JP2012235591A - 車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】直流電源から電力の供給を受けて駆動力を発生可能に構成された交流電動機を備える車両において、牽引時に車両を安全に走行させる。
【解決手段】車両100は、車両駆動用の交流電動機M1と、直流電源Bと、直流電源Bと交流電動機M1との間で電力変換を行なう電力変換装置と、電力線6および接地線5の間の直流電圧を降圧して補機バッテリ42に供給するDC/DCコンバータ40と、直流電源Bと電力線6および接地線5と間に接続されたシステムリレーSR1,SR2とを備える。制御装置30は、システムリレーSR1,SR2により直流電源Bが遮断されている場合に、車両外部からの作用力による車両の移動が検知されたときには、交流電動機M1に発生する逆起電力を電力変換して電力線6および接地線5間に出力するように電力変換装置を制御するとともに、DC/DCコンバータ40を動作状態とする。
【選択図】図1
【解決手段】車両100は、車両駆動用の交流電動機M1と、直流電源Bと、直流電源Bと交流電動機M1との間で電力変換を行なう電力変換装置と、電力線6および接地線5の間の直流電圧を降圧して補機バッテリ42に供給するDC/DCコンバータ40と、直流電源Bと電力線6および接地線5と間に接続されたシステムリレーSR1,SR2とを備える。制御装置30は、システムリレーSR1,SR2により直流電源Bが遮断されている場合に、車両外部からの作用力による車両の移動が検知されたときには、交流電動機M1に発生する逆起電力を電力変換して電力線6および接地線5間に出力するように電力変換装置を制御するとともに、DC/DCコンバータ40を動作状態とする。
【選択図】図1
Description
この発明は、車両に関し、より特定的には、直流電源から電力の供給を受けて駆動力を発生可能に構成された交流電動機を備える車両に関する。
この種の車両として、ハイブリッド自動車や電気自動車などの電動車両が大きく注目されている。このような電動車両は、二次電池などの蓄電装置からなる直流電源と、該直流電源から電力の供給を受けて駆動力を発生可能な電動機とを備えている。電動機は、発進時や加速時などにおいて駆動力を発生するとともに、制動時などにおいて車両の運動エネルギーを電気エネルギーに変換して直流電源に回収する。このように、電動機を車両の走行状況に応じて制御するために、一般的な電動車両には、インバータ装置などの直流電力と交流電力との間で電力変換が可能な電力変換装置が搭載されている。
さらに車両には、電動機駆動用の電力を蓄積する直流電源に加えて、低電圧の補機駆動用の蓄電装置(たとえば、補機バッテリ)が搭載されている。走行用電動機の駆動に適した出力電圧と、ヘッドライトや空調機器等の補機あるいは電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)等の制御機器の定格電圧とが大きく異なるからである。このような構成では、直流電源の出力電圧を電圧変換器(DC/DCコンバータ)が降圧し、DC/DCコンバータの出力電圧を補機バッテリに供給することが一般的である。
しかしながら、上記の電動車両においては、直流電源に異常が発生した場合には、直流電源を電力変換装置から電気的に遮断するために、電力変換装置による電力変換が行なえなくなるので、電動機による走行は不能となる。また、直流電源の出力電圧を補機バッテリに供給することが不能となる。
このような場合には、電動車両は他車に牽引されて修理工場等に運ばれることとなるが、牽引中にブレーキシステムなどの走行系負荷の作動を継続できなくなることにより、車両を安全に走行させることが困難となってしまう虞がある。
それゆえ、この発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、牽引時に車両を安全に走行させることが可能な車両を提供することである。
この発明のある局面では、車両は、車両駆動力を発生するための交流電動機と、第1および第2の電源線を介して直流電力を供給可能に構成された直流電源と、直流電源と交流電動機との間で電力変換を行なう電力変換装置と、第1および第2の電源線の間の直流電圧を降圧して補機バッテリに供給するための電圧変換器と、直流電源と第1および第2の電源線との間に接続され、直流電源を電力変換装置から電気的に遮断するための回路開閉部と、回路開閉部により直流電源が遮断されている場合に、車両外部からの作用力による車両の移動が検知されたときには、交流電動機に発生する逆起電力を電力変換して第1および第2の電源線間に出力するように電力変換装置を制御するとともに、電圧変換器を動作状態とするための制御装置とを備える。
