JP2012229471A - 炭酸リチウムの製造方法及び炭酸リチウムの製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液から高純度の炭酸リチウムを効率よく製造でき、特に、リチウムイオン二次電池の正極材料を含む焼成物を水に浸出させて得たリチウムと、フッ素、硫酸等の不純物を含有する溶液から、炭酸リチウムを高収率かつ高純度で製造できる炭酸リチウムの製造方法及び炭酸リチウムの製造装置を提供する。
【解決手段】電源5を作動させ、陽極1と陰極2間に通電することにより、リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液中のリチウムイオンが陰極2側に移動し、陰極近傍ではリチウムイオン濃度が上昇すると共に、加熱手段3によりリチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液が加熱され、炭酸リチウムの溶解度が低下するので、陰極及び陰極近傍に炭酸リチウムが析出する。
【選択図】図1B

Description

本発明は、高純度の炭酸リチウムを効率よく製造できる炭酸リチウムの製造方法及び炭酸リチウムの製造装置に関する。
炭酸リチウムは、耐熱ガラス、光学ガラス等の配合材、セラミック材料、携帯電話機、ノート型パソコンのバッテリーに使用されているリチウム二次電池の原料、電解質の材料として使用されている。
また、リチウムイオン二次電池は、従来の鉛蓄電池、ニッカド二次電池等に比較して軽量、高容量、高起電力の優れた二次電池であり、携帯電話機、ノート型パソコン等のモバイル機器、電気自動車の二次電池などに広く使用されており、今後もその需要が高まることが予想される。
このようなリチウムイオン二次電池の正極材料としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、マンガン酸リチウム(LiMn)などが用いられており、これらには希少有価物質であるリチウムが含まれている。そこで、使用済みのリチウムイオン二次電池からこれらの有価物質を回収し、再びリチウムイオン二次電池の正極材料としてリサイクル利用を図ることが望まれている。
また、一般的に晶析により炭酸リチウムの製造が行われているが、希少な金属であるため、製造工程での高回収率が望まれている。更に、上述のように電子材料としての用途では、不純物が電気的特性を低下させる可能性があり、より高純度の炭酸リチウムが求められている。
ここで、リチウムイオン二次電池の正極材料を焼成すると、リチウムが酸化リチウム(LiO)となり、この焼成物を水で浸出すると、水酸化リチウム(LiOH)、水中ではリチウムイオンと水酸化物イオンとなって溶出することが、本発明者らのこれまでの研究により解っている。
しかし、リチウムイオン二次電池の廃棄物をリサイクル対象とした場合、上述の水による浸出により、リチウムと同時にフッ素、硫酸などが不純物として溶出するという問題がある。フッ素は電解質として、例えばLiPFなどが使用されており、これに起因する。硫酸は(CFSONLiなどの電解質添加剤由来のSが硫酸となって浸出すると考えられる。また、電池又は正極材料の重量に対してリチウムの含有量はそれほど多くはなく、リチウムを浸出した液の濃度も比較的低い。それらの理由から、液中のリチウムを炭酸リチウムとして回収する際、より高収率で、より不純物を含まない回収方法が望まれている。
従来の炭酸リチウムの回収方法として、例えば、特許文献1には、晶析によりリチウムを含有する水溶液を90℃以上に加熱し、炭酸ガスを吹き込むことで、炭酸リチウムの収率を向上させる方法が提案されている。また、特許文献2には、濾別したリチウム含有水溶液を30℃〜100℃に加熱し、炭酸ガスを吹き込むことで炭酸リチウムの純度を高める方法が提案されている。
しかし、これらの提案の方法は、炭酸リチウムの溶解度が温度上昇に伴って低くなることを利用した方法であり、液中のリチウム濃度が炭酸リチウムの溶解度より低い場合は、リチウムを回収することができないという問題がある。また、液中のリチウム濃度を上げるために蒸発などの手法で濃縮し、溶液のリチウム濃度を上げる方法が考えられるが、蒸発濃縮という方法ではエネルギーコストがかかりすぎる問題がある。また、液中のリチウム濃度を濃縮する手法を用いて、上述のようなリサイクルを実施する場合には、リチウムイオン二次電池に含まれるリチウムと同時に溶出したフッ素、硫酸などの不純物も同時に濃縮されることとなり、回収物の純度が低下するという問題が生じる。
また、リサイクルの視点から、リチウムは、近年の使用量増加に対して、生産国が海外であること、及び生産規模が小さく供給リスクを伴うことなどから、リサイクルが望まれている。その半面、炭酸リチウムの価格は1kgあたり500円程度と高額とは言えない状態である。そのため、リサイクル工程も簡易であり、低コスト、かつ高回収率であることが好ましい。
