JP2012507030A - 重症敗血症及び敗血症性ショック中の死亡の危険性が高い患者を迅速に決定するための方法及びキット - Google Patents

重症敗血症及び敗血症性ショック中の死亡の危険性が高い患者を迅速に決定するための方法及びキット Download PDF

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Abstract

本発明は、2つの臓器不全を伴う重症敗血症の患者、例えば敗血症性ショックの患者についての死亡の危険性を初期に評価し、治療についての決定を補助するための方法及びキットを提供する。本発明は、血漿中のS100A8/A9複合体のレベルの測定に基づく。なぜなら、予め決定された閾値より高いS100A8/A9のレベルは悪い予後を示し、予め決定された閾値より低いS100A8/A9のレベルは良い予後を示すからである。
【選択図】図1

Description

本発明は、重症敗血症又は敗血症性ショックのような深刻な医療症候群の治療の分野に関する。特に、本発明は、2つの臓器不全を伴う重症敗血症の患者、例えば敗血症性ショックの患者についての死亡の危険性を初期に評価し、治療についての決定を補助するための方法及びキットを提供する。
敗血症性ショックは、敗血症の最も重症の臨床症状であり、集中的な医療援助及び感染巣を根絶するための感染抑制ストラテジーにもかかわらず予後が悪い。敗血症性症候群は、微生物(細菌、ウイルス又は寄生体)又はそれらの抗原性画分の異常な存在に対する宿主応答に関する症状と規定される。局所感染は、種々の理由で全身に広がり、初期段階では自然免疫を制御する血液免疫細胞を特に活性化し、2回目には適応免疫を活性化する。血液中のこのような強い免疫活性化は、次に、最初の感染により最初は考慮されなかった臓器を標的にして、免疫毒性及びこれらの臓器の機能不全を導き得る。敗血症性ショックの高い死亡率(50%付近)は、臓器不全、併存症及び微生物の病原性の組み合わせに起因する。死亡は、進展の種々のときに、最も頻繁には、集中的な蘇生にもかかわらず第1週目に生じ得る。
治療介入について研究するいくつかの研究により、コルチコステロイド類(Annaneら, 2002; Sprungら, 2008)、活性化プロテインC(Bernardら, 2001)及び厳密な血糖管理(van den Bergheら, 2001)の使用のような重要であるが議論の余地のある結果が得られている。予後を決定するための初期の特異的で高感度なマーカーが存在しないことにより、よって、高価な薬物の処方及び延命処置の無益な維持に関して臨床医だけでなく、研究に含めるための患者の選択に関して治験研究者にとっても難題が生じる。プロカルシトニン(Clec'hら, 2004)、HLA-DR (Monneretら, 2006)、IL-6 (Abrahamら, 2001)、及び骨髄系細胞上で発現される可溶性刺激受容体-1(soluble triggering receptor expressed on myeloid cells-1;sTREM) (Gibotら, 2005)のようないくつかの見込みのあるマーカーが試験されているが、結果は矛盾している。
最近、細胞ストレスの条件下で活性化細胞又は損傷細胞により放出される「エンドカイン(endokine)」、「アラルミン(alarmin)」又は「損傷関連分子パターンタンパク質(damage-associated molecular pattern protein;DAMP)」として種々に知られる分子の新しい1群が、研究されている(Oppenheimら, 2007)。これらのうち、炎症性応答(Voglら, 2007)及び臓器機能(Boydら, 2008)を媒介するカルグラニュリンファミリーのメンバーである食作用性S100タンパク質が、敗血症において重要であるとみられる。パターン認識の新しい概念は、病原体関連分子構造(PAMP)だけでなく、S100タンパク質を含む内因性DAMPの検知における終末糖化産物受容体(RAGE)及びToll様受容体(TLR)についてのマルチリガンド受容体を含む(Brunn及びPlatt, 2006; Foellら, 2007)。
S100A8及びA9の遺伝子の過剰発現が、リポ多糖(LPS)又は盲腸結紮及び穿刺(CLP)で攻撃されたマウス(Voglら, 2007)、LPSとインキュベートした心筋細胞(Boydら, 2008)、虚血/再潅流後の腎臓組織(Grigoryevら, 2008)、LPS注入後の健常なボランティアの白血球(Talwarら, 2006)、及び敗血症性ショック患者(Payenら, 2008)において示されている。S100A8及びS100A9タンパク質は、細胞内及び細胞外の両方の空間で見出されるので、これらは、細胞内で、そして自己分泌又は傍分泌の様式でともに作用する可能性があり得る。敗血症性ショックのマウスにおいて、これらの両方の遺伝子発現及びタンパク質のレベルが高かった(Voglら, 2007)。ヒトの敗血症性ショックにおいてこれらのタンパク質の細胞レベル又は細胞外レベルを調べた研究は、ほとんどない。
最近、本発明者らは、ヒトの敗血症性ショックの回復段階中のS100A8及びA9遺伝子発現の進展とS100A8/A9複合体の血漿レベルとの間に近い相関を見出した(Payenら, 2008) (これは、本明細書に参照により組み込まれる)。
以下の実験部において、第2の臓器不全の出現後第0日でのS100 A8及びA9の遺伝子発現とS100A8/A9複合体の血漿レベルとを調べた、敗血症性ショックの患者でのさらなる研究の結果を報告する。この複数のセンターでの研究において、本発明者らは、100%の特異性及び感度で、最終的な生存者と非生存者との間での血漿S100A8/A9複合体レベルの大きい差を見出した。死亡の危険性についての閾値は、8.1μg/mlと決定された。
敗血症性ショックの生存者(白の箱)及び非生存者(黒の箱)における、第2の臓器不全の発生後の第0日及び第1日でのS100 A8/A9複合体の血漿レベルの箱ひげプロット(box and whisper plot)。統計は、マンホイットニーノンパラメトリック検定を用いて行った。 生存者(白の箱)及び非生存者(黒の箱)における循環白血球中のRT-PCRにより測定したS100 A8 (左)及びA9 (右)遺伝子発現の箱ひげプロット。統計は、マンホイットニーノンパラメトリック検定を用いて行った。 RT-PCRにより測定したS100A8とS100A9の遺伝子発現の相関。統計は、スピアマン検定を用いて行った。 集団全体(n=111)における28日間の死亡率予測のための受信者動作特性(ROC)曲線。曲線下面積:0.99。 転帰による、血漿中のS100A8/A9複合体の経時的な傾向。結果は、μg/mlで示した。実効値(Effectives)を括弧内に示す。*:マンホイットニー検定を用いてp≦0.0001。 転帰による、循環単核細胞中のS100A8遺伝子発現の経時的な傾向。結果は、蛍光の単位で表した。Affymetrix HG-U133 Plus 2.0アレイのプローブセットID: 202917_s_at。実効値を括弧内に示す。 転帰による、循環単核細胞中のS100A9遺伝子発現の経時的な傾向。結果は、蛍光の単位で表した。Affymetrix HG-U133 Plus 2.0アレイのプローブセットID: 203535_at。実効値を括弧内に示す。 ショックのない患者におけるD0でのS100A8/A9。 N=8名の生存者 N=8名の非生存者
