JP2012502013A - 外膜小胞初回刺激−タンパク質追加免疫ワクチン - Google Patents

外膜小胞初回刺激−タンパク質追加免疫ワクチン Download PDF

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Abstract

本発明は、髄膜炎菌外膜小胞調製物を含む初回刺激組成物及び髄膜炎菌タンパク質抗原調製物を含む追加免疫組成物を被験体に投与することを含む、ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitidis)によって引き起こされる疾患に対して被験体を免疫する方法を提供する。初回刺激組成物及び追加免疫組成物を含むワクチン混合物、並びに関連する使用も提供される。
【選択図】なし

Description

本発明は、髄膜炎菌性病原体に対する免疫応答の促進方法の分野に関する。特に、本発明は、ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitidis)によって引き起こされる疾患に対して被験体を免疫する方法、並びに細菌性髄膜炎などの疾患に対する初回刺激−追加免疫ワクチン接種のための組み合わせに関する。
ナイセリア・メニンギティディス(髄膜炎菌としても知られる)は、細菌性髄膜炎及び敗血症の最も一般的な原因である非運動性、グラム陰性の莢膜形成菌である。それは咽頭に定着し、髄膜炎、及び場合により髄膜炎を有さない場合は敗血症を引き起こす。米国では、発病率は、年間100,000人あたり0.6〜1人であり、流行時にはずっと多くなる可能性がある(Liebermanら (1996) JAMA 275 (19): 1499-1503; Schuchatら (1997) N Engl J Med 337 (14): 970-976を参照)。欧州では発病率は国によってかなり異なり、100,000人あたり0.3〜9件である。発展途上国では、風土病の罹患率はずっと高く、流行時には罹患率は年間100,000人あたり500件に達する可能性がある。死亡率は極めて高く、欧州では5〜10%、米国では10〜20%であり、発展途上国ではさらに高い。N. メニンギティディスは、髄膜炎菌性関節炎及び稀であるが肺炎をはじめとする他の重大な感染症にも関係がある。
リスク群としては、乳児及び幼い子供、難民、患者との家族の接触、軍隊入隊者、生きた分離株を用いて仕事をしている大学生及び微生物学者が挙げられる。高い死亡率に加え、生存者が重大な長期的影響、例えば脳障害、難聴、学習障害及び手足の切断を有する場合がある。
N. メニンギティディスの12の血清群が同定されており、4群(A、B、C及びW-135)が主な病原体である。血清群は、髄膜炎菌の莢膜多糖の免疫化学によって決定する。群B及びCは、欧州及び米国で髄膜炎を引き起こす最も一般的な型である。群Yは肺炎と関連し、米国で現在発生率が上昇している。ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)に対するコンジュゲートワクチンの導入後、N. メニンギティディスは、米国では全ての年代における細菌性髄膜炎の主な原因である。
認可されている髄膜炎菌ワクチンは莢膜多糖に基づいている。四価の多糖調製物は、群A、C、Y及びW135に対して防御を提供するが、髄膜炎菌性疾患に最もかかりやすい年齢層である幼い子供では効果がない。多糖が担体タンパク質に化学的に結合しているコンジュゲートワクチンは、子供ではより効果的であり、予防接種を受けた集団で集団免疫を提供する可能性がある。群C疾患のみを標的とするコンジュゲートワクチンは欧州で広く用いられ、四価コンジュゲート体(A、C、W135及びY)は米国で認可されている。群Bの髄膜炎菌の莢膜多糖はワクチン抗原として用いられていない。N. メニンギティディスの血清群Bは、現在、米国、欧州及び南アメリカで全髄膜炎の約50%の原因である。menB莢膜多糖は、哺乳動物組織にも存在するα(2-8)結合型N-アセチルノイラミン酸のポリマーであるため、多糖アプローチを使用することができない。このことは抗原に対する寛容をもたらす;実際、応答が誘起される場合、抗自己(anti-self)であるかもしれないと懸念され、それ故、望ましくない。
ナイセリア・メニンギティディス(髄膜炎菌)による感染に対して免疫する様々なアプローチの1つは、外膜小胞(OMV)を使用することである。血清群Bに対して有効な外膜小胞(OMV)ワクチンが、ノルウェー国立公衆衛生研究所(Norwegian National Institute of Public Health)によって作製されている(Bjuneら(1991) Lancet 338 (8775): 1093-96を参照)。このワクチンは安全で、群B髄膜炎菌性(NmB)疾患を予防するものの、効果はワクチンを作製するために用いる株に限定されている。この限定的な効果は、歴史的にはクラス1外膜タンパク質(OMP)とも称される、免疫優性PorA抗原の抗原変異性によって説明される。外膜調製物に基づく他のワクチンも報告されている。
「RIVM」又はオランダワクチン研究所(Netherlands Vaccine Institute、NVI)のワクチンは、6つの異なるPorA亜型を含有するOMVに基づく。それは、フェーズII臨床試験で子供において免疫原性であることが示されている(de Kleijnら (2001) Vaccine 20:352-358)。
米国特許第5,597,572号及び同第5,747,653号は、65kDaのタンパク質複合体を有するOMVに基づく、血清群Bの髄膜炎菌の様々な病原性血清型に対するワクチンを開示している。WO90/06696号は、遺伝子操作された髄膜炎菌株に由来するOMVと、少なくとも1つのクラス1OMPを含むがクラス2/3 OMPを含まないOMVとを含むワクチンを開示している。
WO94/08021号は、表面ループに突然変異を有するOMPを含むOMV、及び髄膜炎菌のリポ多糖(LPS)の誘導体を含むOMVを開示している。WO01/91788号は、血清群Aの髄膜炎菌に対するOMVに基づくワクチンの調製方法を開示している。
OMVの有効性を改善するための様々な提案があった。WO00/25811号は、トランスフェリン結合タンパク質(例えばTbpA及びTbpB)及び/又はCu,Zn-スーパーオキシドジスムターゼを添加したOMVを含む組成物を開示している。WO01/52885号は、様々なタンパク質を添加したOMVを含む組成物を開示している。
髄膜炎菌のOMVが非相同血清亜型に対して交差防御を誘起できないことは、一般的ワクチンとしての使用を制限するが、それらは、疾患が、基本的にクローンである病原菌株を特徴とする流行状況では、非常に有用である可能性がある。従って、フィンリー研究所(Finlay Institute)のワクチン(VA-MENGOC-BC(TM))は、血清群B疾患がPl.19,15血清型に独占されていたラテンアメリカでは有用であったが、他の場所では効果がなかった(Sacchiら (1998) Rev Inst Med Trop Sao Paulo 40:65-70)。同様に、Chiron社のMeNZB(TM)ワクチンは、ニュージーランドで1991年以降流行している流行株(P1.7b,4、最近の命名法ではPl.7-2,4として知られている)を標的にしている。
米国特許第5,597,572号 米国特許第5,747,653号 WO90/06696号 WO94/08021号 WO01/91788号 WO00/25811号 WO01/52885号
Liebermanら (1996) JAMA 275 (19): 1499-1503 Schuchatら (1997) N Engl J Med 337 (14): 970-976 Bjuneら(1991) Lancet 338 (8775): 1093-96 de Kleijnら (2001) Vaccine 20:352-358 Sacchiら (1998) Rev Inst Med Trop Sao Paulo 40:65-70
