以下の記述では、記号jは、2つの異なる形で使用される。いくつかの例では、記号jは、虚数の平方根−1を示す(ejφ(i)に見られるように)。別の例では、記号jは、行列の列などの指数を示すのに使用される(Wijに見られるように)。両方の使用例とも、当技術分野で一般的であり、当業者は、記号jが現れるそれぞれの例の文脈から、これらの2つのうちのどちらが意図されているかを理解するであろう。
以下の記述では、下線はベクトルを示すのに使用され(hに見られるように)、ボールド体は、行列を示すのに使用される(Wに見られるように)。時間領域のベクトルおよび行列は小文字で表示され(hに見られるように)、周波数領域のベクトルおよび行列は大文字で表示される(Wに見られるように)。
その文脈により明白に限定されない限り、「得る」という用語は、計算、算出、測定、推定、受信(例えば、外部装置から)、および、検索(例えば、記憶素子から)を含む任意のその通常の意味を示すのに使用される。その文脈により明白に限定されない限り、「算出する」という用語は、その通常の意味に加えて、計算または他の算出の結果に従って値を選択する(例えば、リストまたは表から)ことを含み、「算出された値」という用語は、その通常の意味に加えて、計算または他の算出の結果に従って選択された(例えば、リストまたは表から)値を含む。
図1に、代表的なOFDMシステムのブロック図を示す。送信機は、M個の複素数値を有するシンボルXを受信する。M個の複素数値のそれぞれがM個のサブキャリアの対応する1つに変調されたデータ値を表す。データ値は、テレビジョンまたは他の高帯域幅信号などの1つの直列データストリームから導出されることができる。別法として、データ値は、多重接続方式などでの、2つ以上(最大M)の異なるデータストリームから導出されることができる。ユーザトラフィックに対応するデータ値に加えて、データ値は、1つまたは複数のパイロット信号も含むことができ、このパイロット信号の値は、(例えば、既知の擬似ランダム系列に基づいた)時間および/または周波数の確定関数である。シンボルXは、また、データ値間に点在するならびに/またはデータ値から離れて集まるナル値を含むことができる(例えば、周波数領域の最低端および/または最高端のキャリアに対応する値の)。
サブキャリアは、m−aryPSK(例えば、QPSK)またはm−aryQAM(例えば、16−QAMまたは64−QAM)などの方式に従って変調されることができる。変調方式は、サブキャリアごとに変化してよく、このような変化により、ある制約条件下で容量を増加させ、またはビット誤り率を減少させることができる。誤り検出、エラー訂正、ならびに/あるいは、エンコード、パンクチュアリングおよび/またはインターリビングなどの過剰コード化処理は、変調の前にデータ値上で前もって実行されてよい。
図2Aに示すように、送信機は、逆高速フーリエ変換すなわちFFT(少なくと、M個の点において)をシンボルXに適用し、対応する複素時間領域シークエンスxを得る。送信機は、シンボル間にガードインターバルを挿入して、シンボル間干渉を減少させることができる。典型的には、送信機は、シークエンスxの巡回拡張によりこのインターバルを挿入する。例えば、送信機は、シークエンスxの最後のNビットのコピーをそのシークエンスの最初の部分に巡回プレフィクス(cyclic prefix)として付加することができ、巡回プレフィクスの長さNは、チャネルインパルス応答の予想長さLと少なくとも同じ長さになるように選択される。DVB送信機は、シークエンスの長さの1/32、1/16、1/8または1/4のガードインターバルを適用するように構成されることができる。ガードインターバルが挿入される前あるいは後のどちらかで、時間領域シークエンスは、伝送のために連続化される。2つの以上のこのような送信機が、MIMOシステム内に存在してよい。
M個のサブキャリアのいくつかは、パイロット信号を伝えるためにリザーブされてよい。典型的には、パイロット信号は、受信機において既知のアプリオリであってよいデータ値のパターンを形成する。パイロットキャリアの割り当ては、周波数領域の全体に配分されてよく、チャネル応答が、伝送の帯域幅の全体において調べられるようにする。キャリアの割り当て方式は、固定されるあるいは経時的に変化してよい。DVB規格は、各シンボル間のパイロット信号を用いてキャリアが変調される連続パイロットと、いくつかのシンボル間のパイロット信号を用いてならびに別のシンボル間のトラフィック信号を用いてキャリアが変調される分散パイロットを含む方式を規定する。図3に、このような割り当て方式の一例を示しており、白丸がトラフィックチャネルを示しており、黒丸がパイロットチャネルを示している。この実施例では、分散パイロットは、周波数において12キャリアの間隔で発生し、3キャリアごとにあるシンボルから次のシンボルへずれており時間において4シンボルの期間を有するパターンに従う。
伝送路の効果は、ランダムノイズ(例えば、付加白色ガウス雑音)およびマルチパスフェージング(multipath fading)を含む。チャネル効果は、時間の関数hおよび/または周波数の関数Hとしてモデル化される。受信機では、信号が並行処理され、巡回拡張が除去される。得られる時間領域信号yは、図2Bに示すような受信される周波数領域シンボルYに(例えば、FFTを使用して)変換される。シンボルYが等化されて、伝送されたシンボルXの推定が得られる。さらなる処理は、復調と復号化を含んでよい。
シングルキャリアシステムと比較して、OFDMシステムなどのマルチキャリアシステムは、符号間干渉(ISI)の減少およびマルチパス効果に対するロバストネスの向上を示すことができる。経時的な連続シンボルの直交性は、巡回拡張などのガードインターバル(例えば、プレフィクス)を挿入することにより維持される。OFDMシステムは、また、それぞれのナローサブチャネルの全体で比較的均一の周波数応答を有する傾向がある。
低移動度の携帯装置から車載用の車両用機器までの範囲の移動性の用途においてマルチキャリアまたはOFDM信号の受信を補助することが望ましい場合がある。例えば、可動の環境下でDVB信号の受信を補助することが望ましい場合がある。チャネル応答は、チャネル推定がより重要ならびに困難にもなるように、移動性の用途において経時的に変化することが期待される場合がある。
インパルス雑音がないとき、1つのシンボル区間を介して受信されるマルチキャリア信号は、伝送されるシンボル、チャネル応答およびランダム雑音プロセスの関数として時間領域内でモデル化されることができる。
上式で、y(k)は時間iで受信される信号を示し、h(l)は遅延lでのチャネルインパルス応答を示し、x(k)は、時間kでの時間領域伝送信号を示し、n(k)は時間kでのランダムノイズプロセスの値を示し、Mはサブバンドの数を示し、Lはチャネルインパルス応答の長さを示す。ランダムノイズプロセスnは、ゼロ平均および分散σ2のガウス統計を有すると想定されてよい。
周波数領域では、式(1.1)のモデルは、
Y=HX+N (1.2)
として表されることができ、上式では、Yはyの周波数変換を示し;列ベクトルXはxの周波数変換を示し;列ベクトルNはnの周波数変換を示し;Hは、対角がベクトルWL hである対角行列であり、(M×L)行列WLは、周波数変換行列である。使用される周波数変換は、典型的には、離散フーリエ変換(DFT)であり、この離散フーリエ変換は、種々の高速フーリエ変換(FFT)方法の任意のものを使用して実行されることができる。
一例では、行列WLは、(M×M)DFT行列Wの最初のL列であり、その要素は以下のように定義される。
上式で、指数iおよびj、0<i,j<M−1、は、それぞれ行および列を示す。変換処理は、
のスケーリングファクタを含んでよい。別法として、この係数は、代わりに逆変換処理で適用されてよく、あるいは、2つの処理に分割されてもよい(例えば、変換処理および逆変換処理のそれぞれが
によって縮小される)。ベクトルWL hは、また、M個の要素の列ベクトルHとして表されることができる。(文脈から理解できるように、記号Hは、本明細書では、M個未満の要素のチャネル推定値ベクトルを示すのにも使用される。)
インパルス雑音の存在下では、1つのシンボル区間を介して受信されるマルチキャリア信号は、以下の式に従って時間領域内でモデル化されることができる。
上式では、y(0)(k)は、時間kで受信される信号を示し、i(k)は時間kでのインパルス雑音事象の状態を示す。
周波数領域では、式(2.1)のモデルは、
Y (0)=HX+I+N (2.2)
として表されることができ、上式では、列ベクトルY (0)はy (0)の周波数変換;列ベクトルIはiの周波数変換を示す。
インパルス雑音事象は、ポアソン分布に従って経時的に発生することが想定される。各インパルス雑音事象は、シンボル区間に比べて短い期間を有し、各事象のエネルギーが、シンボル内のいくつかの、多くの、あるいは、全てのキャリア上に分配されるようにする。受信される信号内でのインパルス雑音の影響を軽減することが望まれる場合がある。
図4Aに、一実施形態による方法M100のためのフローチャートを示す。タスクT100は、伝送路の推定応答を得る。既知の値(パイロット信号など)が、サブキャリアのいくつかのセットPを介して伝送される用途において、Xのこれらの要素の情報は、少なくともそれらのサブキャリア上の推定されるチャネル応答
を得るのに使用されることができる。式(2.1)または(2.2)のモデル内の種々のパラメータのうち、受信信号は既知であり、推定されるチャネル応答も少なくとも1つの受信シンボルに基づくことができるようにする。一実装形態では、タスクT100は、
に従って伝送路の応答の推定
を得る。ここで、X Pは既知である伝送されるシンボルのこれらの要素を含む列ベクトルである。チャネル推定法のための他の方法および構造は、本明細書に記載されており、タスクT100は、任意のこのような方法を実施するために実行されてよく、あるいはそうでない場合、任意のこのような方法により算出される推定チャネル応答を得る(例えば、他のストレージまたは他の装置から)ために実行されることができる。
