JP2012255364A - 多気筒内燃機関 - Google Patents

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Abstract

【課題】使用燃料のアルコール濃度を把握する。
【課題手段】アルコール燃料を使用可能な多気筒内燃機関は、排気通路に設けられた触媒の温度を検出する温度センサと、排気通路に設けられた空燃比センサとを備える。空燃比センサの出力変動度合いに相関する出力変動パラメータXを算出する。少なくとも温度センサによって検出された触媒温度Tcと、算出された出力変動パラメータXとに基づき、使用燃料のアルコール濃度を推定する。
【選択図】図7

Description

本発明は多気筒内燃機関に係り、特にアルコール燃料を使用可能な多気筒内燃機関に関する。
一般に、触媒を利用した排気浄化システムを備える内燃機関では、排気中有害成分の触媒による浄化を高効率で行うため、内燃機関で燃焼される混合気の空気と燃料との混合割合、すなわち空燃比のコントロールが欠かせない。こうした空燃比の制御を行うため、内燃機関の排気通路に空燃比センサを設け、これによって検出された空燃比を所定の目標空燃比に一致させるようフィードバック制御を実施している。
一方、多気筒内燃機関においては、通常全気筒に対し同一の制御量を用いて空燃比制御を行うため、空燃比制御を実行したとしても実際の空燃比が気筒間でばらつくことがある。このときばらつきの程度が小さければ、空燃比フィードバック制御で吸収可能であり、また触媒でも排気中有害成分を浄化処理可能なので、排気エミッションに影響を与えず、特に問題とならない。
しかし、例えば一部の気筒の燃料噴射系が故障するなどして、気筒間の空燃比が大きくばらつくと、排気エミッションを悪化させてしまい、問題となる。このような排気エミッションを悪化させる程の大きな空燃比ばらつきは異常として検出するのが望ましい。特に自動車用内燃機関の場合、排気エミッションが悪化した車両の走行を未然に防止するため、気筒間空燃比ばらつき異常を車載状態(オンボード)で検出することが要請されている。
例えば特許文献1に記載の装置では、触媒の前後に設置された空燃比センサの出力乖離に基づき、気筒間空燃比ばらつき異常を検出するようにしている。
特開2009−30455号公報
ところで、代替燃料としてのアルコール燃料を使用可能な多気筒内燃機関を搭載した車両(所謂FFV(Flexible Fuel Vehicle))が実用化されている。かかる内燃機関においては、基準のガソリン燃料に対し一定濃度のアルコール燃料を含む燃料が使用可能である。
かかる内燃機関において上述のばらつき異常検出を行うと、使用燃料のアルコール濃度に応じて検出結果が異なる場合があることが判明した。よってばらつき異常検出を実施する上で、使用燃料のアルコール濃度を把握することが好適である。
そこで本発明は、上記事情に鑑みて創案され、その目的は、使用燃料のアルコール濃度を把握することが可能な多気筒内燃機関を提供することにある。
本発明の一の態様によれば、
アルコール燃料を使用可能な多気筒内燃機関であって、
前記内燃機関の排気通路に設けられた触媒の温度を検出する温度センサと、
前記内燃機関の排気通路に設けられた空燃比センサと、
前記空燃比センサの出力変動度合いに相関する出力変動パラメータを算出する算出手段と、
少なくとも前記温度センサによって検出された触媒温度と、前記算出手段によって算出された出力変動パラメータとに基づき、使用燃料のアルコール濃度を推定する推定手段と、
を備えることを特徴とする多気筒内燃機関が提供される。
好ましくは、前記多気筒内燃機関は、前記内燃機関の吸入空気量を検出する吸入空気量検出手段をさらに備え、
前記推定手段は、前記吸入空気量検出手段によって検出された吸入空気量にも基づいて前記アルコール濃度を推定する。
好ましくは、前記推定手段は、少なくとも前記触媒温度および前記出力変動パラメータと、前記アルコール濃度との間の所定の関係を利用して前記アルコール濃度を推定する。
好ましくは、前記多気筒内燃機関は、前記算出手段によって算出された出力変動パラメータと所定の判定値とに基づき、気筒間空燃比ばらつき異常を検出する異常検出手段をさらに備え、
前記異常検出手段は、前記推定手段によって推定されたアルコール濃度に基づき、前記出力変動パラメータと前記判定値の一方を補正し、この補正された一方と他方とに基づきばらつき異常を検出する。
好ましくは、前記異常検出手段は、いずれも補正されていない前記出力変動パラメータと所定の第1判定値とに基づき、ばらつき異常無しとする正常判定、ばらつき異常有りとする異常判定、および保留判定のいずれかを実行し、且つ、前記保留判定を実行したとき、前記推定手段によって推定されたアルコール濃度に基づき、前記出力変動パラメータと所定の第2判定値の一方を補正し、この補正された一方と他方とに基づきばらつき異常を検出する。
好ましくは、前記異常検出手段は、前記推定手段によりアルコール濃度が適切に推定されなかった場合、前記触媒および前記温度センサの少なくとも一つを異常と判定する。
本発明によれば、使用燃料のアルコール濃度を把握することが可能な多気筒内燃機関を提供することができるという、優れた効果が発揮される。
