JP2012502971A - スピノシン防汚組成物、その使用方法、汚損生物の付着から保護された物品 - Google Patents

スピノシン防汚組成物、その使用方法、汚損生物の付着から保護された物品 Download PDF

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Abstract

本明細書には、少なくとも1つのスピノシン活性物質を含む防汚組成物が開示されている。これらの組成物は、これらでコーティングされた表面又はこれらに含浸された表面を、種々の汚損生物の付着から保護する。組成物としては、例えば、塗料、ワニス、シーラント配合物が挙げられる。

Description

本出願は、2008年9月22日に出願された米国特許出願第61/099,053号に対する優先権を主張し、この内容は、参照により組み込まれる。
本発明は、海水又は淡水防汚特性を付与するスピノシン組成物に関する。具体的には、本発明の組成物は、種々の汚損生物の付着を防ぐことによって表面を保護する。また、本発明は、コーティング組成物でコーティングされた表面を種々の汚損生物の付着から保護するような、コーティング組成物に関する。これらの組成物は、有益には、塗料、ワニス、プライマー、シーラントの配合物で使用される。
殺生物剤は、一般的に、多様な用途をもった種々のコーティング材料に使用される。船舶用塗料では、例えば、殺生物剤は、広範囲の汚損生物、例えば、藻類、フジツボ、フナクイムシ及び他の有害な水生種が水面下の構造物に付着しないように保護する。湖及び河川では、殺生物剤は、淡水生物、例えば、カワホトトギスガイから水面下の構造物を守るために用いられる。微生物、微生物の粘性生体有機産物、吸収された有機物質が、水中に浸水した構造物の表面に形成する落としにくい粘液の構成物質であることがわかっている。この汚損過程における最初の生物はバクテリアであり、その後、珪藻、ヒドロイド、藻類、コケムシ、原生動物といった生物が成長し、最後に大きな汚損物質となる。大きな汚損物質は、粗面親和性である傾向があり、すなわち、平滑面よりも粗い表面に固着する傾向がある。
船体は、数年間にわたって常に水に浸かっており、上述の海洋生物の蓄積が、船に対して顕著な流体力学的抗力を与えることがある。この船に対する抗力は、水が流れる経路を妨げ、結果として、燃料の使用量を増やし、運行コスト及び環境コストがかさむことになる。船体を処理しないままだと、海運業で年間の30億ドルの追加燃料コストがかかるであろうと概算されている。船を乾ドックに置いておくと、さらなるコストが生じる。さらなるコストには、船体を洗浄するコスト及び非稼働時間が含まれ、これらのコストは、年間に27億ドルであると概算されている。それに加え、環境コストは、化石燃料(再生不能資源)の消費量が増加することによるものだけではなく、二酸化炭素(温室ガス)及び他の大気汚染物質(窒素酸化物、硫黄酸化物、燃焼していない炭化水素、オゾンなど)の増加も一因である。Rouhi,A.Maureen;The Squeeze on Tributyltins.Chem.Eng.News.April 27、1998、41−42を参照のこと。しかし、汚損の問題は、船舶に限定されるものではなく、他の水面下の構造物にも同様に及んでいる。ブイは、汚損生物の重量が過剰になることによって位置が変わってしまう場合がある。都市用水供給システムの取水口スクリーンの汚損によって、流量が低下し、腐食が進む場合がある。コンクリート構造物又はフェロセメント構造物、例えば、ダムも、汚損生物によって悪影響を受ける。
理想的な防汚性殺生物剤は、有効であり、広範囲のスペクトル活性を示し、配合された最終製品中で安定であるべきである。それに加え、理想的な殺生物剤は、以下の環境特性を有するべきである。(i)環境中で迅速に分解すること、(ii)環境に迅速に分配され、標的ではない生物に対するバイオアベイラビリティが制限されること、(iii)環境中に存在する濃度で、標的ではない生物に対する毒性が最小限であること、(iv)毒性が顕著な化合物の生体蓄積が最小限であること。
世界中で使用される防汚塗料の容積が非常に多いことを考えると、環境保護は重要な課題である。GEFSEC PROJECT ID 2932(防汚塗料の製造において、DDT使用に代わるもの)によれば、中国は、例えば、防汚塗料を年間で約65,000MT消費している。環境への懸念があるため、トリ有機スズ系塗料の適用が禁止されている。トリブチルスズ(TBT)系塗料は、かなりの毒性がある危険性があり、種、生息環境、生態系に慢性的に影響を与える可能性がある。酸化第一銅及び酸化亜鉛は、その他の商業的に使用される防汚剤であるが、重金属、すなわち、銅及び亜鉛を放出することによって機能し、残念なことに、銅は、特に海洋環境では有害な毒素であることが盛んに言われている。従って、新しい深刻な環境問題が発見される前に、可能な限り早く、もっと安全な殺生物剤が選択されるべきである。このような製品の製造業者は、すぐに汚損生物の付着及び成長から有効に保護し、環境に無害な代替となる薬剤を含むように既存の配合物を変えるという可能性に立ち向かっている。環境にとって有害な殺生物剤に取って代わる許容可能なものを開発することにおいて考慮しなければならない他の基準は、コーティング組成物中の他の要素との科学的な適合性、コーティングが適用されるべき乾燥フィルム及び基板との物理的な適合性、代替薬剤自体又はこの薬剤を含むコーティング材料を取り扱うとき、又は使用するときの安全性、これらの製造費用である。
保護されるべき特定の海水用構造物又は淡水用構造物によって、本発明の組成物は、この構造物に直接組み込まれてもよく、構造物に直接塗布してもよく、又は、コーティングに組み込み、次いで、船舶構造物に塗布してもよい。
ある態様によれば、本発明は、(i)少なくとも1つのスピノシン又はその誘導体若しくは塩と、(ii)スピノシンが組み込まれている膜形成剤又は膜形成性物質とを含む組成物を提供する。
スピノシン又はその誘導体若しくは塩は、組成物がコーティングとして塗布されているか、又は組み込まれている表面に、汚損生物が付着するのを有効に阻害する量で組成物中に存在する。
また、本発明によれば、少なくとも1つのスピノシン又はその誘導体若しくは塩と、膜形成剤とを含む防汚塗料組成物が提供される。
また、本発明によれば、少なくとも1つのスピノシンを含む防汚組成物及びコーティング材料を用いる方法が提供される。このような1つの方法は、少なくとも1つのスピノシンを含む組成物及びコーティングを水生環境にさらされる表面に塗布することによって、このような表面を、水生環境中に存在する汚損生物から保護することを含む。本発明の別の態様として、本明細書に記載されている組成物のコーティングを、表面の少なくとも一部分に有しており、汚損生物の悪影響にさらされることから保護するような物品が提供される。
