JP2012238540A - 有機発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明基板として透明高分子フィルムを用いる場合において、透明高分子フィルム上の透明導電層が透明性および低抵抗性に優れるとともに、透明高分子フィルム上の透明導電層を密着させる密着層の透明性を確保しつつ透明導電層の密着性を向上させることが可能な有機発光素子を提供する。
【解決手段】透明高分子フィルム18の一方面上に透明導電層22を有する透明導電性積層体12を透明電極として用いた有機発光素子において、透明高分子フィルム18と透明導電層22との間には、非晶質のチタン酸化物よりなる密着層20が透明高分子フィルム18および透明導電層22の両方に接して設けられているとともに、透明導電層22が非晶質のインジウム亜鉛酸化物で構成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、有機発光素子に関するものである。
従来、各種産業機器の表示装置のユニットや画素に用いられている電界発光素子として有機エレクトロルミネッセンス素子(有機発光素子)が知られている。有機発光素子は、透明基板上に、透明導電層(透明陽極層)、有機発光層、陰極層がこの順に積層された基本構成を有する。有機発光素子は、陰極層から注入された電子と陽極層から注入された正孔とが有機発光層中で再結合することにより発光する。
有機発光素子の透明基板には、透明性に優れ、低抵抗であることなどから、ガラス基板が用いられている。一般に、ガラス基板は、割れやすいこと、重いこと、薄型化に限界があることなどから、近年では、有機発光素子の透明基板として透明高分子フィルムが用いられることがある。
ガラス基板と透明高分子フィルムとでは、材質が大きく異なることから、透明基板上に形成される透明導電層と透明基板との間の密着性が異なる。また、透明性や抵抗特性などの特性も異なる。このため、透明基板として透明高分子フィルムを用いる場合には、ガラス基板を用いる場合とは異なる、透明高分子フィルムに適した構成にする必要がある。
ガラス基板および透明導電層は無機材料であるのに対し、透明高分子フィルムは有機材料であることから、ガラス基板に比べて透明高分子フィルムは透明陽極層との密着性に劣る傾向がある。
このため、例えば特許文献1では、透明高分子基体と透明導電層との間に、その密着性を増強し耐屈曲性を改善するための層を積層させる提案がなされている。この耐屈曲性を改善するための層には、チタン等の金属あるいはその酸化物、窒化物などが用いられている。この層の厚みは、透明性が損なわれないように10nm以下とされている。また、透明導電層には、インジウムスズ酸化物が用いられている。
特開平09−24574号公報
透明基板として透明高分子フィルムを用いる場合には、これらの間に介在させる密着層の膜厚を大きくすることにより透明導電層と透明基板との間の密着性を高くすることができる。一方、密着層の膜厚を大きくすると透明性が低下する。また、透明導電層の膜厚を大きくすることにより抵抗を低くすることができる。一方、透明導電層の膜厚を大きくすると透明性が低下する。このため、透明基板として透明高分子フィルムを用いる場合には、透明高分子フィルムと透明導電層との間の密着性と透明性との両立が難しかった。また、低抵抗特性と透明性との両立も難しかった。
特許文献1の密着層の構成では、透明性を確保するため、密着層の厚みが薄く、透明高分子フィルムと透明導電層との間の密着性に改良の余地がある。また、特許文献1の透明導電層の構成では、電気抵抗が高く、抵抗特性に改良の余地がある。
本発明が解決しようとする課題は、透明基板として透明高分子フィルムを用いる場合において、透明高分子フィルム上の透明導電層が透明性および低抵抗性に優れるとともに、透明高分子フィルム上の透明導電層を密着させる密着層の透明性を確保しつつ透明導電層の密着性を向上させることが可能な有機発光素子を提供することにある。
本発明者らが鋭意検討した結果、同じチタン酸化物であっても、結晶性のチタン酸化物より非晶質のチタン酸化物のほうが、膜厚を厚くしたときの透明性に優れるという知見を得た。そして、この知見を基に本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る有機発光素子は、透明高分子フィルムの一方面上に透明導電層を有する透明導電性積層体を透明電極として用いた有機発光素子であって、前記透明高分子フィルムと透明導電層との間には、非晶質のチタン酸化物よりなる密着層が透明高分子フィルムおよび透明導電層の両方に接して設けられているとともに、前記透明導電層が非晶質のインジウム亜鉛酸化物で構成されていることを要旨とするものである。
また、本発明に係る他の有機発光素子は、透明高分子フィルムの一方面上に透明導電層を有する透明導電性積層体を透明電極として用いた有機発光素子であって、前記透明高分子フィルムの一方面または両面には、有機高分子材料よりなる表面平滑層が設けられており、前記透明高分子フィルムの一方面に設けられた表面平滑層と前記透明導電層との間には、非晶質のチタン酸化物よりなる密着層が表面平滑層および透明導電層の両方に接して設けられているとともに、前記透明導電層が非晶質のインジウム亜鉛酸化物で構成されていることを要旨とするものである。
