JP2012519474A - 液体培養における酵素に基づく流加回分培養技術 - Google Patents

液体培養における酵素に基づく流加回分培養技術 Download PDF

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Abstract

本発明は、一般に、ラボスケール、又は、ラージスケールでの振とう液体培養において、連続的な、及び、高細胞密度の培養の分野に関する。より詳細には、基質重合体、又は、基質低重合体からの、増殖制限基質単量体の制御された酵素を用いた放出によって、培養生物の増殖速度を操作することが可能な、微生物原核細胞、又は、真核細胞液体培養のための、酵素に基づく流加回分方法(EnBase)に関する。

Description

発明の技術分野
本発明は、一般に、ラボスケール、又は、ラージスケールでの振とう液体培養における連続的な、及び、高細胞密度の培養の分野に関する。特に、基質重合体、又は、基質低重合体からの、増殖制限基質単量体の制御された酵素を用いた放出によって、培養生物の増殖速度を操作することが可能な、微生物原核細胞、又は、真核細胞の液体培養のための酵素に基づく流加回分方法(EnBase)に関する。
発明の背景
微生物原核細胞、又は、真核細胞を増殖するための培養方法の多くは、液体培地での培養に基づく。実際には、そのような液体培養は、回分過程実施モードで実行される。回分過程は、連続的でない過程であって、必須基質を全て含む無菌の増殖培地は、純粋培養された微生物原核細胞、又は、真核細胞が、最初に接種され、そして、どんな追加増殖培地も、実施過程の間に、加えられない。これは、回分過程が、部分的に閉鎖されたシステムであることを意味しており、実験過程の間に、加えられ、そして、取り除かれた唯一の物質が、空気/ガス交換、消泡剤、及びpH調整剤(Cinar A.ら、「回分発酵−モデリング、監視、及び、制御」、2003、Marcel Dekker Inc.、5頁)である。これら回分培養は、所望の均質度に、基質、及び、細胞を保つために、連続的に、振とうされ、又は、撹拌されて、好気培養のために酸素移動をできるだけ高く保証する。しかしながら、これら制御されていない振とう回分培養では、相当な不都合、例えば、増殖培地において、高い初期基質濃度を有する。この高い初期基質濃度は、微生物原核細胞、又は、真核細胞の誘導期(lag phases)につながり、豊富な培地、例えば、食物診断に、特に関連している。高い基質濃度では、微生物原核細胞、又は、真核細胞は、オーバーフロー代謝、及び、主に、アセテート、エタノール及び乳酸塩の副産物の多量の分泌に、反応することがある。制御されていない増殖もまた、容易に酸素欠乏が誘導され、もし、嫌気状態で生育すれば、微生物原核細胞、又は、真核細胞は、ギ酸塩、コハク酸エステル塩、水素、及び、さらに二酸化炭素を、分泌する(LU/Li W. R. & W. R. Strohl、Appl. Environ. Microbiol.、1990、56:1004-1011;Riesenberg Dら、J. Biotechnol.、1991、20:17-28)。したがって、嫌気性代謝(発酵反応)及びオーバーフロー代謝は、量において、pHのずれ、及び、発酵産物の分泌を、引き起こし、微生物原核細胞、又は、真核細胞の増殖を抑制したり、組換タンパク質の生成を害したりする。基質濃度、例えば、炭水化物が増加して、呼吸の遺伝子を抑制すると、これらの代謝産物のいくつかもまた、好気的な条件下で合成される。したがって、基質濃度が高いときには、好気的な条件下(解糖)でさえ、通常、最終電子受容体として、酸素で急速に増殖する細胞は、増殖阻害、及び、サイド代謝産物の蓄積(エタノール)、「クラブトリー効果」と呼ばれる現象、が示される(Crabtree H. G.、J. Biochem.、1928、22:1289-1298;Rinas U.ら、Appl. Microbiol. Biotechnol.、1989、31:163-167)。高濃度基質に長期間さらされると、最もエネルギー、及び、増殖効果を細胞に与える基質が、選択的に取り込まれるが、一方で、好ましくない基質の異化、及び、取り込みに関わる様々な機能が抑制される、異化代謝産物抑制によって特徴づけられる(Monod J.、Actualites scientifiques et industrielles、1942、911:70-78)。これは、バイオマス収量の低下、微生物原核細胞、又は、真核細胞生成物の質、及び、量の低下を導く。大腸菌の振とう培養におけるバイオマス収量は、振とうフラスコ培養で、通常、1リットルあたり1-2gの乾燥細胞の範囲内でだけであり、マイクロスケールでは、大抵もっと少ない。したがって、高細胞密度は、回分技術において達成されていない。
高い初期基質濃度による上述の影響を避けるために、バイオリアクターにおけるほとんどのラージスケールでの培養が、流加回分培養技術を適用している(Kleman G/L. & Strohl W. R.、Curr. Opin. Biotechnol.、1994、5:180-186;Riesenberg D.、Curr. Opin. Biotechnol.、1991、2:380-384)。流加回分培養は、極めて高濃度の規定量の新鮮な増殖制限基質の添加によって、回分培養と区別され、主に、連続的に供給されることによって、回分培養と区別される(Kleman G/L. & Strohl W. R.、Curr. Opin. Biotechnol.、1994、5:180-186)。産業的実施においては、プロセス効率は、培養液を規則的に除くことによって、増加させることができる、反復流加回分と呼ばれる手段である(Longbardi G. P.、Bioproc. Engin.、1994、10:185-194)。酸素消費が、培養における基質消費速度と増殖速度に対して増加するため、発酵副産物に起因する酸素制限、pHのずれ、及び、増殖抑制は、連続して基質を供給することで回避することができる。基質の供給がよく制御されている状態では、回分培養と比べて、50倍もの高いバイオマスに至った高細胞密度が、一般的に使用される工業用バイオリアクターで、生産されうる。大腸菌培養は、1リットルあたりの乾燥細胞が100g以上の最終バイオマス濃度に至ることができる(Lee S. Y.、Trends Biotechnol.、1996、14:98-105;Riesenberg D.、Curr. Opin. Biotechnol.、1991、2:380-384)。流加回分培養技術は、工業用バイオリアクターにおいて非常によく適用されるが、スモールラボスケールの振とう培養には、容易に適用されない。したがって、別の流加回分培養戦略が、開発されている。1)代謝的に活性な増殖制限基質単量体、2)基質低重合体、及び、3)代謝的に不活性な基質重合体、の間に、次のような相違点がある。
例えば、医療技術の分野では、伝達システムとも呼ばれている流加回分持続放出技術によって、薬がたびたび供給される。これらのシステムは、長期間にわたって、固相、例えば、人工のポリマーマトリクスからの拡散による代謝的に活性な増殖制限基質単量体の持続放出に基づいている。そのようなポリマーマトリクスは、栄養成分を充填することもでき、培養容器に加えることができる。そのような流加回分持続放出技術において、Lubbe C.ら(Appl. Microbiol. Biotechnol.、1985、22:424-427)は、アンモニウムイオンの調整を研究し、回分培養と比較して、セファロスポリンの生産を増やすために、ストレプトマイセスクラブリゲルスの培養に、塩化アンモニウムを含むエチレンビニルアセテート共重合体ディスク由来のアンモニアを供給した。しかしながら、その著者らは、増殖制限基質単量体を直線的に供給する、一定の細胞の指数増殖に一致させることができなかったため、それら流加回分持続放出システムを適用することによる重要な利点を観察していなかった。そのうえ、Jeude M.ら(Biotechnol. Bioeng.、2006、95:433-445)は、培養のための流加回分様の条件を作り出すために、増殖制限基質単量体を含む固相として、シリコンエラストマ(ポリジメチルシロキサン)ディスクを使用した(Buchs J.ら、WO2006/119867参照)。その著者らは、バイオマス収量の向上をもたらしたオーバーフロー代謝の最小化を観察したが、これらのシステムは、微生物原核細胞、又は、真核細胞培養には、めったに適用されない。これは、比較的少量な増殖制限基質単量体だけしか、そのような固相に充填することができないためである。そのうえ、そのような固相からの基質単量体の放出速度は、微生物原核細胞、又は、真核細胞の量が最も少なく、かつ、オーバーフロー代謝の危険性が最も高い、培養初期に、通常、最も速い。したがって、流加回分持続放出培養は、培地に増殖制限基質単量体を直接放出することが、スケーラビリティに、例えば、そのシステムに充填することができる増殖制限基質単量体の量に、及び、基質単量体の放出を的確に制御する可能性に関して制限されている、固相に基づいて、取り組まれている。そのうえ、そのような固相は、容易に生産することができず、適用性に限界がある。