本明細書において、「敗血症」、「重症敗血症」及び「敗血症性ショック」の用語は、1991年にAmerican College of Chest Physicians (ACCP)及びSociety of Critical Care Medicine (SCCM)により確立され、2001年に確認された(Levyら, 2003)定義に従って理解される。本明細書において用いられるこれらの及びその他の定義を、以下にまとめる:
- 「敗血症」は、感染に応答する全身性の炎症である。
- 「重症敗血症」は、少なくとも1つの臓器機能不全を伴う敗血症と定義される。
- 重症敗血症症候群のうち、最も重症な事例は、2つ又はさらにより多くの臓器不全を示す。一般的ではないが、急性循環不全とは別の2つの臓器機能不全を伴ういくつかの重症敗血症が観察されている。このような事例は、「少なくとも2つの臓器不全を伴う重症敗血症」と定義され、敗血症性ショックとは区別される。
- 「敗血症性ショック」は、急性循環不全を伴う敗血症と定義される。
- 「急性循環不全」は、低血圧のその他の原因がない中での適切な輸血蘇生(volume resuscitation)にもかかわらない持続性の動脈性低血圧(収縮期動脈圧<90 mmHg、MAP<60 mmHg又はベースラインからの収縮期血圧の低減>40 mmHg)である。
- 「少なくとも2つの臓器不全を伴う敗血症性ショック」は、急性循環不全に加えて少なくとも1つの臓器不全(例えば腎臓、肝臓など)と伴う敗血症性ショックである。
-本明細書において、考慮される患者は、重症敗血症又は敗血症性ショックのいずれかの患者であるが、両方の場合において少なくとも2つの臓器不全を伴う。これらの患者について、「第0日」は、第2の臓器不全の発症後24時間の期間を指す。
上記のように、敗血症は、微生物の異常な存在の結果である。敗血症を引き起こし得る微生物の限定しない例は、以下のものである:
1- 細菌:
グラム陽性桿菌:コリネバクテリウム(Corynebacterium)
クロストリジウム(Clostridium)
リステリア(Listeria)
バチルス(Bacillus)
グラム陰性球菌:ナイセリア(Neisseria)
グラム陰性桿菌:腸内細菌:大腸菌(E. coli)、シゲラ(Shigella)、クレブシエラ(Klebsiella)、サルモネラ(Salmonella)、セラチア(Serratia)、プロテウス(Proteus)、シュードモナス(Pseudomonas)、エルシニア(Yersinia)
リケッチア(Rickettsia)
ヘモフィラス(Haemophilus)
レジオネラ(Legionella)
プロビデンシア(Providencia)
バクテロイド(Bacteroides)
グラム陽性球菌:ストレプトコッカス(Streptococcus)
スタフィロコッカス(Staphylococcus)
2- ウイルス:ヘルペスウイルス(ヘルペスウイルス科(Herpes viridae)):単純ヘルペス、サイトメガロウイルス、水痘、帯状疱疹など
インフルエンザウイルス
パラミクソウイルス
コロナウイルス
パラインフルエンザウイルス
呼吸器多核体ウイルス
アルボウイルス
3- 寄生体:プラスモディウム(Plasmodium)
トキソプラズマ(Toxoplasma)
その他の定義は、必要であれば以下に明記される。
本発明の第1の態様は、少なくとも2つの臓器不全を伴う重症敗血症の対象者又は少なくとも2つの臓器不全を伴う敗血症性ショックの対象者についての予後をインビトロで確立する方法であって、以下の:
(i) 前記対象者からの生体試料から、S100A8及び/又はS100A9及び/又はS100A8/A9複合体のレベルを測定するステップと、
(ii)前記レベルを、予め決定された閾値と比較するステップと
を含み、予め決定された前記閾値より高いS100A8及び/又はS100A9及び/又はS100A8/A9複合体のレベルが、悪い予後を示し、予め決定された前記閾値より低いS100A8及び/又はS100A9及び/又はS100A8/A9複合体のレベルが、良い予後を示す、前記方法である。
もちろん、測定される種(S100A8及び/又はS100A9及び/又はS100A8/A9複合体)に依存して、閾値は、それのために予め決定される。好ましい実施形態において、S100A8/A9複合体のレベルが特異的に、又は遊離のS100A8と組み合わせて測定される。あるいは、全S100A9 (遊離及びS100A8/A9複合体中の)のレベルが測定される。以下において、「S100A8/A9」は、S100A8、S100A9、S100A8/A9複合体又はそれらの組み合わせの群から選択される種のことをいうために用いられる。
本発明の方法の具体的な実施形態において、ステップ(i)で用いられる生体試料は、第2の臓器不全の発症の後の第0日、第1日又は第2日に回収されるので、初期の予後が確立できる。初期の予後を確立するための好ましい実施形態において、生体試料は、第0日に回収される。しかし、本発明者らは、S100A8/A9が、第2の臓器不全の発症の後の4週の間のどの日時でも、信頼できる予後因子のままであることを示している(実施例2)。よって、本発明は、第2の臓器不全の発症の後の第2日〜第28日の間のいずれの日時に回収される試料を用いても行うことができる。
生体試料は、例えば、血漿、唾液、尿、脳脊髄液、胸膜液及び腹水から選択され得る。
上記の方法を行う場合に考慮する閾値は、少なくとも2つの臓器不全を伴う重症敗血症又は敗血症性ショックを経験し、その転帰が既知である個体の代表コホートにおけるS100A8/A9のレベルを測定することにより予め決定される。閾値は、死亡の危険性についての最良の予測性(感度及び特異性)を得るように計算される。例えば、S100A8/A9のレベルを、実験部に記載するものと同様の技術を用いて血漿中で測定する場合、7〜9μg/ml、好ましくは7.8〜8.3μg/ml、例えば8.1μg/mlの予め決定された閾値が考慮できる。今回の研究において用いた第1コホートにおいて、S100A8/A9複合体のレベルは、この閾値を考慮して、100%のD0及びD1での予後(死亡の危険性)の感度及び特異性を導いた(実施例1)。この閾値の適切さは、次いで、その後に、第2の臓器不全の発症後に、予後を確立するために確認された(実施例2)。もちろん、当業者は、この閾値を、患者のより大きいコホートについて、S100A8/A9レベルを測定する任意の種類の技術を用いることにより、自由に再評価できる。当業者は、敗血症のタイプ(臓器不全の数及びタイプ、敗血症の起源(肺、腹部など)、原因の病原体など)、又は患者若しくはそれらの病因に関する任意のその他のパラメータ(患者の年齢、付随する治療、特定の免疫抑制薬、併存症のタイプなど)に応じて、特定の部分集団について閾値をより精密にすることもできる。実際に、ショックがない重症敗血症の患者の小さいコホートにおいて得られるデータ(以下の実施例4を参照)は、このタイプの患者について本発明による方法を行うための適切な閾値が、8.1μg/1より少し大きい、例えば8.4〜9、9.5又は10μg/lであり得ることを示唆する。
