JP2012515725A5 - - Google Patents

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鉄関連眼病障害の治療および予防へのデフェリプロンの使用
本発明は、鉄関連眼病障害の治療および鉄関連眼病障害の予防に関する。より具体的には、本発明は鉄および/または眼内の鉄の代謝異常に関連する眼へのダメージの治療および予防にデフェリプロンを適用することに関する。
CA2,642,778には、ミトコンドリアの鉄誘発ダメージから発生し、ミトコンドリアの鉄蓄積量を選択的に減らす患者の鉄誘発FRDA病の予防、安定化、治療または良化好転を適用対象とした治療有効量のデフェリプロンまたはデファラシロクスまたはその生理学的許容塩が開示されている。疾病発症の鍵となる元素が鉄の細胞間異常である、脳に影響する他の諸状態の治療にも適用できることが開示されている。さらにこのCA2,642,778には、さらに別な態様において、治療すべき症状が黄斑変性であることが開示されている。
US2008/0279913には、鉄キレート剤であるサリチルアルデヒドイソニコチノイルヒドラゾン(SIH)を使用する加齢黄斑変性、失明や緑内障の治療方法が開示されている。さらにこのUS2008/0279913には、網膜に有効作用量の金属キレート剤を接触させる方法であって、このキレート剤としてSIH、ピリドキサルイソニコチノイルヒドラゾン(PIH)、N−(2−ヒドロキシベンジル)−L−セリン(HB−Ser)、デスフェリオキサミン(DF)またはこれらの混合体(複合体)を使用する適用対象者の網膜の酸化性ストレスを治療する方法が開示されている。
WO2007/118276には、網膜退化疾病の治療および予防が開示されている。より具体的には、WO2007/118276には、哺乳動物、特に人間の加齢黄斑変性(AMD)または関連する網膜症状を予防する方法、発症を抑制する方法、あるいは症状を治療または緩和する方法が開示されている。さらにWO2007/118276には、加齢黄斑変性や関連する網膜退化症状の治療および予防に有効な製剤の投与量依存または特定投与量投与を可能にする治療組成物が開示されている。
CA2,642,778 US2008/0279913 WO2007/118276
Remington、The Science&Practice of Pharmacy by Alfonso Gennaro、20thed、Lippencott Williams&Wilkins、(2000)
本発明は、デフェリプロンを投与対象者に経口投与かあるいは局所投与すると、局所投与の場合も、あるいは経口投与の場合も、眼への鉄誘発ダメージを与える恐れのある投与対象者の眼へのダメージを予防できるという認識に一部基づく。既に眼にダメージを受けている場合でも、デフェリプロンを使用すると進行を予防できる。
また本発明は、デフェリプロンを眼に局所投与すると、デフェリプロンの経口投与の場合によく起きる副作用なしに、鉄関連眼病障害を治療できるという認識にも一部基づく。
鉄関連眼病障害および/または鉄誘発ダメージの原因としては、鉄を細胞から運び出す細胞鉄輸送体の欠損により生じるか、あるいは鉄結合タンパク質が不十分なため、反応性酸素種の産生につながる不安定な鉄が増えるために生じる鉄の生化学的異常が考えられる。不安定な鉄の発現は、ミクロなレベルまたはマクロなレベルでの眼または眼の成分組織への出血の結果とも考えることができる。生化学的なおよび/または物理的な作用機序が鉄誘発ダメージにつながることもある。デフェリプロンは、経口投与の場合も、あるいは局所投与の場合も、このような眼病障害の鉄誘発毒性の作用機序に干渉することによって症状を治療でき、および/または鉄誘発障害を予防できる。
本発明の例示的な実施態様の場合、デフェリプロンを使用して、緑内障、白内障、糖尿性網膜症、遺伝性網膜退化、網膜剥離、網膜の動脈または静脈血栓を原因とする虚血性網膜症、虚血性視神経症、視神経炎、および外傷性視神経症からなる群から選択される鉄関連眼病障害を治療する。
本発明の例示的な実施態様の場合、デフェリプロンを使用して、緑内障、白内障、糖尿性網膜症、遺伝性網膜退化、網膜剥離、網膜の動脈または静脈血栓を原因とする虚血性網膜症、虚血性視神経症、視神経炎、および外傷性視神経症からなる群から選択される鉄関連眼病障害の治療薬を製剤化する。
本発明の例示的な実施態様の場合、経口投与に好適なデフェリプロンである。
本発明の例示的な実施態様の場合、局所投与に好適なデフェリプロンである。
本発明の例示的な実施態様の場合、緑内障、白内障、糖尿性網膜症、遺伝性網膜退化、網膜剥離、網膜の動脈または静脈血栓を原因とする虚血性網膜症、虚血性視神経症、視神経炎、およびトラウマ性視神経症からなる群から選択される鉄関連眼病障害の治療方法であって、鉄関連眼病障害を罹っている対象者の眼に治療上有効な量のデフェリプロンを投与することからなる治療方法である。
本発明の例示的な実施態様の場合、前記デフェリプロンを経口投与する方法である。
本発明の例示的な実施態様の場合、前記デフェリプロンを局所投与する方法である。
本発明の例示的な実施態様の場合、鉄関連眼病障害の治療に局所投与するために好適なデフェリプロンである。
本発明の例示的な実施態様の場合、鉄関連眼病障害の局所投与治療薬の製剤化に好適なデフェリプロンである。
本発明の例示的な実施態様の場合、前記鉄関連眼病障害が年齢に伴う黄斑変性、緑内障、白内障、糖尿性網膜症、遺伝性網膜退化、網膜剥離、網膜の動脈または静脈血栓を原因とする虚血性網膜症、虚血性視神経症、視神経炎、および外傷(トラウマ)性視神経症からなる群から選択されるデフェリプロンである。
本発明の例示的な実施態様の場合、前記鉄関連眼病障害が年齢に伴う黄斑変性であるデフェリプロンである。
本発明の例示的な実施態様の場合、前記加齢黄斑変性が滲出性であるデフェリプロンである。
