JP2012502938A - 癌の治療のためのモノクローナル抗体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、腫瘍関連疾患、例えば乳癌、肺癌、胃癌、卵巣癌、肝細胞癌、結腸癌、膵臓癌、食道癌、頭頸部癌、腎癌、特に腎細胞癌、前立腺癌、肝臓癌、黒色腫、肉腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、胎盤性絨毛癌、子宮頸癌及び甲状腺癌、並びにそれらの転移形態を含む、GT468を発現する細胞に関連する疾患を治療する及び/又は予防するための治療薬として有用な抗体を提供する。1つの実施形態において、腫瘍疾患は肺の転移性癌である。

Description

抗体に基づく癌療法は、臨床に導入されて成功を収めており、過去10年間にわたって腫瘍学における最も有望な治療法として浮上してきた。
癌のための抗体に基づく療法は、従来の薬剤と比較してより高い特異性とより低い副作用プロフィールの潜在的可能性を有する。その理由は、抗体による正常細胞と腫瘍細胞との正確な識別、並びにそれらの作用機構が、補体の活性化及び細胞傷害性免疫細胞の活動のようなより毒性の低い免疫学的抗腫瘍機構に基づくという事実にある。
抗体療法のための標的は、正常細胞と腫瘍細胞との間の適切な識別のための基礎を形成する、特定の性質を有する必要がある。明らかに、腫瘍細胞に排他的に限定され、正常組織では完全に検出不能である標的は、効率的で安全な抗体療法の開発のために理想的である。もう1つの態様では、高レベルの過剰発現が治療ウインドウ及び低い副作用のための基礎となり得、これは、遺伝子増幅の結果として抗体トラスツズマブ(Herceptin)の良好な標的である、ヒト上皮増殖因子受容体2型(HER−2)によって例示される。
腫瘍治療に関して既に承認されているか又は臨床開発中である抗体についての他の標的は、腫瘍細胞上の標的分子の数的過剰発現には基づかない、特徴的な性質を有する。プロテオグリカンMUC−1に対する抗体の場合は、標的の骨格内のペプチド反復エピトープが腫瘍細胞ではグリコシル化不十分であり、それ故その正常対応物へと変化する。CD20(リツキシマブ)、CD52(Campath−1H)及びCD22(エプラツズマブ)に対する抗体の場合は、抗体標的が腫瘍細胞と正常リンパ球上で同等の発現レベルを有する。ここでは、標的陰性幹細胞が正常なリンパ球レパートリーを回復するので、抗体による正常細胞の切断が耐容される。抗体標的の区別的アクセス可能性の他の例は、癌胎児性抗原(CEA)及びカルボアンヒドラーゼIX(CA9)である。どちらの抗原も、それぞれ結腸及び腎臓の正常上皮で発現される。しかし、放射性標識イメージング抗体は、腫瘍と正常組織を正しく識別し、細胞傷害性抗体は良好に耐容される。これは、おそらくIgG抗体がアクセスできない正常上皮組織の管腔側でのCA9及びCEAの発現が制限されていることによると考えられる。抗原上皮細胞接着分子(Ep−CAM)もこのカテゴリーに属する。上皮細胞についての同型細胞接着分子として、Ep−CAMは細胞間隙に局在する。興味深いことに、高親和性抗Ep−CAM抗体は非常に毒性が強いが、中間親和性の抗体は良好に耐容される。これは、正常細胞上のEp−CAM標的のアクセス可能性を示唆するだけでなく、抗体結合の動力学が治療ウインドウを開き得ることも指示する。
8つの抗体が腫瘍性疾患の治療に関して承認されているが、それらのほとんどはリンパ腫及び白血病における治療である(Adams,G.P.&Weiner,L.M.(2005)Nat.Biotechnol.23,1147−1157)。3つのmAb、すなわちHerceptin、Avastin及びErbituxだけが、癌が引き起こす死亡の90%超を占める、固形癌タイプを対象とする。残存する実質的な医学的必要性、承認されたmAbが既に提供してきた重要な臨床的恩恵及びそれらの大きな商業的成功の全体が、広範囲の患者群のために抗体療法を開発することのみならず、それらの効果も改善しようとする革新的手法の波をもたらした(Brekke,O.H.&Sandlie,I.(2003)Nat.Rev.Drug Discov.2,52−62;Carter,P.(2001)Nat.Rev.Cancer 1,118−129)。
次世代の改善された抗体に基づく癌療法の出現のために克服されるべき課題の1つは、好ましい毒性/効果プロファイルのための鍵となる、適切な標的分子の選択である。
固形癌の治療のために現在使用可能な抗体は、正常組織でのそれらの標的の発現のために、抗体分子に組み込まれた作用機構の累積的な力を十分に発揮していない。例えば、ハーセプチンの標的であるHer2/neuは、心筋を含む多くの正常ヒト組織で発現される(Crone,S.A.,Zhao,Y.Y.,Fan,L.,Gu,Y.,Minamisawa,S.,Liu,Y.,Peterson,K.L.,Chen,J.,Kahn,R.,Condorelli,G.et al.(2002)Nat.Med.8,459−465)。結果として、Herceptinは、さもなければ許容されない毒性の故に、低い免疫学的効力で設計されており、その最大有効用量で投与することができない。この「潜在的に鋭利なナイフの切れ味の鈍化」がハーセプチンの治療効果を制限している。
毒性に関連する正常組織で発現しないことに加えて、腫瘍細胞の表面での堅固で高い発現と腫瘍促進機能の提示が、理想的な抗体標的のための望ましい特徴である(Houshmand,P.&Zlotnik,A.(2003)Curr.Opin.Cell Biol.15,640−644)。
癌の抗体療法の新たな標的の発見のために総合的なデータ検索と実験による検証手法を使用して、発明人はGT468を同定した。GT468は、様々な腫瘍型において、特に乳癌においてしばしば異常に活性化され、高発現される胎盤特異的遺伝子である。MCF−7及びBT−549乳癌細胞におけるRNAiを介したGT468のサイレンシングは、運動性、移動及び浸潤を大きく低下させ、ほぼ完全な増殖の排除を伴うG1/S細胞周期のブロックを誘導する。GT468のノックダウンは、サイクリンD1の発現低下及びAKTキナーゼのリン酸化減少に結びつく。さらに、GT468は癌細胞の表面に局在し、この分子の生物学的機能に拮抗する抗体にとってアクセス可能である。
GT468は、この分子を治療抗体のための極めて魅力的な標的とするいくつかの性質を備える。妊娠のような例外的な状態においてのみヒトの身体に出現する細胞系譜の識別抗原であるので、自己抗原がおそらくそうであるように健常毒性関連組織には存在しない。様々な腫瘍実体におけるその高い存在率の故に、幅広い患者がGT468標的化療法による治療に適格となる。例えば乳癌の場合は、患者の82%がこの標的を担持する。これに対し、ハーセプチンの標的であり、この癌型の治療のために使用可能な唯一のmAbであるHer2/neuは、乳癌患者の20〜25%においてしか過剰発現されない(Slamon,D.J.,Godolphin,W.,Jones,L.A.,Holt,J.A.,Wong,S.G.,Keith,D.E.,Levin,W.J.,Stuart,S.G.,Udove,J.,Ullrich,A.et al.(1989)Science 244,707−712)。肺癌及び胃癌に関しては、それぞれ症例の42%及び58%においてGT468が発現されるが、これらの癌型における適切な標的が存在しないために、今までのところ承認されたmAb治療はない。
Adams,G.P.&Weiner,L.M.(2005)Nat.Biotechnol.23,1147−1157 Brekke,O.H.&Sandlie,I.(2003)Nat.Rev.Drug Discov.2,52−62 Carter,P.(2001)Nat.Rev.Cancer 1,118−129 Crone,S.A.,Zhao,Y.Y.,Fan,L.,Gu,Y.,Minamisawa,S.,Liu,Y.,Peterson,K.L.,Chen,J.,Kahn,R.,Condorelli,G.et al.(2002)Nat.Med.8,459−465 Houshmand,P.&Zlotnik,A.(2003)Curr.Opin.Cell Biol.15,640−644 Slamon,D.J.,Godolphin,W.,Jones,L.A.,Holt,J.A.,Wong,S.G.,Keith,D.E.,Levin,W.J.,Stuart,S.G.,Udove,J.,Ullrich,A.et al.(1989)Science 244,707−712
GT468は生細胞上の抗体による標的となり得、そのような抗体は、増殖阻害のような抗腫瘍作用を促進し得る。GT468は増殖に関与するだけでなく、細胞の運動性、移動及び浸潤にも関わる。最も興味深い点として、これらの特性すべてが、腫瘍表現型に実質的に寄与するのみならず、ヒト栄養膜の固有の性質でもあり、その生理的特徴は、速やかに成長し、子宮組織に効率よく侵入することである。ADCC及びCDCのような免疫エフェクター機能を媒介する潜在的可能性に加えて、これらの機能すべてに同時に干渉する、GT468に対するmAbが構築され得ると期待される。
本発明は、一般に、腫瘍関連疾患、例えば癌、特に乳癌、肺癌、胃癌、卵巣癌、肝細胞癌、結腸癌、膵癌、食道癌、頭頸部癌、腎癌、特に腎細胞癌、前立腺癌、肝癌、黒色腫、肉腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、胎盤性絨毛癌、子宮頸癌及び甲状腺癌、並びにそれらの転移形態を含む、GT468を発現する及び/又はその細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞に関連する疾患を治療する及び/又は予防するための治療薬として有用な抗体を提供する。1つの実施形態では、癌疾患は肺の転移性癌である。
1つの態様では、本発明は、GT468に結合する能力を有する抗体に関する。本明細書で述べる抗体は、好ましくは、GT468上に存在する抗原決定基、好ましくはGT468の細胞外ドメイン内に位置する抗原決定基、より好ましくは配列番号:3−10及び35−82に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体である。好ましくは、抗体は、細胞表面上に位置するGT468に結合する能力を有し、好ましくはGT468の細胞外ドメイン内、好ましくはGT468のアミノ酸残基23−212内に位置する1つ又はそれ以上の抗原決定基に結合し、最も好ましくは配列番号:3−10及び35−82のアミノ酸配列の1つの中に位置する抗原決定基に結合する。1つの好ましい実施形態では、抗体は配列番号:3−10及び35−82のアミノ酸配列の1つ又はそれ以上に特異的である。様々な実施形態において、抗体は、配列番号:2のアミノ酸29−119、好ましくはアミノ酸29−212、より好ましくはアミノ酸23−212を含むペプチドに結合する能力を有する。
本発明に包含されるモノクローナル抗体は、IgA、IgG1−4、IgE、IgM及びIgD抗体を含む。1つの実施形態では、抗体はIgG1抗体、より具体的にはIgG1κ又はIgG1λアイソタイプである。もう1つの実施形態では、抗体はIgG3抗体、より具体的にはIgG3κ又はIgG3λアイソタイプである。さらにもう1つの実施形態では、抗体はIgG4抗体、より具体的にはIgG4κ又はIgG4λアイソタイプである。さらにもう1つの実施形態では、抗体はIgA1又はIgA2抗体である。さらにもう1つの実施形態では、抗体はIgM抗体である。
1つの実施形態では、本発明の抗体は、配列番号:75−79に従ったペプチドの1つ又はそれ以上に結合する。1つの実施形態では、抗体は、配列番号:75に従ったペプチド及び/又は配列番号:76に従ったペプチドに結合し、より好ましくは配列番号:75に従ったペプチド及び配列番号:76に従ったペプチドに結合する。もう1つの実施形態では、抗体は、配列番号:77に従ったペプチド及び/又は配列番号:78に従ったペプチド及び/又は配列番号:79に従ったペプチドに結合し、より好ましくは配列番号:78に従ったペプチド及び配列番号:79に従ったペプチドに結合するか又は配列番号:77に従ったペプチド、配列番号:78に従ったペプチド及び配列番号:79に従ったペプチドに結合する。
1つの実施形態では、本発明の抗体は、配列番号:4に従ったペプチド又は配列番号:80に従ったペプチドを免疫のために使用して得られる。もう1つの実施形態では、本発明の抗体は、配列番号:6に従ったペプチド又は配列番号:81に従ったペプチドを免疫のために使用して得られる。好ましくは、本発明の抗体は上記ペプチドの1つ又はそれ以上に結合する。
さらなる実施形態では、配列番号:75に従ったペプチド及び/又は配列番号:76に従ったペプチドに結合する、より好ましくは配列番号:75に従ったペプチド及び配列番号:76に従ったペプチドに結合する抗体は、配列番号:4に従ったペプチド又は配列番号:80に従ったペプチドを免疫のために使用して得られる。もう1つの実施形態では、配列番号:77に従ったペプチド及び/又は配列番号:78に従ったペプチド及び/又は配列番号:79に従ったペプチドに結合する、より好ましくは配列番号:78に従ったペプチド及び配列番号:79に従ったペプチドに結合するか又は配列番号:77に従ったペプチド、配列番号:78に従ったペプチド及び配列番号:79に従ったペプチドに結合する抗体は、配列番号:6に従ったペプチド又は配列番号:81に従ったペプチドを免疫のために使用して得られる。
1つの実施形態では、本発明の抗体は、配列番号:61〜66に従ったペプチドの1つ又はそれ以上に結合する。1つの実施形態では、抗体は、配列番号:61に従ったペプチド及び/又は配列番号:62に従ったペプチドに結合し、より好ましくは配列番号:61に従ったペプチド及び配列番号:62に従ったペプチドに結合する。もう1つの実施形態では、抗体は、配列番号:64に従ったペプチド及び/又は配列番号:65に従ったペプチドに結合し、より好ましくは配列番号:64に従ったペプチド及び配列番号:65に従ったペプチドに結合する。もう1つの実施形態では、抗体は、配列番号:65に従ったペプチド及び/又は配列番号:66に従ったペプチドに結合し、より好ましくは配列番号:65に従ったペプチド及び配列番号:66に従ったペプチドに結合する。
1つの実施形態では、本発明の抗体は、配列番号:82に従ったペプチドを免疫のために使用して得られる。好ましくは、本発明の抗体は上記ペプチドに結合する。配列番号:82に従ったペプチドは、アミノ酸1と16の間のペプチドにおけるジスルフィド結合の形成を助けるために付加されたC末端GSリンカーを有する。このペプチドは、おそらくGT468の天然配座に類似する。配列番号:82に従ったペプチドを免疫のために使用して得られたハイブリドーマ51−1A−1によって産生された抗体は、GT468を発現する癌細胞の増殖及びコロニー形成に対して強い阻害活性を示した。
さらなる実施形態では、配列番号:64に従ったペプチド及び/又は配列番号:65に従ったペプチドに結合する、より好ましくは配列番号:64に従ったペプチド及び配列番号:65に従ったペプチドに結合する抗体、又は配列番号:65に従ったペプチド及び/又は配列番号:66に従ったペプチドに結合する、より好ましくは配列番号:65に従ったペプチド及び配列番号:66に従ったペプチドに結合する抗体は、配列番号:82に従ったペプチドを免疫のために使用して得られる。
1つの実施形態では、本発明の抗体は、配列番号:57〜60に従ったペプチドの1つ又はそれ以上に結合する。1つの実施形態では、抗体は、配列番号:57に従ったペプチド及び/又は配列番号:58に従ったペプチド及び/又は配列番号:59に従ったペプチドに結合し、より好ましくは配列番号:57に従ったペプチド及び配列番号:58に従ったペプチド及び配列番号:59に従ったペプチドに結合する。もう1つの実施形態では、抗体は、配列番号:59に従ったペプチド及び/又は配列番号:60に従ったペプチドに結合し、より好ましくは配列番号:59に従ったペプチド及び配列番号:60に従ったペプチドに結合する。
好ましくは、本発明の抗体は、癌細胞、特に本明細書で言及する癌型の細胞に結合し、好ましくは非癌細胞には実質的に結合せず、より好ましくは胎盤細胞及び精巣細胞以外の非癌細胞には実質的に結合しない。好ましくは、癌細胞のようなGT468を発現する及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞への前記抗体の結合は、前記細胞の死滅を媒介する、並びに/又は運動性、移動、浸潤、増殖及び/若しくはコロニー形成などの、そのような細胞の1つ又はそれ以上の活性を阻害する。好ましくは、抗体は前記細胞の増殖及び/又はコロニー形成を阻害する。
本発明の抗体による、細胞の死滅化並びに/又は細胞の1若しくはそれ以上の活性の阻害、特に細胞増殖及びコロニー形成の阻害は、好ましくは前記細胞によって発現される及び/又は前記細胞の細胞表面と結合しているGT468への抗体の結合によって誘導される。そのような細胞の死滅化及び/又は細胞の1若しくはそれ以上の活性の阻害は、本明細書で述べるように治療において利用できる。特に、細胞の死滅化及び/又は細胞の増殖の阻害及び/又は細胞のコロニー形成の阻害は、癌転移を含む、癌を治療するか又は予防するために利用できる。細胞の運動性、移動、浸潤、増殖及び/又はコロニー形成の阻害は、特に、癌の転移及び癌細胞の転移拡大を治療するか又は予防するために利用できる。
GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞は、好ましくは癌細胞であり、特に、以下の癌疾患:乳癌、肺癌、胃癌、卵巣癌、肝細胞癌、結腸癌、膵癌、食道癌、頭頸部癌、腎癌、特に腎細胞癌、前立腺癌、肝癌、黒色腫、肉腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、胎盤性絨毛癌、子宮頸癌及び甲状腺癌、並びにそれらの転移形態の、腫瘍形成性癌細胞からなる群より選択される。1つの実施形態では、癌疾患は肺の転移性癌である。
本発明の抗体は、標的細胞傷害、すなわち腫瘍細胞の死滅をもたらすために1つ又はそれ以上の治療エフェクター成分、例えば放射性標識、細胞毒、治療用酵素、アポトーシスを誘導する物質等に結合させ得る。
好ましくは、本発明の抗体は、補体依存性細胞傷害(CDC)を介した溶解、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を介した溶解、アポトーシス、同型接着及び/又は食作用を誘導することによって、好ましくはCDC媒介性溶解及び/又はADCC媒介性溶解を誘導することによって細胞の死滅を媒介する。しかし、本発明はまた、抗体が、補体依存性細胞傷害(CDC)を介した溶解、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を介した溶解、アポトーシス、同型接着及び/又は食作用を誘導せずに、細胞の死滅並びに/又は細胞の1若しくはそれ以上の活性の阻害、例えば細胞増殖及びコロニー形成の阻害のような本明細書で述べるその活性を及ぼす実施形態を包含する。例えば、本発明の抗体はまた、単に細胞表面上のGT468に結合することによって、それ故、例えば細胞の増殖をブロックすることによっても作用を及ぼし得る。1つの実施形態では、本発明の抗体は、細胞のCDC媒介性溶解を誘導しない。
好ましくは、細胞のADCC媒介性溶解は、特定実施形態では単球、単核細胞、NK細胞及びPMNからなる群より選択される、エフェクター細胞の存在下で起こり、そして食作用はマクロファージによるものである。
1つの特に好ましい実施形態では、本発明の抗体は、GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞、好ましくは乳癌細胞などの癌細胞の増殖を阻害するか又は低減する活性を有する。この活性は、ブロモデオキシウリジン(5−ブロモ−2−デオキシウリジン、BrdU)を使用した解析においてGT468を発現する癌細胞の増殖を測定することにより、試験管内で測定できる。BrdUは、チミジンの類似体である合成ヌクレオシドであり、複製細胞の新たに合成されたDNAに組み込まれて(細胞周期のS期の間に)、DNA複製の間にチミジンを置換することができる。例えばBrdUに特異的な抗体を使用して、組み込まれた化学物質を検出することは、そのDNAを活発に複製していた細胞を示す。細胞株BT−549、Caov−3、EFO−21、SK−BR−3、MCF−7、MDA−MB−468及びMDA−MB−231は、GT468を発現した癌細胞として使用することができる。好ましい実施形態では、本発明の抗体は、細胞株SK−BR−3、MCF−7及びMDA−MB−468の1つ又はそれ以上の増殖を阻害又は低減し、好ましくは細胞株SK−BR−3及びMCF−7の両方の増殖を阻害又は低減し、最も好ましくは細胞株SK−BR−3、MCF−7及びMDA−MB−468のすべての増殖を阻害又は低減する。これに関して本発明の好ましい抗体は、(i)ハイブリドーマ35−48B−1、35−50A−2a、38−10B−1、38−1A−1、45−2A−1、45−8A−2、48−3B−1、48−4A−1、49−3A−1、51−1A−1、53−13A−2、53−29A1、56−4A−2、62−9B−1、78H11 1H6及び44−3A−2によって産生される抗体及び/又は前記ハイブリドーマから得られる抗体、(ii)(i)の下にある抗体のキメラ又はヒト化形態である抗体、並びに(iii)(i)の下にある抗体の特異性を有する抗体及び、特に、(i)の下にある抗体の抗原結合部分又は抗原結合部位、特に可変領域を含む抗体からなる群より選択される。これに関して本発明の特に好ましい抗体は、(i)ハイブリドーマ35−48B−1、48−3B−1、51−1A−1及び56−4A−2によって産生される抗体及び/又は前記ハイブリドーマから得られる抗体、(ii)(i)の下にある抗体のキメラ又はヒト化形態である抗体、並びに(iii)(i)の下にある抗体の特異性を有する抗体及び、特に、(i)の下にある抗体の抗原結合部分又は抗原結合部位、特に可変領域を含む抗体からなる群より選択される。
1つの特に好ましい実施形態では、本発明の抗体は、GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞、好ましくは乳癌細胞などの癌細胞のコロニー形成を阻害するか又は低減する活性を有する。この活性は、クローン原性アッセイにおいて試験管内で測定することができる。細胞株BT−549、Caov−3、EFO−21、SK−BR−3、MCF−7、MDA−MB−468及びMDA−MB−231は、GT468を発現した癌細胞として使用できる。クローン原性アッセイは、細胞の生存及び増殖への特定物質の有効性を試験するための微生物学技術である。このアッセイは、増殖腫瘍細胞への薬剤又は放射線の作用を測定するために癌研究室においてしばしば使用される。実験は3つの主要な工程:(i)細胞、特に癌細胞の試料に治療を適用する工程、(ii)組織培養容器に細胞を植える工程、及び(iii)細胞を増殖させる工程を含む。生成されたコロニーを固定し、染色して、計数する。コロニー形成は、個々の腫瘍細胞が器官に定着した場合の転移の形成に関して重要である。抗体の阻害活性は、転移の形成を抑制する上でのそれらの潜在能を示す。クローン原性アッセイにおいてコロニー形成を阻害又は低減する活性を有する抗体は、転移及び、特に本明細書で言及する癌型の、癌細胞の転移拡大を治療するか又は予防するために特に有用である。これに関して本発明の好ましい抗体は、(i)ハイブリドーマ51G6 2H3 2B4、78H11 1H6、16−5B−1、22−1A−1、29−8B−1及び51−1A−1によって産生される抗体及び/又は前記ハイブリドーマから得られる抗体、(ii)(i)の下にある抗体のキメラ又はヒト化形態である抗体、並びに(iii)(i)の下にある抗体の特異性を有する抗体及び、特に、(i)の下にある抗体の抗原結合部分又は抗原結合部位、特に可変領域を含む抗体からなる群より選択される。これに関して本発明の特に好ましい抗体は、(i)ハイブリドーマ51G6 2H3 2B4、29−8B−1及び51−1A−1によって産生される抗体及び/又は前記ハイブリドーマから得られる抗体、(ii)(i)の下にある抗体のキメラ又はヒト化形態である抗体、並びに(iii)(i)の下にある抗体の特異性を有する抗体及び、特に、(i)の下にある抗体の抗原結合部分又は抗原結合部位、特に可変領域を含む抗体からなる群より選択される。
1つの特に好ましい実施形態では、本発明の抗体は、上記で説明したようにGT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞の増殖を阻害するか又は低減する活性を有し、且つ、上記で説明したようにGT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞のコロニー形成を阻害するか又は低減する活性を有する。これに関して本発明の好ましい抗体は、(i)ハイブリドーマ51−1A−1によって産生される抗体及び/又はハイブリドーマ51−1A−1から得られる抗体、(ii)(i)の下にある抗体のキメラ又はヒト化形態である抗体、並びに(iii)(i)の下にある抗体の特異性を有する抗体及び、特に、(i)の下にある抗体の抗原結合部分又は抗原結合部位、特に可変領域を含む抗体からなる群より選択される。
1つの実施形態では、本発明は、(i)GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞に結合し、且つ(ii)GT468を発現しない細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴としない細胞には結合しない抗体に関する。本発明の抗体は、好ましくは、(i)GT468を発現する及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞の死滅を媒介し及び/又は前記細胞の増殖を阻害し、且つ(ii)GT468を発現しない細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴としない細胞の死滅を媒介しない及び/又は前記細胞の増殖を阻害しない。
本発明の抗体は、モノクローナル、キメラ、ヒト若しくはヒト化抗体、又は抗体のフラグメントであり得、IgG1、IgG2、好ましくはIgG2a及びIgG2b、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、分泌型IgA、IgD及びIgE抗体からなる群より選択され得る。
本発明の抗体は完全ヒト抗体を含む。そのような抗体は、V−D−J組換え及びアイソタイプスイッチを受けることによってGT468に対するヒトモノクローナル抗体の多数のアイソタイプを産生することができる、非ヒトトランスジェニック動物、例えばトランスジェニックマウスにおいて作製し得る。そのようなトランスジェニック動物はまた、米国特許出願公開第2003/0017534号に開示されているようなポリクローナル抗体を産生するためのトランスジェニックウサギであり得る。
GT468抗原への本発明の抗体の結合は、例えば補体系の活性化によって、GT468を発現する細胞及び/若しくはそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞(例えば腫瘍細胞)の死滅を媒介し得る、並びに/又はGT468を発現する細胞及び/若しくはそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞(例えば腫瘍細胞)の増殖を阻害し得る。あるいは、又はGT468を発現する及び/若しくはそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞の死滅を媒介すること並びに/又はGT468を発現する細胞及び/若しくはそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞の増殖を阻害することに加えて、GT468抗原への本発明の抗体の結合は、GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞(例えば腫瘍細胞)の運動性、移動、コロニー形成及び/又は浸潤を阻害することができ、それ故、腫瘍細胞の転移拡大を阻害し得る。GT468を発現する細胞及び/若しくはそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞の死滅は、以下の機構:GT468を発現する及び/若しくはそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞の補体依存性細胞傷害(CDC);GT468を発現する細胞及び/若しくはそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞のアポトーシス;GT468を発現する細胞及び/若しくはそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞のエフェクター細胞食作用;又はGT468を発現する及び/若しくはそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞のエフェクター細胞抗体依存性細胞傷害(ADCC)、の1つ又はそれ以上によって起こり得る。
本発明のすべての態様によると、GT468は、好ましくはヒトGT468であり、好ましくは配列番号:2に従ったアミノ酸配列を有する、より好ましくは配列番号:2に従ったアミノ酸配列の細胞外ドメインのアミノ酸配列を有する、特に配列番号:2のアミノ酸23−212にわたるアミノ酸配列を有するヒトGT468である。
特定の好ましい実施形態では、本発明の抗体は、配列番号:3〜10及び35〜82のような、生細胞の表面に存在するGT468の天然抗原決定基に結合する。さらなる好ましい実施形態では、本発明の抗体は、癌細胞、好ましくは乳癌細胞に特異的である。好ましくは、本発明の抗体は、細胞株BT−549、Caov−3、EFO−21、SK−BR−3、MCF−7、MDA−MB−468及びMDA−MB−231のようなGT468を発現する癌細胞に特異的であり、NUG−C4胃癌細胞のようなGT468を発現しない癌細胞には結合しない。
本発明のある実施形態では、GT468は、細胞表面上で発現される細胞及び/又は細胞の表面と結合する。
本発明の抗体は、配列番号:2〜10及び35〜82からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質若しくはペプチド、又はその免疫原性フラグメント若しくは誘導体、又は前記タンパク質若しくはペプチド又はその免疫原性フラグメント若しくは誘導体を発現する核酸又は宿主細胞で動物を免疫する工程を含む方法によって入手し得る。好ましくは、本発明の抗体は、前述したタンパク質、ペプチド又はその免疫原性フラグメント若しくは誘導体に特異的である。免疫において使用されるタンパク質又はペプチドに関連して、誘導体は、それが由来するタンパク質又はペプチドと同じ免疫原性を有する、そのようなタンパク質又はペプチドの変異体に関する。特に、抗体、中でもモノクローナル抗体の作製のために免疫において使用される場合のタンパク質又はペプチドの誘導体は、前記タンパク質又はペプチドを免疫において使用した場合に得られる抗体と同じ特異性を有する抗体を提供する。例えば、そのような誘導体は、1つ又はそれ以上のアミノ酸の欠失、置換又は付加を含み得る。特に、前記誘導体は、N末端又はC末端のいずれか又はその両方にシステインなどの1つ又はそれ以上のアミノ酸の付加を含み得る。
特に好ましい実施形態では、本発明の抗体は、アクセッション番号DSM ACC2822(4E9−1H9)、DSM ACC2826(9B6−2A9)、DSM ACC2824(59D6−2F2)、DSM ACC2825(61C11−2B5)、DSM ACC2823(78H11−1H6)、DSM ACC2895(22−1A−1)、DSM ACC2893(22−2A−1)、DSM ACC2896(22−9B−1)、DSM ACC2897(23−33A−1)、DSM ACC2891(23−19A−1)、DSM ACC2894(F11#33F7D12)、DSM ACC2892(4A12 2D4 1A10)、DSM ACC2898(4E9 1D12 2D4)、DSM ACC2961(42H11 1C11 2B2)、DSM ACC2962(51G6 2H3 2B4)、DSM ACC2943(16−5B−1)、DSM ACC2956(20−11A−1)、DSM ACC2947(29−1A−2)、DSM ACC2964(29−8B−1)、DSM ACC2959(35−48B−1)、DSM ACC2963(35−50A−2a)、DSM ACC2957(38−10B−1)、DSM ACC2958(38−1A−1)、DSM ACC2948(44−3A−2)、DSM ACC2949(45−2A−1)、DSM ACC2950(45−8A−2)、DSM ACC2951(48−3B−1)、DSM ACC2952(48−4A−1)、DSM ACC2946(49−3A−1)、DSM ACC2945(49−8A−1)、DSM ACC2944(51−1A−1)、DSM ACC2953(53−13A−2)、DSM ACC2955(53−29A−1)、DSM ACC2960(54−4B−2)、DSM ACC2954(56−4A−2)又はDSM ACC3001(62−9B−1)を有するクローンによって産生される。
1つの実施形態では、本発明の抗体は、毒素、放射性同位体、薬剤又は細胞傷害性物質などの治療薬に結合される。
さらなる態様では、本発明は、本発明の抗体を産生することができるハイブリドーマに関する。好ましいハイブリドーマは、アクセッション番号DSM ACC2822(4E9−1H9)、DSM ACC2826(9B6−2A9)、DSM ACC2824(59D6−2F2)、DSM ACC2825(61C11−2B5)、DSM ACC2823(78H11−1H6)、DSM ACC2895(22−1A−1)、DSM ACC2893(22−2A−1)、DSM ACC2896(22−9B−1)、DSM ACC2897(23−33A−1)、DSM ACC2891(23−19A−1)、DSM ACC2894(F11#33F7D12)、DSM ACC2892(4A12 2D4 1A10)、DSM ACC2898(4E9 1D12 2D4)、DSM ACC2961(42H11 1C11 2B2)、DSM ACC2962(51G6 2H3 2B4)、DSM ACC2943(16−5B−1)、DSM ACC2956(20−11A−1)、DSM ACC2947(29−1A−2)、DSM ACC2964(29−8B−1)、DSM ACC2959(35−48B−1)、DSM ACC2963(35−50A−2a)、DSM ACC2957(38−10B−1)、DSM ACC2958(38−1A−1)、DSM ACC2948(44−3A−2)、DSM ACC2949(45−2A−1)、DSM ACC2950(45−8A−2)、DSM ACC2951(48−3B−1)、DSM ACC2952(48−4A−1)、DSM ACC2946(49−3A−1)、DSM ACC2945(49−8A−1)、DSM ACC2944(51−1A−1)、DSM ACC2953(53−13A−2)、DSM ACC2955(53−29A−1)、DSM ACC2960(54−4B−2)、DSM ACC2954(56−4A−2)又はDSM ACC3001(62−9B−1)を有するものである。