Vasala A.ら(PCT/FI2007/050648)による酵素に基づく流加回分システムは、より優れた潜在性と、優れた基質放出の制御と、微生物原核細胞、又は、真核細胞の増殖を示した(PanU/La-Perala J.ら、2007、J. Biotechnol.、131S:S182 - Issue for the 13th European Congress of Biotechnology、バルセロナ、スペイン、poster no. 91.-doi:10.1016/j.jbiotec.2007.07.920、PanU/La-Peralaら、2008、Microb. Cell Fact. 7:31参照)。ここで、液相と固相、すなわち、二相システムを有する流加回分技術を説明する。従来の試みとの相違点は、固相(例えば、ゲル相)が、生体触媒による分解、すなわち、酵素に基づくことによって、代謝的に活性化した基質単量体を供給する代謝的に不活化した基質重合体の原料を、提供する。このシステムでは、増殖基質の生産速度、及び、微生物原核細胞、又は、真核細胞の増殖速度が、基質重合体分解酵素の濃度によって、簡単に制御されうる。増殖制限基質単量体の液相への放出は、停滞し、そして、簡単に制御されうるため、そのようなシステムは、固相を含む通常の流加回分持続放出システムと比較して、利点がある。この方法を用いることで、多量の基質重合体をそのシステムに充填することができる。そのうえ、固相としてのゲル製剤は、基質重合体の多くが水溶性型で維持されることを確実にした。したがって、液相の物理的な性質を損なわずに、高細胞密度がサポートされる。しかしながら、ゲルに固定化されたデンプンが、液相にゆっくりと拡散し、同時に酵素的に分解される場合には、このシステムもまた、不利益がある。さらに、ゲルの最大容量は、そのシステムに適用できるデンプンの量を、著しく制限する。ゲルが存在するために、酵素量だけでなく、デンプンの拡散速度も、反応速度で決定する。デンプンの拡散が速すぎると、細胞増殖に対して悪影響のある液相への不溶性デンプンの蓄積の原因となるおそれがある。
上で説明したすべての流加回分システムは、微生物原核細胞、又は、真核細胞、及び、培養培地を含む液相と、増殖制限基質単量体、又は、基質重合体を含む固相と、を備える二相システムで構成されている。しかしながら、二相システムは、頻繁な(機械的な)サンプリング、又は、測定が必要である生物工学的応用において使用することは、容易でない。これは、二相システムが、製造することが複雑であるだけでなく、多くの生物工学的応用、例えば、ラボスケールにおいて、それらの適応性が制限されることを意味する。これは、そのようなシステムが、生物工学的に最も重要な細菌種である大腸菌のシンプルな培養において、一般的になっていないことから説明することができる。
培地において基質重合体を効率的に分解できない微生物原核細胞、又は、真核細胞に関しては、基質重合体の部分的、又は、完全な酵素を用いた分解方法が、それらの増殖速度を向上させるために開発されている。例えば、Tokuda M.ら(J. Ferment. Bioeng.、1998、85:495-501)は、ウイスキー蒸留廃水の嫌気性メタン発酵が、嫌気性メタン生産過程より前に、酵素で、又は、カビで、デンプン(基質重合体)が部分的に分解されることによって、高められることを示した。しかしながら、この種の酵素を用いた前処理は、高細胞密度の微生物原核細胞、又は、真核細胞を得るための制御された培養を提供するのに適当でない。
真核細胞培養に関する別の興味深い応用が、Green H. & J. G. Rheinwald(US 3,926,723)によって提示された。著者らの目的は、有害な代謝産物の蓄積を減少させることによって、哺乳類細胞培養における細胞収率を向上させることであった。その著者らは、増殖している細胞がそれらを急速に消費するため、低濃度の増殖制限基質単量体(グルコース)が、培地に直接加えられることによって維持できないことを推論した。したがって、彼らは、液体培地中の微量の基質重合体(デンプン)と、ウマ、ブタ、又は、ウシ血清中に存在する加水分解酵素(例えば、アミラーゼ及びマルターゼ)の活性を、増殖制限単量体(グルコース)を放出するために使用した、すなわち、培養は、血清を含有する富栄養培地で行われた。これは、既知組成培地でなく、細胞増殖を制御するのが不可能になる。著者らは、理論上、1リットルあたり最大でも1gの乾燥細胞のバイオマス(細胞)をサポートするであろう1g/Lのデンプンだけを使用した。実際には、デンプンは、水溶性液体中で、その溶解性と消化性を容易に放つので、細胞収率は、かなり低いままでであった。その結果、細胞数の大幅な増加は、得られなかった。したがって、そのような技術は、増殖遅延化合物として有害な代謝産物(例えば、乳酸)の蓄積を防ぐためにしか使用されておらず、真核細胞の増殖速度を制御する、又は、高めるために使用されていなかったということになる。したがって、酵素に基づく流加回分高細胞密度培養ための方法として、考えることができない。
セルロース系物質の酵素を用いた分解が、炭素源を微生物に提供するために使用された別の試みが、Asenjoらによって説明された(Asenjoら、Biotechnology and Bioengineering、Vol. 37 (1991)、pp. 1087-1094;Asenjoら、Bioprocess Engineering 14 (1996)、pp. 323-329)。彼らの研究は、中間化合物(グルコース、又は、セルビオース)の蓄積と阻害作用を最小限にすることによって、産物形成を最適化するために行われた。Asenjoらは、酵素抑制化合物が蓄積しないように、酵素の供給を最適化した。しかしながら、このアプローチは、高細胞密度培養につながらない。
本発明の目的は、基質重合体、又は、基質低重合体からの増殖制限基質単量体の酵素を用いた制御された放出によって、培養された生物の増殖速度を制御する可能性のある、ラボスケール、又は、ラージスケールでの振とう液体培養において、連続的で、及び、高細胞密度の、微生物原核細胞、又は、真核細胞の培養のための方法を提供することにある。
発明の概要
本発明の基礎を形成する技術的な課題は、酵素に基づく流加回分技術(EnBase)によって、ラボスケール、又は、ラージスケースでの振とう液体培養培地において、微生物原核細胞、又は、真核細胞の増殖速度を、高細胞密度に制御するための方法を提供することにある。これは、増殖制限基質単量体を培地中にゆっくりと放出するために、消化酵素を用いた処理によって、培養されている間に、代謝的に不活性化した基質重合体、又は、基質低重合体が、十分に可溶性の代謝的に活性化した増殖抑制基質単量体に変換される、液体システムが提供されることを意味する。したがって、増殖制限基質単量体は、酵素作用によって、培地中に、基質重合体、又は、基質低重合体から、制御された方法で放出される。
図1は、無機塩液体培地において、基質重合体であるデキストリンからの増殖制限基質単量体グルコースの放出速度をグラフで説明する。グルコースの放出速度は、時間と酵素グルコアミラーゼ(E.C. 3.2.1.3.)の濃度に依存する。 図2は、基質重合体としてのデキストリンと、異なる濃度で加えられたデキストリン分解酵素としてのグルコアミラーゼ(E.C. 3.2.1.3.)を含有する無機塩液体培地における大腸菌株BL21(DE3)の増殖をグラフで説明する。増殖速度は、時間と、酵素グルコアミラーゼ(E.C. 3.2.1.3.)の濃度に依存する。 図3は、円(●)で示されるように、3U/Lのグルコアミラーゼ(E.C. 3.2.1.3.)を有し、40g/Lのデキストリンを含有する無機塩液体培地において、酵素に基づくグルコース放出を使用することによって、どのように、大腸菌BL21(DE3)の増殖が制御され、高細胞密度を得ることができるかをグラフで説明する。Terrific Broth(TB)における回分培養は、三角(p)で示されるように、増殖が制御されことを示し、低い細胞密度を得る。 図4aは、異なる濃度のサッカロース分解酵素インベルターゼ(E.C. 3.2.1.26)を使用して、二糖サッカロース(スクロース)からの増殖抑制基質単量体グルコースの放出速度をグラフで説明する。 図4bは、基質重合体としてサッカロースと、異なる濃度で加えられたサッカロース分解酵素としてインベルターゼ(E.C. 3.2.1.26)を含有する無機塩液体培地における大腸菌BL21(DE3)の増殖をグラフで説明する。 図5は、組換タンパク質(ヒトタンパク質ジスルフィドイソメラーゼAドメイン、15 kDaのサイズ)の生産向上が、Luria Bertani(LB)培地を使用する普通の誘導手順と比較して、酵素に基づく流加回分技術によって、達成されうることを示している。
定義
本明細書において使用される用語「微生物の」とは、「微生物」としても知られる生物のことであり、すなわち、通常は裸眼で見るには小さすぎる微小な生物のことである。
本明細書において使用される用語「原核細胞」又は「微生物原核細胞」は、「原核生物」としても知られており、細胞核としてもしられる核、又は、その他の膜結合細胞小器官を欠如した、主に、単細胞生物群のことである。原核生物は、2つの領域、すなわち、古細菌(始原細菌)と細菌(真正細菌)に分けられる。
本明細書において使用される用語「真核細胞」は、「真核生物」としても知られており、細胞、例えば、核が、膜内に封入された複雑な構造で構成された生物のことである。「微生物真核細胞」は、通常、単細胞であり、かつ、微細な、原生生物(酵母菌及び単細胞藻類)、及び、菌類だけでなく、多細胞の微小な動物及び植物を含む。
本明細書において使用される用語「細胞培養」又は「細胞培養法」は、微生物の増殖方法、すなわち、調整された実験室条件下で、微生物原核細胞、又は、真核細胞を増殖させる手段であり、一方で、「真核細胞培養」は、さらに、高等真核細胞の浮遊培養のことであり、多細胞真核生物から移植された組織の増殖に関する組織培養も含む。「真核細胞培養」は、どんな組織も形成されないCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞培養のような細胞懸濁培養も含む。
本明細書において使用される用語「純粋培養」は、単一クローン、又は、単一生物種を含む微生物原核細胞、又は、真核細胞の培養のことである。
本明細書において使用される用語「高細胞密度」は、決められた培養期間内で、多数の微生物原核細胞、又は、真核細胞を生産する培養のことである。高細胞密度値は、微生物細胞に依存しており、微生物を害することなく増殖制限基質(流加回分)を徐々に加えて到達する細胞密度値として定義できる、すなわち、大腸菌については、3x109cells/mL、好ましくは、1x1010cells/mL以上の生存細胞濃度である。
本明細書において使用される「ラボスケール」液体培養は、500mLから10Lの範囲のバイオリアクター、又は、これと同様のものにおける、10から1000mLの範囲の振とうフラスコ、又は、これと同様のもの、1から100mLの範囲のキュベット、ガラス瓶、ファルコンチューブ、又は、これと同様のものにおける、5mLから1mLの範囲のマイクロタイタープレート、マイクロバイオリアクター、又は、これと同様のものにおける、微生物原核細胞、又は、真核細胞培養のことである。