ある具体的な実施形態において、ステップ(i)で行われる測定は、例えばS100A8/A9複合体と特異的に結合する抗体を用いるイムノアッセイにより行われる。S100A8/A9複合体(MRP8/14複合体ともよばれる)と特異的に結合する抗体のいくつかの例は、例えばIkemotoら(Ikemotoら, 2003)による文献に既に記載されている。もちろん、代替の技術、例えばRothら(Rothら, 1993)により記載される技術を用いて、上記の生体試料中のS100A8/A9複合体を定量できる。当業者は、S100A8/A9複合体に特異的な抗体の代わりに、上記の複合体と特異的に結合する任意のその他の分子、例えば抗体フラグメント又は特異的に設計されたアプタマーを用いることもできる。アプタマーは、標的分子と結合するそれらの能力によりインビトロで選択される1本鎖核酸分子(DNA又はRNA)である。この選択は、例えば、米国特許第5,270,163号に記載されるSELEX法(試験管内進化法(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment))により行うことができる。また、当業者は、ヒトS100A8/A9複合体の結晶構造を、上記の複合体と特異的に結合する分子を得るために用いることができる(Korndorferら, 2007)。S100A8/A9複合体に加えて遊離のS100A8若しくは遊離のS100A9を認識するか、又はS100A8若しくはS100A9の遊離の形を特異的に認識する抗体又はその他の結合分子を本発明の関係において用いることもできるが、但し、これらも、患者の転帰に従って該患者を区別するための閾値を決定できることを条件とする。
本発明による方法を行うことができる具体的なイムノアッセイは、以下の実験部に記載されるようなELISAアッセイである。あるいは、蛍光標識抗体を、例えばフラックスサイトメトリーを行うために用いることができる。もちろん、当業者は、本発明による方法を行うために任意のその他のイムノアッセイを選択できる。
また、イムノアッセイとは異なる技術を用いて本発明による方法を行うことができる。具体的には、質量分析を、その目的のために有利に用いることができる。
必要であれば、当業者は、少なくとも2つの臓器不全を伴う敗血症又は敗血症性ショックの事例における予後を確立するためにいくつかのマーカーを組み合わせることができる。S100A8/A9濃度と組み合わせて用いることができるマーカーのうち、プロカルシトニン(PCT)、N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、骨髄系細胞上で発現される可溶性刺激受容体-1(sTREM)、IL-6及びsRAGE、並びに敗血症関連臓器不全(SOFA)スコア、循環単球上のHLA-DRレベル、SAPS IIスコアなどを挙げることができる。本発明は、よって、上記の患者からの生体試料中(S100A8/A9濃度を測定したものと同じ生体試料、又は適切であれば別の生体試料)の少なくとも1つのその他の種のレベルを測定するステップと、上記のレベルを、予め決定された閾値と比較するステップとをさらに含む上記の方法にも関する。本明細書において、「種」は、マーカーとして用いることができる任意の成分、分子又は複合体と理解される。ある具体的な実施形態において、上記のその他の種は、S100A8/A9と同じ生体試料中で測定され、プロカルシトニン(PCT)、N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、骨髄系細胞上で発現される可溶性刺激受容体-1(sTREM)、IL-6及びsRAGEから選択される。
本発明の別の態様によると、本発明は、患者におけるS100A8/A9の血漿レベルの進展を測定することによる少なくとも2つの臓器不全を伴う重症敗血症又は少なくとも2つの臓器不全を伴う敗血症性ショックの患者のフォローアップを行うための方法であって、上記のレベルの減少が、上記の患者が回復していることを示す方法に関する。この方法によると、患者がD0にて上記で定義される予め決定された閾値より高いS100A8/A9レベルを有する場合、そして上記のレベルが閾値より高いままである場合、このことは、患者が死亡する可能性が大きいことを示す。
本発明による別の方法は、患者におけるS100A8及び/又はS100A9の発現レベルの進展を測定することによる少なくとも2つの臓器不全を伴う重症敗血症又は敗血症性ショックの患者のフォローアップを行うことであって、上記のレベルの減少が、上記の患者が回復していることを示すことを目的とする。この方法は、D. Payenらの出版物(本明細書に参照により組み込まれる)に示される(Payenら, 2008)。この方法を行う場合、S100A8及び/又はS100A9の発現レベルは、定量的増幅、例えば上記のPayenらにより記載されるような定量RT-PCRにより測定されることが好ましい。
上記のフォローアップ法において、(S100A8/A9複合体又はS100A8若しくはS100A9の発現の)測定は、入院後のいくつかの時点にて、例えば第1週の間毎日、そして臨床状況に応じて同じ頻度又はより少ない頻度で上記の患者から得られる生体試料に対して行われる。
さらに別の態様によると、本発明は、少なくとも2つの臓器不全を伴う重症敗血症又は少なくとも2つの臓器不全を伴う敗血症性ショックの患者の治療中止についての決定を補助する方法であって、以下の:
(i)請求項1に記載の方法により上記の患者の予後を確立するステップ(第2の臓器不全の発症後できる限りすぐに)と、
(ii)治療の数日後(例えば2週間)に得られた上記の患者からの生体試料中のS100A8/A9のレベルを測定するステップと
を含み、S100A8/A9のレベルの減少が観察されず、臨床状態が重症のままである場合に、治療中止を決定する、前記方法に関する。この方法を行う場合に、医師は、患者が2つ以上の臓器不全をまだ有する場合に、臨床状態が重症のままであると考慮する。治療中止は、具体的には、ステップ(i)において測定されるS100A8/A9のレベルが上記で規定される閾値より高く、治療の数日後にこの閾値より高いままである場合に決定される。
