JP2012240875A - カーボンナノ材料分散液 - Google Patents

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Abstract

【課題】長期にわたってカーボンナノ材料を分散でき、かつカーボンナノ材料を高濃度化できるカーボンナノ材料分散液を提供する。
【解決手段】カーボンナノ材料(A)と、糖類の部分分解物(B)と、糖類の部分分解物(B)を溶解し得る媒体(C)とを含むカーボンナノ材料分散液。
【選択図】なし

Description

本発明は、カーボンナノ材料(カーボンナノチューブ等)が媒体に分散(または溶解)したカーボンナノ材料分散液に関する。
カーボンナノチューブ(以下、CNTと記す。)については、1991年の発見以来、特異な力学特性、電気的特性、熱的特性、光学特性等が見出され、その産業利用の大きな可能性に強い関心が持たれている。たとえば、CNTの引っ張り強度は数十GPaのオーダーであり、樹脂の千倍程高く、CNTを樹脂に少量添加するだけで飛躍的に樹脂の強度を高められる可能性がある。また、CNTは導電性に優れるため、CNTを電極活物質やバインダ樹脂とともに電極コンポジット層に用いることで、蓄電素子用電極の電極特性が向上することが期待される。その実現のためには、CNTを1本1本に解きほぐして樹脂中に均質に配置しなければならない。しかし、CNTは、複雑に絡み合った強いバンドル構造を有するため、1本1本に分散させることが極めて困難である。
CNTを媒体中に分散させる試みはこれまでにも報告されている。媒体としては、水、有機溶媒等が挙げられ、環境に対する負荷が小さく、取り扱いが容易で、広範な分野のさまざまな材料に適用可能なことから、水に大きな関心が持たれている。CNTを水に分散させる方法としては、たとえば、下記の方法が提案されている。
(1)CNTの表面を化学処理して水溶性を付与する方法。
(2)界面活性剤(ドデシル硫酸リチウム等)の水溶液にCNTを加え、超音波照射する方法。
(3)水溶性ポリマーでCNTを包み込み、可溶化する方法。
(4)分散剤として界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム等)と水溶性ポリマーとを併用する方法(特許文献1)。
(5)分散剤としてDNAやお茶を用いる方法。
(6)分散剤として水溶性ペプチドを用いる方法。
(7)分散剤として多糖類を用いる方法(特許文献2)。
(8)分散剤として糖類と界面活性剤とを併用する方法(特許文献3)。
しかし、(1)の方法では、化学処理によってCNTの特性を大きく低下させてしまう。一方、(2)〜(8)の方法では、CNTの特性を大きく低下させることはないものの、短時間でCNTが凝集してしまったり、低濃度(0.01〜0.1質量%程度)でしか分散できなかったり、と欠点が多い。そのため、CNTを樹脂に分散させるための実用的な分散性および濃度を有するようなCNT分散液の開発が望まれていた。
特開2008−001898号公報 特開2005−014332号公報 特開2008−230935号公報
本発明は、長期にわたってカーボンナノ材料を分散でき、かつカーボンナノ材料を高濃度化できるカーボンナノ材料分散液を提供する。
本発明のカーボンナノ材料分散液は、カーボンナノ材料(A)と、糖類の部分分解物(B)と、前記糖類の部分分解物(B)を溶解し得る媒体(C)とを含むことを特徴とする。
前記糖類の部分分解物(B)は、加熱によって糖類が分解、重合したものが好ましく、カラメルがより好ましい。
前記カーボンナノ材料(A)の濃度は、カーボンナノ材料分散液(100質量%)中、0.1〜67質量%であることが好ましい。
前記糖類の部分分解物(B)の濃度は、カーボンナノ材料分散液(100質量%)中、0.01〜20質量%であることが好ましい。
本発明のカーボンナノ材料分散液によれば、長期にわたってカーボンナノ材料を分散でき、かつカーボンナノ材料を高濃度化できる。
例1のCNT分散液をキャストした被膜の走査電子顕微鏡写真である。 例7、8のCNT分散液の外観を示す写真である。 例12のCNT複合フッ素ゴムの破断部の走査電子顕微鏡写真である。 例12のCNT複合フッ素ゴムの破断部の走査電子顕微鏡写真である。
<カーボンナノ材料分散液>
本発明のカーボンナノ材料分散液は、分散剤である糖類の部分分解物(B)を介してカーボンナノ材料(A)が媒体(C)に分散したものである。なお、本発明のカーボンナノ材料分散液は、カーボンナノ材料(A)を媒体(C)に孤立分散させることも容易であることから、溶液状となったものも包含する。
(カーボンナノ材料(A))