本発明の抗体は、本明細書では、抗体の名称を参照することによって及び/又は抗体を産生するクローン、例えば4E9−1H9を参照することによって指定される。
好ましくは、本発明の抗体は、癌細胞及び非悪性細胞を含む種々の細胞型によって発現されるGT468変異体を識別する能力を有する。
本発明の抗体は、GT468に結合することにより、GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞の死滅を媒介する。好ましくは、GT468は前記細胞の表面上で発現される。1つの実施形態では、本発明の抗体は、GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞の補体依存性細胞傷害(CDC)、例えば少なくとも約20−40%のCDC媒介性溶解、好ましくは約40〜50%のCDC媒介性溶解、より好ましくは50%超のCDC媒介性溶解を誘導する。あるいはCDCを誘導することに加えて、本発明の抗体は、エフェクター細胞(例えば単球、単核細胞、NK細胞及びPMN)の存在下でGT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞の抗体依存性細胞傷害(ADCC)を誘導し得る。本発明の抗体は、GT468を発現する細胞及び/若しくはそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞のアポトーシスを誘導する、GT468を発現する細胞及び/若しくはそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞の同型接着を誘導する、並びに/又はマクロファージの存在下でGT468を発現する細胞及び/若しくはそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞の食作用を誘導する能力を有し得る。本発明の抗体は、上述した機能特性の1つ又はそれ以上を有し得る。好ましくは、本発明の抗体は、GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞のCDC媒介性溶解及びADCC媒介性溶解を誘導し、より好ましくはGT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞のADCC媒介性溶解を誘導するが、前記細胞のCDC媒介性溶解は誘導しない。本発明の抗体についての例示的な標的細胞は、GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする癌細胞を含むが、これらに限定されない。特定の好ましい実施形態では、本発明の抗体によって媒介される細胞の死滅はGT468特異的である、すなわち本発明の抗体は、GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞の死滅、好ましくはCDC及び/又はADCC媒介性溶解を媒介するが、GT468を発現しない細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴としない細胞の死滅は媒介しない。上述した抗体は、乳癌、肺癌、胃癌、卵巣癌、肝細胞癌、結腸癌、膵臓癌、食道癌、頭頸部癌、腎癌、特に腎細胞癌、前立腺癌、肝臓癌、黒色腫、肉腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、胎盤性絨毛癌、子宮頸癌及び甲状腺癌、並びにそれらの転移形態などの癌の治療又は予防において腫瘍細胞の死滅を媒介するために使用され得る。1つの実施形態では、癌疾患は肺の転移性癌である。
本発明の抗体は、マウス、ラット、ウサギ、モルモット及びヒトを含むがこれらに限定されない様々な種に由来し得る。本発明の抗体もまた、1つの種、好ましくはヒトに由来する抗体定常領域が別の種に由来する抗原結合部位と組み合わされているキメラ分子を包含する。さらに、本発明の抗体は、非ヒト種に由来する抗体の抗原結合部位がヒト起源の定常領域及びフレームワーク領域と組み合わされているヒト化分子を包含する。
本発明の抗体は、ポリクローナル及びモノクローナル抗体を含み、IgG2a(例えばIgG2aκ、λ)、IgG2b(例えばIgG2bκ、λ)、IgG3(例えばIgG3κ、λ)及びIgM抗体を含む。しかし、IgG1、IgA1、IgA2、分泌型IgA、IgD及びIgE抗体を含む、他の抗体アイソタイプも本発明に包含される。抗体は、全長抗体又は、例えばFab、F(ab')、Fv、一本鎖Fvフラグメン若しくは二重特異性抗体トを含む、その抗原結合フラグメントであり得る。さらに、抗原結合フラグメントは、(i)免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチドに融合した結合ドメインポリペプチド(例えば重鎖可変領域又は軽鎖可変領域など)、(ii)ヒンジ領域に融合した免疫グロブリン重鎖CH2定常領域、及び(iii)CH2定常領域に融合した免疫グロブリン重鎖CH3定常領域を含む、結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質を包含する。そのような結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質は、米国特許出願公開第2003/0118592号及び同第2003/0133939号においてさらに開示されている。
本発明の抗体は、好ましくは約1−100nM、又はそれ以下の解離平衡定数(KD)でGT468から解離する。好ましくは、本発明の抗体は、関連細胞表面抗原と交差反応せず、それ故それらの機能を阻害しない。
好ましい実施形態では、本発明の抗体は、以下の性質:
a)GT468に対する特異性;
b)約100nM又はそれ以下、好ましくは約5−10nM又はそれ以下、より好ましくは約1−3nM又はそれ以下のGT468に対する結合親和性;
c)CD55/59陰性細胞又はCD55/59陽性細胞のいずれか上で高レベルのCDCを媒介する能力;
d)GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞の増殖を阻害する能力;
e)GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞のアポトーシスを誘導する能力;
f)GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞の同型接着を誘導する能力;
g)エフェクター細胞の存在下でGT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞のADCCを誘導する能力;
h)GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする腫瘍細胞を有する被験者の生存を延長させる能力;
i)GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞を枯渇させる能力;
j)低レベルのGT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞を枯渇させる能力;並びに/又は
k)生細胞の表面上でGT468を集合させる能力
の1つ又はそれ以上によって特徴づけることができる。
本発明の抗GT468抗体は、誘導体化する、他の結合特異性成分に連結する、又は他の結合特異性成分と共発現させることができる。特定の実施形態において、本発明は、GT468に対する少なくとも1つの第一結合特異性(例えば抗GT468抗体又はそのミメティック)、及びFc受容体(例えばFcγRIなどのFcγ受容体、若しくは何らかの他のFc受容体)又はT細胞受容体、例えばCD3に対する結合特異性などの、エフェクター細胞に対する第二結合特異性を含む、二重特異性又は多重特異性分子を提供する。
従って、本発明は、GT468とFc受容体又はT細胞受容体、例えばCD3の両方に結合する二重特異性及び多重特異性分子を包含する。Fc受容体の例は、IgG受容体、Fcγ受容体(FcγR)、例えばFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16)である。IgA受容体(例えばFcαRI)などの他のFc受容体も標的することができる。Fc受容体は、好ましくはエフェクター細胞の表面上、例えば単球、マクロファージ又は活性化単核細胞の表面上に位置する。好ましい実施形態では、二重特異性及び多重特異性分子は、受容体の免疫グロブリンFc(例えばIgG又はIgA)結合部位とは異なる部位でFc受容体に結合する。それ故、二重特異性及び多重特異性分子の結合は、生理的レベルの免疫グロブリンによってブロックされない。
さらにもう1つの態様では、本発明の抗GT468抗体を誘導体化するか、もう1つ別の機能的分子、例えば別のペプチド若しくはタンパク質(例えばFab'フラグメント)に連結するか、又は別の機能的分子と共発現させる。例えば、本発明の抗体は、もう1つ別の抗体(例えば二重特異性又は多重特異性抗体を作製するため)、細胞毒、細胞リガンド又は抗原(例えばイムノトキシンなどの免疫複合体を作製するため)などの、1つ又はそれ以上の他の分子実体に機能的に連結することができる(例えば化学結合、遺伝子融合、非共有結合的会合又は他の方法によって)。本発明の抗体は、他の治療成分、例えば放射性同位体、低分子抗癌薬、組換えサイトカイン又はケモカインに連結することができる。従って、本発明は、多種多様な抗体複合体、二重特異性及び多重特異性分子、並びに融合タンパク質を包含し、これらのすべてが、GT468発現細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞に結合し、他の分子をそのような細胞に標的するために使用できる。
一般に、本発明の目的のために、本明細書で述べる抗体複合体、二重特異性及び多重特異性分子、並びに融合タンパク質などのすべての抗体誘導体は、「抗体」という用語に包含される。
さらなる態様では、本発明はまた、非免疫グロブリンドメインに由来するGT468結合タンパク質、特に一本鎖タンパク質を考慮する。そのような結合タンパク質及びそれらの生産のための方法は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Binz et al.(2005)Nature Biotechnology 23(10):1257−1268に述べられている。免疫グロブリン又は免疫グロブリン由来の結合分子に関して本明細書で与えられる教示は、同様に非免疫グロブリンドメインに由来する結合分子にも適用されることを理解されたい。特に、非免疫グロブリンドメインに由来するそのような結合分子を使用して、上記標的を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面と前記標的の結合を特徴とする細胞のGT468をブロックし、それ故、本発明の抗体に関して本明細書で開示される治療効果、特に腫瘍細胞の増殖のような本明細書で開示される腫瘍細胞の1つ又はそれ以上の活性の阻害を生じさせることが可能である。必須ではないが、例えば抗体のFc領域への融合によって、そのような非免疫グロブリン結合分子に抗体のエフェクター機能を付与することが可能である。
本発明は一般に、細胞によって発現される細胞及び/又は細胞の表面と結合しているGT468を標的することによる、疾患、特に腫瘍性疾患の治療及び/又は診断を包含する。これらの方法は、そのような細胞の選択的検出及び/又は根絶を提供し、それによりGT468を発現しない細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴としない正常細胞への有害作用を最小限に抑える。治療又は診断のための好ましい疾患は、腫瘍性疾患、特に本明細書で述べるような癌疾患などの、GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞が関与するものである。
1つの態様では、本発明は、本発明の抗体の1つ又は本発明の抗体の組合せを含有する組成物、例えば医薬組成物及び診断組成物/キットを提供する。本発明の医薬組成物は、医薬的に許容される担体を含有してもよく、場合により1つ又はそれ以上のアジュバント、安定剤等を含有してもよい。特定実施形態では、組成物は、異なる抗原決定基に結合するか又は、CDC及び/又はADCCを誘導すること及びアポトーシスを誘導することのような、異なる機能特徴を有する抗体の組合せを含有する。本発明のこの実施形態では、抗体は、組合せとして、例えば2つ又はそれ以上の抗GT468モノクローナル抗体を含有する医薬組成物として使用され得る。例えば、異なるが補完的な活性を有する抗GT468抗体を、所望の治療効果を達成するために単一療法において組み合わせることができる。好ましい実施形態では、組成物は、CDCを媒介する抗GT468抗体を、アポトーシスを誘導する別の抗GT468抗体と組み合わせて含有する。もう1つの実施形態では、組成物は、エフェクター細胞の存在下で標的細胞の極めて有効な死滅を媒介する抗GT468抗体を、GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞の増殖を阻害する別の抗GT468抗体と組み合わせて含有する。
本発明はまた、本発明の2つ又はそれ以上の抗GT468抗体の同時又は連続投与を含み、好ましくは、上記抗体の少なくとも1つはキメラ抗GT468抗体であり、そして少なくとも1つのさらなる抗体はヒト抗GT468抗体であって、それらの抗体はGT468の同じ抗原決定基又は異なる抗原決定基に結合する。好ましくは、本発明のキメラGT468抗体を最初に投与し、次いで本発明のヒト抗GT468抗体を投与するが、ヒト抗GT468抗体は、好ましくは長期間にわたって、すなわち維持療法として投与される。
本発明の抗体、複合体、二重特異性/多重特異性分子及び組成物は、GT468を発現する細胞及び/若しくはそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞の増殖を阻害する細胞並びに/又はGT468を発現する細胞及び/若しくはそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞を選択的に死滅させるための、上記細胞の増殖を阻害する細胞及び/又は上記細胞を死滅させるように上記細胞を上記抗体、複合体、二重特異性/多重特異性分子又は組成物の有効量と接触させることによる様々な方法において使用することができる。1つの実施形態では、その方法は、場合によりエフェクター細胞の存在下で、例えばCDC、アポトーシス、ADCC、食作用によって、又はこれらの機構の2若しくはそれ以上の組合せによって、GT468を発現する細胞及び/又はその細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞を死滅させることを含む。本発明の抗体を使用して阻害するか又は死滅させることができる、GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞は、癌細胞を含む。
本発明の抗体、複合体、二重特異性/多重特異性分子及び組成物は、GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞が関与する様々な疾患を、そのような疾患に罹患している患者に抗体を投与することによって治療する及び/又は予防するために使用できる。治療(例えば改善)できるか又は予防できる例示的な疾患は、腫瘍形成性疾患を含むが、これらに限定されない。治療できる及び/又は予防できる腫瘍形成性疾患の例は、乳癌、肺癌、胃癌、卵巣癌、肝細胞癌、結腸癌、膵臓癌、食道癌、頭頸部癌、腎癌、特に腎細胞癌、前立腺癌、肝臓癌、黒色腫、肉腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、胎盤性絨毛癌、子宮頸癌及び甲状腺癌、並びにそれらの転移形態などの癌疾患を含む。1つの実施形態では、癌疾患は肺の転移性癌である。
本発明の1つの態様では、GT468を発現する細胞及び/又はその細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞の運動性、移動、浸潤、増殖及びコロニー形成から選択される1つ又はそれ以上の活性、好ましくは増殖及び/又はコロニー形成を阻害する方法であって、前記細胞を本発明の抗体、複合体、二重特異性/多重特異性分子又は組成物の有効量と接触させることを含む方法に関する。
本発明のさらなる態様では、GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞が関与する疾患又は障害を治療するか又は予防する方法であって、本発明の抗体、複合体、二重特異性/多重特異性分子又は組成物を被験者に投与することを含む方法に関する。好ましくは、上記疾患又は障害は腫瘍関連疾患であり、特定実施形態では、乳癌、肺癌、胃癌、卵巣癌、肝細胞癌、結腸癌、膵臓癌、食道癌、頭頸部癌、腎癌、特に腎細胞癌、前立腺癌、肝臓癌、黒色腫、肉腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、胎盤性絨毛癌、子宮頸癌及び甲状腺癌、並びにそれらの転移形態からなる群より選択される。1つの実施形態では、癌疾患は肺の転移性癌である。GT468は、好ましくは前記細胞の表面上で発現される。
本発明は、腫瘍性疾患の予防及び/又は治療処置のための、すなわち腫瘍性疾患を有するか又は腫瘍性疾患を発症する危険性がある患者を治療するための、本明細書で述べる作用物質及び組成物の使用を含み得る。1つの態様では、本発明は、本明細書で述べる作用物質及び組成物の1つ又はそれ以上の投与を含む、腫瘍増殖を阻害するための方法を提供する。
好ましくは、本明細書で述べる作用物質及び組成物は、胎盤組織及び/又は精巣組織のような、組織又は器官が腫瘍を有さない場合はその細胞がGT468を実質的に発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面でのGT468の発現によって特徴づけられる組織又は器官に、治療活性物質が送達されない又は実質的に送達されないような方法で投与される。このために、本明細書で述べる作用物質及び組成物は局所的に投与され得る。
本発明の1つの態様では、本明細書で述べる治療方法における使用のために本明細書で述べる抗体を提供する。1つの実施形態では、本発明は、本明細書で述べる治療方法における使用のために本明細書で述べる医薬組成物を提供する。
本発明の特定実施形態では、抗体を投与される被験者は、化学療法剤、放射線、又はサイトカインなどの、Fc受容体、例えばFcγ受容体の発現若しくは活性を調節する、例えば増強する若しくは阻害する物質で付加的に治療される。治療の間に投与するための典型的なサイトカインは、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターフェロンγ(IFN−γ)及び腫瘍壊死因子(TNF)を含む。典型的な治療薬は、中でも特に、ドキソルビシン、シスプラチン、タキソテール、5−フルオロウラシル、メトトレキサート、ゲムシタビン及びシクロホスファミドなどの抗腫瘍薬を含む。
さらにもう1つの態様では、本発明は、抗体を得るためにマウスなどの非ヒト動物をヒトGT468又はそのペプチドフラグメントで免疫する免疫方法に関する。免疫のための好ましいペプチドは、配列番号:2−10及び35−82からなる群より選択されるもの又はそれらの誘導体である。従って、好ましい実施形態では、本発明の抗体は、配列番号:2−10及び35−82からなる群より選択されるペプチド又はそれらの誘導体を使用した免疫によって得られるものである。同様に、GT468に対する抗体は、遺伝子組換えマウスなどの遺伝子組換え非ヒト動物において作製できる。遺伝子組換え非ヒト動物は、抗体の全部又は一部をコードする重鎖導入遺伝子と軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有する遺伝子組換えマウスであり得る。
野生型並びに遺伝子組換え非ヒト動物は、GT468抗原並びに/又はGT468を発現する核酸及び/若しくは細胞又はそのペプチドフラグメントの精製又は冨化製剤で免疫することができる。好ましくは、非ヒト動物は、V−D−J組換え及びアイソタイプスイッチを受けることによってGT468に対するヒトモノクローナル抗体の多数のアイソタイプ(例えばIgG、IgA及び/又はIgM)を産生することができる。アイソタイプスイッチは、例えば古典的又は非古典的アイソタイプスイッチによって起こり得る。
従って、本発明のさらにもう1つの態様では、上述した非ヒト動物由来の単離B細胞を提供する。単離B細胞は、次に、本発明の抗体の供給源(例えばハイブリドーマ)を提供するために不死化細胞への融合によって不死化することができる。そのようなハイブリドーマ(すなわち本発明の抗体を産生する)も、本発明の範囲に包含される。
本発明のさらなる態様では、本発明の抗体を使用して、患者から単離された生物学的試料においてGT468又はGT468を発現する細胞及び/若しくはそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞を検出する及び/又はその量を測定することを含む、腫瘍性疾患の診断、検出又は観測のための方法に関する。生物学的試料は、腫瘍性疾患を有する若しくは腫瘍性疾患にかかることが疑われるか又は腫瘍性疾患についての潜在的可能性を有する患者から単離され得る。
本発明による腫瘍性疾患の診断、検出又は観測のための方法の1つの実施形態では、生物学的試料及び/又は対照/標準試料は、腫瘍性疾患による障害に関して診断、検出又は観測されることになる組織又は器官に対応する組織又は器官に由来する;例えば診断、検出又は観測される腫瘍性疾患は乳癌であり、生物学的試料及び/又は対照/標準試料は乳房組織である。そのような組織及び器官を、例えば種々の腫瘍性疾患及び癌に関連して、本明細書で述べる。
腫瘍性疾患の診断、検出又は観測のための方法の1つの実施形態では、生物学的試料は、組織又は器官が腫瘍を有さない場合はその細胞がGT468を実質的に発現しない細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の実質的な結合によって特徴づけられない組織又は器官に由来する。好ましくは、前記組織は、胎盤組織又は精巣組織以外の組織である。
典型的には、生物学的試料中の標的分子のレベルを標準レベルと比較し、標準レベルからの逸脱が被験者における腫瘍性疾患の存在及び/又は病期を指示する。標準レベルは、対照試料(例えば健常組織又は健常被験者からの)において測定されたレベル又は健常被験者からの平均レベルであり得る。前記標準レベルからの「逸脱」は、何らかの有意の変化、例えば少なくとも10%、20%又は30%、好ましくは少なくとも40%又は50%、又はそれ以上の上昇又は低下を表す。好ましくは、上記生物学的試料におけるGT468の存在又はGT468を発現する及び/若しくはそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞の存在、又は標準レベルと比較して高いGT468の量又はGT468を発現する及び/若しくはそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞の量は、腫瘍性疾患の存在を示す。
典型的には、本発明の方法における検出及び/又は量の測定は、標的分子に特異的に結合する標識抗体の使用を含む。
本発明の特定の態様では、検出可能な標識に結合した本発明の抗体を患者に投与することを含む、腫瘍性疾患の検出、すなわち腫瘍性疾患の位置又は部位、例えば特定の組織又は器官の決定のための方法に関する。上記患者における組織又は器官の標識化は、上記組織又は器官における腫瘍性疾患の存在又は危険性を指示し得る。
本明細書で例示するように、本発明の抗体は、抗体を発現するハイブリドーマから直接入手できるか、又はクローニングして、宿主細胞(例えばCHO細胞又はリンパ球細胞)において組換え発現させることができる。宿主細胞のさらなる例は、大腸菌などの微生物及び酵母などの真菌である。あるいは、本発明の抗体は、遺伝子組換え非ヒト動物又は植物において組換え生産することができる。しかし、本発明はまた、抗体が、本明細書で開示される免疫方法を用いた免疫又はワクチン接種によって患者においてあるがままの状態で産生される実施形態も考慮する。
本発明の抗体を作製するための好ましいハイブリドーマ細胞は、以下の名称とアクセッション番号を有する、DSMZ(Inhoffenstr.7B,38124 Braunschweig,Germany)に寄託されたものである:
1.2007年3月13日に寄託された、4E9−1H9、アクセッション番号DSM ACC2822
2.2007年3月13日に寄託された、9B6−2A9、アクセッション番号DSM ACC2826
3.2007年3月13日に寄託された、59D6−2F2、アクセッション番号DSM ACC2824
4.2007年3月13日に寄託された、61C11−2B5、アクセッション番号DSM ACC2825
5.2007年3月13日に寄託された、78H11−1H6、アクセッション番号DSM ACC2823
6.2008年3月11日に寄託された、22−1A−1、アクセッション番号DSM ACC2895
7.2008年3月11日に寄託された、22−2A−1、アクセッション番号DSM ACC2893
8.2008年3月11日に寄託された、22−9B−1、アクセッション番号DSM ACC2896
9.2008年3月11日に寄託された、23−33A−1、アクセッション番号DSM ACC2897
10.2008年3月11日に寄託された、23−19A−1、アクセッション番号DSM ACC2891
11.2008年3月11日に寄託された、F11#33F7D12、アクセッション番号DSM ACC2894
12.2008年3月11日に寄託された、4A12 2D4 1A10、アクセッション番号DSM ACC2892
13.2008年3月11日に寄託された、4E9 1D12 2D4、アクセッション番号DSM ACC2898
14.2008年9月1日に寄託された、42H11 1C11 2B2、アクセッション番号DSM ACC2961
15.2008年9月1日に寄託された、51G6 2H3 2B4、アクセッション番号DSM ACC2962
16.2008年9月1日に寄託された、16−5B−1、アクセッション番号DSM ACC2943
17.2008年9月1日に寄託された、20−11A−1、アクセッション番号DSM ACC2956
18.2008年9月1日に寄託された、29−1A−2、アクセッション番号DSM ACC2947
19.2008年9月2日に寄託された、29−8B−1、アクセッション番号DSM ACC2964
20.2008年9月1日に寄託された、35−48B−1、アクセッション番号DSM ACC2959
21.2008年9月1日に寄託された、35−50A−2a、アクセッション番号DSM ACC2963
22.2008年9月1日に寄託された、38−10B−1、アクセッション番号DSM ACC2957
23.2008年9月1日に寄託された、38−1A−1、アクセッション番号DSM ACC2958
24.2008年9月1日に寄託された、44−3A−2、アクセッション番号DSM ACC2948
25.2008年9月1日に寄託された、45−2A−1、アクセッション番号DSM ACC2949
26.2008年9月1日に寄託された、45−8A−2、アクセッション番号DSM ACC2950
27.2008年9月1日に寄託された、48−3B−1、アクセッション番号DSM ACC2951
28.2008年9月1日に寄託された、48−4A−1、アクセッション番号DSM ACC2952
29.2008年9月1日に寄託された、49−3A−1、アクセッション番号DSM ACC2946
30.2008年9月1日に寄託された、49−8A−1、アクセッション番号DSM ACC2945
31.2008年9月1日に寄託された、51−1A−1、アクセッション番号DSM ACC2944
32.2008年9月1日に寄託された、53−13A−2、アクセッション番号DSM ACC2953
33.2008年9月1日に寄託された、53−29A−1、アクセッション番号DSM ACC2955
34.2008年9月1日に寄託された、54−4B−2、アクセッション番号DSM ACC2960
35.2008年9月1日に寄託された、56−4A−2、アクセッション番号DSM ACC2954
36.2009年7月16日に寄託された、62−9B−1、アクセッション番号DSM ACC3001。
本発明の好ましい抗体は、上述したハイブリドーマによって産生される及び上述したハイブリドーマから得られるもの並びにそのキメラ及びヒト化形態である。本発明のさらなる好ましい抗体は、上述したハイブリドーマによって産生される及び上述したハイブリドーマから得られる抗体の特異性を有するもの及び、特に、上述したハイブリドーマによって産生される及び上述したハイブリドーマから得られる抗体の抗原結合部分又は抗原結合部位、特に可変領域を含むものである。
好ましい実施形態では、抗体、特に本発明によるキメラ形態の抗体は、配列番号:17又は24によって表されるアミノ酸配列又はそのフラグメントのようなヒト重鎖定常領域に由来するアミノ酸配列を有する重鎖定常領域(CH)を含む抗体を包含する。さらなる好ましい実施形態では、抗体、特に本発明によるキメラ形態の抗体は、配列番号:18又は22によって表されるアミノ酸配列又はそのフラグメントのようなヒト軽鎖定常領域に由来するアミノ酸配列を有する軽鎖定常領域(CL)を含む抗体を包含する。特定の好ましい実施形態では、抗体、特に本発明によるキメラ形態の抗体は、配列番号:17又は24によって表されるアミノ酸配列又はそのフラグメントのようなヒトCHに由来するアミノ酸配列を有するCHを含み、且つ配列番号:18又は22によって表されるアミノ酸配列又はそのフラグメントのようなヒトCLに由来するアミノ酸配列を有するCLを含む抗体を包含する。
配列番号:17によって表されるアミノ酸配列を含むCHは、配列番号:20によって表される核酸配列を含む核酸によってコードされ得る。配列番号:24によって表されるアミノ酸配列を含むCHは、配列番号:23によって表される核酸配列を含む核酸によってコードされ得る。配列番号:18によって表されるアミノ酸配列を含むCLは、配列番号:19によって表される核酸配列を含む核酸によってコードされ得る。配列番号:22によって表されるアミノ酸配列を含むCLは、配列番号:21によって表される核酸配列を含む核酸によってコードされ得る。
上記で使用される「フラグメント」又は「アミノ酸配列のフラグメント」は、抗体配列の一部、すなわちN末端及び/又はC末端で短縮された抗体配列であり、抗体内で前記抗体配列に取って代わった場合、GT468への前記抗体の結合、及び好ましくは本明細書で述べる前記抗体の機能、例えばCDC媒介性溶解又はADCC媒介性溶解の機能を保持する配列に関する。好ましくは、アミノ酸配列のフラグメントは、前記アミノ酸配列からのアミノ酸残基の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、95%、96%、97%、98%又は99%を含む。本明細書で述べるアミノ酸配列のフラグメントは、前記アミノ酸配列をコードする核酸配列のそれぞれのフラグメントによってコードされ得る。
本発明はまた、本明細書で述べる抗体又はその部分、例えば抗体鎖をコードする遺伝子又は核酸配列を含む核酸に関する。核酸は、ベクター、例えばプラスミド、コスミド、ウイルス、バクテリオファージ又は、例えば遺伝子工学において従来使用される別のベクター内に含まれ得る。ベクターは、適切な宿主細胞において及び適切な条件下でベクターの選択を可能にするマーカー遺伝子のようなさらなる遺伝子を含み得る。さらに、ベクターは、適切な宿主におけるコード領域の適切な発現を可能にする発現制御エレメントを含み得る。そのような制御エレメントは当業者に公知であり、プロモーター、スプライスカセット及び翻訳開始コドンを含み得る。
好ましくは、本発明の核酸は、真核細胞又は原核細胞における発現を可能にする上記発現制御配列に作動可能に連結される。真核細胞又は原核細胞における発現を確実にする制御エレメントは当業者に周知である。
本発明による核酸分子の構築のため、上記核酸分子を含むベクターの構築のため、適切に選択された宿主細胞へのベクターの導入のため、発現を生じさせるか又は達成するための方法は、当分野において周知である。
本発明のさらなる態様は、本明細書で開示される核酸又はベクターを含有する宿主細胞に関する。
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかである。
