JP2012253133A - 光検出器 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構成で量子井戸層の積層方向に入射された光を積層方向に垂直な偏光方向の光に変換して検出することができる光検出器を提供する。
【解決手段】基板21と、光が入射されることにより光電流を生じる多重量子井戸層16と、多重量子井戸層16を挟み込む下部コンタクト層15及び上部コンタクト層17と、下部コンタクト層15の基板21側に配置された下部電極12と、下部コンタクト層15の側方であって下部電極12上に配置された絶縁層13と、絶縁層13上に配置された仮想グランド電極14と、上部コンタクト層17上に配置され、入射される光の波長よりも小さく分割され、それぞれの間に隙間が形成された複数の上部電極18と、上部電極18及び仮想グランド電極14を電気的に接続する金属部材19と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、光検出器に関するものである。
従来、光検出器として、量子井戸を利用したものが知られている(例えば、特許文献1,非特許文献1,特許文献2参照。)。特許文献1記載の光検出器は、量子井戸構造を利用し、量子準位間で、電子もしくは正孔を光励起し、励起によって生じる光電流を検出するいわゆる量子井戸型赤外線センサ(QWIP:Quantum Well Infrared Photodetector)である。量子準位間の遷移は、量子井戸層の積層面に対して垂直な方向に偏光した光に対してのみ吸収遷移が生じる。このため、特許文献1記載の光検出器は、基板面に垂直な方向から照射される光に対しては感度を有しない。
これに対して、非特許文献1記載の光検出器は、基板面に垂直な方向から照射される光に対して感度を得るために、基板面に45度反射ミラー部を作成し、斜め方向から光吸収層である量子井戸積層部に光を導くことで、量子井戸層で吸収が生じる偏光成分を作り出している。また、特許文献2記載の光検出器は、量子井戸層上に特殊な回折格子を形成することで、基板に対して垂直に入射する光を回折・散乱させて斜め成分の光に変換し、量子井戸層で吸収が生じる偏光成分を作り出している。
特表2001−523392号公報 特開2000−156513号公報
H.C.Liu et al., Quantum Well Intersubband Transition Physics and Devices, 197-206. (1994) Kluwer Academic Publishers. Printed in the Netherlands.
しかしながら、非特許文献1記載の光検出器にあっては、受光面とミラー面とを分けて形成する必要があるため、高密度に面内に検出器を集積することが困難である。また、非特許文献1記載の構成を採用した場合であっても、全ての光が量子井戸層で吸収が生じる偏光成分を持つわけではないため、感度が良好でないおそれがある。一方、特許文献2記載の光検出器にあっては、特殊な回折格子構造が必要となるため、設計が容易ではない。
そこで、本発明は、このような技術課題を解決するためになされたものであって、簡易な構成で量子井戸層の積層方向に入射された光を積層方向に垂直な偏光方向の光に変換して検出することができる光検出器を提供することを目的とする。
すなわち本発明に係る光検出器は、基板と、基板上に配置され、半導体からなる障壁層及び障壁層よりバンドギャップの狭い量子井戸層が交互に積層されてなり、光が入射されることにより量子井戸層内の電子又は正孔の励起によって光電流を生じる積層体と、積層体の基板側に配置された第1コンタクト層と、第1コンタクト層との間に積層体が介在して配置された第2コンタクト層と、第1コンタクト層の基板側に配置された第1電極と、第1コンタクト層の側方であって第1電極上に配置された絶縁層と、絶縁層上に配置された第2電極と、第2コンタクト層上に配置され、入射される光の波長よりも小さく分割され、それぞれの間に隙間が形成された複数の第3電極と、第2電極及び第3電極を電気的に接続する金属部材と、を備えて構成される。
