L、1.5g/L、1.6g/L、1.7g/L、1.8g/L、1.9g/L、2g/L、2.1g/L、2.2g/L、2.3g/L、2.4g/L、2.5g/L、2.6g/L、2.7g/L、2.8g/L、2.9g/L、3g/L、3.1g/L、3.2g/L、3.3g/L、3.4g/L、3.5g/L、3.6g/L、3.7g/L、3.8g/L、3.9g/L、4g/L、4.1g/L、4.2g/L、4.3g/L、4.4g/L、4.5g/L、4.6g/L、4.7g/L、4.8g/L、4.9g/L、5g/L、5.1g/L、5.2g/L、5.3g/L、5.4g/L、5.5g/L、5.6g/L、5.7g/L、5.8g/L、5.9g/L、6g/L、6.1g/L、6.2g/L、6.3g/L、6.4g/L、6.5g/L、6.6g/L、6.7g/L、6.8g/L、6.9g/L、7g/L、7.1g/L、7.2g/L、7.3g/L、7.4g/L、7.5g/L、7.6g/L、7.7g/L、7.8g/L、7.9g/L、8g/L、8.1g/L、8.2g/L、8.3g/L、8.4g/L、8.5g/L、8.6g/L、8.7g/L、8.8g/L、8.9g/L、9g/L、9.1g/L、9.2g/L、9.3g/L、9.4g/L、9.5g/L、9.6g/L、9.7g/L、9.8g/L、9.9g/L、10g/L、10.1g/L、10.2g/L、10.3g/L、10.4g/L、10.5g/L、10.6g/L、10.7g/L、10.8g/L、10.9g/L、11g/L、11.1g/L、11.2g/L、11.3g/L、11.4g/L、11.5g/L、11.6g/L、11.7g/L、11.8g/L、11.9g/L、12g/L、12.1g/L、12.2g/L、12.3g/L、12.4g/L、12.5g/L、12.6g/L、12.7g/L、12.8g/L、12.9g/L、13g/L、13.1g/L、13.2g/L、13.3g/L、13.4g/L、13.5g/L、13.6g/L、13.7g/L、13.8g/L、13.9g/L、14g/L、14.1g/L、14.2g/L、14.3g/L、14.4g/L、14.5g/L、14.6g/L、14.7g/L、14.8g/L、14.9g/L、15g/L、15.1g/L、15.2g/L、15.3g/L、15.4g/L、15.5g/L、15.6g/L、15.7g/L、15.8g/L、15.9g/L、16g/L、16.1g/L、16.2g/L、16.3g/L、16.4g/L、16.5g/L、16.6g/L、16.7g/L、16.8g/L、16.9g/L、17g/L、17.1g/L、17.2g/L、17.3g/L、17.4g/L、17.5g/L、17.6g/L、17.7g/L、17.8g/L、17.9g/L、18g/L、18.1g/L、18.2g/L、18.3g/L、18.4g/L、18.5g/L、18.6g/L、18.7g/L、18.8g/L、18.9g/L、19g/L、19.1g/L、19.2g/L、19.3g/L、19.4g/L、19.5g/L、19.6g/L、19.7g/L、19.8g/L、19.9g/L、20g/L、20.1g/L、20.2g/L、20.3g/L、20.4g/L、20.5g/L、20.6g/L、20.7g/L、20.8g/L、20.9g/L、21g/L、21.1g/L、21.2g/L、21.3g/L、21.4g/L、21.5g/L、21.6g/L、21.7g/L、21.8g/L、21.9g/L、22g/L、22.1g/L、22.2g/L、22.3g/L、22.4g/L、22.5g/L、22.6g/L、22.7g/L、22.8g/L、22.9g/L、23g/L、23.1g/L、23.2g/L、23.3g/L、23.4g/L、23.5g/L、23.6g/L、23.7g/L、23.8g/L、23.9g/L、24g/L、24.1g/L、24.2g/L、24.3g/L、24.4g/L、24.5g/L、24.6g/L、24.7g/L、24.8g/L、24.9g/L、25g/L、25.1g/L、25.2g/L、25.3g/L、25.4g/L、25.5g/L、25.6g/L、25.7g/L、25.8g/L、25.9g/L、26g/L、26.1g/L、26.2g/L、26.3g/L、26.4g/L、26.5g/L、26.6g/L、26.7g/L、26.8g/L、26.9g/L、27g/L、27.1g/L、27.2g/L、27.3g/L、27.4g/L、27.5g/L、27.6g/L、27.7g/L、27.8g/L、27.9g/L、28g/L、28.1g/L、28.2g/L、28.3g/L、28.4g/L、28.5g/L、28.6g/L、28.7g/L、28.8g/L、28.9g/L、29g/L、29.1g/L、29.2g/L、29.3g/L、29.4g/L、29.5g/L、29.6g/L、29.7g/L、29.8g/L、29.9g/L、30g/L、30.1g/L、30.2g/L、30.3g/L、30.4g/L、30.5g/L、30.6g/L、30.7g/L、30.8g/L、30.9g/L、31g/L、31.1g/L、31.2g/L、31.3g/L、31.4g/L、31.5g/L、31.6g/L、31.7g/L、31.8g/L、31.9g/L、32g/L、32.1g/L、32.2g/L、32.3g/L、32.4g/L、32.5g/L、32.6g/L、32.7g/L、32.8g/L、32.9g/L、33g/L、33.1g/L、33.2g/L、33.3g/L、33.4g/L、33.5g/L、33.6g/L、33.7g/L、33.8g/L、33.9g/L、34g/L、34.1g/L、34.2g/L、34.3g/L、34.4g/L、34.5g/L、34.6g/L、34.7g/L、34.8g/L、34.9g/L、35g/L、35.1g/L、35.2g/L、35.3g/L、35.4g/L、35.5g/L、35.6g/L、35.7g/L、35.8g/L、35.9g/L、36g/L、36.1g/L、36.2g/L、36.3g/L、36.4g/L、36.5g/L、36.6g/L、36.7g/L、36.8g/L、36.9g/L、37g/L、37.1g/L、37.2g/L、37.3g/L、37.4g/L、37.5g/L、37.6g/L、37.7g/L、37.8g/L、37.9g/L、38g/L、38.1g/L、38.2g/L、38.3g/L、38.4g/L、38.5g/L、38.6g/L、38.7g/L、38.8g/L、38.9g/L、39g/L、39.1g/L、39.2g/L、39.3g/L、39.4g/L、39.5g/L、39.6g/L、39.7g/L、39.8g/L、39.9g/L、40g/L、40.1g/L、40.2g/L、40.3g/L、40.4g/L、40.5g/L、40.6g/L、40.7g/L、40.8g/L、40.9g/L、41g/L、41.1g/L、41.2g/L、41.3g/L、41.4g/L、41.5g/L、41.6g/L、41.7g/L、41.8g/L、41.9g/L、42g/L、42.1g/L、42.2g/L、42.3g/L、42.4g/L、42.5g/L、42.6g/L、42.7g/L、42.8g/L、42.9g/L、43g/L、43.1g/L、43.2g/L、43.3g/L、43.4g/L、43.5g/L、43.6g/L、43.7g/L、43.8g/L、43.9g/L、44g/L、44.1g/L、44.2g/L、44.3g/L、44.4g/L、44.5g/L、44.6g/L、44.7g/L、44.8g/L、44.9g/L、45g/L、45.1g/L、45.2g/L、45.3g/L、45.4g/L、45.5g/L、45.6g/L、45.7g/L、45.8g/L、45.9g/L、46g/L、46.1g/L、46.2g/L、46.3g/L、46.4g/L、46.5g/L、46.6g/L、46.7g/L、46.8g/L、46.9g/L、47g/L、47.1g/L、47.2g/L、47.3g/L、47.4g/L、47.5g/L、47.6g/L、47.7g/L、47.8g/L、47.9g/L、48g/L、48.1g/L、48.2g/L、48.3g/L、48.4g/L、48.5g/L、48.6g/L、48.7g/L、48.8g/L、48.9g/L、49g/L、49.1g/L、49.2g/L、49.3g/L、49.4g/L、49.5g/L、49.6g/L、49.7g/L、49.8g/L、49.9g/Lまたは50g/Lのレベルで使用する。
酵母抽出物を全発酵過程または発酵の一部にわたって、継続的に供給するか、または間隔を置いて供給することもできる。一実施形態では、使用レベルは、窒素の少なくとも一部がコーンスティープパウダー(corn steep powder)から供給される、約0.05g/L〜約3g/L(窒素として);または約0.3g/L〜1.3g/L;または0.4g/L〜約0.9g/Lの窒素濃度の維持を含む。別の実施形態では、窒素濃度は約0.05g/L、0.06g/L、0.07g/L、0.08g/L、0.09g/L、0.1g/L、0.11g/L、0.12g/L、0.13g/L、0.14g/L、0.15g/L、0.16g/L、0.17g/L、0.18g/L、0.19g/L、0.2g/L、0.21g/L、0.22g/L、0.23g/L、0.24g/L、0.25g/L、0.26g/L、0.27g/L、0.28g/L、0.29g/L、0.3g/L、0.31g/L、0.32g/L、0.33g/L、0.34g/L、0.35g/L、0.36g/L、0.37g/L、0.38g/L、0.39g/L、0.4g/L、0.41g/L、0.42g/L、0.43g/L、0.44g/L、0.45g/L、0.46g/L、0.47g/L、0.48g/L、0.49g/L、0.5g/L、0.51g/L、0.52g/L、0.53g/L、0.54g/L、0.55g/L、0.56g/L、0.57g/L、0.58g/L、0.59g/L、0.6g/L、0.61g/L、0.62g/L、0.63g/L、0.64g/L、0.65g/L、0.66g/L、0.67g/L、0.68g/L、0.69g/L、0.7g/L、0.71g/L、0.72g/L、0.73g/L、0.74g/L、0.75g/L、0.76g/L、0.77g/L、0.78g/L、0.79g/L、0.8g/L、0.81g/L、0.82g/L、0.83g/L、0.84g/L、0.85g/L、0.86g/L、0.87g/L、0.88g/L、0.89g/L、0.9g/L、0.91g/L、0.92g/L、0.93g/L、0.94g/L、0.95g/L、0.96g/L、0.97g/L、0.98g/L、0.99g/L、1g/L、1.01g/L、1.02g/L、1.03g/L、1.04g/L、1.05g/L、1.06g/L、1.07g/L、1.08g/L、1.09g/L、1.1g/L、1.11g/L、1.12g/L、1.13g/L、1.14g/L、1.15g/L、1.16g/L、1.17g/L、1.18g/L、1.19g/L、1.2g/L、1.21g/L、1.22g/L、1.23g/L、1.24g/L、1.25g/L、1.26g/L、1.27g/L、1.28g/L、1.29g/L、1.3g/L、1.31g/L、1.32g/L、1.33g/L、1.34g/L、1.35g/L、1.36g/L、1.37g/L、1.38g/L、1.39g/L、1.4g/L、1.41g/L、1.42g/L、1.43g/L、1.44g/L、1.45g/L、1.46g/L、1.47g/L、1.48g/L、1.49g/L、1.5g/L、1.51g/L、1.52g/L、1.53g/L、1.54g/L、1.55g/L、1.56g/L、1.57g/L、1.58g/L、1.59g/L、1.6g/L、1.61g/L、1.62g/L、1.63g/L、1.64g/L、1.65g/L、1.66g/L、1.67g/L、1.68g/L、1.69g/L、1.7g/L、1.71g/L、1.72g/L、1.73g/L、1.74g/L、1.75g/L、1.76g/L、1.77g/L、1.78g/L、1.79g/L、1.8g/L、1.81g/L、1.82g/L、1.83g/L、1.84g/L、1.85g/L、1.86g/L、1.87g/L、1.88g/L、1.89g/L、1.9g/L、1.91g/L、1.92g/L、1.93g/L、1.94g/L、1.95g/L、1.96g/L、1.97g/L、1.98g/L、1.99g/L、2g/L、2.01g/L、2.02g/L、2.03g/L、2.04g/L、2.05g/L、2.06g/L、2.07g/L、2.08g/L、2.09g/L、2.1g/L、2.11g/L、2.12g/L、2.13g/L、2.14g/L、2.15g/L、2.16g/L、2.17g/L、2.18g/L、2.19g/L、2.2g/L、2.21g/L、2.22g/L、2.23g/L、2.24g/L、2.25g/L、2.26g/L、2.27g/L、2.28g/L、2.29g/L、2.3g/L、2.31g/L、2.32g/L、2.33g/L、2.34g/L、2.35g/L、2.36g/L、2.37g/L、2.38g/L、2.39g/L、2.4g/L、2.41g/L、2.42g/L、2.43g/L、2.44g/L、2.45g/L、2.46g/L、2.47g/L、2.48g/L、2.49g/L、2.5g/L、2.51g/L、2.52g/L、2.53g/L、2.54g/L、2.55g/L、2.56g/L、2.57g/L、2.58g/L、2.59g/L、2.6g/L、2.61g/L、2.62g/L、2.63g/L、2.64g/L、2.65g/L、2.66g/L、2.67g/L、2.68g/L、2.69g/L、2.7g/L、2.71g/L、2.72g/L、2.73g/L、2.74g/L、2.75g/L、2.76g/L、2.77g/L、2.78g/L、2.79g/L、2.8g/L、2.81g/L、2.82g/L、2.83g/L、2.84g/L、2.85g/L、2.86g/L、2.87g/L、2.88g/L、2.89g/L、2.9g/L、2.91g/L、2.92g/L、2.93g/L、2.94g/L、2.95g/L、2.96g/L、2.97g/L、2.98g/L、2.99g/Lまたは3g/Lである。
一実施形態では、コーンスティープパウダー(corn steep powder)を発酵に添加することにより、有用な発酵結果を達成し得る。別の実施形態では、コーンスティープパウダー(corn steep powder)の典型的な組成を表1〜2に示す。コーンスティープパウダー(corn steep powder)の添加は、バッチ発酵におけるエタノール力価の増加、生産性の向上および有機酸のような副生成物生産の減少をもたらし得る。別の実施形態では、約3〜約20g/L、約5〜約15g/Lまたは約8〜約12g/Lの使用レベルでの実施形態の方法において、コーンスティープパウダー(corn steep powder)による有用な結果を達成し得る。別の実施形態では、スティープパウダーによる有用な結果は約3g/L、3.1g/L、3.2g/L、3.3g/L、3.4g/L、3.5g/L、3.6g/L、3.7g/L、3.8g/L、3.9g/L、4g/L、4.1g/L、4.2g/L、4.3g/L、4.4g/L、4.5g/L、4.6g/L、4.7g/L、4.8g/L、4.9g/L、5g/L、5.1g/L、5.2g/L、5.3g/L、5.4g/L、5.5g/L、5.6g/L、5.7g/L、5.8g/L、5.9g/L、6g/L、6.1g/L、6.2g/L、6.3g/L、6.4g/L、6.5g/L、6.6g/L、6.7g/L、6.8g/L、6.9g/L、7g/L、7.1g/L、7.2g/L、7.3g/L、7.4g/L、7.5g/L、7.6g/L、7.7g/L、7.8g/L、7.9g/L、8g/L、8.1g/L、8.2g/L、8.3g/L、8.4g/L、8.5g/L、8.6g/L、8.7g/L、8.8g/L、8.9g/L、9g/L、9.1g/L、9.2g/L、9.3g/L、9.4g/L、9.5g/L、9.6g/L、9.7g/L、9.8g/L、9.9g/L、10g/L、10.1g/L、10.2g/L、10.3g/L、10.4g/L、10.5g/L、10.6g/L、10.7g/L、10.8g/L、10.9g/L、11g/L、11.1g/L、11.2g/L、11.3g/L、11.4g/L、11.5g/L、11.6g/L、11.7g/L、11.8g/L、11.9g/L、12g/L、12.1g/L、12.2g/L、12.3g/L、12.4g/L、12.5g/L、12.6g/L、12.7g/L、12.8g/L、12.9g/L、13g/L、13.1g/L、13.2g/L、13.3g/L、13.4g/L、13.5g/L、13.6g/L、13.7g/L、13.8g/L、13.9g/L、14g/L、14.1g/L、14.2g/L、14.3g/L、14.4g/L、14.5g/L、14.6g/L、14.7g/L、14.8g/L、14.9g/L、15g/L、15.1g/L、15.2g/L、15.3g/L、15.4g/L、15.5g/L、15.6g/L、15.7g/L、15.8g/L、15.9g/L、16g/L、16.1g/L、16.2g/L、16.3g/L、16.4g/L、16.5g/L、16.6g/L、16.7g/L、16.8g/L、16.9g/L、17g/L、17.1g/L、17.2g/L、17.3g/L、17.4g/L、17.5g/L、17.6g/L、17.7g/L、17.8g/L、17.9g/L、18g/L、18.1g/L、18.2g/L、18.3g/L、18.4g/L、18.5g/L、18.6g/L、18.7g/L、18.8g/L、18.9g/L、19g/L、19.1g/L、19.2g/L、19.3g/L、19.4g/L、19.5g/L、19.6g/L、19.7g/L、19.8g/L、19.9g/Lまたは20g/Lのレベルで達成し得る。
