JP2012237668A - 血管内皮細胞を含む三次元皮膚モデル - Google Patents

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Abstract

【課題】血管内皮細胞を導入した新規三次元皮膚モデルの提供。
【解決手段】本発明は、血管内皮細胞、線維芽細胞及びケラチノサイトを含む三次元皮膚モデルであって、第一の支持体上に、下から順に線維芽細胞、ケラチノサイトが積層されており、当該第一の支持体の底面に、第二の支持体に組み込まれた血管内皮細胞が配置されている、三次元皮膚モデル、を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、血管内皮細胞を導入した三次元皮膚モデル及びその製造方法に関する。
化粧品の開発においては、ヒトの皮膚の代わりに、マウスなどの動物モデルの皮膚を人為的に対象の皮膚症状に近づけた後、直接候補薬剤を適用して評価する方法が一般的である。しかしながら、動物モデルで得られた結果は必ずしもヒトの皮膚に適用できるものでもない。また、近年、欧州では動物愛護の観点から化粧品の開発に関して動物実験を規制する動きが広がっており、動物実験の代替となるin vitro薬物評価系の確立が必要とされている。
従来より、ヒトの皮膚を模した三次元皮膚モデルの開発が様々なグループにより進められており、中には実際に市販されているものもある。これらの公知の三次元皮膚モデルの多くは、コラーゲンゲル等の支持体上に線維芽細胞、当該線維芽細胞上にケラチノサイトが積層された構造を有している(Amano S. et al., Exp. Cell Res., Vol.271, pp.249-262, 2001やTsunenga M. et al., Matrix. Biol., Vol.17, pp.603-613, 1998)。
ケラチノサイト及び線維芽細胞は、それぞれ表皮、真皮の主要構成細胞である。しかしながら、実際の皮膚は複雑な構成を有しており、ケラチノサイトと線維芽細胞のみを含む従来の三次元皮膚モデルは実際の皮膚組織の構成を反映しているとは言えない。
Amano S. et al., Exp. Cell Res., Vol.271, pp.249-262, 2001 Tsunenga M. et al., Matrix. Biol., Vol.17, pp.603-613, 1998
本発明は、化粧品等の候補薬剤の効果をin vitroで評価するために、ヒトの皮膚に近い構成を有し、且つ各細胞が相互作用することのできる三次元皮膚モデル及びその製造方法を提供することを課題とする。
真皮は、主に、線維芽細胞等の細胞成分と、間質成分、例えば、I型コラーゲン等の膠原線維とから構成され、真皮の至る所に毛細血管や神経が張り巡らされている。血管は、皮膚の恒常性維持に大きな役割を果たすため、構成細胞としてケラチノサイト・線維芽細胞のみを含む従来の皮膚モデルでは、血管の存在が及ぼす影響を再現することができない。
本発明者が鋭意検討した結果、従来の三次元皮膚モデルと、実際に真皮中に存在する血管内皮細胞とを組み合わせることで、実際の皮膚組織により近い状態を再現可能な三次元皮膚モデルを完成させるに至った。
即ち、本願は下記の発明を包含する:
[1] 血管内皮細胞、線維芽細胞及びケラチノサイトを含む三次元皮膚モデルであって、第一の支持体上に、下から順に線維芽細胞、ケラチノサイトが積層されており、当該第一の支持体の底面に、第二の支持体に組み込まれた血管内皮細胞が配置されている、三次元皮膚モデル;
[2] 前記第二の支持体に組み込まれた血管内皮細胞の底面に、血管内皮細胞、線維芽細胞及びケラチノサイト以外の細胞が配置されている、[1]に記載の三次元皮膚モデル;
[3] 前記血管内皮細胞の底面に配置された細胞が脂肪細胞である、[2]に記載の三次元皮膚モデル;
