JP2012246454A - 樹脂用帯電防止剤及び樹脂用帯電防止キット、並びにそれらを用いた樹脂成形体 - Google Patents

樹脂用帯電防止剤及び樹脂用帯電防止キット、並びにそれらを用いた樹脂成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】樹脂成形体の着色及び強度低下を抑制でき、少量で優れた硬化のある樹脂用帯電防止剤を提供。
【解決手段】モノ長鎖第4級アンモニウムカチオンから選択されるカチオンと、下記式
Figure 2012246454

[R及びR10はC2〜16の飽和脂肪族炭化水素基。]で表されるジアルキルスルホコハク酸アニオンとからなる第1の塩(A)、および、上式において、R及びR はC6〜16の飽和脂肪族炭化水素基又は水素原子を示すモノ又はジアルキルスルホコハク酸アニオンと、アルカリ(土)金属イオンから選択されるいずれか1種の金属からなる第2の塩(B)、を含有することを特徴とする樹脂用帯電防止剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂用帯電防止剤及び樹脂用帯電防止キット、並びにそれらを用いた樹脂成形体に関する。
合成高分子からなる種々の樹脂から得られる樹脂成形体は、各種製品の外装や、フィルム、衣料等に用いる合成繊維等に広範に使用されている。しかしながら、樹脂成形体は一般的に電気絶縁体であり、摩擦によって電荷を蓄積しやすいため、ごみや埃等の付着によりその美的外観が損なわれたり、製品の製造工程中にスパークを発生させて火災や爆発の引き金になる危険性があるといった問題を有していた。
そこで、これらの問題を解決するために、樹脂成形体に帯電防止性を付与する方法が種々開発されている。例えば、樹脂成形体に帯電防止性を付与する一般的な方法としては、特開平6−329790号公報(特許文献1)に記載されているようなポリエーテルエステルアミド系ポリマーを樹脂基材に添加(内部添加)する方法や特開平5−295353号公報(特許文献2)に記載されているような第4級アルキルアンモニウム塩を有する高分子量化されたイオン性ポリマーを樹脂成形体の表面に塗布する方法が提案されている。
また、近年では、室温で液体となりやすく、取り扱いが容易であるという観点から、例えば、特開2005−347068号公報(特許文献3)、特開2008−255224号公報(特許文献4)、及び特開2010−43206号公報(特許文献5)に記載されているような、いわゆるイオン液体と呼ばれるイオン性化合物を含有する帯電防止剤等を用いて、樹脂成形体に帯電防止性を付与する方法も報告されている。
しかしながら、特許文献3及び4に記載されているイオン性化合物においては、帯電防止性付与効果及び有機ポリマー等の樹脂基材との相溶性が未だ十分ではなく、均一な樹脂組成物を得たり、帯電防止性が十分に発揮される樹脂成形体を得るためには、前記イオン性化合物を樹脂基材に多量に添加しなければならないという問題を有していた。さらに、このようにイオン性化合物を多量に添加すると、時間経過とともに樹脂成形体の表面にイオン性化合物が徐々に染み出すいわゆるブリード現象が引き起こされたり、樹脂成形体の強度が低下するといった問題も有していた。
また、特許文献5に記載の帯電防止剤においては、優れた帯電防止性を樹脂成形体に付与することができるものの、樹脂基材との加熱混練時や、樹脂成形体を更に成形加工する時等の熱履歴により、樹脂成形体に着色を生じさせるという問題を有していた。
特開平6−329790号公報 特開平5−295353号公報 特開2005−347068号公報 特開2008−255224号公報 特開2010−43206号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、樹脂成形体の着色及び強度低下を十分に抑制することができ、従来よりも少ない添加量で優れた帯電防止性を樹脂成形体に付与することができる樹脂用帯電防止剤及び樹脂用帯電防止キット、並びにそれらを用いた樹脂成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のカチオンと特定のアニオンとからなる塩、及び特定のモノ又はジアルキルスルホコハク酸金属塩を併用して樹脂基材に添加せしめることにより、樹脂成形体の着色及び強度低下を十分に抑制することができ、且つ、少ない添加量(使用量)であるにもかかわらず、優れた帯電防止性を樹脂成形体に付与することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の樹脂用帯電防止剤は、
(A)下記一般式(1):
Figure 2012246454
[式(1)中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜3の炭化水素基を示し、Rは、炭素数8〜14の脂肪族炭化水素基を示し、Rは、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基又は炭素数7〜12のアリールアルキル基を示す。]
で表される第4級アンモニウムカチオン、下記一般式(2):
Figure 2012246454
[式(2)中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を示す。]
で表されるイミダゾリウムカチオン、及び下記一般式(3):
Figure 2012246454
[式(3)中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を示す。]
で表されるピリジニウムカチオンからなる群から選択されるいずれか1種のカチオン(A−1)と、
下記一般式(4):
Figure 2012246454
[式(4)中、R及びR10は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数2〜16の飽和脂肪族炭化水素基を示す。]
で表されるジアルキルスルホコハク酸アニオン;下記一般式(5):
Figure 2012246454
[式(5)中、R11及びR12は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数2〜16の飽和脂肪族炭化水素基を示す。]
で表されるジアルキルリン酸アニオン;下記一般式(6):
X(AO)SO (6)
[式(6)中、Xはヒドロキシル基又は硫酸エステル基を示し、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を示し、nは1〜35の整数を示し、nが2以上の場合にはAOは同一でも異なっていてもよく、AOが2種以上の場合にはランダム付加であってもブロック付加であってもよい。]
で表される(ポリ)アルキレングリコール硫酸エステルアニオン;下記一般式(7):
Figure 2012246454
で表されるジシアナミドアニオン;含フッ素アニオン;クロロイオン;ブロモイオン及びヨードイオンからなる群から選択されるいずれか1種のアニオン(A−2)と、
からなる第1の塩(A)、及び
(B)下記一般式(8):
Figure 2012246454
[式(8)中、R13及びR14は、それぞれ炭素数6〜16の飽和脂肪族炭化水素基又は水素原子を示し、少なくともどちらか一方が前記飽和脂肪族炭化水素基であり、R13及びR14がいずれも前記飽和脂肪族炭化水素基である場合にはR13及びR14は同一でも異なっていてもよい。]
で表されるモノ又はジアルキルスルホコハク酸アニオン(B−1)と、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンからなる群から選択されるいずれか1種の金属イオン(B−2)とからなる第2の塩(B)、
を含有することを特徴とするものである。
本発明の樹脂用帯電防止剤としては、前記第1の塩(A)と前記第2の塩(B)との質量比(第1の塩(A)の質量:第2の塩(B)の質量)が99:1〜30:70であることが好ましい。
また、本発明の樹脂用帯電防止剤としては、前記含フッ素アニオンが、下記一般式(9):
(RfSO (9)
[式(9)中、Rfは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基を示す。]
で表されるビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドイオン;テトラフルオロホウ酸イオン及びヘキサフルオロリン酸イオンからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の樹脂用帯電防止キットは、
