JP2012244009A - プリント配線板用基板およびプリント配線板用基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属粒子を含む導電層を有すものであって高温放置後の剥離強度の低下が小さいプリント配線板用基板、およびそのプリント配線板用基板の製造方法を提供する。
【解決手段】このプリント配線板用基板は、絶縁性基材10と、この絶縁性基材10に金属粒子22Aを積層して形成された第1導電層と、この第1導電層に積層された第2導電層とを含む。第1導電層の金属粒子22Aは、この金属粒子22Aの酸化を抑制する酸化抑制剤30により被覆されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、金属粒子を含む層を有するプリント配線板用基板およびプリント配線板用基板の製造方法に関する。
プリント配線板用基板の導電層を薄くする技術として、特許文献1の技術が知られている。特許文献1の技術では、絶縁性基材に金属粒子層を形成し、その上に無電解めっき層および電気めっき層を形成する。
特開2010−272837号公報
ところで、プリント配線板用基板を母材として形成されたプリント配線板は高温条件下で使用されることがある。プリント配線板を高温条件下で長時間にわたって放置すると、導電パターンが絶縁性基材から剥離することがある。導電パターンの剥離により断線の可能性が高くなる。このようなことから、プリント配線板の母材であるプリント配線板用基板について、当該基板の高温放置における耐久性の更なる向上が要求されている。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、金属粒子を含む導電層を有すものであって高温放置後の剥離強度の低下が小さいプリント配線板用基板、およびそのプリント配線板用基板の製造方法を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段およびその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、絶縁性基材と、この絶縁性基材に形成されて金属粒子を含む第1導電層と、この第1導電層に積層された第2導電層とを含むプリント配線板用基板において、前記第1導電層の前記金属粒子は、この金属粒子の酸化を抑制する酸化抑制剤により被覆されていることを要旨とする。
プリント配線板用基板を高温放置すると、第1導電層において絶縁性基材と接触部分が酸化する。これは、絶縁性基材を透過した空気と第1導電層の金属粒子とが反応することに起因する。金属粒子の酸化により、金属粒子と絶縁性基材との接着力が低下し、剥離強度が低下する。これに対し、本発明によれば、金属粒子が酸化抑制剤により被覆されているため、金属粒子の酸化が抑制される。このため、高温放置したとき、金属粒子と絶縁性基材との接着力の低下が抑制される。すなわち、高温放置前後における剥離強度の低下が小さい。
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のプリント配線板用基板において、前記金属粒子は銅粒子または銅を含む粒子であり、前記酸化抑制剤はアゾール化合物であることを要旨とする。
アゾール化合物は銅と錯体を形成し、銅の酸化を抑制する。本発明では、金属粒子として銅粒子または銅を含む粒子を用いて、かつ酸化抑制剤としてアゾール化合物を用いているため、金属粒子の酸化を抑制することができる。
(3)請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のプリント配線板用基板において、前記酸化抑制剤の総体積を当該基板の面積により除算した値を前記酸化抑制剤の換算厚とし、前記酸化抑制剤の換算厚は5nm〜500nmであることを要旨とする。
酸化抑制剤の換算厚が1000nmを超えるとき、酸化抑制剤を含まない従来構造のプリント配線板用基板に比べて、剥離強度が小さくなる。
酸化抑制剤の換算厚が500nmのとき、高温放置していない段階および高温放置した段階のいずれにおいても、従来構造のプリント配線板用基板の剥離強度よりも、酸化抑制剤の換算厚を500nmとしたプリント配線板用基板の剥離強度が大きい。
酸化抑制剤の換算厚は5nm以下のとき、金属粒子の酸化抑制効果が低下する。
これらの点を踏まえ、本発明では、酸化抑制剤の換算厚を5nm〜500nmとする。このように酸化抑制剤の量を規定するため、プリント配線板用基板の剥離強度を所定値以上とすることができる。
(4)請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプリント配線板用基板において、前記第1導電層は、酸化抑制剤が被覆された金属粒子により形成された金属粒子層と、前記金属粒子の隙間に充填されるとともに前記金属粒子層に積層される無電解めっき層とを含むことを要旨とする。
この発明によれば、金属粒子同士の隙間が無電解めっきのめっき金属により埋められて、金属粒子層の表面が平滑にされる。このため、第1導電層の上に積層される第2導電層が平滑になる。すなわち、プリント配線板用基板の同一平面内における導電層の厚みのばらつきが小さい。このため、このようなプリント配線板用基板によれば、エッチングにより形成される導電パターンの線幅のばらつきを小さくすることができる。
