JP2012503206A - Mycobacteriumtuberculosis感染を検出するための方法 - Google Patents

Mycobacteriumtuberculosis感染を検出するための方法 Download PDF

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デービッド エム. レウィンソン,
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ザ ガバメント オブ ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ ディー. ビー. エー. ザ デパートメント オブ ベテランズ アフェアーズ
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Abstract

被験体においてMycobacterium tuberculosis(Mtb)感染を検出するための方法を開示し、被験体は、小児、潜伏性Mycobacterium tuberculosis感染症に罹患している被験体である。また、本方法は、被験体における肺外Mycobacterium tuberculosis感染の検出も開示する。本方法には、Mtbポリペプチドを特異的に認識するCD8T細胞の存在を検出することが含まれる。本方法には、生物学的試料中のCD8T細胞の存在を検出するためのin vitroアッセイが含まれる。

Description

優先権主張
これは、2008年9月28日に出願された米国仮出願第61/099,162号(これは、参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。
政府の支援についての声明
この発明は、National Institutes of Heathからの助成金第AI054474号および同第AI070022号に従った米国政府の支援によってなされた。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。本発明はまた、the Department of Veterans Affairsからの支援によってもなされている。
分野
本出願は診断分野に関し、具体的には、被験体、特に小児においてMycobacterium tuberculsosis(Mtb)感染を検出するための方法および/または潜在性感染を診断する方法に関する。
関連する主題
この出願は、2006年3月14日に出願された米国仮出願第60/782,364号、および2007年3月14日に出願されたPCT出願第PCT/US2007/006534号(これらは、両方とも参考として本明細書に援用される)の主題に関連する。
背景
Mycobacteriaとは、宿主に感染した際に単球およびマクロファージのエンドソーム区画内で生存する、好気性の細胞内細菌生物の属である。ヒトのマイコバクテリア病には、結核(M.tuberculosisによって引き起こされる)、らい病(M.lepraeによって引き起こされる)、ベアンズデイル潰瘍(M.ulceransによって引き起こされる)、ならびにM.marinum、M.kansasii、M.scrofulaceum、M.szulgai、M.xenopi、M.fortuitum、M.chelonei、M.haemophilumおよびM.intracellulareによって引き起こされる様々な感染症が含まれる(Wolinsky, E.、第37章、Microbiology: Including Immunology and Molecular Genetics、第3版、Harper & Row、Philadelphia、1980年を参照)。
世界人口の3分の1がM.tuberculosisを保有しており、結核(TB)を発生する危険性にある。幼児は結核(TB)を発生する負荷を不釣合いに負っている。一旦感染すると、小児は成人よりもTBに対する感受性があるだけでなく、疾患の重篤な型を発生する可能性も高い。具体的には、感染後、90%を超える免疫適格な成人は無症候性の潜伏性TB感染症(LTBI)を確立し、5〜10%の疾患再活性化の生涯リスクを有する。一方、幼い乳児の大多数では、原発性Mtb感染症は活動性TBへと進行し、その後、活動性TBに罹患している者のうちの相当な割合で、疾患はより重篤な型(例えば粟粒TB)へと進行する。TBに対する感受性の増加に加え、進行性原発性感染症に罹患している小児は成人の肺再活性化疾患で一般的に見られる陽性の痰抗酸菌スメアを提示することがほとんどないことによって、小児における迅速な診断は複雑となる。疾患の進行は診断遅延の期間中に起こるため、初期検出が重要である。
免疫無防備状態の患者では、結核はほぼ対数的な速度で増加しており、多剤耐性株が出現している。さらに、以前は非病原性株とみなされていたマイコバクテリア株(例えばM.avium)は、現在では免疫抑制されたAIDS患者の主要な死亡要因となっている。さらに、現在のマイコバクテリアワクチンは不十分であるか(M.tuberculosis用のBCGワクチンなど)、または提供されていない(M.leprae用など)(非特許文献1、U.S. Congress、Office of Technology Assessment、The Continuing Challenge of Tuberculosis、62〜67頁、OTA−H−574、U.S. Government Printing Office、Washington, D.C.、1993年)。
結核の伝播の阻害は、有効なワクチン接種および疾患の正確な初期診断を必要とする。現在、生細菌を用いたワクチン接種が保護免疫を誘導するための最も効率的な方法である。この目的のために用いられている最も一般的なMycobacteriumは、Mycobacterium bovisの非病原性株であるカルメット−ゲラン菌(BCG)である。しかし、BCGの安全性および有効性には議論の余地があり、米国などの一部の国では一般大衆にワクチン接種をしない。
Kaufmann,S.、Microbiol. Sci.(1987年)4巻:324〜328頁
結核の診断は、ツベルクリンPPD(精製タンパク質誘導体)への皮内曝露を含む皮膚試験を用いて一般的に達成する。抗原特異的T細胞応答が注射後の48〜72時間までに注射部位で測定可能な硬結をもたらし、これはマイコバクテリア抗原への曝露を示す。しかし、この試験の感度および特異性は理想的ではなく、BCGをワクチン接種した個体を感染した個体から区別することができない。さらに、これは小児またはLTBIの診断に特に有効というわけではない。したがって、当分野では、結核検出するため、特にLTBIを検出するため、および小児においてTB感染症を診断するための、改善された診断方法の必要性が存在する。
概要
Mycobacterium tuberculosis(Mtb)感染を診断する方法を本明細書中に開示する。一部の実施形態では、本方法は、潜伏性結核感染症(LTBI)を検出するおよび/または小児においてMtb感染を検出するために有用である。さらなる実施形態では、本方法は肺外感染症を検出するために有用である。本方法には、目的のMtbポリペプチドに特異的に応答するCD8T細胞を単離することおよびCD8+T細胞を検出することが含まれる。本方法には、それだけには限定されないがインターフェロン(IFN)−γなどのサイトカインの発現の検出が含まれることができる。一部の実施形態では、本方法は、それだけには限定されないが小児において結核疾患を検出することなどにESAT−6および/またはCFP−10ポリペプチドを利用する。
いくつかの実施形態では、被験体においてMycobacterium tuberculosisを検出するための方法を提供する。これらの方法は、肺結核疾患および/または肺外結核疾患を含めた結核疾患を検出するために使用することができる。これらの方法には、CD8T細胞などのT細胞を含む被験体からの生物学的試料を、1つもしくは複数のMycobacteriumポリペプチド、または1つもしくは複数のMycobacteriumポリペプチドを提示している抗原提示細胞と接触させることが含まれる。1つまたは複数のMycobacteriumポリペプチドには、ESAT9およびCFP10、またはその抗原性エピトープが含まれることができる。また、1つまたは複数のMycobacteriumポリペプチドには、(a)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号39もしくは配列番号61として記載したアミノ酸配列のうちの1つ、または(b)主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスIと特異的に結合する、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号39もしくは配列番号61として記載したアミノ酸配列のうちの少なくとも1つの少なくとも9〜20個の連続したアミノ酸、または配列番号39〜83として記載したアミノ酸配列のうちの1つとして記載したアミノ酸配列が含まれることもできる。T細胞がMycobacteriumポリペプチドを特異的に認識するかどうかを決定する。
さらなる実施形態では、本方法には、被験体に有効量のMycobacteriumポリペプチドを皮膚内に、皮下または皮内で投与することも含まれる。Mycobacteriumポリペプチドは、ESAT6もしくはCFP10、またはその抗原性エピトープであることができる。Mycobacteriumポリペプチドには、(a)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号31もしくは配列番号61として記載したアミノ酸配列のうちの1つ、または(b)主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスIと特異的に結合する、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号39もしくは配列番号61として記載したアミノ酸配列のうちの少なくとも1つの少なくとも9〜20個の連続したアミノ酸、または配列番号39〜83として記載したアミノ酸配列のうちの1つとして記載したアミノ酸配列が含まれる。Mycobacteriumポリペプチドを特異的に認識するT細胞の存在を被験体において検出する。
また、本方法には、被験体において遅延型の過敏性反応を検出することが含まれることができ、かつ/または特異的なMtbポリペプチドおよびポリヌクレオチドを検出することが含まれることができる。開示したアッセイは個々にまたは組み合わせて使用することができる。Mycobacterium tuberculosis感染は潜伏性または活動性の感染症であることができる。
さらに、被験体においてMycobacterium感染を検出するための試薬およびキットを記載する。
前述および他の特長および利点は、添付の図面を参照して進行する以下のいくつかの実施形態の詳細な説明から、より明白にあるであろう。
図1は、IFN−γ ELISPOTアッセイを用いた、ex vivoのヒトエフェクター細胞頻度の決定を示す2つのグラフである。IFN−γ ELISPOTアッセイにおいて、磁気ビーズで精製したCD8T細胞を、Mtbに感染させた(H37Rv、MOI=50)またはCFP10を表すペプチドプールでパルスした(5μg/mlのそれぞれのペプチド、15mer、11個のアミノ酸が重複)のどちらかのDC(20,000個/ウェル)と共に培養した。それぞれの応答するT細胞集団を2つ組の4つの異なる細胞濃度で試験した。抗原特異的T細胞のエフェクター細胞頻度を決定するために、それぞれの2つ組について、ウェルあたりのスポットの平均数をウェルあたりの応答細胞の数に対してプロットした。直線回帰分析を用いて直線の傾きを決定し、これは抗原特異的T細胞の頻度を表す。スポット数の二項式確率が実験および対照のアッセイで有意に異なる場合にアッセイを陽性とみなした(刺激されたT細胞応答の存在を反映)。 図2は、Mtb感染に関連するMtb抗原に対するex vivoのCD8T細胞頻度を示すグラフの組である。上述のように(図1参照)、ex vivoのCD8T細胞頻度を決定するためには、IFN−γ ELISPOTアッセイにおいてMtbに感染させたまたは同族ペプチドプールでパルスした自己DCをCD8T細胞と共にインキュベーションした。Mtb感染の証拠がない被験体、LTBIに罹患している被験体、および活動性TBに罹患している被験体(培養物により肺結核が確認)を評価した。「Mtb感染」にはLTBIおよび活動性結核に罹患している者が含まれる。P=<0.05の場合にP値を示す(ウィルコクソン/クラスカル−ワリス)。 図3a〜3dは、抗原性特異性およびHLA制限の定義を示すデジタル画像の組である(T細胞クローンD466 D6の特徴付け)。図3a〜3cに示す結果では、T細胞クローンD466 D6によって認識される抗原および最小エピトープを同定するために、T細胞(5000個の細胞/ウェル)を自己LCL(20,000個/ウェル)および5μg/mlの抗原と共にインキュベーションした。18時間の同時培養後にIFN−γをELISPOTによって評価した。図3aに提示する結果では、抗原は、11個のアミノ酸(aa)が重複する15個のアミノ酸のペプチドから構成される公知のCD4抗原を表すペプチドプールからなっていた。図3bに提示する結果では、抗原は、一緒になってペプチドプールを構成する個々の15個のアミノ酸のCFP10ペプチドからなっていた。図3cに提示する結果では、抗原は、エピトープをさらにマッピングするために使用した、個々の入れ子状のCFP101〜15ペプチド(10個のアミノ酸、9個のアミノ酸または8個のアミノ酸)からなっていた。図3dに提示する結果では、1つまたは2つの対立遺伝子でD466に一致するHLA対立遺伝子を発現する、CFP102〜10(5μg/ml)でパルスしたLCL(20,000個/ウェル)をAPCとして使用して、制限対立遺伝子を同定した。2時間後、細胞を洗浄し、IFN−γ ELISPOTアッセイにおいてT細胞(500個の細胞/ウェル)と共にインキュベーションした。 図4は、D466 D6の最小エピトープマッピングの確認を示す線グラフである。最小エピトープを確認するため、自己LCL(20,000個/ウェル)を示した濃度のペプチドでパルスし、T細胞(1000個の細胞/ウェル)と共に同時培養した。18時間の同時培養後にIFN−γをELISPOTによって評価した。それぞれの点は2つ組の決定の平均を表す。 図5は、CFP10の免疫優性パターンのプロファイリングを示す棒グラフの組である。エフェクター細胞頻度を決定するために、自己DC(20,000個/ウェル)を、それぞれの個々の15merペプチド(5μg/ml)、ペプチドプール(PP、5μg/それぞれのペプチド)またはそれぞれのドナー(D466:CFP102〜11、D480:CFP103〜11、D481:CFP1075〜83、5μg/ml)に由来するT細胞クローンから決定した最小エピトープ(ME)でパルスし、250,000個の磁気ビーズで精製したCD8T細胞に対して試験した。18時間の同時培養後にIFN−γの放出をELISPOTによって評価した。それぞれの点は2つ組の決定の平均を表す。 図6は、最小エピトープのマッピングデータを要約するグラフの組である。最小エピトープを決定するために、自己LCL(20,000個/ウェル)を示した濃度のペプチドでパルスし、T細胞(1000個の細胞/ウェル)と共に同時培養した。18時間の同時培養後にIFN−γをELISPOTによって評価した。それぞれの点は2つ組の決定の平均を表す。 図7は、D504クローンの最小エピトープのマッピングを示す線グラフである。最小エピトープを決定するために、自己LCL(20,000個/ウェル)をT細胞クローン(1,000個の細胞/ウェル)および示した濃度のペプチドと共に同時培養した。18時間の同時培養後にIFN−γをELISPOTによって評価した。それぞれの点は2つ組の決定の平均を表す。 図8は、胸腔内(IT)TBと比較した肺外(EP)TBに罹患しているウガンダ人小児におけるMtbに特異的なCD8+T細胞応答を示すグラフである。10歳以下のウガンダ人小児において、インターフェロン(IFN)−γ特異的ELISPOTを用い、ESAT−6およびCFP−10ペプチドを抗原源として用いてMtb特異的CD8+T細胞応答を測定した。小児はEP(n=35)またはITのTB(n=43)のいずれかに罹患していた。TBコホートは主に瘰癧(scofula)からなっていた(30/35人[86%])。結果は250,000個のCD4/CD56枯渇末梢血単核細胞(PBMC)あたりのスポット形成単位(SFU)として示す。決定は2つ組で行い、肯定応答は標準偏差が培地対照を2点超えるものとして定義した。 図9は、登録、被験体排除、ならびに実施および分析したELISPOTを示す流れ図である。はHE対CPのTBの分析中に含まれる年齢群である。 図10は、15歳までの接触させた健康な曝露した小児の、年齢層にわたるCD8およびCD4のELISPOT応答の比較を示すグラフである。バックグラウンドを超えるスポット形成単位を250,000個のT細胞あたりで示す。最初の登録数を図9aに示す。コクランアーミテージの傾向試験を行い、CD8 ELISPOTではp=0.055であり、PBMC ELISPOTではp=0.2であった。 図11aは、臨床研究群によって重層化した10歳以下のウガンダ人小児における陽性ELISPOTアッセイの一部を示すグラフである。CD8およびPBMCのT細胞応答をHEおよび確認されたTB(C−TB)部分群について示す。CD8アッセイでは、C−TBに罹患している小児は陽性アッセイを有する可能性が有意に高かった(p=0.001)[C−TBの58%(CI 0.37〜0.77)と比較してHE小児の20%(CI 0.09〜0.34)]。また、この発見はCP−TBをHEと比較した際にも注目された。同様に、PBMCアッセイでは、陽性アッセイの割合はC−TB臨床的部分群でより高かった(p=0.02)[C−TBの65%(CI 0.42〜0.83)と比較してHE小児の37%(CI 0.24〜0.50)が陽性アッセイを有していた]。CD8アッセイとは異なり、CP−TBをHEと比較した際、陽性の割合はHEコホートと有意には異なっていなかった。図11bは、臨床研究群および年齢によって重層化した10歳以下のウガンダ人小児における陽性ELISPOTアッセイの割合のグラフである。5歳以下の小児におけるCD8アッセイでは、確認されたTBに罹患している小児は、HEと比較して陽性CD8 ELISPOTを有する可能性が高かった(p=0.009)[C−TBの47%(CI 0.24〜0.71)と比較してHE小児の12%(CI 0.03〜0.31)]。同様に、CP−TBコホートをHEと比較した際、CP−TBが有意に高い割合の陽性CD8アッセイを有していた。5歳以下の小児におけるPBMCアッセイと比較することによって、陽性アッセイは臨床研究群と関連しておらず[HE小児の37%(CI 0.21〜0.55)の一方でC−TBの56%(CI 0.30〜0.78)]、これは比較にC−TBまたはCP−TBを使用したかにかかわらず事実であった。5歳を超える小児では数が少なく、したがって、比較統計学は行わなかった。しかし、どちらのアッセイでもC−TPに罹患している小児が高い割合で同定された[5歳未満の小児のCD8アッセイでは、C−TBの86%(CI 0.0.42〜0.99)と比較してHEの30%(CI 0.11〜0.54)が陽性アッセイを有していた]。5歳未満の小児におけるCD4アッセイと比較することによって、HEの36%(CI 0.17〜0.59)の一方で、C−TBの100%(CI 0.47〜1.0)が陽性アッセイを有していた。 図12a〜12dは、5歳以下の小児(12A)および5歳を超える小児(12C)について、CD8 ELISPOTの結果を事前に決定したカットオフを超えるスポット形成単位(SFU)として示すグラフの組である。5歳以下および5歳を超える小児のPBMC ELISPOTの結果を(12B)および(12D)に示す。CP−TBまたはC−TBに罹患しているウガンダ人5歳以下の小児は、CD8 T細胞ELISPOTによって有意かつ頑強な応答を有していた一方で、健康な曝露した小児はこの応答を示さなかった(12A)。比較すると、HE接触ではPBMC ELISPOTによる測定可能な応答が存在し、この応答はCP−TBまたはC−TBに罹患している小児で規模に差異がなかった(12B)。事前に定義したカットオフを用いて分類的に分析した場合、TBが確認されたまたはその可能性がある5歳以下の小児は陽性CD8 ELISPOTを有する可能性がより高い一方で(p=0.01)、PBMC ELISPOTおよび臨床的部分群には分類上の関連が存在しなかった。5歳を超える小児では、CD8(n=7)およびPBMC(n=5)のC−TB群の小児が少数であったため規模および分類上の統計的比較を行わなかったが、説明目的のためにSFUを示す。5歳を超える年齢群では、HEをCP−TB群と比較すると、SFUの規模または分類上の分析による差異は存在しなかった(12Cおよび12D)。規模の統計的分析には2標本ウィルコクソン(wilxocon)順位和検定を利用し、分類上の分析にはカイ二乗分析を行った。
配列表
添付の配列表に記載する核酸およびアミノ酸配列は、米国特許法施行規則第1.822条に定義されているヌクレオチド塩基の標準の文字略記およびアミノ酸の3文字コードを用いて示す。それぞれの核酸配列の1本の鎖のみを示すが、示した鎖の任意の参照には相補鎖が含まれるとして理解される:
配列番号1〜12は、Mtbポリペプチドのアミノ酸配列である
配列番号13〜14は、Mtbペプチドのアミノ酸である
配列番号15〜25は、Mtbポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドの核酸配列である
配列番号26〜38は、特異的なMtbエピトープアミノ酸配列である
配列番号39〜83は、有用な特異的なCFP10およびESAT6 Mtbポリペプチドのアミノ酸配列である
配列番号84は、例示的なリンカーのアミノ酸配列である。
詳細な説明
被験体においてMycobacterium tuberculosis感染を検出するための方法を開示する。被験体は小児またはLTBIに罹患している被験体である。本方法には、Mycobacterium tuberculosis(Mtb)ポリペプチドを特異的に認識するT細胞、具体的にはCD8+T細胞の存在を検出することが含まれる。本方法には生物学的試料中の反応性CD8T細胞の存在を検出するためのin vitroアッセイが含まれ、また、遅延型の過敏性反応を検出するin vivoアッセイが含まれることもできる。これらの方法は、小児において肺結核疾患および肺外結核疾患を含めた結核疾患を検出するために有用である。また、これらの方法は、潜伏性結核感染症に罹患している成人において肺外結核疾患を検出するためにも有用である。
用語
別段に言及しない限りは、技術用語は慣用の使用法に従って使用する。分子生物学の一般的な用語の定義は、Benjamin Lewin、Genes V、Oxford University Press出版、1994年(ISBN 0−19−854287−9)、Kendrewら編、The Encyclopedia of Molecular Biology、Blackwell Science Ltd.出版、1994年(ISBN 0−632−02182−9)、およびRobert A. Meyers編、Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference、VCH Publishers, Inc.出版、1995年(ISBN 1−56081−569−8)中に見つけ得る。
本開示の様々な実施形態の検討を容易にするために、特定の用語の以下の説明を提供する。
アジュバント:抗原性を増強させるために使用するビヒクルである。アジュバントには、その上に抗原を吸着させる鉱物(ミョウバン、水酸化アルミニウム、もしくはホスフェート)の懸濁液、または抗原溶液を鉱物油(フロイント不完全アジュバント)中で乳化させ、場合によっては抗原性をさらに増強させるために(抗原の分解を阻害するおよび/もしくはマクロファージの流入を引き起こす)死滅したマイコバクテリアを包含させる(フロイント完全アジュバント)油中水乳濁液が含まれる。また、免疫賦活性オリゴヌクレオチド(CpGモチーフが含まれるものなど)もアジュバントとして使用することができる(例えば、米国特許第6,194,388号、米国特許第6,207,646号、米国特許第6,214,806号、米国特許第6,218,371号、米国特許第6,239,116号、米国特許第6,339,068号、米国特許第6,406,705号、および米国特許第6,429,199号を参照)。アジュバントには共刺激分子などの生体分子が含まれる(「生物学的アジュバント」)。例示的なアジュバントには、IL−2、RANTES、GM−CSF、TNF−α、IFN−γ、G−CSF、LFA−3、CD72、B7−1、B7−2、OX−40Lおよび41BBLが含まれる。
増幅:核酸分子(例えばDNAまたはRNA分子)の増幅とは、検体中の核酸分子のコピー数を増加させる技術の使用をいう。増幅の例はポリメラーゼ連鎖反応であり、被験体から収集した生物学的試料を、一対のオリゴヌクレオチドプライマーと、プライマーが試料中の核酸鋳型とハイブリダイズすることを可能にする条件下で接触させる。プライマーを適切な条件下で伸長させ、鋳型から解離させ、その後、再度アニーリングさせ、伸長させ、解離させて、核酸のコピー数を増幅する。増幅産物は、標準技術を用いた電気泳動、制限エンドヌクレアーゼ切断パターン、オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションもしくはライゲーション、および/または核酸配列決定によって特徴付けることができる。増幅の他の例には、米国特許第5,744,311号に開示されている鎖置換増幅、米国特許第6,033,881号に開示されている非転写等温増幅、WO90/01069号に開示されている修復連鎖反応増幅、EP−A−320 308号に開示されているリガーゼ連鎖反応増幅、米国特許第5,427,930号に記載されているギャップ充填リガーゼ連鎖反応増幅、および米国特許第6,025,134号に記載されているNASBA(商標)RNA非転写増幅が含まれる。
抗原:動物内に注射または吸収される組成物を含めた、動物において抗体の産生またはT細胞応答を刺激することができる化合物、組成物、または物質である。抗原は、異種免疫原によって誘導されたものを含めた、特定の液性または細胞性免疫の産物と反応する。用語「抗原」には全ての関連する抗原性エピトープが含まれる。「エピトープ」または「抗原決定基」とは、Bおよび/またはT細胞が応答する抗原上の部位をいう。一実施形態では、T細胞は、エピトープがMHC分子と併せて提示された場合にエピトープに応答する。エピトープは、タンパク質の三次折り畳みと並置されている連続的なアミノ酸または非連続的なアミノ酸のどちらからも形成されることができる。連続的なアミノ酸から形成されたエピトープは、典型的には変性溶媒に曝露した際に保持される一方で、三次折り畳みによって形成されたエピトープは、典型的には変性溶媒で処理した際に失われた。エピトープには、典型的には、固有の空間的コンホメーションの少なくとも3個、より通常では少なくとも5個、約9個、または約8〜10個のアミノ酸が含まれる。エピトープの空間的コンホメーションを決定する方法には、例えば、X線結晶構造解析および二次元核磁気共鳴が含まれる。
抗原は組織特異的抗原または疾患特異的抗原であることができる。組織特異的抗原は疾患特異的抗原でもあることができるため、これらの用語は排他的ではない。組織特異的抗原は、単一の組織などの限定された数の組織中で発現される。組織特異的抗原は、それだけには限定されないが前立腺および子宮組織の両方などの複数の生殖組織中で発現される抗原など、複数の組織によって発現され得る。疾患特異的抗原は疾患プロセスと同時に発現される。疾患特異的抗原の具体的な非限定的な例は、その発現が結核と相関するまたはそれに予測的である抗原である。疾患特異的抗原はT細胞またはB細胞によって認識される抗原であることができる。Mtb特異的抗原はMtbに特異的である。
抗体:免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性のある部分、すなわち、Mtbポリペプチドなどの抗原と特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含有する分子である。