本明細書において使用される「ラージスケール」液体培養は、10リットルから最大200m3の培養容器、好ましくは、100リットルから100m3の培養容器、より好ましくは、100から1000リットルの培養容器における、微生物原核細胞、又は、真核細胞培養のことである。それらは、一般に、バイオリアクター(例えば、撹拌槽)において実行されるが、数立方メートルのプラスチックバッグのようなシンプルな(使い捨ての)容器も含めることができる。
本明細書において使用される「回分」培養は、不連続な過程であり、すべての必須基質を含有する無菌増殖培地は、最初に、純粋培養の微生物原核細胞、又は、真核細胞が接種されると、実験過程の間に、どんな追加の増殖培地も加えられない。これは、回分過程が、部分的に閉じられたシステムであることを意味しており、実験過程の間に、加えられ、そして、取り除かれた、唯一の材料が、空気/ガス交換、消泡剤、及び、pH調整剤である。回分培養は、基質、及び、細胞を所望の均質度を保つために、連続的に、振とうされ、又は、撹拌されて、好気培養のために酸素移動をできるだけ高く保証する。
本明細書において使用される「流加回分」培養は、培養媒体にそれらを低濃度で提供するために、ある量の新鮮な増殖制限基質が、培養培地に、連続的に、加えられて、微生物原核細胞、又は、真核細胞の増殖制御を得る過程である。「酵素に基づく流加回分技術」又は「EnBase」は、固相からの拡散又は酵素を用いた分解によって、又は、液相に含まれる水溶性又は一部可溶性の基質重合体、又は、基質低重合体からの酵素を用いた分解によって、増殖制限基質単量体が、基質重合体、又は、基質低重合体からゆっくりと放出される技術を示す。この場合、基質重合体、又は、基質低重合体は、連続的に又は不連続的に、培地に加えられるが、指示的に培養開始時に加えられる。その際、発酵の間に、基質重合体、又は、基質低重合体の1つ以上の部分を加えて、増殖に依存する酵素で「促進する」ことも可能である。
本明細書において使用される「固相」は、人工のポリマーマトリクス、もっと厳密に言えば、「ディスク」としても知られている容器、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体、又は、シリコーンエラストマー、或いは、ゲル相のいずれか一方である。本明細書において使用される「ゲル相」は、半固体の人工のポリマーマトリクス、もっと厳密に言えば、容器、例えば、寒天で強化された固定化デンプンをいう。
本明細書において使用される「液相」は、培養培地として機能できるいくらかの適切な液相をいう。液相の例としては、様々な一般的な既知組成媒体、例えば、無機塩培地を含む。液相は、無機塩培地の成分だけでなく、微生物原核細胞、又は、真核細胞も含む。本発明では、液相は、基質重合体、又は、基質低重合体、及び、それらを分解するための酵素も含む。
本明細書において使用される「基質」は、培養された生物の増殖する能力に影響を与えるいくらかの適切な物質をいう。
本明細書において使用される「基質単量体」は、微生物原核細胞、又は、真核細胞の培養によって効果的に分解される代謝的に活性化した増殖成分をいう。本発明では、基質単量体は、「増殖制限」であり、これは、基質単量体が、他の物質に関して、低比率で存在し、最初に消耗されることを意味している。
「基質重合体」又は「基質低重合体」は、水溶性であることが望ましい。
本明細書において使用される「基質重合体」又は「基質低重合体」は、微生物原核細胞、又は、真核細胞の培養によって、効率的に分解できない代謝的に不活性な増殖成分である。「基質重合体」又は「基質低重合体」は、2つの単量体の最小長があることが望ましい。
本明細書において使用される「酵素」は、流加回分条件を提供して、増殖制限基質単量体を放出するために、本発明の基質重合体、又は、基質低重合体を分解可能なことが技術的に知られている全ての酵素を示す。基質重合体、又は、基質低重合体の酵素を用いた分解に関しては、単一の酵素、もしくは、異なる酵素の組み合わせ、すなわち、酵素カクテルのいずれか一方が、適用されうる。
本明細書において使用される「グルコース重合体」は、ホモ重合体又はヘテロ重合体を示す。「ホモ重合体」は、グリコシド結合されたD-グルコース単量体から構成されるグルコース重合体を示し、「ヘテロ重合体」は、異なる単糖類、又は、アミノ糖、例えば、ヘミセルロースの含まれる化合物をいう。
本明細書において使用される「デンプン」は、2種類の高分子量グルコース重合体:アミロース(主にα-1,4結合非分岐重合体)とアミロペクチン(α-1,6グリコシド結合の含有量が多い分岐分子)から構成されるグルコース重合体を示している。
本明細書において使用される「デキストリン」は、α-(1,6)グルコースから始まる直鎖状のα-(1,4)結合D-グルコース重合体の混合物であるデンプン誘導体を示す。
本明細書において使用される「セルロース」は、直鎖状のβ-(1,4)結合D-グルコース重合体を示す。適当なセルロース誘導体は、メチルセルロース、又は、カルボキシメチルセルロースを含む。
本明細書において使用される「可溶性オリゴ糖、及び、二糖」は、β-(1,4)結合で結合した2つのグルコース分子で構成されるセロビオース、又は、サッカロース、及び、グルコース及びフルクトースの二糖類であるα-D-グルコピラノシル-(1⇔2)-β-D-フルクトフラノシドとしても知られているスクロースのような化合物を示す。
発明の詳細な説明
本発明は、ラボスケール、又は、ラージスケールでの振とう液体培養において、微生物原核細胞、又は、真核細胞の高細胞密度培養を目的とした、酵素に基づく流加回分技術(EnBase)を提供することにある。したがって、組換タンパク質の生産を考慮しても、液体培地における微生物原核細胞、又は、真核細胞の測定可能な高細胞密度過程の容易な解決法が提供される。「酵素に基づく基質輸送技術」としても知られている液体培養におけるこの酵素に基づく流加回分技術は、基質結合重合体、又は、ゲルに基づいた、二相の酵素に基づく流加回分技術の実行可能な代替手段である。
1つの実施例では、酵素に基づく流加回分技術は、5μLから100Lの範囲の容量をもつラボスケールでの振とう液体培養で実行される。500mLから100lの範囲のバイオリアクター、又は、これと同様のものにおける、10から500mLの範囲の振とうフラスコ、又は、これと同様のもの、1から10mLの範囲のキュベット、ガラス瓶、ファルコンチューブ、又は、これと同様のものにおける、5mLから5mLの範囲のマイクロタイター、及び、ディープウェルプレート、マイクロバイオリアクター、又は、これと同様のものにおける培養に、より好ましい。
別の実施例では、酵素に基づく流加回分技術は、10リットルから200m3の範囲の容量をもつ工業用の攪拌槽バイオリアクターにおいて、ラージスケールでの液体培養で実行される。
さらに別の実施例では、その培養が、500リットルのプラスチックバッグ(WAVE Bioreactor、Wave Europe)において、実行されている。酵素に基づく流加回分技術によって、可溶性の基質重合体、又は、基質低重合体から、異種遺伝子型の環境、すなわち、バイオリアクター内部に、高基質濃度、又は、低基質濃度をもつ局所的な区画が形成されることを避けることができ、向上された細胞収率を得ることができる。
本発明において、酵素に基づく流加回分技術は、高細胞濃度のラボスケール、又は、ラージスケールでの微生物原核細胞、又は、真核細胞の振とう液体培養において、増殖制限基質単量体をゆっくりと放出するために、酵素を用いた分解をうける基質重合体、又は、基質低重合体を含有する無機塩液体培地で実行されることが好ましい。
例となる無機塩培地は、2g/Lの硫酸ナトリウム、2.68g/Lの硫酸アンモニウム、0.5g/Lの塩化アンモニウム、14.6g/Lのリン酸水素二カリウム、3.6g/Lのリン酸二水素ナトリウム一水和物、1.0g/Lの(NH4)2-H-citrate、1.5Mの硫酸マグネシウムから成る(MSM;Neubauer P.ら、Biotechnol. Bioeng.、1995、47:139-146)。必要に応じて、微生物原核細胞、又は、真核細胞の順応期間(lag-phase)を短くするために、少量の(0.24g/Lの)トリプトン、及び、(0.48g/Lの)酵母エキスが、無機塩培地に加えられうる。これら少量の成分は、酵素に基づく流加回分技術を妨げないだろうが、微生物によって、炭素源、及び、エネルギー源として利用されうる。基質重合体、又は、基質低重合体は、10から50g/Lの濃度で、好ましくは、10、20、30、40、50g/Lの濃度で、最も好ましくは、40g/Lの濃度で、加えられる。その成分は、1リットルの蒸留水に混ぜられて、オートクレーブ処理されて、冷却された。その後、基礎培地は、3mMの硫酸マグネシウム、2mL/Lの微量元素溶液(Holme T.ら、Process Biochem.、1970、5:62-66)、及び、0.1g/Lのチアミン塩酸塩が、補われた。別の実施例では、無機塩液体培地は、MOPSバッファー((3-(N-モルホリノ)プロパン-スルホン酸、pH範囲6.5から7.9;20mM、培地pH7.0)で、完成される。さらに、別の実施例では、無機塩液体培地は、組換タンパク質の合成を向上するために、様々な量のトリプトン、及び、酵母エキスによって、その過程の後期で、さらに、補われ、又は、促進させることができる。
上述の無機塩液体培地は、好ましい例として理解されている。無機塩培地として、微生物原核細胞、又は、真核細胞の増殖に関して技術的に知られているどんな既知培地も、適当であるかもしれない。
1つの実施例において、本発明は、迅速な培地の調整方法を提供する。調整に関しては、プレ滅菌処理された既製品の無機塩液体培地、プレ滅菌処理された既製品の無機塩培地粉末、プレ滅菌処理された既製品の無機塩培地タブレット、又は、プレ滅菌処理された無機塩液体、又は、乾燥培地でプレ充填され、又は、コーティングされた培養容器が、より好ましい。