一実施形態では、コーンスティープパウダー(corn steep powder)を全発酵過程または発酵の一部にわたって、継続的に供給するか、または間隔を置いて供給することもできる。別の実施形態では、使用レベルは、窒素の少なくとも一部がコーンスティープパウダー(corn steep powder)から供給される、約0.05g/L〜約3g/L(窒素として);約0.3g/L〜1.3g/L;または約0.4g/L〜約0.9g/Lの窒素濃度の維持を含む。別の実施形態では、窒素レベルは約0.05g/L、0.06g/L、0.07g/L、0.08g/L、0.09g/L、0.1g/L、0.11g/L、0.12g/L、0.13g/L、0.14g/L、0.15g/L、0.16g/L、0.17g/L、0.18g/L、0.19g/L、0.2g/L、0.21g/L、0.22g/L、0.23g/L、0.24g/L、0.25g/L、0.26g/L、0.27g/L、0.28g/L、0.29g/L、0.3g/L、0.31g/L、0.32g/L、0.33g/L、0.34g/L、0.35g/L、0.36g/L、0.37g/L、0.38g/L、0.39g/L、0.4g/L、0.41g/L、0.42g/L、0.43g/L、0.44g/L、0.45g/L、0.46g/L、0.47g/L、0.48g/L、0.49g/L、0.5g/L、0.51g/L、0.52g/L、0.53g/L、0.54g/L、0.55g/L、0.56g/L、0.57g/L、0.58g/L、0.59g/L、0.6g/L、0.61g/L、0.62g/L、0.63g/L、0.64g/L、0.65g/L、0.66g/L、0.67g/L、0.68g/L、0.69g/L、0.7g/L、0.71g/L、0.72g/L、0.73g/L、0.74g/L、0.75g/L、0.76g/L、0.77g/L、0.78g/L、0.79g/L、0.8g/L、0.81g/L、0.82g/L、0.83g/L、0.84g/L、0.85g/L、0.86g/L、0.87g/L、0.88g/L、0.89g/L、0.9g/L、0.91g/L、0.92g/L、0.93g/L、0.94g/L、0.95g/L、0.96g/L、0.97g/L、0.98g/L、0.99g/L、1g/L、1.01g/L、1.02g/L、1.03g/L、1.04g/L、1.05g/L、1.06g/L、1.07g/L、1.08g/L、1.09g/L、1.1g/L、1.11g/L、1.12g/L、1.13g/L、1.14g/L、1.15g/L、1.16g/L、1.17g/L、1.18g/L、1.19g/L、1.2g/L、1.21g/L、1.22g/L、1.23g/L、1.24g/L、1.25g/L、1.26g/L、1.27g/L、1.28g/L、1.29g/L、1.3g/L、1.31g/L、1.32g/L、1.33g/L、1.34g/L、1.35g/L、1.36g/L、1.37g/L、1.38g/L、1.39g/L、1.4g/L、1.41g/L、1.42g/L、1.43g/L、1.44g/L、1.45g/L、1.46g/L、1.47g/L、1.48g/L、1.49g/L、1.5g/L、1.51g/L、1.52g/L、1.53g/L、1.54g/L、1.55g/L、1.56g/L、1.57g/L、1.58g/L、1.59g/L、1.6g/L、1.61g/L、1.62g/L、1.63g/L、1.64g/L、1.65g/L、1.66g/L、1.67g/L、1.68g/L、1.69g/L、1.7g/L、1.71g/L、1.72g/L、1.73g/L、1.74g/L、1.75g/L、1.76g/L、1.77g/L、1.78g/L、1.79g/L、1.8g/L、1.81g/L、1.82g/L、1.83g/L、1.84g/L、1.85g/L、1.86g/L、1.87g/L、1.88g/L、1.89g/L、1.9g/L、1.91g/L、1.92g/L、1.93g/L、1.94g/L、1.95g/L、1.96g/L、1.97g/L、1.98g/L、1.99g/L、2g/L、2.01g/L、2.02g/L、2.03g/L、2.04g/L、2.05g/L、2.06g/L、2.07g/L、2.08g/L、2.09g/L、2.1g/L、2.11g/L、2.12g/L、2.13g/L、2.14g/L、2.15g/L、2.16g/L、2.17g/L、2.18g/L、2.19g/L、2.2g/L、2.21g/L、2.22g/L、2.23g/L、2.24g/L、2.25g/L、2.26g/L、2.27g/L、2.28g/L、2.29g/L、2.3g/L、2.31g/L、2.32g/L、2.33g/L、2.34g/L、2.35g/L、2.36g/L、2.37g/L、2.38g/L、2.39g/L、2.4g/L、2.41g/L、2.42g/L、2.43g/L、2.44g/L、2.45g/L、2.46g/L、2.47g/L、2.48g/L、2.49g/L、2.5g/L、2.51g/L、2.52g/L、2.53g/L、2.54g/L、2.55g/L、2.56g/L、2.57g/L、2.58g/L、2.59g/L、2.6g/L、2.61g/L、2.62g/L、2.63g/L、2.64g/L、2.65g/L、2.66g/L、2.67g/L、2.68g/L、2.69g/L、2.7g/L、2.71g/L、2.72g/L、2.73g/L、2.74g/L、2.75g/L、2.76g/L、2.77g/L、2.78g/L、2.79g/L、2.8g/L、2.81g/L、2.82g/L、2.83g/L、2.84g/L、2.85g/L、2.86g/L、2.87g/L、2.88g/L、2.89g/L、2.9g/L、2.91g/L、2.92g/L、2.93g/L、2.94g/L、2.95g/L、2.96g/L、2.97g/L、2.98g/L、2.99g/Lまたは3g/Lである。
別の実施形態では、コーンスティープリカー(corn steep liquor)またはコーンスティープソリッド(corn steep solid)のような他の関連製品を使用し得る。コーンスティープリカー(corn steep liquor)を使用した場合、その使用比率は、固体ベースでコーンスティープソリッド(corn steep solid)のときとほぼ同じである。別の実施形態では、コーンスティープパウダー(corn steep powder)(またはソリッド(solid)またはリカー(liquor))を、存在するかまたはこれから添加する炭素基質の量に関連させて添加する。このように添加する場合、有用なコーンスティープパウダー(corn steep powder)(またはソリッド(solid)またはリカー(liquor))の量としては、約1:1〜約1:6g/g炭素、約1:1〜約1:5g/g炭素または約1:2〜約1:4g/g炭素を挙げ得る。別の実施形態では、約1.5:1g/g炭素もしくは約3:1g/g炭素の高い比率または約1:8g/g炭素もしくは約1:10g/g炭素の低い比率を用いる。別の実施形態では、比率は2:1g/g炭素、1.9:1g/g炭素、1.8:1g/g炭素、1.7:1g/g炭素、1.6:1g/g炭素、1.5:1g/g炭素、1.4:1g/g炭素、1.3:1g/g炭素、1.2:1g/g炭素、1.1:1g/g炭素、1:1g/g炭素、1:1.1g/g炭素、1:1.2g/g炭素、1:1.3g/g炭素、1:1.4g/g炭素、1:1.5g/g炭素、1:1.6g/g炭素、1:1.7g/g炭素、1:1.8g/g炭素、1:1.9g/g炭素、1:2g/g炭素、1:2.1g/g炭素、1:2.2g/g炭素、1:2.3g/g炭素、1:2.4g/g炭素、1:2.5g/g炭素、1:2.6g/g炭素、1:2.7g/g炭素、1:2.8g/g炭素、1:2.9g/g炭素、1:3g/g炭素、1:3.1g/g炭素、1:3.2g/g炭素、1:3.3g/g炭素、1:3.4g/g炭素、1:3.5g/g炭素、1:3.6g/g炭素、1:3.7g/g炭素、1:3.8g/g炭素、1:3.9g/g炭素、1:4g/g炭素、1:4.1g/g炭素、1:4.2g/g炭素、1:4.3g/g炭素、1:4.4g/g炭素、1:4.5g/g炭素、1:4.6g/g炭素、1:4.7g/g炭素、1:4.8g/g炭素、1:4.9g/g炭素、1:5g/g炭素、1:5.1g/g炭素、1:5.2g/g炭素、1:5.3g/g炭素、1:5.4g/g炭素、1:5.5g/g炭素、1:5.6g/g炭素、1:5.7g/g炭素、1:5.8g/g炭素、1:5.9g/g炭素、1:6g/g炭素、1:6.1g/g炭素、1:6.2g/g炭素、1:6.3g/g炭素、1:6.4g/g炭素、1:6.5g/g炭素、1:6.6g/g炭素、1:6.7g/g炭素、1:6.8g/g炭素、1:6.9g/g炭素、1:7g/g炭素、1:7.1g/g炭素、1:7.2g/g炭素、1:7.3g/g炭素、1:7.4g/g炭素、1:7.5g/g炭素、1:7.6g/g炭素、1:7.7g/g炭素、1:7.8g/g炭素、1:7.9g/g炭素、1:8g/g炭素、1:8.1g/g炭素、1:8.2g/g炭素、1:8.3g/g炭素、1:8.4g/g炭素、1:8.5g/g炭素、1:8.6g/g炭素、1:8.7g/g炭素、1:8.8g/g炭素、1:8.9g/g炭素、1:9g/g炭素、1:9.1g/g炭素、1:9.2g/g炭素、1:9.3g/g炭素、1:9.4g/g炭素、1:9.5g/g炭素、1:9.6g/g炭素、1:9.7g/g炭素、1:9.8g/g炭素、1:9.9g/g炭素または1:10g/g炭素である。
一実施形態では、コーンスティープパウダー(corn steep powder)を酵母抽出物と組み合わせて発酵に添加することにより、有用な発酵結果を達成し得る。約3〜約20g/L、約5〜約15g/Lまたは約8〜約12g/Lのコーンスティープパウダー(corn steep powder)使用レベルおよび約3〜50g/L、約5〜約30g/Lまたは約10〜約30g/Lの酵母抽出物使用レベルでの実施形態の方法において、酵母抽出物と組み合わせたコーンスティープパウダー(corn steep powder)による有用な結果を達成し得る。コーンスティープパウダー(corn steep powder)および酵母抽出物を全発酵過程または発酵の一部にわたって、継続的に供給するか、または間隔を置いて供給することもできる。
他の実施形態では、コーンスティープパウダー(corn steep powder)および/または酵母抽出物由来の有用な化合物、例えばグリシン、ヒスチジン、イソロイシン、プロリンまたはフィチン酸塩など、およびこれらの化合物の組合せを培地またはブロスに添加して、有用な効果を得ることができる。
本発明の様々な実施形態では、特定の脂肪酸部分を含有する1つ以上の化合物を含む培地で微生物を培養することにより、および/またはpHが制御された条件下で微生物を培養することにより、クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)によるアルコール生産の力価および/または生産性の向上に関連した利益が提供される。
高レベルのアルコールの生産には、微生物が高アルコールレベルの存在下で全般的によく生育する能力、ならびに存在するアルコールおよび/または他の成分により過度の阻害または抑制を受けずにアルコールを生産し続ける能力の両方が必要である。多くの場合、上記のそれぞれに異なった代謝経路が関与する。例えば、細胞増殖に関連する経路としては、タンパク質生産、膜生産および細胞の生存に必要な細胞サブシステムすべての生産に関連する経路が一般に挙げられる。アルコール生産に関連する経路は、アルコール生産をもたらす糖代謝ならびにアルコールおよび中間体の生産に必要な酵素に関連する経路のように、より特異的である場合が多い。1種類のアルコール、例えばエタノールのための経路は、いくつかの類似した酵素などを共有し得るが、その経路に固有の酵素および基質も有する。これらの経路のセットの間に一部重複が存在し得るが、一方を増強することが自動的に他方の増強をもたらすことは期待されない。
ある場合には、アルコール耐性またはアルコールによる毒性は、アルコールレベル上昇による細胞膜の透過化と関連し、細胞内の酵素および栄養素の漏出を招き得る。別のある場合には、アルコール耐性および高アルコール力価の生産能力は、細胞自体により生産されるまたは細胞膜を横断する輸送による細胞内酵素の、例えば細胞内に存在するアルコールによる変性に抵抗する能力と関連する。ある場合には、より頑強な膜によって、高いアルコール勾配がその膜を横断して存在することが可能となるため、細胞がより高い外部アルコール濃度で増殖するおよび/またはアルコールを生産し続けることが可能となる。いくつかの発酵プロセスにおいて、約36〜48時間のバッチ発酵後に、ブロス中に炭素基質が残った状態でエタノール濃度が約15g/Lのプラトーに達することが、クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)で示されている。一実施形態では、発酵pHを約6.5まで低下させること、および/または不飽和脂肪酸を添加することにより、微生物により生産されるエタノールの量が有意に増加し、72時間の発酵後に約35g/Lのエタノールがブロス中に観察された。別の実施形態では、微生物の生産性が、エタノール力価が低い場合により高くなり(約0g/(L・日)まで)、エタノール濃度がより高い場合に低くなる(約2g/(L・日)まで)ことが観察された。低下させたpHでのおよび/または脂肪酸を添加した発酵では、エタノール生産速度が約5倍増加した。
一実施形態では、Q微生物を約pH5〜8.5で基質と共に発酵させる。一実施形態では、Q微生物を約5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8、8.1、8.2、8.3、8.4または8.5のpHで発酵させる。
脂肪酸培地成分
一態様では、本発明は、脂肪酸含有化合物を含む培地でのクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)培養物を含む、アルコール、例えばエタノール生産のための組成物を提供する。培地は、バイオマス、例えば農作物、作物残渣、樹木、木片、おがくず、紙、ボール紙、あるいはセルロース、ヘミセルロース性物質、リグノセルロース、ペクチン、ポリグルコース、ポリフルクトースおよび/またはこれらの加水分解形態を含有するその他の原料などの炭素源(まとめて「供給原料」)も含み得る。硫黄含有および窒素含有化合物、例えばアミノ酸、タンパク質、加水分解タンパク質、アンモニア、尿素、硝酸、亜硝酸、大豆、大豆派生物、カゼイン、カゼイン誘導体、粉乳、乳派生物、乳清、酵母抽出物、加水分解酵母、自己消化酵母、コーンスティープリカー(corn steep liquor)、コーンスティープソリッド(corn steep solid)、グルタミン酸ナトリウムおよび/またはその他の発酵窒素源、ビタミン、補助因子、および/または無機物の補充物などを含めた追加の栄養素が存在し得る。供給原料は、例えば2008年2月27日に出願された米国特許仮出願第61/032048号または米国特許仮出願第61/158,581号として2009年3月9日に本願と同時に出願された米国特許仮出願(その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載のように前処理しても、しなくてもよい。微生物を増殖させて燃料または他の所望の化学製品を生産するための手順および技術は、例えば組み込まれる米国特許仮出願第61/032048号または米国特許仮出願第61/158,581号として2009年3月9日に本願と同時に出願された米国特許仮出願(その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)などに記載されている。