(5)請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプリント配線板用基板において、金属粒子の平均粒径は1nm〜500nmであることを要旨とする。
金属粒子が1nm未満のとき、金属粒子同士の凝集作用が増大するため結果的に金属粒子の粒径が大きくなるとともに粒径のばらつきも大きくなり、結果的に隙間が大きくなる。金属粒子の平均粒径が500nmよりも大きいとき、この金属粒子により層を形成したときに金属粒子同士間の隙間が大きくなる。この点、本発明では、第1導電層を形成する金属粒子の平均粒径の範囲を制限しているため、平均粒径が1nm未満の金属粒子を含む導電層または500nmより大きい金属粒子を含む導電層によりも、第1導電層が緻密となる。
(6)請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプリント配線板用基板において、前記金属粒子は銅または銅を含む粒子であり、前記酸化抑制剤は、イミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2,4−ジフェニルイミダゾール、トリアゾール、アミノトリアゾール、ピラゾール、ベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、2−ブチルベンゾイミダゾール、2−フェニルエチルベンゾイミダゾール、2−ナフチルベンゾイミダゾール、5−ニトロ−2−ノニルベンゾイミダゾール、5−クロロ−2−ノニルベンゾイミダゾール、2−アミノベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾールからなる群から選択される少なくとも1種であることを要旨とする。
上記にあげた酸化抑制剤は、銅に対して錯体を形成し、銅の酸化を抑制する。このため、金属粒子として銅粒子または銅を含む粒子を用い、かつ酸化抑制剤として上記にあげた酸化抑制剤を用いているため、金属粒子の酸化を抑制することができる。
(7)請求項7に記載の発明は、絶縁性基材と、この絶縁性基材に形成されて金属粒子を含む第1導電層と、この第1導電層に積層された第2導電層とを含むプリント配線板用基板の製造方法において、前記金属粒子を含有する導電性インクを前記絶縁性基材に塗布することにより前記第1導電層を形成する第1導電層形成工程と、前記金属粒子の酸化を抑制する酸化抑制剤を前記金属粒子に付ける酸化抑制処理工程と、前記第1導電層の上に電気めっきにより前記第2導電層を形成する第2導電層形成工程とを含むことを要旨とする。
この発明によれば、酸化抑制処理工程で酸化抑制剤を金属粒子に付け、次に、この金属粒子を含む第1導電層の上に第2導電層を形成する。以上の工程により、高温放置前後における剥離強度の低下が小さいプリント配線板用基板を製造することができる。
(8)請求項8に記載の発明は、絶縁性基材と、この絶縁性基材に形成されて金属粒子を含む第1導電層と、この第1導電層に積層された第2導電層とを含むプリント配線板用基板の製造方法において、前記金属粒子を含有する導電性インクを前記絶縁性基材に塗布することにより前記第1導電層を形成する第1導電層形成工程と、前記金属粒子の酸化を抑制する酸化抑制剤を前記金属粒子に付ける酸化抑制処理工程と、無電解めっきをすることにより前記第1導電層に無電解めっき層を形成する無電解めっき工程と、前記無電解めっき層に電気めっきにより前記第2導電層を形成する第2導電層形成工程とを含むことを要旨とする。
この発明によれば、酸化抑制処理工程の後に無電解めっきを行って第1導電層に無電解めっき層を形成する。これにより、第1導電層の金属粒子同士の隙間を無電解めっきのめっき金属により埋める。このような工程により、第1導電層を緻密にすることができる。
(9)請求項9に記載の発明は、請求項7または8に記載のプリント配線板用基板の製造方法において、前記酸化抑制処理工程では、前記酸化抑制剤を含む水溶液である酸化抑制溶液を用意し、前記第1導電層が形成された基板を前記酸化抑制溶液に浸漬時間にわたって浸漬し、この後、前記酸化抑制溶液の水分を除去することを要旨とする。
この発明によれば、第1導電層が形成された基板を酸化抑制溶液に浸漬し、この後、酸化抑制溶液の水を除去することにより、金属粒子に酸化抑制剤を付着させる。このように簡単な方法により金属粒子を酸化抑制剤により被覆するため、製造工程を簡略にすることができる。
(10)請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のプリント配線板用基板の製造方法において、前記第1導電層が形成された基材を酸化抑制溶液に浸漬する前記浸漬時間を調整することを要旨とする。
浸漬時間が長いとき、金属粒子の表面に付着する酸化抑制剤の量が増大する。本発明では、この知見に基づいて浸漬時間を調整する。これにより、プリント配線板用基板の酸化抑制剤の換算厚を所望の大きさにすることができる。
(11)請求項11に記載の発明は、請求項7〜10のいずれか一項に記載のプリント配線板用基板の製造方法において、前記金属粒子は銅または銅を含む粒子であり、前記酸化抑制剤はアゾール化合物であることを要旨とする。