本発明は、非常に重症の状態(すなわち少なくとも2つの臓器不全を伴う重症敗血症又は少なくとも2つの臓器不全を伴う敗血症性ショック)にある患者についての信頼できる予後マーカーを提供するので、この予後マーカーは、患者が集中治療室を離れる前の集中的な援助の期間又はこれらの病気の転帰を改善することを目的とする新しい治療を試験するための臨床試験に参加する個体をよりよく選択するために用いることができる。
第1の場合において、参加する患者は、「絶望的な」患者に関するノイズを避けるために、予後が良い患者である。よって、本発明は、少なくとも2つの臓器不全を伴う非常に重症状態の対象者が、そのような患者の集中的な援助の必要性を短くするための医薬的治療の効力を評価するための臨床試験に参加するかどうかを決定するための方法であって、上記の対象者についての予後を上記の方法により確立するステップを含み、S100A8/A9の測定されたレベルが予め決定された閾値より低い場合に上記の患者が参加する、前記方法にも関する。
逆に、予後が悪い患者は、少なくとも2つの臓器不全を伴う非常に重症状態の転帰を改善するための新しい治療を評価するための治験に参加することにより、重篤な副作用を有する可能性がある薬物が、「古典的な」蘇生法により回復するとみられる患者に与えられず、この新しい薬物又は治療なしで回復するであろう患者に関するノイズが結果に含まれないようになる。よって、本発明は、少なくとも2つの臓器不全を伴う重症敗血症又は少なくとも2つの臓器不全を伴う敗血症性ショックの対象者が、そのような患者の転帰を改善するための医薬的治療の効力を評価するための臨床試験に参加するかどうかを決定する方法であって、上記の対象者についての予後を上記の方法により確立するステップを含み、S100A8/A9の測定されたレベルが予め決定された閾値より高い場合に上記の対象者が参加する、前記方法にも関する。
上記の方法の当然の結果として、本発明は、少なくとも2つの臓器不全を伴う重症症候群の転帰を改善するための医薬的治療の効力を試験する方法であって、以下の:
(i)少なくとも2つの臓器不全を伴う重症敗血症又は少なくとも2つの臓器不全を伴う敗血症性ショックの患者を選択し、上記の医薬的治療の開始前に上記の患者から得られる生体試料中のS100A8/A9のレベルを決定するステップと、
(ii)上記の患者から、上記の医薬的治療の開始後に得られた少なくとも別の試料から、S100A8/A9のレベルを決定するステップと、
(iii)上記の得られた値同士を比較するステップと
を含み、医薬的治療の開始の後のS100A8/A9レベルの減少が、上記の治療が患者にとって有益であり、少なくとも2つの臓器不全を伴う重症症候群の転帰を改善する可能性があることを示す、前記方法にも関する。
上記の方法のある好ましい実施形態において、ステップ(i)は、第2の臓器不全の発症後の第0日に行われ、選択される患者は、好ましくは、上記で規定される予め決定された閾値より高いS100A8/A9レベルを有する。後者の場合において、新しい革新的な治療は、S100A8/A9複合体のレベルが上記の閾値未満に減少するならば、患者にとって有益であり、少なくとも2つの臓器不全を伴う重症症候群の転帰を改善する可能性が非常に高いとみなされる。
当業者は、S100A8/A9複合体のレベルの代わり(又はそれに加えて)に、S100A8及び/又はS100A9発現レベルの測定に基づいて、この方法を、患者のフォローアップとともに行うためにこの方法を適応させることができる。以下の実施例3に記載するように、S100A9発現レベルは、この目的のために、S100A8発現レベルよりもより適切である。
本発明の別の態様は、S100A8/A9の測定に基づく上記の方法のいずれかを行うためのキットであって、S100A8/A9複合体と特異的に結合し、及び/又はS100A8若しくはS100A9と特異的に結合する分子(それらの遊離の形で又はそれらの遊離の形とS100A8/A9複合体との両方でのいずれかで特異的に)と、重症敗血症及び敗血症性ショック(特に2つの臓器不全を伴う)の転帰についてのS100A8/A9の血漿レベルの予測値を示す使用説明とを含むキットである。キットのある好ましい実施形態において、上記の分子は、S100A8/A9複合体と結合する。当業者は、抗体、及び抗体フラグメント、アプタマー、糖などのような特異的結合物質の任意の種類を選択して、このようなキットに含めることができるが、但し、この結合物質は、患者からの適切な生体試料中のS100A8/A9のレベルを測定するために用いることができる。ある好ましい実施形態において、使用説明は、また、生体試料(例えば血漿試料)中のS100A8/A9レベルを測定するためのプロトコルの説明と、そのレベルを超えると患者にとっての予後が悪いことを示す閾値の表示とを提供する。さらにより好ましい実施形態において、キットを用いて行うことができる試験の感度及び特異性に関する情報も、閾値との関係において使用説明に示す。
もちろん、本発明によるキットは、イムノアッセイを行うための試薬(バッファー、酵素、標識分子など)、品質管理、1つ以上の標準物質などから選択されるその他の成分も含むことができる。
本発明のその他の特徴は、本発明の枠組みの中で行われ、その範囲を限定することなく必要とされる実験によるサポートを提供する、以下の生物学的アッセイについての記載に従っても明らかになる。
実施例1:敗血症性ショックにおける初期予後マーカーとしての血漿S100A8/A9複合体の多施設での評価
材料及び方法
以下に報告する全ての実験は、以下の材料及び方法を用いて行った。
患者
この多施設での研究は、Cochin Hospital倫理委員会(# CCPPRB 2061)により承認され、集中治療室(2つの医療的、2つの外科的)からの患者を含めた。ACCP/SCCMコンセンサス会議(Boneら, 1992)に従って定義される敗血症性ショックの基準を満たす患者だけをスクリーニングした。参加基準により、敗血症性ショックの患者は、SOFA (経時的臓器不全評価;Sequential Organ Failure Assessment)スコア(Vincentら, 1998)により定義される少なくとも2つの臓器不全を有することが必要であった。最初の血液試料は、第2の臓器不全の発生の24時間以内に生じると定義される第0日(D0)に採取した。
学習コホートは、参加基準を満たす患者を含み、これらの患者から、S100A8/A9複合体の遺伝子発現及び血漿レベルのために血液試料を採取した。集団は、計算される検出力に適合するような大きさにした。第2の試料は、マーカーの安定性を試験するためにD1に採取した。
倫理委員会の許可の後の試験コホートからの試料を、同じ期間に(2004年2月〜2005年11月)重症敗血症についての多施設での研究に参加した同じ参加基準を満たす患者から得た(Programme Hospitalier de Recherche Clinique第AOR 02006号)。このコホートを用いて、学習コホートから第0日に得た血漿S100A8/A9複合体レベルの予測能力を評価した。
単球HLA-DR発現測定のためのフローサイトメトリー:
全血を、蛍光色素(フルオレセインイソチオシアネート(FiTC)又はフィコエリスリン(PE))とコンジュゲートした適切な抗体とインキュベートした:抗CD14-FiTC (クローンRMO52、Beckman Coulter, Marseille, France)及びPEとコンジュゲートした無関係のアイソタイプ対照抗体(Simultestコントロール、BD Biosciences, San Jose, CA, USA)又は抗HLA-DR-PE (クローンL243、BD Biosciences)。平均蛍光強度を、細胞あたりに結合した抗体の数(AB/C)に、QFCM (定量フローサイトメトリー;Quantitative Flow CytoMetry)を用いて変換した。
血漿サイトカイン測定:
血漿IL-10 (optEIA(商標)セット; PharMingen, San Diego, CA, USA)、IL-12p40及びMIF (R&D Systems, Abingdon, Oxon, UK)の濃度を、製造業者の指示に従う免疫酵素法(ELISA)により測定した。標準試料は、IL-10について7.8〜500 pg/ml、IL-12p40及びMIFについて31.2〜2000 pg/mlの範囲であった。検出閾値は、IL-10について2.7±3.1 pg/ml、IL-12p40について25.8±33.3 pg/ml、MIFについて25.7±34.6 pg/mlであった。
血漿S100A8/A9複合体レベル
この技術は、以前の出版物(Ikemotoら, 2003)から、年齢及び性別により対にした34名の健常対象者から採取した血液を用いて改変した。レベルは、平均0.26μg/mlであり、0.052〜0.468μg/mlの範囲であった。簡単に、100μlの希釈溶液を、第1抗体(Mo2B9; 0.166 mg/L)で被覆した96ウェルポリカーボネートプレートの各ウェルに加えた。Block-Ace(商標) (Dainippon Pharmacology Co Ltd)希釈溶液で予め希釈した血漿試料又はMRP8/14複合体標準物質溶液を、次いで加えて、15秒間混合した。プレートを、次いで、1時間インキュベートして、免疫反応を進行させた。5回の洗浄後に、100μlのF(ab')2-ビオチンコンジュゲート(0.5 g/Lチメロサール含有Block-Ace(商標)希釈溶液中の第2抗体Mo3D2)を加え、プレートをさらに1時間インキュベートした。上記のような繰り返しの洗浄の後に、Block-Ace希釈溶液で1500倍に希釈した100μlのストレプトアビジン-HRPコンジュゲートを加え、プレートをさらに30分間インキュベートした。HRP活性を、比色法により決定した。測定内変動係数(CV)は3.9〜5.6%であり、日同士のCVは5.9〜7.6%であり、平均回収率(recovery)は98%(範囲85〜103%)であった。アッセイは、臨床転帰について隠した研究員により行われた。
定量RT-PCRによるS100A8-A9遺伝子発現
RNA試料を、D0及びD1に、フィコール勾配遠心分離により成熟PMNを除去した後に得た。細胞分析は、光散乱による形態学的特徴決定と、未成熟細胞(顆粒球系統)の割合を評価するためのCD66b発現(FACScalibur)を含んだ(Payenら, 2008)。D0及びD1にて、末梢血単核細胞(PBMC)の割合は、およそ50%であった。トータルRNAを、Rneasyキット(Qiagen)を用いて抽出して、試料を、RnaseフリーDNAse Iで処理した。質及び量をAgilentバイオアナライザーで推定し、トータルRNAの量を、Nanodrop分光光度計で確認した。qRT-PCRを、S100A8 (Hs00374264_g1)及びS100A9 (Hs00610058_m1)について、製造業者の明記(Applied Biosystems, Foster City, CA, USA, 表1)に従って行い、内在性対照である真核18S rRNA (Hs99999901_s1)と比較した。結果は、デルタCt (濃度閾値): CtS100Ax-Ct18Sで表す。
Figure 2012507030
統計
定量結果を、中央値及び25百分位数〜75百分位数として表す。量的変数の比較は、マン-ホイットニー検定を用い、質的変数は、カイ二乗検定により行った。相関の研究は、スピアマンの相関検定により行った。p値<0.05を、統計的に有意とみなした。ヒト敗血症性ショックについて以前に発表されたデータ(Payenら, 2008)に基づいて、本発明者らは、敗血症性ショック患者における死亡率が40%(Annaneら, 2007; Sprungら, 2008)、及び標準誤差2.35 (Payenら, 2008)で、生存者と非生存者との間のS100A8/A9複合体の差が2μg/mlと仮定した。よって、47名の患者の標本サイズを、学習コホートのために採用して、I型誤差確率0.05及び検定力0.80に制御する必要があった。
S100A8/A9複合体の血漿レベルの予後性能を、ROC曲線下面積(AUC)の計算により評価した。学習コホートにおいて観察された感度及び特異性により、そして比較的小さい標本サイズのために、本発明者らは、感度及び特異性の推定値を、Laplace法(Agresti及びCoull, 1998)に基づいて得た。これらの結果を確認するために、患者の第2の独立コホート(試験コホート)を、同じ参加基準を用いて研究した。2つのコホートの主な特徴を比較し、S100A8/A9複合体の予後解析を、AUC並びに学習S100A8/A9閾値に基づく感度及び特異性の推定を含めて行った。
統計解析は、SAS 9.1 (SAS Inc, Cary, NC)ソフトウェアパッケージ及びR 2.8.0 (http://www.R-project.org)ソフトウェアパッケージを用いて行った。
結果
学習コホート
49名の患者が参加した。彼らの臨床的特徴を、以下の表2にまとめる。患者管理について、Surviving Sepsis Campaignのガイドラインに従った(Dellingerら, 2004)。9名の患者(18%)が、活性化プロテインCを受け、35名(71%)がヒドロコルチゾンで処置された。31名の患者が過去2日間に外科的手法を受けていた。15名の患者が28日間の研究期間中に死亡し、12名は最初の7日間に死亡した。D7より後(D24に1名及びD26に2名)に死亡した3名の患者は、処置不可能な呼吸不全及び重症低酸素症、遅延型多臓器不全、並びに治療の制限を要求する瀕死状態を原因として死亡した。D0に、SAPSII臨床重症度スコアは、生存者と非生存者とで異なっていたが、SOFAスコアは同様であった(表2)。
Figure 2012507030
血液炎症メディエイターの結果を、表3にまとめる。IL-12p40の血漿レベル又はHLA-DR単球発現について、D0にて生存者と非生存者との間に差はなかった。血漿IL-10及びMIFのレベルは、最終的に死亡した患者において有意により高かった(それぞれp<0.05及びp<0.01)が、2群の間の値には大きい重複があった。
Figure 2012507030