本発明に係る有機発光素子においては、密着層の厚みが11〜25nmの範囲内であることが好ましい。また、表面平滑層の有機高分子材料がアクリル系樹脂およびエポキシ系樹脂から選択される1種または2種以上の樹脂であることが好ましい。また、透明高分子フィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。
本発明に係る有機発光素子によれば、透明高分子フィルムと透明導電層との間、あるいは、透明高分子フィルム上の表面平滑層と透明導電層との間を密着させる密着層の材料に非晶質のチタン酸化物を用いたことで、密着層について透明性を確保しつつ従来よりも厚みを厚くすることができる。これにより、従来よりも高いレベルで、密着層の透明性を確保しつつ密着層による透明導電層の密着性を向上させることができる。
この際、密着層に非晶質のチタン酸化物を用いることに着目し、透明導電層についても非晶質のインジウム亜鉛酸化物を用いたことで、密着層と透明導電層との間の密着性が高まるため、密着層による透明導電層の密着性はさらに向上する。この非晶質のインジウム亜鉛酸化物は結晶化しにくい材料であるため、密着層と透明導電層との間の高い密着性は維持される。また、透明導電層に非晶質のインジウム亜鉛酸化物を用いたことで、透明導電層は透明性および低抵抗性に優れる。
透明高分子フィルム上に表面平滑層が設けられた構成の場合には、透明高分子フィルムの表面平滑性が向上するため、透明高分子フィルム上に形成された透明導電層の表面平滑性も優れる。透明導電層の表面平滑性は有機発光素子の外観特性に大きく影響し、この場合には透明導電層の表面平滑性に優れるため、有機発光素子の外観も優れる。
透明高分子フィルム上に表面平滑層が設けられた構成の場合、表面平滑化により、投錨効果などの物理的な密着力が得られないため、表面平滑層上に形成される透明導電層の密着性は低くなる傾向にある。このような場合でも、本発明に係る有機発光素子によれば、従来よりも高いレベルで、密着層の透明性を確保しつつ密着層による透明導電層の密着性を向上させることができる。
そして、従来は、密着層の厚みを10nm以下に設定しないと密着層の透明性を確保できなかったが、本発明に係る有機発光素子によれば、密着層の厚みを11〜25nmの範囲内に設定しても密着層の透明性を確保することができる。このように、従来よりも密着層の厚みを厚くすることで、密着層による透明導電層の密着性が向上する。
本発明の一実施形態に係る有機発光素子の断面図である。 図1に示す有機発光素子の透明導電性積層体の構成を拡大して示した断面図である。 図1に示す有機発光素子の透明導電性積層体の他の構成を拡大して示した断面図である。 実施例1の密着層の表面を観察した観察写真である。 比較例1の密着層の表面を観察した観察写真である。
以下に、本発明に係る有機発光素子の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る有機発光素子の断面図である。図2は、図1に示す有機発光素子の透明導電性積層体の構成を拡大して示した断面図である。図3は、図1に示す有機発光素子の透明導電性積層体の他の構成を拡大して示した断面図である。
図1に示すように、有機発光素子10は、透明電極(陽極)となる透明導電性積層体12と、透明導電性積層体12の上に形成された有機発光層14と、有機発光層14の上に形成された陰極層16と、を備えている。有機発光素子10は、このような基本構成に加えて、透明導電性積層体12と有機発光層14との間に、正孔輸送性を有する有機材料を含む正孔輸送層を備えていても良いし、有機発光層14と陰極層16との間に、電子輸送性を有する有機材料を含む電子輸送層を備えていても良い。有機発光素子10は、陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔とが有機発光層14中で再結合することにより発光する。
図2に示すように、透明電極(陽極)となる透明導電性積層体12は、基材となる透明高分子フィルム18と、透明高分子フィルム18の上に形成された密着層20と、密着層20の上に形成された透明導電層22(陽極層)と、を備えている。
基材となる透明高分子フィルム18は、可視光に対して十分な光透過性を有する透明高分子材料により形成されている。このような透明高分子材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリアリレート、シクロオレフィンポリマーなどを挙げることができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。これらのうちでは、吸水しにくいなどの観点から、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどが好ましい。
透明高分子フィルム18に求められる可視光透過性は、可視光透過率(500〜600nmの領域における全光線透過率)で80%以上であることが好ましい。より好ましくは85%以上である。透明高分子フィルム18の厚みは、適宜定めることができるが、3〜1000μmの範囲内であれば良い。好ましくは10〜500μmの範囲内、より好ましくは10〜300μmの範囲内である。