一実施形態では、組成物の脂肪酸含有化合物は、遊離脂肪酸、脂肪酸塩もしくは石鹸、トリアシルグリセリド、ジアシルグリセリド、モノアシルグリセリド、リン脂質、リゾリン脂質、脂肪酸エステルまたは脂肪酸アミドであり得る。脂肪酸エステルは、長鎖アルコール、短鎖アルコール、中鎖アルコール、一水和物アルコール(monohydrate alcohol)、二価アルコール、三価アルコール、多価アルコール、分岐アルコール、またはヒドロキシル基を含む他の化合物を含み得る。好適なエステルとしては、メタノール(脂肪酸メチルエステル)、エタノール(脂肪酸エチルエステル)、n−プロパノール(脂肪酸プロピルエステル)およびイソプロパノール(脂肪酸イソプロピルエステル)のエステルが挙げられるが、4〜20個の炭素を有するアルコールのような他のアルコールも使用し得る。場合によっては、より長鎖のアルコールおよび多価のアルコールも使用し得る。適切なより長鎖または多価のアルコールとしては、グリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールなど)、グリセロール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、アラビトール、または1つ以上のヒドロキシル基を含有するポリエーテルおよびポリエチレングリコールのような化合物が挙げられる。2つ以上のヒドロキシル基が存在する場合、これらの基の1つ以上は別の化学的部分と結合し得る(例えば、エステル、アミド、エーテルなどとして)か、またはそれらは遊離ヒドロキシル基であり得る。
別の実施形態では、脂肪酸は、8〜40個の炭素、および好ましくは12〜24個の炭素からなる炭素鎖を含み得る。特定の実施形態では、単一の脂肪酸または脂肪酸の混合物を使用し得る。多価アルコールを使用する場合、脂肪酸は、1個のみのヒドロキシル基または2つ以上のヒドロキシル基と結合し得る。いくつかの実施形態では、2つ以上の脂肪酸種が単一の多価アルコールと結合し得る。単一の多価アルコールと結合した複数の脂肪酸の例としては、油脂、例えばトウモロコシ、カノーラ、ベニバナ、ナタネ、ヒマワリ、ダイズ、オリーブ、ピーナッツ、ヤシ、パーム核、魚、トウゴマ種子、獣脂、ラードを含めた、動物および植物由来の油脂、ならびに部分グリセリドおよびリン脂質などが挙げられる。
任意のC8〜C30脂肪酸を使用し得るが、好適な脂肪酸としては、不飽和脂肪酸、例えば1個、2個、3個またはそれを超える炭素−炭素二重結合を有する不飽和脂肪酸などが挙げられる。特に好適なのは、オメガ−9位(非カルボキシル末端から計算)またはデルタ9位(カルボキシル末端から計算)に不飽和を有する不飽和脂肪酸である。上記位置の一方または両方にある不飽和は、他の位置にも不飽和を伴い得る。また、8〜30個の炭素からなる炭素鎖を有する脂肪酸も使用し得るが、好適なのは、8〜28個、または12〜24個、または16〜18個の炭素からなる炭素鎖を有する脂肪酸である。このような脂肪酸の例としては、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、モロクチン酸またはアラクチドン酸(aractidonic acid)が挙げられる。ある場合には、炭素−炭素二重結合がシス立体配置であり得、またある場合には、炭素−炭素二重結合がトランス立体配置であり得る。場合によっては、2個以上の炭素−炭素二重結合が存在し得る。共役リノール酸および他のいくつかの脂肪酸のように、1つ以上のシスおよび1つ以上のトランス炭素−炭素二重結合を有し得る適切な脂肪酸もあれば、すべての炭素−炭素二重結合をシス立体配置でまたはトランス立体配置で有し得る適切な脂肪酸もある。
一実施形態では、1つ以上の脂肪酸を含有する化合物(「脂肪酸」)を、クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)の発酵プロセスの初期、中期または後期に培地に添加し得る。一実施形態では、脂肪酸化合物を発酵の1つ以上の接種段階の間に添加し得る。様々な実施形態において、脂肪酸化合物を、培地のクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)による接種の前、または接種後、または接種と同時に添加し得る。別の実施形態では、脂肪酸を最終発酵培地に添加してもよく、かつ培地のクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)による接種前、接種後また接種と同時に添加してもよい。いくつかの実施形態では、発酵の少なくとも一部の間に、複数回分としてまたは継続的に添加し得る。最も好ましくは、発酵内にアルコール、例えばエタノールが蓄積し始めた後に脂肪酸を添加し得る。一実施形態では、アルコール濃度が約2g/L〜50g/Lの間に達したときに脂肪酸を添加する。別の実施形態では、アルコール濃度が約2g/L〜10g/Lの間に達したときに脂肪酸を添加する。別の実施形態では、アルコール濃度が約5g/L〜40g/Lの間に達したときに脂肪酸を添加する。別の実施形態では、アルコール濃度が約10g/L〜30g/Lの間に達したときに脂肪酸を添加する。別の実施形態では、アルコール濃度が約2g/Lに達したときに脂肪酸を添加する。別の実施形態では、アルコール濃度が約5g/Lに達したときに脂肪酸を添加し得る。別の実施形態では、アルコール濃度が約10g/Lに達したときに脂肪酸を添加し得る。別の実施形態では、アルコール濃度が約15g/Lに達したときに脂肪酸を添加し得る。別の実施形態では、アルコール濃度が約20g/Lに達したときに脂肪酸を添加し得る。別の実施形態では、アルコール濃度が約25g/Lの間に達したときに脂肪酸を添加し得る。別の実施形態では、アルコール濃度が約30g/Lに達したときに脂肪酸を添加し得る。別の実施形態では、アルコール濃度が約35g/Lに達したときに脂肪酸を添加し得る。別の実施形態では、アルコール濃度が約40g/Lに達したときに脂肪酸を添加し得る。別の実施形態では、アルコール濃度が約45g/Lに達したときに脂肪酸を添加し得る。別の実施形態では、アルコール濃度が約50g/Lに達したときに脂肪酸を添加し得る。いくつかの実施形態では、脂肪酸を、1つ以上の培地成分と共に添加してもよく、または発酵中と同様に、発酵開始近くで補充してもよい。一実施形態ではアルコール濃度が2g/L、3g/L、4g/L、5g/L、6g/L、7g/L、8g/L、9g/L、10g/L、11g/L、12g/L、13g/L、14g/L、15g/L、16g/L、17g/L、18g/L、19g/L、20g/L、21g/L、22g/L、23g/L、24g/L、25g/L、26g/L、27g/L、28g/L、29g/L、30g/L、31g/L、32g/L、33g/L、34g/L、35g/L、36g/L、37g/L、38g/L、39g/L、40g/L、41g/L、42g/L、43g/L、44g/L、45g/L、46g/L、47g/L、48g/L、49g/Lまたは50g/Lであるときに脂肪酸を添加する。
一実施形態では、脂肪酸をアルコール、例えばエタノール溶液として添加し得る。別の実施形態では、脂肪酸をコロイドとして添加し得る。別の実施形態では、脂肪酸を界面活性剤と共に添加し得る。
添加する脂肪酸化合物の量は、脂肪酸化合物の形態(例えば、トリアシルグリセリドまたはリン脂質)および添加される特定の脂肪酸または脂肪酸の組合せ(例えば、オレイン酸またはパルミトレイン酸)により異なり得るが、適切な脂肪酸化合物の量は、遊離脂肪酸として報告される、約1g/L〜約3g/Lであり得る。期間を延長した稼動または大量のアルコール生産もしくは細胞増殖を伴う稼動を含めた、いくつかの実施形態では、脂肪酸レベルを約1g/L〜約3g/Lの範囲内に維持するか、または約1g/L〜約3g/Lの範囲で再利用し得るが、これは上清中に存在する遊離脂肪酸が細胞表面または基質もしくは設備などの固体表面に吸着されたものとして報告される。脂肪酸レベルを測定するための適切な技術は、脂肪酸含有化合物の脱離または可溶化を補助するための溶媒和補助剤を添加するかまたは添加せずに、上清の少なくとも一部をブロスから分離すること、および例えば、ガスクロマトグラフによる脂肪酸含有量の解析を含む。発酵がフェドバッチとして操作される場合、発酵槽に供給される培地成分と関連させるなどして、脂肪酸化合物を一度にすべて添加し得るか、またはそれを分割してもしくは継続的に添加し得る。
いくつかの実施形態では、微生物との制限された相互作用のみを有する形態で脂肪酸を供給し、次いで、微生物との相互作用の増大を可能にする化合物を添加することにより、脂肪酸が微生物により摂取される速度を修正する。分離相または微生物によって摂取されない相に存在する形態は、微生物との制限された相互作用を有する形態の例である。相互作用を増大させる化合物は、存在する脂肪酸形態を加水分解することができる化合物、例えばリパーゼ活性、ホスホリパーゼ活性を有する化合物、酸、塩基など、または脂肪酸を溶媒和させることができる化合物である。
酸性培養条件
別の態様では、本発明は、pHが制御された条件下の培地におけるクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)の培養を含む、アルコール、例えばエタノールの生産方法を提供する。一実施形態では、クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)の培養物を酸性pHで増殖させ得る。培養物を増殖させる培地は、炭素源、例えば農作物、作物残渣、樹木、木片、おがくず、紙、ボール紙、あるいはセルロース、ヘミセルロース性物質、リグノセルロース、ペクチン、ポリグルコース、ポリフルクトースおよび/またはこれらの加水分解形態など(まとめて「供給原料」)を含み得る。硫黄含有および窒素含有化合物、例えばアミノ酸、タンパク質、加水分解タンパク質、アンモニア、尿素、硝酸、亜硝酸、大豆、大豆派生物、カゼイン、カゼイン誘導体、粉乳、乳派生物、乳清、酵母抽出物、加水分解酵母、自己消化酵母、コーンスティープリカー(corn steep liquor)、コーンスティープソリッド(corn steep solid)、グルタミン酸ナトリウムおよび/またはその他の発酵窒素源、ビタミン、補助因子、および/または無機物の補充物などを含めた追加の栄養素が存在し得る。供給原料は、例えば2008年2月27日に出願された米国特許仮出願第61/032048号または2009年3月9日に出願された米国特許仮出願第61/158,581号(その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載のように前処理しても、しなくてもよい。微生物を増殖させて燃料または他の所望の化学製品などを生産するための手順および技術は、例えば組み込まれる米国特許仮出願第61/032048号または2009年3月9日に出願された米国特許仮出願第61/158,581号(その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)などに記載されている。
一実施形態では、発酵の少なくとも一部の間は培地のpHを約7.2未満に制御する。好適な実施形態では、pHを約pH3.0〜約7.1、または約pH4.5〜約7.1、または約pH5.0〜約6.3、または約pH5.5〜約6.3、または約pH6.0〜約6.5、または約pH5.5〜約6.9、または約pH6.2〜約6.7の範囲内に制御する。pHはpH調整剤の添加により制御し得る。この実施形態では、pH調整剤は、酸、塩基、緩衝剤、または存在する他の物質と反応して低pHを上昇または低下させる働きのある物質であり得る。いくつかの実施形態では、2つ以上のpH調整剤、例えば2つ以上の酸、2つ以上の塩基、1つ以上の酸と1つ以上の塩基、1つ以上の酸と1つ以上の緩衝剤、1つ以上の塩基と1つ以上の緩衝剤、または1つ以上の酸と1つ以上の塩基と1つ以上の緩衝剤などであり得る。2つ以上のpH調整剤を使用する場合、これらは同じ時間または異なる時間に添加し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の酸と1つ以上の塩基を組み合わせて1つの緩衝剤を得てもよい。いくつかの実施形態では、炭素源または窒素源のような培地成分もpH調整剤として働くことができ;適切な培地成分としては、高いもしくは低いpHのもの、または緩衝能を有するものが挙げられる。培地成分の例としては、酸または塩基で加水分解された、残留酸または塩基を有する植物多糖類、アンモニア繊維爆砕(AFEX)処理された、残留アンモニアを有する植物原料、乳酸、コーンスティープソリッド(corn steep solid)またはコーンスティープリカー(corn steep liquor)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、培地のクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)による接種前に、培地成分の一部としてpH調整剤を添加し得る。他の実施形態では、クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)による接種後に、pH調整剤を添加することもできる。いくつかの実施形態では、様々なpH調整剤および/または他の培地成分および/または代謝産物によって接種発酵に十分な緩衝能を付加して、最終発酵段階中の適切なpH制御をもたらし得る。他の場合には、最終発酵段階にのみpH調整剤を添加し得る。さらに他の場合には、接種段階および最終段階の両方にpH調整剤を添加し得る。一実施形態では、発酵を通じてpHを監視し、発酵内の変化に応じて調整する。一実施形態では、任意の発酵段階において、発酵のpHが約0.005、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5以上のpH値で変化するたびにpH調整剤を添加する。他の実施形態では、発酵のアルコール含有量が約0.5g/L、1.0g/L、2.0g/Lまたは5.0g/L以上になるたびにpH調整剤を添加する。場合によっては、例えば、緩衝剤接種段階で使用し、最終発酵槽に塩基および/または酸を添加する、あるいはある時点では酸を使用し、別の時点では塩基使用するなどのように、発酵の異なる段階または時点で異なる種類のpH調整剤を使用し得る。
いくつかの実施形態では、発酵を通じて一定のpHを使用し得る。いくつかの実施形態では、発酵をあるpHで開始し、次いで、発酵の過程でpHを低下させることが有利であり得る。pHを低下させる実施形態では、pHを段階的にまたはより緩やかに低下させ得る。pHを低下させるのに適した時点としては、細胞増殖の遅滞期の間、細胞増殖の指数期の間、細胞増殖の静止期の間、細胞増殖の死滅期の間、または細胞増殖期の前もしくは間が挙げられる。いくつかの実施形態では、2つ以上の増殖期の間にpHを低下させ得る。いくつかの実施形態では、例えば約10分以下の間にわたって生じる変化などにより、段階的にpHを低下させ得るが、いくつかの実施形態では、例えば約10分〜約6時間以上などの間にわたって、より緩やかにpHを低下させることにより、有利な増殖を達成し得る。いくつかの実施形態では、pH低下のタイミングおよび/または量は、細胞数、生産されるアルコール、存在するアルコールまたはアルコール生産速度と関連させるなど、細胞の増殖条件と関連させ得る。いくつかの実施形態では、発酵の物理的または化学的特性、例えば粘度、培地組成、ガス生産、オフガス組成などと関連させてpHを低下させ得る。
適切な緩衝剤の非限定的な例としては、一塩基性、二塩基性および三塩基性塩、これらの塩の混合物ならびに酸との混合物を含めたリン酸塩;様々な塩基形態、混合物および酸との混合物を含めたクエン酸塩;および炭酸塩が挙げられる。