したがって、リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液から高純度の炭酸リチウムを効率よく製造できる炭酸リチウムの製造方法及び炭酸リチウムの製造装置の提供が望まれているのが現状である。
特開昭61−251511号公報 特開2005−26088号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液から高純度の炭酸リチウムを効率よく製造でき、特に、リチウムイオン二次電池の正極材料を含む焼成物を水に浸出させて得たリチウムと、フッ素、硫酸等の不純物を含有する溶液から、炭酸リチウムを高収率かつ高純度で製造できる炭酸リチウムの製造方法及び炭酸リチウムの製造装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液を通電して炭酸リチウムを析出させることを特徴とする炭酸リチウムの製造方法である。
<2> 通電を電流密度0.5A/dm〜50A/dmで行う前記<1>に記載の炭酸リチウムの製造方法である。
<3> リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液を加熱する前記<1>から<2>のいずれかに記載の炭酸リチウムの製造方法である。
<4> 加熱を70℃以上の温度で行う前記<3>に記載の炭酸リチウムの製造方法である。
<5> 少なくともリチウムイオンを含有する溶液に二酸化炭素を供給してリチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液を得る前記<1>から<4>のいずれかに記載の炭酸リチウムの製造方法である。
<6> 少なくともリチウムイオンを含有する溶液が、廃リチウムイオン二次電池を焼成し、水にリチウムを浸出させた液である前記<5>に記載の炭酸リチウムの製造方法である。
<7> 析出した炭酸リチウムを固液分離する前記<1>から<6>のいずれかに記載の炭酸リチウムの製造方法である。
<8> リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液を通電して炭酸リチウムを析出させる通電手段を有し、
前記通電手段が、リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液を貯留する晶析槽と、
前記リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液を通電する陰極及び陽極と、を備えていることを特徴とする炭酸リチウムの製造装置である。
<9> リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液を加熱する加熱手段を有する前記<8>に記載の炭酸リチウムの製造装置である。
<10> 陰極が加熱手段と一体化している前記<9>に記載の炭酸リチウムの製造装置である。
<11> 少なくともリチウムイオンを含有する溶液に二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給手段を有する前記<8>から<10>のいずれかに記載の炭酸リチウムの製造装置である。
<12> 陰極が、晶析槽の内壁である前記<8>から<11>のいずれかに記載の炭酸リチウムの製造装置である。
<13> 陰極及び陰極近傍に析出した炭酸リチウムを固液分離する分離手段を有する前記<8>から<12>のいずれかに記載の炭酸リチウムの製造装置である。
<14> 少なくともリチウムイオンを含有する溶液が、廃リチウムイオン二次電池を焼成し、水にリチウムを浸出させた液である前記<11>から<13>のいずれかに記載の炭酸リチウムの製造装置である。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液から高純度の炭酸リチウムを効率よく製造でき、特に、リチウムイオン二次電池の正極材料を含む焼成物を水に浸出させて得たリチウムと、フッ素、硫酸等の不純物を含有する溶液から、炭酸リチウムを高収率かつ高純度で製造できる炭酸リチウムの製造方法及び炭酸リチウムの製造装置を提供することができる。
図1Aは、本発明の炭酸リチウムの製造装置の一例を示す上面図である。 図1Bは、本発明の炭酸リチウムの製造装置の一例を示す側面図である。 図2は、実施例1及び比較例1の時間経過に伴う液中のリチウム濃度推移を示すグラフである。 図3は、実施例3及び比較例2の時間経過に伴う液中のリチウム濃度推移を示すグラフである。
(炭酸リチウムの製造方法及び炭酸リチウムの製造装置)
