JP2012239453A - きのこ栽培用培地資材の生産方法 - Google Patents

きのこ栽培用培地資材の生産方法 Download PDF

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Abstract

【課題】発酵技術を利用してきのこ廃培地の腐敗による悪臭防止などの処理コストをより低減させて安価に生産でき、且つ適切にきのこを育成できるきのこ栽培用培地資材の生産方法を提供すること。
【解決手段】前記きのこ廃培地で雑菌が繁殖する前に、好気性菌として作用する有用菌を雑菌の存在に比して大量に投入する有用菌の接種工程と、前記有用菌が投入された前記きのこ廃培地を堆積させて、初期の発酵が急速に進行する期間について、乾燥が進行できる大気開放環境下で発酵させる初期の発酵乾燥工程と、少なくとも前記初期の発酵乾燥工程を経て前記きのこ廃培地から生成された発酵資材に該発酵資材よりも乾燥度の高い有機乾燥材を投入して混合することで前記発酵資材の乾燥度を一気に高めてきのこ栽培用培地資材を得る乾燥材投入工程を有する。
【選択図】図1

Description

この発明は、きのこの人工栽培における使用済の菌床であるきのこ廃培地を原料とする資材が、一部に配合されているきのこ栽培用培地資材の生産方法に関する。
きのこを代表とする菌類を食することが様々な面で注目されており、人工栽培によるきのこの生産量は拡大を続けている。
一方、きのこを栽培するための培地に用いられる資材については、将来に渡っても適正な価格で安定的に供給されるか否かについては不確実な面がある。このため、資材のリサイクルなどの有効活用が望まれる。なお、上記の資材は基材と栄養資材に分類でき、基材としてはコーンコブ(とうもろこしの芯)の破砕物、オガ粉、籾殻などがあり、栄養資材としては米糠、フスマ、オカラ、貝殻の粉などがある。
また、地球温暖化を防止するため、二酸化炭素の排出を削減する有効な手段の一つとしても、バイオマス資源であるきのこ培地用の資材を有効に活用する必要がある。
これに対して、従来、茸の菌床栽培に使用した廃培地を撹拌しながら熱風乾燥して再生培地を得ることを特徴とする茸の菌床栽培の廃培地の再生方法が提案されている(特許文献1参照)。この方法は、きのこ廃培地をそのまま乾燥して基材として利用することを目的にするものである。また、加温してきのこ廃培地を乾燥させるものであり、化石燃料の燃焼などによる熱源を要し、強制乾燥を行うものである。
特開平06−7030号公報(第1頁)
きのこ栽培用培地資材の生産方法に関して解決しようとする問題点は、従来の考え方がきのこ廃培地を基材として再利用するものであり、強制的に乾燥することで腐敗を防止できるが、加温乾燥に頼るため処理コストが高くなって実用化できていないことにある
そこで本発明の目的は、発酵技術を利用してきのこ廃培地の腐敗による悪臭防止などの処理コストをより低減させて安価に生産でき、且つ適切にきのこを育成できるきのこ栽培用培地資材の生産方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明にかかるきのこ栽培用培地資材の生産方法の一形態によれば、きのこの人工菌床栽培において発生する使用済の菌床であるきのこ廃培地を再生して得られるきのこ栽培用培地資材の生産方法であって、前記きのこ廃培地で雑菌が繁殖する前に、好気性菌として作用する有用菌を雑菌の存在に比して大量に投入する有用菌の接種工程と、前記有用菌が投入された前記きのこ廃培地を堆積させて、初期の発酵が急速に進行する期間について、乾燥が進行できる大気開放環境下で発酵させる初期の発酵乾燥工程と、少なくとも前記初期の発酵乾燥工程を経て前記きのこ廃培地から生成された発酵資材に該発酵資材よりも乾燥度の高い有機乾燥材を投入して混合することで前記発酵資材の乾燥度を一気に高めてきのこ栽培用培地資材を得る乾燥材投入工程とを有する。