本発明の例示的な実施態様の場合、前記加齢黄斑変性が非滲出性であるデフェリプロンである。
本発明の例示的な実施態様の場合、鉄関連眼病障害に罹っている対象者の眼に治療上有効な量のデフェリプロンを局所投与することからなる鉄関連眼病障害の治療方法である。
本発明の例示的な実施態様の場合、前記鉄関連眼病障害が加齢黄斑変性、緑内障、白内障、糖尿性網膜症、遺伝性網膜退化、網膜剥離、網膜の動脈または静脈血栓を原因とする虚血性網膜症、虚血性視神経症、視神経炎、および外傷性視神経症からなる群から選択される治療方法である。
本発明の例示的な実施態様の場合、前記鉄関連眼病障害が加齢黄斑変性である治療方法である。
本発明の例示的な実施態様の場合、前記加齢黄斑変性が滲出性である治療方法である。
本発明の例示的な実施態様の場合、前記加齢黄斑変性が非滲出性である治療方法である。
本発明の例示的な実施態様の場合、前記対象者が以前に鉄関連眼病障害の治療を受けたことがある治療方法である。
本発明の例示的な実施態様の場合、前記対象者が以前に加齢黄斑変性の治療を受けたことがある治療方法である。
本発明の例示的な実施態様の場合、眼への鉄誘発ダメージの予防に使用するデフェリプロンである。
本発明の例示的な実施態様の場合、眼への鉄誘発ダメージの予防薬の製剤化に使用するデフェリプロンである。
本発明の例示的な実施態様の場合、眼への前記鉄誘発ダメージが、網膜の物理的歪みであるデフェリプロンである。
本発明の例示的な実施態様の場合、前記網膜の前記物理的歪みが、傷であるデフェリプロンである。
本発明の例示的な実施態様の場合、眼への前記鉄誘発ダメージが、異常血管成長であるデフェリプロンである。
本発明の例示的な実施態様の場合、眼への前記鉄誘発ダメージが、加齢黄斑変性、緑内障、白内障、糖尿性網膜症、遺伝性網膜退化、網膜剥離、網膜の動脈または静脈血栓を原因とする虚血性網膜症、虚血性視神経症、視神経炎、および外傷性視神経症からなる群から選択される鉄関連眼病障害にも関連するデフェリプロンである。
本発明の例示的な実施態様の場合、眼への前記鉄誘発ダメージが、加齢黄斑変性にも関連するデフェリプロンである。
本発明の例示的な実施態様の場合、前記加齢黄斑変性が滲出性であるデフェリプロンである。
本発明の例示的な実施態様の場合、前記加齢黄斑変性が非滲出性であるデフェリプロンである。
本発明の例示的な実施態様の場合、経口投与に好適なデフェリプロンである。
本発明の例示的な実施態様の場合、局所投与に好適なデフェリプロンである。
本発明の例示的な実施態様の場合、予防上有効な量のデフェリプロンを対象者に投与することからなる眼への鉄誘発ダメージを受ける恐れのある該対象者の眼への鉄誘発ダメージを予防する方法である。
本発明の例示的な実施態様の場合、眼への前記ダメージが網膜の物理的な歪みである予防方法である。
本発明の例示的な実施態様の場合、前記網膜の前記物理的歪みが傷である予防方法である。
本発明の例示的な実施態様の場合、眼への前記ダメージが異常血管成長である予防方法である。
本発明の例示的な実施態様の場合、眼への前記鉄誘発ダメージが、加齢黄斑変性、緑内障、白内障、糖尿性網膜症、遺伝性網膜退化、網膜剥離、網膜の動脈または静脈血栓を原因とする虚血性網膜症、虚血性視神経症、視神経炎、および外傷性視神経症からなる群から選択される鉄関連眼病障害に関連する予防方法である。
本発明の例示的な実施態様の場合、眼への前記鉄誘発ダメージが加齢黄斑変性に関連がある予防方法である。
本発明の例示的な実施態様の場合、前記加齢黄斑変性が滲出性である予防方法である。
本発明の例示的な実施態様の場合、前記加齢黄斑変性が非滲出性である予防方法である。
本発明の例示的な実施態様の場合、前記対象者が既に眼への鉄関連ダメージについて治療を受けたことがある予防方法である。
本発明の例示的な実施態様の場合、前記対象者が既に加齢黄斑変性について治療を受けたことがある予防方法である。
本発明の例示的な実施態様の場合、前記デフェリプロンを経口投与する予防方法である。
本発明の例示的な実施態様の場合、前記デフェリプロンを局所投与する予防方法である。
当業者ならば、添付図面を参考にして本発明の具体的な実施態様の説明を読めば、本発明の上記以外の態様および特徴作用効果を理解できるはずである。
トルイジンブルーで染色した系統的なCp/Heph二重欠損(DKO)マウスから得た網膜の厚さが1μMの可塑性部分の二枚の明視野顕微鏡写真である。13月齢の未処理マウスの網膜を上部に、そして5ヶ月間デフェリプロンを経口投与処理した14月齢のCp/Heph二重欠損マウスの網膜を下部に示す。 デフェリプロン処理/未処理野性タイプマウスの網膜および網膜色素上皮(RPE)/脈絡膜におけるトランスフェリン受容体(TfR)mRNAレベルに関する相対定量化を示す2つのグラフである。図2Aが網膜に関し、そして図2BがRPE/脈絡膜に関する。 処理眼および未処理眼から得たRPE/脈絡膜におけるトランスフェリン受容体メッセンジャーリボ核酸(TfR mRNA)の量を示すグラフである。エラーバーはmRNAテンプレートと同じ処理をした3PCR反応のSDを示す。 7月齢および13月齢の未処理DKOマウスの網膜(それぞれ図4Aおよび図4B)、および13月齢の処理DKOマウス(図4C)網膜の三種類のペルルス染色を示す図である。なお、略語RPEは網膜色素上皮、ONLは外側核層、OPLは外側叢状層、IPLは内側叢状層、GCLは神経節細胞層ではあり、スケールバーは50μmである。 デフェリプロン処理/未処理DKOマウスおよび野性タイプマウスから得た網膜の可塑性部分の12枚の明視野顕微鏡写真である。図5C、図5Fおよび図5Iには、12月齢および13月齢の未処理マウスの結果示す。また、図5A、図5D、図5Gおよび図5Jには、6〜9ヶ月間にわたりデフェリプロン濃度が1mg/mlPOの飲料水として処理を受けた同じ月齢およびそれ以上の月齢のDKOマウスの結果を示す。また、図5B、図5E、図5Hおよび図5Kには、図5A、図5D、図5Gおよび図5Jと同じマウスの網膜に認められた結果を示すが、示した結果は、調べた部分のうち最も症状の重い部位の結果である。図5Lには、18ヶ月間正常な組織を示した野性タイプのマウスの網膜を示す。図5A〜図5Kにおける略語RPEは網膜色素上皮、ONLは外側核層、OPLは外側叢状層、IPLは内側叢状層、GCLは神経節細胞層ではあり、スケールバーは50μmである。 デフェリプロン処理/未処理DKOマウスのヘマトクリット値を示すグラフである。 デフェリプロン処理/未処理DKOマウスのカプラン・マイヤー生存曲線である。
