JPH11215072A - 雑音除去装置及び雑音除去プログラムを記憶した記憶媒体 - Google Patents

雑音除去装置及び雑音除去プログラムを記憶した記憶媒体

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JPH11215072A
JPH11215072A JP10011680A JP1168098A JPH11215072A JP H11215072 A JPH11215072 A JP H11215072A JP 10011680 A JP10011680 A JP 10011680A JP 1168098 A JP1168098 A JP 1168098A JP H11215072 A JPH11215072 A JP H11215072A
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JP
Japan
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noise
signal
frequency domain
time domain
domain
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JP10011680A
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English (en)
Inventor
Shoichiro Yamazaki
彰一郎 山嵜
Hirokazu Tanaka
宏和 田中
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 時間領域および周波数領域の拘束条件が両方
とも成立していない場合でも、雑音除去を行って情報の
再生を可能とする。 【解決手段】 雑音位置推定部20において、周波数領
域の雑音係数を時間領域の雑音係数に変換したのち既知
の値に置き換えるステップ1の処理と、この置き換え後
の時間領域の雑音係数を周波数領域の雑音係数に戻した
のち既知の値に置き換えるステップ2の処理とを繰り返
すことで、時間領域における雑音の付加位置を推定し、
かつ雑音レベル推定部30において、時間領域の信号を
周波数領域の信号に変換したのち規定値に置き換えるス
テップ3の処理と、この置き換え後の周波数領域の信号
を時間領域の信号に置き換えたのち上記雑音位置推定部
20の推定結果をもとに既知の値に置き換えるステップ
4の処理とを繰り返すことで、時間領域および周波数領
域の信号レベルを推定するようにしたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、情報伝送システム
において、情報の再生品質を向上するための雑音除去装
置及び雑音除去プログラムを記憶した記憶媒体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】音声や画像等の情報信号を伝送するシス
テムでは、伝送路上で情報信号に雑音が加わって情報信
号の受信品質が劣化することがある。これは、特に無線
伝送路を使用したシステムにおいて多く発生する。
【0003】そこで、従来より種々の雑音除去システム
が提案されている。以下、その一つを、音声のような1
次元情報を伝送する場合を例にとって説明する。いまN
個の標本値からなる時間領域の情報信号ブロックをu=
(u0 1 …uN-1)、また時間領域の情報信号ブロッ
クに離散フーリエ変数(Discrete Fourier Transform:
DFT)を施して生成した周波数領域の情報信号ブロッ
クをU=(U0 1 …UN-1)と定義する。
【0004】ここで、情報信号に以下の拘束条件を仮定
する。すなわち、時間領域において情報は、図7(b)
に示すごとく um =0、m=0,1,…,P−1、m=N−P,N−
P+1,…,N−1 のように制限され、また周波数領域において情報は、図
7(a)に示すごとく Uk =0,k=P,P+1,…,N−1−P のように帯域制限されるものとする。但し、Pは0<2
P<Nの整数である。
【0005】DFTの入出力の関係は、
【数1】
【0006】で与えられ、また逆離散フーリエ変数(In
verse Discrete Fourier Transform:IDFT)の入出
力の関係は、
【数2】
【0007】で与えられる。
【0008】受信装置が情報信号を受信したとき、情報
信号は雑音などの影響により、時間領域に関しては例え
ば図7(d)のように、また周波数領域に関しては例え
ば図7(c)のようにそれぞれ劣化することが多い。
【0009】ここで、時間領域の雑音ブロックe=(e
0 1 …eN-1 )を定義し、時間ロ領域において情報信
号ブロックに雑音ブロックが付加された受信信号ブロッ
クv=(v0 1 …vN-1 )を vm =um +em ,m=0,1,…,N−1 のように定義する。また、vにDFT処理を施して生成
した周波数領域のブロックを、V=(V0 1 …V
N-1 )と定義する。ここで、雑音ブロックeにDFT処
理を施して生成した周波数領域の雑音ブロックをE=
(E0 1 …EN-1 )と定義したとき、 Vk =Uk +Ek ,k=0,1,…,N−1 の関係が成立している。
【0010】ところで、劣化した受信信号ブロックvか
ら、劣化する前の情報ブロックuを再生する手法に反復
法がある。この方法は、周波数領域の信号を周波数領域
の拘束条件で修正したのち時間領域の受信信号に変換す
る処理(ステップ1)と、この変換された時間領域の受
信信号を時間領域の拘束条件で修正したのち周波数領域
の信号に変換する処理(ステップ2)とを繰り返すもの
である。その詳細は“科学計測のための画像データ処
理、第8章、1994年、CQ出版に記されている。
【0011】図6は、反復法を実現する構成の一例を示
したものである。
【0012】(ステップ1)周波数領域の条件は、図7
(a)に示したように伝送帯域の両端の所定ビットが0
となるように設定されている。すなわち、k=P,P+
1,…,N−1−Pに対してUk =0と設定されてい
る。そこで、置換部1において、周波数領域条件記憶部
2に記憶された条件を基に、上記kに対して
【数3】
【0013】のような置き換えを行う。つまり、図8
(1)に示す置き換えを行う。そして、この置き換えら
れたVk 、k=0,1,…,N−1にIDFT3でID
FT処理を施し、図8(2)に示すvm 、m=0,1,
…,N−1を生成する。
【0014】(ステップ2)時間領域の条件は、図7
(b)に示したようにスロットの両端の所定ビットが0
となるように予め設定されている。すなわち、m=0,
1,…,P−1、m=N−P,N−P+1,…,N−1
に対し、um =0となっている。そこで、置換部4にお