そのようなワクチンの成功にもかかわらず、一部の個体は免疫化に対して応答不全を示し、有効レベルの免疫が誘導されない。これは、OMVを用いた免疫化にあまり応答しない傾向がある乳児で特に一般的である。ごく幼い子供は髄膜炎菌性疾患のリスクが最も高いため、このことは、OMVに基づくワクチンの使用に関して主要な問題である。
従って、髄膜炎菌性疾患に対して免疫するための、例えばOMV及び関連するタンパク質抗原に対する免疫応答を増強させるための、新たな且つ改善されたワクチン接種法に対するニーズがある。
発明の概要
一態様において、本発明は、髄膜炎菌OMV調製物を含む初回刺激組成物及び髄膜炎菌タンパク質抗原調製物を含む追加免疫組成物を被験体に投与することを含む、被験体において髄膜炎菌に対する免疫応答を促進する方法を提供する。
別の態様において、本発明は、OMV調製物を含む初回刺激組成物及びタンパク質抗原調製物を含む追加免疫組成物を被験体に投与することを含む、ナイセリア・メニンギティディスによって引き起こされる疾患に対して被験体を免疫する方法を提供する。
別の態様において、本発明は、髄膜炎菌OMV調製物を含む初回刺激組成物と髄膜炎菌タンパク質抗原調製物を含む追加免疫組成物とを含む組み合わせ医薬(pharmaceutical combination)を提供する。
別の態様において、本発明は、髄膜炎菌感染の予防のための個別投与又は逐次投与のための、髄膜炎菌外膜小胞調製物を含む初回刺激組成物と髄膜炎菌タンパク質抗原調製物を含む追加免疫組成物とを含む混合ワクチンを提供する。
別の態様において、本発明は、髄膜炎菌感染の予防又は治療のための混合ワクチンの製造のための、髄膜炎菌外膜小胞調製物を含む初回刺激組成物及び髄膜炎菌タンパク質抗原調製物を含む追加免疫組成物の使用を提供する。
本方法は、髄膜炎菌又はそれに由来する抗原に対する免疫応答を促進する、例えば誘導する又は増強させることを含んでよい。例えば、本方法は、例えば髄膜炎菌性疾患の予防又は治療のため、N. メニンギティディスに対して被験体を免疫する又はワクチン接種することを含んでよい。予防又は治療対象の疾患は、例えば細菌性(髄膜炎菌性)髄膜炎、敗血症、髄膜炎菌性関節炎又は肺炎であり得る。好ましくは、疾患は髄膜炎又は敗血症である。
例えば免疫化が防御を提供する対象の、予防又は治療対象の髄膜炎菌の血清群又は株は、任意の病原性血清型であってよく、特にA、B、C、Y又はW135であってよい。従って、外膜小胞(OMV)及び外膜タンパク質(OMP)は、そのような血清型、例えば血清型A、B、C、Y又はW135に由来してよい。好ましくは、本方法は、N. メニンギティディス血清群Bに対して免疫化すること、又は免疫応答を促進することを含む。
好ましくは、髄膜炎菌タンパク質抗原調製物は、髄膜炎菌外膜タンパク質調製物を含む。タンパク質抗原又は外膜タンパク質調製物は、精製したタンパク質調製物であることが好ましい。OMPは、例えば以下のタンパク質又はそれらの免疫原性断片の1つ以上であってよい:PorA、PorB、FetA、NadA、トランスフェリン結合タンパク質(例えばTbpA及びTbpB)、ラクトフェリン結合タンパク質、ヘム受容体及びハプトグロビン受容体、補体因子H結合タンパク質、Opaタンパク質、NspA、Omp85、PilQ及びCu,Zn-スーパーオキシドジスムターゼ。好ましくはOMPはPorAである。
一実施形態において、初回刺激組成物及び/又は追加免疫組成物はアジュバントを含む。好ましくは、アジュバントはモノホスホリルリピドA又は水酸化アルミニウムを含む。
一実施形態において、OMV調製物は、精製した髄膜炎菌タンパク質抗原又はOMPを含まず、例えばOMV調製物は本質的に外膜小胞からなってよい。同様に、特定の実施形態において、初回刺激組成物は、精製した髄膜炎菌タンパク質抗原又はOMPを含まず、例えば初回刺激組成物は、本質的にOMV及び1種以上の製薬上許容される賦形剤、担体及び/又はアジュバントからなってよい。
一実施形態において、髄膜炎菌タンパク質抗原(例えばOMP)調製物は、外膜小胞を含まず、例えば髄膜炎菌タンパク質抗原又はOMP調製物は、基本的に1種以上の精製した髄膜炎菌タンパク質抗原(例えばOMP)からなる。同様に、特定の実施形態において、追加免疫組成物は、OMVを含まず、例えば追加免疫組成物は、基本的に1種以上の精製した髄膜炎菌タンパク質抗原(例えばOMP)及び1種以上の製薬上許容される賦形剤、担体及び/又はアジュバントからなってよい。
追加免疫組成物は、初回刺激組成物が投与された後、様々な時間で被験体に投与してよい。例えば、一実施形態において、追加免疫組成物は、初回刺激組成物から2〜10週後、好ましくは3〜6週後に投与する。
本発明の実施形態は、髄膜炎菌抗原に対して有利に免疫応答を促進し、それにより、髄膜炎などの疾患に対するワクチンの有効性を増強させ得る。
図1は、OMV及び精製したPorAタンパク質を様々な順番(permutation)で用いて初回刺激及びその後追加免疫したマウスの群についての血清殺菌抗体力価を示す。実験は、アジュバントとしてAl(OH)3及びMPLを用いて繰り返した。群1:OMV初回刺激、OMV追加免疫。群2:OMV初回刺激、PorAタンパク質追加免疫。群3:PorAタンパク質初回刺激、OMV追加免疫。群4:PorAタンパク質初回刺激、PorAタンパク質追加免疫。
外膜小胞(OMV)
本発明の実施形態において、初回刺激組成物は、ナイセリア・メニンギティディスに由来する外膜小胞(OMV)調製物を含む。OMV調製物は、髄膜炎菌OMVを含む任意の形態の組成物であってよい。従って「OMV」としては、細菌外膜を破壊し、外膜のタンパク質成分を含有する外膜の小胞を形成することによって得られる任意のタンパク質リポソーム小胞を含む。
OMVは、例えばWO2004/019977号に記載されるようにして、例えば界面活性剤処理によって、又は非界面活性剤手段によって、細菌から人工的に調製してよい。その語は、ブレブ(bleb)、微小胞(例えばWO02/09643号に記載されるMV)、及び細菌増殖中に自然に形成し、培養培地中に放出される天然に生じる膜小胞である「天然OMV」(例えばKatialら (2002) Infect. Immun. 70:702-707に記載される「NOMV」)も含む。
MVは、ブロス培養培地でナイセリアを培養し、ブロス培養培地中の小さいMVから全細胞を分離し(例えばろ過により、又は細胞のみをペレット化し小さい小胞はペレット化しない低速遠心により)、そしてその後、細胞除去培地からMVを回収する(例えばろ過により、MVの差示的沈殿(differential precipitation)若しくは凝集により、MVを沈殿させる高速遠心により)ことによって得ることができる。MVの製造に使用するための菌株は、一般に培養液中に産生されるMVの量に基づいて選択することができ、例えば米国特許第6,180,111号及びWO01/34642号には高いMV産生を有するナイセリアが記載されている。
OMVは様々な方法で調製することができる。適切な調製物を得る方法は、例えば、本明細書に記載される引用文献に開示されている。OMVを形成させる技術としては、胆汁酸塩界面活性剤、例えばリトコール酸、ケノデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、デオキシコール酸、コール酸、ウルソコール酸などの塩を用いて細菌を処理することが挙げられ、界面活性剤を沈殿させないため十分高いpHでナイセリアを処理するにはデオキシコール酸ナトリウムが好ましい(欧州特許第0011243号及びWO01/91788号を参照)。他の技術は実質的に界面活性剤の非存在下で、超音波処理、ホモジナイゼーション、マイクロフルイダイゼーション、キャビテーション、浸透圧ショック、粉砕、フレンチプレス、混合など(WO2004/019977号を参照)のような技術を用いて行ってよい。