本発明の例示的な実施態様の場合、鉄誘発眼病障害の治療に使用する点眼薬などの局所投与に好適なデフェリプロンを提供する。デフェリプロンは製剤化することができる。本発明は、眼への鉄誘発ダメージをもつ対象者の眼の鉄誘発ダメージを治療するさいに、治療上有効な量のデフェリプロンを対象者に局所投与することからなる治療方法を提供するものでもある。
好適な局所製剤組成物は、従来公知の手段によって製剤化でき、投与方法および投与量は熟練専門家によって設定できる。多くの好適な製剤形態があり、例示すれば、放出すべき化合物をカプセル化したポリマー体微粒子または蛋白質微粒子、化合物を局所投与するために使用できる軟膏、ペースト、ゲル、ヒドロゲル、または溶液である。当業者に公知な多数の技術は、以下の文献に記載されている。
Remington、The Science&Practice of Pharmacy by Alfonso Gennaro、20thed.、Lippencott Williams&Wilkins、(2000)
好適な点眼薬製剤は、水またはその他の適当な眼薬担体にデフェリプロンを溶解することで製剤化できる。デフェリプロンを含有する点眼薬製剤には、カルボキシメチルセルロースを配合することが多い。制限するわけではないが、例示すれば、好適な局所製剤は治療上または予防上有効な量のデフェリプロンを0.5%のカルボキシメチルセルロースとともに水に溶解した製剤である。他の好適な局所製剤は、当業者にとって公知な点眼薬製剤を含む。
臨床的には、75〜100mg/kg/日の経口投与量が地中海貧血患者の治療で認められている。体重が50kgの患者の場合、投与量は数グラム/日であればよい。デフェリプロンの場合、このような投与量で治療を受けた地中海貧血患者のうち約1%に無顆粒球症が発症する。デフェリプロン点眼薬を点眼すると、眼内の細胞内鉄の減少を示すトランスフェリン受容体濃度が変化する。デフェリプロン眼薬は、1〜100mg/ml濃度で1日3回点眼することができる。ヒトの場合、デフェリプロンの半減期はわずか約2時間である。点眼薬などとしてデフェリプロンの局所投与を繰り返しても、デフェリプロンの蓄積は生じない。少量の投与量でデフェリプロンを眼に繰り返し直接投与した場合、デフェリプロンの経口投与と比較すると、デフェリプロンの局所投与のほうが、鉄関連眼病障害者の骨髄抑制および無顆粒球症が発症する恐れが小さくなる。デフェリプロン経口投与を受けている地中海貧血患者に共通してみられる副作用は、消化器官への刺激による吐き気や嘔吐であるが、これは局所投与されたデフェリプロンの作用によるものではない。このように、局所投与処方には、他の投与処方の場合に生じるデフェリプロンの副作用を引き起こす恐れが小さくなる作用がある。
本発明の例示的な実施態様の場合、眼への鉄誘発ダメージを防止するためにデフェリプロンを経口投与および/または局所投与する。この場合、デフェリプロンは製剤化することができる。また、この態様における本発明は、眼への鉄誘発ダメージに罹患する恐れのある対象者の眼に対する眼への鉄誘発ダメージを予防する方法であって、予防上有効な量のデフェリプロンを対象者に経口投与および/または局所投与することからなる方法を提供するものでもある。
好適な薬剤組成物は、従来公知な手段によって製剤化することができ、また投与方法および投与量は熟練専門家によって設定すればよい。経腸投与の場合には、化合物を錠剤、カプセルで投与するか、あるいは液体に溶解すればよい。錠剤またはカプセルは、直接放出できる形でもよく、あるいは溶腸コーティングの形でもよく、持続放出形にしてもよい。多くの好適な製剤形態があり、例示すれば、放出すべき化合物をカプセル化したポリマー体微粒子または蛋白質微粒子、化合物を局所投与するために使用できる軟膏、ペースト、ゲル、ヒドロゲル、または溶液である。点眼薬溶液には特殊具体的な技術が必要なことがあり、例示すれば、pH7.4(または5.4〜8.4)へのpH調節、緩衝溶液の適切な使用、ほぼ等浸透圧への浸透圧調整、適切な静菌剤の添加配合、眼への局所投与製剤の分野の当業者にとって公知な鎮静および/または殺菌技術および関連技術である。当業者に公知な多数の技術は、以下の文献に記載されている。
Remington、The Science&Practice of Pharmacy by Alfonso Gennaro、20thed、Lippencott Williams&Wilkins、(2000)
眼への鉄誘発ダメージは、鉄の生化学的異常から生じる傾向がある。制限する意図はないが、眼への鉄誘発ダメージに至る恐れのある鉄の異常に結果する要因を挙げれば、鉄の細胞鉄輸送体の欠損、あるいは鉄結合蛋白質の不十分性がある。また、ミクロレベルまたはマクロレベルでの眼またはその成分組織への出血からも眼への鉄誘発ダメージが生じることがある。
鉄関連眼病障害に関与する鉄は、正常に産生したものであれ、あるいは異常に産生したものであれ、眼の細胞内部分、あるいは細胞外部分に見られるものであるが、制限する意図はないが例示すれば、網膜組織、角膜組織、レンズ体組織やその他の組織であり、加えてこの鉄は眼の異なる各種の細胞、例えば網膜色素上皮(RPE)や眼の他の細胞にも認められる。
