JP2012246788A - ガイドベーンユニットの締結機構、及び過給機 - Google Patents

ガイドベーンユニットの締結機構、及び過給機 Download PDF

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Abstract

【課題】ガイドベーンユニットを容易に構成し、且つ製造コストを低減するガイドベーンユニットの締結機構、及び過給機を提供する。
【解決手段】内部に回転軸6を中心としてコンプレッサインペラ5が回転自在に配設されるハウジング3内に、ガイドベーン1を予め配置して取り付けられるガイドベーンユニット2を備え、
ガイドベーンユニット2は、対向面13a,13bによって分割された軸受リング14と押えリング15とを有し、軸受リング14と押えリング15の間には複数のガイドベーン1を回動可能にするガイドベーン1の駆動機構を配し、
軸受リング14と押えリング15の対向面13a,13bには、軸受リング14と押えリング15が締結されるように、互いに嵌合して固着する凹凸を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガイドベーンユニットの締結機構、及び過給機に関するものである。
一般に過給機は、タービンインペラとコンプレッサインペラを同一回転軸上に配置し、タービンインペラの回転駆動によってコンプレッサインペラを回転させ、内燃機関の性能向上を図るようにしている。
コンプレッサインペラはハウジング内に配置されており、ハウジングは、コンプレッサインペラの回転による遠心力の作用により、流路内に吸い込んだ吸気をディフューザ等へ送給し得るように構成されている。
コンプレッサインペラの上流側に位置するハウジングは、吸気が流れ込む円筒状の内部流路に複数の可変インレットガイドベーン(以下、ガイドベーンと記載する。)を設置し、吸気の流量が少ない場合等に、ガイドベーンの開度を調整してコンプレッサインペラの入射角への整流を行うことが考えられている(例えば、特許文献1−3参照)。
特開2006−46220号公報 特開2004−190557号公報 特開2004−162716号公報
しかしながら、ハウジングにガイドベーンを直接設置することは容易でないため、予めガイドベーンを配したガイドベーンユニットを構成し、ガイドベーンユニットをハウジングに取り付けてガイドベーンを設置することが考えられている。一方でガイドベーンユニットにガイドベーンを配置して締結することは容易でなく、ガイドベーンユニット自体を構成することが困難であった。又、ガイドベーンユニットを構成する際にボルトを用いると、ボルトの締結工程が増えると共に部品点数が増え、製造コストが増加するという問題があった。
本発明は、斯かる実情に鑑み、ガイドベーンユニットを容易に構成し、且つ製造コストを低減するガイドベーンユニットの締結機構、及び過給機を提供しようとするものである。
本発明のガイドベーンユニットの締結機構は、内部に回転軸を中心としてコンプレッサインペラが回転自在に配設されるハウジング内に、ガイドベーンを予め配置して取り付けられるガイドベーンユニットを備え、
該ガイドベーンユニットは、対向面によって分割された軸受リングと押えリングとを有し、前記軸受リングと押えリングの間には、複数のガイドベーンを回動可能にする前記ガイドベーンの駆動機構を配し、
前記軸受リングと前記押えリングの対向面には、前記軸受リングと前記押えリングが締結されるように、互いに嵌合して固着する凹凸を備えるものである。
又、本発明のガイドベーンユニットの締結機構において、前記軸受リングと前記押えリングの凹凸は、塑性変形によって互いに固着し、且つ固着位置を、複数のガイドベーンの軸心が位置する基準面に対し、離間した位置に設けることが好ましい。
又、本発明のガイドベーンユニットの締結機構において、前記軸受リングと前記押えリングの凹凸は、接着剤によって互いに固着し、且つ固着位置を、複数のガイドベーンの軸心が位置する基準面に対し、離間した位置に設けることが好ましい。
又、本発明のガイドベーンユニットの締結機構において、前記軸受リングと前記押えリングの凹凸は、摩擦抵抗によって互いに固着し、且つ固着位置を、複数のガイドベーンの軸心が位置する基準面に対し、離間した位置に設けることが好ましい。
又、本発明のガイドベーンユニットの締結機構において、前記軸受リングと前記押えリングの凹凸は、上下方向で締結する際に、固着位置を、複数のガイドベーンの軸心が位置する基準面に対し、下方位置に設けることが好ましい。