また、本発明にかかるきのこ栽培用培地資材の生産方法の一形態によれば、前記発酵資材と前記有機乾燥材とが混合された前記きのこ栽培用培地資材を、乾燥が進行できる大気開放環境下で撹拌して発酵乾燥の作用と合わせて乾燥度を高める後期の発酵乾燥工程を有することを特徴とすることができる。
また、本発明にかかるきのこ栽培用培地資材の生産方法の一形態によれば、前記きのこ栽培用培地資材が、所要の乾燥度になっている時点で乾燥の進行を止めて前記有用菌が前記有機乾燥材に発酵作用を及ぼすように包装した状態で保管することを特徴とすることができる。
また、本発明にかかるきのこ栽培用培地資材の生産方法の一形態によれば、前記有用菌が、食用菌である麹菌、酵母菌のうちの少なくとも一種を含むことを特徴とすることができる。
また、本発明にかかるきのこ栽培用培地資材の生産方法の一形態によれば、前記有機乾燥材がトウモロコシの芯を粉粒状に破砕したコーンコブミール及び/又は籾殻であることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかるきのこ栽培用の配合培地の一形態によれば、前記のきのこ栽培用培地資材の生産方法で得られたきのこ栽培用培地資材を配合したことを特徴とする。
本発明に係るきのこ栽培用培地資材の生産方法によれば、発酵技術を利用してきのこ廃培地の腐敗防止などの処理コストをより低減させて安価に生産でき、且つ適切にきのこを生育できるという特別有利な効果を奏する。
本発明に係る発酵資材を生産する製造装置の形態例を示す斜視図である。
以下、本発明に係るきのこ栽培培地の基本的な形態例を詳細に説明する。
本発明に係るきのこ栽培用培地は、きのこの人工栽培における使用済の菌床であるきのこ廃培地を有用菌によって発酵させて得られる発酵資材が、きのこ培地の栄養資材の一部としても配合されていることを特徴とする。
きのこ廃培地は、好適に発酵させることで、基材としてだけではなく、栄養資材として使用できる有用な資材に変化させることができる。つまり、きのこ廃培地を発酵して得られる発酵資材は、原料の状態のきのこ廃培地とは全く異なる資材になっている。すなわち、単純に加温によって乾燥させたものとは全く異なるものとなっている。
きのこ廃培地を発酵させる有用菌が、食用菌である麹菌、納豆菌、酵母菌、乳酸菌のうちの少なくとも一種を含むことで、好適に栄養分を生産できる。なお、有用菌としては、前述の食用菌に加えて放線菌を挙げることができる。
この有用菌によってきのこ廃培地が発酵された発酵資材としては、例えば、株式会社森羊土(長野県長野市合戦場1丁目88)において製造されているキノコーソ(登録商標)がある。このキノコーソを配合することにより、後述する実施例で説明するような優れたきのこの配合培地を得ることができた。
これに対して、腐敗菌によって侵された資材は、利用できない。つまり、アンモニア臭を発生させるような好気性菌では、好適な栄養分が生産されず、きのこを育成する培地の資材とはならない。なお、腐敗菌などの特定の菌は、きのこの生長を阻害する成分を生じる場合がある。
また、この有用菌は低温菌であり、低温発酵となるが、40〜60℃程度に発熱する。 このように、有用菌によって発酵熱が生じるため、発酵資材は、その有用菌の発酵自体とそれに伴う発酵熱を利用して自然乾燥によって乾燥される。なお、高温菌にあっては、蒸気による殺菌が十分になされず、きのこの生長を阻害する雑菌となる場合がある。
また、発酵資材が、少なくとも有用菌の繁殖が鈍化するまで含水率を低下させるように乾燥されているとよい。発酵資材の含水率が、45%以下であることで菌の繁殖力が低下し、雑菌も繁殖しない状態になる。その乾燥度は、湿気の偏りによる菌の繁殖を防ぐためには、全体として40%以下に乾燥させることがよく、さらに望ましくは35%以下にするとよい。また、乾燥度が高くなることで、配合の際の資材の混合作業や栽培瓶への詰め込み作業がより行い易くなる。