いて、時間領域条件記憶部5に記憶された条件を基に、
上記mに対して
【数4】
【0015】のような置き換えを行う。つまり、図8
(3)に示す置き換えを行う。そして、この置き換えら
れたvm 、m=0,1,…,N−1に対し、DFT6で
DFT処理を施して図8(4)に示すVk 、k=0,
1,…,N−1を生成する。
【0016】以上のステップ1とステップ2を反復する
と、受信信号は劣化する前の信号に近づくことが証明さ
れている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の反復法
を用いて効果的な雑音除去を行うには、時間領域および
周波数領域の両方において予め拘束条件が成立している
ことが前提となる。現実的には、周波数領域の拘束条件
が成立していても、時間領域の拘束条件が不明である場
合が多い。このため、従来の反復法は付加雑音により劣
化した情報信号から元の信号を再生する場合には適用で
きない。
【0018】この発明は上記事情に着目してなされたも
ので、その目的とするところは、時間領域および周波数
領域の拘束条件が両方とも成立していない場合でも、雑
音除去を行って情報の再生を可能とする雑音除去装置お
よび雑音除去プログラムを記憶した記憶媒体を提供する
ことにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
にこの発明は、任意の数の成分からなるとともに周波数
領域成分の一部が既知の値を有する情報信号に雑音が付
加された信号を受信して、この受信信号に含まれる雑音
を除去する雑音除去装置において、雑音位置推定手段
と、雑音レベル推定手段とを備えている。そして、雑音
位置推定手段により、上記受信信号に付加された雑音の
時間領域における位置を、上記情報信号における周波数
領域成分の既知の値を基に逐次的に推定し、かつ雑音レ
ベル推定手段により、上記受信信号に付加された雑音の
時間領域における大きさを、上記情報信号における周波
数領域成分の既知の値と上記雑音位置推定手段の推定結
果とに基づいて逐次的に推定するようにしたものであ
る。
【0020】特に、上記雑音位置推定手段は、受信信号
に付加される雑音の時間領域における位置変数を判定す
るための第1の判定条件を記憶する第1の条件記憶手段
と、上記受信信号に付加される雑音の周波数領域におけ
る位置変数を判定するための第2の判定条件を記憶する
第2の条件記憶手段と、上記情報信号における周波数領
域の既知の値をもとに、上記受信信号に付加された雑音
の周波数領域における位置変数を求める位置変数算出手
段と、この位置変数算出手段により求められた雑音の周
波数領域における位置変数を時間領域に変換し、この変
換された時間領域の位置変数を上記第1の条件記憶手段
に記憶された第1の判定条件をもとに修正する第1の修
正手段と、この第1の修正手段により修正された時間領
域の位置変数を周波数領域に変換し、この変換された周
波数領域の位置変数を上記第2の条件記憶手段に記憶さ
れた第2の判定条件をもとに修正する第2の修正手段と
を備え、上記第1の修正手段による処理と上記第2の修
正手段による処理とを少なくとも1回繰り返すことによ
り付加雑音の位置を推定することを特徴とする。
【0021】また上記雑音レベル推定手段は、受信した
情報信号の時間領域の信号成分を保持する信号保持手段
と、受信した情報信号の時間領域の信号を周波数領域の
信号に変換し、この周波数領域の信号の成分うち上記既
知の信号成分に対応する信号成分を当該既知の信号に置
き換える第1の置換手段と、この第1の置換手段により
得られた周波数領域の信号を時間領域の信号に変換し、
この時間領域の信号の成分のうち、上記雑音位置推定手
段により推定された付加雑音の位置に対応しない信号成
分を上記保持手段に保持されている時間領域の信号成分
に置き換える第2の置換手段とを備え、上記第1の置換
手段による処理と上記第2の置換手段による処理とを少
なくとも1回繰り返すことにより付加雑音の大きさを推
定することを特徴とする。
【0022】従ってこの発明によれば、時間領域及び周
波数領域の拘束条件が両方とも成立していない場合、特
に周波数領域の拘束条件は成立しているものの時間領域
の拘束条件が成立していない場合においても、時間領域
の拘束条件を推定できるようになり、これにより受信信
号に付加された雑音の位置及び大きさを特定して当該雑
音を除去することが可能となる。このため、高品質の受
信信号を再生することができる。
【0023】一方他の発明は、任意の数の成分からなる
とともに時間領域成分の一部が既知の値を有する情報信
号に雑音が付加された信号を受信して、この受信信号に
含まれる雑音を除去する雑音除去装置において、雑音位
置推定手段と、雑音レベル推定手段とを備えている。そ
して、雑音位置推定手段により、上記受信信号に付加さ
れた雑音の周波数領域における位置を、上記情報信号に
おける時間領域成分の既知の値を基に逐次的に推定し、
かつ雑音レベル推定手段により、上記受信信号に付加さ
れた雑音の周波数領域における大きさを、上記情報信号
における時間領域成分の既知の値と上記雑音位置推定手
段の推定結果とに基づいて逐次的に推定するようにした
ものである。
【0024】特に、上記雑音位置推定手段は、受信信号
に付加される雑音の周波数領域における位置変数を判定
するための第1の判定条件を記憶する第1の条件記憶手
段と、上記受信信号に付加される雑音の時間領域におけ
る位置変数を判定するための第2の判定条件を記憶する
第2の条件記憶手段と、上記情報信号における時間領域
の既知の値をもとに、上記受信信号に付加された雑音の
時間領域における位置変数を求める位置変数算出手段
と、この位置変数算出手段により求められた雑音の時間
領域における位置変数を周波数領域に変換し、この変換
された周波数領域の位置変数を上記第1の条件記憶手段
に記憶された第1の判定条件をもとに修正する第1の修
正手段と、この第1の修正手段により修正された周波数
領域の位置変数を時間領域に変換し、この変換された時
間領域の位置変数を上記第2の条件記憶手段に記憶され
た第2の判定条件をもとに修正する第2の修正手段とを
備え、上記第1の修正手段による処理と上記第2の修正
手段による処理とを少なくとも1回繰り返すことにより
付加雑音の位置を推定することを特徴とする。
【0025】また上記雑音レベル推定手段は、受信した
情報信号の周波数領域の信号成分を保持する信号保持手
段と、受信した情報信号の周波数領域の信号を時間領域
の信号に変換し、この時間領域の信号の成分うち上記既
知の信号成分に対応する信号成分を当該既知の信号に置
き換える第1の置換手段と、この第1の置換手段により
得られた時間領域の信号を周波数領域の信号に変換し、
この周波数領域の信号の成分のうち、上記雑音位置推定