本発明の炭酸リチウムの製造方法は、リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液を通電する通電工程を含み、好ましくはリチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液を加熱する加熱工程、及び少なくともリチウムイオンを含有する溶液に二酸化炭素を供給してリチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液を得る二酸化炭素供給工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。これら各工程は、それぞれ前後して行っても、同時に行ってもよく、繰り返し行ってもよく、間欠的に行うこともできる。
本発明の炭酸リチウムの製造装置は、通電手段を有し、好ましくは加熱手段、及び二酸化炭素供給手段を有し、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
以下、本発明の炭酸リチウムの製造方法及び炭酸リチウムの製造装置について、詳細に説明する。
<通電工程及び通電手段>
前記通電工程は、リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液を通電する工程であり、通電手段により実施される。
前記通電手段としては、前記リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液を貯留する晶析槽と、前記リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液を通電する陰極及び陽極とを備え、更に必要に応じてその他の部材を備えている。
−リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液−
前記リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液としては、通電により炭酸リチウムを析出させることができる濃度にリチウムイオン及び炭酸イオンを含有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記通電時におけるリチウムイオンの濃度は、1,500mg/L以上が好ましく、3,000mg/L以上がより好ましい。
前記通電時における炭酸イオンの濃度は、1,000mg/L以上が好ましく、1,450mg/L以上がより好ましい。
前記リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液としては、リチウムイオン及び炭酸イオンを含有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、少なくともリチウムイオンを含有する溶液中に、二酸化炭素を供給して得られる溶液などを好適に用いることができる。なお、前記二酸化炭素の供給については、後述する二酸化炭素供給工程で説明する。
前記少なくともリチウムイオンを含有する溶液としては、リチウムイオンを含有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(i)リチウムイオン二次電池の正極材料を硫酸で溶解させた液、(ii)リチウムイオン二次電池の正極材料を溶解させた後にコバルト、ニッケルを除去した液、(iii)廃リチウムイオン二次電池を焼成し、水にリチウムを浸出させた液、(iv)温泉水、(v)塩湖の水などが挙げられる。これらの中でも、(iii)廃リチウムイオン二次電池を焼成し、水にリチウムを浸出させた液が特に好ましい。
前記(iii)廃リチウムイオン二次電池を焼成し、水にリチウムを浸出させた液を調製する方法について、以下に説明する。
原料として使用するリチウムイオン二次電池の正極材料を含む焼成物におけるリチウムイオン二次電池の正極材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、コバルト酸リチウム(LiCoO)、及びマンガン酸リチウム(LiMn)の少なくともいずれかであることが好ましい。
前記正極材料としては、使用済リチウムイオン二次電池より得られたものを用いることが、リチウムをリサイクルできる点から好ましい。
前記焼成物を焼成する雰囲気としては、特に制限はなく、焼成条件などに応じて適宜選択することができ、例えば大気雰囲気、酸化雰囲気、不活性雰囲気、還元性雰囲気などが挙げられる。なお、前記雰囲気は、焼成中は、通気させておくことが好ましい。
ここで、前記大気雰囲気とは、酸素が21%、窒素78%の大気(空気)を用いた雰囲気を意味する。
前記酸化雰囲気とは、窒素又はアルゴン等の不活性雰囲気中に酸素を1質量%〜21質量%含む雰囲気を意味し、酸素を1質量%〜5質量%含む雰囲気が好ましい。
前記不活性雰囲気とは、窒素又はアルゴンからなる雰囲気を意味する。
前記還元性雰囲気とは、例えば、窒素又はアルゴン等の不活性雰囲気中にCO、H、HS、SOなどを含む雰囲気を意味する。
前記焼成は、焼成炉を用いて行うことが好ましい。前記焼成炉としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ロータリーキルン、流動床炉、トンネル炉、マッフル等のバッチ式炉、キュウポラ、ストーカー炉などが挙げられる。大気雰囲気下でも焼成できるので、例えば、ロータリーキルン炉等の普通に用いられている焼成炉を使用することができ、焼成炉の選択幅が広くなる。
