JP2012251104A - 顔料組成物及びカラーフィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】高温における熱履歴があっても長時間に亘って色相変化の小さい着色物を提供できる、顔料組成物及びそれを青色画素部に含有してなるカラーフィルタを提供する。
【課題手段】トリアリールメタン顔料(A)とカチオン性ポリウレタン樹脂(B)とを含有する顔料組成物において、前記カチオン性ポリウレタン樹脂(B)として、ポリエーテル系カチオン性ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系カチオン性ポリウレタン樹脂、有機ジオールと有機ジカルボン酸、その無水物またはそのエステル誘導体とから得られるポリエステルジオールから得たポリエステル系カチオン性ポリウレタン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオン性ポリウレタン樹脂を用いることを特徴とする顔料組成物及びこれを青色画素部に含有するカラーフィルタ。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば、着色剤として用いた際に、高温における熱履歴があっても長時間に亘って色相変化の小さい着色物を提供できるトリアリ−ルメタン系顔料及びそれを青色画素部に含有してなるカラーフィルタに関する。
液晶表示装置等のカラーフィルタは、赤色画素部(R)、緑色画素部(G)及び青色画素部(B)を有する。これらの各画素部は、いずれも有機顔料が分散した合成樹脂の薄膜が基板上に設けられた構造であり、有機顔料としては、赤、緑及び青の各色の有機顔料が用いられている。
これら画素部のうち、青色画素部を形成するための青色有機顔料としては、一般に、ε型銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:6)が用いられており、必要に応じて調色のために、これに紫色有機顔料のジオキサジンバイオレット顔料(C.I.ピグメントバイオレット23)が少量併用されている。
カラーフィルタを作成する際の有機顔料は、従来の汎用用途とは全く異なる特性、具体的には、液晶表示装置等の表示画面がより明るくなる様にする(高輝度化)等の要求がある。しかしながら、ε型銅フタロシアニン顔料にジオキサジンバイオレット顔料を併用したのでは、高輝度が達成できないことから、特に青色画素部(B)に用いる有機顔料には、高輝度化がとりわけ要求されている。
この様な高輝度化に対応するために、輝度の点においてはε型銅フタロシアニン顔料より優れた、C.I.ピグメントブルー1の様なトリアリールメタン顔料をカラーフィルタの青色画素部に用いることが最近検討されてきている(特許文献1〜3)。
このC.I.ピグメントブルー1としては、以下の化学構造のBASF社のファナルカラー(FANAL BLUE D6340、同D6390)が著名であり、C.I.ピグメントブルー1は、塩基性トリアリールメタン染料であるビクトリアピュアブルーBOを、リンモリブデン酸やリンタングステンモリブデン酸の様なコンプレックスアシッドでレーキ化して得られる。こうして得られたC.I.ピグメントブルー1は、カチオンの対イオンXがケギン型PMo12−x40であるとされている。
Figure 2012251104
〔但し、一般式(II)中、R、RおよびRはいずれもエチル基、Rは水素原子、Xは、ケギン型リンタングストモリブデン酸アニオンまたはリンモリブデン酸アニオンである。〕
最近では、トリアリールメタン顔料に対してウレタン結合を有する分散剤と併用することで、耐光性を向上させようということも試みられている(特許文献4参照。)。
しかしながら、これらトリアリールメタン顔料をカラーフィルタの青色画素部の調製に用いても、やはり200℃を超える高温の下では、依然として長時間に亘って満足のいく輝度を維持できず、耐熱性の点では不充分であるというのが実態である。
特開2001−81348公報
特開2010−83912公報 特開2010−85444公報 特開2011−6602公報
本発明が解決しようとする課題は、高温における熱履歴があっても長時間に亘って色相変化の小さい着色物を提供できる、例えば、カラーフィルタの青色画素部の調製に用いた際に、高輝度で、高温においても長時間に亘って輝度に優れた液晶表示が可能となる液晶表示装置等を提供できる顔料組成物及びこれを青色画素部に含有してなるカラーフィルタを提供することにある。
本発明者らは、前記実状に鑑みて鋭意検討した結果、トリアリールメタン顔料と併用するカチオン性ポリウレタン樹脂として、特定ポリオール構造を分子内に含有するカチオン性ポリウレタン樹脂が、公知のカチオン性ポリウレタン樹脂に比べて、熱履歴の下では選択的に着色物の色相変化が小さく、着色物の耐熱性を大きく改善できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、トリアリールメタン顔料(A)とカチオン性ポリウレタン樹脂(B)とを含有する顔料組成物において、前記カチオン性ポリウレタン樹脂(B)として、ポリエーテル系カチオン性ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系カチオン性ポリウレタン樹脂、有機ジオールと有機ジカルボン酸、その無水物またはそのエステル誘導体とから得られるポリエステルジオールを用いて得たポリエステル系カチオン性ポリウレタン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオン性ポリウレタン樹脂を用いることを特徴とする顔料組成物を提供する。
また本発明は、上記顔料組成物を青色画素部に含有するカラーフィルタを提供する。
本発明の顔料組成物は、カチオン性ポリウレタン樹脂として特定ジオール構造を分子内に含有するカチオン性ポリウレタン樹脂を用いるので、公知のカチオン性ポリウレタン樹脂に比べて、熱履歴の下でも着色物の色相変化が小さく、着色物の耐熱性を大きく改善できるという格別顕著な技術的効果を奏する。
本発明のカラーフィルタは、青色画素部に、上記した顔料組成物を含有するので、耐熱性に優れ、長時間に亘りより明るい画像表示が可能な液晶表示装置等を提供できるという格別顕著な技術的効果を奏する。
以下、本発明を詳細に説明する。以下、トリアリールメタン顔料(A)は、顔料(A)または前者顔料(A)と略記することがある。同様に、ポリエーテル系カチオン性ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系カチオン性ポリウレタン樹脂、有機ジオールと有機ジカルボン酸、その無水物またはそのエステル誘導体とから得られるポリエステルジオールを用いて得たポリエステル系カチオン性ポリウレタン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオン性ポリウレタン樹脂は、樹脂(B)または後者樹脂(B)と略記することがある。