pH調整剤として使用し得る適切な酸および塩基としては、微生物と適合性のある任意の液体または気体の酸または塩基が挙げられる。例としては、アンモニア、水酸化アンモニウム、硫酸、乳酸、クエン酸、リン酸、水酸化ナトリウムおよびHClが挙げられる。ある場合には、酸および塩基の選択は、酸または塩基と発酵に使用する設備との適合性に影響され得る。ある場合には、pH低下または塩基消費のための酸の添加およびpH上昇または酸消費のための塩基の添加の両方を同じ発酵において使用し得る。
pH調整剤を添加するタイミングおよび量は、グラブサンプルもしくは液内pHプローブなどによる、発酵槽の内容物のpH測定値から決定し得るか、またはそれを他のパラメーター、例えば発酵時間、ガス生成、粘度、アルコール生産量、力価測定などに基づき決定し得る。いくつかの実施形態では、上記技術の組合せを使用し得る。
一実施形態では、発酵のpHを中性pHで開始し、次いで、アルコール生産が検出されたときに酸性pHに低下させる。別の実施形態では、発酵のpHを酸性pHで開始し、発酵が増殖の静止期に達するまで酸性pHを維持する。
脂肪酸培地成分および酸性培養条件
別の実施形態では、培地への脂肪酸含有化合物の添加と低pHでの発酵の組合せを使用し得る。いくつかの実施形態では、遊離脂肪酸のような脂肪酸の添加は、脂肪酸化合物添加および発酵pH低下の両方の技術を遂行する。他の実施形態では、異なる化合物を添加して各技術を遂行する。例えば、培地に植物油を添加して脂肪酸を供給することができ、次いで、発酵中に無機酸または有機酸を添加して、上記のような適切なレベルまでpHを低下させることができる。発酵が低pHでの操作および脂肪酸含有化合物の添加の両方を含む場合、各操作の種類それぞれに対する本明細書に記載の方法および技術を一緒に用い得る。いくつかの実施形態では、低pHでの操作および脂肪酸含有化合物の存在は同時である。いくつかの実施形態では、脂肪酸含有化合物の存在が低pHでの操作に先行し、いくつかの実施形態では、低pHでの操作が脂肪酸含有化合物の添加に先行する。いくつかの実施形態では、低pHでの操作および脂肪酸の存在はクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)による接種の前にある。いくつかの実施形態では、低pHでの操作での操作がクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)による接種の前にあり、かつ脂肪酸の存在がクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)による接種の後または間に生じる。いくつかの実施形態では、脂肪酸の存在がクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)による接種の前にあり、かつ低pHでの操作での操作がクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)による接種の後または間に生じる。他の実施形態では、低pHでの操作および脂肪酸の存在はクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)による接種の後にある。いくつかの実施形態では、低pHでの操作および脂肪酸の存在は発酵の他の段階にある。
クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)の遺伝子改変
別の態様では、本発明は、遺伝子改変クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)の作出および使用による、1つ以上のアルコール、例えばエタノールのような燃料生産のための組成物および方法を提供する。本発明は特に、発酵の生化学的経路の調節、糖分解酵素の発現またはクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)の発酵中の環境条件への耐性の増大を意図する。一実施形態では、目的とする経路、酵素またはタンパク質の1つ以上の遺伝子をコードする異種ポリヌクレオチドでクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)を形質転換する。別の実施形態では、目的とする経路、酵素またはタンパク質の1つ以上の遺伝子の複数コピーを産生するようにクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)を形質転換する。一実施形態では、ヘキソースの加水分解および/または発酵のための酵素をコードする1つ以上の遺伝子をコードする異種ポリヌクレオチドでクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)を形質転換し、形質転換されていないクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)に比べて増加した濃度、生産性レベルまたは収率でエタノールを生産する能力を前記クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)形質転換体に付与するのに十分なレベルで前記遺伝子が発現される。このようにして、エタノール生産速度の増大を達成し得る。
別の実施形態では、多糖類糖化のための糖分解酵素をコードする1つ以上の遺伝子をコードする異種ポリヌクレオチドでクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)を形質転換し、形質転換されていないクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)に比べて増加した単糖、二糖またはオリゴ糖類の濃度、糖化速度または収率で多糖類を単糖、二糖またはオリゴ糖類に糖化する能力を、前記クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)形質転換体に付与するのに十分なレベルで前記遺伝子が発現される。宿主による糖分解酵素の生産、およびそれに続くその糖分解酵素の培地中への放出により、バイオマスまたは多糖類を発酵性単糖類およびオリゴ糖類に分解するのに必要な市販酵素の量が削減される。糖分解DNAは宿主に天然のものであり得るが、糖分解DNAは外来性、異種性であることの方が多い。有利な糖分解遺伝子としては、セルラーゼ、キシラナーゼおよびアミラーゼのような、セルロース分解性、キシラン分解性およびデンプン分解性酵素が挙げられる。糖分解酵素は少なくとも一部が宿主により分泌され得るか、または後の放出のためにそれが十分に細胞内に蓄積され得る。または後の放出のためにそれが十分に細胞内に蓄積され得る。有利には、細胞内に蓄積された耐熱性の酵素は、必要に応じて熱誘発性溶解により放出される。一部のものが分泌され、一部のものが蓄積される酵素の組合せが、異種DNAによりコードされ得る。
他の改変を行って、本発明の組換え細菌のエタノール生産を増大させ得る。たとえば、宿主は、その発現産物が単糖および/またはオリゴ糖類の組換え宿主内への輸送に関与するタンパク質である、追加の異種DNAセグメントをさらに含み得る。同様に、解糖系由来の追加の遺伝子を宿主内に組み込み得る。このようにして、エタノール生産速度の増大を達成し得る。
バイオ燃料(例えば、エタノール)の生産を向上させるために、転写調節因子、有機酸形成のための遺伝子、炭水化物輸送体遺伝子、胞子形成遺伝子、酵素補助因子の形成/再生に影響する遺伝子、エタノール耐性に影響する遺伝子、耐塩性に影響する遺伝子、増殖速度に影響する遺伝子、酸素耐性に影響する遺伝子、カタボライト抑制に影響する遺伝子、水素生産に影響する遺伝子、重金属に対する耐性に影響する遺伝子、酸に対する耐性に影響する遺伝子またはアルデヒドに対する耐性に影響する遺伝子の改変を行うことができる。
本明細書に例示される方法に対して数多くの改変を行い得ることを、当業者は理解するであろう。例えば、様々なプロモーターを用いて、組換えクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)宿主における異種遺伝子の発現を駆動することができる。本開示を利用できる当業者は、この目的のために利用可能な様々プロモーターのいずれかを容易に選択し使用することができるであろう。同様に当業者は、慣例的に行われているように、高コピー数のプラスミドを使用することができる。別の実施形態では、所望の遺伝子の染色体組込みのための構築物を調製することができる。外来遺伝子の染色体組込みは、商業的プロセスにある種の限界があるプラスミド系の構築物を上回る、いくつかの利点を提供し得る。メタン生成遺伝子が大腸菌(E.coli)Bの染色体に組み込まれており;Ohtaら(1991)Appl.Environ.Microbiol.57:893−900を参照されたい。一般にこれは、(1)抗生物質耐性遺伝子上流の所望の遺伝子と(2)標的微生物由来の相同DNAフラグメントとを含むDNAフラグメントの精製により行われる。このDNAを連結してレプリコンのない環を形成し、形質転換に使用し得る。このようにして、目的遺伝子を大腸菌(E.coli)のような異種宿主に導入することができ、短いランダムフラグメントを単離してクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)の中に連結し、相同組換えを促進することができる。
バイオ燃料プラントおよびバイオ燃料生産プロセス:
バイオマスからの大規模エタノール生産
一般に、微生物細胞、特にC.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)細胞を用いて、バイオマスから燃料用エタノールを大規模に生産するための基本的なアプローチは2つある。第一の方法では、最初に、高分子量炭水化物を含むバイオマス原料を低分子量炭水化物に加水分解し、次いで、微生物細胞を用いてこの低分子量炭水化物を発酵させてエタノールを生産する。第二の方法では、化学的および/または酵素的前処理を行わずにバイオマス原料そのものを発酵させる。第一の方法では、加水分解を、酸、例えばブレンステッド酸(例えば、硫酸または塩酸)、塩基、例えば水酸化ナトリウム、熱水処理、アンモニア繊維爆砕処理(「AFEX」)、石灰処理、酵素またはこれらの組合せを用いて行い得る。水素およびその他の発酵産物を必要に応じて捕捉して、精製し、または例えば燃焼により、処分し得る。例えば、水素ガスを燃やすか、またはプロセスでのエネルギー源として、例えば燃焼により、例えば蒸気ボイラーを運転するために使用し得る。バイオマスの加水分解および/または水蒸気処理により、例えば、バイオマスの空隙性および/または表面積を増加させて、セルロース原料がより微生物細胞に触れやすくすることができ、これにより、発酵速度および収率が増加し得る。リグニンの除去は、例えば、ボイラー運転のための可燃燃料を供給することができ、また、例えばバイオマスの空隙性および/または表面積を増加させて、多くの場合発酵速度および収率を増加させることもできる。一般に、以下に記載の実施形態いずれにおいても、培地中の炭水化物の初期濃度は20mMを超え、例えば、30mM、50mM、75mM、100mM、150mM、200mMを超えるか、または500mMをも超える。
バイオマス処理プラントおよびバイオマスからの生成物生産のプロセス
一態様では、本発明は、高分子量炭水化物を含むバイオマス原料を加水分解するように設定された加水分解ユニットと、中にクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)細胞または別のC5/C6加水分解微生物を散布した培地を収容するように設定された発酵槽と、1つまたは複数の生成物ならびに付随する副生成物および副産物を単離するための1つ以上の生成物回収システム(単数または複数)とを含む、燃料プラントを特徴とする。
別の態様では、本発明は、1つまたは複数の生成物を製造する方法を特徴とし、この方法は、クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)細胞または別のC5/C6加水分解微生物と培地中へのバイオマス供給とを組み合わせること、ならびに段落[0063]に記載のようなバイオ燃料、化学製品または発酵最終産物、例えばエタノール、プロパノール、水素、リグニン、テルペノイドなどを生産するのに十分な条件および時間でバイオマス原料を発酵させることを含む。
別の態様では、本発明は、本明細書に記載のいずれかのプロセスにより製造される生成物を特徴とする。
バイオマスからの大規模な化学製品生産
一般に、C.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)または他のC5/C6加水分解微生物のような微生物を用いて、バイオマスから化学製品を大規模に生産するための基本的なアプローチは2つある。すべての方法において、バイオマスの種類およびその物理的発現(physical manifestation)に応じて、プロセスの1つは、湿式または乾式粉砕により炭素質原料を粉砕し、原料のサイズを減らして表面積対体積比を増加させることを含み得る(物理的変形)。
第一の方法では、最初に、高分子量炭水化物を含むバイオマス原料を加水分解して、その脱リグニンを行うかまたは非炭水化物化合物から炭水化物化合物を分離する。熱、化学的および/または酵素的処理の任意の組合せを用いて、加水分解原料を、液体および脱水されたストリームから分離し得るが、これは別々に処理して別々にしておくかまたは再混合しても、またはしなくてもよく、次いで、クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)細胞または別のC5/C6加水分解微生物を用いて発酵させ、1つ以上の化学製品を生産する。第二の方法では、熱、化学的および/または酵素的前処理を行わずに、バイオマス原料そのものを発酵させる。第一の方法では、加水分解を、酸(例えば、硫酸または塩酸)、塩基(例えば、水酸化ナトリウム)、熱水処理、アンモニア繊維爆砕処理(「AFEX」)、石灰処理、酵素またはこれらの組合せを用いて行い得る。バイオマスの加水分解および/または水蒸気処理により、例えば、バイオマスの空隙性および/または表面積を増加させ得るが、これにより多くの場合、セルロース原料がC.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)のような任意のC5/C6加水分解微生物に曝されやすくなり、このことが発酵速度および収率を増加させ得る。バイオマスの加水分解および/または水蒸気処理は、例えば、分離または処理して発酵速度および収率を向上させるか、またはプロセスを進行させる動力を生産するために使用するか、またはさらなる処理を行ってもしくは行わずに製品として使用することができる、副生成物または副産物を生成し得る。リグニンの除去により、例えば、ボイラー運転のための可燃燃料を供給し得る。気体(例えば、水素およびCO)、液体(例えば、エタノールおよび有機酸)ならびに固体(例えば、リグニン)の発酵産物を必要に応じて捕捉して、精製し、または例えば、燃焼により処分し得る。例えば、水素ガスを燃やすか、またはプロセスでのエネルギー源として、例えば燃焼により、例えば蒸気ボイラーを運転するために使用し得る。発酵槽に存在する生成物をさらに処理して、例えば、エタノールを蒸留および精留に移して、濃縮エタノール混合物を生産し得るか、または固体を分離して、エネルギーをもたらすためにもしくは化学製品として使用し得る。発酵最終産物またはバイオ燃料の他の生産方法は、いずれかのおよびすべての記載されているプロセス、ならびにこれらの方法を経済的または機械的に効率化するために開発し得る追加のプロセスまたは代替プロセスを組み込み得ること、そしてこれらはすべてその内容全体が本発明の範囲内に組み込まれるものとすることが理解される。
