JP2012247256A - トルクセンサ及びこれを備えた電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一対の検出コイル13a,13bの内周面側に所定間隔を保って対向して入力軸及び出力軸の一方に連結された非磁性の円筒部材12を配置し、該円筒部材12の内周面側に、軸方向の凸条11aを円周方向に所定間隔で形成し、前記入力軸及び出力軸の他方に連結されたセンサシャフト部11を配置し、前記円筒部材12は、前記一対の検出コイルに個別に対向し、円周方向に位置を異ならせて形成された前記一対の検出コイルで互い逆方向にインピーダンスを変化させる一対の磁束透過用窓12a,12bを形成し、該一対の磁束透過用窓の軸方向両端部に空気より透磁率の高い磁路部材17を配置した。
【選択図】図2
Description
しかしながら、上記従来例にあっては、非磁性体に形成する窓をヨークの対向面を望ませるように軸方向に延長形成しているが、窓を通る磁束の増加幅はそれほど大きいものではない。このため、コイルのインピーダンス変化に基づく電気信号の変化を検出してトルクを演算する場合に、検出感度を表すインピーダンス変化率が性能を満たさない場合に、後段の信号処理回路で条件に応じて最適値まで増幅する必要がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、非磁性の円筒部材とセンサシャフト部との相対回転によってトルクを検出コイルのインピーダンス変化として検出する場合に、検出コイルへの磁束量をより増加させて検出精度を向上させることができるトルクセンサ及びこれを使用した電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
また、本発明の第3の形態に係るトルクセンサは、前記一対の検出コイルが2組軸方向に配置され、前記トルク演算部は、前記2組の一対の検出コイルのうちの一方の組の一対の検出コイルとこれらに直列に接続した抵抗体とで構成される第1のブリッジ回路と、前記2組の一対の検出コイルのうちの他方の組の一対の検出コイルとこれらに直列に接続した抵抗体とで構成される第2のブリッジ回路と、前記第1のブリッジ回路及び第2のブリッジ回路に個別に交流信号を印加したときの差分信号に基づいて少なくとも2組の検出トルクを演算するトルク演算回路とを備えている。
また、本発明の第5の形態に係る電動パワーステアリング装置は、第1乃至第の何れか1つの形態に係るトルクセンサを備え、該トルクセンサの検出トルクに基づいてステアリング機構に伝達する操舵補助トルクを発生する電動モータを駆動して操舵補助制御を行う操舵補助制御部と、前記トルクセンサの複数のトルク演算部から出力される複数の検出トルクに基づいて前記トルクセンサのトルク検出部の異常を判定する異常判定部とを有している。
図1は、本発明に係る電動パワーステアリング装置の主要部を示す断面図であり、図2は、本発明に係るトルクセンサの構成を示す斜視図である。
図1において、ハウジング5は入力軸側ハウジング部5aと出力軸側ハウジング部5bとに2分割された構造を有する。入力軸側ハウジング部5aの内部には、入力軸1が軸受6aによって回転自在に支持されている。また、出力軸側ハウジング部5bの内部には出力軸2が軸受6b及び6cによって回転自在に支持されている。
入力軸1、トーションバー3及び出力軸2は同軸に配置されており、入力軸1とトーションバー3とはピン結合し、また、トーションバー3と出力軸2とはスプライン結合している。図1において、入力軸1の出力軸2とは反対側には、図示されていないステアリングホイールが一体的に取り付けられている。また、出力軸2には入力軸1とは反対側にピニオン軸2aが一体的に形成されており、ピニオン軸2aはラック4と噛合して公知のラックアンドピニオン式ステアリング機構を構成している。
円筒部材12には、前記したセンサシャフト部11の表面の凸条11aに対向する位置に、円周方向に等間隔に配置された複数個(図2では9個)の軸方向に延長する長方形の磁束透過用窓12aからなる第1の窓列と、前記第1の窓列から軸方向にずれた位置に、前記磁束透過用窓12aと同一形状で、円周方向の位相が異なる複数個(図2では9個)の軸方向に延長する長方形の磁束透過用窓12bからなる第2の窓列とが設けられている。