上述のコーティング組成物は、環境的に許容されるコーティング製品に対する上述の1つ以上の基準を満たしており、ある実施形態では、環境にとって有害な既知の影響をなんら引き起こすことなく、汚損生物の付着及び成長から有効に保護することに対する上述の全ての基準を満たしている。スピノシン、特に、スピノサドは、広範囲の水生生物に対して毒性である可能性があるが、船体に接している生物のみが毒性のある濃度にさらされるため、スピノシンの環境リスクはごくわずかである。スピノサドは、船のコーティングの一部として安定であるが、船体からゆっくりと放出された(にじみ出た)としても、本質的に毒性のない化合物に速やかに分解する。スピノシンの主要な製造業者であるDow Agrosciences LLCは、スピノサド及びスピネトラムが、グリーンケミストリーの原理に則したものであり、地球の保護にも貢献する解決策を見いだすために重要なものであるため、米国環境保護庁から、過去にスピノサドに対してPresidential Green Chemistry Challenge Awardを与えられており、2008年にはスピネトラムに対しても与えられた。参照により組み込まれる米国特許出願第2008/0188427号に記載されているように、スピノシン、特にスピノサドは、養殖によって育てられた魚の外寄生生物感染の制御に有効であり、魚の生産量が向上し、水生環境で使用した場合であってもスピノシンの有益なプロフィールを与えることがわかっている。
スピノシン、最も具体的には、スピノサドは、本明細書で以下に詳細に記載されているように、特に有効な防汚剤であることがわかっている。
スピノシンは、天然に存在するバクテリアであるSaccharopolyspora spinosaに由来する既知の発酵産物である。このバクテリアに由来する化合物群は、一般的にスピノシンとして知られており、その全体が参照により組み込まれる米国特許第5,362,634号及び第6,821,526号に記載され、WO 93/09126号及びWO 94/20518号に公開されているように、因子又は要素A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、Yなどと呼ばれている。スピノシン化合物は、12員大環状ラクトン、天然の糖(ラムノース)、アミノ糖(ホロサミン)に縮合した5,6,5−三環系で構成されている(Kirst et al.「Unique Fermentation−derived Tetracyclic macrolides,Tetrahedon Letters、A83543A−D、32:4839−4842、(1991)を参照)。本明細書で使用されるとき、用語「スピノシン」は、天然に存在するバクテリアであるSaccharopolyspora spinosa(種及び亜種)又はこのバクテリアを生物学的に改変した形態又はこれらの組み合わせ由来の発酵産物に基づく化合物群を指す。天然のスピノシン化合物は、Midwest Area Northern Regional Research Center,Agricultural Research Service,United States Department of Agriculture,1815 North University Street,Peoria,III.61604のストック培養物保存期間のNRRL 18719、18537、18538、18539、18743、18395、18823として寄託されている培養物からの発酵を経て作られてもよい。また、スピノシン化合物は、米国特許第5,496,931号、同第5,670,364号、同第5,591,606号、同第5,571,901号、同第5,202,242号、同第5,767,253号、同第5,840,861号、同第5,670,486号、同第5,631,155号にも開示されている。本明細書で使用されるとき、用語「スピノシン」は、天然の因子と、天然で産生される因子の半合成誘導体とを含むことが意図されている。これらのスピノシン化合物に対する大量の化学修飾がなされており、時に、スピノシドと呼ばれ、参照により組み込まれる米国特許第6,001,981号に開示されている。また、用語「スピノシン」は、ハイブリッドポリケチドシンターゼDNAを用い、スピノシン産生株によって作られる産物を変化させる方法によって製造される、米国特許第2006/0040877号に記載されているような生体活性のある新規化合物も含む。最後に、用語「スピノシン」は、米国特許第7,015,001号に記載されるように、クローン化Saccharopolyspora spinosa DNAを用いて産生される新規スピノシン誘導体を含む。スピノシンの生合成中間体によって、又はin vivoで産生されるこれらの誘導体によって、又はin vitroでのこれらの化学修飾によって生じる誘導体によって、異なる制御パターンを与えてもよい。このようなスピノシンの生合成中間体は、本発明で使用するために本明細書で記載されている「スピノシン」群に属すると考えられる。
また、スピノシン及びスピノシン誘導体は、塩の形態で存在してもよい。この塩は、遊離塩基の形態と、十分な量の所望な酸とを接触させ、塩を作ることによって調製される。非限定的な例として、スピノシンは、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、マロン酸、サリチル酸、リンゴ酸、フマル酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ヒドロキシメタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸と塩を形成してもよい。さらに、非限定的な例として、酸官能基は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属から誘導される塩、アンモニア及びアミンから誘導される塩を含む塩を形成してもよい。カチオンの例としては、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、マグネシウムカチオン、アミニウムカチオンが挙げられる。
また、スピノシンという用語は、個々の立体異性体、すなわち、幾何異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、及びラセミ混合物、場合により、活性な混合物、及びこれらの組み合わせを含む、この化合物の全ての異性体を含む。
それに加え、用語「スピノシン」は、本明細書で使用されるとき、参照により組み込まれる特許出願公開WO/2009/054003号に述べられているような、スピノシンを産生可能な任意の真菌株、すなわち、アスペルギルス属に属する真菌株によって産生されるスピノシンを指す。
スピノサドは、主に約85%のスピノシンAと約15%のスピノシンDで構成される、Dow AgroSciences(インディアナ州インディアナポリス)によって製造されている殺虫剤である。スピノサドは、例えば、商品名TRACER(登録商標)、SUCCESS(登録商標)、SPINTOR(登録商標)、LASER(登録商標)、ENTRUST(登録商標)で市販されているものを含む、Dow AgroSciences LLCから市販されているいくつかの殺虫剤における活性成分である。TRACER(登録商標)という製品は、例えば、約44%〜約48%(w/v)のスピノサドで構成されており、一方、ENTRUST(登録商標)は、約80%のスピノサドを含有する白色からオフホワイト色の固体粉末である。