本発明の実施形態に係る内燃機関の概略図である。 触媒前センサおよび触媒後センサの出力特性を示すグラフである。 気筒間空燃比ばらつき度合いに応じた排気空燃比の変動を示すグラフである。 図3のU部に相当する拡大図である。 インバランス割合と出力変動パラメータの関係を示すグラフである。 インバランス割合と触媒温度の関係を示すグラフである。 アルコール濃度推定マップの一例を示す。 アルコール濃度推定マップの一例を示す。 ばらつき異常検出ルーチンのフローチャートである。 保留時処理のフローチャートである。 アルコール濃度補正係数の算出マップである。 本実施形態の変形例に係る異常判定用マップである。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき説明する。
図1は、本実施形態に係る内燃機関の概略図である。図示されるように、内燃機関(エンジン)1は、シリンダブロック2に形成された燃焼室3の内部で燃料および空気の混合気を燃焼させ、燃焼室3内でピストンを往復移動させることにより動力を発生する。本実施形態の内燃機関1は自動車に搭載された多気筒内燃機関であり、より具体的には直列4気筒火花点火式内燃機関である。内燃機関1は#1〜#4気筒を備える。但し気筒数、形式等は特に限定されない。
特に本実施形態の内燃機関1は、燃料として、アルコール燃料とガソリン燃料とをそれぞれ単独でまたは混合して使用可能なFFV用エンジンとして構成されている。燃料のアルコール濃度は0%(ガソリンのみ)〜100%(アルコールのみ)の範囲内でユーザが任意に設定可能である。以下、特に言及しない限り、基準燃料であるガソリンのみが使用燃料であるとして説明を進める。なお使用燃料がガソリンのみである状態を基準状態という。
図示しないが、内燃機関1のシリンダヘッドには吸気ポートを開閉する吸気弁と、排気ポートを開閉する排気弁とが気筒ごとに配設されており、各吸気弁および各排気弁はカムシャフトによって開閉させられる。シリンダヘッドの頂部には、燃焼室3内の混合気に点火するための点火プラグ7が気筒ごとに取り付けられている。
各気筒の吸気ポートは気筒毎の枝管4を介して吸気集合室であるサージタンク8に接続されている。サージタンク8の上流側には吸気管13が接続されており、吸気管13の上流端にはエアクリーナ9が設けられている。そして吸気管13には、上流側から順に、吸入空気量を検出するためのエアフローメータ5と、電子制御式のスロットルバルブ10とが組み込まれている。吸気ポート、枝管、サージタンク8及び吸気管13により吸気通路が形成される。
吸気通路、特に吸気ポート内に燃料を噴射するインジェクタ(燃料噴射弁)12が気筒ごとに配設されている。インジェクタ12から噴射された燃料は吸入空気と混合されて混合気をなし、この混合気が吸気弁の開弁時に燃焼室3に吸入され、ピストンで圧縮され、点火プラグ7で点火燃焼させられる。
一方、各気筒の排気ポートは排気マニフォールド14に接続される。排気マニフォールド14は、その上流部をなす気筒毎の枝管14aと、その下流部をなす排気集合部14bとからなる。排気集合部14bの下流側には排気管6が接続されている。排気ポート、排気マニフォールド14及び排気管6により排気通路が形成される。
排気管6の上流側と下流側にはそれぞれ三元触媒からなる触媒、すなわち上流触媒11と下流触媒19が直列に取り付けられている。上流触媒11の上流側及び下流側にそれぞれ排気ガスの空燃比を検出するための第1及び第2の空燃比センサ、即ち触媒前センサ17及び触媒後センサ18が設置されている。これら触媒前センサ17及び触媒後センサ18は、上流触媒11の直前及び直後の位置に設置され、排気中の酸素濃度に基づいて空燃比を検出する。このように上流触媒11の上流側の排気合流部に単一の触媒前センサ17が設置されている。上流触媒11が本発明にいう「触媒」に該当し、触媒前センサ17が本発明にいう「空燃比センサ」に該当する。
上述の点火プラグ7、スロットルバルブ10及びインジェクタ12等は、制御手段としての電子制御ユニット(以下ECUと称す)20に電気的に接続されている。ECU20は、何れも図示されないCPU、ROM、RAM、入出力ポート、および記憶装置等を含むものである。またECU20には、図示されるように、前述のエアフローメータ5、触媒前センサ17、触媒後センサ18のほか、内燃機関1のクランク角を検出するクランク角センサ16、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ15、内燃機関1の冷却水の温度を検出する水温センサ22、上流触媒11の温度(床温)を検出する温度センサ21、その他の各種センサが図示されないA/D変換器等を介して電気的に接続されている。ECU20は、各種センサの検出値等に基づいて、所望の出力が得られるように、点火プラグ7、スロットルバルブ10、インジェクタ12等を制御し、点火時期、燃料噴射量、燃料噴射時期、スロットル開度等を制御する。なおスロットル開度は通常アクセル開度に応じた開度に制御される。
温度センサ21は、その温度検出部(素子部)が上流触媒11に挿入されて触媒床温を直接検出するようになっている。その温度検出部の位置については基本的には任意であるが、本実施形態では後述する理由から、上流触媒11の流路長Lの中間位置L/2よりも上流側(前側)とされている。
触媒前センサ17は所謂広域空燃比センサからなり、比較的広範囲に亘る空燃比を連続的に検出可能である。図2に触媒前センサ17の出力特性を示す。図示するように、触媒前センサ17は、排気空燃比に比例した大きさの電圧信号Vfを出力する。排気空燃比がストイキ(理論空燃比、例えばA/F=14.6)であるときの出力電圧はVreff(例えば約3.3V)である。