本発明における顔料組成物は、トリアリールメタン顔料(A)と、カチオン性ポリウレタン樹脂(B)として、ポリエーテル系カチオン性ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系カチオン性ポリウレタン樹脂、有機ジオールと有機ジカルボン酸、その無水物またはそのエステル誘導体とから得られるポリエステルジオールを用いて得たポリエステル系カチオン性ポリウレタン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオン性ポリウレタン樹脂を含有することを特徴とする。
本発明者等は、試行錯誤により、種種のカチオン性ポリウレタン樹脂を顔料(A)に含有させて、カラーフィルタ用感光性組成物の耐熱性を比較対比したところ、同じカチオン性ポリウレタン樹脂にあっても、特定のポリオール構造を有するカチオン性ポリウレタン樹脂を含有させて得た顔料組成物だけが、カラーフィルタとした際に、特異的に高温で長期間の使用においても色相変化が小さく、しかも輝度低下が小さく、耐熱性に優れることを見い出した。
本発明において、トリアリールメタン顔料(A)とは、トリアリールメタン構造をカチオン部分に有する顔料の総称である。トリアリールメタン顔料(A)は、例えば、公知慣用のトリアリールメタン染料を、公知慣用の多塩基酸でレーキ化することで調製することが出来る。
具体的には、下記一般式(I)で表されるトリアリールメタン顔料が挙げられる。
Figure 2012251104
〔但し、一般式(I)中、R、R、RおよびRは同一でも異なっていても良い水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、もしくはフェニル基、Xは任意の多塩基酸由来のアニオンである。〕
トリアリールメタン顔料(A)のアニオン部分としては、例えば、公知慣用の多塩基酸アニオンが挙げられる。中でも、カチオン部分の構造に由来する顔料としての色相が変化し難い、無機多塩基酸アニオンが好適に用いられる。この様な無機多塩基酸としては、例えば、リンモリブデン酸やリンタングステンモリブデン酸等のコンプレックスアシッドを用いることが出来る。
本発明で用いられるトリアリールメタン顔料(A)は、具体的には、一般式(I)に占めるMo(モリブデン)の割合が質量基準で7.5%であるC.I.ピグメントブルー1であっても良いし、上記一般式(I)のXが、W(タングステン)、O(酸素)を必須元素として、P(リン)とSi(珪素)の少なくとも一種を含有し、一般式(I)に占めるMo(モリブデン)の割合が質量基準で5%未満であるヘテロポリオキソメタレートアニオンであるトリアリールメタン顔料であっても良い。
しかしながら、本発明で用いられるトリアリールメタン顔料(A)としては、アニオン部分XがMo(モリブデン)を化学構造中に全く含まないヘテロポリオキソメタレートアニオン(コンプレックスアシッドアニオンと称される場合もある)か、アニオン部分Xの化学構造中にMo(モリブデン)を含有し、一般式(I)に占めるMo(モリブデン)の割合が質量基準で0を越えて5%未満であるヘテロポリオキソメタレートアニオンであることが、顔料自体の耐熱性により優れるので好ましい。
上記一般式(I)のXが、W(タングステン)、O(酸素)を必須元素として、P(リン)とSi(珪素)の少なくとも一種を含有し、一般式(I)に占めるMo(モリブデン)の割合が質量基準で5%未満であるヘテロポリオキソメタレートアニオンであるトリアリールメタン顔料の中でも、更に好適なトリアリールメタン顔料としては、下記一般式(I)で表されるトリアリールメタン顔料が挙げられる。
Figure 2012251104
〔但し、一般式(I)中、R、R、RおよびRは同一でも異なっていても良い水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、もしくはフェニル基、Xは、(PMo18−y626−/6で表され、y=1,2または3の整数であるヘテロポリオキソメタレートアニオンか、(SiMoW12404−/4で表されるヘテロポリオキソメタレートアニオンか、ドーソン型又は欠損ドーソン型リンタングステン酸ヘテロポリオキソメタレートアニオンから選ばれる少なくとも一種のアニオンである。〕
尚、ドーソン型リンタングステン酸ヘテロポリオキソメタレートアニオンXとは、(P18626−/6 であり、一方、欠損ドーソン型リンタングステン酸ヘテロポリオキソメタレートアニオンXとは、(P176110−/10 である。
好ましいカチオン部分は、例えば、窒素原子上のR、RおよびRがエチル基かつRが水素原子である場合〔ビクトリアピュアブルーBO(ベーシックブルー7)に相当〕、窒素原子上のRおよびRがいずれもメチル基かつRがフェニル基でありRが水素原子である場合〔ビクトリアブルーB(ベーシックブルー26)に相当〕、窒素原子上のRおよびRがいずれもメチル基かつRがエチル基でありRが水素原子である場合〔ビクトリアブルーR(ベーシックブルー11)に相当〕、窒素原子上のR、RおよびRがいずれもメチル基かつRがフェニル基である場合〔ビクトリアブルー4R(ベーシックブルー8)に相当〕が挙げられる。カッコ内はカチオン部分の構造が同一である、対応する染料を指す。
これらトリアリールメタン顔料(A)のうち、耐熱性だけをとってみた場合には、トリアリールメタン顔料のアニオンが、モリブデン(Mo)含有率が低いヘテロポリオキソメタレートアニオンであるほどより耐熱性に優れ、この様なものとしては、具体的にはドーソン型又は欠損ドーソン型リンタングステン酸ヘテロポリオキソメタレートアニオンから選ばれる少なくとも一種のアニオンのトリアリールメタン顔料が挙げられる。一方、優れた耐熱性と優れた耐光性を兼備するのは、(PMo18−y626−/6で表され、y=1,2または3の整数であるヘテロポリオキソメタレートアニオンのトリアリールメタン顔料である。
トリアリールメタン顔料は、上記した通り、市販のトリアリールメタン染料を、上ヘテロポリ酸またはヘテロポリオキソメタレートアルカリ金属塩とを反応させることで容易に製造することが出来る。アニオンが塩化物イオンの上記染料を用いかつヘテロポリ酸を用いる場合には、脱塩化水素反応により、アニオンが塩化物イオンの上記染料を用いかつヘテロポリオキソメタレート金属塩を用いる場合には、脱アルカリ金属塩化物反応により、塩置換することで製造することが出来る。
上記ヘテロポリ酸を用いる脱塩化水素反応に比べて、ヘテロポリ酸をいったんヘテロポリオキソメタレートアルカリ金属塩としてから脱アルカリ金属塩化物反応を行う方が、塩置換を確実に行うことが出来、より収率高くトリアリールメタン顔料が得られるばかりでなく、副生成物がより少ない純度の高いトリアリールメタン顔料が得られるので好ましい。勿論、ヘテロポリオキソメタレートアルカリ金属塩は、再結晶等により精製してから用いることも出来る。
染料由来のカチオンは、一価であることから、アニオン源である、ヘテロポリ酸またはヘテロポリオキソメタレートアルカリ金属塩の使用量は、それらのイオン価に応じて、等モル数となる様に仕込んで上記反応を行うことが好ましい。
本発明で用いるトリアリールメタン顔料は、ヘテロポリ酸でレーキ化(水不溶化)する工程を含むので(或いはヘテロポリ酸でレーキ化(水不溶化)されているので)、製造工程中または製造後の何らかの工程で水を用いる場合、より確実な反応を行ったり、得られた化合物のレーキ構造が破壊されないようにするには、例えば、精製水、イオン交換水、純水等のような、金属イオンやハロゲンイオンの含有率が極力少ない水を用いることが好ましい。