天然に存在する抗体(例えば、IgG、IgM、IgD)には、ジスルフィド結合によって相互接続された4本のポリペプチド鎖、すなわち、2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖が含まれる。しかし、抗体の抗原結合機能は、天然に存在する抗体の断片によって行われる場合があることが示されている。したがって、これらの抗原結合断片も用語「抗体」によって指定されることを意図する。用語抗体内に包含される結合断片の具体的な非限定的な例には、(i)V、V、CおよびCH1ドメインからなるFab断片、(ii)VおよびCH1ドメインからなるF断片、(iii)抗体の単一のアームのVおよびVドメインからなるFv断片、(iv)1つのVドメインからなるdAb断片(Wardら、Nature、341巻:544〜546頁、1989年)、(v)単離した相補性決定領域(CDR)、ならびに(vi)ヒンジ領域でジスルフィド橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab’)断片が含まれる。
免疫グロブリンおよびその特定の変異体は公知であり、その多くが組換え細胞培養物中で調製されている(例えば、米国特許第4,745,055号、米国特許第4,444,487号、WO88/03565号、EP256,654号、EP120,694号、EP125,023号、Faoulknerら、Nature、298巻:286頁、1982年、Morrison、J. Immunol.、123巻:793頁、1979年、Morrisonら、Ann Rev. Immunol、2巻:239頁、1984年を参照)。
動物:生きた多細胞の脊椎動物の生物であり、例えば哺乳動物および鳥が含まれる分類である。用語哺乳動物にはヒトおよび非ヒト哺乳動物がどちらも含まれる。同様に、用語「被験体」にはヒトおよび獣医学的被験体がどちらも含まれる。「小児」とは約18歳未満のヒト被験体である。一部の実施形態では、「幼児」とは約1〜約5歳のヒト被験体である。「年長児」とは約6〜約12歳のヒト被験体である。「乳児」とは1歳未満のヒト被験体である。「ティーンエージャー」とは約13〜約18歳のヒト被験体である。「思春期前の被験体」は思春期を経験しておらず、一部の例では約11歳未満のヒト被験体である。
抗原提示細胞(APC):T細胞が活性化されるようにT細胞に抗原を提示することができる細胞である。樹状細胞とは一次免疫応答に関与している原理的な抗原提示細胞(APC)である。その主な機能は、組織中で抗原を得て、リンパ系器官へと遊走し、T細胞を活性化するために抗原を提示することである。
適切な成熟キューを受けた際、樹状細胞は、免疫応答の開始および発生を促進する迅速な形態学的および生理的な変化を受けるようにシグナルされる。これらには、とりわけ、抗原提示に関与する分子の上方制御、Th1応答発生に重要なIL−12を含めた炎症誘発性サイトカインの産生、ならびに周辺のナイーブTh細胞の分化、拡大、および遊走の駆動を支援するケモカインの分泌がある。総合すると、これらの上方制御された分子は、他の周辺リンパ球の活性化およびエフェクター機能を統合する樹状細胞の能力を促進し、最終的にはこれが宿主の保護をもたらす。
cDNA(相補的DNA):内部の非コードセグメント(イントロン)および転写を決定する調節配列を欠くDNA片である。cDNAは、細胞から抽出したメッセンジャーRNAからの逆転写によって実験室内で合成される。
CD4:MHCクラスII分子との相互作用を媒介するT細胞表面タンパク質である第4分化クラスター因子である。CD4はHIV感染中におけるT細胞上のHIVの一次受容体部位としても役割を果たす。CD4を発現する細胞は多くの場合ヘルパーT細胞である。
CD8:MHCクラスI分子との相互作用を媒介するT細胞表面タンパク質である第8分化クラスター因子である。CD8を発現する細胞は多くの場合細胞毒性があるT細胞である。「CD8+T細胞媒介性免疫」とは、抗原をCD8+T細胞に提示することによって実装される免疫応答である。
cDNA(相補的DNA):内部の非コードセグメント(イントロン)および転写を決定する調節配列を欠くDNA片である。cDNAは、細胞から抽出したメッセンジャーRNAからの逆転写によって実験室内で合成される。
保存的変異体:「保存的」アミノ酸置換とは、Mycobacteriumポリペプチドの活性または抗原性に実質的に影響を与えないまたは減少させない置換である。保存的置換の具体的な非限定的な例には以下の例が含まれる。
また、用語保存的変異には、置換されたポリペプチドに対して産生させた抗体も置換されていないポリペプチドと免疫反応するか、またはMycobacterium抗原などの置換されていないポリペプチドに対する免疫応答に類似の免疫応答を置換されたポリペプチドに対して生じさせることができる限りは、置換されていない親アミノ酸の代わりに置換されたアミノ酸を使用することも含まれる。したがって、一実施形態では、非保存的置換とは活性または抗原性を低下させるものである。
から本質的になる/からなる:ポリペプチドに関して、追加のアミノ酸残基がまったく含まれない場合に、指定したアミノ酸配列から本質的になるポリペプチドをいう。しかし、ポリペプチドには、標識(例えば、蛍光、放射性、もしくは固体粒子標識)、糖または脂質などの追加の非ペプチド構成要素が含まれることができる。指定したアミノ酸配列からなるポリペプチドには追加のアミノ酸残基がまったく含まれず、また、脂質、糖または標識などの追加の非ペプチド構成要素も含まれない。
接触させる:1つの薬剤を別の薬剤の存在下でインキュベーションするプロセスである。したがって、細胞を1つの薬剤と接触させる場合、薬剤と細胞が相互作用するために十分な期間、細胞を薬剤とインキュベーションする。
共刺激分子:TCRとペプチド−MHCとの会合により1つのシグナルがT細胞へと送達されるが、このシグナル単独ではT細胞を活性化するために不十分な場合がある。共刺激分子とは、そのリガンドと結合した際にT細胞が活性化されるために必要な第2のシグナルを送達する分子である。T細胞上の周知の共刺激分子はCD28であり、これはB7−1(CD80としても知られる)またはB7−2(CD86としても公知)のいずれかと結合する。さらなる共刺激分子はB7−3である。やはりT細胞を活性化するための第2のシグナルを提供するアクセサリー分子には、細胞内接着分子(ICAM−1およびICAM−2)、白血球機能関連抗原(LFA−1、LFA−2およびLFA−3)が含まれる。インテグリンおよび腫瘍壊死因子(TNF)スーパーファミリーのメンバーも共刺激分子として役割を果たすことができる。
サイトカイン:リンパ球などの他の細胞の挙動に影響を与える細胞によって作製されるタンパク質である。一実施形態では、サイトカインはケモカイン、すなわち細胞輸送に影響を与える分子である。サイトカインの具体的な非限定的な例にはインターロイキン(IL−2、IL−4、IL−6、IL−10、IL−21など)、およびインターフェロン(IFN)−γが含まれる。
縮重変異体:遺伝暗号の結果として縮重している配列が含まれる、Mtbポリペプチドのエピトープをコードしているポリヌクレオチドである。20種の天然アミノ酸が存在し、そのほとんどが複数のコドンによって指定されている。したがって、ヌクレオチド配列によってコードされているMtbポリペプチドのアミノ酸配列が変化していない限りは、全ての縮重ヌクレオチド配列が本開示中に含まれる。
樹状細胞(DC):樹状細胞とは、一次免疫応答に関与する原理的な抗原提示細胞(APC)である。樹状細胞には形質細胞様樹状細胞および骨髄樹状細胞が含まれる。その主な機能は、組織中で抗原を得て、リンパ系器官へと遊走し、T細胞を活性化するために抗原を提示することである。未成熟の樹状細胞は骨髄中で生じ、未成熟細胞として末梢中に存在する。
診断的:それだけには限定されないが結核などの病理状態の存在または性質を同定することである。診断方法はその感度および特異性が異なる。診断的アッセイの「感度」とは、試験で陽性となる病気の個体のパーセンテージである(真陽性のパーセント)。診断的アッセイの「特異性」とは、1−偽陽性率であり、偽陽性率とは、試験で陽性となる疾患に罹患していない個体の割合として定義される。特定の診断方法は状態の決定的な診断を提供しない場合があるが、方法が診断を支援する陽性の指標を提供すれば十分である。「予後的」とは、結核などの病理状態の発生の確率(例えば重篤度)を予測することを意味する。
表示すること:ペプチド:抗原の複合体またはペプチドが第2の細胞、第2の細胞によって表示される分子、または可溶性因子に接近可能な、細胞の外表面上における、ペプチド:抗原の複合体、またはペプチドを局在化させるプロセスである。ペプチド、またはペプチド:抗原の複合体は、細胞の外表面上に存在し、かつ第2の細胞、第2の細胞によって表示される分子、または可溶性因子に接近可能な場合に、細胞によって「表示されている」。
エピトープ:抗原決定基である。これらは、抗原性である、すなわち特異的な免疫応答を誘発する、分子上の特定の化学基またはペプチド配列である。抗体はMycobacteriumポリペプチドなどのポリペプチド上の特定の抗原性エピトープと特異的に結合する。
発現制御配列:それが作動可能に連結している異種核酸配列の発現を調節する核酸配列である。発現制御配列は、発現制御配列が核酸配列の転写および必要に応じて翻訳を制御および調節する場合に、核酸配列に作動可能に連結している。したがって、発現制御配列には、適切なプロモーター、エンハンサー、転写ターミネーター、タンパク質をコードしている遺伝子の前の開始コドン(すなわちATG)、イントロンのスプライシングシグナル、mRNAの妥当な翻訳を可能にするその遺伝子の正しい読み枠の維持、およびストップコドンが含まれる場合がある。用語「制御配列」とは、最低でもその存在が発現に影響を与えることができる構成要素が含まれることを意図し、また、その存在が有利である追加の構成要素、例えばリーダー配列および融合パートナー配列も含まれることができる。発現制御配列にはプロモーターが含まれることができる。
プロモーターとは、転写を指示するために十分な最小限の配列である。また、プロモーター依存性の遺伝子発現を、細胞種特異性、組織特異性、または外部シグナルもしくは薬剤による誘導可能について制御可能にするために十分なプロモーターエレメントも含まれ、そのようなエレメントは遺伝子の5’または3’領域中に位置し得る。構成的および誘導性プロモーターがどちらも含まれる(例えばBitterら、Methods in Enzymology、153巻:516〜544頁、1987年を参照)。例えば、細菌系中でクローニングする場合、バクテリオファージラムダのpL、plac、ptrp、ptac(ptrp−lacハイブリッドプロモーター)などの誘導性プロモーターを使用し得る。一実施形態では、哺乳動物細胞系中でクローニングする場合、哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えばメタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルスに由来するプロモーター(例えば、レトロウイルス末端反復配列、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を使用することができる。組換えDNAまたは合成技術によって産生したプロモーターも核酸配列の転写を提供するために使用し得る。一実施形態では、プロモーターはサイトメガロウイルスプロモーターである。
分画:試料を、試料の構成要素をそれだけには限定されないが大きさ、電荷、溶解度、または組成などの物理的または化学的特性に基づいて分離する条件または手順に供することである。分画手順の例には、それだけには限定されないが、選択的沈殿、有機抽出、サイズ排除透析またはクロマトグラフィー、例えばイオン交換クロマトグラフィーが含まれる。一実施形態では、画分はMycobacteriumなどの生物の可溶性抽出物または有機抽出物である。
機能的に等価:本明細書中に記載のものと同じ結果をもたらす抗原のエピトープ中などの配列の変更である。そのような配列変更には、それだけには限定されないが、保存的置換、欠失、突然変異、フレームシフト、および挿入が含まれる場合がある。
異種:別の遺伝源または種に由来することである。Mtbポリペプチドに対して異種のポリペプチドは、Mtbポリペプチドをコードしない核酸に由来する。1つの具体的な非限定的な例では、Mtbポリペプチドからの9個の連続したアミノ酸、または最大でMtbポリペプチドからの20個の連続したアミノ酸、および異種アミノ酸配列を含むポリペプチドには、β−ガラクトシダーゼ、マルトース結合タンパク質、およびアルブミン、B型肝炎表面抗原、または免疫グロブリンのアミノ酸配列が含まれる。一般に、目的のタンパク質と特異的に結合する抗体は異種タンパク質とは特異的に結合しない。
宿主細胞:ベクターをその中で増殖させてそのDNAを発現させることができる細胞である。細胞は原核または真核であり得る。細胞はヒト細胞などの哺乳動物であることができる。また、この用語には目的の宿主細胞の任意の子孫も含まれる。複製中に起こる突然変異が存在し得るため、全ての子孫が親細胞と同一でない場合があることを理解されたい。しかし、用語「宿主細胞」を使用する場合にはそのような子孫が含まれる。
ヒト白血球抗原(HLA):ヒト主要組織適合遺伝子複合体(MHC)の遺伝子名である。個々の座位をHLA−Eなどのように大文字で指定し、対立遺伝子をHLA−A0201などのように数字で指定する。3つの主なMHCクラスI遺伝子はHLA−A、HLA−B、およびHLA−Cと呼ばれる。しかし、MHCクラスI遺伝子に関連する、β2ミクログロブリン関連細胞表面分子をコードしている遺伝子が多く存在する。これらの遺伝子の発現は組織分布および細胞上に発現される量がどちらも可変性であり、これらの遺伝子はMHCクラスIB遺伝子と呼ばれている。
免疫応答:B細胞、ナチュラルキラー細胞、またはT細胞などの免疫系細胞の、刺激に対する応答である。一実施形態では、応答は特定の抗原に特異的である(「抗原特異的応答」)。一実施形態では、免疫応答は、Th1、Th2、またはTh3応答などのT細胞応答である。別の実施形態では、免疫応答は抑制T細胞の応答である。
免疫原性ペプチド:ペプチドがMHC分子と結合して、CD8T細胞応答などのT細胞応答、または免疫原性ペプチドが由来する抗原に対するB細胞応答(抗体産生など)が誘導されるように、対立遺伝子に特異的なモチーフまたは他の配列を含むペプチドである。さらなる例では、免疫原性ペプチドはCD8T細胞からのサイトカインの産生を誘導する。
一実施形態では、免疫原性ペプチドは配列モチーフまたは当分野で公知のニューラルネットもしくは多項式決定などの他の方法を用いて同定する。典型的には、アルゴリズムを用いて、高い確率の特定の親和性での結合を与えるスコアを有し、かつ免疫原性となるものを選択するためのペプチド「結合閾値」を決定する。アルゴリズムは、特定の位置での特定のアミノ酸のMHC結合に対する効果、特定の位置での特定のアミノ酸の抗体結合に対する効果、またはモチーフ含有ペプチド中の特定の置換の結合に対する効果のいずれかに基づく。免疫原性ペプチドのコンテキスト内では、「保存された残基」とは、ペプチド中の特定の位置でランダム分布によって予測されるよりも有意に高い頻度で出現するものである。一実施形態では、保存された残基とは、MHC構造が免疫原性ペプチドとの接触点を提供し得るものである。
また、免疫原性ペプチドは、特異的なMHCタンパク質に対するその結合およびMHCタンパク質のコンテキスト中で提示された際にCD8T細胞を刺激するその能力を測定することによっても同定することができる。一例では、免疫原性「Mtbペプチド」とは、一般に9〜20個のアミノ酸の長さ、例えば約8〜11残基の長さのMtbタンパク質からの一連の連続的なアミノ酸残基である。9または10個のアミノ酸残基の長さ、または最大で12個のアミノ酸の長さの特異的な免疫原性ポリペプチドを本明細書中に開示する。
一般に、免疫原性Mtbポリペプチドは、被験体においてB細胞応答またはT細胞応答などの免疫応答を誘導するために使用することができる。一例では、免疫原性Mtbポリペプチドは、主要組織適合遺伝子複合体クラスI分子と結合した際に、Mtbに対する細胞毒性があるTリンパ球(CTL)などのCD8T細胞を活性化する。合成ペプチドを用いたCTLの誘導および当分野で公知のCTL細胞毒性アッセイには、本明細書中に参考として組み込まれている米国特許第5,662,907号を参照されたい。一例では、免疫原性ペプチドにはペプチドがMHC分子と結合して、免疫原性ペプチドが由来する抗原に対するCD8応答が誘導されるように、対立遺伝子に特異的なモチーフまたは他の配列が含まれる。Mtbポリペプチドを特異的に認識するCD8T細胞は、その特異的ポリペプチドに応答して活性化される、増殖する、および/またはサイトカインを分泌し、他の非関連のポリペプチドには応答しない。
免疫原性組成物:CD8T細胞応答などのMtbに対する測定可能なT応答を誘導する、または測定可能なB細胞応答(Mtbポリペプチドと特異的に結合する抗体の産生など)を誘導する、免疫原性Mtbポリペプチドまたは免疫原性Mtbポリペプチドをコードしている核酸を含む組成物である。in vitroの使用では、免疫原性組成物は、単離した核酸、核酸が含まれるベクター/または免疫原性ペプチドからなることができる。in vivoの使用では、免疫原性組成物は、典型的には、核酸、核酸が含まれるベクター、およびまたは免疫原性ポリペプチドを、薬学的に許容される担体および/または他の薬剤中で含む。免疫原性組成物には、アジュバント、共刺激分子、または共刺激分子をコードしている核酸が任意選択で含まれることができる。Mtbポリペプチド、またはポリペプチドをコードしている核酸は、CD8+T細胞応答を誘導するその能力について容易に試験することができる。
疾患の阻害または処置:結核などの疾患を阻害することとは、疾患の完全な発生を阻害することをいう。いくつかの例では、疾患を阻害することとは、結核の症状を軽減させることをいう。「処置」とは、結核などの疾患または疾患に関連する病的状態の兆候または症状を寛解させる治療介入をいう。
インターフェロンガンマ(γ):IFN−γとは、146個のアミノ酸のサブユニットを有する二量体タンパク質である。このタンパク質は2つの部位でグリコシル化されており、pIは8.3〜8.5である。IFN−γは23個のアミノ酸の分泌シグナル配列を含めた166個のアミノ酸の前駆タンパク質として合成される。生物活性のある20および25kDaのタンパク質の2つの分子形態が記載されている。これらはどちらも25位でグリコシル化されている。25kDaの形態は97位でもグリコシル化されている。分子質量および電荷に関して天然のIFN−γで観察される差異は、可変性グリコシル化パターンが原因である。非変性条件下で観察される40〜60kDaの形態はIFN−γの二量体および四量体である。ヒト遺伝子は約6kbの長さを有する。これは4つのエクソンを含有し、第12q24.1染色体にマッピングされる。
IFN−γは、IFN−γを産生する個々の細胞の検出を可能にするELSA試験などの感受性のある免疫アッセイによって検出することができる。微量のIFN−γは、Mxタンパク質などのIFNに誘導されるタンパク質を測定することによって間接的に検出することができる。また、IP−10の合成の誘導もIFN−γ濃度を測定するために使用されている。さらに、2D9細胞におけるインドールアミン2,3−ジオキシゲナーゼ活性の誘導を用いるアッセイなどのバイオアッセイを用いてIFN−γを検出することができる。IFN−γの産生を用いてT細胞の活性化を評価することができ、例えば、HLA−EによるT細胞の活性化によりMycobacterium抗原が提示された。
単離した:「単離した」核酸は、核酸が天然に存在する生物の細胞中の他の核酸配列、すなわち、他の染色体ならびに染色体外のDNAおよびRNAから実質的に分離または精製されて取り出されている。したがって、用語「単離した」には、標準の核酸精製方法によって精製した核酸が包含される。また、この用語には宿主細胞中の組換え発現によって調製した核酸および化学合成核酸も包含される。
標識:別の分子の検出を容易にするためにその分子と直接または間接的にコンジュゲートしている、検出可能な化合物または組成物である。標識の具体的な非限定的な例には、蛍光タグ、酵素連結、および放射性同位元素が含まれる。
リンカー配列:リンカー配列とは、2つのポリペプチドドメインを共有結合するアミノ酸配列である。リンカー配列は、連結されたポリペプチドドメインに回転の自由を提供し、それにより妥当なドメインの折り畳みおよびMHCへの提示を促進するために、本明細書中に開示したMtbエピトープの間に含めることができる。例として、2つのMtbドメインを含む組換えポリペプチド中で、リンカー配列をその間に提供することができ、例えばMtbポリペプチド−リンカー−Mtbポリペプチドを含むポリペプチドである。一般に2〜25個のアミノ酸の長さであるリンカー配列、は当分野で周知であり、それだけには限定されないが、Chaudharyら、Nature、339巻:394〜397頁、1989年によって記載されているグリシン(4)−セリンスペーサー(GGGGS(配列番号84)×3)が含まれる。
リンパ球:身体の免疫防御に関与している白血球の一種である。2つの主なリンパ球種、すなわちB細胞およびT細胞が存在する。
哺乳動物:この用語にはヒトおよび非ヒト哺乳動物がどちらも含まれる。同様に、用語「患者」または「被験体」にはヒトおよび獣医学的被験体がどちらも含まれる。
マイコバクテリア:好気性の細胞内細菌生物の属。宿主を侵襲する際、これらの生物は単球およびマクロファージのエンドソーム区画内で生存する。ヒトのマイコバクテリア病には、結核(M.tuberculosisによって引き起こされる)、らい病(M.lepraeによって引き起こされる)、ベアンズデイル潰瘍(M.ulceransによって引き起こされる)、ならびにM.marinum、M.kansasii、M.scrofulaceum、M.szulgai、M.xenopi、M.fortuitum、M.haemophilum、M.chelonei、およびM.intracelluareによって引き起こされる場合がある他の感染症が含まれる。以前は非病原性であるとみなされていたMycobacterium株(M.aviumなど)は、現在では免疫抑制されたAIDS患者の主要な死亡要因であることが公知である。
マイコバクテリアに対する主な応答は細胞媒介性の過敏(DTH)反応を含み、T細胞およびマクロファージが細胞内の死滅および生物の囲い込み(または封じ込み)(肉芽腫形成)において主要な役割を果たす。主要なT細胞応答は、マイコバクテリア(myocbacterial)熱ショックタンパク質および免疫優性抗原を認識するCD4+リンパ球を含む。
作動可能に連結した:第1の核酸配列が第2の核酸配列と機能的な関係性で配置されている場合に、第1の核酸配列は第2の核酸配列に作動可能に連結している。例えば、プロモーターがコード配列の転写または発現をもたらす場合に、プロモーターはコード配列に作動可能に連結している。一般に、作動可能に連結したDNA配列は連続的であり、2つのタンパク質コード領域を合わせることが必要な場合は、オープンリーディングフレームを整列させる。
ORF(オープンリーディングフレーム):いかなる終止コドンも含まない、アミノ酸をコードしている一連のヌクレオチドトリプレット(コドン)である。これらの配列は、通常はポリペプチドへと翻訳可能である。
ペプチド修飾:Mycobacteriumポリペプチドには本明細書中に記載のペプチドの合成実施形態が含まれる。さらに、これらのタンパク質の類似体(非ペプチド有機分子)、誘導体(開示したペプチド配列から開始して得られた化学的に官能化されたペプチド分子)および変異体(相同体)を、本明細書中に記載の方法で利用することができる。本発明それぞれのポリペプチドは、L−および/またはD−アミノ酸、天然に存在するまたは他のもののいずれかであり得るアミノ酸の配列からなる。
ペプチドを様々な化学技術によって修飾して、未修飾のペプチドと本質的に同じ活性を有し、任意選択で他の望ましい特性を有する誘導体を生成し得る。例えば、タンパク質のカルボン酸基を、カルボキシル末端であれ側鎖であれ、薬学的に許容される陽イオンの塩の形態で提供するか、またはエステル化してC〜C16エステルを形成するか、または式NRのアミドへと変換するか[式中、RおよびRはそれぞれ独立してHもしくはC〜C16アルキルである]、または合わせて5もしくは6員環の複素環を形成し得る。ペプチドのアミノ基は、アミノ末端であれ側鎖であれ、HCl塩、HBr塩、酢酸塩、安息香酸塩、トルエンスルホン酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩および他の有機塩などの薬学的に許容される酸付加塩の形態であるか、またはC〜C16アルキルもしくはジアルキルアミノへとさらに修飾するか、またはアミドへとさらに変換し得る。
ペプチド側鎖のヒドロキシル基は、十分に認識されている技術を用いてC〜C16アルコキシまたはC〜C16エステルへと変換し得る。ペプチド側鎖のフェニルおよびフェノール環は、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素などの1つもしくは複数のハロゲン原子、C〜C16アルキル、C〜C16アルコキシ、カルボン酸およびそのエステル、またはそのようなカルボン酸のアミドで置換し得る。ペプチド側鎖のメチレン基は、相同的なC〜Cアルキレンへと伸長することができる。チオールは、アセトアミド基などのいくつかの十分に認識されている保護基のうちの任意の1つで保護することができる。また、当業者には、安定性の増強をもたらす、構造にコンホメーションの束縛を選択および提供するための環状構造を本発明のペプチド内に導入する方法が理解されるであろう。
ペプチド模倣体および有機模倣体の実施形態が想定され、そのようなペプチドおよび有機模倣体の化学構成成分の三次元配置はペプチド主鎖および構成要素アミノ酸側鎖の三次元配置を模倣して、免疫応答を生じる測定可能または増強された能力を有するMycobacteriumポリペプチドのペプチドおよび有機模倣体がもたらされる。コンピュータモデリング用途では、ファルマコフォアは、生物活性の構造的要件の理想化された三次元定義である。ペプチドおよび有機模倣体は、最新のコンピュータモデリングソフトウェア(コンピュータ支援薬物設計すなわちCADDを使用)を用いて、それぞれのファルマコフォアに当てはまるように設計することができる。CADDで使用する技術の説明には、Walters、「Computer−Assisted Modeling of Drugs」、KlegermanおよびGroves編、1993年、Pharmaceutical Biotechnology、Interpharm Press:Buffalo Grove, IL、165〜174頁およびPrinciples of Pharmacology、Munson編、1995年、第102章を参照されたい。また、そのような技術を用いて調製した模倣体も含まれる。
製薬または薬物:被験体に適切に投与した場合に所望の治療的または予防的効果を誘導することができる化学物質または組成物である。
薬学的に許容される担体:本明細書中に記載のポリペプチドおよび核酸で有用な薬学的に許容される担体は慣用のものである。Remington’s Pharmaceutical Sciences、E. W. Martin、Mack Publishing Co.、Easton, PA、第15版(1975年)は、本明細書中に開示した融合タンパク質の薬学的な送達に適した組成物および配合物を記載している。
一般に、担体の性質は用いる特定の投与様式に依存する。例えば、非経口配合物は、通常、水、生理食塩水、平衡塩類溶液、デキストロース水溶液、グリセロールなどの薬学的および生理的に許容される液体がビヒクルとして含まれる注射用の液体を含む。固体組成物(例えば、散剤、丸薬、錠剤、またはカプセルの形態)に関し、慣用の無毒性の固体担体には、例えば、製薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、またはステアリン酸マグネシウムが含まれることができる。生物学的に中性な担体に加えて、投与する医薬組成物は、湿潤剤または乳化剤、保存料、およびpH緩衝剤、例えば酢酸ナトリウムまたはモノラウリン酸ソルビタンなどの少量の無毒性の補助物質を含有することができる。
ポリヌクレオチド:100個を超えるヌクレオチドの長さの配列を含めた、直鎖状ヌクレオチド配列である。
ポリペプチド:長さまたは翻訳後修飾(例えばグリコシル化またはリン酸化)にかかわらず、任意のアミノ酸の鎖である。「ペプチド」とは100個未満のアミノ酸の長さであるアミノ酸の鎖である。一実施形態では、「ペプチド」は、ポリペプチドの一部分、例えば、100個を超えるアミノ酸の長さのポリペプチドの約10、20、30、40、50、または100個の連続的なアミノ酸である。
