本発明は、工業用ロールのためのロールカバーにおける圧力測定、特に、ロールカバーに加えられた圧力を決定するためのファイバブラッグ格子センサの使用に関する。
ロールは、紙製造のための基本材料であるファイバ質ウェブシートを案内、乾燥及びプレスするために工業的抄紙において使用されている。ロールは、さらに、ウェット、プレス、及びドライヤフェルトのための案内ローラとして抄紙機において使用されている。抄紙機の幾つかのセクションにおいて、ファイバウェブは2つの協働するロールの間を搬送され、ファイバウェブはこれらのロールの間に形成されたニップにおいてプレスされる。ファイバウェブから加工された紙の性質は、様々な協働するローラの間のニップセクションにおいて存在する圧力分布に大きく依存する。従って、抄紙業者は、これらのニップセクションにおける圧力分布を監視及び制御することを望んでいる。
ニップ圧力は、通常、ロールコアとロールカバーとの間又はロールカバー内に配置されたセンサによって監視される。半径方向の力、すなわち、ロールの半径方向に作用する力は、圧電センサ又は電子機械式センサを用いて測定され、両センサは、加圧されたときのロールの変形を示す電圧を発生する。抄紙機ロールは高速で回転するので、センサ信号は、通常、無線送信機によって、ロールの外部の信号処理ユニットへ送信される。
電気センサの他に、ニップにおける圧力条件を監視するために、光ファイバセンサが使用される。光ファイバセンサは、通常、検出エレメントとして光ファイバ導波路を使用し、ファイバに加えられたひずみは、ファイバの光学特性に対するひずみの影響によって決定される。
慣用の光ファイバにおいて、ひずみ又は曲げによって誘発された、ファイバを通過する光の強度の変化が、測定信号として使用される。しかしながら、これらの効果によって得られた測定信号は、信号の発生源の位置に関する情報を含んでおらず、ファイバの光学的特性が変化した位置を特定することができない。
測定信号の発生箇所も重要であるならば、複数の識別可能な測定セクションを有する光ファイバが好適である。ファイバブラッグ格子センサにおいて、それぞれの測定セクションは、ファイバコアに配置されたブラッグ格子によって形成されている。ブラッグ格子は、光ファイバの長手方向に沿った、ファイバコアの屈折率の一連の変化から成る。それぞれの測定問題に応じて、(一般に2つの)屈折指標(いわゆる格子スペース)の連続的な変化の間の距離が、一定であるか又は1つのブラッグ格子内で変化する。光ファイバのコアを通過する光は、それぞれの屈折率チェンジオーバにおいて部分的に反射され、反射率は、関与した屈折指標と、光の波長とに依存する。屈折指標における一連のチェンジオーバにおける複数の反射は、建設的又は破壊的な干渉を生じる。従って、ブラッグ格子測定セクションの格子スペースが一定である場合、1つの波長のみが(少なくとも部分的に)反射され、1つの測定セクションにおける格子スペースが変化する場合、複数の波長が反射される。反射された光の波長と、達成された反射率とは、測定セクションに存在する屈折率チェンジオーバの数により、使用された格子スペースと、関与した屈折指標と、与えられた格子長さとに依存する。
測定セクション、すなわちブラッグ格子を含むファイバのセクションがひずみに曝されると、格子スペースが変化し、格子において反射される光の波長の比例したシフトを生ずる。測定可能な波長シフトは、光ファイバのブラッグ格子セクションが長手方向に沿って伸長又は圧縮された時にだけ得られる。ファイバ軸線に対して横方向に作用する力は、格子スペースの測定可能な変化を引き起こさず、光弾性構成による僅かなブラッグ波長シフトのみを生ずる。従って、ファイバブラッグセンサは、主にひずみセンサとして使用され、圧力又は力センサとして使用されない。
2つの協働するロールのニップセクションにおける圧力分布は、実用上、ロールに半径方向に作用する力によって決定される。これらの力を直接に測定するために、ファイバブラッグセンサのブラッグ構成は、ロールの半径方向に向けられていなければならない。個々の配列は実用的ではない。なぜならば、ファイバブラッグ格子の格子長さは、ミリメートルのオーダであり、ロールカバー内で使用されるには長すぎるからである。さらに、光ファイバの最小曲げ半径は、約1センチメートルのオーダであるので、半径方向に関するファイバの合計最小高さは、実用的な用途のためには長すぎる。制限された曲げ半径の同じ理由から、ロールカバーにおけるファイバブラッグ格子の半径方向に向けた配置は、ファイバごとに1つの測定セクションしか設けることができず、別のファイバが、それぞれの測定位置のために必要とされる。
従って、光ファイバセンサは、通常、ニップセクションにおいて作用する力によってロールカバーに誘発されたフープひずみを測定するために配置されている。ロールカバーのフープひずみを検出するために、光ファイバは、ロールカバー内又はロールカバーとロールコアとの間の境界に埋設されている。ロールカバーにおける接線方向みずみを決定するために適切な構成は、欧州特許第1392917号明細書に開示されており、好適にはマイクロベンド光ファイバセンサが、螺旋形、軸方向、周方向、及び"幾分不規則な"構成で配置されている。欧州特許第0809507号明細書に示された光ファイバ構成は、螺旋形、波形、散乱された構成、ロール軸線に対して平行にロールの長さに沿って直線を含む。波形の場合、ファイバの測定セクション、例えばブラッグ格子は、ロールの周方向に向けられているか又は周方向に少なくとも1つの成分を有している。
1つのブラッグセンサファイバ内で2つ以上の測定セクションを用いる場合、測定信号は、発生源の個々の測定セクションに割り当てられなければならない。ファイバブラッグセンサのファイバが螺旋形に配置されている場合、それぞれの測定セクションは、ロールの異なる周方向位置においてニップを横断する。従って、測定セクションの割り当ては、ロールの回転角を用いて実行されてよい。