前記焼成温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、大気雰囲気下では400℃以上、不活性雰囲気下では600℃以上、酸化雰囲気下では400℃以上であることがより好ましく、上限温度は、1,200℃以下であることが好ましい。
前記焼成温度が、400℃未満であると、例えばリチウムイオン二次電池の正極の結晶構造を破壊できないために、リチウムイオンを溶出できないことがあり、1,200℃を超えると、多大なエネルギーを必要とすると共に、焼成物が焼結するため、粉砕工程が必要となることがある。
−晶析槽、陽極、及び陰極−
前記晶析槽としては、槽内又は槽の一部又は全部に陰極と陽極を備えていれば特に制限はなく、目的に応じて適宣選択することができるが、陰極そのものが晶析槽の内壁を構成するものが好ましい。前記陰極そのものが晶析槽内壁であると、リチウムイオンを陰極である晶析槽内壁に泳動することで、陰極及び陰極近傍の局所的なリチウムイオン濃度を上昇させ、効率よく炭酸リチウムを析出させることができる。
なお、陰極と陽極間を隔膜で隔てることにより、通電によるリチウムイオンの濃度勾配を持たせてもよい。また、陽極又は陰極を晶析槽の中心部に配置し、同心円上に隔膜を配置し、晶析槽の内側又は晶析槽そのものが対極となる構造を用いることもできる。
−通電−
前記通電は、リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液を加熱した状態で行うことが好ましく、前記溶液を昇温中に通電を開始してもよい。
前記リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液を通電する際に、陰極と陽極間に印加する電流密度は、0.5A/dm〜50A/dmが好ましく、1A/dm〜30A/dmがより好ましい。前記電流密度が、0.5A/dmより低くなると、リチウムイオンの泳動に時間がかかることがあり、50A/dmを超えると、水素及び酸素の発生に多くのエネルギーが使用されてしまうため効率が低下することがある。
前記陽極と陰極間の距離は、0.5cm〜20mが好ましく、1cm〜5mがより好ましい。前記距離が、0.5cm未満であると、短絡によるショートが起こる危険性があり、20mを超えると、電圧が上昇し、消費電力が高くなることから経済的でない。
<加熱工程及び加熱手段>
前記加熱工程は、前記リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液を加熱する工程であり、加熱手段により実施される。
前記加熱は、通電前、通電と同時、又は通電直後(リチウム濃度勾配が維持されている間)に行うことが好ましいが、通電の消費電力を削減するために、事前に炭酸リチウムの溶解度付近まで温度を上げておくために、通電前から行うことが好ましい。
加熱温度は、炭酸リチウムの溶解度が飽和以上となる温度であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、具体的には、70℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、80℃〜100℃が特に好ましい。前記加熱温度が、70℃未満であると、炭酸リチウムの溶解度が大きくなり、炭酸リチウムの回収率が低下することがある。
前記リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液を加熱する加熱手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばヒーター、などが挙げられる。
前記陰極は、加熱手段と一体化、即ち、ヒーターを陰極とすることにより、陰極及び陰極近傍で濃度勾配、温度勾配ができ、炭酸リチウムを効率よく晶析することができる。また、陰極及び陰極近傍で晶析した炭酸リチウムを再度溶解させずに回収しやすくするために、晶析槽底面の陰極下部及び陰極近傍下部にヒーターを設けてもよい。
ここで、前記陰極近傍とは、陰極から1cmの距離までの範囲を意味する。
<二酸化炭素供給工程及び二酸化炭素供給手段>
前記二酸化炭素供給工程は、前記リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液に二酸化炭素を供給する工程であり、二酸化炭素供給手段により実施される。
前記少なくともリチウムイオンを含有する溶液中に、二酸化炭素を供給する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宣選択することができ、例えば、晶析槽内に炭酸ガスを吹き込むことにより二酸化炭素を供給する方法、溶液中に炭酸塩を投入して発生する炭酸ガスにより、二酸化炭素を供給する方法がある。