S100A8/S100A9複合体の血漿タンパク質及びmRNAのレベル
D0において、S100 A8/A9複合体の血漿レベルは、最終的な生存者と非生存者との間で著しく異なっていた(3.7μg/ml (3.2〜4.2)対13.3μg/ml (10.1〜15.6)、p<0.0001)。群の間に重複はなかった。同様の結果が、D1について得られた(図1)。結果として、100%の特異性及び感度と、8.1μg/mlの死亡危険性の閾値血漿レベルとが得られた。感度のLaplace推定値は94.1%(95%信頼区間: 84.7%〜100%)であり、特異性について97.2% (95%信頼区間: 92.6%〜100%)であった。重要なことに、これは、D0に測定された臓器不全の数には影響されなかった。類似の血漿レベルが、2つの臓器不全[3.5μg/ml IQ 1.4 (n=8)]又は2より多い臓器不全[3.7μg/ml IQ 0.9 (n=25)]の患者で見られた。
D0以降にaPCを受けた9名の患者(18%)のうち、5名が生存し(D0レベル:3.4μg/ml; IQR 1.1)、4名が死亡した(D0レベル:15.7μg/ml; IQR 3.6)。同様に、その後コルチコステロイド類で処置された患者(35名)のD0レベルは、生存者において3.7μg/ml (IQR 1.0)に対して最終的な非生存者において13.8μg/ml (IQR 5.6)であった。カテコールアミン類(ノルエピネフリン及びドブタミン)の必要投与量は、最終的な非生存者において、より高かった(p<0.01) (表1)。
PBMC及び未成熟細胞におけるS100A8又はS100A9遺伝子のmRNAレベルは、D0又はD1のいずれにおいても、生存者と非生存者との間で異ならなかった(図2A及びB)。S100A8及びS100A9についての遺伝子発現は良好に相関した(D0にてr=0.81及びD1にてr=0.87、p<0.0001、図3)が、D0又はD1のいずれにおいても、血漿S100A8/A9複合体レベルとは相関がみられなかった(データは示さず)。
試験コホート
同じ参加基準を満たす62名の患者からの試料を研究した。転帰による臨床的特徴及び炎症の変数を、表4及び5に示す。臨床変数は、有意により高かった第28日までの死亡率(56.5%に対して30.6%;p=0.01)以外について学習コホートと同等であった(表6)。試験コホートにおいて、HLA-DR発現及び血漿MIFレベルは同様であったが、IL-10の値はより低かった(p<0.05)。最初のコホートと同様に、最終的な生存者[5.3μg/ml (4.43〜6.43)]と非生存者[12.5μg/ml (10.23〜14.08) p<0.0001]との間で、S100A8/A9複合体の血漿レベルに明確な差があった。AUCの値は0.99であり、学習コホートから得られた8.1μg/mlの閾値血漿の値が、それぞれ94.3%及び100% (Laplace推定値:96.55%)の感度及び特異性で生存者を非生存者から区別した。2名の患者のみが誤って分類された。彼らの血漿S100A8/A9の値は、良い予後を示唆したが、彼らは、肝硬変を背景にする非代償性肝不全により3週間後に死亡した。学習コホートでと同様に、臓器不全の数もaPC又はヒドロコルチゾンでの治療も、血漿S100A8/A9レベルにより提供される予後判定に影響しなかった(データは示さず)。
2つのコホートのプールにより、D0での重症度が均質な111名の患者の集団が得られた。この集団全体における転帰を予測するために計算されたS100A8/A9の血漿レベルの閾値は、学習コホートから計算されたものと同一であった(8.1μg/ml)。
Figure 2012507030
Figure 2012507030
Figure 2012507030
考察:
我々は、S100A8/A9複合体の血漿レベルが、第2の臓器不全の出現の最初の日ほど初期に考慮しても、敗血症性ショックの患者における転帰の優れた予測因子であることを見出した。これは、D0での臓器不全の数にも、活性化プロテインC又はコルチコステロイド類のその後の使用にも依存しなかった。これは、少なくとも最初の2日間は、8.1μg/mlの死亡についての予測閾値で安定したままであった。49名の患者の学習コホートで得られたこの閾値の有効性を、その後、62名の患者の試験コホートで確認した。血漿タンパク質レベルの差は、末梢白血球上のS100A8及びA9遺伝子発現と相関せず、このことは、少なくともこの初期段階における循環免疫細胞以外のこの複合体の起源を示唆する。
敗血症性ショックの理想的な予後マーカーは、転帰の予測について特異的かつ高感度であり、大きい集団に用いることができ、臨床的解釈のために適切な期間(1〜2日間)にわたって安定であり、血漿中で容易に測定され、転帰にのみ依存するが、後続の効果的な治療により変更されることができ、比較的安価であることが必要である。サイズが限定されてはいるが、上記の結果は非常に有望である。なぜなら、学習コホート及び試験コホートの両方が、参加の時点で重症度が校正された医療的患者及び外科的患者の両方を含んでいたからである。生存敗血症患者における血漿レベルは、炎症性病因の急性関節炎の患者で得られた以前の結果に相当した(de Senyら, 2008; Foellら, 2004; Sampsonら, 2002)。我々の知るところでは、非生存者で見出されたものと同様の血漿レベルは、移植された腎臓の急性拒絶中に報告されたものだけである(Jungら, 2008)。
敗血症性ショックの信頼でき、初期であり、高感度で特異的な予後判定因子が利用できることは、いくつかの重要な利点をもたらす。これらが、将来の臨床試験に参加する患者のよりよい選択を含むことにより、予後がよい患者においては、臓器不全の消散の速度及び程度を増加させることに重点が置かれ、死亡率の改善(と良好な長期間の生活の質)が、予測される非生存者における主要な目標となる。個別の患者について、このことにより、不要な苦痛を緩和し、高価で限界がある集中治療の資源と治療法とをより有効に用いることを可能にする無益な治療の延長を回避できる。重要なことには、我々の研究において、活性化プロテインC及び/又はヒドロコルチゾンのその後の使用は、予測される転帰に影響できなかった。このことは、患者の選択、投与の最適な時期及び用量に関するこれらの2つの免疫調節剤を取り巻く現行の議論を強調する(Dellingerら, 2008)。さらに、S100 A8/A9タンパク質は、敗血症性ショックの病態生理において機構的役割を有するので(Foellら, 2007; Voglら, 2007)、このシステムを遮断する新しい薬剤を開発して探索することが有用であり得る。