核酸配列の一部分:抗原をコードしている配列などの関連配列の少なくとも10、20、30または40個の連続的なヌクレオチドである。一部の例では、50個以上のヌクレオチドからなる一部分を使用することが有利である。例えば、抗原の一部分(抗原性エピトープなど)を説明する場合、少なくとも10、20、30、40または50個のヌクレオチド含む関連配列の一部分を一定の長さまで除去することが有利であり得る。
プローブおよびプライマー:核酸プローブおよびプライマーは、本発明によって提供される核酸に基づいて容易に調製し得る。プローブは、検出可能な標識またはレポーター分子と付着した単離した核酸を含む。典型的な標識には、放射性同位元素、リガンド、化学発光剤、および酵素が含まれる。標識方法および様々な目的に適した標識の選択の指導は、例えば、Sambrookら(1989年)およびAusubelら(1987年)に記述されている。
プライマーとは、短い核酸、好ましくは15個以上のヌクレオチドの長さのDNAオリゴヌクレオチドである。プライマーは、核酸ハイブリダイゼーションによって相補的な標的DNA鎖とアニーリングしてプライマーと標的DNA鎖との間のハイブリッドを形成し、その後、DNAポリメラーゼ酵素によって標的DNA鎖に沿って伸長させ得る。プライマー対は、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または当分野で公知の他の核酸酸増幅方法による核酸配列の増幅に使用することができる。
プローブおよびプライマーを調製および使用する方法は、例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、第1〜3巻、Sambrookら編、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor, NY、1989年およびCurrent Protocols in Molecular Biology、Ausubelら編、Greene PublishingおよびWiley−Interscience、New York、1987年(定期的に改訂される)に記載されている。PCRプライマー対は、公知の配列から、例えばPrimer(バージョン0.5(著作権)、1991年、Whitehead Institute for Biomedical Research、Cambridge,MA)などのその目的に意図されるコンピュータプログラムを用いることによって、誘導することができる。
疾患の予防または処置:疾患を「予防すること」とは、例えばM.tuberculosisまたはM.lepraeの感染の危険性にあることが公知である人において、疾患の完全な発生を阻害することをいう。公知の素因を有する人の例は、結核を診断された人と同居している人、保健医療従事者、もしくは家族内の人、またはM.tuberculosisに曝露された人である。「活動性の感染症を予防すること」とは、潜在性感染が結核へと変換することを予防することをいう。
「処置」とは、結核などの疾患または病的状態の兆候または症状を、それが発生し始めた後に寛解させる治療介入をいう。
プロモーター:プロモーターとは、核酸の転写を指示する核酸制御配列のアレイである。プロモーターには、転写の開始部位付近に、II型ポリメラーゼプロモーターの場合はTATAエレメントなどの必要な核酸配列が含まれる。また、プロモーターには、転写の開始部位数千個の塩基対も離れて位置することができる遠位のエンハンサーまたはリプレッサーエレメントも任意選択で含まれる。プロモーターは構成的または誘導性プロモーターであることができる。プロモーターの具体的な非限定的な例はHCMV IEプロモーターである。
精製した:用語「精製した」は、絶対的な純度を必要とせず、むしろ、これは相対的な用語として意図する。したがって、例えば精製した抗原調製物とは、抗原が、それが由来する細胞内環境中のタンパク質よりも純粋であるものである。典型的には、抗原の調製物は、抗原が調製物の全タンパク質含有量の少なくとも50%を表すように精製する。しかし、特定の用途にはより高度に精製した調製物が必要であり得る。例えば、そのような用途には、抗原が全タンパク質含有量の少なくとも75%または少なくとも90%を構成する調製物を用い得る。一部の例では、精製した抗原は全タンパク質含有量の少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%である。
組換え:組換え核酸またはポリペプチドとは、天然に存在しない配列を有する、または2つ以上のそうでなければ分離されている配列セグメントの人工的な組合せによって作製された配列を有するものである。この人工的な組合せは、多くの場合、化学合成によって、またはより一般的には単離した核酸のセグメントの人工的な操作によって、例えば遺伝子工学技術によって達成する。
配列同一性:アミノ酸配列間の類似度は配列間の類似度に関して表し、配列同一性とも呼ばれる。配列同一性はしばしば同一性(または類似度もしくは相同性)のパーセンテージに関して測定し、パーセンテージが高ければ高いほど2つの配列はより似ている。抗原ポリペプチドの変異体は、標準の方法を用いてアラインメントした場合に比較的高い度合の配列同一性を保有する。
比較のために配列をアラインメントする方法は当分野で周知である。Altschulら(1994年)は、配列アラインメント方法および相同性計算の詳細の考察を提示している。NCBI Basic Local Alignment Search Tool(BLAST)(Altschulら、1990年)は、配列解析プログラムblastp、blastn、blastx、tblastnおよびtblastxと連結して使用するために、National Center for Biotechnology Information(NCBI、Bethesda,MD)およびインターネット上を含めたいくつかの供給源から利用可能である。これはNCBIのウェブサイトでアクセスすることができる。このプログラムを用いてどのように配列同一性を決定するかの説明および初期設定パラメータはNCBIのウェブサイトから入手可能である。
Mycobacteriumポリペプチドなどの抗原ポリペプチドの変異体は、典型的には、初期設定パラメータに設定したNCBI Blast 2.0、ギャップ付きblastpを用いて、完全長アラインメントにわたって計数して、ネイティブ抗原配列のアミノ酸配列と少なくとも50%の配列同一性を保有することによって特徴付けられている。参照配列に対してさらに高い類似度を有するタンパク質は、この方法によって評価した場合に、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%の配列同一性などの増加するパーセンテージ同一性を示す。配列全体未満を配列同一性について比較する場合、変異体は、典型的には10〜20個のアミノ酸の短いウィンドウにわたって少なくとも75%の配列同一性を保有し、参照配列に対するその類似度に応じて少なくとも85%または少なくとも90%もしくは95%の配列同一性を保有し得る。そのような短いウィンドウにわたって配列同一性を決定する方法はNCBIのウェブサイトに記載されている。また、MHCドメインポリペプチドの変異体はネイティブポリペプチドの生物活性を保持する。本発明の目的のために、その活性は、以下に詳述するように、変異体ドメインを適切なβ1α1またはα1α2ポリペプチド中に取り込ませ、生じるポリペプチドが抗原特異的T細胞増殖をin vitroで阻害する脳力、またはT抑制細胞もしくはIL−10の発現を誘導する能力を決定することによって、好都合に評価する。
治療上活性のあるポリペプチド:臨床反応(例えば、免疫細胞の集団の増加、Mtbに対する細胞溶解活性の増加、または感染症の症状の測定可能な軽減)によって測定して、免疫応答の誘導を引き起こすMtbのエピトープなどの薬剤である。また、治療上活性のある分子は核酸から作製することもできる。核酸に基づく治療上活性のある分子の例はMtbエピトープをコードしている核酸配列であり、核酸配列はプロモーターなどの制御エレメントに作動可能に連結している。
一実施形態では、治療上有効な量のMtbポリペプチドとは、免疫応答を生じさせるために使用する量である。いくつかの例では、「処置」とは、結核の兆候または症状を寛解させる治療介入をいう。
治療上有効な用量:進行を防止する、もしくは疾患の回帰を引き起こすために十分な、または疾患によって引き起こされた症状を緩和させることができる用量である。一実施形態では、治療上有効な用量とは、結核の進行を予防するまたはその症状を緩和させるために十分な用量である。
形質導入および形質転換:ウイルスまたはベクターは、核酸を細胞内に移した際に細胞を「形質導入」する。細胞ゲノム内への核酸の取り込みまたはエピソーム複製のいずれかによってDNAが細胞によって安定に複製されるようになった際に、細胞は、細胞内に形質導入した核酸によって「形質転換」されている。本明細書中で使用する用語、形質転換には、ウイルスベクターを用いたトランスフェクション、プラスミドベクターを用いた形質転換、ならびに電気穿孔、リポフェクション、および粒子銃加速による裸DNAの導入を含めた、核酸分子をそのような細胞内に導入し得る全ての技術が包含される。
結核(TB)疾患:一般にMycobacterium tuberculosis感染によって引き起こされる疾患である。結核疾患には肺および肺外結核疾患が含まれる。結核疾患とはMtb感染から生じる症候性状態である。
肺結核疾患とは、Mtbによって引き起こされる肺疾患である。Center for Disease Controlによれば、症状には、通常咳嗽が含まれ、喀血または痰の喀出、胸部疼痛、脱力感、体重減少、発熱、悪寒、および寝汗が含まれる場合がある。
M.tuberculosisの伝染は換気不良の閉鎖領域において風媒経路によって起こる。90%を超える症例において、M.tuberculosis感染の後に免疫系はM.tuberculosisからの疾患の発生を予防し、これは多くの場合活動性結核と呼ばれる。しかし、M.tuberculosisの全てが死滅するわけではなく、したがって、小さな硬いカプセルが形成される。「原発性結核」とは、通常は小児において、最初の感染後に発生する疾患である。感染の初期の病巣は、肉芽腫性肺門リンパ節感染を伴った小さな胸膜下肉芽腫である。これらは一緒になってGhon複合体を構成する。ほとんど全ての症例においてこれらの肉芽腫は消散し、感染のさらなる伝播はない。「二次結核」とは、主に成人において、以前の感染の再活性化(または再感染)として、特に健康状態が低下した際に見られる。肉芽腫性炎症が、はるかにより病勢盛んであり、広まっている。典型的には、上肺葉が最も影響を受け、空洞化が起こる場合がある。「潜伏性」結核とは、それだけには限定されないがツベルクリン皮膚試験(TST)などの診断的アッセイによって検出することができる、個体において症状を生じない、個体におけるMtb感染である。「活動性」結核とは被験体における症候性のMtb感染である。
微視的に見ると、TB感染症で生じる炎症は肉芽腫性であり、類上皮マクロファージおよびラングハンス巨細胞が、リンパ球、形質細胞、場合によってはいくつかの多形核細胞、コラーゲンを有する線維芽細胞、および中心に特徴的な乾酪性壊死と共に存在する。炎症反応はIV型過敏性反応によって媒介され、皮膚試験はこの反応に基づく。一部の例では、結核は、皮膚試験、抗酸染色、オーラミン染色、またはその組合せによって診断することができる。スクリーニングする最も一般的な検体は痰であるが、組織学的染色を組織または他の体液で行うこともできる。
TBはHIV感染症の頻繁な合併症である。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染した被験体におけるTB感染症は容易に伝播し、活動性疾患へと迅速に進行する場合がある。Mtb感染が原因の肺疾患の具体的な症状には、慢性的な咳および喀血が含まれる。TB疾患の他の症状には、疲労、食欲不振、体重減少、発熱およびびっしょりの寝汗が含まれる。
Mtb感染は多くの場合は肺の感染症である。しかし、肺外への結核の内転移は、骨格結核、生殖器結核、尿路結核、中枢神経系(CNS)結核、胃腸管系結核、副腎結核、瘰癧、および心臓結核を含めた特徴的なパターンを有するいくつかの珍しい発見の出現をもたらす場合がある。したがって、Mtb感染は肺外であることもあり得る。一般的に、感染の肺外部位には、リンパ節、胸膜、および骨関節領域が含まれるが、任意の器官が関与することができる。肺外結核の診断は多くの場合分かりにくい。一般に、免疫抑制された小児および被験体が肺外Mtb感染に感受性がある。
リンパ節炎は最も一般的に起こる肺外結核の形態である。頸部腺症が最も一般的であるが、鼠径部、腋窩、腸間膜、縦隔、および乳房内の関与が全て記載されている。米国では胸膜結核(pleural tuberculosis)が全結核症例の約5パーセントを占める。多くの場合、胸膜結核は、咳、胸膜炎性胸痛、発熱、または呼吸困難を伴う急性の病気である。骨関節結核(bone and joint tuberculosis)は肺外結核の症例の35パーセントまでを占める場合がある。骨格結核は、ほとんどの場合は脊椎に関与し、次いで体重支持関節の結核性関節炎および脊髄外結核性骨髄炎に関与する。中枢神経系結核(central nervous system tuberculosis)には、結核性髄膜炎(最も一般的な提示)、頭蓋内結核腫、および脊髄結核性くも膜炎が含まれる。髄膜炎は、くも膜下空間内への上衣下結節の破裂後の激しい炎症から生じる。腹部結核(abdominal tuberculosis)は、胃腸管、腹膜、腸間膜リンパ節、または尿生殖路に関与する場合がある。他の器官(例えば、肝臓、脾臓、副腎)が粟粒結核において通常影響を受ける。粟粒結核、結核性心外膜炎、および腫瘍壊死因子−アルファ(TNF−アルファ)阻害剤に関連する結核が肺外結核のさらなる形態である。
用語「粟粒」結核とは、結核の任意の進行性、播種性の形態をいい、この疾患は原発性内転移中または何年もの未処置の結核の後に起こる場合がある。粟粒疾患は、AIDSおよび肺結核に罹患している患者の10パーセント、ならびにAIDSおよび肺外結核に罹患している患者の38パーセントで見られる。
生物が第一選択薬物に耐性を有することが公知であるまたは強く疑われる場合以外は、6〜9カ月間のレジメン(2カ月間のイソニアジド、リファンピン、ピラジナミド、およびエタンブトール、次いで4〜7カ月間のイソニアジドおよびリファンピン)が肺外結核の全ての形態の初期治療として推奨される。
ベクター:宿主細胞内に導入され、それにより形質転換された宿主細胞を生じさせる核酸分子である。ベクターには、複製起点などの、宿主細胞中でのその複製を可能にする核酸配列が含まれ得る。また、ベクターには1つまたは複数の選択マーカー遺伝子および当分野で公知の他の遺伝エレメントも含まれ得る。ベクターには、グラム陰性およびグラム陽性の細菌細胞中で発現させるためのプラスミドを含めたプラスミドベクターが含まれる。例示的なベクターには、E.coliおよびSalmonella中で発現させるためのものが含まれる。また、ベクターには、それだけには限定されないが、レトロウイルス、オルトポックス、アビポックス、鶏痘、カプリポックス、スイポックス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、アルファウイルス、バキュロウイルス、シンドビスウイルス、ワクシニアウイルスおよびポリオウイルスのベクターなどのウイルスベクターも含まれる。また、ベクターには、酵母細胞中で発現させるためのベクターも含まれる。
別段に説明しない限りは、本明細書中で使用する全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する分野の技術者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。内容により明らかにそうでないと指示される場合以外は、単数形の用語「a」、「an」、および「the」には複数の指示対象が含まれる。同様に、内容により明らかにそうでないと指示される場合以外は、言葉「または」には「および」が含まれることを意図する。核酸またはポリペプチドについて与えた全ての塩基の大きさまたはアミノ酸の大きさ、および全ての分子量または分子質量の値は近似であり、説明のために提供することを理解されたい。本明細書中に記載のものに類似または均等な方法および材料を本開示の実施または試験に使用することができるが、適切な方法および材料を以下に記載する。用語「含む」とは「含まれる」ことを意味する。本明細書中で引用する全ての出版物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体が参考として組み込まれている。矛盾する場合は、用語の説明を含めて本明細書が支配する。さらに、材料、方法、および実施例は例示的のみであり、限定することを意図しない。
Mtb感染を検出するための方法:T細胞の検出
小児および潜伏性結核感染症(LTBI)に罹患している被験体においてMycobacterium感染を検出するための方法は本明細書中に開示されている。小児は、乳児、幼児、年長児、約5歳未満の小児、10歳以下の小児、思春期前の小児またはティーンエージャーを含めた任意の小児であることができる。いくつかの例では、小児は10歳以下、例えば7歳以下もしくは5歳以下、または5〜10歳である。一部の実施形態では、小児はTBまたはLTBIに罹患している家庭内接触を有する。家庭内接触とは小児と同居している任意の個体である。他の実施形態では、被験体はLTBIに罹患していると疑われる任意の被験体である。一例では、LTBIに罹患していると疑われる被験体は、Mtb感染との家庭内接触を有する、または高い結核の発生率を有する国に旅行している。
一実施形態では、本方法は、肺および/または肺外結核疾患を含めた結核疾患を検出するための方法である。結核疾患とはMtb感染から生じる症候性状態である。肺結核疾患とは肺炎(pnuemonia)をもたらすMtbによって引き起こされる疾患である。本明細書中では、小児などにおいて肺結核を検出するための方法を提供する。小児は、乳児、幼児、年長児、約5歳未満の小児、10歳以下の小児、5〜10歳の小児、思春期前の小児またはティーンエージャーを含めた任意の小児であることができる。また、小児は7歳以下、または6歳以下、または4〜11歳であることができる。
また、成人被験体または小児のいずれかにおいて結核の肺外感染症を検出するための方法も開示する。小児は、乳児、幼児、年長児、約5歳未満の小児、10歳以下の小児、5〜10歳の小児、思春期前の小児またはティーンエージャーを含めた任意の小児であることができる。また、小児は7歳以下、または6歳以下、または4〜11歳であることもできる。他の例では、被験体は、遺伝子障害、免疫抑制治療、またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)などの免疫不全ウイルスの感染症の結果として免疫無防備状態である。
肺外結核は、リンパ節炎、胸膜結核、骨関節結核、中枢神経系結核、腹部結核、粟粒結核、結核性心外膜炎、および腫瘍壊死因子−アルファ(TNF−アルファ)阻害剤に関連する結核を含めた、疾患の任意の形態であることができる。本方法は、脊椎の骨格結核、体重支持関節の結核性関節炎、および脊髄外結核性骨髄炎を検出するために使用することができる。本方法は、結核性髄膜炎(最も一般的な提示)、頭蓋内結核腫、および脊髄結核性くも膜炎を含めた中枢神経系結核を診断するために使用することができる。また、本方法は、胃腸管、腹膜、腸間膜リンパ節、または尿生殖路の感染症などの腹部結核を診断するために使用することもできる。
いくつかの実施形態では、Mycobacterium感染(および/または結核疾患)は、生物学的試料中のCD8T細胞の存在に基づいて検出することができ、T細胞はMtbポリペプチドと特異的に反応する。一例では、試料を、本明細書中に開示した1つまたは複数のMycobacteriumポリペプチド、1つまたは複数のMtbポリペプチドをコードしているポリヌクレオチド、および1つまたは複数のMtbポリペプチドまたはMHCと結合するその断片を発現するAPCと共にインキュベーションする。CD8T細胞の特異的活性化の存在または非存在を検出する。CD8T細胞の活性化はMyobacterium感染が存在することを示す。一例では、CD8T細胞の活性化は、それだけには限定されないがインターフェロン−γなどのサイトカインの発現を測定することによって検出する。
いくつかの実施形態では、本方法にはCD8T細胞を単離することが含まれる。いくつかの実施形態では、T細胞を含む生物学的試料を目的の被験体から得る。適切な生物学的試料には、それだけには限定されないが、血液試料、末梢血単核細胞、痰、唾液、脳脊髄液もしくは単離したT細胞(CD3T細胞など)の試料、リンパ節組織、肺組織、または他の組織試料が含まれる。
検出方法においてペプチドを認識するCD8T細胞は、一般に、in vivoで目的のMtbポリペプチドに対して前感作されている。いくつかの実施形態では、これらの抗原を経験したT細胞は、一般に、10個に1個〜10個に1個の末梢血単核細胞(PBMC)の頻度で、抗原に曝露させた宿主の末梢血中に存在する。
目的の被験体、例えば、それだけには限定されないが、乳児、幼児、年長児、5〜10歳の小児、5歳未満の小児、10歳未満の小児、ティーンエージャー、TBもしくはLTBIに罹患している個体と同居している小児、LTBIが疑われる任意の被験体、または肺疾患などの結核疾患に罹患していることが疑われる被験体からT細胞を単離することができる。また、T細胞は、小児、思春期前および成人の被験体を含めた、肺外Mtb感染に罹患していることが疑われる任意の被験体から単離することもできる。T細胞はルーチン技術(末梢血リンパ球のFicoll/Hypaque密度勾配遠心分離によって、または蛍光活性化細胞分取によってなど)によって単離することができる。一実施形態では、アッセイで使用するT細胞は未加工もしくは希釈した試料の形態であるか、または新しく単離したT細胞の形態(新しく単離した単核細胞(MC)もしくは末梢血単核細胞(PBMC)の形態などであり、これらは、方法で使用する前に培養されていないようにex vivoで直接使用する。しかし、T細胞を使用前に、例えばペプチドのうちの1つまたは複数、および一般に外因性成長促進サイトカインの存在下で培養することができる。培養中、ペプチドは典型的にはAPCなどの細胞の表面上に提示される。T細胞の前培養は方法の感度の増加をもたらし得る。したがって、T細胞を短期細胞系などの細胞系へと変換することができる。
CD8などの細胞表面マーカーの存在または非存在を決定する方法は当分野で周知である。典型的には、マーカーに特異的に向けられた標識抗体を用いて細胞集団を同定する。抗体は、それだけには限定されないが、酵素、磁気ビーズ、コロイド状磁気ビーズ、ハプテン、蛍光色素、金属化合物、放射性化合物または薬物を含めた他の化合物とコンジュゲートさせることができる。抗体とコンジュゲートさせることができる酵素には、それだけには限定されないが、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、ウレアーゼおよびβ−ガラクトシダーゼが含まれる。抗体とコンジュゲートさせることができる蛍光色素には、それだけには限定されないが、フルオレセインイソチオシアネート、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、フィコエリスリン、アロフィコシアニンおよびテキサスレッドが含まれる。抗体とコンジュゲートさせることができるさらなる蛍光色素には、Haugland, R. P.、Molecular Probes: Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(1992〜1994年)を参照されたい。抗体とコンジュゲートさせることができる金属化合物には、それだけには限定されないが、フェリチン、コロイド金、および特にコロイド状超常磁性ビーズが含まれる。抗体とコンジュゲートさせることができるハプテンには、それだけには限定されないが、ビオチン、ジゴキシゲニン、オキサザロン(oxazolone)、およびニトロフェノールが含まれる。抗体とコンジュゲートさせるまたは抗体内に取り込ませることができる放射性化合物は当分野で公知であり、それだけには限定されないが、テクネチウム99m(99Tc)、125Iならびにそれだけには限定されないが14C、Hおよび35Sを含めた任意の放射性核種を含むアミノ酸が含まれる。
蛍光活性化細胞分取(FACS)を使用して、細胞を適切に標識した抗体と接触させることによってCD8を発現する細胞を分別することができる。一実施形態では、追加の抗体およびFACS分別をさらに使用して、実質的に精製したCD8CD3細胞の集団を生成するか、または検出可能なレベルのCD4もしくはCD56を発現しない細胞を精製することができる。
FACSでは、細胞を分離または分別するために、他のより洗練された検出のレベルの中で、とりわけ、複数の色チャネル、小角および鈍角の光分散検出チャネル、ならびにインピーダンスチャネルを用いる。所望の細胞の生存度に有害でない限りは、任意のFACS技術を用い得る。(FACSの例示的な方法には、本明細書中に参考として組み込まれている米国特許第5,061,620号を参照されたい)。同様に、CD3を発現するがCD56またはCD4を発現しないCD8+細胞などのCD8細胞を実質的に精製するためにFACSを使用することができる。
しかし、所望の細胞集団を精製および単離するために異なる有効性の他の技術を用い得る。用いる分離技術は、収集する細胞の画分の生存度の保持を最大限にするものであるべきである。もちろん、用いる特定の技術は、分離の効率、方法の細胞毒性、分離の容易さおよび速度、ならびに必要な装置および/または技術的技能に依存する。
分離手順には、モノクローナル抗体と結合させたまたは補体と併せて使用する、抗体でコーティングした磁気ビーズ、アフィニティークロマトグラフィー、細胞毒性剤を用いた磁気分離、ならびに固体マトリックスに付着したモノクローナル抗体を利用する「パニング」または別の好都合な技術が含まれ得る。磁気ビーズならびにアガロースビーズ、ポリスチレンビーズ、中空繊維膜およびプラスチック製ペトリ皿などの他の固体マトリックスに付着した抗体は、直接分離を可能にする。抗体によって結合された細胞は、単に固体担体を細胞懸濁液から物理的に分離することによって、細胞懸濁液から除去することができる。細胞および固相連結抗体のインキュベーションの正確な条件および期間は、用いるシステムに特異的ないくつかの要因に依存する。しかし、適切な条件の選択は十分に当分野の技術範囲内にある。
その後、目的のマーカーを発現する細胞(CD8など)が固相連結抗体と結合するために十分な時間をおいた後、結合していない細胞を生理的緩衝液で溶出させるまたは洗い流すことができる。その後、結合した細胞を、主に用いる固相および抗体の性質に応じた任意の適切な方法によって固相から分離する。
抗体をビオチンとコンジュゲートさせてもよく、これはその後に支持体と結合したアビジンもしくはストレプトアビジンを用いて除去することでき、または、蛍光色素とコンジュゲートさせてもよく、これは蛍光活性化細胞分取器(FACS)と共に用いて細胞分離を可能にすることができる(上記参照)。CD8細胞は、最初にCD3の細胞表面発現によって他の細胞から分離し得る。1つの具体的な非限定的な例では、CD3細胞は磁気ビーズ分離によって陽性選択し、磁気ビーズをCD3反応性モノクローナル抗体でコーティングする。その後、CD3細胞を磁気ビーズから除去する。
磁気ビーズからのCD3細胞の放出は、培養放出または他の方法によって達成することができる。その後、単離したCD3細胞の純度を、例えば所望される場合は、FACSCAN(登録商標)フローサイトメーター(Becton Dickinson、San Jose,CA)で確認する。一実施形態では、磁気ビーズから放出された細胞集団のFACS分別などのさらなる精製ステップを行う。
一実施形態では、複数の系列特異的マーカー、例えば、B220、CD4、CD45、CD5、またはCD56を発現しない細胞集団を最初に分離するために、磁気ビーズ分離を使用する。さらに、1つまたは複数のB細胞またはマクロファージ系列特異的マーカーを発現しない細胞を分離するために、パニングを使用することができる(パニング方法には、本明細書中に参考として組み込まれているSmallら、J Immunol Methods 3;167巻(1〜2号):103〜7頁、1994年を参照されたい)。