こうして得られたトリアリールメタン顔料(A)は、一次粒子の平均粒子径が0.01〜0.30μmのトリアリールメタン顔料であることが好ましい。
本発明における一次粒子の平均粒子径とは、透過型電子顕微鏡JEM−2010(日本電子株式会社製)で視野内の粒子を撮影し、二次元画像上の、凝集体を構成する顔料(A)または本発明の顔料組成物の一次粒子の50個につき、その長い方の径(長径)を各々求め、それを平均した値である。この際、試料である顔料(A)または本発明の顔料組成物は、これを溶媒に超音波分散させてから顕微鏡で撮影する。また、透過型電子顕微鏡の代わりに走査型電子顕微鏡を使用してもよい。
本発明で選択的に用いられるカチオン性ポリウレタン樹脂(B)は、一分子中にウレタン結合2以上とカチオン性基とを必須として含む、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、有機ジオールと有機ジカルボン酸、その無水物またはそのエステル誘導体とから得られるポリエステルジオールを用いて得たポリエステル系ポリウレタン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリウレタン樹脂である。このカチオン性ポリウレタン樹脂(B)には、ウレタン結合だけでなく更に尿素結合を含んだポリウレタンポリ尿素樹脂等も含まれる。
カチオン性ポリウレタン樹脂としては、例えば、ビックケミー・ジャパン社製のDisperBYK 161等のカチオン性ポリウレタン樹脂が知られているが、これは、ε−カプロラクトンの開環重合で得られるポリカプロラクトン構造を有するポリカプロラクトン系カチオン性ポリウレタン樹脂であり、本発明で用いるポリエーテル系カチオン性ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系カチオン性ポリウレタン樹脂、有機ジオールと有機ジカルボン酸、その無水物またはその塩化物とから得られるポリエステルジオールを用いて得たポリエステル系カチオン性ポリウレタン樹脂とは異なるし、本発明で選択されたカチオン性ポリウレタン樹脂に特異な、着色物における色相は熱履歴があっても変化しないといった、優れた耐熱性は奏し得ない。本発明で選択的に用いられる上記特定のカチオン性ポリウレタン樹脂は、後記するカラーフィルタとした際の輝度の耐熱性に優れる点で好ましい。
本発明で選択的に用いられるカチオン性ポリウレタン樹脂の原料であるポリウレタン樹脂としては、例えば、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール、有機ジオールと有機ジカルボン酸、その無水物またはエステル誘導体とから得られるポリエステルジオールからなる群から選ばれる少なくとも一種のジオールと、有機ジイソシアネートと、ジアルカノールアミンとを反応させた、実質的に線状の、側鎖に第三級アミノ基を含有する熱可塑性ポリウレタン樹脂であることが、その皮膜特性に優れ取扱いが容易な点でも好ましい。
もちろん、本発明で選択的に用いられるカチオン性ポリウレタン樹脂(B)は、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール、有機ジオールと有機ジカルボン酸、その無水物またはエステル誘導体とから得られるポリエステルジオールからなる群から選ばれる二種以上のジオールと、有機ジイソシアネートと、ジアルカノールアミンとを反応させた、実質的に線状の、第三級アミノ基を含有する熱可塑性ポリウレタン樹脂であっても良い。
上記したポリウレタン樹脂を製造する際のポリエーテルジオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)等のポリマージオールが挙げられる。ポリカーボネートジオールとしては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はPTMG等のような脂肪族ジオールと、ジメチルカーボネートやエチレンカーボネート等の炭酸源とをエステル化反応させたもの等が挙げられる。ポリカプロラクトンジオール以外のポリエステルジオールとしては、前記した脂肪族ジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンの様な脂環式ジオールや2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの様な芳香族ジオールの様な各種モノマージオールと、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族二塩基酸やフタル酸、無水フタル酸、テレフタル酸ジメチル等のジカルボン酸やそれらの誘導体とから得られるポリエステルジオールを挙げることが出来る。
有機ジオールと有機ジカルボン酸、その無水物またはそのエステル誘導体とから得られるポリエステルジオールを用いて得たポリエステル系カチオン性ポリウレタン樹脂としては、中でも、フタル酸、その無水物またはそのエステル誘導体と炭素数が2〜20までのグリコールを用いて得た芳香族ポリエステルジオールを用いて得たものが耐熱性に優れるので、より好ましい。特に、この際のポリエステルジオールとしては、それを構成する有機ジカルボン酸、その無水物またはそのエステル誘導体のうち、フタル酸、その無水物またはそのエステル誘導体が、質量換算で40%〜95%であるものが耐熱性の観点からも最適である。
有機ジイソシアネートとしては、例えば、1−メチル−2,4−フェニレンジイソシアネート(2,4−TDI)、1−メチル−2,6−フェニレンジイソシアネート(2,6−TDI)、1,3−ジメチル−2,4−フェニレンジイソシアネート、1,3−ジメチル−4,6−フェニレンジイソシアネート、1,4−ジメチル−2,5−フェニレンジイソシアネート等のXDI、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(4,4−MDI)、ジフェニルメタン−2,2’−ジイソシアネート(2,2−MDI)、ジフェニルメタン−2,4−ジイソシアネート(2,4−MDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(4,4−H−MDI)、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(2,4−H−MDI)、2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(2,2−HDI)等を用いることが出来る。中でも、無黄変の、脂肪族または脂環式のジイソシアネートを用いることが得られるポリウレタン樹脂の着色が少ないため好ましい。
本発明においては、分子中に少なくとも一つのアミノ基と二つの水酸基を有する化合物をジアルカノールアミンと称する。このジアルカノールアミンとしては、例えば、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミンの様な、第三級アミノ基一つと水酸基二つとを有する化合物であるN−アルキルジアルカノールアミンや、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンジグリシジルエーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジグリシジルエーテルの様な、脂肪族、脂環式、芳香族の各種グリコールのジグリシジルエーテル1モルと、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミンの様な、第二級アミン2モルとの付加物等の第三級アミノ基を水酸基二つとを含有する化合物であるジオールとを用いることが出来る。