研究した集団は、重症度の点で均質であった。最終的な生存者と非生存者は、臨床的にも、炎症性の血漿マーカー(MIF以外の)を用いてもD0にて区別できなかった。血漿S100 A8/A9タンパク質レベルの予後能力を、敗血症/炎症のその他の認識されているバイオマーカーに対して我々は直接比較していないが、文献の論説は、優位性を示唆している。例えば、血漿プロカルシトニンレベルは、生存者と比較して、敗血症非生存者において87.5%の感度で著しくより高かったが、特異性は45%だけであった(Clec'hら, 2004)。同じことが、敗血症性ショックにおける全身炎症の重症度のマーカーであるIL-6 (Abrahamら, 2001)、循環単球上のHLA-DR発現(Monneretら, 2006)、及び重症敗血症又は敗血症性ショックの最初の3日の間に測定された脳性ナトリウム利尿ペプチド(Varpulaら, 2007)について当てはまる。敗血症患者における可溶性TREM-1の血漿レベル(Gibotら, 2005)は、転帰の予測について比較的低い感度を有していたので、予後マーカーとしてのその使用が妨げられた。最近、Scherpereelらは、循環プロテオグリカンであるエンドカン(endocan)の血漿レベルが敗血症の生存者と非生存者とで大きく重複することを報告した(Scherpereelら, 2006)。血漿sRAGEも、75%の特異性及び84.6%の感度で、敗血症非生存者において、より高いことが見出された(Boppら, 2008)。
現在までに、S100タンパク質ファミリーの20を超えるメンバーが記載されている(Ravasiら, 2004)。3つ(S100A8、A9及びA12)は、自然免疫機能と特異的に連携する。S100A8及びS100A9は、顆粒球、単球及び初期分化段階のマクロファージで見出される(Foellら, 2007)。これとは対照的に、S100A12 (EN-RAGE、細胞外で新たに同定されたRAGE結合タンパク質(extracellular newly identified RAGE binding protein))は、顆粒球のほうにより制限されているようである(Voglら, 1999)。最近の研究において、S100A8-A9複合体を欠くマウスが、大腸菌及びエンドトキシンにより誘導される両方の致死的ショックから保護された(Voglら, 2007)。S100A8/A9複合体は、ミエロイド分化一次応答タンパク質(MyD)-88の細胞内転位と、インターロイキン-1受容体関連キナーゼ(IRAK)-1及び核因子(NF)-kBの活性化とを含む貪食細胞の応答を増幅し、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)の発現の上昇をもたらした。S100A8はTLR4-MD2複合体と特異的に相互作用したので、これは、TLR4の内因性リガンドである。
これらの貪食細胞特異的S100タンパク質は、古典的なゴルジ経路を迂回する代替の経路により能動的に分泌される(Rammesら, 1997)。これは、細胞内分子として細胞ホメオスタシスにおいて役割を有するが、細胞損傷、感染又は炎症により細胞外区画へ放出された後に炎症誘発性の危険シグナルに変化するDAMP関連因子について典型的である。このことは、生存しない患者において血漿レベルがなぜ著しくより高いかを説明でき、細胞ホメオスタシスのより重篤な喪失を示唆する。
S100A8及びS100A9の放出は、デノボ合成からは独立し、両方の遺伝子のmRNA発現の下方制御と関連している(Foellら, 2007)。D0での複合体S100A8/A9の血漿レベルと白血球S100A8及びA9遺伝子発現との間の相関がないことにより、初期のデノボ合成がないことが確認される。
結論として、学習コホートにおける生存者と非生存者との間で検出された差に基づき、かつより高い死亡率を有するより大きい試験コホートによりその後確認されたS100A8/A9複合体の識別性の役割は、少なくとも2つの臓器不全を伴う敗血症性ショックの患者を示すことにおけるこの転帰予測因子の初期の有用性を強く支持する。明らかに、普遍化の可能性及び併存症の影響を評価するために大規模な試験が必要である。しかし、もし確認されれば、これは、患者の管理の点及び治療の調節のための新しいシステムを目標とすることの両方において、新しい時代を切り開くことができる。
実施例2:敗血症性ショック患者における血漿S100A8/A9複合体レベルの経時的な傾向
第0日及び第1日について実施例1で行ったのと同じ実験を、28日間にわたって完了した(D0、D1、D7、D14及びD28)。
111名の患者(実施例1の「学習コホート」の49名及び「試験コホート」の62名)についての結果は、生存者において血漿タンパク質レベルが経時的に減少したが、非生存者では減少しなかったことを示す(図5)。血漿S100A8/A9は、対照と比較して生存者においてD28においてまだ上昇していた(中央値2.65μg/ml (IQR 2.60))。
最終的に予後が良かった1名の患者だけが、驚異的に高いレベルのS100A8/A9複合体をD14にて示した。この患者において、S100A8/A9の値は、D0にて4.7μg/ml、D1にて4.0μg/ml、D7にて4.5μg/ml、D14にて20.1μg/mlであったが、彼の進展は良好であり、最終的に良好な予後であった(D28前に退院)。D14でのS100A8/A9レベルは、しかし、対照を用いておらず、この驚異的な結果は、測定アーチファクトであり得る。
カイネティクスを、フリードマン検定を用いて両方の集団について研究した:生存者について、S100A8/A9血漿レベルは:
D0〜D28、p<0.0001、n=34
D0〜D14、p<0.0001、n=41
D0〜D7、p=0.0005、n=57
で減少し、D28前に死亡した患者について、S100A8/A9血漿レベルは:
D0〜D14、有意でない
D0〜D7、p=0.0010、n=15
で増加した。
実施例3:敗血症性ショック患者におけるS100A8及びS100A9遺伝子発現レベルの経時的な傾向
図6及び図7は、32名の患者におけるS100A8及びS100A9遺伝子発現を示す。これらのデータは、EP 2085486 A1に記載されるのと同じ方法を用いてAffymetrix HG-U133 Plus 2.0アレイで行ったマイクロアレイ解析から抽出した。
S100A8遺伝子発現は、第0日と第7日の間で、生存者においてわずかに減少したが、これでさえ28日間では有意でなかった。この傾向は、非生存者では観察されなかった。S100A8遺伝子発現の統計は、次のとおりである:
生存者におけるフリードマン検定 D0〜D28、n=11:NS
D0〜D7、n=18:p=0.0421
生存者におけるウィルコクソン検定 D0〜D1、n=17:NS
非生存者におけるウィルコクソン検定 D0〜D1、n=9:NS
生存者対非生存者のマンホイットニー検定:D1にて有意、p=0.035。
S100A9遺伝子発現は、生存者において経時的に減少し、非生存者において変動しなかった。S100A9遺伝子発現についての統計を、次に示す:
生存者におけるフリードマン検定 D0〜D28、n=11:p=0.0199
D0〜D7、n=18:p<0.0001
生存者におけるウィルコクソン検定 D0〜D1、n=17:p=0.0019
非生存者におけるウィルコクソン検定 D0〜D1、n=9:NS