いくつかの実施形態では、単離した後、CD8T細胞をin vitroで2〜9日間、例えば約4日間、37℃で、MtbポリペプチドまたはMHCと結合するその断片と共にインキュベーションする。いくつかの例では、MtbポリペプチドまたはMHCと結合するその断片が含まれる(例えば、約5、約10、約15、または約20μg/mlなどの約5〜約25μg/mlの濃度で)。いくつかの例では、対照として、T細胞試料の別のアリコートをMtbポリペプチドの非存在下でインキュベーションすることができる。また、複数のMtbポリペプチドを利用することもできる。
一実施形態では、単核細胞(MC)を試料から分離する。MCにはT細胞および抗原提示細胞(APC)が含まれる。したがって、本方法では、分離したMC中に存在するAPCはペプチドをT細胞に提示することができる。別の実施形態では、T細胞のみ、例えばCD8T細胞のみを試料から精製することができる。
本方法で使用するAPCは、その表面上にMHCクラスI分子を有する任意の細胞であり得る。これは、B細胞、樹状細胞またはマクロファージなどの特殊化した抗原提示細胞であってもそうでなくてもよい。本方法で使用するAPCは、T細胞と同じ宿主由来であり得る。一般に、APCはペプチドをT細胞に提示することができる。APCは新しく単離したex vivo細胞または細胞系由来の細胞などの培養細胞であることができる。APCは同種または自己であることができる。
目的の被験体からの試料に由来するT細胞は、関連パネルを試験することを意図する、全てのMtbポリペプチド(またはMtbポリペプチドのプール、または特異的なMtbポリペプチド)を用いたアッセイに入れることができるか、またはT細胞を分割し、そのそれぞれがペプチドのうちの1つまたは複数を含有する別のアッセイに入れることができる。一実施形態では、配列番号1〜12、配列番号39もしくは配列番号61として記載したアミノ酸配列を有するポリペプチドのうちの1つもしくは複数、またはMHCと結合する、これらのポリペプチドのうちの1つもしくは複数の断片を利用する。さらなる実施形態では、ポリペプチドのうちの1つまたは複数はESAT6またはCFP10であるが、任意のMtbポリペプチドを利用することができる。有用なさらなるペプチドを配列番号39〜83に記載する。本明細書中に開示した任意のMtbペプチドのうちの2つ以上を、これらのポリペプチドを認識するT細胞の同時、別々または連続的な使用に使用することができる。本明細書中に開示したMtbポリペプチドのうちの任意のもののさらなる組合せを利用することができる。Mtbポリペプチド(polypeptdie)のプールも有用である。
一実施形態では、T細胞の非存在下で1つまたは複数のペプチド(複数可)を提示細胞に提供する。その後、この細胞を、典型的にはその表面上にペプチドを提示させた後に、被験体から単離したT細胞に提供する。
ペプチドを細胞と接触させる期間は、ペプチドの認識を決定するために使用する方法に応じて変動する。典型的には、10〜10個、例えば約5×10〜10個のT細胞をそれぞれのアッセイに加える。ペプチドをアッセイに直接加える場合、その濃度は、典型的には約10−1〜約10μg/ml、例えば約0.5〜約50μg/mlまたは約1〜約10μg/mlである。T細胞をペプチドと共にインキュベーションする時間の流さは、約4〜約24時間、例えば約6〜約16時間、または約12時間であることができる。
CD8T細胞などのT細胞によるペプチドの特異的認識の決定は、ペプチドとT細胞との結合を測定することによって行うことができる。典型的には、ペプチドと結合するT細胞は、この結合に基づいて、例えば蛍光活性化細胞分取(FACS)技術を用いて(上記参照)分別することができる。ペプチドを用いて分別された細胞の頻度が対照値を超える場合に、ペプチドを認識するT細胞の存在の検出が起こると考えられる。
また、T細胞がペプチドを認識するかどうかの決定は、ペプチドの存在下におけるT細胞の状態の変化を検出すること、またはT細胞がペプチドと結合するかどうかを決定することによっても行うことができる。状態の変化は、一般に、T細胞受容体がペプチドと結合した後に、T細胞の抗原特異的機能的活性によって引き起こされる。一般に、T細胞受容体と結合する際、ペプチドはMHCクラスI分子と結合し、これは、PBMCまたは抗原提示細胞(APC)の表面上に存在し得る。
T細胞の活性化は当業者に公知の任意の手段によって検出することができる。一例では、CD8T細胞の活性化は細胞溶解活性を評価することによって検出する。別の例では、CD8T細胞の活性化は増殖によって検出する。いくつかの例では、感染していない被験体よりも少なくとも2倍高い増殖レベルおよび/または少なくとも20%高い細胞溶解活性レベルが、目的の被験体、例えば小児、LTBIに罹患している被験体におけるMycobacterium感染の存在を示す。さらなる例では、感染していない被験体よりも少なくとも2倍高い増殖レベルおよび/または少なくとも20%高い細胞溶解活性レベルが、被験体が肺外結核疾患および/または肺結核疾患に罹患していることを示す。被験体は小児などの目的の任意の被験体であることができる。
T細胞の状態の変化は、サイトカイン、例えばインターフェロン(IFN)−γ、IL−2またはTNF−αなどの、T細胞からの物質の分泌の開始または増加であり得る。一例では、この物質は、特異的結合剤と結合させ、その後、特異的結合剤/物質の複合体の存在を測定することによって検出することができる。特異的結合剤は、典型的には、サイトカインなどの物質と結合する、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体などの抗体である。サイトカインに対する抗体は市販されているか、または標準技術を用いて作製することができる。
典型的には、抗体などの特異的結合剤を固体担体上に固定する。サイトカインを結合させた後、固体担体を任意選択で洗い流して、抗体と特異的に結合していない材料を除去することができる。抗体/サイトカインの複合体は、標識で標識した(直接または間接的に)抗体などの、複合体と結合する第2の結合剤を使用することによって検出することができる。一般に、第2の薬剤は、第1の薬剤と結合する部位とは異なる部位で、物質と結合する。
いくつかの例では、第2の結合剤は、検出可能な標識によって直接または間接的に標識した第3の薬剤によって検出することができる。例えば、第2の薬剤にはビオチンが含まれていてよく、これにより、ストレプトアビジン(strepavidin)を含む第3の薬剤および標識、例えば酵素的、放射性または蛍光の標識による検出が可能となる。
一実施形態では、検出システムは、どちらも本明細書中に参考として組み込まれている、PCT公開WO98/23960号または米国特許公開第2005/0208594号に記載されているアッセイなどのELISPOTアッセイである。一例では、T細胞から分泌されたIFN−γは、固体担体上に固定されている第1のIFNγ特異的抗体によって結合される。その後、結合したIFN−γを、検出可能な標識で標識された第2のIFN−γ特異的抗体を用いて検出する。MABTECH(商標)(Stockholm、Sweden)などの例示的な標識抗体が市販されている。例示的なELISPOTアッセイを以下の実施例セクションに記載する。検出方法はサイトカインの発現を検出するための任意の他の方法であることができ、例えば、本明細書中に参考として組み込まれている欧州公開特許出願EP1867988号を参照されたい。
また、測定することができるT細胞の状態の変化は、T細胞による物質の取り込み、例えばチミジンの取り込みの増加でもあり得る。また、状態の変化は、T細胞の大きさの増加、またはT細胞の増殖、またはT細胞上の細胞表面マーカーの変化によっても測定することができる。
本明細書中に開示したMtbポリペプチドと特異的に結合するCD8発現細胞(CD8)を検出するための試薬を本明細書中に提供する。これらの試薬は、四量体MHCクラスI/免疫原性TARPポリペプチドの複合体である。これらの四量体複合体には、MHCクラスIと特異的に結合する9〜20個のアミノ酸の長さのポリペプチドなどのMtbポリペプチドが含まれる。
四量体MHCクラスI/ペプチドの複合体は、当分野で周知の方法を用いて合成することができる(本明細書中に参考として組み込まれているAltmannら、Science、274巻:94頁、1996年)。具体的な非限定的な一例では、精製したHLA重鎖ポリペプチドおよびβ2−ミクログロブリン(β2m)を原核発現系によって合成することができる。有用な発現系の具体的な非限定的な一例はpET系である(R&D Systems、Minneapolis,MN)。重鎖は、膜貫通およびサイトゾルのテイルの欠失ならびにビオチンタンパク質リガーゼ(Bir−A)酵素的ビオチン化部位を含有する配列のCOOH末端付加によって修飾されている。その後、重鎖、β2m、およびペプチドが再度折り畳まれる。再度折り畳まれた生成物は当分野で公知の任意の手段によって単離し、その後、Bir−Aによってビオチン標識することができる。その後、ビオチン標識した生成物をストレプトアビジンと接触させることによって四量体が生成される。
一実施形態では、ストレプトアビジンを標識する。適切な標識には、それだけには限定されないが、酵素、磁気ビーズ、コロイド状磁気ビーズ、ハプテン、蛍光色素、金属化合物、放射性化合物または薬物が含まれる。ストレプトアビジンとコンジュゲートさせることができる酵素には、それだけには限定されないが、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、ウレアーゼおよびβ−ガラクトシダーゼが含まれる。ストレプトアビジンとコンジュゲートさせることができる蛍光色素には、それだけには限定されないが、フルオレセインイソチオシアネート、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、フィコエリスリン、アロフィコシアニンおよびテキサスレッドが含まれる。ストレプトアビジンとコンジュゲートさせることができるさらなる蛍光色素には、Haugland, R. P.、Molecular Probes: Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(1992〜1994年)を参照されたい。ストレプトアビジンとコンジュゲートさせることができる金属化合物には、それだけには限定されないが、フェリチン、コロイド金、および特にコロイド状超常磁性ビーズが含まれる。ストレプトアビジンとコンジュゲートさせることができるハプテンには、それだけには限定されないが、ビオチン、ジゴキシゲニン、オキサザロン、およびニトロフェノールが含まれる。ストレプトアビジンとコンジュゲートさせることができる放射性化合物は当分野で公知であり、それだけには限定されないが、テクネチウム99m(99Tc)、125Iならびにそれだけには限定されないが14C、Hおよび35Sを含めた任意の放射性核種を含むアミノ酸が含まれる。一般に、蛍光色素で標識したストレプトアビジンを本明細書中に開示した方法で利用する。
一実施形態では、Mtbポリペプチドを特異的に認識するT細胞が含まれる細胞の懸濁液を生成し、懸濁液中で細胞を四量体と反応させる。一実施形態では、これらの試薬を用いて細胞を標識し、その後、これらを蛍光活性化細胞分取(FACS)によって分析する。FACSの機械では、細胞を分離または分別するために、他のより洗練された検出のレベルの中で、とりわけ、複数の色チャネル、小角および鈍角の光分散検出チャネル、ならびにインピーダンスチャネルを用いる。所望の細胞の検出に有害でない限りは、任意のFACS技術を用いることができる。(FACSの例示的な方法には、本明細書中に参考として組み込まれている米国特許第5,061,620号を参照されたい)。
Mtb感染を検出するための方法:皮膚試験の確認
別の態様では、上記開示したCD8T細胞を使用する方法に加えて、Mycobacterium感染、特に結核の診断を確認するために、皮膚試験を用いて確認試験を行う。「皮膚試験」とは、上述の1つまたは複数のポリペプチドの皮内注射などの皮膚内投与の後に遅延型の過敏(DTH)反応(硬結、腫脹、発赤または皮膚炎など)を測定する、患者に直接行う任意のアッセイである。そのような注射は、ツベルクリンシリンジまたは1mlシリンジなどの、ポリペプチドまたは複数のポリペプチドを患者の真皮細胞と接触させるために十分な任意の適切な装置を用いて達成することができる。いくつかの例では、注射後少なくとも48時間、例えば注射後約48〜約72時間の間に反応を測定する。
DTH反応とは、試験抗原(Mtbポリペプチド、MHCと結合するその断片、またはその融合タンパク質)に事前に曝露している被験体でより大きい、細胞媒介性の免疫応答である。応答は、定規を使用することなど、視覚的に測定することができる。いくつかの例では、直径約0.5cmを超える、例えば直径約1.0cmを超える応答が肯定応答であり、Mycobacterium感染の指標である。
Mtbポリペプチドは、皮膚試験で使用するためにポリペプチドおよび生理的に許容される担体を含有する医薬組成物として配合することができる。これらの組成物は、典型的には、Mtbポリペプチド(またはMHCと結合するその断片もしくはその融合タンパク質)のうちの1つまたは複数を、0.1mlの体積中に約1μg〜約100μg、例えば約10μg〜約50μgの範囲の量で含有する。医薬組成物中で用いる担体は、フェノールおよび/またはTWEEN80(商標)などの適切な保存料を含む生理食塩水であることができる。
一般に、皮膚試験で用いるポリペプチドは、反応期間の間注射部位に留まるように、十分な大きさである。いくつかの例では、少なくとも9個のアミノ酸の長さのポリペプチドが十分である。理論に束縛されずに、ポリペプチドは注射の数時間以内にマクロファージによって分解されて、T細胞への提示が可能となる。そのようなポリペプチドは、上記開示した配列および/または他の免疫原性もしくは非免疫原性配列のうちの1つまたは複数の反復を含有することができる。
したがって、T細胞によるペプチドの認識の決定をin vivoで測定することができる。いくつかの例では、ペプチドを個体に投与し、その後、ペプチドの認識を示す応答を測定し得る。一実施形態では、ペプチドを、典型的にはマントー試験に類似の様式で皮内投与する。ペプチドは表皮投与することができる。ペプチドは典型的には注射など針によって投与するが、弾道的などの他の方法、例えば核酸を送達するために使用されている弾道的技術によって投与することができる。公開EPC出願EP−A−0693119号は、ペプチドを投与するために典型的に使用することができる技術を記載している。いくつかの例では、0.001〜1000μg、例えば0.01〜100μgまたは0.1〜10μgのペプチドを投与する。あるいは、in vivoでペプチドを提供することができる薬剤を投与することができる。したがって、ポリペプチドを発現することができるポリヌクレオチドを投与することができる。ポリヌクレオチドは、典型的には以下に記載するポリヌクレオチドの特徴のうちの任意のものを有する。ポリペプチドはポリヌクレオチドからin vivoで発現され、in vivoでのペプチドの認識を測定し得る。典型的には、0.001〜1000μg、例えば0.01〜100μgまたは0.1〜10μgのポリヌクレオチドを投与する。
Mtb感染を検出するための方法:確認試験、抗体の検出
別の態様では、上記開示したCD8T細胞を使用する方法に加えて、対照と比較した、生物学的試料中(それだけには限定されないが、全血、痰、血清、血漿、唾液、または脳脊髄液など)のポリペプチド(複数可)に対する抗体の存在または非存在を決定するためのアッセイにおいて、1つまたは複数のポリペプチド(複数可)を用いた確認試験を行う。そのような抗体の存在はマイコバクテリア抗原に対する以前の感作を示し、これは、Mycobacterium感染、特に結核の指標であり得る。
複数のポリペプチドを用いる実施形態では、ポリペプチドは相補的であることができ、1つの構成要素のポリペプチドが試料中の感染を検出し、感染は別の構成要素のポリペプチドによっては検出されない)。相補的ポリペプチドは、一般に、それぞれのポリペプチドを個々に使用して、Mycobacteriumに感染していることが公知である一連の患者から得た血清試料を評価することによって、同定し得る。どの試料がそれぞれのポリペプチドで陽性として正しく同定されたかを決定した後、試験した試料のほとんどまたは全てで感染を検出することができる2つ以上のポリペプチドの組合せを配合し得る。相補的ポリペプチドは診断的試験の感度を改善させるために有用である。したがって、上述のMtbポリペプチドのうちの複数をアッセイに含めることができる。Mtb由来のさらなるポリペプチド(本明細書中に記載していないもの)を任意選択でアッセイに含めることができる。
試料中の抗体を検出するために使用できる様々なアッセイ様式が存在する(例えば、本明細書中に参考として組み込まれているHarlowおよびLane、Antibodies: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory(1988年)を参照されたい)。一般に、患者におけるMtb感染の存在または非存在は、(a)患者から得た生物学的試料を1つまたは複数のMtbポリペプチドと接触させること、(b)試料中の、ポリペプチド(複数可)と結合する抗体の存在(または非存在)を検出すること、ならびに(c)抗体のレベルを対照と比較すること、によって決定し得る。対照は、事前に決定されたカットオフ値などの標準の値であることができる。対照は、Mtbに感染していることが公知の被験体中の抗体の量、または、Mtbに感染していないことが公知の被験体中の、ポリペプチド(複数可)と特異的に結合する抗体の量であることができる。
いくつかの実施形態では、アッセイは固体担体上に固定したポリペプチドの使用を含む。目的のポリペプチド(複数可)と特異的に結合する抗体は、固体担体と結合する。その後、検出可能な標識が含まれる検出試薬を用いて結合した抗体を検出することができる。適切な検出試薬には抗体/ポリペプチドの複合体と結合する標識抗体が含まれる。また、適切な検出試薬には、抗体ポリペプチド複合体と結合する第2の標識されていない抗体および第2の抗体と特異的に結合する第3の抗体も含まれる。また、適切な検出試薬には、レポーター基で標識された結合していないポリペプチドも含まれる(半競合的アッセイなど)。
あるいは、競合的アッセイを利用してもよく、レポーター基で標識した目的のポリペプチドと結合する抗体を試料と共にインキュベーションする。インキュベーション後、抗原を試料とインキュベーションした後に抗体を固定された抗原と結合させる。試料の構成要素が標識抗体と固定されたポリペプチドとの結合を阻害する程度が、試料と固定されたポリペプチドとの反応性の指標である。
本明細書中に開示したアッセイで使用する固体担体は、抗原が付着し得る任意の固体材料であることができる。例えば、固体担体はマイクロタイタープレートの試験ウェルまたはニトロセルロースもしくは他の適切な膜であることができる。あるいは、固体担体は、ビーズまたはディスク、例えば、ガラス、ガラス繊維、ラテックスまたはポリスチレンもしくはポリ塩化ビニルなどのプラスチック材料であり得る。また、支持体は、例えば米国特許第5,359,681号に開示されているものなどの、磁気粒子または光ファイバーセンサーであることもできる。
ポリペプチドは様々な技術を用いて固体担体と結合させることができる。ポリペプチドの結合は、吸着などの非共有会合、または抗原と支持体上の官能基との間の直接連結もしくは架橋結合剤を介した連結などの共有付着によって達成することができる。
吸着による結合には、結合は、1つまたは複数のMtbポリペプチド(複数可)(一般に緩衝液中)を固体担体と、適切な時間の間接触させることによって達成することができる。結合の接触時間は、典型的には約1時間〜1日である。一般に、結合は、ポリスチレンまたはポリ塩化ビニルの固体担体を、約10ng〜約1μg、例えば約100ngの抗原の範囲の、一定量の1つまたは複数のMtbポリペプチド(複数可)と接触させることによって達成する。
目的のMtbポリペプチド(複数可)と固体担体との共有付着は、一般に、支持体を、支持体とポリペプチド上のヒドロキシルまたはアミノ基などの官能基との両方と反応する二官能性試薬と反応させることによって達成することができる。例えば、Mtbポリペプチドは、ベンゾキノンを用いて、または支持体上のアルデヒド基とポリペプチド上のアミンおよび活性水素との縮合によって、適切なポリマーコーティングを有する支持体と結合させることができる(Pierce Immunotechnology Catalog and Handbook、A12〜A13頁、1991年)。
特定の実施形態では、アッセイは酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)である。このアッセイは、最初に、目的のポリペプチドと特異的に結合する試料中に存在する抗体が固定されたポリペプチドと結合するような様式で、固体担体(マイクロタイタープレートのウェル中など)上に固定したポリペプチド抗原を試料と接触させることによって行うことができる。その後、結合していない試料を除去し、固定された抗体−ポリペプチドの複合体と結合することができる検出試薬を加える。具体的な検出試薬に適した方法を用いて、結合したままの検出試薬の量を決定する。例えば、検出方法は、蛍光または酵素活性の存在を検出することができる。
一部の実施形態では、ポリペプチドを支持体上に固定する。典型的には、支持体上の残りのタンパク質結合部位は全て遮断する。任意の適切な遮断剤を用いて結合していないタンパク質結合部位を遮断することができ、例えば、ウシ血清アルブミンまたはTWEEN20(商標)を用いることができる。その後、固定されたポリペプチドを試料と共にインキュベーションし、抗体を抗原と結合させる。インキュベーション前に試料を適切な希釈剤、例えばリン酸緩衝生理食塩水(PBS)などの緩衝液で希釈することができる。一般に、適切な接触時間(インキュベーション時間)は、Mycobacteriumに感染した試料中の抗体の存在を検出するために十分な時間である。1つの具体的な非限定的な例では、接触時間は、結合した抗体および結合していない抗体の間の平衡で達成される結合レベルの少なくとも95%を達成するために十分である。平衡に達するために必要な時間は、経時的に起こる結合レベルをアッセイすることによって決定することができる。室温では、約30分間のインキュベーション時間が一般に十分である。
その後、固体担体を0.1%のTWEEN20(商標)を含有するPBSなどの適切な緩衝液で洗浄することによって、結合していない試料を除去することができる。その後、検出試薬を固体担体に加えることができる。検出試薬は、固定された抗体−ポリペプチドの複合体と結合し、検出することができる任意の化合物であることができる。いくつかの実施形態では、検出試薬は標識とコンジュゲートした結合剤(例えば、タンパク質A、タンパク質G、免疫グロブリン、レクチンまたは遊離抗原など)を含有する。有用な標識には、酵素(西洋ワサビペルオキシダーゼなど)、基質、補因子、阻害剤、色素、放射性核種、発光性基、蛍光基およびビオチンが含まれる。結合剤と標識とのコンジュゲーションは当分野で公知の方法を用いて達成することができる。コンジュゲートした結合剤は市販されている(Zymed Laboratories、San Francisco,Calif.、およびPierce、Rockford,Ill.からのものなど)。
検出試薬は、結合した抗体を検出するために十分な時間の間、固定された抗体−ポリペプチドの複合体と共にインキュベーションする。適切な時間は、一般に、製造者の指示から、または一定期間の間に起こる結合のレベルをアッセイすることによって決定し得る。その後、結合していない検出試薬を除去し、標識を用いて結合した検出試薬を検出する。放射性標識には、シンチレーション計数またはオートラジオグラフィー方法を検出に使用することができる。分光学的方法を使用して、標識として使用した色素、発光性基および蛍光基を検出し得る。ビオチンは、放射性標識、蛍光標識または酵素的標識などの様々な標識とカップリングさせたアビジンを用いて検出することができる。酵素的標識は、基質を加え(一般に特定の期間の間)、次いで反応生成物の分光学的または他の分析によって検出することができる。
試料中の抗Mycobacterium抗体の存在または非存在を決定するために、固体担体と結合した標識から検出されたシグナルを一般に対照と比較する。一実施形態では、対照は、固定された抗原を感染していない患者からの試料と共にインキュベーションした場合に得られる平均シグナルなどの標準の値である。一般に、標準偏差が対照を2または3点超えるシグナルを生じる試料が、Mycobacterium感染について陽性であるとみなされる。別の実施形態では、対照値はSackettら、Clinical Epidemiology: A Basic Science for Clinical Medicine、Little Brown and Co.、106〜107頁(1985年)の方法による受信者動作曲線を用いて決定する。手短に述べると、本実施形態では、対照値は、診断的試験結果のそれぞれの可能な対照値に対応する、真陽性率(感度)および偽陽性率(100%の特異性)の対のプロットから決定する。最大面積を囲むプロット上の対照値が最も正確なカットオフ値であり、この方法によって決定してカットオフ値よりも高いシグナルを生じる試料が陽性であるとみなされる。あるいは、カットオフ値をシフトして偽陽性率を最小限にし得る、または偽陰性率を最小限にし得る。一般に、この方法によって決定してカットオフ値よりも高いシグナルを生じる試料が結核について陽性であるとみなされる。
関連実施形態では、急速流動または条片の試験様式でアッセイを行い、抗原を、それだけには限定されないがニトロセルロースなどの膜上に固定する。流動試験では、試料が膜を通過する際に試料内の抗体が固定されたポリペプチドと結合する。検出試薬を含有する溶液が膜を通って流れる際に検出試薬(例えばタンパク質A−コロイド金)が抗体−ポリペプチドの複合体と結合する。結合した検出試薬の検出は上述のように行うことができる。
条片試験様式の一例では、ポリペプチドが結合した膜の一端を、試料を含有する溶液に浸す。試料は膜に沿って検出試薬を含有する領域を通って固定されたポリペプチドの領域へと遊走する。ポリペプチドでの検出試薬の濃縮は、試料中の抗Mycobacterium抗体の存在を示す。典型的には、その部位での検出試薬の濃縮は、視覚的に読み取ることができる線などのパターンを生じる。そのようなパターンが存在しないことは陰性結果を示す。一般に、膜上に固定するポリペプチドの量は、生物学的試料が酵素連結免疫吸着(immunosorbant)アッセイ(ELISA)において陽性シグナルを生じるために十分な抗体のレベルを含有する場合に、視覚的に識別可能なパターンが生じるように選択する。いくつかの実施形態では、膜上に固定するポリペプチドの量は、約25ng〜約1μg、例えば約50ng〜約500ngの範囲である。そのような試験は、典型的には非常に少ない体積の患者の血清または血液で行うことができる。
Mtb感染を検出するための方法:ポリヌクレオチドの検出の確認試験
別の態様では、上記開示したCD8T細胞を使用する方法に加えて、生物学的試料中のMycobacteriumポリペプチドをコードしているmRNAの存在、非存在、またはレベルを検出することによって、確認試験を行う。いくつかの例では、ノーザンブロットまたはドットブロットアッセイなどのハイブリダイゼーションアッセイを利用する。さらなる例では、PCRに基づくアッセイを利用する。
mRNA抽出の一般方法は当分野で周知であり、Ausubelら、Current Protocols of Molecular Biology、John Wiley and Sons(1997年)を含めた分子生物学の標準の教科書に開示されている。パラフィン包埋組織からRNAを抽出する方法は、例えば、RuppおよびLocker、Lab Invest.、56巻:A67頁(1987年)、ならびにDe Andresら、BioTechniques、18巻:42044頁(1995年)に開示されている。特に、RNA単離は、QIAGEN(登録商標)などの商業的製造者からの精製キット、緩衝液セットおよびプロテアーゼを用いて、製造者の指示に従って行うことができる。例えば、培養細胞(被験体から得たものなど)からの全RNAを、QIAGEN(登録商標)RNeasyミニカラムを用いて単離することができる。他の市販のRNA単離キットにはMASTERPURE(登録商標)、完全DNAおよびRNA精製キット(EPICENTRE(登録商標)、Madison,Wis.)、ならびにパラフィンブロックRNA単離キット(Ambion,Inc.)が含まれる。組織試料からの全RNAはRNA Stat−60(Tel−Test)を用いて単離することができる。生物学的試料から調製したRNAは、例えば塩化セシウム密度勾配遠心分離によって単離することができる。