本発明によれば、金属粒子を含む導電層を有すものであって高温放置後の剥離強度の低下が小さいプリント配線板用基板、およびそのプリント配線板用基板の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態のプリント配線板用基板の断面構造を示す断面図。 同実施形態のプリント配線板用基板の断面構造を示す拡大断面図。 同実施形態のプリント配線板用基板について、同基板の製造方法の手順を示すフローチャート。 同実施形態のプリント配線板用基板について、その剥離強度の測定方法を示す模式図。 実施例および比較例のプリント配線板用基板の剥離強度を示した表。
<プリント配線板用基板>
図1および図2を参照して、プリント配線板用基板の一実施形態について説明する。
プリント配線板用基板1は、絶縁性基材10と、絶縁性基材10の一方の面に形成される第1導電層21と、第1導電層21の上に積層される第2導電層24とを含む。なお、以降では、第1導電層21と第2導電層24とをあわせた層を導電層20という。
絶縁性基材10は、絶縁性の板材または絶縁性のフィルムにより形成される。例えば、板材としては、紙フェノール板、紙エポキシ板が挙げられる。フィルムとしてはポリイミドフィルムが挙げられる。
第1導電層21は、金属粒子22Aにより形成されている金属粒子層22と、無電解めっき法により形成されている無電解めっき層23とを含む。
金属粒子22Aの平均粒径は20〜100nmに範囲にあり、金属粒子層22の厚さは50〜150nmとされている。すなわち、金属粒子層22は、金属粒子22Aが2〜5層、積み重なって形成されている。
なお、金属粒子22Aの平均粒径の大きさは20nmよりも小さくてもよく、また100nmよりも大きくてもよい。すなわち、金属粒子22Aの平均粒径は1〜500nmの範囲でプリント配線板用基板1の用途等応じて任意に選択される。
また、金属粒子層22の厚さも150nmよりも大きくてもよく、また50nmよりも小さくしてもよい。具体的には、金属粒子層22の厚さは、プリント配線板用基板1の用途等応じて1nm〜500nmの範囲で設定される。
金属粒子22Aの主成分は銅である。すなわち、金属粒子22Aとして銅粒子または銅を含む金属粒子22Aが用いられている。金属粒子22Aの銅以外の成分としては、Ag、Au、Pt、Pd、Ru、Sn、Ni、Fe、Co、Ti、Inの金属が挙げられる。なお、金属粒子22Aとして主成分が銅以外のものを用いてもよい。例えば、ニッケル粒子等を用いることも可能である。
金属粒子22Aの表面は、図2に示すように、金属粒子22Aの酸化を抑制する酸化抑制剤30により覆われている。図では金属粒子22Aの表面全部が酸化抑制剤30により覆われているが、金属粒子22Aの表面の一部のみが酸化抑制剤30により覆われる場合もある。
酸化抑制剤30は、金属粒子22Aを構成する金属に配位し、金属粒子22Aの表面に薄膜を形成する。これにより、酸素と金属との反応が起こりにくくし、金属の酸化を抑制する。また、酸化抑制剤30は150℃168時間以上の耐熱性を有する。
このような酸化抑制剤30としては、アゾール系の化合物が挙げられる。例えば、酸化抑制剤30として、イミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2,4−ジフェニルイミダゾール、トリアゾール、アミノトリアゾール、ピラゾール、ベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、2−ブチルベンゾイミダゾール、2−フェニルエチルベンゾイミダゾール、2−ナフチルベンゾイミダゾール、5−ニトロ−2−ノニルベンゾイミダゾール、5−クロロ−2−ノニルベンゾイミダゾール、2−アミノベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾールが用いられる。特に、2−フェニルイミダゾールが好ましい。2−フェニルイミダゾールのうちでも、2−フェニル−4−メチル−5−ベンジルイミダゾール、2,4−ジフェニルイミダゾール、2,4−ジフェニル−5−メチルイミダゾールが好ましい。
無電解めっき層23は、金属粒子22A同士の間の隙間を埋めて、金属粒子層22の表面を平滑化する。無電解めっき層23の厚さは、絶縁性基材10の積層面10Aを基準面として1μm以内とされる。無電解めっきの材料として、Cu、Ag、Ni等が挙げられる。金属粒子22Aが銅粒子の場合は、当該銅粒子との密着性の観点からCuまたはNiが好ましい。
第2導電層24は、銅、銀、金等の電気めっきにより形成される。また第2導電層24の厚さは第1導電層21の厚さよりも大きい。例えば、第2導電層24の厚さは、絶縁性基材10の積層面10Aを基準面として1〜50μmの厚さとされる。第2導電層24の厚さは、プリント配線板用基板1の用途により適宜設定される。
<プリント配線板用基板の製造方法>
図3を参照して、本発明のプリント配線板用基板1の製造方法について説明する。
絶縁性基材10として、ロールに巻かれた連続材または所定の寸法の板材が用いられる。絶縁性基材10の母材として連続材が用いるとき、連続材の一部をロールから引き出した状態で処理する。絶縁性基材10の母材として板材を用いるときは、板材をベルトコンベア等で自動搬送する。
ステップS100において、絶縁性基材10の表面処理を行う。
表面処理の方法としては、プラズマにより絶縁性基材10に親水性官能基を形成するプラズマ処理がある。アルカリ性水溶液に絶縁性基材10を浸漬することにより親水性官能基を形成することもできる。またコロナ放電により対象物の表面を改質するコロナ処理、紫外線により対象物の表面を改質するUV処理などの方法もある。