本発明に係る光検出器では、第1電極及び第3電極が、多重量子井戸を構成している積層体を挟み込むように配置されている。そして、第3電極が、入射される光の波長よりも小さく分割されて配置されるとともに、金属部材によって第1電極上に絶縁層を介して配置された第2電極と電気的に接続されている。このように構成することで、第1電極及び第3電極間に導波路が形成され、当該導波路は、第1電極及び第3電極自身が示すインダクタンス成分と、積層体を挟み込む第1電極と第3電極との間に形成されるキャパシタンス成分と、第3電極の隙間に形成されるキャパシタンス成分と、第2電極及び第3電極を電気的に接続する金属部材が示すインダクタンス成分が付加された、いわゆる右手左手系複合導波路として構成される。従って、光検出器に垂直に入射された光は、分割された第3電極の隙間から導波路内へ取り込まれ、導波路に対して垂直な偏向成分を有する光となり、量子井戸層で吸収されて光電流が生じる。このため、簡易な構成で量子井戸層の積層方向に入射された光を積層方向に垂直な偏光方向の光に変換して検出することができる。
ここで、第2電極は、第3電極の数に応じて分割されてもよい。このように構成することで、分割された第3電極ごとに光電流を検出することができるため、一次元状あるいは二次元状の光情報を取得することが可能となる。
さらに、第3電極は、上面が凹凸状に形成され、照射された光に対してプラズモン共鳴を発生させる構成としてもよい。このように構成することで、光検出器に垂直に入射された光を効率よく導波路内へ導くことができる。
本発明によれば、簡易な構成で量子井戸層の積層方向に入射された光を積層方向に垂直な偏光方向の光に変換して検出することができる。
第1実施形態に係る光検出器の構成を示す概要図である。 図1の光検出器における多重量子井戸層の構造及びエネルギーバンド図を説明する概要図である。 図1の光検出器の量子井戸構造内部における光の振る舞いを説明するための参考図であり、右手左手系複合導波路の概念を導入した量子カスケードレーザの構成図である。 図1の光検出器の量子井戸構造内部における光の振る舞いを説明するための参考図であり、図3に示す量子カスケードレーザの等価回路図である。 図1の光検出器の量子井戸構造内部における光の振る舞いを説明するための参考図であり、図3に示す量子カスケードレーザの右手系及び左手系の回路図である。 図1の光検出器の量子井戸構造内部における光の振る舞いを説明するための参考図であり、図3に示す量子カスケードレーザの導波路の電界強度分布である。 第2実施形態に係る光検出器の構成を示す概要図である。 図7の光検出器における多重量子井戸層の構造を説明する概要図である。 第3実施形態に係る光検出器の構成を示す概要図である。 第4実施形態に係る光検出器の構成を示す概要図である。 第5実施形態に係る光検出器の構成を示す概要図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る光検出器の構成を示す概要図である。図1に示した光検出器1は、量子井戸構造を有し、量子準位間で電子又は正孔を光励起し、励起によって生じる光電流を検出する光検出器であり、例えば赤外線等の光検出器、受光器、又はQWIPとして好適に採用されるものである。
図1に示すように、光検出器1は、素子内部に積層体を有する光検出素子であって、受光部20を備えている。受光部20は、スリット状に形成されており、図中矢印で示すように光検出器1の上面側からエネルギーhνの光を受光し、素子内部へ光を入射させる。受光部20は、基板21上に形成されている。
基板21の一方の主面上には、グランド電極として機能する下部電極(第1電極)12が積層されている。下部電極12としては、例えばAu等の金属が用いられる。下部電極12の上面の一部の領域上には、下部コンタクト層(第1コンタクト層)15、多重量子井戸層(積層体)16、上部コンタクト層(第2コンタクト層)17及び上部電極(第3電極)18が順次積層されている。
多重量子井戸層16は、光が入射されることにより量子井戸層内の電子又は正孔の励起によって光電流を生じる量子井戸構造として形成される。多重量子井戸層16は、半導体からなる障壁層、及び前記障壁層よりバンドギャップの狭い半導体からなる量子井戸層が交互に繰り返し積層された積層体である。障壁層としては、n型AlAsSbが用いられ、量子井戸層としては、n型のInGaAsが用いられる。
下部コンタクト層15は、多重量子井戸層16の基板21側に配置された半導体層である。下部コンタクト層15としては、例えばn型のInGaAsが用いられる。上部コンタクト層17は、下部コンタクト層15との間に多重量子井戸層16を介在させて配置された半導体層である。上部コンタクト層17としては、例えばn型のInGaAsが用いられる。