mRNAを定量する方法は当分野で周知である。一例では、この方法は逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を利用する。一般に、RT−PCRによる遺伝子発現プロファイリングの最初のステップはRNA鋳型をcDNAへと逆転写することであり、次いでPCR反応においてそれを指数関数的に増幅させる。2つの最も一般的に使用される逆転写酵素は、トリ骨髄芽球症ウイルス逆転写酵素(AMV−RT)およびモロニーネズミ白血病ウイルス逆転写酵素(MMLV−RT)である。逆転写ステップは、発現プロファイリングの状況および目的に応じて、典型的には特異的プライマー、ランダム六量体、またはオリゴ−dTプライマーを用いて刺激する。例えば、GeneAmp RNA PCRキット(Perkin Elmer、Calif.、USA)を用いて、製造者の指示に従って抽出したRNAを、逆転写することができる。その後、誘導したcDNAを続くPCR反応で鋳型として使用することができる。
PCRステップでは様々な熱安定性のDNA依存性DNAポリメラーゼを使用することができるが、典型的には、5’−3’ヌクレアーゼ活性を有するが3’−5’校正エンドヌクレアーゼ活性を欠くTaq DNAポリメラーゼを用いる。したがって、TaqMan(登録商標)PCRでは、典型的には、TaqまたはTthポリメラーゼの5’−ヌクレアーゼ活性を利用して、その標的単位複製配列と結合したハイブリダイゼーションプローブを加水分解するが、等価な5’ヌクレアーゼ活性を有する任意の酵素を使用することができる。2つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCR反応に典型的な単位複製配列を作製する。2つのPCRプライマーの間に位置するヌクレオチド配列を検出するために、第3のオリゴヌクレオチドまたはプローブを設計する。プローブはTaq DNAポリメラーゼ酵素によって伸長不可能であり、レポーター蛍光色素および消光蛍光色素で標識されている。2つの色素がプローブ上でそうであるように近くに位置する場合に、レポーター色素からの全てのレーザー誘導発光は消光色素によって消光される。増幅反応中、Taq DNAポリメラーゼ酵素はプローブを鋳型依存性の様式で切断する。生じるプローブ断片は溶液中で解離し、放出されたレポーター色素からのシグナルは第2のフルオロフォアの消光効果を受けない。合成されるそれぞれの新しい分子についてレポーター色素の1つの分子が遊離し、消光されていないレポーター色素の検出により、データの定量的解釈の基礎がもたらされる。
TAQMAN(登録商標)RT−PCRは、例えば、ABI PRISM 7700(登録商標)配列検出システム(商標)(Perkin−Elmer−Applied Biosystems、Foster City,Calif.、USA)、またはLightcycler(Roche Molecular Biochemicals、Mannheim、Germany)などの市販の装置を用いて行うことができる。一実施形態では、5’ヌクレアーゼ手順はABI PRISM 7700(登録商標)配列検出システム(登録商標)などのリアルタイム定量的PCR装置上で実行する。このシステムには、熱サイクラー、レーザー、電荷結合素子(CCD)、カメラおよびコンピュータが含まれる。このシステムは、96ウェル様式中、熱サイクラー上で試料を増幅する。増幅中、レーザー誘導蛍光シグナルを光ファイバーケーブルによって96個のウェル全てからリアルタイムで収集し、CCDで検出する。このシステムには、装置を実行し、データを分析するためのソフトウェアが含まれる。
一部の例では、5’−ヌクレアーゼアッセイのデータは、当初はCt、すなわち閾値サイクルとして表す。上述のように、蛍光値を各サイクル中に記録し、増幅反応のその時点までに増幅された生成物の量を表す。蛍光シグナルが統計的に有意であるとして最初に記録される点が閾値サイクル(Ct)である。
誤差および試料間のばらつきの効果を最小限にするために、内部標準を用いてRT−PCRを行うことができる。理想的な内部標準は様々な組織間にわたって一定レベルで発現され、実験的処置によって影響を受けない。遺伝子発現のパターンを正規化するために最も頻繁に使用されるRNAは、ハウスキーピング遺伝子グリセルアルデヒド−3−ホスフェート−デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、ベータ−アクチン、および18SリボソームRNAのmRNAである。
RT−PCR技術のより最近の変化はリアルタイム定量的PCRであり、これは、PCR産物の蓄積を、二重標識した蛍光発生(fluorigenic)プローブ(すなわちTAQMAN(登録商標)プローブ)を介して測定する。リアルタイムPCRは、それぞれの標的配列の内部競合相手を正規化に使用する定量的競合的PCRとも、試料内に含有される正規化遺伝子またはRT−PCRのハウスキーピング遺伝子を用いた定量的比較PCRとも適合性がある(Heldら、Genome Research、6巻:986〜994頁、1996年を参照)。また、定量的PCRは、その開示が本明細書中に参考として組み込まれている米国特許第5,538,848号にも記載されている。関連するプローブおよび定量的増幅手順は、その開示が本明細書中に参考として組み込まれている米国特許第5,716,784号および米国特許第5,723,591号に記載されている。マイクロタイタープレートで定量的PCRを実施するための機器は、PE Applied Biosystems、850 Lincoln Centre Drive、Foster City,Calif.94404から、商標ABI PRISM(登録商標)7700の下で入手可能である。
mRNAの単離、精製、プライマーの伸長および増幅を含めた、固定したパラフィン包埋組織をRNA源として使用する、遺伝子発現を定量するための代表的なプロトコールのステップは、様々な公開学術論文中に示されている(Godfreyら、J. Molec. Diagnostics、2巻:84〜91頁、2000年、K. Spechtら、Am. J. Pathol.、158巻:419〜29頁、2001年を参照)。手短に述べると、代表的なプロセスは、パラフィン包埋組織試料の厚さ約10μmの切片を切断することから始まる。その後、RNAを抽出し、タンパク質およびDNAを除去する。RNA濃度を分析した後、必要な場合はRNA修復および/または増幅のステップを含めることができ、遺伝子特異的プロモーターを用いてRNAを逆転写し、次いでRT−PCRを行う。
代替の定量的核酸増幅手順が、本明細書中に参考として組み込まれている米国特許第5,219,727号に記載されている。この手順では、標的配列および内部標準の核酸セグメントを同時に増幅することによって試料中の標的配列の量を決定する。それぞれのセグメントからの増幅されたDNAの量を決定し、検量線と比較しして、増幅前に試料中に存在していた標的核酸セグメントの量を決定する。
本方法の一部の実施形態では、「ハウスキーピング」遺伝子の発現または「内部対照」も評価することができる。これらの用語には、その存在がサイトカインのmRNAレベルの評価を可能にする、任意の構成的または全体的に発現される遺伝子が含まれることを意味する。そのような評価は、遺伝子転写の全体的な構成的レベルの決定およびRNA回収の変動の制御を含む。
感染症の進行および/または治療の有効性の監視
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示した診断方法を用いて、小児、またはLTBIに罹患している被験体などにおけるMycobacterium感染の進行を監視する。本実施形態では、Mycobacterium感染を診断するための上述のアッセイを経時的に行ってもよく、CD8T細胞の反応性の変化を測定する。例えば、アッセイは、約12、24、36、48、60または72時間ごとに、指定した期間、例えば数カ月または数週間にわたって行い、その後、必要に応じて行うことができる。
一般に、Mycobacterium感染は、IFN−γなどのサイトカインの発現を用いて検出されるものなどのCD8T細胞の反応性が経時的に増加する患者において進行している。対照的に、CD8T細胞の反応性が一定に保たれるまたは経時的に減少する場合は、Mycobacterium感染は進行していない。このようにして、小児またはLTBIに罹患している被験体などにおいて、特定の治療レジメンの有効性を評価することができる。
一実施形態では、Mtbポリペプチドを特異的に認識するCD8T細胞および/またはCD4T細胞などのT細胞の存在を、小児などの被験体で評価する。被験体に治療的プロトコールを投与する。その後、Mtbポリペプチドを特異的に認識するT細胞の存在を評価する。治療的プロトコールを投与する前のMtbポリペプチドを特異的に認識するCD8T細胞の量と比較した、Mtbポリペプチドを特異的に認識するCD8T細胞の量の減少または変化がないことは、それぞれ、治療的プロトコールが有効でないことを示す。治療的プロトコールを投与する前のMtbポリペプチドを特異的に認識するCD8T細胞の量と比較した、CD8T細胞およびMtbポリペプチドを特異的に認識するものの量の増加は、治療的プロトコールが有効であることを示す。CD4細胞も測定することができる。
上述のアッセイのうちの任意のものについて、感度を改善させるために、複数のMycobacteriumマーカーを所定の試料内でアッセイし得ることに注意されたい。本明細書中に開示したアッセイは組み合わせて使用できることが明らかであろう。したがって、Mycobacteriumポリペプチドの組、およびアッセイの組合せが、最適な感度および特異性のためとなる場合がある。
Mycobacteriumポリペプチド
いくつかのMycobacteriumポリペプチドを用いてT細胞応答などのMtbに対する免疫応答を誘導できることが、本明細書中に開示されている。Mycobacteriumポリペプチドを、MtbなどのMycobacteriumに感染した被験体を同定するための診断的アッセイに使用することができる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下として記載したアミノ酸配列を含むまたはそれからなる:
(配列番号1、式中、X1はAまたはTであり、XはTまたはAであり、Xは任意のアミノ酸、例えばQまたはアミノ酸なしである) 。
いくつかの例では、ポリペプチドは、以下として記載したアミノ酸配列を含む、それから本質的になるまたはそれからなる:
(配列番号2)(本明細書中に参考として組み込まれている、2007年3月1日に入手可能なTUBERCULIST番号Rv1038cも参照、EsxJ、ES6_2、TB11.0、QILSSとして公知)
(配列番号3、本明細書中に参考として組み込まれている、2007年3月1日に入手可能なTUBERCULIST番号Rv1197、EsxK、ES6_3、TB11.0、QILSSとしても公知)
(配列番号4、本明細書中に参考として組み込まれている、2007年3月1日に入手可能なTUBERCULIST番号Rv1992、EsxM、TB11.0、QILSSとして公知。
(配列番号5、本明細書中に参考として組み込まれている、2007年3月1日に入手可能なTUBERCULIST番号Rv2347c、EsxP、ES6_7、QILSSとしても公知)
(配列番号6、本明細書中に参考として組み込まれている、2007年3月1日に入手可能なTUBERCULIST番号Rv3620c、EsxW、ES6_10、QILSSとしても公知)。
さらなる実施形態では、ポリペプチドは、以下として記載したアミノ酸配列を含む、それから本質的になる、またはそれからなる:
(配列番号7、本明細書中に参考として組み込まれている、2007年3月1日に入手可能なTUBERCULIST番号Rv1088、PE9としても公知)。
(配列番号8、本明細書中に参考として組み込まれている、2007年3月1日に入手可能なTUBERCULIST番号Rv2487、PE_PGRS42としても公知)
(配列番号9、本明細書中に参考として組み込まれている、2007年3月1日に入手可能なTUBERCULIST番号Rv1860、Apa、modD、mpt32としても公知)
(配列番号10、本明細書中に参考として組み込まれている、2007年3月1日に入手可能なTUBERCULIST番号Rv1273c)。
(配列番号11、本明細書中に参考として組み込まれている、2007年3月1日に入手可能なTUBERCULIST番号Rv0159c、PE3またはPEとしても公知)。
(配列番号12、本明細書中に参考として組み込まれている、2007年3月1日に入手可能なTUBERCULIST番号3350c、PPE56またはPPEとしても公知。
さらなる実施形態では、Mtbポリペプチドは、ESAT−6を含む、それから本質的になる、またはそれからなる:
MTEQQWNFAGIEAAASAIQGNVTSIHSLLDEGKQSLTKLAAWGGGSGSEAYQGVQQKWDATATELNNALQNLARTISEAGQAMASTEGNVTGMFA
(配列番号39)。
有用なペプチド:
MTEQQWNFAGIEAAA 配列番号40
QWNFAGIEAAASAIQ 配列番号41
AGIEAAASAIQGNVT 配列番号42
AAASAIQGNVTSIHS 配列番号43
AIQGNVTSIHSLLDE 配列番号44
NVTSIHSLLDEGKQS 配列番号45
IHSLLDEGKQSLTKL 配列番号46
LDEGKQSLTKLAAAWG 配列番号47
KQSLTKLAAAWGGSG 配列番号48
TKLAAAWGGSGSEAY 配列番号49
AAWGGSGSEAYQGVQ 配列番号50
GSGSEAYQGVQQKWD 配列番号51
EAYQGVQQKWDATAT 配列番号52
GVQQKWDATATELNN 配列番号53
KWDATATELNNALQN 配列番号54
TATELNNALQNLART 配列番号55
LNNALQNLARTISEA 配列番号56
LQNLARTISEAGQAM 配列番号57
ARTISEAGQAMASTE 配列番号58
SEAGQAMASTEGNVT 配列番号59
QAMASTEGNVTGMFA 配列番号60 。
他の実施形態では、Mtbポリペプチドは、CFP−10を含む、それから本質的になる、またはそれからなる:
MAEMKTDAATLAQEAGNFERISGDLKTQIDQVESTAGSLQGQWRGAAGTAAQAAVVRFQEAANKQKQELDEISTNIRQAGVQYSRADEEQQQALSSQMG
(配列番号61)。
有用なペプチド:
MAEMKTDAATLAQEA 配列番号62
KTDAATLAQEAGNFE 配列番号63
ATLAQEAGNFERISG 配列番号64
QEAGNFERISGDLKT 配列番号65
NFERISGDLKTQIDQ 配列番号66
ISGDLKTQIDQVEST 配列番号67
LKTQIDQVESTAGSL 配列番号68
IDQVESTAGSLQGQW 配列番号69
ESTAGSLQGQWRGAA 配列番号70
GSLQGQWRGAAGTAA 配列番号71
GQWRGAAGTAAQAAV 配列番号72
GAAGTAAQAAVVRFQ 配列番号73
TAAQAAVVRFQEAAN 配列番号74
AAVVRFQEAANKQKQ 配列番号75
RFQEAANKQKQELDE 配列番号76
AANKQKQELDEISTN 配列番号77
QKQELDEISTNIRQA 配列番号78
LDEISTNIRQAGVQY 配列番号79
STNIRQAGVQYSRAD 配列番号80
RQAGVQYSRADEEQQ 配列番号81
VQYSRADEEQQQALS 配列番号82
RADEEQQQALSSQMG 配列番号83 。
有用なさらなるMtbポリペプチドは、その全体が本明細書中に参考として組み込まれている米国公開特許出願第2005/0208594号、PCT公開WO2005/0909988号、米国公開特許出願第2003/0147897号、米国公開特許出願第2004/01151211号、米国公開特許出願第2005/0272104号、米国公開特許出願第2006/0024332号、米国公開特許出願第2006/0115847号、米国公開特許出願第2007/0009547号、米国公開特許出願第2007/0184073に開示されている。複数のMtbポリペプチドを使用することができる。いくつかの実施形態では、ESAT−6(配列番号39)および/またはCFP−10(配列番号61)を本明細書中に開示した方法で利用する。
別の実施形態では、本明細書中に開示した方法で有用なMtbポリペプチドは、配列番号1〜12または39〜83のうちの1つに記載の1つのアミノ酸配列に少なくとも75%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%相同的な配列を有する。例えば、ポリペプチドは、配列番号1〜12または39〜83に記載のアミノ酸配列のうちの1つと少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%相同的なアミノ酸配列を有することができる。例示的な配列は、インターネットで容易に入手可能なコンピュータプログラムおよび本明細書中に記載のアミノ酸配列を用いて得ることができる。一例では、ポリペプチドは、Mtbエピトープと特異的に結合する抗体との結合などの、Mtbタンパク質の機能を保持する。
Mtbポリペプチドの一次アミノ酸配列の軽微な修飾は、本明細書中に記載の修飾していない対応物ポリペプチドと比較して、実質的に等価な活性を有するペプチドをもたらし得る。そのような修飾は、部位特異的突然変異誘発によるものなどの計画的なものであってよく、または自発的なものであってもよい。これらの修飾によって生成される全てのポリペプチドが本明細書中に含まれる。したがって、Mtbポリペプチドの具体的な非限定的な例はMtbポリペプチドの保存的変異体である。保存的置換の表を本明細書中に提供する。配列番号1〜12および39〜83に示すアミノ酸配列の置換をこの表に基づいて行うことができる。いくつかの実施形態では、最大で1個、最大で2個、最大で3個、最大で4個、または最大で5個の保存的置換をMtbポリペプチド内に導入する。
Mtbに対する免疫応答を検出するために使用できるMtbポリペプチドを本明細書中に開示する。これらのペプチドには、上述のMtbポリペプチドの少なくとも9個のアミノ酸、例えば9〜20個のアミノ酸の連続したアミノ酸が含まれる、またはそれからなる。具体的な非限定的な例は、上述のMtbポリペプチドのうちの1つの12、11、10個のアミノ酸、または9個の連続したアミノ酸である。これらの例では、Mtbポリペプチドには、配列番号1〜12、配列番号39および/または配列番号61として記載した完全長アミノ酸配列は含まれない。
Mtbポリペプチドからの9〜12個の連続したアミノ酸が含まれる単離したポリペプチドを開示し、単離したポリペプチドは、QTVEDEARRMW(配列番号13)として記載したアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは9、10または11個のアミノ酸の長さである。さらなる実施形態では、ポリペプチドは配列番号13として記載したアミノ酸配列からなる。Mtbポリペプチドからの9〜12個の連続したアミノ酸が含まれる単離したポリペプチドを開示し、単離したポリペプチドは、VSAAIAGLF(配列番号14)として記載したアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは9、10または11個のアミノ酸の長さである。さらなる実施形態では、ポリペプチドは配列番号14として記載したアミノ酸配列からなる。
さらなる実施形態では、ポリペプチドは9〜12個の連続したアミノ酸の長さであり、配列番号40〜60または配列番号65〜83として記載したアミノ酸配列のうちの1つを含む、それから本質的になる、またはそれからなる。
いくつかの実施形態では、単離したMtbポリペプチドは融合タンパク質中に含まれる。したがって、融合タンパク質には、Mtbポリペプチド(上記参照)および第2の異種部分、例えば、Mtbポリペプチドと共有結合したmyc タンパク質、酵素または担体(肝炎担体タンパク質もしくはウシ血清アルブミンなど)が含まれることができる。いくつかの例では、MHCクラスIと結合する配列番号1〜14、配列番号39もしくは配列番号61として記載したアミノ酸配列のうちの1つの9〜12個のアミノ酸からなるポリペプチドを、担体と共有結合させる。さらなる例では、配列番号1〜14のうちの1つとして記載したアミノ酸配列のうちの1つからなる、または配列番号40〜60もしくは65〜83として記載したアミノ酸配列のうちの1つからなるポリペプチドを、担体と共有結合させる。
さらなる例では、ポリペプチドは融合タンパク質であることができ、Mtbに対する異種配列(配列番号1に含まれない少なくとも9個のアミノ酸の長さのアミノ酸配列など)が含まれることもできる。したがって、いくつかの具体的な非限定的な例では、免疫原性ペプチドは融合ポリペプチドである、例えば、ポリペプチドには6個の連続したヒスチジン残基、β−ガラクトシダーゼアミノ酸配列、または免疫グロブリンアミノ酸配列が含まれる。また、ポリペプチドは担体と共有結合させることもできる。さらなる実施形態では、タンパク質はMtbポリペプチドからなる。
ポリペプチドには、本明細書中に開示したMtbポリペプチドのうちの1つまたは複数の反復が任意選択で含まれる場合がある。1つの具体的な非限定的な例では、ポリペプチドには、上述のMtbポリペプチドのうちの1つの2、3、4、5、または10個までの反復が含まれる。あるいは、複数のポリペプチドを融合ポリペプチドに含めることができる。したがって、いくつかの例では、ポリペプチドには、配列番号1〜14および/または配列番号39〜83として記載したアミノ酸配列のうちの少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5または少なくとも6個が含まれることができる。Mtbポリペプチドの間にリンカー配列を任意選択で含めることができる。
本明細書中に開示したMtbポリペプチドは、標準の方法によって化学合成できるか、または組換えによって産生することができる。ポリペプチド産生の例示的なプロセスはLuら、Federation of European Biochemical Societies Letters.、429巻:31〜35頁、1998年に記載されている。また、これらは調製用クロマトグラフィーおよび免疫学的分離を含めた方法によって単離することもできる。
所望する場合は、ポリペプチドを新生技術によって化学合成することもできる。1つのそのようなプロセスはW. Luら、Federation of European Biochemical Societies Letters.、429巻:31〜35頁、1998年に記載されている。また、ポリペプチドは、分子遺伝学技術を用いて、例えば、Mtbまたはそのエピトープをコードしている核酸を発現ベクター内に挿入し、発現ベクターを宿主細胞内に導入し、ポリペプチドを単離することによっても産生することができる(以下参照)。
本明細書中に開示したMtbポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドも提供する。例示的な核酸配列を以下に記載する:
ESXJ(ESAT−6様タンパク質2)
(配列番号15)
ESXK(ESAT−6様タンパク質3)
(配列番号16)
ESXM(ESAT−6様タンパク質ESXM)
(配列番号17)
ESXP(ESAT−6様タンパク質7)
(配列番号18)
ESXW(ESAT−6様タンパク質10)
(配列番号19)
PE9(PEファミリータンパク質)
(配列番号20)
PE_PGRS42(PE−PGRSファミリータンパク質)
(配列番号21)
Rv1860(フィブロネクチン付着タンパク質)
(配列番号22)
Rv1273c(可能性のある薬物輸送膜貫通ATP結合タンパク質ABCトランスポーター)
(配列番号23)
Rv0159c(PEファミリータンパク質)
(配列番号24)
Rv3350c(PPEファミリータンパク質)
(配列番号25)
これらのポリヌクレオチドには、目的のポリペプチドをコードしているDNA、cDNAおよびRNA配列が含まれる。コード配列中のサイレント突然変異は遺伝暗号の縮重(すなわち冗長)から生じ、複数のコドンが同じアミノ酸残基をコードしている場合がある。したがって、例えば、ロイシンはCTT、CTC、CTA、CTG、TTA、またはTTGによってコードされることができ、セリンはTCT、TCC、TCA、TCG、AGT、またはAGCによってコードされることができ、アスパラギンはAATまたはAACによってコードされることができ、アスパラギン酸はGATまたはGACによってコードされることができ、システインはTGTまたはTGCによってコードされることができ、アラニンはGCT、GCC、GCA、またはGCGによってコードされることができ、グルタミンはCAAまたはCAGによってコードされることができ、チロシンはTATまたはTACによってコードされることができ、イソロイシンはATT、ATC、またはATAによってコードされることができる。標準の遺伝暗号を示す表は様々な提供源に見つけることができる(例えば、L. Stryer、1988年、Biochemistry、第3版、W.H. 5 Freeman and Co.、NY)。
Mtbポリペプチドをコードしている核酸は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、転写に基づく増幅系(TAS)、自立配列複製系(3SR)およびQβレプリカーゼ増幅系(QB)などのin vitro方法によってクローニングまたは増幅することができる。例えば、タンパク質をコードしているポリヌクレオチドは、分子のDNA配列に基づくプライマーを用いたcDNAのポリメラーゼ連鎖反応によって単離することができる。広範なクローニングおよびin vitro増幅方法が当業者に周知である。PCR方法は、例えば、米国特許第4,683,195号、Mullisら、Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol.、51巻:263頁、1987年、およびErlich編、PCR Technology、(Stockton Press、NY、1989年)に記載されている。また、ポリヌクレオチドは、ゲノムまたはcDNAライブラリーを、所望のポリヌクレオチドの配列から選択されたプローブを用いて、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でスクリーニングすることによっても単離することができる。
Mtbポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドには、ベクター内で自己複製するプラスミドもしくはウイルスまたは原核生物もしくは真核生物のゲノムDNA内に組み込まれる、あるいは他の配列とは独立した別の分子(cDNAなど)として存在する、組換えDNAが含まれる。本発明のヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、またはいずれかのヌクレオチドの修飾された型であることができる。この用語にはDNAの一本鎖および二本鎖の形態が含まれる。
一実施形態では、ベクターは、S.cerevisiaeまたはKluyveromyces lactisなどの酵母中での発現に使用する。構成的プロモーター形質膜H−ATPase(PMA1)、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GPD)、ホスホグリセリン酸キナーゼ−1(PGK1)、アルコール脱水素酵素−1(ADH1)、および多面発現薬剤耐性ポンプ(PDR5)などのいくつかのプロモーターは、酵母発現系において有用であることが公知である。さらに、GAL1−10(ガラクトースによって誘導される)、PHO5(低い細胞外無機ホスフェートによって誘導される)、およびタンデム熱ショックHSEエレメント(37℃までの温度上昇によって誘導される)などの多くの誘導性プロモーターが有用である。滴定可能な誘導因子に応答して可変性の発現を指示するプロモーターには、メチオニン応答性のMET3およびMET25プロモーターならびに銅依存性CUP1プロモーターが含まれる。これらのプロモーターのうちの任意のものを複数コピー(2μ)または単一コピー(CEN)のプラスミド内にクローニングして、発現レベルにさらなる制御レベルを与え得る。プラスミドには、酵母中での選択のための栄養マーカー(URA3、ADE3、HIS1など)ならびに細菌中での増殖のための抗生物質耐性(AMP)を含めることができる。pKLAC1などの、K.lactis上で発現させるためのプラスミドは公知である。したがって、一例では、細菌中で増殖させた後、細菌形質転換に類似の方法によってプラスミドを対応する酵母栄養要求体内に導入することができる。
