第1実施形態に係る放送信号受信装置は上記課題を解決するために、同一のコンテンツが異なる放送形式によって放送される、高品質データを含む第1放送信号及び低品質データを含む第2放送信号を受信する放送信号受信装置であって、前記第1及び第2放送信号を受信する受信部と、前記受信された前記第1放送信号の高品質データを所定時間分保持する保持部と、前記保持された前記所定時間分の高品質データについて、エラーの推移を検出する検出部と、前記検出されたエラーの推移に応じて、前記受信された前記第1放送信号の高品質データと前記受信された前記第2放送信号の低品質データとのいずれかを選択的に出力する出力部とを備える。
本実施形態に係る放送信号受信装置によれば、その動作時には、同一のコンテンツが異なる放送形式によって放送される(即ち、サイマル放送される)第1及び第2放送信号が受信部によって受信される。第1放送信号は、例えば12セグの放送信号(以下、「12セグ信号」と適宜称する)であり、高品質データを含んでいる。第2放送信号は、例えばワンセグの放送信号(以下、「ワンセグ信号」と適宜称する)であり、低品質データを含んでいる。受信部によって受信された第1放送信号の高品質データは、例えばバッファ等である保持部によって一時的に保持される。なお、受信部によって受信された第2放送信号の低品質データは、例えばバッファ等である他の保持部によって一時的に保持される。本発明では、保持部は、第1放送信号の高品質データを所定時間分保持する。
本実施形態では特に、検出部は、保持部によって保持された所定時間分の高品質データについて、エラーの推移を検出する。ここで、本発明に係る「エラーの推移」とは、例えば所定時間における例えばBER(Bit Error Rate:符号誤り率)やPES(Packetized Elementary Stream)パケット等のエラー率の変動の状況など、エラーの経時的な変化を意味する。更に、出力部は、検出部によって検出されたエラーの推移に応じて、第1放送信号の高品質データと第2放送信号の低品質データとのいずれかを選択的に出力する。具体的には、例えば、出力部は、所定時間分の高品質データについて、エラー率が所定の閾値よりも大きくなる期間が所定期間の大部分を占めることがエラーの推移として検出部によって検出された場合には、第2放送信号の低品質データを選択して出力する。或いは、例えば、出力部は、所定時間分の高品質データについて、エラー率が、所定期間のうちの初期の短期間のみ所定の閾値よりも大きく、その後の期間では所定の閾値よりも小さいことがエラーの推移として検出部によって検出された場合には、第1放送信号の高品質データを選択して出力する。或いは、例えば、出力部は、所定時間分の高品質データについて、エラー率が、所定期間のうちの初期の短期間のみ所定の閾値よりも小さく、その後に急にエラーが増加することがエラーの推移として検出部によって検出された場合には、第2放送信号の低品質データを選択して出力する。
よって、例えば、エラーが多く発生した状態の高品質データによる映像が表示されてしまうことを回避して、エラーがほとんど或いは全く発生していない状態の低品質データによる映像を確実に表示できる。更に、例えば、単にエラー率が所定の閾値よりも大きいか否かに応じて、第1放送信号の高品質データと第2放送信号の低品質データとのいずれかを選択的に出力する場合と比較して、高品質データによる映像を表示する時間、即ち、視聴者が高解像度映像を視聴可能な時間を長くすることができる。言い換えれば、可能な限り、高解像度映像を視聴したいという要請に応えることができる。加えて、例えば、第1放送信号の高品質データのエラー率が急に増加する場合に、第1放送信号の高品質データから第2放送信号の低品質データへの切り換えが間に合わず、映像が途切れてしまったり、エラーが多く発生した状態の高品質データによる映像が表示されてしまったりすることを低減或いは抑制できる。したがって、高画質な映像を視聴者に視聴させることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、サイマル放送される、例えば12セグなどの高品質データと例えばワンセグなどの低品質データとを適切に切り換えることができ、高画質な映像を視聴者に視聴させることが可能となる。
