JP2012231700A - 選択吸引装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】生産性を阻害することなくメンテナンス作業を行うことができる選択吸引装置を提供する。
【解決手段】種卵検査装置1は、搬入部2と検査部3と排除部4と搬出部5とを備えている。検査部3において未受精卵等であると判定された種卵を選択的に吸引して排除する排除4には、真空を発生させる真空ポンプPPと、種卵を真空吸引する吸盤部SKと、真空吸引した際において種卵の中身が吸い出された場合に、その中身を捕集するトラップ本体THを含むトラップユニットTUとが設けられている。トラップ本体THをトラップユニットTUに着脱可能に保持する留め部材CLが設けられている。セッタートレイから排除された特定の種卵を所定の箇所に廃棄する排除コンベアECが設けられている。
【選択図】図2
【解決手段】種卵検査装置1は、搬入部2と検査部3と排除部4と搬出部5とを備えている。検査部3において未受精卵等であると判定された種卵を選択的に吸引して排除する排除4には、真空を発生させる真空ポンプPPと、種卵を真空吸引する吸盤部SKと、真空吸引した際において種卵の中身が吸い出された場合に、その中身を捕集するトラップ本体THを含むトラップユニットTUとが設けられている。トラップ本体THをトラップユニットTUに着脱可能に保持する留め部材CLが設けられている。セッタートレイから排除された特定の種卵を所定の箇所に廃棄する排除コンベアECが設けられている。
【選択図】図2
Description
本発明は選択吸引装置に関し、特に、特定の卵を選択的に吸引する選択吸引装置に関するものである。
卵を選択的に吸引する選択吸引装置として、卵を選択的に吸引して排除する排除部を備えた卵の種卵検査装置を例に挙げて説明する。鶏卵等に代表される卵には、食用のための卵の他に、雛を生産するための卵がある。このような卵は、特に、「種卵」と称されている。種卵を所定の温度等の一定の環境のもとで所定の日数暖めると雛が孵化する。雛を大量に生産する孵卵場では、ある一定期間に得られた種卵が、所定の同じ日に一斉に孵化するように、生産工程が管理されている。
種卵の内部では、産卵の時点から胚の発生が進行する。このため、所定の環境のもとで種卵を保持することによって、胚の細胞分裂を抑えて種卵を休眠させる。所定数の種卵が貯まると、予備加温を行うことによって休眠していた胚の活動を再開させる。種卵に汚れやひびがないかを検査し、セッタートレイと称される専用のトレイに載置される。セッタートレイに収容された種卵を、温度38℃の環境のもとで保持することにより孵卵工程に入る。孵卵工程を開始する日が入卵日とされ、その入卵日からの経過日数が、孵卵日数とされる。雛は、ほぼ孵卵日数21日目に生まれることになる。
孵卵日数18日目あるいは19日目になると、種卵の孵化に備えて、種卵を、セッタートレイからハッチャートレイと称される専用のトレイに移し替える作業が行われる。この移し替えの作業に際して、種卵には所定の検査が行われ、不良と判断された種卵を排除する作業が行われる。ここで、その種卵の検査と排除について説明する。
種卵といえども、すべての種卵が孵化するわけではなく、ある割合で当初から未受精の卵が含まれていたり、また、孵卵工程の途中において、胚の発育が止まってしまう発育中止卵がある。このような未受精卵や発育中止卵には、中身が腐ってしまうものがあり、中身が腐った卵は腐敗卵と呼ばれる。中身が腐るとガスが発生する。殻で閉じられた空間内においてガスが発生すると、卵内の圧力が高くなるので、腐敗卵の一部は爆発あるいは破裂する。
セッタートレイに収容されていた種卵が爆発(破裂)すると、腐った中身が飛び散り、その中身に含まれる雑菌が、周囲の健全な種卵までも汚染してしまうことになる。また、種卵にワクチンを接種する際に、内圧が上昇した種卵が、殻に注射針が接触するときの衝撃によって爆発してしまうことがある。また、爆発しないまでも、腐敗卵にワクチンを接種することによって注射針が汚染されてしまい、その汚染された注射針によって他の健全な種卵も汚染されてしまうことになる。さらに、ハッチャートレイに移し替えた後に種卵が爆発すると、すでに生まれた雛を汚染してしまうことがある。