ある光の反射が発生した測定セクションを特定するための別の方法は、ブラッグファイバへの光パルスの発射と、ファイバにおけるブラッグ格子のうちの1つから反射された光エコーの検出との間の時間を決定することに基づく、個々の時間多重式ファイバブラッグ格子センサ構成は、例えば、米国特許第4996419号明細書に開示されている。
時間多重式の代わりに、波長多重式を、ある測定信号を生じた測定セクションを特定するために使用することができる。このような分配された、空間的に解決する光ファイバひずみゲージのための例は、米国特許第4806012号明細書に開示されている。記載されたブラッグファイバにおいて、1つのブラッグ格子の格子スペースは、同じファイバに形成された別のブラッグ格子のあらゆる格子スペースと異なる。1つの格子において発生された光エコーの基本波長は、他の格子のそれぞれにおいて発生されたものと異なる。これに関して、本明細書において使用される「光エコー」は、ブラッグファイバにおけるブラッグ格子において反射された光をいう。ブラッグファイバはここでは、ファイバコア内に形成された1つ又は2つ以上のブラッグ格子を有する光ファイバをいう。本明細書で使用される「基本波長」は、ひずみにさらされていないブラッグ格子によって発生された光エコーの波長をいう。ブラッグファイバの様々な異なるブラッグ格子の基本波長の間のスペースは、通常、設計された通りに使用されたときのブラッグファイバに対して予想される波長シフトよりも長く選択されている。
使用されるブラッグファイバのタイプにかかわらず、ロールカバーに埋設されたファイバブラッグセンサは、ニップ領域においてロールに影響する半径方向の力ではなく、ニップにおいて作用する力によって生ぜしめられるロールカバーの変形を決定することのみを許容する。ロールの長さに沿ったカバーの変形のばらつきは、ロールの周方向での変形のばらつきと比較して小さい。なぜならば、ロールの長さに沿った圧力差は、一般に、ニップの内側と外側との間よりも著しく小さいからである。従って、ロールの長さに沿って、ロール軸線に対して平行に配置されたブラッグファイバは、生じるとしても、ブラッグ格子において反射された光の波長の小さなシフトしか生じず、シフト値は、さらに、ニップに存在する圧縮力の絶対値を示さない。ニップにおける圧縮力の絶対値を示すために、ブラッグ格子は、ロールの周方向の成分を備えて配置されている。しかしながら、これは、2つの対応するロールの間に存在する力の確実な提案を許容しない。なぜならば、カバー変形と圧縮力との間の関係は、ロールカバーの弾性により、極めて複雑であるからである。
ファイバブラッグセンサの別の欠点は、1つのファイバに配置することができる識別可能な測定セクションの制限された数である。ブラッグファイバセンサは、通常、10〜25個以下の格子から成り、これは、ニップにおける圧力分布を決定するために利用できる測定箇所の密度を制限する。
従って、本発明の課題は、2つの協働するロールのニップセクションにおける圧力分布の特徴づけのための改良された光ファイバブラッグ検出システムを提供することである。
前記課題は、独立請求項に定義された発明によって達成される。発明の有利な実施の形態はその他の請求項の主体である。
本発明は、実質的に円筒状のセクションを有するロールコアと、少なくとも部分的に前記ロールコアの円筒状のセクションを被覆するロールカバーと、該ロールカバーに埋設された及び/又は前記ロールカバーとロールコアとの間に配置された1つ又は2つ以上の光ファイバセンサとを有している。1つ又は2つ以上の光ファイバセンサは、光ファイバ導波路とスタッドエレメントとを有する横方向力変換ファイバブラッグセンサによって形成された少なくとも1つの測定セクションを有しており、前記光ファイバ導波路が、ファイバコアとファイバ被覆材とを有しており、前記スタッドエレメントが、光ファイバ導波路の周面の部分的な領域に非嵌合式に結合されている。光ファイバ導波路は、ファイバコアに配置されたブラッグ格子を有している。さらに、ファイバの長手方向でみた前記部分的な領域の寸法が、ブラッグ格子の格子の間隔よりも長く、前記部分的な領域が、ブラッグ格子を包囲する光ファイバ導波路のセクションに配置されている。さらに、前記スタッドエレメントの少なくとも第1の構成部分が、10kN/mm2(10GPaと等しい)未満のヤング係数を有する第1の材料から形成されている。
上で定義された工業用ロールは、有利には、工業用ロールにおける半径方向の力の直線的な測定を可能にする。
本発明は、さらに、ロールカバーを含んでおり、このロールカバーは、ロールカバー(6)に及び/又は該ロールカバーとロールコアとの間に埋設された1つ又は2つ以上の光ファイバセンサを有しており、該1つ又は2つ以上の光ファイバセンサが、光ファイバ導波路及びスタッドエレメントを有する横方向力変換ファイバブラッグセンサによって形成されており、前記光ファイバ導波路が、ファイバコアとファイバ被覆材とを有しており、前記スタッドエレメントが、前記光ファイバ導波路の周面の部分的な領域に非嵌合式に結合されており、光ファイバ導波路が、ファイバコアに配置されたブラッグ格子を有しており、前記光ファイバ導波路の長手方向でみた前記部分的な領域の寸法が、ブラッグ格子の格子スペースよりも長くなっており、前記部分的な領域が、ブラッグ格子を包囲する光ファイバ導波路のセクションに配置されており、前記スタッドエレメントの少なくとも第1の構成部分が、10kN/mm2未満のヤング係数を有する第1の材料から形成されているロールカバーを含む。
本発明は、工業用ロール及び/又はロールカバーの一部としての、上述のような横方向力変換ファイバブラッグセンサに相当する光ファイバセンサも含んでいる。
上に特定された光ファイバセンサのスタッドエレメントのために使用される第1の材料の圧縮率は、好適には、低く、1010Pa(1010N/m2に相当し、10GPaと等しい)を超える体積弾性率によって特徴づけられる。低い圧縮率は、横方向力をスタッドエレメントの長手方向変形に効率的に変換する。