そして、検出コイル13a、13b及び13c、13dは円筒部材12と同軸に配置され、検出コイル13a及び13cは磁束透過用窓12a及び12cからなる第1の窓列部分を包囲し、検出コイル13b及び13dは磁束透過用窓12b及び12dからなる第2の窓列部分を包囲する。ヨーク15a及び15bは入力軸側ハウジング部5aの内部に固定され、検出コイル13a、13b及び13c、13dの出力線18は入力軸側ハウジング部5aの内部に配置された回路基板19に接続されている。
磁束透過用窓12a〜12dの角度aは磁束透過用窓12a〜12dのない部分の角度bよりも小さく設定(a<b)され、凸条11aの角度cは溝部11bの角度dよりも小さく設定(c<d)される。これは、検出コイルのインピーダンスの変化を急峻にするためである。
一方、ステアリングホイールを操作して入力軸1に操舵トルクが加わると、その操舵トルクはトーションバー3を経て出力軸2に伝達される。このとき、出力軸2には舵輪と路面との間の摩擦力や出力軸2に結合されているステアリング機構のギヤの噛み合い等の摩擦力が作用するため、入力軸1と出力軸2との間を結合するトーションバー3に捩れが発生し、入力軸1の側にあるセンサシャフト部11の表面の凸条11aと出力軸2の側にある円筒部材12との間に相対回転が生じる。
円筒部材12に窓が形成されている場合は、円筒部材12の外周面に発生した渦電流は、磁束透過用窓12a〜12dによって外周面を周回できないため、磁束透過用窓12a及び12bの端面に沿って円筒部材12の内周面側に回り込み、内周面をコイル電流と同方向に流れ、また隣の磁束透過用窓12a〜12dの端面に沿って外周面側に戻り、ループを形成する。つまり、検出コイル内側に渦電流のループを、円周方向に周期的に配置した状態が発生する。コイル電流による磁界と渦電流による磁界とは重畳され、円筒部材12の内外には、円周方向に周期的に強弱変化する磁界と、中心に向かうほど小さくなる半径方向に勾配を持った磁界が形成される。円周方向の周期的な磁界の強弱は、隣り合う渦電流の影響を受ける磁束透過用窓12a,12c及び12b,12dの中心で強く、そこからずれるに従い弱くなる。
図5のインダクタンスL13、L14の特性は比例して出力される電圧にそのまま置き換えることができ、インダクタンスL13、L14の特性を電圧に置き換えると、検出コイル13a(又は13c)の検出トルク電圧、検出コイル13b(又は13d)の検出トルク電圧と操舵トルクTとの関係になり、両検出トルク電圧の交点である中立電圧が本実施形態では2.5Vとなるように調整されている。この電圧クロス特性から検出コイル13a(又は13c)の検出トルク電圧と検出コイル13b(又は13d)の検出トルク電圧との合計値は2.5+2.5=5.0Vとなる。
トルク演算処理回路20は、トルク検出部10の軸方向両端側の一対の検出コイル13a及び13bを使用して第1のトルクを検出する第1トルク検出系統と、軸方向中央側の一対の検出コイル13c及び13dを使用して第2のトルクを検出する第2トルク検出系統とを構成するように同一構成を有する2組のトルク演算部21A及び21Bを備えている。
トルク演算部21Aは、一対の検出コイル13a及び13bの一端が互い接続されて接地され、他端に抵抗R1a及びR1bが直列に接続され、これら抵抗R1a及びR1bの他端を互いに接続した構成を有するブリッジ回路210Aを備えている。
これらブリッジ回路210A及び210Bでは、入力軸1にトルクが作用していない状態では、検出コイル13a,13c及び13b,13dの両端に表れる電圧がそれぞれ等しくなるように、つまり差分電圧が0となるように予め抵抗R1a、R1b及びR2a、R2bの抵抗値が調整されている。
また、トルク演算部21Aは、ブリッジ回路210Aの検出コイル13a及び13bの両端に表れるインピーダンス変化に応じた電圧信号が入力されるとともに、交流信号Vosc1が入力されたメイン全波整流部212Aと、このメイン全波整流部212Aから出力される整流信号が入力されるメイン平滑・中立調整部213Aを有する。ここで、メイン全波整流部212Aでは、検出コイル13a及び13bの両端に表れる電圧信号の差分信号Vdefを算出し、この差分信号Vdefを整流した整流信号をメイン平滑・中立調整部213Aに出力する。