他方、触媒後センサ18は所謂O2センサからなり、ストイキを境に出力値が急変する特性を持つ。図2に触媒後センサ18の出力特性を示す。図示するように、排気空燃比がストイキであるときの出力電圧、すなわちストイキ相当値はVrefr(例えば0.45V)である。触媒後センサ18の出力電圧は所定の範囲(例えば0〜1V)内で変化する。排気空燃比がストイキよりリーンのとき、触媒後センサの出力電圧はストイキ相当値Vrefrより低くなり、排気空燃比がストイキよりリッチのとき、触媒後センサの出力電圧はストイキ相当値Vrefrより高くなる。
上流触媒11及び下流触媒19は、それぞれに流入する排気ガスの空燃比A/Fがストイキ近傍のときに排気中の有害成分であるNOx,HCおよびCOを同時に浄化する。この三者を同時に高効率で浄化できる空燃比の幅(ウィンドウ)は比較的狭い。
そこで上流触媒11に流入する排気ガスの空燃比がストイキ近傍に制御されるように、空燃比制御(ストイキ制御)がECU20により実行される。この空燃比制御は、触媒前センサ17によって検出された排気空燃比を所定の目標空燃比であるストイキに一致させるような主空燃比制御(主空燃比フィードバック制御)と、触媒後センサ18によって検出された排気空燃比をストイキに一致させるような補助空燃比制御(補助空燃比フィードバック制御)とからなる。
さて、例えば全気筒のうちの一部の気筒(特に1気筒)のインジェクタ12が故障し、気筒間に空燃比のばらつき(インバランス:imbalance)が発生したとする。例えば#1気筒が他の#2、#3及び#4気筒よりも燃料噴射量が多くなり、その空燃比が大きくリッチ側にずれる場合等である。このときでも前述の主空燃比フィードバック制御により比較的大きな補正量を与えれば、触媒前センサ17に供給されるトータルガスの空燃比をストイキに制御できる場合がある。しかし、気筒別に見ると、#1気筒がストイキより大きくリッチ、#2、#3及び#4気筒がストイキよりリーンであり、全体のバランスとしてストイキとなっているに過ぎず、エミッション上好ましくないことは明らかである。そこで本実施形態では、かかる気筒間空燃比ばらつき異常を検出する装置が装備されている。
図3に示すように、気筒間空燃比ばらつきが発生すると、1エンジンサイクル間(=720°CA)での排気空燃比の変動が大きくなる。(B)の空燃比線図a,b,cはそれぞればらつき無し、1気筒のみ20%のインバランス割合でリッチずれ、及び1気筒のみ50%のインバランス割合でリッチずれの場合の、触媒前センサ17による検出空燃比A/Fを示す。見られるように、ばらつき度合いが大きくなるほど空燃比変動の振幅が大きくなる。
ここでインバランス割合(%)とは、気筒間空燃比のばらつき度合いに関するパラメータである。即ち、インバランス割合とは、全気筒のうちある1気筒のみが燃料噴射量ズレを起こしている場合に、その燃料噴射量ズレを起こしている気筒(インバランス気筒)の燃料噴射量がどれくらいの割合で、燃料噴射量ズレを起こしていない気筒(バランス気筒)の燃料噴射量即ち基準噴射量からズレているかを示す値である。インバランス割合をIB、インバランス気筒の燃料噴射量をQib、バランス気筒の燃料噴射量即ち基準噴射量をQsとすると、IB=(Qib−Qs)/Qsで表される。インバランス割合IBが大きいほど、インバランス気筒のバランス気筒に対する燃料噴射量ズレが大きく、空燃比ばらつき度合いは大きい。
空燃比ばらつき異常が発生すると触媒前センサ17の出力変動が大きくなるので、この特性を利用し、当該出力変動に基づいてばらつき異常を検出することが可能である。本実施形態では、触媒前センサ17の出力変動度合いに相関するパラメータである出力変動パラメータを算出すると共に、この出力変動パラメータと、所定の異常判定値とに基づき、気筒間空燃比ばらつき異常を検出する。
以下に出力変動パラメータの算出方法を説明する。図4は図3のU部に相当する拡大図であり、特に1エンジンサイクル内の触媒前センサ出力の変動を簡略的に示す。触媒前センサ出力としては、触媒前センサ17の出力電圧Vfを空燃比A/Fに換算した値を用いる。但し触媒前センサ17の出力電圧Vfを直接用いることも可能である。
図4(B)に示すように、ECU20は、1エンジンサイクル内において、所定のサンプル周期τ(単位時間、例えば4ms)毎に、触媒前センサ出力A/Fの値を取得する。そして今回のタイミング(第2のタイミング)で取得した値A/Fnと、前回のタイミング(第1のタイミング)で取得した値A/Fn-1との差ΔA/Fnの絶対値を次式(1)により求める。この差ΔA/Fnは今回のタイミングにおける微分値あるいは傾きと言い換えることができる。
Figure 2012255364
最も単純には、この差ΔA/Fnが触媒前センサ出力の変動を表す。変動度合いが大きくなるほど空燃比線図の傾きが大きくなり、差ΔA/Fnが大きくなるからである。そこで所定の1タイミングにおける差ΔA/Fnの値を出力変動パラメータとすることができる。
但し、本実施形態では精度向上のため、複数の差ΔA/Fnの平均値を出力変動パラメータとする。本実施形態では、1エンジンサイクル内において、各タイミング毎に差ΔA/Fnを積算し、最終積算値をサンプル数Nで除し、1エンジンサイクル内の差ΔA/Fnの平均値を求める。そしてさらに、Mエンジンサイクル分(例えばM=100)だけ差ΔA/Fnの平均値を積算し、最終積算値をサイクル数Mで除し、Mエンジンサイクル内の差ΔA/Fnの平均値を求める。こうして求められた最終的な平均値を出力変動パラメータとし、以下「X」で表示する。触媒前センサ出力の変動度合いが大きいほど出力変動パラメータXは大きくなる。