1つの実施例では、基質は、水溶性の基質低重合体、又は、基質重合体である。別の実施例では、基質重合体、又は、基質低重合体は、ゲル形成、又は、一部のみ可溶性の重合体又は低重合体である。望ましくは、基質重合体は、グルカンとしても知られる水溶性グルコース重合体である。グルカンは、酵素処理、すなわち、酸又はアルカリによって、熱処理(通常であるが、可逆過程である)によって、又は、いくつかの官能基の化学的改質によって、限定加水分解を介して、可溶性にすることができる。基質重合体は、水溶性グルコースホモ重合体、例えば、セルロース(β-1,4グルカン)、カードラン(β-1,3-グルカン)、デキストラン(α-1,6-グルカン)、グリコーゲン(α-1,4-及びα-1,6-グルカン)、ラミナリン(β-1,3-及びβ-1,6-グルカン)、レンチナン(β-1,6:β-1,3-グルカン)、リケニン、プルーラン(β-1,3-、及び、β-1,6-グルカン)、プルラン(α-1,4-及びα-1,6-グルカン)、デンプン(α-1,4-及びα-1,6-グルカン)、及び、ザイモサン(β-1,3-グルカン)であることが、より好ましい。
基質重合体、又は、基質低重合体は、少なくとも1種類の分解酵素の制御された添加よって、又は、2種類以上の分解酵素の混合物によって、増殖制限基質単量体、又は、他のすぐに同化できる化合物に、酵素を用いて分解される。培養された微生物原核細胞、又は、真核細胞中に存在していない酵素活性によることが、より好ましい。1つの実施例では、基質重合体、又は、基質低重合体は、培養の間に、一部分解される。別の実施例では、基質重合体、又は、基質低重合体は、培養の間に、完全に分解される。基質重合体、又は、基質低重合体からの基質単量体の制御された放出は、好ましくは、1種類の酵素、又は、酵素の混合物のいずれかの酵素濃度、又は、酵素活性によって調整される。使用される酵素量は、培養の酸素含有量にかかっており、好ましくは、培養過程の間、測定されるべきである。もし、細胞の増殖が遅く、酸素レベルが高い状態で維持されているならば、より多くの酵素を加えることができる。もし、培養培地中の酸素含有量が低くなり過ぎるなら、すなわち、(細胞増殖に害のある)嫌気状態が発生しているかもしれないならば、さらに酵素を加えるべきではないが、代わりに、曝気処理を強化するべきである。酸素含有量の測定、及び、どのくらい酵素を加えなければならないかという決断は、当業者に周知である。
好ましい酵素は、原材料に依存する。応用するためには、基質重合体、又は、基質低重合体からの増殖制限基質単量体の絶え間ない放出が必要であり、基質重合体、又は、基質低重合体の端(還元した、又は、還元していない)を消化する細胞外酵素が、好ましい。α-1,4結合が豊富なグルコース重合体としては、グルコアミラーゼは、そのような酵素である。α-1,6結合が豊富なグルカンとしては、イソアミラーゼのような脱分岐酵素が必要であるかもしれない。β-1,4結合が豊富なグルカンとしては、β-グルコシダーゼ、及び、他のセルロース分解酵素が必要である。基質重合体、又は、基質低重合体を分解するために最も適した酵素の選択は、当業者に周知である。
1つの実施例では、可溶性デンプン誘導体が、基質として可溶性デンプン誘導体を直接使用できない微生物原核細胞、又は、真核細胞の高細胞密度培養に効果的な基質重合体である。グルコースは、酵素α-アミラーゼ、及び、γ-アミラーゼを加えることで、デンプンから作り出すことができる。
1つの実施例では、デキストリンは、基質としてデキストリンを直接使用できない微生物原核細胞、又は、真核細胞の高細胞密度培養に効果的な基質重合体である。デキストリンは、酵素α-アミラーゼを用いた、デンプン、又は、他のアミロペクチンの制限酵素加水分解によって作り出される。グルコース単量体は、γ-アミラーゼ、又は、アミログルコシダーゼとしても知られている酵素グルコアミラーゼの添加によって、デキストリンから作り出すことができる。グルコースの生産は、他のアミラーゼ(例えば、α-アミラーゼ、イソアミラーゼ)の作用によって、さらに高めることができる。別の実施例では、グルコアミラーゼを用いてもまた消化されうるマルトース、マルトトリオース、及び、他の短いα-1,4結合グルコース重合体が、微生物原核細胞、又は、真核細胞の高細胞密度培養に効果的な基質重合体として、デンプン、又は、デキストリンの代わりに使用されうる。
1つの実施例では、水溶性セルロース誘導体は、基質として水溶性セルロース誘導体を直接使用できない微生物原核細胞、又は、真核細胞の高細胞密度培養に効果的な基質重合体である。水溶性セルロース誘導体は、エンドセルラーゼによるセルロースの結晶構造の酵素を用いた分解によって作り出され、この結果、(セロビオース二糖類を含む)端から2−4のグルコース基を切り取るエキソセルラーゼに、グルカン鎖の端を露出させる。グルコース生産の制御は、セロビオースを加水分解する、セロビアーゼとしても知られているβ-1,4グルコシダーゼの添加によって達成できる。別の実施例では、セルロースの主鎖のグルコピラノース単量体のいくつかのヒドロキシル基に代えて、メチル基、又は、カルボキシメチル基が付加されることによって作成される「メチルセルロース、又は、カルボキシメチルセルロース」が、基質としてメチルセルロース、又は、カルボキシメチルセルロースを直接使用できない微生物原核細胞、又は、真核細胞の高細胞密度培養に効果的な基質重合体として使用できる。しかしながら、メチルセルロース、又は、カルボキシメチルセルロースは、通常、水溶液中で、ゲル形成能がある。メチルセルロース、又は、カルボキシメチルセルロース含有培地の適用性を、さらに改良するために、非常にごく僅かのβ-1,4グルコシダーゼ活性であるが、エキソセルラーゼ、及び、エンドセルラーゼを含むセルラーゼ混合物を有する材料の予備処理によって、粘度(ゲル状構造)を減らすことができる。そのようなセルラーゼ形成は、カビトリコデルマ属の発酵(例えば、Novozymesによる、Bagsvard、デンマーク)から得ることができる。
1つの実施例では、ヘテロ重合体は、基質としてヘテロ重合体を直接使用できないそのような微生物原核細胞、又は、真核細胞の高細胞密度培養に効果的な基質重合体である。ヘミセルロースは、セルロースと同様に、ほとんど全ての植物細胞壁に存在する、マトリクス多糖としても知られるいくつかのヘテロ重合体であることがある。そのような化合物は、微生物原核細胞、又は、真核細胞によって、部分的に、又は、完全に、利用されることがある。ヘミセルロースは、不揃いな、強度の小さい非晶構造であるが、無数のヘミセルラーゼ酵素と同様に、低濃度の酸又は塩基によって、容易に加水分解される。
1つの実施例では、可溶性のオリゴ糖、及び、二糖は、基質として、可溶性のオリゴ糖及び二糖、例えば、セロビオース又はスクロースを、直接使用できない微生物原核細胞、又は、真核細胞の高細胞密度培養に効果的な基質重合体、又は、基質低重合体である。セロビアーゼ酵素が添加されるときに、二糖セロビオースは、2つの単量体分子グルコースに分けられうる。二糖スクロースは、サッカラーゼ又はβ-フルクトフラノシダーゼとしても知られているインベルターゼ酵素の添加によって、2つの単量体分子グルコースとフルクトースに分けられうる。
本発明で見出された酵素に基づく流加回分技術で、以下の改良を得ることができた:
1)栄養輸送システムの調整がより簡単になる。
2)栄養物生産する酵素のための基質が、液相で完全に可溶性のままで残っているので、培養過程の間に、培地の酸素輸送能、又は、生物の代謝能が変化しない。
3)膜ディスク又はゲルが必要でないので、サンプリング及び解析がより簡単になる。
4)培地が、細胞を有する共堆積物質を少しも含んでいないので、微生物原核細胞、又は、真核細胞生産物の分離がより簡単になる。
適切な酵素処理(前処理、又は、in-situ処理のどちらか)で、高い利用レベルの基質を得ることができる。
以下の実施例では、本明細書で記載された組成、方法、調整、及び、使用に関して、さらに説明する。
デキストリンからのグルコースの放出速度
デキストリンからのグルコース放出速度は、基質重合体としてデキストリンと、異なる濃度のデキストリン分解酵素グルコアミラーゼを含有する無機塩液体培地において、実施された。
グルコース放出を測定するための液システムは、2gの硫酸ナトリウム、2.7gの硫酸アンモニウム、0.5gの塩化アンモニウム、14.6gのリン酸水素二カリウム、3.6gのリン酸二水素ナトリウム一水和物、1.0gの(NH4)2-H-citrateから成る無機塩液体培地(MSM; Neubauer P.ら、Biotechnol. Bioeng.、1995、47:139-146)に基づいた。本実験において、40g/Lの可溶性デキストリンが、基質重合体として添加された。その成分は、1リットルの蒸留水と混ぜられて、オートクレーブ処理されて、冷却された。その後、デキストリン含有基礎培地は、3mMの硫酸マグネシウム、2mL/Lの微量元素溶液(Holme T.ら、Process Biochem.、1970、5:62-66)、及び、0.1g/Lのチアミン塩酸塩が、補われた。その液体培地、すなわち、150mLのアリコートが、無菌の96のウェルを持つポリスチレンマイクロタイタープレート(Perkin Elmer SpectraTM - 96 TC、Waltham、アメリカ)に、分注された。黒色麹菌由来のグルコアミラーゼ(E.C. 3.2.1.3.;アミラーゼ AG 300L、Novozymes、Bagsvard、デンマーク)の各量、すわなち、0、1.5、3、6、12、24又は48U/Lが、添加されて、実験が、37℃で、オービタルシェーカー(180rpm)で、速やかに始められた。グルコアミラーゼ消化の間に放出されたグルコースの濃度は、YSI 2700 Select Biochemical Analyzer(YSI Inc.、Yellow Springs、アメリカ)で解析された。
その結果は、試験された酵素濃度の範囲にわたって、無機塩液体培地において、グルコース蓄積が、グルコアミラーゼ量に依存することを明確に示している(図1)。グルコアミラーゼの添加がなければ、グルコースの放出は全く観測されなかったのに対して、24U/Lのグルコアミラーゼは、24時間、及び、43時間の培養の間、それぞれで、約17g/L、及び、21g/Lの最も高いグルコースの放出を与えた。したがって、30時間にわたる5から10g/Lのグルコースの放出が、0.2±0.1h-1の比増殖速度全体に関係していると仮定して、酵素に基づく流加回分タイプの大腸菌を用いた培養実験に関しては、3から24U/Lのグルコアミラーゼの量を、よい開始点として提案することができる。これらの計算に基づいて、1グラムのグルコースあたり0.5gの細胞乾重量の生産係数を考慮すれば、OD600が0.1で接種された培地は、30時間以内に、OD600が8から16に増殖すべきである。