前記二酸化炭素の供給は、通電前、通電と同時、又は通電直後(リチウム濃度勾配が維持されている間)に行うことができるが、通電を停止してから二酸化炭素を吹き込む操作を行うことを繰返してもよい。通電を停止して二酸化炭素を吹き込む場合は、少なくともリチウムイオンを含有する溶液の濃度勾配が維持されている間に二酸化炭素の吹き込み操作を行うことが好ましい。
また、前記二酸化炭素の供給は、炭酸リチウムの精製効率を高める観点から陰極及び陰極近傍で行うことが好ましい。
ここで、前記陰極近傍とは、陰極から1cmの距離までの範囲を意味する。
なお、リチウムイオンと炭酸イオンの反応効率を向上させるため、前記リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液を攪拌機を用いて攪拌すること、ポンプにより槽内の溶液を循環させることが好ましい。
前記リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液を通電して、炭酸リチウムを析出させる工程における溶液のpHは、5〜13が好ましく、6〜10がより好ましい。前記pHが、5未満であると、炭酸塩の使用量及び炭酸ガスの吹き込み量が過剰である可能性があり、経済的でない。一方、前記pHが13を超えると、炭酸塩の使用量及び炭酸ガスの吹き込み量が不足していることがあり、収率が低下することがある。
<その他の工程及びその他の手段>
前記陰極及び陰極近傍に析出した炭酸リチウムを固液分離する分離手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ろ過、遠心分離、シックナーなどが挙げられる。
なお、前記陰極が、晶析槽の内壁である場合には、陰極に析出した炭酸リチウムを掻き取る掻取部材を有することが好ましい。前記掻取部材としては、例えば、スクレーパー、などが挙げられる。
ここで、図1A及び図1Bは、本発明の炭酸リチウムの製造装置の一例を示す概略図である。この炭酸リチウムの製造装置は、リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液を貯留する晶析槽本体4と、晶析槽の中心部に位置する陽極1と、晶析槽内壁である陰極2と、リチウムイオンを含有する溶液を加熱する加熱手段3と、陽極1と陰極2間に通電する電源5と、晶析槽内壁である陰極2に析出した炭酸リチウムを掻き取るスクレーパー6とを備えている。なお、図示を省略しているが、リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液を冷却するクーラーを晶析槽内に設けている。
この炭酸リチウムの製造装置を用いた炭酸リチウムの製造方法は、まず、電源5を作動させ、陽極1と陰極2間に通電することにより、リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液中のリチウムイオンが陰極2側に移動し、陰極近傍ではリチウムイオン濃度が上昇すると共に、加熱手段3によりリチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液が加熱され、炭酸リチウムの溶解度が低下するので、陰極及び陰極近傍に炭酸リチウムが析出する。その後、液温が一定となるように加熱手段5とクーラーで温度コントロールする。晶析槽内壁である陰極2に析出した炭酸リチウムは、掻取手段としてのスクレーパー6を回転させることで掻き取って回収することができる。
一方、リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液中のフッ素、硫酸等の不純物は通電により陽極1側に移動するので、不純物を除去でき、炭酸リチウムの純度が向上する。
本発明の炭酸リチウムの製造方法及び炭酸リチウムの製造装置によると、リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液から高純度の炭酸リチウムを効率よく製造できる。特に、リチウムイオン二次電池の正極材料を含む焼成物からリチウムを浸出させた液を用いると、溶液中の不純物を分離しつつ、陰極側にリチウムイオンを濃縮でき、陰極及び陰極近傍で炭酸リチウムを晶析することにより、効率よく高純度の炭酸リチウムを製造することができ、リチウムイオン二次電池のリサイクルを図ることができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<試薬を用いたリチウム含有溶液の調製>
蒸留水に水酸化リチウム一水和物(和光純薬工業株式会社製)をリチウム濃度が3,210mg/Lとなるように溶解させた溶液を作製した。
<溶液中のリチウムの分析>
溶液中のリチウム濃度については、高周波プラズマ発光分光分析装置(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製、iCAP−6300)により分析し、リチウム濃度を算出した。