なお、触媒前センサ出力A/Fは増加する場合と減少する場合とがあるので、これら各場合の一方についてだけ上記差ΔA/Fnあるいはその平均値を求め、これを出力変動パラメータとしても良い。特に1気筒のみリッチずれの場合、当該1気筒に対応した排気ガスを触媒前センサが受けた時にその出力が急速にリッチ側に変化(すなわち急減)するので、減少側のみの値をリッチずれ検出のために用いることも可能である。もっとも、これに限定されず、増加側の値のみを用いることも可能である。
また、触媒前センサ出力の変動度合いに相関する如何なる値をも出力変動パラメータとすることができる。例えば、1エンジンサイクル内における触媒前センサ出力の最大ピークと最小ピークの差(所謂ピークトゥピーク; peak to peak)、または2階微分値の最大ピークまたは最小ピークの絶対値に基づいて、出力変動パラメータを算出することもできる。触媒前センサ出力の変動度合いが大きいほど、触媒前センサ出力の最大ピークと最小ピークの差は大きくなり、また2階微分値の最大ピークまたは最小ピークの絶対値も大きくなるからである。
図5には、インバランス割合IB(%)と出力変動パラメータXの関係を示す。図示されるように、インバランス割合IBと出力変動パラメータXの間には強い相関関係があり、インバランス割合IBの絶対値が増加するほど空燃比変動パラメータXも増加する。
基本的には、算出された出力変動パラメータXが所定の判定値以上であればばらつき異常ありとする異常判定を実行することができ、算出された出力変動パラメータXが判定値より小さければばらつき異常なしとする正常判定を実行することができる。しかしながら、本実施形態では、後述するように、検出精度向上の観点からこのような判定を2段階に分けて実行する。最初に行われる第1判定においては正常、異常および保留判定のいずれかを実行し、保留判定の場合に所定の処理を行って正常判定または異常判定する第2判定を実行する。
他方、気筒間空燃比ばらつきが発生し、図3に示したような1エンジンサイクル間における排気空燃比の変動が生じると、上流触媒11において短い周期で酸化還元反応が繰り返され、上流触媒11の活性が促進される。その結果、気筒間空燃比ばらつきが無いときに比べ、上流触媒11の温度が上昇する。ここで上流触媒11(下流触媒19も同様)は酸素吸蔵能(O2ストレージ能)を有し、供給された排気ガスの空燃比がストイキよりリーンのときに排気ガス中の過剰酸素を吸着保持する一方、供給された排気ガスの空燃比がストイキよりリッチのときには吸着保持していた酸素を放出する。このときの酸素吸着が酸化反応、酸素放出が還元反応である。図3に示したように、気筒間空燃比ばらつきが発生すると上流触媒11に供給される排気ガスの空燃比が1エンジンサイクル間でリーン、リッチと変化するので、その度に酸化還元反応が行われ、上流触媒11の温度が上昇する。
図6にはインバランス割合IB(%)と上流触媒11の触媒温度Tc(℃)との関係を示す。図中の三角及び菱形は、内燃機関1を搭載した車両がそれぞれ120km/h及び60km/hで定速走行したときのデータである。見られるように、インバランス割合IBの絶対値が増加するほど触媒温度Tcは上昇する傾向にある。
ところで、使用燃料にアルコールが含まれていると、使用燃料がガソリンのみの場合と比べて、触媒前センサ出力変動が変化し、出力変動パラメータXの値が異なることが判明した。
すなわち、使用燃料にアルコールが含まれていると、使用燃料がガソリンのみの場合と比べて、排気中の水素(H2)濃度が増加する。水素は分子サイズが小さいため、触媒前センサの拡散層を選択的に通過可能である。従って排気中の水素濃度が増加することによりセンサの反応が速くなる。また燃料の気化特性や燃焼速度も異なる。これらの影響で、触媒前センサ出力変動が増大し、出力変動パラメータXの値が増大する。
よって、検出精度向上のためには、使用燃料のアルコール濃度に基づき、出力変動パラメータXとその比較対象である判定値の一方を補正するのが望ましい。そしてこのためには、使用燃料のアルコール濃度を推定することが望ましい。
ここで使用燃料のアルコール濃度は、例えばアルコール濃度センサを用いて直接検出することも可能である。しかしアルコール濃度センサは比較的高価であり、これを採用するとコストアップに繋がる。そこで本実施形態では、アルコール濃度センサの代わりに比較的安価な温度センサ21を用いてアルコール濃度を推定する。これにより比較的低廉な構成および方法にて使用燃料のアルコール濃度を把握することが可能である。
以下に本実施形態のアルコール濃度推定について述べる。
使用燃料のアルコール濃度ALは、出力変動パラメータXの値に影響を与えるほか、触媒温度Tcにも影響を与える。すなわち、使用燃料のアルコール濃度ALが高いほど、排気温度が低下し、触媒温度Tcが低下する傾向にある。
そこで本実施形態では、少なくとも出力変動パラメータXおよび触媒温度Tcに基づいて使用燃料のアルコール濃度ALを推定する。特に本実施形態では、推定精度をより高めるため、出力変動パラメータXおよび触媒温度Tcに加えて吸入空気量Gaにも基づいて使用燃料のアルコール濃度ALを推定する。以下、出力変動パラメータXおよび触媒温度Tcを「2者」、出力変動パラメータX、触媒温度Tcおよび吸入空気量Gaを「3者」ともいう。