又、本発明のガイドベーンユニットの締結機構において、前記軸受リングと前記押えリングの凹凸は、前記軸受リングと前記押えリングの位置決めを行うことが好ましい。
又、本発明のガイドベーンユニットの締結機構において、前記軸受リングと前記押えリングの凹凸は、前記軸受リングに形成される係合凹部と、前記押えリングに形成される係合凸部とを備え、
前記係合凹部と前記係合凸部は、塑性変形前の形状で、前記係合凹部における奥側の凹部幅が、前記係合凸部における先端側の凸部幅よりも小さくなるように形成されることが好ましい。
本発明のガイドベーンユニットの締結機構は、内部に回転軸を中心としてコンプレッサインペラが回転自在に配設されるハウジング内に、ガイドベーンを予め配置して取り付けられるガイドベーンユニットを備え、
該ガイドベーンユニットは、対向面によって分割された軸受リングと押えリングとを有し、前記軸受リングと押えリングの間には、複数のガイドベーンを回動可能にする前記ガイドベーンの駆動機構を配し、
前記軸受リングと前記押えリングの対向面には、前記軸受リングと前記押えリングが固定されるように割りピンを配置したものである。
本発明の過給機は、上記発明のガイドベーンユニットの締結機構を備えたものである。
本発明のガイドベーンユニットの締結機構、及び過給機によれば、前記軸受リングと前記押えリングの対向面に互いに嵌合して固着する凹凸を備える構成や、前記軸受リングと前記押えリングを固定し得るように軸受リングと押えリングに割りピンを配置する構成により、軸受リングと押えリングを固定するためのボルトによる締め付けを不要にし、よってガイドベーンユニットを容易に構成し、且つ製造コストを低減することができるという優れた効果を奏し得る。
(a)は本発明の第一例のガイドベーンユニットの締結機構を示す概念図であり、(b)はガイドベーンユニットの断面図である。 過給機(圧縮機)を組み立てた状態を示す切断側面図である。 第一例の軸受リングと押えリングを締結する状態を示す概念図である。 第一例の軸受リングの対向面を示す概念図である。 (a)は第一例の軸受リングの係合凹部を示す概念図であり、(b)は第一例の押えリングの係合凸部を示す概念図であり、(c)は第一例の軸受リングの係合凹部と押えリングの係合凸部を嵌合して固着した状態を示す概念図である。 第一例の軸受リングの係合凹部と押えリングの係合凸部を嵌合して固着する際に塑性変形する箇所を示す拡大概念図である。 (a)は本発明の第二例のガイドベーンユニットの締結機構を示す概念図であり、(b)は第二例の軸受リングと押えリングを締結する状態を示す概念図である。 第二例の軸受リングの対向面を示す概念図である。 (a)は第二例の軸受リングの係合凹部を示す概念図であり、(b)は第二例の押えリングの係合凸部を示す概念図であり、(c)は第二例の軸受リングの係合凹部と押えリングの係合凸部を嵌合して接着剤により固着した状態を示す概念図である。 (a)は本発明の第三例のガイドベーンユニットの締結機構を示す概念図であり、(b)は第三例の軸受リングと押えリングを締結する状態を示す概念図である。 第三例の軸受リングの対向面を示す概念図である。
以下、本発明の実施の形態の第一例を図示例と共に説明する。
図1〜図6は本発明を実施する形態の第一例である。
実施の形態の第一例は、ガイドベーン1を配するガイドベーンユニット2を構成するための締結機構を説明するものであり、ガイドベーンユニット2は、ハウジング3に配置されて過給機(圧縮機)4を構成している。
過給機4は、図2に示す如くハウジング3の内部にコンプレッサインペラ5を回転自在に配設しており、コンプレッサインペラ5は、自動車用エンジンの排気によって回転するタービンインペラ(図示せず)と同軸の回転軸6によって回転するようになっている。又、ハウジング3の内側には、コンプレッサインペラ5の外周部から前方に延びた吸込口7を形成すると共に、吸込口7に連なるようにディフューザ8を介してスクロール9を形成しており、コンプレッサインペラ5によって速度が高められた空気は、圧力に変換され、ディフューザ8からスクロール9へ導かれるようになっている。
又、過給機4のハウジング3には、コンプレッサインペラ5の前方内側に位置するように、吸込口7を拡径して円筒状に形成した段部10を設け、段部10には、ガイドベーン1を配置したガイドベーンユニット2を嵌入し、段部10の内面とガイドベーンユニット2の一面との間に割りピン11aを配すると共に、段部10の側面とガイドベーンユニット2の他面に止め輪11bを配してガイドベーンユニット2を取り付けている。