Mtbポリペプチドは様々な酵母株中で発現させることができる。例えば、7つの多面発現薬剤耐性トランスポーター、YOR1、SNQ2、PDR5、YCF1、PDR10、PDR11、およびPDR15を、その活性化転写因子、PDR1およびPDR3と一緒に、酵母宿主細胞中で同時に欠失させ、生じる株は薬物に感受性となる。エルゴステロール生合成を欠くerg6突然変異体などの、形質膜の脂質組成が改変された酵母株を利用することもできる。タンパク質分解に対する感受性が高いタンパク質は、他の液胞加水分解酵素の活性化を制御する、主要液胞エンドペプチダーゼPep4を欠く酵母中で発現させることができる。対応するヌル突然変異体が生存不能である場合は、温度感受性(ts)対立遺伝子を保有する株における異種発現を用いることができる。
また、本明細書中に開示したMtbポリペプチドをコードしているウイルスベクターを調製することもできる。ポリオーマ、SV40(Madzakら、1992年、J. Gen. Virol.、73巻:1533〜1536頁)、アデノウイルス(Berkner、1992年、Cur. Top. Microbiol. Immunol.、158巻:39〜6頁、Berlinerら、1988年、Bio Techniques、6巻:616〜629頁、Gorzigliaら、1992年、J. Virol.、66巻:4407〜4412頁、Quantinら、1992年、Proc. Nad. Acad. Sci. USA、89巻:2581〜2584頁、Rosenfeldら、1992年、Cell、68巻:143〜155頁、Wilkinsonら、1992年、Nucl. Acids Res.、20巻:2233〜2239頁、Stratford−Perricaudetら、1990年、Hum. Gene Ther.、1巻:241〜256頁)、ワクシニアウイルス(Mackettら、1992年、Biotechnology、24巻:495〜499頁)、アデノ関連ウイルス(Muzyczka、1992年、Curr. Top. Microbiol. Immunol.、158巻:91〜123頁、Onら、1990年、Gene、89巻:279〜282頁)、HSVおよびEBVを含めたヘルペスウイルス(Margolskee、1992年、Curr. Top. Microbiol. Immunol.、158巻:67〜90頁、Johnsonら、1992年、J. Virol.、66巻:2952〜2965頁、Finkら、1992年、Hum. Gene Ther.、3巻:11〜19頁、Breakfieldら、1987年、Mol. Neurobiol.、1巻:337〜371頁、Fresseら、1990年、Biochem. Pharmacol.、40巻:2189〜2199頁)、シンドビスウイルス(H. Herweijerら、1995年、Human Gene Therapy、6巻:1161〜1167頁、米国特許第5,091,309号および米国特許第5,2217,879号)、アルファウイルス(S. Schlesinger、1993年、Trends Biotechnol.、11巻:18〜22頁、I. Frolovら、1996年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、93巻:11371〜11377頁)、ならびにトリ(Brandyopadhyayら、1984年、Mol. Cell Biol.、4巻:749〜754頁、Petropouplosら、1992年、J. Virol.、66巻:3391〜3397頁)、ネズミ(Miller、1992年、Curr. Top. Microbiol. Immunol.、158巻:1〜24頁、Millerら、1985年、Mol. Cell Biol.、5巻:431〜437頁、Sorgeら、1984年、Mol. Cell Biol.、4巻:1730〜1737頁、Mannら、1985年、J. Virol.、54巻:401〜407頁)、およびヒト(Pageら、1990年、J. Virol.、64巻:5370〜5276頁、Buchschalcherら、1992年、J. Virol.、66巻:2731〜2739頁)起源のレトロウイルスを含めた、いくつかのウイルスベクターが構築されている。バキュロウイルス(Autographa californica核多角体病(multinuclear polyhedrosis)ウイルス、AcMNPV)ベクターも当分野で公知であり、商業的供給源から入手し得る(PharMingen、San Diego,Calif.、Protein Sciences Corp.、Meriden,Conn.、Stratagene、La Jolla,Calif.など)。
Mtbポリペプチドをコードするポックスウイルスベクターなどのウイルスベクターには、Mtbポリペプチドをコードしている核酸配列と作動可能に連結している少なくとも1つの発現制御エレメントが含まれる。発現制御エレメントは、核酸配列の発現を制御および調節するためにウイルスベクター中に挿入する。これらのベクターで有用な発現制御エレメントの例には、それだけには限定されないが、lac系、ファージラムダのオペレーターおよびプロモーター領域、酵母プロモーターおよびポリオーマ、アデノウイルス、レトロウイルスまたはSV40由来のプロモーターが含まれる。さらなる作動用エレメントには、それだけには限定されないが、リーダー配列、終止コドン、ポリアデニル化シグナルならびに宿主系においてMtbポリペプチドをコードしている核酸配列の適切な転写および続く翻訳に必要な任意の他の配列が含まれる。発現ベクターは、宿主系における核酸配列を含有する発現ベクターの転移および続く複製に必要なさらなるエレメントを含有することができる。そのようなエレメントの例には、それだけには限定されないが、複製起点および選択マーカーが含まれる。さらに、当業者には、そのようなベクターは慣用方法を用いて容易に構築され(Ausubelら、(1987年)、「Current Protocols in Molecular Biology」、John Wiley and Sons、New York, N.Y.)、市販されていることが理解されよう。
MtbポリペプチドをコードしているDNA配列は、適切な宿主細胞内へのDNA転移によってin vitroで発現させることができる。細胞は原核または真核であり得る。また、この用語には目的の宿主細胞の任意の子孫も含まれる。複製中に起こる突然変異が存在し得るため、全ての子孫が親細胞と同一でない場合があることは理解されよう。安定に転移させる方法、すなわち、外来DNAを宿主内に維持させ続ける方法は、当分野で公知である。
上述のように、Mtbポリペプチドをコードしているポリヌクレオチド配列は、発現制御配列に作動可能に連結させることができる。コード配列に作動可能に連結している発現制御配列は、コード配列の発現が発現制御配列と適合性のある条件下で達成されるようにライゲーションされている。発現制御配列には、それだけには限定されないが、適切なプロモーター、エンハンサー、転写ターミネーター、タンパク質をコードしている遺伝子の前の開始コドン(すなわちATG)、イントロンのスプライシングシグナル、mRNAの妥当な翻訳を可能にするその遺伝子の正しい読み枠の維持、およびストップコドンが含まれる。
宿主細胞には微生物、酵母、昆虫および哺乳動物の宿主細胞が含まれることができる。真核またはウイルスの配列を有するDNA配列を原核生物中で発現させる方法は当分野で周知である。適切な宿主細胞の非限定的な例には、細菌、古細菌、昆虫、真菌(例えば酵母)、mycobacterium(M.smegmatisなど)、植物、および動物細胞(例えば、ヒトなどの哺乳動物細胞)が含まれる。有用な例示的な細胞には、Escherichia coli、Bacillus subtilis、Saccharomyces cerevisiae、Salmonella typhimurium、SF9細胞、C129細胞、293細胞、Neurospora、ならびに不死化哺乳動物骨髄およびリンパ球の細胞系が含まれる。培養中の哺乳動物細胞を増殖させる技術は周知である(JakobyおよびPastan編、1979年、Cell Culture. Methods in Enzymology、第58巻、Academic Press, Inc.、Harcourt Brace Jovanovich、N.Y.を参照)。一般的に使用されている哺乳動物宿主細胞系の例は、VEROおよびHeLa細胞、CHO細胞、ならびにWI38、BHK、およびCOS細胞系であるが、より高い発現、望ましいグリコシル化パターン、または他の特長を提供するように設計された細胞などの細胞系を使用してもよい。上述のように、ポリエチレングリコール形質転換、プロトプラスト形質転換および遺伝子銃などの酵母細胞を形質転換させる技術も当分野で公知である(GietzおよびWoods、Methods in Enzymology、350巻:87〜96頁、2002年を参照)。
組換えDNAを用いた宿主細胞の形質転換は当業者に周知の慣用技術によって実施することができる。宿主がそれだけには限定されないがE.coliなどの原核である場合、DNA取り込みが可能なコンピテント細胞は、対数増殖期後に収集し、続いて当分野で周知の手順を用いてCaCl方法によって処理した細胞から調製することができる。あるいは、MgClまたはRbClを使用することができる。また、所望する場合は宿主細胞のプロトプラストを形成した後に、または電気穿孔によっても形質転換を行うことができる。
宿主が真核生物である場合、リン酸カルシウム共沈殿、微量注入などの慣用の機械的手順、電気穿孔、リポソームに包んだプラスミドの挿入、またはウイルスベクターなどの、DNAのトランスフェクション方法を使用することができる。また、Mtbポリペプチドをコードしているポリヌクレオチド配列、および単純ヘルペスチミジンキナーゼ遺伝子などの選択可能な表現型をコードしている第2の外来DNA分子を用いて、真核細胞を同時形質転換させることもできる。別の方法は、シミアンウイルス40(SV40)またはウシパピローマウイルスなどの真核ウイルスベクターを使用して、真核細胞を一過的に感染させるまたは形質転換させてタンパク質を発現させることである(例えば、Eukaryotic Viral Vectors、Cold Spring Harbor Laboratory、Gluzman編、1982年を参照)。
本開示のポリペプチドで使用するために適した数々の他のアッセイプロトコールが存在する。上記説明は例示的であることのみを意図する。
本開示は以下の非限定的な例によって例示する。
多くの感染症に関して、CD8応答のレパートリーは、抗原がMHC−Iプロセシング経路に進入し、ペプチドおよび/または非ペプチド抗原がMHC−I分子に結合し、これらの構造がT細胞によって認識されることにより形作られる。最後に、病原体特異的T細胞の比較的限定されたサブセットが出現する。いくつもの一般に認識されるCD4 Mtb抗原が記載されているが(Reedら、Microbes Infect 7巻:922〜931頁、2005年)(ESAT−6、CFP10、Ag85など)、驚いたことに、ヒトCD8T細胞によって認識される一般的なMtb抗原についてはほとんど公知でない。同定されているCD8エピトープの大部分は、MHCクラスIa分子に対する親和性の高い結合に対して選択されたMtbペプチドを試験することによって定義された(大抵の場合、HLA−A2(例えば、Lalvani、Microbes Infect 7巻;922〜931頁、1998年)を参照されたい)。しかし、これらのほとんど全てにおいて、Mtb感染個体におけるこれらのT細胞のex vivoでの頻度は低い、または検出不可能であり、これらの特異性が、免疫優性応答を表していない可能性があることが示唆されている。その一方、T細胞を使用して、選択されたMtb抗原に含有されるエピトープを定義した限られた事例では、高いex vivoでの頻度が実証され(Lewinsohnら、Am J Respir Crit Care Med 166巻:843〜848頁、2002年を参照されたい)、T細胞を中心にした手法によって、免疫優性エピトープを同定することができることが示唆されている。さらに、良好なCD4抗原を表している一部のMtb抗原(CFP10、ESAT−6、Ag85、およびMtb39)に対するCD8 T細胞応答が、Mtbに感染している人間において高頻度で検出されている。したがって、いくつかの公知のCD4 Mtb抗原を表しているオーバーラップした合成ペプチドの限定ライブラリーを使用して、活動性結核(TB)を有する人間および潜伏結核感染(LTBI)を有する人間、ならびに感染していない被験体におけるこれらの抗原に対するCD8応答の大きさを決定した。さらに、Mtb特異的CD8T細胞クローンのパネルを利用して、これらの抗原内部の認識される最小エピトープを定義し、ex vivoにおけるMtb特異的CD8応答に対するこれらの新規エピトープの寄与について決定した。
(実施例1)
材料と方法
ヒト被験体
感染していない個体を、ツベルクリン皮膚検査(TST)陰性であり、Mtb感染の公知の危険因子を持たない健康な個体と定義した。LTBIを有する個体を、TST陽性であり、活動性TBの症状および徴候がない健康な人間と定義した。全ての活動性TB症例において、肺TBがその郡の結核管理者によって診断され、痰の培養物がMycobacterium tuberculosissについて陽性であることによって確認された。静脈穿刺またはアフェレーシスによって得られた全血から末梢血単核細胞(PBMC)を単離した。
培地および試薬
培地は、10%ウシ胎児血清(FBS;Bio Whittaker)、5×10−5Mの2ME(Sigma−Aldrich)、および2mMのグルタミン(GIBCO BRL)を補充したRPMI 1640からなった。Mtb応答性T細胞クローンを増殖させアッセイするために、RPMI 1640に10%ヒト血清を補充した。Mtb株H37RvをAmerican Type Culture Collection (Rockville,MD)から入手し、前述の通り調製した(Lewinsohnら、J Immunol 165巻:925〜930頁、2000年)。ペプチドはGenemed Synthesis, Inc(San Francisco,CA)によって合成された。Mtbタンパク質を表している、11個のアミノ酸(aa)がオーバーラップした15merからなる合成ペプチドプールが、有力なCD4抗原であることが実証された。CFP−10(Berthetら、Microbiology 144巻:3195〜3203頁、1998年;Dillonら、J Clin Microbiol 38巻:3285〜3290頁、2000年)、ESAT−6(Sorensonら、Infect Immun 63巻:1710〜1717頁、1995年)、Mtb39a(2つのプール、AおよびB、参照)(Dillonら、Infect Immun 67巻:2941〜2950頁、1999年)、Mtb8.4(Colerら、J Immunol 161巻:2356〜2364頁、1998年)、Mtb9.9(Aldersonら、J Exp Med 191巻:551〜560頁、2000年)、(Colerら、J Immunol 161巻:2356〜2364頁、1998年)、Mtb9.9(Aldersonら、J Exp Med 191巻:551〜560頁、2000年)、EsxG(Rosenkrandsら、Electrophoresis 21巻:3740〜3756頁、2002年)、19kDa抗原(Collinsら、J Gen Microbiol 136巻:1429〜1436頁、1990年)、抗原85b(Borremansら、Infect Immun 57巻:3123〜3130頁、1989年)(2つのプール、AおよびB、参照)を表しているペプチドプールを合成した。ペプチドをDMSOに再懸濁し、プール内の各ペプチドの濃度が1mg/mlになるように、最大50個のペプチドを1つのプール内にまとめた。ペプチドプールを−80℃で保管した。
細胞系およびT細胞クローン
EBV形質転換B細胞系、LCLを、9B5−8細胞系(American Type Culture Collection)からの上清を使用して生成したか、またはNational Marrow Donor Program(NMDP;Minneapolis,MN)から入手した。LCLを、前述の通り連続的に継代することによって維持した(Heinzelら、J Exp Med 196巻:1473〜1481頁、2002年)。前述の通り、APCとしてMtb感染DCを使用し、限界希釈クローニング法を使用して、LTBIまたは活動性結核を有する個体からMtb特異的T細胞クローンを単離した(Lewinsohnら、J Immunol 165巻:925〜930頁、2000年)。簡単に述べると、製造者(Miltenyi Biotec,Auburn CA)の説明書に従って、CD4抗体でコーティングしたビーズを使用した負の選択、次いでCD8抗体でコーティングした磁気ビーズを使用した正の選択を用いて、またはフローサイトメトリーによって、PBMCからCD8T細胞を単離した。この場合、CD4−PE(BD Biosciences,cat#555347)陰性細胞、CD8−APC(BD Biosciences,cat#555369)陽性細胞(純度>99%)をBecton Dickenson LSR IIで選別した。種々の濃度のT細胞を、1×10個の、下記の通り生成した照射自己Mtb感染DCおよびrIL−2(5ng/ml)の存在下で、10%ヒト血清を補充したRPMI 1640 200μlからなる細胞培養培地に播種した。10〜14日の間に増殖を示したウェルを、ELISPOTおよびAPC供給源としてMtb感染DCを使用して、Mtb特異性について評価した。Mtb特異性を保持しているT細胞を、FACSによって、αβT細胞受容体の発現およびCD8の発現についてさらに表現型決定し、下記の通り拡大させた。Beckman CoulterからのIOTest Beta Mark Kitを使用してVβの利用を決定した。
T細胞クローンの拡大
CD8T細胞クローンを拡大させるために、抗CD3mAb刺激を用いた急速拡大プロトコールを前述の通り使用した(Heinzelら、J Exp Med 196巻:1473〜1481頁、2002年)。
末梢血DCの生成および感染
単核細胞由来のDCを調製した(Heinzelら、上記; Romaniら、J Exp Med 180巻:83〜93頁、1994年)。Mtb感染DCを生成するために、細胞(1×10)を、Mtbの存在下で一晩培養した(感染多重度[MOI]=50:1)。18時間後、細胞を回収し、RPMI/10%ヒト血清に再懸濁した。
MHC結合アッセイ
利用したMHC−ペプチド結合アッセイにより、ペプチドリガンドの、精製MHC分子への放射標識したペプチドの結合を阻害する能力が測定され、その詳細は他に記載されている(Sidneyら、1999年、UNIT18.3 Measurement of MHC/peptide interactions by gel filtration. In Current Protocols in Immunology. Coliganら編、John Wiley & Sons, Inc.、1996年)。簡単に述べると、精製MHC分子、試験ペプチド、および放射標識したプローブペプチドを、ヒトB2ミクログロブリンおよびプロテアーゼ阻害剤のカクテルの存在下、室温でインキュベートした。2日間インキュベートした後、W6/32抗体(抗HLA A、抗HLA B、および抗HLA C)またはB123.2(抗HLA B、抗HLA Cおよび多少の抗HLA A)でコーティングしたプレート上でMHC/ペプチド複合体を捕獲することにより、放射標識したペプチドの、対応するMHCクラスI分子への結合を決定し、マイクロシンチレーションカウンターを使用して分当たりの結合数(cpm)を測定した。競合アッセイのために、放射標識したペプチドの結合を50%阻害したペプチドの濃度を算出した。ペプチドは、一般には、100,000倍の用量範囲を包含する6つの異なる濃度で、3連以上の独立したアッセイで試験した。使用した条件下、[標識]<[MHC]およびIC50≧[MHC]で、測定されたIC50値は、真のKd値の妥当な近似値である。
IFN−γELISPOTアッセイ
IFN−γELISPOTアッセイを前述の通り行った(Beckmanら、J Immunol 157巻:2795〜2803頁、1996年)。Mtbの感染またはMtb抗原に応答した、CD4T細胞またはCD8T細胞のex vivoでの頻度を決定するために、レスポンダーT細胞の供給源として磁気ビーズ(Miltenyi Biotec、Auburn CA)を使用し、CD4T細胞またはCD8T細胞をPBMCから正に選択し、4つの異なる細胞濃度において2連で試験した。自己DC(細胞20,000個/ウェル)をAPCとして使用し、DCを、Mtbに感染させるかまたはペプチドプール(各ペプチドの最終濃度5μg/ml)でパルス処理し、次いでアッセイに加えた。T細胞クローンを使用したアッセイのために、T細胞(細胞1000個/ウェルまたは細胞5000個/ウェル)を、抗原の存在下または非存在下で自己LCL(細胞20,000個/ウェル)と共にインキュベートした。
データ分析
抗原特異的T細胞のex vivoにおける頻度を決定するために、2連のそれぞれについてウェル当たりのスポットの平均数を、ウェル当たりのレスポンダー細胞数と対照してプロットした。直線回帰分析を使用して、抗原特異的T細胞の頻度を表す直線の勾配を決定した。アッセイは、スポット数についての二項確率(Lewinshonら、Microbes Infect 8巻:2587〜2598頁、2006年)が実験アッセイと対照アッセイによって有意に異なる場合、陽性である、すなわち、刺激されたT細胞応答の存在を反映しているとみなされる。群間のex vivoにおけるT細胞の頻度の差異を決定するために、Wilcoxon/Kruskal−Wallis分析を使用した。
(実施例2)
免疫優性Mtb特異的CD8抗原の定義
免疫優性Mtb特異的CD8抗原を定義するため、およびこれらの応答がMtbの感染に起因するか否かを決定するために、感染していないドナー、LTBIを有するドナー、または活動性のMtb感染ドナーからのCD8T細胞を使用した。応答を、直接ex vivoで、またはMtb感染自己DCに対する限界希釈クローニングによって得られたCD8T細胞クローン(Lewinsohnら、J Immunol 165巻:925〜930頁、2000年)を使用して決定した。優性CD4Mtb抗原についてほとんど公知であるので、それらの一般的に認識される抗原のパネルをさらなる評価のために選択した。それらは、Mtb39、CFP10、およびMtb8.4、Mtb9.9、ESAT−6、Ag85b、19kDa、およびEsxGであった。予測されたHLA結合特異性のペプチドを使用することによって導入されるバイアスを避けるために、オーバーラップペプチドを合成して(15aa、11aaがオーバーラップ)目的のタンパク質を表した(Lewinshonら、J Immunol 166巻:439〜446頁、2001年)。
CD8T細胞のex vivoにおけるエフェクター細胞の頻度を正確に決定するために、直線回帰分析を使用した。図1に示したように、磁気ビーズで精製したCD8T細胞を、IFN−γELISPOTアッセイにおいて、CD8T細胞の数の範囲にわたる、ペプチドでパルス処理したDCと対照して試験した。アッセイ陽性を下記の通りに決定し、陽性の場合、直線回帰を使用して抗原特異的頻度を決定した。
感染していない被験体(n=14)、LTBIを有する被験体(n=20)および活動性TBを有する被験体(n=12)を、Mtb CD4T細胞抗原のパネル、ならびにMtb感染DCに対するCD8応答について評価した。試験した全ての被験体が、Mtb感染DCに対して強いCD8T細胞応答を有し、その大きさはLTBIを有する個体よりも活動性TBを有する個体の方が大きかった(p=0.01;図2、表1)。しかし、Mtb抗原のパネルに対するCD8T細胞応答は、感染していない個体とMtb感染個体との間の統計的有意な差異が、応答の大きさ(図2)およびアッセイ陽性の割合(表1)の両方について、10個の抗原のうち7個に見られたので、ほとんどMtbに感染した個体でのみ見られた。
しかし、活動性TBを有する個体とLTBIを有する個体との間のCD8T細胞応答の差異は、有意な差異ではなかった。試験した抗原の多くに対する強力なCD8T細胞応答が観察されたが、強力なMtb誘導性CD8T細胞応答があった数個体の被験体が、試験した抗原の多くに対して実証可能な応答を有さなかったことにも同様に注目すべきである。
これらのex vivoにおける頻度のデータは、いくつもの公知のMtb抗原に対する高頻度の応答の存在を実証しているが、制限対立遺伝子、最小エピトープ、または目的の遺伝子内部の順位制については明らかにしていない。この問題に取り組むため、Mtb感染DCを使用したヒトCD8T細胞の限界希釈クローニングを行い(Lewinsohnら、J Immunol 166巻:439〜446頁、2001年を参照されたい)、古典的なHLA制限CD8T細胞クローンと非古典的なHLA制限CD8T細胞クローンの両方のパネルを生成した。公知のCD4抗原を表しているペプチドプールを使用して、クローンの半分超においてHLA−Ia制限クローンの抗原特異性を定義することができる(表II)。
この手法は、活動性TBを有する被験体から得た単一の代表的なクローン、D466 D6に関して詳細に実証されている。図3Aに示したように、ペプチドプールのパネルでパルス処理した自己DCと対照してこのクローンを試験することにより、抗原特異性がCFP10であると明確に定義された。次いでこのクローンを、CFP10プールを含む15merのペプチドのそれぞれと対照して試験し、その結果、エピトープがCFP101〜15の中に含有されていることが明らかになった(図3B)。次いで、可能性のある、8aaペプチド、9aaペプチド、10aaペプチドおよび11aaペプチドのそれぞれを合成し、応答性について試験し、その結果、aa2〜11間の抗原活性が明らかになった(図3C)。同様に、各クローンを、少なくとも1種のHLA型をドナーと共有しているリンパ芽球様細胞系(LCL)と対照して試験した(図3D)。B4501およびC1601を共有する自己LCLおよびIHW9058LCLによってクローンにエピトープが提示され、B4501とC1601の両方が可能性のある制限対立遺伝子であると同定された。しかし、C1601D433LCLによってエピトープは提示されず、C1601は候補制限対立遺伝子として排除される。したがって、D466 D6は、HLA−B4501によって制限される。図4で実証しているように、妥当と思われるエピトープそれぞれを、広範な濃度範囲にわたって試験することにより、D466 D6について最小エピトープはCFP102〜10であると定義された。最小エピトープの割り当てを支持する実験データが、補足的な図において各クローンにたいしてもたらされている。抗原特異性、最小エピトープ、およびHLA制限対立遺伝子の要約を表IIIに示す。予想外に、1つを除いた全てのT細胞クローンがHLA−B対立遺伝子によって制限された。さらに、観察されたこれらの大部分は長さが9aaであった。
個々のCD8T細胞クローンのそれぞれを、Mtb感染DCの増殖に基づいて得たので、抗原および同定されたエピトープがex vivoにおける免疫優性エピトープを反映しているか否かを決定した。第1に、応答が高頻度でもたらされたかどうかを決定するため、第2に、抗原に対する全応答のどのくらいの割合がエピトープによって構成されているかを決定するための、2つの独立した手法を進めた。ex vivoにおけるエフェクター細胞の頻度を決定するために、図1に記載のように、T細胞クローンを単離したドナーから得た、自己DCおよび磁気ビーズで精製したCD8T細胞を使用して各エピトープを試験した。エフェクター細胞の頻度についての要約を表IIIに示す。大部分について、エピトープは高頻度の応答を反映し、したがって、Mtbへの曝露によって刺激された応答であるとみなすことができる。特に、4個体のドナーから単離されたT細胞がCFP10を認識した。定義されたエピトープが、目的の抗原に対する全応答の相当な割合を反映したかどうかを決定するために、利用可能な末梢血単核細胞(PBMC)を十分に有するドナー3個体からの、磁気ビーズで精製したCD8T細胞を、個々の15merペプチド、ペプチドプール、および最小エピトープを表しているペプチドのそれぞれに対する応答性について試験した。図5で実証しているように、最小エピトープ、最小エピトープを含有する15merペプチド(単数または複数)、およびペプチドプールに対するex vivoにおける頻度は著しく調和した。これらのデータにより、各ドナーに対して、順位性が明らかに確立されており、元のクローンに反映されていることが示唆された。最後に、表IIIに示したように、特異性が同一である娘クローンが頻繁に同定され、結果は免疫順位性に基づいて予測される。TCR Vベータ染色を使用して娘クローン間のクローン関連性を確認した。興味深いことに、2つの場合で、2つの別個のクローンによって同一の最小エピトープおよびHLA制限が表された(表III)。