プラズマ処理としては、アルゴン雰囲気下で対象物の表面を改質するアルゴンプラズマ、酸素雰囲気下で対象物の表面を改質する酸素プラズマが挙げられる。これらの表面処理により、絶縁性基材10の表面と水との接触角を小さくする。
ステップS110〜ステップS130において、絶縁性基材10に金属粒子層22を形成する。
金属粒子層22の形成工程(金属粒子層形成工程)には、導電性インクを絶縁性基材10に塗布する塗布工程(S110)と、導電性インクの乾燥工程(S120)と、金属粒子22Aを焼結する熱処理工程(S130)とが含まれる。
<導電性インク>
導電性インクは、金属粒子22Aと、溶媒と、溶媒に金属粒子22Aを分散させる分散剤とを含む。溶媒として例えば水が用いられる。水以外にも、エタノール等の揮発性溶媒または水と揮発性溶媒の混合液を用いることができる。
金属粒子22Aとしては平均粒径が1〜500nmの範囲のものが用いられる。平均粒径が1nmよりも小さいときは金属粒子22Aの導電性インクにおいて均一に分散されない。また平均粒径が500nmよりも大きいときは個々の金属粒子22Aの質量が大きいことに起因して導電性インクを絶縁性基材10に塗布後に斑が生じやすい。このため、上記平均粒径が上記範囲(1〜500nm)にある金属粒子22Aが用いられる。
金属粒子22Aは、チタン還元法により形成される。チタン還元法は、Tiイオンの酸化により溶媒中に溶解している金属イオンを析出させる方法である。これにより、金属粒子22Aを形成される。
分散剤としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン等のアミン系の高分子分散剤、またポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース等の分子中にカルボン酸基を有する炭化水素系の高分子分散剤等が挙げられる。
これら分散剤のうちでも分子量が2000〜100,000のものが用いられる。分子量が2000未満の分散剤を用いると、溶媒中に金属粒子22Aを均一に分散させることができない場合がある。分子量が100,000より大きい分散剤を用いると、導電性インクの乾燥後にも金属粒子22A同士の間に残る。金属粒子22Aの間に残存する分散剤は、その後の熱処理工程における金属粒子22A同士の結合を阻害する。このため、分子量が2000〜100,000の分散剤を用いることが好ましい。
金属粒子層22の形成工程のステップS110〜S130の各工程について説明する。
ステップS110の塗布工程では、ローラにより導電性インクを絶縁性基材10に塗布する。塗布方法はローラコート法に限定されない。例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ダイコート法、スリットコート法、ディップコート法等の方法を用いることができる。
ステップS120の乾燥工程では、導電性インクに含まれる水を蒸発させる。例えば、大気圧、60℃の環境下において所定時間保持する。これにより導電性インクの水が蒸発して、1層〜3層の金属粒子22Aの層が絶縁性基材10に残留する。
ステップS130の熱処理工程では、金属粒子22Aを焼結するとともに、金属粒子22A以外の有機物(以下、「残留有機物」)を除去する。残留有機物としては、導電性インクに含まれる分散剤が挙げられる。熱処理は、金属粒子22Aの酸化を抑制する雰囲気下で行われる。例えば、酸素濃度を1000ppm以下にして熱処理する。また、還元雰囲気下、例えば水素雰囲気下で熱処理してもよい。ただし、水素濃度は、水素の爆発下限濃度未満の濃度とする。
熱処理温度は、絶縁性基材10の耐熱温度を考慮して設定される。例えば、絶縁性基材10としてポリイミドフィルムが用いられているときは、500℃以下の温度により熱処理する。一方、残留有機物を除去する必要があるため、熱処理温度は、同残留有機物が分解除去される温度の下限温度である150℃よりも高い温度に設定する。以上の理由により、熱処理温度は150℃〜500℃の温度範囲に設定される。以上のステップS110〜ステップS130の工程により、金属粒子層22が形成される。
次に、ステップS140において酸化抑制処理をする(酸化抑制処理工程)。
酸化抑制処理では、酸化抑制剤30を金属粒子層22に付ける。酸化抑制の付着方法としては、酸化抑制溶液を霧状にして金属粒子層22に散布するスプレー法、酸化抑制溶液を連続的に滴下するシャワー法、金属粒子層22が形成された基板を酸化抑制溶液に浸漬する浸漬法等が挙げられる。なお、上記酸化抑制溶液とは、酸化抑制剤を含む水溶液である。
浸漬法の場合、25〜40℃の温度に設定された酸化抑制溶液に、金属粒子層22が形成された基板を浸漬する。浸漬時間は30〜60秒の間で調整される。
酸化抑制溶液に浸漬する時間を制限することは次の理由による。すなわち、浸漬時間が30秒未満とき金属粒子22Aの酸化抑制効果が小さくなる。一方、浸漬時間が60秒以上のとき酸化抑制剤30の膜厚が大きくなりすぎ、金属粒子層22と無電解めっき層23との接着強度が基準値よりも小さくなる場合がある。このため、浸漬時間が所定時間に制限される。
酸化抑制溶液としては、イミダゾールを含む水溶液が用いられる。具体的には、酸化抑制溶液として、四国化成工業株式会社製のタフエース(登録商標)F2が用いられる。