上で特定された光ファイバセンサの好適な実施の形態において、第1の材料が、1kN/mm2未満のヤング係数、より好適には0.001〜0.01kN/mm2の範囲のヤング係数を有している。
スタッドエレメントは、有利には、光ファイバ導波路の長手方向でみて前記第1の構成部分に隣接してかつ光ファイバ導波路の周面に配置された、第2の材料から形成された少なくとも1つの第2の構成部分を有しており、前記第2の材料が、10kN/mm2のヤング係数と、好適には106N/m2未満の体積弾性率によって特徴づけられる高い圧縮率とを有している。
スタッドエレメントは、前記光ファイバ導波路の長手方向でみて、前記第1の構成部分に互いに反対側において隣接した2つの第2の構成部分を有している。
有利な発展形によれば、横方向力変換ファイバブラッグセンサは、好適には、ロールカバーに及び/又はロールカバーとロールコアとの間に埋設されており、スタッドエレメントが、ロールカバーに及び/又はロールカバーとロールコアとの間に形成されたキャビティ内に配置されている。横方向力に曝された場合に、スタッドエレメントに結合されたブラッグ格子の伸長を可能にするため、光ファイバ導波路の長手方向でみたキャビティの寸法が、好適には、前記長手方向でみたスタッドエレメントの寸法よりも大きくなっている。このことは、押圧された時にスタッドエレメントがキャビティに入り込むのを許す。改良された感度は、スタッドエレメントが、光ファイバ導波路の長手方向でみてスタッドエレメントの両側に空所を形成するように、キャビティ内に配置されていることによって達成される。
ファイバブラッグ格子の長手方向ひずみにおける横方向力の有効な変換は、スタッドエレメントが、光ファイバ導波路がスタッドエレメントを貫通するように光ファイバ導波路に配置されていることによって達成される。光ファイバ導波路の半径方向の力の制御された変換を達成するために、スタッドエレメントが、光ファイバ導波路の軸線がスタッドエレメントの対称軸線に配置されるような回転対称の形状を有している。
スタッドエレメントの第1の構成部分は、長手方向力における横方向力の規定された変換を可能にする、球、扁長又は扁円の長球、二重円錐、円板、円筒、又は樽形に類似の形状を有している。
ファイバ長手方向で2つの第2の構成部分の間に配置された第1のエレメントを有するスタッドエレメントを備えた光ファイバセンサが、別の材料に埋設されている場合、スタッドエレメントの第2の構成部分が、ジオメトリのベースにおいて第1の構成部分に接触したほぼ円錐又は切頭円錐、すなわち円錐台形を有していることにより、第2の構成部分の比較的均一な圧縮を達することができる。
光ファイバが、例えば保護コーティング等のコーティングを有しているならば、コーティングは、好適には、スタッドエレメントと光ファイバ導波路の周面との間の非嵌合式結合の部分を形成している。
好適な実施形態において、シリコーンゴムが第1の材料のために使用されている及び/又はポリマ発泡材が第2の材料のために使用されている。
工業用ロールは、さらに、有利には、センサ供給手段を有しており、該センサ供給手段に、光ファイバセンサ内に光を発射する広帯域光源が設けられており、ファイバブラッグセンサのブラッグ格子において反射されたファイバブラッグセンサからの光を導出するためのカップラが設けられており、ファイバブラッグセンサから導出された光を波長に応じて電気測定信号に変換するためのスペクトルセンサが設けられており、電気測定信号を処理するための信号処理手段が設けられており、処理された測定信号を伝送するための伝送手段が設けられている。センサ供給手段は、側面において、ロールの周面の縁部領域に配置されている。センサ供給手段の光学部品は、個々の光学部品に作用する遠心力の拡散する成分の効果が最小限に抑えられるように、ロールコアの円筒状のセクションの側面に配置されている。
1つのファイバのみで様々な異なる位置での測定を可能にするために、少なくとも1つのファイバブラッグセンサが、様々な異なる格子スペースを備える2つ以上のブラッグ格子を有している。これは、信号の波長によって、測定信号を発生したブラッグ格子を特定することを許容する。
1つのファイバにおいて識別可能な測定箇所の数をさらに増大するために、ブラッグ格子を含まない光ファイバ導波路セクションによって互いに分離されたブラッグ格子のグループが設けられており、1つのブラッグ格子のグループにおけるブラッグ格子は、それぞれ異なる格子スペースを有しており、ブラッグ格子の2つのグループを分離している光ファイバ導波路セクションの長さは、ブラッグ格子の別のグループにおいて反射された光の、時間分離された登録を可能にするために、十分に長くなっている。この場合、ブラッグ格子の1つのグループにおけるブラッグ格子の格子スペースは、ブラッグ格子の別のグループにおけるブラッグ格子の格子スペースに対応している。
少なくとも1つの光ファイバセンサが、実質的にロールの回転対称軸線に対して平行に、前記ロールカバーに及び/又は該ロールカバーと前記ロールコアとの間に埋設されていることにより、ファイバブラッグセンサは、ロールカバーの接線方向伸びによって影響されず、これにより、工業用ロールの半径方向のニップ力に直接に関連した測定信号を提供する。間の"遅れ"セクションによって分離された多数のブラッグ格子グループを備えたファイバブラッグセンサを提供するために、ブラッグ格子のグループを含むファイバブラッグセンサのセクションは、有利には、ロールの回転対称軸線に対して平行に延びており、ブラッグ格子の2つのグループを分離しているファイバブラッグセンサのセクションは、好適には、ロールの回転対称軸線を中心とする実質的な螺旋に沿って延びている。慕って、多数のブラッグ格子を、"遅れ"セクションがブラッグ格子の間の増大した距離を生ずることなく、工業用ロールの回転軸線に対して平行なラインに配置することができる。