グリコールジグリシジルエーテル1モルと第二級アミン2モルとの付加物から得られた上記第三級アミノ基を二つ含有するジオールを用いて得たカチオン性ポリウレタン樹脂の方が、N−アルキルジアルカノールアミンを用いて得たカチオン性ポリウレタン樹脂に比べて、同一モル数用いた場合のアミノ基濃度を高められるばかりでなく、ポリウレタン樹脂中のアミノ基間の分子量を高めることも出来る。その結果、中和や第4級化による水性媒体への分散安定性を高められるだけでなく、樹脂皮膜の柔軟性をより高めることが出来、顔料粒子の形状や大きさの変化等があっても樹脂皮膜が追従しやすくなり、両者間の密着性が高まり、樹脂被覆によってもたらされる本発明の効果も高まる。
第三級アミノ基を含有するポリウレタン樹脂を得るに当たっては、必要ならば、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタンジアミン等のアミノ基を分子内に二つ以上有する有機ポリアミン、ヒドラジン、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジン誘導体を併用したり、三官能以上の、活性水素原子含有有機化合物や有機イソシアネートを少量併用しても良い。
第三級アミノ基を含有するポリウレタン樹脂は、上記した特定のジオールと、有機ジイソシアネートと、上記した特定のジオールとは異なるジアルカノールアミンとを必須成分として、全活性水素とイソシアネートとの当量が、理論的には1:1となる様に反応させることで製造することが出来る。
カチオン性ポリウレタン樹脂(B)は、例えば、上記の様にして得られた第三級アミノ基を含有するポリウレタン樹脂をカチオン化することで得られ、第三級アミノ基を含有するポリウレタン樹脂を、その第三級アミノ基を酸で中和して中和塩とするか、または公知慣用の四級化剤で第四級化してカチオン性基に変換することで製造することが出来る。この際の酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸等の有機酸や、蟻酸、塩酸等の無機酸が、四級化剤としては、例えば、ハロゲン化アルキルやジアルキル硫酸等の四級化剤を用いることが出来る。
カチオン性ポリウレタン樹脂(B)は、カチオン性基を含有しているため水中に安定的に分散させることが出来る。カチオン性ポリウレタン樹脂水分散体は、有機溶剤を実質的に用いておらず、対応するカチオン性ポリウレタン樹脂有機溶剤溶液に比べて取り扱いが極めて容易かつ安全で好ましい。この様なカチオン性ポリウレタン樹脂水分散体としては、例えば、第一工業製薬(株)スーパーフレックス600番台、F−8500番台の各シリーズや、旭電化工業(株)アデカボンタイター670番台シリーズ、同HUXシリーズ、日華化学(株)ネオフィックスシリーズ、DIC(株)ハイドランCPシリーズを挙げることが出来る。
カチオン性ポリウレタン樹脂(B)は、予め前記顔料(A)と混合して顔料組成物をしてから、後記する被着色媒体に加えても良いし、予め混合せずにそれぞれを被着色媒体に加えても良い。
顔料(A)と、樹脂(B)を液媒体に溶解または分散させた溶液や分散液とを混合した後、液媒体を除去することで、より均一に顔料(A)と樹脂(B)とが混合した顔料組成物を調製することもできる。この混合は、攪拌下に行なうことが好ましい。顔料(A)と、樹脂(B)水分散体とを、必要ならば加熱しながら混合攪拌することで、より確実に顔料(A)の表面を被覆することができる。また、加圧加熱を行なうことで、単なる加熱の場合の顔料(A)粒子の表面への樹脂(B)の被覆のみならず、顔料(A)粒子の細孔の様な空隙部分への樹脂(B)の浸透を促進することができ、より被覆の効果が高まる。
このとき、液媒体として上記した様に水を用いる様にすると、液媒体として有機溶媒を用いて前記混合加熱を行う場合に比べて、顔料(A)自体の結晶形状等の変化が少なく、色相変化を小さくすることが出来る。
本発明では、顔料(A)と樹脂(B)の質量基準での割合は、特に制限されるものではないが、前者顔料(A)100部当たり、後者樹脂(B)不揮発分0.1部以上10部未満となる様に、中でも、0.5〜5部、特に1〜3部とすることが好ましい。
本発明の顔料組成物を調製する際に、顔料(A)と樹脂(B)とを加熱する場合には、両者を混合した後、密閉系にて、温度100〜150℃での攪拌下、30分〜5時間の範囲にて行なうことができる。こうして密閉系で加熱を行なうことで、加圧状態が形成され、前記した様に、顔料粒子の空隙にまで、ポリウレタン樹脂(B)が浸透することになり、単に粒子表面だけを被覆するのに比べて、より優れた効果が発現される。
こうして加熱を行なった混合物は、例えば冷却し、そこから液媒体を除去し、必要に応じて、固形物を洗浄、濾過、乾燥、粉砕等をすることにより、顔料(A)とポリウレタン樹脂(B)とを含有する本発明の顔料組成物の粉体を得ることが出来る。
本発明の顔料組成物を調製する際に、洗浄としては、水洗、湯洗のいずれも採用できる。洗浄回数は、1〜5回の範囲で繰り返すことも出来る。洗浄することで、顔料(A)に吸着していない樹脂(B)を容易に除去することが出来る。必要であれば、結晶状態を変化させない様に、酸洗浄、アルカリ洗浄、溶剤洗浄を行ってもよい。予め顔料組成物を調製した後にそれを被着色媒体に加えるといった使用方法を採用する場合には、顔料組成物中に含有された、有効成分である、樹脂(B)不揮発分の量(いわゆる歩留まり)は、例えば顔料組成物の溶媒抽出による樹脂抽出量から、或いは、仕込樹脂(B)に対する濾液中の流出量から求めることが出来る。
上記した濾別、洗浄後の乾燥としては、例えば、乾燥機に設置した加熱源による80〜120℃の加熱等により、顔料の脱水及び/又は脱溶剤をする回分式あるいは連続式の乾燥等が挙げられ、乾燥機としては一般に箱型乾燥機、バンド乾燥機、スプレードライアー等がある。特にスプレードライ乾燥はペースト作成時に易分散であるため好ましい。また、乾燥後の粉砕は、比表面積を大きくしたり一次粒子の平均粒子径を小さくするための操作ではなく、例えば箱型乾燥機、バンド乾燥機を用いた乾燥の場合のように顔料がランプ状等のとなった際に顔料を解して粉末化するために行うものであり、例えば、乳鉢、ハンマーミル、ディスクミル、ピンミル、ジェットミル等による粉砕等が挙げられる。こうして、顔料(A)と樹脂(B)とを含有する顔料組成物を主成分として含む乾燥粉末が得られる。
本発明の顔料組成物は、公知慣用の用途にいずれも使用できるが、特に一次粒子の平均粒子径が0.01〜0.10μmであると、顔料凝集も比較的弱く、着色すべき合成樹脂等の被着色媒体への分散性がより良好となる。
本発明の顔料組成物は、カラーフィルタ青色画素部に使用する場合においては、カラーフィルタ用感光性組成物への顔料分散が容易であり、カラーフィルタ用感光性組成物を硬化する際に多用される365nmにおける遮光性は低下し、レジストの光硬化感度の低下がなく、現像時の膜へりやパターン流れも起こり難くなるので好ましい。近年要求されている鮮明度と明度とのいずれもが高いカラーフィルタ緑色画素部がより簡便に得られる。