手段により推定された付加雑音の位置に対応しない信号
成分を上記保持手段に保持されている周波数領域の信号
成分に置き換える第2の置換手段とを備え、上記第1の
置換手段による処理と上記第2の置換手段による処理と
を少なくとも1回繰り返すことにより付加雑音の大きさ
を推定することを特徴とする。
【0026】従ってこの発明によれば、時間領域及び周
波数領域の拘束条件が両方とも成立していない場合、特
に時間領域の拘束条件は成立しているものの周波数領域
の拘束条件が成立していない場合においても、周波数領
域の拘束条件を推定できるようになり、これにより受信
信号に付加された雑音の位置及び大きさを特定して当該
雑音を除去することが可能となる。このため、高品質の
受信信号を再生することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)この発明の第
1の実施形態では、音声や画像等の種々の情報のうち、
音声のような1次元情報を伝送し、その雑音の位置及び
大きさを推定して除去する場合について説明する。
【0028】いまN個の標本値から成る時間領域の情報
信号ブロックをu=(u0 1 …uN-1)と定義する。
一般に情報は帯域制限されていることが多く、ある周波
数以上の成分は0と仮定できる。すなわち、時間領域の
情報信号ブロックに離散フーリエ変換(Discrete Fouri
er Transform:DFT)を施して生成した周波数領域の
情報信号ブロックをU=(U0 1 …UN-1 )と定義し
たとき、Uk =0、k=P,P+1,…,N−1−Pと
仮定する。但し、Pは2P<Nの整数である。
【0029】また、DFTの入出力の関係は、
【数5】
【0030】で与えられ、また逆離散フーリエ変換(In
verse Discrete Fourier Transform:IDFT)の入出
力の関係は、
【数6】
【0031】で与えられる。
【0032】ここで、時間領域の雑音ブロックe=(e
0 1 …eN-1 )を定義するとともに、時間領域におい
て情報信号ブロックに雑音ブロックが付加された受信信
号ブロックv=(v0 1 …vN-1 )を定義する。両者
の間には vm =um +em 、m=0,1,…,N−1 の関係が成立している。
【0033】次に、付加雑音はインパルス性が支配的と
仮定し、インパルス雑音の個数を最大ν≦Pとして、イ
ンパルス雑音の位置をi1 ,i2 ,…,iν とする。
但し、i1 <i2 <…<iν である。このとき、 em 0、m≠ i1 ,i2 ,… ,iν と表することができる。
【0034】受信信号ブロックvにDFT処理を施して
生成した周波数領域のブロックを、V=(V0 1 …V
N-1 )と定義する。ここで、雑音ブロックeにDFT処
理を施して生成した周波数領域のブロックを、E=(E
0 1 …EN-1 )と定義したとき、 Vk =Uk +Ek 、k=0,1,…,N−1 の関係が成立している。
【0035】ここで、帯域制限の条件より、 Ek =Vk ,k=P,P+1,…,N−1−P が成立して、周波数領域のEk の内の2P個の成分を知
ることができる。残りの周波数領域のN−2P個の成分
を推定する必要がある。このためには、付加雑音の時間
領域の位置と大きさを推定する必要があり、その手法を
以下に説明する。
【0036】いま雑音の位置多項式Λ(x)を、
【数7】
【0037】のように定義する。但し、Λ0 =1であ
る。
【0038】(Λ0 Λ1 …Λν 0…0)をIDFT処
理して生成される値は、
【数8】
【0039】である。このとき、以下の関係が成立す
る。
【数9】
【0040】前述したように、 Ek =Vk 、k=P,P+1,…,N−1−P は推定されているため、これからΛk 、k=1,2,
…,νを計算することができ、付加雑音の位置を特定で
きる。
【0041】次に、Λk 、k=1,2,…,νとEk
k=P,P+1,…,N−1−Pから、Ek 、k=0,
1,…,P−1、k=N−P,N+1−P,…,N−1
が求まる。
【0042】以上の導出の過程を、N=8,P=2,ν
=2の場合について、DFTの巡回構造、すなわちE0
=E8 ,E-1=E7 ,E-2=E6 ,…を考慮して記す
と、以下のようになる。
【0043】Λk 、k=1,2と、Ek 、k=0,1,
…,7の関係は、
【数10】
【0044】で与えられる。ここで、前述したように、 Ek =Vk 、k=2,3,4,5 は推定されているため、
【数11】
【0045】をもとに、以下の逆行列演算によりΛ1
Λ2 が求まる。
【数12】
【0046】Λ1 ,Λ2 が求まると、
【数13】
【0047】より、E6 ,E7 ,E0 ,E1 が順次計算
される。
【0048】ところで、以上の計算は、付加雑音がイン
パルス雑音のみの場合で、かつその数がν≦Pという前
提の基で成立する。実際は、ランダム雑音が存在するこ
とが多いため、演算誤差を生じる。
【0049】以下に、ランダム雑音の影響の軽減手段を
説明する。前述したように、雑音の位置(Λ0 Λ1 …Λ
N-1 )但し、
【数14】
【0050】にIDFT処理を施すと、
【数15】
【0051】を得る。このとき、インパルス雑音の存在
する位置m=i1 ,i2 ,…,iνにおいて、以下の関
係が成立している。 λm =0,m=i1 ,i2 ,…,iν 従って、λm ,m=0,1,…,N−1のうち、λm
0のときのmから、m=i1 ,i2 ,…,iν がわか
り、インパルス雑音の位置が推定される。上記は、ラン
ダム雑音が存在しない環境では成立する。
【0052】一方、ランダム雑音が存在する現実の環境
では、 λm ≠0、m=i1 ,i2 ,…,iν であり、インパルス雑音の位置は厳密には推定されな
い。そこで、以下のような繰り返し処理を導入し、逐次
的にインパルス位置の推定の精度を上げていく。
【0053】図1は、この発明に係わる雑音除去装置の
第1の実施の形態を示す回路ブロック図である。すなわ
ち、この雑音除去装置は、時間領域の受信信号をDFT
処理して周波数領域の受信信号に変換するDFT10
と、雑音位置推定部20と、雑音レベル推定部30とか
ら構成される。
【0054】上記DFT10から出力された周波数領域
の受信信号は、まず雑音位置推定部20の周波数領域の
雑音係数算出部21に入力される。この雑音係数算出部
21では、以下の逆行列演算によりΛ1 ,Λ2 ,…,Λ
ν の初期値が求められる。
【0055】
【数16】
【0056】そして、信号の周波数領域条件記憶部22
に記憶された前提条件
【数17】
【0057】を考慮して、(Λ0 Λ1 …ΛN-1 )が形成
される。
【0058】つぎに、以下に示すステップ1及びステッ
プ2を繰り返すことで、時間領域の雑音係数を推定す
る。 (ステップ1)まずIDFT23において、上記周波数