上述したように、パイロット信号は、時間および/または周波数におけるサブキャリアの範囲の全体に亘って配分されることができる。いくつかの用途では、ヌルキャリアが、パイロット信号と共にあるいはパイロット信号の代わりに使用されることができる。この記述では、既知の伝送値に関連するパイロット信号の例を主として使用するが、他のデータ構造(パケットヘッダなど)または時間ベースの活動(同期系列など)に起因する伝送値の事前情報も、チャネル応答の推定に適用されることができる。
タスクT200は、基準信号を算出する。基準信号は、伝送される信号Xの既知の要素などの、受信信号により伝えられるデータの既知の部分に基づくことができる。基準信号は、また、推定チャネル応答などの、受信信号から得られる情報に基づいて計算されることができる。タスクT200の少なくともいくつかの実装形態では、基準信号が、受信信号の決定論的成分を推定する。例えば、タスクT200は、伝送路を介して受信される伝送信号の既知の部分を推定することができる。
タスクT200は、タスクT100で得られた推定チャネル応答に基づいて基準信号を算出するように構成されることができる。一実装形態では、タスクT200は、推定チャネル応答の結果と1つまたは複数のパイロット信号などの伝送シンボルの既知の部分との積として基準信号を算出する。例えば、タスクT200は、周波数領域の式
に従って基準信号を算出するために実施されることができる。別の実装形態では、タスクT200は、式
に従って、時間領域のコンボリューションとして基準信号を算出する。
タスクT300は、基準信号に基づいて雑音推定を算出する。図4Bに、タスクT300の実装形態T310を含む、方法M100の実装形態M110のためのフローチャートを示す。雑音推定算出のタスクT310は、受信信号の少なくとも一部分から基準信号を除去するサブタスクを実行する。基準信号の除去は、受信信号の余り内のインパルス雑音の検出および/または特徴づけを容易にすることができる。
タスクT310は、受信信号の少なくとも一部分から基準信号を取り去るために実施されることができる。例えば、タスクT310は、受信されたパイロット信号から基準信号を取り去るために実施されることができる。少なくともいくつかの実装形態では、タスクT300は、受信信号の推定される決定論的成分(例えば、基準信号)と受信される信号の少なくとも一部分との距離に基づいて、受信信号の推定される非決定論的成分を算出する。
タスクT400は、基準信号に基づいて補正信号を算出する。例えば、タスクT400は、雑音推定に基づいて基準信号を補正するために(すなわち、受信信号内の雑音の影響を低下させるために)実施されることができる。図5に、方法M100の実装形態M120のためのフローチャートを示す。方法M120は、補正信号を得るために、受信信号から雑音推定を取り去ることにより、雑音推定に従って受信信号を補正するタスクT400の実装形態T410を含む。
タスクT410は、周波数領域の式Y (1)=Y (0)−I (1)に従って補正信号Y (1)を算出するために実施されることができる。タスクT410は、また、受信信号からインパルス雑音推定を取り去る前に時間領域のインパルス雑音推定i (1)を周波数領域に変換するために実行されることができる。図5Bに、タスクT310を含む方法M110の実装形態M130のためのフローチャートを示す。
図6Aに、一実施形態による装置100のブロック図を示しており、これは、情報信号S10を受信するようにならびに対応する補正信号S40を生成するように構成される。基準信号発生器110は、基準信号S20を算出するように構成される。例えば、基準信号発生器は、本明細書に記載するタスクT200の実施を行うことができる。雑音推定計算機120は、基準信号S20に基づいて、雑音推定S30を算出するように構成される。例えば、雑音推定計算機120は、本明細書に記載するタスクT300の実施を行うことができる。信号補正器130は、受信信号S10および雑音推定S30に基づいて補正信号S40を生成するように構成される。例えば、信号補正器130は、本明細書に記載されるタスクT400の実施を行うように構成されることができる。
装置100の種々の素子は、例えば、同一のチップまたは1つのチップセット内の2つ以上のチップに存在する電子デバイスおよび/または光学デバイスとして実装されることができるが、そのような限定のない他の配置も考慮される。装置100の1つまたは複数の素子は、マイクロプロセッサ、埋め込みプロセッサ、IPコア、デジタル信号プロセッサ、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)(field−programmable gate arrays))、ASSP(アプリケーションスペシフィックスタンダードプロダクト)(application−specific standard products))、ASIC(アプリケーションスペシフィックインテグレーテッドサーキット)(application−specific integrated circuits))などの、論理素子(例えば、トランジスタ、ゲート)の固定アレイまたはプログラム可能な1つまたは複数のアレイ上で実行される1つまたは複数の集合の命令として、全体としてあるいは部分的に、実装されることができる。また、1つまたは複数のこのような素子は、共通の構造を有することができる(例えば、異なる時間に異なる素子に対応するコードの一部を実行するのに使用されるプロセッサ、または、異なる時間に異なる素子の代わりに処理を実行する電子および/または光学デバイスの配置)。
図6Bに、装置100の実装形態102のブロック図を示す。装置102では、信号補正器130が、受信信号S10から雑音推定S30を取り去るように構成される、可算器などのコンバイナ132として実装される。
図7Aに、方法M110の実装形態M200のためのフローチャートを示す。方法M200は、受信信号の推定される非決定論的成分に基づいて雑音推定を算出するタスクT300の実装形態T320を含む。
タスクT320は、受信信号から基準信号を除去するサブタスクを含む。例えば、タスクT320は、時間領域において受信信号と基準信号との差異を算出するように構成される。1つのこのような実装形態において、タスクT320は、式
ここで、
は受信信号の推定される非決定論的成分を表す、に従って受信信号から基準信号を取り去る。この場合、タスクT320は、受信信号y (0)から基準信号を取り去る前に、周波数領域の基準信号
を時間領域に変換することができる。
タスクT320は、また、推定される非決定論的成分の1つまたは複数のなまった値を特定するサブタスクを含む。このサブタスクは、推定される非決定論的成分の値をしきい値S60と比較することを含んでよい。しきい値S60との比較は、推定される非決定論的成分の各値に対して実行されることができる。一例において、しきい値S60は、推定される非決定論的成分
の各時間領域サンプルの出力(例えば、大きさの2乗)と比較される。しきい値S60より大きい値(あるいは、別法として、しきい値S60以上)は、なまっていると特定される。別の実施例では、この比較は、出力以外(値の対数など)の時間領域のそれぞれの値の測定により実行されることができる。
別法として、しきい値S60は、ある時間枠での値の大きさの2乗の合計などの、ある時間枠内の1組の値に関連する測定値と比較されることができる。時間枠の幅(これは、シンボルの幅より大きい、と等しい、あるいは、より小さい)は、インパルス雑音事象の推定期間に従って選択されることができる。1つのこのような実施例では、しきい値S60は、その時間枠の幅に亘っての推定される非決定論的成分の平均信号出力と比較される。別のこのような実地例では、しきい値S60は、その時間枠の幅に亘っての推定される非決定論的成分の合計信号出力と比較される。時間枠の測定値がしきい値S60より大きい(あるいは、別法として、しきい値S60以上の)場合、その時間枠内の値はなまっていると特定される。別法として、値が、なまっていると特定された少なくとも一定数の時間枠内にある場合、その値はなまっていると特定されることができる。値が2つ以上の時間枠内にあるようにするために、隣接する時間枠は重複してよく、あるいは、各値が1つの時間枠内のみにあるようにするために重複しないでよい。
1つまたは複数の信号条件に従ってしきい値S60の値を得ることが望ましい場合がある。しきい値S60は、受信信号S10の出力の測定値から、あるいは、信号S10の一部(例えば、受信パイロット信号)の出力の測定値から、得られることができる。例えば、しきい値S60は、サンプルごとの平均チャネル出力の推定
に基づいてよく、これは、以下のような式に従って算出されることができる:
平均は、H (1)の値が利用できるシンボルの全てのサブキャリアに亘って、あるいは、シンボルのサブキャリアの集合P(例えば、パイロット信号の集合)に亘って得られることができる。式(3.1)での平均化は、平均値または中央値を使用して算出されることができる。別法として、しきい値S60は、別の統計フィルタを使用して算出されるチャネル出力の測定値に基づいてよい。
しきい値S60は、荷重係数を含んでよい。一例では、しきい値S60は値
を有し、ここで、w1は、高出力の信号のための間違い警報の確率に対する所望の検出率に平衡を保たせるように選択されることができる荷重係数である。一例では、w1の値は25である。
所定の値の集合の中からの選択に従いしきい値S60の値を変化させることが望ましい場合がある。例えば、w1の値は、電流信号特性とモデルのセットの1つとの間の適合に従って選択されることができる。別法として、しきい値S60またはその係数は、例えば、本明細書に記載する選択および/または算出に従って得られた値に固定されてもよい。
タスクT320は、なまっていると特定された推定される非決定論的成分の値から雑音推定i (1)を得るように構成される。雑音として分類される成分の各値に対して、その値の一部または全てが雑音に起因するとみなすことができる。雑音としてのサンプルの分類が正確である場合、サンプル出力の全てが雑音に起因と考えるほうが通常よい。というのは、なまったサンプルの雑音成分は、信号成分より大きい傾向があるからである。この場合、非直線性のブランキング(すなわち、出力ゼロ化)が、雑音推定の算出に使用されることができる。一例では、雑音推定i (1)は、以下の式に従って時間領域で計算される。