密着層20は、透明高分子フィルム18と透明導電層22との密着性が低いため、これらの間の密着性を高めるためのものである。密着層20は、透明高分子フィルム18および透明導電層22の両方に接して(密着させて)設けられている。密着層20には、非晶質のチタン酸化物が用いられる。従来でも、これらの間の密着性を高めるため、密着層20として結晶性のチタン酸化物が用いられることがあったが、従来の構成では、透明性を確保する理由で密着層の厚みを10nm超にすることができなかった。このため、これらの間の密着性には改良の余地があった。本発明においては、密着層20に非晶質のチタン酸化物を用いているため、結晶性のチタン酸化物を用いた場合と比べて膜厚を厚くしたときの透明性に優れる。すなわち、従来よりも密着層20の膜厚を厚くして密着性と透明性とを高度に両立することができる。ここで、非晶質とは、結晶化した部分を含んでいない状態のものをいう。
透明高分子フィルム18と透明導電層22との間の密着性が十分でない場合、透明導電層22の形成時に、透明導電層22の一部に浮き(密着していない部分)が発生し、表面にぼやけた部分が観察される。いわゆるホワイトスポットが発生し、これが外観不具合の原因となる。ホワイトスポットは、経時的にも発生、成長する。このホワイトスポットにより、発光面内の輝度ムラ、輝度低下、電圧上昇、電流上昇などの不具合が生じる。これにより、有機発光素子10の寿命が低下する。
ホワイトスポットは、密着層20による透明導電層22の密着性に影響を受けるが、透明高分子フィルム18の表面の凹凸や密着層20の結晶化なども透明導電層22の剥がれの原因となるため、ホワイトスポットに影響を与えやすい。透明高分子フィルム18の表面の凹凸が大きいと、密着層20の成膜ムラなどによりホワイトスポットが発生しやすくなる。また、密着層20が結晶化することによりホワイトスポットが発生しやすくなる。
本発明においては、密着層20に非晶質のチタン酸化物を用いたことにより、高い透明性が得られるとともに、いわゆるホワイトスポットが発生しない密着性が得られる。
密着層20の厚みとしては、透明高分子フィルム18と透明導電層22との間の優れた密着性が得られるなどの観点から、10nm超であることが好ましい。より好ましくは11nm以上、さらに好ましくは15nm以上である。一方、密着層20の透明性を確保するなどの観点から、30nm以下であることが好ましい。より好ましくは25nm以下、さらに好ましくは23nm以下である。
透明導電層22には、非晶質のインジウム亜鉛酸化物(IZO)が用いられる。インジウム亜鉛酸化物は、結晶化するためのエネルギーが高いため、熱が加わった場合にも結晶化しにくい性質を持つ。このため、非晶質の状態が維持される。これに対し、インジウムスズ酸化物(ITO)は、結晶化しやすい性質を持つ。例えば無加熱の状態でも結晶化する。
密着層20には非晶質のチタン酸化物が用いられていることから、透明導電層22に非晶質のインジウム亜鉛酸化物を用いたことで、密着層20と透明導電層22との間の密着性が高まる。例えばインジウムスズ酸化物などの結晶材料と比べて、密着層20と透明導電層22との間の密着性に優れる。また、非晶質のインジウム亜鉛酸化物は結晶化しにくい材料であるため、密着層20と透明導電層22との間の高い密着性は維持される。さらに、非晶質のインジウム亜鉛酸化物は結晶性のインジウムスズ酸化物と比べて膜厚を厚くしたときの透明性に優れる。つまり、透明導電層22に非晶質のインジウム亜鉛酸化物を用いたことで、インジウムスズ酸化物を用いる場合と比べて透明導電層22の膜厚を厚くすることができるため、透明性と低抵抗性とを高度に両立することができる。
透明導電層22の厚みとしては、優れた低抵抗性を確保することができるなどの観点から、90nm以上であることが好ましい。より好ましくは100nm以上、さらに好ましくは120nm以上である。一方、優れた透明性を確保するなどの観点から、200nm以下であることが好ましい。より好ましくは170nm以下、さらに好ましくは150nm以下である。なお、透明導電層22の抵抗としては、45Ω/sq.以下であることが好ましい。より好ましくは30Ω/sq.以下である。
ここで、透明導電性積層体12においては、透明高分子フィルム18の一方面または両面に、有機高分子材料よりなる表面平滑層が設けられていても良い。図3に示す透明導電性積層体12は、透明高分子フィルム18の両面に表面平滑層24が設けられている構成である。
透明高分子フィルム18は、製造時に延伸などが行われているため、表面が適度に荒れている(表面に凹凸がある)。また、例えば巻き取りやすくするなど、取り扱い性の面で表面を粗くすることもある。このため、透明高分子フィルム18を基材に用いると、透明高分子フィルム18の上に形成される透明導電層22の表面にも粗さが生じる。透明導電層22の表面平滑性は、有機発光素子10の外観に影響を与える。透明導電層22の表面平滑性が悪いと、透明導電層22の成膜ムラや浮き、剥がれ、割れなどの原因となり、電流の印加時に電流が供給されない部分が生じるか、あるいは、電流が供給されても発光に寄与しない部分が生じることにより、有機発光素子10に非発光部の欠陥が生じる。いわゆるダークスポットが発生し、これにより、有機発光素子10の外観が悪化する。ダークスポットは、経時的にも発生、成長する。表面平滑層24は、透明高分子フィルム18の表面を平滑にして、基材表面の凹凸による透明導電層22の成膜ムラや浮き、剥がれ、割れなどの欠陥が生じないようにし、このようなダークスポットの発生をより抑えることができる。