(A)前記一般式(1)で表される第4級アンモニウムカチオン、前記一般式(2)で表されるイミダゾリウムカチオン、及び前記一般式(3)で表されるピリジニウムカチオンからなる群から選択されるいずれか1種のカチオン(A−1)と、
前記一般式(4)で表されるジアルキルスルホコハク酸アニオン;前記一般式(5)で表されるジアルキルリン酸アニオン;前記一般式(6)で表される(ポリ)アルキレングリコール硫酸エステルアニオン;前記一般式(7)で表されるジシアナミドアニオン;含フッ素アニオン;クロロイオン;ブロモイオン及びヨードイオンからなる群から選択されるいずれか1種のアニオン(A−2)と、
からなる第1の塩(A)を含有する第1の剤、及び
(B)前記一般式(8)で表されるモノ又はジアルキルスルホコハク酸アニオン(B−1)と、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンからなる群から選択されるいずれか1種の金属イオン(B−2)とからなる第2の塩(B)を含有する第2の剤、
を備えることを特徴とするものである。
本発明の樹脂用帯電防止キットとしては、前記第1の剤と前記第2の剤とが、前記第1の塩(A)と前記第2の塩(B)との質量比(第1の塩(A)の質量:第2の塩(B)の質量)が99:1〜30:70となるように組み合わされていることが好ましい。
また、本発明の樹脂用帯電防止キットとしては、前記含フッ素アニオンが、前記一般式(9)で表されるビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドイオン;テトラフルオロホウ酸イオン及びヘキサフルオロリン酸イオンからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の樹脂成形体は、本発明の樹脂用帯電防止剤を含有することを特徴とするものである。あるいは、本発明の樹脂成形体は、本発明の樹脂用帯電防止キットを用いて得られ、前記第1の剤及び前記第2の剤を含有することを特徴とするものである。
なお、本発明によって前記目的が達成されるようになる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、上記のような従来技術において、樹脂基材と帯電防止剤とを混合することにより帯電防止性を樹脂成形体に付与する場合、特に、熱可塑性樹脂基材と帯電防止剤とを前記熱可塑性樹脂基材の軟化点以上の温度に加熱して混練する場合には、樹脂基材と帯電防止剤との相溶性が不足する傾向にあり、多量の帯電防止剤を配合しなければならなかった。
これに対して、本発明の樹脂用帯電防止剤及び樹脂用帯電防止キットにおいては、本発明に係る第1の塩(A)が室温以下の融点を有する傾向にあり、室温付近で液体となりやすく、且つ、その蒸気圧は殆ど0に近く、極めて低い。さらに、本発明に係る特定のカチオン(A−1)、本発明に係る特定のアニオン(A−2)、及び本発明に係る第1の塩(A)分子においては、イオン間又は分子間の相互作用が小さいことから、樹脂基材又は樹脂成形体中において塩のみが凝集することが抑制される傾向にあると推察され、このような第1の塩(A)と本発明に係る第2の塩(B)とを併用することにより、優れた樹脂基材との相溶性及び帯電防止性が発揮される。したがって、本発明の樹脂用帯電防止剤及び樹脂用帯電防止キットは、前述のような熱可塑性樹脂基材と混練される場合であっても、従来よりも少ない添加量で優れた帯電防止性を樹脂成形体に付与することができると本発明者らは推察する。
また、本発明の樹脂用帯電防止剤及び樹脂用帯電防止キットにおいては、前述のように従来よりも少ない配合量で優れた帯電防止性を樹脂成形体に付与することができる結果、樹脂成形体におけるブリード現象の発生や強度低下を十分に抑制することができる。
さらに、本発明に係る第1の塩(A)は、優れた耐熱性を有するため、本発明の樹脂用帯電防止剤及び樹脂用帯電防止キットは、樹脂基材との加熱混練時や樹脂成形体を更に成形加工する時等の熱履歴によって帯電防止剤等が熱分解されて帯電防止性付与効果が低下することを抑制することができる。また、本発明の樹脂用帯電防止剤及び樹脂用帯電防止キットにおいては、前記第1の塩(A)と前記第2の塩(B)とを併用することにより、驚くべきことに、前述の熱分解がさらに抑制され、樹脂成形体における着色を十分に抑制することができると本発明者らは推察する。
本発明によれば、樹脂成形体の着色及び強度低下を十分に抑制することができ、従来よりも少ない添加量で優れた帯電防止性を樹脂成形体に付与することができる樹脂用帯電防止剤及び樹脂用帯電防止キット、並びに、これらを用いた樹脂成形体を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明の樹脂用帯電防止剤について説明する。本発明の樹脂用帯電防止剤は、カチオン(A−1)とアニオン(A−2)とからなる第1の塩(A)、及びモノ又はジアルキルスルホコハク酸アニオン(B−1)と金属イオン(B−2)とからなる第2の塩(B)を含有することを特徴とするものである。
本発明に係るカチオン(A−1)は、第4級アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン及びピリジニウムカチオンからなる群から選択されるいずれか1種のカチオンである。
本発明に係る第4級アンモニウムカチオンは、下記一般式(1):
Figure 2012246454
で表わされる。前記式(1)中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜3の炭化水素基であり、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。このような炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基等が挙げられる。これらの中でも、前記炭化水素基としては、より優れた帯電防止性付与効果が奏されるという観点から、メチル基が好ましい。
また、前記式(1)中、Rは、炭素数8〜14の脂肪族炭化水素基であり、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。前記脂肪族炭化水素基の炭素数が前記下限未満の場合には、得られる塩の樹脂基材に対する相溶性が不足し、他方、炭素数が前記上限を超える場合には、得られる塩の粘度が高くなるため実用的ではない。
前記脂肪族炭化水素基としては、得られる塩の融点がより低くなるという観点から、直鎖状の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、直鎖状の飽和脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、炭素数10〜12の直鎖状の飽和脂肪族炭化水素基であることが特に好ましい。このような脂肪族炭化水素基としては、デシル基、ドデシル基等が挙げられる。
さらに、前記式(1)中、Rは、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基又は炭素数7〜12のアリールアルキル基である。前記ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられ、前記アリールアルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、イソプロピルベンジル基等が挙げられる。これらの中でも、より優れた帯電防止性付与効果が奏されるという観点から、前記ヒドロキシアルキル基としてはヒドロキシエチル基であることが好ましく、前記アリールアルキル基としてはベンジル基であることが好ましい。
本発明に係るイミダゾリウムカチオンは、下記一般式(2):
Figure 2012246454
で表わされる。前記式(2)中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基であり、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。前記脂肪族炭化水素基の炭素数が前記上限を超える場合には、得られる塩の粘度が高くなるため実用的ではない。
前記脂肪族炭化水素基としては、得られる塩の融点がより低くなるという観点から、炭素数1〜4の飽和脂肪族炭化水素基であることが好ましい。このような脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