しかし、雑音としてのサンプルの分類が間違っている場合、サンプル出力の全てが雑音に起因すると考えることは、さらなる信号歪を引き起こす可能性がある。この場合、非直線性のリミッティング(または、クリッピング)が、代わりに、雑音推定の計算に使用されることができる。例えば、信号は、しきい値S60を超えるサンプル出力の一部分のみが雑音に起因すると考えることにより、以下のような式に従ってクリッピングされることができる。
図7Bに、方法M200の実装形態M210のためのフローチャートを示す。方法M210は、受信信号から雑音推定を取り去ることにより、雑音推定に従って補正信号を算出するタスクT400の実装形態T410を含む。
図8Aに、タスクT100のインスタンスに適用されることができる、パイロット信号ベクトルX Pの大きさ対周波数のプロットを示す。図8Bに、タスクT200のインスタンスによって算出されることができる、対応する基準信号
の大きさ対周波数のプロットを示す。図8Cに、タスクT320のインスタンスで算出されることができる非決定論的成分
の大きさの2乗対時間のプロットを示す。また、図8Cに、雑音推定i (1)を算出するために成分
に適用されるしきい値S60を示す。図示を容易にするために、図8Aおよび8Bは、実数値ベクトルのプロットを示すが、実際には、少なくともベクトル
は、典型的には、複素数値を有する。
図9に、装置100の実装形態200のブロック図を示す。基準信号発生器110の実装形態210は、周波数領域の値に作用するように構成され、雑音推定計算機120の実装形態220は、時間領域の値に作用するように構成される。また、図9に示す配置は、装置102の一部として構成されることができる変換ブロックX10を含む。別法として、変換ブロックX10は、分離素子またはプロセスとして構成されることができ、装置100のインスタンスを含むシステムが、たとえ装置100が作動されていない場合でも、情報信号S10の周波数変換を実行できるようにする。変換ブロックX10は、既知のあるいは展開することができるアーキテクチャまたはプロセスに従って、離散フーリエ変換(例えば、高速フーリエ変換)、または、用途に適した他の周波数変換を実行することができる。
基準信号発生器210は、基準信号S20のインスタンスS220を算出する(例えば、受信信号S10の周波数変換に基づいて)ように構成される。雑音推定計算機220は、基準信号S220および受信信号S10に基づいて、雑音推定S30のインスタンスS230を算出するように構成される。信号補正器130は、雑音推定S230および受信信号S10の周波数変換に基づいて、補正信号S40のインスタンスS240を算出するように構成される。
図10に、装置200の実装形態202のブロック図を示す。パターンS50は、パイロット信号パターンX Pなどの、伝送信号の既知の部分である。基準信号発生器212および雑音推定計算機222は、それぞれ、基準信号発生器210および雑音推定計算機220の実装形態である。
基準信号発生器212は、伝送路の推定応答を算出する(例えば、受信信号S10に基づいて)ように構成されるチャネル応答推定器105を含む。コンバイナ235は、その入力の両方に基づく出力を生成するように構成される。この実施例では、コンバイナ235は、推定チャネル応答にパターンS50を重ね合わせて周波数領域で基準信号を得るように構成される。パターンS50は、記憶され、生成され、ならびに/または、他の装置から受信されることができる。コンバイナ235は、基準信号
を得るために周波数領域ベクトル
およびX Pをかけるように構成される乗算器として実装されることができる。
逆変換ブロックX20は、周波数領域内で基準信号に逆周波数変換を実行して時間領域内で基準信号S222を得るように構成される。逆離散フーリエ変換(例えば、逆高速フーリエ変換)を実行するように構成されることができる逆変換ブロックX20は、既知のあるいは展開することができる任意のアーキテクチャまたはプロセスに従って構築されることができる。逆変換ブロックX20は、また、分離素子またはプロセスとして構成されることができ、装置100のインスタンスを含むシステムが、たとえ装置100が起動されていない場合でも、ブロックX20を使用して逆周波数変換を実行できるようにする。基準信号S222は、受信信号の決定論的成分を推定することができる。
別の実装形態では、基準信号発生器210は、推定チャネル応答
と既知のパターンx Pとをコンボリューションして時間領域内で基準信号
を得るように構成される。この場合、基準信号発生器210は、コンボルバとして実装されるコンバイナを含むことができる。
雑音推定器222は、受信信号S10から基準信号S222を取り去るように構成されるコンバイナ230を含む。出力計算機250は、重ね合わせされた信号の大きさの2乗を計算するように構成される。別の実装形態では、出力計算機250は、本明細書に記載するように、重ね合わせされた信号に時間枠を適用するように構成されることができる。比較器240は、出力値をしきい値S60と比較して時間領域内で雑音推定を得るように構成される。例えば、比較器240は、式(3.2)または(3.3)に記載する処理を実行するように構成されることができる。
変換ブロックX30は、時間領域の雑音推定に周波数変換を実行して周波数領域内に雑音推定S232を得るように構成される。離散フーリエ変換(例えば、高速フーリエ変換)を実行するように構成されることができる変換ブロックX30は、既知のあるいは展開することができる任意のアーキテクチャまたはプロセスに従って構築されることができる。変換ブロックX10およびX30は、異なる時間に異なる信号に作用する同一の構造またはプロセスとして実装されることができる。
信号補正器130は、周波数領域での雑音推定S232と受信信号S10との差異として補正信号S242を生成するように構成される。装置202の別の実装形態では、信号補正器130は、時間領域内で受信信号S10から雑音推定を取り去るように構成される。
上述のように、伝送信号が既知である信号S10のサブキャリアに対して、タスクT100は、対応する既知の伝送信号により受信信号を分割することによりチャネル応答の推定を得るように実装されることができる。
タスクT100は、また、集合Pにないサブキャリアに対してチャネル応答推定を得るために、(時間領域および/または周波数領域において)補間処理を含むように構成されることができる。推定H (0)は、推定チャネル応答H (1)として使用されることができ、あるいは、H (0)からH (1)を得るためにさらなる処理が実行されることができる。例えば、推定チャネル応答に、特に、チャネル応答の長さがサブキャリアの数よりもかなり少ないような用途に対しては、フィルタリングまたはカーブフィッティング処理を実行することが望ましい場合がある。フィルタリングされたチャネル応答推定を得るタスクT100の実装形態は、本明細書に記載されており、推定チャネル応答は、最小平均2乗(least−mean−squares(LMS))アルゴリズムなどの予測プロセスを例えば使用することにより、先の受信シンボルから得られる。
タスクT100は、初期推定H (0)に基づいてフィルタリングされたチャネル反応推定H (1)を得るように実装されることができる。図11Aに、このようなタスクを実行するのに使用されることができるチャネル推定器105の実装形態112のブロック図を示す。チャネル推定器112は、キャリアp∈Pに対して推定H0(p)からフィルタリングされた推定H1(p)を生成するように構成されるフィルタ400を含む。このような処理は、Pの他の要素に対してフィルタリングされた推定を得るために連続してならびに/または並行して実行されることができる。
タスクT100の実装形態T102は、初期チャネル応答推定を異なる領域に変換する、予想されるチャネルインパルス応答長さに従ってそれの端を切り捨てる、ならびに、切られた信号に逆変換を実行することによりチャネル応答推定を再算出する。このようなフィルタリングは、応答が経時的に比較的素早く変化する(例えば、あるシンボルから次のシンボルへ)チャネルに対して特に適する場合がある。一例では、タスクT102は、その逆離散フーリエ変換を利用することによりH (0)を時間領域シークエンスh (0)に変換する:
h (0)=IDFT(H (0))=WH H (0) (4.2)
上式では、上付き文字Hは、共役転置処理を示す。
典型的には、伝送シンボルXのM個の値のいくつかのみが、既知のアプリオリである(例えば、パイロット信号の集合P)。この場合、初期推定ベクトルH (0)は、Xのそれらの値に対応する要素のみを含むことができ、変換行列Wは、これらの要素に対応するWの列のみを含む減らした行列WPにより置き換えられることができる。
H (0)に逆変換を適用することにより、M個の要素のベクトルh (0)が生成される。しかし、チャネルインパルス応答は、既知であってよく、あるいは、Mより小さい長さLを有すると予想される場合がある。その結果、h (0)の最初のL個の値のみが有効であると想定され、さらに、残りの値が雑音であると想定されることができる。タスクT102は、h (0)の端を切り捨て(例えば、長さLに)、H (0)の領域に戻す切られたベクトルh 1の変換を適用してチャネル応答推定H (1)を得る。一実施形態では、h (0)の切り捨ては、Wの最初のL個の列のみを含む減少された変換行列WLを適用することにより実行される:
H (1)=DFT(IDFT(H (0))=WLWH H (0) (4.3)
一実施形態によるシステムまたは装置は、このような処理を実行するように構成されるフィルタ400の実装形態を含むことができる。当業者なら、変換行列(例えば、WL、WH)が、実行時間の前に算出されて記憶されることができることを理解するであろう。
タスクT100の別の実装形態T104は、1つまたは複数の先行するシンボル区間の間で受信される情報に基づいて、チャネル応答推定H (1)を得る。このようなフィルタリングは、応答が経時的に比較的ゆっくりと変化する(例えば、あるシンボルから次のシンボルへのランダム雑音プロセス未満)チャネルに対して特に適する場合がある。図11Bに、チャネル推定器105の実装形態114のブロック図を示す。推定器114は、遅延素子、および、キャリアp∈Pに対してシンボル区間lの間でチャネル応答のフィルタリングされた推定