上部電極18は、上部コンタクト層17の上面上に形成されている。上部電極18は、エネルギーhνの検出光の波長サイズに比べて十分小さく分割された複数の電極である。上部電極18それぞれの間には、隙間(ギャップ)が形成されており、この隙間が受光部20として機能する。上部電極18としては、例えばAu等の金属が用いられる。
下部電極12の上面には、下部コンタクト層15の側方に(すなわち下部コンタクト層15が形成されていない領域に)絶縁層13が積層され、絶縁層13上には仮想グランド電極(第2電極)14が配置されている。分割された上部電極18それぞれと仮想グランド電極14とは、金属部材19で電気的に接続されている。仮想グランド電極14としては、例えばAu等の金属が用いられる。金属部材19としては、例えばAuからなる細い線状の部材が採用される。
下部電極12には電流検出装置10の一端が接続されている。電流検出装置10の他端はGNDに接続されている。仮想グランド電極14はGNDに接続されている。すなわち、電流検出装置10は、下部電極12と仮想グランド電極14との間に接続される。
上記構成により、光検出器1には積層方向に量子導波路が形成される。上記構成の光検出器1へ光が入射すると、分割された上部電極18の隙間(受光部20)から量子導波路内へ取り込まれ、多重量子井戸層16で吸収されて光電流が生じ、電流検出装置10で検出される。
ここで多重量子井戸層16の構造について詳細を説明する。図2は光検出器1における多重量子井戸層16の構造及びエネルギーバンド図を説明する概要図である。図2のグラフは、多重量子井戸層16を構成する層のエネルギーバンド図であり、横軸が積層方向位置(Å)、縦軸がエネルギー(eV)である。積層方向位置は、多重量子井戸層16の上面を基準とした深さ方向の位置である。グラフ中に示すW11,B11等は、多重量子井戸層16を構成する層の名称であり、Wは井戸層、Bは障壁層である。図2の上側に示す表は、図2のグラフに対応しており、多重量子井戸層16の層名称、組成及び厚みを纏めたものである。図2に示すように、光が多重量子井戸層16に照射されると、井戸層W11の下位準位から井戸層W11の上位準位へ電子が励起される。励起された電子はトンネル共鳴で障壁層B11を通り抜け、井戸層W12の上位準位へ伝達され、フォノンを出しながら井戸層W12の下位準位へ伝達される。井戸層W12の下位準位の電子はトンネル共鳴で障壁層B12を通り抜け、井戸層W13の上位準位へ伝達され、フォノンを出しながら井戸層W13の下位準位へ伝達される。上記を繰り返し、電子は、最終的には井戸層W18に到達し障壁層B18を通り抜け、井戸層W21の下位準位へ伝達される。この電子は、再び光励起されることにより、井戸層W21の上位準位へ運ばれ、同様の工程を繰り返しながら電極へ運ばれ電流として取り出される。そして、電流検出装置10により感知される。
次に、光検出器1の量子井戸構造内部における光の振る舞いを説明する。本実施形態に係る光検出器1は、量子カスケードレーザの右手左手系複合導波路において現れるモードの偏光特性を応用したものである。このような量子カスケードレーザとして例えば参考文献1に記載のものが知られている(参考文献1:A.A.Tavallaee et al., IEEE Journal of Quantum Electronics, vol.46, No.7, (2010), 1091)。以下では、光検出器1の量子井戸構造内部における光の振る舞いを説明するために、まず参考文献1の構成及び考察について紹介する。図3は、参考文献1に記載の量子カスケードレーザの構成図である。図3に示すように、YZ平面と平行な基板面を有する基板上に金属層(Ground Plane)が配置され、金属層上にX方向の高さ5μmの誘電体(量子カスケード層:QC-material)がメサ状に形成され、誘電体の上面上に波長よりも十分小さく分割された金属層(10[μm]×a、ここでa<λ/5)がZ方向に間隔を空けて配置され、誘電体の両面の金属電極が細い配線で接続されている。誘電体をX方向(上下方向)から挟み込む金属層は電極として機能し、電極間は導波路構造となる。