鉄関連眼病障害には、眼の鉄過負荷および/または鉄沈積が関与および/または眼の正常な鉄レベルを原因とする鉄誘発酸化性ストレスが関与するものと考えられる。このような正常な鉄レベルは異常処理された鉄と考えられる。酸化性ストレスが関与する鉄関連眼病について限定を意図するわけではないが、例示すれば、黄斑変性、緑内障、白内障、糖尿性網膜症、遺伝性網膜退化、網膜剥離、網膜の動脈または静脈血栓を原因とする虚血性網膜症、虚血性視神経症、視神経炎および外傷性視神経症がある。これら眼病は、デフェリプロンを使用して治療することができる。
鉄関連ダメージを発症する恐れの高い対象者は、制限するわけではないが例示すると、黄斑変性、緑内障、白内障、糖尿性網膜症、遺伝性網膜退化、網膜剥離、網膜の動脈または静脈血栓を原因とする虚血性網膜症、虚血性視神経症、視神経炎および外傷性視神経症のうち一つを発症する恐れのある対象者である。眼への鉄誘発ダメージを発症する恐れの高い対象者について制限するわけではないが、例示すると、例えば以前にLASIK(角膜を造り直す屈折矯正手術)手術などの眼の手術を受けた対象者である。鉄は、このような手術の除去部分の周縁内に発生することがある。眼への鉄誘発ダメージを発症する恐れの高い対象者の別な実例は、制限する意図はないが例えば白内障手術、緑内障手術や網膜剥離手術などの微小血管出血を伴う手術を以前に受けた対象者である。
眼への鉄誘発ダメージを発症する恐れの高い対象者の別な実例は、黄斑変性である、またはその発症可能性があると診断された対象者である。この対象者は、滲出性黄斑変性の発症の恐れが高く、また非滲出性黄斑変性に罹患しているといえる。
AMDまたはARMD(加齢黄斑変性)と略称されている黄斑変性の結果、黄斑の漸進的破壊が生じる。黄斑は読書や車の運転に必要な鋭い中心視野を受け持つ眼の一部(そして特に網膜の一部)である。AMDの場合、中心視野欠損は、黄斑に対する漸進的な損傷によるものである。
黄斑変性は、非滲出性(乾性)および滲出性(湿性)のいずれかとして診断することができる。滲出性の場合、新血管の成長は、通常健康な対象者に見られない黄斑などの部位に生じる。通常、滲出性黄斑変性はより深刻な視力喪失につながる。
非滲出性AMDは、この眼病の初期ステージであることが多く、黄斑組織の老化および薄層化、および黄斑における(鉄を含有することが多い)色素の沈積を原因として生じるか、あるいはこれら両プロセスが複合する結果生じる。ドルーゼンとして知られている黄斑が沈積物またはデブリから蓄積し始めるときに、非滲出性AMDを診断することができる。沈積物またはデブリは劣化状態の組織から生じることが多く、これは黄斑周囲で生じることが多い。漸進的な中心視野喪失は、乾性黄斑変性とともに進行するが、滲出性AMD症状ほど深刻にならない。非滲出性AMDはこの眼病のより進行した深刻な状態に移行し、これは滲出性AMDと呼ばれている。非滲出性AMDに罹患した対象者の場合、滲出性AMDに伴う眼への鉄関連ダメージを発症する恐れの高い対象者といえる。
滲出性AMDの場合、新血管が成長する(新血管形成)。滲出性AMDを発症すると、異常血管が形成し、眼の裏から出血が生じる。異常な新血管の形成部位は網膜の下にあり、新血管が出血し、血液が周りの部位に流れ込むことがある。このような出血漏れの結果、鉄の析出が生じることがある。このような出血漏れは、眼の永続的な損傷になり得る。多くの場合、出血漏れは感光性の網膜細胞を損傷し、これら細胞が死滅し、中心視野に死角が生じる。この種の活性が、微小なピント合わせを行う黄斑に影響を与えると考えられる。新血管形成が、滲出性AMDおよび異常な血管成長に関与すると考えられる基本的なプロセスである。このプロセスで、傷ができ、深刻な中心視野喪失につながる。
滲出性AMDは2つのカテゴリーに分類できる。標準的なAMDと肉眼で検出できないAMDとである。標準的な滲出性AMDの場合、新血管形成と傷の生成が、きわめて明瞭な画然とした輪郭を示すため、網膜の後ろに観察できる。このタイプの滲出性AMDは、標準的な脈絡膜新血管形成と呼ばれることがある。
肉眼で検出できない滲出性AMDの場合、網膜の後ろで生じる新血管形成は、標準的な滲出性AMDほど輪郭が明瞭でなく、また画然としてもいない。標準的な滲出性AMDと比較した場合、血管からの出血は肉眼では観察できない滲出性AMDではそれほど明瞭ではなく、標準的な滲出性AMDほど深刻な視野喪失が起きない。
多くの形態の黄斑変性は、年齢に密接な関係があり、年齢に関連する、良好な視力にとって重要な眼組織の劣化に密接な関係がある。黄斑変性の発症と補足因子H(CFH)として知られている遺伝子の変位体の存在との間の連関が推測提案されている。他の遺伝子の変位体、即ち補足因子BもAMDの発症に関与していると考えられる。
網膜内にある劣化状態の酸素欠乏細胞が、新血管形成およびこれに伴う滲出性AMDにおける損傷を引き起こす一因と考えられる。新血管形成は、血管内皮成長因子(VEGF)と呼ばれる蛋白質によって活性化することができる。従来、抗VEGF薬剤を使用して滲出性AMDの治療を行ってきた。
AMDのリスク因子にはAMD家系、高血圧、薄い眼の色、肥満、喫煙、太陽光線への過度の暴露、高レベルの食餌脂肪がある。高齢者に影響するだけでなく、AMDは女性により広く認められる。黄斑病は、Aralen(抗マラリア薬であるクロロキン)またはフェノチアジンなどの一部薬剤の副作用としても発症する傾向を示す。フェノチアジン類は、Thorazine(吐き気、嘔吐およびしつこいシャックリの治療にも利用されているクロルプロマジン)、Mellaril(チオリダジン)、Prolixin(フルフェナジン)、Trilafon(ペルフェナジン)やStelazine(トリフルオペラジン)などブランド医薬品を始めとする抗精神薬のクラスを代表するものである。これらリスク因子のうち一つかそれ以上をもっている対象者は、眼への鉄関連ダメージに罹る恐れの高い対象者といえる。デフェリプロンを予防的に与えることは、このような対象者にとって有利に働くとみられる。