ガイドベーンユニット2は、ハウジング3の吸込口7と連なるようにユニット開口12を形成しており、ユニット開口12は、軸方向中途位置の範囲において、図4に示す如く径方向断面が多角形(図4では7角形)であり且つ多角形の角部が曲面になっている。又、ガイドベーンユニット2は、図1(a)、図3に示す如く対向面13a,13bによって前後に分割された後側の軸受リング14と前側の押えリング15とで構成されている。ここで軸受リング14及び押えリング15は、製造コストを低減し得るように、夫々、鋳造や射出成形により一体成形されている。
軸受リング14と押えリング15の対向面13a,13bの夫々には、図1(b)に示す如く環状溝16,17が形成されている。夫々の環状溝16は、図4に示す如く周囲底面18と、ユニット開口12側に位置する内側壁19と、外周側に位置する外側壁20とを形成している。又、内側壁19は、ユニット開口12の断面と同じように、径方向断面が多角形(図4では7角形)であり且つ多角形の角部が曲面になっている。更に外側壁20は、ガイドベーンユニット2の外周面と同じように、径方向断面が円形になっている。
軸受リング14と押えリング15の間には、図1(b),図2に示す如くユニット開口12の周方向に沿ってガイドベーン1の羽根部21を配置するように、ガイドベーン1の軸22を等間隔で放射状に備えている。又、軸受リング14における内側壁19と外側壁20の対向面13aには、図3、図4に示す如くガイドベーン1の軸22を収容し得る深さのU字状の軸受凹部23を形成し、押えリング15における内側壁19と外側壁20の対向面13bには、軸受リング14の軸受凹部23と対応してガイドベーン1の軸22を回動可能に挟み込む平坦面24を備えている。ここで軸受凹部23は、押えリング15に形成されても良いし、軸受リング14及び押えリング15の両方に形成されても良く、軸受リング14と押えリング15の少なくとも一方に形成されるならば特に限定されるものではない。
軸受リング14における環状溝16の周囲底面18には、図2に示す如く波ワッシャ等の押付手段25を介してリングギヤ26を配しており、リングギヤ26は、ガイドベーン1の軸22のピニオン27に噛合している。又、ガイドベーン1の軸22の1つには、ハウジング3に形成された貫通孔28を介して外部へ突出する回転軸29を備えており、回転軸29の他端には、アーム30等を介してアクチュエータ(図示せず)が接続されており、アクチュエータからアーム30、回転軸29、1つのガイドベーン1、リングギヤ26等を介して全てのガイドベーン1を回動させるようにしている。更に、ガイドベーン1の軸22には、羽根部21の近傍に配置される突部31aと、羽根部21から離間するように突部31aから所定の間隔を介して配置される突部31bとを備えている。そして押えリング15の内側壁19には、ガイドベーン1の軸22における突部31a,31bが両側から係合しており、ガイドベーン1の軸方向への移動が拘束されている。ここで、軸受リング14と押えリング15の間に配置される環状溝16,17、U字状の軸受凹部23、平坦面24、押付手段25、リングギヤ26、ガイドベーン1の軸22のピニオン27、貫通孔28、回転軸29等は、アクチュエータによりアーム30を介して複数のガイドベーンを回動可能にするガイドベーン1の駆動機構となっている。
軸受リング14と押えリング15の対向面13a,13bには、互いに嵌合して固着するための凹凸を備えている。凹凸は、図4、図5(a)に示す如く軸受リング14における外側壁20の対向面13aに複数の係合凹部32(図4では2個)を備えていると共に、図3、図5(b)に示す如く押えリング15における外側壁20の対向面13bに複数の係合凸部33(図3では2個)を備えており、夫々、塑性変形可能な金属、樹脂等の材質から構成されている。又、係合凹部32は、対向面13aから内方へ向かって延在する両側の凹部側面34と、凹部側面34の内端に位置する凹部端面35とを備えている。更に係合凸部33は、対向面13bから外方へ向かって延在する両側の凸部側面36と、凸部側面36の外端に位置する凸部端面37とを備えている。更に又、係合凹部32や係合凸部33の個数は、軸受リング14と押えリング15の位置決めをして締結するものならば特に制限されるものではない。