このような構成の電磁気的等価回路には、図4に示すように、金属層自身が示すインダクタンス成分Lと、誘電体を挟み込む電極間に形成されるキャパシタンス成分Cに加えて、誘電体上面に間隔を空けて配置された電極間に形成されるキャパシタンス成分Cと、誘電体を挟み込む電極間をつなぐ金属細線が示すインダクタンス成分Lが付加される。また、電磁気的等価回路は、誘電体上面に間隔を空けて配置された電極が検出光の波長よりも小さく分割されているため、分布定数回路を用いて示すことができる。分布定数回路として、いわゆる右手系導波路といわゆる左手系導波路との複合回路となる。図5の(a)は、右手系導波路の等価回路であり、図5の(b)は、左手系導波路の等価回路である。これらの複合回路には共振周波数が2つ存在し、それらの共振周波数ωse、ωshは次の式1,2でそれぞれ表すことができる。
上記の共振周波数ωse、ωshのうち低周波数側の共振周波数ωshに対応する波長の光に対しては、導波路内の電界分布は図6に示すようになる。図6の(a)は、図3に示すX方向の電界分布であるE成分を示すものであり、図6の(b)は、図3に示すZ方向の電界分布であるE成分を示すものである。また、検出光の周波数fは1.8[THz]である。図6に示すように、導波路内では、光はE成分を持つがE成分が支配的となる。すなわち、光はX方向(上下方向)の金属層に垂直な方向に偏光する。
また、上記の量子カスケードレーザの導波路は、もれアンテナとして動作し、共振周波数ωshに対応する波長の光に対しては、導波路内の伝播定数が零となる。すなわち、光は導波路内を前にも後ろにも進まない状態となり、導波路に垂直に光が出ていることが知られている。
上記の既知の現象を光検出器1に適用して考察する。光検出器1は、上述した量子カスケードレーザと同様に、導波路内が多重量子構造として構成されている。光には逆進性があるため、レーザで行われた動作と逆の動作が可能であると予想される。すなわち、導波路がもれアンテナとして作用し、光が導波路構造から取り出せるのであれば、逆に、導波路に垂直に照射された光は導波路内に取り込むことが可能である。量子井戸内の電子又は正孔は、多重量子井戸層の積層方向に対して垂直な方向の光しか吸収しないが、図6で示したとおり、光検出器1の導波路内に取り込まれた光は、導波路に対して垂直な偏光成分を有する光となる。導波路内における光はほぼ全て上記現象によって偏光特性を有するため、ほぼ全ての光が導波路内に吸収される。また、光検出器1では多重量子井戸層16を下部電極12及び上部電極18によって挟み込むことにより金属−金属導波路を形成するとともに、下部電極12及び上部電極18を電極として利用している。このため、光吸収によって励起された電子を多重量子構造内に作りつけられたポテンシャルの傾斜勾配によって電子を電極方向へ流し込んだり、電極間に流れる光電子を計測して照射された光を検出したりすることができる。
以上、第1実施形態に係る光検出器1によれば、下部電極12及び上部電極18が、多重量子井戸層16を構成している積層体を挟み込むように配置されている。そして、上部電極18が、入射される光の波長よりも小さく分割されて配置されるとともに、金属部材19によって下部電極12上に絶縁層13を介して配置された仮想グランド電極14と電気的に接続されている。このように構成することで、下部電極12及び上部電極18間に導波路が形成され、当該導波路は、下部電極12及び上部電極18自身が示すインダクタンス成分と、積層体を挟み込む下部電極12と上部電極18との間に形成されるキャパシタンス成分と、上部電極18の隙間に形成されるキャパシタンス成分と、下部電極12及び上部電極18を電気的に接続する金属部材が示すインダクタンス成分が付加された、いわゆる右手左手系複合導波路として構成される。したがって、光検出器に垂直に入射された光は、分割された上部電極18の隙間(受光部20)から導波路内へ取り込まれ、導波路に対して垂直な偏向成分を有する光となり、多重量子井戸層16で吸収されて光電流が生じる。このため、簡易な構成で多重量子井戸層16の積層方向に入射された光を積層方向に垂直な偏光方向の光に変換して検出することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態に係る光検出器2は、第1実施形態に係る光検出器1とほぼ同様に構成されており、多重量子井戸層16にバイアスを印加する構成を有する点、及び多重量子井戸層16の構成が相違する。以下では、説明理解の容易性を考慮して、光検出器1と重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