ダークスポットは、有機発光素子10を発光させた状態で、表面の所定の領域(例えば2700×3600μmの範囲)における拡大写真を撮影し、これをモノクロ化(二値化)して、ダークスポット部分の比率を算出することにより定量化することができる。
表面平滑層24を設けると、透明高分子フィルム18の表面が平滑にされることから、透明高分子フィルム18の表面においては、投錨効果などの物理的な密着力が得られにくくなる。このため、表面平滑層24を設けると、その上に形成する層との密着力が低下する傾向にある。このような場合でも、従来よりも高いレベルで、密着層20の透明性を確保しつつ密着層20による透明導電層22の密着性を向上させることができる。
表面平滑層24には、透明性を有し、透明高分子フィルム18よりも硬い、適度な硬度を有する有機高分子材料を好適に用いることができる。このような材料によれば、表面平滑層24は、透明高分子フィルム18のハードコート層として、透明高分子フィルム18の表面に傷が生じるのを防止する機能も備えることができる。このような材料としては、紫外線硬化材料や熱硬化性樹脂などを挙げることができる。より具体的には、アクリル系樹脂、シラン系樹脂、エポキシ系樹脂などを挙げることができる。より好ましくは、耐傷性に優れるなどの観点から、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂である。
表面平滑層24の厚みとしては、透明高分子フィルム18の表面の平滑性を十分に確保するなどの観点から、1μm以上であることが好ましい。より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上である。一方、フィルムの柔軟性を確保できるなどの観点から、15μm以下であることが好ましい。より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは8μm以下である。
このような構成の透明導電性積層体12の可視光透過率は、500〜600nmの領域における全光線透過率で80%以上であることが好ましい。より好ましくは85%以上である。透明導電性積層体12の可視光透過率は、JIS K 7105、JIS K 7361に準拠して分光光度計を用いて測定することができる。また、透明導電性積層体12のシート抵抗は、45Ω/□以下であることが好ましい。より好ましくは30Ω/□以下である。透明導電性積層体12のシート抵抗は、4端子法により測定することができる。
図2に示す構成の透明導電性積層体12は、例えば、透明高分子フィルム18の上に密着層20を形成し、密着層20の上に透明導電層22を形成することにより製造することができる。また、図3に示す構成の透明導電性積層体12は、例えば、透明高分子フィルム18の上に表面平滑層24を形成し、表面平滑層24の上に密着層20を形成し、密着層20の上に透明導電層22を形成することにより製造することができる。
表面平滑層24は、材料となる有機高分子材料を有機溶媒に希釈して塗料とし、スピンコート法、キャスト法、LB法、印刷法などの各種塗工方法により透明高分子フィルム18の上に塗膜を形成し、これを紫外線硬化あるいは熱硬化させることにより形成することができる。
密着層20は、スパッタ法により形成することができる。スパッタ法によりチタン酸化物薄膜を形成する場合、通常は、密着性の向上などの目的で、スパッタを行う前に基材を100℃程度の温度に予め加熱する。このように前処理を行うと、結晶化したチタン酸化物の薄膜が得られる。これに対し、本発明においては、スパッタを行う前に透明高分子フィルム18を予め加熱しないようにする。こうすることで、非晶質のチタン酸化物の薄膜が得られる。スパッタ法において、ターゲットにはTiOを用い、スパッタガスにはアルゴンを用い、圧力0.1〜1Paの条件にすることができる。
基材として透明高分子フィルム18を用いた場合、成膜時に基材を加熱すると、フィルムからアウトガスが発生する。基材がガラスである場合にはこのようなアウトガスの発生はないため、この点はガラス基材とは大きく異なる。基材からアウトガスが発生すると、表面凹凸や剥がれを拡大させる。本発明においては、基材を加熱しないため、フィルムからのアウトガスの発生を抑えるという利点もある。
透明導電層22は、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法などの物理的気相成長法により形成することができる。スパッタ法においては、ターゲットに亜鉛を含有した酸化インジウムを用い、スパッタガスにはアルゴンガスなどの不活性ガスを用い、スパッタガス圧力0.1〜1Pa、基材温度40〜200℃の条件にすることができる。また、透明導電層22の透明性や導電性を高くするために、スパッタガス中に酸素ガスを混入することもできる。
有機発光素子10において、有機発光層14には有機発光材料が含まれる。有機発光層14には、有機発光材料に加えて、電荷輸送性(正孔輸送性、電子輸送性、両性輸送性)を有する有機材料(ホスト材料)が含まれていても良い。有機発光層14は、有機発光材料から形成するか、電荷輸送性(正孔輸送性、電子輸送性、または、両性輸送性)を示す有機材料(ホスト材料)に少量の有機発光材料(ドーパント材料)を添加した材料より形成することができる。発光層に用いる有機発光材料の選択により、発光色を設定することができる。発光層の厚みは、実用的な発光輝度を得るために、200nm以下が好ましい。