なお、水分率が高い場合でも、配合する割合が小さい場合などでは、他の配合資材の乾燥度が高ければ水分を吸収してくれるため、そのまま配合してもよい。
また、有用菌によって発酵された善玉発酵物は、高水分であっても、新規資材から構成される通常培地資材と混合した場合、その培地について変質による品質低下を起さない。これは、有用菌が優勢であって、雑菌の繁殖を抑え込むことができるためである。
きのこ培地の基材としてコーンコブの破砕物が使用されていると、有用菌によってより好適に発酵できる。本願の発明者(池田久和)が先に開発したコーンコブの破砕物などの草質材圧着物は、特開平10−28467号公報に記載されているように吸水性が良く、きのこの栽培や菌類の繁殖に極めて良好な特性を有する。なお、オガ粉を基材とする廃培地においても有用菌によって遜色のない発酵をさせることができる。
本発明に係る発酵資材(例えば、キノコーソ)は、事前の殺菌などの工程を行うことなく、他の資材と混合してきのこの配合培地を生産できる。つまり、この発酵資材は他の資材と何ら異なることなく、通常の混合方法によって配合することができる。なお、酸度(ph)についても、通常の方法で適宜調整するとよい。
このように配合されたきのこ栽培用の配合培地は、通常の方法で、栽培瓶や栽培袋に詰められ、蒸気による殺菌がなされた後、きのこの種菌が接種される。なお、有用菌は、低温菌であるため容易に殺菌できる。そして、その後の栽培方法も通常と同様に行われる。
ところで従来は、いくら有用菌によって発酵されたものであって最終的には殺菌されるものであっても、菌まみれになった資材をきのこの培地の材料として配合する発想はなかった。なお、通常、廃培地の発酵物は、自然に放置するとほとんどがアンモニア発酵になる。そのような発酵物の再利用は、収量の減収やきのこの品質低下を招く。このため、発酵物の再利用はできないことになっていた。
次に、本発明に係る発酵資材の特性について説明する。
本願の発明者は、きのこ廃培地を好適に発酵させることで栄養分が生成され、栄養資材の代替となる特性を見出した。この特性は、きのこの生育阻害物質として考えられているきのこ廃培地の成分である米糠などの栄養資材の残渣及び死滅したきのこ菌糸などが、発酵処理によってきのこの生育を促進させる栄養分に変換されているために生じるものと考えられる。
きのこ廃培地それ自体では、栄養分が失われている。このことは、その栄養分の計測によって明らかになっている。このため、従来は、きのこ廃培地を基材として再利用することのみが提案されていた。
これに対して、本発明は、きのこ菌糸の残渣や栄養資材の残渣が、発酵菌の餌になって栄養分を再生することに着目している。例えば、麹菌、納豆菌、酵母や乳酸菌を含む有用菌群は、糖、アミノ酸、たんぱく質や酵素を生成し、きのこの生長のための栄養分を作り出すことができる。栄養分析の結果では、発酵資材が使用前の培地と同程度の栄養分を有することが明らかになっている。
なお、きのこ廃培地中に含まれるコーンコブの粉砕物などの基材は、生分解がより進行するため、より細分化して基材としての効果は小さくなる。つまり、メッシュサイズが小さくなり、保形性が低下し、基材としての役目は相対的に小さくなるが、もちろん基材としての役目も果たしている。
発酵資材の製造方法は、本願の発明者(池田久和)によって、特開2006−116529号公報、特開2009−62531号公報及び特開2009−178712号公報などに記載された内容が先に提案されている。その発酵資材を生産する製造装置の一例を図1に示す。1はビニールハウス、2は床板部、3はロータリー型のかき混ぜ装置、3aは閉ループ状の軌跡、4は中空、5はきのこ廃培地である。この製造装置によれば、好気発酵の環境で発酵させることができ、良質な発酵資材を生産できる。