コントロールユニット30は、図5に示すように、トルクセンサTSからメイン検出トルク信号Tm1、Tm2及びサブ検出トルク信号Ts1、Ts2が入力されている。このコントロールユニット30は、入力されたメイン検出トルク信号Tm1、Tm2及びサブ検出トルク信号Ts1、Ts2に基づいて信号監視を行う異常判定部32と、メイン検出トルク信号Tm1、Tm2に基づいて操舵補助制御を行って操舵補助用電動モータ31を駆動制御する操舵補助制御部33とを備えている。
ここで、サブ検出トルク信号Ts1、Ts2はトルクセンサの異常監視に利用されるのみで、操舵補助用電動モータの駆動には利用されない。
さらに、異常判定部32で、第1トルク検出系統及び第2トルク検出系統の双方の異常が判定された場合には、操舵補助制御部33で、正常な過去トルク値を使用して操舵補助用電動モータを駆動し、操舵補助トルクを徐々に減少させるトルク漸減処理を行い、安全に操舵補助制御を停止させるフェールセーフモードに移行する。
先ず、図示しないステアリングホイールを操舵していない状態では、入力軸1にトルクが伝達されないので、トーションバー3が捩じれることはなく、センサシャフト部11の凸条11aと円筒部材12の磁束透過用窓12a及び12bとは図3(a)及び(b)の関係を保っており、検出コイル13a及び13cのインダクタンス及び検出コイル13b及び13dのインダクタンスが図5の特性曲線L13及びL14のクロスする点となって、互いに等しい値となっている。
しかも、磁束透過用窓12a及び12c自体も軸方向にヨーク15a及び15cのフランジ部15f及び15gの軸方向長さ分延長されているので、この分でも磁束透過用窓12a及び12cを通過する磁束を増加させることができる。
しかも、磁束透過用窓12b及び12d自体も軸方向にヨーク15b及び15dのフランジ部15f及び15gの軸方向長さ分延長されているので、この分でも磁束透過用窓12b及び12dを通過する磁束を増加させることができる。
同様に、ブリッジ回路210Bにおいても、検出コイル13c及び13dの端子間電圧が等しくなり、メイン全波整流部212B及びサブ全波整流部214Bから出力される検出トルクがともに零となり、コネクタ203からメイン検出トルクTm2及びサブ検出トルクTs2がコントロールユニット30に出力される。
このステアリングホイールの非操舵状態からステアリングホイールを右操舵(又は左操舵)すると、前述したように、検出コイル13a及び13cのインダクタンスが増加(又は減少)し、検出コイル13b及び13dのインダクタンスが減少(又は増加)する。このインダクタンスの変化に応じてブリッジ回路210A及び210Bから出力される差分電圧が正(又は負)となる。したがって、メイン全波整流部212A及び212Bとサブ全波整流部214A及び214Bから出力される検出トルクが正方向(又は負方向)に増加し、これに応じたメイン検出トルク信号Tm1及びTm2とサブ検出トルク信号Ts1及びTs2がコネクタ203を介してコントロールユニット30に出力される。
この正常状態から異常判定部32で第1のトルク検出系統が異常であると判定されたときには、第2のトルク検出系統が正常である状態では、操舵補助制御部33で、トルク演算部21Bのメイン全波整流部212B及びメイン平滑・中立調整部213Bで演算されたメイン検出トルク信号Tm2に基づいて操舵補助制御が継続されてモータ駆動回路34が制御され、このモータ駆動回路34から出力されるモータ電流で操舵補助用電動モータ31が駆動され、操舵トルクに応じた操舵補助トルクが発生される。
このように、トルクセンサTSに2つのトルク検出系統を設けているので、一方のトルク検出系統に異常が発生しても、操舵補助制御を正常に継続することができる。
しかも、軸方向に配列された検出コイル13a〜13dのうち、軸方向両端側の検出コイル13a及び13dと抵抗体とを組み合わせてブリッジ回路210Aを構成し、軸方向中央側の検出コイル13b及び13cと抵抗体とを組み合わせてブリッジ回路210Bを構成するので、ブリッジ回路を構成する2つのコイル間で磁気的対称性を取ることができ、磁路構成の影響を取り除くことができる。これにより、温度などによる影響を受けにくく、従来例に比較して安定したトルクを検出することができる。