有機発光層14を有機発光材料から形成する場合、有機発光材料としては、成膜性に優れ、膜の安定性に優れた材料が用いられる。このような有機発光材料としては、具体的には、例えば、Alq(トリス−(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム)に代表される金属錯体、ポリフェニレンビニレン(PPV)誘導体、ポリフルオレン誘導体などが挙げられる。この際、発光色を調節するために、蛍光色素などの単独では安定な薄膜を形成し難い有機発光材料を少量添加することもできる。蛍光色素としては、クマリン、DCM誘導体、キナクリドン、ペリレン、ルブレンなどを挙げることができる。
有機発光層14をホスト材料とともに有機発光材料で形成する場合にも、有機発光材料としては、上述する有機発光材料を用いることができる。この場合、有機発光層14における有機発光材料の量が相対的に少なくなることから、蛍光色素などを用いること好ましい。蛍光色素には、上述する蛍光色素を用いることができる。ホスト材料としては、上記Alq 、TPD(トリフェニルジアミン)、電子輸送性のオキサジアゾール誘導体(PBD)、ポリカーボネート系共重合体、ポリビニルカルバゾールなどを挙げることができる。
有機発光層14の厚みは、実用的な発光輝度を得るなどの観点から、好ましくは1μm以下、より好ましくは500nm以下、さらに好ましくは300nm以下であると良い。一方、有機発光層14の厚みは、実用的な発光輝度を得るなどの観点から、好ましくは1nm以上、より好ましくは5nm以上、さらに好ましくは10nm以上であると良い。
有機発光素子10において、陰極層16は、電極材料となる高電気伝導性金属を含む材料により形成される。陰極層16は、高電気伝導性金属により形成されていても良いし、例えば共蒸着により高電気伝導性金属と電荷輸送材料とにより形成されていても良い。なお、陰極層16は、これらの高電気伝導性金属、電荷輸送材料以外に、製造上、不可避な不純物を含んでいても良い。
陰極層16が高電気伝導性金属と電荷輸送材料との共蒸着により形成される場合には、高電気伝導性金属と電荷輸送材料とが陰極層16の単一層内でそれぞれバルクの状態で存在するバルクヘテロ構造となる。この場合には、高電気伝導性金属の層と電荷輸送材料の層とを別々の層として形成する場合と比べて、高電気伝導性金属と電荷輸送材料との接触において接触抵抗が抑えられるという利点がある。
高電気伝導性金属は、体積抵抗率が3.0×10−6Ω・cm以下の金属である。具体的には、Al、Ag、Au、Cuなどを挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、2以上を組み合わせて用いても良い。これらのうちでは、電荷輸送材料との相性等の観点から、Al、Agが好ましい。
電荷輸送材料は、陰極層16の性能改善のため、電荷注入性(電子注入性あるいは正孔注入性)を向上させるなどの目的で添加される。
電子注入性を向上させる材料としては、アルカリ土類金属、アルカリ金属、フタロシアニン系有機化合物(有機化合物には有機金属錯体も含まれる。)を挙げることができる。電子注入材料として好適なアルカリ土類金属としては、Mg、Ca、Sr、Baなどを挙げることができる。電子注入材料として好適なアルカリ金属としては、Li、Na、K、Rb、Csなどを挙げることができる。電子注入材料として好適なフタロシアニン系有機化合物としては、フッ素化フタロシアニン、中心金属としてCuやZnなどの金属を有するフッ素化フタロシアニンなどを挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、2以上を組み合わせて用いても良い。これらのうちでは、取り扱い性に優れるなどの観点から、Mg、Ca、Sr、Baが好ましい。
正孔注入性を向上させる材料としては、Co酸化物、Cu酸化物、Mo酸化物、Ni酸化物、アミン系有機化合物、ヒドラゾン系有機化合物、スチルベン系有機化合物、スターバスト系有機化合物(これらの有機化合物には有機金属錯体も含まれる。)を挙げることができる。正孔注入材料として好適な金属酸化物としては、Co、CuO、MoO(xは整数)、NiO(xは整数)などを挙げることができる。正孔注入材料として好適な有機化合物としては、4,4’−ビス[N−ナフチル−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)、銅フタロシアニン(CuPc)などを挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、2以上を組み合わせて用いても良い。
高電気伝導性金属と電荷輸送材料の組み合わせのうち、相性等の理由から好ましい組み合わせとしては、Al−Ca、Al−Sr、Al−Ba、Ag−Mgを挙げることができる。より好ましい組み合わせはAl−Ca、Ag−Mgであり、特に好ましい組み合わせはAl−Caである。Alを有機発光素子10の陰極材料とし、Caを有機発光素子10の電子注入材料として機能させることで、発光特性に優れた有機発光素子10を得ることができる。