次に、ステップS150において基板を水で洗浄する。これにより、金属粒子22Aに付着していない酸化抑制剤30を除去する。洗浄の後、空気を吹き付けることにより水を除去する(以下、「水切り処理」)。
金属粒子22Aに付着した酸化抑制剤30は、同金属粒子22Aに強固に接着しているため、水による洗浄、および洗浄後の水切り処理によっても酸化抑制剤30は金属粒子22Aから殆ど取れない。
次に、ステップS160において基板を加熱乾燥する。例えば、80℃で30秒間加熱する。これにより、基板に付着している水分を除去する。
次に、ステップS170(無電解めっき工程)において無電解めっき処理をする。
これにより、金属粒子22A同士の間の隙間をめっき金属により充填し、金属粒子層22の表面を平滑にする。無電解めっき処理により、第1導電層21の厚さを0.05〜2.0μmにする。ステップS110〜S170の工程により、第1導電層21が形成される(第1導電層形成工程)。
次に、ステップS180(第2導電層形成工程)において、電気めっき法により、無電解めっき層23の上に第2導電層24を形成する。平坦な無電解めっき層23の上に第2導電層24が形成されるため、第2導電層24の表面も平坦になる。
第2導電層24の層厚はプリント配線板用基板1の用途に応じて設定される。第1導電層21と第2導電層24とを合わせた厚さは、1〜50μmの範囲内の所定値に設定される。以上の工程で、プリント配線板用基板1が完成する。
(酸化抑制剤の換算厚)
金属粒子22Aを被覆する酸化抑制剤の膜厚の換算厚について説明する。
酸化抑制剤30の換算厚は、プリント配線板用基板1の表面上にある酸化抑制剤30の総体積を当該基板の面積により除算した値として定義される。
酸化抑制剤30の換算厚は、金属粒子層22が形成された基板が酸化抑制溶液に浸漬している期間(浸漬時間)に比例するため、換算厚と浸漬時間との関係を示すマップに基づいて酸化抑制剤30の換算厚が調整される。
換算厚と浸漬時間との関係を示すマップは、浸漬時間を異ならせた試験品の換算厚を計測することにより作られる。この換算厚は、酸化抑制剤30の総体積を基板の面積により除算することにより求められる。酸化抑制剤30の総体積は酸化抑制剤30の量と酸化抑制剤30の密度により算出される。酸化抑制剤30の量は吸光度分析法により測定することができる。以上のことから、酸化抑制剤30として2−フェニルイミダゾールを用いたときの換算厚は(1)式により与えられる。
換算厚(μm)=0.105×A×V/S ・・・ (1)
A:284nmにおける最大吸収度
V:酸化抑制剤を溶解した抽出液の容積(cm
S:基板の面積(cm
具体的には、次の手順により換算厚が求められる。
(a)酸化抑制処理、洗浄および乾燥した基板から所定面積(S)の試験片を取り出す。
(b)試験片を所定量の抽出液に浸漬し、60秒間揺動する。これにより、酸化抑制剤30を抽出液に溶解する。上記抽出液としては、36重量%の塩酸27.8gとメタノール100gとイオン交換水とを含み全体量が1Lとなるようにイオン交換水を調整した溶液を用いる。なお、試験片を溶解するための抽出液の量(V)は、試験片の大きさに応じて設定する。
(c)酸化抑制剤30が溶解した抽出液の最大吸収度(A)を測定する。
・リファレンスとしては酸化抑制剤30が溶解していない抽出液を用いる。
・吸収度は284nmの波長により計測する。
・吸収度の測定に使う抽出液容器として、光路幅が10mmの石英セルを用いる。
(d)最大吸収度を上記(1)式に代入して換算厚を計算する。
(プリント配線板用基板の剥離強度)
図4を参照して、プリント配線板用基板1の剥離強度の測定方法について説明する。
絶縁性基材10を下側にして基礎台にプリント配線板用基板1を固定する。次に、絶縁性基材10と導電層20との間の一部を剥がし、絶縁性基材10から導電層20を引き剥がすための把持部20Aを設ける。そして、把持部20Aを剥離の方向Xに向けて、引っ張り速度50mm/minにて引っ張りつつ、そのときの剥離強度を測定する。なお、剥離の方向とは、試料と平行な平面上において、導電層20が絶縁性基材10から剥離された部分から剥離されていない部分に向う方向を示す。
図5を参照して、プリント配線板用基板1の実施例および比較例の剥離強度について説明する。
<実施例1>
(プリント配線板用基板の材料)
・絶縁性基材10として、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製、製品名カプトン(登録商標)EN−S)を用いた。
・導電性インクは、溶媒を水とし、平均粒径40nmの銅粒子を分散剤により分散し、濃度8重量%として調整した。
・分散剤として、ポリエチレンイミンを用いた。
・酸化抑制溶液としてイミダゾールを含む溶液(四国化成工業株式会社、タフエース(登録商標)F2)を用いた。
(製造条件)
・ポリイミドフィルムを窒素ガス雰囲気下で30分間にわたってプラズマ処理を行った。・プラズマ処理後、ポリイミドフィルムの表面に導電性インクを塗布した。
・導電性インクの塗布厚は、同インクを熱処理した後の金属粒子層22の厚さが0.1μmとなるように調整した。
・導電性インクの塗布後、60℃で10分間空気中に基板を置き、乾燥した。
・乾燥後、350℃の窒素雰囲気中に30分間にわたって基板を置き、熱処理した。熱処理の窒素雰囲気中の酸素濃度を100ppm以下とした。
・熱処理後、酸化抑制溶液に基板を30秒にわたって浸漬した。