これらの発酵資材の製造方法は、有用菌によって急速に発酵・乾燥することで雑菌を寄せ付けない発酵方法になっている。栽培瓶より廃培地を掻き出した直後で少なくも雑菌の増殖が始まる前に雑菌の存在に比して大量の有用菌を投入することで良好な発酵をさせることができる。また、この製造方法は、発酵熱を利用した乾燥であり、加温しない大気中での自然乾燥を基本としている。従って、冬でも好適に発酵できる。但し、加温することで、発酵を促進させることができるのは勿論である。また、発酵後に加温乾燥をすることは、乾燥度を促進する上で効果的である。いずれにしても、発酵自体の作用と発酵熱を利用する乾燥方法となるため、その乾燥処理コストが低く、発酵資材を安価に提供できる。
この発明に係るきのこ栽培用の配合培地を用いたきのこの栽培方法は、通常の栽培方法と同様に行うことができる。すなわち、この発明に係るきのこ栽培用の配合培地を瓶詰めや袋詰め後、高圧蒸気等によって加熱殺菌する。
また、本発明に係る発酵資材についても、通常の資材と同様に配合して使用すればよく、事前の殺菌や、過熱蒸気などによる洗浄やメッシュサイズを揃えるための篩い分けを行わなくてもよい。
本発明によれば、基材となるコーンコブやオガ粉などの廃培地を、比較的に高価な栄養資材であるオカラ、米糠、フスマなどの代用とすることが可能になる。従って、高価な栄養資材の削減を可能とし、低コスト化を図ることが可能になる。
また、新規資材の使用量を低減でき、資源の枯渇を予防できる。そして、安価にリサイクルができるため、きのこ栽培用の配合培地のコストを低減できると共に、その培地の供給を安定化できる。従って、きのこの栽培について、コストを低減できると共に、その安定的な生産に寄与できる。
次に、以上の基本構成に加えて、きのこの人工菌床栽培において発生する使用済の菌床であるきのこ廃培地を再生して得られるきのこ栽培用培地資材及びその生産方法の発展例について詳細に説明する。これによれば、発酵によってより好適な発酵資材を提供できると共に、乾燥時間を短縮してより生産性を向上できる。
この生産方法によれば、先ず、前記きのこ廃培地で雑菌が繁殖する前に、好気性菌として作用する有用菌を雑菌の存在に比して大量に投入する有用菌の接種工程を有する。この有用菌は単独の菌であっても、複合菌であってもよい。例えば、この有用菌が、食用菌である麹菌、酵母菌のうちの少なくとも一種を含む複合菌であるとよい。麹菌は糖分を生成し、酵母菌はアミノ酸や酵素などのたんぱく質を生成することから、きのこ栽培のための好適な栄養分を生じさせることができる。有用菌の接種工程は、きのこ廃培地の掻き出し工程と同時又は実質的に同時に行うと、雑菌の入り込むチャンスが少なく効果的である。
また、この生産方法によれば、前記有用菌が投入された前記きのこ廃培地を堆積させて、初期の発酵が急速に進行する期間について、乾燥が進行できる大気開放環境下で発酵させる初期の発酵乾燥工程を有する。
例えば、初期の発酵期間は2〜3日程度であればよく、量的に圧倒する有用菌によって雑菌が駆逐され、その有用菌によってきのこ廃培地を占拠できる。なお、きのこ培地は粉粒状の資材によって構成されており、廃培地は菌糸が蔓延して緩やかな塊となっているが、栽培瓶や栽培袋から掻き出し撹拌することで簡単にほぐれ、粉粒状化する。従って、連続する掻き出し作業に応じて連続的に有用菌を投入することで均一に接種でき、発酵を急速に進行させ、有用菌によって一気にきのこ廃培地を占拠できる。
そして、この生産方法によれば、少なくとも前記初期の発酵乾燥工程を経て前記きのこ廃培地から生成された発酵資材に該発酵資材よりも乾燥度の高い有機乾燥材を投入して混合することで前記発酵資材の乾燥度を一気に高めてきのこ栽培用培地資材を得る乾燥材投入工程を有する。
きのこ栽培用培地資材の全体として、例えば水分率を40%以下に低下することで、発酵の進行を急激に抑制できる。従って、不必要で余分な発酵を抑制でき、栄養素が好適に生成されたきのこ栽培用培地資材を得ることができる。これにより、このきのこ栽培用培地資材を、きのこ栽培用の配合培地の資材として用いれば、きのこの収穫量を増大させ、品質のよいきのこを栽培できる。
