JP2012248673A - 変圧器用コイルおよびそれを用いた変圧器 - Google Patents

変圧器用コイルおよびそれを用いた変圧器 Download PDF

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Abstract

【課題】大型化を招くことなく電気的ノイズの伝播を抑制する変圧器用コイルおよびそれを用いた変圧器を提供する。
【解決手段】実施形態の変圧器用コイルは、1/2電圧を出力する中間口出しを備えた変圧器用コイルであって、複数の薄板状の導体を互いの間を絶縁しながら同心的に巻回し、これらの導体が直列につながるように互いの巻始め端と巻終り端とを接続し、そのうち直接接続された2つの導体を出力端子として用いる。
【選択図】図2

Description

本発明の実施形態は、変圧器用コイルおよびそれを用いた変圧器に関する。
例えばインバータ装置などのパワーエレクトロニクス機器は、スイッチングサージやPWM制御時のキャリア周波数およびその側帯波成分からなる高周波成分等の電気的ノイズを発生する。このような電気的ノイズがパワーエレクトロニクス機器に接続されている電源系統に流出すると、その電源系統に接続された他の機器の誤動作などを招く要因となる。そのため、パワーエレクトロニクス機器に交流電源を供給する変圧器において電気的ノイズの低減が図られている。
特開2006−294803号公報
本発明が解決しようとする課題は、大型化を招くことなく電気的ノイズの伝播を抑制する変圧器用コイルおよびそれを用いた変圧器を提供することである。
実施形態の変圧器用コイルは、1/2電圧を出力する中間口出しを備えた変圧器用コイルであって、複数の薄板状の導体を互いの間を絶縁しながら同心的に巻回し、これらの導体が直列につながるように互いの巻始め端と巻終り端とを接続し、そのうち直接接続された2つの導体を出力端子として用いる。
第1実施形態の変圧器用コイルを適用した内接三角結線変圧器の全体構成を模式的に示す図 第1実施形態の変圧器用コイルの構成を模式的に示す図 第1実施形態の図2のIII領域を示す図 第1実施形態の変圧器用コイルの出力端子の配置を示す図 第2実施形態による図4相当図 第3実施形態による図2相当図
以下、変圧器用コイルおよびそれを用いた変圧器の複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する複数の実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態による変圧器用コイルおよびそれを用いた変圧器について、図1から図4を参照しながら説明する。第1実施形態では、変圧器として内接三角結線変圧器を想定している。
図1に示すように、内接三角結線変圧器1は、三相三脚の積層鉄心2、および複数相(本実施形態では三相)のコイル3、4、5を備えている。積層鉄心2は、例えばケイ素鋼板を積層して形成されており、三本(三相分)の脚部6と、それらの脚部6を接続する二本の継鉄部7とを有している。脚部6は、継鉄部7の両端部および中央部にて二本の継鉄部7を接続している。具体的には、積層鉄心2は、継鉄部7の図1の図示左右方向の両端部に配置されている各脚部6と中央部の脚部6とにより、各継鉄部7を接合して形成されている。この積層鉄心2は、左右の脚部6と継鉄部7との接合部が概ね45度に形成されたいわゆる額縁型に形成されているとともに、中央の脚部6と各継鉄部7との接合部がV字状をなすいわゆるVノッチ型に形成されている。なお、積層鉄心2の構成は上記したものに限らず、いわゆる短冊形などであってもよい。
コイル3は一次コイル31と二次コイル32とを備え、コイル4は一次コイル41と二次コイル42とを備え、コイル5は一次コイル51と二次コイル52とを備えている。一次コイル31、41、51は、導体を巻回して形成されており、図示しない商用電源から交流電圧が印加される。なお、一次コイル31、41、51の構成は周知のものと同様であるので、詳細な説明は省略する。