<溶液中のフッ素及び硫酸の分析>
溶液中のフッ素及び硫酸濃度については、イオンクロマトグラフィー(ダイオネクス社製)により分析し、濃度を算出した。
陽極と陰極を配置した晶析槽内に1.75Lの上記試薬を用いたリチウム含有液を注入し、炭酸ガスを0.4l/分にてpHが8.5になるまで曝気した。その後、炭酸ガスの通気を止め、加熱を開始した。液温が50℃を超えたところで、陽極と陰極間に10Aの電流を流し、通電を開始した。この時の電極間の距離は5cm、電流密度は33.3A/dm、電圧は8Vであった。なお、陽極には酸化チタンに白金をコーティングした電極を、陰極には市販のチタン製の水加熱用ヒーター(GTNH−1105、泉電熱株式会社製、100V、500W)を用い、陰極と加熱用ヒーターは両用とした。水冷却用クーラーも晶析槽内に設けた。
液温が85℃で一定となるように前記ヒーターとクーラーで温度コントロールし、加熱開始から90分間経過後に、得られた炭酸リチウムを固液分離した。晶析を終了し、固液分離後のろ液のリチウム濃度を測定したところ、1,652mg/Lであった。この晶析操作による炭酸リチウムの収率(リチウム換算)は、元のリチウム含有液のリチウム濃度(3,210mg/L)とろ液のリチウム濃度の差から計算したところ、48.5%であった。加温開始以降の時間経過に伴う溶液中のリチウムイオン濃度の推移及び炭酸リチウムの収率(リチウム換算)を表1に示す。また、時間経過に伴う液中のリチウム濃度推移を図2に示す。
また、この工程の通電操作における消費電力は、電流10A、電圧8Vにて80分間通電したことより、107Whであった。
(実施例2)
電流を0.5A、電流密度を1.67A/dmとした以外は、実施例1と同様の操作で炭酸リチウムを得た。この晶析操作による炭酸リチウムの収率(リチウム換算)は、元のリチウム含有液のリチウム濃度(3,210mg/L)とろ液のリチウム濃度の差から計算したところ、36.7%であった。加温開始以降の時間経過に伴う溶液中のリチウムイオン濃度の推移及び炭酸リチウムの収率(リチウム換算)を表1に示す。
また、この工程の通電操作における消費電力は、電流0.5A、電圧3Vにて80分間通電したことより、2Whであった。
(比較例1)
実施例1において、晶析槽内に電極を設けず陰極の代わりに加熱ヒーターのみを用い、通電を行わなかった以外は、実施例1と同様の条件で晶析を行った。その結果を表1及び図2に示す。晶析を終了し、固液分離後のろ液のリチウム濃度を測定したところ、2,531mg/Lであった。この晶析操作による炭酸リチウムの収率(リチウム換算)は、元のリチウム含有液のリチウム濃度(3,210mg/L)とろ液のリチウム濃度の差から計算したところ、21.2%であった。
比較例1では収率が低いことから、実施例1と同様の収率を得るためには1.5倍に濃縮する必要があった。これについて加熱による濃縮を行ったところ、1.5倍濃縮するのに500Wのヒーターにて比較例1の90分間の反応時間に加えて、更に60分間かかったため、消費電力は500Whであった。このことより、通電しながら晶析する実施例1の方が、比較例1の通常の濃縮晶析よりもコスト面が極めて有利となることが確認できた。
(実施例3)
<リサイクル原料としてのリチウムイオン二次電池の正極材料の分離>
市販の使用済みのパソコン用リチウムイオン二次電池(正極がコバルト、マンガン、ニッケルの酸化物からなる三元系正極材料、負極に黒鉛を使用)を、700℃、空気雰囲気で一時間焼成し、得られた焼成物をハンマークラッシャーで破砕した。破砕物を試験用篩にて篩分けを行い。篩目開き1mm以下の正極材料粉を得た。焼成はボックス炉(KOYO LINDBERG社製)にて行った。
<リサイクル原料を用いたリチウム溶解液の作製>
得られた正極材料30kgを100Lの水に浸漬させ、リチウムイオンが溶解した溶液を得た。溶解液の組成を表2に示す。
上記リサイクル原料(使用済みのリチウムイオン二次電池)を用いて作製したリチウム溶解液(表2に組成を示す)を用いて晶析を行い、ヒーターとクーラーにより液温を80℃にコントロールした以外は、実施例1と同様にして、晶析を行った。
加熱開始から60分間経過後に、晶析を終了し、固液分離後のろ液のリチウム濃度を測定したところ、2,308mg/Lであった。この晶析操作による炭酸リチウムの収率(リチウム換算)は、元のリチウム含有液のリチウム濃度(2,909mg/L)と、ろ液のリチウム濃度の差から計算したところ、20.7%であった。加温開始以降の時間経過に伴う溶液中のリチウ加温開始以降の時間経過に伴う溶液中のリチウムイオン濃度の推移、及び炭酸リチウムの収率を表3に示す。また、時間経過に伴う液中のリチウム濃度推移を図3に示す。また、得られた炭酸リチウム中の不純物濃度を測定したところ、フッ素含有量が0.21質量%、硫酸が0.17質量%であった。結果を表4に示す。
(比較例2)