[4] 前記第一及び第二の支持体がコラーゲンを含むゲルである、[1]〜[3]のいずれかに記載の三次元皮膚モデル;
[5] 前記第一及び/又は第二の支持体のゲルが更にキトサンを含む、[4]に記載の三次元皮膚モデル;
[6] 三次元皮膚モデルの製造方法であって、
1)第一の支持体上に、下から順に線維芽細胞、ケラチノサイトを積層させる工程、
2)第二の支持体に組み込まれた血管内皮細胞を、前記第二の支持体の底面に配置する工程、
を含んで成る方法;
[7] 更に、
3)前記第二の支持体に組み込まれた血管内皮細胞の底面に、血管内皮細胞、線維芽細胞及びケラチノサイト以外の細胞を配置する工程、
を含んで成る、[6]に記載の三次元皮膚モデルの製造方法;
[8] 工程3)で配置される細胞が脂肪細胞である、[7]に記載の方法;
[9] 前記第一及び第二の支持体がコラーゲンを含むゲルである、[6]〜[8]のいずれかに記載の三次元皮膚モデルの製造方法;
[10] 前記第一及び/又は第二の支持体のゲルが更にキトサンを含む、[9]に記載の三次元皮膚モデルの製造方法。
外部刺激を受けて表皮細胞から放出されるVEGFやトロンボスポンジンは、血管新生を促進することが知られている(Detmaar M, J Dermatol Sci. 2000, S78-S84)。逆に、血管の新生は、皮膚疾患の一つである乾癬の発症に関係していることが報告されている(Heidenreich et al, Int. J. Exp. Pathol, 2000, 90(3):232-248)。このように、血管は皮膚と互いに相関している。
従って、血管内皮細胞を、ケラチノサイトと線維芽細胞のみを含む従来の三次元皮膚モデルに含めることで、より皮膚に近い構成を有する三次元皮膚モデルが得られる。事実、本発明の方法により得られた三次元皮膚モデルにおいては、ケラチノサイト及び線維芽細胞と血管内皮細胞とが相互作用しており、例えば内皮細胞の分化・活性化マーカーが変化し、皮膚との相互作用が見られることが明らかになった。このような内皮細胞の活性化は、表皮・真皮モデルが刺激を受けた際に更に亢進する。従って、この実験系によれば、皮膚刺激が血管新生を引き起こす反応を予防する薬剤を、動物実験を行うことなくin vitroで見出すことが可能となる。
血管内皮細胞は、皮膚中での血管新生に関与しており、in vitroにおいても、単独で、コラーゲン等のマトリックス中で血管を模した管腔を形成することができることが知られている。しかしながら、血管内皮細胞を表皮・真皮モデルと組み合わせることで管腔形成が促進されることが新たに明らかとなった。これは、本発明の三次元皮膚モデルが、皮膚中で血管が新生される現象をより忠実に反映していることを示している。
従って、本発明によれば、表皮・真皮モデルと血管内皮細胞層とを別々に調製して組み合わせることで、構成細胞が互いに相互作用する、より実際のヒト皮膚の構成に近い三次元皮膚モデルが得られる。また、当該三次元皮膚モデルを使用することで、動物実験に依拠せずに薬剤の有効性又は毒性をin vitroで評価することが可能となる。
図1は、血管内皮細胞の活性化をICAM-1に対する免疫染色によって示した図である。 図2は、血管内皮細胞の分化・活性化をToll様受容体2(TLR-2)の遺伝子発現解析によって示した図である。
表皮・真皮モデル
本発明により製造される三次元皮膚モデルは、表皮・真皮を模した従来の表皮・真皮モデル、すなわちケラチノサイトと線維芽細胞に加え、血管内皮細胞を含む。本明細書で使用する場合、用語「表皮・真皮モデル」とは、便宜上、コラーゲンゲル等の第一の支持体上に、線維芽細胞が、そして当該線維芽細胞上にケラチノサイトが積層された構造を有するものを意味する。