鉄は生命にとって必須である。主な理由としては、電子輸送鎖における一電子レドックス化学作用に関与する仲介的な代謝および関連する作用に果たすその役割であり、またヘムおよび鉄‐硫黄クラスター含有蛋白質における共同因子として作用することが挙げられる。鉄の輸送および貯蔵の制御を維持する因子が過剰な場合、あるいは不在の場合、鉄は、フェントン反応を介して酸化性ダメージを発生する潜在的に危険な電子輸送システムを作り出す。従って、鉄が関与する生化学的反応が必要とされる一方、本来あるはずの制御が不在な状態では、あるいは鉄の毒性作用を中和するシステムの能力を超える鉄の局所的過剰がある状態では、鉄は過酸化水素(H)と反応し、ヒドロキシルラジカルを産生する。このラジカルは反応性酸素種(ROS)の中で最も反応性が高く、最も毒性が強く、結果的に細胞膜、細胞器官や細胞自体にも深甚なダメージを与える酸化性ストレスを作り出す。この酸化性ストレスは異常処理されたレベルの、即ち高レベルの鉄から生じることもあり、また過酸化物産生の増加から生じることもある。なお、これら過酸化物は次に正常な細胞鉄と相互作用し、ダメージ作用の強いヒドロキシルラジカルを生み出す。
最新の証拠は、鉄は加齢黄斑変性(AMD)の原因において臨界的な役割をはたしていることを示唆し、そしてAMD患者の網膜には高レベルの鉄が存在していることが現在知られている。同様に、珍しい遺伝病であるセルロプラスミン欠乏症患者の脳、網膜および膵臓には鉄が過剰に存在し、これら器官の退化の原因になっている。
黄斑変性は、ブルッフ膜、脈絡膜、神経網膜および/または網膜色素上皮の異常に関連する中心視野の漸進的喪失に特徴があり、特に老年の対象者に顕著に認められる一群の疾病であり、加齢黄斑変性という用語を使用する所以であるが、一部の形態は人生の最初の10年という早期にもみられる疾病である。最も広く認められるAMDは、視野の中心部における視力の漸進的な喪失、色視野の変化、異常な暗所適応/感受性に関連している。AMDの臨床上の主要な2つの発現病態は、乾性または委縮性状態および湿性または滲出性状態である。両病態の発現の最も大きな因子は年齢および網膜色素上皮(RPE)の後ろの異常な細胞外沈積物であるドルーゼンの沈積である。ドルーゼンは、RPE単分子層の横延伸および直接的な血管供給の物理的な変位の原因であり、視野/視力に影響するダメージにつながる。
黄斑変性以外にも、鉄誘発酸化性ストレスが関与するいくつかの眼病障害がある。これら障害のうちいくつかは、眼における鉄レベルが正常であるにもかかわらず、鉄が結果として生じる眼病の重要な病因として同定されている。いずれも酸化性ストレスが関与している、緑内障、白内障、糖尿性網膜症、遺伝性網膜退化、網膜剥離、網膜の動脈または静脈血栓を原因とする虚血性網膜症、虚血性視神経症、視神経炎および外傷性視神経症などの眼病は、眼の各種組織を不安定な鉄を原因とするかこれによって加速されるダメージから保護することによって予防および/または治療することができる。このような保護作用は、デフェリプロンの使用によって確保することができる。デフェリプロンは、局所投与も可能であり、経口投与も可能である。
鉄キレート剤がこの問題に対する合理的な解決策のように思えるが、大きな懸念がある。というのは、これら眼病患者のいずれにも一般化された鉄過剰負荷がみられず、一般化された鉄過剰負荷の不在状態では、鉄キレート剤が生存にとって必須元素である鉄を体内から奪うのではないかと推測できるからである。このような重大な作用に先だって、鉄キレート剤が、正常な日常的に生じるホメオスタシス生化学的反応だけでなく、赤血球産生生化学的反応における多数の酵素が必要とする鉄の利用可能なプール量を減らすことによって仲介的な代謝を妨害しているのではないかとも考えられる。従って、ある製剤が鉄関連眼病障害の発症を治療および/または予防できるかどうかを判断する唯一の方法は、考えられる病因を証明する候補薬を動物生体に使用し、その候補薬の効果を評価するともに、一般化された鉄過剰負荷の不在状態で、ある具体的な鉄キレート剤の毒性作用によりこのような使用が禁止されるかどうかを評価することである。
本発明の例示的な実施態様の場合、対象者が既に眼への鉄関連ダメージについて治療を受けていた場合の適用方法を提供するものである。
本発明の例示的な実施態様の場合、対象者が既に加齢黄斑変性について治療を受けていた場合の適用方法を提供するものである。
本明細書で使用する薬剤組成物の“有効量”には、治療上有効な量、または予防上有効な量が含まれる。“治療上有効な量”とは、限定するものではないが例示すると黄斑変性、緑内障、白内障、糖尿性網膜症、遺伝性網膜退化、網膜剥離、網膜の動脈または静脈血栓を原因とする虚血性網膜症、虚血性視神経症、視神経炎および外傷性視神経症などの鉄関連眼病障害の病因改善などの目的の治療結果を得るために、必要な投与量および投与期間において有効な量を意味する。また、ある化合物の治療上有効な量は投与方法、病状、年齢、性別、および体重に従って、そしてこの化合物の対象者内において目的の反応を誘発できる能力に従って調節できる。投薬処方は最適な治療反応を与えるように調節することができる。経口投与に好適なデフェリプロンの投与量は約5mg/kg/日〜約80mg/kg/日の範囲に設定されることが多く、また局所投与に好適な投与量は約1mg/ml〜約100mg/mlの範囲に設定されることが多い。