本発明に係るピリジニウムカチオンは、下記一般式(3):
Figure 2012246454
で表わされる。前記式(3)中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基であり、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。前記脂肪族炭化水素基の炭素数が前記上限を超える場合には、得られる塩の粘度が高くなるため実用的ではない。
前記脂肪族炭化水素基としては、得られる塩の融点がより低くなるという観点から、炭素数1〜4の飽和脂肪族炭化水素基であることが好ましい。このような脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
本発明に係るカチオン(A−1)としては、樹脂基材との相溶性がより優れるという観点から、前記第4級アンモニウムカチオンを用いることが好ましい。
本発明に係るアニオン(A−2)は、ジアルキルスルホコハク酸アニオン、ジアルキルリン酸アニオン、(ポリ)アルキレングリコール硫酸エステルアニオン、ジシアナミドアニオン、含フッ素アニオン、クロロイオン、ブロモイオン及びヨードイオンからなる群から選択されるいずれか1種のアニオンである。
本発明に係るジアルキルスルホコハク酸アニオンは、下記一般式(4):
Figure 2012246454
で表わされる。前記式(4)中、R及びR10は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数2〜16の飽和脂肪族炭化水素基であり、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。前記飽和脂肪族炭化水素基の炭素数が前記下限未満である場合には、得られる塩の水溶性が大きくなるために樹脂基材に対する相溶性が不足する傾向にあり、得られる樹脂成形体における帯電防止性が低下する。他方、炭素数が前記上限を超える場合には、得られる塩の粘度が高くなるため実用的ではない。
このようなR及びR10の炭素数としては、6以上であることが好ましい。R及びR10の炭素数が6以上である場合には、得られる塩の融点がより低くなる傾向にあり、また、得られる塩の水溶性がより小さくなり、樹脂成形体の表面付近において水による塩の脱落が抑制されるため、樹脂成形体における帯電防止性の耐久性がより向上する傾向にある。また、このようなR及びR10の炭素数としては、帯電防止性付与効果がより優れるという観点から、10以下であることが好ましい。
このような炭素数6〜10の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族炭化水素基としては、ヘキシル基、1−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−メチルペンチル基、2−エチルブチル基、ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、2−メチルヘキシル基、2−エチルペンチル基、3−メチルヘキシル基、3−エチルペンチル基、オクチル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、2−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチルヘプチル基、3−エチルヘキシル基、ノニル基、1−エチルヘプチル基、2−エチルヘプチル基、3−メチルオクチル基、3−エチルヘプチル基、デシル基、2−エチルオクチル基等が挙げられる。これらの中でも、帯電防止性性付与効果がより優れるという観点から、前記飽和脂肪族炭化水素基としては、2−エチルヘキシル基であることが特に好ましい。
本発明に係るジアルキルリン酸アニオンは、下記一般式(5):
Figure 2012246454
で表わされる。前記式(5)中、R11及びR12は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数2〜16の飽和脂肪族炭化水素基であり、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。前記飽和脂肪族炭化水素基の炭素数が前記下限未満である場合には、得られる塩の水溶性が大きくなるために樹脂基材に対する相溶性が不足する傾向にあり、得られる樹脂成形体における帯電防止性が低下する。他方、炭素数が前記上限を超える場合には、得られる塩の粘度が高くなるため実用的ではない。
このようなR11及びR12の炭素数としては、6以上であることが好ましい。R11及びR12の炭素数が6以上である場合には、得られる塩の融点がより低くなる傾向があり、また、得られる塩の水溶性がより小さくなり、樹脂成形体の表面付近において水による上記塩の脱落が抑制されるため、樹脂成形体における帯電防止性の耐久性がより向上する傾向にある。また、このようなR11及びR12の炭素数としては、帯電防止性付与効果がより優れるという観点から、10以下であることが好ましい。
このような炭素数6〜10の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族炭化水素基としては、前記式(4)で表されるジアルキルスルホコハク酸アニオンにおいて例示したものが挙げられる。これらの中でも、帯電防止性性付与効果がより優れるという観点から、前記飽和脂肪族炭化水素基としては、2−エチルヘキシル基であることが特に好ましい。
本発明に係る(ポリ)アルキレングリコール硫酸エステルアニオンは、下記一般式(6):
X(AO)SO (6)
で表わされる。なお、本発明において、(ポリ)アルキレングリコールとは、オキシアルキレン基が単数であるモノアルキレングリコール及び/又はオキシアルキレン基が複数であるポリアルキレングリコールを表す。前記式(6)中、Xはヒドロキシル基(−OH)又は硫酸エステル基(−SOH又は−OSO )である。前記Xとしては、得られる塩の融点がより低くなるという観点から、ヒドロキシル基であることが好ましい。
また、前記式(6)中、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、このようなオキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等が挙げられる。これらの中でも、前記オキシアルキレン基としては、帯電防止性付与効果がより優れるという観点から、オキシエチレン基又はオキシプロピレン基であることが好ましい。
さらに、前記式(6)中、nはAOの平均付加モル数であって、1〜35の整数を示す。前記nが前記上限を超える場合には、得られる塩の粘度が高くなるため実用的ではない。また、得られる塩が取り扱いやすい適度な粘度を有し、且つ、帯電防止性付与効果がより向上するという観点から、前記nとしては、2〜15であることが好ましい。前記nが2以上の場合にはAOは同一でも異なっていてもよく、AOの付加形態は1種のみの単独付加であってもよく、2種以上の付加であってもよく、AOが2種以上の場合には2種以上のランダム付加であってもブロック付加であってもよい。
本発明に係るジシアナミドアニオンは、下記一般式(7):
Figure 2012246454
で表わされる。
また、本発明に係る含フッ素アニオンとしては、フッ素原子を含有するアニオンであれば特に制限されず、例えば、下記一般式(9):
(RfSO (9)
で表されるビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドイオン;テトラフルオロホウ酸イオン(BF );ヘキサフルオロリン酸イオン(PF );フルオロイオン等が挙げられる。前記式(9)中、Rfは、同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基であり、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。このようなパーフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。