また、スピノサドは、Sigma−Aldrichという企業から、研究開発目的で、純度約98%で分析標準として市販されており、主に、約70%のスピノシンAと約30%のスピノシンDとで構成されている。
スピネトラムは、いくつかの殺虫剤配合物において、例えば、商品名DELEGATE(登録商標)及びRADIANT(登録商標)で市販されているものを含む、Dow AgroSciences LLCから市販されている半合成スピノシンである。スピネトラムは、50〜90%の(2R,3αR,5αR,5βS,9S,13S,14R,16αS,16βR)−2−(6−デオキシ−3−O−エチル−2,4−ジ−O−メチル−α−L−マンノピラノシルオキシ)−13−[(2R,5S,6R)−5−(ジメチルアミノ)テトラヒドロ−6−メチルピラン−2−イルオキシ]−9−エチル−2,3,3α,4,5,5α5β,6,9,10,11,12,13,14,16α,6β−ヘキサデカヒドロ−14−メチル−1H−as−インダセノ[3,2−d]オキサシクロドデシン−7,15−ジオンと、50〜10%の(2R,3αR,5αS,5βS,9S,13S,14R,16αS,16βS)−2−(6−デオキシ−3−O−エチル−2,4−ジ−O−メチル−α−L−マンノピラノシルオキシ)−13−[(2R,5S,6R)−5−(ジメチルアミノ)テトラヒドロ−6−メチルピラン−2−イルオキシ]−9−エチル−2,3,3α,5α,5β,6,9,10,11,12,13,14,16α,16β−テトラデカヒドロ−4,14−ジメチル−1H−as−インダセノ[3,2−d]オキサシクロドデシン−7,15−ジオンとの混合物の慣用名である。スピネトラムの要素の合成は、米国特許第6,001,981号に記載されている。また、スピノシンに関連するマクロライド殺虫剤も、Saccharopolyspora pogona.LW 107129(NRRL 30141及びこの変異体)から単離されている。これらの化合物は、参照により組み込まれる米国特許第6,800,614号に開示されている。これらの化合物は、すでに開示されているスピノシンにおいて実現可能ではなかったような位置での改変を可能にする反応性官能基の存在によって特徴づけられる。ブテニルスピノシンの天然の誘導体及び半合成誘導体は、参照により組み込まれる米国特許第6,919,464号に開示されている。また、用語「ブテニル−スピノシン」は、ポゴニンとも呼ばれ、本明細書で使用されるとき、天然の因子及び天然に作られる因子の半合成誘導体、又はこれらの組み合わせを含むことが意図されており、本発明での使用について本明細書で記載されているように、同じ種類の「スピノシン」に属すると考えられる。
スピノサドは、限定されないが、鱗翅目、双翅目、膜翅目、総翅目、数種の鞘翅目を含む、特定のダニ及び昆虫の制御に極めて有効であることが示されている。それに加え、スピノサドを含む配合物は、農業、園芸、温室、ゴルフコース、庭園、家屋などに使用すると、非常に効果的であることが示されている。
スピノサドは、消化中毒剤及び接触毒として作用する。一般的に、接種してすぐの効果は、摂食行動の停止であり、24時間後には麻痺し、死に至る。この化合物は、ニコチン性アセチルコリン受容体及びGABA受容体が関与する新しい作用機序をもつ神経毒である。
スピノシンは、これまで昆虫及びダニが摂取すると有効であり、神経系の迅速な興奮を引き起こすことが知られていたが、スピノシンを防汚剤として使用することは、今までにはまだ観察及び/又は提案されていない。さらに、米国特許第7,285,653号に述べられているように、「スピノシン」は、強力な殺虫効果を示すが、抗バクテリア活性をもっていない。
本願発明者らは、スピノシン、最も具体的には、スピノサドが、共通の汚損体であるBalanus amphitriteに関連し、vibrio sp.種、flavobacterium sp.種、alcaligenes sp.種、aeromonas sp.種に属するある種のバクテリアに対し、顕著な抗バクテリア特性を示すことを発見した。これらのバクテリアは、フジツボに関連する細菌ミクロフローラに由来する。これらの単離物は、形態学的及び化学的に試験することによって、属のレベルまでしか特性決定されない。
それに加え、本願発明者らは、スピノシン、特に、スピノサドが、フジツボキプリスの表面への固着に対し、有効濃度EC50 7×10-8mg/mLで、キプリスを死亡させることなく、優れた防汚活性を示すことがわかった。さらに、本願発明者らは、海水用又は淡水用の防汚コーティングとして使用すると非常に有効であることがわかっているいくつかのコーティング組成物を作製した。
本明細書で使用されるとき、用語「有効で」は、「〜の制御に有効で」、「制御するのに有効で」又は「制御する」は、全て相互に置き換え可能に用いられ、これらは全て、特定の時間点で、活性化合物を含有する組成物が、この活性化合物を含有しない組成物と比較して、少なくとも1つの生物種の付着度を下げる能力を指す。
本明細書で使用されるとき、、用語「防汚剤」は、汚損生物(微生物、又は植物種若しくは動物種のようなもっと大きな形態)が、大型船、水産養殖装置又は水中で使用される他の構造物の表面で成長し、固着するのを制御するために使用される薬剤である。
本明細書で使用されるとき、用語「汚損生物」は、塩水環境及び淡水環境の両方での汚損過程に関与する、任意の生物及び全ての生物を指し、限定されないが、バクテリア、珪藻、ヒドロイド、藻類、コケムシ、原生動物、ホヤ類、チューブワーム、シジミ、カワホトトギスガイ、フジツボが挙げられる。一般的に、フジツボ、チューブワーム、藻類、海藻、褐色及び赤色のコケムシは、塩水及び汽水において最も大きな問題を引き起こす生物である。カワホトトギスガイは、温帯地域及び亜熱帯地域の淡水で最も大きな汚損の問題を引き起こす生物である。
フジツボは、節足動物門、鋏角亜門、無柄目、フジツボ科、フジツボ属に属している。フジツボは、もっぱら海水に生息し、他の甲殻類とは異なり、全て固着性である。世界中に600種類以上存在し、多くは、例えば、赤色、橙色、紫色、桃色であったり、縞模様があったりとさまざまな色をもつ動物である。大部分は直径が数センチメートルであり、これより大きなものもいる。ほとんどは潮間帯で見つかる。フジツボの浅瀬での群生は、典型的な汚損性フジツボ又は汚損性共生のいずれかである。
インド洋では22種類のフジツボが報告されている。非限定的な例は、Balanus amphitrite、Balanus uariegatus、Megabalanus antillensis、Chthamalus malayensis、Chthamalus withersi、Lapas anatiferaである。これらの全ての種は、地理的範囲が広範囲にわたっている。全てのChthamalus種、Lepas種、Balanus amphitriteは、通常の塩分濃度に近い水を好む。
海藻は、直径が数ミリメートルの単細胞生物から、長さ30メートルに及ぶ高度に組織化された植物までさまざまな大きさのものがある。光合成作用が可能な全ての藻類は、クロロフィル顔料を含んでおり、クロロフィルは、葉緑体と呼ばれる細胞封入体の中に入っている。藻の1個の細胞に1個以上の葉緑体が含まれている場合がある。微細藻類(珪藻)は、汚損されるにつれて海洋構造物の表面に形成される膜の主要な要素であり、これらの膜の生態にある種の役割を果たす場合がある。