本発明の顔料組成物の一次粒子は、更に縦横のアスペクト比が1〜3であると、各用途分野において粘度特性が向上し、流動性がより高くなる。アスペクト比を求めるには、まず、一次粒子の平均粒子径を求める場合と同様に、透過型電子顕微鏡または走査型電子顕微鏡で視野内の粒子を撮影する。そして、二次元画像上の、凝集体を構成する一次粒子の50個につき長い方の径(長径)と、短い方の径(短径)の平均値を求め、これらの値を用いて算出する。
本発明の顔料組成物を、少なくともカラーフィルタの青色画素部に含有させることで、本発明のカラーフィルタを得ることが出来る。カラーフィルタ分野においては、従来の印刷インキや塗料の様な汎用用途とは異なり、彩度値の取扱いが大変厳密であり、極僅か彩度値の向上させるのにも困難を伴うが、本発明の顔料組成物をカラーフィルタの調製に用いることにより、色純度が向上しより広いRGB色再現域の液晶表示装置が得られる。
トリアリールメタン顔料(A)を含有する本発明の顔料組成物は、カラーフィルタの青色画素部を得る場合に、特段に紫色顔料を調色のために併用する必要がないため、380〜780nmの全域における光透過率の低下も最小限に防止できる。特に、より高い着色力を有するため、同等の色濃度であれば、より少ない使用量で良いため、さらに透過率を上げることも出来、有利である。
本発明の顔料組成物は、それだけをそのままカラーフィルタの青色画素部の製造に用いることが出来るが、必要ならば、経済性を考慮して、C.I.ピグメントブルー15:6やC.I.ピグメントバイオレット23の様な、公知慣用の青色や紫色の、顔料や顔料誘導体を併用しても良い。
本発明の顔料組成物は、公知の方法でカラーフィルタの青色画素部のパターンの形成に用いることが出来る。典型的には、本発明の顔料組成物と、感光性樹脂とを必須成分して含ませることで、カラーフィルタ青色画素部用感光性組成物を得ることが出来る。
カラーフィルタの製造方法としては、例えば、本発明の顔料組成物を感光性樹脂からなる分散媒に分散させた後、スピンコート法、ロールコート法、インクジェット法等でガラス等の透明基板上に塗布し、ついでこの塗布膜に対して、フォトマスクを介して紫外線によるパターン露光を行った後、未露光部分を溶剤等で洗浄して緑色パターンを得る、フォトリソグラフィーと呼ばれる方法が挙げられる。
その他、電着法、転写法、ミセル電解法、PVED(Photovoltaic Electrodeposition)法の方法で青色画素部のパターンを形成して、カラーフィルタを製造してもよい。なお、赤色画素部のパターンおよび緑色画素部のパターンも公知の顔料を使用して、同様の方法で形成できる。本発明の顔料組成物は、熱履歴を受けても色相変化が小さいため、例えば、ベーキングを工程に含む様なカラーフィルタの製造方法においては、極めて有用である。
本発明の顔料組成物は、従来公知の方法でカラーフィルタ画素部の形成に使用することができる。本発明の顔料組成物の分散方法で代表的な方法としては、フォトリソグラフィー法であり、これは、後記する感光性組成物を、カラーフィルタ用の透明基板のブラックマトリックスを設けた側の面に塗布、加熱乾燥(プリベーク)した後、フォトマスクを介して紫外線を照射することでパターン露光を行って、画素部に対応する箇所の感光性化合物を硬化させた後、未露光部分を現像液で現像し、非画素部を除去して画素部を透明基板に固着させる方法である。この方法では、感光性組成物の硬化着色皮膜からなる画素部が透明基板上に形成される。
カラーフィルタ青色画素部用感光性組成物を調製するには、例えば、本発明の顔料組成物と、感光性樹脂と、光重合開始剤と、前記樹脂を溶解する有機溶剤とを必須成分として混合する。その製造方法としては、本発明の顔料組成物と有機溶剤と必要に応じて分散剤を用いて分散液を調製してから、そこに感光性樹脂等を加えて調製する方法が一般的である。
必要に応じて用いる分散剤としては、例えばビックケミー社のディスパービック(DisperbyK登録商標)130、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック170、エフカ社のエフカ46、エフカ47等が挙げられる。また、レベリング剤、カップリング剤、カチオン系の界面活性剤なども併せて使用可能である。
有機溶剤としては、例えばトルエンやキシレン、メトキシベンゼン等の芳香族系溶剤、酢酸エチルや酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル系溶剤、エトキシエチルプロピオネート等のプロピオネート系溶剤、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクタム、N−メチル−2−ピロリドン、アニリン、ピリジン等の窒素化合物系溶剤、γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、カルバミン酸メチルとカルバミン酸エチルの48:52の混合物のようなカルバミン酸エステル、水等がある。有機溶剤としては、特にプロピオネート系、アルコール系、エーテル系、ケトン系、窒素化合物系、ラクトン系、水等の極性溶媒で水可溶のものが適している。
本発明の顔料組成物100質量部当たり、300〜1000質量部の有機溶剤と、必要に応じて0〜100質量部の分散剤及び/又は0〜20質量部の青色顔料誘導体とを、均一となる様に攪拌分散することで、上記した分散液を得ることができる。次いでこの分散液に、本発明の顔料組成物1質量部当たり、3〜20質量部の感光性樹脂、感光性樹脂1質量部当たり0.05〜3質量部の光重合開始剤と、必要に応じてさらに有機溶剤を添加し、均一となる様に攪拌分散してカラーフィルタ青色画素部用感光性組成物を得ることができる。この様な感光性組成物は、カラーレジストと呼ばれることもある。
この際に使用可能な感光性樹脂としては、例えばウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド酸系樹脂、ポリイミド系樹脂、スチレンマレイン酸系樹脂、スチレン無水マレイン酸系樹脂等の熱可塑性樹脂や、例えば1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ビス(アクリロキシエトキシ)ビスフェノールA、3−メチルペンタンジオールジアクリレート等のような2官能モノマー、トリメチルロールプロパトントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等のような多官能モノマー等の光重合性モノマーが挙げられる。
光重合開始剤としては、例えばアセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタノール、ベンゾイルパーオキサイド、2−クロロチオキサントン、1,3−ビス(4’−アジドベンザル)−2−プロパン、1,3−ビス(4’−アジドベンザル)−2−プロパン−2’−スルホン酸、4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸等がある。
必要であれば、例えば、界面活性剤、重合抑制剤、酸化防止剤、耐光安定剤等を更に、上記感光性組成物に加えることも出来る。