少なくとも1つの光ファイバセンサが、実質的にロールの回転対称軸線を中心とする螺旋に沿って、ロールカバーに及び/又は該ロールカバーとロールコアとの間に埋設されていることにより、ニップセクションにおけるロールカバーのフープひずみを決定することができる。
ファイバに加えられる引張荷重を最小限にするために、少なくとも1つの光ファイバセンサは、少なくとも1つのファイバブラッグ格子がロールの周方向でみて10°〜80°の角度、好適にはロールの周方向でみて45°の角度で配置されるように、ロールカバーに及び/又は該ロールカバーとロールコアとの間に埋設されている。
有利には、ロールの回転対称軸線を中心とする実質的な螺旋に沿って延びたファイバブラッグセンサのセクションに配置されたブラッグ格子のうちの少なくとも1つは、スタッドエレメントに結合されていない。
好適な実施の形態において、ロールカバーは、5kN/mm2〜10kN/mm2のヤング係数を有する。
発明の他の特徴は、請求の範囲及び添付の図面とともに、発明の実施の形態の説明から明らかになるであろう。発明の実施の形態は、1つの特徴又は複数の特徴を組み合わせて実施していてよい。以下の説明では、本発明は、特別な実施の形態に関連して、同封された図面を用いてより詳細に説明される。
回転軸線に対して平行にロールカバーに埋設されたファイバブラッグセンサを備えたロールカバーを有する工業用ロールを示す図である。
回転軸線を中心とする螺旋に沿ってロールカバーに埋設されたファイバブラッグセンサを備えたロールカバーを有する工業用ロールを示す図である。
ロールカバーに埋設されたファイバブラッグセンサを供えたロールカバーを有する工業用ロールを示す図であり、センサの2つのセクションは回転軸線に対して平行に延びており、これらの2つのセクションの間のセクションは回転軸線を中心とする螺旋に沿って延びている。
横方向力変換ファイバブラッグセンサの第1の例を示す図である。
横方向力返還ファイバブラッグセンサの第2の例を示す図である。
横方向力変換ファイバブラッグセンサの第3の例を示す図である。
横方向力変換ファイバブラッグセンサの第4の例を示す図である。
図2に示した第1の例の埋設された横方向力変換ファイバブラッグセンサを有するロールカバーセクションの詳細図であり、スタッドエレメントは、このスタッドエレメントよりも大きなキャビティに収容されている。
図2に示された第1の例の埋設された横方向力変換ファイバブラッグセンサを供えたロールカバーのセクションを詳細に示す図である。
図3に示された第2の例の埋設された横方向力変換ファイバブラッグセンサを備えたロールカバーセクションの詳細を示す図である。
ロールカバーに設けられた圧力監視のためのファイバ光学測定システムの概略図である。
ロールカバーの半径方向変形を測定するための、変更されたファイバ光学測定システムを示す図である。
光学ロールカバーセンサを備えた工業用ロール20の概略図が図1aに示されている。工業用ロール20は、実質的に円筒状のボディを有するロールコア21と、ボディの主要部分を被覆するロールカバー6とを有している。ロールコア21は、金属又はファイバ補強プラスチック、又は工業用ロールコア21のために使用されたあらゆるその他の適切な材料から形成されていてよい。ロールコア21のボディは、外面及び内部管路を有するシェルが具備されていてよく、ロールカバー6は、外面を全体に亘って又は縁部を除いて被覆している。ロールカバー6のために、ゴム、ポリウレタン、ファイバ強化プラスチックのあらゆる一般に使用される材料を使用することができる。
ロールカバー6はさらに、埋設されたファイバブラッグセンサ10を有しており、このファイバブラッグセンサ10は、工業用ロール20の半径方向でみた、ファイバ10の長手方向に対して横方向の力を測定する。ファイバブラッグセンサ10は、以下により詳細に説明される1つ又は2つ以上のスタッドエレメント4を有しており、このスタッドエレメント4は、圧縮された際にファイバ10に配置されたブラッグ格子を伸長させる(又は択一的に圧縮させる)。
ロール20の少なくとも一方の側面には、センサ供給手段22を取り付けるための支持体が設けられている。図1a〜図1cに示された例において、ロールコア21の側面に取り付けられたハウジング30は、支持体を形成している。センサ供給手段22は、ハウジング30の凹所23内に配置されている。本明細書で示されるセンサ供給手段22との用語は、ファイバブラッグセンサ10を作動させるため、センサ10内へ光を発射するため、ファイバ光センサ10のブラッグ格子(ブラッググレーティング)において反射された光の波長分布及び強度を決定するため、及び反射された光の特性を表す測定信号を提供するために、使用される機器をいう。センサ供給手段22は、好適には、さらに、工業用ロール20から離れた測定機器又は制御機器との無線データ通信を可能にするための送信機又は受信器を有している。凹所23の側壁は好適には平坦若しくは直線的であり、工業用ロール20の回転軸線8に対して接線方向に延びている。個々の構成部材、特に光学部品が拡散する遠心力を受けないように、センサ供給手段22は好適にはこれらの側壁に取り付けられている。センサ供給手段22は図1a〜図1cには単一のモジュールとして示されているが、センサ供給手段22は複数のモジュールを含んでいてもよく、それぞれのモジュールは、側壁の異なる面に取り付けられていてよい。しかしながら、1つ又は2つ以上のモジュールが側壁の内の1つを供給していてもよい。質量の平衡状態が損なわれるを回避するために、凹所23の側壁は好適には正多角形を形成している。