OMVを調製する好ましい方法では、粗OMVに対する高速遠心の代わりの限外ろ過を用いる(WO2005/004908号を参照)。これによって、ずっと大量のOMV含有上清をはるかに短時間で処理することが可能となり(10時間で<1.5リットルと比べて、典型的には4時間で>15リットル)、且つ遠心後、OMVを再分散させる必要がない。超遠心により、大量のOMVをずっと容易に調製することが可能となり、ワクチン調製に使用するための、選択した菌株からのOMVの迅速な製造が可能となる。
特定の実施形態において、初回刺激組成物は、OMVを含むナイセリア・メニンギティディスに対する公知のワクチン、例えばRIVM、VA-MENGOC-BC、MeNZB又はMenBvacであってよい。MenBvac(TM)製品は、ノルウェー株H44/76から調製したOMVを含む。ニュージーランド株NZ98/254から調製したOMVは、MeNZB(TM)製品の基礎を形成する。それらの安全性及び有効性は確認されている。MeNZB(TM)及びMenBvac(TM)はいずれも、0.5ml用量中に50μg/ml(タンパク質の量として測定)の濃度でOMVを含有する。
ワクチン調製物に使用する髄膜炎菌株
目的の髄膜炎菌株の血清亜型の同定は、クラス1ポリンOMP(PorA)に基づく標準的技術を用いて達成することができる。本発明で使用する髄膜炎菌株としては、複数の血清亜型、すなわち複数のPorA対立遺伝子を発現する株が挙げられる。他の実施形態において、髄膜炎菌株は、単一のPorA配列を発現する、すなわち単一の血清亜型のものである。
本発明で使用する髄膜炎菌株は、一般に、限定されるものではないが、以下の血清群の1つのものである:A、B、C、W135、又はY。別の実施形態において、例えば血清群Xをはじめとする他の髄膜炎菌血清群に由来する菌株を本発明に使用してもよい。本発明で使用する髄膜炎菌は、いずれの血清型(例えば1、2a、2b、4、14、15、16など)のものでも、及び/又はいずれの免疫型(例えばL1; L3,3,7; L10;など)のものでもよい。髄膜炎菌は、超侵襲性及び超毒性系統をはじめとするいずれの適切な系統に由来してもよく、例えば以下の7つの超毒性系統のいずれかに由来してもよい:亜群I;亜群III;亜群IV-I;ET-5複合体;ET-37複合体;A4クラスター;系統3。これらの系統は多遺伝子座酵素電気泳動(MLEE)によって定義されているが、多座位配列タイピング(MLST)も髄膜炎菌を分類するために使用されている(Maidenら (1998) PNAS USA 95:3140-3145を参照)。例えば、ET-37複合体はMLSTによればST-11複合体であり、ET-5複合体はST-32(ET-5)であり、系統3はST-41/44である。
髄膜炎菌は、遺伝子(群)の1つ以上のノックアウト突然変異を有してよい。発熱活性を低下させるために、例えば、細菌は低レベルのエンドトキシン(LPS)を有するべきであり、これはLPS生合成に関与する酵素のノックアウトによって達成することができる。好適な突然変異細菌はすでに公知であり、例えば、突然変異体ナイセリア(WO99/10497号を参照)がある。LPSを欠損した外膜をグラム陰性菌から調製する方法は、欧州特許第0624376号に開示されている。
特定のタンパク質の発現をダウンレギュレートすることに加え、細菌は、免疫原、例えばNspA、タンパク質287、タンパク質741、TbpA、TbpB、スーパーオキシドジスムターゼなどを過剰発現(対応する野生株に比べて)してもよい。細菌はまた、内在性ではない1種以上の遺伝子を発現してもよい。例えば、本発明は、対応する野生株と比較して新たな遺伝子を発現する組換え株を使用してよい。こうした非内在性遺伝子の発現は、様々な技術、例えば染色体挿入(van der Leyら (1995) Vaccine 13:401-7に記載されているようにして、複数のPorA遺伝子を導入するために用いられた)、ノックイン突然変異、染色体外ベクターからの、例えばプラスミドからの発現などによって、達成することができる。
髄膜炎菌は好ましくは血清群Bのものである。特定の実施形態において、OMVは、以下の血清亜型の1つを有する髄膜炎菌から調製してよい:P1.2; Pl.2,5; P1.4; P1.5; Pl.5,2; P1.5,c; P1.5c,10; P1.7-2.4, P1.7,16; P1.7,16b; P1.7h,4; P1.9; P1.15; Pl.9,15; Pl.12,13; Pl.13; Pl.14; Pl.21,16; Pl.22,14。しかし、任意の適切な髄膜炎菌血清亜型を本発明に使用してよく、例えばhttp://neisseria.org/に記載されているもののいずれかを使用してよい(例えばhttp://neisseria.org/perl/agdbnet/agdbnet.pl?file=poravr.xmlを参照)。
OMV投与
既存の髄膜炎菌OMVワクチンは、本発明の実施において初回刺激組成物を調製するための薬学的、薬量学的及び製剤化指針を提供する。例えば、VA-MENGOC-BC(TM)は、2mgの水酸化アルミニウムゲルに吸収された菌株Cu-385-83に由来する50μgのOMV及び50μgの血清群C莢膜多糖、並びに0.01%チオマーサル及びリン酸緩衝液を含有する0.5mlの注射可能な懸濁液である。MeNZB(TM)も0.5ml懸濁液であり、1.65mgの水酸化アルミニウムアジュバントに吸収された菌株NZ98/254に由来する25μgのOMV、並びにヒスチジン緩衝液及び塩化ナトリウムを含有する。MenBvacはMeNZB(TM)に似ているが、菌株44/76から調製される。
初回刺激組成物に使用するためのOMVの濃度は、被験体への追加免疫組成物の投与後、防御免疫をもたらすように選択し得る。本発明の初回刺激組成物中のOMVの濃度は、一般に10〜500μg/ml、好ましくは25〜200μg/ml、及びより好ましくは約50μg/ml又は約100μg/mlである(例えばOMV中の総タンパク質に関して表す)。
一部の実施形態において、初回刺激組成物は、2種以上の髄膜炎菌血清亜型に由来するOMVを含有してよい。この場合、個々の血清亜型の用量は、有効性を失うことなく低下させ得る。
髄膜炎菌タンパク質抗原(例えばOMP)調製物
本発明において、追加免疫組成物は、1種以上の特定の髄膜炎菌タンパク質抗原(好ましくは血清群Bに由来する)、又はその免疫原性断片を含んでよい。「髄膜炎菌タンパク質抗原」によって、N. メニンギティディスに由来し、且つ被験体(例えばヒト)に導入すると免疫応答を生じさせる能力を有する任意のタンパク質、ポリペプチド又はそれらの断片を含むことが意図される。好ましくは、髄膜炎菌タンパク質抗原はN. メニンギティディスに特異的である。
好ましくは、髄膜炎菌タンパク質抗原は外膜タンパク質である。「外膜タンパク質」によって、N. メニンギティディスの外表面に見られる任意のタンパク質、例えば髄膜炎菌の外膜中にある、又は外膜と結合したものとして検出できる任意のタンパク質を含むことが意図される。例えば、WO2004/048404号、WO99/24578号、WO99/36544号、WO99/57280号、WO00/22430号、WO96/29412号、WO01/64920号、WO03/020756号又はWO2004/032958号に開示されている外膜タンパク質抗原を使用してよい。好適なOMタンパク質としては、限定されるものではないが、PorA、PorB、FetA、NadA、トランスフェリン結合タンパク質(例えばTbpA及びTbpB)、ラクトフェリン結合タンパク質、ヘム受容体及びハプトグロビン受容体、補体因子H結合タンパク質、Opaタンパク質、NspA、Omp85、PilQ及びCu,Zn-スーパーオキシドジスムターゼ(それらの免疫原性断片を含む)が挙げられる。