GT468は、癌細胞において異常に活性化される栄養膜系譜のマーカーである。(A)正常組織、原発性乳癌試料及び癌細胞株における35サイクルのエンドポイントRT−PCR(1、MCF−7;2、MDA−MB−435S;3、BT−549;4、MDA−MB−231;5、SNU−16;6、LCLC−103H;7、KYSE−510;8、KYSE−30;9、EFO−27;10、TOV−21G;11、TOV−112D;12、CAOV−3;13、EFO−21;14、FU−OV−1;15、LNCAP;16、CAPAN−2)。(B)正常組織(1、精巣;2、胎盤;3、脳;4、肺;5、乳房;6、結腸;7、肝臓;8、胃;9、腎臓;10、前立腺;11、膵臓;12、卵巣;13、脾臓;14、皮膚;15、心筋;16、子宮内膜;17、静止PBMC;18、増殖PBMC;19、副腎)、原発性乳癌試料及び(C)癌細胞株における40サイクルの定量的リアルタイムRT−PCR。(D)MCF−7及びBT−549乳癌細胞におけるsiRNAを介したGT468サイレンシングの定量的リアルタイムRT−PCR分析。(E)siRNAを介したGT468タンパク質発現の低下のウエスタンブロット分析。対照細胞は、未処理であるか又はスクランブル非サイレンシング二本鎖(ns−siRNA)でトランスフェクトした。(F)正常及び腫瘍ヒト組織におけるGT468タンパク質レベルのウエスタンブロット分析。(G)GT468特異的抗体を使用した正常ヒト乳房組織(左)及び乳癌(右)に由来する切片の免疫組織化学。 GT468は細胞表面結合タンパク質である。GT468特異的siRNA(siRNA No.1)又は非サイレンシングsiRNA(ns−siRNA)によるトランスフェクション後の抗GT468/C末端抗体での(A)メタノール固定染色及び(B)非固定MCF−7及びBT−549乳癌細胞の染色。 GT468発現は乳癌細胞の運動性、移動及び浸潤を促進する。(A)上部並びに下部チャンバーに添加した5%FCSによるトランスウエル移動アッセイにおけるケモキネシス(運動性)分析を12時間後に実施した。(B)勾配を得るために5%FCSを下部チャンバーだけに添加してから12時間後のトランスウエル移動アッセイにおけるMCF−7及びBT−549細胞の走化性分析。(C)5%FCSを化学誘引物質として下部チャンバーに添加した24時間後のMatrigelへの走化性浸潤の分析。 GT468発現は乳癌細胞の増殖を促進する。(A)GT468特異的siRNA二本鎖によってノックダウンを開始させてから72時間後のMCF−7及びBT−549細胞における増殖の分析。(B)種々の細胞周期状態での細胞画分の棒グラフとして示した、GT468サイレンシングの開始から72時間後の細胞の細胞周期分析。(C)siRNAの形質転換した72時間後にアネキシンV染色によって測定した細胞のアポトーシス。アネキシンV染色に対する陽性対照として細胞を6μMカンプトテシンで12時間処理した。 GT468は機能拮抗性抗体による標的となり得る。種々の量の抗GT468抗体及び対照抗体(アイソタイプ対照)と共に48時間増殖させた後のMCF−7及びBT−549細胞の増殖分析。 サイクリンD1及びAKTキナーゼはGT468機能に関与する。細胞をGT468特異的siRNA二本鎖で72時間処理した後のサイクリンD1の(A)定量的リアルタイムRT−PCR分析及び(B)ウエスタンブロット分析。(C)GT468ノックダウンの72時間後及び(D)抗GT468/C末端抗体による処理の1時間後のAKT Ser473リン酸化のウエスタンブロット分析。 ハイブリドーマ上清中のGT468に対して惹起した抗体の特異性を測定するためのペプチドELISA。ハイブリドーマ上清は、免疫のために使用したペプチドとのみ反応性である。 GT468に対して惹起した抗体を含有するハイブリドーマ上清による、GT468−eGFPを形質転換したCHO細胞の染色。ハイブリドーマ上清はGT468−eGFPを発現する細胞を特異的に染色する。 GT468は機能拮抗性モノクローナル抗体による標的となり得る。ハイブリドーマ上清と共に72時間反応した後の種々の癌細胞株の増殖分析。 ハイブリドーマ上清中のGT468に対して惹起した抗体の特異性を測定するための粗溶解産物(CrELISA)(A)又はペプチド特異的ELISA(B)。ハイブリドーマ上清は、GT468溶解産物(A)又は免疫のために使用したそれぞれのペプチド(B)とのみ反応性である。 ハイブリドーマ上清中のGT468に対して惹起した抗体の特異性を測定するためのフローサイトメトリー分析。すべてのハイブリドーマ上清はGT468形質転換体の特異的染色を示したが、偽の形質転換体では染色を認めなかった。 ハイブリドーマ上清中のGT468に対して惹起した抗体の特異性を測定するためのウエスタンブロット法。すべてのハイブリドーマ上清は、GT468 pcDNA3.1発現プラスミドを形質転換したHEK293細胞の溶解産物との特異的反応性を示したが、偽の形質転換体の溶解産物はシグナルを示さなかった。偽の溶解産物中のハイブリドーマ上清23−33A−1のかすかなシグナルは、HEK GT468溶解産物のスピルオーバーによるものである。 GT468タンパク質における抗体結合エピトープを同定するためのペプチドELISA。ハイブリドーマ上清22−1A−1、23−33A−1及び23−19A−1は各々、GT468の線状エピトープに対する反応性を示唆する2つのオーバーラップペプチドへの結合を示した。22−2A−1及び22−9B−1の結合パターンは、GT468タンパク質の配座エピトープ(不連続エピトープ)に対する反応性を示唆する。 GT468は機能拮抗性モノクローナル抗体による標的となり得る。精製ハイブリドーマ上清と共に72時間又は120時間反応した後の異なる癌細胞株の増殖分析。 ハイブリドーマ上清中のGT468に対して惹起した抗体の特異性を測定するためのフローサイトメトリー分析。ハイブリドーマ上清はGT468aa116〜212を形質転換した細胞の特異的染色を示したが、モックトランスフェクト細胞では染色を認めなかった。 GT468を内因性に発現する非固定腫瘍細胞(MCF−7、MDA−MB−468及びSK−BR−3乳癌細胞)へのモノクローナル抗体の特異的結合を測定するためのフローサイトメトリー分析。GT468を発現しないNUG−C4胃癌細胞を陰性対照として使用した。抗体は、GT468を発現する腫瘍細胞に結合することができる。 GT468を内因性に発現する非固定腫瘍細胞(MCF−7、MDA−MB−468及びSK−BR−3乳癌細胞)へのモノクローナル抗体の特異的結合を測定するためのフローサイトメトリー分析。GT468を発現しないNUG−C4胃癌細胞を陰性対照として使用した。抗体は、GT468を発現する腫瘍細胞に結合することができる。 ハイブリドーマ上清中のGT468に対して惹起した抗体の特異性を測定するためのウエスタンブロット法。すべてのハイブリドーマ上清は、GT468発現プラスミドを形質転換したHEK293細胞の溶解産物と特異的反応性を示したが、偽の形質転換体の溶解産物はシグナルを示さなかった。 GT468は機能拮抗性モノクローナル抗体による標的となり得る。精製ハイブリドーマ上清と共に72時間増殖した後の種々の癌細胞株の増殖分析。 GT468を内因性に発現するSK−BR−3細胞のコロニー形成への、GT468に対するモノクローナル抗体の阻害活性を分析するためのクローン原性アッセイ。細胞を抗体と共に反応することはコロニー形成を低減又は阻害した。 リアルタイムRT−PCRを使用した、正常組織におけるGT468発現の定量。3名の個人からの組織を各々の正常組織型に関して試験した。微量のGT468転写産物だけが40サイクルのRT−PCR後に正常組織において検出できた。発現カットオフ値(点線、すべての正常組織の平均発現+3STD(99%パーセンタイル値))を越える正常組織は胎盤と精巣だけであった。誤差バー、STD。乳癌(図1参照)に加えて、肺癌、卵巣癌、胃癌、前立腺癌、膵癌、腎細胞癌、肝癌、肉腫、甲状腺癌及び頭頸部癌からの試料においてGT468の高発現が認められた。 リアルタイムRT−PCRを使用した、正常組織におけるGT468発現の定量。3名の個人からの組織を各々の正常組織型に関して試験した。微量のGT468転写産物だけが40サイクルのRT−PCR後に正常組織において検出できた。発現カットオフ値(点線、すべての正常組織の平均発現+3STD(99%パーセンタイル値))を越える正常組織は胎盤と精巣だけであった。誤差バー、STD。乳癌(図1参照)に加えて、肺癌、卵巣癌、胃癌、前立腺癌、膵癌、腎細胞癌、肝癌、肉腫、甲状腺癌及び頭頸部癌からの試料においてGT468の高発現が認められた。 癌細胞株におけるGT468発現のウエスタンブロット分析。GT468の発現は、GT468発現プラスミド(陽性対照)、SK−BR−3(乳癌)、BEWO(胎盤性絨毛癌)、JAR(胎盤性絨毛癌)、HCT−15(結腸癌)、LnCaP(前立腺癌)、HeLa(子宮頸癌)、MDA−MB−468(乳癌)、JEG−3(胎盤性絨毛癌)、JIMT−1(乳癌)、LA1−55n(神経芽細胞腫)、PC−3(前立腺癌)、BT−20(乳癌)及びNCI−H929(骨髄腫)でトランスフェクトしたHEK293細胞において検出された。MelHO(悪性黒色腫)及びNUGC4(胃癌)は試験陰性であった。 GT468は機能拮抗性モノクローナル抗体による標的となり得る。精製ハイブリドーマ上清と共に72時間反応した後のGT468陽性MDA−MB−468乳癌細胞及びGT468陰性NUGC4胃癌細胞の増殖分析。 ハイブリドーマ上清中のGT468に対して惹起した抗体の特異性を測定するためのウエスタンブロット法。ハイブリドーマ上清は、GT468発現プラスミドを形質転換したHEK293細胞の溶解産物と特異的反応性を示したが、偽の形質転換体の溶解産物はシグナルを示さなかった。 抗GT468モノクローナル抗体による処置は、ヌードマウスにおいてBEWO胎盤性絨毛癌異種移植腫瘍の増殖を減弱させる。BEWO細胞の皮下注射後、動物を精製モノクローナル抗体(200μg)で週に2回、2週間にわたって処置した。 GT468タンパク質における抗体結合エピトープを同定するためのペプチドELISA。ハイブリドーマ上清29−8B−1、35−48B−1、44−3A−2、49−3A−1、49−8A−1、51−1A−1、53−13A−2及び62−9B1は各々、GT468の線状エピトープに対する反応性を示唆する1つ又はそれ以上のオーバーラップペプチドへの結合を示した。29−1A−2及び54−4B−2の結合パターンは、GT468タンパク質の配座エピトープ(不連続エピトープ)に対する反応性を示唆する。 抗GT468モノクローナル抗体による処置は、実験的転移アッセイにおいてMCAF−7乳癌細胞の転移拡大を有意に低減する。1×10のMCF−7細胞の静脈内注射後、動物を精製モノクローナル抗体(200μg)で週に2回処置した。動物の肺における転移腫瘍量を、接種の5週間後にヒトマイクロサテライトDNAに特異的なオリゴヌクレオチドを使用した定量的PCRによって測定した。
用語の定義
本発明がより容易に理解され得るために、特定の用語を最初に定義する。さらなる定義は詳細な説明全体を通じて述べる。
「GT468」という用語は、好ましくはヒトGT468、特に(i)配列番号:1の核酸配列を含む核酸のような、配列番号:2のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸又は(ii)配列番号:2のアミノ酸配列を含むタンパク質に関し、前記配列のあらゆる変異体、特に突然変異体、スプライス変異体、配座変異体、アイソフォーム、対立遺伝子変異体、種変異体及び種ホモログ、特に天然に存在するものを包含する。対立遺伝子変異体は遺伝子の正常配列の変化に関するものであり、その重要性はしばしば不明である。完全な遺伝子配列決定は、しばしば所与の遺伝子についての数多くの対立遺伝子変異体を同定する。種ホモログは、所与の核酸又はアミノ酸配列が起源とするものとは異なる種を起源とする核酸又はアミノ酸配列である。「GT468」という用語は、(i)GT468スプライス変異体、(ii)特にNグリコシル化状態のような異なるグリコシル化を有する変異体を含む、GT468の翻訳後修飾変異体、(iii)GT468配座変異体、(iv)GT468癌関連及びGT468非癌関連変異体を包含する。
1つの実施形態では、「GT468」という用語は、細胞外ドメイン又はエクトドメインに対応するGT468の部分に関し、好ましくはN末端疎水性ドメインを含まないGT468のアミノ酸配列に関する。「GT468」という用語は、配列番号:2のアミノ酸29〜119、好ましくはアミノ酸29〜212、より好ましくはアミノ酸23〜212又は配列番号:2の変異体の対応するアミノ酸を含むタンパク質を包含する。
本発明によれば、GT468についての「細胞外ドメイン」又は「エクトドメイン」という用語は、GT468を発現する細胞の表面に結合して認められるGT468の部分に関する。好ましくは、上記「細胞外ドメイン」又は「エクトドメイン」は細胞外画分に存在する。GT468の「細胞外ドメイン」又は「エクトドメイン」は、好ましくはN末端疎水性ドメインを欠く完全長GT468の部分を指す。本発明によれば、GT468についての「疎水性ドメイン」という用語は、細胞外ドメインの一部ではなく、好ましくはGT468のN末端近傍に位置する疎水性配列を含むGT468の部分に関する。GT468の「疎水性ドメイン」は、GT468の疎水性配列に先行し、N末端に位置する配列を含み得る。配列番号:2に関して、N末端疎水性ドメインは、好ましくはアミノ酸1〜22を含む。本発明のGT468ポリペプチドに関して同定されるいかなる疎水性ドメイン又は配列も、疎水性ドメイン又は配列を同定するために当分野で通常使用される判定基準に従って同定されることが了解される。疎水性ドメインの正確な境界は異なり得るが、おそらく本明細書で最初に同定されるドメインのいずれかの末端の約5アミノ酸以下が異なると考えられる。場合により、それ故、GT468ポリペプチドの細胞外ドメインは、本明細書で同定される疎水性ドメイン/細胞外ドメイン境界のいずれかの側に約5又はそれ以下のアミノ酸を含み得る。
「細胞表面」は、当分野における通常の意味に従って使用され、タンパク質及び他の分子による結合のためにアクセス可能な細胞の外側を含む。
「細胞の表面上で発現されるGT468」という表現は、細胞によって発現されるGT468が上記細胞の表面と結合して認められることを意味する。
GT468は、細胞の表面に位置する場合、前記細胞の表面と結合しており、細胞に添加されたGT468特異的抗体による結合のためにアクセス可能である。好ましい実施形態では、その細胞表面とGT468の結合によって特徴づけられる細胞は、GT468を発現する細胞である。GT468が細胞によって発現される場合、前記細胞の表面と結合したGT468は、発現されるGT468の一部だけ、特に上記で定義したその細胞外ドメインだけであってもよいことを理解されたい。
本発明によれば、発現及び/又は結合のレベルが胎盤細胞又は胎盤組織における発現及び/又は結合と比較してより低い場合、GT468は細胞において実質的に発現されない及び/又は細胞表面と実質的に結合していない。好ましくは、発現及び/又は結合のレベルは、胎盤細胞又は胎盤組織における発現及び/又は結合の10%未満、好ましくは5%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%又は0.05%未満であるか又はさらにより低い。好ましくは、発現及び/又は結合のレベルが、脳、肺、乳房、結腸、肝臓、胃、腎臓、前立腺、膵臓、卵巣、脾臓、皮膚、心筋及び子宮内膜の1つ又はそれ以上の非腫瘍形成性、非癌性組織における発現及び/又は結合のレベルを2倍だけ、好ましくは1.5倍だけ上回る、好ましくは前記非腫瘍形成性、非癌性組織における発現及び/又は結合のレベルを超えない場合、GT468は細胞において実質的に発現されない及び/又は細胞表面と実質的に結合していない。好ましくは、発現若しくは結合のレベルが検出限界より下である場合及び/又は発現若しくは結合のレベルが細胞に添加されたGT468特異的抗体による結合を可能にするには低すぎる場合、GT468は細胞において実質的に発現されない及び/又は細胞表面と実質的に結合していない。
本発明によれば、発現及び/又は結合のレベルが、脳、肺、乳房、結腸、肝臓、胃、腎臓、前立腺、膵臓、卵巣、脾臓、皮膚、心筋及び子宮内膜の1つ又はそれ以上の非腫瘍形成性、非癌性組織における発現及び/又は結合のレベルを好ましくは2倍以上、好ましくは10倍、100倍、1000倍又は10000倍上回る場合、GT468は細胞において発現される及び/又は細胞表面と結合している。好ましくは、発現若しくは結合のレベルが検出限界より上である場合及び/又は発現若しくは結合のレベルが細胞に添加されたGT468特異的抗体による結合を可能にするのに十分なだけ高い場合、GT468は細胞において発現される及び/又は細胞表面と結合している。好ましくは、細胞において発現されるGT468は、前記細胞の表面上で発現されるか又は表面上に露出されている。
「ラフト」という用語は、細胞の形質膜の外葉領域に位置するスフィンゴ脂質及びコレステロールに富む膜マイクロドメインを指す。特定のタンパク質がそのようなドメイン内で結合する能力及び「集合体」又は「巣状集合体」を形成するそれらの能力は、タンパク質の機能を生じさせることができる。例えば、そのような構造体内へのGT468分子の転位は、本発明の抗体によって結合された後、形質膜において高密度のGT468抗原−抗体複合体を形成する。そのような高密度のGT468抗原−抗体複合体は、CDCの間の補体系の効率的な活性化を可能にし得る。
本発明によれば、「疾患」という用語は、癌、特に本明細書で述べる癌の形態を含む、何らかの病的状態を指す。
「GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞に関連する疾患」は、本発明によれば、疾患組織又は器官の細胞における発現及び/又は結合が、好ましくは健常組織又は器官における状態と比較して上昇していることを意味する。上昇は、少なくとも10%、特に20%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも500%、少なくとも1000%、少なくとも10000%又はさらにそれ以上の上昇を指す。1つの実施形態では、発現及び/又は細胞表面との結合は疾患組織においてのみ認められ、一方健常組織における発現は抑制される。本発明によれば、GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞に関連する疾患は、癌疾患などの腫瘍性疾患を含む。さらに、本発明によれば、癌疾患などの腫瘍性疾患は、好ましくは腫瘍細胞又は癌細胞がGT468を発現する及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合によって特徴づけられるものである。
本明細書で使用される、「腫瘍性疾患」、「腫瘍関連疾患」又は[腫瘍形成性疾患]は、腫瘍及び/又は腫瘍転移の生成又は生成する傾向をもたらし得る、異常に調節された細胞成長、増殖、分化、接着及び/又は移動によって特徴づけられる疾患を包含する。「腫瘍細胞」とは、急速で制御されない細胞増殖によって成長し、新たな成長を開始させた刺激が停止した後も成長し続ける異常な細胞を意味する。
「腫瘍」とは、急速で制御されない細胞増殖によって成長し、新たな成長を開始させた刺激が停止した後も成長し続ける細胞又は組織の異常な群を意味する。腫瘍は、構造機構及び正常組織との機能的協調の部分的又は完全な欠如を示し、通常は、良性、前悪性又は悪性のいずれかであり得る、独特の組織塊を形成する。
好ましくは、本発明による「腫瘍性疾患」、「腫瘍関連疾患」又は「腫瘍形成性疾患」は、癌疾患、すなわち悪性疾患であり、腫瘍細胞は癌細胞である。好ましくは、「腫瘍性疾患」、「腫瘍関連疾患」又は「腫瘍形成性疾患」は、GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞によって特徴づけられ、腫瘍細胞は、GT468を発現する細胞及び/又はその細胞表面とGT468の結合を特徴とする。
GT468を発現する及び/又はその細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞は、好ましくは腫瘍細胞又は癌細胞であり、好ましくは本明細書で述べる腫瘍及び癌の腫瘍細胞又は癌細胞である。好ましくは、そのような細胞は、胎盤細胞及び/又は精巣細胞以外の細胞である。
本発明による好ましい癌疾患又は癌は、乳癌、肺癌、胃癌、卵巣癌、肝細胞癌、結腸癌、膵癌、食道癌、頭頸部癌、腎癌、特に腎細胞癌、前立腺癌、肝癌、黒色腫、肉腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、胎盤性絨毛癌、子宮頸癌及び甲状腺癌、並びにそれらの転移形態からなる群より選択される。1つの実施形態では、癌疾患は、肺の転移性癌からなる群より選択される。
本発明によれば、「癌腫(carcinoma)」は、器官の内層(上皮細胞)から発症する癌である。
胎盤性絨毛癌は、通常は胎盤の、悪性で栄養膜性及び高侵襲性の癌である。胎盤性絨毛癌は肺への早期血行性転移を特徴とする。
肉腫は、中胚葉の増殖を生じさせる結合組織(骨、軟骨、脂肪)の癌である。これは、上皮起源である癌腫と大きく異なる。
腎細胞癌又は腎細胞腺癌としても知られる腎細胞癌腫は、血液をろ過して老廃物を除去する腎臓内の非常に小さな管である、近位曲尿細管の内層に由来する腎癌である。腎細胞癌腫は、成人における群を抜いて最も一般的なタイプの腎癌であり、すべての尿生殖器腫瘍の中で最も致死的である。腎細胞癌腫の異なるサブタイプは、明細胞腎細胞癌及び乳頭状腎細胞癌である。明細胞腎細胞癌は最も一般的な形態の腎細胞癌腫である。顕微鏡で見ている時、明細胞腎細胞癌を構成する細胞は、非常に色が薄い又は透明に見える。乳頭状腎細胞癌は2番目に頻度の高いサブタイプである。これらの癌は、腫瘍の、大部分ではないにせよ一部においては、小指様の突起(乳頭と呼ばれる)を形成する。
「転移」とは、そのもとの部位から身体の別の部分への癌細胞の拡大を意味する。転移の形成は非常に複雑な過程であり、原発性腫瘍からの悪性細胞の分離、細胞外マトリックスの侵襲、体腔及び脈管に侵入するための内皮基底膜の貫通、及び次に、血液によって運搬された後、標的器官の浸潤に依存する。最後に、標的部位における新たな腫瘍の成長は血管新生に依存する。腫瘍転移はしばしば原発性腫瘍の除去後にも起こり、これは、腫瘍細胞又は成分が残存し、転移能を発現し得るからである。1つの実施形態では、本発明による「転移」という用語は、原発性腫瘍及び所属リンパ節系から遠く離れた転移に関する「遠隔転移」に関する。
続発性又は転移性腫瘍の細胞はもとの腫瘍におけるものと同様である。これは、例えば、卵巣癌が肝臓に転移した場合、続発性腫瘍は、異常な肝細胞ではなく異常な卵巣細胞で構成される。肝臓における腫瘍は、その場合、肝癌ではなく転移性卵巣癌と呼ばれる。
「疾患の治療」という用語は、疾患又はその症状を治癒する、期間を短縮する、改善する、予防する、進行若しくは悪化を遅らせる若しくは阻止する、又は発症を予防する若しくは遅延させることを包含する。
「患者」という用語は、本発明によれば、ヒト、非ヒト霊長動物又は別の動物、特にウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコなどの哺乳動物又はマウス及びラットなどのげっ歯動物を意味する。特に好ましい実施形態では、患者はヒトである。
本発明によれば、試料は、本発明において有用な任意の試料、特に体液を含む組織試料及び/又は細胞試料のような生物学的試料であり得、パンチ生検を含む組織生検のような従来の方法で、及び血液、気管支吸引物、痰、尿、便又は他の体液を採取することによって入手し得る。本発明によれば、「生物学的試料」という用語はまた、生物学的試料の画分を包含する。
「抗体」という用語は、ジスルフィド結合によって相互に連結された少なくとも2本の重(H)鎖と2本の軽(L)鎖を含む糖タンパク質、又はその抗原結合部分を指す。「抗体」という用語はまた、抗体のすべての組換え体、特に本明細書で述べる抗体のすべての組換え体、例えば原核生物において発現される抗体、非グリコシル化抗体並びに本明細書で述べる何らかの抗原結合抗体画分及び誘導体のすべての組換え体を包含する。各々の重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVHと略す)と重鎖定常領域からなる。各々の軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略す)と軽鎖定常領域からなる。VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称されるより保存された領域が間に組み入れられた、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の領域にさらに細分することができる。各々のVHとVLは、以下の順序でアミノ末端からカルボキシ末端へと配置された、3つのCDRと4つのFRからなる:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えばエフェクター細胞)及び古典的補体系の第1成分(C1q)を含む、宿主組織又は因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。
「ヒト化抗体」という用語は、非ヒト種からの免疫グロブリンに実質的に由来する抗原結合部位を有する分子であって、分子の残りの免疫グロブリン構造はヒト免疫グロブリンの構造及び/又は配列に基づく分子を指す。抗原結合部位は、定常ドメインに融合した完全な可変ドメインを含み得るか又は可変ドメイン内の適切なフレームワーク領域に移植された相補性決定領域(CDR)だけを含み得る。抗原結合部位は、野生型であり得るか又は1若しくはそれ以上のアミノ酸置換によって修飾され得る、例えばヒト免疫グロブリンにより密接に類似するように修飾され得る。ヒト化抗体の一部の形態は、すべてのCDR配列を保存する(例えばマウス抗体からの6つのCDRすべてを含むヒト化マウス抗体)。また別の形態は、もとの抗体に比べて変化した1つ又はそれ以上のCDRを有する。
「キメラ抗体」という用語は、重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列の各々の一部が、特定の種に由来するか又は特定のクラスに属する抗体内の対応する配列と相同であり、鎖の残りのセグメントは別の抗体内の対応する配列に相同である抗体を指す。典型的には、軽鎖と重鎖の両方の可変領域が哺乳動物の1つの種に由来する抗体の可変領域を模倣し、定常部分は別の種に由来する抗体の配列に相同である。そのようなキメラ形態の1つの明らかな利点は、例えばヒト細胞試料に由来する定常領域と組み合わせて、可変領域が、容易に入手可能なB細胞又は非ヒト宿主生物からのハイブリドーマを使用して現在公知のソースから好都合に誘導できることである。可変領域は調製の容易さという利点を有し、その特異性はソースに影響されないが、ヒトである定常領域は、抗体を注射したとき非ヒトソースからの定常領域の場合よりもヒト被験者から免疫応答を惹起する可能性が低い。しかし、前記定義はこの特定例に限定されない。
抗体の「抗原結合部分」(又は単に「結合部分」)という用語は、本明細書で使用される場合、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ又はそれ以上のフラグメントを指す。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体のフラグメントによって遂行され得ることが示されている。抗体の「抗原結合部分」という用語に包含される結合フラグメントの例は、(i)VL、VH、CL及びCHドメインからなる一価フラグメントである、Fabフラグメント;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFabフラグメントを含む二価フラグメントである、F(ab')フラグメント;(iii)VHドメインとCHドメインからなるFdフラグメント;(iv)抗体の1本の腕のVLドメインとVHドメインからなるFvフラグメント;(v)VHドメインからなるdAbフラグメント(Ward et al.,(1989)Nature 341:544−546);(vi)単離された相補性決定領域(CDR)、並びに(vii)場合により合成リンカーによって連結されていてもよい2つ又はそれ以上の単離CDRの組合せを含む。さらに、Fvフラグメントの2つのドメイン、VL及びVHは別々の遺伝子によってコードされるが、それらは、組換え法を用いて、VL領域とVH領域が対合して一価分子を形成する一本鎖タンパク質(一本鎖Fv(scFv)として知られる;例えばBird et al.(1988)Science 242:423−426;及びHuston et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883参照)としてそれらを作製することを可能にする合成リンカーによって連結され得る。そのような一本鎖抗体も、抗体の「抗原結合部分」という用語に包含されることが意図されている。さらなる例は、(i)免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチドに融合した結合ドメインポリペプチド、(ii)ヒンジ領域に融合した免疫グロブリン重鎖CH2定常領域、及び(iii)CH2定常領域に融合した免疫グロブリン重鎖CH3定常領域を含む、結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質である。結合ドメインポリペプチドは、重鎖可変領域又は軽鎖可変領域であり得る。結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質は、さらに米国特許出願公開第2003/0118592号及び同第2003/0133939号に開示されている。これらの抗体フラグメントは当業者に公知の従来技術を用いて得られ、フラグメントは無傷抗体と同じ方法で有用性に関してスクリーニングされる。
「epitope」という用語は、抗体に結合することができるタンパク質決定基を意味し、その場合「結合」という用語は、本明細書では、好ましくは特異的結合に関する。抗原決定基は、通常はアミノ酸又は糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面基群からなり、一般に特異的な三次元構造上の特徴並びに特異的な電荷特性を有する。配座及び非配座抗原決定基は、変性溶媒の存在下で前者への結合は失われるが後者への結合は失われないことによって区別される。
本明細書で使用される「不連続抗原決定基」という用語は、タンパク質の一次配列内の少なくとも2つの別々の領域から形成されるタンパク質抗原上の配座抗原決定基を意味する。
「二重特異性分子」という用語は、2つの異なる結合特異性を有する何らかの物質、例えばタンパク質、ペプチド、又はタンパク質若しくはペプチド複合体を含むことが意図されている。例えば、前記分子は、(a)細胞表面抗原及び(b)エフェクター細胞の表面上のFc受容体に結合し得るか又はそれらと相互作用し得る。「多重特異性分子」又は「ヘテロ特異性分子」という用語は、3以上の異なる結合特異性を有する何らかの物質、例えばタンパク質、ペプチド、又はタンパク質若しくはペプチド複合体を含むことが意図されている。例えば、前記分子は、(a)細胞表面抗原、(b)エフェクター細胞の表面上のFc受容体、及び(c)少なくとも1つの他の成分に結合し得るか又はそれらと相互作用し得る。従って、本発明は、GT468に対する、及びエフェクター細胞上のFc受容体のような他の標的に対する、二重特異性、三重特異性、四重特異性及び他の多重特異性分子を含むが、これらに限定されない。「二重特異性抗体」という用語はまた、ダイアボディを包含する。ダイアボディは、VHドメインとVLドメインが1本のポリペプチド鎖上で発現されるが、同じ鎖上の2つのドメインの間の対合を許容するには短すぎるリンカーを使用して、それにより前記ドメインを別の鎖の相補的ドメインと対合させ、2つの抗原結合部位を作製する、二価の二重特異性抗体である(例えば、Holliger,P.,et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448;Poljak,R.J.,et al.(1994)Structure 2:1121−1123参照)。
本発明はまた、本発明のために「抗体」という用語によって包含される、本明細書で述べる抗体の誘導体を含む。「抗体誘導体」という用語は、抗体の任意の修飾形態、例えば抗体ともう1つ別の物質又は抗体の複合体を指す。本明細書で使用される場合、抗体が動物を免疫することによって又は免疫グロブリン遺伝子ライブラリーをスクリーニングすることによってある系から得られ、選択された抗体が、生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列と、アミノ酸配列において少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらに一層好ましくは少なくとも96%、97%、98%又は99%同一である場合、その抗体は特定の生殖細胞系配列に「由来する」。典型的には、特定生殖細胞系配列に由来する抗体は、生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列と10アミノ酸以下の相違、より好ましくは5個以下、又はさらに一層好ましくは4、3、2又は1個以下のアミノ酸相違を示す。
本明細書で使用される、「ヘテロ抗体」という用語は、共に連結された2つ又はそれ以上の抗体、それらの誘導体又は抗原結合領域であって、そのうちの少なくとも2つが異なる特異性を有するものを指す。これらの異なる特異性は、エフェクター細胞上のFc受容体に対する結合特異性、及び標的細胞、例えば腫瘍細胞上の抗原又は抗原決定基に対する結合特異性を含む。
本明細書で述べる抗体はヒト抗体であり得る。「ヒト抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域と定常領域を有する抗体を含むことが意図されている。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば試験管内でのランダム若しくは部位特異的突然変異誘発によって又は細胞内での体細胞突然変異によって導入される突然変異)を含み得る。
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、単一分子組成の抗体分子の製剤を指す。モノクローナル抗体は、特定の抗原決定基に対する単一の結合特異性及び親和性を示す。1つの実施形態では、モノクローナル抗体は、不死化細胞に融合した、非ヒト動物、例えばマウスから得られたB細胞を含むハイブリドーマによって産生される。
「組換え抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、(a)免疫グロブリン遺伝子に関して遺伝子組換え又はトランスクロモソーマルである動物(例えばマウス)又はそれから作製されたハイブリドーマから単離された抗体、(b)抗体を発現するように形質転換された宿主細胞から、例えばトランスフェクトーマから単離された抗体、(c)組換えコンビナトリアル抗体ライブラリーから単離された抗体、及び(d)免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを含む何らかの他の手段によって調製された、発現された、作製された又は単離された抗体などの、組換え手段によって調製される、発現される、作製されるか又は単離されるすべての抗体を包含する。
「トランスフェクトーマ」という用語は、本明細書で使用される場合、CHO細胞、NS/0細胞、HEK293細胞、HEK293T細胞、植物細胞、又は酵母細胞を含む真菌などの、抗体を発現する組換え真核生物宿主細胞を包含する。
本明細書で使用される、「異種抗体」は、そのような抗体を産生する遺伝子組換え生物に関連して定義される。この用語は、遺伝子組換え生物で構成されない生物において認められるものに対応する、及び一般に遺伝子組み換え生物以外の種に由来するアミノ酸配列又はコード核酸配列を有する抗体を指す。
本明細書で使用される、「ヘテロハイブリッド抗体」は、異なる生物起源の軽鎖と重鎖を有する抗体を指す。例えば、マウス軽鎖と結合したヒト重鎖を有する抗体はヘテロハイブリッド抗体である。