これらの中でも、前記含フッ素アニオンとしては、取り扱いが容易であり、帯電防止性付与効果がより優れるという観点から、前記式(9)で表されるビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドイオンであることが好ましく、前記式(9)で表されるビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドイオンの中でも、帯電防止性付与効果がより優れるという観点から、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオンであることがより好ましい。
本発明に係るアニオン(A−2)としては、得られる塩の樹脂基材に対する相溶性がより優れるという観点から、前記カチオン(A−1)が前記第4級アンモニウムカチオンである場合には、前記ジアルキルスルホコハク酸アニオン、前記ジアルキルリン酸アニオン、及び前記(ポリ)アルキレングリコール硫酸エステルアニオンからなる群から選択されるいずれか1種であることが好ましい。さらに、本発明に係るアニオン(A−2)としては、得られる塩の融点がより低くなるという観点から、前記第4級アンモニウムカチオンを表す式(1)中のRがヒドロキシアルキル基である場合には、前記(ポリ)アルキレングリコール硫酸エステルアニオンであることがより好ましく、Rが炭素数7〜12のアリールアルキル基である場合には、前記ジアルキルスルホコハク酸アニオン又は前記ジアルキルリン酸アニオンであることがより好ましい。
また、前記カチオン(A−1)が前記イミダゾリウムカチオン又は前記ピリジニウムカチオンである場合には、本発明に係るアニオン(A−2)としては、得られる塩の融点がより低くなるという観点から、ジシアナミドイオン、含フッ素アニオン、クロロイオン、ブロモイオン及びヨードイオンからなる群から選択されるいずれか1種であることが好ましい。
本発明に係る第1の塩(A)は、前記カチオン(A−1)と前記アニオン(A−2)とからなる。このような第1の塩(A)の製造方法としては、特に制限されず、例えば、前記アニオン(A−2)の塩と前記カチオン(A−1)の塩との塩交換法が挙げられる。
本発明に係る第1の塩(A)としては、樹脂基材との相溶性がより優れるという観点から、前記カチオン(A−1)が前記第4級アンモニウムカチオンであり、前記アニオン(A−2)が前記ジアルキルスルホコハク酸アニオン、前記ジアルキルリン酸アニオン、及び前記(ポリ)アルキレングリコール硫酸エステルアニオンからなる群から選択されるいずれか1種である塩であることが好ましい。
本発明に係るモノ又はジアルキルスルホコハク酸アニオン(B−1)は、下記一般式(8):
Figure 2012246454
で表わされる。前記式(8)中、R13及びR14は、それぞれ直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい炭素数6〜16の飽和脂肪族炭化水素基又は水素原子であり、少なくともどちらか一方が前記飽和脂肪族炭化水素基である。なお、R13及びR14がいずれも前記飽和脂肪族炭化水素基である場合にはR13及びR14は同一でも異なっていてもよい。本発明に係るモノ又はジアルキルスルホコハク酸アニオン(B−1)としては、帯電防止性付与効果がより優れるという観点から、R13及びR14の両方が前記飽和脂肪族炭化水素基であることが好ましく、前記飽和脂肪族炭化水素基の炭素数が6〜10であることがより好ましい。
このような炭素数が6〜10の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族炭化水素基としては、オクチル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、ノニル基、3−メチルオクチル基、3−エチルヘプチル基、デシル基、2−エチルオクチル基等が挙げられる。これらの中でも、帯電防止性付与効果がより優れるという観点から、前記飽和脂肪族炭化水素基としては、2−エチルヘキシル基であることが好ましい。
本発明に係る金属イオン(B−2)は、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンからなる群から選択されるいずれか1種の金属イオンである。前記アルカリ金属イオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンが挙げられ、前記アルカリ土類金属イオンとしては、例えば、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等が挙げられる。これらの中でも、帯電防止性付与効果がより優れるという観点から、本発明に係る金属イオン(B−2)としては、アルカリ金属イオンであることが好ましく、ナトリウムイオン又はカリウムイオンであることがより好ましい。
本発明の樹脂用帯電防止剤は、前記第1の塩(A)の1種又は2種以上と、前記第2の塩(B)の1種又は2種以上とを含有する。前記第1の塩(A)と前記第2の塩(B)とを併用することにより、本発明の樹脂用帯電防止剤は、樹脂基材との優れた相溶性を発揮し、さらに、得られる樹脂成形体において、着色及び強度低下が十分に抑制され、優れた帯電防止性が付与される。
本発明の樹脂用帯電防止剤において、前記第1の塩(A)及び前記第2の塩(B)の含有量としては、前記第1の塩(A)と前記第2の塩(B)との質量比(第1の塩(A)の質量:第2の塩(B)の質量)が、99:1〜30:70となる含有量であることが好ましい。前記第2の塩(B)の含有量が前記下限未満である場合には、樹脂成形体の着色を抑制する効果が十分に奏されない傾向にあり、他方、前記上限を超える場合には、帯電防止性付与効果が低下する傾向にある。また、前記第1の塩(A)及び前記第2の塩(B)の含有量としては、帯電防止性付与効果がより優れるという観点から、前記第1の塩(A)と前記第2の塩(B)との質量比(第1の塩(A)の質量:第2の塩(B)の質量)が、90:10〜40:60となる含有量であることがより好ましく、80:20〜50:50となる含有量であることが特に好ましい。
本発明の樹脂用帯電防止剤としては、前記第1の塩(A)及び前記第2の塩(B)のみからなるものであってもよいが、本発明の範囲を損なわない範囲で、樹脂用の添加剤として公知の添加剤を更に含有していてもよい。このような添加剤としては、顔料、核剤、可塑剤、安定剤、充填材、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、本発明以外の帯電防止剤等が挙げられる。
前記顔料としては、酸化チタン、ベンガラ、黄鉛、カドミウム、群青、アゾ系、フタロシアニン系、建染染料系、キナクリドン系、ジオキサジン系、染付レーキ等が挙げられる。前記核剤としては、ジベンジリデンソルビトール等が挙げられる。前記可塑剤としては、フタル酸エステル系(ジオクチルフタレート等)、リン酸エステル系、アジピン酸エステル系、セバチン酸エステル系、グリコール酸エステル系、ポリエステル系、エポキシ系の可塑剤等が挙げられる。前記安定剤としては、鉛白、塩基性亜硫酸鉛、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、シリカゲル共沈けい酸鉛、液状金属系、ラウレート系有機スズ、マレエート系有機スズ、メルカプタイド系有機スズ、アンチモン系、エポキシ系、亜リン酸エステル系等が挙げられる。前記充填材としては、炭酸カルシウム、タルク、クレー、けい酸、けい酸塩、アスベスト、マイカ、ガラス繊維、ガラスバルーン、カーボン繊維、金属繊維、セラミックウィスカ、チタンウィスカ等が挙げられる。前記難燃剤としては、リン酸エステル系難燃剤[トリクレジルホスフェート、トリス(2,3ジブロモプロピル)ホスフェート等]、臭素系難燃剤(デカブロモビフェニルエーテル等)、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸塩系難燃剤(ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム等)、水酸化アルミニウム、赤リン、水酸化マグネシウム、ポリリン酸アンモニウム、ヘット酸、テトラブロモビスフェノールA等が挙げられる。