ここで図5(a),(b)に示す如く係合凹部32は、対向面13a側の凹部幅Lu1が内端側(奥側)の凹部幅Ld1よりも大きく形成されている(Lu1>Ld1)と共に、係合凸部33は、対向面13b側の凸部幅Lu2が先端側の凸部幅Ld2よりも大きく形成されている(Lu2>Ld2)。又、係合凹部32と係合凸部33は、塑性変形前の形状で、係合凹部32における内端側(奥側)の凹部幅Ld1が、係合凸部33における先端側の凸部幅Ld2よりも小さくなるように形成されている。具体的には、係合凹部32における対向面13a側の凹部幅Lu1は、係合凸部33における対向面13b側の凸部幅Lu2に対して3%以上10%以下の割合で大きく形成されている(Lu1>Lu2)。更に係合凹部32における内端側(奥側)の凹部幅Ld1は、係合凸部33における先端側の凸部幅Ld2に対して1%以上10%以下の割合、好ましくは2%以上6%以下の割合で小さく形成されている(Ld1<Ld2)。更に係合凹部32における凹部深さLs1は、係合凸部33における凸部長さLs2に対して0%以上5%以下の割合で長く形成されている(Ls1≧Ls2)。又、係合凹部32は、図4に示す如く凹部側面34を断面円弧状に形成することが好ましく、更に係合凸部33は、図5(b)に示す如く先端側の角を切り落とした形状にすることが好ましい。
以下本発明を実施する形態の第一例の作用を説明する。
ガイドベーンユニット2を組み立てる際には、図3に示す如く、軸受リング14の対向面13aを上方に向けるように軸受リング14を配置し、図2、図4に示す如く軸受リング14の環状溝16に押付手段25及びリングギヤ26を配置し且つ内側壁19と外側壁20の軸受凹部23にガイドベーン1の軸22を配置する。次に押えリング15を軸受リング14の上方に配し、軸受リング14及び押えリング15を上下方向で締結する。
この時、軸受リング14と押えリング15の凹凸は、係合凹部32に対して係合凸部33を位置決めして嵌合し、係合凸部33の先端側の所定範囲、又は/及び係合凹部32の底部側の所定範囲が塑性変形して固着している。ここで図5(c)、図6に示す如く係合凹部32及び係合凸部33は、固着位置R1を、全てのガイドベーン1の軸心が位置する基準面Sに対し、離間した下方位置に設けている。又、基準面Sは、係合凸部33の凸部長さLs2に対して係合凸部33の凸部端面37から45%以上65%以下の間に配置され、係合凹部32と係合凸部33をガイドベーンユニット2の周方向で横切るように位置している。更に固着位置R1は、凹部幅Lu1、凸部幅Lu2、凹部幅Ld1、凸部幅Lu2、凹部深さLs1、凸部長さLs2の条件によって決定されるが、常に基準面Sより下方に位置するように、係合凸部33の凸部長さLs2に対し、係合凸部33の凸部端面37から65%未満までの所定範囲内に形成されている。又、係合凸部33の両側の凸部側面36が、図6に示す如く固着位置R1の範囲で、夫々、係合凹部32の凹部幅Ld1に対して凹部側面34より外方へ突出する量LXは、係合凹部32及び係合凸部33が塑性変形する前の形状で比較した場合に、固着位置R1と同様に、凹部幅Lu1、凸部幅Lu2、凹部幅Ld1、凸部幅Lu2、凹部深さLs1、凸部長さLs2の条件によって決定されるが、最大、0.05%以上0.5%以下の範囲で突出することが好ましい。
その後、ガイドベーンユニット2をハウジング3に割りピン11aや止め輪11b等を介して取り付け、更にアクチュエータに接続し得るアーム30等を配置し、車載用のターボチャージャ等に用いる過給機4を構成する。
而して、このように実施の形態の第一例によれば、軸受リング14と押えリング15の対向面13a,13bに互いに嵌合して固着する凹凸を備えるので、軸受リング14と押えリング15を固定するためのボルトによる締め付けを不要にし、ガイドベーンユニット2を容易に構成し、且つ製造コストを低減することができる。
実施の形態の第一例において、軸受リング14と押えリング15の凹凸は、塑性変形によって互いに固着し、且つ固着位置R1を、複数のガイドベーン1の軸心が位置する基準面Sに対し、離間した位置に設けると、塑性変形した箇所が、ガイドベーン1の軸22に干渉等の悪影響を与えることがなく、ガイドベーンユニット2を適切且つ容易に構成することができる。又、係合凸部33の両側の凸部側面36は、係合凹部32の凹部幅Ld1に対して凹部側面34より外方へ、0.05%以上0.5%以下の範囲で突出する場合には、塑性変形を好適に行い、ガイドベーンユニット2を適切且つ容易に構成することができる。ここで係合凸部33の両側の凸部側面36が、係合凹部32の凹部幅Ld1に対して凹部側面34より外方へ0.05%より小さい範囲で突出する場合には、塑性変形量が小さく、軸受リング14と押えリング15を適切に固着することができないという問題がある。又、係合凸部33の両側の凸部側面36が、係合凹部32の凹部幅Ld1に対して凹部側面34より外方へ0.5%より大きい範囲で突出する場合には、係合凹部32と係合凸部33を容易に嵌合させることができないという問題がある。