・酸化抑制剤30の換算厚を50nmとした。
・酸化抑制処理後、無電解めっきをし、第1導電層21の厚さを0.2μmとした。
・無電解めっき後、銅めっき(電気めっき)し、導電層20の厚さを12μmとした。
(評価内容)
プリント配線板用基板1の評価のため、高温耐熱試験を行ったプリント配線板用基板1の剥離強度と、高温耐熱試験を行っていないプリント配線板用基板1について、剥離強度を測定した。高温耐熱試験は、プリント配線板用基板1を150℃の空気中に168時間放置する試験である。
(評価結果)
・高温耐熱試験を行っていない試験品の剥離強度は、9.0N/mであった。
・高温耐熱試験を行った試験品の剥離強度は、8.0N/mであった。
<実施例2>
(プリント配線板用基板の材料)実施例1と同じものを用いた。
(製造条件)熱処理後、酸化抑制溶液に基板を10秒にわたって浸漬し、酸化抑制剤30の換算厚を5nmとした。これ以外の条件は実施例1と同じとした。
(評価結果)
・高温耐熱試験を行っていない試験品の剥離強度は、8.0N/mであった。
・高温耐熱試験を行った試験品の剥離強度は、8.0N/mであった。
<実施例3>
(プリント配線板用基板の材料)実施例1と同じものを用いた。
(製造条件)熱処理後、酸化抑制溶液に基板を90秒にわたって浸漬し、酸化抑制剤30の換算厚を500nmとした。これ以外の条件は実施例1と同じとした。
(評価結果)
・高温耐熱試験を行っていない試験品の剥離強度は、8.0N/mであった。
・高温耐熱試験を行った試験品の剥離強度は、7.0N/mであった。
<比較例1>
(プリント配線板用基板の材料)実施例1と同じものを用いた。
(製造条件)熱処理後、酸化抑制溶液に基板を180秒にわたって浸漬し、酸化抑制剤30の換算厚を1000nmとした。これ以外の条件は実施例1と同じとした。
(評価結果)
・高温耐熱試験を行っていない試験品の剥離強度は、2.0N/mであった。
・高温耐熱試験を行った試験品の剥離強度は、1.0N/mであった。
<比較例2>
(プリント配線板用基板の材料)実施例1と同じものを用いた。
(製造条件)酸化抑制処理を行っていない。これ以外の条件は実施例1と同じとした。
(評価結果)
・高温耐熱試験を行っていない試験品の剥離強度は、8.0N/mであった。
・高温耐熱試験を行った試験品の剥離強度は、2.0N/mであった。
<実施例と比較例との対比>
図5を参照して、実施例の効果を説明する。
(1)高温耐熱試験の未実行品の対比
実施例1〜3の酸化抑制剤30の換算厚は、5nm〜500nmの範囲内にある。これらのプリント配線板用基板1の剥離強度は、高温耐熱試験を行っていない場合において6.0N/cm以上であった。
比較例1の酸化抑制剤30の換算厚は1000nmである。プリント配線板用基板1の剥離強度は、高温耐熱試験を行っていない場合において6.0N/cm未満であった。すなわち、プリント配線板用基板1に対して単位体積当たりの酸化抑制剤30を増大しすぎると、剥離強度が低下することが分かる。
比較例2は酸化処理を行っていない。プリント配線板用基板1の剥離強度は、高温耐熱試験を行っていない場合、6.0N/cm以上であった。
比較例1のように酸化抑制剤30の膜厚(換算厚)が大きいときは、金属粒子22Aと無電解めっきによる銅との金属結合が阻害されるため、酸化抑制剤30を含まないプリント配線板用基板よりも、剥離強度が小さくなると考えられる。
実施例1〜3の場合、すなわち金属粒子22Aを覆う酸化抑制剤30の層厚が5nm〜500nm(換算厚)の範囲内にあるときは、金属粒子22Aの表面のうちの酸化抑制剤30に覆われていない部分または酸化抑制剤30の薄い部分において、金属粒子22Aと無電解めっきによる銅とが金属結合すると考えられる。このため、実施例1〜3のプリント配線板用基板1の剥離強度は、高温耐熱試験を行う前において、酸化抑制剤30を含まないプリント配線板用基板と略同等の剥離強度になると推定される。
(2)高温耐熱試験の実行品の対比
比較例2は酸化処理を行っていない。プリント配線板用基板1の剥離強度は、高温耐熱試験を行っていない場合は6.0N/cm以上であり、判定基準を超える強度を有するが、行っている場合において、6.0N/cm未満となった。
これに対して、実施例1〜3のプリント配線板用基板1の剥離強度は、高温耐熱試験を行っていない場合においても、同試験を行っている場合においても、6.0N/cm以上であった。
この結果の要因は次の様に考えられる。
すなわち、高温耐熱試験では基板内の空気が活性化し酸化反応が促進される。このため、酸化抑制処理を行っていない比較例2のプリント配線板用基板1においては、金属粒子層22と絶縁性基材10との境界付近の金属粒子22Aが酸化し、金属粒子層22と絶縁性基材10との接着強度が低下する。一方、酸化抑制処理を行っている実施例1〜3のプリント配線板用基板1においては、金属粒子22Aが酸化抑制剤30により被覆されているため、金属粒子22Aの酸化が抑制される。このため、金属粒子層22と絶縁性基材10との剥離強度の低下が小さくなると考えられる。
本実施形態によれば以下の作用効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、第1導電層21の金属粒子22Aは、この金属粒子22Aの酸化を抑制する酸化抑制剤30により被覆されている。