生存者対非生存者のマンホイットニー検定:各時点において有意でない。
実施例4:ショックがない重症敗血症における初期予後マーカーとしての血漿S100A8/A9複合体レベルの評価
血漿S100A8/A9レベルを、D0にてショックがない16名の患者において測定した。これらの患者は、2つの臓器不全を伴う重症敗血症であった(以前のコホートと同じ臓器機能不全についての基準)。
8名がD28より前に死亡した。血漿S100A8/A9は、生存者と比較して、非生存者において有意により高かった(図8及び表7)。
Figure 2012507030
1名の生存者だけが、8.1μg/mlの提案された閾値より高いレベル(8.3μg/ml)を示し、このことは、ショックがない重症敗血症についての閾値が、敗血症性ショックについての閾値をわずかに上回ることができることを示唆する。非生存者は誰も、8.1μg/mlの閾値を下回るレベルを示さなかった。8.4〜9、9.5又は10μg/mlの閾値が、ショックがない重症敗血症の患者の転帰の予後判定のために適切であり得る。
参考文献
Figure 2012507030
Figure 2012507030
Figure 2012507030
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Claims (21)

  1. (i) 対象者からの生体試料から、S100A8/A9複合体のレベルを測定するステップと、
    (ii)前記レベルを、予め決定された閾値と比較するステップと
    を含み、予め決定された前記閾値より高いS100A8/A9複合体のレベルが、悪い予後を示し、予め決定された前記閾値より低いS100A8/A9複合体のレベルが、良い予後を示す、少なくとも2つの臓器不全を伴う重症敗血症又は少なくとも2つの臓器不全を伴う敗血症性ショックの対象者についての予後をインビトロで確立する方法。
  2. 前記生体試料が、第2の臓器不全の発症の後の第0日、第1日又は第2日に回収される請求項1に記載の方法。
  3. 予め決定された前記閾値が、7〜9μg/mlの範囲にある請求項1に記載の方法。
  4. 予め決定された前記閾値が、7.8〜8.3μg/mlの範囲にある請求項1に記載の方法。
  5. 予め決定された前記閾値が、8.1μg/mlである請求項1に記載の方法。
  6. 前記生体試料が、血漿、唾液、尿、脳脊髄液、胸膜液及び腹水から選択される請求項1に記載の方法。
  7. ステップ(i)における前記測定が、イムノアッセイにより行われる請求項1に記載の方法。
  8. 前記イムノアッセイが、S100A8/A9複合体と特異的に結合する抗体を用いて行われる請求項7に記載の方法。
  9. 前記抗体が、蛍光標識されている請求項8に記載の方法。
  10. 前記イムノアッセイが、ELISAアッセイである請求項7に記載の方法。
  11. 前記生体試料中の少なくとも1つのその他の種のレベルを測定するステップであって、前記その他の種が、プロカルシトニン(PCT)、N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、骨髄系細胞上で発現される可溶性刺激受容体-1(sTREM)、IL-6及びsRAGEから選択されるステップと、前記レベルを、予め決定された閾値と比較するステップとをさらに含む請求項1に記載の方法。
  12. 患者におけるS100A8/A9複合体の血漿レベルの進展を測定することによる少なくとも2つの臓器不全を伴う重症敗血症又は少なくとも2つの臓器不全を伴う敗血症性ショックの患者のフォローアップを行う方法であって、前記レベルの減少が、前記患者が回復していることを示す、前記方法。
  13. 患者におけるS100A8及び/又はS100A9の発現レベルの進展を測定することによる少なくとも2つの臓器不全を伴う重症敗血症又は少なくとも2つの臓器不全を伴う敗血症性ショックの患者のフォローアップを行う方法であって、前記レベルの減少が、前記患者が回復していることを示す、前記方法。
  14. 前記発現レベルが、定量的増幅により測定される請求項13に記載の方法。
  15. 測定が、入院後のいくつかの時点にて前記患者から得られる生体試料に対して行われる請求項12又は13に記載の方法。
  16. (i)請求項1に記載の方法により患者の予後を確立するステップと、
    (ii)治療の数日後に得られた前記患者からの生体試料中のS100A8/A9複合体のレベルを測定するステップと
    を含み、S100A8/A9複合体のレベルの減少が観察されず、臨床状態が重症のままである場合に、治療中止を決定する、少なくとも2つの臓器不全を伴う重症敗血症又は少なくとも2つの臓器不全を伴う敗血症性ショックの患者の治療中止についての決定を補助する方法。
  17. 少なくとも2つの臓器不全を伴う重症敗血症又は少なくとも2つの臓器不全を伴う敗血症性ショックの対象者が、そのような患者の集中的な援助の必要性を短くするための医薬的治療の効力を評価するための臨床試験に参加するかどうかを決定するための方法であって、請求項1に記載の方法により前記対象者の予後を確立するステップを含み、S100A8/A9複合体の測定されたレベルが、予め決定された閾値より低い場合に、前記患者が参加する、前記方法。
  18. 少なくとも2つの臓器不全を伴う重症敗血症又は少なくとも2つの臓器不全を伴う敗血症性ショックの対象者が、そのような患者の転帰を改善するための医薬的治療の効力を評価するための臨床試験に参加するかどうかを決定するための方法であって、請求項1に記載の方法により前記対象者の予後を確立するステップを含み、S100A8/A9複合体の測定されたレベルが、予め決定された閾値より高い場合に、前記患者が参加する、前記方法。
  19. (i)少なくとも2つの臓器不全を伴う重症敗血症又は少なくとも2つの臓器不全を伴う敗血症性ショックの患者を選択し、医薬的治療の開始前に前記患者から得られる生体試料中のS100A8/A9複合体のレベルを決定するステップと、
    (ii)前記患者から、前記医薬的治療の開始後に得られた少なくとも別の試料から、S100A8/A9複合体のレベルを決定するステップと、
    (iii)前記得られた値同士を比較するステップと
    を含み、医薬的治療の開始の後のS100A8/A9複合体レベルの減少が、前記治療が患者にとって有益であり、少なくとも2つの臓器不全を伴う重症症候群の転帰を改善する可能性があることを示す、少なくとも2つの臓器不全を伴う重症症候群の転帰を改善するための医薬的治療の効力を試験する方法。
  20. S100A8/A9複合体に特異的な抗体と、敗血症性ショックの転帰についてのS100A8/A9複合体の血漿レベルの予測値を示す使用説明とを含む、請求項1に記載の方法を行うためのキット。
  21. イムノアッセイを行うための試薬をさらに含む請求項20に記載のキット。
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