実施の形態の第一例において、軸受リング14と押えリング15の凹凸は、上下方向で締結する際に、固着位置R1を、複数のガイドベーン1の軸心が位置する基準面Sに対し、下方位置に設けると、係合凹部32と係合凸部33を嵌合した際に、摩耗粉等が下方へ落下してガイドベーン1の軸22に付着することがなく、ガイドベーンユニット2を適切且つ容易に構成することができる。又、固着位置R1は、基準面Sより下方に位置するように、係合凸部33の凸部長さLs2に対し、係合凸部33の凸部端面37から65%未満までの所定範囲内に形成される場合には、係合凹部32と係合凸部33を嵌合した際に、摩耗粉等がガイドベーン1の軸22に付着することを適切に防止することができる。
ここで対向面13a側の凹部幅Lu1は、対向面13b側の凸部幅Lu2に対して3%以上10%以下の割合で大きく形成され(Lu1>Lu2)、具体的には、内端側の凹部幅Ld1は、先端側の凸部幅Ld2に対して1%以上10%以下の割合、好ましくは2%以上6%以下の割合で小さく形成され(Ld1<Ld2)、凹部深さLs1は、凸部長さLs2に対して0%以上5%以下の割合で長く形成される(Ls1≧Ls2)ので、係合凹部32と係合凸部33を適切に嵌合し、ガイドベーンユニット2を適切且つ容易に構成することができる。
実施の形態の第一例において、係合凹部32と係合凸部33の凹凸は、軸受リング14と押えリング15の位置決めを行うので、ユニット開口12の内部空間が多角形等で位相を合わせる必要がある場合等において、ガイドベーンユニット2を適切且つ容易に構成することができる。
実施の形態の第一例において、軸受リング14と押えリング15の凹凸は、軸受リング14に形成される係合凹部32と、押えリング15に形成される係合凸部33とを備え、係合凹部32と係合凸部33は、塑性変形前の形状で、係合凸部33における先端側の凸部幅Ld2が、係合凹部における奥側の凹部幅Ld1よりも大きくなるように形成されているので、凹部側面34又は/及び凸部側面36が塑性変形により容易に固着し、ガイドベーンユニット2を適切且つ容易に構成することができる。
図7〜図9は本発明を実施する形態の第二例であり、実施の形態の第二例は、第一例のガイドベーンユニット2の締結構造を変更したものである。ここでハウジング3、ガイドベーン1等の他の部品は第一例と同じ構成を備えている。
ガイドベーンユニット41は、図8に示す如く、第一例と同様にハウジング3(図2参照)の吸込口7と連なるようにユニット開口12を形成しており、ユニット開口12は、径方向断面が多角形(図8では7角形)であり且つ多角形の角部が曲面になっている。又、ガイドベーンユニット41は、図7に示す如く対向面13a,13bによって前後に分割された後側の軸受リング42と前側の押えリング43とで構成されている。ここで軸受リング42及び押えリング43は、製造コストを低減し得るように、夫々、鋳造や射出成形により一定成形されている。
軸受リング42と押えリング43の対向面13a,13bの夫々には、図8に示す如く第一例と同様に、環状溝16が形成されている。夫々の環状溝16は、周囲底面18と、ユニット開口12側に位置する内側壁19と、外周側に位置する外側壁20とを備えている。又、内側壁19は、ユニット開口12の断面と同じように、径方向断面が多角形(図8では7角形)であり且つ多角形の角部が曲面になっている。更に外側壁20は、ガイドベーンユニット41の外周面と同じように、ユニット開口12の軸線に対して径方向断面が円形になっている。
軸受リング42と押えリング43の間には、第一例と同様に、ガイドベーン1の軸22を等間隔で放射状に備えていると共に、ガイドベーン1を回動可能にするように、リングギヤ26、ピニオン27(図2参照)等のガイドベーン1の駆動機構を配置している。