なお、上記実施形態においては、コントロールユニット30側に異常判定部32を設けた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、トルク演算処理回路20側に異常判定部32を設け、この異常判定部32の異常判定結果をコントロールユニット30に通知するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態においては、検出コイル13a〜13dのインダクタンスすなわちインピーダンスを電圧信号として検出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、電流信号として検出して、トルク演算するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、本発明によるトルクセンサTSを電動パワーステアリング装置に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、電動パワーステアリング装置以外にも回転軸のトルクを検出する場合に本発明によるトルクセンサTSを適用することができる。
Claims (5)
- トーションバーで連結された入力軸及び出力軸の相対的な回転方向の変位をインピーダンス変化として検出する一対の検出コイルと、該一対のコイルに励磁電流を供給するとともに、前記インピーダンス変化に基づいてトルクを演算するトルク演算部とを備えたトルクセンサであって、
前記一対の検出コイルの内周面側に当該一対の検出コイルと所定間隔を保って対向して前記入力軸及び出力軸の一方に連結された非磁性の円筒部材を配置し、
該円筒部材体の内周面側に、軸方向の凸条を円周方向に所定間隔で形成し、前記入力軸及び出力軸の他方に連結されたセンサシャフト部を配置し、
前記円筒部材は、前記一対の検出コイルに個別に対向し、円周方向に位置を異ならせて形成された前記一対の検出コイルで互い逆方向にインピーダンスを変化させる一対の磁束透過用窓を形成し、該一対の磁束透過用窓の軸方向両端部に空気より透磁率の高い磁路部材を配置したことを特徴とするトルクセンサ。 - 前記一対の検出コイルのそれぞれは、前記円筒部材と対向する内周面を開放した断面コ字状の磁気ヨークに内装されていることを特徴とする請求項1に記載のトルクセンサ。
- 前記一対の検出コイルが2組軸方向に配置され、
前記トルク演算部は、
前記2組の一対の検出コイルのうちの一方の組の一対の検出コイルとこれらに直列に接続した抵抗体とで構成される第1のブリッジ回路と、
前記2組の一対の検出コイルのうちの他方の組の一対の検出コイルとこれらに直列に接続した抵抗体とで構成される第2のブリッジ回路と、
前記第1のブリッジ回路及び第2のブリッジ回路に個別に交流信号を印加したときの差分信号に基づいて少なくとも2組の検出トルクを演算するトルク演算回路と
を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のトルクセンサ。 - 請求項1乃至3の何れか1項に記載のトルクセンサを備え、該トルクセンサの検出トルクに基づいてステアリング機構に伝達する操舵補助トルクを発生する電動モータを駆動して操舵補助制御を行う操舵補助制御部を有することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
- 請求項1乃至3の何れか1項に記載のトルクセンサを備え、該トルクセンサの検出トルクに基づいてステアリング機構に伝達する操舵補助トルクを発生する電動モータを駆動して操舵補助制御を行う操舵補助制御部と、前記トルクセンサの複数のトルク演算部から出力される複数の検出トルクに基づいて前記トルクセンサのトルク検出部の異常を判定する異常判定部とを有することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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