こうして調製されたカラーフィルタ青色画素部用感光性組成物は、フォトマスクを介して紫外線によるパターン露光を行った後、未露光部分を有機溶剤やアルカリ水等で洗浄することによりカラーフィルタとなすことができる。
赤色及び緑色についても、上記した感光性組成物を調製して、前記した操作を繰り返すことにより、所定の位置に赤色、緑色、青色の着色画素部を有するカラーフィルタを製造することができる。尚、赤色画素部および緑色画素部を形成するための感光性組成物を調製するには、公知慣用の赤色顔料と緑色顔料を使用することができる。
赤色画素部を形成するための顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド177、同209、同242、同254等が、緑色画素部を形成するための顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、同10、同36、同47、同58等が挙げられる。これら赤色画素部と緑色画素部の形成には、黄色顔料を併用することもできる。その後、必要に応じて、未反応の光硬化性化合物を熱硬化させるために、カラーフィルタ全体を加熱処理(ポストベーク)することもできる。
本発明のカラーフィルタにおいては、バックライト光源としては、従来の冷陰極管(CCFL光源)、白色LED(LED;Light Emitting Diode)光源、3色独立LED光源、白色有機EL(EL;Electro Luminescence)光源等をいずれも用いることが出来る。
本発明の顔料組成物は、より着色力が高く、高色純度でコントラストの高い明るい青色を発色する。従って、詳記したカラーフィルタ用以外にも、塗料、プラスチック、印刷インク、ゴム、レザー、捺染、電子トナー、ジェットインキ、熱転写インキなどの着色に適する。
次に本発明の実施例を示して具体的に説明する。以下、断りのない限り、%は質量%、部は質量部を意味する。
<参考例1>
ドーソン型(PMoW17626− ヘテロポリオキソメタレートでレーキ化されたトリアリールメタン顔料の合成
(1)K(PMoW1762)の調整1
NaWO・2HO(和光純薬工業株式会社製試薬) 44.0g、NaMoO・2HO(関東化学株式会社製試薬) 1.90gを精製水 230gに溶解した。この溶液に攪拌しながら85%リン酸 64.9gを滴下ロートを用いて添加した。得られた溶液を8時間、加熱還流した。反応液を室温に冷却し、臭素水1滴を加え、攪拌しながら塩化カリウム 45gを添加した。こうしてヘテロポリ酸を得た。
更に1時間攪拌後、生じた黄色の沈殿K(PMoW1762)をろ別し、90℃で乾燥した。収量 29.4gであった。
フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)での分析(KBr/cm−1):
1091,960,915,783,530
FT−IRの分析結果から、この乾燥物は、K(PMoW1762)であることが確認された。
(2)ドーソン型(PMoW1762)トリアリールメタン顔料の製造
C.I.ベーシックブルー7(東京化成株式会社製試薬)5.30gを精製水350mlに投入し、40℃で攪拌させて溶解した。次いで上記調整1で得たK(PMoW1762) 10.0gを精製水40mlに溶解した。C.I.ベーシックブルー7溶液にK(PMoW1762)溶液を投入し、そのまま40℃で1時間攪拌した。ついで内温を80℃に上げ、さらに該温度で1時間攪拌した。冷却後ろ過し、300mlの精製水で3回洗浄した。得られた固体を90℃で乾燥させた後、黒青色固体が10.4g得られた。該固体からなる生成物の一次粒子の平均粒子径は40nmであった。該固体を市販のジューサーにて粉砕して、一般式(I)においてR、RおよびRがエチル基かつRが水素原子であり、Xが(PMoW17626−/6で表されるヘテロポリオキソメタレートからなるアニオンであるトリアリールメタン顔料を得た。
フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)での分析(KBr/cm−1):
2970,1579,1413,1342,1273,1185,1155,1073,954,911,786
C.I.ベーシックブルー7自体のFT−IRの分析結果、及びK(PMoW1762)自体のFT−IR分析結果及び上記生成物のFT−IRの分析結果から、この生成物は、C.I.ベーシックブルー7のカチオン構造とK(PMoW1762)のアニオン構造が維持されていることが確認出来た。また、この生成物は、蛍光X線分析の結果、レーキ化に用いたK(PMoW1762)のカリウムイオンに基づくピーク強度が、レーキ化の際の原料仕込み時に比べて著しく低下しており、C.I.ベーシックブルー7のカチオン構造とK(PMoW1762)のアニオン構造とがイオン結合していると推察された。
これらの事実から、得られた生成物は、一般式(I)において、R、RおよびRがエチル基かつRが水素原子であるカチオンと、Xが(PMoW17626−/6で表されるドーソン型ポリオキソメタレートからなるアニオンとからなるトリアリールメタン顔料と同定することが出来た。
この顔料の一次粒子の平均粒子径は0.01〜0.10μmの範囲かつアスペクト比は1〜3の範囲にあった。
<参考例2>
ドーソン型(α−P18626− ヘテロポリオキソメタレートでレーキ化されたトリアリールメタン顔料の合成>
(1)K(α−P1862)の調整
Inorganic Chemistry, vol47, p3679(2008)記載の方法に従い、以下の通りに、調製した。
まず、精製水58mlにNaWOの2水和物 50.0gを加え、激しく攪拌して溶解した。この溶液に4mol/l塩酸水溶液 42ml、次いで4mol/lリン酸水溶液 42mlを滴下した。滴下終了後、24時間攪拌しながら加熱還流した。こうして、ヘテロポリ酸を得た。
次に、この反応液をビーカーに移し、室温まで冷却し、塩化カリウム 25gを添加し、アルカリ金属の置換を行い、生じた沈殿をろ別し、室温で減圧下乾燥した。収量は38.7gであった。
フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)での分析(KBr/cm−1):
1091,961,915,780,526
FT−IRの分析結果から、この乾燥物は、K(α−P1862)であることが確認された。
(2)ドーソン型(α−P1862)トリアリールメタン顔料の製造
C.I.ベーシックブルー7(東京化成株式会社製試薬) 5.30gを精製水 350mlに投入し、40℃で攪拌させて溶解した。次いで上記方法で調整したK(α−P1862) 10.0gを精製水 40mlに溶解した。C.I.ベーシックブルー7溶液にこのK(α−P1862)溶液を投入し、そのまま40℃で1時間攪拌した。ついで内温を80℃に上げ、さらに該温度で1時間攪拌しレーキ化を行った。冷却後ろ過し、300mlの精製水で3回洗浄した。得られた固体を90℃で乾燥させた後、黒青色固体が10.1g得られた。該固体からなる生成物の一次粒子の平均粒子径は40nmであった。該固体からなる生成物を市販のジューサーにて粉砕して、上記と同様に赤外線で分析した。
フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)での分析(KBr/cm−1):