を得る予測フィルタ410を含んでおり、
は、lより前のシンボル区間に対応する1つまたは複数の推定H(0)(p)(ならびに、場合によっては現行の推定
)に基づく。
タスクT104は、線形予測を実行するように構成されることができる。例えば、タスクT104は、先行するシンボル区間の間に受信された信号からの加重値の合計に基づいてチャネル推定を得ることができる。いくつかの例では(連続パイロットを伝えるキャリア上など)、加重値は、連続するシンボル区間に対応することができる。別の例では(分散パイロットを伝えるキャリア上など)、加重値は、連続しないシンボル区間(例えば、4つのシンボル区間ごと)に対応することができる。図12Aに、先行するシンボル区間の間に受信された信号のK個の加重値の合計を算出する予測フィルタ410の実装形態412を示す。Kの値は、固定されてよく、あるいは、チャネル応答の経時的に予想される変化率に基づいて選択されることができる。一実施形態では、Kの値は6である。
いくつかのフィルタ加重は適応型(例えば、固定されるのではなく、定期的にあるいはある事象ごとに更新されるで)であることが望ましい場合がある。例えば、加重の値は、H(0)(P)またはH(1)(P)の1つまたは複数の現行値、H(0)(P)またはH(1)(P)の1つまたは複数の過去の値、ならびに/または、別のキャリアからのチャネル応答推定の特性に基づいてよい。いくつかの場合、加重の値は、現行の推定
と
との差異などの誤差信号に基づいてよい。
タスクT104は、最小平均2乗(LMS)あるいは以下の式などの最急勾配法の適用に従って1組のフィルタ加重を更新するように構成されることができる:
上式では、Wl(p)はシンボル区間lに対する加重値のベクトル[W0,W1,...,WM-1]を示し;
は加重に対する入力値のベクトルに対応する複素共役を示し;el(p)は、値
を有する誤差信号を示し;μは、固定され、選択され、または、適合型であってよいステップサイズパラメータを示し;rは、連続パイロットキャリアに対しては1を有して分散パイロットキャリアに対しては4を有する。別の実施形態では、タスクT104は、正規化最小平均2乗または再帰的最小2乗アルゴリズムなどの関連する方法を適用するように構成されることができる。図12Bに、チャネル推定器114の実装形態116のブロック図を示しており、予測フィルタ412の実装形態414内での1つまたは複数の加重の値は、このようなアルゴリズムに基づいて更新されることができる。
経時的に変化するチャネル応答の一部分に予測作用を集中させることが望ましい場合がある。例えば、平均推定からの現行の推定の距離を予測することが望ましい場合がある。図13Aに、アベレージャ510および予測フィルタ410の実装形態416を含むチャネル推定器105の実装形態118のブロック図を示す。アベレージャ510は、2つ以上の雑音推定に基づく有限インパルス応答(finite impulse response(FIR))を有する移動式アベレージャとして実装されることができる。分散パイロットキャリアに対して、アベレージャ510は、以下の式に従って平均値を生成することができる:
上式で、αは、固定され、選択され、または、適応されてよい加重係数(0<α<1)である。別法として、アベレージャ510は、1つまたは複数の先行状態に基づく無限インパルス応答(infinite impulse response(IIR))を有する減衰積分器として実装されることができる:
上式で、βは、固定され、選択され、または、適応されてよい加重係数(0<β<1)である。一実施形態では、係数βは、63/64の値を有する。
フィルタ416は、平均推定からの現行の雑音推定の距離を示す値Gを受信する。図13Aの一例では、Gl(p)の値は、
として算出される。分散パイロットキャリアに対して、フィルタ416の加重値は、以下の正規化LMSの式に従って更新されることができる:
上式で、Gl(p)は、キャリアpおよびシンボル区間lに対しての加重に対する入力値のベクトル[G0,G1,...,GM-1]を示し、rは、連続パイロットキャリアに対しては1の値を有し、分散パイロットキャリアに対しては4の値を有する。
いくつかの用途では(例えば、非常に雑音のある環境では)、他のキャリア(隣接するキャリアなど)からの情報に基づいて加重の値を更新することが好適である場合がある。1組の(あるいは、全ての)キャリアを介する加重値補正の平均化は、より堅調なチャネル応答推定をもたらすことができる。分散パイロットの一例では、Pにおける分散パイロット(SP)に対しての補正値は平均化され、これらの全てのキャリアに対して同一の加重値が使用される。
同様の処理が、Pにおける連続パイロットキャリアに対して共通の加重値ベクトルを得るために適用されてよい。分散パイロットに対する加重は、この実施例では、シンボル区間ごとに更新されるが、キャリア上に新しいパイロット信号が出現するのに対応して、4つのシンボル区間ごとのみにおいてこれらのキャリアのそれぞれに対して新しいフィルタリングされた推定を算出することが望ましい場合があることに留意されたい。当業者には、タスクT104も、1つまたは複数の後続のシンボル区間の間(1つまたは複数の先行するシンボル区間の間に受信される情報に加えてあるいはそれの代わりとしてのどちらかで)受信される情報に基づいてチャネル応答推定H (1)を得るように実装されることができることを理解するであろう。
本明細書に記載するタスクT100の実装形態は、パイロット信号が伝送される間のシンボル区間に対してのチャンネル応答推定を得るために分散パイロットキャリアに適用されることができる。このようなタスクは、また、分散パイロット信号の間のシンボル区間におけるキャリアに対してのチャネル応答を得るために経時的に補間を実行することができる。
図13Bに、現行推定の区間に先行する3つのシンボル区間に対しての推定チャネル応答を算出する補間器520のブロック図を示す。この実施例では、この線形補間器に対する加重νは、以下のとおりである。
[ν0,0,ν1,0]=[0,1]
[ν0,1,ν1,1]=[1/4,3/4]
[ν0,2,ν1,2]=[1/2,1/2]
[ν0,3,ν1,3]=[3/4,1/4]
補間器520の他の実装形態は、非線形係数(例えば、2次または3次などの高次多項式、または、他のいくつかの関数または統計)を適用することができ、および/または、3つ以上の推定に基づいて補間を実行することができる。
タスクT100の一実装形態は、データキャリアに対してのチャネル推定を得るために周波数軸に沿って補間をさらに行うことができる。このような補間の可能性のある形態は、2つの最も近いパイロットチャネル推定の間の線形補完から、そのシンボル区間に対してのより多くの(場合によっては、全ての)利用可能なチャネル推定に基づくFIRまたはIIR補間にまで及ぶ。中間のパイロットおよび/またはデータキャリアに対してのチャネル応答推定の補間は、時間および周波数領域においての2次元(例えば、サーフェスフィッティング)処理として実施されることもできる。
時間領域においてのインパルス雑音に対しての推定の算出は、計算上において集中的である場合がある。例えば、時間領域の方法は、各受信信号に対しての1つまたは複数の追加の変換処理を含む場合がある。64−キャリアシステム(例えば、ワイヤレスLAN用)では、このような複雑さも許容される場合があるが、このような処理を補助するための追加チップ領域のコストが、数千のキャリア(例えば、DVB−T/H)を有するシステムに対しては非常に高価になる可能性がある。しかし、いくつかの実装形態では、チャネル応答を推定する、他のタイプの雑音を補正する、あるいは、コンステレーション点の集合に受信信号を写像する手順などの受信信号上での他の手順の間に実行される1つまたは複数の変換(および/または逆変換)処理の結果を再利用するために、本明細書に記載する時間領域の方法を構成することが可能である。同様に、異なる時間に異なる信号上でこのようなタスクを実行するように構成されることができる構造および/またはプロセスを含むシステム内でこのような方法を実行するための装置を構成することが可能である。
受信信号での周波数領域インパルス雑音(すなわち、「狭帯域干渉」)の影響を軽減することが望ましい場合がある。このような雑音事象のエネルギーは、典型的には、時間領域インパルス雑音事象より狭い帯域幅に亘って配分され、雑音事象は、1つまたは複数のシンボルに亘る1つまたは複数のキャリアを回復不能になまらせる。
狭帯域干渉は、他の通信伝送のスペクトルが所期の伝送のスペクトルと重複した場合に発生する場合がある。いくつかのデジタルテレビジョンシステムでは、例えば、アナログテレビジョン信号は、同一のスペクトル内で放送され、アナログルマ(luma)および/またはクロマテレビジョン(chroma television)信号(および/または、これらの信号の調波)用のキャリアが、デジタルテレビジョン受信機に対する狭帯域の同一チャネル干渉を示すことができるようにする。
図14Aに、方法M100の実装形態M300のためのフローチャートを示す。方法M300は、推定チャネル応答を得るタスクT100の実装形態T110を含む。タスクT110は、受信信号のなまったキャリア(例えば、狭帯域干渉によってなまったキャリア)を特定するサブタスクを含む。いくつかの実装形態では、タスクT110は、受信信号内のなまったキャリアを特定するために、受信信号S10にしきい値を適用する。例えば、タスクT110は、S10の各パイロット信号をしきい値と比較することができる。タスクT110は、また、修正推定H (1)を生成するため、特定されたキャリアに従って初期推定チャネル応答H (0)を修正する。