プリント配線板用基板1を高温放置すると、第1導電層21において絶縁性基材10と接触部分が酸化する。これは、絶縁性基材10を透過した空気と第1導電層21の金属粒子22Aとが反応することに起因する。金属粒子22Aの酸化により、金属粒子22Aと絶縁性基材10との接着力が低下し、剥離強度が低下する。
これに対し、上記構成によれば、金属粒子22Aが酸化抑制剤30により被覆されているため、金属粒子22Aの酸化が抑制される。このため、高温放置したとき、金属粒子22Aと絶縁性基材10との接着力の低下が小さい。すなわち、高温放置前後における剥離強度の低下が小さい。
(2)本実施形態では、金属粒子22Aとして銅粒子または銅を含む粒子を用い、かつ酸化抑制剤30はアゾール化合物を採用する。アゾール化合物は銅と錯体を形成し、銅の酸化を抑制するため、高温放置前後における剥離強度の低下を小さくことができる。
(3)本実施形態では、試験結果に基づき、酸化抑制剤30の換算厚を5nm〜500nmとする。このように酸化抑制剤30の量を規定することにより、プリント配線板用基板1の剥離強度を所定値以上とする。
(4)本実施形態では、第1導電層21は、酸化抑制剤30が被覆された金属粒子22Aにより形成された金属粒子層22と、金属粒子22Aの隙間に充填されるとともに金属粒子層22に積層される無電解めっき層23とを含む。この構成によれば、無電解めっき層23により金属粒子層22の表面が平滑にされる。このため、このようなプリント配線板用基板1によれば、エッチングにより形成される導電パターンの線幅のばらつきを小さくすることができる。
(5)本実施形態では、平均粒径が1nm〜500nmである金属粒子22Aにより金属粒子層22が構成されている。これにより、平均粒径が1nm未満の金属粒子22Aを含む導電層または500nmより大きい金属粒子22Aを含む導電層に比べて第1導電層21を緻密な層とすることができる。
(6)本実施形態では、導電性インクを絶縁性基材10に塗布して第1導電層21を形成した後、酸化抑制剤30を第1導電層21に付け、この後、第1導電層21の上に電気めっきにより第2導電層24を形成する。以上の工程により、高温放置前後における剥離強度の低下が小さいプリント配線板用基板1を製造することができる。
(7)本実施形態では、導電性インクを絶縁性基材10に塗布して第1導電層21を形成した後、酸化抑制剤30を第1導電層21に付ける。この後、無電解めっき処理により無電解めっき層23を形成し、次いで、電気めっきにより第2導電層24を形成する。これにより、第1導電層21の金属粒子22A同士の隙間を無電解めっきのめっき金属により埋めて、第1導電層21を緻密にする。
(8)本実施形態では、酸化抑制処理において、金属粒子層22が形成された基板を酸化抑制溶液に浸漬時間にわたって浸漬し、この後、酸化抑制溶液の水分を水切り等により除去する。この方法は、スプレー法または滴下法等によって金属粒子22Aに酸化抑制剤30を付けるよりも、効率的でありかつ簡単であるため、製造工程を簡略にすることができる。
(9)本実施形態では、金属粒子層22が形成された基板を酸化抑制溶液に浸漬する浸漬時間を調整する。浸漬時間の長さに応じて金属粒子22Aの表面に付着する酸化抑制剤30の量が増大するため、この構成によれば、プリント配線板用基板1の酸化抑制剤30の換算厚を所望の大きさにすることができる。
(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は上記各実施形態にて示した態様に限られるものではなく、これを例えば以下に示すように変更して実施することもできる。また以下の各変形例は、上記各実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
・上記実施形態では、酸化抑制剤30として、イミダゾール化合物の他、酢酸、酢酸銅が含まれている水溶液すなわちタフエース(登録商標)F2を用いているが、酢酸または酢酸銅のいずれかまたは両方を含まない水溶液を酸化抑制剤30として用いることもできる。なお、酢酸はミダゾールの水への溶解を容易にするものである。酢酸銅は金属粒子22Aの酸化抑制剤30の付着を促進するため、これらの添加物を加える方が好ましい。
・上記各実施形態では、絶縁性基材10に対して金属粒子層22を形成した後、同金属粒子層22に無電解めっきをして無電解めっき層23を形成しているが、この無電解めっき層23の形成を省略してもよい。なお、この構造の場合、第1導電層21と金属粒子層22とが同じ層となる。
・上記各実施形態では、酸化抑制剤30として、特にアゾール化合物を挙げているが、金属粒子22Aの酸化を抑制するもの、かつ金属粒子22Aに付着するもの、かつ150℃168時間以上の耐熱性があるものであれば、酸化抑制剤30として用いることができる。
・上記各実施形態では、金属粒子22Aに被覆する酸化抑制剤30の量すなわち酸化抑制剤30の換算厚を、基板の酸化抑制溶液への浸漬時間により調整しているが、これ以外の方法によっても換算厚を調整することができる。例えば、酸化抑制溶液の温度を変えることによっても、換算厚を調整することができる。
1…プリント配線板用基板、10…絶縁性基材、10A…積層面、20…導電層、21…第1導電層、22…金属粒子層、22A…金属粒子、23…無電解めっき層、24…第2導電層、30…酸化抑制剤。

Claims (11)