このような汚染を未然に防ぐために、種卵を、健全に発育した種卵と未受精卵や発育中止卵等とに分ける生死判定を行い、未受精卵や発育中止卵と判定された種卵を排除する必要がある。種卵の生死を判定するために、所定の種卵検査装置が使用される。種卵検査装置の検査部では、たとえば、種卵に所定の光を照射し、種卵を透過した光の時間変動成分を解析することによって、その生死判定が行われる。
このとき、多量の種卵を処理する孵卵場においては、セッタートレイに収容された複数の種卵に同時に所定の光を照射することによって、その生死が判定される。判定結果は、セッタートレイの識別情報とセッタートレイ内の種卵の位置情報とともに記憶される。生死の判定が終了すると、種卵を収容したセッタートレイは、次に、種卵検査装置における選択吸引装置としての排除部へ搬送される。
排除部では、セッタートレイの識別情報、種卵の位置情報および判定結果に基づいて、未受精卵あるいは発育中止卵であると判定された種卵が、真空吸引によってセッタートレイから排除される。排除部には、セッタートレイ内に収容された複数の種卵のそれぞれに対応するように配置された複数の吸盤部と、その複数の吸盤部を保持する保持板とが配設されている。複数の吸盤部のそれぞれには、種卵を真空吸引するために真空ポンプ等によって発生させた真空が導かれる。
セッタートレイが搬送されてきた排除部では、保持部が下降することによって、複数の吸盤部のそれぞれが対応する種卵の上部に接触する。次に、種卵のそれぞれに接触する吸盤部のうち、未受精卵等であると判定された種卵に接触している吸盤部にだけ真空を導くことによって、その種卵が吸盤部に真空吸引される。次に、その状態で保持部を移動させることによって、未受精卵等であると判定された種卵が排除コンベアまで搬送される。次に、真空を遮断することによって、種卵は、吸盤部に真空吸引された状態から解放されて排除コンベア上に載置される。排除コンベア上に載置された種卵は、排除コンベアによって搬送されて廃棄されることになる。
こうして、未受精卵あるいは発育中止卵が排除されて、健全に発育した種卵だけを収容したセッタートレイが搬出部へ搬送され、そこから、次の工程へ向けて送り出される。従来の種卵検査装置では、以上のようにして、セッタートレイに収容された複数の種卵の一連の検査と排除が完了する。なお、卵を選択的に吸引する選択吸引装置を開示した特許文献の一例として、特許文献1がある。
しかしながら、従来の種卵検査装置では、次のような問題点があった。排除部では、セッタートレイに収容された種卵のうち、特定の種卵を真空吸引させるために、真空ポンプ等と吸盤部とを連通して真空を導く真空配管が、吸盤部ごとに取り付けられている。真空吸引することによって排除される種卵は、未受精卵あるいは発育中止卵であると判定された種卵である。上述したように、このような種卵では、卵殻にひびが入っていることがある。また、中身が腐ることによってガスが発生し、卵内の圧力が高くなっていることがある。このため、健全に発育した種卵の場合に比べて、真空吸引させた際に卵殻が割れやすい。
真空吸引する際に卵殻が割れてしまうと、その中身が真空配管に吸い出されてしまう。吸い出された中身が真空ポンプ等にまで到達すると、真空ポンプ等を壊してしまうことがある。また、腐った中身に含まれる雑菌によって排除部が汚染されてしまう。汚染されたまま検査と排除を続けると、汚染されていない健全な種卵までも汚染してしまうことになる。このため、複数の吸盤部と真空配管等を備えた排除部では、一つの真空配管に中身が吸い出される度にメンテナンス作業が必要になる。このため、特に、雛を大量に生産する孵卵場においては、その生産性が阻害されることになる。
特に、特許文献1に開示された卵の選択吸引装置では、メンテナンス作業を行う際に、マニホールドとプランジャを一括して取り外す必要がある。ところが、これらは重量的には比較的重たいため、マニホールドとプランジャーを一括して交換するのに手間を要した。また、プランジャーとマニホールドとは、互いに接触している部分から空気が漏れないように取り付けられているため、マニホールドをプランジャーから取り外すのが困難になることがあった。その結果、メンテナンス作業に時間を要し、生産性が阻害されることがあった。
一方、健康で丈夫な雛を生産するには、中身が真空配管に吸い出されることによる汚染対策に限らず、種卵を孵化させる一連の環境を常に衛生的に保つことが求められている。特に、上述した吸盤部のように、種卵に接触する部分は、吸い出された中身によって汚染されなくても、交差感染を防ぐために日常的に消毒等することが求められる。この際にも、孵卵場においては、その生産性を阻害することなく、消毒や交換等のメンテナンス作業を容易に行うことができることが求められている。