Mtbに対するヒトCD8T細胞応答についての多くの研究はHLA予測アルゴリズムを使用することに頼っているため、各ペプチドが定義された際に、エピトープがこれらの手法で予測されたか否か問われた。これらのエピトープの多くは、強力に順位付けされなかった。このことは、これらのアルゴリズムが使用された時点でのその限界を強調し得る。この問題に実験的に取り組むために、最小エピトープの定義の過程で合成された各ペプチドについてのIC50を、ヒトHLA分子のパネルと対照して決定した。表IIIに示したのは、同族の制限対立遺伝子を持つ最小エピトープについてのIC50である。データにより、T細胞のエピトープがHLAに親和的に結合することが実証され、T細胞のエピトープのデータとHLA結合性のデータとが高度に一致することが示されている。
データにより、CD8T細胞応答が、Mtbに感染した人間において、ワクシニア、インフルエンザ、およびCMVなどの多くの一般的なウイルスに感染した後に見られる応答に匹敵する頻度でもたらされることが実証された。マッピングされたエピトープの1つを除いた全てがHLA−B分子によって制限された。データにより、エピトープを同定するためのT細胞による手法を使用することにより、Mtbに感染したヒトにおいて優性エピトープを定義することができることが示唆される。
(実施例3)
ゲノムペプチドライブラリーと対照したT細胞クローンのスクリーニング
公知のMtb抗原のペプチドプール(Rv3875、Rv3874、Rv1886c、Rv0287、Rv3763、Rv1174c、Rv1196、Rv1793、Rv2346c、Rv1037c、Rv3619cおよびRv1198)の1つを認識しなかった古典的な制限T細胞クローンおよび非古典的な制限T細胞クローン(上記の表IIを参照されたい)を、ゲノムペプチドライブラリーと対照してスクリーニングした。このペプチドライブラリーは、389個の遺伝子を表しており、Mtbゲノムのおよそ10%を表している。ペプチドは、15merであり、各遺伝子産物に対して11個がオーバーラップしている。各ペプチド50nmolを個々に合成し、次いで96ウェル型中ペプチド50個のプール777個にプールした(プレート9個)。9個のプレートそれぞれに、空のウェル5つおよび関係のないペプチドプール、SIV gagのウェル1つを含めた。ゲノムペプチドライブラリーと対照してクローンをスクリーニングするために、まずクローンを拡大させ、Mtb感染DCと対照して試験して、この特定の拡大した各クローンが、ELISPOTアッセイにおいて強いMtb特異的シグナルをもたらすことを確実にした。次いで、最大6つのT細胞クローンをプールした。スクリーニングするために、ELISPOTアッセイにおいて、T細胞クローン(細胞5,000個/ウェルの各クローン)、自己DC(細胞20,000個/ウェル)、IL−2(0.5ng/ml)およびペプチドプール(5ug/ml、個々のペプチド)を、37℃で一晩インキュベートした。ペプチド抗原を有するウェル当たり5000個のT細胞クローンが圧倒的に陽性の応答をもたらしたので、プールごとに1回のみ技術的な反復を行い、最終的な結果に至った。D504からの6つの古典的なクローンがゲノムペプチドライブラリーと対照してスクリーニングされ、新規エピトープの発見が導かれた。このエピトープは、EsxJ、EsxW、EsxKおよびEsxPを含む4つのタンパク質のファミリーからのものであった。これらのタンパク質は98%の相同性を共有し、3つのアミノ酸のみが異なる。このファミリーには5番目のメンバー、EsxM(Rv1792)があるが、これはゲノムペプチドライブラリーには含めなかった。
クローンを、これらのペプチドプールについて個々の15merと対照してスクリーニングした。6つの古典的なクローン全てがEsxJ21〜35を認識した。これは、このファミリーの他の4つのメンバーと同一であるEsxJの領域である。次に、この15merから9mer、10merおよび11merのペプチドを作製し、各クローンと対照してスクリーニングした。最小エピトープはEsxJ24〜34であることが決定された。さらに、HLA制限はB5701であることがわかった。
(実施例4)
ゲノムペプチドライブラリーと対照したT細胞クローンの追加スクリーニング
D432Bからの古典的なクローン11個を、上記のゲノムペプチドライブラリーと対照してスクリーニングした。2つのクローンについて抗原が決定され、それにより2つの新規エピトープ、PE_PGRS4247〜55およびPE953〜67の同定が導かれた。一方のクローンについての最小エピトープはPE_PGRS4247〜55であることが決定され、HLA制限はB3514であることがわかった。他方のクローンについての最小エピトープはまだ決定されていないが、PE953〜6715merに含有されている。このクローンについてのHLA制限はB3905であることがわかった。
(実施例5)
ゲノムペプチドライブラリーと対照したex vivoCD8T細胞のスクリーニング
LTBIドナー、D610(SE Asian)からのCD8T細胞を、上記のゲノムペプチドライブラリーと対照してスクリーニングした。ゲノムペプチドライブラリーの各プレートを、2連で、スクリーニングごとに全部で18個のELISPOTプレートについてスクリーニングした。CD8T細胞を、磁気ビーズ分離を使用したCD8選択によって、凍結保存されたPBMCから調製した。生じた細胞集団は、≧96%のCD8T細胞を含有した。CD8T細胞(細胞250,000個/ウェル)、自己DC(細胞20,000個/ウェル)、およびIL−2(0.5ng/ml)を、ELISPOTプレート中のペプチド(最終的に5ug/ml、個々のペプチド)に加えた。各プレートに5つの培地対照ウェルを含めた。各プレートについて、これら5つのウェルの平均をそのプレートの各ウェルから引いてプレート間を標準化した。次いで、各プレートに対する技術的な反復をそれぞれスコア化した。培地ウェルの平均より少ないスポット形成単位(SFU)が、10以上であり、SFUが培地の平均の2倍以上であった場合に、ウェルが陽性であるとスコア化した(Hudgensら、J. Immunol. Methods 288巻:19〜34頁、2004年)。このドナーは、EsxJ、EsxW、EsxKおよびEsxPを含有する4つのペプチドのウェルに応答した。次いで、CD8T細胞を、これらのペプチドプールからの15merそれぞれと対照してスクリーニングし、上記の実施例3に記載した、EsxJ、EsxW、EsxKおよびEsxPの同じ領域、EsxJ21〜35のみに応答することがわかった。
追加のドナー7個体を、ゲノムペプチドライブラリーと対照してスクリーニングした。上位10の応答について表7に記載している。黄色で強調した4つのペプチドプールはただ1つの遺伝子からのペプチドを含有する。これらの4つの遺伝子は4つの新規エピトープを含有する。
(実施例6)
小児においてTBを診断するためのCD8+T細胞の使用
この結果は、小児においてTBを診断するためのCD8T細胞の使用の、予想外の感受性および特異性を実証している。
方法
参加者および手順:
参加者を、ウガンダのカンパラの別々の募集場所から2つの臨床研究群に登録した。健康な曝露(HE)群について、成人の保菌容疑者家庭の小児(<15歳)を、ウガンダのカンパラにおける前向きコホート研究に登録されたAFBスメア陽性、培養で確認された肺結核TBで評価した。簡単に述べると、成人の家族の一員がTBのケアを求めた後に募集が行われた。研究への参加時に、詳細な人口統計的情報および臨床情報を、標準化された形式で収集し、活動性TBの症状についての標準化されたスクリーニングアンケートを施し、理学的検査および前胸部X線撮影(CXR)を行った。研究の登録時に全ての小児について体重および身長を記録した。個体の肥満度指数(BMI)をWHOの小児成長基準と比較することによって栄養状態を決定し、BMIのZスコアが3以下であるものを重篤な栄養不良と定義した。5単位の精製ツベルクリン(Pasteur Merieux Connaught,Swiftwater,PA)を用い、マントゥー法でツベルクリン皮膚検査(TST)を行った。検査は看護師または訓練された医療従事者によって施され、設置の48〜72時間以内に読み取った。WHO基準(WHO2006)を使用して検査陽性について定義し、重篤な栄養不良の小児については硬化が5mmを超えることを陽性とみなし、残りの小児については硬化が10mmを超えることを陽性とみなした。TSTの結果は、研究への参加者全員について得られた。18カ月を超えた全ての小児に対して、ELISAによってHIV検査を行った;18カ月未満の小児については、生物学上の親がHIV陽性であるとわかった場合にのみHIV検査を行った。登録時または観察期間の6〜24カ月の間に活動性TBに関わる症状がある小児に、研究者の医師による、反復CXRおよびマイコバクテリアのスメアおよび少なくとも1つの胃の吸引試料の培養を含めた、完全な臨床的かつ診断的な評価を受けさせた。検体を常法によって処理し、蛍光染色を行ってAFBを検出し、Loewenstein−Jensen培地ならびにMiddlebrook7H9ブロスで培養した。全てのマイコバクテリア培養物を、AFBの増殖について8週間モニタリングした。微生物学者は、参加者のTB分類およびTST検査の結果について目隠しされた。6カ月後に活動性TBを発生しなかった小児のみを含めた。TBの前歴がある、もしくは現在TBである小児、または免疫抑制性の小児(コルチコステロイドを受けているまたはHIVを有する)は除外した。書面のインフォームドコンセントを得た。
確証+推定(CP)TB群について、確証TBまたは推定TBのいずれかについてのWHO基準(表1;WHO1983)を満たす急性の病気の小児(≦10歳)を登録した。TBの症状および徴候で入院した小児(TBの疑い、WHO1983)を、完全な臨床的評価、CXR、TST、および、2歳より上の場合はHIV酵素結合免疫測定法(ELISA)または、18カ月未満の場合はHIVポリメーラーゼ連鎖反応(PCR)で評価した。TSTを行い、HE小児について正確に解釈した。この評価の結果に基づいて、推定TBの基準を満たす小児を登録した。詳細な人口統計的情報および臨床的情報を標準化された形式で前向きに収集し、生存している小児を、研究者の医師による2カ月の経過観察訪問時に評価した。正確に、HE小児に関して、小児の体重および身長を記録し、栄養状態を評価した。登録された小児にマイコバクテリアのスメアを行い、1つの誘導された痰試料を培養した。一部の例では、病理および/またはマイコバクテリアのスメアおよび培養のために、リンパ節の吸引物を得た。2カ月の経過観察に基づいて、小児に、確証TBである、推定TBである、またはTBでないという最終的な指定を受けさせた。TBを有さなかった小児を分析から除外した。TBの分類を割り当てる研究者は、ELISPOT試験の結果について目隠しされた。研究に登録する前に、各小児の親または保護者から、現地語の書面でインフォームドコンセントを得た。
全ての小児について、研究への登録時、TST設置前に1〜2cc/kg(最大20cc)を採血した。標準の方法によって末梢血単核細胞(PBMC)を単離し、凍結保存した。
培地および試薬:
培地は、10%ヒト血清、5×10−5Mの2ME(Sigma−Aldrich)、および2mMのグルタミン(GIBCO BRL)を補充したRPMI 1640からなった。ペプチドはGenemed Synthesisによって合成された。Mtb特異的タンパク質、CFP−10およびESAT−6を表している11個のアミノ酸(aa)がオーバーラップした、15merからなる単一の合成ペプチドプールを合成した。ペプチドをDMSOに再懸濁し、プール内の各ペプチドの濃度が1mg/mlになるように、43個のペプチドを1つのプール内にまとめた。ペプチドプールを8℃で保管した。
IFN−γELISPOTアッセイ:
前述の通り(2)一晩のIFN−γELISPOTアッセイを行った。アッセイは、凍結保存されたPBMCに対して行った。PBMCの調製、凍結保存、およびIFN−γELISPOTアッセイは、ウガンダ、カンパラにあるJoint Clinical Research Center (JCRC)の免疫学研究室において、TBRU主催の下行われた。ESAT−6/CFP−10特異的CD4T細胞の頻度を決定するために、全PBMCを応答性T細胞の供給源として使用した。ESAT−6/CFP−10特異的CD8T細胞の頻度を決定するために、CD4磁気ビーズとCD56磁気ビーズ(Miltenyi Biotec)の組合せを使用してPBMCから負の選択をされたCD8T細胞を応答性T細胞の供給源として使用した。ペプチドでパルス処理した単核細胞由来の樹状細胞(DC)は、ex vivoにおけるCD8T細胞エフェクターを列挙するための最も感受性の高い抗原提示細胞であることがわかっているが(3)、DCを生成するために十分なPBMCが必要とされる。これらの研究について、入手可能な血液の量がこの手法の妨げとなる。結果として、磁気ビーズ除去を使用して、内在性単核細胞を抗原提示細胞として使用できるようにした。予備実験において、CD4の除去により、CD56NK細胞が同時に除去されることによって排除され得る高いバックグラウンドが生じた。DCを使用することと直接比較すると、この方法は、抗原特異的CD8T細胞の列挙においておよそ80%効率がよい。フローサイトメトリー分析により、CD4の混入率は<2%、およびCD8の純度は>85%であることが明らかになった。残りの細胞は、主に単核細胞、そしてB細胞で構成されている。IFN−γELISPOTを、細胞250,000個/ウェルのPBMC(CD4T細胞のアッセイ)またはCD4/CD56が除去されたPBMC(CD8T細胞のアッセイ)、および抗原の供給源としてペプチドプール(各ペプチドの最終的な濃度は5μg/ml)を使用して行った。各アッセイに、陰性対照および陽性対照を含め、それらはそれぞれ、抗原無しの細胞または抗原無しだが植物性血球凝集素(phytohemagglutanin)(PHA、101g/ml;EMD Bioscience)を含めた細胞のいずれかを含有するウェルからなった。全ての決定を2連で行った。一部の例では、抗原を含まない(培地)対照について3連で行った。
抗原特異的T細胞のex vivoにおける頻度を決定するために、2連のそれぞれについて、ウェル当たりのスポット形成単位(SFU)の平均数を決定し、培地対照におけるSFUの平均数と比較した。技術的な反復間のウェルからウェルの変動性を説明するために、培地対照の標準偏差を算出した。抗原特異的応答が、少なくとも2つの、バックグラウンド対照を超える標準偏差であるものをELISPOTアッセイ陽性と定義した。この基準を満たす場合、バックグラウンドを引いて抗原特異的応答を決定した。ウェル当たり≧30SFUをPHA応答陽性と定義した。
研究計画および統計分析:
ベースラインの採血からCD4T細胞応答およびCD8T細胞応答を比較して横断的研究を行い、2つの臨床研究群、CP−TBの小児またはHE小児を比較した。第1の分析において、HE研究群についてCP−TB群とは独立して試験し、Mtb特異的T細胞応答の発生に対する年齢の影響を研究した。この分析のために、≦15歳の小児全てについて試験した。次に、CP−TB研究群とHE研究群を比較するために、CP−TB研究群は年齢が≦10になるように募集されたので、コホート内の元々の年齢差異を調整するために、HE群から≦10歳の小児のみを選択した。
ELISPOTアッセイのデータ(SFU)をエクセル(Microsoft CORP,Redmond,WA,USA)からSASデータファイルにインポートし、全ての分析をSASバージョン9.1(SAS Institute Inc,Cary,NC,USA)を使用して行った。連続変数に対してスチューデントのt検定、およびカテゴリー変数に対してカイ二乗(または指示がある場合フィッシャー抽出)を使用して、HEおよびCP−TBおよび確証TB(C−TB)の間のベースライン一変量比較を行った。同様に、臨床研究群によるELISPOTアッセイ陽性の頻度のカテゴリー比較を、カイ二乗検定を用いて評価した。連続変数に対してノンパラメトリック分析(ウィルコクソン順位和)を使用してバックグラウンドを超えるSFUを比較した。感受性を、CP−TB群またはC−TB群単独からのアッセイ陽性の数割る解釈可能なアッセイの総数として算出した。特異性を、HE群におけるアッセイ陰性の数割る解釈可能なアッセイの総数として算出した。
CP−TBに関する因子を研究するために、いくつかのモデルを評価して、潜在的交絡変数を調整しながら臨床研究群との関連に対するELISPOTアッセイ陽性の影響力を研究した。この点において、CP−TB臨床研究群であること対HEであることのオッズを、CD8のELISPOTアッセイ、CD4のELISPOTアッセイ、年齢(0〜5歳、5〜10歳)、栄養状態(BMI)、およびTSTの結果によって説明してモデリングした。まず、CD8のELISPOTおよびCD4のELISPOTの単独の予測値を下記のモデルにおいて試験した:(1)対数オッズ(臨床研究群)=α+β(+CD8ELISPOT/−CD8ELISPOT)+β(年齢)+β(ZBMI)+β(TST);(2)対数オッズ(臨床研究群)=α+β(+CD4ELISPOT/−CD4ELISPOT)+β(年齢)+β(ZBMI)+β(TST)。どちらのモデルにおいても、参照の臨床研究群はHE群であった。CD8のELISPOTアッセイおよびCD4のELISPOTアッセイの予測値を同じモデルで評価した。この点において、下記のモデル:対数オッズ(臨床研究群)=α+β(CD8ELISPOT)+β(CD4ELISPOT)+β(年齢)+β(ZBMI)+β(TST)が適合し、参照の臨床研究群はまたHE群であった。次いで、全てのモデルに対して逆向きロジスティック回帰を行ってモデルの適合を増加させた。
結果
HEの小児における、CD4T細胞応答およびCD8T細胞応答に対する年齢の影響を研究するために、≦15歳の保菌容疑者家庭の小児129人(図9a)を評価した。ベースラインの登録から6カ月以内にTBを発症した小児20人およびHIV陽性であることがわかった小児5人を除外に含めた。したがって、≦15歳の保菌容疑者家庭104人に対してELISPOTアッセイを行い、最終的な分析には98個のPBMCのELISPOTアッセイおよび79個のCD8のELISPOTアッセイが含まれた。HEコホートとCP−TBコホート(≦10歳)間のCD4T細胞応答とCD8T細胞応答を比較するために、≦10歳であるHEの小児からのELISPOTアッセイのデータのみを含めた。HEの小児62人に対して行ったELISPOTアッセイをこの比較分析のために含めた(図9a)。CP−TB群に関して、TBの疑いのあるHIV陰性の小児101人(表VI)を適格性について評価した。これらのうち、確証TBまたは推定TBの小児96人を登録し、CD4のELISPOTおよびCD8のELISPOTを行い、それぞれ、82個のPBMCのELISPOTアッセイおよび87個のCD8のELISPOTアッセイが解釈可能であり、最終的な分析に含めた(図9b)。健康なTB曝露小児、確証TBおよび推定TBの小児、および確証TBの小児の間で、解釈可能な試料の数に有意な差はなかった。
臨床研究群に登録された全ての小児(HE(≦10歳)およびCP−TB)の臨床特性および比較を表VIIに示す。
表VII.HE研究群およびCP−TB研究群のベースラインの特性
連続変数に対して報告したp値は、スチューデントのt検定(ζ)Satterthwaite不等分散を使用して算出した。カテゴリーデータ(TSTおよび性別)に対するp値は、カイ二乗法を使用して算出した。
CP−TBの小児は、HEコホートよりも栄養不良がひどく(p<0.001)、わずかに年齢が下であった(0.01)。TST陽性の頻度はHEの小児とCP−TBの小児のどちらでも同等であった。確証TB(C−TB)の小児は、HEの小児(p<0.001)および推定TBの小児(P−TB、p=0.01)よりも栄養不良がひどかったが、年齢、性別、またはTSTの結果は、HEの小児またはP−TBの小児と差異がなかった。HE臨床研究群(≦10歳)およびCP−TB臨床研究群に登録された、ELISPOTの結果が解釈可能な小児のみのベースラインの臨床特性(年齢、性別、BMI、およびTSTの状態)は、登録された全小児のベースラインの臨床特性と異ならなかった。
まず、小児における経時的なMtb特異的T細胞応答の獲得を比較するために、HEコホートにおいてMtb特異的T細胞応答の大きさを分析し、<5歳の小児と5≦15歳の小児を比較した。どちらの年齢群においても強いCD4T細胞応答が観察されたのに対して、CD8T細胞応答は、年長の小児に比べて<5歳の小児では低下した(p=0.055、図10)。これらのデータにより、CD8T細胞応答が、年少の小児では不十分であることが実証された。
次に、Mtb特異的T細胞応答を、HEの小児とTBの小児との間で比較した。HEコホートに比べ、確証TBの小児(C−TBコホート、p=0.001、図3a)および全てのTBの小児(CP−TBコホート、p=0.008)ではCD8のELISPOTアッセイ陽性の割合が多かった。CD4(PBMC)のELISPOTアッセイ陽性の割合は、HEコホートよりもC−TBコホートで多かったが(p=0.02、図3a)、CP−TBコホートとHEコホートでは同等であった(p=0.14)。次いで、HEコホート、C−TBコホートおよびCP−TBコホートを、年齢による階層ごとに比較した。全ての小児からのアッセイ結果と同様に、HEの小児と5歳未満のTBの小児だけを比較した場合、CD8のELISPOTアッセイ陽性の割合は、確証TBの小児(C−TBコホート、p=0.009、図11b)および全てのTBの小児(CP−TBコホート)で多かった。しかし、<5歳の小児のみを考慮した場合、CD4(PBMC)のELISPOTアッセイ陽性の割合は、全てのコホート間で同等であった(図11b)。5≦10歳の小児の間で、CD8のELISPOTアッセイ陽性およびCD4(PBMC)のELISPOTアッセイ陽性の割合は、HEコホートに比べてCP−TBコホートで多かったが、C−TBコホートとHEコホートでは同等であった。
TBを同定するためのCD4のELISPOTアッセイおよびCD8のELISPOTアッセイの試験性能の評価は、コホートのサイズが小さいことにより制限されたが、感受性および特異性を算出するために、それぞれ、TBコホートの最も信頼できる基準としてC−TB、およびHEコホートを使用してELISPOTアッセイ陽性の感受性および特異性の予備分析を行った。≦5歳の小児において、CD4のELISPOTアッセイおよびCD8のELISPOTアッセイの感受性は同等であった(それぞれ、C−TB(CI 0.30〜0.78)56%、およびC−TB(CI 0.24〜0.71)47%)。しかし、CD8のELISPOTアッセイは、CD4のELISPOTアッセイよりも特異的であった(それぞれ、88%CI 0.68〜0.97、および62%CI 0.44〜0.78)。
5>10歳の小児において、CD4のELISPOTアッセイおよびCD8のELISPOTアッセイの感受性および特異性は同様であった(感受性、CD4 100%(CI 0.47〜1.0)]、CD8、86%[(CI 0.0.42〜0.99)];特異性、CD4 63%[CI 0.40〜0.82]、CD8 70%[CI 0.45〜0.88])。次いで、どの変数が、年齢階層を渡ってELISPOTの陽性または陰性に影響および/または交絡し得るかが問われた。ロジスティック回帰分析を行ってCP−TBに関連する共変量をモデリングし、CD8のELISPOTおよびCD4のELISPOT、年齢、栄養状態(Zスコア/BMI)、およびベースラインのTSTの状態を含めた。最初の2つのモデルについて、CD8のELISPOT陽性およびCD4のELISPOT陽性に対する共変量を独立にモデリングし、次いで第3の反復の表VIIIで一緒にした。
表VIII:ELISPOTアッセイの結果の多変量ロジスティック回帰分析
*確証TBまたは推定TBを有する対数オッズを、モデル1〜3に示した種々の共変量によってモデリングした。モデル1において、確証TBまたは推定TBを有するオッズは、CD8のELISPOTが陽性の小児において3.8倍高かった(Hosmer Lemeshowの適合度0.07)。対照的に、モデル2に示したように、CD4のELISPOTは、確証TBまたは推定TBを有することに関連しなかった(Hosmer Lemeshowの適合度p=0.15)。CD8のELISPOTおよびCD4のELISPOTに対する共変量を両方含めたモデル3において、確証TBまたは推定TBを有するオッズは、そのモデルにおいて他の共変量について調整したCD8のELISPOTが陽性の小児において4.7倍高かった(Hosmer Lemeshowの適合度0.21)。
CD8 T細胞のELISPOTが陽性の小児のCP−TBを有するオッズは、年齢、BMI、およびベースラインのTSTで調整した健康な曝露された小児のCP−TBを有するオッズと比べて3.8倍高かった(p=0.004)。比較すると、CD4のELISPOTが陽性の小児の、CP−TBを有するオッズは高くなかった。CD8のELISPOTの共変量とCD4のELISPOTの共変量の両方を含めたモデルにおいて、CD8のELISPOT陽性の存在は、CD4のELISPOTの結果で調整したCP−TBを有することと有意に関連した。モデルの適合を増加させるために、逆向きロジスティック回帰を利用した。このモデルでは、CD8のELISPOTが陽性の誰かが確証TBまたは推定TBを有するオッズは、年齢のみで調整した健康な曝露群の誰かが確証TBまたは推定TBを有するオッズの4.6倍(CI 1.8〜12.1)であった(p=0.002)。CD4 T細胞のELISPOTは、全体のモデルの適合を増大させず、逆向き反復選択プロセスにおいてBMIおよびTSTの状態と共に排除された(Hosmer Lemeshowの適合度p=0.68)。
臨床研究群間のCD8T細胞応答およびCD4T細胞応答の大きさ(図12)。≦5歳の小児について、CD8T細胞応答の大きさは、TBの小児(CP−TB、p=0.01;C−TB、p=0.009)において大きかったが、一方、CD4T細胞(PBMC)応答は、臨床群間で同等であった。同様に、5≦10歳の小児について、CD8T細胞応答およびCD4T細胞応答の大きさは、HEコホート、CP−TBコホート、およびC−TBコホート間で同等であった。
(実施例6)
肺外TBの診断
肺外結核の診断は特に難易度が高い。ESAT−6およびCFP−10に対するCD8T細胞応答について、ウガンダの肺外結核の小児において研究した。肺外TBの小児において、CD8のELISPOTアッセイは51%が陽性であった。また、肺外TBの小児におけるCD8T細胞応答の大きさは、胸腔内TBの小児におけるCD8T細胞応答の大きさに相当した(図8)。したがって、肺外TBを診断するためにCD8 T細胞に基づいた試験を使用することができる。
(実施例7)
大規模確認臨床試験
A.研究への参加者
入院した<5歳の小児を臨床試験に登録する。年長の小児およびHIVに感染している小児は研究から除外する。研究計画は、(n=80の推定TB+確証TB;n=〜20の確証TB)の小児のコホートとTBではない下気道感染症(LRTInotTB)の小児のコホート(n=50)を比較するためのものである。小児におけるTBを暫定的に診断するためのWHOガイドラインを使用して胸腔内TBの初期の割り当てを行い、推定胸腔内TBの小児を登録する。これらのガイドラインの要約は表1に示す。具体的には、臨床歴、TSTおよびCXRの結果を使用して推定TBの暫定的な診断を行う。追加の算入基準として、1カ月未満のTBの治療を含める。登録した2カ月後、抗TB治療に対する応答および他の診断の除外、ならびにMtb培養の結果を含めた臨床的な経過観察を使用して確証TB、推定TB、またはTBではないことの最終的な割り当てを行う。2カ月の経過観察で割り当てられた、確証TBまたは推定TBを有する小児を、胸腔内TB群全体の中に保持する。2カ月の時点でTBを有さない小児は分析から除外する。診断は、TB症例の<40%の培養によって確認することができるため、Mtb培養による確認を研究に算入する必要はない。しかし、データ分析のために、確証TB(培養によって確認された胸腔内TB)の胸腔内TBコホートのサブセットは、LRTInotTBコホートとの一次比較を表す。LRTInotTBコホート群は、異常なCXRならびに肺炎と対応する症状および徴候によって定義されるLRTIの小児として定義される。さらに、このコホートは、表において定義した通りTBの疑いを有してはならない。