デキストリン及び酵素グルコースアミラーゼを含有する無機塩液体培地における大腸菌の酵素に基づく流加回分培養
デキストリン含有無機塩液体培地における大腸菌BL21(DE3)の増殖に対する酵素グルコアミラーゼの異なった量の効果。培養は、各ウェルあたり1.5mLの培養液量を有する48のウェルを持つディープウェルプレート(Ritter、ドイツ)で実行された。
無機塩液体培地(MSM;Neubauer P.ら、Biotechnol. Bioeng.、1995、47:139-146)は、(1リットルあたり)2gの硫酸ナトリウム、2.7gの硫酸アンモニウム、0.5gの塩化アンモニウム、14.6 gのリン酸水素二カリウム、3.6gのリン酸二水素ナトリウム一水和物、1.0 gの(NH4)2-H-citrate、0.24gのトリプトン、0.48gの酵母エキスを含む、培養培地の一般的なベースとして、使用された。本実験において、40g/Lの可溶性デキストリンは、炭素源、及び、エネルギー源として、すなわち、基質重合体として、加えられた。その成分は、1リットルの蒸留水に混ぜられて、オートクレーブ処理されて、冷却された。接種の前に、デキストリン含有基礎培地は、3mMの硫酸マグネシウム、2mL/Lの微量元素溶液(Holme T.ら、Process Biochem.、1970、5:62-66)、及び、0.1g/Lのチアミン塩酸塩が、補われた。培養実験は、純粋培養した大腸菌株BL21(DE3)を使用して実行された。前培養は、グルコースもデキストリンも含んでおらず、無機塩培地(1プレートあたり2mL)を含む新たに培養されたLuria Bertani(LB)プレートから細菌を洗浄することによって、調整された。プレートウォッシュアウトは、各培養ウェルにおいて、OD600=0.1の初期細胞濃度を得るために、接種材料として使用された。
培養において、デキストリンを含有する1.5mLアリコートのMSM培地は、5mLの全容量を持つ無菌の48のウェルを持つポリスチレンディープウェルプレート(Ritter、ドイツ)に分注された。接種と培養が、37°Cで、オービタルシェーカー(180rpm)で、速やかに始められた後に、黒色麹菌(E.C. 3.2.1.3.;アミラーゼAG 300L、Novozymes、Bagsvard、デンマーク)由来のグルコアミラーゼの各量、すなわち、0、1.5、3、6、12、24又は48U/Lが、添加された。細胞増殖は、490nmの波長で、Victor3MU/Ltiwell Plate Reader(Perkin Elmer、Waltham、アメリカ)を用いて、増殖培地における培養サンプルを希釈した後に、分光光度計で、追跡調査された。結果は、検量線に従ってOD600値に変換された。OD600の1ユニットが、0.3 g/Lの乾燥菌体重量に相当する(Soini J.ら、Microb. Cell Fact.、2008、7:26)。
基質重合体デキストリンと、0から96U/Lの範囲の様々な量の基質重合体分解酵素グルコアミラーゼを含有する無機塩液体培地における大腸菌BL21(DE3)の増殖挙動は、本研究に選択された(図2)。培養の成功は、酵素グルコアミラーゼの濃度に強く依存することが観測された。ダイヤモンド(t)で示される、グルコアミラーゼの添加がなければ、低増殖性だけが、48時間培養後に、最大の細胞密度(OD600=7.5)で、得られた。したがって、細胞は、炭素源及びエネルギー源として、トリプトン、酵母エキス、及び、小さなサイズのグルコース低重合体のデキストリンを使用したが、低効率であった。24U/Lのグルコアミラーゼを用いて、最も細胞密度が高いことを提案した実施例1の前提と対照的に、三角形(p)で示されるように、OD600=27.5の最も高い細胞密度が、3U/Lのグルコアミラーゼで得られた。これは、高酵素量は、グルコースの蓄積と、増殖抑制代謝産物の生産をもたらすことを示唆している。72時間培養後に、細胞が静止期に入らなかったので、最大の細胞密度に達しなかったと仮定できる。これは、基質重合体デキストリンからのグルコースの、制御され、そして、制限された酵素を用いた放出の結果、細胞の増殖効率が、炭素源、及び、エネルギー源として、トリプトン及び酵母エキスを用いて増殖するのと比較して、増加したことを意味する。データもまた、ゆっくりと制御された増殖を目標にするならば、低い酵素濃度が適用できることを示す。正方形(n)で示される1.5U/Lのグルコースアミラーゼを用いた実験は、OD600=21の値、すなわち、3U/Lのグルコアミラーゼを用いた実験よりも低い細胞密度に達した。しかしながら、6、12、24、48、又は、96U/Lのグルコアミラーゼを用いた実験は、OD600=12から18の範囲の低い細胞密度という結果となった。おそらく、細胞が、酸素が欠乏した状態での代謝現象と、大量の増殖抑制副産物の分泌を受けたことによって、より多くの量の分解酵素が、グルコースの蓄積を引き起こす(LU/Li W. R. & W. R. Strohl、Appl. Environ. Microbiol.、1990、56:1004-1011;Riesenberg D.ら、J. Biotechnol.、1991、20:17-28)。
したがって、重合体分解酵素の量を変えることによって、最適な基質単量体の放出スピードを容易に達成することができる、すなわち、酵素に基づく流加回分技術が、ラボスケールでの高細胞密度液体培養に提供される。
デキストリンと酵素グルコアミラーゼを含む無機塩液体培地における大腸菌の酵素に基づく流加回分培養とTerrific Broth(TB)を用いた回分培養との比較
基質重合体としてデキストリンを含有する無機塩液体培地における大腸菌株BL21(DE3)の培養が、Terrific Broth(TB)を用いた普通のフラスコ振とう回分培養と比較された。各培養システムの2つの類似した振とうフラスコの平均が、図3に示される。
無機塩液体培地(MSM; Neubauer P.ら、Biotechnol. Bioeng.、1995、47:139-146)は、(1リットルあたり)2gの硫酸ナトリウム、2.7gの硫酸アンモニウム、0.5gの塩化アンモニウム、14.6gのリン酸水素二カリウム、3.6gのリン酸二水素ナトリウム一水和物、1.0gの(NH4)2-H-citrate、0.24gのトリプトン、0.48gの酵母エキスを含む、培養培地の一般的なベースとして使用された。本実験に関して、50g/Lの可溶性デキストリンが、炭素源及びエネルギー源として、すなわち、基質重合体として、加えられた。その成分は、1リットルの蒸留水に混ぜられて、オートクレーブ処理されて、冷却された。接種の前に、デキストリン含有基礎培地は、3mMの硫酸マグネシウム、2mL/Lの微量元素溶液(Holme T.ら、Process Biochem.、1970、5:62-66)、及び、0.1g/Lのチアミン塩酸塩が、補われた。コントロールとして、Terrific Broth(TB、Tartof K.D. & Hobbs C.A.、Bethesda Res. Lab. Focus、1987、9:19)培地(1リットル当たり12gのトリプトン、24gの酵母エキス、4gのグリセロール、9.4gのリン酸水素二カリウム、2.2gのリン酸二水素カリウム(pH 7.2))を有するフラスコが準備された。培養実験は、純粋培養された大腸菌株BL21(DE3)を用いて実行された。前培養は、グルコースもデキストリンも含まない無機塩培地(1プレート当たり2mL)を用いて、新たに培養されたLuria Bertani(LB)プレートから細菌を洗浄することによって調整された。プレートウォッシュアウトは、各振とうフラスコにおいて、初期細胞濃度をOD600=0.1にするための接種材料として使用された。
培養において、デキストリンを含有する100mLのアリコートのMSM培地、又は、TB培地が、無菌の500mLの三角のガラスの振とうフラスコに分注された。振とうフラスコは、OD600=0.1に、前培養したものを用いて、接種された。接種後、黒色麹菌(E.C. 3.2.1.3.;アミラーゼAG 300L、Novozymes、Bagsvard、デンマーク)由来の3.0U/Lの酵素グルコアミラーゼが、デキストリン/MSM振とうフラスコに加えられ、培養が、37°Cで、オービタルシェーカー(180rpm)で、速やかに始められた。細胞増殖は、490nmの波長で、Victor3 MU/Ltiwell Plate Reader (Perkin Elmer、Waltham、アメリカ)を用いて、増殖培地における培養サンプルを希釈した後に、分光光度計で、追跡調査された。OD600値への変換は、検量線に従ってなされた。OD600の1ユニットは、0.3g/L の乾燥菌体重量に相当する(Soini J.ら、Microb. Cell Fact.、2008、7:26)。
図3は、その後静止期が始まる、24時間培養(既に9時間培養後、OD600が10)後に、OD600が約12の最大値を有するTB培地において、細胞の増殖が制御されていないことを示す。したがって、TB培地は、微生物原核細胞、又は、真核細胞の増殖を制御するために適していない。しかしながら、基質重合体としてデキストリンと、デキストリン分解酵素としてグルコアミラーゼを含有する無機塩液体培地は、静止期に達することなしに、OD600値が約25まで、もっぱら直線状の増殖をもたらす。したがって、グルコースの制限された放出を制御することは、ラボスケールでの微生物原核細胞、又は、真核細胞振とう液体培養において、高細胞密度への可能性を提供する。
したがって、増殖制限基質としてデキストリンと、分解酵素グルコアミラーゼを含有する無機塩液体培地を使用することは、主に、トリプトン、酵母エキス、及び、少量のグリセロールが、炭素源、及び、エネルギー源に相当する、TB培地を使用するよりも、高い細胞密度をもたらす。
サッカロース、及び、酵素インベルターゼを含有する無機塩液体培地における大腸菌の酵素に基づく流加回分培養