タスクT110は、例えば式(4.1)に従って、対応する既知の伝送信号により受信信号S10を分割することにより、チャネル応答の初期推定H (0)を得るように構成されることができる。このような推定は、少なくとも最初の反復に対しては、十分に正確である可能性があるが、任意の方法または本明細書に記載するチャネル応答の推定方法が、最初のまたは後続の反復に使用されることができる。例えば、タスクT110は、IFFTフィルタリングまたはカーブフィッティングなどの追加の処理、あるいは、最小平均2乗プロセスなどの先行するシンボルに基づく予測プロセスを使用して初期推定を得るように構成されることができる。
タスクT110は、受信信号S10の各パイロット値出力(例えば、大きさの2乗)としきい値S70とを比較することにより、なまったパイロット信号を特定するように構成されることができ、しきい値S70を超える(あるいは、別法として、しきい値S70以上の)出力を有するキャリアがなまっていると特定されるようにする。別法として、しきい値S70は、時間枠内の値の大きさの2乗の合計などの、ある時間枠内の1組の値に関連する測定値と比較されることができる。周波数におけるこの時間枠の幅は、インパルス雑音事象の推定される帯域幅に従って選択されることができる。そのような一例では、しきい値S70は、時間枠の幅の全体に亘る受信信号S10の平均パイロット信号出力と比較される。別のそのような実施例では、しきい値S70は、時間枠の幅の全体に亘る受信信号S10の合計パイロット信号出力と比較される。時間枠の測定値がしきい値S70より大きい(あるいは、別法として、しきい値S70以上である)場合、時間枠内の値はなまっていると特定される。別法として、値は、なまっていると特定される少なくとも一定数の時間枠内にある場合に、なまっていると特定されることができる。値が2つ以上の時間枠内にあるようにするために、隣接する時間枠は周波数において重複してよく、あるいは、各値が1つの時間枠内のみにあるようにするために重複しないでよい。
1つまたは複数の信号条件に従ってしきい値S70の値を得ることが望ましい場合がある。しきい値S70は、受信信号S10の出力の測定値から、あるいは、信号S10の一部(例えば、受信パイロット信号)の出力の測定値から、得られることができる。例えば、しきい値S70は、サンプルごとの平均チャネル出力の推定
に基づいてよく、これは、以下の式などの式に従って算出されることができる。
平均は、H (0)の値が利用できるシンボルの全てのサブキャリアに亘って、あるいは、シンボルのサブキャリアの集合P(例えば、パイロット信号の集合)に亘って得られることができる。式(5.1)での平均化は、平均値または中央値を使用して算出されることができる。別法として、しきい値S70は、別の統計フィルタを使用して算出されるチャネル出力の測定値に基づいてよい。
しきい値S70は、荷重係数を含んでよい。一例では、しきい値S70は値
を有し、ここで、w2は、高出力の信号のための間違い警報の確率に対する所望の検出率に平衡を保たせるように選択されることができる荷重係数である。一例では、w2の値は9である。
1組の所定の値の中からの選択に従ってしきい値S70の値を変化させることが望ましい場合がある。例えば、w2の値は、電流信号特性とモデルのセットの1つとの間の適合に従って選択されることができる。別法として、しきい値S70またはその係数は、例えば、本明細書に記載する選択および/または算出に従って得られた値に固定されてもよい。
図14Bに、方法M300の実装形態M310のためのフローチャートを示す。方法M310は、初期チャネル応答推定H (0)に基づいて、修正された推定チャネル応答H (1)を得るタスクT100の実装形態M120を含む。タスクT120は、1つまたは複数の初期推定H (0)に基づいて、なまった周波数に対しての新しいチャネル応答値を得るサブタスクを含む。タスクT120は、なまったと特定されるキャリアのそれぞれに対しての新しいチャネル応答値を得るように構成されることができる。
タスクT120は、なまった周波数に隣接するキャリアに対応するH (0)の値(例えば、なまった周波数に隣接する集合P内のキャリアに対応する
の値)から新しい値を得るように実施されることができる。例えば、タスクT120は、なまったキャリアの両側の1つまたは複数のH (0)の値に基づいて線形(または、高次)補間を実行するように実装されることができる。推定応答H (0)の形態に応じて、新しい値は、パイロットおよび/またはトラフィック周波数での推定チャネル応答から得られることができる。タスクT120は、また、2つ以上のなまったキャリアのギャップに跨って補間するように実施されることができる。
図15Aに、受信信号
の大きさの2乗対周波数のプロットを示す。また、図15Aに、タスクT110の実装形態に従った、しきい値S70と
の出力値との比較を示す。図示を容易にするために、1つのなまったキャリアcのみを示すが、タスクT110は、信号
のシンボル内の2つ以上のなまったキャリアを特定することができる。例えば、タスクT110は、信号
のなまっている2つ以上の隣接するキャリアを特定することができる。
図15Bおよび15Cに、推定チャネル応答ベクトルH Pの大きさ対周波数のプロットを示しており、黒丸は、初期推定応答ベクトル
を示す。図15Bに、タスクT120の実装形態に従った、修正された推定応答ベクトル
(白丸)に対してのなまったキャリアにおいての新しい値を得るための線形補間処理を示す。別のキャリア(例えば、なまっていない)においては、
および
の値は同一である。
図15Cに、タスクT120の別の実装形態に従った、修正された推定応答ベクトル
(白丸)に対してのなまったキャリアにおいての新しい値を得るためのカーブフィッティング処理(例えば、高次補間処理)を示す。図15Bおよび15Cは、単一のなまったキャリアcに対しての修正値の補間を示しているが、いくつかの場合では、タスクT120は、2つ以上のなまったキャリアのギャップに跨って補間することが望ましい場合がある。図示を容易にするために、図15Bおよび15Cは、実数値ベクトルのプロットを示すが、実際には、推定チャネル応答ベクトルHは、典型的には、複素数値を有する。当業者なら、異なる周波数における伝送路の応答は、シンボルごとに異なって変化する場合があり、その結果、集合P内の2つの異なる周波数におけるチャネルの応答の間の比は、典型的には、経時的に変化することを理解するであろう。
図16Aに、方法M100の実装形態M320のためのフローチャートを示す。方法M320は、雑音推定算出のタスクT300の実装形態T360を含む。タスクT360は、対応する伝送された値が既知であり、それらの値からシンボル内の他のキャリアに対しての雑音推定値を得るキャリアの1つの集合Pに対しての雑音推定値を算出するサブタスクを含む。例えば、タスクT360は、1組のパイロットキャリアに対して算出された雑音推定値
に基づいた雑音推定I (1)内のトラフィックキャリアに対しての雑音推定値を補間するように実装される。
図17Aおよび図17Bに、2種類の雑音推定ベクトルI (1)の大きさ対周波数のプロットを示してあり、黒丸は、やはりベクトル
である値を示す。図17Aに、タスクT360の一実装形態に従った、
で表されない周波数(白丸)におけるI (1)の値を得るための線形補間処理の結果を示す。図17Bに、タスクT360の他の実装形態に従った、
で表されない周波数(白丸)におけるI (1)の値を得るためのカーブフィッティング処理(例えば、高次補間処理)を示す。このような場合、
のゼロ値の間のキャリアに対しての値は、図17Bに示すように、フィットする曲線に従って補間されることができ、
のゼロ値の間のキャリアに対してゼロ値を前提にしておくことが望ましい場合がある。タスクT360は、また、補間された雑音推定をフィルタリングまたはスムージングする処理を含むことができる。
図16Bに、方法M320の実装形態M330のためのフローチャートを示す。方法M330は、雑音推定算出のタスクT360の実装形態T370を含む。タスクT370は、対応する伝送された値が既知であるキャリアの集合Pなどの、受信シンボルの一部分から基準信号を取り去ることにより、雑音推定ベクトル
の値を算出するサブタスクを含む。例えば、タスクT370は、
などの式に従って、周波数領域内の受信パイロット信号から基準信号を取り去るように実施されることができる。
図18に、タスクT120、T370およびT410を含む方法M310の実装形態M340のフローチャートを示す。図19に、このような方法の一実施形態の段階を示す一連のプロットを示す。図19の全てのプロットで、水平軸は、シンボル帯域幅の同一の位置を示しているが、種々のプロットの垂直軸は、全てが同じスケールではない。
図19のプロット(A)は、既知の伝送ベクトルX Pの一部を示しており、プロット(B)は、受信された信号
の対応する部分を示す。プロット(C)は、対応する初期推定チャネル応答ベクトル
の一部を示す。この実施形態では、ベクトル
は、(式4.1)に従って算出される。
図19のプロット(d)は、しきい値S70に対する、受信信号
の出力値を示す。この場合では、
の第2および第3の値が、しきい値を超えており、なまっていると特定されることが分かるであろう。プロット(E)は、新しい値(白丸)が初期チャネル応答推定の隣接する値に基づいてなまった位置において補間されている、修正された推定チャネル応答ベクトル
の対応する部分を示す。(プロット(C)および(E)は、シンボルの同一の部分に対応しているが、2つのプロットの垂直軸のスケールは異なっている。)
図19のプロット(F)は、基準信号
の一部分を示す。この実施例では、ベクトル
は、周波数領域の式
に従って、プロット(A)および(E)に示す部分から算出される。プロット(G)は、式
に従って算出される雑音推定ベクトル
の対応する部分を示す。雑音推定ベクトルI (1)の他の要素に対しての値は、本明細書に記載されており、例えば図17Aおよび17Bに示されるように、
の値から補間されることができる。次いで、雑音推定に基づく補正信号Y (1)は、例えば周波数領域の式Y (1)=Y (0)−I (1)に従って得られることができる。