この発明によれば、牽引時に電動機が発生する逆起電力を用いて補機を作動させることにより、牽引中においても車両を安全に走行させることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、この発明の実施の形態に従う車両100の概略構成図である。
図1を参照して、本発明の実施の形態に従う車両100は、交流電動機M1が発生する駆動力により走行可能に構成された電動車両である。なお、電動車両とは、直流電源から供給される電力により、電動機(モータ)から駆動力を発生させ、駆動輪を回転させることが可能に構成された車両を含む概念であり、一例として、ハイブリッド自動車、電気自動車や燃料電池車両などを含む。以下の説明では、車両100がハイブリッド自動車であるとして説明を行なう。すなわち、車両100は、図示しないエンジンにより発生される駆動力による走行も可能であるとともに、当該エンジンからの駆動力により発電可能にも構成される。
図1を参照して、本発明の実施の形態に従う車両100は、交流電動機M1が発生する駆動力により走行可能に構成された電動車両である。なお、電動車両とは、直流電源から供給される電力により、電動機(モータ)から駆動力を発生させ、駆動輪を回転させることが可能に構成された車両を含む概念であり、一例として、ハイブリッド自動車、電気自動車や燃料電池車両などを含む。以下の説明では、車両100がハイブリッド自動車であるとして説明を行なう。すなわち、車両100は、図示しないエンジンにより発生される駆動力による走行も可能であるとともに、当該エンジンからの駆動力により発電可能にも構成される。
車両100は、直流電圧発生部10♯と、平滑コンデンサC0と、インバータ14と、交流電動機M1と、駆動軸2と、ディファレンシャルギヤ3と、駆動輪4と、制御装置30とを備える。
直流電圧発生部10♯は、直流電源Bと、システムリレーSR1,SR2と、平滑コンデンサC1と、コンバータ12とを含む。
直流電源Bは、代表的には、ニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池や電気二重層キャパシタ等の再充電可能な蓄電装置により構成される。直流電源Bが出力する直流電圧(バッテリ電圧)Vbおよび直流電源Bに入出力される直流電流(充放電電流)Ibは、電圧センサ10および電流センサ11によってそれぞれ検出される。
システムリレーSR1は、直流電源Bの正極端子および電力線6の間に接続される。システムリレーSR2は、直流電源Bの負極端子および接地線5の間に接続される。システムリレーSR1,SR2は、制御装置30からの制御信号SEによりオンオフすることにより、直流電源Bと電力線6および接地線5とを電気的に接続または遮断する。
平滑コンデンサC1は、電力線6および接地線5の間に接続され、電力線6および接地線5間の電圧変動を減少させる。
コンバータ12は、制御装置30からの信号PWUおよびPWDに基づいて、電力線6および接地線5と電力線7および接地線5との間で電圧変換を行なう。
具体的には、コンバータ12は、リアクトルL1と、電力用半導体スイッチング素子Q1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。電力用半導体スイッチング素子Q1,Q2は、電力線7および接地線5の間に直列に接続される。電力用半導体スイッチング素子Q1およびQ2のオンオフは、信号PWUおよびPWDによって制御される。
この発明の実施の形態において、電力用半導体スイッチング素子(以下、単に「スイッチング素子」と称する)としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタあるいは、電力用バイポーラトランジスタ等を用いることができる。スイッチング素子Q1,Q2に対しては、逆並列ダイオードD1,D2が配置されている。リアクトルL1は、スイッチング素子Q1およびQ2の接続ノードと電力線6との間に接続される。
コンバータ12は、基本的には、各スイッチング周期内でスイッチング素子Q1およびQ2を相補的かつ交互にオンオフするように制御される。コンバータ12は、昇圧動作時には、直流電源Bから平滑コンデンサC1を介して供給された直流電圧VLを直流電圧VHへ昇圧する。この昇圧動作は、スイッチング素子Q2のオン期間にリアクトルL1に蓄積された電磁エネルギを、スイッチング素子Q1および逆並列ダイオードD1を介して、電力線7へ供給することにより行なわれる。
また、コンバータ12は、降圧動作時には、直流電圧VHを直流電圧VLに降圧する。この降圧動作は、スイッチング素子Q1のオン期間にリアクトルL1に蓄積された電磁エネルギを、スイッチング素子Q2および逆並列ダイオードD2を介して、電力線6へ供給することにより行なわれる。これらの昇圧動作および降圧動作における電圧変換比(VHおよびVLの比)は、上記スイッチング周期に対するスイッチング素子Q1,Q2のオン期間比(デューティ比)により制御される。なお、スイッチング素子Q1およびQ2をオンおよびオフにそれぞれ固定すれば、VH=VL(電圧変換比=1.0)とすることもできる。