図1bに示された、センサを有する工業用ロール20は、ファイバブラッグセンサ10がロールカバー6に配置されている状態が、図1aに示された典型的な実施の形態とは異なる。図1aの典型的な実施の形態によるファイバブラッグセンサは、ロール20の回転軸線8に対して平行に延びているのに対し、図1bのファイバブラッグセンサ10は、ロールの円周の一部のみに亘って延びた、回転軸線8を中心とする螺旋を成している。いずれの図面にも示されていない異なる実施の形態においては、ファイバセンサ10が成す螺旋は、全周に亘って延びているか、又は軸線8を中心として複数回巻き付けられている。さらに、ファイバ光センサ10は、幾つかのブランク測定セクション、すなわちスタッドエレメント4が取り付けられていないブラッグ格子を有していてよい。これらのブランク測定セクションが、ロール20の回転軸線8に対して周方向成分を有するように延びていると、例えばフープ応力による接線方向の力を測定することもできる。
図1cには、図1a及び図1bの2つのファイバ配置の組合せが示されている。この構成は、以下でより詳細に説明されるような、組み合わされた波長多重式及び時間多重式のために適応されたファイバ光センサのための好適な実施形態である。両方の多重式技術を可能にするために、横方向力変換器(スタッドエレメント4によって形成されている)、ひいてはこの横方向力変換器によって作用されるブラッグ格子は、2つ又は3つ以上のグループ12に集積されており、ブラッグ格子を含まないファイバセンサ10のセクション11によって分離されている。セクション11は、ファイバの遠い方の側に配置されたグループから発せられる、反射された光信号を遅延させ、これにより、異なるグループからの信号を異なる時間に提供する。
図1a、図1b及び図1cとは異なり、2つ以上のファイバブラッグセンサ10がロールカバー6において使用されてよく、センサ10のうちの1つ又は全てが、図示のようにロールカバー6に埋設されるのではなく、ロールカバー6とロールコア21との間に配置されていてもよい。図示のように光ファイバ10をロールコア21からセンサ供給手段22へ案内することは、必須ではない。ファイバリードをロールコア21の溝に配置することは、多くの可能な選択的態様の内の1つである。
図2は、ファイバの長手方向に対して横方向の力を測定するためのファイバブラッグセンサ10の第1の典型的な実施の形態を示している。ファイバブラッグセンサ10は、ファイバコア2と、ファイバコア2に刻設されたブラッグ格子3とを備えた光ファイバ1を有している。ファイバコア2は、全反射によりファイバコア内に限定された光伝播を可能にするため、ファイバ被覆材、すなわちファイバコアを包囲する光ファイバの部分よりも高い屈折率を有している。ファイバ1はさらに保護被膜(図示せず)を有していてよく、この保護被膜は、通常、頑丈な樹脂緩衝層によって形成されており、この保護被膜はさらにプラスチック外套層によって包囲されていてよい。個々の保護被膜は、ファイバの機械的抵抗を高めるために使用されてよいが、本発明によるファイバブラッグセンサのためには必ずしも必要ではない。被覆材への被膜の確実な付着は、保護被膜を有するブラッグセンサ1が使用される場合には必要である。
図2のファイバブラッグセンサ10は、さらに、ブラッグ格子3が配置されている領域において光ファイバ1を包囲するスタッドエレメント4を有している。例示された実施の形態において、スタッドエレメント4は、1つの部分4aから形成されている。図示されたスタッドエレメント4は、球状であり、ブラッグ光ファイバ1は回転対称軸線に沿ってスタッドエレメント4を貫通している。スタッドエレメント4aは弾性材料から形成されている。本明細書において使用される弾性材料という用語は、応力を受けた際に可逆的に変形することができる材料をいう。これは、弾性材料から形成された物体が応力を受けた時に変形し、応力が除去された時に元の形状に戻ることを意味する。個々の材料は、柔軟な材料とも呼ばれる。物体を可逆的に変形させることができる範囲が、物体寸法の数パーセント又はそれよりも著しく大きい場合、高い柔軟性が与えられている。弾性率の大きな材料は、700パーセントまで物体の可逆的な伸長を許容する。
スタッド構成部分4aのために使用される材料はさらに、技術的意味において圧縮性ではなく、すなわち、スタッド構成部分4aの合計体積は、変形を受けても実質的に変化しない。従って、1つの構成部分4aのみから形成された、図2の球形のスタッドエレメント4が、ファイバ1の長手方向に対して横方向に作用する力によって圧縮された場合、球形は、より偏平な形状となり、スタッドエレメント4の寸法がファイバ1の長手方向に拡大される。ファイバ1の長手方向に沿ったスタッドエレメント4の延長は、スタッドエレメント4とファイバ1の表面との間に形成された接着剤接触により、スタッドエレメント4内に配置されたファイバセクションに伝達される。対応するひずみは、ファイバブラッグ格子の延長を生じ、より幅広の格子スペースを形成する。拡大された格子スペースは、ブラッグ格子3において反射される光の波長の変化をさらに生ずる。
スタッド構成部分4aを製造するために適した材料は、例えば、エラストマ、特にシリコンエラストマ、例えばシリコーンゴムである。しかしながら、上に説明した意味での十分な弾性を有するあらゆる材料、例えば、不飽和ゴム又は飽和ゴム、熱可塑性エラストマ、熱可塑性加硫ゴム、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性オレフィン、レジリン、エラスチン、ポリ加硫物ゴムが使用されてよい。
図2に示されたスタッド構成部分4aは球形であるが、この形状に限定されない。スタッドエレメント4が図示のようにファイバ1を包囲していることも必要ではない。なぜならば、一方の側においてだけファイバ1に結合されたスタッドエレメント4も、スタッドエレメント4の伸長又は収縮をファイバ1の個々のブラッグ格子3セクションに伝達することができるからである。このための唯一の前提条件は、スタッドエレメント4とファイバ1の外面との間の非嵌合式な結合、すなわち、力の伝達を許容する、ファイバ周面とスタッド部材4aの表面との部分領域の間の結合、である。ファイバ1が物体の硬い表面に支持されるか又は化合物材料又は物体の硬い層と柔軟な層との間の境界に支持される場合には、ファイバ1におけるスタッドエレメント4の片側配置が好ましい。