大腸菌株BL21(DE3)の増殖に対する異なる量の酵素インベルターゼの効果が、基質低重合体サッカロースを含有する無機塩液体培地で試験された。無機塩液体培地(MSM;Neubauer P.ら、Biotechnol. Bioeng.、1995、47:139-146)は、(1リットルあたり)2gの硫酸ナトリウム、2.7gの硫酸アンモニウム、0.5gの塩化アンモニウム、14.6gのリン酸水素二カリウム、3.6gのリン酸二水素ナトリウム一水和物、1.0gの(NH4)2-H-citrateを含む、培養培地の一般的なベースとして使用された。本実験において、10g/Lのサッカロースは、炭素源及びエネルギー源として、すなわち、基質低重合体として、加えられた。その成分は、1リットルの蒸留水に混ぜられて、オートクレーブ処理されて、冷却された。接種の前に、基礎培地は、3mMの硫酸マグネシウム、2mL/Lの微量元素溶液(Holme T.ら、Process Biochem.、1970、5:62-66)、及び、0.1g/Lのチアミン塩酸塩が、補われた。前培養は、無機塩培地(1プレートあたり2mL)を含む新たに培養されたLuria Bertani(LB)プレートから細菌を洗浄することによって、調整された。プレートウォッシュアウトは、各培養ウェルにおいて、OD600=0.1の初期細胞濃度を得るための接種材料として使用された。
培養において、サッカロースを含有する1.5mLのアリコートのMSM培地は、全容量が1.5mLの無菌の48のウェルを持つディープウェルプレート(Ritter、ドイツ)に分注された。接種後に、インベルターゼの各量、すなわち、0、0.1、0.5、1、5、10、又は、100U/Lが、添加され、培養が、37°Cで、オービタルシェーカー(180rpm)で、速やかに始められた。さらに、その培地での大腸菌の増殖を試すときに、1000U/Lの量のインベルターゼが使用された。細胞増殖は、490nmの波長で、Victor3MU/Ltiwell Plate Reader(Perkin Elmer、Waltham、アメリカ)を用いて、増殖培地中の培養サンプルを希釈した後に、分光光度計を用いて、培養18時間後と培養24時間後とに、追跡調査された。OD600値への変換は、検量線に従ってなされた。OD600の1ユニットが、0.3g/Lの乾燥菌体重量に相当する(Soini J.ら、Microb. Cell Fact.、2008、7:26)。グルコース解析は、YSI 2700 Select Biochemical Analyzer(YSI Inc.、Yellow Springs、アメリカ)を用いて、培養2.5時間後と培養19時間後に実行された。
二糖サッカロースと、0から1000U/Lの範囲の様々な量の基質重合体分解酵素インベルターゼを含有する無機塩液体培地における大腸菌株BL21(DE3)の増殖挙動は、本研究のために選択された(図4a及びb)。グルコース放出速度は、試された範囲の酵素濃度に依存していた(図4a)。インベルターゼの添加がなければ、グルコースの放出は全く観察されなかったが、100U/Lのグルコアミラーゼは、培養19時間後に最大で、約1.65g/Lの最も高いグルコースの放出速度を与えた。100U/Lのインベルターゼを用いて得られたグルコースの放出値は、10U/Lのインベルターゼを用いて得られるグルコース放出値よりも、4.2倍高かった。したがって、大腸菌を用いた流加回分タイプの培養実験において、100U/Lのインベルターゼ量が、よい出発点として提案できるかもしれない。培養成功もまた、酵素インベルターゼの濃度に強く依存していることが観察された(図4b)。培養18時間後、10、100及び1000 U/Lの酵素インベルターゼを用いたサンプルのOD600値は、およそOD600=0.5からOD600=0.7に至るまで、非常によく似たものになった。細胞密度におけるより大きな差が、培養24時間後に得られ、1000U/Lが、約2.2のOD600値を示す最も高い細胞密度をもたらす。しかしながら、この値は、約2.0のOD600値を示す100U/Lを用いて得られた値よりも、僅かに高いだけであった。おそらく、高い酵素濃度(1000U/L)は、細胞が増殖抑制副産物の分泌の原因となる好ましくない代謝を受けることで、引き起こされる、高い代謝的に活性した基質濃度、すなわち、放出されたグルコース及びフルクトースの濃度をもたらす(LU/Li W. R. & W. R. Strohl、Appl. Environ. Microbiol.、1990、56:1004-1011;Riesenberg D.ら、J. Biotechnol.、1991、20:17-28)。
したがって、重合体分解酵素の量を変えることによって、基質単量体放出の最適な速度を容易に確立できる、すなわち、酵素に基づく流加回分技術が、制御された高細胞密度培養に提供される。
組換タンパク質生産のための酵素に基づくグルコース流加
15 kDa Aドメインのヒトタンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI、E.C. 5.3.4.1.)をコードする遺伝子を含むプラスミドpET21を持つ大腸菌株BL21(DE3)-851が、2つの異なる培地において、組み換えPDI生産のために培養された。フラスコ1(100mLの培地で満たされた1Lのフラスコ)は、(1リットルあたり)2gの硫酸ナトリウム、2.7gの硫酸アンモニウム、0.5gの塩化アンモニウム、14.6gのリン酸水素二カリウム、3.6gのリン酸二水素ナトリウム一水和物、1.0 gの(NH4)2-H-citrateを含む、培養培地の一般的なベースとして、無機塩液体培地(MSM;Neubauer P.ら、Biotechnol. Bioeng.、1995、47:139-146)を含んだ。その培地は、0.24gのトリプトンと、0.48gの酵母エキスをさらに補われた。本実験において、40g/Lの可溶性デキストリンが、炭素源及びエネルギー源として、すなわち、基質重合体として、加えられた。その成分は、1Lの蒸留水に混ぜられて、オートクレーブ処理されて、冷却された。接種の前に、デキストリン含有基礎培地は、3mMの硫酸マグネシウム、2mL/Lの微量元素溶液(Holme T.ら、Process Biochem.、1970、5:62-66)、及び、0.1g/Lのチアミン塩酸塩が、補われた。フラスコ2(500mLの培地で満たされた5Lのフラスコ)、Luria Bertani(LB)培地を含んだ。
培養実験は、純粋培養の大腸菌株BL21(DE3)-851を使用して実行された。前培養は、グルコースもデキストリンも含まない無機塩液体培地(1プレートあたり2mL)を用いて、新たに培養されたLBプレートから細菌を洗浄することによって、調整された。プレートウォッシュアウトは、各培養ウェルにおいて、OD600=0.1の初期細胞濃度を得るための接種材料として使用された。細胞増殖は、Victor3MU/Ltiwell Plate Reader(Perkin Elmer、Waltham、アメリカ)で、増殖培地における培養サンプルを希釈した後に、分光光度計を用いて追跡調査され、5μLのサンプル量が、490nmの波長で、光学密度を測定することによって、追跡調査された。OD600値への変換は、検量線に従ってなされた。OD600の1ユニットが、0.3g/Lの乾燥菌体重量に相当する(Soini J.ら、Microb. Cell Fact.、2008、7:26)。
フラスコ1(図5においてEnBaseフラスコとして示される)は、OD600=0.1の細胞密度に、前培養された大腸菌株BL21(DE3)-851が接種され、1.5U/Lのグルコアミラーゼが添加された。細菌は、37°Cで、200rpmで振とうしている条件で、一晩培養され、その結果、培養18時間後に、OD600=5.1の細胞密度となった。誘導は、1mMのIPTGを用いて、そのとき実行された。誘導時点では、必要以上量のグルコアミラーゼ(3U/L)、1.2g/Lのトリプトン、及び、2.4g/Lの酵母エキスが、加えられた。37℃で、200rpmで振とうしている条件で、誘導3.5時間後に、細胞が集められた。フラスコ2は、5リットルの振とうフラスコに入った500mLの培養量のLuria Bertani(LB)培地において、OD600=0.1の細胞密度に、前培養された大腸菌株BL21(DE3)-851が接種され、OD600が0.5に達するまで、37℃で、200rpmで振とうしている条件で、培養された。培養は、37℃で、200rpmで振とうしている条件で、3.5時間の間に、1mMのIPTGで、そのとき誘導された。
誘導後のサンプルが採取された:フラスコ1から20mLと80mLの量のボリュームサンプルが採取され、フラスコ2から100mLと300mLの量のサンプルが採取された。細菌は、遠心分離によって集菌され、そして、5mLのサンプルバッファー(50mMのリン酸ナトリウムpH 7.0、0.2Mの塩化ナトリウム)に懸濁された。SDS-PAGE解析のために0.2mLのサンプルが採取され、そして、細胞が超音波処理(MSE Soniprep、10passage of 10 second)によって破壊された。その後、可溶性タンパク質として解析されたサンプルは、不溶性タンパク質フラクションを取り除くために、遠心分離された(5分10000 x g)。サンプルは、標準プロトコールを使用することによって、SDS-PAGEプロトコール(12%の分離ゲル)で解析された。
図5で見られるように、1容量あたりのPDIの大幅に高い生産が、酵素に基づく流加回分液体培養(EnBaseとして示される)によって、達成された。1バイオマスあたりの生産能は、両方の培養で、ほぼ同じであった(図示せず)が、10倍高い誘導細胞密度が、酵素に基づく液体流加回分技術で使用されるうるため、1容量あたり5から10倍高いタンパク質生産量もまた、得られた。好ましい培養条件を長く維持する可能性は、酵素に基づく流加回分培養を用いて、長い誘導時間と、より高いバイオマスと、タンパク質生産を、さらに容易にするかもしれない。
迅速に培地を調整するための方法
(1)グルコース源として、基質重合体、例えば、デキストリンを含有する既製の無菌無機塩液体培地