陰極層16の膜厚は、導電性などの観点から、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、さらに好ましくは500nm以下であると良い。一方、陰極層16の膜厚は、導電性の確保、均一な電子輸送性の確保などの観点から、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、さらに好ましくは50nm以上であると良い。
有機発光素子10において、正孔輸送層を形成する材料としては、テトラアリールベンジシン化合物、トリフェニレン誘導体、水溶性のPEDOT:PSS(ポリスチレンスルフォン酸ドープポリエチレンジオキシチオフェン)などを例示することができる。正孔輸送層の厚みは、20〜100nmが好ましい。
正孔輸送層には、その正孔移動度を改善するために、電子受容性アクセプタを添加することが好ましい。電子受容性アクセプタの例としては、ハロゲン化金属、ルイス酸、有機酸などが挙げられる。正孔輸送層にPEDOT:PSSを用いる場合は、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒に希釈し、スピンコート等で塗工し、加熱して乾燥することで形成することができる。
有機発光素子10において、電子輸送層を形成する材料としては、上記する電子注入性を向上させる材料を挙げることができる。
有機発光素子10は、例えば、透明導電性積層体12の透明導電層22の上に有機発光層14を形成し、有機発光層14の上に陰極層16を形成することにより製造することができる。また、例えば、透明導電性積層体12の透明導電層22の上に正孔輸送層を形成し、正孔輸送層の上に有機発光層14を形成し、有機発光層14の上に電子輸送層を形成し、電子輸送層の上に陰極層16を形成することにより製造することができる。陰極層16の上には、必要に応じて、陰極層16の表面に傷が生じるのを防止する保護層を形成することができる。
有機発光層14は、有機発光材料等を有機溶媒に希釈し、スピンコート等で塗工し、加熱して乾燥することで形成することができる。正孔輸送層は、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、印刷法などにより形成することができる。また、電子輸送層は、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、印刷法などにより形成することができる。陰極層16は、真空蒸着法などにより形成することができる。
保護層は、ハードコートなどの塗膜や蒸着膜に例示される膜状であっても良いし、貼り合わせなどにより形成されるフィルム状であっても良い。保護層の材料は、絶縁性を有する材料であれば良く、可視光に対する透明性があるものであっても良いし、可視光に対する透明性がないものであっても良い。具体的には、SUSなどの金属、ガラスなどのセラミック、樹脂などを挙げることができる。また、これら金属、セラミック、樹脂の積層体であっても良い。樹脂としては、透明高分子フィルム18において列挙したものと同様のものを挙げることができる。また、ハードコートとして好適な、アクリル系材料やシリコーン系材料などを挙げることができる。保護層の厚みは、通常、3〜1000μmであり、好ましくは、10〜500μm、より好ましくは、10〜300μmであると良い。
以下に、実施例によって本発明を説明する。
(実施例1)
<透明導電性積層体の作製>
ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、「ルミラーT60」、厚さ125μm)の一方面に、UV硬化性のハードコート剤(モメンティブパフォーマンスマテリアル社製、「SHC900」)をマイクログラビアコーティングにより塗工し、これをUV硬化させることにより、厚さ5μmの表面平滑層を形成した。
次に、表面平滑層を形成したPETフィルムを予め加熱しないで、ターゲットに酸化チタンを用い、スパッタガスにはアルゴンを用い、圧力0.5Paの条件下で、DCマグネトロンスパッタリング法により、厚さ20nmのチタン酸化物よりなる密着層を形成した。走査電子顕微鏡(日立社製「S−3400N」)を用いてこの密着層の表面観察を行った結果、結晶化した部分が全く観察されず、非晶質のチタン酸化物であることを確認した。その観察写真を図4に示す。
次に、この密着層の上に、ターゲットにIZOを用い、スパッタガスにアルゴンガスを用い、反応性ガスに酸素ガスを用い、流量比アルゴン:酸素=10:1で圧力0.2Paの条件下で、DCマグネトロン反応性スパッタリング法により、厚さ150nmのインジウム亜鉛酸化物よりなる透明導電層を形成した。以上により、4層構成の透明導電性積層体を作製した。
<有機発光素子の作製>
作製した透明導電性積層体の透明導電層の表面を、純水、有機アルカリ洗浄液(メルフ社製:エフストラン)、純水、アセトン溶液、IPA溶液の順に各5分間、超音波洗浄を行った後、UVオゾン洗浄器で10分間処理した。次いで、洗浄した透明導電層の表面に、正孔輸送層形成用の塗工液〔PEDOT:PSS水溶液(ヘレウス社製)をエタノールで希釈したもの〕をスピンコートにより成膜し、130℃のホットプレートで30分間乾燥し、厚み60nmの正孔輸送層を形成した。
次いで、正孔輸送層の表面に、有機発光材料としてポリフルオレン系発光材料(ガラス転移温度:116℃、DSC法)を厚み80nmになるようにスピンコート法で塗布し、乾燥させ、有機発光層を形成した。なお、有機発光層の形成は、酸素濃度0.01ppm、水分濃度が露点で−88℃の窒素雰囲気のグローブボックス中で行った。