第1実施形態に係る放送信号受信装置の一の態様では、前記検出部は、前記保持された前記所定時間分の高品質データについて、前記所定時間が複数に分割された分割期間毎のエラー数を、前記エラーの推移として検出する。
この態様によれば、検出部は、所定時間を例えば前半部分と後半部分に分割し、前半部分におけるエラー数と、後半部分におけるエラー数とを検出する。よって、エラーの推移を確実に検出することができる。したがって、出力部によって、エラーの推移に応じて、高品質データと低品質データとのいずれかを、より適切に選択して出力することが可能となる。
第1実施形態に係る放送信号受信装置の他の態様では、前記検出部は、前記保持された前記所定時間分の高品質データに、時間軸で連続的に発生するバーストエラーが含まれているか否かを判定する第1判定手段を含む。
この態様によれば、エラーの推移として、所定時間分の高品質データにバーストエラーが含まれているかが第1判定手段によって判定される。よって、出力部によって、エラーの推移に応じて、高品質データと低品質データとのいずれかを、より適切に選択して出力することが可能となる。
第1実施形態に係る放送信号受信装置の他の態様では、前記検出部は、前記保持された前記所定時間分の高品質データに、時間軸で断続的に発生する断続的エラーが含まれているか否かを判定する第2判定手段を含む。
この態様によれば、エラーの推移として、所定時間分の高品質データに断続的エラーが含まれているかが第2判定手段によって判定される。よって、出力部によって、エラーの推移に応じて、高品質データと低品質データとのいずれかを、より適切に選択して出力することが可能となる。
第1実施形態に係る放送信号受信方法は上記課題を解決するために、同一のコンテンツが異なる放送形式によって放送される、高品質データを含む第1放送信号及び低品質データを含む第2放送信号を受信する装置によって実行される放送信号受信方法であって、前記第1及び第2放送信号を受信する受信工程と、前記受信された前記第1放送信号の高品質データを所定時間分保持する保持工程と、前記保持された前記所定時間分の高品質データについて、エラーの推移を検出する検出工程と、前記検出されたエラーの推移に応じて、前記受信された前記第1放送信号の高品質データと前記受信された前記第2放送信号の低品質データとのいずれかを選択的に出力する出力工程とを備える。
以下、本発明の実施例について図を参照しつつ説明する。
<第1実施例>
第1実施例に係る放送信号受信装置について、図1から図9を参照して説明する。
まず、本実施例に係る放送信号受信装置の構成について、図1を参照して説明する。
図1は、本実施例に係る放送信号受信装置の構成を示すブロック図である。
図1において、本実施例に係る放送信号受信装置100は、例えば車載用の地デジ受信機であり、同一のコンテンツが異なる放送形式によって放送される(即ち、サイマル放送される)12セグ信号及びワンセグ信号を受信して、12セグ信号の映像データ(以下、「12セグ映像データ」と適宜称する)とワンセグ信号の映像データ(以下、「ワンセグ映像データ」と適宜称する)とのいずれかを選択的に出力する装置である。即ち、放送信号受信装置100は、サイマル放送される12セグ映像データとワンセグ映像データとを受信して、出力を12セグ映像データとワンセグ映像データとで切り換える。なお、放送信号受信装置100の出力(即ち、12セグ映像データ又はワンセグ映像データ)は、スケーラなどを経て表示デバイスに入力される。表示デバイスは、入力された12セグ映像データ又はワンセグ映像データに基づいて映像を表示する。12セグ映像データの映像は、例えば1920×1080画素などの高解像度映像であり、ワンセグ映像データの映像は、例えば320×130画素などの低解像度映像である。12セグ映像データは、本発明に係る「高品質データ」の一例であり、ワンセグ映像データは、本発明に係る「低品質データ」の一例である。
本実施例に係る放送信号受信装置100は、チューナ部12と、復調部14と、TS−Demux(Transport Stream-Demultiplexer)16と、PESバッファ18及び20と、H.264デコーダ22と、MPEG2(Moving Picture Experts Group2)ビデオデコーダ24と、フレームバッファ26及び28と、エラー推移検出部30と、出力切換判定部32と、出力切換部34と、遅延量検出部36とを備えている。