領域の雑音係数Λk 、k=0,1,…,N−1にIDF
T処理を施し、
【数18】
【0059】を得る。
【0060】そして、インパルス雑音のレベルに比べて
ランダム雑音のレベルが小さいと仮定し、λm が小さい
値をとるmから近似的にm=i1 ,i2 ,…,iν
推定する。すなわち、適当なレベルVref を定め、 −Vref <λm <Vref となるmをインパルス雑音の位置として近似として、m
=i1 ,i2 ,…,iν を推定する。
【0061】λm 、m=0,1,…,N−1のうち、λ
m 、m=i1 ,i2 ,…,iν の真の値は、 λm ≒0、m=i1 ,i2 ,…,iν と仮定し、λm 、m=i1 ,i2 ,…,iν を置換部
24で上記のように置き換え、新たなλm 、m=0,
1,…,N−1を得る。
【0062】(ステップ2)上記λm 、m=0,1,
…,N−1に対してDFT26でDFT処理を施し、
【数19】
【0063】を得る。このうち、
【数20】
【0064】は、上記のように真の値がわかっている。
この真の値は雑音係数の周波数領域条件記憶部28に記
憶してある。このため、上記Λk を置換部27で上記真
の値に置き換え、新たなΛk 、k=0,1,…,N−1
を得る。
【0065】以上のステップ1とステップ2を所定の回
数繰り返すことにより、λm 、m=0,1,…,N−1
及びΛk 、k=0,1,…,N−1の精度は次第に上が
っていき、インパルス雑音の位置m=i1 ,i2 ,…,
iν の精度も同時に上がっていく。
【0066】なお、上記ステップ1とステップ2の繰り
返し回数は、所定の精度を得るに必要な回数に予め設定
しておいてもよいが、ステップ1とステップ2を1回繰
り返すごとにその処理後の値を処理前の値と比較し、そ
の差が所定値未満になったことを検出した時点で繰り返
しを終了して、雑音位置の推定処理を終了するようにし
てもよい。
【0067】以上のように雑音の位置が推定されると、
次にステップ3及びステップ4の繰り返し処理を実行す
ることで、インパルス雑音の大きさem 、m=i1 ,i
2 ,…,iν の推定が行われる。すなわち、まず時間
領域の受信信号vm 、m=0,1,…,N−1の初期値
を vinit-m=vm 、m=0,1,…,N−1 とする。
【0068】(ステップ3)vm 、m=0,1,…,N
−1に対して初回はDFT10で、また2回目以降はD
FT36でDFT処理を施し、
【数21】
【0069】を得る。このうち、 Vk ≒0、k=P,P+1,…,N−1−P は上記のように真の値がわかっており、この情報は信号
の周波数領域条件記憶部32に記憶されている。そこ
で、置換部31において、上記DFT後の周波数領域の
信号を上記周波数領域条件記憶部32の真の値に置き換
え、新たなVk 、k=0,1,…,N−1を得る。
【0070】(ステップ4)続いて上記置換後のVk
k=0,1,…,N−1に対し、IDFT33でIDF
T処理を施し、
【数22】
【0071】を得る。
【0072】さらに、vm の真の値は初期値に等しいと
仮定して、インパルス雑音の付加されていない位置を、
置換部34で以下のように置き換える。 vm ≒vinit-m、m≠i1 ,i2 ,…,iν そして新たなvm 、m=0,1,…,N−1を得る。
【0073】以上述べたステップ3とステップ4を繰り
返すことにより、時間領域の信号レベルvm 、m=0,
1,…,N−1と、周波数領域の信号レベルVk 、k=
0,1,…,N−1の精度は上がっていく。
【0074】なお、上記ステップ3とステップ4の繰り
返し回数は、所定の精度を得るに必要な回数に予め設定
しておいてもよいが、ステップ3とステップ4を1回繰
り返すごとにその処理後の値を処理前の値と比較し、そ
の差が所定値未満になったことを検出した時点で繰り返
しを終了して、雑音レベルの推定処理を終了するように
してもよい。
【0075】上記雑音レベル推定部30においては、雑
音が除去された時間領域の受信信号(IDFT33の出
力信号)と、雑音除去された周波数領域の受信信号(D
FT36の出力信号)との両方が得られる。これらの受
信信号のうちのいずれかを選択するかは、システムの用
途に従う。例えば、音声や画像などの時間領域の情報信
号を伝送するシステムではIDFT36から出力された
時間領域の受信信号を選択し、一方OFDM(Orthogon
al Frequency Division Multiplex)方式を使用した放
送システムではDFT36から出力される周波数領域の
受信信号を選択する。
【0076】以上述べたように第1の実施形態では、雑
音位置推定部20において、周波数領域の雑音係数をI
DFT23で時間領域の雑音係数に変換したのち置換部
24で既知の値に置き換えるステップ1の処理と、この
置き換え後の時間領域の雑音係数をDFT26で周波数
領域の雑音係数に戻したのち置換部27で既知の値に置
き換えるステップ2の処理とを所定回数繰り返すこと
で、時間領域におけるインパルス雑音の付加位置を推定
している。そして、雑音レベル推定部30において、時
間領域の信号をDFT36で周波数領域の信号に変換し
たのち置換部31で規定値に置き換えるステップ3の処
理と、この置き換え後の周波数領域の信号をIDFT3
3で時間領域の信号に置き換えたのち、置換部34で上
記雑音位置推定部20の推定結果をもとに既知の値に置
き換えるステップ4の処理とを所定回数繰り返すこと
で、時間領域および周波数領域の信号レベルを推定する
ようにしている。
【0077】したがって、周波数領域の拘束条件は成立
しているものの、時間領域の拘束条件の一部が不明であ
るような場合においても、時間領域の拘束条件を推定す
ることができ、これにより時間領域の受信信号に付加さ
れた雑音を適切に除去して、高品質の情報信号を再生す
ることができる。
【0078】(第2の実施形態)この発明の第2の実施
形態は、時間領域の受信信号ブロックに対し所定の前処
理を施すことで受信信号ブロックの信号数を減らし、こ
れによりステップ1とステップ2の反復処理、及びステ
ップ3とステップ4の反復処理におけるDFT及びID
FTの点数を削減するようにしたものである。
【0079】N個の要素から成る時間領域の受信信号ブ
ロック(v0 1 …vN-1)をN点のDFTに入力し
て、周波数領域の信号ブロック(V0 1 …VN-1)を
得るものとする。このとき、Vk は次のように表され
る。
【数23】
【0080】一方、N=KMの条件で、
【数24】
【0081】と置いて、M個の要素から成る時間領域の
信号ブロック(w0 1 …wM-1 )をM点のDFTに入
力して、周波数領域の信号ブロック(W0 1 …W
M-1 )を得ようとした場合、DFTの出力信号は、
【数25】
【0082】となる。
【0083】このWk は、以下のように変形される。
【数26】