しかしながら、ファイバブラッグセンサ10が柔軟な材料内に埋設されて使用される場合、図示された球形又は実質的にへん長回だ円体(たばこ形)又は偏平回転だ円体(ディスク形)に似た形状、二重円錐、円板、円筒、樽形、又は同様の回転体形状が好適である。不規則な形状の回転体形状の例は、例えばスタッド構成部分4a及びスタッド構成部分4bのために図5に示されている。
ファイバブラッグセンサ10が等方性圧力測定のために使用される用途があってもよい。この場合、圧力は全ての側から等しくスタッド構成部分4aに作用し、スタッド構成部分4aは、弾性であるだけで圧縮性ではない場合に実際には変形させられない。個々の圧力測定を許容するためには、従って、スタッド部分4aは、弾性及び圧縮性特性を備える材料から形成される。例えば発泡ポリマ等の圧縮性材料を使用する場合、増大する周囲圧力はスタッド部材4aの寸法を減じ、この寸法の減少は、ファイバブラッグ格子3に伝達され、ブラッグ格子3において反射された波長を監視することによって圧力測定を可能にする。
圧縮係数が個々の用途に適応させられた弾性スタッドエレメント4を使用することにより、ファイバブラッグ格子の長手方向に対して横方向に作用する力の測定と、均一な周囲圧力の測定とが可能になる。従って、圧縮性スタッドエレメント4を備えるファイバブラッグセンサ10を、抄紙機において使用されるロールカバー6に埋設された圧力センサとして使用することができる。図2に示した形状を有するファイバブラッグセンサ10の個々の埋設は、図7に示されている。長手方向に対して横方向の圧力のみが検出される場合、ファイバ1を包囲するスタッドエレメント4の球形はむしろ、好適には力に曝されるファイバ1の側に配置された、ブロック形状によって置き換えられる。
上で説明されたファイバブラッグセンサ10において使用されるスタッドエレメント4は、衝撃をファイバ1の長手方向に方向転換する力及び/又は圧力変換エレメントとして見なされる。スタッドエレメント4は、接着剤又はその他の結合技術を用いることによってファイバ1に非嵌合式に結合された個々のエレメントとして形成されていてよいが、光ファイバ1自体の一体の部分として、例えば、被膜の頑丈な樹脂緩衝層内に形成された、保護被膜の膨張部として形成されていてもよい。
スタッド部材4aを製造するために好適な材料のヤング係数は、好適には10kN/mm2より低い。ヤング係数が、使用される材料の弾性又は柔軟性を特徴付けるためには適用可能でない場合、同等の変形を与える正割弾性係数によって特徴付けられる材料が使用されてよい。
図3は、図2の実施の形態の変更された態様を示している。スタッドエレメント4はこの実施の態様においては2つの部材、つまり第1の内側部材4a及び第2の外側部材4bから成り、内側部材4aが内側に配置されている。内側部材4aは、好適には、せいぜい最小限の圧縮性の弾性材料から形成されている。しかしながら、外側部材4bは、高い圧縮性の弾性材料から形成されている。上に示したように、物体は、本明細書の文脈において、物体が曝されている圧力の変化に対応して物体の体積が変化する場合、圧縮性であると見なされる。材料圧縮性を、材料から形成された物体を均一に圧縮するときの、圧力変化に応答した物体の相対的な体積変化を示す体積弾性率によって特徴付けることができる。第2の部材4bを製造するために適した材料は、例えば、柔軟な発泡ポリマ、発泡プラスチック又はその他の柔軟な発泡材である。
図3に示されたファイバブラッグセンサ10の実施の形態は、例えば図8に示されたような抄紙機のためのロールカバー等の弾性材料に埋設されるのに特に適している。埋設されたセンサ10の測定セクション、すなわちファイバブラッグ格子3に又はその周囲にスタッドエレメント4を有するセクションを備えた、ロールカバーの部分が、2つの協働するロールのニップセクション内に配置されると、スタッドエレメント4の外面は均一に加圧される。圧力を受けることによりロールカバー6の体積変化がスタッドエレメント4に伝達されると、スタッドエレメント4の内側部材4aは圧力により扁平化され、ファイバ1により近い部材4aの部分が、圧縮可能な外側部材4bによって前に保たれていた空間に突入する。内側部材4aの赤道周囲長は、扁平化されると増大するので、ファイバブラッ格子3は歪みを受ける。もちろん、90度回転させられた構造を有し、回転楕円体4の長軸が光ファイバ1の長手方向に対して垂直に向けられた、へん長回だ円体を形成した、スタッドエレメントを使用することも可能である。この場合、ロールカバー6が加圧された時、ファイバの格子セクション3は延長されるのではなく、収縮させられる。
図3に示されたスタッドエレメント4の回転楕円体形状は、使用することができる多くの可能な形状のうちの1つでしかない。図4に示されたスタッドエレメント4の非圧縮性弾性内側部材4aは、円筒状であり、対面したそれぞれの基底部を有する、2つの円錐形の圧縮性の外側部材4bの間に挟持されている。このジオメトリは、周縁における内側部材4aの変形を最小限にし、ファイバ1への結合部において変形を最大化する。多くの場合、円錐台形の外側部材4bを用いることによって所望の機能は既に十分に達成される。図5は、圧力変化を、ファイバブラッグ格子3に誘発されたひずみの変化に非線形に変換する、スタッドエレメントのジオメトリの例を示している。図5に記載のスタッドエレメント4を備えたファイバブラッグセンサ10がロールカバー6に埋設されている場合、ファイバ1の測定セクション3に課せられるひずみを計算する場合に2つの変形特性が考慮されなければならない。この2つの変形特性とは、2つのトロイド状サイド構造の間のピッチの変化と、ファイバ1の周囲の中央部分の延長又は圧縮とである。低い圧力場合は、トロイド状セクションは主に側方へ押し付けられ、より高い圧力場合は、内側スタッドエレメント4aはファイバ1の近くの領域において伸長される。