チューナ部12は、アンテナ10によって受信された地デジのRF(Radio Frequency)信号をIF(Intermediate Frequency)信号に変換して復調部14に出力する。なお、チューナ部12は、後述する復調部14及びTS−Demux16とともに、本発明に係る「受信部」の一例を構成する。
復調部14は、チューナ12から入力されたIF信号をMPEG2−TS(Transport Stream:トランスポートストリーム)に変換してTS−Demux16に出力する。なお、以下では、MPEG2−TSを単に「TS」と適宜称する。
TS−Demux16は、復調部14から入力されたTSを、映像や音声等の機能ごとのPES(Packetized Elementary Stream)パケットに分離する。TS−Demux16は、分離した後のPESパケットのうち、ワンセグ映像データに相当するPESパケットをPESバッファ18に出力し、12セグ映像データに相当するPESパケットをPESバッファ20に出力する。
PESバッファ18は、TS−Demux16から入力されるワンセグ映像データに相当するPESパケットを一時的に保持或いは蓄積するバッファ(即ち、ワンセグ用のPESバッファ)である。PESバッファ18は、ワンセグ映像データに相当するPESパケットを所定時間T1分保持することが可能に構成されている。PESバッファ18は、TS−Demux16から入力されるワンセグ映像データに相当するPESパケットを、所定時間遅延させてH.264デコーダ22に出力する。
PESバッファ20は、本発明に係る「保持部」の一例であり、TS−Demux16から入力される12セグ映像データに相当するPESパケットを一時的に保持或いは蓄積するバッファ(即ち、12セグ用のPESバッファ)である。PESバッファ20は、12セグ映像データに相当するPESパケットを所定時間T1分保持することが可能に構成されている。PESバッファ20は、TS−Demux16から入力される12セグ映像データに相当するPESパケットを、所定時間T1遅延させてMPEG2ビデオデコーダ24に出力する。
H.264デコーダ22は、PESバッファ18から入力されたワンセグ映像データに相当するPESパケットに対してデコード処理を行い、このデコード処理後のデータであるワンセグ映像データをフレーム毎にフレームバッファ26に出力する。
MPEG2ビデオデコーダ24は、PESバッファ20から入力された12セグ映像データに相当するPESパケットに対してデコード処理を行い、このデコード処理後のデータである12セグ映像データをフレーム毎にフレームバッファ28に出力する。
フレームバッファ26は、H.264デコーダ22から入力されるワンセグ映像データを一時的に保持するフレームバッファ(即ち、ワンセグ用のフレームバッファ)である。フレームバッファ26は、一時的に保持したワンセグ映像データを出力切換部34に出力する。
フレームバッファ28は、MPEG2ビデオデコーダ24から入力される12セグ映像データを一時的に保持するフレームバッファ(即ち、12セグ用のフレームバッファ)である。フレームバッファ28は、一時的に保持した12セグ映像データを出力切換部34に出力する。
出力切換部34は、後述する出力切換判定部32の判定結果に応じて、フレームバッファ26から入力されたワンセグ映像データと、フレームバファ28から入力された12セグ映像データとのいずれかを出力する。即ち、出力切換部34は、後述する出力切換判定部32の判定結果に応じて、出力を、フレームバッファ26から入力されたワンセグ映像データとフレームバッファ28から入力された12セグ映像データとの間で切り換える。なお、出力切換部34は、後述する出力切換判定部32とともに、本発明に係る「出力部」の一例を構成する。