推定は、3者とアルコール濃度ALとの間で予め定められた所定の関係を利用して行う。この関係はマップまたは関数(モデル式)の形式とすることができる。
図7および図8に推定マップの一例を示す。図7はGa=Ga1のときのマップ、図8はGa=Ga2のときのマップである。Ga1<Ga2であり、例えばGa1=20(g/s)、Ga2=30(g/s)である。図示するようなマップが各吸入空気量毎に定められている。
図7を参照して説明すると、マップによれば、出力変動パラメータXおよび触媒温度Tcに対応したアルコール濃度ALが推定ないし算出可能である。例えば出力変動パラメータX=0のとき、触媒温度Tcが600(℃)ならAL=0(%)という値が算出され、触媒温度Tcが580(℃)ならAL=20(%)という値が算出され、触媒温度Tcが560(℃)ならAL=50(%)という値が算出され、触媒温度Tcが540(℃)ならAL=85(%)という値が算出される。
また、例えば触媒温度Tcが600(℃)のとき、出力変動パラメータXが0ならAL=0(%)という値が算出され、出力変動パラメータXが0.02ならAL=20(%)という値が算出され、出力変動パラメータXが0.04ならAL=50(%)という値が算出され、出力変動パラメータXが0.06ならAL=85(%)という値が算出される。
このように、出力変動パラメータXが大きいほど、また触媒温度Tcが低いほど、高いアルコール濃度ALが推定ないし算出される。これは前述の特性に合致している。
マップ中「−」で示される領域は、アルコール濃度ALが推定ないし算出されない非推定領域である。すなわち、3者およびアルコール濃度ALの関係からしてあり得ないような領域である。例えば、出力変動パラメータX=0で触媒温度Tc=620(℃)のときにはアルコール濃度ALは推定されない。
他方、吸入空気量Gaがより多い(すなわちエンジン負荷がより大きい)図8のマップの場合、触媒温度条件が高温側にシフトされる。例えば出力変動パラメータX=0のとき、触媒温度Tcが700(℃)ならAL=0(%)という値が算出され、触媒温度Tcが680(℃)ならAL=20(%)という値が算出され、触媒温度Tcが660(℃)ならAL=50(%)という値が算出され、触媒温度Tcが640(℃)ならAL=85(%)という値が算出される。
一方、マップではなく関数を用いてアルコール濃度ALを推定する場合、関数は例えば次式(2)で表すことができる。A,B,C,Dは適合によって予め定められる一定値である。
Figure 2012255364
このように、アルコール濃度ALは少なくとも2者に基づいて推定される。
ここで2者すなわち出力変動パラメータXおよび触媒温度Tcの一方のみに基づいてアルコール濃度ALを推定すると次の問題が生じる。例えば出力変動パラメータXのみに基づいてアルコール濃度ALを推定すると仮定して、出力変動パラメータXの値がX1からX2に増大した場合、この増大がアルコール濃度ALの増大によるものなのか、あるいはばらつき異常の発生によるものなのかを区別することができない。
また、例えば触媒温度Tcのみに基づいてアルコール濃度ALを推定すると仮定して、触媒温度Tcの値がTc1からTc2に低下した場合、この低下はアルコール濃度ALの増大によるものと推測できる。しかし、アルコール濃度ALの増大と併せてばらつき異常が発生すると、両者の影響が相殺され、触媒温度Tcの値はそれ程変化しない。それ故、ばらつき異常発生時にアルコール濃度ALを正確に推定することができない。
これに対し本実施形態では、アルコール濃度ALを少なくとも2者に基づいて推定するので、たとえばらつき異常発生時であってもアルコール濃度ALを正確に推定することが可能である。
なおここでは3者に基づきアルコール濃度ALを推定する例を説明したが、2者に基づいてアルコール濃度ALを推定してもよい。
次に、出力変動パラメータXおよび判定値αの一方の推定アルコール濃度ALに基づく補正(アルコール濃度補正)について述べる。
まず出力変動パラメータXを補正する場合を述べる。この補正に際しては、推定アルコール濃度ALに応じて異なる補正値を用いて出力変動パラメータXを補正し、推定アルコール濃度ALが高いほど、出力変動パラメータXの値を減少側に補正する。アルコール濃度ALが高いほど出力変動パラメータXが大きくなる傾向にあるからである。
こうすることで、使用燃料のアルコール濃度に拘わらず正確なばらつき異常検出を可能とし、検出精度を向上することができる。
他方、判定値αを補正する場合には、推定アルコール濃度ALが高いほど判定値αを増大側に補正する。
なお、上流触媒11においては、その上流端(前端)から供給ガスを受けるので、その上流端から下流側(後側)に向けて徐々に温度変化するようになる。よって上流触媒11の温度変化を即座に検知すべく、温度センサ21の温度検出部は、本実施形態の如く上流触媒11の流路長Lの中間位置L/2よりも上流側に位置されるのが好ましく、より言えばできるだけ上流側に位置されるのが好ましい。
次に、図9を用いてばらつき異常検出ルーチンを説明する。このルーチンはECU20により所定の演算周期τ毎に繰り返し実行される。
まずステップS101では、異常検出を行うのに適した所定の前提条件が成立したか否かが判断される。この前提条件は、例えば次の各条件が成立したときに成立する。