図20に、周波数領域内の値に作用するように構成される装置100の実装形態300のブロック図を示す。変換ブロックX10は、装置300の一部としてあるいは分離素子またはプロセスとして構成されることができる。基準信号発生器110の実装形態310は、(例えば受信信号S10に基づいて)基準信号S20のインスタンスS320を算出するように構成される。雑音推定計算機120の実装形態320は、基準信号S320および受信信号S10の少なくとも一部分に基づいて、雑音推定S30のインスタンスS330を算出するように構成される。信号補正器130は、雑音推定S330および受信信号S10に基づいて、補正信号S40のインスタンスS340を算出するように構成される。
図21に、装置300の実装形態302のブロック図を示す。基準信号発生器312および雑音推定計算機322は、それぞれ、基準信号発生器310および雑音推定計算機320の実装形態である。
基準信号発生器312は、(例えば、受信信号に基づいてよい)伝送路の推定応答を算出するように構成されるチャネル応答推定器110を含む。例えば、チャネル応答推定器105は、式(4.1)または本明細書に記載する別の処理に従って、初期推定チャネル応答H (0)を算出するように構成されることができる。
出力計算機255は、受信信号の大きさの2乗またはその一部分(例えば、集合P内のキャリアに対応する値)を算出するように構成される。別の実装形態では、出力計算機255は、本明細書に記載するように、受信信号に時間枠を適用するように構成されることができる。比較器260は、なまったキャリアを特定するために、本明細書に記載するように、出力値をしきい値S70と比較するように構成される。例えば、比較器260は、シンボルのどのキャリアがなまっているかの論理(例えば、バイナリ)命令を出力するように構成されることができる。
補間器270は、比較器に従ってなまっていると特定されたキャリアに対しての新しい推定チャネル応答値を補間し、修正された推定チャネル応答ベクトル
を生成するように構成されることができる。このような補間は、線形(例えば、各側の集合P内で最も近いなまっていないキャリア)であってよく、あるいは、高次多項式または別の関数に従ってよい。
コンバイナ235は、その入力の両方に基づいた出力を生成するように構成される。この実施例では、コンバイナ235は、修正チャネル応答
にパターンS50を重ね合わせて周波数領域で基準信号を得るように構成される。パイロット信号パターンX Pなどの伝送信号の既知の部分であるパターンS50は、記憶され、生成され、および/または、他の装置から受信されることができる。コンバイナ235は、基準信号
を得るために周波数領域ベクトル
とX Pとの要素ごとの乗算を実行するように構成される乗算器として実装されることができる。
雑音推定器322は、受信信号S10の対応する部分(例えば、Y P)から基準信号S322を取り去って雑音推定ベクトル
を生成するように構成されるコンバイナ280を含む。補間器290は、
内の値から
に表されないキャリア(例えば、トラフィックキャリア)に対しての値を補間することにより、雑音推定ベクトルI (1)を生成するように構成される。信号補正器130は、Y (1)=Y (0)−I (1)などの式に従って補正信号Y (1)を算出するように構成される。
雑音推定に基づく受信信号によって伝えられるデータ値を推定することが望ましい場合がある。図22Aに、そのような実施形態による方法M400のフローチャートを示す。方法M400は、本明細書に記載する方法M100の一実装形態および等化タスクT600を含む。タスクT600は、推定チャネル応答H (1)に従って補正信号Y (1)を等化して、推定伝送信号X (1)を得る。一例では、タスクT600は、X (1)=(H(1))-1 Y (1)、ここで、H(1)=diag(H (1))、などの式に従って、ワンタップ等化処理を介して伝送シンボルXの推定を得る。タスクT600は、また、受信信号のなまったトラフィックキャリア(例えば、タスクT110でなまっていると特定されたパイロットの間または近傍のキャリア)によって伝えられるデータ値を推定するために、等化信号内の誤り訂正符号を復号化することを含むように実装されることができる。
方法M100の特定の実装形態に応じて、タスクT600は、集合P内にないキャリアに対しての推定チャネル応答H (1)の値を得るために、補間処理(例えば、線形補間処理、または、多項式、スプラインなどのカーブフィッティング処理を介する)の実行を含む場合がある。図23Aに、推定チャネル応答ベクトルHの大きさ対周波数のプロットを示す。黒丸は、集合P内のキャリアに対応する値を示しており、白丸は、線形補間を介して算出された他のキャリアに対しての値を示す。図23Bに、白丸がカーブフィッティングなどの高次補間処理を介して算出された他のキャリアに対しての値を示している同様のプロットを示す。図示を容易にするために、図23Aおよび23Bは、実数値ベクトルのプロットを示しているが、実際には、推定チャネル応答ベクトルHは、典型的には、複素数値を有する。
図22Bに、方法M400の実装形態M410のフローチャートを示す。方法M410は、補正信号に従って、チャネル応答を再推定するタスクT500を含む。例えば、タスクT500は、
などの式に従って、補正信号および既知の伝送された値に基づいた再推定チャネル応答を算出するように構成されることができる。別法として、タスクT500は、本明細書に開示する任意の他のチャネル応答の推定手法を適用するように実装されることができ、タスクT100およびT500が同一の手法を使用する必要はない。
一例では、タスクT100は、式
に従って推定
を得て、タスクT500は、式
に従ってチャネル応答を再推定する。別の実施例では、タスクT100は、本明細書に記載する逆変換または予測手法を使用して推定
を得て、タスクT500は、式
に従ってチャネル応答を再推定する。タスクT500は、集合P内にないキャリア(例えば、トラフィックチャネル)に対してのH (2)の値を得るためのサブタスクを含むことができる。このサブタスクは、補間処理を含むことができ、H (2)の値も、利用可能な場合、H (1)からのトラフィックチャネル値に基づくことができる。
方法M410は、また、推定伝送信号X (1)を得るために再推定チャネル応答H (2)に従って補正信号Y (1)を等化する、本明細書に記載する等化タスクT600の実装形態T610を含む。一例では、タスクT610は、X (1)=(H(2))-1 Y (1)、ここで、H(2)=diag(H (2))、などの式に従って、ワンタップ等化処理を介して伝送信号Xの推定を得る。タスクT610は、集合P内にないキャリア(例えば、トラフィックキャリア)に対してのH (2)の値を得るサブタスクを含むことができる。このサブタスクは、補間処理を含むことができ、H (2)の値も、利用可能な場合、H (1)からのトラフィックチャネル値に基づくことができる。
図22Cに、一実施形態による方法M500のフローチャートを示す。方法M500では、タスクT200、T300およびT400が、推定チャネル応答として
(または、H (2))を使用して繰り返される。再推定および反復のこのようなプロセスは、現行の推定チャネル応答を使用して等化タスクT610が実行されるまで、所望の回数だけ繰り返されてよい。
図24に、チャネル応答が最後の反復の後に再推定されないという点で方法M500と異なる実施形態による方法M600のフローチャートを示す。本明細書に記載する装置100は、また、例えば、等化器(ワンタップ等化器など)、ならびに、反復制御およびデータ信号方向のための適切な決定論理を含むことにより、方法M400、M500、またはM600の実装形態を実行するように構成されることができる。
チャネル応答の再推定タスクT500の異なる反復では、異なるチャネル推定手法を使用してよい。また、方法M100の異なる実装形態が、異なる反復において使用されてよい。例えば、1つの反復において、方法M200の一実装形態(例えば、時間領域内で雑音推定を算出する)を含んでよく、一方、先行するならびに/または後続の反復においては、方法M300の一実装形態(例えば、周波数領域内で雑音推定を算出する)を含んでよい。
上述する実施形態は、雑音推定に従って受信信号を補正するように構成される方法および装置を含む。さらなる実施形態による方法M700は、受信信号の算出モデルの値に従って受信信号S10を補正する。
図25Aに、方法M700の実装形態のためのフローチャートを示す。タスクT100は、本明細書に記載する任意のチャネル応答推定手順に従って、伝送路の推定応答H aを得る。タスクT710は、受信信号S10によって伝えられるシンボルXを推定する。タスクT720は、推定シンボルの1つまたは複数のなまった値を特定する。タスクT730は、推定シンボルと、伝送路の推定応答と、基準信号の集合とに基づく受信信号のモデルsmを算出する。タスクT740は、なまった値の位置に基づいてならびに算出されたモデルsmの値に従って、受信信号S10を補正する。
タスクT710は、伝送路の推定応答を受信信号Yに適用することによりシンボルXを推定するように構成されることができる。例えば、タスクT710は、受信信号に等化処理を実行するように構成されることができる。このような1つ実施例では、タスクT710は、S=(Ha)-1 Y、ここでHa=diag(H a)、などの式に従って、ワンタップ等化処理を介して伝送シンボルXの推定Sを算出する。
タスクT720は、推定シンボルSの時間領域の値skをしきい値S80と比較することにより、推定シンボルの1つまたは複数のなまった値を特定するように構成されることができる。しきい値S80との比較は、推定シンボルの各値skに対して実行されてよい。一例では、しきい値S80は、推定シンボルsの各時間領域の値の出力(例えば、大きさの2乗)と比較される。しきい値S80より大きい(あるいは、別法として、しきい値S80以上の)値は、なまっていると特定される。別の実施例では、この比較は、出力以外(値の対数など)の時間領域の各値の測定によって実行されることができる。