【0084】以上より、 Wk =VkK、k=0,1,…,M−1 の関係が得られる。これは、N個の要素から成る信号ブ
ロック(V0 1 …VN- 1 )のうちのM個の要素(V0
K …V(M-1)K)が、(w0 1 …wM-1 )をM点のD
FTに入力した出力(W0 1 …WM-1 )から得られる
ことを意味している。
【0085】従って、N個の要素からなる信号ブロック
に対し上記したようにM個の信号ブロックとするための
前処理を行ったのち、その出力信号ブロックを雑音位置
及び雑音レベルの推定処理に供すると、DFT及びID
FTにおける演算量を削減することが可能となる。
【0086】図2は、この発明に係わる雑音除去装置の
第2の実施形態を示す回路ブロック図である。なお、同
図において前記図1と同一部分には同一符号を付して詳
しい説明は省略する。
【0087】いま劣化前の時間領域の信号ブロックをu
=(u0 1 …uN-1 )として、雑音が付加された受信
信号ブロックv=(v0 1 …vN-1 )を受信するもの
とする。この受信信号ブロックv=(v0 1 …v
N-1 )は、DFT10′への入力に先立ち前処理部40
に入力される。
【0088】劣化前のuの、N点のDFTで定義される
周波数領域の信号ブロックU=(U0 1 …UN-1 )に
おいて、周波数領域の拘束条件 Uk =0、k=P,P+1,…,N−1−P が定められていると仮定する。但し、Pは2P<Nの整
数である。
【0089】次に、 wm =vm +vm+M +…+vm+(K-1)M、m=0,1,
…,M−1 を定義して、そのM点のDFT出力を
【数27】
【0090】と定義する。但し、M=N/Kで、M,K
はともに整数である。
【0091】時間領域においてwm 、m=0,1,…,
M−1に付加されている時間領域の雑音をem 、m=
0,1,…,M−1と定義し、同時にそのM点のDFT
出力をEk 、k=0,1,…,M−1と定義する。時間
領域の雑音em はインパルス性が支配的であると仮定
し、インパルス雑音の個数を最大ν≦P/Kとして、イ
ンパルス雑音の位置をi1 ,i2 ,…,iν とする。
但し、i1 <i2 <…<iν である。このとき、 em ≒0、m≠i1 ,i2 ,…,iν と表すことができる。
【0092】Uk に関する周波数領域の拘束条件より、
k に関しては、 Ek =Wk 、k=P/K,P/K+1,…,M−1−P
/K を得ることができる。但し、PはKで割り切れるとす
る。雑音の位置多項式Λ(x)を、
【数28】
【0093】のように定義する。但し、Λ0 =1であ
る。(Λ0 Λ1 …Λν )のM点のIDFT出力は、
【数29】
【0094】である。このとき、以下の関係が成立す
る。
【数30】
【0095】Uk に関する周波数領域の拘束条件より、
k に関して、 Ek =Wk 、k=P/K,P/K+1,…,M−1−P
/K を得ることができる。但し、PはKで割り切れるものと
する。そして、これよりΛk 、k=1,2,…,νを計
算することができ、付加雑音の位置の1次近似を特定で
きる。
【0096】次に、雑音位置推定部20′において第1
の実施形態と同様にステップ1とステップ2の反復処理
を行う。この処理により、付加雑音の位置の精度が高め
られる。そして、この付加雑音の位置推定後、雑音レベ
ル推定部30′においてステップ3とステップ4の反復
処理により、付加雑音の大きさが推定される。かくし
て、雑音を除去する処理が実行される。
【0097】以上述べた反復処理は、信号ブロックがM
個の要素から構成されているので、M点のDFT2
6′,36′および同じくM点のIDFT23′,3
3′用いることで行われる。したがって、反復処理にお
けるDFT処理及びIDFT処理上の演算量を削減する
ことが可能となる。この効果は、Mの値を小さくする程
大きくできる。
【0098】一方、特性に関しては、時間領域におい
て、 wm =vm +vm+M +…+vm+(K-1)M、m=0,1,
…,M−1 の信号の雑音を除去しており、また周波数領域では、 Wk =WkK、k=0,1,…,M−1 の信号の雑音を除去している。このため、Mの値を小さ
くする程、雑音の除去特性が劣化する。従って、要求さ
れる演算量と雑音除去特性とを考慮しながら、適切なM
の値を選択する。
【0099】(第3の実施の形態)この発明の第3の実
施形態は、映像のような空間領域の2次元信号に対し雑
音除去を行う場合に、この発明を適用したものである。
【0100】2次元信号は、x軸上の信号とy軸上の信
号とで表わされる。この2次元信号に付加されている雑
音の位置を推定し、かつ雑音レベルを推定するには、先
に述べた第1の実施形態における時間領域及び周波数領
域の処理を、x軸上の時間領域及び周波数領域として同
様に実行し、かつy軸上の時間領域及び周波数領域とし
て同様に実行することによりなされる。
【0101】図3は、この発明に係わる雑音除去装置の
第3の実施形態を示す回路ブロック図である。この雑音
除去装置は、空間領域の受信信号をDFT処理して周波
数領域の受信信号に変換するDFT50と、空間領域の
雑音位置を推定するための雑音位置推定部60と、空間
領域の雑音の大きさを推定するための雑音レベル推定部
70とから構成される。
【0102】上記DFT10から出力された周波数領域
の受信信号は、まず雑音位置推定部60における周波数
領域の雑音係数算出部61に入力される。この雑音係数
算出部61では、X,Yの各方向ごとにそれぞれ逆行列
演算が行われてΛ1 ,Λ2 ,…,Λν の初期値が求め
られる。そして、信号の周波数領域条件記憶部62に記
憶された前提条件を考慮して、(Λ0 Λ1 …ΛN-1 )が
形成される。
【0103】つぎに、以下に示すステップ1及びステッ
プ2を繰り返すことで、時間領域の雑音係数を推定す
る。 (ステップ1)まずIDFT63において、上記周波数
領域の雑音係数Λk 、k=0,1,…,N−1に対しI
DFT処理を施して、空間領域の雑音係数を得る。そし
て、インパルス雑音のレベルに比べてランダム雑音のレ
ベルが小さいと仮定し、λm が小さい値をとるmから近
似的にm=i1 ,i2 ,…,iν を推定する。すなわ
ち、適当なレベルVref を定め、 −Vref <λm <Vref となるmをインパルス雑音の位置として近似として、m
=i1 ,i2 ,…,iν を推定する。
【0104】λm 、m=0,1,…,N−1のうち、λ
m 、m=i1 ,i2 ,…,iν の真の値は、 λm 0、m= i1 ,i2 ,…,iν と仮定し、λm 、m=i1 ,i2 ,…,iν を置換部
64で上記のように置き換え、新たなλm 、m=0,
1,…,N−1を得る。
【0105】(ステップ2)上記λm 、m=0,1,
…,N−1に対してDFT66でDFT処理を施し、周