二次コイル32、42、52は、図2に示すように、複数(本実施形態では3つ)の導体としての第一導体11、第二導体12および第三導体13を備えている。なお、各二次コイル32、42、52の構成は共通であるので、以下では二次コイル32を例にして説明する。各導体11、12、13は、相互間に図示しない絶縁シートを介して同心状に巻回されている。この図2では、第一導体11を一点鎖線で示し、第二導体12を太い実線で示し、第三導体13を破線で示している。以下、第一導体11、第二導体12および第三導体13を総称して、符号を付さず単に各導体とも称する。各導体は、銅やアルミニウム製の薄板などによりシート状に形成され、それぞれの巻始め端11a、12a、13aと隣接する導体の巻終り端11b、12b、13bとが接続されている。具体的には、第一導体11の巻始め端11aと第二導体12の巻終り端12bとが接続され、第二導体12の巻始め端12aと第三導体13の巻終り端13bとが接続されている。つまり、各導体は、直列につながるように互いに接続されている。なお、第一導体11については、巻終り端11bは開放状態(未接続状態)となっている。
また、二次コイル32は、出力端子としての端子14、端子15および端子16を備えている。これらのうち、端子14は第二導体12の巻始め端12aと第三導体13の巻終り端13bとに接続され、端子15は第一導体11の巻始め端11aと第二導体12の巻終り端12bとに接続され、端子16は第三導体13の巻始め端13aに接続されている。つまり、端子14および端子15は、直列的に直接接続されている2つの導体(例えば端子14の場合には第二導体12および第三導体13の2つ)において、それらの導体の接続部分に設けられている。また、端子16は、直接接続されている2つの導体である第二導体12および第三導体13のうち、第三導体13の端部に設けられている。そして、端子14が、端子15と端子16との間に出力される出力電圧(端子間電圧)の1/2電圧を出力する出力端子である中間口出しに相当する。つまり、二次コイル32では、直接接続されている2つの導体を出力端子として用いており、それらの各導体に出力端子が設けられている。これらの二次コイル32、42、52が、本実施形態における変圧器用コイルに相当する。
二次コイル32は、各導体の巻回数をnとし、1巻回当たりに誘起される電圧を1とした場合、各導体間に静電容量Ckが生じる。また、各導体間には、巻回数に応じて図3に示した値(0、n、n+1など)の電圧が誘起され、数値の差に応じた電位差に相当する導体間電圧Vkが生じる。この場合、各導体間に蓄えることができる静電エネルギーEkは、以下の(1)式で表される。
Figure 2012248673
但し、本実施形態ではk=1、2、3
k=1:第一導体11と第二導体12間の電位差V=n−0=n、静電容量C
k=2:第二導体12と第三導体13間の電位差V=2n−n=n、静電容量C
k=3:第三導体13と第一導体11間の電位差V=2n−(−1)=2n+1、静電容量C
また、各導体全体が蓄える静電エネルギー、すなわち、二次コイル32において蓄えることができる静電エネルギーEは、以下の(2)式のように、各導体間に蓄えられる静電エネルギーEkの総和として表される。
Figure 2012248673
そして、二次コイル32のそれぞれの静電容量Cは、端子15と端子16との間の電位差(端子間電圧)をVとすると、以下の(3)式で表される。
Figure 2012248673
このように、二次コイル32の静電容量Cは、各導体間の電位差である導体間電圧Vkの2乗に比例して大きくなる。そして、複数の導体(11,12、13)を巻回して形成した二次コイル32は、単一の導体を巻回して構成されたコイル(以下、便宜的に単一巻回コイルと称する)と比較すると、導体間電圧Vkが大きくなる。このため、二次コイル32は、出力端子間に蓄えられる静電エネルギーEが、単一巻回コイルが蓄える静電エネルギーよりも増加する。その結果、二次コイル32の静電容量C、換言すると、商用電源から供給される高周波電圧を短絡する静電容量Cが増加する。これにより、二次コイル32は、電気的ノイズを効果的に低減することができるようになる。また、本実施形態の二次コイル32、42、52は、単相105Vの出力端子間、すなわち、端子14と端子15との間および端子14と端子16との間のそれぞれの磁気結合が密になり、単三平衡度を小さく(電圧のバランスをよく)することができる。なお、二次コイル42、52においても同様である。