軸受リング42と押えリング43の対向面13a,13bには、互いに嵌合して固着するための凹凸を備えている。凹凸は、図8に示す如く軸受リング42における外側壁20の対向面13aに複数の係合凹部44(図8では3個)を備えていると共に、図7(b)に示す如く押えリング43における外側壁20の対向面13bに複数の係合凸部45(図7(b)では3個)を備えており、夫々、金属、樹脂等の材質から構成されている。又、係合凹部44は、図9(a)に示す如く対向面13aから内方へ向かって延在する両側の凹部側面46と、凹部側面46の内端に位置する凹部端面47とを備えている。更に係合凸部45は、図9(b)に示す如く対向面13bから外方へ向かって延在する両側の凸部側面48と、凸部側面48の外端に位置する凸部端面49とを備えている。又、係合凹部44や係合凸部45の個数は、軸受リング42と押えリング43の位置決めをして締結するものならば特に制限されるものではない。又、係合凸部45の凸部端面49には、接着剤50を塗布するようになっており、接着剤50は、軸受リング42と押えリング43が金属の場合には金属用のものを使用し、軸受リング42と押えリング43が樹脂の場合には樹脂用のものを使用している。又、接着剤50は、軸受リング42と押えリング43とを固着するならば種類が制限されるものではない。
ここで図9(a)に示す如く係合凹部44は、対向面13a側の凹部幅Lu3が内端側の凹部幅Ld3よりも大きく形成されている(Lu3>Ld3)と共に、係合凸部45は、対向面13b側の凸部幅Lu4が先端側の凸部幅Ld4よりも大きく形成されている(Lu4>Ld4)。又、係合凹部44と係合凸部45は、接着剤50による固着前と固着後の形状が略同じであり、具体的には、係合凹部44における対向面13a側の凹部幅Lu3が、係合凸部45における対向面13b側の凸部幅Lu4に対して0.05%以上0.2%以下の割合で大きく形成されている(Lu3>Lu4)。又、係合凹部44における内端側の凹部幅Ld3は、係合凸部45における先端側の凸部幅Ld4に対して0.05%以上0.2%以下の割合で大きく形成されている(Ld3>Ld4)。更に係合凹部44における凹部深さLs3は、係合凸部45における凸部長さLs4に対して0.05%以上0.2%以下の割合で長く形成されている(Ls3≧Ls4)。又、係合凸部45は、図9(b)に示す如く先端側の角を切り落とした形状にすることが好ましい。
以下本発明を実施する形態の第二例の作用を説明する。
ガイドベーンユニット41を組み立てる際には、図7(b)に示す如く、軸受リング42の対向面13aを上方に向けるように軸受リング42を配置し、軸受リング42の環状溝16に押付手段25及びリングギヤ26(図2参照)を配置し且つ内側壁19と外側壁20の軸受凹部23にガイドベーン1の軸22を配置する。次に押えリング43における係合凸部45の凸部端面49に接着剤50(図9参照)を塗布して押えリング43を軸受リング42の上方に配し、軸受リング42及び押えリング43を上下方向で締結する。
この時、ガイドベーンユニット41の凹凸は、係合凹部44に対して係合凸部45を位置決めして嵌合し、係合凸部45の所定範囲で固着している。ここで係合凹部44及び係合凸部45は、固着位置を、全てのガイドベーン1の軸心が位置する基準面Sに対し、離間した下方位置に設けている。又、基準面Sは、係合凸部45の凸部端面49から、係合凸部45の凸部長さLs4に対して60%以上90%以下の間に配置され、係合凹部44と係合凸部45をガイドベーンユニット41の周方向で横切るように位置している。更に固着位置R2は、係合凸部45の凸部端面49から、係合凸部45の凸部長さLs4に対して0%以上5%以下の範囲に形成されている。
ここで係合凸部45と係合凹部44との間に高い摩擦抵抗を生じる場合には、接着剤50を不要にして係合凸部45と係合凹部44を固着し、軸受リング42及び押えリング43を締結しても良い。
その後、ガイドベーンユニット41をハウジング3に割りピン11aや止め輪11b等を介して取り付け、更にアクチュエータに接続し得るアーム30等を配置し、車載用のターボチャージャ等に用いる過給機4を構成する。
而して、このように実施の形態の第二例によれば、第一例と同様な作用効果を得ることができる。
実施の形態の第二例において、軸受リング42と押えリング43の凹凸は、接着剤50によって互いに固着し、且つ固着位置を、複数のガイドベーン1の軸心が位置する基準面Sに対し、離間した位置に設けると、接着剤50が、ガイドベーンの軸に付着する等の悪影響を与えることがなく、ガイドベーンユニット41を適切且つ容易に構成することができる。