図8は、最初にバイオマスを、加水分解ユニット中、高い温度および圧力において酸で処理することにより、バイオマスから化学製品を生産する方法の例である。最初にバイオマスを、熱水または水蒸気の添加により加熱し得る。バイオマスは、気体の二酸化硫黄を水中に懸濁させたバイオマスの中を通気させることにより、または強酸、例えば硫酸、塩酸もしくは硝酸を、予熱/前蒸気処理/水添加を行うかもしくは行わずに添加することにより酸性化し得る。酸性化の間、pHを低レベル、例えば約5未満に維持する。酸添加後に温度および圧力を上げ得る。酸性化ユニット中に既に存在する酸に加え、金属塩、例えば硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸マグネシウムまたはこれらの混合物などを任意に添加して、バイオマスの加水分解を補助し得る。酸含浸バイオマスを前処理ユニットの加水分解セクションに送り込む。水蒸気を前処理ユニットの加水分解部分に注入してバイオマスに直接当て、バイオマスを所望の温度まで加熱する。水蒸気添加後のバイオマスの温度は、例えば、約130℃〜220℃の間である。次いで、加水分解物を前処理ユニットのフラッシュタンク部分へ排出し、バイオマスを例えば、オリゴ糖類およびモノマー糖類へさらに加水分解する時間の間、タンク内に保持する。また、水蒸気爆砕を用いてバイオマスをさらに分解してもよい。あるいは、任意の高圧前処理プロセスのために、圧力ロックを通してバイオマスを放出させ得る。次いで、水添加を行うかまたは行わずに、例えば約15%〜60%の間の固体濃度で、加水分解物を前処理反応器から放出する。
前処理後、バイオマスを、例えば逆流抽出装置、圧洗浄器、圧ろ器、加圧フィルター、スクリューコンベア抽出装置またはバキュームベルト抽出装置を用いて、例えば搾出により、または遠心分離により、またはろ過により、脱水および/または多量の水での洗浄を行って、酸性化された液体を除去し得る。酸性化された液体を、さらなる処理、例えばアルカリ(例えば、石灰)および/またはアンモニア(例えば、リン酸アンモニウム)の添加を行うかまたは行わずに、例えば前処理ユニットの酸性化部分で再利用するか、または発酵に添加するか、または他の使用/処理のために回収し得る。生成物は、酸性化された液体、例えばセッコウまたはリン酸アンモニウムの処理から生じ得る。前処理中に酵素または酵素の混合物を添加し、高分子量成分の加水分解において、例えば、セルロース、ヘミセルロース、ペクチンおよびデンプンの成分に対して活性なエンドグルカナーゼ、エキソグルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ(CBH)、ベータ−グルコシダーゼ、グリコシドヒドロラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、リアーゼおよびエステラーゼを補助し得る。
発酵槽に加水分解バイオマス、バイオマス前処理由来の任意の液体画分、クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)細胞の活性種菌培養物、必要に応じて共発酵微生物、例えば酵母または大腸菌(E.coli)、および必要に応じてクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)または他の微生物の増殖を促進する栄養素を供給する。あるいは、それぞれが異なるクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)および/または他の微生物の菌株を含み、かつそれぞれが特定の物理的条件下で稼動するように、前処理バイオマスまたは液体画分を複数の発酵槽に分割し得る。温度を例えば、25℃〜50℃の間に維持しながら、ある期間、例えば約15〜150時間の間、発酵を進ませる。発酵中に生産されるガスは、発酵層から一掃し、さらなる処理を行うかまたは行わずに、排出するか、回収するか、または燃やし、例えば、水素ガスを回収して、動力源として使用するかまたは副産物として精製し得る。
発酵後、発酵槽の内容物を生成物回収に移す。生成物を抽出する、例えば、エタノールを蒸留および精留により回収する。
前処理をしないバイオマスからの化学製品生産
図9は、バイオマスを発酵容器に投入することにより、バイオマスから化学製品を生産するための方法を図示している。バイオマスは、熱、水、酵素または酸/アルカリの添加を行うかまたは行わずに、一定期間浸漬させ得る。処理容器内の圧力は、大気圧以上に維持し得る。前処理期間の終わりに、中和のために酸またはアルカリを添加し得る。前処理期間の終わりに、または前処理の開始と同時に、クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)細胞または別のC5/C6加水分解微生物の活性種菌培養物、および必要に応じて共発酵微生物、例えば酵母または大腸菌(E.coli)、および必要に応じてクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)または他の微生物の増殖を促進する栄養素を添加する。上記のように発酵を進ませる。発酵後、発酵槽の内容物を上記のように生成物回収に移す。
化学製品生産の方法および/または特徴の任意の組合せを用いて、複合型の生産方法を作成し得る。本明細書に記載の任意の方法において、生成物を任意の段階で除去するか、添加するか、または組み合わせてよい。クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)を単独で、または1つ以上の他の微生物(例えば、酵母、真菌または他の細菌)と組み合わせて相乗的に使用し得る。単一のプラント内で異なる方法を用いて異なる生成物を生産し得る。
別の態様では、本発明は、高分子量炭水化物を含むバイオマス原料を加水分解するように設定された加水分解ユニット、および培地を収容するように設定された発酵槽を含み、かつそこに散布されたクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)細胞を含む、燃料プラントを特徴とする。
別の態様では、本発明は、クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)細胞とリグノセルロース原料(および/または他のバイオマス原料)を培地中で混合することと、1つまたは複数の燃料、例えばエタノール、プロパノールおよび/または水素または別の化合物を生産するのに十分な条件および時間でリグノセルロース原料を発酵させることとを含む、1つまたは複数の燃料を製造する方法を特徴とする。
いくつかの実施形態では、本発明は、酸加水分解前処理を用いてバイオマスからエタノールおよび水素を生産するためのプロセスを提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、酵素的加水分解前処理を用いてバイオマスからエタノールおよび水素を生産するためのプロセスを提供する。他の実施形態は、酵素的に前処理されていないバイオマスを用いて、バイオマスからエタノールおよび水素を生産するためのプロセスを提供する。さらに他の実施形態は、化学的または酵素的に前処理されていないが任意に水蒸気処理されたバイオマスを用いて、バイオマスからエタノールおよび水素を生産するためのプロセスを開示する。
別の態様では、本発明は、本明細書に記載のいずれかのプロセスにより製造される生成物を特徴とする。
以下の実施例は、特定の好適な実施形態および態様を説明するためのものであり、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
実施例1.Q微生物のバッチ発酵とフェドバッチ発酵の比較−供給培地成分のみ
実験条件:
3つの攪拌槽型反応器(STR)または発酵槽をフェドバッチ法で操作して、Q微生物を用いたセロビオース発酵の実験を行った。第四のSTRを対照としてバッチ法で操作した。操作がフェドバッチ法かバッチ法かに関係なく、すべてのSTRはゼロ時間では30g/Lのセロビオース基質を含んでいた。試薬はすべてSigma−Aldrich,St.Louis,MOから入手し、試薬グレード以上のものであった。
接種材料調製:
接種材料を作成するために、凍結培養物(−80℃で保管)を用い、これを0.3%のセロビオースと共に4g/LのKHPO、8g/LのKHPO、1g/Lの(NHSO、0.6g/Lのシステイン−HCl、6g/LのAmbrex695酵母抽出物(Sensient、Juneau、WI)をDI水中に含有する(液体体積約10ml)10mLのチューブ内で、35℃で48時間嫌気的に繁殖させた。その後、接種材料を、2%(v/v)の種菌サイズを用いて100mL血清中、35℃で48時間増殖させた。血清バイアルは、DI水中に20g/Lのセロビオース、1.5g/LのKHPO、2.9g/LのKHPO、2.1g/Lの尿素、2g/Lのシステイン−HCl、10g/LのMOPS緩衝剤、3g/Lのクエン酸ナトリウム、1g/LのMgCl・6HO、0.15g/LのCaCl・2HO、0.00125g/LのFeSO・7HOを含んでいた。一定分量の増殖した接種材料を、微生物汚染に関して顕微鏡下で調べ、3000rpmで15分間遠心分離して発酵槽の接種用にバイオマスを濃縮した(総懸濁固体が約2〜4g/Lになるまで)。同じ接種材料調製の手順をバッチおよびフェドバッチ発酵の両方に用いた。
バッチ発酵(対照):
50g/Lのセロビオース、1.5g/LのKHPO、2.9g/LのKHPO、2.1g/Lの尿素、2g/Lのシステイン−HCl、10g/LのMOPS緩衝剤、3g/Lのクエン酸ナトリウム、1g/LのMgCl・6HO、0.15g/LのCaCl・2HO、0.00125g/LのFeSO・7HOをDI水中に含有する培地を調製した。2NのNaOHで培地のpHを7.5に調節し、培地300mLを500mLの各発酵槽に移した。容器の脱気(培地をほぼ室温にして、600ミリバールの真空下で少なくとも5分間、次いで、上部空間の窒素パージを行って容器の圧力を上げて大気圧まで戻した)後、容器を121℃の温度および15psi(約103kPa)で30分間、オートクレーブにより滅菌した。オートクレーブした容器を室温まで冷却した時点で、それに60mL滅菌シリンジを用いて10%(v/v)接種材料(濃縮種菌体積/最終発酵体積)を接種した。ブロスを35℃で151時間、125rpmで撹拌しながら培養した。
発酵槽から毎日試料を抽出し、Aminex(登録商標)HPX−87H排除カラム(300mm×7.8mm)が装備されたHPLCおよびRI検出器を用いて、セロビオース、乳酸、ギ酸、酢酸およびエタノールについて分析した。移動相として0.005NのHSOを0.6mL/分で使用し、カラムを55℃に維持した。
フェドバッチ発酵:
30g/Lのセロビオース、1.5g/LのKHPO、2.9g/LのKHPO、2.1g/Lの尿素、2g/Lのシステイン−HCl、10g/LのMOPS緩衝剤、3g/Lのクエン酸ナトリウム、1g/LのMgCl・6HO、0.15g/LのCaCl・2HO、0.00125g/LのFeSO・7HOをDI水中に含有する培地を調製した。2NのNaOHで培地のpHを7.5に調節した。3つの各500mL発酵容器に培地(300mL)を加えた。発酵槽をバッチ発酵と同じ方法で脱気し、次いで、121℃の温度および15psi(約103kPa)で30分間、オートクレーブした。オートクレーブした容器を室温まで冷却した時点で、それらに60mL滅菌シリンジを用いて10%(v/v)接種材料(濃縮種菌体積/最終発酵体積)を接種した。ブロスを35℃で184時間、125rpmで撹拌しながら培養した。発酵槽の接種の24、48、72、96、120、144および168時間後に、250g/Lのセロビオースと共に1.5g/LのKHPO、2.9g/LのKHPO、2.1g/Lの尿素、2g/Lのシステイン−HCl、10g/LのMOPS緩衝剤、3g/Lのクエン酸ナトリウム、1g/LのMgCl・6HO、0.15g/LのCaCl・2HO、0.00125g/LのFeSO・7HOをDI水中に含む新たな培地25mLをブロスに補充した。補充用培地は滅菌済みであった。
発酵槽の監視
発酵槽から毎日試料を抽出し、Aminex(登録商標)HPX−87H排除カラム(300mm×7.8mm)(Bio−Rad,Hercules,CA)が装備されたHPLCおよびRI検出器を用いて、セロビオース、乳酸、ギ酸、酢酸およびエタノールについて分析した。移動相として0.005NのHSOを0.6mL/分で使用し、カラムを55℃に維持した。
結果:
図1は、バッチ法で操作された対照発酵槽での発酵実行を通した基質(セロビオース)および生成物(エタノール)の濃度を示す。約30時間後にブロス中のエタノール濃度がプラトーに達したことが、図により明らかである。対照発酵槽は6日間にわたって実行し続けたが、エタノール濃度の大きな増加はなかった。
図2は、フェドバッチ法で操作された発酵槽での基質(セロビオース)および生成物(エタノール)のプロファイルを示す。表示の数値は3つの発酵の平均値である。図に示されるように、新たな栄養素および基質の供給に伴ってエタノール濃度が増加し続けた。フェドバッチ操作により達成された最大エタノール濃度は約12g/Lであったが、これはバッチ法で操作された対照発酵槽で得られた力価の2倍を超えている。
表7に示すように、より高いエタノール力価に加え、フェドバッチプロセス(約20〜30g/Lの炭素基質濃度)は、g/g発酵糖およびg/g生産エタノールの両方の基準においてより高い生産性およびより低い酸生産ももたらした。使用された特定の培地および発酵条件により、この微生物で報告されているものよりも高い初期生産性(発酵の初期の間に約4g/(L・日))が得られたことも重要である。
実施例2.不溶性炭素源によるフェドバッチ操作
微結晶性セルロースのような不溶性炭素源を用いてバッチおよびフェドバッチ発酵を行う。発酵培地は、最終生産培地にセロビオースを微結晶性セルロースの代わりに使用する以外は実施例1と同様に作成する。(最終発酵培地の代わりにまたはそれに加えて、1つ以上の他の発酵または接種段階で微結晶性セルロースをセロビオースの代わりに使用する。)微結晶性セルロース使用の結果は、傾向的にセロビオース使用と同様であり、フェドバッチ操作におけるエタノールの収率および生産性はバッチ操作に比べて高い。同様に、フェドバッチ操作ではバッチ操作に比べて、糖からエタノールへのより高い変換(gエタノール/g発酵糖)および糖から酸へのより低い変換(g酸/g発酵糖およびg酸/gエタノール)が生じた。より複雑な不溶性炭素源、例えば粉砕木材、粉砕植物性物質、または前処理粉砕木材または前処理粉砕植物性物質などを用いて、およびセルロース、リグノセルロースもしくはヘミセルロース原料、または廃水流を用いて、傾向的に同様の結果が得られる。しかし、エタノールまたは他の目的生成物生産の絶対速度は、少なくとも部分的には、より複雑な基質中に追加の栄養素または阻害物質が存在することを理由として、セロビオースの結果よりも高いかまたは低いかのいずれかで変動する。
実施例3.細胞増加によるフェドバッチ操作
発酵過程で新たな細胞をブロスに添加してフェドバッチ発酵を行う。実施例1と同様にして発酵培地を調製し、接種する。24時間間隔で、新たな接種材料(2〜3%v/v)を発酵に添加し、ブロス試料を実施例1と同様にして分析する。約2〜4日後にブロスを回収する。回収時、ブロスのエタノール含有量は約6g/lよりも多く、このことは、バッチ操作を上回る実質的な増加を示し、また生産性の増加も示している。
同様の結果が、実施例2の不溶性で複雑な炭素源ベースの培地で見られる。約100g/L以下、場合によってはそれを超えるような、より高濃度の炭素基質が存在する状況においては、新たな細胞による発酵ブロスの増強も使用する。
実施例4.細胞増加と培地添加の組合せによるフェドバッチ操作
発酵過程で新たな細胞および新たな培地成分をブロスに添加するフェドバッチ発酵も行う。発酵培地は実施例1に記載の通りに調製および接種し得る。24時間間隔で、新たな接種材料(2〜3%v/v)および実施例1と同じ培地を発酵に添加する。ブロス試料を実施例1と同様にして分析する。約2〜4日後にブロスを回収する。回収時、エタノールの収率および生産性は、細胞増加を行わないフェドバッチ発酵よりも高い。同様に、細胞増加を行わないフェドバッチに比べて、向上した炭素利用(gエタノール/g発酵糖)および減少した酸生産(g酸/gエタノールおよびg酸/g発酵糖)が示される。
同様の結果が、実施例2の不溶性で複雑な炭素源ベースの培地で見られる。
実施例5.酵母抽出物が存在するフェドバッチ発酵
5g/Lのセロビオース、1.5g/LのKHPO、2.9g/LのKHPO、4.6g/Lの硫酸アンモニウム、2g/Lのシステイン−HCl、3g/Lのクエン酸ナトリウム、1g/LのMgCl・6HO、0.15g/LのCaCl・2HO、0.00125g/LのFeSO・7HOおよび諸レベルの酵母抽出物(Bacto(商標),Becton Dickinson,Franklin Lakes,NJ)(10、15、20および30g/L)を含有する300mLの培地をそれぞれが有する4つの攪拌槽型反応器(STR)を使用した。Bacto酵母抽出物の分析を表8に記載する。すべてのSTRは、35℃、125rpmでインキュベートし、24時間ごとに追加のセロビオースを添加(25mlの200g/l溶液)するフェドバッチとして操作した。発酵過程を通してエタノール生産を監視した。表9は、これらの実験から得られたエタノール濃度を示す。