波数領域の雑音係数Λk を得る。このうちの一部要素
は、上記のように真の値がわかっている。この真の値は
雑音係数の周波数領域条件記憶部68に記憶してある。
このため、上記Λk を置換部67で上記真の値に置き換
え、新たなΛk 、k=0,1,…,N−1を得る。
【0106】以上のステップ1とステップ2を所定の回
数繰り返すことにより、λm 、m=0,1,…,N−1
及びΛk 、k=0,1,…,N−1の精度は次第に上が
っていき、インパルス雑音の位置m=i1 ,i2 ,…,
ν の精度も同時に上がっていく。
【0107】なお、上記ステップ1とステップ2の繰り
返し回数は、所定の精度を得るに必要な回数に予め設定
しておいてもよいが、ステップ1とステップ2を1回繰
り返すごとにその処理後の値を処理前の値と比較し、そ
の差が所定値未満になったことを検出した時点で繰り返
しを終了して、雑音位置の推定処理を終了するようにし
てもよい。
【0108】以上のように雑音の位置が推定されると、
次にステップ3及びステップ4の繰り返し処理を実行す
ることで、インパルス雑音の大きさem 、m=i1 ,i
2 ,…,iν の推定が行われる。すなわち、まず空間
領域の受信信号の初期値を設定する。
【0109】(ステップ3)上記空間領域の受信信号に
対して初回はDFT50で、また2回目以降はDFT7
6でDFT処理を施し、周波数領域の受信信号を得る。
このうちの一部要素は真の値がわかっており、この情報
は信号の周波数領域条件記憶部72に記憶されている。
そこで、置換部71において、上記DFT処理後の周波
数領域の信号を上記周波数領域条件記憶部72の真の値
に置き換え、新たな周波数領域の信号を得る。
【0110】(ステップ4)続いて上記置換後の周波数
領域の信号をに対し、IDFT73でIDFT処理を施
して、空間領域の信号を得る。
【0111】さらに、空間領域の信号の真の値は初期値
に等しいと仮定して、インパルス雑音の付加されていな
い位置を、置換部74で真の値に置き換える。そして新
たな空間領域の信号を得る。
【0112】以上述べたステップ3とステップ4を繰り
返すことにより、空間領域の信号レベルと、周波数領域
の信号レベルの推定精度は上がっていく。
【0113】上記雑音レベル推定部30′から時間領域
の受信信号(IDFT73の出力信号)と、雑音除去さ
れた周波数領域の受信信号(DFT76の出力信号)の
うちのいずれを選択出力するかは、第1の実施形態で述
べたようにシステムの用途に従う。
【0114】なお、上記ステップ3とステップ4の繰り
返し回数は、所定の精度を得るに必要な回数に予め設定
しておいてもよいが、ステップ3とステップ4を1回繰
り返すごとにその処理後の値を処理前の値と比較し、そ
の差が所定値未満になったことを検出した時点で繰り返
しを終了して、雑音レベルの推定処理を終了するように
してもよい。
【0115】このように第3の実施形態によれば、映像
のような2次元信号を受信する装置にあって、周波数領
域の拘束条件は成立しているものの空間領域の拘束条件
が成立していない場合でも、空間領域の拘束条件を推定
することができ、これにより受信信号に付加された雑音
の位置及び大きさを特定して当該雑音を除去することが
できる。
【0116】(第4の実施形態)この発明の第4の実施
形態は、映像伝送システムのようにDCT(Discrete C
osine Transform)により圧縮された画像信号を伝送す
るシステムで使用される受信装置にあって、周波数領域
で付加された雑音の位置及び大きさを推定して当該雑音
を除去するようにしたものである。
【0117】すなわち、前記各実施形態では、周波数領
域の拘束条件としてある周波数以上の成分を0と仮定し
た。これに対し本実施形態では、時間領域の拘束時間と
して、例えば um =0、m=0,1,…,P−1、m=N−P,N−
P+1,…,N−1 と仮定している。そして、周波数領域で付加されたイン
パルス雑音の周波数領域の位置を反復処理で推定し、し
かるのちその推定結果を基にインパルス雑音の大きさを
反復処理で推定して除去するようにしている。但し、P
は2P<Nの整数である。
【0118】図4は、この発明の第4の実施形態に係わ
る雑音除去装置の構成を示す回路ブロック図である。同
図から明らかなように、第4の実施形態の雑音除去装置
は、第1の実施形態(図1)における時間領域記憶部2
5,35を周波数領域条件記憶部95,105に、また
周波数領域条件記憶部22,32を時間領域条件記憶部
92,102にそれぞれ変更し、さらにDFT10,2
6,36をIDFT80,96,106に、またIDF
T23,33をDFT93,103にそれぞれ変更した
ものである。
【0119】このような構成であれば、時間領域の拘束
条件が成立しているものの、周波数領域の拘束条件の一
部が不明であるような場合においても、周波数領域の拘
束条件を推定することができ、これにより周波数領域の
受信信号に付加された雑音を適切に除去して、高品質の
情報信号を再生することができる。
【0120】(その他の実施形態)この発明は上記各実
施形態に限定されるものではない。例えば送信側におい
て時間領域の情報信号の要素を並べ替えて送信するとよ
い。すなわち、図5に示すごとく、送信側の装置におい
て、時間領域の情報信号x0 〜x7 を並列−直列変換器
(P/S)で直列信号に変換したのち信号要素の並び替
えを行う。そして、この並び替え後の時間領域の情報信
号x0 ,x4 ,x1,x5 ,x2 ,x6 ,x3 ,x7 を
伝送路へ送信する。
【0121】これに対し受信装置においては、上記送信
装置から伝送された時間領域の情報信号を受信すると、
その信号要素の位置を元に配列に戻す。そして、図5に
示すように互いに等間隔の位置にある信号要素同士を加
算したのち、4点のDFTに入力して周波数領域の情報
信号に変換し、この変換後の情報信号を雑音位置推定処
理及び雑音レベル推定処理に供するようにしている。
【0122】このような構成であると、伝送路上で時間
領域の情報信号にバースト雑音e0,e4 が加わった場
合に、これらの雑音が付加された信号要素x0 +e0 ,
x4+e4 は4点のDFTに入力される時点で相互に加
算されて1個の信号要素x0+e0 +x4 +e4 とな
る。すなわち、雑音がDFTの入力の1点だけに入力さ
れることになる。このため、DFTの複数の点に雑音が
分散して入力される場合に比べて、付加雑音の位置を容
易に推定することができる。
【0123】なお、OFDMシステムの場合には、送信
側の装置において周波数領域の情報信号が8点のIDF
T回路で時間領域の情報信号に変換されたのち、並列−
直列変換回路で直列信号に変換され、この直列信号が上
記した信号要素の並べ替えに供される。
【0124】また、前記第1乃至第4の各実施形態で
は、送信前の情報信号の時間領域における既知の真の値