本明細書で述べる抗体は、好ましくは単離されている。本明細書で使用される「単離抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指すことが意図されている(例えば、GT468に特異的に結合する単離抗体は、GT468以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。ヒトGT468の抗原決定基、イソ型又は変異体に特異的に結合する単離抗体は、しかし、他の関連抗原、例えば他の種からの関連抗原(例えばGT468種ホモログ)に対して交差反応性を有し得る。さらに、単離抗体は、実質的に他の細胞物質及び/又は化学物質不含であり得る。本発明の1つの実施形態では、「単離」モノクローナル抗体の組合せは、異なる特異性を有し、十分に定義された組成で組み合わされた抗体に関する。
本発明による「結合」という用語は、好ましくは、特異的結合に関する。「特異的結合」は、抗体のような物質が、それが特異的である抗原又は抗原決定基などの(あらかじめ定められた)標的に対し、別の標的への結合に比べてより強く結合することを意味する。ある物質が第一標的に対して第二標的についての解離定数(K)よりも低い解離定数で結合する場合、その物質は第二標的に比べて第一標的により強く結合する。好ましくは、物質が特異的に結合する標的についての解離定数(K)は、その物質が特異的に結合しない標的についての解離定数(K)よりも10倍上、好ましくは20倍、より好ましくは50倍、さらに一層好ましくは100倍、200倍、500倍又は1000倍よりも低い。典型的には、抗体は、約1×10−7M又はそれ以下のKDに相当する親和性で結合し、あらかじめ定められた抗原又は密接に関連する抗原以外の非特異的抗原(例えばBSA、カゼイン)への結合についてのその親和性より少なくとも2桁低いKDに相当する親和性であらかじめ定められた抗原に結合する。
「KD」(M)という用語は、本明細書で使用される場合、特定の抗体−抗原相互作用の解離平衡定数を指すことが意図されている。
本明細書で使用される、「アイソタイプ」は、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体クラス(例えばIgM又はIgG1)を指す。
本明細書で使用される、「アイソタイプスイッチ」は、それによって抗体のクラス又はアイソタイプがある1つのIgクラスからその他のIgクラスの1つに変化する現象を指す。
物体に適用される場合の、本明細書で使用される「天然に生じる」という用語は、物体が自然界で見出され得るという事実を指す。例えば、自然界で供給源から単離され得る生物(ウイルスを含む)中に存在し、実験室においてヒトによって意図的に改変されていないポリペプチド又はポリヌクレオチド配列は、天然に生じる。
本明細書で使用される「再編成された」という用語は、Vセグメントが、それぞれ基本的に完全なVH又はVLドメインをコードする配座においてD−J又はJセグメントにすぐ隣接して位置する、重鎖又は軽鎖免疫グロブリン遺伝子座の配置を指す。再編成された免疫グロブリン(抗体)遺伝子座は、生殖細胞系DNAとの比較によって同定できる;再編成された遺伝子座は、少なくとも1つの組換えヘプタマー/ノナマー相同性エレメントを有する。
Vセグメントに関して本明細書で使用される「再編成されていない」又は「生殖細胞系配置」という用語は、VセグメントがD又はJセグメントにすぐ隣接するように組み換えられていない配置を指す。
「核酸分子」という用語は、本明細書で使用される場合、DNA分子及びRNA分子を包含することが意図されている。核酸分子は、一本鎖又は二本鎖であり得るが、好ましくは二本鎖DNAである。
本発明において述べる核酸は、好ましくは単離されている。「単離核酸」という用語は、本発明によれば、核酸が、(i)試験管内で、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅された、(ii)クローニングによって組換え生産された、(iii)例えば切断とゲル電気泳動分画によって精製された、又は(vi)例えば化学合成によって合成されたことを意味する。単離核酸は、組換えDNA技術による操作のために使用可能な核酸である。
核酸は、本発明によれば、単独で又は同種若しくは異種であり得る他の核酸との組合せで存在し得る。好ましい実施形態では、核酸は、前記核酸に関して同種又は異種であり得る発現制御配列に機能的に連結されており、この場合「同種」という用語は、核酸が天然の状態でも発現制御配列に機能的に連結されていることを意味し、「異種」という用語は、核酸が天然では発現制御配列に機能的に連結されていないことを意味する。
RNA及び/又はタンパク質若しくはペプチドを発現する核酸などの核酸と発現制御配列は、それらが、前記核酸の発現又は転写が前記発現制御配列の制御下又は影響下にあるように互いに共有結合されている場合、互いに「機能的に」連結されている。核酸が、その後、コード配列に機能的に連結された発現制御配列により機能的タンパク質へと翻訳されるはずである場合、前記発現制御配列の誘導は、コード配列内のフレームシフトを引き起こさずに又は前記コード配列が所望のタンパク質若しくはペプチドへと翻訳されることができない事態を引き起こさずに、前記核酸の転写を生じさせる。
「発現制御配列」という用語は、本発明によれば、プロモーター、リボソーム結合部位、エンハンサー、及び遺伝子の転写又はmRNAの翻訳を調節する他の制御エレメントを包含する。本発明の特定実施形態では、発現制御配列は調節され得る。発現制御配列の正確な構造は種又は細胞型に応じて異なり得るが、一般に、TATAボックス、キャップ配列、CAAT配列等のような、それぞれ転写及び翻訳の開始に関与する5'非転写配列並びに5'及び3'非翻訳配列を含む。より詳細には、5'非転写発現制御配列は、機能的に連結された核酸の転写制御のためのプロモーター配列を含有するプロモーター領域を含む。発現制御配列はまた、エンハンサー配列又は上流活性化配列を含み得る。
本発明によれば、「プロモーター」又は「プロモーター領域」という用語は、発現される核酸配列に対して上流(5'側)に位置し、RNAポリメラーゼのための認識及び結合部位を提供することによって配列の発現を制御する核酸配列に関する。「プロモーター領域」は、遺伝子の転写の調節に関与するさらなる因子のためのさらなる認識及び結合部位を含み得る。プロモーターは、原核生物又は真核生物遺伝子の転写を制御し得る。さらに、プロモーターは「誘導的」であり得、誘導物質に応答して転写を開始させ得るか、又は転写が誘導物質によって制御されない場合は「構成的」であり得る。誘導的プロモーターの制御下にある遺伝子は、誘導物質が存在しない場合は発現されないか又はわずかだけ発現される。誘導物質の存在下では、遺伝子のスイッチが入るか又は転写のレベルが上昇する。これは、一般に、特異的転写因子の結合によって媒介される。
本発明による好ましいプロモーターは、SP6、T3及びT7ポリメラーゼについてのプロモーター、ヒトU6 RNAプロモーター、CMVプロモーター、及びある部分又は複数の部分が、例えばヒトGAPDH(グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ)のような他の細胞タンパク質の遺伝子のプロモーターのある部分又は複数の部分に融合しており、付加的なイントロンを含むか又は含まない、それらの人工ハイブリッドプロモーター(例えばCMV)を包含する。
本発明によれば、「発現」という用語は、その最も一般的な意味で使用され、RNAの生産又はRNAとタンパク質/ペプチドの生産を含む。この語はまた、核酸の部分的発現を包含する。さらに、発現は一過性又は安定に行われ得る。
好ましい実施形態では、核酸分子は、本発明によれば、適切な場合は核酸の発現を制御するプロモーターと共に、ベクター内に存在する。「ベクター」という用語は、本明細書ではその最も一般的な意味で使用され、核酸が、例えば原核及び/又は真核細胞に導入され、適切な場合はゲノム内に組み込まれることを可能にする、前記核酸のための任意の中間媒体を包含する。この種のベクターは、好ましくは細胞において複製及び/又は発現される。ベクターは、プラスミド、ファージミド、バクテリオファージ又はウイルスゲノムを含む。本明細書で使用される「プラスミド」という用語は、一般に、染色体DNAとは独立して複製することができる、染色体外遺伝物質の構築物、通常は環状DNA二本鎖に関する。
抗体の発現のためのベクターとして、抗体重鎖と軽鎖が異なるベクター内に存在するベクター型又は重鎖と軽鎖が同じベクター内に存在するベクター型のいずれかが使用できる。
特定の核酸配列及びアミノ酸配列、例えば配列表に示すものに関して本明細書で与える教示は、上記特定配列と機能的に等価の配列、例えば特定アミノ酸配列の性質と同じ又は類似の性質を示すアミノ酸配列及び特定核酸配列によってコードされるアミノ酸配列の性質と同じ又は類似の性質を示すアミノ酸配列をコードする核酸配列を生じさせる、前記特定配列の修飾型にも該当するように解釈されるべきである。同様に、特定抗体又は特定抗体を産生するハイブリドーマに関して本明細書で与える教示は、特定抗体のアミノ酸配列及び/又は核酸配列と比較して修飾されているが機能的に等価であるアミノ酸配列及び/又は核酸配列によって特徴づけられる抗体にも該当するように解釈されるべきである。1つの重要な性質は、その標的への抗体の結合を保持すること又は抗体のエフェクター機能を維持することである。好ましくは、特定配列に関して修飾された配列は、それが抗体内の前記特定配列に取って代わったときGT468への前記抗体の結合を保持し、及び好ましくは本明細書で述べる前記抗体の機能、例えばCDC媒介性溶解又はADCC媒介性溶解の機能を保持する。
特にCDR、超可変領域及び可変領域の配列は、GT468に結合する能力を失わずに修飾され得ることが当業者に認識される。例えば、CDR領域は、本明細書で指定する抗体領域に同一であるか又は高度に相同である。「高度に相同」により、1〜5、好ましくは1〜4、例えば1〜3又は1若しくは2の置換がCDR内で為され得ることが企図される。加えて、超可変領域及び可変領域は、本明細書で具体的に開示する領域と実質的な相同性を示すように修飾され得る。
本明細書で述べる特定の核酸はまた、特定の宿主細胞又は生命体においてコドン使用頻度を最適化するために修飾された核酸を包含することを理解されたい。生物間でのコドン使用頻度の相違は、異種遺伝子発現に関する様々な問題を導き得る。もとの配列の1つ又はそれ以上のヌクレオチドを変化させることによるコドン最適化は、核酸が発現されるはずである同種又は異種宿主における前記核酸の発現の最適化、特に翻訳効率の最適化をもたらすことができる。例えば、ヒトに由来し、抗体の定常領域及び/又はフレームワーク領域をコードする核酸を、例えばキメラ又はヒト化抗体を作製するために本発明に従って使用する場合、特に、場合により本明細書で述べる他の生物に由来する核酸などの異種核酸に融合した前記核酸を、マウス又はハムスターなどのヒトとは異なる生物からの細胞において発現させる場合は、コドン使用頻度の最適化のために前記核酸を修飾することが好ましいと考えられる。例えば、それぞれ配列番号:19及び20に従った核酸配列のようなヒト軽鎖及び重鎖定常領域をコードする核酸配列は、最適化されたコドン使用頻度をもたらすがアミノ酸配列の変化は生じさせない、1つ又はそれ以上、好ましくは少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20及び好ましくは10、15、20、25、30、50、70又は100まで又はそれ以上のヌクレオチド置換を含むように修飾することができる。そのようなヌクレオチド置換は、好ましくは、配列番号:19及び20と、それぞれ、それらの修飾された対応物との以下のアラインメントに示す置換から選択され、コードされるアミノ酸配列に変化を生じさせない、それぞれ配列番号:19及び20内のヌクレオチドの置換に関するか、又はそれぞれヒト軽鎖及び重鎖定常領域をコードする他の核酸配列内の対応位置での対応する置換に関する。好ましくは、コードされるアミノ酸配列に変化を生じさせない、配列番号:19及び20と、それぞれ、それらの修飾された対応物との以下のアラインメントに示す置換はすべて、それぞれヒト軽鎖及び重鎖定常領域をコードする核酸配列内で生じる。
配列番号:19と配列番号:21のアラインメント:
配列番号:20と配列番号:23のアラインメント:
さらに、本発明によれば、本明細書で述べるアミノ酸配列、特にヒト重鎖定常領域のアミノ酸配列を、所望の別模式標本、例えば白人母集団において認められる別模式標本に配列を適合させるように修飾することは望ましいと考えられる。そのような修飾は、好ましくは配列番号:17内の又は他のヒト重鎖定常領域内の対応する位置での以下のアミノ酸置換:K93R、D235E及びL237Mからなる群より選択される。好ましくは、これらの修飾のすべてがヒト重鎖定常領域のアミノ酸配列に含まれる。
本発明によれば、「対応する位置」という用語は、2つの核酸又はタンパク質配列の配列アラインメントにおいて互いに整列されるヌクレオチド又はアミノ酸残基に関する。
本発明によれば、核酸配列、アミノ酸配列又はペプチドの変異体、誘導体、修飾形態又はフラグメントは、好ましくは、それぞれそれが由来する核酸配列、アミノ酸配列又はペプチドの機能特性を有する。そのような機能特性は、他の分子との相互作用又は他の分子への結合を含む。1つの実施形態では、核酸配列、アミノ酸配列又はペプチドの変異体、誘導体、修飾形態又はフラグメントは、それぞれそれが由来する核酸配列、アミノ酸配列又はペプチドと免疫学的に等価である。
好ましくは、特定核酸配列と、前記特定核酸配列に関して修飾された又は前記特定核酸配列の変異体である核酸配列との間の同一性の程度は、少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、さらに一層好ましくは少なくとも90%、又は最も好ましくは少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%である。GT468核酸変異体に関して、同一性の程度は、好ましくは少なくとも約300、少なくとも約400、少なくとも約450、少なくとも約500、少なくとも約550、少なくとも約600又は少なくとも約630ヌクレオチドの領域にわたって与えられる。好ましい実施形態では、同一性の程度は、配列表に示す核酸配列などの参照核酸配列の全長にわたって与えられる。好ましくは、2つの配列は、互いにハイブリダイズして安定な二本鎖を形成することができ、ハイブリダイゼーションは、好ましくはポリヌクレオチド間の特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件(厳しい条件)下で実施される。厳しい条件は、例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,J.Sambrook et al.,Editors,2nd Edition,Cold Spring Harbor Laboratory press,Cold Spring Harbor,New York,1989又はCurrent Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausubel et al.,Editors,John Wiley&Sons,Inc.,New Yorkに述べられており、例えば、ハイブリダイゼーション緩衝液(3.5×SSC、0.02%フィコール、0.02%ポリビニルピロリドン、0.02%ウシ血清アルブミン、2.5mM NaHPO(pH7)、0.5%SDS、2mM EDTA)中、65℃でのハイブリダイゼーションを参照されたい。SSCは、0.15M塩化ナトリウム/0.15Mクエン酸ナトリウム、pH7である。ハイブリダイゼーション後、DNAを転写した膜を、例えば2×SSC中室温で、次に0.1〜0.5×SSC/0.1×SDS中68℃までの温度で洗浄する。
本発明の目的のために、アミノ酸配列の「変異体」は、アミノ酸挿入変異体、アミノ酸欠失変異体及び/又はアミノ酸置換変異体を含む。
好ましくは、実質的な相同性を示すアミノ酸配列間のような、特定アミノ酸配列と、上記特定アミノ酸配列に関して修飾された、又は上記特定アミノ酸配列の変異体であるアミノ酸配列との間の類似性、好ましくは同一性の程度は、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、さらに一層好ましくは少なくとも90%、又は最も好ましくは少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%である。GT468ポリペプチド変異体に関して、類似性又は同一性の程度は、好ましくは少なくとも約100、少なくとも約120、少なくとも約140、少なくとも約160、少なくとも約180、少なくとも約200、少なくとも約210又は212アミノ酸の領域にわたって与えられる。好ましい実施形態では、類似性又は同一性の程度は、配列表に示すアミノ酸配列などの参照アミノ酸配列の全長にわたって与えられる。
上述した修飾配列又は配列変異体はすべて本発明の範囲内である。
「配列類似性」は、同一であるか又は保存的アミノ酸置換を示すアミノ酸の割合を示す。2つのポリペプチド又は核酸配列の間の「配列同一性」は、それらの配列の間で同一であるアミノ酸又はヌクレオチドの割合を示す。
「同一性パーセント」は最良の配列後に得られ、このパーセントは純粋に統計的であり、2つの配列間の相違はランダムに及びそれらの長さ全体にわたって分布する。2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列の間の配列比較は、従来、それらを最適に整列した後これらの配列を比較することによって実施され、前記比較は、配列類似性の局所領域を同定し、比較するために断片ごとに又は「比較ウインドウ」ごとに実施される。比較のための配列の最適の配列は、手操作に加えて、Smith and Waterman,1981,Ads App.Math.2,482のローカルホモロジーアルゴリズムによって、Neddleman and Wunsch,1970,J.Mol.Biol.48,443のローカルホモロジーアルゴリズムによって、Pearson and Lipman,1988,Proc.Natl Acad.Sci.USA 85,2444の類似性検索法によって、又はこれらのアルゴリズムを用いるコンピュータプログラム(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Drive,Madison,Wis.のGAP、BESTFIT、FASTA、BLAST P、BLAST N及びTFASTA)によって作成され得る。
同一性パーセントは、比較する2つの配列間で同一の位置の数を決定し、この数を比較した位置の数で除して、これら2つの配列間の同一性パーセントを得るために得られた結果に100を乗じることによって算定される。
「保存的置換」は、例えば、関与する残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性及び/又は両親媒性の類似度に基づいて為され得る。例えば:(a)非極性(疎水性)アミノ酸は、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン及びメチオニンを含む;(b)極性中性アミノ酸は、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン及びグルタミンを含む;(c)正に荷電した(塩基性)アミノ酸は、アルギニン、リシン及びヒスチジンを含む;並びに(d)負に荷電した(酸性)アミノ酸は、アスパラギン酸及びグルタミン酸を含む。置換は、典型的には(a)〜(d)の群の中で実施され得る。加えて、グリシンとプロリンは、αへリックスを破壊するそれらの能力に基づいて互いに置換され得る。一部の好ましい置換は、以下の群:(i)SとT;(ii)PとG;及び(iii)A、V、L及びIにおいて実施され得る。公知の遺伝暗号、並びに組換え及び合成DNA技術を考慮して、当業者は、保存的アミノ酸変異体をコードするDNAを容易に構築することができる。
本発明は、抗体の機能又は薬物動態特性を変化させるためにFc領域内で変更が加えられた抗体を包含する。そのような変更は、C1q結合とCDC又はFcγR結合とADCCの低下又は上昇を生じさせ得る。置換は、例えば、重鎖定常領域のアミノ酸残基の1つ又はそれ以上において実施でき、それにより、修飾抗体と比較して、抗原に結合する能力を保持しながらエフェクター機能の変化を生じさせ得る。米国特許第5,624,821号及び同第5,648,260号参照。
抗体の細胞内における半減期は、分子が無傷CH2ドメイン又は無傷Ig Fc領域を含まないようにIg定常ドメイン又はIg様定常ドメインのサルベージ受容体抗原決定基を修飾することによって改善できる。米国特許第6,121,022号及び同第6,194,551号参照。細胞内における半減期は、Fc領域内に突然変異を作製することによって、例えば252位のロイシンをトレオニンに置換することによって、254位のセリンをトレオニンに置換することによって、又は256位のフェニルアラニンをトレオニンに置換することによってさらに延長できる。米国特許第6,277,375号参照。
さらに、抗体のエフェクター機能を変化させるために抗体のグリコシル化パターンを改変することができる。例えば、Fc受容体に対するFc領域の親和性を高め、ひいてはNK細胞の存在下で抗体のADCC上昇を生じさせるために、通常はFc領域の297位のAsnに結合するフコース単位を付加しないトランスフェクトーマにおいて抗体を発現させることができる。Shield et al.(2002)JBC,277:26733参照。さらに、CDCを改変するためにガラクトシル化の修飾が実施できる。
あるいは、もう1つの実施形態では、飽和突然変異誘発などにより、抗GT468抗体コード配列の全部又は一部に沿ってランダムに突然変異を導入することができ、生じる改変された抗GT468抗体を結合活性に関してスクリーニングできる。
「組換え宿主細胞」(又は単に「宿主細胞」)という用語は、本明細書で使用される場合、組換え発現ベクターが導入された細胞を指すことが意図されている。そのような用語は、特定の対象細胞だけでなくそのような細胞の子孫も表すことが意図されていると理解されるべきである。突然変異又は環境影響のいずれかのためにある種の修飾が後継世代において起こり得るので、そのような子孫は、事実上、親細胞と同一でないことがあるが、それでもなお本明細書で使用される「宿主細胞」という用語の範囲に包含される。組換え宿主細胞は、例えば、CHO細胞、NS/0細胞及びリンパ球細胞などのトランスフェクトーマを含む。
本明細書で使用される、「被験者」という用語は、あらゆるヒト又は非ヒト動物を包含する。「非ヒト動物」という用語は、すべての脊椎動物、例えば、非ヒト霊長動物、ヒツジ、イヌ、ウシ、ニワトリ、両生動物、爬虫類等のような哺乳動物及び非哺乳動物を包含する。
「遺伝子組換え動物」という用語は、1つ又はそれ以上の導入遺伝子、好ましくは重鎖及び/若しくは軽鎖導入遺伝子、又は導入染色体(動物の天然ゲノムDNAに組み込まれているか又は組み込まれていない)を含むゲノムを有し、好ましくは導入遺伝子を発現することができる動物を指す。例えば、遺伝子組換えマウスは、マウスが、GT468抗原及び/又はGT468を発現する細胞で免疫された場合ヒト抗GT468抗体を産生するように、ヒト軽鎖導入遺伝子と、ヒト重鎖導入遺伝子又はヒト重鎖導入染色体のいずれかを有し得る。ヒト重鎖導入遺伝子は、遺伝子組換えマウス、例えばHCo7又はHCol2マウスなどのHuMAbマウスの場合のように、マウスの染色体DNAに組み込まれ得るか、又はヒト重鎖導入遺伝子は、国際公開第02/43478号に記載されているトランスクロモソーマル(例えばKM)マウスの場合のように、染色体外に維持され得る。そのような遺伝子組換え及びトランスクロモソーマルマウスは、V−D−J組換え及びアイソタイプスイッチを受けることによってGT468に対するヒトモノクローナル抗体の多数のアイソタイプ(例えばIgG、IgA及び/又はIgE)を産生することができると考えられる。
本明細書で使用される「低減する」又は「阻害する」とは、レベル、例えば細胞増殖のレベルの全体的低下、好ましくは5%又はそれ以上、10%又はそれ以上、20%又はそれ以上、より好ましくは50%又はそれ以上、最も好ましくは75%又はそれ以上の全体的低下を生じさせる能力を意味する。
「細胞の活性を阻害する」という語句又は同様の語句は、細胞の活性の完全な又は基本的に完全な阻害及び細胞の活性の低下を包含する。好ましくは、上記の細胞の活性の阻害は、腫瘍細胞の増殖を低減し及び/又は腫瘍細胞の死を誘導し、それ故、腫瘍阻害作用又は腫瘍破壊作用を有する。
mAbの作用機構
以下は、本発明の抗体の治療効果の基礎となる機構についての考察を提供するものであるが、いかなる意味においても本発明を限定するとみなされるべきではない。
本明細書で述べる抗体は、好ましくはADCC又はCDCを介して、免疫系の成分と相互作用し得る。本発明の抗体はまた、ペイロード(例えば放射性同位体、薬剤又は毒素)を標的として腫瘍細胞を直接死滅させるためにも使用でき、又は伝統的な化学療法剤と協力作用的に使用して、化学療法剤のTリンパ球への細胞傷害性副作用のために損なわれた可能性がある抗腫瘍免疫応答を含み得る補完的な作用機構を通して腫瘍を攻撃することができる。しかし、本発明の抗体はまた、単に細胞表面上のGT468に結合することによって、それ故、例えば細胞の増殖をブロックすることによって、作用を及ぼし得る。
抗体依存性細胞媒介毒性
ADCCは、好ましくは抗体によって標識された標的細胞を必要とする、本明細書で述べるエフェクター細胞、特にリンパ球の細胞死滅能力を表す。
ADCCは、好ましくは、抗体が腫瘍細胞上の抗原に結合し、抗体Fcドメインが免疫エフェクター細胞の表面のFc受容体(FcR)とかみ合った場合に起こる。Fc受容体のいくつかのファミリーが同定されており、特定の細胞集団は、定義されたFc受容体を特徴的に発現する。ADCCは、抗原提示を導く様々な程度の即時腫瘍破壊及び抗腫瘍T細胞応答の誘導を直接誘導する機構とみなすことができる。好ましくは、ADCCの細胞内での誘導は、抗腫瘍T細胞応答及び宿主由来の抗体応答を導く。
補体依存性細胞傷害
CDCは、抗体によって指令され得るもう1つの細胞死滅方法である。IgMは補体活性化のために最も有効なアイソタイプである。IgG1及びIgG3の両者も、古典的補体活性化経路を介してCDCを指令するのに非常に有効である。好ましくは、このカスケードにおいて、抗原−抗体複合体の形成は、IgG分子などの関与抗体分子のC2ドメイン上のごく近接する多数のC1q結合部位の暴露を生じさせる(C1qは補体C1の3つのサブ成分の1つである)。好ましくは、これらの暴露されたC1q結合部位は、それまでの低親和性C1q−IgG相互作用を高い親和性の相互作用へと変換し、それが一連の他の補体タンパク質を含む事象のカスケードを開始させ、エフェクター細胞の走化性/活性化物質C3a及びC5aのタンパク質分解性放出を導く。好ましくは、補体カスケードは、細胞内及び細胞外への水と溶質の自由な通過を促進する細胞膜の孔を作り出す、膜傷害性複合体の形成で終了する。
抗体の作製
本発明の抗体は、従来のモノクローナル抗体法、例えば、Kohler and Milstein,Nature 256:495(1975)の標準的体細胞ハイブリダイゼーション技術を含む、様々な技術によって作製できる。体細胞ハイブリダイゼーション技術が好ましいが、原則として、モノクローナル抗体を作製するための他の技術、例えばBリンパ球のウイルス性若しくは発癌性形質転換又は抗体遺伝子のライブラリーを使用したファージディスプレイ技術も使用できる。
モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを作製するための好ましい動物系は、マウスの系である。マウスにおけるハイブリドーマの作製は極めて広く確立された手順である。免疫プロトコール及び融合のために免疫脾細胞を単離する技術は当分野において公知である。融合パートナー(例えばマウス骨髄腫細胞)及び融合手順も公知である。
モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを作製するための他の好ましい動物系は、ラット及びウサギの系である(例えばSpieker−Polet et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.92:9348(1995)に記載されており、Rossi et al.,Am.J.Clin.Pathol.124:295(2005)も参照のこと)。
さらにもう1つの好ましい実施形態では、GT468に対するヒトモノクローナル抗体は、マウスの系ではなくヒト免疫系の部分を担持する遺伝子組換え又はトランスクロモソーマルマウスを使用して作製できる。これらの遺伝子組換え及びトランスクロモソーマルマウスは、それぞれHuMAbマウス及びKMマウスとして公知のマウスを含み、本明細書では集合的に「遺伝子組換えマウス」と称する。そのような遺伝子組換えマウスにおけるヒト抗体の作製は、国際公開第2004 035607号の中でCD20に関して詳述されているように実施できる。
モノクローナル抗体を作製するためのさらにもう1つの方法は、定義された方法の抗体を産生するリンパ球から抗体をコードする遺伝子を直接単離することであり、例えばBabcock et al.,1996;A novel strategy for generating monoclonal antibodies from single,isolated lymphocytes producing antibodies of defined strategy参照。組換え抗体工学の詳細についは、Welschof and Kraus,Recombinant antibodies for cancer therapy ISBN−0−89603−918−8及びBenny K.C.Lo Antibody Engineering ISBN 1−58829−092−1も参照のこと。
免疫
GT468に対する抗体を作製するために、上述したように、組換え発現されたGT468抗原若しくはそのフラグメント及び/又はGT468を発現する細胞の富化製剤である、GT468配列に由来する担体結合ペプチドでマウスを免疫することができる。あるいは、完全長ヒトGT468(例えば配列番号:1)をコードするDNA又はそのフラグメント、特に配列番号:3−10及び35−82をコードするものでマウスを免疫することができる。GT468抗原の精製又は富化製剤を使用した免疫が抗体を生じない場合は、免疫応答を促進するためにGT468を発現する細胞、例えば細胞株でマウスを免疫することもできる。
免疫応答は、尾静脈又は後眼窩からの採血によって得られる血漿及び血清試料で免疫プロトコールの経過を観測できる。十分な力価の抗GT468免疫グロブリンを有するマウスを融合のために使用できる。特異的抗体を分泌するハイブリドーマの割合を高めるために、犠死及び脾切除の3日前にGT468発現細胞により腹腔内又は静脈内経路でマウスを追加免疫することができる。
モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの作製
GT468に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作製するために、免疫マウスから脾細胞及びリンパ節細胞を単離し、マウス骨髄腫細胞株などの適切な不死化細胞株に融合することができる。生じたハイブリドーマを、次に、抗原特異的抗体の産生に関してスクリーニングできる。次に個々のウエルを、ELISAにより、ハイブリドーマを分泌する抗体に関してスクリーニングできる。GT468発現細胞を使用した免疫蛍光法及びFACS分析により、GT468に対して特異性を有する抗体を同定することができる。抗体分泌ハイブリドーマを再び平板培養し、再びスクリーニングして、抗GT468モノクローナル抗体に関してまだ陽性である場合は、限界希釈によってサブクローニングできる。安定なサブクローンを、その後試験管内で培養し、特徴づけのために組織培養培地において抗体を生成することができる。
モノクローナル抗体を産生するトランスフェクトーマの作製
本発明の抗体はまた、例えば当分野において周知のように組換えDNA技術と遺伝子形質転換法の組合せを用いて、宿主細胞トランスフェクトーマにおいて作製できる(Morrison,S.(1985)Science 229:1202)。
例えば、1つの実施形態では、対象とする遺伝子(1又は複数)、例えば抗体遺伝子を、国際公開第87/04462号、同第WO89/01036号及び欧州特許第338 841号に開示されているGS遺伝子発現系又は当分野で周知の他の発現系によって使用されるような、真核生物発現プラスミドなどの発現ベクターに連結することができる。クローニングされた抗体遺伝子を有する精製プラスミドを、CHO細胞、NS/0細胞、HEK293T細胞又はHEK293細胞などの真核生物宿主細胞、あるいは植物由来細胞、真菌又は酵母細胞のような他の真核細胞に導入できる。これらの遺伝子を導入するために使用される方法は、電気穿孔、リポフェクチン、リポフェクタミンその他のような当分野で記述されている方法であり得る。宿主細胞へのこれらの抗体遺伝子の導入後、抗体を発現する細胞を同定し、選択することができる。これらの細胞はトランスフェクトーマであり、その後それらを発現レベルに関して増幅し、抗体を生産するためスケールアップすることができる。これらの培養上清及び/又は細胞から組換え抗体を単離し、精製することができる。
あるいは、クローニングした抗体遺伝子を、微生物、例えば大腸菌などの原核細胞を含む他の発現系において発現させ得る。さらに、抗体は、ヒツジ及びウサギからの乳若しくはニワトリからの卵などのトランスジェニック非ヒト動物において、又はトランスジェニック植物において生産できる;例えば、Verma,R.,et al.(1998)J.Immunol.Meth.216:165−181;Pollock,et al.(1999)J.Immunol.Meth.231:147−157;及びFischer,R.,et al.(1999)Biol.Chem.380:825−839参照。
無傷抗体を発現するための部分抗体配列の使用(すなわちヒト化及びキメラ化)
a)キメラ化