2970,1580,1413,1343,1274,1185,1155,1090,956,909,792
C.I.ベーシックブルー7自体のFT−IRの分析結果、及びK(α−P1862)自体のFT−IR分析結果及び上記生成物のFT−IRの分析結果から、この生成物は、C.I.ベーシックブルー7のカチオン構造とK(α−P1862)のアニオン構造が維持されていることが確認出来た。また、この生成物は、蛍光X線分析の結果、レーキ化に用いたK(α−P1862)のカリウムイオンに基づくピーク強度が、レーキ化の際の原料仕込み時に比べて著しく低下しており、C.I.ベーシックブルー7のカチオン構造とK(α−P1862)のアニオン構造とがイオン結合していると推察された。
これらの事実から、得られた生成物は、一般式(I)において、Rがいずれもエチル基であるカチオンと、Xが(α−P18626−/6で表されるドーソン型ポリオキソメタレートからなるアニオンとからなるトリアリールメタン顔料と同定することが出来た。
この顔料の一次粒子の平均粒子径は0.01〜0.10μmの範囲かつアスペクト比は1〜3の範囲にあった。
<参考例3>
ケギン型(SiMoW11404− ヘテロポリオキソメタレートでレーキ化されたトリアリールメタン顔料の合成
(1)K(SiMoW1140)の調整
13mol/lのHNO水溶液9.8mlに1mol/lのNaMoO水溶液16.4mlを加えて攪拌した。この溶液にInorganic Synthesis vol27 p85記載の方法で調整したK(α型SiW1139)・13HO 16.4gを少量ずつ添加した。室温で4時間攪拌後、飽和KCl水溶液26mlを加え、生じた沈殿をろ別し、飽和KCl水溶液で洗浄した。得られた固体を室温で減圧下乾燥した。収量 12.2gであった。
フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)での分析(KBr/cm−1):
1018,978,924,876,779,539
FT−IRの分析結果から、この乾燥物は、K(SiMoW1140)であることが確認された。
(2)ケギン型(SiMoW1140)トリアリールメタン顔料の製造
C.I.ベーシックブルー7(東京化成株式会社製試薬) 6.46gを精製水 390mlに投入し、40℃で攪拌させて溶解した。次いで上記方法で調整したK(SiMoW1140) 12.2gを精製水 50mlに溶解した。C.I.ベーシックブルー7溶液にこのK(SiMoW1140)溶液を投入し、そのまま40℃で1時間攪拌した。ついで内温を80℃に上げ、さらに該温度で1時間攪拌しレーキ化を行った。冷却後ろ過し、300mlの精製水で3回洗浄した。得られた固体を90℃で乾燥させた後、黒青色固体が13.4g得られた。該固体からなる生成物の一次粒子の平均粒子径は50nmであった。該固体からなる生成物を市販のジューサーにて粉砕して、上記と同様に赤外線で分析した。
フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)での分析(KBr/cm−1):
2970,1579,1413,1343,1274,1185,1155,1074,966,918,795
C.I.ベーシックブルー7自体のFT−IRの分析結果、及びK(SiMoW1140)自体のFT−IR分析結果及び上記生成物のFT−IRの分析結果から、この生成物は、C.I.ベーシックブルー7のカチオン構造とK(SiMoW1140)のアニオン構造が維持されていることが確認出来た。また、この生成物は、蛍光X線分析の結果、レーキ化に用いたK(SiMoW1140)のカリウムイオンに基づくピーク強度が、レーキ化の際の原料仕込み時に比べて著しく低下しており、C.I.ベーシックブルー7のカチオン構造とK(SiMoW1140)のアニオン構造とがイオン結合していると推察された。
これらの事実から、得られた生成物は、一般式(I)において、R、RおよびRがエチル基かつRが水素原子であるカチオンと、Xが(SiMoW11404−/4で表されるケギン型ポリオキソメタレートからなるアニオンとからなるトリアリールメタン顔料と同定することが出来た。
この顔料の一次粒子の平均粒子径は0.01〜0.10μmの範囲かつアスペクト比は1〜3の範囲にあった。
参考例1で調製したトリアリールメタン顔料 100gと、ハイドラン CP−7020(DIC株式会社製ポリカーボネート系かつ無黄変で、グリコールジグリシジルエーテル1モルと第二級アミン2モルとの付加物から得られた上記第三級アミノ基を二つ含有するジオールを用いて得たカチオン性ポリウレタン樹脂水性分散体。不揮発分(質量換算)40%。) 2.2gと、イオン交換水 600gとを、1リットル容器に仕込み、常温にて2時間で攪拌を行なった。
その後、吸引濾過し固形分を得て、濾紙上の固形物をイオン交換水5lにて洗浄した。こうして得られた顔料組成物のウエットケーキを乾燥機中90℃で12時間乾燥させ、ラボミルにて粉砕を行なった。
こうして得られた乾燥した顔料組成物の溶媒抽出による樹脂抽出量から、仕込んだハイドラン CP−7020の不揮発分の少なくとも80%(質量換算)が、トリアリールメタン顔料に付着していることが確認できた。この顔料組成物の一次粒子の平均粒子径は0.01〜0.10μmかつアスペクト比は1〜3の範囲にあった。
<カラーフィルタ青色画素部用組成物の調製>
参考例1で得たトリアリールメタン顔料 1.80部、ビックケミー・ジャパン社製DisperBYK 2164 2.10部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート11.10部、 0.3−0.4mmφセプルビーズをポリビンに入れ、更に、カチオン性ウレタン樹脂としてハイドランCP−7020(同上) 0.04g加えた後、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)で4時間分散し、顔料分散液を得た。この顔料分散液 75.00部とポリエステルアクリレート樹脂(アロニックス(商標名)M7100、東亜合成化学工業株式会社製) 5.50部、ジぺンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(商標名)DPHA、日本化薬株式会社製) 5.00部、ベンゾフェノン(KAYACURE(商標名)BP−100、日本化薬株式会社製) 1.00部、ユーカーエステルEEP(ユニオンカーバイド社製) 13.5部を分散撹拌機で撹拌し、孔径1.0μmのフィルターで濾過し、カラーレジストを得た。
このカラーレジストは50mm×50mm、1mmの厚ガラスに乾燥膜厚が2μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、その後90℃で20分間予備乾燥して塗膜を形成させ、青色画素部を含むカラーフィルタとした。
参考例1で得たトリアリールメタン顔料 1.80部と、ハイドランCP−7020(同上) 0.04gを、実施例1で得た顔料組成物 1.82部に代える以外は実施例2と同様にして顔料分散液及びカラーレジストを調製し、同条件でカラーフィルタを得た。