エラー推移検出部30は、本発明に係る「検出部」の一例であり、PESバッファ20に保持された所定時間T1分の12セグ映像データに相当するPESパケットについて、エラーの推移(即ち、エラーの経時的な変化)を検出するエラー推移検出処理を行う。具体的には、エラー推移検出部30は、例えば、PESバッファ20に保持されたPESパケットのPTS(Presentation Time Stamp)情報(即ち、再生を行う時刻情報)に基づいて、所定時間T1分の12セグ映像データのPESパケットについてエラーの推移を検出する。なお、エラー推移検出部30が行うエラー推移検出処理については、後に詳細に説明する。また、エラー推移検出部30は、TS−Demux16から得られるTSのエラー情報(例えばトランスポートエラーフラグやコンティニュイティカウンタなど)やTSのクロック情報(例えばPCR(Program Clock Reference)情報)に基づいて、エラーの推移を検出してもよい。
出力切換判定部32は、エラー推移検出部30によるエラー推移検出処理の検出結果に基づいて、出力切換部34がワンセグ映像データと12セグ映像データとのいずれを出力すべきか、即ち、ワンセグ映像データと12セグ映像データとの切り換えタイミングを判定する出力切換判定処理を行う。出力切換判定部32は、出力切換判定処理の結果を出力切換部34に出力する。
遅延量検出部36は、ワンセグ映像データの映像(以下、「ワンセグ映像」と適宜称する)と12セグ映像データの映像(以下、「12セグ映像」と適宜称する)との時間的なずれ量(即ち、表示時間差)を検出する。遅延量検出部36は、検出した表示時間差をMPEG2ビデオデコーダ24に出力する。MPEG2ビデオデコーダ24は、遅延量検出部36によって検出された表示時間差に基づいて、表示時間差が小さくなるように、デコード処理を行って12セグ映像データを出力する。これにより、ワンセグ映像データと12セグ映像データとの切り換え時に視聴者に違和感が生じることを低減或いは防止できる。
次に、放送信号受信装置100におけるワンセグ映像データと12セグ映像データとの切り換えについて、図2から図4を参照して説明する。
図2は、放送信号受信装置100におけるエラー推移検出処理の流れを示すフローチャートである。
図2において、エラー推移検出処理では、まず、PESバッファ20に保持されたPESパケットについて、単位時間あたりのPESパケット数に基づいてエラーパケット数がエラー推移検出部30によって算出される(ステップS11)。即ち、エラー推移検出部30は、PESパケットのPTS情報に基づいて、単位時間(例えば1秒間)あたりに含まれているべきPESパケット数(例えば30パケット)と、単位時間に実際に含まれているPESパケット数(例えば28パケット)との差をエラーパケット数(例えば2パケット)として算出する。
次に、デコード直前のPESパケットであるか否かが判定される(ステップS12)。
デコード直前のPESパケットであると判定された場合には(ステップS12:YES)、そのPESパケットにエラーがあるか否かが判定される(ステップS13)。
エラーがないと判定された場合には(ステップS13:NO)、ワンセグが選択されているか否かが判定される(ステップS14)。即ち、この場合には(ステップS13:NO)、現在、出力切換判定部32により行われる出力切換判定処理の結果としてワンセグ映像データが選択されているか否かが判定される。
ワンセグが選択されていない(即ち、12セグが選択されている)と判定された場合には(ステップS14:NO)、12セグを出力すべきであると出力切換判定部32によって判定される(ステップS18)。即ち、デコード直前のPESパケットにエラーが無く、かつ、出力切換部34の出力として12セグ映像データが選択されている場合には(ステップS14:NO)、出力切換判定部32は、出力切換部34の出力として12セグ映像データを選択したまま維持する。
ワンセグが選択されていると判定された場合には(ステップS14:YES)、ワンセグを出力すべきであると出力切換判定部32によって判定される(ステップS17)。即ち、デコード直前のPESパケットにエラーが無く、かつ、出力切換部34の出力としてワンセグ映像データが選択されている場合には(ステップS14:YES)、出力切換判定部32は、出力切換部34の出力としてワンセグ映像データを選択し続ける。
一方、エラーがあると判定された場合には(ステップS13:YES)、単位時間あたりのエラーパケット数が閾値Na以上であるか否かが判定される(ステップS15)。