ところで、二次コイル32は、端子15と端子16との間の端子間電圧をVとした場合(図3において端子16の2n=Vとした場合)、端子15と端子14間および端子14と端子16間には、その半分の1/2Vの電圧が出力される。この場合、上記したように第一導体11と第二導体12間の電位差Vはn(=1/2V)となり、第二導体12と第三導体13間の電位差Vはn(=1/2V)となり、第三導体13と第一導体11間の電位差Vは2n+1(=約V)となる。つまり、本実施形態の場合、二次コイル32、42、52における各導体間の電位差は、最大で約Vになっている。このため、このような二次コイル32、42、52を図4および図1に示す内接三角結線変圧器1の各相(U相、V相、W相)に用いた場合、以下に説明するように、絶縁シートおよび変圧器そのものを小型化することができる。
すなわち、内接三角結線変圧器1においては、二次コイル32はU相、二次コイル42はV相、二次コイル52はW相に設けられており、二次コイル32、42、52は内接三角結線により接続されている。この場合、端子間電圧Vを210Vとすると、端子U1と端子V1との間、端子V1と端子W1との間、および端子W1と端子U1との間には、それぞれ210Vの電圧が出力される。一方、端子U1と端子U2との間、端子V1と端子V2との間、端子W1と端子W2との間には、端子間電圧Vの1/2である105Vがそれぞれ出力される。
この場合、上記したように導体間電圧Vkが最大で約210V程度であることから、各二次コイル32、42、52に設けられている図示しない絶縁シートは、210V程度の絶縁耐性をもつものを利用することができる。ここで、比較例として中間口出しを設けずに静電容量を大きくした構成のコイル、すなわち、端子14と端子15との間にn=210Vを出力する構成のコイル(導体間電圧の最大値は2n+1=約420V)と比べると、二次コイル32、42、52の絶縁シートの絶縁耐圧は約1/2でよいことになる。そして、絶縁シートは、一般的に絶縁耐圧が下がる程薄く形成することができることから、二次コイル32、42、52の薄型化、すなわち、二次コイル32、42、52自体の小型化を図ることができる。
そして、内接三角結線変圧器1のように三相の脚部6に二次コイル32、42、52を設けた場合、二次コイル32,42、52を小型化できることから、内接三角結線変圧器1全体の小型化をも図ることができる。
また、中間口出し(端子14)を備えた二次コイル32、42、52は、導体間電圧Vkの最大値が端子間電圧Vとほぼ同じ210V程度であることから、部分放電が発生するおそれが少ないと考えられる。このように部分放電が発生するおそれを低減できる構成は、言わば内接三角結線変圧器1自体の絶縁特性が向上することと等価となり、変圧器の信頼性の向上につながるものである。
さて、このような内接三角結線変圧器1は、例えば図示しないインバータ装置などのパワーエレクトロニクス機器に接続される。内接三角結線変圧器1の一次コイル31,41、51に商用電源電圧が印加されると、それぞれの二次コイル32、42、52に交流電圧が誘起され、この交流電圧が例えばインバータ装置に供給される。このインバータ装置は、例えば図示しない回転電機などを制御するものであり、インバータ主回路がPWM制御されることにより発生するスイッチングサージや高周波成分等の電気的ノイズを発生する。そして、発生した電気的ノイズが内接三角結線変圧器1側に出力される。
このような状況において、電気的ノイズは、二次コイル32、42、52の等価的な静電容量Cにより短絡されて減衰する。これにより、二次コイル32、42、52を介して一次コイル31、41、51に電気的ノイズが伝播することが抑制される。また、逆に、商用電源側からの電気的ノイズが一次コイル31、41、51を介して二次コイル32、42、52に伝播されたとしても、その電気的ノイズは、二次コイル32、42、52の等価的な静電容量Cにより短絡されて減衰する。これにより、インバータ装置側には、商用電源からの電気的ノイズも伝播されることがない。このように、本実施形態による変圧器用コイルである二次コイル32、42、52を用いた内接三角結線変圧器1は、コンデンサやリアクトルなどの大型の電気部品を組合せたノイズフィルタを用いることなく、パワーエレクトロニクス機器側から商用電源側への電気的ノイズの伝播、および、商用電源側からパワーエレクトロニクス機器側への電気的ノイズの伝播の双方を抑制することができる。
(第2実施形態、第3実施形態)
以下、第2実施形態および第3実施形態による変圧器用コイルを用いた変圧器について、図5および図6を参照しながら説明する。第2実施形態および第3実施形態では、鉄心に設ける変圧器用コイルの数が第1実施形態の内接三角結線変圧器1と異なっている。