平滑コンデンサC0は、コンバータ12からの直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧をインバータ14へ供給する。電圧センサ13は、平滑コンデンサC0の両端の電圧、すなわち、直流電圧VHを検出し、その検出値を制御装置30へ出力する。
インバータ14は、電力線7および接地線5の間に並列に設けられる、U相上下アーム15と、V相上下アーム16と、W相上下アーム17とから成る。各相上下アームは、電力線7および接地線5の間に直列接続されたスイッチング素子から構成される。たとえば、U相上下アーム15は、スイッチング素子Q3,Q4から成り、V相上下アーム16は、スイッチング素子Q5,Q6から成り、W相上下アーム17は、スイッチング素子Q7,Q8から成る。また、スイッチング素子Q3〜Q8に対して、逆並列ダイオードD3〜D8がそれぞれ接続されている。スイッチング素子Q3〜Q8のオンオフ制御は、制御装置30からの信号PWMIによって制御される。
代表的には、交流電動機M1は、三相の永久磁石型同期電動機であり、U,V,W相の3つのコイルの一端が中性点に共通接続されて構成される。さらに、各相コイルの他端は、各相上下アーム15〜17のスイッチング素子の中間点と接続されている。交流電動機M1は、インバータ14から供給される三相交流電力に応じて駆動力を発生し、機械的に連結された駆動軸2およびディファレンシャルギヤ3を介して、駆動輪4を回転駆動する。交流電動機M1の内部では、永久磁石が埋設されたロータが回転することにより、時間的および位置的な磁束変化が生じ、この結果、ロータの回転数に比例した逆起電力が生じる。
なお、図示しないエンジンによる駆動輪4の回転駆動を可能にする場合には、交流電動機M1からの駆動力伝達経路上に、遊星歯車機構などを用いた動力分割機構などを介挿し、交流電動機M1およびエンジンが発生する駆動力を適切に分配するように構成してもよい。
インバータ14は、交流電動機M1のトルク指令値が正(Trqcom>0)の場合には、平滑コンデンサC0から直流電圧が供給されると、制御装置30からの信号PWMIに応答したスイッチング素子Q3〜Q8のスイッチング動作により、直流電圧を交流電圧に変換して正のトルクを出力するように交流電動機M1を駆動する。また、インバータ14は、交流電動機M1のトルク指令値が零の場合(Trqcom=0)には、信号PWMIに応答したスイッチング動作により、直流電圧を交流電圧に変換してトルクが零になるように交流電動機M1を駆動する。これにより、交流電動機M1は、トルク指令値Trqcomによって指定された零または正のトルクを発生するように駆動される。
さらに、車両100の回生制動時には、交流電動機M1のトルク指令値Trqcomは負に設定される(Trqcom<0)。この場合には、インバータ14は、信号PWMIに応答したスイッチング動作により、交流電動機M1が発電した交流電圧を直流電圧に変換し、その変換した直流電圧VHを平滑コンデンサC0を介してコンバータ12へ供給する。なお、ここで言う回生制動とは、車両を運転するドライバーによるフットブレーキ操作があった場合の回生発電を伴なう制動や、フットブレーキを操作しないものの、走行中にアクセルペダルをオフすることで回生発電させながら車両を減速(または加速の中止)させることを含む。
電流センサ24は、交流電動機M1に流れる相電流を検出し、その検出値を制御装置30へ出力する。なお、三相の相電流Iu,Iv,Iwの瞬時値の和は零であるので、図1に示すように2相分の電流(たとえば、U相電流IuおよびW相電流Iw)を検出するように配置してもよい。すなわち、残りの1相の電流については演算(たとえば、V相電流Iv=−(Iu+Iw)によって求めてもよい。
回転角センサ(レゾルバ)25は、交流電動機M1のロータ回転角θを検出し、その検出値を制御装置30へ出力する。制御装置30では、回転角θに基づき交流電動機M1の回転速度および回転加速度を算出できる。
制御装置30は、電子制御ユニット(ECU)により構成され、予め記憶されたプログラムを図示しないCPU(Central Processing Unit)で実行することによるソフトウェア処理および/または専用の電子回路によるハードウェア処理により、車両100の動作を制御する。
代表的な機能として、制御装置30は、イグニッションキー(図示せず)から信号IGONを受ける。信号IGONは、イグニッションキーのオン期間にはH(論理ハイ)レベルに設定され、イグニッションキーのオフ期間にはL(論理ロー)レベルに設定される。制御装置30は、イグニッションキーがオフからオンへ操作されることにより信号IGONがHレベルに立ち上がると、システムリレーSR1,SR2をオンする。