LRTInotTBコホートについて、胸腔内TBコホートと同じ臨床的な研究室実験を行う。胸腔内TBコホートのように、2カ月の臨床的な経過観察を使用して、LRTInotTBの最終的な割り当てを行う。これらの小児のいずれかにおいてMtb培養が予想外に陽性である場合、そのときはそれらの小児をLRTInotTB群についての分析から除外する。
提案した研究のために、小児について、誰が<5歳でLRTIの症状および徴候を有するかを同定する。履歴および身体検査を行い、CXRを得、HIVスクリーニングの結果を調査する。HIV ELISAの結果が陽性である<18カ月の小児については、感染を確認するためにHIV PCR試験が必要である。HIVの血清学的検査が陰性である全ての小児、およびHIV ELISAが陽性であるがHIV PCRが陰性である<18カ月の小児をこの研究に含めることができる。HIVの血清学的検査が陽性である小児は、HIV PCR試験が利用可能でないまたはHIV PCR試験が陽性である<18カ月の小児を含め、研究から除外する。上記で定義した胸腔内TBまたはLRTInotTBの基準を満たす、HIVに感染していない<5歳の小児を登録する。全ての被験体について、TST設置およびAFBスメアのための痰の誘導および培養を行う。TSTは、精製タンパク質誘導体(PPD、5TU、Tubersol;Connaught Laboratories,Limited,Toronto,Canada)およびマントゥー法を使用して行う。AFBスメアのための痰の誘導および培養を行う。登録時に被験体の血液採取をし、>25×10個のPBMCを単離して抗原の組合せ5種全てについての研究を完了する。2カ月の時点で、被験体を経過観察研究来診のために呼び戻す。この来診において、被験体の暫定的な履歴および検査結果を調査する。この時点で、この研究コホート(胸腔内TBおよびLRTInotTB)に対する最終的な割り当てを行う。
B.人口統計データ、臨床データ、および免疫学的データについてのデータ管理
この研究では、CWRU TBRUデータ管理インフラまたは他の類似のデータ管理プログラムを使用する。例えば、TELEform(商標)V5 Elite ソフトウェア(Cardiff Software,San Marcos California)を使用することができ、これにより遠く離れた場所からの自動データ入力がもたらされる。簡単に述べると、ウガンダのデータ管理者によって、データの収集フォームが展開され、TELEform(商標)ソフトウェアを有するインターフェイスにフォーマットされる。患者に遭遇した後、データフォームのコピーの一方は臨床カルテに置かれ、他方のフォームはオンサイトデータセンターに送られ、そこで複数頁のTIF(タグイメージファイル形式)画像ファイルにスキャンされる。これらのファイルは、圧縮され保存される。TIFデータファイルは、次いで既定の電子テンプレートに従ってフォームを並べてデータを記録するTELEform(商標)プログラムに読み込まれ、次いで、データはデータベース管理システム内に移動される。電子データベースに入ると、データは標準プログラムの使用により編集および浄化されて、欠落したデータおよび範囲外の値にフラグがたてられる。データセンターから形式的な質問が発せられ、オンサイトのデータ管理者がその質問を解決し、データベースを修正し、変更を記録する。電子データは、例えば毎日のようにバックアップされる。
この研究に関する人口統計的特性および臨床的特性としては、年齢、性別、疾患の明細、HIVについての血清の状態、BCGワクチン接種状況、年齢に対する体重、および年齢に対する身長、TSTの結果、およびMtb培養の結果に属する特性が挙げられる。さらに、登録された全ての小児について、栄養についての評価を行い、年齢に対する体重および身長に対してZ値を算出する。最後に、データベースで使用するために、各被験体に唯一の識別番号を割り当てる。
C.胸腔内TBの小児およびLTBInotTBの小児におけるMtb抗原CD8T細胞の存在
IFN−γELISPOTアッセイならびに抗原提示細胞(APC)の供給源としてCD4およびCD56が除去されたPBMCならびに反応性CD8T細胞を使用して、CD8T細胞応答を測定する。具体的には、冷凍保存されたPBMCに対してCD8のELISPOTアッセイを行う。ペプチドでパルス処理したDCは、ex vivoでCD8T細胞応答を誘発するための最も感受性が高く特異的な方法であるが、DCを生成するために十分なPBMCおよび高度に精製されたCD8T細胞を必要とする。これらの研究のために、入手可能な血液の量および長期培養(DC)を行う能力は限られている。代替の手法は、CD4T細胞を除去し、APCとして自己の単核細胞を使用することである。予備実験において、PBMCのCD4の除去により、CD56NK細胞の除去によって排除され得る高バックグラウンドが生じた。DCの使用と直接比較すると、この方法は、抗原特異的なCD8T細胞を列挙することにおいておよそ80%効率がよい。したがって、CD8T細胞応答を測定するために、IFN−γELISPOTアッセイにおいてCD4 CD56細胞が除去されたPBMC磁気ビーズ(細胞250,000個/ウェル)を使用する。2つの抗原の組合せを表している合成ペプチドプール(11個のアミノ酸がオーバーラップした15mer)を抗原の供給源として使用する。2つの抗原の組合せは、CFP10/ESAT6、CFP10/EsxJ、CFP10/PPE51、CFP10/CFPF、CFP10/PPE15の組合せについて43ペプチド、50ペプチド、72ペプチド、72ペプチド、および72ペプチドによって表される。結果として、CD8抗原の組合せ5種に対するCD8T細胞応答は、わずか1000万個の凍結保存されたPBMCを使用することで定義され、全血は1〜5ml必要である。注目すべきは、乳児の血液からは、全血1ml当たり1000万個ものPBMCが得られるのに対して、年長の小児および成人からの血液から得られるPBMCは1ml当たり100万〜200万個であるので、年下の小児に対して必要な血液の方が少量である。アッセイは、実験ウェル中のSFU引く対照(培地)ウェル中のSFUが、対照ウェルの標準偏差の2倍を超える場合に陽性であるとみなす。次に応答の大きさをSFU/細胞250,000個として表示する。磁気ビーズ除去の効率の対照として、CD4に対する細胞表面染色およびフローサイトメトリーでの分析により、CD4T細胞の混入のパーセンテージを決定する。CD4T細胞のパーセンテージが5%を上回った場合、いずれのELISPOTアッセイも無効とみなす。
D.胸腔内TBの小児およびLTBInotTBの小児においてMtb抗原CD4T細胞は存在するか?コホート間で比較して、アッセイ陽性の頻度および陽性応答の大きさはどうか?
CD8T細胞応答を比較するために、Mtb抗原特異的CD4T細胞応答の測定として、応答性CD4T細胞の供給源としてCD8T細胞が除去されたPBMC、およびAPCとして残りの細胞を使用してCD4のELISPOTを行う。これは、PBMC、ESAT6/CFP10ペプチド、およびIFN−γELISPOTアッセイを使用するT−spot(登録商標)TBに非常に類似したアッセイである。CD4T細胞および単核細胞/APC両方の供給源として、凍結保存された、CD8細胞が除去されたPBMC磁気ビーズ(細胞250,000個/ウェル)を使用してIFN−γELISPOTを行う。抗原の供給源としてCD8のアッセイのために使用したものと同じ合成ペプチドプールを使用する。抗原の組合せ5種に対するCD4T細胞応答は、わずか300万個の凍結保存されたPBMCを使用して定義することができる。アッセイは、実験ウェル中のSFU引く対照(培地)ウェル中のSFUが、対照ウェルの標準偏差の2倍を超える場合に陽性であるとみなす。次に応答の大きさをSFU/細胞250,000個として表示する。磁気ビーズ除去の効率の対照として、CD8に対する細胞表面染色およびフローサイトメトリーでの分析により、CD8T細胞の混入のパーセンテージを決定する。CD8T細胞のパーセンテージが5%を上回った場合、いずれのELISPOTアッセイも無効とみなす。
E.胸腔内TBの小児およびLTBInotTBの小児における陽性のTST結果
CD8T細胞応答を比較するために、上記の通り標準の方法を使用してTSTを行う。WHOの基準を使用して、重篤な栄養不良の小児(Zスコア>−3)については硬化が≧5mmであること、残りの小児については硬化が≧10mmであることを、TST陽性と定義する。
F.統計的考察:2つの抗原の組合せの感受性および特異性ならびに3つのMtb抗原の組合せ研究(SA2)に使用する2つの組合せの選択
プライマリーエンドポイントは、CD8T細胞応答、CD4T細胞応答、およびTSTの結果である。CD8T細胞応答およびCD4T細胞応答は、ELISPOTアッセイを使用したIFN−γ産生T細胞によって測定する。プライマリーエンドポイントは、バックグラウンドを調整したELISPOTの数値として定義される持続的な応答である。バックグラウンドを調整したELISPOTの数値は、本発明者らの研究室で以前確立された基準(CD8抗原発見プログラム)に従って定義する。TSTの結果は、バイナリーエンドポイントとしてのみ分析する。
プライマリーエンドポイントのために、受信者動作特性(ROC)曲線法を利用し、診断精度の尺度としてROC曲線下面積(AUC)を見積もる。抗原の組合せそれぞれについて、AUCが50%よりも有意に大きいかどうか、すなわち、任意の診断的な有用性のエビデンスがあるかどうかを試験する。同程度の特異性を維持する間に高い感受性がもたらされるのに応じて、バックグラウンドを調整したELISPOTの数値に対して最適なカットオフポイントを決定する。下記の主要な比較についてROC分析を行う:培養で確認された胸腔内TB対LRTInotTBおよび全胸腔内TB(推定TB+確証TB)対LRTInotTB。さらに、LTBIを有するLRTInotTBを、TST陽性のLRTInotTBコホート内の被験体として定義する。次に、下記の副次的な比較についてROC分析を行う:培養で確認された胸腔内TB対LTBIを有するLRTInotTB、および全胸腔内TB(推定TB+確証TB)対LTBIを有するLRTInotTB。転帰として疾患の状態、および共変量として抗原応答の結果(および任意の他の潜在的な交絡因子)を用いてロジスティック回帰モデリングを行う。抗原応答は、二値の共変量および連続的な共変量のどちらとしても評価することができる。参照の組合せおよび他の組合せの追加は一度に1つに含めて、それによって予測が有意に改善されたかどうかを評価する。さらに、段階的な手順を行って、疾患の転帰を予測する独立した抗原の組合せの最適な組を選択することができる。これらの分析の結果を、主要な基準と対照して考察する。
試料サイズが80の全胸腔内TB(推定TB+確証TB)および試料サイズが50のLRTInotTBにより、84%の力および5%の有意水準で、AUCにおける検出を15%向上させることができる(50%から65%まで)。試料サイズが20の培養で確認された胸腔内TBおよび試料サイズが50のLRTInotTBにより、77%の力および5%の有意水準で、AUCにおける検出を20%向上させることができる(50%から70%まで)。15〜20%の向上は、上記で示した予備的なデータと一致する。
結果:本明細書で同定した抗原の組合せ(ESAT6/CFP10)は、胸腔内TB群において同様の結果を有し、CD8T細胞、CD4T細胞、およびTSTについてのアッセイ陽性がおよそ50%である。LRTInotTBコホートにおいて、これらの抗原に対してCD8T細胞応答は検出されない。他の4種の抗原の組合せは、CFP10に加えて第2の免疫優性CD8抗原を含有するので、胸腔内TB群において、CFP10/ESAT6と比較して他のCFP10/Mtb抗原の組合せに対してCD8T細胞アッセイで頻度の増加が観察された。LRTInotTB群において試験された抗原の組合せのいずれに対してもCD8T細胞応答は検出されない。全ての抗原の組合せに対するCD4T細胞のアッセイ、およびTSTはこの群のおよそ30%で陽性である。培養で確認された胸腔内TBにおけるCD8T細胞応答陽性およびCD4T細胞応答陽性は、胸腔内TBコホート全体と比較して同様または高い割合である。
(実施例8)
動物モデル
結核の調査において、疾患の種々の態様をモデリングするためにマウスモデルが広範に使用されている。マウスは、静脈内、腹腔内および気管を含めた種々の経路によって感染させることができる。経路の1つは、呼吸器感染させるための微生物のエアロゾル化である。マウスをチャンバー内でエアロゾルに曝露させる(全身を弱らせるまたは鼻部のみの感染)。発明の用量は、ネブライザー内のMtb濃度または曝露時間を操作することによって変化させることができる。エアロゾルによる、約50コロニー形成単位(CFU)などの低用量の感染により、肺内の細菌数がゆっくり着実に増加し、一般に4週間のうちにピークに達し、これは肺内のT細胞の数のピークと一致する。初期は、感染の急性期であると考えられる。感染の後に、縦隔リンパ節に細菌が伝播する。T細胞の刺激は一般に2〜3週間の間に検出できる。約4週間後、細菌数は安定化し、進行が遅い病理応答がある。このシステムは、活動性感染をモデリングするために使用するものである。
目的の組成物の、動物モデルにおいて感染を予防する能力を、本明細書に記載の方法を使用して評価することができる。生物学的試料中のMtbポリペプチドに応答しているCD8T細胞またはCD4T細胞の数などのT細胞応答を測定することにより、目的の組成物の有効性をモニタリングすることができる。これらのアッセイのために、一方を有するT細胞を少なくとも1つのMycobacteriumポリペプチド、および1つまたは複数のMycobacteriumポリペプチドを提示している抗原提示細胞と接触させる。Mycobacteriumポリペプチドは、(a)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11もしくは配列番号12として記載したアミノ酸配列のうちの1つ、または(b)主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスIと特異的に結合する、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11もしくは配列番号12として記載したアミノ酸配列のうちの少なくとも1つの少なくとも9〜12個の連続したアミノ酸として記載したアミノ酸配列を含む。T細胞がMycobacteriumポリペプチドを特異的に認識するかどうかを決定する。Mtbポリペプチドを特異的に認識するT細胞の数が増加することにより、その組成物が有効であることが示される。
代表的な動物モデルを以下に記載する(追加のプロトコールのために、参照により本明細書に組み込まれた、Repiqueら、Infec. Immun. 70巻:3318〜3323頁、2002年も参照されたい)。
A.短期のマウスモデル:
C57BL/6マウスを、適切なプロトコールに従って組成物でワクチン接種し、次いで4〜6週間安静にさせる。免疫されたマウスを病原性M. tuberculosisの低用量のエアロゾル(50〜100CFU)を用いて感染させ、攻撃の30日後の生存桿菌数を評価することによって防御について評価する。
マウスの肺および脾臓をホモジナイズし、7H11寒天プレート上に段階的な10倍希釈でプレーティングすることによって生菌を計数する。プレートを最大21日間インキュベートし、組織当たりのコロニー形成単位の数を決定する。
BCGでワクチン接種したマウスは、PBSで処置したマウスと比較すると、肺および脾臓においておよそ1Log10防御する。
生物学的試料は、目的の組成物を投与する前および目的の組成物を投与した後に得る。あるいは、生物学的試料は、ビヒクルで処置した動物から、および目的の組成物で処置した動物から得る。本明細書で開示したMtbポリペプチドに結合するT細胞の数が増加することにより、その組成物が有効であることが示される。
B.短期のモルモットモデル
非近交系のハートレイ系モルモットを、1つまたは複数のMtbポリペプチド、またはこれらの1つまたは複数のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組成物でワクチン接種し、次いで8〜10週間安静にさせる。免役されたモルモットを、病原性M. tuberculosisの低用量のエアロゾル(10〜30CFU)を用いて感染させ、攻撃の30日後の生存桿菌の数を評価することによって防御について評価する。
モルモットの肺および脾臓をホモジナイズし、7H11寒天プレート上に段階的な10倍希釈でプレーティングすることによって生菌を計数する。プレートを最大21日間インキュベートし、組織当たりのコロニー形成単位の数を決定する。組織学的分析のために肺および脾臓のセグメントも取り出す。
BCGでワクチン接種したモルモットは、PBSで処置したモルモットと比較すると、肺および脾臓においておよそ2〜3Log10防御する。さらに、BCGでワクチン接種したモルモットは、ワクチン接種していない動物と比較すると、明確な肉芽腫を有する。
生物学的試料は、目的の組成物を投与する前および目的の組成物を投与した後に得る。あるいは、生物学的試料は、ビヒクルで処置した動物から、および目的の組成物で処置した動物から得る。本明細書で開示したMtbポリペプチドに結合するT細胞の数が増加することにより、その組成物が有効であることが示される。
C.長期のモルモットモデル
モルモットモデルはマウスモデルと類似しているが、この実験は無期限生存型であり、2年もの間続く可能性がある。モルモットは、活動性結核(TB)を有するヒトと同様の「古典的な」肉芽腫を発生し、肺組織の壊死が進行するにつれて、ヒトと同様に体重が失われ始め、TBが原因で死ぬ。肺および脾臓におけるコロニー形成単位の数を評価することができる。組織学的試験も行って肺の合併症および組織破壊の程度を決定することができる。モルモットに低用量エアロゾルを曝露させた後、微生物の数は、最初の3週間の間に連続的に増加し、次いでプラトーが慢性的状態になる。感染の後期の間、肺内の細菌負荷量が増加し、これは病的状況の悪化に関連付けられる。処置をしないと、感染したモルモットの肺において、CD4 T細胞とCD8 T細胞の両方が同時に上昇する。
非近交系のハートレイ系モルモットを、適切なプロトコールに従って実験ワクチンを用いてワクチン接種し、次いで8〜10週間安静にさせる。免疫されたモルモットを、次いで病原性M. tuberculosisの低用量のエアロゾル(10〜30CFU)を用いて感染させる。モルモットを、週1回計量し、疾患の徴候(呼吸が増加することおよび成長できないことなど)について毎日モニタリングする。ワクチン接種していないモルモットは、攻撃後20〜25週間で感染によって死亡するが、一方BCGでワクチン接種したモルモットは、攻撃後50〜55週間生存する。
死体解剖時に、肺および脾臓を、CFUの数および病態の程度について評価する。実験組成物の相対的な防御をBCGでワクチン接種した動物と比較する。
生物学的試料は、目的の組成物を投与する前および目的の組成物を投与した後に得る。あるいは、生物学的試料は、ビヒクルで処置した動物から、および目的の組成物で処置した動物から得る。本明細書で開示したMtbポリペプチドに結合するT細胞の数が増加することにより、その組成物が有効であることが示される。
記載した方法または組成物の厳密な詳細は、記載した発明の精神からはずれることなく変更または改変されてよいことは明らかである。本発明者らは、下記の請求項の範囲および精神に入るそのような改変および変更全てについて特許請求する。

Claims (29)

  1. ヒト被験体においてMycobacterium tuberculosisを検出するための方法であって、
    結核疾患に罹患していることが疑われるヒト小児またはMycobacterium tuberculosisによる潜在性感染を有することが疑われるヒト被験体からの生物学的試料から、CD8+T細胞を単離する工程、
    前記CD8+T細胞を1つまたは複数のMycobacteriumポリペプチドと接触させる工程、および
    前記CD8+T細胞が前記Mycobacteriumポリペプチドを特異的に認識するかどうかを決定する工程を含み、ここで、前記Mycobacteriumポリペプチドを特異的に認識するT細胞の存在により、前記被験体におけるMycobacterium tuberculosisが検出され、それにより、結核疾患に罹患しているとして前記小児を同定するか、またはMycobacterium tuberculosisによる潜在性感染を有するとして前記被験体を同定する、方法。
  2. 前記小児が5歳未満であるか、または前記小児が5〜10歳である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記小児が乳児である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記被験体がMycobacterium tuberculosisによる潜在性感染を有することが疑われる、請求項1に記載の方法。
  5. 前記小児が肺結核疾患に罹患していることが疑われる、請求項1に記載の方法。
  6. 前記被験体または小児がMycobacterium tuberculosisの肺外感染症に罹患していることが疑われる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  7. 肺外感染症が、リンパ節炎、胸膜結核、骨関節結核、中枢神経系結核、腹部結核、粟粒結核、または結核性心外膜炎を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記被験体が思春期直前の被験体である、請求項6から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記CD8+T細胞が前記Mycobacteriumポリペプチドを特異的に認識するかどうかを決定する工程が、サイトカインの発現を測定することを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記サイトカインがインターフェロン−γ(IFN−γ)である、請求項9に記載の方法。
  11. IFN−γの発現を測定することを、IFN−γと特異的に結合する抗体を用いて決定する、請求項10に記載の方法。
  12. 前記1つまたは複数のMycobacteriumポリペプチドが、
    (a)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号39もしくは配列番号61として記載したアミノ酸配列のうちの1つ、または
    (b)主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスIと特異的に結合する、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号39もしくは配列番号61として記載したアミノ酸配列のうちの少なくとも1つの少なくとも9〜20個の連続したアミノ酸、および
    (c)配列番号39〜83として記載したアミノ酸配列のうちの1つ
    として記載したアミノ酸配列を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記Myocobacteriumポリペプチドが配列番号39として記載したアミノ酸配列を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記Myocobacteriumポリペプチドが配列番号61として記載したアミノ酸配列を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記Mycobacteriumポリペプチドが、配列番号39として記載したアミノ酸配列の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスIと特異的に結合する9〜20個の連続したアミノ酸を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記Mycobacteriumポリペプチドが、配列番号61として記載したアミノ酸配列の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスIと特異的に結合する9〜20個の連続したアミノ酸を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記生物学的試料が、血液、単離した末梢血単核細胞、単離した単核細胞、痰、肺生検材料、リンパ節生検材料、唾液、脳脊髄液または単離したCD3T細胞である、請求項1から16のいずれかに記載の方法。
  18. 前記CD8T細胞を前記Mycobacteriumポリペプチドと共にin vitroで培養する、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
  19. Mycobacterium tuberculosisに対する遅延型の過敏性反応を検出することをさらに含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記被験体からの試料におけるMycobacteriumポリペプチドまたはポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドの存在を検出する工程をさらに含み、前記Mycobacteriumポリペプチドが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、または配列番号39〜83のうちの1つとして記載したアミノ酸配列のうちの1つとして記載したアミノ酸配列を含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記Mycobacteriumポリペプチドの存在を検出する工程を含む、請求項19に記載の方法。
  22. 前記Mycobacteriumポリペプチドの存在を検出する工程が、前記Mycobacteriumポリペプチドと特異的に結合する抗体の使用を含む、請求項21に記載の方法。
  23. ポリヌクレオチドの存在を検出する工程を含む、請求項20に記載の方法。
  24. 前記ポリヌクレオチドの存在を決定する工程がポリメラーゼ連鎖反応の使用を含む、請求項23に記載の方法。
  25. 被験体においてMycobacteriumポリペプチドと特異的に結合するCD8を発現するT細胞を検出する方法であって、前記被験体が、小児、潜伏性Mycobacterium tuberculosis感染症に罹患していることが疑われる被験体、または肺外Mycobacterium tuberculosis感染症に罹患していることが疑われる被験体であり、前記方法が、
    (A)前記被験体から単離した末梢血単核細胞を、
    (1)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11もしくは配列番号12、配列番号39、配列番号61または配列番号39〜83のうちの任意の1つとして記載したアミノ酸配列のうちの少なくとも1つの少なくとも9〜20個の連続したアミノ酸を含むMycobacteriumポリペプチドであって、前記9〜20個の連続したアミノ酸が主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスIと特異的に結合する、Mycobacteriumポリペプチド
    (2)HLA重鎖ポリペプチドおよびβ2−ミクログロブリン、および
    (3)ストレプトアビジン
    を含み、標識されている、または標識されていない試薬と接触させる工程、ならびに
    (B)前記末梢血単核細胞と結合した前記試薬の存在を検出し、それにより前記Mycobacteriumポリペプチドと特異的に結合するCD8を発現するT細胞を検出する工程
    を含む、方法。
  26. 前記試薬と結合するCD8+T細胞の数を定量する工程をさらに含む、請求項25に記載の方法。
  27. 前記試薬が標識されている、請求項25に記載の方法。
  28. 前記試薬が蛍光色素で標識されている、請求項25に記載の方法。
  29. 前記被験体が小児であり、前記Mycobacteriumポリペプチドと特異的に結合するCD8を発現するT細胞を検出する工程により、前記小児が肺結核疾患に罹患していることが示される、請求項25に記載の方法。
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