珪藻は、珪藻綱に属している。多くの底生珪藻の主な特徴は、表面に永久的に接着する能力である。この特徴は、珪藻が、海洋構造物を汚損する生物の少なくとも一部を構成しているため、生態学的にも経済学的にも重要である。例えば、以下の属の珪藻(Dunaliella、Nitzschia、Skeletonema、Chaetoceros)及び以下の種の珪藻(すなわち、Dunaliella tertiolecta、Skeletonema costatum)は、制御するのに重要である。
ある実施形態によれば、少なくとも1つのスピノシンを、海洋物品を製造するための建築材料に加えてもよい。物体が生物汚損にさらされるのを保護するために、少なくとも1つのスピノシンをキャリアと混合してもよく、及び/又は、建築材料、例えば、セメント、プラスチック、ポリマー、ゴム、エラストマー材料、又はガラス繊維に直接組み込んでもよい。木製の杭及び漁網のような構造物は、本発明の組成物をこの構造物に直接組み込むことによって保護されてもよい。例えば、加圧処理又は減圧含浸を用いることによって、キャリアをさらに含む本発明の組成物を、杭で使用される木材に塗布してもよい。また、これらの組成物を、製造中に漁網用繊維に組み込んでもよい。
さらに別の実施形態によれば、本発明の組成物を含有する海水用コーティングは、任意の従来の多くの手段、例えば、吹き付け、圧延、刷毛塗り、含浸、浸漬を用いて、保護されるべき構造物に塗布されてもよい。例えば、漁網を、本発明の組成物とキャリアとを含む組成物に浸漬するか、又は、漁網に上述の組成物を噴霧することによって、漁網を保護してもよい。スピノシンは、当該技術分野で十分に理解されているように、水系溶媒及び有機溶媒の両方とともに用いられてもよい。
別の実施形態によれば、スピノシンは、防汚剤として単独で従来の塗料組成物中に含まれていてもよく、又は、汚損生物の付着に対し、相加効果又は相乗効果をもたらすように、他の殺菌剤、防汚剤、防カビ剤、除草剤、殺虫剤、抗生物質、毒性のない防汚剤、天然産物又は抽出物と組み合わせて加えられてもよい。本発明のスピノシンと組み合わせて使用可能な、好適な殺菌剤としては、限定されないが、5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロン;2−メチル−3−イソチアゾロン;2−n−オクチル−3−イソチアゾロン;4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−3−イソチアゾロン;3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート;1,2−ジブロモ−2,4−ジブロモブタン;メチレン−ビス−チオシアネート;2−チオシアノメチルチオベンゾチアゾール;テトラクロロイソフタロニトリル;5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン;2−ブロモ−2−ニトプロパンジオール;2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド;N,N’−ジメチルヒドロキシ1−5,5’−ジメチルヒダントイン;ブロモクロロジメチルヒダントイン;1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン;4,5−トリメチレン−2−メチル−3−イソチアゾロン;5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)フェノール、3,4,4’−トリクロロカルボアニリドが挙げられる。本発明のスピノシンと組み合わせて使用可能な、好適な海水用防汚剤としては、限定されないが、マンガンエチレンビスジチオカルバメート;亜鉛ジメチルジチオカルバメート;2−メチル−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン;2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル;N,N−ジメチルジクロロフェニルウレア;エチレンビスジチオカルバミン酸亜鉛;チオシアン酸銅;4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−3−イソチアゾロン;N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミド;N,N−ジメチル−N’−フェニル−N’−フルオロジクロロメチルチオ−スルファミド;亜鉛 2−ピリジンチオール−1−オキシド;テトラメチルチウラムジスルフィド;2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド;2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)−ピリジン;3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート;ジヨードメチル p−トリルスルホン;ビスジメチルジチオカルバモイル亜鉛エチレンビスジチオカルバメート;フェニル(ビスピリジル)ビスマスジクロリド;2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール;ピリジントリフェニルボラン;フェニルアミド;ハロプロパルギル化合物;又は2−ハロアルコキシアリール−3−イソチアゾロンが挙げられる。好適な2−ハロアルコキシアリール−3−イソチアゾロンとしては、限定されないが、2−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−3−イソチアゾロン、2−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−5−クロロ−3−イソチアゾロン、2−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−4,5−ジクロロ−3−イソチアゾロン、有機金属系抗汚損剤、例えば、トリブチルスズ又はトリフェニルスズ、又は無機系防汚剤、例えば、酸化亜鉛、銅、酸化銅、又は酸化第一銅、二酸化硫黄が挙げられる。