本発明は、上記開発の一環でなされたものであり、その目的は、生産性を阻害することなくメンテナンス作業を行うことができる選択吸引装置を提供することである。
本発明に係る選択吸引装置は、卵を選択的に吸引する選択吸引装置であって、真空発生部とトラップユニットと留め部材と第1真空配管と吸引部と第2真空配管とを備えている。真空発生部は真空を発生させる。トラップユニットは、真空発生部により発生した真空によって卵の中身を吸引した場合に、その中身を捕集するトラップ本体を含む。留め部材は、トラップ本体をトラップユニットに着脱可能に保持する。第1真空配管は、真空発生部により発生した真空をトラップ本体内に導く。吸引部は、トラップ本体内に導かれた真空によって一つの卵を吸引する。第2真空配管は、トラップ本体内に導かれた真空を吸引部に導く。
本発明に係る選択吸引装置によれば、卵を真空吸引した場合に卵殻が割れてしまい、卵の中身が吸い出されたとしても、吸い出された卵の中身は、トラップ本体に捕集されることになる。これにより、留め部材を外して、卵の中身を捕集したトラップ本体を交換するだけで、生産性を阻害することなくメンテナンス作業を行うことができる。
本発明に係る選択吸引装置として、種卵を選択的に吸引して排除する排除部を備えた種卵検査装置を例に挙げて説明する。
図1に示すように、種卵検査装置1は、検査対象の種卵を受入れる搬入部2と、搬入部2に受入れられた種卵が未受精卵や発育中止卵であるか否かの生死等を判定する検査部3と、検査部3において未受精卵等であると判定された種卵を排除する排除部4と、未受精卵等が排除された後の種卵を次の工程へ向けて送り出す搬出部5とを備えている。後述するように、所定のセッタートレイに収容された検査対象の複数の種卵は、矢印Y1に示すように、搬入部2から検査部3へ送られ、そして、矢印Y2に示すように、排除部4を経て搬出部5へ送られる。
次に、検査部3において未受精卵等であると判定された種卵を選択的に吸引して排除する排除部4について説明する。図2に示すように、排除部4には、真空を発生させる真空ポンプPPと、種卵を真空吸引する吸盤部SKと、真空吸引した際において種卵の中身が吸い出された場合に、その中身を捕集するトラップ本体THを含むトラップユニットTUとが設けられている。また、特定の種卵を吸盤部SKに真空吸引させた状態でトラップユニットTUを移動させるトラップユニット移動部DPが設けられている。さらに、セッタートレイから排除された特定の種卵を所定の箇所に廃棄する排除コンベアECが設けられている。
図3、図4および図5に示すように、トラップユニットTUでは、複数のトラップ本体THのそれぞれは、セッタートレイに収容された複数の種卵のそれぞれに対応するように下側プレートBPに固定されて、下側プレートBPと上側プレートTPとの間に挟み込まれている。トラップ本体THのそれぞれは、種卵の中身が吸い上げられた場合にその中身を捕集しうるように筒状とされている。また、捕集された種卵の中身をトラップ本体THの外側から視認することができ、かつ、アルコール等の洗浄液に耐えうるように、トラップ本体THのそれぞれは、たとえば、透明な塩化ビニルから形成されている。
下側プレートBPには、下側プレートBPを貫通してトラップ本体THのそれぞれに連通する、真空配管VP2として下側吸口ピンBSが取り付けられている。下側プレートBPから上方に突出する下側吸口ピンBSの開口端BSEは、トラップ本体THの底よりも高い位置にある。下側プレートBPから下方に突出する下側吸口ピンBSの端部のそれぞれには、吸盤部SKが取り付けられている。吸盤部SKは、下側吸口ピンBSに取り付けられた状態で、セッタートレイに収容された複数の種卵のそれぞれに対応する所定の位置に配置されることになる。
上側プレートTPには、上側プレートTPを貫通してトラップ本体THのそれぞれに連通する、真空配管VP1の一部として上側吸口ピンTSが取り付けられている。上側プレートTPから下方に突出する上側吸口ピンTSの開口端TSEは、下側吸口ピンBSの開口端BSEよりも高い位置にある。また、上側吸口ピンTSの開口端TSEは、下側吸口ピンBSの開口端BSEが位置する方向とは反対側の方向に向けられている。さらに、図6に示すように、トラップ本体THを上方から平面視した場合に、上側吸口ピンTSは、下側吸口ピンBSとは平面的に異なる位置に取り付けられている。