制限するわけではないが、デフェリプロンの好適な投与量を例示すれば(なお、“単位”は“ml”または“kg/日”と交換可能である)、約1mg/単位〜約100g/単位;約1mg/単位〜約90mg/単位;約1mg/単位〜約80mg/単位;約1mg/単位〜約70mg/単位;約1mg/単位〜約60mg/単位;約1mg/単位〜約50mg/単位;約1mg/単位〜約40mg/単位;約1mg/単位〜約30mg/単位;約1mg/単位〜約20mg/単位;約1mg/単位〜約15mg/単位;約1mg/単位〜約14mg/単位;約1mg/単位〜約13mg/単位;約1mg/単位〜約12mg/単位;約1mg/単位〜約11mg/単位;約1mg/単位〜約10mg/単位;約1mg/単位〜約9mg/単位;約1mg/単位〜約8mg/単位;約1mg/単位〜約7mg/単位;約1mg/単位〜約6mg/単位;約1mg/単位〜約5mg/単位;約1mg/単位〜約4mg/単位;約1mg/単位〜約3mg/単位;約1mg/単位〜約2mg/単位;約2mg/単位〜約15mg/単位;約2mg/単位〜約14mg/単位;約2mg/単位〜約13mg/単位;約2mg/単位〜約12mg/単位;約2mg/単位〜約11mg/単位;約2mg/単位〜約10mg/単位;約2mg/単位〜約9mg/単位;約2mg/単位〜約8mg/単位;約2mg/単位〜約7mg/単位;約2mg/単位〜約6mg/単位;約2mg/単位〜約5mg/単位;約2mg/単位〜約4mg/単位;約2mg/単位〜約3mg/単位;約3mg/単位〜約15mg/単位;約3mg/単位〜約14mg/単位;約3mg/単位〜約13mg/単位;約3mg/単位〜約12mg/単位;約3mg/単位〜約11mg/単位;約3mg/単位〜約10mg/単位;約3mg/単位〜約9mg/単位;約3mg/単位〜約8mg/単位;約3mg/単位〜約7mg/単位;約3mg/単位〜約6mg/単位;約3mg/単位〜約5mg/単位;約3mg/単位〜約4mg/単位; 約4mg/単位〜約15mg/単位;約4mg/単位〜約14mg/単位;約4mg/単位〜約13mg/単位;約4mg/単位〜約12mg/単位;約4mg/単位〜約11mg/単位;約4mg/単位〜約10mg/単位;約4mg/単位〜約9mg/単位;約4mg/単位〜約8mg/単位;約4mg/単位〜約7mg/単位;約4mg/単位〜約6mg/単位;約4mg/単位〜約5mg/単位;約5mg/単位〜約15mg/単位;約5mg/単位〜約14mg/単位;約5mg/単位〜約13mg/単位;約5mg/単位〜約12mg/単位;約5mg/単位〜約11mg/単位;約5mg/単位〜約10mg/単位;約5mg/単位〜約9mg/単位;約5mg/単位〜約8mg/単位;約5mg/単位〜約7mg/単位;約5mg/単位〜約6mg/単位である。治療上有効な量は、化合物にある毒性作用または有害な作用を治療上有効な作用が上回る量でもある。
本発明の(デフェリプロン含有組成物などの)薬剤組成物の“予防上有効な量”は、必要な投与量および投与期間において、眼に対する鉄誘発ダメージの抑制または欠如などの目的の予防結果を実現するために有効な量を意味する。例えば、疾病または障害の初期ステージで、あるいはそれに先だって予防量を対象者に適用すると、予防上有効な量を治療上有効な量よりも小さく抑えることができる。にもかかわらず、予防上有効な量を治療上有効な量と同じレベルに設定することも可能である。治療上有効な投与量の例示範囲は、予防上有効な量の好適な例示範囲と考えてもよい。
なお、投与量値は、予防すべき症状の深刻度に応じて変更することができる。対象者にもよるが、個々の対象者の必要性や、有効量の投与を行う専門家やこれを管理する専門家の専門的な判断に従って具体的な投与処方は経時的に調節することができる。本明細書に記載する投与量範囲は例示的範囲に過ぎず、医療専門家が選択することができる投与量範囲を制限するものではない。組成物の活性化合物量は、投与方法、病状、年齢、性別や体重などの要因に従って変更することができる。投与処方も最適な予防および/または治療反応を与えるように調節することができる。例えば、一度に全量投与してもよく、経時的に数回に分けて投与してもよく、あるいは状態の緊急性に応じて比例的に加減することもできる。
本明細書で使用する“対象者”は、ヒト、ヒト以外の霊長類、ネズミ、ハツカネズミ〈マウス〉、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコなどを指す用語である。ここで対象者としては、眼の鉄レベルが正常な場合でも鉄誘発ダメージまたは鉄触媒化酸化性ストレスから発症することが多い眼病または障害(例えば、AMD、ドライアイ、角膜退化または角膜潰瘍、緑内障、白内障、糖尿性網膜症、網膜剥離、遺伝性網膜退化、眼科手術やその他の要因)に罹っているか、罹る恐れの高い対象者を想定する。各種の鉄関連障害の診断方法および鉄関連障害診断の明確な指針は、当業者にとって公知である。これら障害に罹っている対象者、あるいは鉄誘発ダメージを発現している対象者は、デフェリプロン治療の適応対象者である。また、このような障害のリスク因子を発現するか、あるいはもっている対象者は、デフェリプロン予防の適応対象者である。
以下の実施例により、本明細書に開示した本発明実施態様のうちいくつかを説明する。なお、これら実施例は、本発明の精神または範囲をどのような意味でも制限するものではない。
以下の実施例では、二重欠損(DKO:double knockout)マウスを使用した。なお、フェロキシダーゼセルロプラスミン(Cp)およびその同族体のヘファエスチン(Heph)欠損を発生するように遺伝子工学的に変性したマウスを利用した。これらマウスは、ヒトの場合と同様に、網膜鉄蓄積により年齢関連網膜退化を発症する。二重欠損はすべての組織および器官に影響するため、局所的な鉄過剰の他の兆候も発現し、同時に、新しいヘモグロビンを造り出すなどの正常なホメオスタシスのために利用できる鉄を十分に利用できない(これらマウスのヘマトクリット値は低い)。また、これらマウスは6〜9月齢などの早期の段階で運動失調症を始めとする神経学的欠損を発症し、死亡するが、12〜13ヶ月間生き延びるものもある。ただし、機能能力は著しく棄損する。これらCp/Heph欠損マウスの網膜は、年齢に依存した状態で、RPEおよび光受容体の外側部位に鉄を蓄積し、RPEおよび光受容体退化を発症し、それに伴い網膜下に新血管形成が認められ、かつRPE下に広い間隔でコラーゲンが沈積する。Cp/HephDKOマウスは網膜、脳、肝臓および心臓に鉄過剰負荷を示し、鉄欠損貧血になる。未処置対照群のDKOの場合、鉄は組織に取りこまれ、血液に戻ることはなく、鉄欠損貧血に至る。網膜退化および脳退化とともに、年齢に依存して鉄が組織に蓄積する。