追加免疫組成物又はOMP調製物は単一のタンパク質抗原を含んでよく、又は少数の所定の抗原を加えてもよい(10以下(例えば9、8、7、6、5、4、3、2)の精製した抗原の混合物)。免疫原性断片は前記配列からの少なくともn個の連続するアミノ酸を含んでよく、ここでnは7以上(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250又はそれ以上)である。好ましい断片は関連する配列に由来するエピトープを含む。これらのポリペプチドの2種以上(例えば2、3、4、5、6種)を含んでよい。
髄膜炎菌タンパク質抗原調製物は、好ましくは精製したタンパク質調製物である。本発明において使用するための好適な髄膜炎菌タンパク質(外膜タンパク質を含む)は、適切な髄膜炎菌株から精製してよく、又は例えば組換え細胞中で、例えば上記刊行物に記載されているようにして製造してよい。多くのOMPのポリペプチド及びDNA配列は、公知であり、公けにアクセス可能なデータベースから入手できる。
OMV又は髄膜炎菌タンパク質抗原(例えばOMP)を含有する医薬組成物
本発明の初回刺激組成物及び/又は追加免疫組成物は、製薬上許容される担体を含有する医薬組成物であってよい。そのような組成物は、OMV又は髄膜炎菌タンパク質抗原(例えばOMP)を製薬上許容される担体と混合するステップを含む工程を用いて調製することができる。典型的な「製薬上許容される担体」としては、組成物を受容する個体に有害な抗体の産生をそれ自体は誘導しない担体が挙げられる。
好適な担体は、典型的には、大きなゆっくり代謝される巨大分子、例えばタンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合アミノ酸(polymeric amino acid)、アミノ酸コポリマー、及び脂質凝集体(例えば油滴又はリポソーム)である。そのような担体は当業者に周知である。ワクチンは、希釈剤、例えば水、生理食塩水、グリセロールなども含有してよい。さらに、補助的物質、例えば湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝物質、ショ糖などが存在してもよい。無菌の発熱物質不含リン酸緩衝生理食塩水は、例えば注射用の水に基づく典型的な担体である。製薬上許容される賦形剤の徹底した議論は、Gennaro (2000) Remington: The Science and Practice of Pharmacy. 第20版, ISBN: 0683306472で入手できる。
本発明の初回刺激組成物及び/又は追加免疫組成物は、典型的には、乾燥形態(例えば凍結乾燥物)ではなく水性形態(例えば溶液又は懸濁液)である。水性組成物はまた、凍結乾燥形態からワクチンを再構成するのに適している。本発明の組成物をそのような即時再構成に使用する場合には、本発明は2本以上のバイアルを含み得るか、あるいは注射前にバイアルの乾燥成分を再活性化するために使用するシリンジの水性成分を含む1本以上の充填済みシリンジ及び1本以上のバイアルを含み得るキットを提供する。
本発明の初回刺激組成物及び/又は追加免疫組成物はバイアル中に提供されてよく、又は充填済みシリンジ中に提供されてよい。シリンジは針を有するか又は有さずに供給されてよい。組成物は、単位用量形態で又は複数用量形態でパッケージングされてもてよい。シリンジは、一般に、組成物の単一用量を含有するのに対し、バイアルは単一用量又は複数用量を含有してよい。従って、複数用量形態では、バイアルは充填済みシリンジより好ましい。
有効な投与体積は、規定通りに確立することができるが、組成物の典型的なヒト用量は、例えば筋肉注射について約0.5ml量である。RIVMのOMVに基づくワクチンを、大腿部又は上腕に筋肉注射によって0.5ml量で投与した。MeNZB(TM)を、大腿前外側部又は腕の三角筋部に筋肉注射によって0.5mlで投与する。同程度の用量を他の送達経路に使用してよく、例えばOMVに基づく噴霧用鼻腔内ワクチンは、一回のスプレーあたり約100μl又は約130μl量(4回のスプレーを投与すると約0.5mlの総用量を与える)を有してよい。
組成物のpHは好ましくは6〜8であり、より好ましくは6.5〜7.5(例えば約7)である。RIVMのOMVに基づくワクチンのpHは7.4であり、本発明の組成物ではpH<7.5が好ましい。安定なpHは緩衝液、例えばTris緩衝液、リン酸緩衝液、又はヒスチジン緩衝液の使用によって維持し得る。本発明の組成物は一般に緩衝液を含有する。組成物が水酸化アルミニウム塩を含む場合は、例えば1〜10mM、好ましくは約5mMのヒスチジン緩衝液を使用することが好ましい。RIVMのOMVに基づくワクチンは、10mM Tris/HCl緩衝液を使用することによってpHを維持する。組成物は、無菌及び/又は発熱物質を含まないものであり得る。本発明の組成物はヒトに関して等張であり得る。
本発明の初回刺激組成物及び/又は追加免疫組成物は免疫原性であり、より好ましくはワクチン組成物である。本発明のワクチンは、予防的(すなわち感染を防ぐ)又は治療的(すなわち感染を治療する)であってよいが、典型的には予防的である。ワクチンとして使用する免疫原性組成物は、抗原(群)の免疫学的有効量、及び必要に応じ任意の他の成分を含む。「免疫学的有効量」によって、本明細書に記載する組み合わせた初回刺激/追加免疫レジメの一部として、個体にその量を投与することが、治療又は予防に有効であることを意味する。
この量は、治療対象の個体の健康及び生理的状態、年齢、治療対象の個体の分類群(例えば非ヒト霊長類、霊長類など)、抗体を合成する個体の免疫系の能力、所望の防御の程度、ワクチンの製剤設計、医学的状況に対する治療する医者の評価、及び他の関連因子に応じて変化する。その量は、通常の試験によって決定することができる比較的広い範囲に収まることが予期される。本発明の組成物の抗原含量は、一般に、一用量あたりのタンパク質の量として表される。1mlあたり約0.9mgタンパク質の用量は、OMVに基づく鼻腔内ワクチンでは典型的である。
髄膜炎菌は、生体の様々な部位に影響を及ぼし、そのため、本発明の組成物は様々な形態で調製してよい。例えば、組成物は液体溶液又は懸濁液での注射剤として調製してよい。組成物は、例えば微粉末又はスプレーを用いた吸入剤として経肺投与用に調製してよい。組成物は、坐剤又は腟坐剤として調製してよい。組成物は、例えばスプレー剤、点滴剤、ジェル剤又は粉末剤として鼻内投与、耳内投与又は眼内投与用に調製してよい(例えばAlmeida & Alpar (1996) J. Drug Targeting 3:455-467を参照)。筋内投与用注射剤が典型的である。
本発明の初回刺激組成物及び/又は追加免疫組成物は、特に複数用量形態でパッケージングする場合に、抗菌剤を含有してよい。チオマーサル及び2-フェノキシエタノールなどの抗菌剤はワクチンによく見られるが、水銀を使用しない保存料を使用するか、又は保存料を全く使用しないことが好ましい。本発明の組成物は、界面活性剤、例えばTween(ポリソルベート)、例えばTween 80を含んでよい。界面活性剤は一般に低レベルで、例えば<0.01%で存在する。一実施形態において、髄膜炎菌タンパク質抗原調製物は界面活性剤を含む。界面活性剤は、髄膜炎菌タンパク質(例えばOMP)が、免疫応答を誘起するのに適切なコンフォメーションを確実に取ることを補助し得る。
本発明の初回刺激組成物及び/又は追加免疫組成物は、OMV調製物に由来する残存界面活性剤(例えばデオキシコール酸塩)を含有してよい。残存界面活性剤の量は、タンパク質1μgあたり好ましくは0.4μg未満(より好ましくは0.2μg未満)である。本発明の組成物は、髄膜炎菌由来のLPSを含有してよい。LPSの量は、タンパク質1μgあたり好ましくは0.12μg未満(より好ましくは0.05μg未満)である。本発明の組成物は、張度を与えるためナトリウム塩(例えば塩化ナトリウム)を含有してよい。濃度10mg/ml NaClが典型的である。塩化ナトリウムの濃度は、好ましくは約9mg/mlである。