次いで、有機発光層の表面に、真空蒸着法により、AlとCaとを共蒸着し、膜厚200nmの陰極層を形成した。この際、成膜レートは、Al:0.2Å/s、Ca:2.0Å/s(成膜レート比 Al:Ca=1:10)、真空度は、2.0×10−4Paに設定した。陰極層の形成は、有機発光層の形成に引き続き、グローブボックス中で行った。
次いで、グローブボックス中で、作製した有機発光素子をガラス上に置き、素子の上からガラスキャップをし、周囲を紫外線硬化型接着剤を用いて封止することにより、実施例1に係る有機発光素子を得た。
(実施例2〜5)
密着層の膜厚を変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜5に係る透明導電性積層体および有機発光素子を得た。
(実施例6〜7)
透明導電層の膜厚を変更した以外は実施例1と同様にして、実施例6〜7に係る透明導電性積層体および有機発光素子を得た。
(実施例8)
密着層の膜厚と透明導電層の膜厚を変更した以外は実施例1と同様にして、実施例8に係る透明導電性積層体および有機発光素子を得た。
(実施例9)
ポリエチレンテレフタレートフィルムに代えて、ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポン社製、「Q65FA」、厚さ125μm)を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例9に係る透明導電性積層体および有機発光素子を得た。
(実施例10)
透明導電性積層体の作製において、PETフィルムの一方面に表面平滑層を形成しないで、PETフィルムの一方面に直接、密着層を形成した以外は実施例1と同様にして、実施例10に係る透明導電性積層体および有機発光素子を得た。
(実施例11〜12)
表面平滑層の材料をシラン系材料(モメンティブパフォーマンスマテリアル社製、「UVHC7000」)またはエポキシ系材料(大阪ガスケミカル社製、「オグソール」)に代え、これらの材料によるハードコート層とした以外は実施例1と同様にして、実施例11〜12に係る透明導電性積層体および有機発光素子を得た。
(比較例1)
密着層の形成において、表面平滑層を形成したPETフィルムを予め80〜100℃に加熱した状態で、ターゲットにTiOを用い、スパッタガスにはアルゴンを用い、圧力0.1Paの条件下で、DCマグネトロンスパッタリング法により、厚さ10nmのチタン酸化物よりなる密着層を形成した。この密着層の表面観察を行った結果、結晶化した部分が観察され、結晶化チタン酸化物であることを確認した。その観察写真を図5に示す。密着層について以上のように変更し、さらに、透明導電層の膜厚を変更した以外は実施例1と同様にして、比較例1に係る透明導電性積層体および有機発光素子を得た。
(比較例2〜3)
密着層の膜厚を変更した以外は比較例1と同様にして、比較例2〜3に係る透明導電性積層体および有機発光素子を得た。
(比較例4)
透明導電性積層体の作製において、PETフィルムの一方面に表面平滑層を形成しないで、PETフィルムの一方面に直接、膜厚10nmで酸化ケイ素薄膜よりなる密着層を形成した。なお、酸化ケイ素薄膜は、ターゲットにSiOを用い、スパッタガスにはアルゴンを用い、圧力0.1Paの条件下で、DCマグネトロンスパッタリング法により形成した。
また、透明導電性積層体の作製において、密着層の上に、ターゲットにIZOを用い、スパッタガスにアルゴンを用い、反応性ガスに酸素ガスを用い、流量比アルゴン:酸素=10:1で圧力0.1Paの条件下で、DCマグネトロン反応性スパッタリング法により、厚さ150nmのインジウムスズ酸化物よりなる透明導電層を形成した。これ以外は実施例1と同様にして、比較例4に係る透明導電性積層体および有機発光素子を得た。
(比較例5)
透明導電性積層体の作製において、実施例1と同様にしてPETフィルムの一方面に表面平滑層を形成した以外は比較例3と同様にして、比較例5に係る透明導電性積層体および有機発光素子を得た。
(比較例6)
密着層の膜厚を変更した。また、透明導電性積層体の作製において、密着層の上に、ターゲットにIZOを用い、スパッタガスにアルゴンを用い、反応性ガスに酸素ガスを用い、流量比アルゴン:酸素=10:1で圧力0.1Paの条件下で、DCマグネトロン反応性スパッタリング法により、厚さ100nmのインジウムスズ酸化物よりなる透明導電層を形成した。これ以外は実施例1と同様にして、比較例6に係る透明導電性積層体および有機発光素子を得た。
(参考例)
PETフィルムに代えて基材にガラス板(厚さ1000μm)を用い、表面平滑層および密着層を形成しないで、ガラス板の一方面に直接透明導電層を形成した以外は実施例1と同様にして、参考例に係る透明導電性積層体および有機発光素子を得た。
作製した各透明導電性積層体について、下記の測定方法にしたがって、シート抵抗、可視光透過率を測定した。また、透明導電層の密着性を評価する指標として、透明導電性積層体の透明導電層の表面にホワイトスポットが観測されるか否かについて調べた。さらに、作製した有機発光素子について、その表面にダークスポットが観測されるか否かについて調べた。その結果を表1、表2に示す。
<膜厚の測定方法>
透明導電層および密着層について、成膜速度(nm/min)と成膜時間(min)とから膜厚を算出した。
