JP2012240070A - 条鋼圧延方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の条鋼圧延方法は、条鋼材Wをその周方向三方から圧延するための3つの圧延ロールを有し、これら3つの圧延ロールにはロール外周面にカリバが設けられている圧延スタンドを3つ以上備えた仕上げ圧延装置6で用いられるものであり、3つ以上の圧延スタンドのうち最終段に配備された圧延スタンド13の入側で、3つの圧延ロール13a〜13cに対し条鋼材Wが3点より多い接触状態となるようにして、条鋼材Wの圧延を行う。
【選択図】図3
Description
このうち仕上げ圧延装置には、条鋼材をその周方向三方から圧延するための3つの圧延ロールを有した圧延スタンド(三方ロール圧延機)が、パスラインに沿って3つ以上備えられた構成のものがある。
例えば、特許文献1は、3本のロールの軸線延長が垂直面内で形成する正三角形の傾きを60°違えて配置させた3台の3ロール圧延機による圧延方法において、素材を円形、1パス目のロールカリバーを素材の円の直径と同一以上の円弧、又は直線と適当な逃がしとを配した形状とし、2パス目および3パス目のロールカリバーを素材の円の直径に対し95%乃至同一の直径の円弧と適当な逃がしとを配した形状とし、ロールの圧下位置を各パス目圧延機それぞれ独立して選択して、素材を素材直径ないし素材直径の80%の範囲内でフリーサイズ圧延する棒線材のフリーサイズ圧延方法を開示する。この技術は、隣接する圧延スタンド間で、圧延ロールのロール外周面に設けられたカリバの減面率が所定の関係となるように規定することにより、フリーサイズ圧延における条鋼材の直径減少率を拡大させるものである。
また、特許文献2の技術(プッシャーロールによって圧延ロールにプリストレスを付与させる構成)を採用することでも、前記した条鋼材捻転の問題を解決することはできず、やはり圧延後の条鋼材において製品寸法や形状のバラツキを低減させるには至らなかった。
すなわち、本発明は、条鋼材をその周方向三方から圧延するための3つの圧延ロールを有し、これら3つの圧延ロールにはロール外周面にカリバが設けられている圧延スタンドを3つ以上備えた仕上げ圧延装置により条鋼材を圧延する方法において、前記仕上げ圧延装置内の最終段に配備された圧延スタンドの入側で、前記3つの圧延ロールと条鋼材との接触点が総数で3点より多い接触状態となるようにして、条鋼材の圧延を行うことを特徴とする。
R1/R3≧f(Ds)
ただし、R1:第1圧延スタンドに備えられた圧延ロールのカリバの曲率半径
R3:第3圧延スタンドに備えられた圧延ロールのカリバの曲率半径
Ds:第2圧延スタンドでの減面率
また、仕上げ圧延装置が第1圧延スタンド〜第3圧延スタンドを備える構成では、前記第3圧延スタンドにおいて、条鋼材が3つの圧延ロールに対して均等な6点接触状態となるように、次式を満たしつつ条鋼材の圧延を行うとよい。
R1/R3≧44×Ds+4.5
ただし、R1:第1圧延スタンドに備えられた圧延ロールのカリバの曲率半径
R3:第3圧延スタンドに備えられた圧延ロールのカリバの曲率半径
Ds:第2圧延スタンドでの減面率
図1は、本発明に係る条鋼材の圧延方法に用いる条鋼圧延設備1を示している。
この条鋼圧延設備1は、線材や棒鋼等の条鋼材Wを製造するものであって、上流側(図1左側)から下流側(図1右側)に向けて順に、ビレットなどの鋼片を加熱する加熱炉3、粗圧延装置4、中間列圧延装置5、仕上げ圧延装置6、冷却装置7、巻き取り装置8が設置されている。粗圧延装置4、中間列圧延装置5、仕上げ圧延装置6は、それぞれ複数の圧延スタンド(圧延機)を備えている。
第1圧延スタンド11は、圧延ハウジング15内で回転自在に支持された3つの圧延ロール11a〜11cを有している。各圧延ロール11a〜11cのロール外周面には、条鋼材Wを圧延するための凹円弧面となるカリバ16が形成されている。
これら圧延ロール12a〜12cのロール配置は、第1圧延スタンド11のロール配置に対して、周方向へ180°ずらしたロール配置とされており、これら各位置に配置された3つの圧延ロール12a〜12cによって条鋼材Wをその周方向三方から圧延する。
これら圧延ロール13a〜13cのロール配置は、第2圧延スタンド12のロール配置に対して、周方向へ更に180°ずらしたロール配置とされており、これら各位置に配置された3つの圧延ロール13a〜13cによって条鋼材Wをその周方向三方から圧延する。
まず、第1圧延スタンド11では、仕上げ圧延される前の径大な円形断面をした条鋼材Wがその周方向の三方を三つの圧延ロール11a〜11cにより同時に圧下される。これにより、この第1圧延スタンド11の出側では、条鋼材Wが正三角形の各辺を膨らませたような(おむすび型)断面形状となる。