別法として、しきい値S80は、時間枠内の値の大きさの2乗の合計などの、ある時間枠内の1組の値skに関連する測定値と比較されることができる。時間枠の幅(これは、シンボルの幅より大きい、と等しい、あるいは、より小さい)は、インパルス雑音事象の推定期間に従って選択されることができる。1つのこのような実施例では、しきい値S80は、その時間枠の幅に亘っての推定される非決定論的成分の平均信号出力と比較される。別のこのような実施例では、しきい値S80は、その時間枠の幅に亘っての推定される非決定論的成分の合計信号出力と比較される。時間枠の測定値がしきい値S80より大きい(あるいは、別法として、しきい値S80以上の)場合、その時間枠内の値はなまっていると特定される。別法として、値が、なまっていると特定された少なくとも一定数の時間枠内にある場合、その値はなまっていると特定されることができる。値が2つ以上の時間枠内にあるようにするために、隣接する時間枠は重複してよく、あるいは、各値が1つの時間枠内のみにあるようにするために重複しないでよい。
1つまたは複数の信号条件に従ってしきい値S80の値を得ることが望ましい場合がある。しきい値S80は、受信信号S10の出力の測定値から、あるいは、信号S10の一部(例えば、受信パイロット信号)の出力の測定値から、得られることができる。例えば、しきい値S80は、サンプルごとの平均チャネル出力の推定
に基づいてよく、これは、以下の式などの式に従って算出されることができる。
平均は、H aの値が利用できるシンボルの全てのサブキャリアに亘って、あるいは、シンボルのサブキャリアの集合P(例えば、パイロット信号の集合)に亘って得られることができる。式(5.1)での平均化は、平均値または中央値を使用して算出されることができる。別法として、しきい値S80は、別の統計フィルタを使用して算出されるチャネル出力の測定値に基づいてよい、式(5.1)は、精製された形のH a(フィルタリングならびに/または補間された形など)、先行モデルのH a、または、H aとは別に算出された推定などの、H a以外のチャネル応答推定を使用して算出されることもできる。
しきい値S80は、荷重係数を含んでよい。一例では、しきい値S80は値
を有し、ここで、w1は、高出力の信号のための間違い警報の確率に対する所望の検出率に平衡を保たせるように選択されることができる荷重係数である。一例では、w1の値は25である。
1組の所定の値の中からの選択に従ってしきい値S80の値を変化させることが望ましい場合がある。例えば、w1の値は、電流信号特性とモデルのセットの1つとの間の適合に従って選択されることができる。別法として、しきい値S80またはその係数は、例えば、本明細書に記載する選択および/または算出に従って得られた値に固定されてもよい。
タスクT720は、なまっていると特定された推定シンボル内の時間領域位置の命令を出力するように構成されることができる。一例では、タスクT720は、k∈{0,1,...,M−1}に対する以下の式に従って、2値ベクトルまたはマスクqを算出する。
推定シンボル内のなまった値の位置に関する情報は、受信信号S10の対応するサンプルの値を修正するのに使用されることができる。1つの単純な手法では、ゼロの値を、推定シンボルのなまった位置に対応する受信信号S10のサンプルに割り当てる。しかし、受信信号S10の単純な出力ゼロ化は、特に、なまっているサンプル位置の分類が不正確である場合に、歪を招く場合がある。
タスクT730は、なまった位置におけるS10のサンプルを修正するのに使用されることができる受信信号S10のモデルを算出する。タスクT730は、基準信号の集合に基づいて、1組の周波数領域の値を選択する(あるいはそうでない場合は、算出する)サブタスクを含むように実装されることができる。例えば、タスクT730は、推定シンボルSの各値を基準信号の集合の1つの写像するように構成されることができる。このような場合、タスクT730は、推定シンボルSの各値に対して、ある距離尺度に従って基準信号の集合の中の最も近い基準値を選択することにより、写像を行うように構成されることができる(例えば、ユークリッド距離)。
ベースバンドデジタル通信信号は、典型的には、1つの有限集合の状態を有しながら伝送される。基準信号の集合が、この集合の可能性のある伝送状態を表すことが望ましい場合がある。例えば、基準信号の集合は、信号を伝送するのに使用される変調方式により決定されるコンステレーション点の1つの集合であってよい。図26に、16−QAM変調方式のためのI−Q平面内のコンステレーション点の集合の一例を示す。また、図26に、16の対応する領域へのI−Q平面の区分を示しており、平面内の任意の点が、各軸に沿ったその領域の境界値とその点のIおよびQ値とを比較することにより、素早く適したコンステレーション点に写像されることができるようにする。このような形では、タスクT730は、推定シンボルSの各値に対して、コンステレーション点の集合から周波数領域値を選択するように構成されることができる。
タスクT730は、また、伝送路の応答の推定H bを、選択された(あるいはそうでない場合は、算出された)周波数領域値に適用するサブタスクを含むことができる。推定H bは、チャネル応答推定H aと同一であってよく、あるいは、推定H aの精製された形または先行モデルであってよく、あるいは、推定H aとは別に算出されてよい。一例では、推定H bは、フィルタリング(IFFT/FFTフィルタリングなど)および/または補間(例えば、パイロットキャリアにおける値から)によって推定H aから得られる。図25Bに、2つのサブタスクを有するタスクT730の実装形態T732を含む方法M700の実装形態M710のためのフローチャートを示す。
受信信号S10に基づいて、タスクT740は、算出されたモデルの値に従って補正信号を算出する。タスクT740は、また、推定シンボルのなまった値の位置に基づいて受信信号S10を補正するように実装されることができる。タスクT740の実装形態T742は、なまった値に対応する受信信号のサンプルをモデルの対応する値に入れ替えることにより受信信号S10を補正する。1つのこのような実施例では、タスクT742は、以下の式などに従って補正信号y(1)を算出する。
方法M100に関連して図22A、B、Cおよび24に示すように、方法M700も、補正信号の等化および/または反復などのさらなる処理を含むように実装されることができる。例えば、方法M700の1つまたは複数のタスクは、補正信号S740で反復されてよく(例えば、改良されたチャネル推定および/またはシンボル推定を適用する)、この反復は、等化処理の前に実行されることができる。方法M700は、また、受信信号S10の同一シンボルおよび/または連続するシンボルに対してのどちらでも、本明細書に記載する方法M100、M400、M500またはM600の実装形態とあいまって(例えば、前にあるいは後で)実行されてよい。別の実施例では、雑音推定のタスクT320は、タスクT730で算出されるモデルの対応する値に基づくしきい値を適用するように構成される。
図27に、情報信号S10を受信して対応する補正信号S740を生成するように構成される実施形態による装置700のブロック図を示す。チャネル応答推定器105は、本明細書に開示するチャネル応答推定手順に従って伝送路の推定応答を算出するように構成される。シンボル推定器710は、推定シンボルS710を算出するように構成される。例えば、シンボル推定器710は、本明細書に開示するタスクT710の実装形態を実行することができる。雑音検出器720は、推定シンボルS710の1つまたは複数のなまった値の位置S720を示すように構成される。例えば、雑音検出器720は、本明細書に開示するタスクT720の実装形態を実行することができる。モデル計算機730は、受信信号のモデルS730を算出するように構成される。例えば、モデル計算機730は、本明細書に開示するタスクT730の実装形態を実行することができる。信号補正器740は、受信信号S10、示された位置S720、および、算出されたモデルS730に基づいて補正信号S40を生成するように構成される。例えば、信号補正器740は、本明細書に開示するタスクT740の実装形態を実行するように構成されることができる。
装置700の種々の素子は、例えば、同一のチップまたは1つのチップセット内の2つ以上のチップに存在する電子デバイスおよび/または光学デバイスとして実装されることができるが、そのような制限のない他の配置も考慮される。装置700の1つまたは複数の素子は、マイクロプロセッサ、埋め込みプロセッサ、IPコア、デジタル信号プロセッサ、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)(field−programmable gate arrays))、ASSP(アプリケーションスペシフィックスタンダードプロダクト)(application−specific standard products))、ASIC(アプリケーションスペシフィックインテグレーテッドサーキット)(application−specific integrated circuits))などの、論理素子(例えば、トランジスタ、ゲート)の固定アレイまたはプログラム可能な1つまたは複数のアレイ上で実行される1つまたは複数の集合の命令として、全体としてあるいは部分的に、実装されることができる。また、1つまたは複数のこのような素子は、共通の構造を有することができる(例えば、異なる時間に異なる素子に対応するコードの一部を実行するのに使用されるプロセッサ、または、異なる時間に異なる素子に対して処理を実行する電子および/または光学デバイスの配置)。
図28に、装置700の実装形態702のブロック図を示す。シンボル推定器712、雑音検出器722、モデル計算機732、および信号補正器742は、それぞれ、シンボル推定器710、雑音検出器720、モデル計算機730、および信号補正器740の実装形態である。
シンボル推定器712は、推定チャネル応答に従って受信信号S10を等化するように構成されるコンバイナを含む。この実施例では、コンバイナ712は、チャネル応答推定H aに受信信号S10を重ね合わせて周波数領域内で推定シンボルS712を得るように構成される。コンバイナ712は、チャネル推定H aにより周波数領域ベクトルYの要素ごとの区分を(連続してならびに/または並行して)実行して推定シンボルSを得るように構成される乗算器を含むように実装されることができる。