(1)エンジンの暖機が終了している。ECU20は、水温センサ22で検出された水温が所定値(例えば75℃)以上であるとき暖機終了と判断する。
(2)触媒前センサ17および触媒後センサ18が活性化している。ECU20は、両センサのインピーダンスがそれぞれ所定の活性温度相当の値になっているとき、両センサが活性化していると判断する。
(3)上流触媒11および下流触媒19が活性化している。ECU20は、温度センサ21により検出された上流触媒11の温度と、別途推定した下流触媒19の温度がそれぞれ所定の活性温度相当の値になっているとき、両触媒が活性化していると判断する。
(4)エンジンが定常運転中である。
(5)ストイキ制御中である。
(6)直近の燃料給油判定時から所定時間以上経過している。
条件(6)に関して、ECU20は、燃料タンクに設置された燃料残量センサ(図示せず)の検出値に基づき燃料給油があったことを判定する。すなわち、燃料残量センサの検出値が所定量以上増大したとき、ECU20は燃料給油があったと判定する。
既存の使用燃料に対しアルコール濃度の異なる燃料が新たに給油された場合、給油直後は燃料経路内に既存の燃料が残っており、これらが消費されるまでの間は、燃料タンク内の燃料のアルコール濃度と実際に噴射される燃料のアルコール濃度とが異なる状態が続く。よってこの間はばらつき異常検出を実行しないようにする。こうすることで誤判定や誤検出を未然に防止することができる。
ここで所定時間は、燃料経路内に残った既存燃料が消費され尽くす積算燃料噴射量となるまでの時間とするのが好ましい。
前提条件が成立していない場合にはルーチンが終了される。他方、前提条件が成立した場合には、ステップS102において、今回のタイミングにおける触媒前センサ出力A/Fnが取得される。なお触媒前センサ出力A/Fnは触媒前センサ17の出力電圧を空燃比に換算した値である。
次に、ステップS103において、今回のタイミングにおける出力差ΔA/Fnが前式(1)より算出される。
次に、ステップS104において、出力差ΔA/Fnが積算され、すなわち今回のタイミングにおける積算出力差ΣΔA/Fnが次式(3)より算出される。
Figure 2012255364
次に、ステップS105において、1エンジンサイクルが終了したか否かが判断される。終了してなければルーチンが終了され、終了した場合にはステップS106に進む。
ステップS106では、今回の1エンジンサイクル終了時点における最終的な積算出力差ΣΔA/FNがサンプル数Nで除して平均化され、平均出力差Rmが算出される。
そしてステップS107において、平均出力差Rmが積算され、すなわち今回のエンジンサイクル終了時における積算平均出力差ΣRmが次式(4)より算出される。
Figure 2012255364
次に、ステップS108において、Mエンジンサイクル(但しMは2以上の整数)が終了したか否かが判断される。終了してなければルーチンが終了され、終了した場合にはステップS109に進む。
ステップS109では、Mエンジンサイクル終了時点における最終的な積算平均出力差ΣRMがサイクル数Mで除して平均化され、出力変動パラメータXが算出される。
次いで、ステップS110〜S114において第1判定が実行される。ここでは判定値として、アルコール濃度の影響があっても確実に異常と判定できるような異常判定値α1と、アルコール濃度の影響があっても確実に正常と判定できるような正常判定値α2とが用いられる。これら異常判定値α1と正常判定値α2は予め実験等に基づいて設定され、ECU20に記憶される。異常判定値α1は比較的大きい値であり、正常判定値α2は比較的小さい値であり、異常判定値α1は正常判定値α2より大きい値である。これら異常判定値α1および正常判定値α2が本発明にいう「第1判定値」をなす。
まずステップS110において、出力変動パラメータXが異常判定値α1と比較される。
出力変動パラメータXが異常判定値α1以上である場合、ステップS111に進んでばらつき異常有りとする異常判定が実行され、ルーチンが終了される。なお異常判定と同時に、異常の事実をユーザに知らせるべくチェックランプ等の警告装置を起動するのが好ましい。
他方、出力変動パラメータXが異常判定値α1未満である場合、ステップS112に進んで出力変動パラメータXが正常判定値α2と比較される。
出力変動パラメータXが正常判定値α2未満である場合、ステップS113に進んでばらつき異常無しとする正常判定が実行され、ルーチンが終了される。
他方、出力変動パラメータXが正常判定値α2以上である場合、ステップS114に進んで保留判定が実行され、ステップS115において保留時処理が行われた後、ルーチンが終了される。
このように、アルコール濃度の影響があっても明らかに正常または異常と判定できる場合には正常判定または異常判定を実行するので、正常または異常が明らかな場合にステップS115の保留時処理を省略でき、検出時間を短縮できる。また異常が明らかな場合に即座に異常判定を実行して触媒保護等のための他の制御に移行でき、触媒保護等を図れる。他方、それ以外の場合には保留判定を実行し、ある程度の時間をかけて保留時処理を実行するので、アルコール濃度の影響を含めた微妙な判定が可能であり、検出精度を向上できる。
次に、図10を用いて保留時処理のルーチンを説明する。このルーチンもECU20により所定の演算周期τ毎に繰り返し実行される。