カーボンナノ材料(A)は、少なくとも1次元の長さがナノメートルオーダーの炭素分子である。カーボンナノ材料(A)としては、CNT(カーボンナノファイバを含む。)、カーボンナノホーン、カーボンナノコイル、フラーレン、グラフェンシート等が挙げられ、特に電極コンポジット層に用いた場合、ネットワーク構造を形成して、力学的、電気的、ならびに熱的特性を付与しやすい点から、CNTが好ましい。
CNTは、グラフェンシートを筒状に丸めた形状を有するものである。形状によるCNTの種類としては、単層CNT、多層CNT、カーボンナノファイバ等が挙げられる。また、製造方法によるCNTの種類としては、アークプラズマ法によるCNT、化学気相合成法によるCNT、VGCFと呼ばれる炭素繊維の高速製造方法である気相成長法によるカーボンナノファイバまたはCNT、ポリテトラエチレンの還元分解物であるカルビンから合成されたCNT、ポリアクリロニトリルのシェルと熱分解消失性ポリマーのコアから製造されたCNT等が挙げられる。
CNTの直径は、単層CNTの1nm程度から多層CNTの500nm程度まで様々である。CNTの長さも、数nmから10mmまで様々である。
CNTには、様々な目的で異元素または異種化合物が添加されていてもよい。添加は、異元素が炭素原子に置き換わって導入されることによって行われてもよい。異元素または異種化合物としては、Ag、Ba、Be、Ca、Ce、Co、Cs、Gd、K、La、Li、Mg、Na、Ni、Pd、Pt、Rb、Rh、Sc、Sm、Sr、IIIB族の元素、VB族の元素、フラーレン等が挙げられる。特にIIIB族のBは、CNTのその他の特徴を損ねることなく、電子伝導性を飛躍的に高めることができると考えられ、好ましい。
カーボンナノ材料(A)の濃度は、カーボンナノ材料分散液(100質量%)中、0.1〜67質量%が好ましく、0.5〜30質量%が特に好ましい。カーボンナノ材料(A)の濃度が0.1質量%以上であれば、カーボンナノ材料(A)を均質に分散させた電極コンポジット層を製造するための実用的な濃度となる。カーボンナノ材料(A)の濃度が67質量%以下であれば、長期にわたってカーボンナノ材料(A)の分散性を充分に維持できる。
(糖類の部分分解物(B))
糖類の部分分解物(B)は、糖類を加熱等によって部分分解して生成したものである。糖類の部分分解物(B)としては、入手のしやすさの点から、加熱によって糖類が分解、重合したものが好ましく、安価な点から、いわゆるカラメルがより好ましい。安価で汎用なカラメルを用いることによって、カーボンナノ材料(A)が高濃度で、かつ安定して分散したカーボンナノ材料分散液を簡便にかつ比較的低コストで製造できる。
カラメルとは、糖類または糖類の溶液を加熱して糖類を分解、重合した(いわゆるカラメル化反応した)ものである。
カラメルとしては、食品添加物等として市販されているカラメルを用いてもよく、糖類または糖類の溶液を公知の方法でカラメル化したものを用いてもよい。
糖類としては、単糖類(グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、ガラクトース等)、二糖類(マルトース(麦芽糖)、スクロース(ショ糖)、ラクトース(乳糖)、セロビオース等)、少糖類(オリゴ糖等)、多糖類(デンプン、デキストリン、水溶性食物繊維類、水溶性セルロース類等)等が挙げられる。
カラメル化における加熱温度は、原料となる糖類の種類、加熱時の糖類の形体や溶液状態およびその溶媒や濃度、カラメル化のための反応促進剤等の有無、加熱時間等によっても変わってくるので一概には決められないが、通常は80〜500℃が好ましく、110〜350℃がより好ましく、150〜300℃が特に好ましい。
糖類の部分分解物(B)の濃度は、カーボンナノ材料分散液(100質量%)中、0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜15質量%がより好ましい。糖類の部分分解物(B)の濃度が0.01質量%以上であれば、長期にわたってカーボンナノ材料の分散性を充分に維持できる。糖類の部分分解物(B)の濃度が20質量%以下であれば、カーボンナノ材料の機能発現を妨げることがない。
(媒体(C))
媒体(C)は、糖類の部分分解物(B)を溶解し得る媒体であればよく、特に限定はされない。