(上述した)逆変換ブロックX20は、周波数領域内で推定シンボルSに逆周波数変換を実行して時間領域内で値sを得るように構成される。逆変換ブロックX20は、また、分離素子またはプロセスとして構成されることができ、装置700のインスタンスを含むシステムが、たとえ装置700が起動されていない場合でも、ブロックX20を使用して逆周波数変換を実行できるようにする。
出力計算機250は、それぞれの時間領域推定シンボル値skの大きさの2乗を算出するように構成される。別の実装形態では、出力計算機250は、本明細書に開示する推定シンボル値に時間枠を適用するように構成されることができる。比較器724は、出力値をしきい値S80と比較してなまった値を特定するように構成される。例えば、比較器724は、式(5.2)に記載されるような処理を実行するように構成されることができる。比較器724は、連続してならびに/または並行してシンボル値に作用するように構成されることができる。
モデル計算機732は、バリューセレクタ734およびコンバイナ736を含む。バリューセレクタ734は、基準信号の1つ集合から、コンステレーション点の1つの集合などの周波数領域値を選択するように構成される。例えば、バリューセレクタ734は、基準値と推定シンボルの値との距離を算出するように構成されることができる。別法として、バリューセレクタ734は、図26の実施例に示す領域境界の集合に従って推定シンボルの値を分類するように構成されることができる。
コンバイナ736は、選択された周波数領域値に推定チャネル応答を適用するように構成される。コンバイナ736は、算出されたモデルのリプレゼンテーション(representation)Smを得るために周波数領域値と推定チャネル応答との要素ごとの乗算を実行する(連続してならびに/または並行して)ように構成される乗算器として実装されることができる。逆変換ブロックX40は、1つのブロックX20あるいは複数のブロックX20の別のインスタンスとして実装されることができ、X40は、異なる時間に異なる信号に作用する同一の構造またはプロセスとして実装されることができる。
いくつかの実装形態は、シンボル推定器712によりならびにコンバイナ736により使用される推定チャネル応答が同一であるあるいは別々に得られるように、構成されるが、装置700は、これら2つの要素が異なるチャネル推定に適用されるように実装されることもできる。信号補正器742は、例えば上述の式(5.3)に従って受信信号S10に選択的置換処理を実行するように実装される。
方法M200の一例での処理を説明する式は、以下のように反復実行のn回目の繰り返しに一般化されることができる:
上式で、関数fは、タスクT320に関連して本明細書に記載するなまった値を特定する処理を示す。
方法M300の一例の処理を説明する式は、以下のように反復実行のn回目の繰り返しに一般化されることができる:
上式で、関数g1およびg2は、それぞれ、タスクT110に関連して本明細書に記載するなまったキャリアを特定する処理、および、タスクT310に関連して本明細書に記載する雑音推定の微分処理を示す。
方法M700の一例の処理を説明する式は、以下のように反復実行のn回目の繰り返しに一般化されることができる:
上式で、関数r1、r2およびr3は、それぞれ、タスクT720に関連して本明細書に記載するなまった値を特定する処理、タスクT730に関連して本明細書に記載するモデルを算出する処理、および、タスクT740に関連して本明細書に記載する置換処理を示す。
伝送シンボルXに対しての推定が得られると、最良のコンステレーション点を選択するために(例えば、最小距離評価に従って)、推定される伝送シンボルの各要素に対して決定処理が実行されることができる(例えば、サブキャリアに対して使用される変調方式に従って)。
本明細書に記載する方法および装置は、対応する受信シンボルに基づいて補正信号を算出するのに使用されることができる。このようなシンボルごとの処理は、シンボルのそれぞれの受信ストリームに対して繰り返されることができる。チャネル応答推定の場合、本明細書に記載するように、予め受信されたシンボルからの情報も使用されることができる。本明細書に記載する方法および装置の別の実装形態では、先行するシンボルからの雑音推定に関する情報も使用されることができる。経時的に繰り返すパルス様雑音事象の場合、例えば、これらの方法または装置は、そのような事象の区間を特定して探知するように構成されることができる。これらの情報は、特定のシンボルに対しての方法M100の適切な実装形態を予測するのに適用されることができ、処理サイクルをより適切に経時的に配分することにより電力消費を低下させるのを助けることができる。
狭帯域干渉事象は、経時的に相互に関連付けられることもできる。例えば、このような事象は、隣接するシンボル内のほぼ同一のキャリアの集合に影響を与える場合があり、および/または、ある期間に従ってこれらの周波数上で繰り返す場合がある。このような場合、1つまたは複数の以下のシンボルに対する処理において雑音推定情報を使用することが望ましい場合がある。例えば、本明細書に記載する方法または装置のこのような実装形態は、シンボルに対しての初期および/または修正チャネル推定を算出する前に後続の受信シンボルから雑音推定IまたはI Pを取り去るように構成されることができる。別の実施例では、本明細書に記載する方法または装置の実装形態は、しきい値S60、S70および/またはS80の算出により先行するシンボル内でなまっていると特定されたパイロットを除外するように構成されることができる。このような手法は、特に、チャネル応答がそうでなければ経時的に比較的一定である場合には、なまった周波数の改良された復号化を補助することができる。
一実施形態による方法または装置が適用される特定の方式に応じて、パイロット成分の伝送出力は、トラフィック成分の伝送出力と異なってよい。DVBシステムでは、例えば、パイロットキャリアの出力は、トラフィックキャリアの出力の4/3に等しい。パイロットキャリア値から、雑音推定および/または推定チャネル応答値などの、トラフィックキャリア値の補間におけるこれらのファクタを明らかにすることが望ましい場合がある。
別の実施形態では、方法M200の実装形態が実行され、ここでは、基準信号または決定論的成分がゼロであると想定される。例えば、タスクT100およびT200が省略されてよく、雑音推定が受信信号から直接算出されるようにする(例えば、時間領域内で受信信号をしきい値化することによって)。その結果、この方法で得られるチャネル推定は、方法M100、M400、M500、M600、またはM700のインスタンスにおいて初期チャネル推定として適用される。
方法M500、またはM600の実装形態は、反復において等化処理を含むことができ、第2または以降のパスでの伝送信号Xのベクトルが、トラフィック信号さらにはパイロット信号からの成分を含むことができるようにする。また、先行する反復からのXの推定に対して誤り訂正符号化およびそれに続くリエンコード(例えば、誤り検出、エラー訂正、および/または、エンコード、パンクチュアリングおよび/またはインターリビング)を実行することによりXに対しての新しい推定を得ることが望ましい場合がある。
本明細書に記載するインパルス雑音推定の方法が実行されたかどうかならびに/またはどのように実行されたかは、受信信号の1つまたは複数の特性および/または利用可能な供給出力またはエネルギーなどの、処理環境の他のファクタに応じて選択されることができる。例えば、別の実施形態は、受信信号の検出されるドップラー周波数に基づいて1つまたは複数のタスクおよび/または素子がアクティブ化または非アクティブ化される(例えば、方法M500またはM600の実装形態におけるさらなる反復)ような、ならびに/または、受信信号の検出されるドップラー周波数に基づいて1つまたは複数のタスクまたは素子の複雑さ(例えば、補間処理の複雑さまたはチャネル応答推定タスクの性質)が変化するようなシステム、方法および装置を含む。このような実施形態は、検出されるドップラー周波数に基づいてインパルス雑音推定の方法M100またはM700をアクティブ化または非アクティブ化することができる。少なくともいくつかの実施形態では、このような選択は、電力節約に利点をもたらすことができ、これは、典型的には、電池式(例えば、ハンドヘルド)でさらに熱伝達が制限される用途において重要な問題である。
装置100または700の1つまたは複数の素子は、トランジスタおよび/またはゲートなどの論理素子のアレイとして実装されることができる。素子は、一体に1つのチップにあるいは2つ以上のチップに跨って実装されることができる。1つまたは複数のこれらの素子を含むチップは、ビタビ復号、リード−ソロモンの前進型誤信号訂正などの他の処理機能を受信信号に実行するように構成されるアレイを含むこともできる。
装置100または700の実装形態は、1つまたは複数の構造を有する素子を使用して、ベクトル、行列、ならびに、他の計算および決定を補助するために、対応する加算、引き算、乗算、割り算、比較、加重、および、成分の他の数学的および/または論理的処理を実行するように構成されることができる。このような構造は、ハードウェア、ソフトウェアおよび/またはファームウェアに実装されることができる。このような構造または素子のいくつかまたは全ては、1つのデバイスまたはシステム内で他の方法および/または装置と共に共用されることもできる。
記載する実施形態の先の提示は、任意の当業者が本発明を製作または使用することを可能にするために与えられた。これらの実施形態の種々の修正形態が可能であり、本明細書に示される包括的な原理も、他の実施形態に適用されることができる。例えば、本発明は、部分的にあるいは全体として、ハードワイヤード回路として、特定用途向けICの中で作られる回路構成として、あるいは、非揮発性記憶装置へロードされるファームウェアプログラム、または、データ記憶媒体からもしくはデータ記憶媒体へロードされる機械可読コード(このコードは、マイクロプロセッサまたは他のデジタル信号処理ユニットなどの論理素子のアレイにより実行可能な命令である)などのソフトウェアプログラムとして実装されることができる。したがって、本発明は、上記に示す実施形態に限定されることを意図しておらず、むしろ、本明細書に任意の形式で開示する原理および新規の特徴に従う最も広い範囲と一致する。