実施の形態の第二例において、軸受リング42と押えリング43の凹凸は、上下方向で締結する際に、固着位置R2を、複数のガイドベーン1の軸心が位置する基準面Sに対し、下方位置に設けると、係合凹部44と係合凸部45を嵌合した際に、接着剤50が下方へ垂れてガイドベーン1の軸22に付着することがなく、ガイドベーンユニット41を適切且つ容易に構成することができる。又、固着位置R2は、基準面Sから離間するように、係合凸部45の凸部端面49から、係合凸部45の凸部長さLs4に対して0%以上5%以下の範囲に形成されると、接着剤50が下方へ垂れてガイドベーン1の軸22に付着することを好適に防止することができる。
ここで対向面13a側の凹部幅Lu3は、係合凸部45における対向面13b側の凸部幅Lu4に対して0.05%以上0.2%以下の割合で大きく形成され、又、内端側の凹部幅Ld3は、係合凸部45における先端側の凸部幅Ld4に対して0.05%以上0.2%以下の割合で大きく形成され、更に係合凹部44における凹部深さLs1は、係合凸部45における凸部長さLs2に対して0.05%以上0.2%以下の割合で長く形成されるので、係合凹部44と係合凸部45を適切に嵌合し、ガイドベーンユニット41を適切且つ容易に構成することができる。
実施の形態の第二例において、軸受リング42と押えリング43の凹凸は、摩擦抵抗によって互いに固着することができる。又、固着位置を、複数のガイドベーン1の軸心が位置する基準面Sに対し、離間した位置に設けると、ガイドベーン1の軸22に影響を与えることがなく、ガイドベーンユニット41を適切且つ容易に構成することができると共に、製造コストを低減することができる。
図10、図11は本発明を実施する形態の第三例であり、実施の形態の第三例は、第一例のガイドベーンユニット2の締結構造を更に変更したものである。ここでハウジング3、ガイドベーン1等の他の部品は第一例と同じ構成を備えている。
ガイドベーンユニット51は、図11に示す如く第一例と同様に、ハウジング3(図2参照)の吸込口7と連なるようにユニット開口12が形成されており、ユニット開口12は、径方向断面が多角形(図11では7角形)であり且つ多角形の角部が曲面になっている。又、ガイドベーンユニット51は、対向面13a,13bによって前後に分割された後側の軸受リング52と前側の押えリング53とで構成されている。ここで軸受リング52及び押えリング53は、製造コストを低減し得るように、夫々、鋳造や射出成形により一体成形されている。
軸受リング52と押えリング53の対向面13a,13bの夫々には、環状溝16が形成されている。夫々の環状溝16は、周囲底面18と、ユニット開口12側に位置する内側壁19と、外周側に位置する外側壁20とを備えている。又、内側壁19は、ユニット開口12の断面と同じように、径方向断面が多角形(図11では7角形)であり且つ多角形の角部が曲面になっている。更に外側壁20は、ガイドベーンユニット51の外周面と同じように、径方向断面が円形になっている。更に又、外側壁20の対向面13a,13bには、図10(b)、図11に示す如く割りピン54を挿入し得る複数の孔55(図11では2個)を形成している。ここで割りピン54を挿入し得る孔55の個数は、軸受リング52と押えリング53の位置決めをして締結するものならば特に制限されるものではない。
軸受リング52と押えリング53の間には、第一例と同様に、ガイドベーン1の軸22を等間隔で放射状に備えている。
以下本発明を実施する形態の第三例の作用を説明する。
ガイドベーンユニット51を組み立てる際には、図10(b)に示す如く、軸受リング52の対向面13aを上方に向けるように配置し、軸受リング52の環状溝16に押付手段25及びリングギヤ26(図2参照)を配置し且つ内側壁19と外側壁20の軸受凹部23にガイドベーン1の軸22を配置する。次に図10(b)に示す如く押えリング53又は軸受リング52の孔55に割りピン54を挿入して押えリング53を軸受リング52の上方に配し、軸受リング52及び押えリング53を上下方向で締結する。
その後、ガイドベーンユニット51をハウジング3に割りピン11aや止め輪11b等を介して取り付け、更にアクチュエータに接続し得るアーム30等を配置し、車載用のターボチャージャ等に用いる過給機4を構成する。