前記有機乾燥材としては、例えば、トウモロコシの芯を粉粒状に破砕したコーンコブミール及び/又は籾殻であればよい。これらは、乾燥した状態での入手性に富む材料であり、安価に提供できる。
なお、この有機乾燥材としては、乾燥度が高いものであればよく、例えば、オガ屑が利用できるのは勿論であり、他の草質或いは木質の粉状或いは粒状の有機材料を利用できる。
さらに、前記発酵資材と前記有機乾燥材とが混合された前記きのこ栽培用培地資材を、乾燥が進行できる大気開放環境下で撹拌して発酵乾燥の作用と合わせて乾燥度を高める後期の発酵乾燥工程を有することができる。これによって、きのこ栽培用培地資材の乾燥度を好適に調整できる。
また、これによれば、有用菌が、有機乾燥材と馴染んでその有機乾燥材をも占有できる状態となり、雑菌の侵入を防止して駆逐する除菌効果がある。さらに、その有用菌の発酵によって有用成分を生成できるため、きのこ栽培用培地資材としての価値を高めることができる。
前記きのこ栽培用培地資材が、所要の乾燥度になっている時点で乾燥の進行を止めて前記有用菌が前記有機乾燥材に発酵作用を及ぼすように包装した状態で保管する。
これによれば、不必要で余分な乾燥を抑制でき、栄養素がより好適に留まったきのこ栽培用培地資材を得ることができる。また、乾燥が過度に進行して培地としての吸水性が低下することを防止できる。さらに、発酵条件を所定の状態に維持でき、より優れた乾燥有機資材を生成することも可能になる。
本発明によれば、有用菌の投入が、きのこ廃培地に対する防腐処理として作用する。従って、次の利用工程まで、比較的長期間に渡って有用な有機資材として適切に保存できる。これによれば、本発明にかかるきのこ栽培用培地資材が、適切に流通できることになり、その付加価値を高めることができる。また、このきのこ栽培用培地資材は、有用な有機資材として利用でき、きのこ栽培用に限らず、他の発酵資材としても利用できる。
なお、この有用菌の投入量は、処理がなされるきのこ廃培地の量に対して多いほど安定的な防腐発酵が期待できるが、より均一に混合することで、その量を低減できる。例えば、処理がなされるきのこ廃培地の量の数%程度(種菌の培地を含む量)の混合比でもよい。また、この有用菌とは、株式会社森羊土(長野県長野市合戦場1丁目88)において製造されているキノコーソ(登録商標)の種菌に相当するものを利用すればよい。
えのき茸の配合培地について、本発明にかかる試験区(1)と、新規資材による培地のみで構成された対照区(2)とについて比較試験を行った。培地組成は、口径58mmの850cc栽培瓶の1本当たり、試験区と対照区について以下のように設定した。なお、発酵資材としては、株式会社森羊土(長野県長野市合戦場1丁目88)において製造されているキノコーソ(登録商標)を使用した。
試験区(1)では、新規資材による培地154gに発酵資材66g(30%)を配合したものを試験培地とし、対照区(2)では、新規資材による培地のみで220gの対照培地とした。試験結果は下記の表1の通りである。
Figure 2012239453
以上の試験では、試験培地の栽培瓶への詰め込みは、振動数の調整で対照培地と同等に詰め込むことができた。菌廻りは同等であった。培地収縮はいずれもなかった。原基形成は試験区で芽数が多目となった。生育日数は菌掻き日より30日と同等であった。収量は試験区の方が5%以上の増収となった。品質は試験区で、傘の大きさ、側子の伸び、水切れは同等以上で、特に傘の巻き込みは強く、株の硬さは良かった。発酵資材の培地への配合使用では、品質、収量共に対照培地よりも優れた結果となった。
次に、有機乾燥材を投入して発酵資材の乾燥度を一気に高めて得たきのこ栽培用培地資材を配合したきのこ配合培地の実施例について説明する。
えのき茸の配合培地について、本発明にかかる実験区(A)、(B)と、新規資材による培地のみで構成された対照区(C)とについて比較試験を行った。培地組成は、口径58mmの850cc栽培瓶の1本当たり、試験区と対照区について以下のように設定した。