かかる表皮・真皮モデルは当業者にとって周知の方法(例えば、Amano S. et al., Exp. Cell Res., Vol.271, pp.249-262, 2001(上掲)やTsunenga M. et al., Matrix. Biol., Vol.17, pp.603-613, 1998(上掲)参照のこと)により調製することができ、例えばインサートメッシュ上において繊維芽細胞を支持体に混ぜ込んだものを播いた後、その上にケラチノサイトを播き、培養し、空気曝露することで調製したものであってよい。
表皮・真皮モデルの作成に使用する支持体(以下、本明細書では「第一の支持体」と称する)は、コラーゲン単独のゲル、あるいは、コラーゲンとキトサンを含むゲルであってもよい。既報(Black AF et al., Tissue Engineering, Vol. 11, 723-733, 2005)にあるように、基底膜構造、真皮繊維形成の観点から、コラーゲンとキトサンを含むゲルを用いることが好ましい。また、表皮・真皮モデルはゲルが縮んでいない均一な形状のものを選択することで、同程度の三次元皮膚モデルを複数作成する場合のロット間のばらつきを防ぐことができる。
表皮・真皮モデルは、例えば繊維芽細胞を1×104〜108個/cm2、好ましくは0.1〜10×105個/cm2の量で含み、またケラチノサイトを1×102〜106個/cm2、好ましくは1.0〜10×104個/cm2、より好ましくは約4〜8×104個/cm2の量で含むものであってよい。
表皮・真皮モデルは市販もされており、特に限定されるわけではないが、例えばTESTSKIN(登録商標)(TOYOBO)などのセルカルチャーインサートが使用できる。表皮・真皮モデルを構成する細胞はセルカルチャーインサート内で培養され、そして別の細胞、特に血管内皮細胞は、表皮・真皮モデルの細胞とインサートの膜を介して分離した状態で培養される。
表皮・真皮モデルの培養は、例えば培養液として通常のケラチノサイト培養に用いられる培養液、例えばKG培地、EpilifeKG2(クラボウ)、Humedia−KG2(クラボウ)、アッセイ培地(TOYOBO)などを用い、約37℃で0〜14日間かけて行うことができる。培地としては、その他にDMEM培地(GIBCO)又は2−0−a−D−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸含有KGMとDMEMを1:1混合した培地などが使用できる。培地は、表皮・真皮モデルと血管内皮細胞とを組み合わせる際に除去してもよい。
繊維芽細胞及びケラチノサイトは同種系でも異種系であってもよく、あらゆる哺乳動物に由来してよい。更に、表皮・真皮モデルを構成する細胞は、紫外線や薬剤、あるいは遺伝子改変を受けたものであってもかまわない。しかしながら、限定するわけではないが、三次元皮膚モデルの性状をヒト皮膚のものに近づける観点から、ケラチノサイトはヒト由来であることが好ましい。また、使用する繊維芽細胞とケラチノサイトの割合も特に限定されるわけではないが、例えばケラチノサイト4〜8×104~6細胞に対して繊維芽細胞1×105~7細胞、好ましくはケラチノサイト4〜8×105細胞に対し繊維芽細胞1×106細胞とすることができる。
血管内皮細胞
血管内皮細胞は、表皮・真皮モデルの底面に配置される。本発明で使用する血管内皮細胞は、例えばヒトの臍帯由来のもので、1mLあたり100〜10,000個を用いるが、これに限定されるものではなく、大動脈由来のものであってもかまわない。また、ヒトに限定されるものではなく、他の哺乳動物の血管内皮細胞を用いてもかまわない。本発明で使用する血管内皮細胞が前駆細胞である場合、表皮・真皮モデルと組み合わせる前に、培養して所望の程度に分化及び/又は増殖してもよい。
表皮・真皮モデルに付着させる際に用いる血管内皮細胞は、定常状態にあるものでも、薬剤や遺伝子改変等によって刺激されたものであってもかまわない。
血管内皮細胞は、第二の支持体中に組み込まれた後、表皮・真皮モデルの底面、すなわち第一の支持体の底面に配置される。支持体中に血管内皮細胞を組み込むことで、本発明の三次元皮膚モデルはより真皮組織に近い構成となる。また、血管内皮細胞を第一の支持体の底面に配置させる際、第二の支持体の存在は第一の支持体との接着に有利である。