また、図5に示すように、上側プレートTPから上方に突出する上側吸口ピンTSの端部のそれぞれには、真空ポンプPPに連通する真空配管VP1が接続されている。それぞれの真空配管VP1の途中には、弁開閉部VCが設けられている。弁開閉部VCの開閉は、種卵検査装置の動作等を制御する制御部CUによって制御される。検査部3において未受精卵等であると判定された種卵に関する情報に基づき、弁開閉部VCにおいて所定の弁を開けることで、その種卵に対応する吸盤部SKにだけ真空が導かれることになる。なお、真空ポンプPPと弁開閉部VCを設ける替わりに、エジェクター(図示せず)を使用してもよい。
トラップ本体THが固定された下側プレートBPは、たとえば、パチン錠等の留め部材CLによって上側プレートTPに保持される。留め部材CLは、少なくともトラップユニットTUにおける互いに対向する部分に取り付けられている。下側プレートBPにおける互いに対向する部分を両手で保持しながら適当な指で留め部材CLを外すことで、トラップ本体THが固定された下側プレートBPを、上側プレートTPから容易に取り外すことができる。また、下側プレートBPが上側プレートTPに保持された状態で、トラップ本体THと上側プレートTPとの密着性を図るために、トラップ本体THのそれぞれの上部にはシール材SMが取り付けられている。
また、排除部4には、未受精卵等であると判定された種卵を排出するために排除コンベアECが設けられている。排除コンベアECは、セッタートレイが搬送される方向とほぼ直交する方向に配置されている。さらに、排除部4には、その排除コンベアECの上方にまでトラップユニットTUを移動させるトラップユニット移動部DPが設けられている。
次に、上述した種卵検査装置による、特定の種卵を排除する動作を含む一連の検査(動作)について説明する。種卵検査装置では、主として、2,3日後に孵化を控えている、孵卵日数18日目あるいは19日目の種卵が検査対象とされる。大量の雛を生産する孵卵場では、生産性を確保するために、所定数の種卵を同時に検査するバッチ処理が行われる。このため、図7に示すように、まず、検査対象の複数の種卵EがセッタートレイSTに細密充填されて、種卵検査装置1の搬入部2に搬入される。
次に、搬入部2に搬入された種卵Eは、セッタートレイSTに載置された状態で検査部3に搬送される。検査部3では、複数の発光素子(図示せず)のそれぞれから、対応する種卵へ向けて所定の強度の光が出射される。種卵の照射された光の一部は種卵内を透過して、対応する受光素子(図示せず)によって受光される。
受光素子によって受光された光は、電気信号として制御部CUへ送られて、あらかじめ取得されたデータと比較することによって、測定対象の種卵Eが、未受精卵あるいは発育中止卵であるか否かが判定される。この種卵検査装置1では、種卵Eを透過した光の強度に加えて、特に、種卵E内の胚の心拍や胎動に関する信号(バイタルサイン)を読み取ることで、種卵Eの生死が判定される。判定結果は、セッタートレイSTの識別情報と種卵Eの位置情報とともに記憶される。
検査が終了すると、図8に示すように、種卵Eを収容したセッタートレイSTは、排除部4(図2参照)のトラップユニットTUの直下に向けて搬送される(矢印Y3参照)。セッタートレイSTがトラップユニットTUの直下の所定の位置に到着すると、セッタートレイSTはその位置で停止する。次に、図9に示すように、トラップユニットTUが下降する(矢印Y4参照)。図10に示すように、セッタートレイSTに細密充填された種卵の配置に対応するように配置された複数の吸盤部SKのそれぞれは、対応する種卵Eに接触する。
次に、検査部3(図2参照)において取得された、セッタートレイSTの識別情報、種卵の生死の判定結果および種卵Eの位置情報に基づいて、未受精卵等であると判定された種卵EがセッタートレイSTから排除される。たとえば、紙面に向かって右端に位置する種卵が未受精卵等であると判定された場合を想定する。
この場合には、弁開閉部VCにおいて、その種卵に接触している吸盤部SKに通ずる真空配管VP1の弁が開けられて、真空ポンプPPによって発生した真空が、真空配管VP1(上側吸口ピンTS)、トラップ本体THおよび下側吸口ピンBSを経て吸盤部SKに導かれる。吸盤部SKに真空が導かれることで、吸盤部SKと種卵Eとによって囲まれた空間が外気に対して負圧となって、種卵Eが吸盤部SKに吸引される。