水分45%まで発酵乾燥させたえのき茸の廃培地:50g/本に、水分12%の新しいコーンコブミール(株式会社森羊土製):20g/本を混合し、株式会社フクダ農林(上水内郡飯綱町大字普光寺67−1)製のきのこ配合培地:150g/本と配合し、実験区(A)としてえのき茸を栽培した。また、その実験区(A)と同じく水分45%まで発酵乾燥させたえのき茸の廃培地:50g/本に、水分12%の籾殻を20g/本を混合し、株式会社フクダ農林製のきのこ配合培地:150g/本と配合し、実験区(B)としてえのき茸を栽培した。対照区(C)は、新規資材のみによる株式会社フクダ農林製の水分20%のきのこ配合培地:220gのみによる構成とした。試験結果は下記の表2の通りである。
Figure 2012239453
初期水分率が55%のきのこ廃培地を出発原料として水分率が30%のきのこ栽培用培地資材を得る工程の実施例について説明する。
先ず、有用菌を投入して初期の発酵乾燥工程で発酵乾燥処理を3日間行い、これによって水分率が51%まで低減した。
次に、その初期の発酵乾燥工程で生成された発酵資材:2に対して水分率12%の有機乾燥材であるコーンコブミール:1を混合することで、きのこ栽培用培地資材の水分率が一気に38%まで低減した。これにより、不要な発酵の進行を抑制することができた。
さらに、図1に示す製造装置によって乾燥処理を4日間行うことで、水分率が30%のきのこ栽培用培地資材を得ることができた。
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
1 ビニールハウス
2 床板部
3 ロータリー型のかき混ぜ装置
3a 閉ループ状の軌跡
4 中空
5 きのこ廃培地

Claims (6)

  1. きのこの人工菌床栽培において発生する使用済の菌床であるきのこ廃培地を再生して得られるきのこ栽培用培地資材の生産方法であって、
    前記きのこ廃培地で雑菌が繁殖する前に、好気性菌として作用する有用菌を雑菌の存在に比して大量に投入する有用菌の接種工程と、
    前記有用菌が投入された前記きのこ廃培地を堆積させて、初期の発酵が急速に進行する期間について、乾燥が進行できる大気開放環境下で発酵させる初期の発酵乾燥工程と、
    少なくとも前記初期の発酵乾燥工程を経て前記きのこ廃培地から生成された発酵資材に該発酵資材よりも乾燥度の高い有機乾燥材を投入して混合することで前記発酵資材の乾燥度を一気に高めてきのこ栽培用培地資材を得る乾燥材投入工程とを有することを特徴とするきのこ栽培用培地資材の生産方法。
  2. 前記発酵資材と前記有機乾燥材とが混合された前記きのこ栽培用培地資材を、乾燥が進行できる大気開放環境下で撹拌して発酵乾燥の作用と合わせて乾燥度を高める後期の発酵乾燥工程を有することを特徴とする請求項1記載のきのこ栽培用培地資材の生産方法。
  3. 前記きのこ栽培用培地資材が、所要の乾燥度になっている時点で乾燥の進行を止めて前記有用菌が前記有機乾燥材に発酵作用を及ぼすように包装した状態で保管することを特徴とする請求項1又は2記載のきのこ栽培用培地資材の生産方法。
  4. 前記有用菌が、食用菌である麹菌、酵母菌のうちの少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のきのこ栽培用培地資材の生産方法。
  5. 前記有機乾燥材がトウモロコシの芯を粉粒状に破砕したコーンコブミール及び/又は籾殻であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のきのこ栽培用培地資材の生産方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のきのこ栽培用培地資材の生産方法で得られたきのこ栽培用培地資材を配合したことを特徴とするきのこ栽培用の配合培地。
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