  1. 絶縁性基材と、この絶縁性基材に形成されて金属粒子を含む第1導電層と、この第1導電層に積層された第2導電層とを含むプリント配線板用基板において、
    前記第1導電層の前記金属粒子は、この金属粒子の酸化を抑制する酸化抑制剤により被覆されている
    ことを特徴とするプリント配線板用基板。
  2. 請求項1に記載のプリント配線板用基板において、
    前記金属粒子は銅粒子または銅を含む粒子であり、
    前記酸化抑制剤はアゾール化合物である
    ことを特徴とするプリント配線板用基板。
  3. 請求項1または2に記載のプリント配線板用基板において、
    前記酸化抑制剤の総体積を当該基板の面積により除算した値を前記酸化抑制剤の換算厚として、
    前記酸化抑制剤の換算厚は5nm〜500nmである
    ことを特徴とするプリント配線板用基板。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のプリント配線板用基板において、
    前記第1導電層は、酸化抑制剤が被覆された金属粒子により形成された金属粒子層と、前記金属粒子の隙間に充填されるとともに前記金属粒子層に積層される無電解めっき層とを含む
    ことを特徴とするプリント配線板用基板。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のプリント配線板用基板において、
    前記金属粒子の平均粒径は1nm〜500nmである
    ことを特徴とするプリント配線板用基板。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のプリント配線板用基板において、
    前記金属粒子は銅または銅を含む粒子であり、
    前記酸化抑制剤は、イミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2,4−ジフェニルイミダゾール、トリアゾール、アミノトリアゾール、ピラゾール、ベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、2−ブチルベンゾイミダゾール、2−フェニルエチルベンゾイミダゾール、2−ナフチルベンゾイミダゾール、5−ニトロ−2−ノニルベンゾイミダゾール、5−クロロ−2−ノニルベンゾイミダゾール、2−アミノベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾールからなる群から選択される少なくとも1種である
    ことを特徴とするプリント配線板用基板。
  7. 絶縁性基材と、この絶縁性基材に形成されて金属粒子を含む第1導電層と、この第1導電層に積層された第2導電層とを含むプリント配線板用基板の製造方法において、
    前記金属粒子を含有する導電性インクを前記絶縁性基材に塗布することにより前記第1導電層を形成する第1導電層形成工程と、
    前記金属粒子の酸化を抑制する酸化抑制剤を前記金属粒子に付ける酸化抑制処理工程と、
    前記第1導電層の上に電気めっきにより前記第2導電層を形成する第2導電層形成工程とを含む
    ことを特徴とするプリント配線板用基板の製造方法。
  8. 絶縁性基材と、この絶縁性基材に形成されて金属粒子を含む第1導電層と、この第1導電層に積層された第2導電層とを含むプリント配線板用基板の製造方法において、
    前記金属粒子を含有する導電性インクを前記絶縁性基材に塗布することにより前記第1導電層を形成する第1導電層形成工程と、
    前記金属粒子の酸化を抑制する酸化抑制剤を前記金属粒子に付ける酸化抑制処理工程と、
    無電解めっきをすることにより前記第1導電層に無電解めっき層を形成する無電解めっき工程と、
    前記無電解めっき層に電気めっきにより前記第2導電層を形成する第2導電層形成工程とを含む
    ことを特徴とするプリント配線板用基板の製造方法。
  9. 請求項7または8に記載のプリント配線板用基板の製造方法において、
    前記酸化抑制処理工程では、前記酸化抑制剤を含む水溶液である酸化抑制溶液を用意し、前記第1導電層が形成された基材を前記酸化抑制溶液に浸漬時間にわたって浸漬し、この後、前記酸化抑制溶液の水分を除去する
    ことを特徴とするプリント配線板用基板の製造方法。
  10. 請求項9に記載のプリント配線板用基板の製造方法において、
    前記第1導電層が形成された基材を酸化抑制溶液に浸漬する前記浸漬時間を調整する
    ことを特徴とするプリント配線板用基板の製造方法。
  11. 請求項7〜10のいずれか一項に記載のプリント配線板用基板の製造方法において、
    前記金属粒子は銅または銅を含む粒子であり、
    前記酸化抑制剤はアゾール化合物である
    ことを特徴とするプリント配線板用基板の製造方法。
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WO2019176219A1 (ja) * 2018-03-13 2019-09-19 住友電気工業株式会社 プリント配線板用基板、プリント配線板、プリント配線板用基板の製造方法及び銅ナノインク
WO2023013213A1 (ja) * 2021-08-06 2023-02-09 住友電気工業株式会社 プリント配線板

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