また、前記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等が挙げられる。前記フェノール系酸化防止剤の例としては2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられ、前記硫黄系酸化防止剤の例としてはジラウリル3,3’−チオジプロピオネート(DLTDP)、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート(DSTDP)等が挙げられ、前記リン系酸化防止剤の例としてはトリフェニルホスファイト(TPP)、トリイソデシルホスファイト(TDP)等が挙げられ、前記アミン系酸化防止剤の例としてはオクチル化ジフェニルアミン、N−n−ブチル−p−アミノフェノール、N,N−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、サリチレート系、ベンゾトリアゾール系、アクリル系の紫外線吸収剤等が挙げられる。前記ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤の例としては2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられ、前記サリチレート系の紫外線吸収剤の例としてはフェニルサリチレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられ、前記ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤の例としては(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)ベンゾトリアゾール、及びこれらの(共)重合体等が挙げられ、前記アクリル系の紫外線吸収剤の例としてはエチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル−2−カルボメトキシ−3−(パラメトキシベンジル)アクリレート等が挙げられる。また、前記本発明以外の帯電防止剤としては、ポリマー型帯電防止剤(ポリエーテルエステルアミドなど)等が挙げられる。
また、本発明の樹脂用帯電防止剤の形態としては、特に制限されず、前記第1の塩(A)と前記第2の塩(B)と、必要に応じて前記添加剤との混合物をそのまま帯電防止剤として使用してもよいし、前記第1の塩(A)と前記第2の塩(B)と、必要に応じて前記添加剤とを有機溶媒で希釈して使用してもよいし、賦形剤を用いて製剤化して使用してもよい。前記有機溶媒としては、安全性や残留性等を考慮して適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ジエチルエーテル等が挙げられる。前記賦形剤としては、固体又は液体状態の製剤を形成するときに通常用いられるものを適宜採用することができ、例えば、固体状態の製剤を形成する際には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機フィラー等が挙げられる。また、製剤化する方法も特に制限されず、練り込み等の手法を適宜採用することができる。
次いで、本発明の樹脂用帯電防止キットについて説明する。本発明の樹脂用帯電防止キットは、前記第1の塩(A)を含有する第1の剤、及び前記第2の塩(B)を含有する第2の剤を備えることを特徴とするものであり、樹脂成形体の製造時において、前記第1の剤と前記第2の剤とを同時に及び/又は個々に樹脂基材に添加するものである。前記第1の塩(A)を含有する第1の剤、及び前記第2の塩(B)を含有する第2の剤を併用することにより、各剤は樹脂基材との優れた相溶性を発揮し、さらに、得られる樹脂成形体において、着色及び強度低下が十分に抑制され、優れた帯電防止性が付与される。前記第1の塩(A)及び前記第2の塩(B)、並びにこれらの好ましい組み合わせとしては、前述のとおりである。
本発明に係る第1の剤としては、前記第1の塩(A)の1種又は2種以上を含有し、本発明に係る第2の剤としては、前記第2の塩(B)の1種又は2種以上を含有する。前記第1の剤及び前記第2の剤としては、それぞれ前記第1の塩(A)及び前記第2の塩(B)のみからなるものであってもよいが、本発明の範囲を損なわない範囲で、樹脂用の添加剤として公知の添加剤を更に含有していてもよい。このような添加剤としては、本発明の樹脂用帯電防止剤における添加剤として例示したものが挙げられる。また、前記第1の剤及び前記第2の剤の形態としても、本発明の樹脂用帯電防止剤の形態として例示したとおりである。
本発明の樹脂用帯電防止キットとしては、前記第1の剤と前記第2の剤とが、前記第1の塩(A)と前記第2の塩(B)との質量比(第1の塩(A)の質量:第2の塩(B)の質量)が99:1〜30:70となるように組み合わされていることが好ましい。前記第2の塩(B)の割合が前記下限未満である場合には、樹脂成形体の着色を抑制する効果が十分に奏されない傾向にあり、他方、前記上限を超える場合には、帯電防止性付与効果が低下する傾向にある。また、本発明の樹脂用帯電防止キットとしては、帯電防止性付与効果がより優れるという観点から、前記第1の剤と前記第2の剤とが、前記第1の塩(A)と前記第2の塩(B)との質量比(第1の塩(A)の質量:第2の塩(B)の質量)が90:10〜40:60となるように組み合わされていることがより好ましく、80:20〜50:50となるように組み合わされていることが特に好ましい。
本発明の樹脂用帯電防止キットとしては、前記第1の剤及び前記第2の剤のみからなるものであってもよいが、本発明の範囲を損なわない範囲で、樹脂用の添加剤として公知の剤を更に備えていてもよい。このような添加剤としては、本発明の樹脂用帯電防止剤における添加剤として例示したものが挙げられる。
次いで、本発明の樹脂成形体について説明する。本発明の樹脂成形体は、本発明の樹脂用帯電防止剤を含有することを特徴とするものである。あるいは、本発明の樹脂成形体は、本発明の樹脂用帯電防止キットを用いて得られ、前記第1の剤及び前記第2の剤を含有することを特徴とするものである。よって、本発明の樹脂成形体は、少なくとも、樹脂基材と前記第1の塩(A)と前記第2の塩(B)とを含有する。
前記樹脂基材としては、樹脂成形品の製造に用いられる公知の樹脂であれば特に制限されず、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂が挙げられる。本発明においては、樹脂基材として前記熱可塑性樹脂を用いても、樹脂基材との加熱混練時における樹脂基材との相溶性に優れ、着色や帯電防止性の低下を抑制することができる。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ビニル重合系樹脂(ポリオレフィン樹脂、塩素含有ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂等)、縮合系樹脂(ポリアミド樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリオキシフェニレン等)、重付加系樹脂(熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリアセタール樹脂等)、開環重合系樹脂(ポリオキシアルキレン(アルキレン基の炭素数:2〜4)樹脂等)が挙げられる。
前記ポリオレフィン樹脂の例としては、ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン(炭素数3〜12)共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜12)共重合体等が挙げられ、前記塩素含有ビニル樹脂の例としてはポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられ、前記(メタ)アクリル樹脂の例としては(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等からなる群より選択される1種以上のモノマーの(共)重合物等が挙げられ、前記スチレン樹脂の例としてはポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン−無水マレイン酸樹脂、スチレン−アクリル酸エステル樹脂、HIPS等が挙げられる。
前記ポリアミド樹脂の例としては、6ナイロン、66ナイロン、11ナイロン、12ナイロン等が挙げられ、前記熱可塑性ポリエステル樹脂の例としてはPET樹脂、PBT樹脂、PEN樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