単位時間あたりのエラーパケット数が閾値Na以上であると判定された場合には(ステップS15:YES)、出力切換判定部32は、出力切換部34の出力としてワンセグを選択する(ステップS17)。即ち、デコード直前の12セグ映像データに相当するPESパケットについて、単位時間あたりのエラーパケット数が閾値Na以上であると判定された場合(ステップS15:YES)、言い換えれば、視聴者の視聴が困難であるほど、12セグ映像データにエラーが発生していると予測される場合には、出力切換判定部32は、出力切換部34の出力としてワンセグ映像データを選択する。
単位時間あたりのエラーパケット数が閾値Na以上でない(即ち、単位時間あたりのエラーパケット数が閾値Naよりも小さい)と判定された場合には(ステップS15:NO)、この単位時間あたりのエラーパケット数(即ち、エラー率)を例えばメモリー等の記憶手段に保存する(ステップS16)。
ステップS16に係る処理(即ち、単位時間あたりのエラーパケット数を記憶手段に保存する処理)は、PESバッファ20に保持されたPESパケットの全てについて順次行われる。
PESバッファ20に保持されたPESパケットの全てについて、単位時間あたりのエラーパケット数が保存された後に、後述するエラー推移解析処理における解析期間がエラー推移検出部30によって設定される(ステップS19)。即ち、エラー推移検出部30は、所定時間T1を前半部分と後半部分に分割し、この前半部分及び後半部分をそれぞれ解析期間として設定する。
解析期間が設定された(ステップS19)後、エラー推移解析処理が行われる(ステップS20)。
図3は、エラー推移検出部30が行うエラー推移解析処理の流れを示すフローチャートである。
図3において、まず、所定期間T1の前半部分及び後半部分のいずれのエラーパケット数も閾値Nb以上であるか否かがエラー推移検出部30によって判定される(ステップS31)。即ち、エラー推移検出部30は、所定期間T1の前半部分のエラーパケット数が閾値Nb以上であり、かつ、所定期間T1の後半部分のエラーパケット数が閾値Nb以上であるか否かを判定する。
所定期間T1の前半部分及び後半部分のいずれのエラーパケット数も閾値Nb以上であると判定された場合には(ステップS31:YES)、連続するエラーパケット数が閾値Ncよりも少ないか否かがエラー推移検出部30によって判定される(ステップS35)。
連続するエラーパケット数が閾値Ncよりも少なくない(即ち、連続するエラーパケット数が閾値Nc以上である)と判定された場合には(ステップS35:NO)、エラー推移検出部30は、PESバッファ20に保持された所定時間T1分の12セグ映像データのPESパケットにバーストエラーが発生していると判定する(ステップS41)。エラー推移検出部30は、この判定結果を、エラー推移検出処理の検出結果(検出結果F)として、出力切換判定部32に出力する。
連続するエラーパケット数が閾値Ncよりも少ないと判定された場合には(ステップS35:YES)、エラー推移検出部30は、PESバッファ20に保持された所定時間T1分の12セグ映像データのPESパケットに断続的エラー(即ち、ランダムエラー)が発生していると判定する(ステップS40)。エラー推移検出部30は、この判定結果を、エラー推移検出処理の検出結果(検出結果E)として、出力切換判定部32に出力する。
一方、所定期間T1の前半部分及び後半部分の少なくとも一方のエラーパケット数が閾値Nbよりも少ないと判定された場合には(ステップS31:NO)、前半部分のエラーパケット数が後半部分のエラーパケット数よりも多いか否かがエラー推移検出部30によって判定される(ステップS32)。
前半部分のエラーパケット数が後半部分のエラーパケット数よりも多くはない(即ち、前半部分のエラーパケット数が後半部分のエラーパケット数以下である)と判定された場合には(ステップS32:NO)、後半部分のエラーパケット数が所定の閾値Nb以上であるか否かがエラー推移検出部30によって判定される(ステップS34)。