及び周波数領域の既知の真の値を予め受信装置の記憶部
に記憶しておき、これらの記憶部から読み出して置き換
え処理を行うようにした場合について述べた。しかし、
この発明はそれに限定されるものではない。
【0125】すなわち、情報信号として音声や画像では
なくコンピユータ等のデータを伝送する場合には、受信
装置において受信信号から送信前の情報信号の周波数領
域又は時間領域における真の値の一部を推定できる。し
たがって、この場合には送信前の情報信号の時間領域又
は周波数領域における真の値を受信装置に予め記憶して
おかず、受信信号より推定した真の値の一部を用いて置
き換え処理を行うようにしてもよい。
【0126】送信前の情報信号の周波数領域又は時間領
域における真の値の一部を受信装置で推定できる場合と
は、例えばPSK変調を用いてデータを無線伝送するシ
ステムにおいて、受信装置で受信PSK信号復調してそ
の判定値を再変調することで雑音の影響の無いPSK信
号を再生できる場合である。
【0127】さらに、前記第1乃至第4の実施形態で
は、雑音除去装置をハードウエアで構成する場合を例に
とって説明したが、雑音位置の推定処理及び雑音レベル
の推定処理を例えばDSP(Digital Signal Processo
r)あるいはマイクロプロセッサを用いてソフトウエア
で実行することも可能である。この場合の処理プログラ
ムは、前記各実施形態で述べたステップ1からステップ
4に従って作成すればよい。
【0128】その他、雑音位置推定部及び雑音レベル推
定部の構成や推定処理手順とその内容、情報信号の種類
やその長さ、フォーマット等についても、この発明の要
旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0129】
【発明の効果】以上詳述したようにこの発明では、任意
の数の成分からなるとともに周波数領域成分の一部が既
知の値を有する情報信号に雑音が付加された信号を受信
して、この受信信号に含まれる雑音を除去する雑音除去
装置において、雑音位置推定手段により、上記受信信号
に付加された雑音の時間領域における位置を、上記情報
信号における周波数領域成分の既知の値を基に逐次的に
推定し、かつ雑音レベル推定手段により、上記受信信号
に付加された雑音の時間領域における大きさを、上記情
報信号における周波数領域成分の既知の値と上記雑音位
置推定手段の推定結果とに基づいて逐次的に推定するよ
うにしている。
【0130】従ってこの発明によれば、時間領域及び周
波数領域の拘束条件が両方とも成立していない場合、例
えば周波数領域の拘束条件は成立しているものの時間領
域の拘束条件が成立していない場合においても、時間領
域の拘束条件を推定でき、これにより受信信号に付加さ
れた雑音の位置及び大きさを特定して当該雑音を除去す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係わる雑音除去装置の第1の実施
形態を示す回路ブロック図。
【図2】 この発明に係わる雑音除去装置の第2の実施
形態を示す回路ブロック図。
【図3】 この発明に係わる雑音除去装置の第3の実施
形態を示す回路ブロック図。
【図4】 この発明に係わる雑音除去装置の第4の実施
形態を示す回路ブロック図。
【図5】 この発明のその他の実施形態を示す図。
【図6】 従来の雑音除去装置の一例を示す回路ブロッ
ク図。
【図7】 周波数領域及び時間領域の各情報信号波形の
伝送前と伝送後の変化を示す図。
【図8】 従来の反復法による雑音除去処理を説明する
ための図。
【符号の説明】
10,26,36,10′,26′,36′,50,6
6,76,93,103…離散フーリエ変換回路(DF
T) 20,20′,60,90…雑音位置推定部 21,61…周波数領域の雑音係数算出部 22,62,105…信号の周波数領域条件記憶部 23,33,23′,33′,63,73,80,9
6,106…逆離散フーリエ変換回路(IDFT) 24,27,31,34,64,67,71,74,9
4,97,101,104…置換部 25,98…雑音係数の時間領域条件記憶部 28,68,95…雑音係数の周波数領域条件記憶部 30,30′,70,100…雑音レベル推定部 32,72,105…信号の周波数領域条件記憶部 35,102…信号の時間領域条件記憶部 65…雑音係数の空間領域条件記憶部 65…雑音係数の空間領域条件記憶部 75…信号の空間領域条件記憶部 91…時間領域の雑音係数算出部

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 任意の数の成分からなるとともに周波数
    領域成分の一部が既知の値を有する情報信号に雑音が付
    加された信号を受信して、この受信信号に含まれる雑音
    を除去する雑音除去装置において、 前記受信信号に付加された雑音の時間領域における位置
    を、前記情報信号における周波数領域の既知の値をもと
    に逐次的に推定するための雑音位置推定手段と、 前記受信信号に付加された雑音の時間領域における大き
    さを、前記情報信号における周波数領域成分の既知の値
    と前記雑音位置推定手段の推定結果とに基づいて逐次的
    に推定するための雑音レベル推定手段とを具備したこと
    を特徴とする雑音除去装置。
  2. 【請求項2】 前記雑音位置推定手段は、 前記受信信号に付加される雑音の時間領域における位置
    変数を判定するための第1の判定条件を記憶する第1の
    条件記憶手段と、 前記受信信号に付加される雑音の周波数領域における位
    置変数を判定するための第2の判定条件を記憶する第2
    の条件記憶手段と、 前記情報信号における周波数領域の既知の値をもとに、
    前記受信信号に付加された雑音の周波数領域における位
    置変数を求める位置変数算出手段と、 この位置変数算出手段により求められた雑音の周波数領
    域における位置変数を時間領域に変換し、この変換され
    た時間領域の位置変数を前記第1の条件記憶手段に記憶
    された第1の判定条件をもとに修正する第1の修正手段
    と、 この第1の修正手段により修正された時間領域の位置変
    数を周波数領域に変換し、この変換された周波数領域の
    位置変数を前記第2の条件記憶手段に記憶された第2の
    判定条件をもとに修正する第2の修正手段とを備え、 前記第1の修正手段による処理と前記第2の修正手段に
    よる処理とを少なくとも1回繰り返すことにより付加雑
    音の位置を推定することを特徴とする請求項1記載の雑
    音除去装置。
  3. 【請求項3】 前記雑音レベル推定手段は、 受信した情報信号の時間領域の信号成分を保持する信号
    保持手段と、 受信した情報信号の時間領域の信号を周波数領域の信号