グルコース源として、例えば、デキストリンを含有する制御された高細胞密度培養のための既製の無菌液体培地は、(1リットルあたり)2gの硫酸ナトリウム、2.7gの硫酸アンモニウム、0.5gの塩化アンモニウム、14.6gのリン酸水素二カリウム、3.6gのリン酸二水素ナトリウム一水和物、1.0gの(NH4)2-H-citrateを含む、無機塩液体培地(MSM; Neubauer P.ら、Biotechnol. Bioeng.、1995、47:139-146)の成分を混合することによって、実行される。また、1リットルあたり、0.24gのトリプトン、0.48gの酵母エキス、及び、基質重合体として50g/Lの可溶性デキストリンが、加えられた。培地は、オートクレーブで滅菌されて、冷却された。
例えば、大腸菌株BL21(DE3)を接種する前に、例えば、デキストリンを含む基礎培地は、3mMの硫酸マグネシウム、2mL/Lの微量元素溶液(Holme T.ら、Process Biochem.、1970、5:62-66)、及び、0.1g/Lのチアミン塩酸塩が、補われなければならない。接種後、基質重合体分解酵素、例えば、黒色麹菌由来の3.0U/Lの酵素グルコアミラーゼ(E.C. 3.2.1.3.;アミラーゼAG 300L、Novozymes、Bagsvard、デンマーク)が、添加されなければならず、培養は、速やかに始められなければならない。
(2)グルコース源として、基質重合体、例えば、デキストリンを含有する前滅菌された無機塩液体培地粉末
増殖制限基質重合体として、(1リットルあたり)例えば、50g/Lの可溶性デキストリンを含有する、上で説明したような無機塩液体培地の処方の成分は、プラスチック容器に分けられ(それぞれが、既製培地の100mLの一部を生産する)、照射殺菌によって滅菌された、よく混合された粉末を調整するために使用された。その粉末は、無菌の振とうフラスコに分配することができ、迅速な培地の調整に使用することができる。したがって、その粉末は、100mLの滅菌蒸留水で混合され、1分間、電子レンジ(700ワット)で加熱されることによって溶解するか、または代わりに、その培地を、溶解させるために、オートクレーブ処理することができる。
例えば、大腸菌株BL21(DE3)の接種前に、例えば、デキストリン含有基礎培地は、3mMの硫酸マグネシウム、2mL/Lの微量元素溶液(Holme T.ら、Process Biochem.、1970、5:62-66)、及び、0.1g/Lのチアミン塩酸塩が、補われなければならない。接種後に、基質重合体分解酵素、例えば、黒色麹菌由来の3.0U/Lの酵素グルコアミラーゼ(E.C. 3.2.1.3.;アミラーゼAG 300L、Novozymes、Bagsvard、デンマーク)が加えられなければならず、培養が、速やかに始められなければならない。
(3)迅速な培地の調整のために、基質重合体として、基質重合体、例えば、デキストリンを含有する前滅菌された無機塩培地タブレット
増殖制限基質重合体として、(1リットルあたり)例えば、50g/Lの可溶性デキストリンを含有する、上で説明したような無機塩液体培地の処方(MSM)の成分が、50mLの培養に十分なタブレットを調整するために使用された。タブレット製造に適している濃厚スラリーを得るために、1リットルの培地のために測定された化学薬品混合物に、30mLの70%エタノールが、加えられた。混合物は、20部分に分けられ、そして、直径22mmと厚さ約25mmを有するタブレットが、水圧機を用いて、調整された。(望ましくは、照射殺菌で滅菌された)これらのタブレットは、水(1つのタブレットあたり50mL)が加えられ、そして、電子レンジで、1分、加熱して(700ワット)、タブレットを溶解することによって、迅速な培地の調整のために利用された。
例えば、大腸菌株BL21(DE3)の接種前に、例えば、デキストリン含有基礎培地は、3mMの硫酸マグネシウム、2mL/Lの微量元素溶液(Holme T.ら、Process Biochem.、1970、5:62-66)、及び、0.1g/Lのチアミン塩酸塩が、補われなければならない。接種後に、基質重合体分解酵素、例えば、黒色麹菌由来の3.0U/Lの酵素グルコアミラーゼ(E.C. 3.2.1.3.;アミラーゼAG 300L、Novozymes、Bagsvard、デンマーク)が、加えられなければならず、培養は、速やかに始められなければならない。
基質重合体、例えば、デキストリンを含有する、前充填された、又は、コートされた無機塩培地を用いた培養容器の調整
10倍の濃度の無機塩液体培地(例えば、MSM、Neubauer P.ら、Biotechnol. Bioeng.、1995、47:139-146)が、調整された:(1リットルあたり)20gの硫酸ナトリウム、27gの硫酸アンモニウム、5gの塩化アンモニウム、146gのリン酸水素二カリウム、36gのリン酸二水素ナトリウム一水和物、10gの(NH4)2-H-citrateを含む。さらに、2.4gのトリプトンと、4.8gの酵母エキスが加えられた。また、基質重合体として、2.5倍の濃度の可溶性デキストリン(100g/L)が、調整された。これら成分は、オートクレーブ処理によって滅菌され、冷却され、以下の関係で、混合された: 10倍の培地濃縮物を1リットルと、2.5倍の可溶性デキストリンを4リットル。結果として生じるMSM/デキストリン混合物の2倍濃縮物が、培養容器に、例えば、1サンプルウェルあたり75μLが、全容量が200μLのマイクロタイタープレートに、分注された。前充填されたマイクロタイタープレートは、直接梱包されることができ、照射殺菌されることによって滅菌されることが可能であり、或いは、その液体は、培養培地の層で覆われたサンプルウェルを、37℃で、放置することで、最初に乾燥させることができる。乾燥培地の場合には、培養培地の固層は、滅菌蒸留水、例えば、150μLの水の添加によって溶解することができ、そして、微生物原核細胞、又は、真核細胞の液体培養に使用することができる。
例えば、大腸菌株BL21(DE3)の接種の前に、例えば、デキストリン含有基礎培地は、3mMの硫酸マグネシウム、2mL/Lの微量元素溶液(Holme T.ら、Process Biochem.、1970、5:62-66)、及び、0.1g/Lのチアミン塩酸塩が、補われなければならない。接種後、基質重合体分解酵素、例えば、黒色麹菌由来の3.0U/Lの酵素グルコアミラーゼ(E.C. 3.2.1.3.;アミラーゼAG 300L、Novozymes、Bagsvard、デンマーク)が加えられなければならず、培養は、速やかに始められなければならない。
記載されたイノベーションを使用できる培養容器の実施例
基質重合体と基質重合体分解酵素を含有する無機塩液体培地は、マイクロバイオリアクターから数立方メートルのリアクターに及ぶバイオリアクターにおいて、酵素に基づく流加回分技術のための一般的なベースの培養培地として、使用され得る。
2gの硫酸ナトリウム、2.7gの硫酸アンモニウム、0.5gの塩化アンモニウム、14.6gのリン酸水素二カリウム、3.6gのリン酸二水素ナトリウム一水和物、1.0gの(NH4)2-H-citrateを含む、無機塩液体培地(例えば、MSM;Neubauer P.ら、Biotechnol. Bioeng.、1995、47:139-146)は、培養培地の一般的なベースとして、使用された。0.24gのトリプトン、0.48gの酵母エキス、及び、増殖制限基質重合体として、例えば、50g/Lの可溶性デキストリンが、その培地に加えられた。その成分(基礎培地及びデキストリン)もまた、個別(少なくとも2倍)の濃縮物として、調整され、滅菌されて、その後、混合された。接種前に、デキストリンを含有する液体基礎培地は、3mMの硫酸マグネシウム、2mL/Lの微量元素溶液(Holme T.ら、Process Biochem.、1970、5:62-66)、及び、0.1g/Lのチアミン塩酸塩が、補われた。
<実施例8a>
全容量が200μLのマイクロバイオリアクターにおける酵素に基づく流加回分技術の利用
培養実験は、上述のように、純粋培養の大腸菌株BL21(DE3)と、無機塩液体培地を用いて実行された。大腸菌株BL21(DE3)の前培養は、37℃で、その株を一晩培養することによって、寒天で固められたMSMグルコース培地上に固定された、凍結グリセロールストックから、調整された。接種において、各サンプルプレートあたり大腸菌株BL21(DE3)の1つのコロニーが、無菌のマイクロピペットチップで選ばれ、培養ウェルに移された。
接種において、デキストリンを含有する150μLのアリコートの無機塩液体培地が、96のウェルを持つマイクロタイタープレート(Perkin Elmer Spectra PlateTM - 96 TC、 Waltham、アメリカ)に分注されのに対して、各ウェルは、全容量が200μLである。接種後、黒色麹菌由来の3.0U/Lの酵素グルコアミラーゼ(E.C. 3.2.1.3.;アミラーゼ AG 300L、Novozymes、Bagsvard、デンマーク)が加えられ、培養が、30°Cで、Variomag Thermoshaker(TEC-controller 485を用いて、 Inheco、Munich、ドイツ)を用いて、1000rpmで、速やかに開始された。細胞増殖は、490nmの波長で、Victor3 MU/Ltiwell Plate Reader(Perkin Elmer、Waltham、アメリカ)を用いて、増殖培地の培養サンプルを希釈した後に、分光光度計で、追跡調査された。OD600値への変換は、検量線に従ってなされた。OD600の1ユニットは、0.3g/Lの乾燥菌体重量に相当する(Soini J.ら、Microb. Cell Fact.、2008、7:26)。
一晩振とうされた後、OD600=10より高い細胞密度が、主として、観察された。48時間振とうされた後、OD600=30が、通常、検出された。したがって、本酵素に基づく流加回分技術は、小容量、例えば、容量が200μLのマイクロバイオリアクターに、利用されうる。
<実施例8b>
全容量が1000mLの振とうフラスコにおける酵素に基づく流加回分培養のための迅速な培地調整タブレットの利用
