JP2012248324A - リチウムイオン二次電池の正極からの有価物の回収方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】集電体としてのアルミニウムと有価物とを含有するリチウムイオン二次電池の正極を、水酸化ナトリウムの濃度が2質量%〜40質量%の水酸化ナトリウム水溶液で処理する処理工程を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池の正極からの有価物の回収方法である。
【選択図】なし
Description
このようなリチウムイオン二次電池の正極材料には、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、ニッケル−マンガン−コバルト系酸化物などが用いられており、これらには希少有価物であるコバルト、及びニッケルが含まれている。そこで、使用済みのリチウムイオン二次電池からこれらの有価物を回収し、再びリチウムイオン二次電池の正極材料としてリサイクル利用を図ることが望まれている。
しかし、この提案の技術では、硝酸を用いて溶解する工程、及び水酸化リチウムを用いて水酸化反応を行う工程が必要であるため、工程数が多く、煩雑になるという問題がある。また、低濃度の水酸化ナトリウム水溶液では、アルミニウムとの分離後の回収物にアルミニウムが多く残留してしまい、前記回収物をそのまま再利用原料には利用できない。そのため、前記回収物を再利用原料にするには更に多くの工程を必要としてしまうという問題がある。
<1> 集電体としてのアルミニウムと有価物とを含有するリチウムイオン二次電池の正極を、水酸化ナトリウムの濃度が2質量%〜40質量%の水酸化ナトリウム水溶液で処理する処理工程を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池の正極からの有価物の回収方法である。
<2> 処理工程においてアルミニウムを水酸化ナトリウム水溶液により溶解することで前記アルミニウムと有価物とを分離する前記<1>に記載のリチウムイオン二次電池の正極からの有価物の回収方法である。
<3> 処理工程における水酸化ナトリウム水溶液の温度が、40℃〜70℃である前記<1>から<2>のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池の正極からの有価物の回収方法である。
<4> 有価物が、コバルト及びニッケルの少なくともいずれかである前記<1>から<3>のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池の正極からの有価物の回収方法である。
本発明のリチウムイオン二次電池の正極からの有価物の回収方法は、処理工程を少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
前記処理工程としては、集電体としてのアルミニウムと有価物とを含有するリチウムイオン二次電池の正極を、水酸化ナトリウムの濃度が2質量%〜40質量%の水酸化ナトリウム水溶液で処理する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記リチウムイオン二次電池としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リチウムイオン二次電池の製造過程で発生した不良品のリチウムイオン二次電池、使用機器の不良、使用機器の寿命などにより廃棄されるリチウムイオン二次電池、寿命により廃棄される使用済みのリチウムイオン二次電池などが挙げられる。
前記正極としては、集電体であるアルミニウムと有価物とを含有する正極であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、集電体であるアルミニウムと、前記集電体上に付与された有価物を含む正極材とを備えた正極などが挙げられる。
前記正極の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平板状などが挙げられる。
前記集電体は、アルミニウムである。
前記集電体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平板状などが挙げられる。
前記正極材としては、前記有価物を含むものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有価物を含有する正極活物質を少なくとも含み、必要により導電剤と、結着樹脂とを含む正極材などが挙げられる。
前記有価物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、コバルト及びニッケルの少なくともいずれかであることが好ましい。
前記正極活物質としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、コバルトニッケル酸リチウム(LiCo1/2Ni1/2O2)、LiNixCoyMnzO2(x+y+z)などが挙げられる。
前記導電剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、グラファイト、カーボンファイバー、金属炭化物などが挙げられる。
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フッ化ビニリデン、四フッ化エチレン、アクリロニトリル、エチレンオキシド等の単独重合体又は共重合体、スチレン−ブタジエンゴムなどが挙げられる。