スタッドエレメント4が弾性で非圧縮性の材料から形成された、図2に示された実施の態様によるファイバブラッグセンサ10をロールカバー6に埋設する場合、埋設は、好適には、図6に示されたように行われる。スタッドエレメント4は、埋設する材料6、特にロールカバー6に形成されたキャビティ5内に配置されており、スタッドエレメント4は、キャビティ5の2つの反対の側に接触している。埋設材料6が加圧されると、圧力は接触面を介してスタッドエレメント4に伝達され、ファイバ1の近くにおけるスタッドエレメント4の円周が増大してファイバブラッグ格子3にひずみを生じさせるように、スタッドエレメント4を変形させる。
ロールカバー6内に存在する圧力の絶対値ではなく、圧力の個々のダイナミックスが関係する場合、図7の構成が、非圧縮性の弾性材料から形成されたスタッドエレメント4とともに使用されてよい。静的な圧力が、ロールカバーのニップセクション内の等方性分布を有するので、圧力波面はスタッドエレメント4の測定可能な変形のみを生じる。上述のような埋設された測定セクションを、上述のような他のものと組み合わせることにより、圧力ダイナミックスと、ニップ内のニップ圧力分布とに関連して、ロールカバー6のニップセクションに存在する圧力分布の監視が可能になる。
2つ以上のブラッグ格子3を備えた光ファイバセンサ10が使用される場合、ブラッグ格子3は、好適には、個々の格子スペースが互いに異なる。従って、測定信号の波長範囲は、信号が発生させられた格子3の識別を許容する。ブラッグ格子3において反射された光の波長は、このブラッグ格子に存在する歪みに応じて変化するので、1つのブラッグ格子3と別のブラッグ格子3との格子スペースの変化は、格子における許容可能な最大ひずみによって生ぜしめられる、より高い波長シフトを生じなければならない。
スタッドエレメント4は、必ずしもファイバセンサ10のブラッグ格子セクションに直接に配置されず、各ブラッグ格子の側方に1対の圧力変換スタッドエレメント4が位置するように、間接的に配置される。従って、ファイバ領域におけるスタッドエレメント4の延長は、上述の同じ物理的効果とともに、スタッドエレメント4の各対の間に配置されたブラッグ格子の圧縮を生じる。
図9は、上又は下で説明される実施の形態の内の1つによる2つのファイバブラッグセンサ10を用いる光ファイバ測定システム100の概略図を示している。図示されたそれぞれのファイバ1は、楕円4によって示された4つの測定セクションのみを備えているが、ファイバ1に設けられる測定セクションの数及び使用されるファイバ1の合計数は、与えられた測定目的に従って決定され、例示された実施の形態に限定されない。
図9の上側部分は、光ファイバ測定システム100の原理的な構成を示しており、図9の下側部分は、システム100において使用されるスペクトルセンサ105の概略図を示している。
例えばスーパールミネセント発光ダイオード(SLED)等の広帯域光源104は、所定の波長範囲、例えば約800nm〜約858nmの範囲の光を発光する。光は、光ファイバ出力部101と、後続の光ファイバカップラ103とを介して、ロールカバー材料6内に埋設された1つ又は2つ以上の光ファイバセンサ10によって形成された光ファイバセンサ配列に伝播される。光センサ10は、好適には、ブラッグ格子3が刻まれたシングルモード光ファイバ導波路1によって形成されており、スタッドエレメント4が、ブラッグ格子3を提供するそれぞれのファイバセクションに結合されている。測定セクションの平均的な格子スペースは、波長多重式測定を可能にするために、互いに異なっている。
1つのファイバ1内の測定セクションの数を増加させるために、ブラッグ格子3は、例えば図1cに示されているようにグループ12に集合させられている。グループ12において、それぞれのブラッグ格子3のために、異なる格子スペースが用いられている。異なるグループ12において、等しい格子スペースが用いられている。ブラッグ格子3を含まない光ファイバセクション11は、グループを互いに分離している。セクション11は、光源及びスペクトルセンサ105に対するブラッグ格子3のグループの異なる距離に伴う異なる伝播時間によって、光測定信号の明確な識別を可能にするために、大きな長さを有している。それぞれの光ファイバセンサ10を用いる光ファイバ測定システム10は、波長多重及び時間多重組合せシステムと呼ばれる。格子3の2つのグループ12の間の光ファイバ1の長さは、グループの寸法に対して長くなければならないので、これらの中間セクション11は好適には、ピッチの小さな螺旋配列でロールカバー6に配置されているのに対し、ファイバ格子グループセクション12は好適には、多かれ少なかれロール軸線8に対して平行にロールカバー6の長さに沿って配置されている。
光ファイバセンサ10におけるブラッグ格子3の長さは、約2〜約10mmであり、約6mmのブラッグ格子3の平均長さが好適である。格子3の延長した長さにより、主軸線がファイバ軸線と同軸になった楕円形のスタッドエレメント4が使用されている。スタッドエレメント4と、スタッドエレメント4によって包囲されたブラッグ格子3とは、光ファイバセンサ10の個々の測定セクションを形成している。様々なブラッグ格子3において反射された光は、カップリング手段103において光ファイバセンサ10から出て、光ファイバ導波路102へ進入し、この光ファイバ導波路102は、光測定信号を波長に応じて電気信号に変換するためのスペクトルセンサとして働くポリクロメータ105に通じている。次いで、スペクトル情報を含む電気測定信号は、信号処理手段106へ伝送され、この信号処理手段106は、一部はポリクロメータ105の位置に、一部はポリクロメータから離れて配置されていてよい。離れた部分は、通常、光ファイバセンサ10を支持しているロール20には存在しないので、データは、好適には、無線リンクによって、信号処理手段106の2つ又はおそらく3つ以上の部分の間で交換される。