図5に示すように、第2実施形態の変圧器は、三相210Vの商用電源から電灯用の単相105Vの出力および動力用の三相210Vの出力を取り出す構成の動力/電灯用変圧器100である。この動力/電灯用変圧器100は、端子Uと端子Oとの間および端子Oと端子Vとの間には単相105Vが出力され、端子Uと端子Vとの間、端子Vと端子Wとの間および端子Wと端子Uとの間には三相210Vが出力される。このような構成の場合であっても、U相の二次コイル32を第1実施形態と同様の構成とすることにより、電気的ノイズの電波を抑制しつつ、動力/電灯用変圧器100自体の小型化を図ることができる。
また、図6に示すように、第3実施形態の変圧器は、三相210Vの商用電源から単相105Vの出力を取り出す構成の単相三線用変圧器200である。この単相三線用変圧器200は、積層鉄心2の二相分(U相およびV相)の脚部6に、変圧器用コイルとしての二次コイル32、42が設けられている。なお、図6では一次コイル31、41、51の図示を省略している。二次コイル32、42は、脚部6(図1参照)に対して、幾何学的な配置が互いに対称になるように配置されている。このため、U相およびV相の電圧のバランスを向上させることができる。
このように、三本の脚部6のうち1本(一相分)または2本(二相分)に変圧器用コイルとしての二次コイル32(および二次コイル42)を設けた構成であっても、変圧器用コイル(二次コイル32、42)や変圧器(動力/電灯用変圧器100、単相三線用変圧器200)自体の大型化を招くことなく、負荷装置である電灯やパワーエレクトロニクス機器などと商用電源との間の電気的ノイズの伝播を抑制することができる。
(その他の実施形態)
各実施形態では3つの導体を巻回して二次コイル32、42、52を形成したが、4つ以上の導体を相互間に絶縁シートを介して同心状に巻回することにより二次コイルを形成してもよい。
端子16を第三導体13の巻始め端13aに設け、第一導体11の巻終り端11bを開放状態としたが、端子16を第一導体11の巻終り端11bに設け、第三導体13の巻始め端13aを開放状態とする構成としてもよい。
負荷装置であるパワーエレクトロニクス機器の例としてインバータ装置を示したが、パワーエレクトロニクス機器の種類はこれに限定されない。
実施形態の変圧器用コイルは、1/2電圧を出力する中間口出しを備え、複数の薄板状の導体を互いの間を絶縁しながら同心的に巻回し、これらの導体が直列につながるように互いの巻始め端と巻終り端とを接続し、そのうち直接接続された2つの導体に出力端子を設ける。これにより、導体間にかかる電位差の最大値を抑制することが可能となり、導体間に設けられる絶縁材の小型あるいは薄型のものを採用できる。したがって、大型化を招くことなく電気的ノイズの伝播を抑制することができる。また、この変圧器用コイルを用いることにより、変圧器の大型化を抑制することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
図面中、1は内接三角結線変圧器、2は積層鉄心(鉄心)、6は脚部、11は第一導体(導体)、12は第二導体(導体)、13は第三導体(導体)、11a、12a、13aは巻始め端、11b、12b、13bは巻終り端、100は動力/電灯用変圧器、200は単相三線用変圧器を示す。

Claims (4)

  1. 1/2電圧を出力する中間口出しを備えた変圧器用コイルであって、
    複数の薄板状の導体を互いの間を絶縁しながら同心的に巻回し、これらの前記導体が直列につながるように互いの巻始め端と巻終り端とを接続し、そのうち直接接続された2つの前記導体を出力端子として用いることを特徴とする変圧器用コイル。
  2. 請求項1記載の変圧器用コイルを、三相の脚部を有する鉄心のそれぞれの前記脚部に設けたことを特徴とする内接三角結線変圧器。
  3. 請求項1記載の変圧器用コイルを、三相の脚部を有する鉄心の少なくとも一相の前記脚部に設け、単相三線用に使用することを特徴とする動力/電灯用変圧器。
  4. 請求項1記載の変圧器用コイルを、三相の脚部を有する鉄心の二相の前記脚部に設けたことを特徴とする単相三線用変圧器。
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