18時間における異なる培地組成での体積生産性は、10、15、20および30g/Lの酵母抽出物培地に対して、それぞれ2.00、2.69、2.48、3.20g/(L・日)であった。
これらの結果は、酵母抽出物量の増加に伴うエタノール力価および全生産性の増加を示し、かつ約15g/L以下のエタノール生産および約10g/(L・日)を超える瞬間生産性を示している。
実施例6.異なる植物油補充物を用いたC.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)によるエタノール生産
クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)培養物を、セロビオース培地において撹拌しながらエタノール生産が停止するまで培養することにより、発酵中の脂肪酸補充のエタノール生産に対する効果を評価した。10mLの新たに増殖させた接種材料を含む新たな培地を2g/Lの植物油を組み合わせた。エタノール生産をさらに100時間監視した。
使用した試薬:
植物油を除くすべての化学製品は、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)の少なくとも試薬グレードのものであった。植物油は、Wal−Mart(Bentonville,AR)により販売されているGreat Valueブランドの油であった。
脱気および滅菌手順:
接種材料の繁殖に使用された反応器および血清バイアルはすべて、窒素パージ下、真空下で脱気した。最小限の3つの脱気サイクルを行った。容器は、121℃の温度および15PSI(約103kPa)の圧力で30分間オートクレーブすることにより滅菌した。
接種材料調製:
凍結培養物(−80℃で保管)を、0.3%のセロビオースと共に1.5g/LのKHPO、2.9g/LのKHPO、4.6g/Lの硫酸アンモニウム、2g/Lのシステイン−HCl、1g/LのMgCl・6HO、0.15g/LのCaCl・2HO、0.00125g/LのFeSO・7HOをDI水中に含有する10mLチューブ内で、35℃で48時間繁殖させた。2NのNaOHで培地のpHを7.5に調節した。オートクレーブ後、接種材料を、2%(v/v)の種菌サイズを用いて100mL血清中、35℃で24時間増殖させた。血清バイアルは、20g/Lのセロビオース、1.5g/LのKHPO、2.9g/LのKHPO、4.6g/Lの硫酸アンモニウム、2g/Lのシステイン−HCl、3g/Lのクエン酸ナトリウム、1g/LのMgCl・6HO、0.15g/LのCaCl・2HO、0.00125g/LのFeSO・7HOをDI水中に含有していた。接種材料を、発酵槽用の接種材料として使用する前に、3000rpmで15分間遠心分離して細胞を濃縮した(約2〜4g/Lの総懸濁固体)。
最終発酵−異なる油によるスクリーニング実験:
5つの攪拌槽型反応器を、20g/Lのセロビオース、1.5g/LのKHPO、2.9g/LのKHPO、4.6g/Lの硫酸アンモニウム、2g/Lのシステイン−HCl、3g/Lのクエン酸ナトリウム、1g/LのMgCl・6HO、0.15g/LのCaCl・2HO、0.00125g/LのFeSO・7HO、6g/Lの酵母抽出物(Bacto)を含有する培地50mLで満たした。各反応器に1つの血清バイアルからの濃縮細胞を接種した。エタノール生産が停止するまで発酵槽をバッチ法で操作した。各反応器のエタノール濃度を表10に示す。この時点での培地中の残存セロビオースは約15〜20g/Lであった。次いで、新たに増殖させた接種材料約10mLおよび表10に示す植物油2g/Lを反応器に補充した。発酵をさらに100時間続けた。最終エタノール濃度を表10に示す。補充後の期間を通したエタノール濃度を図4および表11に示す。
結果
コーン油、ダイズ油、カノーラ油、ヤシ油およびオリーブ油の発酵への添加はすべて、さらなるエタノール生産をもたらした。さらに、最も多いエタノール増加は、高オレイン酸油(表14に示されるオリーブ、カノーラ、ダイズおよびコーン油)の補充により得られ、リノール酸含有も収率増加の一因であった。
実施例7.低pHでのクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)によるエタノール生産
バイオリアクターは、20g/Lのセロビオース、1.5g/LのKHPO、2.9g/LのKHPO、4.6g/Lの硫酸アンモニウム、2g/Lのシステイン−HCl、3g/Lのクエン酸ナトリウム、1g/LのMgCl・6HO、0.15g/LのCaCl・2HO、0.00125g/LのFeSO・7HO、6g/Lの酵母抽出物(Bacto)を含有する培地300mLを含んでいた。200g/Lのセロビオースを含有する濃縮培地を1.4mL/時で継続的に供給することにより、発酵槽をフェドバッチ法で操作した。バイオリアクターはそれぞれ、7.5、7および6.5の調節されたpHで操作した。
発酵を通して発酵槽をエタノール濃度に関して監視した。結果を表12および図5に示す。結果は、pH7.5未満での発酵により、エタノール濃度の増加およびエタノール生産性の増加が得られることを示している。
実施例8.カノーラ油の存在下での低pH
反応器は、50g/Lのセロビオース、3g/LのKHPO、1.6g/LのKHPO、2g/Lのクエン酸三ナトリウム・2HO、1.2g/Lのクエン酸・HO、0.5g/Lの(NHSO、1g/LのNaCl、0.8g/LのMgCl・6HO、0.1g/LのCaCl・2HO、0.00125g/LのFeSO・7HO、1g/LのシステインHCl、10g/Lの酵母抽出物(Bacto)と共に5g/Lのコーンスティープパウダー(corn steep powder)をDI水に溶解させて含有する培地300mLを含んでいた。発酵槽をバッチ法で操作した。
発酵槽をエタノール濃度に関して監視した。結果を表13に示す。カノーラ油の存在下で低pHでの操作により、より高いエタノール濃度および生産が得られ、同様にpH7.0での操作に比べて向上した力価および生産性がpH6.5での操作で得られた(図6)。
実施例10.エタノール、その他のバイオ燃料および化学製品の生産を増加させるためのクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)の遺伝子改変
C.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)での使用に適したプラスミドを、細菌培養コレクションから入手したプラスミドの一部を用いて構築した。プラスミドPimp1は、大腸菌(E.coli)および様々なグラム陽性細菌種内で複製可能な非結合性プラスミドであり、またそれはエリスロマイシンに対する耐性もコードする。C.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)はエリスロマイシンに対して非常に感受性が高く、微生物増殖培地1ml当たり0.5マイクログラムのエリスロマイシン濃度で増殖することができない。宿主範囲の広い接合性プラスミドRK2は、細菌接合システムに必要な遺伝子をすべて含み、このような遺伝子には、接合システムのDNAポリメラーゼに特異的な複製起点、接合DNA複製遺伝子、および潜在的な受容菌細胞の認識を可能にし、一本鎖プラスミドDNAを細胞間の接触により供与細胞から受容細胞へ転移するための導管として働く線毛の合成をコードする遺伝子が含まれる。RK2接合システムのための転移起点は、German Collection of Microorganisms and Cell Cultures((DSMZ)からDSM3928として得たプラスミドPrk290から入手し、RK2の他の接合機能は、DSMZからDSM5599として得たPrk2013から入手した。ポリメラーゼ連鎖反応を用いて、112塩基対の転移起点領域(oriT)を、oriT領域に隣接するCla1制限部位を付加するプライマーを使用してPrk290から複製した(75)。このDNAフラグメントをpIMP1のCla1部位内に挿入して、プラスミドPimptを得た。Pimptは、他の接合機能を補うPrk2013も存在する場合に、1つの大腸菌(E.coli)株から別の株へ転移可能であることが示された。しかし、Pimptが大腸菌(E.coli)からC.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)へ接合により転移されることを示すことができなかった。Pimpt内のエリスロマイシン耐性遺伝子の発現を駆動するプロモーターがC.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)内で機能しない可能性があったので、アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子であるC.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)1029のプロモーターを、PCRを用いてC.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)染色体から増幅し、これを用いてPimpt内のエリスロマイシン遺伝子のプロモーターと置き換え、Pimpt1029を作製した。他の接合機能を補うPrk2013も存在する場合に、Pimpt1029は大腸菌(E.coli)からC.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)へ接合により転移させることができた。Pimpt1029を含むC.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)派生体の、1ml当たり10マイクログラム以下のエリスロマイシンを含有する培地で増殖する能力により、およびプラスミドを含まない対照C.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)培養物からではなく、C.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)派生体からPimpt1029に特異的な2つの遺伝子領域を特異的に増幅するPCRプライマーの使用により、C.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)内へのプラスミドDNAが良好に転移されることが示された。
大腸菌(E.coli)からC.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)へのPimpt1029の接合転移は、最初に、Pimpt1029およびPrk20l3の両方を含む大腸菌(E.coli)株(DH5アルファ)を構築することにより行う。次いで、適当な増殖培地(それぞれ、LブロスおよびQM1培地)を用いて対数中期まで増殖させることにより、この大腸菌(E.coli)培養物の新たな細胞およびC.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)受容培養物の新たな細胞を得る。次いで、この2つの細菌培養物を遠心分離して細胞ペレットを得、このペレットを同じ培地中に再懸濁させて、約10倍に濃縮され1ml当たり約1010個の細胞密度を有する細胞懸濁液を得る。次いで、供与体対受容体比が5対1になるように、これらの濃縮細胞懸濁液を混合する。この後に、細胞懸濁液をQM1寒天プレート上にスポットし、30℃で24時間、嫌気的にインキュベートした。細胞混合物をQM1プレートから取り出し、エリスロマイシン耐性を発現するC.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)受容細胞のみが生存できるように選択した抗生物質を含有する固体または液体のQM1倍地に置いた。これは、1ml当たり20マイクログラムのトリメトプリム、1ml当たり250マイクログラムのシクロセリンおよび1ml当たり10マイクログラムのエリスロマイシンからなる抗生物質の組合せを用いて行った。大腸菌(E.coli)供与体は、上記濃度のトリメトプリムおよびシクロセリンへの曝露を生き延びることができなかったのに対し、C.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)受容体は、上記濃度のエリスロマイシンへの曝露を生き延びることができなかった(しかし、この濃度のトリメトプリムおよびシクロセリンには耐えることができた)。したがって、上記抗生物質を含有するプレートまたは液体培地で5〜7日間、嫌気性条件下、30℃でインキュベーションした後に、エリスロマイシン耐性であるC.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)派生体を入手し、次いでこの派生体は、PCR解析により示されるように、Pimpt1029を含むことが示された。
アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子由来のC.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)プロモーターを含むエリスロマイシン耐性遺伝子の特別に構築した派生物のみを、C.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)において機能的に発現させることができたのは、驚くべき結果であった。
C.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)由来または異種の源由来のいずれかの他の目的遺伝子をPimpt構築物内に導入してC.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)の形質転換に使用するため、これらの遺伝子産物は、C.フィトフェルメンタンス(C.phytofermentans)の、糖分解酵素、ヘキソース輸送タンパク質ならびに発酵中間体からアルコール最終産物および他のバイオ燃料への変換に利用されるヘキソース代謝および酵素の生産を増加させるのに有用である。プラスミドPimpt1029の地図を図7に示す。
本明細書に引用されるすべての参照物には、特に限定されないが、発表済みまたは未発表の特許出願、特許および参考文献が含まれ、また特に限定されないが、付属書類に掲載されている参照物も含まれるが、これらはすべてその内容全体が参照により本明細書に組み込まれ、ここにおいて本明細書の一部とされる。参照により組み込まれる刊行物および特許または特許出願が、本明細書に含まれる開示と矛盾する限りにおいては、上記のどの矛盾する資料に対しても本明細書が優先するおよび/または上位にあるものとする。
本明細書で使用される「含む、含有する(comprising)」という用語は、「含む、包含する(including)」「含有する、含む(containing)」または「特徴とする(characterized by)」と同義であり、かつ包括的または無制限であり、また追加の列挙されていない要素または方法段階を排除しない。
本明細書で使用される成分量、反応条件などを表す数値はすべて、あらゆる場合において「約」という用語により修飾されるものと理解するべきである。したがって、そうでないと明示されない限り、本明細書に記載の数値パラメーターは、得ようとする所望の特性によって変動し得る近似値である。少なくとも、そして本願に対する優先権を主張する任意の出願における任意の特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメーターは、有効数字および通常の丸めの手法を考慮して解釈されるべきである。
本発明の好適な実施形態が本明細書に示され、記載されているが、このような実施形態は単なる例として提供されることが、当業者には明らかであろう。これから当業者は、本発明を逸脱することなく数多くの変更、改変および代替を考え付くであろう。本明細書に記載の本発明の実施形態に対する様々な代替手段が、本発明の実施において使用され得ることを理解するべきである。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義するものであること、ならびにこれら特許請求の範囲およびその均等物内の方法および構造が特許請求の範囲に含まれることが意図される。