而して、このように実施の形態の第三例によれば、第一例と同様な作用効果を得ることができる。又、実施の形態の第三例では、軸受リング52及び押えリング53を割りピン54により固着するので、ガイドベーンユニット51を容易に構成し、且つ製造コストを一層低減することができる。
尚、本発明のガイドベーンユニットの締結機構、及び過給機は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
1 ガイドベーン
2 ガイドベーンユニット
3 ハウジング
4 過給機
5 コンプレッサインペラ
6 回転軸
16 環状溝
17 環状溝
22 軸
23 軸受凹部
26 リングギヤ
27 ピニオン
32 係合凹部
33 係合凸部
34 凹部側面
36 凸部側面
41 ガイドベーンユニット
42 軸受リング
43 押えリング
44 係合凹部
45 係合凸部
46 凹部側面
48 凸部側面
50 接着剤
51 ガイドベーンユニット
52 軸受リング
53 押えリング
54 割りピン
Ld1 凹部幅
Ld2 凸部幅
R1 固着位置
R2 固着位置
S 基準面

Claims (9)

  1. 内部に回転軸を中心としてコンプレッサインペラが回転自在に配設されるハウジング内に、ガイドベーンを予め配置して取り付けられるガイドベーンユニットを備え、
    該ガイドベーンユニットは、対向面によって分割された軸受リングと押えリングとを有し、前記軸受リングと押えリングの間には、複数のガイドベーンを回動可能にする前記ガイドベーンの駆動機構を配し、
    前記軸受リングと前記押えリングの対向面には、前記軸受リングと前記押えリングが締結されるように、互いに嵌合して固着する凹凸を備えたことを特徴とするガイドベーンユニットの締結機構。
  2. 前記軸受リングと前記押えリングの凹凸は、塑性変形によって互いに固着し、且つ固着位置を、複数のガイドベーンの軸心が位置する基準面に対し、離間した位置に設けたことを特徴とする請求項1に記載のガイドベーンユニットの締結機構。
  3. 前記軸受リングと前記押えリングの凹凸は、接着剤によって互いに固着し、且つ固着位置を、複数のガイドベーンの軸心が位置する基準面に対し、離間した位置に設けたことを特徴とする請求項1に記載のガイドベーンユニットの締結機構。
  4. 前記軸受リングと前記押えリングの凹凸は、摩擦抵抗によって互いに固着し、且つ固着位置を、複数のガイドベーンの軸心が位置する基準面に対し、離間した位置に設けたことを特徴とする請求項1に記載のガイドベーンユニットの締結機構。
  5. 前記軸受リングと前記押えリングの凹凸は、上下方向で締結する際に、固着位置を、複数のガイドベーンの軸心が位置する基準面に対し、下方位置に設けたことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の該ガイドベーンユニットの締結機構。
  6. 前記軸受リングと前記押えリングの凹凸は、前記軸受リングと前記押えリングの位置決めを行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のガイドベーンユニットの締結機構。
  7. 前記軸受リングと前記押えリングの凹凸は、前記軸受リングに形成される係合凹部と、前記押えリングに形成される係合凸部とを備え、
    前記係合凹部と前記係合凸部は、塑性変形前の形状で、前記係合凹部における奥側の凹部幅が、前記係合凸部における先端側の凸部幅よりも小さくなるように形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のガイドベーンユニットの締結機構。
  8. 内部に回転軸を中心としてコンプレッサインペラが回転自在に配設されるハウジング内に、ガイドベーンを予め配置して取り付けられるガイドベーンユニットを備え、
    該ガイドベーンユニットは、対向面によって分割された軸受リングと押えリングとを有し、前記軸受リングと押えリングの間には、複数のガイドベーンを回動可能にする前記ガイドベーンの駆動機構を配し、
    前記軸受リングと前記押えリングの対向面には、前記軸受リングと前記押えリングが固定されるように割りピンを配置したことを特徴とするガイドベーンユニットの締結機構。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のガイドベーンユニットの締結機構を備えたことを特徴とする過給機。
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