図9の下側部分は、スペクトルセンサとして使用されてよいポリクロメータ105の基本的構成を示している。光は、光ファイバ導波路102の末端に設けられたカップリングエレメント107の出口において進入開口108を介して装置に進入する。発せられた光ビーム111は、広がり、曲面を有する反射格子109を照明する。格子の曲率は、光ビーム111のそれぞれのスペクトル成分112,113を、例えば電荷結合素子(CCD)等の感光性手段110の異なる位置に集束させ、個々の発生位置に従って電気信号を出力する。
スペクトル検出手段105の近くに配置されたプロセシング手段106の部分から遠隔部へ伝達される測定データの量を減じるために、アンダーサンプリングが用いられる。アンダーサンプリングは、それぞれの測定信号から一度に一個又は数個のサンプルだけが取り出されることを意味する。サンプリングは、さらに信号が発生するたびに繰り返されるが、サンプリング位置は僅かにシフトされる。サンプリング速度(すなわちサンプリングが繰り返される周波数)と比較して、信号変化が極めて小さいとするならば、アンダーサンプリングされたデータから測定信号を十分な精度で復元することができる。
この場合、測定信号は、ニップセクションを通過するロールカバー6における圧力に関連している。例えばロール破裂等の特別な故障を除き、ニップにおける圧力分布は、極めてゆっくりとしか変化しない。従って、ロールカバー6に配置されたファイバブラッグセンサ10によって得られた測定信号は、ロール20のその後の回転の場合も同じ又はほとんと同じである。これは、ロールの一回転ごとに一回又は数回だけ、ただし一回の測定から次の測定へ僅かにシフトされた回転角で、圧力をサンプリングするための可能性を提供する。ポイントごとの測定は、圧力分布表示の精度を損なうことなく、測定速度の著しい減少を提供する。
光源104と、導波路101及び102と、カップラ103と、スペクトルセンサ105と、信号処理手段106のローカルモジュールとは、好適には図1a〜図1cに示されたようにロールカバーセンサ装置100を支持するロール20の側部に配置されたハウジング30内の凹所23に取り付けられているものとして上述されている。ハウジング30は好適にはロールコア21に取外し可能に取り付けられている。伴われる遠心力により、光源は、光をロール回転軸線8に対して半径方向に発光するように向けられている。従って、光源の発光領域とファイバ101との間の距離は、ロール20の回転速度に関連してのみ変化し、光源104に対する光ファイバ101の横方向調節に関しては変化せず、これにより、光ファイバ導波路への光の確実なカップリングを保証する。
ポリクロメータ105は、好適には、ロール20の回転に対して接線方向に延びた平面に取り付けられており、光学系の全ての構成要素が実質的におねじ力に曝される。光学構成要素はこれにより拡散する力にさらされないので、ポリクロメータ105の光学経路はロール回転によって影響されない。(回転中心から僅かにより大きな距離に配置されている)ポリクロメータのベースプレートのエッジに近い、場合によっては存在する拡散力ベクトルは、ベースプレートと、ベースプレートの中央領域において僅かに薄く又は柔軟に形成された回転するハウジングとの下方に配置された干渉材料を用いることによって、補償される。
光ファイバ測定システム100の異なる実施の形態において、ファイバブラッグ格子センサ10は、横方向の力を変換するためのスタッドエレメント4を備えずに用いられる。個々に変更された光ファイバ測定システム100が図10に示されている。ブラッグ格子3を有するファイバ1は、蛇行した配列でロールカバー6に埋設されており、横方向のたわみは、ロールの半径方向、すなわち回転軸線8に対して垂直に向けられる。格子3は、配列の2つの局所的末端の間に配置されている。従って、それぞれのブラッグ格子3の長手方向軸線は、ロールカバー6の半径方向に向けられた成分を有しており、ひいては2つの協働するロール20のニップセクションにおけるロールカバー変形の半径方向成分を測定するように適応されている。蛇行した埋設は、ロールカバー6が複数の層から製造されている場合には容易に形成することができる。まず、ロールコア21のシェル上に直接に支持される内側層が形成される。第2の層は、点線状の線に沿って配置された一連の穴を有している。次いで、ブラッグファイバ1が、線に沿って設けられた穴に引き通され、所望の蛇行した構成を提供する。ファイバ1を支持するこの中央層は次いで内側ロールカバー層上に被せられ、別の又は最後の層で被覆される。図10に示された実施の形態とは異なり、蛇行した撓みの一部は、接線方向の力を測定するためにロール20に対して接線方向に向けられてよい。
あいにく、ブラッグ格子3の格子スペースは、ひずみだけでなく、温度変化をも受ける。ロールカバー6における温度変化を保証するために、図9に示された2つのファイバ光センサ10のうちの1つは、好適には、スタッドエレメント4が取り付けられていないブラッグ格子ファイバ1によって形成されており、ファイバ1は、ロール軸線に対して平行に、ロールカバー6の長さに沿って配置されている。従ってこのファイバ1の格子スペースはロールカバー変形によって影響されないので、格子スペースは温度変化だけに感応する。上述の光ファイバセンサ10のうちの1つから得られた測定信号を、このセンサファイバ1から得られた基準測定信号と比較することにより、測定信号の温度補償が行われる。
異なる手段において、温度補償は、ロールカバー6内の温度条件がロール20の一回転中に変化しないという仮定のもとに行うことができる。特にニップにおける圧力極値のピーク高さは、唯一の測定対象であり、温度監視は、温度基準信号としての、瞬間的なニップセクションの外部に配置されたブラッグ格子3からの測定信号を用いて達成することができる。