本発明の初回刺激組成物及び/又は追加免疫組成物は、一般に、他の免疫調節剤と共に投与する。特に、組成物は通常1種以上のアジュバントを含有し、本発明は、例えば製薬上許容される担体中にOMV及び/又はOMPとアジュバントとを別々に混合するステップを含む、本発明の組成物を調製する方法を提供する。好適なアジュバントは、Vaccine Design (1995) Powell & Newman編. ISBN: 030644867X, Plenumに論じられており、限定されるものではないが、以下を含む。
A. 無機物含有組成物
本発明におけるアジュバントとしての使用に適した無機物含有組成物としては、無機塩、例えばアルミニウム塩及びカルシウム塩が挙げられる。本発明は、無機塩、例えば水酸化物(例えばオキシ水酸化物)、リン酸塩(例えばヒドロキシリン酸塩、オルトリン酸塩)、硫酸塩など、又は様々な無機化合物の混合物を含み、該化合物は任意の好適な形態を取り(例えばジェル、結晶、非晶質(amorphous)など)、吸着剤(adsorption)が好ましい。無機物含有組成物はまた、金属塩の粒子として製剤化してもよい。
例えば、RIVMワクチンは、リン酸アルミニウム又は水酸化アルミニウムアジュバントに吸収させてよい。MeNZB(TM)、MenBvac(TM)及びVA-MENINGOC-BC(TM)製品は全て、水酸化アルミニウムアジュバントを含有する。
アルミニウムアジュバントの典型的な用量は約3.3mg/mlである(アルミニウムイオン濃度として表す)。
B. 油乳剤
本発明におけるアジュバントとしての使用に適した油乳剤組成物としては、スクアレン−水エマルション、例えばMF59(マイクロフルイダイザー(microfluidizer)を用いて1ミクロン未満の粒子に製剤化される5%スクアレン、0.5%Tween 80、及び0.5%Span 85)が挙げられる。完全フロイントアジュバント(CFA)及び不完全フロイントアジュバント(IFA)も、一部の動物種を免疫する際に使用してよい。
C. サポニン製剤
サポニン製剤も本発明においてアジュバントとして使用してよい。サポニンは、広範な植物種の樹皮、葉、幹、根及び花にさえ見出されるステロールグリコシド及びトリテルペノイドグリコシドの不均一群(heterologous group)である。
キラヤ・サポナリア・モリナ(Quillaia saponaria Molina)の木の樹皮に由来するサポニンは、アジュバントとして広く研究されている。サポニンは、スミラックス・ オルナタ(Smilax ornata)(サルサパリラ(sarsaprilla))、ジプソフィラ・パニキュラータ(Gypsophilla paniculata)(ブライズベール(brides veil))、及びサポナリア・オフィシナリス(Saponaria officianalis)(ソープルート(soap root))から商業的に得ることもできる。サポニンアジュバント製剤としては、精製製剤、例えばQS21、並びに液体製剤、例えばISCOMが挙げられる。QS21はスティミュロン(Stimulon)(TM)として市販されている。
サポニン組成物は、HPLC及びRP-HPLCを用いて精製されている。QS7、QS17、QS18、QS21、QH-A、QH-B及びQH-Cをはじめとする、これらの技術を用いた特定の精製画分が同定されている。好ましくは、サポニンはQS21である。
サポニン製剤はまた、ステロール、例えばコレステロールを含んでもよい。サポニンとコレステロールの組み合わせを用いて、免疫刺激複合体(ISCOM)と称される特有の粒子を形成することができる。ISCOMは、典型的には、リン脂質、例えばホスファチジルエタノールアミン又はホスファチジルコリンも含有する。任意の公知のサポニンをISCOMに使用することができる。好ましくは、ISCOMはQuilA、QHA及びQHCの1つ以上を含む。任意で、ISCOMはさらなる界面活性剤を含まない場合がある。サポニンに基づくアジュバントは、例えばBarrら (1998) Advanced Drug Delivery Reviews 32:247-271にさらに論じられている。
D. ビロソーム及びウイルス様粒子
ビロソーム及びウイルス様粒子(VLP)も本発明においてアジュバントとして使用することができる。これらの構造は、一般に、場合によりリン脂質と組み合わせた又はそれと共に製剤化したウイルスに由来する1種以上のタンパク質を含有する。それらは、一般に非病原性で非複製性であり、一般にいずれの天然ウイルスゲノムも含有しない。ウイルスタンパク質は、ウイルス全体から組換えにより産生又は単離してよい。ビロソーム又はVLPでの使用に適したこれらのウイルスタンパク質としては、インフルエンザウイルス(例えばHA又はNA)、B型肝炎ウイルス(例えばコア又はキャプシドタンパク質)、E型肝炎ウイルス、麻疹ウイルス、シンドビスウイルス、ロタウイルス、口蹄疫ウイルス、レトロウイルス、ノーウォークウイルス、ヒトパピローマウイルス、HIV、RNA-ファージ、Qβ-ファージ(例えばコートタンパク質)、GA-ファージ、fr-ファージ、AP205ファージ、及びTy(例えばレトロトランスポゾンTyタンパク質pi)に由来するタンパク質が挙げられる。VLP及びビロソームは、例えばWO03/024481号及びGluckら (2002) Vaccine 20:B10-B16にさらに論じられている。
E. 細菌誘導体又は微生物誘導体
本発明における使用に適したアジュバントとしては、細菌誘導体又は微生物誘導体、例えば腸内細菌のリポ多糖(LPS)の非毒性誘導体、リピドA誘導体、免疫刺激オリゴヌクレオチド及びADP-リボシル化毒素及びその解毒化誘導体が挙げられる。
LPSの非毒性誘導体としては、モノホスホリルリピドA(MPL)及び3-O-脱アシル化MPL(3dMPL)が挙げられる。3dMPLは、4、5又は6個のアシル化鎖を有する3 脱-O-アシル化モノホスホリルリピドAの混合物である。3脱-O-アシル化モノホスホリルリピドAの好ましい「小粒子」形態は、欧州特許第0689454号に開示されている。3dMPLのそのような「小粒子」は、0.22μmの膜を通って滅菌ろ過されるのに十分小さい。他の非毒性LPS誘導体としては、モノホスホリルリピドA模倣体、例えばアミノアルキルグルコサミニドリン酸誘導体、例えばRC-529(Evansら (2003) Expert Rev Vaccines 2:219-229)が挙げられる。リピドA誘導体としては、大腸菌に由来するリピドAの誘導体、例えばOM-174が挙げられる。OM-174は、例えばMeraldiら (2003) Vaccine 21:2485-2491に記載されている。
本発明におけるアジュバントとしての使用に適した免疫刺激オリゴヌクレオチドとしては、CpGモチーフ(グアノシンにリン酸結合によって結合した非メチル化シトシンを含有するジヌクレオチド配列)を含有するヌクレオチド配列が挙げられる。パリンドローム配列又はポリ(dG)配列を含有する二本鎖RNA及びオリゴヌクレオチドも、免疫刺激性であることが示されている。CpGは、ヌクレオチド修飾/類似体、例えばホスホロチオエート修飾を含むことができ、二本鎖又は一本鎖であり得る。CpGオリゴヌクレオチドのアジュバント作用は、Krieg (2003) Nature Medicine 9:831-835にさらに論じられている。
細菌のADP-リボシル化毒素及びその解毒化誘導体は、本発明においてアジュバントとして使用してよい。
好ましくは、タンパク質は、大腸菌(大腸菌熱不安定性エンテロトキシン「LT」)、コレラ(「CT」)、又は百日咳(「PT」)に由来する。解毒化したADP-リボシル化毒素の粘膜アジュバント及び非経口アジュバントとしての使用はWO95/17211号及びWO98/42375号に記載されている。
F. ヒト免疫調節因子
本発明におけるアジュバントとしての使用に適したヒト免疫調節因子としては、サイトカイン、例えばインターロイキン(例えばIL-I、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-12など)、インターフェロン、マクロファージコロニー刺激因子、及び腫瘍壊死因子が挙げられる。