マウスモノクローナル抗体は、毒素又は放射性同位体で標識した場合、ヒトにおいて治療用抗体として使用できる。非標識マウス抗体はヒトにおいて高度に免疫原性であり、反復適用した場合治療効果の低下をもたらす。主たる免疫原性は重鎖定常領域によって媒介される。ヒトにおけるマウス抗体の免疫原性は、それぞれの抗体をキメラ化又はヒト化した場合、低減するか又は完全に回避することができる。キメラ抗体は、マウス抗体に由来する可変領域とヒト免疫グロブリン定常領域を有するもののような、その異なる部分が異なる動物種に由来する抗体である。抗体のキメラ化は、マウス抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域をヒト重鎖及び軽鎖の定常領域と連結することによって達成される(例えばKraus et al.,in Methods in Molecular Biology series,Recombinant antibodies for cancer therapy ISBN−0−89603−918−8によって述べられているように)。好ましい実施形態では、キメラ抗体は、ヒトκ軽鎖定常領域をマウス軽鎖可変領域に連結することによって作製される。同じく好ましい実施形態では、キメラ抗体は、ヒトλ軽鎖定常領域をマウス軽鎖可変領域に連結することによって作製できる。キメラ抗体の作製のための好ましい重鎖定常領域は、IgG1、IgG3及びIgG4である。キメラ抗体の作製のための他の好ましい重鎖定常領域は、IgG2、IgA、IgD及びIgMである。
b)ヒト化
抗体は、主として6つの重鎖及び軽鎖相補性決定領域(CDR)内に位置するアミノ酸残基を介して標的抗原と相互作用する。このため、CDR内のアミノ酸配列はCDRの外側の配列よりも個々の抗体の間で多様である。CDR配列は大部分の抗体−抗原相互作用に関与するので、異なる性質を有する異なる抗体からのフレームワーク配列に移植された、特定の天然に生じる抗体からのCDR配列を含む発現ベクターを構築することにより、特定の天然に生じる抗体の性質を模倣する組換え抗体を発現することが可能である(例えば、Riechmann,L.et al.(1998)Nature 332:323−327;Jones,P.et al.(1986)Nature 321:522−525;及びQueen,C.et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.86:10029−10033参照)。そのようなフレームワーク配列は、生殖細胞系抗体遺伝子配列を含む公的DNAデータベースから入手できる。これらの生殖細胞系配列は、B細胞の成熟の間にV(D)J結合によって形成され、完全に構築された可変遺伝子を含まないので、成熟抗体遺伝子配列とは異なる。生殖細胞系遺伝子配列はまた、個々に均一に可変領域全体にわたる高親和性二次レパートリー抗体の配列とも異なる。例えば、体細胞突然変異は、フレームワーク領域1のアミノ末端部分及びフレームワーク領域4のカルボキシ末端部分では比較的頻度が低い。さらに、多くの体細胞突然変異は抗体の結合特性を有意に変化させない。このため、もとの抗体と類似の結合特性を有する無傷組換え抗体を再現するために特定抗体のDNA配列全体を得る必要はない(国際公開第99/45962号参照)。CDR領域にわたる部分的重鎖及び軽鎖配列は、典型的にはこの目的のために十分である。部分配列は、いずれの生殖細胞系可変及び連結遺伝子セグメントが組み換えられた抗体可変遺伝子に寄与したかを判定するために使用される。生殖細胞系配列は、次に、可変領域の欠けている部分を埋めるために使用される。重鎖及び軽鎖リーダー配列はタンパク質成熟の間に切断され、最終的な抗体の性質には寄与しない。欠けている配列を加えるために、クローニングされたcDNA配列を連結又はPCR増幅によって合成オリゴヌクレオチドと結合することができる。あるいは、可変領域全体を、短いオーバーラップオリゴヌクレオチドのセットとして合成し、PCR増幅によって結合して完全な合成可変領域クローンを作製することができる。この工程は、特定制限部位の除去若しくは組込み、又は特定コドンの最適化のようなある種の利点を有する。
ハイブリドーマからの重鎖及び軽鎖転写産物のヌクレオチド配列を使用して、天然配列と同じアミノ酸コード能力を有する合成V配列を作製するために合成オリゴヌクレオチドの重複するセットを設計する。合成重鎖及びκ鎖配列は3つの点で天然配列と異なり得る:オリゴヌクレオチド合成及びPCR増幅を容易にするために反復ヌクレオチド塩基の鎖が中断される;最適翻訳開始部位がコザック規則(Kozak,1991,J.Biol.Chem.266:19867−19870)に従って組み込まれる;及びHindIII部位が翻訳開始部位の上流に構築される。
重鎖及び軽鎖可変領域の両方について、最適化したコード鎖及び対応する非コード鎖配列を対応する非コードオリゴヌクレオチドのほぼ中間点で30−50ヌクレオチドに分割する。それ故、各々の鎖について、オリゴヌクレオチドを150−400ヌクレオチドの断片にわたる重複する二本鎖セットに構築できる。次にそのプールを鋳型として使用して150〜400ヌクレオチドのPCR増幅産物を生成する。典型的には1つの可変領域オリゴヌクレオチドセットを2つのプールに分割し、それらを別々に増幅して2つの重なりあうPCR産物を生成する。次にこれらの重なりあうPCR産物をPCR増幅によって組み合わせて完全な可変領域を形成する。また、発現ベクター構築物に容易にクローニングできるフラグメントを作製するために重鎖又は軽鎖定常領域の重なりあう画分をPCR増幅に含めることが望ましいと考えられる。
再構築したキメラ化又はヒト化重鎖及び軽鎖可変領域を、次に、クローニングしたプロモーター、リーダー、翻訳開始、定常領域、3'非翻訳、ポリアデニル化及び転写終結配列と組み合わせて、発現ベクター構築物を形成する。重鎖及び軽鎖発現構築物を単一ベクターに組み合わせる、宿主細胞に同時トランスフェクトする、連続的にトランスフェクトする、又は別々にトランスフェクトして、その後それらを融合し、両方の鎖を発現する宿主細胞を形成することができる。ヒトIgGκについての発現ベクターの構築において使用するためのプラスミドを述べる。PCR増幅したV重鎖及びVκ軽鎖cDNA配列を使用して完全な重鎖及び軽鎖ミニ遺伝子を再構築できるようにプラスミドを構築し得る。これらのプラスミドを使用して、完全なヒト、又はキメラIgG1κ若しくはIgG4κ抗体を発現することができる。同様のプラスミドを、他の重鎖アイソタイプの発現のため又はλ軽鎖を含む抗体の発現のために構築し得る。
それ故、本発明のもう1つの態様では、本発明の抗GT468抗体の構造特徴を利用して、GT468への結合のような、本発明の抗体の少なくとも1つの機能特性を保持する構造的に関連したヒト化抗GT468抗体を作製する。より具体的には、マウスモノクローナル抗体の1つ又はそれ以上のCDR領域を組換えによって公知のヒトフレームワーク領域及びCDRと組み合わせて、付加的な、組換え構築された本発明のヒト化抗GT468抗体を作製する。
抗原発現細胞への結合
GT468に結合する抗体の能力は、実施例で述べるような標準結合アッセイ(例えばELISA、ウエスタンブロット法、免疫蛍光法及びフローサイトメトリー分析)を用いて測定することができる。
抗体の単離と特徴づけ
抗GT468抗体を精製するために、選択したハイブリドーマをモノクローナル抗体精製用の2リットルスピナーフラスコにおいて増殖させることができる。あるいは、抗GT468抗体を透析バイオリアクターで生産し得る。上清をろ過し、必要に応じて濃縮した後、プロテインG−セファロース又はプロテインA−セファロースによるアフィニティークロマトグラフィーに供することができる。純度を保証するために、溶出したIgGをゲル電気泳動及び高性能液体クロマトグラフィーによって検査することができる。緩衝液をPBSに交換し、1.43の吸光係数を使用してOD280による濃度を測定できる。モノクローナル抗体をアリコートに分け、−80℃で保存することができる。
選択した抗GT468モノクローナル抗体が固有のエピトープに結合するかどうかを調べるために、部位指定又は多部位指定突然変異誘発が使用できる。
アイソタイプの決定
精製抗体のアイソタイプを決定するために、様々な市販のキット(例えばZymed、Roche Diagnostics)によるアイソタイプELISAが実施できる。マイクロタイタープレートのウエルを抗マウスIgで被覆し得る。ブロックした後、プレートをモノクローナル抗体又は精製アイソタイプ対照と周囲温度で2時間反応させる。次に、ウエルをマウスIgG1、IgG2a、IgG2b又はIgG3、IgA又はマウスIgM特異的ペルオキシダーゼ結合プローブのいずれかと反応させ得る。洗浄後、プレートをABTS基質(1mg/ml)で展開させ、405−650のODで分析することができる。あるいは、IsoStrip Mouse Monoclonal Antibody Isotyping Kit(Roche、カタログ番号1493027)を、製造者によって述べられているように使用してもよい。
フローサイトメトリー分析
免疫マウスの血清中の抗GT468抗体の存在又はGT468を発現する生細胞へのモノクローナル抗体の結合を明らかにするために、フローサイトメトリーが使用できる。天然に又はトランスフェクション後にGT468を発現する細胞株とGT468発現を欠く陰性対照(標準増殖条件下で増殖させる)を、ハイブリドーマ上清中又は1%FBSを含むPBAS中で様々な濃度のモノクローナル抗体と混合し、4℃で30分間培養し得る。洗浄後、APC又はAlexa647標識IgG抗体を、一次抗体染色と同じ条件下でGT468結合モノクローナル抗体に結合することができる。光散乱及び側方散乱特性を使用して単一生細胞にゲートをかけるFACS装置でのフローサイトメトリーによって試料を分析し得る。1つの測定においてGT468特異的モノクローナル抗体を非特異的結合抗体と区別するために、同時トランスフェクションの方法が使用できる。GT468と蛍光マーカーをコードするプラスミドで一過性にトランスフェクトした細胞を上述したように染色し得る。トランスフェクトした細胞は、抗体染色細胞とは異なる蛍光チャネルで検出できる。トランスフェクト細胞の大部分は両方の導入遺伝子を発現するので、GT468特異的モノクローナル抗体は蛍光マーカー発現細胞に選択的に結合するのに対し、非特異的抗体は同等の比率で非トランスフェクト細胞に結合する。フローサイトメトリーアッセイに加えて又はその代わりに、蛍光顕微鏡検査を用いる選択的アッセイを使用し得る。細胞を上述したように正確に染色し、蛍光顕微鏡によって検査することができる。
免疫蛍光顕微鏡検査
免疫マウスの血清中の抗GT468抗体の存在又はGT468を発現する生細胞へのモノクローナル抗体の結合を明らかにするために、免疫蛍光顕微鏡検査による分析が使用できる。例えば、自然に又は形質転換後にGT468を発現する細胞株とGT468発現を欠く陰性対照を、10%ウシ胎仔血清(FCS)、2mM L−グルタミン、100IU/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシンを添加したDMEM/F12培地中で標準増殖条件下にチャンバースライドガラスにおいて増殖させる。その後細胞をメタノール又はパラホルムアルデヒドで固定するか又は未処置のままに放置し得る。次に、細胞をGT468に対するモノクローナル抗体と25℃で30分間反応させ得る。洗浄後、細胞を同じ条件下でAlexa555標識抗マウスIgG二次抗体(Molecular Probes)と反応させ得る。その後、免疫蛍光顕微鏡によって細胞を検査することができる。
細胞中の総GT468レベルは、細胞をメタノール固定又はパラホルムアルデヒド固定し、Triton X−100で透過処理した場合に観察できる。生細胞及び透過処理していないパラホルムアルデヒド固定細胞においてGT468の表面局在化が検査できる。加えて、密着結合へのGT468のターゲティングは、ZO−1などの密着結合マーカーとの共染色によって分析できる。さらに、抗体結合及び細胞膜内のGT468局在化の影響が検査できる。
ウエスタンブロット法
抗GT468 IgGは、ウエスタンブロット法によってGT468抗原との反応性に関してさらに試験できる。簡単に述べると、GT468を発現する細胞からの細胞抽出物と適切な陰性対照を調製し、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し得る。電気泳動後、分離した抗原をニトロセルロース膜に転写し、ブロックして、試験するモノクローナル抗体でプローブする。抗マウスIgGペルオキシダーゼを用いてIgG結合を検出し、ECL基質で展開させ得る。
免疫組織化学
抗GT468マウスIgGを、当業者に周知の方法で免疫組織化学によって、例えば、通常の外科手術の間に患者から得た非癌組織若しくは癌組織試料からの、又は自然に若しくは形質転換後にGT468を発現する細胞株を接種した異種移植腫瘍を担持するマウスからの、パラホルムアルデヒド若しくはアセトン固定凍結切片又はパラホルムアルデヒドで固定したパラフィン包埋組織切片を使用して、GT468抗原との反応性に関してさらに試験することができる。免疫染色のために、GT468に対して反応性の抗体をインキュベートし、次いで供給者の指示に従ってホースラディッシュペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マウス抗体又はヤギ抗ウサギ抗体(DAKO)と共にインキュベートし得る。
試験管内での抗体の食作用及び細胞死滅化活性
GT468に特異的に結合することに加えて、抗GT468抗体を、GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞の食作用及び死滅を媒介するそれらの能力に関して試験することができる。試験管内でのモノクローナル抗体活性の試験は、細胞内モデルにおける試験に先立つ初期スクリーニングを提供する。
抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC):
簡単に述べると、健常ドナーからの多形核細胞(PMN)、NK細胞、単球、単核細胞又は他のエフェクター細胞をFicoll Hypaque密度遠心分離、次いで夾雑赤血球の溶解によって精製することができる。洗浄したエフェクター細胞を、10%熱不活化ウシ胎仔血清あるいは5%熱不活化ヒト血清を添加したRPMIに懸濁し、GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする51Cr標識標的細胞と、エフェクター細胞対標的細胞の様々な比率で混合し得る。あるいは、標的細胞を蛍光増強リガンド(BATDA)で標識してもよい。死細胞から放出される増強リガンドを有するユーロピウムの高度蛍光キレートを蛍光光度計によって測定し得る。もう1つの選択的手法は、ルシフェラーゼによる標的細胞のトランスフェクションを利用し得る。添加したルシファーイエローは生細胞によってのみ酸化され得る。次に精製抗GT468 IgGを様々な濃度で添加し得る。無関係なヒトIgGが陰性対照として使用できる。アッセイは、使用するエフェクター細胞型に依存して37℃で4〜20時間実施し得る。試料を、51Cr放出又は培養上清中のEuTDAキレートの存在を測定することにより、細胞溶解に関して検定することができる。あるいは、ルシファーイエローの酸化から生じるルミネセンスは生細胞の尺度であり得る。
抗GT468モノクローナル抗体はまた、細胞溶解が複数のモノクローナル抗体で増強されるかどうかを調べるために様々な組合せで試験できる。
補体依存性細胞傷害(CDC):
モノクローナル抗GT468抗体は、様々な公知の技術を用いてCDCを媒介するそれらの能力に関して試験できる。例えば、補体用の血清は、当業者に公知の方法で血液から入手できる。mAbのCDC活性を測定するために種々の方法が使用できる。例えば51Cr放出を測定することができ、又はヨウ化プロピジウム(PI)排除アッセイを用いて膜透過性上昇を評価することができる。簡単に述べると、標的細胞を洗浄し、5×10/mlを様々な濃度のmAbと共に室温又は37℃で10−30分間インキュベートし得る。次に、血清又は血漿を20%(v/v)の最終濃度まで添加し、細胞を37℃で20〜30分間インキュベートし得る。各々の試料からのすべての細胞をFACSチューブ中のPI溶液に添加し得る。その後、FACSArrayを用いたフローサイトメトリー分析によって混合物を直ちに分析できる。
選択的アッセイでは、CDCの誘導を接着細胞に関して測定できる。この分析の1つの実施形態では、分析の24時間前に細胞を組織培養平底マイクロタイタープレートに3×10/ウエルの密度で接種する。その翌日、増殖培地を除去し、細胞を抗体と共に3組重複してインキュベートする。対照細胞は、それぞれバックグラウンド溶解及び最大溶解の測定のために増殖培地又は0.2%サポニンを含有する増殖培地と共に培養する。室温で20分間の培養後、上清を取り出し、DMEM中の20%(v/v)ヒト血漿又は血清(あらかじめ37℃に温めておく)を細胞に添加して、37℃でさらに20分間培養する。各々の試料からのすべての細胞をヨウ化プロピジウム溶液(10μg/ml)に添加する。次に、上清を、2.5μg/ml臭化エチジウムを含有するPBSに交換し、Tecan Safireを用いて520nmでの励起後の蛍光放出を600nmで測定する。特異的溶解のパーセントを以下のように計算する:特異的溶解%=(試料蛍光−バックグラウンド蛍光)/(最大溶解蛍光−バックグラウンド蛍光)×100。
モノクローナル抗体による細胞増殖の阻害:
アポトーシスを開始させる能力に関して試験するために、モノクローナル抗GT468抗体を、例えば、GT468陽性腫瘍細胞又はGT468を形質転換した腫瘍細胞と共に37℃で約20時間インキュベートし得る。細胞を採取し、アネキシンV結合緩衝液(BD biosciences)中で洗浄して、FITC又はAPCと結合したアネキシンV(BD biosciences)と共に暗所で15分間培養し得る。各々の試料からのすべての細胞をFACSチューブ中のPI溶液(PBS中10μg/ml)に添加し、フローサイトメトリーによって直ちに評価し得る(上記のように)。あるいは、モノクローナル抗体による細胞増殖の全般的阻害は市販のキットを用いて検出できる。DELFIA Cell Proliferation Kit(Perkin−Elmer、カタログ番号AD0200)は、マイクロプレートにおける増殖中の細胞のDNA合成の間の5−ブロモ−2'−デオキシウリジン(BrdU)の組込みの測定に基づく非同位体免疫検定法である。組み込まれたBrdUは、ユーロピウム標識モノクローナル抗体を使用して検出される。抗体検出を可能にするために、Fix溶液を使用して細胞を固定し、DNA変性する。非結合抗体を洗い流し、DELFIA誘導剤を添加して標識抗体からユーロピウムイオンを溶液中に解離し、溶液中で前記イオンはDELFIA誘導剤の成分と高度蛍光キレートを形成する。検出において時間分解蛍光光度法を使用して測定した蛍光は、各ウエルの細胞におけるDNA合成に比例する。
前臨床試験
GT468に結合するモノクローナル抗体はまた、GT468を発現する腫瘍細胞増殖を制御する上でのそれらの効果を測定するために細胞内モデルにおいても(例えば、場合によりトランスフェクション後に、GT468を発現する細胞株を接種した異種移植腫瘍を担持する免疫不全マウスにおいて)試験できる。
GT468を発現する腫瘍細胞を免疫無防備状態マウス又は他の動物に異種移植した後の細胞内試験を、本発明の抗体を使用して実施できる。腫瘍のないマウスに抗体を投与し、次いで腫瘍細胞を注射して、腫瘍の形成又は腫瘍関連症状を予防する抗体の作用を測定し得る。抗体を腫瘍担持マウスに投与して、腫瘍の成長、転移又は腫瘍関連症状を低減するそれぞれの抗体の治療効果を測定し得る。抗体適用は、相乗効果及び併用の潜在的毒性を調べるために細胞増殖抑制薬、増殖因子阻害剤、細胞周期遮断薬、血管新生阻害剤又は他の抗体のような他の物質の適用と組み合わせることができる。本発明の抗体によって媒介される毒性副作用を分析するために、動物に抗体又は対照試薬を接種し、GT468抗体治療に関連する可能性がある症状に関して詳細に検討することができる。GT468抗体の細胞内適用の起こり得る副作用は、特に、胎盤を含むGT468発現組織における毒性を包含する。ヒト及び他の種、例えばマウスにおいてGT468を認識する抗体は、ヒトにおけるモノクローナルGT468抗体の適用によって媒介される潜在的副作用を予測するために特に有用である。
エピトープマッピング
本発明の抗体によって認識される抗原決定基のマッピングは、Glenn E.Morris、ISBN−089603−375−9による「Epitope Mapping Protocols」(Methods in Molecular Biology)及びOlwyn M.R.Westwood,Frank C.Hayによる「Epitope Mapping:A Practical Approach」Practical Approach Series,248において詳述されているように実施できる。
I.GT468に結合する二重特異性/多重特異性分子
本発明のさらにもう1つの実施形態では、GT468に対する抗体は、複数の結合部位又は標的抗原決定基に結合する二重特異性又は多重特異性分子を生成するために、誘導体化するか又はもう1つ別の機能的分子、例えば別のペプチド又はタンパク質(例えばFab'フラグメント)に連結することができる。例えば、本発明の抗体は、別の抗体、ペプチド又は結合ミメティックのような1つ又はそれ以上の他の結合分子に機能的に連結できる(例えば化学結合、遺伝子融合、非共有結合的会合等によって)。
従って、本発明は、GT468に対する少なくとも1つの第一結合特異性部分と2番目の標的抗原決定基に対する第二結合特異性部分を含む二重特異性及び多重特異性分子を包含する。本発明の特定実施形態では、2番目の標的抗原決定基は、Fc受容体、例えばヒトFcγRI(CD64)若しくはヒトFcα受容体(CD89)、又はT細胞受容体、例えばCD3である。それ故、本発明は、FcγR、ヒトFcαR又はFcεRを発現するエフェクター細胞(例えば単球、マクロファージ又は多形核細胞(PMN))と、GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする標的細胞の両方に結合することができる二重特異性及び多重特異性分子を包含する。これらの二重特異性及び多重特異性分子は、GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞をエフェクター細胞に標的し、Fc受容体を介したエフェクター細胞活性、例えばGT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞の食作用、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、サイトカイン放出、又はスーパーオキシドアニオンの生成を開始させ得る。
本発明の二重特異性及び多重特異性分子は、抗Fc結合特異性及び抗GT468結合特異性部分に加えて、第三の結合特異性部分をさらに含み得る。1つの実施形態では、第三結合特異性部分は、抗増強因子(EF)部分、例えば細胞傷害活性に関与する表面タンパク質に結合し、それによって標的細胞に対する免疫応答を高める分子である。「抗増強因子部分」は、所与の分子、例えば抗原又は受容体に結合し、それによってFc受容体又は標的細胞抗原に対する結合決定基の作用の増強を生じさせる抗体、機能性抗体フラグメント又はリガンドであり得る。「抗増強因子部分」は、Fc受容体又は標的細胞抗原に結合し得る。あるいは、抗増強因子部分は、第一及び第二結合特異性部分が結合する実体とは異なる実体に結合することができる。例えば、抗増強因子部分は細胞傷害性T細胞に結合できる(例えば、CD2、CD3、CD8、CD28、CD4、CD40、ICAM−1又は標的細胞に対する免疫応答増強を生じさせる他の免疫細胞を介して)。
1つの実施形態では、本発明の二重特異性及び多重特異性分子は、結合特異性部分として、例えばFab、Fab'、F(ab')、Fv又は一本鎖Fvを含む、少なくとも1つの抗体を含有する。前記抗体はまた、軽鎖若しくは重鎖二量体であり得るか、又はFv若しくはLadner et al.,米国特許第4,946,778号に記載されている一本鎖構築物のようなその何らかの最小フラグメントであり得る。抗体はまた、米国特許出願公開第2003/0118592号及び同第2003/0133939号に開示されている結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質であり得る。
1つの実施形態では、本発明の二重特異性及び多重特異性分子は、エフェクター細胞の表面上に存在するFcγR又はヒトFcαRに対する結合特異性部分、及び標的細胞抗原、例えばGT468に対する第二結合特異性部分を含む。
1つの実施形態では、Fc受容体に対する結合特異性は、その結合がヒト免疫グロブリンG(IgG)によってブロックされないモノクローナル抗体によって提供される。本明細書で使用される、「IgG受容体」という用語は、第1染色体に位置する8個のγ鎖遺伝子のいずれかを指す。これらの遺伝子は、3つのFcγ受容体クラス:FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16)に分類される、合計12の膜貫通型又は可溶性受容体アイソフォームをコードする。1つの好ましい実施形態では、Fcγ受容体はヒト高親和性FcγRIである。
これらの好ましいモノクローナル抗体の作製と特徴づけは、国際公開第88/00052号及び米国特許第4,954,617号においてFanger et al.によって記述されている。これらの抗体は、受容体のFcγ結合部位とは異なる部位でFcγRI、FcγRII又はFcγRIIIの抗原決定基に結合し、それ故、それらの結合は生理的レベルのIgGによって実質的にブロックされない。本発明において有用な特異的抗FcγRI抗体は、mAb22、mAb32、mAb44、mAb62及びmAb197である。他の実施形態では、抗Fcγ受容体抗体は、モノクローナル抗体22のヒト化形態(H22)である。H22抗体の作製と特徴づけは、Graziano,R.F.et al.(1995)J.Immunol.155(10):4996−5002及び国際公開第94/10332号に記載されている。H22抗体を産生する細胞株は、1992年11月4日にHA022CL1の名称でAmerican Type Culture Collectionに寄託されており、アクセッション番号CRL11177を有する。
さらなる他の好ましい実施形態では、Fc受容体に対する結合特異性は、その結合が、好ましくはヒト免疫グロブリンA(IgA)によってブロックされない、ヒトIgA受容体、例えばFcα受容体(FcαRI(CD89))に結合する抗体によって提供される。「IgA受容体」という用語は、第19染色体に位置する1個のα遺伝子(FcαRI)の遺伝子産物を包含することが意図されている。この遺伝子は、55〜110kDaの数個の選択的にスプライシングされる膜貫通型アイソフォームをコードすることが公知である。FcαRI(CD89)は、単球/マクロファージ、好酸性及び好中性顆粒球上で構成的に発現されるが、非エフェクター細胞集団では発現されない。FcαRIはIgA1及びIgA2の両方に対して中等度の親和性を有し、前記親和性は、G−CSF又はGM−CSFなどのサイトカインへの暴露後に上昇する(Morton,H.C.et al.(1996)Critical Reviews in Immunology 16:423−440)。IgAリガンド結合ドメインの外側でFcαRIに結合する、A3、A59、A62及びA77と同定された4つのFcαRI特異的モノクローナル抗体が記述されている(Monteiro,R.C.et al.(1992)J.Immunol.148:1764)。
FcαRI及びFcγRIは、それらが、(1)主として免疫エフェクター細胞上で、例えば単球、PMN、マクロファージ及び樹状細胞上で発現される、(2)高レベル(例えば5,000〜100,000/細胞)で発現される、(3)細胞傷害活性(例えばADCC、食作用)のメディエーターである、(4)それらに標的される、自己抗原を含む抗原の抗原提示増強を媒介するため、本発明における使用のための好ましいトリガー受容体である。
もう1つの実施形態では、二重特異性分子は、一方の抗体が主としてCDCを誘導することによって働き、他方の抗体が主としてアポトーシスを誘導することによって作用するような、補完的機能活性を有する本発明に従った2つのモノクローナル抗体からなる。
本明細書で使用される「エフェクター細胞特異的抗体」は、エフェクター細胞のFc受容体に結合する抗体又は機能性抗体フラグメントを指す。本発明における使用のための好ましい抗体は、内因性免疫グロブリンによって結合されない部位でエフェクター細胞のFc受容体に結合する。
本明細書で使用される、「エフェクター細胞」という用語は、免疫応答の認識期及び活性化期ではなく、免疫応答のエフェクター期に関与する免疫細胞を指す。例示的な免疫細胞は、骨髄系又はリンパ系起源の細胞、例えばリンパ球(例えばB細胞及び細胞溶解性T細胞(CTL)を含むT細胞)、キラー細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、単球、好酸球、好中球、多形核細胞、顆粒球、マスト細胞並びに好塩基球を含む。一部のエフェクター細胞は、特異的Fc受容体を発現し、特異的免疫機能を実行する。好ましい実施形態では、エフェクター細胞は抗体依存性細胞傷害(ADCC)を誘導することができ、例えば好中球はADCCを誘導できる。例えば、FcRを発現する単球、マクロファージは、標的細胞を特異的に死滅させる及び抗原を免疫系の他の成分に提示すること、又は抗原を提示する細胞に結合することに関与する。他の実施形態では、エフェクター細胞は、標的抗原、標的細胞又は微生物を貪食することができる。エフェクター細胞上での特定FcRの発現は、サイトカインのような体液性因子によって調節され得る。例えば、FcγRIの発現はインターフェロンγ(IFN−γ)によって上方調節されることが認められている。この発現増強は、標的に対するFcγRI担持細胞の細胞傷害活性を上昇させる。エフェクター細胞は、標的抗原又は標的細胞を貪食するか又は溶解することができる。
「標的細胞」は、本発明の抗体によって標的され得る、被験者(例えばヒト又は動物)における何らかの好ましくない細胞を意味する。好ましい実施形態では、標的細胞は、GT468を発現するか又は過剰発現する及び/又はその細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞である。GT468を発現する及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞は、典型的には腫瘍細胞を含む。
本発明の二重特異性及び多重特異性分子は、化学的手法(例えばD.M.Kranz et al.(1981)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:5807参照)、「ポリドーマ」技術(例えばReadingへの米国特許第4,474,893号参照)、又は組換えDNA技術を用いて作製できる。
特に、本発明の二重特異性及び多重特異性分子は、当分野で公知の方法を用いて、成分を結合特異性部分、例えば抗FcR及び抗GT468結合特異性部分に結合することによって作製できる。例えば、二重特異性及び多重特異性分子の各々の結合特異性部分を別々に作製し、その後互いに結合し得る。結合特異性部分がタンパク質又はペプチドである場合、様々なカップリング剤又は架橋剤が共有結合のために使用できる。架橋剤の例は、プロテインA、カルボジイミド、N−スクシンイミジル−S−アセチル−チオアセテート(SATA)、5,5'−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)、o−フェニレンジマレイミド(oPDM)、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、及びスルホスクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(スルホ−SMCC)を含む(例えばKarpovsky et al.(1984)J.Exp.Med.160:1686;Liu,MA et al.(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:8648参照)。他の方法は、Paulus(Behring Ins.Mitt.(1985)No.78,118−132;Brennan et al.(Science(1985)229:81−83)、及びGlennie et al.(J.Immunol.(1987)139:2367−2375)によって述べられているものを含む。好ましい結合剤はSATA及びスルホ−SMCCであり、どちらもPierce Chemical Co.(Rockford,IL)より入手可能である。
結合特異性部分が抗体である場合は、それらを2本の重鎖のC末端ヒンジ領域のスルフヒドリル結合によって結合し得る。特に好ましい実施形態では、ヒンジ領域を、結合の前に、奇数、好ましくは1個のスルフヒドリル残基を含むように修飾する。
あるいは、両方の結合特異性部分を同じベクター内にコードし、同じ宿主細胞において発現し、構築することができる。この方法は、二重特異性及び多重特異性分子がMAb×MAb、MAb×Fab、Fab×F(ab')又はリガンド×Fab融合タンパク質である場合に特に有用である。本発明の二重特異性及び多重特異性分子、例えば二重特異性分子は、一本鎖二重特異性抗体のような一本鎖分子、1つの一本鎖抗体と1つの結合決定基を含む一本鎖二重特異性分子、又は2つの結合決定基を含む一本鎖二重特異性分子であり得る。二重特異性及び多重特異性分子はまた、一本鎖分子であり得るか又は少なくとも2つの一本鎖分子を含み得る。二重特異性及び多重特異性分子を作製するための方法は、例えば米国特許第5,260,203号;同第5,455,030号;同第4,881,175号;同第5,132,405号;同第5,091,513号;同第5,476,786号;同第5,013,653号;同第5,258,498号;及び同第5,482,858号に記載されている。
二重特異性及び多重特異性分子の、それらの特異的標的への結合は、固相酵素免疫検定法(ELISA)、放射免疫測定法(RIA)、FACS分析、生物学的検定法(例えば増殖阻害)、又はウエスタンブロット法によって確認できる。これらの解析法の各々は、一般に、特定対象とするタンパク質−抗体複合体の存在を、対象複合体に特異的な標識試薬(例えば抗体)を使用することによって検出する。例えば、FcR−抗体複合体は、例えば酵素結合抗体又は抗体−FcR複合体を認識して特異的に結合する抗体フラグメントを用いて検出できる。あるいは、複合体は様々な他の免疫測定法のいずれかを用いて検出できる。例えば、抗体を放射性標識し、放射免疫測定法(RIA)において使用することができる(例えばWeintraub,B.,Principles of Radioimmunoassays,Seventh Training Course on Radioligand Assay Techniques,The Endocrine Society,March,1986参照)。放射性同位体は、ガンマカウンター若しくはシンチレーションカウンターの使用などの手段によって又はオートラジオグラフィーによって検出できる。
II.免疫複合体