制御装置30は、信号IGONのHレベル期間において、トルク指令値Trqcom、電圧センサ10によって検出された直流電圧Vb、電流センサ11によって検出された直流電流Ib、電圧センサ13によって検出された直流電圧VHおよび電流センサ24によって検出されるモータ電流(相電流Iu,Iw)、回転角センサ25からの回転角θ等に基づいて、交流電動機M1がトルク指令値Trqcomに従ったトルクを出力するように、コンバータ12およびインバータ14の動作を制御する。すなわち、コンバータ12およびインバータ14を制御するための信号PWMIを生成して、コンバータ12およびインバータ14へ出力する。
コンバータ12の昇圧動作時には、制御装置30は、直流電圧VHをフォードバック制御し、直流電圧VHが電圧指令値VH*に一致するように信号PWUを生成する。
また、制御装置30は、交流電動機M1が回生制動モードで動作するときには、交流電動機M1で発電された交流電圧を直流電圧に変換するように信号PWMIを生成してインバータ14へ出力する。これにより、インバータ14は、交流電動機M1で発電された交流電圧を直流電圧に変換してコンバータ12へ供給する。さらに、制御装置30は、インバータ14から供給された直流電圧を降圧するように信号PWDを生成し、コンバータ12へ出力する。これにより、交流電動機M1で発電した交流電圧は、直流電圧に変換され、降圧されて直流電源Bに供給される。
さらに制御装置30は、インバータ14の動作を停止させる(インバータ14のスイッチング素子Q3〜Q8のゲートを遮断させる)ための信号CSTPを生成し、インバータ14へ出力する。また、制御装置30は、コンバータ12に対して動作停止を指示する信号CSDNを出力する。
車両100は、上述した高圧系のシステムに加えて、補機電源系のシステムをさらに備える。具体的には、車両100は、補機バッテリ42と、DC/DCコンバータ40と、図示しない補機負荷とをさらに備える。補機バッテリ42は、たとえば鉛蓄電池によって構成される。補機バッテリ42の電圧は、直流電源Bの出力電圧よりも低く、たとえば12V程度である。補機バッテリ42から図示しない補機負荷に対して電力が供給される。
補機負荷は、電源配線41または補機バッテリ42から電圧の供給を受けて動作する。補機負荷は、オーディオ機器、ナビゲーション機器、照明機器(ハザードランプ、室内灯、ヘッドランプ等)などを含む。さらに、補機負荷は、電動パワーステアリング機構、電動オイルポンプ、電子制御の小型モータ等の車両走行に直接用いられる走行系負荷を含む。また、制御装置30(ECU)についても、補機バッテリ42または電源配線41からの電力によって動作する。補機負荷は、電源配線41または補機バッテリ42からの電圧によって動作するこれらの補機負荷を代表的に示したものである。
DC/DCコンバータ40は、電力線6および接地線5の間の電圧(直流電源Bの出力電圧)を降圧して電源配線41に出力する。すなわち、DC/DCコンバータ40の出力電圧は、接地ノードおよび電源配線41の間の直流電圧に相当する。
以上に示した構成において、車両100の走行中に直流電源Bに異常が生じた場合には、制御装置30は、システムリレーSR1,SR2に信号SEを出力することによりシステムリレーSR1,SR2をオフする。これにより直流電源Bと電力線6および接地線5との電気的接続が遮断される。
この場合、車両100は、直流電源Bを用いない走行(バッテリレス走行)を実行する。バッテリレス走行の一形態として、制御装置30は、エンジンにより発生された駆動力により発電した電力を用いて交流電動機M1を駆動する。そして、制御装置30は、運転者による停止操作が行なわれると、車両100を停止状態とする。なお、車両100の停止状態とは、運転者が停止操作を行なって、走行可能の状態を解除されたことを意味する。制御装置30は、インバータ14の動作を停止させるための信号CSTPを生成し、インバータ14へ出力するとともに、コンバータ12に対して動作停止を指示する信号CSDNを出力する。さらに、制御装置30は、DC/DCコンバータ40に対して動作停止を指示する信号を出力する。
なお、これに対して、車両100の作動状態とは、運転者が始動操作を行なって、走行可能な状態に設定されたことを意味する。制御装置30は、上述したように、運転者によってイグニッションキーがオフからオンへ操作されることにより信号IGONがHレベルに立ち上がると、交流電動機M1による駆動力の発生を可能な状態にする。
さらに制御装置30は、電圧センサ13によって検出される直流電圧VHに基づいて、車両外部からの作用力による車両100の移動を検知する。すなわち、制御装置30は、直流電圧VHに基づいて、代表的には、車両100が他車によって牽引されている状態を検知する。