G. 生体接着剤(bioadhesive)及び粘膜接着剤(mucoadhesive)
生体接着剤及び粘膜接着剤も本発明においてアジュバントとして使用してよい。
好適な生体接着剤としては、エステル化ヒアルロン酸マイクロスフェア、又は粘膜接着剤、例えばポリ(アクリル酸)の架橋誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、多糖及びカルボキシメチルセルロースが挙げられる。キトサン及びその誘導体も本発明においてアジュバントとして使用してよい。
H. 微粒子
微粒子も本発明においてアジュバントとして使用してよい。
微粒子(すなわち直径100nm〜150μm、より好ましくは直径200nm〜30μm、最も好ましくは直径500nm〜10μmの粒子)は生分解性及び非毒性の物質(例えばポリ(a-ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリカプロラクトンなど)から形成され、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)が好ましく、場合により、負電荷表面(例えばSDSで)又は正電荷表面(例えば陽イオン界面活性剤、例えばCTABで)を有するように処理される。
I. リポソーム
アジュバントとしての使用に適したリポソーム製剤の例は、米国特許第6,090,406号、同第5,916,588号及び欧州特許第0626169号に記載されている。
J. ポリオキシエチレンエーテル製剤及びポリオキシエチレンエステル製剤
本発明における使用に適したアジュバントとしては、ポリオキシエチレンエーテル及びポリオキシエチレンエステルがある。そのような製剤としては、オクトキシノールと組み合わせたポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤、並びに少なくとも1種のさらなる非イオン性界面活性剤、例えばオクトキシノール、と組み合わせたポリオキシエチレンアルキルエーテル若しくはエステル界面活性剤がさらに挙げられる。好ましいポリオキシエチレンエーテルは以下の群から選択される:ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル(ラウレス9)、ポリオキシエチレン-9-ステアリル(steoryl)エーテル、ポリオキシエチレン-8-ステアリル(steoryl)エーテル、ポリオキシエチレン-4-ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン-35-ラウリルエーテル、及びポリオキシエチレン-23-ラウリルエーテル。
K. ポリホスファゼン(PCPP)
PCPP製剤は、例えばAndrianovら (1998) Biomaterials 19:109-115に記載されている。
L. ムラミルペプチド
本発明におけるアジュバントとしての使用に適したムラミルペプチドの例としては、N-アセチル-ムラミル-L-トレオニル-D-イソグルタミン(thr-MDP)、N-アセチル-ノルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン(nor-MDP)、及びN-アセチルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミニル-L-アラニン-2-(r-2’-ジパルミトイル-5n-グリセロ-3-ヒドロキシホスホリルオキシ)-エチルアミン(MTP-PE)が挙げられる。
M. イミダゾキノロン化合物
本発明におけるアジュバントとしての使用に適したイミダゾキノロン化合物の例としては、イミクアモド(Imiquamod)及びその同族体(例えば「レシキモド(Resiquimod)3M」)が挙げられ、Stanley (2002) Clin Exp Dermatol 27:571-577にさらに記載されている。
本発明はまた、上に示したアジュバントの1種以上の態様の組み合わせを含んでもよい。
一実施形態において、アジュバントはアルミニウム塩、例えば水酸化アルミニウムである。
治療方法
本発明はまた、本発明の初回刺激組成物及び追加免疫組成物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物において免疫応答を誘起する方法を提供する。免疫応答は防御性であることが好ましく、抗体を伴うことが好ましい。本方法は、すでに初回刺激組成物の投与によってN. メニンギティディスに対して初回刺激を受けている被験体において追加免疫応答を誘起し得る。
OMVのための皮下及び鼻腔内初回刺激/追加免疫レジメは、Bakkeら (2001) Infect. Immun. 69:5010-5015に開示されている。本発明は、初回刺激剤がOMVを含み、追加免疫剤が髄膜炎菌タンパク質抗原(例えばOMP)を含むことを除いて、同様の初回刺激−追加免疫レジメを用いて行ってよい。
哺乳動物(例えば本明細書に記載される方法のいずれかにおいて言及される被験体)は好ましくはヒトである。ワクチンが予防用である場合、ヒトは好ましくは子供(例えば幼児又は乳児)又は10代の若者である。ワクチンが治療用である場合、ヒトは好ましくは成人である。子供用に意図されるワクチンは、例えば安全性、投与量、免疫原性などを評価するために、成人に投与してもよい。
本発明はまた、医薬として使用するための、本発明のOMV組成物及び髄膜炎菌タンパク質抗原(例えばOMP)組成物及び混合物を提供する。医薬は、本明細書に記載するように初回刺激−追加免疫レジメの一部として哺乳動物に免疫応答を誘起することができることが好ましく(すなわちそれは免疫原性組成物であり)、ワクチンであることがより好ましい。
本発明はまた、哺乳動物に免疫応答を誘起するための混合ワクチンの製造における、OMV組成物及び髄膜炎菌タンパク質抗原(例えばOMP)組成物の使用を提供し、ここでOMV組成物は初回刺激剤として投与し、髄膜炎菌タンパク質抗原(例えばOMP)組成物は追加免疫剤として投与する。
これらの使用及び方法は、好ましくは、N. メニンギティディスによって引き起こされる疾患、例えば細菌性(又は、より具体的には髄膜炎菌性)髄膜炎、又は敗血症の予防及び/又は治療用である。
治療的処置の有効性を確認する1つの方法では、本発明の組成物の投与後におけるナイセリア感染のモニタリングを行う。予防的処置の有効性を確認する1つの方法では、組成物の投与後におけるOMV抗原に対する免疫応答のモニタリングを行う。本発明の組成物の免疫原性は、被験体(例えば12〜16ヶ月の子供、又は動物モデル)を試験するためにそれらに投与し、その後、血清殺菌抗体(SBA)及びELISA力価(GMT)をはじめとする標準的パラメーターを測定することによって決定することができる。これらの免疫応答は、一般に、組成物の投与から約4週後に測定し、組成物の投与前に測定した値と比較する。
少なくとも4倍又は8倍のSBA上昇が好ましい。2用量以上の組成物を投与する場合、2回以上の投与後測定を行ってよい。本発明の好ましい組成物は、被験体において、許容される割合のヒト被験体に対する血清抗体保有率(seroprotection)についての基準より優れた抗体力価を与えることができる。それを超えると宿主が抗原に対して血清抗体陽転(seroconverted)していると考えられる関連抗体力価を有する抗原が周知であり、そのような力価はWHOなどの組織によって公開されている。好ましくは80%を超える、より好ましくは90%を超える、さらに好ましくは93%を超える、最も好ましくは96〜100%の、被験体の統計的に有意な試料が血清抗体陽転される。
本発明の組成物は一般に被験体に直接投与する。直接の送達は、非経口注射によって(例えば皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内に、又は組織の間質腔へ)、又は直腸、経口、膣内、局所、経皮、鼻腔内、眼内、耳内、経肺又は他の粘膜投与によって達成してよい。大腿部又は上腕への筋内投与が好ましい。注射は針(例えば皮下注射針)を介してよいが、無針注射を代わりに使用してもよい。典型的な筋内用量は0.5mlである。