方法
点眼薬投与:
高い網膜鉄レベルが検出された時点の5月齢で点眼を開始し、二か月にわたり一日に三回一方の眼にデフェリプロン点眼薬(10mg/ml)を点眼し、もう一方の眼に対照点眼薬を点眼した。なお、最後の点眼は屠殺2時間前に行った。眼を2%パラホルムアルデヒド/2%グルタルアルデヒドに固定し、(トルイジンブルー染色後に)形態分析のために切断し、(ペルルスのプルシアンブルー染色後に)鉄分分析を行った。網膜色素上皮(RPE)細胞肥大および光受容体委縮領域の個数および長さをデフェリプロン処理眼対水処理眼において定量化した。毛様体、網膜およびRPEのペルルス染色の強度を画素密度定量化デジタル顕微鏡写真で評価した。
経口投与:
DKOマウスに(1mg/1ml)の濃度の飲料水の形でデフェリプロンを投与した。体重30gのマウスの飲料水量は1日に5mlであった。マウスが通常AMDに一致する網膜変化を示す時点の7月齢でマウスはデフェリプロン/水を飲み始めた。未処理群において大きな網膜ダメージおよび神経学的ダメージを示すことが知られている各時点でマウスを屠殺し、屠殺マウスの眼を上述に従って分析した。
実施例1
デフェリプロン濃度が1mg/1mlの飲料水で処理した10匹のDKOマウスのうち、2匹のマウスの若干の運動失調を発症する前の生存期間は14ヶ月であり、他の2匹のマウスは12ヶ月であった。残りのデフェリプロン処理群マウスの殆どについて、運動失調を示さないより若い月齢で組織学的分析のために屠殺した。12月齢および14月齢のマウスについては、屠殺前の5〜7ヶ月間デフェリプロンを投与した。屠殺時点で、これらのヘマトクリット値は、未処理マウスの値より高く(未処理対照群の19〜26%に対して処理マウスは30〜50%)、デフェリプロンが鉄に移り、血液生成細胞に移行したことを示唆するものである。さらに、処理群の12〜14月齢のマウスは殆ど網膜退化および網膜ダメージを示さなかった。対照的に、未処理群マウスの網膜ダメージは7ヶ月後のすべての時点で有意味であり、12〜13月齢まで生存した数匹の未処理群マウスはすべて深刻な網膜退化および網膜ダメージを示した(図1および図5を参照)。
未処理の13月齢のCp/Heph二重欠損マウスからの網膜内のほぼすべてのRPE細胞は異常で、著しく拡大し(図1上部の白色矢印を参照)、RPE細胞の上にある光受容体層は薄層化し、そして内側/外側部分は組織が破壊し、退化している。対照的に、デフェリプロンを5ヶ月間経口投与した14月齢のCp/Heph欠損マウスの網膜は、数個の若干の肥大RPE細胞を除くと、正常(図1下部の黒色矢印を参照)で、光受容体も正常である。
実施例2
処理群マウス(n=4)に、デフェリプロン濃度が1mg/1mlの飲料水を11日間PO与えた。qPCRによって決定し、18S RNAに標準化したTfR mRNAの相対定量化が処理群マウス/未処理群マウス(n=4)の網膜に認められ(図2Aを参照)、処理群マウスにTfR mRNAの有意味な上方調節が認められる。また、未処理群マウスと比較した場合、TfR表現の相対定量化も処理群マウスのRPE/脈絡膜について認められる(図2Bを参照)。結果を図1に示す。有意差(P<0.05)が認められる。
実施例3
2ヶ月にわたって1日三回マウスの右眼(OD)にデフェリプロン点眼剤10mg/mlを点眼し、一方左眼(OS)は内部対照として使用した。最後の点眼は屠殺2時間前であった。TfR mRNAの相対定量化をqPCRによって検出した。RPE/脈絡膜には、有意味なTfR mRNA増加があり、デフェリプロンにより不安定な鉄レベルが下がることを示し(図3を参照)、デフェリプロン点眼剤を局所投与した場合も、有効に作用することが確認された。エラーバーはmRNAテンプレートと同じ処理をした3PCR反応のSDを示す。
実施例4
未処理群DKOマウスと比較した場合、デフェリプロン処理Cp−/−Heph−/−(DKO)マウスは網膜鉄が減少していた。9ヶ月にわたりデフェリプロンPO濃度が1mg/mlの飲料水(矢印)を与えた13月齢DKOマウスと比較した場合(図4Cを参照)、7月齢および13月齢の未処理群DKOマウスの網膜(図4Aおよび図4Bを参照)は検出可能なペルルス染色(矢印)が多い。
実施例5
DKOマウスの場合、年齢依存網膜退化がある。未処理群の12月齢および13月齢のマウス(図5C、図5Fおよび図5Iを参照)は90%以上の網膜(矢印)をもつRPE肥大の巨大な領域を示し、焦点光受容体退化はONLの薄層化、内側部分の空胞形成および外側部分の喪失からなる。対照的に、6〜9ヶ月にわたりデフェリプロン濃度1mg/mlPOを与えた同じ月齢およびそれ以上の月齢のDKOマウス(図5A、図5D、図5G、および図5Jを参照)は、組織はほぼ正常であった。処理群マウスの最も深刻な病態域に関する網膜検査によって、10%未満の網膜をもつRPE肥大(図5B、図5E、図5Hおよび図5Kを参照)のごく小さな焦点領域が明らかになったが、それ以外の網膜は正常のように見える。図5Aおよび図5Dに示したマウスは処理期間が7ヶ月、図5Gは9ヶ月、そして図5Jは6ヶ月であった。
実施例6
異常に小さいヘマトクリット値(平均値24.6%)をもつ未処理群DKOマウス(n=7)に対して、デフェリプロン処理群DKOマウス(n=7)は非常に高い(平均値36.7%)。図6に結果を示す。図示のように、有意差が認められる(P<0.05)。
実施例7