本発明のスピノシンと組み合わせて使用可能な、好適な農業用防カビ剤としては、限定されないが、ジチオカルバメート及び誘導体、例えば、ファーバム、ジラム、マンネブ、マンコゼブ、ジネブ、プロピネブ、メタム、チラム、ジネブ及びポリエチレンチウラムジスルフィドの複合体、ダゾメット、これらの物質と銅塩との混合物;ニトロフェノール誘導体、例えば、ジノカップ、ビナパクリル、2−sec−ブチル−4,6−ジニトロフェニルイソプロピルカーボネート;ヘテロ環構造、例えば、キャプタンフォルペット、グリオジン、ジチアノン、チオキノックス、ベノミル、チアベンダゾール、ビンクロゾリン、イプロジオン、プロシミドン、トリアジメノール、トリアジメホン、ビテルタノール、フルオロイミド、トリアリモール、シクロヘキシミド、エチリモール、ドデモルフ、ジメトモルフ、チフルザミド、キノメチオネート;種々のハロゲン化防カビ剤、例えば、クロラニル、ジクロン、クロロネブ、トリカンバ、ジクロラン、ポリクロロニトロベンゼン;抗真菌性抗生物質、例えば、グリセオフルビン、カスガマイシン、ストレプトマイシン;種々の防カビ剤、例えば、ジフェニルスルホン、ドジン、メトキシル、1−チオシアノ−2,4−ジニトロベンゼン、1−フェニルチオセミカルバジドアジド、チオファネート−メチル、シモキサニル;及び、アシルアラニン、例えば、フララキシル、シプロフラム、オフレース、ベナラキシル、オキサジキシル;フルアジナム、フルメトベル、フェニルベンズアミド誘導体、例えば、EP 578586 A1号に開示されているもの、アミノ酸誘導体、例えば、EP 550788 A1号に開示されているバリン誘導体、メトキシアクリレート、例えば、メチル (E)−2−(2−(6−(2−シアノフェノキシ)ピリミジン−4−イルオキシ)フェニル)−3−メトキシアクリレート;ベンゾ(1,2,3)チアジアゾール−7−カルボチオ酸 S−メチルエステル:プロパモカルブ;イマザリル;カルベンダジム;ミクロブタニル;フェンブコナゾール;トリデモルフ;ピラゾホス;フェナリモル;フェンピクロニル;ピリメタニルが挙げられる。本発明のスピノシンと組み合わせて使用可能な、好適な除草剤としては、限定されないが、安息香酸及び安息香酸塩を含むカルボン酸誘導体;フェノキシ置換カルボン酸及びフェニル置換カルボン酸及びこれらの塩;トリクロロ酢酸及びトリクロロ酢酸塩;N,N−ジ(n−プロピル)チオールカルバミン酸エチル及びプロナミドを含むカルバミン酸誘導体;置換ウレア、置換トリアジン、ジフェニルエーテル誘導体、例えば、オキシフルオルフェン及びフルオログリコフェン、アニリド、例えば、プロパニル、オキシフェノキシ除草剤、ウラシル、ニトリル及び他の有機除草剤、例えば、ジチオピー及びチアゾピルが挙げられる。本発明のスピノシンと組み合わせて使用可能な、好適な殺虫剤としては、限定されないが、アバメクチン、ビフェントリン;シフルトリン;シヘキサチン;シペルメトリン;シフェノトリン;クロチアニジン、デルタメトリン;エンドスルファン;−オキシド;フェノキシカルブ;フェンスルホチオン;フェンバレラート;フルシクロクスロン;フルフェノクスロン;フルバリネート;フラチオカルブ;イミダクロプリド、イサゾホス;イソフェンホス;イソキサチオン;メチオカルブ;メトミル;メキサカルベート;ニコチン;ペルメトリン、レスメトリンが挙げられる。毒性がなく、天然の防汚剤の非限定的な例としては、デカラクトン、アラントラクトン、ゾステリン酸、カプサイシンが挙げられる。好適な抗生物質の典型例は、登録済防汚剤であるテトラサイクリンである。さらに別の実施形態によれば、米国特許出願第2008/0095737号に開示されているような防汚組成物を、本発明の少なくとも1つのスピノシン防汚剤と混合してもよい。
少なくとも1つのスピノシンと混合したキャリア要素は、膜形成性要素、熱可塑性材料、ガラス繊維、エラストマー要素、加硫ゴム、又はセメント要素であってもよい。キャリア要素は、任意の要素であってもよく、又は、防汚剤が組み込まれているか、又は、表面が水中に浸水している場合、保護されるべき表面に容易に塗布され、保護されるべき表面に付着する要素の組み合わせであってもよい。エラストマー材料及び加硫ゴムのような特定の種類の水面下の構造物を保護するために、セメント系化合物が用いられる。異なる要素は、水面下の表面を含む材料、表面の操作上の必要条件、表面形状、防汚化合物に依存して、異なる望ましい特性を有しているであろう。本発明に従って、表面が保護コーティングを有するように提供された後、コーティング中に存在するスピノシンは、汚損生物と接触し、これにより汚損生物の付着を防ぐ。海水用コーティングは、膜形成剤と、溶媒と、場合により、他の成分とを含む。溶媒は、有機溶媒であっても水であってもよい。本発明の組成物は、溶媒系及び水系の海水用コーティングで使用するのに適している。任意の従来の膜形成剤を、本発明の組成物を組み込んだ海水用防汚コーティングで利用してもよい。膜形成性要素は、ポリマー樹脂溶液を含んでいてもよい。ポリマー樹脂の非限定的な例としては、(a)不飽和酸及び無水物、例えば、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸;(b)飽和酸及び無水物、例えば、無水フタル酸、無水イソフタル酸、無水テレフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水テトラハロフタル酸、クロレンド酸、アジピン酸、セバシン酸;(c)グリコール、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジブロモネオペンチルグリコール、Dianol 33(登録商標)、Dianol 22(登録商標);(d)ビニルモノマー、例えば、スチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、ブロモスチレン、メタクリル酸メチル、エチレングリコールジメタクリレートから作られる不飽和ポリエステル樹脂が挙げられる。他の好適な樹脂としては、限定されないが、ビニルエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、水系分散物又は溶媒系としての塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー系、天然ロジンの混合物、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、溶媒系又は水系のアクリル樹脂、ウレタン系樹脂、自己研磨性コポリマー樹脂、アブレーティブ樹脂、浸出性樹脂、エラストマー要素、加硫ゴム、ブタジエン−スチレンゴム、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、ブタジエン−スチレン−アクリロニトリルゴム、乾燥油、例えば、亜麻仁油、アスファルト、エポキシ、例えば、ポリジメチルシロキサンのようなシロキサン、アルキルアルコキシシラン及びアリールアルコキシシランのようなシラン、フルオロシリコーンのようなシリコーン及びシリコーン系技術、シリコーンアクリレート、シリコーンラテックスエラストマー、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
本発明のコーティング組成物は、1つ以上の望ましい特性、例えば、硬度、強度の上昇又は低下、剛性の上昇又は低下、抗力の低下、透過性の上昇又は低下、又は耐水性の向上を与えるように、スピノシン及び膜形成性要素に加え、要素を含んでいてもよい。このような特性を付与する特定の要素又は要素群の選択は、当業者の能力の範囲内である。本発明の海水用コーティングは、場合により、以下の1つ以上のものを含有していてもよい:無機顔料、有機顔料又は染料、天然樹脂、例えば、ロジン、フィラー、増量剤、膨潤剤、湿潤剤、合着剤、可塑剤、分散剤、表面活性剤、防腐剤、レオロジー調整剤又は付着促進剤、UVフィルター、及びこれらの組み合わせ。