実施例3において、晶析槽内に電極を設けず陰極の代わりに加熱ヒーターのみを用い、通電を行わなかった以外は、実施例3と同様にして、炭酸リチウムを製造した。結果を表3と図3に示す。晶析を終了し、固液分離後のろ液のリチウム濃度を測定したとこころ、2,791mg/Lであった。この晶析処理による炭酸リチウムの収率(リチウム換算)は、元のリチウム含有液のリチウム濃度(2,909mg/L)とろ液のリチウム濃度の差から計算したところ、4.1%であった。また、得られた炭酸リチウム中の不純物濃度を測定したところ、フッ素含有量が0.25質量%、硫酸が0.4質量%であった。結果を表4に示す。
表3、図3、及び表4の結果から、使用済みのリチウムイオン二次電池の焼成物から浸出したリチウム浸出液においても、実施例3の方が炭酸リチウムの収率が高いことが分かった。また、実施例1と比較して実施例3の収率が低いのは、液温の差と不純物濃度の差によるものと考えられる。
また、実施例3で得られた炭酸リチウムの不純物であるフッ素含有量及び硫酸含有量が比較例2と比較して低いことが確認された。これは、通電して晶析する実施例3では、不純物であるフッ素及び硫酸は陽極近傍に泳動され、陰極近傍の濃度が下がることによるものと考えられる。このように、本発明によれば、炭酸リチウムの収率を向上させるだけでなく、廃リチウムイオン二次電池からのリチウムリサイクルに適用した場合には、不純物濃度を低減できることが分かった。
本発明の炭酸リチウムの製造方法及び炭酸リチウムの製造装置は、リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液から高純度の炭酸リチウムを効率よく製造でき、特に、リチウムイオン二次電池の正極材料を含む焼成物を水に浸出させて得たリチウムと、フッ素、硫酸等の不純物を含有する溶液から、炭酸リチウムを高収率かつ高純度で製造でき、リチウムイオン二次電池の再利用を図ることができる。
1 陽極
2 陰極(晶析槽内壁)
3 加熱手段
4 晶析槽本体
5 電源
6 スクレーパー

Claims (14)

  1. リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液を通電して炭酸リチウムを析出させることを特徴とする炭酸リチウムの製造方法。
  2. 通電を電流密度0.5A/dm〜50A/dmで行う請求項1に記載の炭酸リチウムの製造方法。
  3. リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液を加熱する請求項1から2のいずれかに記載の炭酸リチウムの製造方法。
  4. 加熱を70℃以上の温度で行う請求項3に記載の炭酸リチウムの製造方法。
  5. 少なくともリチウムイオンを含有する溶液に二酸化炭素を供給してリチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液を得る請求項1から4のいずれかに記載の炭酸リチウムの製造方法。
  6. 少なくともリチウムイオンを含有する溶液が、廃リチウムイオン二次電池を焼成し、水にリチウムを浸出させた液である請求項5に記載の炭酸リチウムの製造方法。
  7. 析出した炭酸リチウムを固液分離する請求項1から6のいずれかに記載の炭酸リチウムの製造方法。
  8. リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液を通電して炭酸リチウムを析出させる通電手段を有し、
    前記通電手段が、リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液を貯留する晶析槽と、
    前記リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液を通電する陰極及び陽極と、を備えていることを特徴とする炭酸リチウムの製造装置。
  9. リチウムイオン及び炭酸イオンを含有する溶液を加熱する加熱手段を有する請求項8に記載の炭酸リチウムの製造装置。
  10. 陰極が加熱手段と一体化している請求項9に記載の炭酸リチウムの製造装置。
  11. 少なくともリチウムイオンを含有する溶液に二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給手段を有する請求項8から10のいずれかに記載の炭酸リチウムの製造装置。
  12. 陰極が、晶析槽の内壁である請求項8から11のいずれかに記載の炭酸リチウムの製造装置。
  13. 陰極及び陰極近傍に析出した炭酸リチウムを固液分離する分離手段を有する請求項8から12のいずれかに記載の炭酸リチウムの製造装置。
  14. 少なくともリチウムイオンを含有する溶液が、廃リチウムイオン二次電池を焼成し、水にリチウムを浸出させた液である請求項11から13のいずれかに記載の炭酸リチウムの製造装置。
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