<シート抵抗>
作製した透明導電性積層体について、4端子法により測定した。この際、30Ω/□未満の場合を「◎」、30〜45Ω/□の場合を「○」、45Ω/□超の場合を「×」とした。
<可視光透過率>
作製した透明導電性積層体について、JIS K 7105、JIS K 7361に準拠して日立製分光光度計により測定した。この際、可視光透過率が85%以上の場合を「◎」、80%以上85%未満の場合を「○」、75%以上80%未満の場合を「△」、75%未満の場合を「×」とした。
<ホワイトスポット>
作製した透明導電性積層体の透明導電層の表面のSEM写真を撮影し、SEM写真から観察される表面の浮きによる凸部をホワイトスポットとした。この際、ホワイトスポットが観測されず、外観が良好であった場合を「◎」、ホワイトスポットは観測されたがそのサイズが数nm程度の場合を「○」、そのサイズが数nm〜数十nmの場合を「△」、そのサイズが数十nm〜数百nmあるいは数百nm以上の場合を「×」とした。
<ダークスポット>
作製した有機発光素子内での非発光部をダークスポットとした。ダークスポットは、有機発光素子を発光させた状態で、表面の2700×3600μmの範囲における拡大写真を、マイクロスコープ(キーエンス社製「VHX−200」)を用いて撮影し、これをモノクロ化(二値化)して、ダークスポット部分の比率を算出することにより定量化した。この際、表面に占めるダークスポットの面積割合が1%未満の場合を「◎」、1%以上〜3%未満の場合を「○」、3%以上〜5%未満の場合を「△」、5%以上の場合を「×」とした。
比較例1〜3によれば、密着層の材料が結晶化したチタン酸化物であるときには、密着層の膜厚が薄いとホワイトスポットが観測され、密着性が不十分であり、密着層の膜厚が厚いと透明性が不十分となり、透明性と密着性とを両立できないことがわかった。また、比較例1〜3では、すべてホワイトスポットが確認される。これは、密着層の材料が結晶化したチタン酸化物であるために透明性が十分に確保できないことと、密着層の成膜時に基材を加熱するためにアウトガスの発生による密着性の低下が生じることが原因であると推察される。なお、参考例では、基材にガラスを用いているため、基材からのアウトガスがなく、結晶化ITOを用いても、透明性と密着性とを両立できることがわかる。
比較例4,5によれば、密着層の材料がケイ素酸化物であるときには、密着性が不十分であることが確認された。なお、ケイ素酸化物は、結晶化しやすいものである。
比較例6によれば、密着層が非晶質のチタン酸化物である場合に透明導電層の材料がITOであるときには、ホワイトスポットが観測され、密着性が不十分であることが確認された。
これに対し、実施例によれば、透明性に優れるとともに、ホワイトスポットやダークスポットが観測されず、密着性が良好であることが確認できた。このため、外観不良は生じなかった。また、低抵抗であることも確認できた。
また、実施例1〜5によれば、密着層の厚みが11nm以上の場合には密着性が特に良好であり、密着層の厚みが25nm以下の場合には透明性が特に良好であることがわかった。また、表面平滑層がある場合には、特に密着性に優れることがわかった。
以上、本発明は上記実施形態、実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能なものである。
10 有機発光素子
12 透明導電性積層体
14 有機発光層
16 陰極層
18 透明高分子フィルム
20 密着層
22 透明導電層
24 表面平滑層

Claims (5)

  1. 透明高分子フィルムの一方面上に透明導電層を有する透明導電性積層体を透明電極として用いた有機発光素子であって、
    前記透明高分子フィルムと透明導電層との間には、非晶質のチタン酸化物よりなる密着層が透明高分子フィルムおよび透明導電層の両方に接して設けられているとともに、前記透明導電層が非晶質のインジウム亜鉛酸化物で構成されていることを特徴とする有機発光素子。
  2. 透明高分子フィルムの一方面上に透明導電層を有する透明導電性積層体を透明電極として用いた有機発光素子であって、
    前記透明高分子フィルムの一方面または両面には、有機高分子材料よりなる表面平滑層が設けられており、
    前記透明高分子フィルムの一方面に設けられた表面平滑層と前記透明導電層との間には、非晶質のチタン酸化物よりなる密着層が表面平滑層および透明導電層の両方に接して設けられているとともに、前記透明導電層が非晶質のインジウム亜鉛酸化物で構成されていることを特徴とする有機発光素子。
  3. 前記密着層の厚みが、11〜25nmの範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機発光素子。
  4. 前記表面平滑層の有機高分子材料が、アクリル系樹脂およびエポキシ系樹脂から選択される1種または2種以上の樹脂であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の有機発光素子。
  5. 前記透明高分子フィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の有機発光素子。
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