前記水酸化ナトリウム水溶液における水酸化ナトリウムの濃度は、2質量%〜40質量%であり、2質量%〜10質量%がより好ましい。前記濃度が2質量%〜40質量%であることにより、前記処理工程により得られる回収物におけるアルミニウムの含有量が2質量%以下になる。好ましくは、1質量%以下になる。アルミニウムの含有量が2質量%以下の回収物は、前記有価物を含有し、かつ再利用原料として使用可能になる。一方、前記濃度が、2質量%未満であると、回収物におけるアルミニウムの含有量が2質量%を超える。アルミニウムの含有量が2質量%を超える回収物は、再利用原料として利用することが困難である。そのため、アルミニウムの含有量が2質量%を超える回収物を再利用する際には、アルミニウムを前記回収物から除去する工程、例えば、磁力選別などの工程が更に必要になり、再利用の際の工程が煩雑になる。前記濃度が、40質量%を超えた場合も、前記水酸化ナトリウム水溶液の濃度が2質量%未満の場合と同様に、回収物におけるアルミニウムの含有量が2質量%を超える。前記濃度が、前記好ましい範囲内であると、濃度の高い水酸化ナトリウム水溶液を用いる必要がなく処理ができる点で有利である。
前記処理工程は、前記正極を前記水酸化ナトリウム水溶液中に静置して行ってもよく、前記正極を浸漬した前記水酸化ナトリウム水溶液を攪拌して行ってもよい。中でも、静置して行うことが、好ましい。静置して行うことで、前記正極材が破砕させることなく、例えば、シート状で回収できるため、ろ過などの工程を必要とせず、容易に前記水酸化ナトリウム水溶液と前記正極材とを分離できる。
前記処理工程においては、前記アルミニウムを前記水酸化ナトリウム水溶液により溶解することで前記アルミニウムと前記有価物とを分離することが好ましい。前記アルミニウムを溶解する際には、前記アルミニウムを全て溶解する必要はなく、前記アルミニウムと前記有価物とを分離できる程度に前記アルミニウムを溶解すればよい。
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、濃縮工程などが挙げられる。
前記濃縮工程としては、前記処理工程の後に、前記回収物中の前記有価物を濃縮する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記回収物と炭素とを混合して焼成し、水で洗浄する工程などが挙げられる。
前記焼成の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、650℃〜800℃が好ましい。
前記濃縮工程を行うことにより、前記回収物中の前記有価物の濃度を上げ、再利用により適した回収物を得ることができる。
<有価物の回収>
使用済みのパソコン用リチウムイオン二次電池を用いた。
使用済みのパソコン用リチウムイオン二次電池を、工具を用いて分解し、正極を電池ケースから取出した。取出した正極の合計量1,000gには、集電体としてのアルミニウム箔が100g、有価物を含有する正極材が900g含まれていた。
正極10gを2質量%水酸化ナトリウム水溶液50gに入れて静置し、水溶液の温度を25℃として処理した。
なお、アルミニウム濃度については、ICP発光分光分析(Perkin Elmer社製、Optima3300XL)により求めた。
実施例1において、水酸化ナトリウムの濃度を表1に記載の濃度に変えた以外は、実施例1と同様にして、アルミニウム箔から正極材を剥離し、アルミニウム濃度を求めた。処理時間、及び回収した正極材におけるアルミニウム濃度を表1に示す。また、25℃で処理した場合の結果を図1に示す。実施例2〜17及び比較例1〜5においてアルミニウムから剥がされた正極材は、実施例1と同様にシート状であった。
実施例1において、静置をマグネットスターラーによる攪拌(400rpm)に代えた以外は、実施例1と同様にして、アルミニウム箔から正極材を剥離し、アルミニウム濃度を求めた。
処理時間、及び回収した正極材におけるアルミニウム濃度を表1に示す。
正極材は、攪拌により破砕されており、全量を回収するために、ろ過を要した。
また、処理温度を40℃〜70℃にすると、アルミニウム濃度がより低くなり、かつ処理時間を大幅に短縮できた。
一方、比較例1〜5では、処理に時間がかかる上に、アルミニウム濃度が2質量%以上となった。
Claims (4)
- 集電体としてのアルミニウムと有価物とを含有するリチウムイオン二次電池の正極を、水酸化ナトリウムの濃度が2質量%〜40質量%の水酸化ナトリウム水溶液で処理する処理工程を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池の正極からの有価物の回収方法。
- 処理工程においてアルミニウムを水酸化ナトリウム水溶液により溶解することで前記アルミニウムと有価物とを分離する請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の正極からの有価物の回収方法。
- 処理工程における水酸化ナトリウム水溶液の温度が、40℃〜70℃である請求項1から2のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池の正極からの有価物の回収方法。
- 有価物が、コバルト及びニッケルの少なくともいずれかである請求項1から3のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池の正極からの有価物の回収方法。
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