投薬治療は、単一用量計画又は複数用量計画であり得る。複数用量は、初回免疫免疫化計画及び/又は追加免疫免疫化計画に使用してよい。初回免疫用量計画の後に追加免疫用量計画を行う。
初回刺激(プライミング)用量間(例えば4〜16週)、及び初回刺激と追加免疫間の適切な時間は、規定通りに決定することができる。OMVに基づくRIVMワクチンを、0、2及び8ヶ月又は0、1、2及び8ヶ月にワクチン接種する3又は4用量の初回免疫計画を用いて試験した。MeNZB(TM)を6週間隔で3用量として投与する。初回免疫用量計画(OMV調製物を使用する)の後に追加免疫用量計画(OMP調製物を使用する)を行う場合、同様の初回刺激用量レジメを本発明に使用してよい。
上記のように、本発明の初回刺激用量計画は、別個に又は混合して、N. メニンギティディスの2種以上の血清亜型に由来する小胞の投与を伴ってよい。
従って、一実施形態において、本方法は、髄膜炎菌OMV調製物を被験体に初回刺激用量として投与すること、及びその後、髄膜炎菌タンパク質抗原(例えばOMP)調製物を被験体に追加免疫用量として投与することを伴う。一実施形態において、初回刺激用量は0時点に与え、追加免疫用量は初回刺激用量の2週〜12ヵ月後、例えば4〜12週後の間に与える。別の実施形態において、1以上のさらなる初回刺激用量(例えば1又は2のさらなる初回刺激用量)を、最初の初回刺激用量の0〜6週後の間に与え、そして1以上の追加免疫用量(例えば1〜3追加免疫用量)を、最初の初回刺激用量の6週〜12ヵ月後の間に与える。被験体には、各用量において、同じ又は異なる量の初回刺激組成物及び/又は追加免疫組成物を投与してよい。
本発明は全身性免疫及び/又は粘膜免疫を誘起するために使用してよい。
一般に、本発明の組成物は、被験体に投与した後、血清殺菌抗体応答を誘導することができる。これらの応答は便利なことにマウスで測定され、ワクチンの有効性の標準的指標である(例えばPizzaら (2000) Science 287:1816-1820を参照)。
血清殺菌活性(SBA)は、補体が介在する殺菌を測定し、ヒト又は生まれたてのウサギの補体を用いてアッセイすることができる。多糖に基づくワクチンに関するWHO基準(OMV又はタンパク質に基づくワクチンに特に関するものではないが)は、ワクチンが、90%を超える受容者で、SBAにおいて少なくとも4倍の上昇を誘導することを要する。MeNZB(TM)は、3番目の用量の投与の4〜6週後、SBAにおいて4倍の上昇を誘起する。本発明において、90%を超える受容者で、SBAにおける少なくとも4倍の上昇が、好ましくは追加免疫組成物投与の4〜6週後に誘導される。
本発明の混合ワクチン(すなわち初回刺激組成物及び追加免疫組成物)は、1種以上の超毒性系統に対する、及び他の系統、例えば超侵襲性系統に対する殺菌抗体応答をさらに誘導してよい。菌株の好ましい群には、以下の国のうち少なくとも4つにおいて単離される菌株が含まれる:GB、AU、CA、NO、IT、US、NZ、NL、BR及びCU。
血清は、好ましくは少なくとも256又はそれ以上、より好ましくは512、1024、2048、4096又はそれ以上の殺菌力価を有し、例えば血清は、Pizzaら (2000) Science 287:1816-1820に記載されているように、1/1024希釈した場合、特定の菌株の試験細菌の少なくとも50%を殺すことができる。
好ましい組成物は、例えばクラスターA4に由来する血清群B髄膜炎菌株(例えば菌株961-5945(B:2b:P1.21,16)及び/又は菌株G2136)、ET-5複合体に由来する血清群B髄膜炎菌株(例えば菌株MC58(B:15:P1.7,16b)及び/又は菌株44/76(B:15:P1.7,16))又は系統3に由来する血清群B髄膜炎菌株(例えば菌株394/98(B:4:P1.4)及び/又は菌株BZ198)をはじめとする、様々な髄膜炎菌株に対する殺菌応答を誘導することができる。菌株961-5945及びG2136はいずれも、ナイセリアMLST基準株である(Tettelinら (2000) Science 287:1809-1815, Petterssonら (1994) Microb Pathog 17(6):395-408及びhttp://neisseria.org/nm/typing/mlst/を参照)。一実施形態において、髄膜炎菌株はNZ98/254である。
さらなる抗原成分
OMVを含有することに加え、一部の実施形態において、本発明の初回刺激組成物は、さらなる非小胞性抗原、例えば血清群A、C、W135及び/又はYに由来するN. メニンギティディスに由来する糖抗原を含んでよい。糖又は炭水化物抗原を使用する場合、免疫原性を増強させるために、それは担体に結合していることが好ましい。髄膜炎菌の糖抗原の結合は周知である。初回刺激組成物はまた、異なる病原体に由来する1種以上の抗原(例えば破傷風及びジフテリア抗原)を含んでもよい。好ましくは、初回刺激組成物は精製した髄膜炎菌タンパク質抗原を含まない。
本組成物の抗原は、典型的には、少なくとも各1μg/mlの濃度で存在する。一般に、いずれの抗原の濃度も、その抗原に対する免疫応答を誘起するのに十分である。
本発明の組成物におけるタンパク質抗原の使用に代わるものとして、抗原をコードする核酸を使用してもよい。従って、本発明の組成物のタンパク質成分は、タンパク質をコードする核酸(好ましくはDNA、例えばプラスミドの形態のもの)によって置換してよい。
本明細書で使用する場合、「含む(comprising)」という用語は「含有する(including)」及び「からなる(consisting)」を包含し、例えばXを「含む」組成物は、本質的に又は専らXからなってよく、あるいはさらなる成分を含有してよい。
本発明はほんの一例として記載されており、本発明の範囲と精神の中で改変し得ることは理解されるであろう。
参考文献
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本明細書に記載されている特許出願及び特許のそれぞれ、並びに前記特許出願及び特許のそれぞれに引用又は参照されている各文献、そして特許出願及び特許のそれぞれ並びに特許出願に引用されている文献に引用又は記載されている製造業者の説明書又はカタログは、参照により本明細書に援用される。さらに、本明細書に引用されている全ての文献、並びに本明細書に引用されている文献中に引用又は参照されている全ての文献、そして本明細書に引用又は記載されている製品に対する製造業者の説明書又はカタログは、参照により本明細書に援用される。
記載されている本発明の方法及びシステムの様々な改変及び変形が、本発明の範囲と精神から逸脱することなく当業者にとって明らかである。本発明は具体的な好ましい実施形態に関連して記載されているが、特許請求されている本発明がそのような具体的な実施形態に過度に限定されるべきではなく、それに対する多くの改変及び付加が本発明の範囲内でなされてよいことは理解されるべきである。実際、本発明を実施するために記載されている態様の、免疫学、分子生物学又は関連分野の当業者に自明な様々な改変が、特許請求の範囲内に意図される。さらに、従属項の構成の様々な組み合わせを、本発明の範囲から逸脱することなく、独立項の構成とともに作製することができる。
髄膜炎菌外膜抗原に対する免疫応答を最適化するための初回刺激-追加免疫法
臨床試験では、外膜小胞(OMV)を用いた免疫化が、ナイセリア・メニンギティディスによって引き起こされる疾患に対する防御をもたらすことが示されている(Bjuneら, 1991;Sierraら, 1991)。OMVは、界面活性剤の存在下で該生物から抽出され、インタクトな細菌の外膜と同一の、タンパク質抗原の補体を含有する(Poolmanら, 2006)。OMVワクチンがもたらす防御は、特に感染に最もかかりやすい若者で、菌株特異的である傾向がある。なぜならば、主要な殺菌抗体応答が、可変PorA抗原に対するものであるからである(Tapperoら, 1999)。ワクチン開発者らは、保存されたタンパク質抗原についてゲノムを探索するか(Rappuoli, 2001)又はPorAなどの可変のタンパク質抗原の組み合わせに基づく製剤を開発する(van den Dobbelsteenら, 2006;Urwinら, 2004)という、この問題に対し正反対のアプローチをとっている。