もう1つの態様では、本発明は、細胞毒、薬剤(例えば免疫抑制剤)又は放射性同位体などの治療成分又は物質に結合した抗GT468抗体を特徴とする。そのような複合体を本明細書では「免疫複合体」と称する。1つ又はそれ以上の細胞毒を含有する免疫複合体は「免疫毒素」と称する。細胞毒又は細胞傷害性物質は、細胞に有害であり、特に細胞を死滅させるあらゆる物質を包含する。例としては、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール及びピューロマイシン並びにそれらの類似体又は同族体を含む。
本発明の免疫複合体を形成するための適切な治療薬は、代謝拮抗物質(例えばメトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、フルダラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えばメクロレタミン、チオテパ、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)及びロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、及びシスジクロロジアミン白金(II)(DDP)(シスプラチン)、アントラサイクリン(例えばダウノルビシン(以前はダウノマイシン)及びドキソルビシン)、抗生物質(例えばダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン及びアントラマイシン(AMC))、並びに抗有糸分裂薬(例えばビンクリスチン及びビンブラスチン)を含むが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、治療薬は細胞傷害性物質又は放射性毒性物質である。もう1つの実施形態では、治療薬は免疫抑制剤である。さらにもう1つの実施形態では、治療薬はGM−CSFである。好ましい実施形態では、治療薬は、ドキソルビシン、シスプラチン、硫酸ブレオマイシン、カルムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド又はリシンAである。
本発明の抗体はまた、癌などのGT468関連疾患を治療するための細胞傷害性放射性薬剤を生成するために、放射性同位体、例えばヨウ素−131、イットリウム−90又はインジウム−111に結合することができる。本発明の抗体複合体は所与の生物学的応答を改変するために使用でき、薬剤成分は古典的化学治療薬に限定されると解釈されるべきではない。例えば、薬剤成分は、所望生物活性を有するタンパク質又はポリペプチドであり得る。そのようなタンパク質は、例えば、アブリン、リシンA、シュードモナス外毒素若しくはジフテリア毒素などの酵素的に活性な毒素若しくはその活性フラグメント;腫瘍壊死因子若しくはインターフェロンγなどのタンパク質;又は、例えばリンホカイン、インターロイキン1(「IL−1」)、インターロイキン2(「IL−2」)、インターロイキン6(「IL−6」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM−CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G−CSF」)若しくは他の増殖因子などの生物学的応答調節剤を含み得る。
そのような治療成分を抗体に結合するための技術は周知であり、例えば、Arnon et al.,「Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy」,in Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy,Reisfeld et al.(eds.),pp.243−56(Alan R.Liss,Inc.1985);Hellstrom et al.,「Antibodies For Drug Delivery」,in Controlled Drug Delivery(2nd Ed.),Robinson et al.(eds.),pp.623−53(Marcel Dekker,Inc.1987);Thorpe,「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review」,in Monoclonal Antibodies '84:Biological And Clinical Applications,Pinchera et al.(eds.),pp.475−506(1985);「Analysis,Results,And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy」,in Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy,Baldwin et al.(eds.),pp.303−16(Academic Press 1985)、及びThorpe et al.,「The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody−Toxin Conjugates」,Immunol.Rev.,62:119−58(1982)参照。
さらなる実施形態では、本発明による抗体は、抗体を放射性同位体に結合することを可能にする、リンカー−キレート化剤、例えばチウキセタンに結合される。
III.医薬組成物
もう1つの態様では、本発明は、本発明の抗体の1つ又は抗体の組合せを含有する組成物、例えば医薬組成物を提供する。医薬組成物は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,19th Edition,Gennaro,Ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA,1995に開示されているような従来技術に従って医薬的に許容される担体又は希釈剤並びに何らかの他の公知の佐剤及び賦形剤と共に製剤され得る。1つの実施形態では、組成物は、異なる機構によって作用する本発明の複数の(例えば2つ又はそれ以上の)単離抗体の組合せ、例えば、主としてCDCを誘導することによって働く1つの抗体と主としてアポトーシスを誘導することによって作用する別の抗体の組合せを含む。
本発明の医薬組成物はまた、併用療法において、すなわち他の作用物質と組み合わせて投与できる。例えば、併用療法は、少なくとも1つの抗炎症薬又は少なくとも1つの免疫抑制剤と本発明の組成物を含み得る。1つの実施形態では、そのような治療薬は、ステロイド系薬剤又はNSAID(非ステロイド系抗炎症薬)などの1つ又はそれ以上の抗炎症薬を含む。好ましい薬剤は、例えば、アスピリン及び他のサリチル酸塩、ロフェコキシブ(Vioxx)及びセレコキシブ(Celebrex)などのCox−2阻害剤、イブプロフェン(Motrin、Advil)、フェノプロフェン(Nalfon)、ナプロキセン(Naprosyn)、スリンダク(Clinoril)、ジクロフェナク(Voltaren)、ピロキシカム(Feldene)、ケトプロフェン(Orudis)、ジフルニサル(Dolobid)、ナブメトン(Relafen)、エトドラク(Lodine)、オキサプロジン(Daypro)及びインドメタシン(Indocin)などのNSAIDを含む。
もう1つの実施形態では、そのような治療薬は、低用量シクロホスファミド、抗CTLA4抗体、抗IL2又は抗IL2受容体抗体のような、制御性T細胞の枯渇又は機能的不活性化を導く物質を含む。
さらにもう1つの実施形態では、そのような治療薬は、タキソール誘導体、タキソテール、ゲンシタビン、5−フルオロウラシル、ドキソルビシン(Adriamycin)、シスプラチン(Platinol)、シクロホスファミド(Cytoxan、Procytox、Neosar)などの、1つ又はそれ以上の化学療法剤を含む。もう1つの実施形態では、本発明の抗体は、好ましくは乳癌、肺癌、胃癌及び/又は卵巣癌、又は、例えば本明細書で述べるような他の癌型に罹患している患者において治療効果を示す、化学療法剤と組み合わせて投与し得る。
さらにもう1つの実施形態では、本発明の抗体は、放射線治療及び/又は自己末梢幹細胞移植若しくは骨髄移植と組み合わせて投与し得る。
さらにもう1つの実施形態では、本発明の抗体は、抗CD25抗体、抗EPCAM抗体、抗EGFR、抗Her2/neu及び抗CD40抗体から選択される1つ又はそれ以上の抗体と組み合わせて投与し得る。
さらなる実施形態では、本発明の抗体は、補体活性化を増強するために抗C3b(i)抗体と組み合わせて投与し得る。
本明細書で使用される、「医薬的に許容される担体」は、生理的に適合性であるあらゆる溶媒、分散媒、被覆剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤等を包含する。好ましくは、担体は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄又は表皮投与(例えば注射又は注入による)に適する。投与経路に依存して、活性化合物、すなわち抗体、二重特異性及び多重特異性分子は、酸の作用及び化合物を不活性化し得る他の自然条件から化合物を保護するために物質で被覆され得る。
「医薬的に許容される塩」は、親化合物の所望生物活性を保持し、いかなる望ましくない毒性作用も与えない塩を指す(例えばBerge,S.M.et al.(1977)J.Pharm.Sci.66:1−19参照)。
そのような塩の例は、酸付加塩及び塩基付加塩を含む。酸付加塩は、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸等のような非毒性無機酸から、並びに脂肪族モノ及びジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族及び芳香族スルホン酸等のような非毒性有機酸から誘導されるものを含む。塩基付加塩は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等のようなアルカリ土類金属から、並びにN,N'−ジベンジルエチレンジアミン、N−メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカイン等のような非毒性有機アミンから誘導されるものを含む。
本発明の組成物は、当分野で公知の様々な方法によって投与できる。当業者に認識されるように、投与の経路及び/又は方式は所望の結果に依存して異なる。活性化合物は、インプラント、経皮パッチ及びマイクロカプセル化送達システムを含む制御放出製剤のような、急速な放出から化合物を保護する担体と共に製造され得る。生分解性で生体適合性のポリマー、例えばエチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル及びポリ乳酸が使用できる。そのような製剤の製造のための方法は一般に当業者に公知である。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems,J.R.Robinson,ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York,1978参照。
特定投与経路によって本発明の化合物を投与するために、化合物の不活性化を防ぐ物質で化合物を被覆するか又は化合物を前記物質と同時投与する必要があり得る。例えば、化合物を適切な担体、例えばリポソーム、又は希釈剤中で被験者に投与し得る。医薬的に許容される希釈剤は、生理食塩水及び水性緩衝液を含む。リポソームは、水中油中水型CGFエマルション並びに従来のリポソームを含む(Strejan et al.(1984)J.Neuroimmunol.7:27)。
医薬的に許容される担体は、滅菌水溶液又は分散液及び滅菌注射用溶液又は分散液の即時調製のための滅菌粉末を含む。医薬活性物質のためのそのような媒質及び物質の使用は当分野において公知である。従来の媒質又は物質が活性化合物と不適合性である場合を除き、本発明の医薬組成物におけるそれらの使用が企図される。補足活性化合物も組成物に組み込むことができる。
治療組成物は、典型的には製造及び保存条件下で無菌且つ安定でなければならない。組成物は、溶液、マイクロエマルション、リポソーム、又は高い薬剤濃度に適した他の秩序構造体として製剤できる。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール等)、及びそれらの適切な混合物を含む溶媒又は分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどの被覆剤の使用によって、分散液の場合は必要なの維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持できる。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば糖類、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、又は塩化ナトリウムを含めることが好ましい。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる物質、例えばモノステアリン酸塩及びゼラチンを組成物中に含めることによって達成できる。
滅菌注射用溶液は、上記に列挙した成分の1つ又は成分の組合せと共に適切な溶媒中に必要量の活性化合物を組み込み、必要に応じて、その後滅菌精密ろ過することによって製造できる。
一般に、分散液は、基本分散媒及び上記に列挙したものの中から必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクルに活性化合物を組み込むことによって製造される。滅菌注射用溶液の製造のための滅菌粉末の場合、好ましい製造方法は、あらかじめ滅菌ろ過したその溶液から有効成分プラス任意の付加的な所望の成分の粉末を生成する真空乾燥及び凍結乾燥である。
投薬療法は、最適所望応答(例えば治療応答)を与えるように調整される。例えば、単回ボーラスを投与し得るか、いくつかの分割用量を経時的に投与してもよく、又は治療状況の緊急性によって求められるのに比例して用量を増減し得る。投与の容易さ及び用量の均一性のために非経口組成物を投与単位形態で製剤することは特に好都合である。本明細書で使用される投与単位形態は、単一投与量として治療される被験者に適した、物理的に分離した単位を表す;各々の単位は、必要な医薬担体と協力して所望の治療効果を生じさせるように計算された、あらかじめ定められた量の活性化合物を含有する。本発明の投与単位形態についての詳細は、(a)活性化合物の独自の特性及び達成されるべき特定の治療効果、並びに(b)個体における感受性の治療のためにそのような活性化合物を配合することの当分野に固有の限界によって決定され、直接それらに依存する。
医薬的に許容される抗酸化剤の例は:(1)水溶性抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等;(2)油溶性抗酸化剤、例えばパルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロール等;及び(3)金属キレート化剤、例えばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等を含む。
治療組成物に関して、本発明の製剤は、経口、経鼻、局所(口腔及び舌下を含む)、経直腸、経膣及び/又は非経口投与に適するものを含む。製剤は、単位投与形態で好都合に提供され得、薬学の技術分野において公知の任意の方法によって製造され得る。単一投与形態を生産するために担体材料と組み合わせ得る有効成分の量は、治療される被験者及び特定の投与方式に依存して異なる。単一投与形態を生産するために担体材料と組み合わせ得る有効成分の量は、一般に治療効果を生じさせる組成物の量である。
一般に、100%のうち、この量は約0.01%〜約99%の有効成分、好ましくは約0.1%〜約70%、最も好ましくは約1%〜約30%の有効成分にわたる。
経膣投与に適する本発明の製剤はまた、適切であることが当分野において公知である担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡又はスプレー製剤を含む。本発明の組成物の局所又は経皮投与用の剤型は、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ及び吸入剤を含む。活性化合物は、無菌条件下で、医薬的に許容される担体、及び必要とされ得る何らかの防腐剤、緩衝剤又は噴射剤と混合し得る。
本明細書で使用される「非経口投与」及び「非経口的に投与される」という語句は、通常は注射による、腸内及び局所投与以外の投与方式を意味し、限定されることなく、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、関節包内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内、硬膜外及び胸骨内注射及び注入を含む。
本発明の医薬組成物において使用し得る適切な水性及び非水性担体の例は、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)及びそれらの適切な混合物、オリーブ油などの植物油、並びにオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルを含む。適切な流動性は、例えば、レシチンなどの被覆材料の使用によって、分散液の場合は必要な粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持できる。
これらの組成物はまた、防腐剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤などの佐剤を含有し得る。微生物の存在の防止は、滅菌手順によって、及び種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸等を含有することの両方によって確保され得る。また、糖類、塩化ナトリウム等のような等張剤を組成物に含めることも望ましいと考えられる。加えて、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンのような吸収を遅延させる物質を含めることにより、注射用医薬形態の持続的吸収を生じさせ得る。
1つの実施形態では、本発明のモノクローナル抗体は、皮下注射によって結晶形態で投与される。Yang et al.(2003)PNAS,100(12):6934−6939参照。本発明の化合物が薬剤としてヒト及び動物に投与される場合、それらは、単独で、又は医薬的に許容される担体と組み合わせて、例えば0.01〜99.5%(より好ましくは0.1〜90%)の有効成分を含有する医薬組成物として投与され得る。
選択される投与経路に関わらず、適切な水和形態で使用され得る本発明の化合物及び/又は本発明の医薬組成物は、当業者に公知の従来の方法によって医薬的に許容される投与形態に製剤される。
本発明の医薬組成物中の有効成分の実際の用量レベルは、患者への毒性を伴わずに、特定の患者、組成物及び投与方式について所望の治療応答を達成するのに有効である有効成分の量が得られるように変化させ得る。選択される用量レベルは、様々な薬物動態因子、例えば使用される本発明の特定組成物の活性、投与経路、投与の時間、使用される特定化合物の排泄速度、治療期間、使用される特定組成物と併用される他の薬剤、化合物及び/又は物質、治療される患者の年齢、性別、体重、状態、全般的健康及び以前の病歴、並びに医学技術分野において周知の同様の因子に依存する。
当分野における通常技術を有する医師又は獣医は、必要とされる医薬組成物の有効量を容易に決定し、処方することができる。例えば、医師又は獣医は、医薬組成物中で使用される本発明の化合物の用量を、所望の治療効果を達成するために必要なレベルよりも低いレベルから開始し、所望の効果が達成されるまで徐々に投与量を増加することができる。一般に、本発明の組成物の適切な1日用量は、治療効果を生じさせるのに有効な最小用量である化合物の量である。そのような有効用量は、一般に上述した因子に依存する。投与は静脈内、筋肉内、腹腔内又は皮下経路であることが好ましく、好ましくは標的部位の近位に投与される。所望する場合は、治療組成物の有効1日用量を、1日を通じて適切な間隔で別々に投与される2、3、4、5、6又はそれ以上の分割用量として、場合により単位投与形態で投与し得る。本発明の化合物は単独で投与することが可能であるが、医薬製剤(組成物)として本発明の化合物を投与することが好ましい。
1つの実施形態では、本発明の抗体は、毒性副作用を低減するために注入によって、好ましくは24時間超のような長期間にわたる緩徐な持続注入によって投与し得る。投与はまた、2〜24時間、例えば2〜12時間にわたる持続注入によって実施し得る。そのようなレジメンは、必要に応じて1回又はそれ以上、例えば6ヵ月後又は12ヵ月後に反復し得る。投与量は、抗GT468抗体を標的する抗イディオタイプ抗体を使用することにより、生物学的試料において投与後の循環モノクローナル抗GT468抗体の量を測定することによって決定するか又は調整することができる。
さらにもう1つの実施形態では、抗体は、例えば週に1回、6ヶ月又はそれ以上の期間にわたるような、維持療法によって投与される。
さらにもう1つの実施形態では、本発明による抗体は、GT468に対する抗体の1回注入、次いで放射性同位体に結合したGT468に対する抗体の注入を含むレジメンによって投与し得る。上記レジメンは、例えば7−9日後に反復し得る。
治療組成物は、当分野で公知の医療装置を用いて投与できる。例えば、好ましい実施形態では、本発明の治療組成物は、米国特許第5,399,163号;同第5,383,851号;同第5,312,335号;同第5,064,413号;同第4,941,880号;同第4,790,824号;又は同第4,596,556号に開示されている装置のような、無針皮下注射装置で投与できる。本発明において有用な周知のインプラント及びモジュールの例は、制御された速度で薬剤を供給するための移植可能な微量注入ポンプを開示する、米国特許第4,487,603号;皮膚を通して薬剤を投与するための治療装置を開示する、米国特許第4,486,194号;正確な注入速度で薬剤を送達するための薬剤注入ポンプを開示する、米国特許第4,447,233号;持続的薬剤送達のための可変流量移植可能注入装置を開示する、米国特許第4,447,224号;マルチチャンバー区画を有する浸透圧薬剤送達システムを開示する、米国特許第4,439,196号;及び浸透圧薬剤送達システムを開示する、米国特許第4,475,196号に記載されているものを含む。
多くの他のそのような移植、送達システム及びモジュールが当業者に公知である。ある実施形態では、本発明の抗体は、細胞内での適切な分布を確実にするように製剤され得る。例えば、血液脳関門(BBB)は、多くの高親水性化合物を排除する。本発明の治療化合物がBBBを越えることを確実にするために(所望する場合)、それらを、例えばリポソーム中に製剤することができる。リポソームを製造するための方法については、例えば米国特許第4,522,811号;同第5,374,548号;及び同第5,399,331号参照。リポソームは、特定細胞又は器官内に選択的に輸送され、それ故標的化薬剤送達を促進する1つ又はそれ以上の成分を含有し得る(例えばV.V.Ranade(1989)J.Clin.Pharmacol.29:685参照)。例示的な標的成分は、葉酸塩又はビオチン(例えばLow et al.への米国特許第5,416,016号参照);マンノシド(Umezawa et al.(1988)Biochem.Biophys,Res.Commun.153:1038);抗体(P.G.Bloeman et al.(1995)FEBS Lett.357:140;M.Owais et al.(1995)Antimicrob.Agents Chemther.39:180);及び界面活性剤プロテインA受容体(Briscoe et al.(1995)Am.J.Physiol.1233:134)を含む。
本発明の1つの実施形態では、本発明の治療化合物はリポソームに製剤される。より好ましい実施形態では、リポソームは標的成分を含有する。最も好ましい実施形態では、リポソーム中の治療化合物は、所望の領域、例えば腫瘍の部位に近位の部位にボーラス注射によって送達される。組成物は、容易に注射可能である程度に流動性でなければならない。組成物は、製造及び保存条件下で安定でなければならず、また細菌及び真菌などの微生物の汚染作用から保護されねばならない。
さらなる実施形態では、本発明の抗体は、それらの胎盤を横切る輸送を防止するか又は低減するように製剤され得る。これは、当分野で公知の方法によって、例えば抗体のPEG化によって又はF(ab')フラグメントの使用によって実施され得る。さらに、「Cunningham−Rundles C,Zhuo Z,Griffith B,Keenan J.(1992)Biological activities of polyethylene−glycol immunoglobulin conjugates.Resistance to enzymatic degradation.J.Immunol.Methods,152:177−190」;及び「Landor M.(1995)Maternal−fetal transfer of immunoglobulins,Ann.Allergy Asthma Immunol.74:279−283」が参照できる。
腫瘍治療のための「治療有効用量」は、完全又は部分的のいずれかであり得る、客観的腫瘍応答によって測定できる。完全応答(CR)は、疾患の臨床的、放射線医学的又は他の証拠がないことと定義される。部分応答(PR)は、凝集腫瘍サイズの50%超の縮小から生じる。進行までの平均時間は、客観的腫瘍応答の持続性を特徴づける尺度である。
腫瘍治療のための「治療有効用量」はまた、疾患の進行を安定化するその能力によっても測定できる。癌を抑制する化合物の能力は、ヒト腫瘍における効果を予測する動物モデル系において評価できる。あるいは、組成物のこの特性は、当業者に公知の試験管内での分析により、細胞増殖又はアポトーシスを阻害する化合物の能力を検査することによって評価できる。治療化合物の治療有効量は、腫瘍サイズを縮小させるか又はさもなければ被験者において症状を改善することができる。当業者は、被験者の大きさ、被験者の症状の重症度、及び選択される特定組成物又は投与経路などの因子に基づいてそのような量を決定することができる。
組成物は無菌でなければならず、また組成物が注射器によって送達可能である程度に流動性でなければならない。水に加えて、担体は、等張緩衝食塩水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール等)、並びにそれらの適切な混合物であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどの被覆剤の使用によって、分散液の場合は必要な粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持できる。多くの場合、等張剤、例えば糖類、マンニトール又はソルビトールなどの多価アルコール、及び塩化ナトリウムを組成物中に含有することが好ましい。注射用組成物の長期吸収は、吸収を遅延させる物質、例えばモノステアリン酸アルミニウム又はゼラチンを組成物中に含めることによって達成され得る。
上述したように、活性化合物が適切に保護されている場合、化合物は、例えば不活性希釈剤又は同化性食用担体と共に、経口投与され得る。
IV.本発明の用途及び方法
本発明の抗体(本明細書で述べる免疫複合体、二重特異性/多重特異性分子、組成物及び他の誘導体を含む)は、GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞が関与する疾患の治療を含む、数多くの治療上の有用性を有する。例えば、前記抗体は、本明細書で述べるような様々な疾患を治療するか又は予防するために、例えば試験管内若しくは生体外で培養下の細胞に、又は例えば生体内でヒト被験者に投与することができる。本明細書で使用される、「被験者」という用語は、GT468に対する抗体に応答するヒト及び非ヒト動物を包含することが意図されている。好ましい被験者は、疾患細胞、特に正常細胞と比較して変化したGT468の発現パターン及び/又はそれらの細胞表面とGT468の変化した結合パターンによって特徴づけられる細胞を死滅させることによって矯正又は改善できる疾患を有するヒト患者を含む。
例えば、1つの実施形態では、本発明の抗体は、例えば乳癌を含む、腫瘍形成性疾患、例えばGT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする腫瘍細胞の存在によって特徴づけられる疾患を有する被験者を治療するために使用できる。治療及び/又は予防できる腫瘍形成性疾患の例は、乳癌、肺癌、胃癌、卵巣癌、肝細胞癌、結腸癌、膵臓癌、食道癌、頭頸部癌、腎癌、特に腎細胞癌、前立腺癌、肝臓癌、黒色腫、肉腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、胎盤性絨毛癌、子宮頸癌及び甲状腺癌、並びにそれらの転移形態を含む、GT468を発現するすべての癌及び腫瘍実体を包含する。これらの癌は、早期、中間期又は末期、例えば転移であり得る。1つの実施形態では、癌疾患は肺の転移性癌である。
本発明に従って述べる医薬組成物及び治療方法はまた、本明細書で述べる疾患を予防するための免疫又はワクチン接種のためにも使用し得る。
もう1つの実施形態では、本発明の抗体は、GT468若しくは特定形態のGT468のレベル、又はそれらの膜表面にGT468を含む細胞のレベルを検出するために使用でき、その後、それらのレベルを上述したような特定の疾患又は疾患症状に結びつけることができる。あるいは、抗体を使用して、GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞の機能を低下させるか又は前記細胞の機能と相互作用させて、それによりこれらの細胞を疾患の重要なメディエーターとして関係づけることができる。これは、抗体とGT468との間で複合体の形成を許容する条件下で、試料及び対照試料を抗GT468抗体と接触させることによって達成できる。抗体とGT468との間で形成された何らかの複合体を検出し、試料と対照試料、すなわち標準試料において比較する。
本発明の抗体は、最初に、試験管内での治療又は診断用途に関連するそれらの結合活性に関して試験できる。例えば、本明細書で述べるフローサイトメトリーアッセイを用いて抗体を試験できる。
さらに、GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞の増殖を阻害すること及び/又は前記細胞を死滅させることを含む、少なくとも1つのエフェクター媒介性エフェクター細胞活性を開始させる抗体の活性を検定することができる。例えば、CDC及び/又はアポトーシスを開始させる抗体の能力が検定できる。CDC、同型接着、分子クラスタリング又はアポトーシスを検定するためのプロトコールを本明細書で述べる。
本発明の抗体は、以下の生物活性:GT468を発現する細胞及び/又はその細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞の増殖及び/又は分化を阻害すること;GT468を発現する細胞及び/又はその細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞を死滅させること;エフェクター細胞の存在下でGT468を発現する細胞及び/又はその細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞の食作用又はADCCを媒介すること;補体の存在下でGT468を発現する細胞及び/又はその細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞のCDCを媒介すること;GT468を発現する細胞及び/又はその細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞のアポトーシスを媒介すること;同型接着を誘導すること;並びに/又はGT468に結合したとき脂質ラフトへの転位を誘導することの1つ又はそれ以上を生体内又は試験管内で誘発するために使用できる。
特定実施形態では、本発明の抗体は、様々なGT468関連疾患を治療する、予防するか又は診断するために生体内又は試験管内で使用される。GT468関連疾患の例は、中でも特に、乳癌、肺癌、胃癌、卵巣癌、肝細胞癌、結腸癌、膵臓癌、食道癌、頭頸部癌、腎癌、特に腎細胞癌、前立腺癌、肝臓癌、黒色腫、肉腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、胎盤性絨毛癌、子宮頸癌及び甲状腺癌、並びにそれらの転移形態などの癌を含む。1つの実施形態では、癌疾患は肺の転移性癌である。
本発明の抗体組成物を生体内又は試験管内で投与する適切な経路は当分野において周知であり、当業者によって選択され得る。
上述したように、本発明の抗GT468抗体は、1つ又はそれ以上の他の治療薬、例えば細胞傷害性物質、放射性毒性物質、抗血管新生薬及び/又は本発明の抗体に対する免疫応答の誘導を低減する免疫抑制剤と同時投与することができる。抗体は、治療薬に結合し得るか(免疫複合体として)又は治療薬とは別に投与し得る。後者(別途投与)の場合、抗体は、薬剤の前、後又は薬剤と同時に投与できるか、又は他の公知の治療法、例えば抗癌療法、例えば放射線と同時投与できる。そのような治療薬は、中でも特に、上記で列挙したような抗腫瘍薬を含む。化学療法剤と本発明の抗GT468抗体の同時投与は、腫瘍細胞に細胞傷害作用を生じさせる異なる機構によって働く2つの抗癌剤を提供する。そのような同時投与は、薬剤に対する耐性の発現又は腫瘍細胞を抗体と非反応性にする腫瘍細胞の抗原性の変化に起因する問題を解決できる。
本発明のもう1つの特定実施形態では、抗体を投与される被験者は、VEGF又はVEGFRを標的する抗体及び血管新生を阻害する1つ又はそれ以上の化合物を含む、抗血管新生薬で付加的に治療される。これらの薬剤による前処置又は並行適用は、バルク腫瘍への抗体の浸透を改善し得る。
本発明のもう1つの特定実施形態では、抗体を投与される被験者は、EGFR受容体に結合するモノクローナル抗体並びにEGFR、Her1又はHer2/neu受容体によって開始されるシグナル伝達を阻害する化合物を含む、増殖因子受容体シグナル伝達を阻害する化合物で付加的に治療される。