次に、図11に示すように、種卵Eを吸盤部SKに吸引させた状態でトラップユニットTUが上昇する(矢印Y5参照)。さらに、図12に示すように、種卵Eを吸盤部SKに吸引させた状態でトラップユニット移動部DPを駆動させて、トラップユニットTUを排除コンベアECの上方にまで移動させる(矢印Y7参照)。
次に、弁開閉部VCにおいて、真空を導いていた特定の真空配管VP1の弁を閉じて真空を遮断する。次に、その真空配管VP1に空気を送り込むことで、真空破壊が行われ、種卵は吸盤部SKから離れて排除コンベアECの上に載置される。排除コンベアECの上に載置された種卵は、矢印Y8に示す方向に駆動することによって、所定の容器(図示せず)に廃棄されることになる。種卵を開放したトラップユニットTUは、トラップユニット移動部DPによって、元の位置にまで戻される。
次に、セッタートレイSTから、未受精卵あるいは発育中止卵が排除されて、健全に発育した種卵だけを収容したセッタートレイが搬出部5へ搬送される。搬出部5へ搬送されたセッタートレイは、そこから、次の工程へ向けて送り出される。こうして、セッタートレイSTに収容された複数の種卵Eの一連の検査が完了する。
すでに述べたように、未受精卵等であると判定された種卵Eは、卵殻にひびが入っていることがある。また、中身が腐ることによってガスが発生し、卵内の圧力が高くなっていることがある。このため、健全に発育した種卵の場合に比べて、真空吸引させた際に卵殻が割れやすい。
上述した種卵検査装置1では、排除部4にトラップユニットTUが設けられている。このため、種卵を真空吸引した場合に卵殻が割れてしまい、種卵の中身が吸い出されたとしても、吸い出された種卵の中身は、トラップユニットTUのトラップ本体THに捕集されることになる。これにより、吸い出された種卵の中身が真空ポンプPPまで達するのを阻止して、真空ポンプPPが壊れてしまうのを未然に防ぐことができる。
また、トラップユニットTUのトラップ本体THは、セッタートレイSTに細密充填される種卵Eのそれぞれに対応するように設けられている。すなわち、一つの種卵Eに対して一つのトラップ本体THが設けられている。これにより、一つの種卵Eから吸い出された中身が拡がることによって、他の健全な種卵までも汚染されてしまうのを未然に防ぐことができる。
さらに、種卵Eのそれぞれに対応するように設けられた複数のトラップ本体THが下側プレートBPに固定され、その下側プレートBPが留め部材CLによって上側プレートTPに着脱可能に留められている。これにより、種卵の中身が吸い出されてメンテナンス作業が必要になった場合には、下側プレートBPを取外すことによってメンテナンス作業を容易に行うことができる。
まず、図13に示すように、トラップユニットTUを所定の位置から少し上昇させた位置に保持する(矢印参照)。次に、その位置において、留め部材CLを外して上側プレートTPから、トラップ本体THが固定された下側プレートBPを取外し、所定の洗浄と消毒を行う。最後に、洗浄等のメンテナンス作業が完了した下側プレートBP(およびトラップ本体TH)を留め部材CLによって上側プレートTPに留めることで、一連のメンテナンス作業が完了する。
また、あらかじめ、洗浄と消毒を行った下側プレートBP(およびトラップ本体TH)を複数用意しておき、図14に示すように、メンテナンス作業の際に、その洗浄等済みの下側プレートBP(およびトラップ本体TH)に取り替えることで、生産性をほとんど阻害することなくメンテナンス作業を行うことができる。
また、上述したトラップユニットTUでは、上側吸口ピンTSの開口端TSEは、下側吸口ピンBSの開口端BSEよりも高い位置にある。また、上側吸口ピンTSの開口端TSEは、下側吸口ピンBSの開口端BSEが位置する方向とは反対側の方向に向けられている。さらに、トラップ本体THを平面視した場合に、上側吸口ピンTSは、下側吸口ピンBSとは平面的に異なる位置に取り付けられている。
これにより、種卵Eの中身が吸い出される場合に、下側吸口ピンBSから吸い上げられる種卵Eの中身が、上側吸口ピンTSを経て真空ポンプPPにまで達するのを確実に防ぐことができる。