図7は本実施形態に係る光検出器2の構成を示す概要図である。図7に示すように、光検出器2では、仮想グランド電極14に電源22が接続されている。その他の構成要素の配置は第1実施形態に係る光検出器1と同様である。
図8は、本実施形態に係る光検出器2における多重量子井戸層16のエネルギーバンド図であり、横軸が積層方向位置(Å)、縦軸がエネルギー(eV)である。積層方向位置は、多重量子井戸層16の上面を基準とした深さ方向の位置である。グラフ中に示すW,B等は、多重量子井戸層16を構成する層の名称であり、Wは井戸層、Bは障壁層である。図8に示すように、井戸層Wの上位準位は隣接する障壁層Bの伝導帯と同レベルに設計されている。光が多重量子井戸層16に照射されると、井戸層Wの下位準位から井戸層Wの上位準位へ電子が励起される。励起された電子は、障壁層Bの伝導帯に注入され、伝導帯に印加されている電界で加速されて電極へ到達する。各井戸層Wでも同様に光吸収と電子励起が生じ、全体として大きな光電流となって取り出される。そして、電流検出装置10により感知される。その他の動作原理は第1実施形態に係る光検出器1と同様である。
以上、第2実施形態に係る光検出器2によれば、多重量子井戸層16にバイアスを印加する構成を有するため、第1実施形態に係る光検出器1のように多重量子井戸層16に作りこまれたポテンシャルの傾斜勾配によって光電子を電極へ導くという動作原理ではなく、バイアス印加によってポテンシャル勾配を形成し、光電子を電極へ導くことができる。
(第3実施形態)
第3実施形態に係る光検出器3は、第2実施形態に係る光検出器2とほぼ同様に構成されており、仮想グランド電極14が上部電極18に応じて分割されている点、電流検出装置10及び電源22の配置位置が入れ替わっている点が相違する。以下では、説明理解の容易性を考慮して、光検出器2と重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
図9は本実施形態に係る光検出器3の構成を示す概要図である。図9に示すように、光検出器3では、分割された上部電極18が一列に配置され、仮想グランド電極14が上部電極18の数と同じ分だけ分割されている。また、仮想グランド電極14及び上部電極18はそれぞれ一つずつ、一対一となるように金属部材19で接続されている。また、仮想グランド電極14それぞれには電流検出装置10が接続されている。下部電極12には電源22が接続されている。その他の構成要素の配置は第2実施形態に係る光検出器2と同様である。
以上、第3実施形態に係る光検出器3によれば、仮想グランド電極14が上部電極18の数と同じ分だけ分割されているため、分割された仮想グランド電極14ごとに光電流を検出することができる。上部電極18は一列に配置されているため、一次元状の光情報を取得することが可能となる。
(第4実施形態)
第4実施形態に係る光検出器4は、第3実施形態に係る光検出器3とほぼ同様に構成されており、上部電極8がさらに細かく分割されている点が相違する。以下では、説明理解の容易性を考慮して、光検出器3と重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
図10は本実施形態に係る光検出器4の構成を示す概要図である。図10に示すように、光検出器4では、上部電極18が格子状に分割されている。ここでは、上部電極18は18a、18bに示すように2列に配置されている。すなわち、受光部20が格子状とされている。また、下部電極12の上面には、絶縁層13が下部コンタクト層15の両側に(すなわち下部コンタクト層15が形成されていない領域に)積層されている。それぞれの絶縁層13上には仮想グランド電極14が配置されている。そして、仮想グランド電極14が上部電極18の数と同じ分だけ分割されている。仮想グランド電極14及び上部電極18はそれぞれ一つずつ、一対一となるように金属部材19で接続されている。また、仮想グランド電極14それぞれには電流検出装置10が接続されている(一部不図示)。下部電極12には電源22が接続されている。その他の構成要素の配置は第3実施形態に係る光検出器3と同様である。
以上、第4実施形態に係る光検出器4によれば、仮想グランド電極14が上部電極18の数と同じ分だけ分割されているため、分割された仮想グランド電極14ごとに光電流を検出することができる。上部電極18は2列に配置されているため、二次元状の光情報を取得することが可能となる。
(第5実施形態)