培養実験において、50g/Lの可溶性デキストリンを含有する無機塩液体培地の処方の乾燥成分が、100mLの培養に十分なタブレットの調整に使用された。タブレット製造に適した濃厚スラリーを得るために、1リットルの培地のために測定された化学薬品混合物に、30mLの70%エタノールが、加えられた。混合物は、10部分に分けられ、そして、直径22mmと厚さ約25mmを有するタブレットが、水圧機を用いて、調整された。これらのタブレットは、水(1つのタブレットあたり100mL)が加えられ、そして、電子レンジで、2分、加熱して(700ワット)、タブレットを溶解することによって、迅速な培地調整に使用された。培養実験は、純粋培養の大腸菌株BL21(DE3)を用いて、実行された。前培養は、グルコースもデキストリンも含まない無機塩液体培地(1プレートあたり2mL)を用いて、新たに培養されたLBプレートから細菌を洗浄することによって、調整された。プレートウォッシュアウトは、OD600=0.1の初期細胞濃度を得るための接種材料として、使用された。
培養において、無機塩液体培地タブレットは、上述したように、1000mLの振とう三角フラスコに分注され、そして、100mLの滅菌蒸留水が、補われた。振とうフラスコは、タブレットの培地成分を、水に完全に溶解させるために、電子レンジ(700ワット)で、2分間、加熱された。増殖実験は、洗浄された前培養細胞懸濁液を用いて、OD600=0.1の最終細胞濃度に、接種された。接種後、黒色麹菌由来の3.0U/Lの酵素グルコアミラーゼ(E.C. 3.2.1.3.;アミラーゼ AG 300L、Novozymes、Bagsvard、デンマーク)が加えられ、培養は、37℃で、オービタルシェーカーで、5cmの振幅、及び、200rpmの条件で、速やかに開始された。増殖細胞は、490nmの波長で、Victor3 MU/Ltiwell Plate Reader(Perkin Elmer、Waltham、アメリカ)を用いて、増殖培地における培養サンプルを希釈した後に、分光光度計を用いて、追跡調査された。OD600値への変換は、検量線に従ってなされた。OD600の1ユニットは、0.3g/Lの乾燥菌体重量に相当する(Soini J.ら、Microb. Cell Fact.、2008、7:26)。
基質重合体として、基質重合体、例えば、デキストリンを含有する前滅菌された無機塩培地タブレットは、振とうフラスコにおいて、本酵素に基づく流加回分技術に利用されうる。細菌培養のためのタブレットに基づく培地の適用性を評価するために、a)実施例3において説明したように、濃縮液から作られた培地を用いることによって、及び、b)上述のように、前滅菌されたタブレットから調整される培地によって、類似した培地ボトルが調整された。最初OD600= 0.1と3U/Lのグルコアミラーゼを有する100mL培養量における大腸菌株BL21(DE3)の培養では、培養48時間の間、これらのボトルの間に、同様の増殖特性が示された(結果は示さず)。
<実施例8c>
6リットルの全容量を有するバイオリアクターにおける流加回分持続放出技術の利用
培養実験は、上述したように、50g/Lの可溶性デキストリンを含有する無機塩液体培地と、大腸菌株BL21(DE3)を用いて実行された。
大腸菌株BL21(DE3)の前培養は、(1リットルあたり)5.0gの酵母エキス、10.0gのカゼインペプトン、10.0gの塩化ナトリウムを含有するLuria Bertani(LB)培地で、調整された。大腸菌株BL21(DE3)の前培養は、37℃で、オービタルシェーカー(180rpm)で、その株を一晩培養することによって、10mLのLB培地を含む100mLの三角フラスコにおいて、凍結グリセロールストックから調整された。接種において、前培養培地は、遠心分離(23°C、3200xg、20分)によって除去され、そして、沈殿物が、デキストリンが含まれていない無機塩液体培地に、懸濁された。
培養において、デキストリンを含有する6リットルの無機塩液体培地は、加熱と混合だけはできるが、調整(液体の供給)ができない、非常にシンプルな無菌のバイオリアクター、例えば、Braun BIOSTAT(R) C bioreactor(B. Braun Biotech International GmbH、Melsungen、ドイツ)に、分注された。培養培地は、OD600=0.1の最終細胞濃度に、大腸菌株BL21(DE3)の洗浄された前培養細胞懸濁液を用いて、接種された。接種後、黒色麹菌由来の6U/Lの酵素グルコアミラーゼ(E.C. 3.2.1.3.;アミラーゼ AG 300L、Novozymes、Bagsvard、デンマーク)が加えられ、培養が、37℃で、200rpmの混合を用いて、4L/minの気流で、速やかに開始された。発酵の間、溶存酸素濃度(DOT)は、攪拌スピードと気流を段階的に増すことによって、30%以上で維持されたが、pHの調整は全く利用されなかった。細胞増殖は、Victor3 MU/Ltiwell Plate Reader(Perkin Elmer、Waltham、アメリカ)を用いて、増殖培地における培養サンプルを希釈した後に、分光光度計を用いて、追跡調査され、5μLのサンプル量が、490nmの波長で、光学密度が測定されることによって、追跡調査された。対応するOD600値は、検量線に従って計算された。OD600の1ユニットは、0.3g/Lの乾燥菌体重量に相当する(Soini J.ら、Microb. Cell Fact.、2008、7:26)。酸素電極は、溶存酸素濃度(DOT)を検知するために使用された。
OD600=40の最大値を有する細胞増殖が、24時間以内に達成された。したがって、本酵素に基づく流加回分技術は、大容量、例えば、6リットルの全容量を有するバイオリアクターに、利用できる。

Claims (15)

  1. 酵素に基づく流加回分技術によって、液相培地における微生物原核細胞、又は、真核細胞の増殖を、高細胞密度に制御するための方法であって、
    基質重合体、又は、基質低重合体が、酵素の添加を制御することによって、分解されて、管理された方法で、培地中に、増殖基質単量体を放出することを特徴とする方法。
  2. 前記基質重合体、又は、基質低重合体は、前記微生物原核細胞、又は、真核細胞によって、直接分解されない、
    請求項1に記載の方法。
  3. 前記基質低重合体、又は、基質重合体は、培養開始時、又は、培養中に、1回、又は、数回に分けて、或いは、連続した供給によって、加えられる、
    請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記基質重合体、又は、基質低重合体は、グルコース重合体、又は、グルコース低重合体であり、好ましくは、セルロース(β-1,4-グルカン)、カードラン(β-1,3-グルカン)、デキストラン(α-1,6-グルカン)、グリコーゲン(α-1,4-及びα-1,6-グルカン)、ラミナリン(β-1,3-及びβ-1,6-グルカン)、レンチナン(β-1,6:β-1,3-グルカン)、リケニン、プルーラン(β-1,3-、及び、β-1,6-グルカン)、プルラン(α-1,4-及びα-1,6-グルカン)、デンプン(α-1,4-及びα-1,6-グルカン)、及び、ザイモサン(β-1,3-グルカン)より成る群から選択されるグルコース重合体である、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記基質重合体、又は、基質低重合体は、可溶性デンプン誘導体であり、好ましくは、デキストリンである、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記基質重合体、又は、基質低重合体は、セルロース誘導体であり、好ましくは、メチルセルロース、又は、カルボキシメチルセルロースである、
    請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記酵素は、アミラーゼ、プロテアーゼ、ペプチダーゼ、ヌクレアーゼ、及び、アミダーゼより成る群から選択される、
    請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記基質重合体、又は、基質低重合体は、10から50g/Lの範囲の量で、加えられる、
    請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 複数の添加物を含有する前記液相培地は、前記細胞によって炭素源として部分的に使用されるペプトン、カザミノ酸、又は、酵母エキスよりなる群から選択される、
    請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記液相培地は、1種類以上の無機塩、微生物原核細胞、又は、真核細胞、前記基質重合体、及び、前記基質低重合体、酵母エキス、トリプトン、及び、任意でMOPSバッファーを含む、
    請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記微生物原核細胞、又は、真核細胞は、細菌、古細菌、原生生物、菌類、微細な植物又は哺乳類の懸濁細胞培養を含む、
    請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記培養は、スモールスケール、又は、ラボスケールでの振とう培養で、又は、バイオリアクターで、実行される、
    請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記培養は、ラージスケールでの振とう培養、又は、バイオリアクター培養で、実行される、
    請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記微生物、又は、真核細胞の前記培養は、プラスチックバッグにおいて行われる、
    請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記細胞は、表面、又は、生体膜に付着することで増殖する、
    請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
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