ハイドランCP−7020を、同じくカチオン性ウレタン樹脂であるハイドランCP−7050(DIC株式会社製の芳香族ポリエステル系かつ無黄変で、グリコールジグリシジルエーテル1モルと第二級アミン2モルとの付加物から得られた上記第三級アミノ基二つと水酸基二つを含有する化合物であるジオールを用いて得たカチオン性ポリウレタン樹脂水性分散体。不揮発分(質量換算)25%。)の不揮発分同量に変更した以外は、実施例2と同様にして顔料分散液及びカラーレジストを調製し、同条件で青色画素部を含むカラーフィルタを作製した。
比較例1
参考例1で得たトリアリールメタン顔料に代えてFANAL BLUE D6340(BASF社製C.I.ピグメントブルー1)同量と、ハイドランCP−7020に代えてビックケミー・ジャパン社製DisperBYK 161(ポリカプロラクトン系カチオン性ポリウレタン樹脂分散体。)の不揮発分同量に変更した以外は、実施例2と同様にして顔料分散液及びカラーレジストを調製し、同条件で青色画素部を含むカラーフィルタを作製した。
参考例1で得たトリアリールメタン顔料に代えてFANAL BLUE D6340同量を用いる以外は、実施例2と同様にして顔料分散液及びカラーレジストを調製し、同条件で青色画素部を含むカラーフィルタを作製した。
参考例2のトリアリールメタン顔料を用いる以外は、実施例2と同様にして顔料分散液及びカラーレジストを調製し、同条件で青色画素部を含むカラーフィルタを作製した。
参考例3のトリアリールメタン顔料を用いる以外は、実施例2と同様にして顔料分散液及びカラーレジストを調製し、同条件で青色画素部を含むカラーフィルタを作製した。
上記で得られた各々のカラーフィルタにつき、下記の通りに、熱履歴が加わる前後における輝度を測定し、耐熱性を評価した。
輝度
各カラーフィルタ青色画素部につき、コニカミノルタ株式会社製分光光度計CM−3500においてC光源における輝度(Y値)を測定した。輝度が高い方が良好と評価した。
尚、色相(x、y)および輝度(Y値)は、膜厚の異なる複数種のガラス板それぞれについてC光源測色における色度座標x値とy値およびCIE発色系色度におけるY値を測定の上、それをもとに複数の点からなるx-Yグラフを作成し、その近似直線上のy=0.110におけるY値を輝度とした。輝度が大きいほど視覚明度が高いことを意味する。
耐熱性(230℃×1時間もしくは210℃×3時間)
当該カラーフィルタ青色画素部をオーブンに入れて、加熱した後の輝度を加熱前の値と比較した。加熱後の輝度が高いほどおよび耐熱試験による輝度低下が小さいほど良好な結果と評価した。
上記実施例、比較例で作製した各々のカラーフィルタの230℃あるいは210℃にて焼成(ポストベーク)前後の輝度の値を下表に記載した。本発明の顔料組成物から作成したカラーフィルタは、いずれもポストベーク後において、従来よりも輝度値の低下を抑えられることが明らかである。
表1
Figure 2012251104
表中、カチオン性PU樹脂は、カチオン性ポリウレタン樹脂を意味し、同列に記載されたCP−7020及びCP−7050は、それぞれDIC株式会社製ハイドランCP−7020及び同CP−7050であり、BYK161は、ビックケミー・ジャパン社製DisperBYK 161である。また、顔料の列に記載されたD6340は、FANAL BLUE D6340(BASF社製C.I.ピグメントブルー1)である。
表1から明らかなように、例えば、実施例6と比較例1との対比から、特定ポリオール構造を有するカチオン性ポリウレタン樹脂を含む本発明の顔料組成物から作られた青色画素部を有する実施例のカラーフィルタは、ポリカプロクトンジオール構造を有する従来のポリウレタン樹脂を含む顔料組成物から得られた顔料組成物からなる比較例のそれに対し、熱履歴の前後でも輝度低下が小さく、耐熱性が著しく優れていることがわかる。
また、実施例2と実施例6との対比から、同じ特定ポリオール構造を含有するカチオン性ポリウレタン樹脂を用いたとしても、ベースとするトリアリールメタン顔料のアニオン構造が特定のコンプレックスアシッドである場合には、従来のC.I.ピグメントブルー1を用いた場合に比べて、絶対値としての輝度を高めることが出来る。
実施例2及び実施例4のカラーフィルタにつき、調製直後(光照射前)と光照射後とで、色相変化と輝度がどの程度変化するかを、以下の通りにして求めたところ、耐光性にも優れており、優れた耐熱性と優れた耐光性とを兼備していることが確認された。
<耐光性試験>
上記で作成した各青色カラーフィルタを、キセノン耐光性試験機(ATLAS社製Suntest CPS+)を用い、550W/m、63℃、48時間の条件で光照射し、照射前後の色度および輝度をコニカミノルタ株式会社社製分光光度計CM-3500dで測定して色差△E*abと輝度変化を比較した。
特定ポリオール構造を含有するカチオン性ポリウレタン樹脂を含む本発明の顔料組成物は、従来のポリカプロラクトン構造を有するカチオン性ポリウレタン樹脂を含む従来の顔料組成物に比べて、更に高彩度であり、より色純度の高い色度を有し、さらに非常に高い着色力を示す。したがって、本発明の顔料組成物は、より理想的なRGB色再現域のディスプレー等の大画面用カラーフィルタの青色画素部のパターン形成に最適である。
本発明は、輝度の耐熱性に優れたカラーフィルタが得られるトリアリールメタン顔料組成物、それを含有してなる感光性組成物及びそれを青色画素部に含有する、高温で長期間の液晶表示を行なっても輝度低下が少ない画像が得られるカラーフィルタを提供できる。

Claims (4)

  1. トリアリールメタン顔料(A)とカチオン性ポリウレタン樹脂(B)とを含有する顔料組成物において、前記カチオン性ポリウレタン樹脂(B)として、ポリエーテル系カチオン性ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系カチオン性ポリウレタン樹脂、有機ジオールと有機ジカルボン酸、その無水物またはそのエステル誘導体とから得られるポリエステルジオールを用いて得たポリエステル系カチオン性ポリウレタン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオン性ポリウレタン樹脂を用いることを特徴とする顔料組成物。
  2. 質量換算でトリアリールメタン顔料(A)100部当たりカチオン性ポリウレタン樹脂(B)不揮発分0.1以上10部未満である請求項1記載の顔料組成物。
  3. トリアリールメタン顔料(A)が、下記一般式(I)で表されるトリアリールメタン系顔料である請求項1または2記載の顔料組成物。
    Figure 2012251104

    〔但し、一般式(I)中、R、R、RおよびRは同一でも異なっていても良い水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、もしくはフェニル基、Xは、W(タングステン)、O(酸素)を必須元素として、P(リン)とSi(珪素)の少なくとも一種を含有し、一般式(I)に占めるMo(モリブデン)の割合が質量基準で5%未満であるヘテロポリオキソメタレートアニオンである。〕
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の顔料組成物を青色画素部に含有するカラーフィルタ。
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