ステップS201では、今回のタイミングにおいて検出された触媒温度Tcと吸入空気量Gaの値が取得される。
ステップS202では、本ルーチンの開始時から所定時間ts(例えば10s)が経過したか否かが判断される。所定時間tsが経過してなければルーチンが終了され、所定時間tsが経過したならばステップS203に進む。
ステップS203では、使用燃料のアルコール濃度ALが例えば図7および図8に示したようなマップを用いて推定される。このとき、推定精度向上のため、所定時間ts内に取得された触媒温度の平均値が触媒温度Tcとして使用され、所定時間ts内に取得された吸入空気量の平均値が吸入空気量Gaとして使用される。そしてこれら触媒温度Tcおよび吸入空気量Gaに加え、ステップS109で算出された出力変動パラメータXに基づき、マップを用いてアルコール濃度ALが推定される。
なお、代替的に、出力変動パラメータXの算出中(ステップS102〜S109)に触媒温度Tcと吸入空気量Gaの検出値を取得し、これらを平均化して触媒温度Tcおよび吸入空気量Gaの値としてもよい。
次に、ステップS204では、推定されたアルコール濃度ALに対応する補正値、すなわち補正係数Kaが算出される。補正係数Kaは、算出された出力変動パラメータXに乗算される値である。なお加算によって出力変動パラメータXを補正してもよい。補正係数Kaの算出には図11に示すような所定のマップ(関数でもよい)が用いられる。マップはECU20に予め記憶されている。
次いでステップS205では、次式(5)により出力変動パラメータXが補正され、補正後の出力変動パラメータX’が算出される。
Figure 2012255364
推定アルコール濃度ALが基準の0(%)であるとき補正係数Ka=1が算出され、出力変動パラメータXは実質的に補正されない。また例えば推定アルコール濃度ALが20(%)であるとき補正係数Ka=0.9が算出され、出力変動パラメータXは減少側に補正される。推定アルコール濃度ALが高いほど、より小さな補正係数Kaが算出され、出力変動パラメータXはより減少側に補正される。
これは、使用燃料のアルコール濃度が高いほど出力変動パラメータXの値が大きくなるという前述の特性に対応している。かかる補正により、アルコール燃料によるズレを補償して出力変動パラメータXの値を基準状態相当に補正できる。
次いで、ステップS206〜S208において第2判定が実行される。ここでは判定値として、アルコール濃度等の影響を考慮しない(基準状態を前提とした)正異常判定値α3が用いられる。この正異常判定値α3も予め実験等に基づいて設定され、ECU20に記憶される。正異常判定値α3は、異常判定値α1より小さく正常判定値α2より大きな値である。正異常判定値α3が本発明にいう「第2判定値」をなす。
まずステップS206において、補正後の出力変動パラメータX’が正異常判定値α3と比較される。
補正後の出力変動パラメータX’が正異常判定値α3以上である場合、ステップS207に進んでばらつき異常有りとする異常判定が実行され、ルーチンが終了される。
他方、補正後の出力変動パラメータX’が正異常判定値α3未満である場合、ステップS208に進んでばらつき異常無しとする正常判定が実行され、ルーチンが終了される。
このように、第1判定で保留判定した場合、アルコール濃度の影響を無くすよう補正した上で再度第2判定を実行し、正常又は異常を最終判定するので、アルコール濃度の影響を排除した正確な異常検出が可能であり、検出精度を向上することが可能である。特に、正常または異常が微妙なケースであっても正確に異常検出を実行することが可能である。
なお代替的に、出力変動パラメータXを補正せず、正異常判定値α3を補正してもよい。この場合、推定アルコール濃度ALが高いほど正異常判定値α3をより増大側に補正する。
ところで、上記の如きアルコール濃度推定によってもアルコール濃度が適切に推定されない場合がある。それは、上流触媒11および温度センサ21の少なくとも一つに異常が発生した場合である。
例えば図7のマップにおいては、触媒前センサ17の検出値に基づいて算出される出力変動パラメータXと、温度センサ21により検出される上流触媒11の触媒温度Tcと、アルコール濃度ALとの間の予め定められた関係を利用してアルコール濃度を推定する。
しかし、上流触媒11および温度センサ21の少なくとも一つに異常が発生すると、それらの関係が崩れ、検出値ないし実際値が通常あり得ないような値になってしまうことがある。例えばGa=Ga1の条件下でTc=640(℃)、X=0.02などという値が検出されてしまい、図7のマップによる推定が行えない。
またマップではなく、例えば前式(2)で示したような関数を用いてアルコール濃度を推定する場合でも、推定されたアルコール濃度があり得ないような値、例えば120(%)などという値になってしまうことがある。
そこで本実施形態の変形例では、所定の関係(マップまたは関数)を利用してもアルコール濃度が適切に推定されなかった場合、上流触媒11および温度センサ21の少なくとも一つを異常と判定する。以下この点について述べる。
図12に、当該異常判定に用いるマップ(異常判定用マップ)の一例を示す。このマップは図7と同様、Ga=Ga1のときのマップである。なおかかる異常判定用マップも各吸入空気量毎に予め定められている。