Claims (47)

  1. 発酵最終産物を生産するための方法であって、
    クロストリジウム(Clostridium)を含む培地を、第一の期間の間、前記による発酵最終産物の生産に適した条件下で培養することと、
    前記発酵最終産物の回収前の間に、前記クロストリジウム(Clostridium)を含む培地に1つ以上の栄養素を添加することと、
    クロストリジウム(Clostridium)を含む培地を第二の期間の間培養することと、
    前記培地から発酵最終産物を回収することと
    を含む方法。
  2. 前記クロストリジウム(Clostridium)菌株がクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記発酵最終産物がエタノールである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記培地がセルロースおよび/またはリグノセルロース原料を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記セルロースまたはリグノセルロース原料が、24時間以内に15%を超える前記セルロースまたはリグノセルロース原料が単純糖類に変換されるのに十分な量の酵素で酵素処理されない、請求項4に記載の方法。
  6. 発酵最終産物を生産する方法であって、
    クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株を培地で培養する段階と、
    前記培地中の糖化合物の総濃度を少なくとも約18g/Lに維持する段階と、
    前記培地から発酵最終産物を回収する段階と
    を含む方法。
  7. 前記糖化合物の総濃度の維持が、その少なくとも1つが1つ以上の糖化合物を含む1つ以上の培地成分を前記培地へ培養中に少なくとも1回添加することを含み、前記培地成分を、培養物を含む容器に添加する、請求項6に記載の方法。
  8. 前記培地中の糖化合物の総濃度を、培養の間の一部で約1g/L〜約100g/Lの範囲内に維持する、請求項6に記載の方法。
  9. 前記培地中の糖化合物の総濃度の変化が、発酵最終産物生産の期間の間、約25%未満である、請求項6に記載の方法。
  10. 前記発酵最終産物がエタノールである、請求項6に記載の方法。
  11. 1つ以上の窒素含有原料を含む培地成分を前記培地へ培養中に少なくとも1回添加することをさらに含み、かつ前記培地成分を、培養物を含む容器に添加する、請求項6に記載の方法。
  12. 1つ以上の培地成分が1つ以上の窒素含有原料を含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記培地がセルロースまたはリグノセルロース原料を含む、請求項6に記載の方法。
  14. 前記セルロースまたはリグノセルロース原料が、24時間以内に15%を超える前記セルロースまたはリグノセルロース原料が単純糖類に変換されるのに十分な量の酵素で酵素処理されない、請求項13に記載の方法。
  15. 発酵最終産物を生産する方法であって、
    クロストリジウム(Clostridium)菌株を培地で培養する段階と、
    前記クロストリジウム(Clostridium)を培養中に、1つ以上の糖化合物を含む1つ以上の培地成分を前記培地に添加し、前記1つ以上の糖化合物を、前記クロストリジウム(Clostridium)により他の化合物に変換される糖の量に関連させて添加する段階と
    を含む方法。
  16. 前記1つ以上の培地成分が窒素源を含む、請求項15に記載の方法。
  17. 前記窒素源がプロリン、グリシン、ヒスチジンおよび/またはイソロイシンを含む、請求項16に記載の方法。
  18. 前記1つ以上の培地成分がセルロースまたはリグノセルロース原料を含む、請求項15に記載の方法。
  19. 前記セルロースまたはリグノセルロース原料が、24時間以内に15%を超える前記セルロースまたはリグノセルロース原料が単純糖類に変換されるのに十分な量の酵素で酵素処理されない、請求項18に記載の方法。
  20. 発酵最終産物を生産する方法であって、
    クロストリジウム(Clostridium)菌株の第一の接種材料を培地に添加することと、
    前記クロストリジウム(Clostridium)をエタノール生産に適した条件下で培養することと、
    前記第一のクロストリジウム(Clostridium)接種材料を前記培地に添加後5時間を過ぎてから、追加のクロストリジウム(Clostridium)種の生細胞を前記培地に添加することと、
    前記培地から前記発酵最終産物を回収すること
    を含む方法。
  21. 前記第一のクロストリジウム(Clostridium)接種材料の添加後に、1つ以上の培地成分を前記培地に添加することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
  22. 培地成分の添加および生細胞の添加を逐次的にまたは同時に行う、請求項20に記載の方法。
  23. エタノールを生産する方法であって、不純なエタノール原料から不純物を除去して精製エタノール原料を生産し、前記精製エタノール原料が約90%(wt.)を超えるエタノールであり、かつ前記不純なエタノール原料がクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)細胞をフェドバッチ培養で培養することにより生成される発酵培地に由来し、前記発酵培地中のエタノール濃度が約7g/Lよりも大きい段階を含む方法。
  24. 発酵最終産物を生産する方法であって、クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株を含む培地を培養し、前記発酵最終産物が少なくとも約3g/(L・日)の瞬間生産性で生産される段階を含む方法。
  25. 発酵最終産物を生産する方法であって、
    外部から補充される化学物質または酵素で処理されていないセルロース原料を提供することと、
    外部から補充された酵素を含まない培地中で前記セルロース原料を微生物と混合することと、
    発酵最終産物を生産するのに十分な条件および時間で前記セルロース原料を発酵させることと
    を含む方法。
  26. 発酵最終産物を生産する方法であって、pH調整剤の存在下でクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)細胞を発酵させて、発酵最終産物を生産することを含む方法。
  27. 前記発酵最終産物がエタノールである、請求項26に記載の方法。
  28. 前記細胞の発酵を約6.0〜約7.2の間のpHで行う、請求項26に記載の方法。
  29. 前記pHが約6.5である、請求項28に記載の方法。
  30. 発酵最終産物を生産する方法であって、添加脂肪酸原料の存在下でクロストリジウム(Clostridium)菌株の細胞を発酵させて、発酵最終産物を生産することを含む方法。
  31. 前記脂肪酸含有原料がコーン油、ヒマワリ油、ベニバナ油、カノーラ油、ダイズ油またはナタネ油の1つ以上を含む、請求項30に記載の方法。
  32. 前記脂肪酸含有原料がリン脂質またはリゾリン脂質を含む、請求項30に記載の方法。
  33. クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)細胞とpH調整剤とを含み、発酵最終産物が生産される発酵培地。
  34. クロストリジウム(Clostridium)菌株の細胞と添加脂肪酸含有化合物とを含み、発酵最終産物が生産される発酵培地。
  35. クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株と、プロリン、グリシン、ヒスチジンおよび/またはイソロイシンを含む窒素源と、セルロースまたはリグノセルロース原料とを含む発酵培地。
  36. アルコールを生産する方法であって、クロストリジウム(Clostridium)菌株の細胞を発酵させることと、pH調整剤および脂肪酸原料の存在とを含み、発酵最終産物が生産される方法。
  37. 培地およびクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株を収容するように設定された発酵槽を含み、前記発酵槽が、発酵中の変化が約25%未満であるレベルに糖化合物量を維持するように設定されている燃料プラント。
  38. 培地およびクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株を収容するように設定された発酵槽を含み、前記発酵槽が、追加の培地成分または追加のクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)生細胞を定期的に前記培地に補充するように設定されている燃料プラント。
  39. 培地およびクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株を収容するように設定された発酵槽を含み、前記培地が、pH調整剤と、セルロースまたはリグノセルロース原料とを含む燃料プラント。
  40. 前記培地が脂肪酸原料をさらに含む、請求項39に記載の燃料プラント。
  41. 培地およびクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株を収容するように設定された発酵槽を含み、前記培地が、プロリン、グリシン、ヒスチジンおよび/またはイソロイシンを含む窒素源と、セルロースまたはリグノセルロース原料とを含む燃料プラント。
  42. 培地およびクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株を収容するように設定された発酵槽を含み、前記培地が、脂肪酸原料と、セルロースまたはリグノセルロース原料とを含む燃料プラント。
  43. 発酵中の変化が約25%未満であるレベルの糖化合物量を含む培地で、セルロースまたはリグノセルロース原料をクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株で発酵させることにより生産される発酵最終産物。
  44. pH調整剤を含む培地で、セルロースまたはリグノセルロース原料をクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株で発酵させることにより生産される発酵最終産物。
  45. 脂肪酸を含む培地で、セルロースまたはリグノセルロース原料をクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株で発酵させることにより生産される発酵最終産物。
  46. プロリン、グリシン、ヒスチジンおよび/またはイソロイシンを含む窒素源を含む培地で、セルロースまたはリグノセルロース原料をクロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)菌株で発酵させることにより生産される発酵最終産物。
  47. 前記発酵最終産物がエタノールである、請求項43〜46に記載の発酵最終産物。
JP2011554130A 2009-03-09 2010-03-09 クロストリジウム(Clostridium)種からの発酵最終産物の生産 Pending JP2012519500A (ja)