また、前記熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂(グリコールと、不飽和及び/又は飽和二塩基酸から誘導される不飽和ポリエステルと、他のビニルモノマーとの架橋共重合物等)、エポキシ樹脂(ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を、ポリアミン、酸無水物等により硬化せしめた樹脂等)、熱硬化性ポリウレタン樹脂(ポリウレタンフォームを含む)、高吸水性樹脂(架橋ポリアクリルアミドの部分加水分解物、架橋されたアクリル酸−アクリルアミド共重合体等)等が挙げられる。
本発明の樹脂成形体において、前記樹脂用帯電防止剤の含有量及び前記第1の剤と前記第2の剤との合計含有量としては、樹脂基材100質量部に対して、前記第1の塩(A)と前記第2の塩(B)との合計質量が0.01〜10質量部となる含有量であることが好ましい。含有量が前記下限未満である場合には、帯電防止性が十分に発揮されない傾向にある。他方、前記上限を超える場合には、帯電防止性は十分に発揮されるものの、ブリード現象が生じる場合がある。また、帯電防止性がより優れるという観点から、前記含有量は、樹脂基材100質量部に対して、前記第1の塩(A)と前記第2の塩(B)との合計質量が0.1〜5質量部であることがより好ましい。本発明においては、本発明の樹脂用帯電防止剤、並びに、本発明の樹脂用帯電防止キットにおける前記第1の剤及び前記第2の剤の添加量がこのように少なくても優れた帯電防止性を樹脂成形体に付与することができるため、樹脂成形体の着色及び強度低下を十分に抑制することができ、ブリード現象を抑制することができる。
また、本発明の樹脂成形体においては、前記第1の塩(A)と前記第2の塩(B)との質量比(第1の塩(A)の質量:第2の塩(B)の質量)が、99:1〜30:70であることが好ましい。前記第2の塩(B)の含有量が前記下限未満である場合には、樹脂成形体の着色が十分に抑制されない傾向にあり、他方、前記上限を超える場合には、帯電防止性が低下する傾向にある。また、本発明の樹脂成形体においては、帯電防止性がより優れるという観点から、前記第1の塩(A)と前記第2の塩(B)との質量比(第1の塩(A)の質量:第2の塩(B)の質量)が、90:10〜40:60であることがより好ましく、80:20〜50:50であることが特に好ましい。
本発明の樹脂成形体としては、必要に応じて、樹脂成形体に使用される公知の添加剤を更に含有していてもよい。このような添加剤としては、顔料、核剤、可塑剤、安定剤、充填材、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、本発明以外の帯電防止剤等が挙げられる。このような添加剤としては、本発明の樹脂用帯電防止剤における添加剤として例示したものが挙げられる。
本発明の樹脂成形体の製造方法としては、例えば、前記樹脂基材が前記熱可塑性樹脂である場合には、本発明の樹脂用帯電防止剤とペレット状又は粉末状の樹脂基材と、必要に応じて前記添加剤とを、所定濃度となるように配合して均一に混合した後、溶融混練し、成形加工する、本発明の樹脂用帯電防止剤を用いる方法や、前記第1の剤及び前記第2の剤と、前記樹脂基材と、必要に応じて前記添加剤とを、所定濃度となるように配合して均一に混合した後、溶融混練し、成形加工する、本発明の樹脂用帯電防止キットを用いる方法が挙げられる。なお、本発明の樹脂用帯電防止キットを用いる方法においては、前記第1の剤及び前記第2の剤を同時に前記樹脂基材に添加してもよく、個々に前記樹脂基材に添加してもよい。
また、本発明の樹脂成形体の製造方法としては、予め高濃度の前記第1の塩(A)及び前記第2の塩(B)が樹脂基材に含有されたいわゆるマスターバッチを作製しておき、次いで、本発明の前記第1の塩(A)及び前記第2の塩(B)を含まない樹脂基材で所定濃度まで希釈し、必要に応じて前記添加剤を配合した後、成形加工する方法も挙げられる。
前記混合方法としては、通常用いられる方法、例えば、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、ドラムブレンダー等を用いる方法を採用することができる。また、前記溶融混練としては、通常用いられる各種機器、例えば、押出機、ブラベンダープラストグラフ、ラボプラストミル、ニーダー、バンバリーミキサー等を用いることができる。さらに、前記成形加工方法としては、既知の種々の成形加工方法、例えば、射出成形、中空成形、押出成形、圧縮成形、カレンダー成形、回転成形等の方法を採用することができる。
本発明の樹脂成形体の形状としては、特に制限されず、用途に応じて、ブロック状、板状、シート状、フィルム状及び糸状等の各種の形状をとることができる。
本発明の樹脂成形体は、優れた帯電防止性及び強度を有し、着色やブリード現象が十分に抑制されており、浴槽・洗面台等のサニタリー用品、冷蔵庫・洗濯機等の家電用品、食卓・台所等の家庭用品、塩ビパイプ等の建築用品、ポリエステル・ナイロン・スパンデックス等の繊維及び繊維製品、ポリエチレンシート等の包装用品等の各種用途に使用することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、各実施例及び比較例において得られた各樹脂成形体の帯電防止性評価、強度(最大応力)評価及び着色性評価は、それぞれ以下に示す評価方法に従って実施した。
<帯電防止性評価>
温度20℃、相対湿度40%RHにおいて、実施例及び比較例で得られた方形状の樹脂成形体の表面抵抗値(Ω)を、測定装置SM−82160型超絶縁計(東亜電波工業(株)製)にて、二重リング電極を用い、印加電圧500Vで測定し、得られた表面抵抗値(Ω)より表面抵抗率(Ω)を算出した。なお、表面抵抗率の値が小さいほど、帯電防止性が優れていることを示す。
<強度(最大応力)評価>
実施例及び比較例で得られたダンベル状の樹脂成形体について引っ張り試験を行い、各樹脂成形体の最大応力(MPa)を測定した。応力測定には、万能引張試験機(インストロンコーポレーション製、材料試験システム4482)を用いた。
<着色性評価>
実施例及び比較例で得られた方形状の樹脂成形体の着色性を、帯電防止剤を添加していない樹脂成形体(比較例5)を基準として、JIS L0805(2005)「汚染用グレースケール」に従い、同JIS中のL表色系による色差に基づく色号(1〜5、及びその中間値)により評価した。なお、評価の値が5であるときが基準との色差が最も小さいことを示す。
(実施例1)
(1)帯電防止剤の調製
ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸のベンジルジメチルドデシルアンモニウム塩80質量部と、ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムの70質量%水溶液66質量部とを均一に混合し、ロータリーエバポレーターにて脱水操作を行った後にろ過し、生成物122質量部を得た。これを帯電防止剤とした。
(2)樹脂成形体の調製
(ポリプロピレン樹脂成形体)
先ず、(1)で得られた帯電防止剤と、樹脂基材のポリプロピレン樹脂((株)プライムポリマー製、製品名:プライムポリプロJ106G)との質量比(帯電防止剤の質量:樹脂基材の質量)が1:100となるように混合し、次いで、この混合物を反応改質混練システム((株)パーカーコーポレーション製、PRMN−25FS)にて200℃で溶融混練し、ペレットを得た。次いで、得られたペレットを用いて、射出成形機(ファナック(株)製、ROBOSHOT S−2000i 100B)により、シリンダー温度200℃の条件でダンベル状(JIS K 7162(1993)の1A形)及び方形状(縦10cm×横10cm×厚さ2mm)の樹脂成形体(ポリプロピレン樹脂成形体)を得た。
(ABS樹脂成形体)
先ず、(1)で得られた帯電防止剤と、樹脂基材のABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、旭化成(株)製、製品名:スタイラックABS−121)との質量比(帯電防止剤の質量:樹脂基材の質量)が1:50となるように混合し、次いで、この混合物を反応改質混練システム((株)パーカーコーポレーション製、PRMN−25FS)にて220℃で溶融混練し、ペレットを得た。次いで、得られたペレットを用いて、射出成形機(ファナック(株)製、ROBOSHOT S−2000i 100B)により、シリンダー温度200℃の条件でダンベル状(JIS K 7162(1993)の1A形)の樹脂成形体(ABS樹脂成形体)を得た。
(実施例2)