次に、第3圧延スタンド13では、第2圧延スタンド12による圧延で条鋼材Wに生じた六つの突出部(六角形状の各角部に対応する部分)が、三つの圧延ロール13a〜13c毎に、それぞれ周方向に離れた2点で均等に接触しながら(すなわち、均等6点接触で)同時に圧下されるようになる。この状況は図4に示す如くである。
さらに、本願発明者は、コンピュータシミュレーションを行うことにより、最終段となる第3圧延スタンド13で条鋼材Wを6点接触(3点より多く接触)させるための圧延条件を探ることとした。コンピュータシミュレーションの結果から、圧延条件として、第1圧延スタンド11のカリバ16の曲率半径R1と第3圧延スタンド13のカリバ20の曲率半径R3の比率(R1/R3)、ならびに第2圧延スタンド12での減面率(Ds)が大きく影響することを知見するに至った。
R1/R3≧f(Ds) (1)
ただし、
R1:第1圧延スタンド11に備えられた圧延ロールのカリバ16の曲率半径
R3:第3圧延スタンド13に備えられた圧延ロールのカリバ20の曲率半径
Ds:第2圧延スタンド12での減面率(入側と出側との間での条鋼材Wの断面積比)
を満たすような圧延条件で、仕上げ圧延装置6での条鋼材の圧延を行うとよい。
図5の中の印(○、△、×)は条鋼材Wにおける製品形状を示している。
なお、図5の△印の条鋼材Wは、○印で示される条鋼材Wより製品寸法や形状のバラツキが若干大きいものの、許容範囲には十分収まっているものを示している。△印の条鋼材Wの圧延では、第3圧延スタンド13の入側で3つの圧延ロール13a〜13cに対し、条鋼材Wが6点接触が維持されない(言い換えれば、5点乃至は4点に接触する状況である)ことが確認されており、第3圧延スタンド13での捻転は殆どない。
規定された境界線αと境界線βは、以下に示す線形一次式で表される。境界線αが式(2)であり、境界線βが式(3)である。
R1/R3≧2000×Ds−385 (2)
R1/R3≧44×Ds+4.5 (3)
すなわち、式(2)、式(3)を満たす第2圧延スタンド12の減面率(Ds)、第1圧延スタンド11のカリバの曲率半径R1、第3圧延スタンド13カリバの曲率半径R3を実現する圧延条件、言い換えれば、図5のグレー領域に入るようなDsとR1/R3を実現する圧延条件とすることで、仕上げ圧延装置6での条鋼材捻転を確実に防止することができ、その結果、圧延後の条鋼材Wにおいて製品寸法、形状のバラツキを低減させることが可能となる。
例えば、仕上げ圧延装置6は、圧延スタンドの設置数を3つより多くして構成したものとしてもよい。
3 加熱炉
4 粗圧延装置
5 中間列圧延装置
6 仕上げ圧延装置
7 冷却装置
8 巻き取り装置
11 第1圧延スタンド
11a〜11c 第1圧延スタンドの圧延ロール
12 第2圧延スタンド
12a〜12c 第2圧延スタンドの圧延ロール
13 第3圧延スタンド
13a〜13c 第3圧延スタンドの圧延ロール
15 第1圧延スタンドの圧延ハウジング
16 第1圧延スタンドが備える圧延ロールのカリバ
17 第2圧延スタンドの圧延ハウジング
18 第2圧延スタンドが備える圧延ロールのカリバ
19 第3圧延スタンドの圧延ハウジング
20 第3圧延スタンドが備える圧延ロールのカリバ
W 条鋼材
Claims (3)
- 条鋼材をその周方向三方から圧延するための3つの圧延ロールを有し、これら3つの圧延ロールにはロール外周面にカリバが設けられている圧延スタンドを3つ以上備えた仕上げ圧延装置により条鋼材を圧延する方法において、
前記仕上げ圧延装置内の最終段に配備された圧延スタンドの入側で、前記3つの圧延ロールと条鋼材との接触点が総数で3点より多い接触状態となるようにして、条鋼材の圧延を行うことを特徴とする条鋼圧延方法。 - 仕上げ圧延装置が第1圧延スタンド〜第3圧延スタンドを備える構成では、
条鋼材が3点より多い接触状態となるように、次式を満たしつつ条鋼材の圧延を行うことを特徴とする請求項1に記載の条鋼圧延方法。
R1/R3≧f(Ds)
ただし、R1:第1圧延スタンドに備えられた圧延ロールのカリバの曲率半径
R3:第3圧延スタンドに備えられた圧延ロールのカリバの曲率半径
Ds:第2圧延スタンドでの減面率 - 仕上げ圧延装置が第1圧延スタンド〜第3圧延スタンドを備える構成では、前記第3圧延スタンドにおいて、条鋼材が3つの圧延ロールに対して均等な6点接触状態となるように、次式を満たしつつ条鋼材の圧延を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の条鋼圧延方法。
R1/R3≧2000×Ds−385
R1/R3≧44×Ds+4.5
ただし、R1:第1圧延スタンドに備えられた圧延ロールのカリバの曲率半径
R3:第3圧延スタンドに備えられた圧延ロールのカリバの曲率半径
Ds:第2圧延スタンドでの減面率
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