第二の支持体は、第一の支持体と同じでも異なっていてもよく、コラーゲン単独のゲル、コラーゲンとキトサンを含むゲル等が第二の支持体として使用可能である。当該ゲルは、血管内皮細胞を組み込む前に、当該細胞と混合できるよう、溶液状態となっている。コラーゲンを第二の支持体として使用する場合、I型コラーゲンであることが好ましく、また、ゲル化前のコラーゲン溶液の最終濃度は、0.1重量%程度が好ましい。しかしながら、支持体の濃度は、固化する濃度以上で、細胞が生存できる濃度範囲であればかまわない。コラーゲンを溶解する溶媒は、当該溶解のために利用可能であることを当業者が認識している溶媒、例えば一般的な弱酸性水溶液を使用することができ、その例として希塩酸が挙げられる。
血管内皮細胞の生存のために、血管内皮細胞用の培地を第二の支持体中に含めることが好ましい。この場合、使用する支持体溶液の量に応じて濃縮した培地が使用される。支持体の溶液量は、限定しないが、1平方cmあたり、100μL〜400μLである。
表皮・真皮モデルをカルチャーインサートのような特定の透過性メンブレン上に形成させた場合を例に、血管内皮細胞を表皮・真皮モデルの底面に配置する方法について説明する。
カルチャーインサートのメンブレン上に形成された表皮・真皮モデルは、メンブレンごと裏返しにされ、第一の支持体側に、血管内皮細胞と、当該細胞用の濃縮した増殖培地とコラーゲン溶液との混合物が滴下して固化される。コラーゲン溶液が固化した後、インサートを元に戻し、インサート外層に培養液を加える。培養液は、表皮・真皮モデル用の培地が好ましいが、これに限定されるものではない。
追加の細胞
本発明の三次元皮膚モデルは、血管内皮細胞、線維芽細胞及びケラチノサイト以外に、更に別の細胞を含んで成ることもある。その配置は、実際の皮膚の構成を考慮して適宜決定される。例えば、脂肪細胞は、真皮の下の皮下組織中に存在するため、三次元皮膚モデルをより実際の肌に近づける観点からは、脂肪細胞を本発明の三次元皮膚モデルの底面に配置することが考えられる。脂肪細胞の数が増大したり、あるいは脂肪細胞内の油滴が蓄積されて細胞が肥大すると、肥満や肌のたるみが生じるため、本発明の三次元皮膚モデルに脂肪細胞を含めることで、これらの症状についての研究が可能となる。Sugihara H.ら(上掲)が作成した三次元皮膚モデルでは、脂肪細胞は成熟した脂肪細胞が使用された。本発明の方法では、前駆脂肪細胞を使用し、当該細胞を培養して所望の程度に分化又は増殖した後、表皮・真皮モデルと組み合わされる。
本明細書で使用する場合、「前駆脂肪細胞」とは、成熟脂肪細胞への分化能を有する細胞であって、便宜上、成熟して完全に脂肪細胞に分化していない細胞を意味する。また、「成熟脂肪細胞」とは、前駆脂肪細胞に比べて著しく増殖性が低く、かつ細胞内に油滴がかなり蓄積された状態を意味する。前駆脂肪細胞は、表皮・真皮モデルで使用する細胞や血管内皮細胞と同種系でも異種系であってもよく、あらゆる哺乳動物に由来のものを使用することができるが、ヒト皮膚の性状に近似した三次元皮膚モデルを得る観点からはヒト由来であることが好ましい。また、前駆脂肪細胞は、紫外線や薬剤、あるいは遺伝子改変を受けたものであってもかまわない。
前駆脂肪細胞は、細胞密度の高い100%コンフルエントな状態にした後に、脂肪細胞への分化を誘導する因子であるインスリン、インドメタシン、デキサメタゾン等を含む培地(以下、「分化用培地」と称する)中で培養することで成熟脂肪細胞へと分化する。分化用培地は市販されており、ヒト前駆脂肪細胞基本培地-2(PBM-2)(CMW社)等が使用されうる。脂肪細胞への分化の程度は、脂肪細胞の形態的特徴、油滴の蓄積、分化マーカーの遺伝子発現を指標として確認することができる。例えば、前駆脂肪細胞は分化するにつれ細胞内に油滴を蓄積していくため、オイルレッド染色により確認された油滴形成を分化の指標としてもよい。分化マーカーとしてはアディポネクチンやPPARγを使用することができる。