標的特異的エフェクター細胞、例えば本発明の組成物(例えば抗体、多重特異性及び二重特異性分子)に連結されたエフェクター細胞も、治療薬として使用できる。ターゲティングのためのエフェクター細胞は、マクロファージ、好中球又は単球などのヒト白血球であり得る。他の細胞は、好酸球、ナチュラルキラー細胞及び他のIgG受容体又はIgA受容体担持細胞を含む。所望する場合は、治療される被験者からエフェクター細胞を得ることができる。標的特異的エフェクター細胞は、生理的に許容される溶液中の細胞の懸濁液として投与できる。投与される細胞の数は約10〜10であり得るが、治療目的に依存して異なる。一般に、その量は、標的細胞、例えばGT468を発現する細胞及び/又はその細胞表面とGT468の結合を特徴とする腫瘍細胞における局在化を得るため、及び、例えば食作用によって細胞の死滅を生じさせるのに十分である。投与経路も多様であり得る。
標的特異的エフェクター細胞による治療は、標的細胞の除去のための他の技術と併用して実施できる。例えば、本発明の組成物及び/又はこれらの組成物を装備したエフェクター細胞を使用する抗腫瘍治療は、化学療法と共に使用することができる。加えて、併用免疫療法は、2つの異なる細胞傷害性エフェクター集団を腫瘍細胞の排除に向かわせるために使用し得る。例えば、抗FcRI又は抗CD3に連結した抗GT468抗体は、IgG受容体又はIgA受容体特異的結合物質と共に使用し得る。
本発明の二重特異性及び多重特異性分子はまた、細胞表面上の受容体にキャップ形成して除去することなどにより、エフェクター細胞上のFcγR又はFcαRレベルを調節するために使用できる。抗Fc受容体の混合物もこのために使用できる。
補体に結合するIgG1、IgG2、IgG3又はIgMからの部分のような、補体結合部位を有する本発明の組成物(例えば抗体、多重特異性及び二重特異性分子並びに免疫複合体)は、補体の存在下で使用できる。1つの実施形態では、本発明の結合物質及び適切なエフェクター細胞による、標的細胞を含む細胞の集団の生体外治療は、補体又は補体を含有する血清の添加によって補足され得る。本発明の結合物質で被覆された標的細胞の食作用は、補体タンパク質の結合によって改善され得る。もう1つの実施形態では、本発明の組成物で被覆された標的細胞はまた、補体によって溶解され得る。さらにもう1つの実施形態では、本発明の組成物は補体を活性化しない。
本発明の組成物はまた、補体と共に投与することができる。従って、抗体、多重特異性又は二重特異性分子と血清又は補体を含有する組成物は本発明の範囲内である。これらの組成物は、補体が抗体、多重特異性又は二重特異性分子にごく近接して位置するという点で有利である。
あるいは、本発明の抗体、多重特異性又は二重特異性分子と補体又は血清は、別々に投与することができる。標的細胞への本発明の組成物の結合は、細胞膜の脂質ラフトへのGT468抗原−抗体複合体の転位を生じさせ得る。そのような転位は、CDCを効率的に活性化及び/又は増強し得る高密度の抗原−抗体複合体を形成する。
また、本発明の抗体組成物(例えば抗体及び免疫複合体)と使用のための指示書を含むキットも本発明の範囲内である。キットは、免疫抑制試薬、細胞傷害性物質若しくは放射性毒性物質などの1若しくはそれ以上の付加的な試薬、又は1若しくはそれ以上の付加的な本発明の抗体(例えば補完的活性を有する抗体)をさらに含み得る。
従って、本発明の抗体組成物で治療される患者は、本発明の抗体の治療効果を高めるか又は増大させる、細胞傷害性物質又は放射性毒性物質などのもう1つ別の治療薬を付加的に投与され得る(本発明の抗体の投与前に、抗体の投与と同時に又は抗体の投与後に)。
他の実施形態では、被験者は、例えば被験者をサイトカインで治療することにより、Fcγ又はFcα受容体の発現又は活性を調節する、例えば増強するか又は阻害する物質で付加的に治療され得る。好ましいサイトカインは、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターフェロンγ(IFN−γ)、及び腫瘍壊死因子(TNF)を含む。本明細書で述べる抗体及び医薬組成物の治療効果を高めるための他の重要な物質は、分枝グルコース残基のホモ多糖であり、様々な植物及び微生物、例えば細菌、藻類、真菌、酵母及び穀物によって産生されるβ−グルカンである。生物によって産生されるβ−グルカンのフラグメントも使用し得る。好ましくは、β−グルカンは、骨格グルコース単位の少なくとも一部、例えば骨格グルコース単位の3〜6%がβ(1,6)分枝のような分枝を有する、β(1,3)グルコースのポリマーである。
特定の実施形態では、本発明は、被験試料と対照試料を、抗体又はその部分とGT468との間で複合体の形成を許容する条件下で、GT468に特異的に結合する抗体と接触させることを含む、試料中のGT468抗原の存在を検出する、又はGT468抗原の量を測定するための方法を提供する。その後、複合体の形成を検出し、対照試料と比較した被験試料との間での複合体形成の差が被験試料中のGT468抗原の存在を示す。
さらにもう1つの実施形態では、本発明は、生体内又は試験管内でGT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞の存在を検出するか又は前記細胞の量を測定するための方法を提供する。その方法は、(i)検出マーカーに結合した本発明の組成物を被験者に投与すること;及び(ii)被験者を、前記検出マーカーを検出するための手段に暴露して、GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞を含む領域を同定することを含む。
上述した方法は、特に、癌疾患などのGT468関連疾患を診断するため及び/又はGT468関連疾患の局在化のために有用である。好ましくは、対照試料中のGT468の量よりも高い被験試料中のGT468の量が、試料が由来する被験者、特にヒトにおけるGT468関連疾患の存在についての指標となる。
上述した方法において使用される場合、本明細書で述べる抗体は、(i)検出可能なシグナルを与える;(ii)第一若しくは第二標識によって与えられる検出可能なシグナルを変化させるように第二標識と相互作用する、例えばFRET(蛍光共鳴エネルギー移動(Fluorescence Resonance Energy Transfer);(iii)電荷、疎水性、形状若しくは他の物理的パラメータによって運動性、例えば電気泳動運動度に影響を及ぼす、又は(iv)捕捉部分、例えば親和性、抗体/抗原若しくはイオン錯体形成をもたらすように機能する標識と共に提供され得る。蛍光標識、発光標識、発色団標識、放射性同位体標識、同位体標識、好ましくは安定な同位体標識、等圧標識、酵素標識、粒子標識、特に金属粒子標識、磁気粒子標識、ポリマー粒子標識、ビオチンなどの低分子有機分子、受容体のリガンド又は細胞接着タンパク質若しくはレクチンなどの結合分子、結合物質の使用によって検出できる核酸及び/又はアミノ酸残基を含む標識配列等のような構造体は、標識として適切である。標識は、非限定的に、硫酸バリウム、ヨーセタム酸、イオパノ酸、カルシウムイポデート、ジアトリゾ酸ナトリウム、ジアトリゾ酸メグルミン、メトリザミド、チロパノ酸ナトリウム、並びにフッ素−18及び炭素−11などの陽電子放射体、ヨウ素−123、テクネチウム−99m、ヨウ素−131及びインジウム−111などのガンマ線放射体、フッ素及びガドリニウムなどの核磁気共鳴のための核種を含む。
さらにもう1つの実施形態では、本発明の免疫複合体を使用して、化合物(例えば治療薬、標識、細胞毒、放射性毒素、免疫抑制剤等)を抗体に連結することにより、GT468がそれらの表面と結合している細胞にそのような化合物を標的することができる。それ故本発明はまた、循環腫瘍細胞などの、GT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞を生体外又は試験管内で局在化するための方法を提供する。
本発明を以下の実施例によってさらに説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
実施例1 試験材料及び方法
本明細書で言及する技術及び方法は、それ自体公知の方法で、及び例えばSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.に記載されているように、又は以下で述べるように実施される。キット及び試薬の使用を含むすべての方法は、製造者の情報に従って実施される。
組織及び細胞株
組換えDNA作業は、当局の許可を得て、Rheinland−Pfalz州政府の規則に従って実施した。組織は、常套的な診断又は治療処置の間にヒト余剰物質として入手し、使用時まで−80℃で保存した。乳癌細胞株MCF−7及びBT549をDMEM/10%FCS中で培養した。
RNAの単離、RT−PCR及びリアルタイムRT−PCR
RNAの抽出、第一鎖cDNAの合成、RT−PCR及びリアルタイムRT−PCRを先に記述されているように実施した(Koslowski,M.,Sahin,U.,Huber,C.&Tureci,O.(2006)Hum.Mol.Genet.15,2392−2399)。エンドポイント分析のためにGT468特異的オリゴヌクレオチド(順方向 5'−AAA TTT GGC AGC TGC CTT CAC−3';相補鎖方向 5'−TGA TGC CAC ATT CAG TAA CAC−3'、60℃でアニーリング)を35サイクルのRT−PCRで使用した。リアルタイム定量的発現分析を40サイクルのRT−PCRにおいて三重に実施した。HPRT(順方向 5'−TGA CAC TGG CAA AAC AAT GCA−3';相補鎖方向 5'−GGT CCT TTT CAC CAG CAA GCT−3'、62℃でアニーリング)に対して基準化した後、腫瘍試料中のGT468転写産物を、ΔΔCT算出法を用いて正常組織と比較して定量した。任意に選択した試料からの増幅産物のクローニングと配列決定によってPCR反応の特異性を確認した。
バイオインフォマティクス
栄養膜特異的分子のインシリコクローニングのために、別のところで詳述されているデータマイニング法を修正し、適合させた(Koslowski,M.,Bell,C.,Seitz,G.,Lehr,H.A.,Roemer,K.,Muntefering,H.,Huber,C.,Sahin,U.&Tureci,O.(2004)Cancer Res.64,5988−5993;Koslowski,M.,Tureci,O.,Bell,C.,Krause,P.,Lehr,H.A.,Brunner,J.,Seitz,G.,Nestle,F.O.,Huber,C.&Sahin,U.(2002)Cancer Res.62,6750−6755;Koslowski,M.,Sahin,U.,Huber,C.&Tureci,O.(2006)Hum.Mol.Genet.15,2392−2399)。簡単に述べると、GenBankの階層的キーワード検索をデジタルcDNAライブラリーサブトラクションと組み合わせた。
キーワード検索のために、ENTREZ Search and Retrieval System(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Entrez)を使用して、胎盤又は栄養膜組織で特異的に発現されると注釈されている遺伝子に関してGenBankの塩基配列ファイルにアクセスした。配列相同性検索プログラムBLASTN(http://ncbi.nlm.nih.gov/blast)を、冗長性を防ぐためにヒトヌクレオチド配列のすべてに対し、各々のヌクレオチド配列について連続的に実施した。2番目のフィルターとして電子ノーザン(eNorthern)を、NCBI(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST)のESTデータベースに対し、対象とする各々のDNA配列のBLAST検索によるキーワード検索によって得たすべてのクローンについて実施した。公知となっているいくつかのcDNAライブラリーは適切に注釈されていないことを考慮に入れた(Scheurle,D.,DeYoung,M.P.,Binninger,D.M.,Page,H.,Jahanzeb,M.&Narayanan,R.(2000)Cancer Res.60,4037−4043)。
デジタルサブトラクションのために、NCBI(http://cgap.nci.nih.gov/Tissues/xProfiler)の癌ゲノム解剖プロジェクト(Cancer Genome Anatomy Project)のcDNA xProfilerツールを使用した。これは、各々のプールが単一ライブラリー又は数個のライブラリーのいずれかであり得る、cDNAライブラリーの2つのプール(AとB)の間で遺伝子発現を比較する。dbESTにおけるすべてのcDNAライブラリーを検索するために、プールAとプールBについての検索オプションを生物については「ヒト(Homo sapiens)」、ライブラリー群については「すべてのESTライブラリー」に設定した。検索オプション設定にマッチする胎盤及び栄養膜組織から作製したすべてのcDNAライブラリーを、混合組織ライブラリーを除いてプールAに割り当てた。プールBについては、胎盤、栄養膜、精巣、卵巣及び胎児の全身以外の正常組織から作製したすべてのcDNAライブラリーを選択した。
GT468プロモーター領域の分析のために、EMBOSS CpGPlot(Rice,P.,Longden,I.&Bleasby,A.(2000)Trends Genet.16,276−277)ソフトウエアを使用した。さらに、GT468タンパク質配列の解析をMEMSAT3(Jones,D.T.,Taylor,W.R.&Thornton,J.M.(1994)Biochemistry 33,3038−3049)、TMpred(Hofmann,K.&Stoffel,W.(1993)Biol.Chem.Hoppe−Seyler 374,166)、及びGOR IV(Garnier,J.,Osguthorpe,D.J.&Robson,B.(1978)J.Mol.Biol.120,97−120)で実施した。
抗血清、免疫蛍光法及び免疫化学
GT468のアミノ酸117−127に対して惹起されるポリクローナル抗血清は、抗体受託生産サービス(Squarix,Marl,Germany)によって作製された。免疫組織化学は、VECTOR NovaRED Substrate Kit(Vector,Burlingame,CA)を製造者の指示に従って使用して組織凍結切片に関して実施した。ウエスタンブロット分析のために、Triton−Xで溶解した細胞から抽出した総タンパク質30μgを使用した。抽出物を還元試料緩衝液(Roth,Karlsruhe,Germany)で希釈し、SDS−PAGEに供して、その後PVDF膜(Pall,East Hills,NY)に電気転写した。pAKT(Cell Signaling,Danvers,MA)、AKT(Cell Signaling,Danvers,MA)、サイクリンD1(Santa Cruz Biotechnology,Santa Cruz,CA)及びβ−アクチン(Abcam,Cambridge,UK)に対して反応性の抗体で免疫染色を実施し、次いでホースラディッシュペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マウス及びヤギ抗ウサギ二次抗体(Dako,Glostrup,Denmark)を用いて一次抗体を検出した。
siRNA二本鎖
GT468 siRNA二本鎖(Qiagen,Hilden,Germany)(順方向 5'−r(CCA UGA GAG UAG CCA GCA)dTdT−3'、相補鎖方向 5'−r(UUG CUG GCU ACU CUC AUG G)dAdG−3')は、GT468 mRNA配列(NM_021796.3)のヌクレオチド670〜690を標的した。対照として、スクランブルsiRNA二本鎖(順方向 5'−r(UAA CUG UAU AAU CGA CUA G)dTdT−5'、相補鎖方向 5'−r(CUA GUC GAU UAU ACA GUU A)dGdA−3')を使用した。GT468サイレンシング試験のために、HiPerFect transfection試薬(Qiagen)を製造者の指示に従って使用して、細胞に10nM siRNA二本鎖を形質転換した。すべての結果を、ヌクレオチド342〜362を標的する2番目のセットのGT468 siRNA二本鎖(順方向 5'−r(GGU UCA GGA CAA AGU CCA A)dTdT−3'、相補鎖方向 5'−r(UUG GAC UUU GUC CUG AAC C)dGdG−3')で再現した。
siRNAを形質転換した後の細胞増殖分析
siRNA二本鎖を形質転換した24時間後に、10%FCSを添加した培地で1×10細胞を48時間培養した。Wallac Victorマルチラベルカウンター(Perkin Elmer,Boston,MA)でDELFIA細胞増殖キット(Perkin Elmer,Boston,MA)を製造者の指示に従って使用して、新たに合成されたDNA鎖へのBrdUの組込みを測定することによって増殖を分析した。
細胞周期分析
様々な濃度の10%FCSを添加した培地で細胞を培養した。siRNA二本鎖を形質転換した72時間後に細胞を採集し、EtOHで固定して、ヨウ化プロピジウムで染色した後、フローサイトメトリーによるDNA含量分析を行った。細胞周期の種々の期にある細胞を、CellQuest(商標)Pro(BD,Franklin Lakes,NJ)及びFlowJo(商標)(Tree Star,Ashland,OR)フローサイトメトリー解析ソフトウエアを使用して定量した。アポトーシス細胞にsiRNAを形質転換した48時間後及び72時間後アネキシンV染色によって定量した。
細胞移動及び試験管内浸潤分析
実験前に12時間無血清培地で培養した細胞に関して、8.0μm細孔膜を有するトランスウエルチャンバー(BD Biosciences,San Jose,CA)において細胞移動分析を実施した。siRNA実験のために、上述したsiRNA二本鎖を形質転換した24時間後に細胞を無血清条件に移した。無血清培地400μl中の4×10細胞を上部チャンバーに加えた。下部チャンバーは、化学誘引物質として5%FCSを添加した培地800μlを含んだ。24時間後、膜の下側に移動していた細胞を氷冷メタノールで固定した;膜を切り出し、顕微鏡スライドに載せて、蛍光顕微鏡検査のためにHoechst(Dako,Glostrup,Denmark)で標本作製した。5つのランダムな視野内の細胞(倍率100倍)を各々の膜について計数した。すべての実験を三重に実施した。細胞のケモキネシスへの作用を、上部と下部の両チャンバーに化学誘引物質を添加して同じ実験設定を用いて分析した。試験管内浸潤分析のために、無血清培地中で1mg/mlに希釈したMatrigel(BD Biosciences,San Jose,NJ)100μlで上部チャンバーを作製した。ゲル化のためにチャンバーを37℃で5時間インキュベートした。
抗体との培養後における細胞増殖分析
内因性にGT468を発現する癌細胞株BT−549、Caov−3、EFO−21、MCF−7及びMDA−MB−231を、DMEM細胞培養培地で1:2に希釈したハイブリドーマ上清と共に72時間培養した。Wallac Victor2 マルチラベルカウンター(Perkin Elmer)でDELFIA細胞増殖キット(Perkin Elmer)を製造者の指示に従って使用して、新たに合成されたDNA鎖へのBrdUの組込みを測定することによって増殖を分析した。
あるいは、内因性にGT468を発現する癌細胞株SK−BR−3及びMCF−7を、それぞれ、指示されている濃度で72時間又は120時間、DMEM細胞培養培地で希釈したHPLC精製ハイブリドーマ上清と共に培養した。上述したように増殖を分析した。
あるいは、内因性にGT468を発現している癌細胞株SK−BR−3、MCF−7、MDA−MB−468、及び対照としてGT468陰性黒色腫細胞株MelHoを、DMEM(SK−BR−3、MCF−7、MDA−MB−468)又はRPMI(MelHo)細胞培養培地で希釈したFPLC精製ハイブリドーマ上清(10μg/ml及び50μg/ml)と共に72時間培養した。Wallac Victor2 マルチラベルカウンター(Perkin Elmer)でDELFIA細胞増殖キット(Perkin Elmer)を製造者の指示に従って使用して、新たに合成されたDNA鎖へのBrdUの組込みを測定することによって増殖を分析した。
免疫蛍光顕微鏡検査
免疫マウスの血清中の抗GT468抗体の存在又はGT468を発現する生細胞へのモノクローナル抗体の結合を明らかにするため、免疫蛍光顕微鏡検査分析を使用した。GT468−eGFPを形質転換したCHO細胞を、10%ウシ胎仔血清(FCS)、2mM L−グルタミン、100IU/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシンを添加したDMEM/F12培地中、標準的な増殖条件下でチャンバースライドにおいて増殖させた。次に細胞をメタノール又はパラホルムアルデヒド/0.1%サポニンで固定した。細胞をGT468に対する抗体と共に25℃で60分間培養した。洗浄後、細胞を同じ条件下でAlexa555標識抗マウスIgG二次抗体(Molecular Probes)と共に培養した。
GT468ペプチド特異的ELISA
MaxiSorp又はMicrowellプレート(Nunc)を適切なGT468ペプチド(5又は10μg/ml)により37℃で1時間被覆した。PBS/3%BSAを用いて4℃で一晩ブロックした。PBSで洗浄した後、プレートにハイブリドーマ上清(PBS/3%BSAで1:5若しくは1:10に希釈、又は2×PBS/6%BSA、pH7.3で1:2に希釈)又は精製抗体(PBS/3%BSA、pH7.3で1μg/mlに希釈)を負荷し、室温で1時間インキュベートした(90rpmで軌道振とう)。PBSで洗浄した後、PBS/3%BSA、pH7.3中の二次抗体(HRPO結合ヤギ抗マウスIgG、サブクラス1+2a+2b+3、Jackson ImmunoResearch)を添加し、90rpmで軌道振とうしながら室温で1時間インキュベートした。PBSでの最終洗浄工程後、100mM酢酸ナトリウム(pH5.2)中の1mM又は1.5mM ABTSからなる基質溶液を添加した。使用の直前に、基質溶液に0.3μl/mlの30%Hを添加した。30〜60分後に405nmでの吸収はTecan Safireプレートリーダー(Tecan)で測定した。
GT468に対するヒトモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの作製
マウス脾細胞は、以下で述べる種々の免疫プロトコールを使用してあらかじめ免疫しておいた動物から単離し、標準プロトコールに基づきPEGでマウス骨髄腫細胞株に融合した。生じたハイブリドーマを、次に、ペプチド特異的ELISA、GT468 CrELISA及び免疫蛍光法(IF)によるGT468−eGFPを形質転換したCHO細胞を使用して、GT468特異性を有する免疫グロブリンの産生に関してスクリーニングした。
免疫マウスからの脾リンパ球の単一細胞懸濁液を、50%PEG(Roche Diagnostics,CRL 738641)を使用して2:1の比率でP3X63Ag8U.1非分泌性マウス骨髄腫細胞(ATCC,CRL 1597)(又は56−4A−2及び62−9B−1の場合はP3X63Ag8.653マウス骨髄腫細胞(ATCC,CRL 1580))と融合した。細胞は平底マイクロタイタープレートに約3×10/ウエルで塗布し、次に10%ウシ胎仔血清、2%ハイブリドーマ融合物及びクローニング用添加剤(HFCS,Roche Diagnostics,CRL 1 363 735)プラス10mM HEPES、0.055mM 2−メルカプトエタノール、50μg/mlゲンタマイシン及び1×HAT(Sigma,CRL H0262)を含有する選択培地において約2週間インキュベートした。10〜14日後、個々のウエルをペプチド特異的ELISAによって抗GT468モノクローナル抗体に関してスクリーニングした。抗体分泌ハイブリドーマを再びプレートし、スクリーニングして、抗GT468モノクローナル抗体に関してまだ陽性である場合は、限界希釈によってサブクローニングした。次に安定なサブクローンをインビトロで培養し、特徴づけのために組織培養培地中で少量の抗体を作製した。親細胞の反応性を保持する(ELISA及びIFによって)、各々のハイブリドーマから少なくとも1個のクローンを選択した。
ハイブリドーマ上清からのモノクローナル抗体の精製
抗体は、HiTrap(商標)MabSelect SuRe(商標)を使用した一段階アフィニティークロマトグラフィーを実施することによってハイブリドーマ上清から作製した。抗体アイソタイプに依存してpH3.0〜pH4.0の100mMクエン酸塩で溶出した後、収集した画分を直ちに1M Tris、pH8.0で中和した。さらなる実験のために抗体製剤はPBS 5Lに対して2回透析し、滅菌ろ過して(0.2μm)、4℃で保存した。
アイソタイピング
ハイブリドーマ上清のアイソタイピングのために、IsoStrip Mouse Monoclonal Antibody Isotyping Kit(Roche)を製造者によって述べられているように使用した。
GT468発現細菌の粗溶解産物を使用したCrELISA手順
・抗原の調製
大腸菌XLOLR細菌をGT468 pQEプラスミド又はインサートなしpQE(「標準」と称する)のいずれかで形質転換し、LB培地でA600nm〜0,35Eに増殖させた。2mM IPTGでタンパク質発現を誘導し、細胞を37℃で4時間増殖させた。タンパク質発現の適切な誘導とその動態をクマシーゲル分析によって観測した。細菌を遠心沈殿させ、0.2mMのプロテアーゼ阻害剤AEBSF塩酸塩(AppliChem)を含有する少量のPBS、pH7.2に再懸濁した。細胞を氷上に置き、超音波処理(Branson Sonic Power A Smithkline)によって破砕した。GT468及び標準溶解産物を、0.2mM AEBSF及び20%(v/v)グリセロールを含有するPBS中2mg/mlの総タンパク質濃度に希釈した。アリコートは窒素中で衝撃凍結し、使用時まで−70℃で保存した。
・固相酵素免疫検定法の実施
使用前に、GT468並びに標準溶解産物は被覆緩衝液(100mM HEPES、pH7で希釈し、次に平底F96 Maxisorpマイクロウエルプレート(50μl/ウエル、Nunc)に移して、37℃で2時間吸着させた。
抗原の固定化後、0.1% Tween 20を含有する洗浄緩衝液(50mM Tris、150mM塩化ナトリウム、pH7.2)でプレートを2回洗浄し、その後界面活性剤なしで2回洗浄した。1:100希釈したヒト血清50μl/ウエルを添加し、周囲温度にて軌道振とう機上で1時間インキュベートした。一部の実験では、ヒト血清を、アッセイに供する前に前処理した。
各々個々の血清試料を、GT468又は標準溶解産物で被覆したウエルで並行して二重に試験した。プレートは上述したように再び洗浄し、3%(w/v)粉乳を含有する50mM HEPES(pH7.4)中で1:5000希釈した50μl/ウエルの二次抗体(ヤギ抗ヒトIgG−AP、Dianova)と共に室温で1時間インキュベートした。プレートを100μl/ウエルの基質溶液[ALP緩衝液(Roche Diagnostics,Mannheim,Germany)1mlにつき4−ニトロフェニルリン酸二ナトリウム塩六水和物(Merck)2mg]で室温にて30分間展開し、直ちにマイクロプレートリーダー(Victor2 Wallac,Perkin−Elmer,Turku,Finland)において405nmの吸光度を読み取った。
フローサイトメトリー分析
GT468 pcDNA3.1プラスミド又はインサートなしプラスミド(モック)を形質転換したHEK293細胞を採集し、氷冷メタノールで固定して、PBS/10%FCSで30分間ブロックした。細胞をハイブリドーマ上清と共に1時間インキュベートし、PBS/1 FCSで10分間2回洗浄して、ヤギ抗マウスCy3二次抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories)と共にインキュベートした。
さらに、GT468プラスミドDNA又はインサートなしプラスミド(モック)を形質転換したSK−BR−3、MCF−7、MDA−MB−468、NUG−C4細胞又はHEK293細胞を採集し、PBS/5%FCS/0.1%アジ化ナトリウムでブロックした。細胞はハイブリドーマ上清と共に又はPBS/5%FCS/0.1%アジ化ナトリウムで希釈した5μg/mlの精製抗体と共に1時間培養し、PBS/5%FCS/0.1%アジ化ナトリウムで5分間3回洗浄して、ヤギ抗マウスAPC二次抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories)と共にインキュベートした。Becton DickinsonからのFACSarrayを用いて細胞を分析した。
クローン形成法
クローン形成法又はコロニー形成法は、単一細胞がコロニーへと成長する能力を分析する試験管内での細胞生存検定法である。この分析は、コロニーを形成する能力へのGT468抗体の有効性を調べるために実施した。GT468を発現するSK−BR−3細胞を48穴プレートに接種した(2000細胞/ウエル)。ハイブリドーマ上清からのFPLC精製抗体の存在下で(45μg/ml)細胞を2週間増殖させ、すべてのアッセイを三重に実施した。コロニーを固定し、6%グルタルアルデヒド(v/v)及び0.5%クリスタルバイオレット(w/v)で染色した。染色して乾燥したプレートから、Olympusデジタルコンパクトカメラ(C−750 Ultra Zoom)を用いて写真を撮影し、目視で分析した。
ウエスタンブロット法
GT468 pcDNA3.1プラスミド又はインサートなしプラスミド(モック)を形質転換したHEK293細胞の全細胞溶解産物は、Triton−Xベースの溶解緩衝液(50mM HEPES(pH7.4)、10%(v/v)グリセロール、1%(v/v)Triton X−100、150mM NaCl、1.5mM MgCl、5mM EDTA、100mM NaF)を用いて調製した。抽出物は還元試料緩衝液(Roth)で希釈し、SDS−PAGEに供して、その後PVDF膜(Pall)に電気転写した。GT468(Koslowski et al.2007)又はハイブリドーマ上清からのFPLC精製抗体(5μg/ml)に反応性のポリクローナル抗体で免疫染色を実施し、次いでホースラディッシュペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ウサギ二次抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories)を用いて一次抗体を検出した。
早期処置異種移植モデル
5×10のGT468陽性BEWO胎盤性絨毛癌細胞をヌードマウスに皮下注射した。腫瘍細胞の接種の3日後に動物を精製モノクローナル抗体で処置した(200μg静脈内、8動物/群)。抗体は週に2回2週間にわたって投与した。カリパスを用いて腫瘍の成長を観測した。
実験的転移アッセイ
エストロゲン依存性MCF−7細胞の注射の1週間前に、17β−エストラジオール持続放出ペレット(1mg、60日放出;Innovative Research of America)の皮下移植によって無胸腺ヌードマウスを作製した。1×10 MCF−7の静脈内注射後、動物を精製モノクローナル抗体(200μg)で週に2回処置した。リアルタイムPCRは、細胞の注射の5週間後に無胸腺マウス(5〜8動物/群)の肺における腫瘍量の定量のために使用した。肺組織からのDNAは、QIAamp DNA Mini Kit(Qiagen)を使用して抽出し、ヒト第17染色体のαサテライト領域の226bpフラグメント(順方向 5'−CAG CTG ACT AAA CAG AAG CAG−3';相補鎖方向 5'−GAG TTG AAT GCA GTC ATC ACA G−3')をDNA 200ngから増幅した。腫瘍量(DNAコピー数)を、健常対照マウスからの正常肺に関して定量した。
実施例2 GT468は様々な腫瘍において異常に活性化され、高発現される
胎盤特異的栄養膜遺伝子を同定するため、ゲノム全体でのデータマイニング法を適合させた。この方法はもともと、発明人が生殖細胞特異的分子の生体内での同定のために開発したものである(Koslowski,M.,Bell,C.,Seitz,G.,Lehr,H.A.,Roemer,K.,Muntefering,H.,Huber,C.,Sahin,U.&Tureci,O.(2004)Cancer Res.64,5988−5993;Koslowski,M.,Tureci,O.,Bell,C.,Krause,P.,Lehr,H.A.,Brunner,J.,Seitz,G.,Nestle,F.O.,Huber,C.&Sahin,U.(2002)Cancer Res.62,6750−6755;Koslowski,M.,Sahin,U.,Huber,C.&Tureci,O.(2006)Hum.Mol.Genet.15,2392−2399)。原則として、真正に胎盤特異的な遺伝子の予測のためにGenBankの階層的キーワード検索は、デジタルcDNAライブラリーサブトラクションと組み合わせた。GT468はこの手法によって同定された。
GT468 mRNAは、正常及び腫瘍組織標本の包括的な組み合わせにおいてエンドポイントRT−PCR及び定量的リアルタイムRT−PCRによって検討した。GT468発現が胎盤に限定されることが確認された。すべての他の正常組織標本では、転写産物の量は、高感度RT−PCRのちょうど検出限界であるか又はそれ以下である(図1A、B、C、表1)。唯一の例外は精巣であるが、転写産物レベルは胎盤で認められたものよりも対数で3から4低い。
種々の癌型にわたる原発性腫瘍標本の38%(86/225)及び腫瘍細胞株の55% (22/40)において、しかしながら、さもなければ転写が厳密に制御されるこの遺伝子の異常な活性化が認められた。GT468の保有率及び転写産物レベルは、乳癌及び乳癌細胞株において最も高かった(図1A、B、C)。62の原発性乳癌のうち44(82%)はGT468発現に関して陽性(非栄養膜正常組織におけるバックグラウンドを少なくとも100倍上回ると定義される)と評価され、24%(15/62)は低発現(100−1000倍)、40%(25/62)は中発現(1000−10,000倍)、そして17%(11/62)は高発現(>10,000倍)を示した(図1B)。さらに、50の肺癌試料のうち21(42%)並びに胃癌及び卵巣癌においてGT468転写を認めた(表1)。GT468の誘導は、組織学的サブタイプ、腫瘍の病期又は腫瘍悪性度と相関しなかった。
リアルタイムRT−PCRを使用して、微量のGT468転写産物だけが40サイクルのRT−PCR後に正常組織において検出できた。発現カットオフ値(点線、すべての正常組織の平均発現+3STD(99%パーセンタイル値))を越える正常組織は胎盤と精巣だけであった(図20A)。乳癌に加えて、肺癌、卵巣癌、胃癌、前立腺癌、膵癌、腎細胞癌、肝癌、肉腫、甲状腺癌及び頭頸部癌からの試料においてGT468の高発現が認められた(図20B)。