本発明で使用する主な活性成分は、上述のスピノシン群から少なくとも1つのスピノシンを含む。汚損生物に対して有効に保護するのに必要なコーティング組成物中のスピノシンの割合は、コーティング組成物が塗布される海水用構造物又は淡水用構造物の性質、その構造物が使用されるサービス、水のpH、その構造物がさらされる他の環境条件によって、スピノシン自体、膜形成剤の科学的性質、及び、スピノシンの有効性に影響を与え得る、組成物中に存在する他の添加物によってかなり変わる場合がある。また、活性の上限値は、当業者には容易に明らかな費用及び毒性の特徴によって影響を受けてもよい。当業者は、第2の活性成分が存在する事象では、混合した組成物が防汚剤として活性である限り、スピノシンの量が減ってもよいことを認識するであろう。
ある実施形態によれば、スピノシンは、組成物中に0.001%〜90%w/wの範囲の量で存在する。別の実施形態によれば、スピノシンは、0.1%〜25%w/wの範囲の量で存在する。さらに別の実施形態によれば、スピノシンは、1%〜10%w/wの範囲の量で存在する。
スピノシンは、塗料製造プロセス中に塗料配合物に含まれてもよく、使用時に塗料に加えられてもよい。スピノシンを、膜形成性要素に単純に混合してもよく、又は、海水中で結合が加水分解した後にしか放出されない「アブレーティブコーティング又は自己研磨性コーティング」として知られるように、樹脂に共有結合させてもよい。加水分解を制御することによって、樹脂に親水性部位を作りつつ、放出速度が遅くなる。次いで、この加水分解した層が洗い流されると、スピノシンの新しい層がさらされる。自己研磨性防汚組成物の非限定例は、参照により組み込まれる米国特許出願第2005/0096407号に述べられている。防汚剤であるスピノシンは、海水用コーティング組成物に希釈していない状態で粒子状固体としてカプセル化した粒子形態で含まれ、例えば、個々のキレート粒子が、ナノ粒子でベントナイト又はシリカのマトリックスに埋め込まれるか、又は、液体媒体の懸濁物として含まれる。さらに、スピノシンを、例えば、米国特許第6,610,282号、米国特許第6,149,927号、米国特許第6,676,954号のように、種々の徐放性組成物に使用してもよい。徐放性組成物では、スピノシンは、コーティングのマトリックスへの化合物の徐放性を可能にする遅放性材料に組み込まれてもよく、これによりコーティングの有効性が長時間持続し、防汚効果を与えるのに必要な化合物の量が減る。また、このような遅放性材料へのカプセル化は、スピノシンをコーティングの厳しい化学環境から保護してもよく、分解しやすい場合には、樹脂に捕捉しつつ、分解が減るだろう。他の従来のカプセル化方法を用いてもよい。例えば、防汚剤粒子は、マイクロコーティングされていてもよく、例えば、粒子が、流動床反応器内で、特別に設計されたポリマーでコーティングされる。コーティング材料の厚みがモニタリングされ、例えば、空気流、供給流、温度、ノズルの大きさ、基板などのような動的な操作条件によって制御されてもよい。別の可能な方法は、疎水性防汚剤が、β−シクロデキストリンのようなホスト分子の「疎水性」構造にカプセル化される分子包接である。カプセル化の別の方法は、スプレー乾燥及び防汚剤のコアセルベーションであり、この方法によって、防汚剤が、炭水化物及びポリマーで作られた十分に規定されたガラス状マトリックスにカプセル化される。
作用機序に関する特定の理論によって束縛されることを望むものではないが、本発明の防汚組成物中に存在するスピノシンは、コーティングされた基板又は含浸された基板の表面で、汚損生物を撃退するか、又は汚損生物に影響を与えるような不利な環境を作り出し、これにより、このコーティングされた表面に汚損生物が付着し、成長するのを防ぐことによって機能する。しかし、微生物に対する阻害効果は、微生物による活性薬剤の吸入、呼吸、消化又は吸収によってもたらされてもよい。
また、少なくとも1つのスピノシン又はその誘導体若しくは塩、又はこれらの組み合わせを含有する組成物が組み込まれているか、又はこの組成物でコーティングされた表面を有する任意の物品が、本発明の範囲内である。本発明の含浸された物品及び/又はコーティングされた物品は、汚損生物が付着する傾向がある淡水、塩水、河口、汽水、海又は他の水域と接触する任意の材料、例えば、金属、木材、コンクリート、プラスチック、コンポジット、石を含んでいてもよい。このような生物の付着及び成長を阻害するコーティングによって有益であり得る物品の代表例としては、船及び船舶、例えば、船体、プロペラ、かじ、竜骨、垂下竜骨、フィン、水中翼、係留施設、例えば、桟橋及び杭、デッキ表面、ブイ、波止場、突堤、漁網、産業用冷却システムの表面、冷却水取水口又は排出管、脱塩設備、船のビーコン、浮動ビーコン、浮防波堤、埠頭、パイプ、パイプライン、タンク、発電所の送水管、海辺の工業プラント、魚保存構造物、水中構造物、港設備、橋、ベル、下げ振り、車輪、クレーン、浚渫機、ポンプ、バルブ、ワイヤ、ケーブル、ロープ、はしご、箱船、トランスポンダー、アンテナ、はしけ、潜望鏡、シュノーケル、砲架、砲身、発射管、機雷、沖合での固定装置、排水システムのための取水口スクリーン、装飾用又は機能用のセメント又は石の形成が挙げられる。
実施例以外で、又はそれ以外の場所で示されている場合、本明細書及び特許請求の範囲で使用する成分、反応条件などをあらわす全ての数字は、全ての場合が用語「約」で修正されていると理解すべきである。従って、矛盾することが示されていない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲で記載されている数値パラメーターは、本開示によって得られると思われる望ましい性質に基づいてさまざまに変わるであろう、おおよその値である。最低限でも、特許請求の範囲に対する均等論を制限しようとしているわけではなく、それぞれの数値パラメーターは、有意桁数及び通常の丸めアプローチの観点で解釈されるべきである。
本発明の広い範囲を記述する数値範囲及び数値パラメーターがおおよその値であることにかかわらず、他の意味であることが示されていない限り、特定の実施形態に記載されている数値範囲は、可能な限り正確なものになるように報告されている。しかし、任意の数値には、それぞれの試験測定値中に見いだされる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含んでいる。
以下の実施例は、本発明をさらに詳細に記述するために与えられている。これらの実施形態は、本発明の組成物、方法及び物品の特定の実施形態を単に示すものであり、いかなる様式でも本発明を限定するものと解釈されるべきではない。これらの実施例は、汚損生物の固着を阻害することに対し、特定のスピノシンの抗力を決定するために行った試験結果を提供している。本明細書に記載されている実施形態を、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく種々の様式で改変又は修正してもよいことが、当業者には明らかであろう。
図1は、種々の濃度のスピノサドが存在するなかで、log期からlag期でモニタリングしたDunaliella tertiolecta成長をあらわすグラフを示す。 図2は、表4のパネルID AAとBBとを比較する、パネル番号2の40週間の静的浸漬試験の写真を示す(A側=AA、B側=BB)。 図3は、表4のパネルID CCとDDとを比較する、パネル番号5の40週間の静的浸漬試験の写真を示す(A側=CC、B側=DD)。
(実施例1)