より詳細には、牽引などによって車両100が移動すると、駆動輪4と機械的に連結された交流電動機M1のロータが回転運動する。このロータの回転運動により、ステータ側の各相コイルと鎖交する磁束に時間的な変化が生じる。この磁束の時間的な変化により、交流電動機M1には逆起電力が発生する。
そして、交流電動機M1に発生した逆起電圧は、停止状態のインバータ14を経由して平滑コンデンサC0に印加される。直流電圧VHよりも逆起電圧が大きい場合には、平滑コンデンサC0の電圧VHが上昇する。制御装置30は、車両100の動作状態(停止状態および作動状態)にかかわらず、常に車両100の状態を監視するように構成される。そして、制御装置30は、車両100が停止状態、すなわちHレベルの信号IGONが与えられていない場合に、電圧センサ13によって検出される直流電圧VHが増加すると、車両100の移動と判断する。
そして、車両100の移動を検知すると、制御装置30は、Hレベルの信号IGONが入力されていなくとも、作動を開始する。制御装置30は、交流電動機M1に発生する逆起電力を電力変換して電力線6および接地線5に出力するようにインバータ14およびコンバータ12を制御する。さらに、制御装置30は、DC/DCコンバータ40に駆動指令を与えることにより、DC/DCコンバータ40を動作状態とする。
このような構成としたことにより、車両100の移動によって交流電動機M1に発生した逆起電力は、インバータ14によって直流電力に変換される。そして、コンバータ12は、インバータ14から回生される直流電力を降圧して電力線6および接地線5へ出力する。なお、コンバータ12の降圧動作は、スイッチング素子Q1のオン期間にリアクトルL1に蓄積された電磁エネルギを、スイッチング素子Q2および逆並列ダイオードD2を介して、電力線6へ供給することにより行なわれる。
さらにDC/DCコンバータ40は、電力線6に供給された直流電圧を降圧して電源配線41に出力する。電源配線41に出力された電圧により補機バッテリ42が充電される。この結果、補機バッテリ42に蓄えられた電力を用いて補機負荷の作動を継続することが可能となる。たとえば走行系負荷であるブレーキシステムを作動可能な状態とすることができる。これにより、他車に牽引される場合においても、車両を安全に走行させることができる。
以下に、図2および図3を参照して、直流電源Bの異常発生時に制御装置30により実行される処理を説明する。
図2は、制御装置30で実行される直流電源Bの異常発生時における車両の停止処理を説明するフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、たとえば一定時間ごと、あるいは所定の条件の成立時にメインルーチンから呼び出されて実行される。
図2を参照して、処理が開始されると、ステップS01において、制御装置30は、直流電源Bが異常であるか否かを判定する。たとえば制御装置30は、電圧センサ10によって検出された直流電圧Vbおよび電流センサ11によって検出された直流電流Ibに基づいて、直流電源Bの異常の有無を判定する。なお、直流電源Bの異常の有無を判定するために直流電源Bの温度を用いてもよい。
直流電源Bが異常でないと判定された場合(ステップS01においてNO)、全体の処理は終了する。一方、直流電源Bが異常であると判定された場合(ステップS01においてYES)、処理はステップS02へ進む。
ステップS02において、制御装置30は、システムリレーSR1,SR2に信号SEを出力することによりシステムリレーSR1,SR2をオフする。
ステップS03において、制御装置30は、バッテリレス走行を実行する。具体的には、制御装置30は、エンジンにより発生された駆動力により発電した電力を用いて交流電動機M1を駆動する。そして、ステップS04において、制御装置30は、信号IGONがHレベルからLレベルに立ち下がったか否か、すなわち、運転者による停止操作が行なわれた否かを判定する。
運転者による停止操作が行なわれたと判定された場合(ステップS04においてYES)、制御装置30は、ステップS05により、車両100を停止状態とする。一方、運転者による停止操作が行なわれてないと判定された場合(ステップS04においてNO)、処理はステップS03に戻される。
図3は、制御装置30で実行される車両の移動に関する処理を説明するフローチャートである。
図3を参照して、処理が開始されると、ステップS11において、制御装置30は、車両100が停止状態であるか否かを判定する。車両100が停止状態である場合(ステップS11においてYES)、制御装置30は、ステップS12において、電圧センサ13によって検出される直流電圧VHが増加したか否かを判定する。具体的には、制御装置30は、直流電圧VHの変化を示すΔVHが所定の閾値を超えたか否かを判定する。
直流電圧VHが増加したと判定された場合(ステップS12においてYES)、制御装置30は、ステップS13により、車両外部からの作用力による車両100の移動を検知する。一方、直流電圧VHが増加していないと判定された場合(ステップS12においてNO)、全体の処理は終了する。