脂肪細胞への分化がある程度進んだ後は、分化用培地を、分化誘導因子を含まない増殖用培地や三次元皮膚モデル用培地に置換することができる。事実、分化誘導7日目の脂肪細胞を分化誘導因子の非存在下で培養すると、分化速度は遅くなるものの分化が停止することはないことが確認された(結果は示さない)。あるいは、分化用培地と増殖用培地を混合したものを更なる分化過程に使用することもできる。例えば、大半の細胞の分化を誘導しつつ、一部の細胞を増殖させて維持するために、限定しないが、分化用培地:増殖用培地の1:1混合物を利用してもよい。本明細書で使用する場合、「三次元皮膚モデル用培地」とはEGFを除く、ケラチノサイト用無血清培地とDulbecco’s Modified Eagles minimal essential mediumに10%牛胎児血清を添加したものとを1:1で混合したものである。
所望の程度に分化した前駆脂肪細胞は、所定の培養条件下で培養して増殖させてもよい。100%コンフルエントに達したものを表皮・真皮モデル及び血管内皮細胞と組み合わせることもできる。尚、コンフルエントに至る培養日数は使用する前駆脂肪細胞や増殖条件によって変動する。
表皮・真皮モデル及び血管内皮細胞と組み合わせる前に前駆脂肪細胞をどの程度分化・増殖させるかは、三次元皮膚モデルの用途によって決定される。例えば、皮膚への外用塗布薬剤が、皮下の脂肪細胞の分化状態に与える影響を検討する場合には、脂肪細胞を未分化な状態で表皮・真皮と組み合わせ、脂肪細胞から出る因子が皮膚に及ぼす影響を検討する場合には、分化させた状態で組み合わせる。
本発明の三次元皮膚モデルに脂肪細胞を導入することで、当該モデルは更に実際の皮膚に近い挙動を示すようになる。例えば、表皮・真皮モデルに由来する炎症性サイトカインIL-6の産生レベルは低下し、また、I型、III型コラーゲン遺伝子の発現レベルも増加することから、脂肪細胞の存在により表皮・真皮モデルが安定化していると考えられる。更に、当該三次元皮膚モデルでは、生体内と同様の紫外線刺激応答が観察され得る。
次に、本願発明を以下の実施例により更に具体的に説明する。
1)表皮・真皮モデルの調製
0.3%コラーゲン溶液18mLに5mLの0.7%キトサン溶液(0.084M酢酸)を添加し、さらに、2mLの2.5%のコンドロイチン硫酸溶液を添加した。混合液400μLを12穴のカルチャーインサートに注ぎ、凍結乾燥した。続いて、70%エタノール・乾燥によって殺菌し、1mLの燐酸緩衝液(PBS)で膨潤させた後、PBSを取り除いて、初代培養真皮繊維芽細胞6x105個を200μLのDMEM+10%牛胎児血清(培地)に浮遊させたものをインサートに注いだ。ウエル中には、1mLの培地を注いだ。週3回培地交換しながら、2〜3週間37℃、5%CO2環境で培養した後、培地を取り除き、インサート内に5x106個の初代培養表皮ケラチノサイトを播種した。2〜3日間ケラチノサイト用無血清培地(KG-2;クラボウ)で培養した後、上層の培地を取り除き、インサート外には、EGFを除いたKG-2とDMEM+10%牛胎児血清を1対1で混合したものに250μMのアスコルビン酸を添加した皮膚モデル用培地(三次元皮膚モデル用培地)を加えた。これを週3回培地交換しながら2週間培養(空気曝露)したものを表皮・真皮モデルとした。
2)血管内皮細胞の導入
1mLの0.3%酸性コラーゲン溶液(KOKEN社)と、0.333mLの4倍濃度Dulbecco Minimal Essential Mediumを混和した。そこに170,000個のHUVEC細胞(Lonza社)を含む1.67mLの細胞浮遊液を加え、0.3mLを表皮・真皮モデルを形成した12穴カルチャーインサートの裏に滴下した。37℃で30分静置してコラーゲン溶液を固化させた後、プレートに戻し、インサートの外側に0.5mLの皮膚モデル用培養液を加えることで本発明の三次元皮膚モデルを完成させた。