    に変換し、この周波数領域の信号の成分うち前記既知の
    信号成分に対応する信号成分を当該既知の信号に置き換
    える第1の置換手段と、 この第1の置換手段により得られた周波数領域の信号を
    時間領域の信号に変換し、この時間領域の信号の成分の
    うち、前記雑音位置推定手段により推定された付加雑音
    の位置に対応しない信号成分を前記保持手段に保持され
    ている時間領域の信号成分に置き換える第2の置換手段
    とを備え、 前記第1の置換手段による処理と前記第2の置換手段に
    よる処理とを少なくとも1回繰り返すことにより付加雑
    音の大きさを推定することを特徴とする請求項1記載の
    雑音除去装置。
  4. 【請求項4】 受信した情報信号より送信前の情報信号
    の周波数領域における真の値の一部を推定することが可
    能な場合には、 前記雑音位置推定手段は、前記受信信号に付加された雑
    音の時間領域における位置を、前記推定した周波数領域
    の真の値をもとに逐次的に推定し、 かつ前記雑音レベル推定手段は、前記受信信号に付加さ
    れた雑音の時間領域における大きさを、前記推定した周
    波数領域の真の値および前記雑音位置推定手段の推定結
    果に基づいて逐次的に推定することを特徴とする請求項
    1記載の雑音除去装置。
  5. 【請求項5】 任意の数の成分からなるとともに周波数
    領域成分の一部が既知の値を有する情報信号に雑音が付
    加された信号を受信して、この受信信号に含まれる雑音
    を除去する際に、 前記受信信号に付加された雑音の時間領域における位置
    を、前記情報信号における周波数領域の既知の値をもと
    に逐次的に推定し、 次に前記受信信号に付加された雑音の時間領域における
    大きさを、前記情報信号における周波数領域成分の既知
    の値と前記雑音位置推定手段の推定結果とに基づいて逐
    次的に推定する雑音除去プログラムを記憶した記憶媒
    体。
  6. 【請求項6】 任意の数の成分からなるとともに時間領
    域成分の一部が既知の値を有する情報信号に雑音が付加
    された信号を受信して、この受信信号に含まれる雑音を
    除去する雑音除去装置において、 前記受信信号に付加された雑音の周波数領域における位
    置を、前記情報信号における時間領域の既知の値をもと
    に逐次的に推定するための雑音位置推定手段と、 前記受信信号に付加された雑音の周波数領域における大
    きさを、前記情報信号における時間領域成分の既知の値
    と前記雑音位置推定手段の推定結果とに基づいて逐次的
    に推定するための雑音レベル推定手段とを具備したこと
    を特徴とする雑音除去装置。
  7. 【請求項7】 前記雑音位置推定手段は、 前記受信信号に付加される雑音の周波数領域における位
    置変数を判定するための第1の判定条件を記憶する第1
    の条件記憶手段と、 前記受信信号に付加される雑音の時間領域における位置
    変数を判定するための第2の判定条件を記憶する第2の
    条件記憶手段と、 前記情報信号における時間領域の既知の値をもとに、前
    記受信信号に付加された雑音の時間領域における位置変
    数を求める位置変数算出手段と、 この位置変数算出手段により求められた雑音の時間領域
    における位置変数を周波数領域に変換し、この変換され
    た周波数領域の位置変数を前記第1の条件記憶手段に記
    憶された第1の判定条件をもとに修正する第1の修正手
    段と、 この第1の修正手段により修正された周波数領域の位置
    変数を時間領域に変換し、この変換された時間領域の位
    置変数を前記第2の条件記憶手段に記憶された第2の判
    定条件をもとに修正する第2の修正手段とを備え、 前記第1の修正手段による処理と前記第2の修正手段に
    よる処理とを少なくとも1回繰り返すことにより付加雑
    音の位置を推定することを特徴とする請求項6記載の雑
    音除去装置。
  8. 【請求項8】 前記雑音レベル推定手段は、 受信した情報信号の周波数領域の信号成分を保持する信
    号保持手段と、 前記受信した情報信号の周波数領域の信号を時間領域の
    信号に変換し、この時間領域の信号の成分うち前記既知
    の信号成分に対応する信号成分を当該既知の信号に置き
    換える第1の置換手段と、 この第1の置換手段により得られた時間領域の信号を周
    波数領域の信号に変換し、この周波数領域の信号の成分
    のうち、前記雑音位置推定手段により推定された付加雑
    音の位置に対応しない信号成分を前記保持手段に保持さ
    れている周波数領域の信号成分に置き換える第2の置換
    手段とを備え、前記第1の置換手段による処理と前記第
    2の置換手段による処理とを少なくとも1回繰り返すこ
    とにより付加雑音の大きさを推定することを特徴とする
    請求項6記載の雑音除去装置。
  9. 【請求項9】 受信した情報信号より送信前の情報信号
    の時間領域における真の値の一部を推定することが可能
    な場合には、 前記雑音位置推定手段は、前記受信信号に付加された雑
    音の周波数領域における位置を、前記推定した時間領域
    の真の値をもとに逐次的に推定し、 かつ前記雑音レベル推定手段は、前記受信信号に付加さ
    れた雑音の周波数領域における大きさを、前記推定した
    時間領域の真の値および前記雑音位置推定手段の推定結
    果に基づいて逐次的に推定することを特徴とする請求項
    6記載の雑音除去装置。
  10. 【請求項10】 任意の数の成分からなるとともに時間
    領域成分の一部が既知の値を有する情報信号に雑音が付
    加された信号を受信して、この受信信号に含まれる雑音
    を除去する際に、 前記受信信号に付加された雑音の周波数領域における位
    置を、前記情報信号における時間領域の既知の値をもと
    に逐次的に推定し、 次に前記受信信号に付加された雑音の周波数領域におけ
    る大きさを、前記情報信号における時間領域成分の既知
    の値と前記雑音位置推定手段の推定結果とに基づいて逐
    次的に推定する雑音除去プログラムを記憶した記憶媒
    体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012231483A (ja) * 2005-08-12 2012-11-22 Ati Technologies Ulc インパルス雑音の軽減のための方法

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