ビス(2−エチルヘキシル)リン酸のベンジルジメチルドデシルアンモニウム塩80重量部と、ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムの70質量%水溶液66質量部とを均一に混合し、ロータリーエバポレーターにて脱水操作を行った後にろ過し、生成物122質量部を得た。これを帯電防止剤とした。また、帯電防止剤としてこの帯電防止剤を用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン樹脂成形体及びABS樹脂成形体を得た。
(実施例3)
ポリエチレングリコールモノ硫酸エステルのヒドロキシエチルジメチルドデシルアンモニウム塩(オキシエチレン基の平均付加モル数5モル)90質量部と、ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムの70質量%水溶液33質量部とを均一に混合し、ロータリーエバポレーターにて脱水操作を行った後にろ過し、生成物110質量部を得た。これを帯電防止剤とした。また、帯電防止剤としてこの帯電防止剤を用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン樹脂成形体及びABS樹脂成形体を得た。
(実施例4)
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド90質量と、ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムの70質量%水溶液33質量部とを均一に混合し、ロータリーエバポレーターにて脱水操作を行った後にろ過し、生成物109質量部を得た。これを帯電防止剤とした。また、帯電防止剤としてこの帯電防止剤を用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン樹脂成形体及びABS樹脂成形体を得た。
(実施例5)
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド50質量部と、ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムの70質量%水溶液71質量部とを均一に混合し、ロータリーエバポレーターにて脱水操作を行った後にろ過し、生成物97質量部を得た。これを帯電防止剤とした。また、帯電防止剤としてこの帯電防止剤を用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン樹脂成形体及びABS樹脂成形体を得た。
(実施例6)
N−ブチル−α−ピコリニウムジシアナミド80質量部と、ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムの70質量%水溶液66質量部とを均一に混合し、ロータリーエバポレーターにて脱水操作を行った後にろ過し、生成物122質量部を得た。これを帯電防止剤とした。また、帯電防止剤としてこの帯電防止剤を用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン樹脂成形体及びABS樹脂成形体を得た。
(比較例1)
ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸のベンジルジメチルドデシルアンモニウム塩を帯電防止剤とした。また、帯電防止剤としてこの帯電防止剤を用い、帯電防止剤と、樹脂基材のポリプロピレン樹脂((株)プライムポリマー製、製品名:プライムポリプロJ106G)との質量比(帯電防止剤の質量:樹脂基材の質量)が1:20となるように混合したこと以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン樹脂成形体を得た。
(比較例2)
ポリエチレングリコールモノ硫酸エステルのヒドロキシエチルジメチルドデシルアンモニウム塩(オキシエチレン基の平均付加モル数5モル)を帯電防止剤とした。また、帯電防止剤としてこの帯電防止剤を用いたこと以外は比較例1と同様にしてポリプロピレン樹脂成形体を得た。
(比較例3)
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライドを帯電防止剤とした。また、帯電防止剤としてこの帯電防止剤を用いたこと以外は比較例1と同様にしてポリプロピレン樹脂成形体を得た。
(比較例4)
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを帯電防止剤とした。また、帯電防止剤としてこの帯電防止剤を用いたこと以外は比較例1と同様にしてポリプロピレン樹脂成形体を得た。
(比較例5)
帯電防止剤を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、帯電防止剤が添加されていないポリプロピレン樹脂成形体及びABS樹脂成形体を得た。
(比較例6〜9)
帯電防止剤として比較例1〜4で得られた帯電防止剤を用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン樹脂成形体をそれぞれ得た。
実施例1〜6及び比較例1〜5で得られた方形状のポリプロピレン樹脂成形体について、帯電防止性評価を行った。得られた結果を表1に示す。なお、比較例5の帯電防止剤を添加していないポリプロピレン樹脂成形体については、表面抵抗値(Ω)を測定したが、値が大きすぎて測定することができなかった。
Figure 2012246454
表1に示した結果から明らかなように、本発明の帯電防止剤を用いて得られた樹脂成形体は優れた帯電防止性を有していることが確認された。これに対して、比較例1〜4の帯電防止剤を用いて得られた樹脂成形体においては、樹脂基材に対して本発明の5倍量の帯電防止剤を添加したにもかかわらず、帯電防止性が劣ることが確認された。
実施例1〜6及び比較例5で得られたダンベル状のポリプロピレン樹脂成形体及びABS樹脂成形体について、強度(最大応力)評価を行った。得られた結果を表2に示す。
Figure 2012246454
表2に示した結果から明らかなように、本発明の帯電防止剤を用いて得られた樹脂成形体の最大応力は、帯電防止剤を添加していない樹脂成形体(比較例5)と同程度であり、本発明の帯電防止剤を用いて得られた樹脂成形体においては強度の低下が十分に抑制されていることが確認された。
実施例1〜6及び比較例6〜9で得られた方形状のポリプロピレン樹脂成形体について、着色性評価を行った。得られた結果を表3に示す。
Figure 2012246454
表3に示した結果から明らかなように、本発明の帯電防止剤を用いて得られた樹脂成形体は、比較例6〜9で得られた樹脂成形体と比較して、帯電防止剤を添加していない樹脂成形体(比較例5)との色の差が殆ど認められず、樹脂成形体の着色が十分に抑制されていることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、樹脂成形体の着色及び強度低下を十分に抑制することができ、従来よりも少ない添加量で優れた帯電防止性を樹脂成形体に付与することができる樹脂用帯電防止剤及び樹脂用帯電防止キット、並びに、これらを用いた樹脂成形体を提供することが可能となる。
また、本発明の帯電防止剤及び帯電防止キットは優れた樹脂基材への相溶性と耐熱性を有し、樹脂基材との加熱混練時や成形加工時の熱履歴による、帯電防止性の低下、樹脂形成体強度の低下、及び樹脂成形体の着色を抑制し、少量の添加量で樹脂成形体に優れた帯電防止性を付与することができるため、それぞれ樹脂用帯電防止剤及び樹脂用帯電防止キットとして極めて有用である。また、本発明の帯電防止剤及び/又は帯電防止キットを用いて得られた樹脂成形体は、ブリード現象が従来よりも著しく起こり難い。

Claims (8)

  1. (A)下記一般式(1):
    Figure 2012246454
    [式(1)中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜3の炭化水素基を示し、Rは、炭素数8〜14の脂肪族炭化水素基を示し、Rは、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基又は炭素数7〜12のアリールアルキル基を示す。]
    で表される第4級アンモニウムカチオン、下記一般式(2):
    Figure 2012246454
    [式(2)中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を示す。]