車両100の移動を検知すると、ステップS14において、制御装置30は、インバータ14、コンバータ12およびDC/DCコンバータ40の各々に対して駆動指令を発する。
ステップS15において、制御装置30は、車両100の移動によって交流電動機M1に発生した逆起電力を直流電力に変換するように、インバータ14を駆動する。これにより、交流電動機M1から平滑コンデンサC0に電力が供給される。
また、ステップS16において、制御装置30は、コンバータ12に対して降圧指示を行なう信号PWDを出力する。コンバータ12は、信号PWDに従って、インバータ14から回生される直流電圧を降圧して電力線6および接地線5の間に出力する。
さらに、ステップS17において、制御装置30は、電力線6および接地線5間の電圧を降圧するように、DC/DCコンバータ40を制御する。DC/DCコンバータ40が電源配線41に出力した直流電圧により補機バッテリ42が充電される。この結果、車両の牽引時においても、補機バッテリ42に蓄えられた電力を用いて補機負荷(特に、ブレーキシステムなどの走行系負荷)の作動を継続することができる。
以上のように、この発明の実施の形態によれば、直流電源と駆動装置との電気的接続が遮断されている場合に、他の車両による牽引時などのように、車両外部からの作用力による車両の移動が検知されたときには、当該作用力により交流電動機に回転力が与えられて生じる逆起電力を用いて補機バッテリを充電することができる。これにより、補機バッテリから電力の供給を受けて動作する補機負荷の作動を継続できるため、他の車両による牽引時において車両を安全に走行させることができる。
なお、この発明の実施の形態と本願発明との対応関係については、交流電動機M1が「交流電動機」に相当し、直流電源Bが「直流電源」に相当し、システムリレーSR1,SR2が「回路開閉部」に相当する。また、コンバータ12およびインバータ14が「電力変換装置」に相当し、DC/DCコンバータ40が「電圧変換器」に相当する。そして、制御装置30は、システムリレーのオンオフ制御や電力変換装置および電圧変換器の動作を制御するための「制御装置」を構成する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2 駆動軸、3 ディファレンシャルギヤ、4 駆動輪、5 接地線、6,7 電力線、10♯ 直流電圧発生部、10,13 電圧センサ、11,24 電流センサ、12 コンバータ、14 インバータ、15 U相上下アーム、16 V相上下アーム、17 W相上下アーム、25 回転角センサ、30 制御装置、40 DC/DCコンバータ、41 電源配線、42 補機バッテリ、100 車両、B 直流電源、C0,C1 平滑コンデンサ、D1〜D8 逆並列ダイオード、L1 リアクトル、M1 交流電動機、Q1〜Q8 スイッチング素子、SR1,SR2 システムリレー。
Claims (1)
- 車両駆動力を発生するための交流電動機と、
第1および第2の電源線を介して直流電力を供給可能に構成された直流電源と、
前記直流電源と前記交流電動機との間で電力変換を行なう電力変換装置と、
前記第1および第2の電源線の間の直流電圧を降圧して補機バッテリに供給するための電圧変換器と、
前記直流電源と前記第1および第2の電源線との間に接続され、前記直流電源を前記電力変換装置から電気的に遮断するための回路開閉部と、
前記回路開閉部により前記直流電源が遮断されている場合に、車両外部からの作用力による前記車両の移動が検知されたときには、前記交流電動機に発生する逆起電力を電力変換して前記第1および第2の電源線間に出力するように前記電力変換装置を制御するとともに、前記電圧変換器を動作状態とするための制御装置とを備える、車両。
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2011
- 2011-04-28 JP JP2011101594A patent/JP2012235591A/ja not_active Withdrawn
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WO2015050068A1 (ja) * | 2013-10-01 | 2015-04-09 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | 電力変換装置 |
US9744861B2 (en) | 2013-10-01 | 2017-08-29 | Hitachi Automotive Systems, Ltd. | Power conversion device |
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