なお、上述した種卵検査装置のトラップユニットTUでは、種卵から中身が吸い出されてトラップ本体THに捕集されたのを目視で確認することができるように、透明な材料から形成されたトラップ本体THを例に挙げて説明した。トラップ本体THとしては、完全に透明な材料から形成されている必要はなく、種卵の中身を視認することができる程度の透明な材料から形成されていればよい。また、そのような材料として、透明な塩化ビニルを例に挙げたが、耐薬品性を有する材料であれば、塩化ビニルに限られない。
また、種卵の中身を捕集することができるトラップ本体THの容量として、種卵複数個分の容量を確保しておくことが望ましい。これにより、たとえば、1日の処理が完了した後で、下側プレートBP(およびトラップ本体TH)を取外して洗浄し、翌日に再び取り付けて使用することができ、メンテナンス作業の頻度を少なくすることができる。
さらに、下側吸口ピンBSとしては、下側プレートBPとは別部材として下側プレートBPに取り付けることが望ましい。これにより、下側プレートBP(およびトラップ本体TH)を洗浄等する際に、誤って下側吸口ピンBSを折ってしまうようなことがあっても、折れた下側吸口ピンBSだけを新しい下側吸口ピンBSに交換すればよく、メンテナンス作業のコストも抑えることができる。上側プレートTPに取付けられる上側吸口ピンTSについても同様である。
また、トラップ本体THが固定された下側プレートBPを上側プレートTPに保持させる留め部材CLの例として、パチン錠を例に挙げたが、着脱が容易な留め部材であればパチン錠に限られない。さらに、上述した種卵検査装置では、検査対象の種卵として、鶏卵を例に挙げて説明したが、鶏卵に限られず、たとえば、アヒル、七面鳥、ウズラ等の種卵についても検査対象とすることが可能である。
また、卵の選択吸引装置としては、種卵検査装置の排除部に限られず、たとえば、種々のサイズの卵を収容したトレイから、特定のサイズの卵だけを選択的に吸引して所定のケースに収容する装置等にも適用することが可能である。
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、大量の卵の中から特定の卵を選別するのに有効に利用される。
1 種卵検査装置、2 搬入部、3 検査部、4 排除部、5 搬出部、6 カバー、TU トラップユニット、TH トラップ本体、BP 下側プレート、BS 下側吸口ピン、BSE 開口端、TP 上側プレート、TS 上側吸口ピン、TSE 開口端、SK 吸盤部、CL 留め部材、SM シール材、VC 弁開閉部、PP 真空ポンプ、VP1 真空配管、VP2 真空配管、CU 制御部、DP トラップユニット移動部、EC 排除コンベア、ST セッタートレイ、Y1〜Y10 矢印。
Claims (5)
- 卵を選択的に吸引する選択吸引装置であって、
真空を発生させる真空発生部と、
前記真空発生部により発生した真空によって卵の中身を吸引した場合に、その中身を捕集するトラップ本体を含むトラップユニットと、
前記トラップ本体を前記トラップユニットに着脱可能に保持する留め部材と、
前記真空発生部により発生した真空を前記トラップ本体内に導く第1真空配管と、
前記トラップ本体内に導かれた真空によって一つの卵を吸引する吸引部と、
前記トラップ本体内に導かれた真空を前記吸引部に導く第2真空配管と
を備えた、選択吸引装置。 - 前記トラップユニットでは、複数の前記トラップ本体がそれぞれ所定の位置に配置された、請求項1記載の選択吸引装置。
- 前記トラップユニットは、
複数の前記トラップ本体を下方から保持する下側プレートと、
前記下側プレートとの間に複数の前記トラップ本体を挟み込むように、複数の前記トラップ本体の上方から配置された上側プレートと
を含み、
複数の前記トラップ本体を保持する前記下側プレートが、前記留め部材によって前記上側プレートに対して着脱可能に保持され、
前記第1真空配管は、前記上側プレートを貫通して複数の前記トラップ本体のそれぞれに連通する上側吸口ピンを含み、
前記第2真空配管は、前記下側プレートを貫通して複数の前記トラップ本体のそれぞれに連通する複数の下側吸口ピンを含む、請求項2記載の選択吸引装置。 - 前記下側プレートおよび前記上側プレートの少なくとも一方は、透明な部材によって形成された、請求項3記載の選択吸引装置。
- 前記留め部材は、少なくとも前記トラップユニットにおける互いに対向する部分にそれぞれ取り付けられている、請求項1〜4のいずれかに記載の選択吸引装置。
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