(ログランク検定によって表わした)平均生存寿命が7ヶ月の未処理群DKOマウスと比較した場合、処理群マウスの寿命はかなり延びた(平均生存寿命13ヶ月)(P<0.0001)。処理群マウスの寿命は、罹病する前に鉄定量化のために屠殺したため、過小評価する。結果を図7に示す。
実施例8
点眼薬の感受性試験
デフェリプロン溶液が眼それ自体に刺激またはダメージを与えないことを確認するために、特に眼に投与した場合に生体異物に対して高い感受性を示すことが知られている動物であるウサギを用いて実験を行った。デフェリプロンの眼に刺激作用/浸食作用を与える可能性について、約0.1mLを約13mg/mLの濃度で3匹のオスのHra:(NZW)SPFウサギの右眼の下まぶたをめくった部分(左眼は対照群である)に注入することによって評価した。注入からほぼ24時間後に、角膜への傷について処理群眼を検査し、室温の生理学的食塩水で洗浄した。眼への刺激作用については、注入から約1時間後、約24時間後、約48時間後および約72時間後にドレイズ法を使用して評価し点数をつけた。これら観察時間において眼への刺激作用または浸食作用の証拠はなかった(点数0)。注入からほぼ24時間で、フルオレセインナトリウム検定を行った。いずれのウサギの角膜にも傷がなく、デフェリプロンは刺激作用もなく、また浸食作用もなく、安全に使用できることを証明するものである。
以上、本発明の各種実施例を開示してきたが、当業者の常識を用いれば、本発明の範囲内で数多くの変更などが実施可能である。このような変更には、本発明の任意の態様の代わりに公知の等価態様をして、実質的に同じ方法で同じ結果を実現することが含まれる。数値範囲には、範囲を定義する数字が含まれる。さらに、数値範囲については、範囲が限定されずに具体的に記載されている範囲内にある個々の数値に加えて数値の範囲が記載されるように設定されている。本明細書で使用する“からなる”という表現は、広く解釈できる表現であり、実質的に“制限するものではないが、例示すれば”という表現と実質的に等価であり、従って“からなる”という表現は対応する意味をもつものである。特にはっきりと断らない限り、単数表現は複数表現を含意するもので、例えば、“ある一つのもの”と表現した場合には、一つ以上のものを含意する。また、文献などに言及する場合、この文献が本発明の先行例であることを認めているわけではない。さらに、発明の背景で言及した文献についてもそれが本発明の先行例であることを認めているわけではない。優先権のある文献については、個々の優先権のある文献が具体的個別的に援用されるように、また完全に援用されるように本明細書に援用するものである。本発明は、本明細書に実質的に開示され、かつ実施例および添付図面を参照して説明されたすべての実施態様および変更例を包含するものである。

Claims (17)

  1. 緑内障、白内障、糖尿性網膜症、遺伝性網膜退化、網膜剥離、網膜の動脈または静脈血栓を原因とする虚血性網膜症、虚血性視神経症、視神経炎、および外傷性視神経症からなる群から選択される鉄関連眼病障害の治療に使用することを特徴とするデフェリプロン。
  2. 緑内障、白内障、糖尿性網膜症、遺伝性網膜退化、網膜剥離、網膜の動脈または静脈血栓を原因とする虚血性網膜症、虚血性視神経症、視神経炎、および外傷性視神経症からなる群から選択される鉄関連眼病障害の治療薬の製剤のためのデフェリプロンの使用
  3. 局所投与に好適な鉄関連眼病障害の治療に使用することを特徴とするデフェリプロン。
  4. 局所投与に好適な鉄関連眼病障害の治療薬の製剤のためのデフェリプロンの使用
  5. 前記鉄関連眼病障害が、加齢黄斑変性、緑内障、白内障、糖尿性網膜症、遺伝性網膜退化、網膜剥離、網膜の動脈または静脈血栓を原因とする虚血性網膜症、虚血性視神経症、視神経炎、および外傷性視神経症からなる群から選択される請求項3に記載のデフェリプロンまたは請求項4に記載のデフェリプロンの使用
  6. 前記鉄関連眼病障害が加齢黄斑変性である請求項3に記載のデフェリプロンまたは請求項または4に記載のデフェリプロンの使用

  7. 眼への鉄誘発ダメージの予防に使用することを特徴とするデフェリプロン。
  8. 眼への鉄誘発ダメージの予防薬の製剤のためのデフェリプロンの使用
  9. 眼への前記鉄誘発ダメージが、網膜の物理的歪みである請求項7に記載のデフェリプロンまたは請求項8に記載のデフェリプロンの使用
  10. 前記網膜の物理的歪みが、傷である請求項に記載のデフェリプロンまたはデフェリプロンの使用
  11. 眼への前記鉄誘発ダメージが、異常血管成長である請求項7に記載のデフェリプロンまたは請求項8に記載のデフェリプロンの使用
  12. 眼への前記鉄誘発ダメージが、加齢黄斑変性、緑内障、白内障、糖尿性網膜症、遺伝性網膜退化、網膜剥離、網膜の動脈または静脈血栓を原因とする虚血性網膜症、虚血性視神経症、視神経炎、および外傷性視神経症からなる群から選択される鉄関連眼病障害に関連する請求項7に記載のデフェリプロンまたは請求項8に記載のデフェリプロンの使用
  13. 眼への前記鉄誘発ダメージが、加齢黄斑変性に関連する請求項7に記載のデフェリプロンまたは請求項8に記載のデフェリプロンの使用
  14. 前記加齢黄斑変性が滲出性である請求項6または13に記載のデフェリプロンまたはデフェリプロンの使用
  15. 前記加齢黄斑変性が非滲出性である請求項6または13に記載のデフェリプロンまたはデフェリプロンの使用
  16. 経口投与に好適な請求項1または7〜15のいずれか1項に記載のデフェリプロンまたは請求項2または8〜15のいずれか1項に記載のデフェリプロンの使用
  17. 局所投与に好適な請求項1または7〜15のいずれか1項に記載のデフェリプロンまたは請求項2または8〜15のいずれか1項に記載のデフェリプロンの使用
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