媒体(C)としては、水、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン等)、アルコール類(エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ヘキサノール等)、多価アルコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)、グリコール誘導体類(エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン等)、エステル類(酢酸エチル、安息香酸メチル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、カーボネート類(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等)、スルホン類(ジエチルスルホン、スルホラン等)、アミン類(ジメチルアミン、トリエタノールアミン等)、ハロゲン化炭化水素類(クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等)、酸類、アルカリ類、アセトニトリル、ジアセトンアルコール、ブチロラクトン、ニトロベンゼン、N−メチルピロリドン、その他が挙げられる。これらは、一種または二種以上で糖類の部分分解物(B)を溶解し得る媒体であればよく、適宜単独または複数の混合物として用いることができる。媒体(C)としては、糖類の部分分解物(B)の溶解性の点から、水、または水と有機溶媒との混合物が好ましく、不純物混入を回避して安定した組成制御を維持できる点から、イオン交換水または蒸留水がより好ましい。
媒体(C)における水の割合は、50〜100質量%が好ましく、67〜100質量%がより好ましく、水のみであることが特に好ましい。
媒体(C)の割合は、カーボンナノ材料分散液(100質量%)中、13〜99.89質量%が好ましく、50〜99.6質量%がより好ましく、70〜99.4質量%が特に好ましい。
(他の成分)
本発明のカーボンナノ材料分散液は、本発明の効果を損なわない範囲内において、必要に応じて界面活性剤、消泡剤、粘度調整剤等を含んでいてもよい。
界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤(脂肪酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等)、陽イオン界面活性剤(アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩等)、両性界面活性剤(アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタイン等)、非イオン界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ジエタノールアミド等)が挙げられる。具体的には、ラウリル硫酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等が挙げられる。
消泡剤としては、非イオン性界面活性剤、水溶性有機溶剤等が挙げられる。
粘度調整剤としては、水溶性高分子化合物(ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸アミド、カルボキシメチルセルロース等)が挙げられる。
(カーボンナノ材料分散液の調製方法)
本発明のカーボンナノ材料分散液は、たとえば、媒体(C)に糖類の部分分解物(B)を溶解させた溶液に、カーボンナノ材料(A)を加え、分散処理することによって調製される。
分散処理としては、超音波照射処理、湿式ジェットミル処理等が挙げられる。超音波照射処理は、プローブ式超音波照射装置を用いて行われ、5分〜1日程度処理されるのが一般的である。湿式ジェットミル処理は、処理装置の機構にも依存するが、中〜低圧で1〜10パス処理されるのが一般的である。いずれの場合もキャビテーションを起こして凝集を解きほぐす機構であると見られていることから、処理温度は、媒体(C)の凝固点から沸点の範囲で可能である。しかしながら、たとえば媒体(C)が水の場合、80℃を超えると処理効率を顕著に低下させてしまう。したがって、水を媒体(C)とする場合、処理温度は、室温〜65℃の範囲とするのが取扱いも容易であり、好ましい。
(用途)
本発明のカーボンナノ材料分散液の用途としては、蓄電素子用電極を製造する際に用いられる導電助剤の分散液;透明導電膜を形成するためのコーティング液;樹脂、金属等への添加剤等が挙げられる。
本発明のカーボンナノ材料分散液、バインダ樹脂の分散液、および電極活物質等を混合して得られる電極コンポジット層形成用分散液を、集電体にコーティングすることによって蓄電素子用電極を製造できる。蓄電素子用電極の電極コンポジット層においては、カーボンナノ材料(A)が電極コンポジット層中に均質に分散、配置され、カーボンナノ材料(A)のネットワークが充分に形成されるため、蓄電素子用電極の電極特性が向上する。