GT468発現プラスミド(陽性対照)、SK−BR−3(乳癌)、BEWO(胎盤性絨毛癌)、JAR(胎盤性絨毛癌)、HCT−15(結腸癌)、LnCaP(前立腺癌)、HeLa(子宮頸癌)、MDA−MB−468(乳癌)、JEG−3(胎盤性絨毛癌)、JIMT−1(乳癌)、LA1−55n(神経芽細胞腫)、PC−3(前立腺癌)、BT−20(乳癌)及びNCI−H929(骨髄腫)でトランスフェクトしたHEK293細胞におけるGT468発現のウエスタンブロット分析は、これらの癌細胞株におけるGT468の発現を明らかにした(図21)。MelHO(悪性黒色腫)及びNUGC4(胃癌)は試験陰性であった。
実施例3 GT468は癌細胞の表面上に位置し、抗体にとってアクセス可能である
GT468特異的ペプチドエピトープ(配列番号:2のアミノ酸117〜127)に対するポリクローナルウサギ抗体(ウサギ抗GT468/C末端)を惹起した。低分子干渉RNA(siRNA)を使用したGT468の遺伝子サイレンシングによって抗体の特異性を検証した。siRNAを排除するために、2組のGT468特異的siRNA二本鎖、スクランブル非サイレンシングオリゴヌクレオチド及び非トランスフェクト細胞に関して標的活性実験を実施した。乳癌細胞株MCF−7及びBT−549をこれらのsiRNA二本鎖でトランスフェクトすることにより、対照と比較して80〜90%の構成的GT468 mRNA発現の安定で再現可能な低下が達成された(図1D)。この所見と一致して、ウエスタンブロット法においてGT468の予測サイズに従って検出された26kDaのバンドは、両細胞株においてほぼ完全に消失し(図1E)、GT468タンパク質発現の堅固なノックダウンと抗体の特異性を証明した。
ウサギ抗GT468/C末端での一次ヒト組織試料におけるGT468タンパク質のウエスタンブロット染色は、この遺伝子が、それが発現される唯一の正常組織である胎盤と同等のレベルで乳癌標本において検出可能であることを確認した(図1F)。ヒト乳癌組織切片でのウサギ抗GT468/C末端による免疫組織化学は、RT−PCRによってGT468 mRNA発現に関して陽性と分類された標本において特異的免疫反応性を示した。染色は腫瘍細胞集団に限定され、隣接間質細胞及び非腫瘍性上皮細胞並びにマッチする患者の正常組織は反応性ではなかった(図1G)。腫瘍細胞の免疫染色は形質膜において顕著であり、GT468が細胞表面タンパク質であることの証拠を提供した。
GT468タンパク質における配列のトポロジーのコンピュータ解析は、アミノ酸5〜22にわたる疎水性ドメイン、続いてアミノ酸23−212によって構成される大きな細胞外ドメインを予測した。GT468の細胞外部分のアミノ酸29〜119は、末端が欠乏した透明帯(ZP)ドメインである。ZPドメインは、TGF−β受容体III型、ウロモジュリン、糖タンパク質GP2並びに精子受容体ZP2及びZP3を含む、様々な細胞外に露出された受容体様タンパク質において認められ(Bork,P.&Sander,C.(1992)FEBS Lett.300,237−240)、重合に関与する(Jovine,L.,Janssen,W.G.,Litscher,E.S.&Wassarman,P.M.(2006)BMC.Biochem.7,11)。構成的に発現されるGT468の細胞内局在は、おそらくこのタンパク質の細胞外部分にその抗原決定基(アミノ酸117−127)を有する、ウサギ抗GT468/C末端で染色したMCF−7及びBT−549乳癌細胞の免疫蛍光顕微鏡検査によって評価した。両細胞株は細胞膜において明確な染色を示した(図2A)。siRNAで誘導したGT468発現のノックダウン時のシグナルの喪失は染色の特異性を確認した。最も重要な点として、特異的膜染色はメタノール固定細胞だけでなく非固定天然細胞でも認められ(図2B)、抗体のエピトープが細胞膜の透過処理なしでもアクセス可能であることを示唆し、それ故カルボキシ末端の細胞外局在という予測されたトポロジーを裏付けた。
実施例4 GT468のsiRNA誘導性遺伝子サイレンシングは癌細胞の運動性、移動及び浸潤を阻害し、増殖をブロックする
腫瘍細胞におけるGT468の生物学的重要性を調べるため、基本的細胞機能へのそのsiRNA誘導性遺伝子サイレンシングの影響を検討した。
最初に、トランスウエル移動アッセイにおける乳癌細胞株MCF−7及びBT−549の成績を検討した。5%FCSを化学誘引物質としてシステムの上部及び下部の両チャンバーに添加することによって評価した両細胞株の基線運動性(ケモキネシス)は、GT468特異的siRNA二本鎖によって実質的に阻害された(図3A)。その結果として、細胞の指向性走化性移動能力の著明な低下も認められた(図3B)。さらに、細胞は、Matrigelの障壁を突破することによって化学誘引物質勾配に沿って移動することができなかったので、細胞の化学浸潤活性もGT468 siRNA処理によって大きく影響された(図3C)。
次に、DNAへのBrdUの組込みによって測定した腫瘍細胞増殖は、GT468特異的siRNA二本鎖により両細胞株において80−90%低下することが認められた(図4A)。細胞周期分析は、増殖ブロックのための基礎となる要因として、GT468 siRNAを形質転換した細胞における明確なG1/S停止を明らかにした(図4B)。細胞の生命力は影響を受けず、アネキシンVでの染色はアポトーシス細胞死についての兆候を示さなかった(図4C)。
実施例5 抗GT468抗体による癌細胞の処理は細胞増殖を阻害する
ウサギ抗GT468/C末端及び非反応性対照抗体と共に培養したMCF−7及びBT−549細胞の増殖を測定した。GT468のターゲティングは、濃度依存的に両細胞株の増殖の効率的な阻害を生じさせた(図5)。
実施例6 siRNA誘導性サイレンシングの下流への作用及び抗体誘導性のGT468の機能的拮抗作用
真核細胞の増殖と細胞周期進行は、サイクリン及びサイクリン依存性キナーゼ(CDK)によって支配される。個々のサイクリンは、一連のCDKの活性を刺激することによって細胞周期の異なる段階に作用する。制限点制御はサイクリンD及びサイクリンE依存性キナーゼファミリーによって媒介される(Morgan,D.O.(1997)Annu.Rev.Cell Dev.Biol.13,261−291;Sherr,C.J.(2000)Cancer Res.60,3689−3695)。GT468サイレンシングが、サイクリン発現の変化を介して認められた細胞周期調節不全を誘導するのか否かを検討するため、GT468 siRNAで処理したMCF−7及びBT−549乳癌細胞におけるサイクリンD1、D2、D3及びサイクリンEの発現を測定した。
興味深いことに、リアルタイムPCRによって測定したサイクリンD1転写産物(図6A)及びウエスタンブロット法におけるサイクリンD1タンパク質レベル(図6B)の有意の低下がGT468ノックダウンの結果として起こった。分析した他のサイクリンに関しては転写レベルの変化を認めなかった。
サイクリンD1は、細胞周期のG1期からS期への進行の主要調節因子であることが知られている。興味深いことに、散発性乳癌の腫瘍形成においては、サイクリンD1の過剰発現が初期事象とみなされる(Caldon,C.E.,Daly,R.J.,Sutherland,R.L.&Musgrove,E.A.(2006)J.Cell Biochem.97,261−274;Sutherland,R.L.&Musgrove,E.A.(2004)J.Mammary.Gland.Biol.Neoplasia.9,95−104)。D型サイクリンは不安定であり、それらの誘導、合成及び触媒パートナーとの集合はすべて持続的な細胞増殖シグナル伝達に依存する。それ故、D型サイクリンは増殖因子センサーとして働き、細胞外因子に応答して活性なキナーゼを形成する(Sutherland,R.L.&Musgrove,E.A.(2004)J.Mammary.Gland.Biol.Neoplasia.9,95−104;Sherr,C.J.(1993)Cell 73,1059−1065)。乳癌では、サイクリンD1発現がホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)/AKT依存性経路を介して制御されることが示されている(Sutherland,R.L.&Musgrove,E.A.(2004)J.Mammary.Gland.Biol.Neoplasia.9,95−104;D'Amico,M.,Hulit,J.,Amanatullah,D.F.,Zafonte,B.T.,Albanese,C.,Bouzahzah,B.,Fu,M.,Augenlicht,L.H.,Donehower,L.A.,Takemaru,K.et al.(2000)J.Biol.Chem.275,32649−32657;Muise−Helmericks,R.C.,Grimes,H.L.,Bellacosa,A.,Malstrom,S.E.,Tsichlis,P.N.&Rosen,N.(1998)J.Biol.Chem.273,29864−29872)。AKTはグリコーゲンシンターゼキナーゼ3β(GSK−3β)を不活性化し、それによってサイクリンD1の転写並びにそのタンパク質分解による代謝回転と核内のそのタンパク質レベルを上昇させる(Sutherland,R.L.&Musgrove,E.A.(2004)J.Mammary.Gland.Biol.Neoplasia.9,95−104,Diehl,J.A.,Cheng,M.,Roussel,M.F.&Sherr,C.J.(1998)Genes Dev.12,3499−3511;Radu,A.,Neubauer,V.,Akagi,T.,Hanafusa,H.&Georgescu,M.M.(2003)Mol.Cell Biol.23,6139−6149)。加えて、AKT経路は、おそらくGT468が関与する2つの他の細胞機能である、癌細胞の運動性と移動の重要な調節因子である(Sutherland,R.L.&Musgrove,E.A.(2004)J.Mammary.Gland.Biol.Neoplasia.9,95−104,Cantley,L.C.(2002)Science 296,1655−1657;Luo,J.,Manning,B.D.&Cantley,L.C.(2003)Cancer Cell 4,257−262)。このことが本発明者らに、GT468がMCF−7及びBT−549細胞におけるAKTキナーゼの調節に影響を及ぼすか否かを分析することを促した。
PI3Kの過剰活性化に続くAKTの構成的リン酸化及び過剰活性化が腫瘍細胞において頻繁に認められる。siRNA技術によるGT468のサイレンシング後のAKTのSer473リン酸化(pAKT)のレベルの定量及び抗GT468/C末端抗体によるその機能的拮抗作用はどちらも、特にMCF−7細胞においてpAKTレベルの著明な低下を生じさせ(図6C、D)、AKTキナーゼの活性化がGT468の下流作用の遂行に関与することを示唆した。興味深いことに、PTENを欠き、それ故より高いレベルのPI3K過剰活性化を有するBT−549細胞において、pAKTの下方調節はあまり顕著ではなかった。
実施例7 GT468特異的モノクローナル抗体
Balb/c又はC57/BL6マウスをKLH結合ペプチドで免疫した。ペプチド50μg及びアジュバントとしてMontanide ISA 50V 50μlを1、15、45及び86日目に腹腔内(i.p.)注射した。マウスの血清中のGT468に対する抗体の存在を24、57及び92日目にペプチド特異的ELISAによって観測した。検出可能な免疫応答を有するマウスを、モノクローナル抗体の作製のために脾摘出術の3日前に追加免疫した。
配列番号:3−10に従った配列を有するペプチドを、モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの作製のために使用した。例えば、配列番号:3のペプチドを使用した免疫はハイブリドーマ4E9−1H9及び9B6−2A9を生じ、配列番号:4のペプチドを使用した免疫はハイブリドーマ59D6−2F2を生じ、配列番号:6のペプチドを使用した免疫はハイブリドーマ61C11−2B5及び78H11−1H6を生じた。
モノクローナル抗体の特異的結合を確実にするためにペプチド特異的ELISAを実施した。ハイブリドーマ上清を、マウスの免疫のために使用したそれぞれのペプチドに対して1:5又は1:10希釈液中で試験した。対照として、すべてのハイブリドーマ上清を2つの無関係なペプチドに対して試験した。すべてのモノクローナル抗体は、マウスの免疫のために使用したそれぞれのペプチドとのみ特異的に反応した(図7)。
完全長GT468タンパク質へのモノクローナル抗体の特異的結合を免疫蛍光(IF)顕微鏡検査によって分析した。GT468−eGFPを形質転換した24時間後にCHO細胞をハイブリドーマ上清(1:5希釈)で染色した。eGFPシグナルと二次抗マウス抗体(Alexa55)のシグナルの併合は、GT468−eGFP形質転換体の染色だけを示し、非形質転換体は陰性であった(図8)。
GT468へのモノクローナル抗体の結合が癌細胞の増殖に及ぼす影響を分析するため、内因性にGT468を発現する癌細胞株BT−549、Caov−3、EFO−21、MCF−7及びMDA−MB−231をハイブリドーマ上清(1:2希釈)と共に72時間培養した。DNAへのBrdUの組込みによって細胞の増殖を測定した。モノクローナル抗体4E9 1H9は使用した濃度で細胞の増殖を変化させなかったが、抗体9B6 2A9及び59D6 2F2は、分析したすべての癌細胞株の増殖を明らかに低下させた(図9)。
それ故、細胞によって発現されるGT468を選択的に標的するモノクローナル抗体を作製できることが示された。さらに、GT468を発現する癌細胞の増殖を阻害する、GT468に対するモノクローナル抗体を作製できることが示された。
実施例8 GT468 pcDNA3.1プラスミドでの免疫とそれに続くペプチド/タンパク質注射から得たGT468特異的モノクローナル抗体
Balb/c又はC57/BL6マウスを、1及び15日目にGT468 pcDNA3.1プラスミド及びアジュバントとしてPEIマンノースにより筋肉内(i.m.)経路で免疫した。その後、ペプチド50μg及びアジュバントとしてMontanide ISA 50V 50μl(腹腔内)、又はタンパク質150μg及び不完全フロイントアジュバント(IFA)(皮下)を30及び45日目に注射した。マウスの血清中のGT468に対する抗体の存在をペプチド特異的ELISA又はCrELISAによって観測した。検出可能な免疫応答を有するマウスを、モノクローナル抗体の作製のために脾摘出術の3日前に追加免疫した。
GT468 DNAを使用した2倍の筋肉内免疫及びそれに続く組換えGT468タンパク質の2倍の皮下投与は、ハイブリドーマ22−1A−1、22−2A−1、22−9B−1、23−33A−1及び23−19A−1を生じさせた。GT468 DNAを使用した2倍の筋肉内免疫及びそれに続く配列番号:10に従ったペプチドの2倍の腹腔内投与は、ハイブリドーマF11#33F7D12を生じさせた。GT468 DNAを使用した2倍の筋肉内免疫及びそれに続く配列番号:3に従ったペプチドの2倍の腹腔内投与は、ハイブリドーマ4A12 2D4 1A10及び4E9 1D12 2D4を生じさせた。
以下の表は、得られた抗体及びそれらのアイソタイプを列記する。
ハイブリドーマ22−1A−1、22−2A−1、22−9B−1、23−33A−1及び23−19A−1からのモノクローナル抗体の特異的結合を確実にするために粗溶解産物(CrELISA)を実施した。ハイブリドーマ上清は、GT468 pQE発現ベクターで形質転換した大腸菌の溶解産物に対して試験した。対照として、ハイブリドーマ上清を、インサートなし(モック)pQEプラスミドを形質転換した大腸菌の溶解産物に関して試験した。すべてのモノクローナル抗体は、特異的GT468溶解産物とのみ特異的に反応した(図10A)。
ハイブリドーマF11#33F7D12、4A12 2D4 1A10及び4E9 1D12 2D4からのモノクローナル抗体の特異的結合を確実にするためにペプチド特異的ELISAを実施した。ハイブリドーマ上清は、マウスの免疫のために使用したそれぞれのペプチドに対して試験した。対照として、ハイブリドーマ上清を無関係なペプチドに対して試験した。モノクローナル抗体は、マウスの免疫のために使用したそれぞれのペプチドとのみ特異的に反応した(図10B)。
完全長GT468タンパク質へのモノクローナル抗体の特異的結合を上述したフローサイトメトリー分析によって分析した。モノクローナル抗体4E9 1D12 2D4のフローサイトメトリー分析のために、約40%の形質転換効率で一過性に形質転換したHEK細胞を使用した。すべてのハイブリドーマ上清はGT468形質転換体の特異的染色を示し、偽の形質転換体では染色を認めなかった(図11)。
完全長GT468タンパク質へのモノクローナル抗体の特異的結合は、ウエスタンブロット法によって分析した。すべてのハイブリドーマ上清は、GT468 pcDNA3.1発現プラスミドを形質転換したHEK293細胞の溶解産物と特異的反応性を示したが、偽の形質転換体の溶解産物はシグナルを示さなかった(図12;モック溶解産物中のハイブリドーマ上清23−33A−1のかすかなシグナルは、HEK GT468溶解産物のスピルオーバーから生じると考えられる)。
モノクローナル抗体が結合するGT468タンパク質内の抗原決定基を同定するためにペプチドELISAを実施した。完全なGT468タンパク質配列は、11アミノ酸のオーバーラップを有する51のオーバーラップペプチド(15量体)のセットとして合成した。すべてのハイブリドーマ上清はこれらのペプチドへの特異的結合に関してELISAで試験した。対照として、無関係なペプチドを使用した。すべての上清はGT468ペプチドへの特異的結合を示した。ハイブリドーマ上清22−1A−1、23−33A−1及び23−19A−1は各々、GT468の線状抗原決定基への反応性を示唆する2つのオーバーラップペプチドへの結合を示した。22−2A−1及び22−9B−1の結合パターンはより複雑であり、GT468タンパク質の配座抗原決定基に対する反応性を示唆した。
GT468へのモノクローナル抗体の結合が癌細胞の増殖に及ぼす影響を分析するため、内因性にGT468を発現する癌細胞株SK−BR−3(4A12 2D4 1A10)又はMCF−7(4E9 1D12 2D4)を、図14に示されている濃度で精製ハイブリドーマ上清と共に72時間又は120時間培養した。DNAへのBrdUの組込みによって細胞の増殖を測定した。無関係な対照モノクローナル抗体は細胞の増殖を変化させなかったが、モノクローナル抗体4A12 2D4 1A10及び4E9 1D12 2D4は、明らかに濃度依存的に細胞の増殖を低下させた(図14)。
実施例9 種々の免疫法を使用して得られたGT468特異的モノクローナル抗体
Balb/c又はC57/BL6マウスを表3に示すように免疫した。ペプチド:ペプチド50μg及びアジュバントとしてMontanide ISA 50V 50μlを腹腔内(i.p.)注射した。DNA:GT468プラスミドDNA及びアジュバントとしてPEIマンノースを筋肉内(i.m.)注射した。組換えタンパク質:GT468タンパク質150μg及び不完全フロイントアジュバント(IFA)を皮下(s.c.)注射した。細胞:GT468プラスミドDNAでトランスフェクトした1〜2×10HEK293細胞を腹腔内(i.p.)注射した。一般に、免疫原を2週間ごとに投与した。検出可能な免疫応答を有するマウスを、モノクローナル抗体の作製のために脾摘出術の3日前に追加免疫した。
以下の表は、得られた抗体及びそれらのアイソタイプを列記する。
これらの抗体並びにそれぞれ実施例7及び8で得られた2つのさらなる抗体78H11 1H6(アイソタイプ:IgG1)及び22−1A−1(アイソタイプ:IgG2b)をさらなる試験のために使用した。
図13及び25に示す、11アミノ酸のオーバーラップを有する51のオーバーラップペプチド(15量体)のセットを使用したペプチド特異的ELISAを実施して、モノクローナル抗体が結合しているGT468タンパク質の抗原決定基を同定した。各々の精製ハイブリドーマ上清をすべてのペプチドへの特異的結合に関してELISAで試験した。対照として無関係なペプチドを使用した。
表5に示すように、15の上清はGT468ペプチドへの特異的結合を示した。15の上清のうちで、13の上清は1個のペプチド又は2若しくは3個の隣接ペプチドに結合してGT468の線状抗原決定基の認識を示唆し、2つの上清は、少なくとも部分的に、隣接していないペプチドに結合して抗原決定基の線状/配座の定義付けを示唆した。9つの上清は、ペプチド特異的ELISAにおいてGT468ペプチドへの特異的結合を示さなかったが、FACS又はIFでは結合を示し、GT468の非線状配座抗原決定基に対する反応性を示唆した。
GT468タンパク質への、ハイブリドーマからのモノクローナル抗体の特異的結合をフローサイトメトリー分析によって分析した。pDisplay−GT468aa116−212で安定に形質転換した天然の固定していないHEK293細胞又は偽の形質転換体をFPLC精製ハイブリドーマ上清(5μg/ml)で染色した。プラスミドpDisplay−GT468aa116−212において、GT468のアミノ酸116〜212をC末端でPDGF受容体膜貫通ドメインに融合する。この構築物は、細胞の形質膜上でのGT468aa116−212の安定な発現を確実にする。細胞を、その天然配座のGT468への結合を検出する非固定状態の上清で染色した。ハイブリドーマ上清はGT468形質転換体の特異的染色を示したが、偽の形質転換体では染色を認めなかった(図15)。
内因性にGT468を発現する非固定腫瘍細胞への、ハイブリドーマからのモノクローナル抗体の特異的結合をフローサイトメトリー分析によって分析した。MCF−7MDA−MB−468及びSK−BR−3乳癌細胞を、内因性にGT468を発現する腫瘍細胞として使用し、GT468を発現しないNUG−C4胃癌細胞を陰性対照として使用した。天然の非固定細胞をFPLC精製ハイブリドーマ上清(5μg/ml)で染色した。ハイブリドーマ上清は、GT468を発現する癌細胞の特異的染色を様々な程度に示した。上清の一部については細胞集団が有意に染色されるが(42H11 1C11 2B2、22−1A−1、35−50A−2a、54−4B−2)、別の上清では亜集団(細胞の約5%)だけが陽性である(図16)。これは、強発現亜集団への結合を示唆する。これらの結果は、抗体がGT468発現腫瘍細胞に結合できることを明らかにする。
完全長GT468タンパク質への、ハイブリドーマ上清中のモノクローナル抗体の特異的結合はウエスタンブロット法によって分析した。FPLC精製ハイブリドーマ上清(5μg/ml)は、GT468発現プラスミドを形質転換したHEK293細胞の溶解産物と特異的反応性を示したが、偽の形質転換体の溶解産物はシグナルを示さず、GT468への結合が特異的であることを明らかにした(図17、23)。
ハイブリドーマ上清からのモノクローナル抗体の増殖阻害活性を増殖アッセイにおいて分析した(図18、22)。内因性にGT468を発現する乳癌細胞(SK−BR−3、MDA−MB−468、MCF−7)及びGT468陰性MelHo黒色腫細胞又はNUGC4胃癌細胞を96穴プレートに接種し(5000細胞/ウエル)、指示されている濃度のFPLC精製ハイブリドーマ上清と共に培養した。72時間後にDNAへのBrdUの組込みによって細胞の増殖を測定した。すべての値を、ハイブリドーマ上清と共にインキュベートしていない対照細胞に対して基準化する。MelHo又はNUGC4対照細胞では増殖阻害を認めなかった。ハイブリドーマ上清は、濃度依存的に様々な程度でGT468発現乳癌細胞への特異的増殖阻害活性を示した。抗体の一部(35−48B−1、48−3B−1、51−1A−1、56−4A−2)は、試験したGT468陽性細胞株すべてに対して有意の作用を示した。
内因性にGT468を発現するSK−BR−3細胞のコロニー形成への、ハイブリドーマからのモノクローナル抗体の阻害活性を分析するためにクローン原性アッセイを実施した。細胞は48穴プレートに接種し(3000細胞/ウエル)、FPLC精製ハイブリドーマ上清(45μg/ml)と共に培養した。14日間にわたって増殖させたコロニーをグルタルアルデヒドで固定し、目視評価のためにクリスタルバイオレットで染色した。細胞を抗体と共に培養することは、コロニー形成を低減又は阻害した(図19)。コロニー形成は、個々の腫瘍細胞が器官に定着した場合の転移の形成に関して重要である。抗体の阻害活性は、転移の形成を抑制する上でのそれらの潜在能を示す。
実施例10 抗GT468モノクローナル抗体による処置はヌードマウスにおいて異種移植腫瘍の増殖を減弱させる
GT468陽性BEWO胎盤性絨毛癌細胞をヌードマウスに皮下注射し、動物を精製抗GT468モノクローナル抗体で処置した。図24は、抗GT468モノクローナル抗体による処置がヌードマウスにおいてBEWO胎盤性絨毛癌異種移植腫瘍の増殖を減弱させることを明らかにする。
実施例11 抗GT468モノクローナル抗体による処置はヌードマウスの肺における転移性腫瘍量を減少させる
MCF−7細胞を、17β−エストラジオール持続放出ペレットの皮下移植によって前処置した無胸腺ヌードマウスに静脈内注射し、動物を精製抗GT468モノクローナル抗体で処置した。細胞の注射の5週間後に無胸腺マウスの肺における腫瘍量の定量のために用いたリアルタイムPCRは、抗GT468モノクローナル抗体で処置したマウスの肺における転移性腫瘍量の有意の減少を明らかにした(図26)。

Claims (23)

  1. GT468に結合する能力を有し、且つ以下の1つ又はそれ以上の活性を有する抗体:
    (i)GT468を発現する腫瘍細胞の死滅化、
    (ii)GT468を発現する腫瘍細胞の増殖の阻害、
    (iii)GT468を発現する腫瘍細胞のコロニー形成の阻害、及び
    (iv)GT468を発現する腫瘍細胞の転移の阻害。
  2. 前記1つ又はそれ以上の活性が、前記細胞によって発現されるGT468の細胞外ドメインへの前記抗体の結合によって誘導される請求項1に記載の抗体。
  3. GT468を発現する前記腫瘍細胞が癌細胞である請求項1又は2に記載の抗体。
  4. 前記癌細胞が、乳癌、肺癌、胃癌、卵巣癌、肝細胞癌、結腸癌、膵癌、食道癌、頭頸部癌、腎癌、特に腎細胞癌、前立腺癌、肝癌、黒色腫、肉腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、胎盤性絨毛癌、子宮頸癌及び甲状腺癌、並びにそれらの転移形態、並びに肺の転移性癌からなる群より選択される癌に由来する請求項3に記載の抗体。
  5. モノクローナル、キメラ、ヒト若しくはヒト化抗体、又は抗体のフラグメントである請求項1乃至4のいずれか一項に記載の抗体。
  6. GT468が配列番号:2に従ったアミノ酸配列を有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の抗体。
  7. 前記抗体がGT468に特異的に結合する請求項1乃至6のいずれか一項に記載の抗体。
  8. GT468の天然抗原決定基に結合する請求項1乃至7のいずれか一項に記載の抗体。
  9. 配列番号:2−10及び35−82からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質若しくはペプチド又はその免疫原性フラグメント若しくは誘導体、あるいは前記タンパク質若しくはペプチド又はその免疫原性フラグメント若しくは誘導体を発現する核酸又は宿主細胞で動物を免疫する工程を含む方法によって得られる請求項1乃至8のいずれか一項に記載の抗体。
  10. (i)アクセッション番号DSM ACC2822(4E9−1H9)、DSM ACC2826(9B6−2A9)、DSM ACC2824(59D6−2F2)、DSM ACC2825(61C11−2B5)、DSM ACC2823(78H11−1H6)、DSM ACC2895(22−1A−1)、DSM ACC2893(22−2A−1)、DSM ACC2896(22−9B−1)、DSM ACC2897(23−33A−1)、DSM ACC2891(23−19A−1)、DSM ACC2894(F11#33F7D12)、DSM ACC2892(4A12 2D4 1A10)、DSM ACC2898(4E9 1D12 2D4)、DSM ACC2961(42H11 1C11 2B2)、DSM ACC2962(51G6 2H3 2B4)、DSM ACC2943(16−5B−1)、DSM ACC2956(20−11A−1)、DSM ACC2947(29−1A−2)、DSM ACC2964(29−8B−1)、DSM ACC2959(35−48B−1)、DSM ACC2963(35−50A−2a)、DSM ACC2957(38−10B−1)、DSM ACC2958(38−1A−1)、DSM ACC2948(44−3A−2)、DSM ACC2949(45−2A−1)、DSM ACC2950(45−8A−2)、DSM ACC2951(48−3B−1)、DSM ACC2952(48−4A−1)、DSM ACC2946(49−3A−1)、DSM ACC2945(49−8A−1)、DSM ACC2944(51−1A−1)、DSM ACC2953(53−13A−2)、DSM ACC2955(53−29A−1)、DSM ACC2960(54−4B−2)、DSM ACC2954(56−4A−2)又はDSM ACC3001(62−9B−1)の下で寄託されたクローンによって産生されるか又は前記クローンから得られる抗体、
    (ii)(i)の下にある抗体のキメラ又はヒト化形態である抗体、
    (iii)(i)の下にある抗体の特異性を有する抗体、及び
    (iv)(i)の下にある前記抗体の前記抗原結合部分又は抗原結合部位を含む前記抗体
    からなる群より選択される抗体。
  11. (i)の下にある前記抗体の抗原結合部分又は抗原結合部位が、(i)の下にある前記抗体の可変領域を含む、請求項10に記載の抗体。
  12. 請求項1乃至11のいずれか一項に記載の前記抗体を産生することができるハイブリドーマ。
  13. アクセッション番号DSM ACC2822(4E9−1H9)、DSM ACC2826(9B6−2A9)、DSM ACC2824(59D6−2F2)、DSM ACC2825(61C11−2B5)、DSM ACC2823(78H11−1H6)、DSM ACC2895(22−1A−1)、DSM ACC2893(22−2A−1)、DSM ACC2896(22−9B−1)、DSM ACC2897(23−33A−1)、DSM ACC2891(23−19A−1)、DSM ACC2894(F11#33F7D12)、DSM ACC2892(4A12 2D4 1A10)、DSM ACC2898(4E9 1D12 2D4)、DSM ACC2961(42H11 1C11 2B2)、DSM ACC2962(51G6 2H3 2B4)、DSM ACC2943(16−5B−1)、DSM ACC2956(20−11A−1)、DSM ACC2947(29−1A−2)、DSM ACC2964(29−8B−1)、DSM ACC2959(35−48B−1)、DSM ACC2963(35−50A−2a)、DSM ACC2957(38−10B−1)、DSM ACC2958(38−1A−1)、DSM ACC2948(44−3A−2)、DSM ACC2949(45−2A−1)、DSM ACC2950(45−8A−2)、DSM ACC2951(48−3B−1)、DSM ACC2952(48−4A−1)、DSM ACC2946(49−3A−1)、DSM ACC2945(49−8A−1)、DSM ACC2944(51−1A−1)、DSM ACC2953(53−13A−2)、DSM ACC2955(53−29A−1)、DSM ACC2960(54−4B−2)、DSM ACC2954(56−4A−2)又はDSM ACC3001(62−9B−1)の下で寄託されたハイブリドーマ。
  14. 治療薬に結合した請求項1乃至11のいずれか一項に記載の抗体を含む複合体。
  15. 前記治療薬が、毒素、放射性同位体、薬剤又は細胞傷害性物質である請求項14に記載の複合体。
  16. 請求項1乃至11のいずれか一項に記載の抗体及び/又は請求項14または15に記載の複合体、並びに医薬的に許容される担体を含有する医薬組成物。
  17. GT468を発現する細胞及び/又はその細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞の増殖を阻害する方法であって、細胞を、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の抗体及び/又は請求項14または15に記載の複合体と接触させることを含む方法。
  18. GT468を発現する細胞及び/又はその細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞を死滅させる方法であって、前記細胞を、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の抗体及び/又は請求項14または15に記載の複合体の有効量と接触させることを含む方法。
  19. GT468を発現する細胞及び/又はその細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞の転移拡大を阻害する方法であって、前記細胞を、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の抗体及び/又は請求項14または15に記載の複合体の有効量と接触させることを含む方法。
  20. 被験者においてGT468を発現する細胞及び/又はそれらの細胞表面とGT468の結合を特徴とする細胞が関与する疾患又は障害を治療するか又は予防する方法であって、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の抗体及び/又は請求項14または15に記載の複合体、または請求項16に記載の医薬組成物を前記被験者に投与することを含む方法。
  21. 前記疾患又は障害が腫瘍関連疾患である、請求項20に記載の方法。
  22. 前記腫瘍関連疾患が癌である、請求項21に記載の方法。
  23. 前記癌が、乳癌、肺癌、胃癌、卵巣癌、肝細胞癌、結腸癌、膵臓癌、食道癌、頭頸部癌、腎癌、特に腎細胞癌、前立腺癌、肝臓癌、黒色腫、肉腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、胎盤性絨毛癌、子宮頸癌及び甲状腺癌、並びにそれらの転移形態、並びに肺の転移性癌からなる群より選択される、請求項22に記載の方法。
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