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US15860009P 2009-03-09 2009-03-09
US15858109P 2009-03-09 2009-03-09
US61/158,600 2009-03-09
US61/158,581 2009-03-09
US17107709P 2009-04-20 2009-04-20
US61/171,077 2009-04-20
PCT/US2010/026730 WO2010104896A1 (en) 2009-03-09 2010-03-09 Production of fermentive end products from clostridium sp.

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2012519500A true JP2012519500A (ja) 2012-08-30

Family

ID=42728714

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011554130A Pending JP2012519500A (ja) 2009-03-09 2010-03-09 クロストリジウム(Clostridium)種からの発酵最終産物の生産

Country Status (11)

Country Link
US (1) US20100298611A1 (ja)
EP (1) EP2406381A4 (ja)
JP (1) JP2012519500A (ja)
CN (1) CN102439159A (ja)
AU (1) AU2010224284A1 (ja)
BR (1) BRPI1009361A2 (ja)
CA (1) CA2754910A1 (ja)
CO (1) CO6430476A2 (ja)
MX (1) MX2011009477A (ja)
WO (1) WO2010104896A1 (ja)
ZA (1) ZA201106794B (ja)

Families Citing this family (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
UA95795C2 (ru) * 2006-01-27 2011-09-12 Юниверсити Оф Массачусетс Способ изготовления продукта из биомассы и установка по производству топлива из биомассы
WO2010014632A2 (en) * 2008-07-28 2010-02-04 University Of Massachusetts Methods and compositions for improving the production of products in microorganisms
US20100028966A1 (en) * 2008-07-28 2010-02-04 Jeffrey Blanchard Methods and Compositions for Improving The production Of Products In Microorganisms
EP2421984A1 (en) * 2009-04-20 2012-02-29 Qteros, Inc. Compositions and methods for fermentation of biomass
JP5352882B2 (ja) * 2009-12-04 2013-11-27 独立行政法人国際農林水産業研究センター クロストリジウム属微生物を利用したセルロース分解酵素の生産方法及びクロストリジウム属微生物の培養増殖方法。
CN109022518A (zh) * 2011-07-22 2018-12-18 诺维信北美公司 用于预处理纤维素材料和改进其水解的方法
AU2013256038A1 (en) * 2012-05-04 2014-10-16 Butamax Advanced Biofuels Llc Processes and systems for alcohol production and recovery
RU2562536C2 (ru) * 2012-06-22 2015-09-10 Государственное научное учреждение Красноярский научно-исследовательский институт животноводства Российской академии сельскохозяйственных наук (ГНУ Красноярский НИИЖ Россельхозакадемии) Способ получения глюкозо-мальтозной патоки из картофельного крахмала
WO2015123627A1 (en) * 2014-02-17 2015-08-20 The University Of Toledo Enhancement of lignocellulose saccharification via a low temperature ionic liquid pre-treatment scheme
MX2017000117A (es) * 2014-07-03 2017-08-08 Archer Daniels Midland Co Alimento para insectos.
SG10202107085TA (en) 2015-04-10 2021-08-30 Comet Biorefining Inc Methods and compositions for the treatment of cellulosic biomass and products produced thereby
EP3344282B8 (en) * 2015-09-02 2020-12-23 DuPont Nutrition Biosciences ApS Glycoside hydrolases and their use in preventing and/or treating a pathogenic infection in an animal
FR3074802B1 (fr) * 2017-12-13 2019-12-06 IFP Energies Nouvelles Procede d'elimination simultanee d'isobutanal et d'acetone de charges olefiniques par adsorption sur un materiau zeolithique
US10633461B2 (en) 2018-05-10 2020-04-28 Comet Biorefining Inc. Compositions comprising glucose and hemicellulose and their use
CN112795553A (zh) * 2021-01-07 2021-05-14 南京工业大学 一种利用梭菌连续化生产木聚糖酶的方法
CN112941119B (zh) * 2021-01-22 2022-08-30 江南大学 一种提高酿酒酵母工程菌脂肪酸乙酯产量的方法

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007089677A2 (en) * 2006-01-27 2007-08-09 University Of Massachusetts Systems and methods for producing biofuels and related materials

Family Cites Families (36)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
SE423027B (sv) * 1974-07-08 1982-04-13 Lagerstrom & Mattsson Hb Hande Forfarande for hojning av foderverdet hos halm i balform
SE7605943L (sv) * 1976-05-25 1977-11-26 Boliden Ab Forfarande och anordning for lutning av forvedat gres
US4094742A (en) * 1977-03-04 1978-06-13 General Electric Company Production of ethanol from cellulose using a thermophilic mixed culture
GB2054643B (en) * 1979-07-18 1983-05-05 Rolls Royce Fermentation process for the manufacture of an organic compound
US4400470A (en) * 1981-01-14 1983-08-23 Wisconsin Alumni Research Foundation Use of co-cultures in the production of ethanol by the fermentation of biomass
SE440498B (sv) * 1983-08-10 1985-08-05 Sca Development Ab Sett att biologiskt rena avloppsvatten fran tillverkning av peroxidblekt massa
US5643758A (en) * 1987-03-10 1997-07-01 New England Biolabs, Inc. Production and purification of a protein fused to a binding protein
US5000000A (en) * 1988-08-31 1991-03-19 University Of Florida Ethanol production by Escherichia coli strains co-expressing Zymomonas PDC and ADH genes
US5028539A (en) * 1988-08-31 1991-07-02 The University Of Florida Ethanol production using engineered mutant E. coli
US5554520A (en) * 1988-08-31 1996-09-10 Bioenergy International, L.C. Ethanol production by recombinant hosts
US5370999A (en) * 1992-12-17 1994-12-06 Colorado State University Research Foundation Treatment of fibrous lignocellulosic biomass by high shear forces in a turbulent couette flow to make the biomass more susceptible to hydrolysis
US6423145B1 (en) * 2000-08-09 2002-07-23 Midwest Research Institute Dilute acid/metal salt hydrolysis of lignocellulosics
DE60217303T2 (de) * 2001-02-28 2007-08-30 Iogen Energy Corp., Nepean Methode zur behandlung von lignin- und zellulosehaltigen beschickungen zur erhöhten produktion von xylose und ethanol
AU2002346656A1 (en) * 2001-12-06 2003-06-23 Prodigene, Inc. Methods for the cost-effective saccharification of lignocellulosic biomass
US20040231060A1 (en) * 2003-03-07 2004-11-25 Athenix Corporation Methods to enhance the activity of lignocellulose-degrading enzymes
US7405068B2 (en) * 2003-05-02 2008-07-29 Tate & Lyle Ingredients Americas, Inc. Pyruvate producing yeast strain
CN101517072A (zh) * 2004-01-16 2009-08-26 诺维信北美公司 生产发酵产物的方法
US7098009B2 (en) * 2004-03-04 2006-08-29 University Of Florida Research Foundation, Inc. Production of chemicals from lignocellulose, biomass or sugars
BRPI0516665B8 (pt) * 2004-11-29 2022-08-09 Elsam Eng A/S Processos para liquefação de biomassas contendo polissacarídeo
EP1853534A1 (en) * 2005-02-04 2007-11-14 University of Aarhus A method for recycling important nutritional elements from waste
BRPI0612966B1 (pt) * 2005-04-12 2017-12-05 E.I.Du Pont De Nemours And Company Method for the treatment of biomass
FI120045B (fi) * 2005-12-22 2009-06-15 Roal Oy Selluloosamateriaalin käsittely ja siinä käyttökelpoiset entsyymit
BRPI0707753A2 (pt) * 2006-02-13 2011-05-10 Donaldson Co Inc trama de filtro compreendendo fibra fina e particulando reativo, adsortivo ou absortivo
KR20120053088A (ko) * 2006-05-26 2012-05-24 아미리스 인코퍼레이티드 이소프레노이드의 생산 방법
US20080227161A1 (en) * 2007-03-16 2008-09-18 Weyerhaeuser Company Methods for producing a hydrolysate and ethanol from lignocellulosic materials
US20090111154A1 (en) * 2007-04-04 2009-04-30 The Regents Of The University Of California Butanol production by recombinant microorganisms
CN101311272B (zh) * 2007-05-24 2011-06-22 中国科学院上海生命科学研究院 一种木薯发酵制备丙酮、丁醇、乙醇的方法
US20090011474A1 (en) * 2007-06-20 2009-01-08 Board Of Trustees Of Michigan State University Process for producing sugars from cellulosic biomass
US8058041B2 (en) * 2007-07-04 2011-11-15 Alex Berlin Concurrent saccharification and fermentation of fibrous biomass
US8445236B2 (en) * 2007-08-22 2013-05-21 Alliance For Sustainable Energy Llc Biomass pretreatment
US7807419B2 (en) * 2007-08-22 2010-10-05 E. I. Du Pont De Nemours And Company Process for concentrated biomass saccharification
US7449313B2 (en) * 2007-11-03 2008-11-11 Rush Stephen L Systems and processes for cellulosic ethanol production
WO2009108908A1 (en) * 2008-02-27 2009-09-03 Qteros, Inc. Methods forthe conversion of plant materials into fuels and chemicals by sequential action of two microorganisms
WO2010014632A2 (en) * 2008-07-28 2010-02-04 University Of Massachusetts Methods and compositions for improving the production of products in microorganisms
EP2421984A1 (en) * 2009-04-20 2012-02-29 Qteros, Inc. Compositions and methods for fermentation of biomass
WO2011081658A2 (en) * 2009-12-15 2011-07-07 Qteros, Inc. Methods and compositions for producing chemical products from c. phytofermentants

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007089677A2 (en) * 2006-01-27 2007-08-09 University Of Massachusetts Systems and methods for producing biofuels and related materials

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6014028953; Biomass and Bioenergy 32, 2, 2008, p.176-183 *
JPN6014028955; Biotechnology and Bioengineering Symposium , 1983, p.217-224 *
JPN6014028957; Biotechnology Letters 8, 3, 1986, p.213-218 *

Also Published As

Publication number Publication date
US20100298611A1 (en) 2010-11-25
WO2010104896A1 (en) 2010-09-16
CA2754910A1 (en) 2010-09-16
BRPI1009361A2 (pt) 2015-10-13
ZA201106794B (en) 2014-03-26
EP2406381A4 (en) 2012-08-29
CN102439159A (zh) 2012-05-02
EP2406381A1 (en) 2012-01-18
WO2010104896A9 (en) 2011-04-14
MX2011009477A (es) 2012-01-20
AU2010224284A1 (en) 2011-10-06
CO6430476A2 (es) 2012-04-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2012519500A (ja) クロストリジウム(Clostridium)種からの発酵最終産物の生産
US8563277B1 (en) Methods and systems for saccharification of biomass
AU2007210012B2 (en) Systems and methods for producing biofuels and related materials
US20100268000A1 (en) Compositions and Methods for Fermentation of Biomass
US20220090156A1 (en) Methods and Systems For Saccharification of Biomass
US8765430B2 (en) Enhancing fermentation of starch- and sugar-based feedstocks
US20140106418A1 (en) Enhanced Fermentation From Pretreatment Products
WO2013085555A2 (en) Modulation of fermentation products through vitamin supplementation
WO2014026154A1 (en) Optimized pretreatment of biomass
WO2011002824A1 (en) Pretreatment of biomass
ES2703631T3 (es) Procedimientos y sistemas para la sacarificación de biomasa
WO2011116358A2 (en) Microorganisms with inactivated lactate dehydrogenase gene (ldh) for chemical production
WO2012068310A2 (en) Compositions and methods for improved saccharification of genetically modified plant-derived biomass
WO2011106576A2 (en) Methods and compositions for enhanced enzyme activity in fermenting microorganisms
WO2011133984A2 (en) New bacterium for production of chemicals and recombinants thereof
Buyukoztekin et al. Enzymatic hydrolysis of organosolv-pretreated corncob and succinic acid production by Actinobacillus succinogenes
WO2012068537A2 (en) New biocatalysts and primers for production of chemicals

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130306

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140709

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20141202