本発明のカーボンナノ材料分散液をキャストした被膜(透明導電膜等)は、糖類の部分分解物(B)が結着剤となってカーボンナノ材料(A)を基板上に固定したり、カーボンナノ材料(A)のネットワークを安定的に維持したりする効果を有する。キャストされた被膜を200℃以上で熱処理すると、糖類の部分分解物(B)がさらに炭化してカーボンナノ材料(A)同士、またはカーボンナノ材料(A)と基板との間の導電性バインダとして機能する効果も発現される。
(作用効果)
以上説明した本発明のカーボンナノ材料分散液にあっては、下記の理由から、長期にわたってカーボンナノ材料を分散でき、かつカーボンナノ材料を高濃度化できる。
糖類のピラノース環またはフラノース環が、カーボンナノ材料(A)のグラフェン環と相互作用すると同時に、加熱分解による糖類の部分重合体(糖類の部分分解物(B))が面状に補強して強力な相互作用を継続させる。また、糖類の極性基および加熱分解によって新たに形成された極性基が、水等の媒体(C)と強力に相互作用する結果、糖類の部分分解物(B)を強く吸着したカーボンナノ材料(A)が、水等の媒体(C)にミクロに分散およびまたは溶解すると考えられる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
例1、4、7、9〜13は、実施例であり、例2、3、5、6、8は、比較例である。
〔例1〕
市販の食品添加用カラメル色素粉末(池田糖化工業社製)の0.2gをイオン交換水の20gに溶解させた。該溶液に単層CNT(名城ナノカーボン社製、FH−P)の0.01gを加え、750Wソニケータのプローブを挿入して、出力100%で5分間の分散処理を施した。結果、黒色の分散液(CNT濃度:0.05質量%)が得られた。該分散液をイオン交換水で100倍に希釈した希釈液は、薄い黒色透明な外観を呈し、約2ヶ月間静置後も外観は変化せず、凝集や沈降は見られなかった。該希釈液をアルミニウム箔上にキャストし、乾燥させて被膜を形成した。被膜の走査電子顕微鏡写真を図1に示す。図1に示すように、凝集のない単層CNTが観察された。
〔例2〕
カラメル色素粉末の0.2gの代わりにブドウ糖の0.2gを用いた以外は、例1と同様にして分散液を得た。該分散液は、分散処理の直後に、単層CNTが沈降した。
〔例3〕
カラメル色素粉末の0.2gの代わりにドデシル硫酸ナトリウムの0.2gを用い、例1と同様の分散処理を3回繰り返した以外は、例1と同様にして分散液を得た。該分散液は、塊状の単層CNTを多く残したままであった。該分散液から塊状の単層CNTをろ過によって除去した黒色液体をイオン交換水で約10倍に希釈したところ、例1の希釈液と同様の外観を呈した。しかし、該希釈液は、約15時間静置したところ、単層CNTが凝集、沈降した。
〔例4〕
ブドウ糖由来のカラメル噴霧乾燥品(仙波糖化工業社製)の15gをイオン交換水の554gに溶解させた。該溶液に多層CNT(Nanocyl社製、Nanocyl 7000)の31gを加え、例1と同様にして30分間の分散処理を施した。結果、高粘度ではあるが良好な加工性を持つ黒色の分散液(CNT濃度:5.2質量%)が得られた。該分散液をイオン交換水で1000倍に希釈した希釈液は、薄い黒色透明な外観を呈した。該分散液および該希釈液ともに約2ヶ月静置後もほぼ同様の外観を保持し、凝集、沈降が見られなかった。
〔例5〕
カラメル噴霧乾燥品の15gの代わりにカルボキシメチルセルロース(1質量%水溶液の25℃の粘度:300mPa・s)(以下、CMCと記す。)の15gを用いた以外は、例4と同様にして分散処理を試みた。しかし、分散処理の途中にゲル化してしまい、分散液は得られなかった。
〔例6〕
多層CNTの31gを6gに変更した以外は、例5と同様にして分散処理を施した。結果、流動させることはできるものの、ゲル状を呈するものであり、均質な分散液は得られなかった。
〔例7〕
カラメル噴霧乾燥品の1%水溶液の20gに多層CNTの0.02gを加え、例1と同様にして5分間の分散処理を施した。結果、良好な加工性を持つ黒色の分散液(CNT濃度:0.10質量%)が得られた。該分散液、および該分散液をイオン交換水で200倍に希釈した希釈液を得た。該分散液および希釈液は、15時間静置した後でも、凝集、沈降が見られなかった(分散液:図2中、左側の大きいビン、希釈液:図2中、左側の小さいビン)。
〔例8〕
CMCの1%水溶液の20gに多層CNTの0.02gを加え、例1と同様にして5分間の分散処理を施した。結果、部分的に凝集体を残す黒色の分散液(CNT濃度:0.10質量%)が得られた。該分散液をろ過することによって凝集体を除去した黒色液体、および該黒色液体をイオン交換水で500倍に希釈した希釈液を得た。該黒色液体および希釈液は、15時間静置した後でも、凝集、沈降が見られなかった(黒色液体:図2中、右側の大きいビン、希釈液:図2中、右側の小さいビン)。