図示するように、アルコール濃度の値が入力されてない非推定領域が三つの領域I〜IIIに区分されている。第1領域Iは、アルコール濃度の値が入力されている推定領域に対し、触媒温度Tcが高い領域である。第2領域IIは、推定領域に対し触媒温度Tcが低い領域であり、第3領域IIは、推定領域さらには第2領域IIに対しても触媒温度Tcが低い領域である。
Ga=Ga1という条件下で第1領域I内に該当するような触媒温度Tcおよび出力変動パラメータXが検出された場合、触媒前センサ17の出力変動の大きさに対して触媒温度Tcが高過ぎるため、温度センサ21を異常と判定する。
また、Ga=Ga1という条件下で第2領域II内に該当するような触媒温度Tcおよび出力変動パラメータXが検出された場合、触媒前センサ17の出力変動の大きさに対して触媒温度Tcが低いため、上流触媒11および温度センサ21の少なくとも一つを異常と判定する。ここで、上流触媒11が劣化するとその反応部位が減少し、触媒温度が低下する。よって触媒温度Tcが低い場合、上流触媒11の劣化も異常原因の一つとして考えられる。そこでかかる場合には上流触媒11および温度センサ21の少なくとも一つを異常と判定する。
さらにGa=Ga1という条件下で第3領域III内に該当するような触媒温度Tcおよび出力変動パラメータXが検出された場合、触媒前センサ17の出力変動の大きさに対して触媒温度Tcが低過ぎるため、温度センサ21を異常と判定する。
これによれば、ばらつき異常に加え、上流触媒11および温度センサ21の少なくとも一つの異常を簡易的に検出でき、検出範囲を拡大することができる。また、同一の異常判定用マップを用いてアルコール濃度の推定と、上流触媒11および温度センサ21の少なくとも一つの異常判定とを実施でき、極めて便利である。
なお、ここでは異常判定の対象を上流触媒11および温度センサ21としたが、これらに加え、触媒前センサ17およびエアフローメータ5を異常判定の対象に含めてもよい。これらもアルコール濃度推定時のパラメータ(出力変動パラメータXおよび吸入空気量Ga)に関与するからである。
以上、本発明の好適な実施形態を詳細に述べたが、本発明の実施形態は他にも様々なものが考えられる。例えば本発明に係るアルコール濃度推定に関する特徴は、気筒間空燃比ばらつき異常検出を実行しない多気筒内燃機関にも適用可能である。また前記実施形態では保留判定した場合のみアルコール濃度推定および補正を実行したが、これに限らず、常にアルコール濃度推定および補正を実行して直接的に(第1判定のみで)正異常判定を実行してもよい。
本発明の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
1 内燃機関(エンジン)
2 インジェクタ
5 エアフローメータ
11 上流触媒
17 触媒前センサ
18 触媒後センサ
20 電子制御ユニット(ECU)
21 温度センサ

Claims (6)

  1. アルコール燃料を使用可能な多気筒内燃機関であって、
    前記内燃機関の排気通路に設けられた触媒の温度を検出する温度センサと、
    前記内燃機関の排気通路に設けられた空燃比センサと、
    前記空燃比センサの出力変動度合いに相関する出力変動パラメータを算出する算出手段と、
    少なくとも前記温度センサによって検出された触媒温度と、前記算出手段によって算出された出力変動パラメータとに基づき、使用燃料のアルコール濃度を推定する推定手段と、
    を備えることを特徴とする多気筒内燃機関。
  2. 前記内燃機関の吸入空気量を検出する吸入空気量検出手段をさらに備え、
    前記推定手段は、前記吸入空気量検出手段によって検出された吸入空気量にも基づいて前記アルコール濃度を推定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の多気筒内燃機関。
  3. 前記推定手段は、少なくとも前記触媒温度および前記出力変動パラメータと、前記アルコール濃度との間の所定の関係を利用して前記アルコール濃度を推定する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の多気筒内燃機関。
  4. 前記算出手段によって算出された出力変動パラメータと所定の判定値とに基づき、気筒間空燃比ばらつき異常を検出する異常検出手段をさらに備え、
    前記異常検出手段は、前記推定手段によって推定されたアルコール濃度に基づき、前記出力変動パラメータと前記判定値の一方を補正し、この補正された一方と他方とに基づきばらつき異常を検出する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の多気筒内燃機関。
  5. 前記異常検出手段は、いずれも補正されていない前記出力変動パラメータと所定の第1判定値とに基づき、ばらつき異常無しとする正常判定、ばらつき異常有りとする異常判定、および保留判定のいずれかを実行し、且つ、前記保留判定を実行したとき、前記推定手段によって推定されたアルコール濃度に基づき、前記出力変動パラメータと所定の第2判定値の一方を補正し、この補正された一方と他方とに基づきばらつき異常を検出する
    ことを特徴とする請求項4に記載の多気筒内燃機関。
  6. 前記異常検出手段は、前記推定手段によりアルコール濃度が適切に推定されなかった場合、前記触媒および前記温度センサの少なくとも一つを異常と判定する
    ことを特徴とする請求項4または5に記載の多気筒内燃機関。
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