第5実施形態に係る光検出器5は、第2実施形態に係る光検出器2とほぼ同様に構成されており、上部電極18の上面側の表面構造が相違する。以下では、説明理解の容易性を考慮して、光検出器2と重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
図11は本実施形態に係る光検出器5の構成を示す概要図である。図11に示すように、光検出器5では、上部電極18の上面側に凸部8cが間隔を空けて複数配置されており、凹凸構造を構成している。凸部8cは、凹凸構造の周期Aがプラズモン共鳴するように配置されている。その他の構成要素の配置は第2実施形態に係る光検出器2と同様である。
光検出器5へ光が入射すると、上部電極18の凹凸状の表面に照射された光のうち表面プラズモン共鳴を起こす波長λの光のエネルギーは、表面プラズモンにエネルギーを変えて凹凸構造表面を伝播し、上部電極18同士の隙間に集中する。そして、隙間から上部コンタクト層17及び多重量子井戸層16の順に導かれ、光検出が行われる。
ここで、凹凸構造の周期Aと、共鳴する光の波長λとの関係について説明する。凹凸構造の表面が接する媒質の比誘電率をε、凹凸構造の表面を構成する金属の比誘電率をε(m≧1)とすると、以下の式3に示す関係を有する。
以上、第5実施形態に係る光検出器5によれば、上部電極18の上面側に凸部8cが間隔を空けて複数配置されているため、表面プラズモン共鳴を発生させて光を多重量子井戸層16へ効率良く導くことができる。よって、高感度な光検出器を構成することが可能となる。
なお、上述した実施形態は、本発明に係る光検出器の一例を示すものである。本発明に係る光検出器は、各実施形態に係る光検出器に限られるものではなく、各実施形態に係る光検出器を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
例えば、上述した第1実施形態では、多重量子井戸層16の障壁層をAlAsSb、井戸層をInGaAsとし、下部コンタクト層15及び上部コンタクト層17をInGaAsとしたが、これに限られるものではなく、従来の多重量子井戸構造を有する光検出器で用いられている種々の材料を採用することができる。また、下部電極12、上部電極18及び仮想グランド電極14についてもAu以外の金属を採用してもよい。例えば、使用する波長帯域において損失の少ない金属を採用したり、プラズモン共鳴を起こすAg等の金属を採用したりしてもよい。
また、下部電極12の大きさを小さくし、直流的に接続された上部電極18と下部電極12との間に電流検出装置10を接続してもよい。このように構成することで、装置の光型化を図ることができる。
また、上述した第3〜第5実施形態では、第2実施形態に係る光検出器2をベースとして変形した例を説明したが、第1実施形態に係る光検出器1をベースに変形した場合であってもよい。
1,2,3,4,5…光検出器、12…下部電極(第1電極)、13…絶縁層、14…仮想グランド電極(第2電極)、15…下部コンタクト層(第1コンタクト層)、16…多重量子井戸層(積層体)、17…上部コンタクト層(第2コンタクト層)、18…上部電極(第3電極)、19…金属部材、21…基板。

Claims (3)

  1. 基板と、
    前記基板上に配置され、半導体からなる障壁層及び前記障壁層よりバンドギャップの狭い量子井戸層が交互に積層されてなり、光が入射されることにより前記量子井戸層内の電子又は正孔の励起によって光電流を生じる積層体と、
    前記積層体の前記基板側に配置された第1コンタクト層と、
    前記第1コンタクト層との間に前記積層体が介在して配置された第2コンタクト層と、
    前記第1コンタクト層の前記基板側に配置された第1電極と、
    前記第1コンタクト層の側方であって前記第1電極上に配置された絶縁層と、
    前記絶縁層上に配置された第2電極と、
    前記第2コンタクト層上に配置され、入射される光の波長よりも小さく分割され、それぞれの間に隙間が形成された複数の第3電極と、
    前記第2電極及び前記第3電極を電気的に接続する金属部材と、
    を備える光検出器。
  2. 前記第2電極は、前記第3電極の数に応じて分割される請求項1に記載の光検出器。
  3. 前記第3電極は、上面が凹凸状に形成され、照射された光に対してプラズモン共鳴を発生させる請求項1又は2に記載の光検出器。
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