図2に示すように、カラメルを用いることによって、良好なCNT分散液を調製できる。一方、CMCを用いると、CNTの再凝集を防止できない。
〔例9〕
カラメル色素粉末の9gおよびドデシル硫酸ナトリウムの3gをイオン交換水の570gに溶解させ溶液を得た。該溶液に多層CNTの18gを加え、例1と同様にして30分間の分散処理を施した。結果、良好な加工性を持つ黒色の分散液(CNT濃度:3.0質量%)が得られた。該分散液をイオン交換水で1000倍に希釈した希釈液は、薄い黒色透明を呈し、約2ヶ月静置した後もほぼ同様の外観を保持し、凝集、沈降が見られなかった。
〔例10〕
市販のオリゴ糖(日本食品加工製、平均分子量:450)の12.5質量%水溶液の21kgを調製した。該水溶液を、マイクロ波連続加熱装置を用い、マイクロ波出力:2.2kW、温度:185±5℃、圧力:2MPa、加熱時間:3.8分で処理して、赤褐色のオリゴ糖由来のカラメル水溶液を得た。
オリゴ糖由来のカラメル水溶液の100gおよび多層CNTの20gをイオン交換水の480gに投入し、例4と同様にして30分間の分散処理を施した。結果、良好な加工性を持つ黒色の分散液(CNT濃度:3.3質量%)が得られた。該分散液をイオン交換水で1000倍に希釈した希釈液は、薄い黒色透明であり、約2ヶ月間静置した後も同様の外観を保持し、凝集、沈降が見られなかった。
〔例11〕
市販の水溶性食物繊維(松谷化学工業製、ファイバーゾル2)の5質量%水溶液の38kgを調製した。該水溶液を、マイクロ波連続加熱装置を用い、マイクロ波出力:2.4kW、温度:210±5℃、圧力:2.4MPa、加熱時間:4.5分で処理して、黒褐色の水溶性食物繊維由来のカラメル水溶液を得た。
水溶性食物繊維由来のカラメル水溶液の200gおよび多層CNTの20gをイオン交換水の380gに投入し、例4と同様にして30分間の分散処理を施した。結果、良好な加工性を持つ黒色の分散液(CNT濃度:3.3質量%)が得られた。該分散液をイオン交換水で1000倍に希釈した希釈液は、薄い黒色透明であり、約2ヶ月間静置した後も同様の外観を保持し、凝集、沈降が見られなかった。
〔例12〕
ブドウ糖由来のカラメル水溶液(仙波糖化工業社製、有効成分:60質量%)の15gをイオン交換水の565gに溶解した溶液を得た。該溶液に、多層CNTの20gを加え、例4と同様にして30分間の分散処理を施した。結果、良好な加工性を持つ黒色の分散液(CNT濃度:3.3質量%)が得られた。
テトラフルオロエチレンとプロピレンとの交互共重合体を35.4質量%含む水性フッ素ゴムラテックス(旭硝子社製)の564gを撹拌しながら、CNT分散液の315gを5分間かけてゆっくり加えた。該混合液を、撹拌させた1.5質量%塩化カルシウム水溶液の15kgに投入し、1時間撹拌して、黒色粒状析出物を得た。該黒色析出物を水洗した後、120℃で15時間乾燥させ、CNT添加量がほぼ5質量%のCNT複合フッ素ゴムを得た。該フッ素ゴムを引き千切ったゴムの破断面からは孤立分散して配合されたCNTが観察された。
〔例13〕
カラメル噴霧乾燥品の2gをN−メチルピロリドン(市販品、試薬特級)(以下、NMPと記す。)の95gに溶解した。該溶液に、多層CNTの3gを加えて例4同様にして分散処理を施した。結果、良好な加工性を持つ黒色の分散液(CNT濃度:3.0質量%)が得られた。該分散液をMNPで1000倍に希釈した希釈液は、薄い黒色透明であり、約2ヶ月静置した後もほぼ同様の外観を保持し、凝集、沈降が見られなかった。
本発明のカーボンナノ材料分散液は、蓄電素子用電極を製造する際に用いられる導電助剤の分散液;透明導電膜を形成するためのコーティング液;樹脂、金属等への添加剤等として有用である。

Claims (5)

  1. カーボンナノ材料(A)と、
    糖類の部分分解物(B)と、
    前記糖類の部分分解物(B)を溶解し得る媒体(C)と
    を含む、カーボンナノ材料分散液。
  2. 前記糖類の部分分解物(B)が、加熱によって糖類が分解、重合したものである、請求項1に記載のカーボンナノ材料分散液。
  3. 前記糖類の部分分解物(B)が、カラメルである、請求項1または2に記載のカーボンナノ材料分散液。
  4. 前記カーボンナノ材料(A)の濃度が、カーボンナノ材料分散液(100質量%)中、0.1〜67質量%である、請求項1〜3に記載のカーボンナノ材料分散液。
  5. 前記糖類の部分分解物(B)の濃度が、カーボンナノ材料分散液(100質量%)中、0.01〜20質量%である、請求項1〜4に記載のカーボンナノ材料分散液。
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