本実施例は、髄膜炎菌表面に発現される防御性エピトープに対する免疫応答を最適化するための新規免疫法を実証する。本実施例では、PorAを外膜タンパク質として使用するが、別の実施形態では、他の保存された又は他の可変のタンパク質抗原を使用してもよい。
方法
雌のNIHマウス(10匹/群)を、図1に示すように1μgのOMV(菌株NZ98/254)又は10μgの精製したPorAタンパク質(P1.7-2,4)の初回刺激及び追加免疫で皮下免疫した。追加免疫用量は初回刺激の3週後に投与した。水酸化アルミニウムアジュバント(Alum)又はMPLアジュバント(モノホスホリルリピドA + TDM、Sigma)を使用した。マウスから追加免疫用量の2週間後に採血した。
PorAタンパク質に対してマウスモデルで誘導されるワクチン防御は、生まれたてのウサギの補体及びN. メニンギティディス株Z6426/9140を用いた血清殺菌アッセイ(SBA)によって決定した。SBA力価は、生菌数対照と比べて≧50%の殺菌をもたらす血清希釈率の逆数の幾何平均として報告した。
Minitab 15を用いて共分散の解析のための一般線形モデルによってデータを解析した。
結果と考察
結果を図1に示す。
本研究では、OMV及び精製したPorAタンパク質成分の様々な組み合わせを用いた初回刺激及び追加免疫後のPorA抗原に対する殺菌応答を比較した。結果は、免疫系を初回刺激するために用いた抗原の提示(すなわち精製したタンパク質として又はOMV中で)が、追加免疫剤として用いた抗原の提示より殺菌応答において大きな効果を与えることを示している。使用するアジュバントにかかわらず、殺菌抗体力価は、OMVワクチンで初回刺激し、精製したPorAタンパク質で追加免疫したマウスの群で最も高く、このことは、追加免疫用量で特異的にPorA(又は他の抗原候補)を標的化することによって、OMVによって誘起される殺菌応答を改善できることを示している。
いかなる理論にも拘束されるものではないが、これらの結果に対する可能性のある説明としては、OMVを用いた初回刺激が、優れた殺菌応答のための正しいコンフォメーションで防御性PorAエピトープを提供する、ということである。精製したタンパク質を用いたその後の追加免疫は、応答が、選択した抗原、この場合にはPorAを特異的に標的化することを保証する。さらに、OMVで免疫応答を初回刺激することは、補体が介在する殺菌に最も有効なIgGのサブクラスが優勢である強いTh1応答を保証する。これは、MPL(優れたTh1型応答を誘起することが知られているアジュバント)の使用で観察される増強された殺菌応答と一致する。
PorAはOMV調製物中で免疫優性であるが、PorB、FetA、トランスフェリン結合タンパク質、ラクトフェリン結合タンパク質、ヘム受容体及びハプトグロビン受容体、補体因子H結合タンパク質、NadA、Opaタンパク質、NspA、Omp85、PilQ及びゲノム配列データから同定されてい機能未確認の多くの他のタンパク質をはじめとする多くの他の外膜タンパク質抗原が、現在、ワクチン開発者らによって評価されている。OMVを用いた初回刺激及び精製したタンパク質を用いた追加免疫の原理は、これらの他の抗原に同様に適用できる。例えば、別の実施形態において、PorAに対して本明細書に記載されている初回刺激−追加免疫法は、FetA抗原を用いて実施し得る。
タンパク質抗原に対する応答とは反対に、乳児は、OMVを用いた免疫化にあまり応答しない傾向がある。本発明の実施形態において、OMVを用いた初回刺激及び精製した外膜タンパク質を用いた追加免疫を組み合わせた初回刺激−追加免疫法の使用は、髄膜炎菌性疾患のリスクが最も高い幼い子供において強力な防御応答を保証し得る。

Claims (17)

  1. 髄膜炎菌外膜小胞調製物を含む初回刺激組成物及び髄膜炎菌タンパク質抗原調製物を含む追加免疫組成物を被験体に投与することを含む、ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitidis)によって引き起こされる疾患に対して被験体を免疫する方法。
  2. 疾患が、髄膜炎、敗血症、髄膜炎菌性関節炎又は肺炎である、請求項1に記載の方法。
  3. 疾患が、ナイセリア・メニンギティディス血清型A、B、C、Y又はW135によって引き起こされる、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 外膜小胞調製物及び/又は髄膜炎菌タンパク質抗原調製物が、ナイセリア・メニンギティディス血清型Bに由来する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 髄膜炎菌タンパク質抗原調製物が、ナイセリア・メニンギティディス株NZ98/254又はH44/76に由来する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 初回刺激組成物が、RIVM、VA-MENGOC-BC、MeNZB又はMenBvacワクチン組成物を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 髄膜炎菌タンパク質抗原調製物が、髄膜炎菌外膜タンパク質調製物を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 外膜タンパク質調製物が、PorA、PorB、FetA、NadA、トランスフェリン結合タンパク質、ラクトフェリン結合タンパク質、ヘム受容体及びハプトグロビン受容体、補体因子H結合タンパク質、Opaタンパク質、NspA、Omp85、PilQ、Cu,Zn-スーパーオキシドジスムターゼ及びそれらの免疫原性断片からなる群より選択される1種以上の精製したタンパク質を含む、請求項7に記載の方法。
  9. 外膜タンパク質調製物が、精製したPorA又はその免疫原性断片を含む、請求項8に記載の方法。
  10. 外膜タンパク質調製物が、ナイセリア・メニンギティディス血清型P1.7-2.4に由来する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 初回刺激組成物及び/又は追加免疫組成物がアジュバントを含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. アジュバントが、モノホスホリルリピドA又は水酸化アルミニウムを含む、請求項11に記載の方法。
  13. 追加免疫組成物を、初回刺激組成物を被験体に投与してから2週〜12ヵ月後に投与する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 髄膜炎菌外膜小胞調製物を含む初回刺激組成物及び髄膜炎菌外膜タンパク質調製物を含む追加免疫組成物を被験体に投与することを含む、被験体において髄膜炎菌に対する免疫応答を促進する方法。
  15. 髄膜炎菌外膜小胞調製物を含む初回刺激組成物と髄膜炎菌タンパク質抗原調製物を含む追加免疫組成物とを含む、組み合わせ医薬(pharmaceutical combination)。
  16. 髄膜炎菌感染の予防のための個別投与又は逐次投与のための、髄膜炎菌外膜小胞調製物を含む初回刺激組成物と髄膜炎菌タンパク質抗原調製物を含む追加免疫組成物とを含む、混合ワクチン。
  17. 髄膜炎菌感染の予防又は治療のための混合ワクチンの製造のための、髄膜炎菌外膜小胞調製物を含む初回刺激組成物及び髄膜炎菌タンパク質抗原調製物を含む追加免疫組成物の使用。
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