3)血管内皮細胞の導入が表皮・真皮モデルに及ぼす影響
2)で得られた三次元皮膚モデルにおける血管内皮細胞の導入が表皮・真皮モデルに及ぼす影響について、血管内皮細胞(HUVEC細胞)のみを含むゲルと比較検討した。
血管内皮細胞活性化マーカーを用いた免疫染色
カルチャーインサート外の三次元皮膚モデル用培地を2日ごとに新鮮なものと交換して、1週間培養した。カルチャーインサートと内皮細胞入りのゲルを分離した。血管内皮細胞入りゲルは、10%ヤギ血清溶液中に1時間置いた後、抗ヒトI-CAM1抗体(SIGMA社)中で3時間インキュベートした。30分3回のPBS洗浄の後、FITC標識抗ウサギ抗体中で2時間インキュベートし、30分3回のPBS洗浄を行った。免疫染色の結果を図1に示す。当該図は、共焦点顕微鏡を用いて断層撮影を行ったものを合成したものである。
HUVEC細胞のみを含むゲルと比較して(図1A)、血管内皮細胞が導入された本発明の三次元皮膚モデルは有意にI-CAM1を発現していた(図1B)。I-CAM1は血管内皮細胞活性化マーカーであるため、図1の結果から、血管内皮細胞は表皮・真皮モデルと組み合わせたことで活性化されることが分かった。
RT-PCRを用いた遺伝子発現量の検討
上記血管内皮細胞を含むゲルから、isogen(タカラバイオ)を用いてRNAを抽出し、SuperScriptII(Invitrogen)を用いてcDNA合成を行い、sybergeen(Invitrogen)を用いて、TLR-2のRT-PCR反応を行った。TLR2遺伝子の発現量をGADPH遺伝子の発現量で標準化した。結果を図2に示す。図2の結果より、表皮・真皮モデルの細胞は血管内皮細胞と共培養することで発現される遺伝子に変化が生じることが分かった。

Claims (10)

  1. 血管内皮細胞、線維芽細胞及びケラチノサイトを含む三次元皮膚モデルであって、第一の支持体上に、下から順に線維芽細胞、ケラチノサイトが積層されており、当該第一の支持体の底面に、第二の支持体に組み込まれた血管内皮細胞が配置されている、三次元皮膚モデル。
  2. 前記第二の支持体に組み込まれた血管内皮細胞の底面に、血管内皮細胞、線維芽細胞及びケラチノサイト以外の細胞が配置されている、請求項1に記載の三次元皮膚モデル。
  3. 前記血管内皮細胞の底面に配置された細胞が脂肪細胞である、請求項2に記載の三次元皮膚モデル。
  4. 前記第一及び第二の支持体がコラーゲンを含むゲルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の三次元皮膚モデル。
  5. 前記第一及び/又は第二の支持体のゲルが更にキトサンを含む、請求項4に記載の三次元皮膚モデル。
  6. 三次元皮膚モデルの製造方法であって、
    1)第一の支持体上に、下から順に線維芽細胞、ケラチノサイトを積層させる工程、
    2)第二の支持体に組み込まれた血管内皮細胞を、前記第二の支持体の底面に配置する工程、
    を含んで成る方法。
  7. 更に、
    3)前記第二の支持体に組み込まれた血管内皮細胞の底面に、血管内皮細胞、線維芽細胞及びケラチノサイト以外の細胞を配置する工程、
    を含んで成る、請求項6に記載の三次元皮膚モデルの製造方法。
  8. 工程3)で配置される細胞が脂肪細胞である、請求項7に記載の方法。
  9. 前記第一及び第二の支持体がコラーゲンを含むゲルである、請求項6〜8のいずれか1項に記載の三次元皮膚モデルの製造方法。
  10. 前記第一及び/又は第二の支持体のゲルが更にキトサンを含む、請求項9に記載の三次元皮膚モデルの製造方法。
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