(Balanus amphitriteに関連する海水バクテリアに対する抗菌アッセイ)
Avelin et al.、J.Chem.Ecol.、19(10)、2155−67(1993)に記載されるように、標準的な寒天拡散技術を用いて、4種類のバクテリア種に対して、静菌性化合物としてのスピノサドの効果を試験した。この試験で使用したバクテリアは以下のとおりであった。Aeromonas sp(Ae,);Alcaligenes sp(Al,);Flavobacterium sp(F);Vibrio sp(V,)。
寒天拡散技術は、Acar(1980)の元々の方法に従う。滅菌ペトリ皿に、蒸留水中3.7%の海水ブロスと、それぞれの海水バクテリア種とを含む、12時間たった古い栄養ブロスの培養物1mLを、抗生物質寒天培地20mLとともに移した。
純粋なスピノサドの濃度計算値が10-1mg/10μL〜10-4mg/10μLの範囲の試験溶液(蒸留水中、2.4%w/wのTracer)を用い、滅菌したWhatman No.1紙ディスク(直径6.25mm)をのせた。コントロールのディスクには、ビヒクルのみを用いてのせた。試験溶液にさらしてから24時間後、阻害領域、すなわち、ディスクの周りで、海水バクテリアが成長していない領域を、ディスクの縁からバクテリアが成長していないことを示す領域(mm)の縁までの距離を決定することによって測定した。以下の表1に示したデータは、スピノサド溶液が、数倍希釈した場合であっても、これらの海水バクテリアに対して阻害効果を有することを示している。
Figure 2012502971
(実施例2)
(フジツボキプリスの固着アッセイ及びEC50の決定)
フジツボBalanus amphitrite Darwinは、全ての海洋生態系で見つかるなかで最もよくある強固な汚損生物であり、特に、商業的な運搬の際に停留する港で見つかる。この評価に用いる方法は、多くの刊行物で詳細に記載されている(Rittschof D、Clare AS、Gerhart DJ、Avelin Mary、Bonavetura J(1991)Barnacle in vitro assays for biologically active substances:toxicity and settlement assays using mass cultured Balanus amphitrite amphitrite Darwin.Biofouling 6:115−122)。
フジツボの成体を実験室で培養し、天然で産卵させる。幼生を集め、人工培養システムで、幼虫が表面に付着する能力を有するようになるキプリス段階に到達するまで成長させる。いったん付着したら、キプリスは帽針頭大のフジツボに形態を変え、表面に永久的に付着するようになる。
試験したサンプル溶液は、23.2%w/w Tracerの蒸留水溶液であった(純粋なスピノサド10%w/w又は100mgスピノサド/mLに相当する)。段階希釈する前に、このサンプルを撹拌した。
データを、EC50の計算値とともに、以下の表2及び表3にまとめている。使用した最も高い濃度(0.1mg スピノサド/mL)で、キプリスは、試験溶液にさらしてから数時間は不活発な状態であった。しかし、キプリスはすばやく回復し、この用量では死亡は観察されなかった。実際に、試験した全ての濃度で死亡はみられなかった。10-1〜10-4mg/mLでキプリスの付着は見られなかった。その後、10-5からもっと低い濃度では、用量に依存して付着が起こり、10-5mg/mLでのみコントロール値に到達している。プロビット分析によるEC50の計算から、EC50が7×10-8mg/mLであることが示された。この結果は、スピノサドが、フジツボキプリスの固着に対し、有効で毒性のない阻害剤であることを示す。
以下のデータに対するさらなる記述:1.「固着」は、ペトリ皿の表面に固着し、付着したキプリス幼生の合計数を意味する。2.「未固着」は、海水を泳いだままで、表面に固着していないキプリスの合計数を意味する。3.データは、表面に固着したキプリスの割合としてあらわされている。4.データはまとめられており、平均、標準偏差(SD)、標準誤差(SE)はサンプルごとに算出されている。5.試験は、試験群あたり3個の皿を三ッ組にして行ない、それぞれの皿は、そのどこかに75〜100個のキプリスが含まれている。
フジツボの固着:
Figure 2012502971
Figure 2012502971
Figure 2012502971
EC50の計算
Figure 2012502971
(実施例3)
(スピノサドを含有する塗料組成物を用いた、汚損生物の阻害)
2枚の15×15cm PVC正方形パネルに、以下のように塗装した。片側を、11.43%w/wのTracer(5%の純粋なスピノサド)と、88.57%w/wの従来の白色アクリル塗料(防腐剤又は他の防汚剤をなんら含まない)を含む組成物で塗装し、もう片側を、上述の塗料のみ(コントロール塗料)のみで塗装した。コーティングしたパネルを、ギリシャのスーニオン岬にあるOlympic marineに、海水汚損環境で水面から約60cmの距離のところに浸水させ、試験コーティングによる、汚染に対する耐性度を決定した。パネルを海水に10週間さらした。海水にさらす期間が終了したら、汚損についてパネルを観察した。
コントロール塗料側は、感知できるほど汚損していた。
5%スピノサドを有する組成物で処理した側は、感知できるほどの汚損物の付着は見られなかった。
(実施例4)
(スピノサドエマルションによる、汚損性微細藻類Dunaliella tertiolectaの成長阻害)
このアッセイの開始時に、23.2%w/wのTracer(登録商標)=10%スピノサドを含有する水系エマルションを用いた。Dunaliella tertiolectaは、20mL試験管に入ったストック培養物中に種培養物として維持しておき、7日間の移動サイクル中維持しておいた。海水微細藻類を、F/2−Guillard−1975成長培地中に、濾過し、滅菌した海水100mLを含む250mLのコニカルフラスコに接種した。最初の10%スピノサドエマルション(名称Entarco 8205 10%)を、蒸留水にさらに溶解し、最終濃度が10-2mg スピノサド/mL〜10-9mg スピノサド/mLになるような種々の濃度でそれぞれの藻類培養物に加えた。コントロールは、試験溶液を含まない藻類培養物で構成されていた。それぞれの試験群は、3個のフラスコで構成されていた。
典型的な培養物は、4つの段階を経る。Lag期は、細胞がほとんど増加していないか、まったく増加していないことを特徴とする。Log期又は指数増殖期は、細胞分割の速度が急速に増えているときである。次の定常期と呼ばれる段階の間、生きている細胞の数は一定なままであり、さらなる成長は起こっていない。衰退期では、細胞は死又は老化へのプロセスが始まっている。それぞれのフラスコ内の藻細胞の成長を血球計算器によって毎日計測した。スピノサド存在下、又は非存在下で、培養物の成長から衰退への全体を決定した(Targett、1988 Allelochemistry in marine organisms:Chemical fouling and antifouling strategies)。
フラスコ培養の環境条件:
Figure 2012502971