    で表されるイミダゾリウムカチオン、及び下記一般式(3):
    Figure 2012246454
    [式(3)中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を示す。]
    で表されるピリジニウムカチオンからなる群から選択されるいずれか1種のカチオン(A−1)と、
    下記一般式(4):
    Figure 2012246454
    [式(4)中、R及びR10は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数2〜16の飽和脂肪族炭化水素基を示す。]
    で表されるジアルキルスルホコハク酸アニオン;下記一般式(5):
    Figure 2012246454
    [式(5)中、R11及びR12は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数2〜16の飽和脂肪族炭化水素基を示す。]
    で表されるジアルキルリン酸アニオン;下記一般式(6):
    X(AO)SO (6)
    [式(6)中、Xはヒドロキシル基又は硫酸エステル基を示し、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を示し、nは1〜35の整数を示し、nが2以上の場合にはAOは同一でも異なっていてもよく、AOが2種以上の場合にはランダム付加であってもブロック付加であってもよい。]
    で表される(ポリ)アルキレングリコール硫酸エステルアニオン;下記一般式(7):
    Figure 2012246454
    で表されるジシアナミドアニオン;含フッ素アニオン;クロロイオン;ブロモイオン及びヨードイオンからなる群から選択されるいずれか1種のアニオン(A−2)と、
    からなる第1の塩(A)、及び
    (B)下記一般式(8):
    Figure 2012246454
    [式(8)中、R13及びR14は、それぞれ炭素数6〜16の飽和脂肪族炭化水素基又は水素原子を示し、少なくともどちらか一方が前記飽和脂肪族炭化水素基であり、R13及びR14がいずれも前記飽和脂肪族炭化水素基である場合にはR13及びR14は同一でも異なっていてもよい。]
    で表されるモノ又はジアルキルスルホコハク酸アニオン(B−1)と、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンからなる群から選択されるいずれか1種の金属イオン(B−2)とからなる第2の塩(B)、
    を含有することを特徴とする樹脂用帯電防止剤。
  2. 前記第1の塩(A)と前記第2の塩(B)との質量比(第1の塩(A)の質量:第2の塩(B)の質量)が99:1〜30:70であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂用帯電防止剤。
  3. 前記含フッ素アニオンが、下記一般式(9):
    (RfSO (9)
    [式(9)中、Rfは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基を示す。]
    で表されるビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドイオン;テトラフルオロホウ酸イオン及びヘキサフルオロリン酸イオンからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂用帯電防止剤。
  4. 請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の樹脂用帯電防止剤を含有することを特徴とする樹脂成形体。
  5. (A)下記一般式(1):
    Figure 2012246454
    [式(1)中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜3の炭化水素基を示し、Rは、炭素数8〜14の脂肪族炭化水素基を示し、Rは、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基又は炭素数7〜12のアリールアルキル基を示す。]
    で表される第4級アンモニウムカチオン、下記一般式(2):
    Figure 2012246454
    [式(2)中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を示す。]
    で表されるイミダゾリウムカチオン、及び下記一般式(3):
    Figure 2012246454
    [式(3)中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を示す。]
    で表されるピリジニウムカチオンからなる群から選択されるいずれか1種のカチオン(A−1)と、
    下記一般式(4):
    Figure 2012246454
    [式(4)中、R及びR10は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数2〜16の飽和脂肪族炭化水素基を示す。]
    で表されるジアルキルスルホコハク酸アニオン;下記一般式(5):
    Figure 2012246454
    [式(5)中、R11及びR12は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数2〜16の飽和脂肪族炭化水素基を示す。]
    で表されるジアルキルリン酸アニオン;下記一般式(6):
    X(AO)SO (6)
    [式(6)中、Xはヒドロキシル基又は硫酸エステル基を示し、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を示し、nは1〜35の整数を示し、nが2以上の場合にはAOは同一でも異なっていてもよく、AOが2種以上の場合にはランダム付加であってもブロック付加であってもよい。]
    で表される(ポリ)アルキレングリコール硫酸エステルアニオン;下記一般式(7):
    Figure 2012246454
    で表されるジシアナミドアニオン;含フッ素アニオン;クロロイオン;ブロモイオン及びヨードイオンからなる群から選択されるいずれか1種のアニオン(A−2)と、
    からなる第1の塩(A)を含有する第1の剤、及び
    (B)下記一般式(8):
    Figure 2012246454
    [式(8)中、R13及びR14は、それぞれ炭素数6〜16の飽和脂肪族炭化水素基又は水素原子を示し、少なくともどちらか一方が前記脂肪族炭化水素基であり、R13及びR14がいずれも前記脂肪族炭化水素基である場合には、R13及びR14は同一でも異なっていてもよい。]
    で表されるモノ又はジアルキルスルホコハク酸アニオン(B−1)と、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンからなる群から選択されるいずれか1種の金属イオン(B−2)とからなる第2の塩(B)を含有する第2の剤、
    を備えることを特徴とする樹脂用帯電防止キット。
  6. 前記第1の剤と前記第2の剤とが、前記第1の塩(A)と前記第2の塩(B)との質量比(第1の塩(A)の質量:第2の塩(B)の質量)が99:1〜30:70となるように組み合わされていることを特徴とする請求項5に記載の樹脂用帯電防止キット。
  7. 前記含フッ素アニオンが、下記一般式(9):
    (RfSO (9)
    [式(9)中、Rfは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基を示す。]
    で表されるビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドイオン;テトラフルオロホウ酸イオン及びヘキサフルオロリン酸イオンからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項5又は6に記載の樹脂用帯電防止キット。
  8. 請求項5〜7のうちのいずれか一項に記載の樹脂用帯電防止キットを用いて得られ、前記第1の剤及び前記第2の剤を含有することを特徴とする樹脂成形体。
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