Figure 2012502971
図1に記載のデータは、スピノサドが、用量に依存して顕著な微細藻類阻害特性を有することを示している。
(実施例5)
(40週間の静的浸漬試験)
寸法約7.6×20.4cmの試験パネルを、以下のようにコーティングし、ラベルを付けた。AA側を、77.3%w/wの従来の白色アクリル塗料(防腐剤又は他の防汚剤をなんら含まない)と、22.7%w/wのTracer(登録商標)製品(スピノサド10%を含有する配合物)とで構成される塗料配合物でコーティングした。BB側を、コントロールパネルとして、キャリアのみ(スピノサドを含まない塗料)でコーティングした。CC側を、88.6%w/wの従来の白色アクリル塗料(防腐剤又は他の防汚剤をなんら含まない)と、11.4%w/wのTracer(登録商標)製品(スピノサド5%を含有する配合物)とで構成される塗料配合物でコーティングした。DD側は、いかなる材料でもコーティングしなかった。全てのパネルのラベル付けした側には、コーティングしなかった。パネルを浮桟橋のホルダーに置き、インドのトゥーティコリン湾にて連続的に40週間水中に浸水させた。このパネルを毎月数分間調べ、写真を撮った後すぐに再び浸水させた。得られたデータを以下の表4に記載し、図2及び図3にあらわした。これらのデータは、明らかに、スピノシン、特にスピノサドを含有するコーティング組成物が、汚損生物、特に、フジツボのような強固な汚損生物が、組成物が塗布された水面下の構造物表面に付着することを、長期間にわたって有効に保護することを示している。この試験終了時に、何枚かのパネルの写真にも、付着が起こっている。
Figure 2012502971

Claims (30)

  1. 海水又は淡水防汚組成物であって、少なくとも1つのスピノシン又はその誘導体若しくは塩と、キャリアとを含み、この配合物が、前記組成物が塗布されているか、又は組み込まれている物品に水生生物が付着するのを防ぐのに有効である、海水又は淡水防汚組成物。
  2. 前記キャリアが、膜形成剤、セメント系材料、熱可塑性材料、ガラス繊維、エラストマー材料、加硫ゴムからなる群から選択される、請求項1に記載のキャリア。
  3. 防汚性殺生物剤、殺菌剤、天然由来の防汚剤、防汚性金属塩、殺菌剤、防カビ剤、殺藻剤、殺虫剤、抗生物質、又はこれらの物質若しくはこれらの混合物の遊離形態又はカプセル化された形態からなる群から選択される少なくとも1つの追加の活性成分をさらに含む、請求項1に記載の海水又は淡水防汚組成物。
  4. 前記追加の防汚性殺生物剤がイソチアゾロンである、請求項3に記載の組成物。
  5. 前記イソチアゾロンが、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンである、請求項4に記載の組成物。
  6. 前記少なくとも1つのスピノシンが、スピノサド、スピネトラム、ブテニルスピノシンから選択される、請求項1に記載の海水又は淡水防汚組成物。
  7. 前記スピノシンが、0.001%〜90%の割合で存在する、請求項1に記載の海水又は淡水防汚組成物。
  8. 前記スピノシンが、0.1%〜25%の割合で存在する、請求項1に記載の海水又は淡水防汚組成物。
  9. 前記スピノシンが、1%〜10%の割合で存在する、請求項1に記載の海水又は淡水防汚組成物。
  10. 顔料、有機希釈剤、フィラー、増量剤、膨潤剤、湿潤剤、凍結防止剤、付着促進剤、UV安定剤、平坦化剤、防腐剤、及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む、請求項1に記載の海水又は淡水防汚組成物。
  11. 前記組成物が徐放性組成物である、請求項1に記載の海水又は淡水防汚組成物。
  12. 膜形成性ポリマーバインダーと、少なくとも1つのスピノシン又はその誘導体若しくは塩とを含む、コーティング組成物。
  13. 塗料、ワニス、プライマー、シーラントの群から選択される、請求項12に記載のコーティング組成物。
  14. 前記少なくとも1つのスピノシンが、防汚効果を付与するのに有効な量のスピノサド、スピネトラム、ブテニルスピノシンから選択される、請求項12に記載のコーティング組成物。
  15. 海水中又は淡水中に浸水した物品を汚損生物から保護する方法であって、少なくとも1つのスピノシン又はその誘導体若しくは塩を含む請求項1に記載の組成物を、防汚効果を付与するのに有効な量で前記物品に塗布するか、及び/又は前記物品に入れ込むことを含む、方法。
  16. 前記少なくとも1つのスピノシンが、スピノサド、スピネトラム、ブテニルスピノシンから選択される、請求項15に記載の方法。
  17. 前記海水又は淡水の汚損生物が、フジツボ、カワホトトギスガイ、藻類、珪藻、バクテリア、ヒドロイド、コケムシ、海綿動物、被嚢類、軟体動物、ホヤ類、チューブワーム、シジミからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
  18. 前記生物が、フジツボ属の1つ以上の種である、請求項17に記載の方法。
  19. 少なくとも1つのスピノシン又はその誘導体若しくは塩が、膜形成性ポリマーバインダーを含むコーティング組成物で使用される、請求項15に記載の方法。
  20. 前記コーティング組成物が、塗料、ワニス、プライマー、シーラントである、請求項19に記載の方法。
  21. 浸水可能な製品又は部品を製造する方法であって、少なくとも1つのスピノシン又はその誘導体若しくは塩を含む防汚組成物を、前記製品又は部品に組み込むことを含む、方法。
  22. 前記少なくとも1つのスピノシンが、スピノサド、スピネトラム、ブテニルスピノシンから選択される、請求項20に記載の方法。
  23. 汚損生物から保護され、この保護が、請求項15に記載の方法によって行われる、潜水可能な海水用構造物又は淡水用構造物を含む製品。
  24. 前記保護が、膜形成性ポリマーバインダーと、少なくとも1つのスピノシンとを含む組成物を前記構造物に塗布することによって行われる、請求項23に記載の製品。
  25. 前記少なくとも1つのスピノシンが、スピノサド、スピネトラム、ブテニルスピノシンから選択される、請求項24に記載の製品。
  26. 前記構造物が、船、大型船、水産養殖装置、石油プラットフォーム、埠頭、漁網、杭又は桟橋である、請求項23に記載の方法。
  27. 組成物であって、少なくとも1つのスピノシン又はその誘導体若しくは塩と、好適なキャリアとを含み、この組成物が、ビブリオ属、フラボバクテリウム属、アルカリゲネス属、アエロモナス属のバクテリアに対して抗バクテリア特性を有する、組成物。
  28. バクテリアと、少なくとも1つのスピノシン又はその誘導体若しくは塩を含む組成物とを接触させることによる、水生環境でビブリオ属、フラボバクテリウム属、アルカリゲネス属、アエロモナス属のバクテリアの成長を阻害する方法。
  29. 前記少なくとも1つのスピノシンが、スピノサド、スピネトラム、ブテニルスピノシンから選択される、請求項28に記載の方法。
  30. 前記水生環境が、養殖用の構造物である、請求項28に記載の方法。
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