後半部分のエラーパケット数が所定の閾値Nb以上であると判定された場合には(ステップS34:YES)、エラー推移検出部30は、PESバッファ20に保持された所定時間T1分の12セグ映像データのPESパケットに発生するエラーは、軽微なエラーからバーストエラーへ推移すると判定すると判定する(ステップS39)。即ち、エラー推移検出部30は、所定時間T1分の12セグ映像データのPESパケットのうち、所定時間T1の前半部分に相当する12セグ映像データのPESパケットには軽微なエラーが発生し、所定時間T1の後半部分に相当する12セグ映像データのPESパケットにはバーストエラーが発生していると判定する。エラー推移検出部30は、この判定結果を、エラー推移検出処理の検出結果(検出結果D)として、出力切換判定部32に出力する。
後半部分のエラーパケット数が所定の閾値Nb以上でない(即ち、後半部分のエラーパケット数が所定の閾値Nbよりも少ない)と判定された場合には(ステップS34:NO)、エラー推移検出部30は、PESバッファ20に保持された所定時間T1分の12セグ映像データのPESパケットに軽微な断続的エラーが発生していると判定する(ステップS38)。エラー推移検出部30は、この判定結果を、エラー推移検出処理の検出結果(検出結果C)として、出力切換判定部32に出力する。
一方、前半部分のエラーパケット数が後半部分のエラーパケット数よりも多いと判定された場合には(ステップS32:YES)、前半部分のエラーパケット数が所定の閾値Nb以上であるか否かがエラー推移検出部30によって判定される(ステップS33)。
前半部分のエラーパケット数が所定の閾値Nb以上であると判定された場合には(ステップS33:YES)、エラー推移検出部30は、PESバッファ20に保持された所定時間T1分の12セグ映像データのPESパケットに発生するエラーは、瞬間的なバーストエラーから軽微なエラー以下へ推移すると判定する(ステップS37)。即ち、エラー推移検出部30は、所定時間T1分の12セグ映像データのPESパケットのうち、所定時間T1の前半部分に相当する12セグ映像データのPESパケットには瞬間的なバーストエラーが発生し、所定時間T1の後半部分に相当する12セグ映像データのPESパケットには軽微なエラーが発生している、或いはエラーがほとんど発生してないと判定する。エラー推移検出部30は、この判定結果を、エラー推移検出処理の検出結果(検出結果B)として、出力切換判定部32に出力する。
前半部分のエラーパケット数が所定の閾値Nb以上でない(即ち、前半部分のエラーパケット数が所定の閾値Nbよりも少ない)と判定された場合には(ステップS33:NO)、エラー推移検出部30は、PESバッファ20に保持された所定時間T1分の12セグ映像データのPESパケットに、短時間かつ軽微なエラーが発生していると判定する(ステップS36)。エラー推移検出部30は、この判定結果を、エラー推移検出処理の検出結果(検出結果A)として、出力切換判定部32に出力する。
このように、エラー推移検出部30は、PESバッファ20に保持された所定時間T1分のPESパケットについて、エラーの推移(即ち、所定時間T1におけるエラーパケット数の経時的な変化)を検出する。本実施例では、エラー推移検出部30は、エラーの推移を検出した検出結果として、前述した検出結果A、B、C、D、E及びFの6種類の検出結果を出力切換判定部32に出力するように構成されている。なお、エラー推移検出部30は、前述した検出結果A、B、C、D、E及びFの6種類の検出結果とは異なるエラーの推移を示す他の検出結果を出力切換判定部32に出力するように構成されてもよい。
出力切換判定部32は、エラー推移検出部30から入力されるエラー推移検出処理の検出結果に基づいて、出力切換部34がワンセグ映像データと12セグ映像データとのいずれを出力すべきかを判定する出力切換判定処理を行う。
図4は、出力切換判定部32が行う出力切換判定処理を示す概念図である。なお、図4(a)は、エラー推移検出処理の検出結果が検出結果A又はCである場合の出力切換判定処理を示している。図4(b)は、エラー推移検出処理の検出結果が検出結果Bである場合の出力切換判定処理を示している。図4(c)は、エラー推移検出処理の検出結果が検出結果D、E又はFである場合の出力切換判定処理を示している。
図4(a)に示すように、出力切換判定部32は、エラー推移検出部30から検出結果A又はCが入力された場合には、出力切換部34が12セグ映像データを出力すべきであると判定する(ステップS51)。即ち、出力切換判定部32は、PESバッファ20に保持された所定時間T1分の12セグ映像データに、短時間かつ軽微なエラーが発生している場合(即ち、検出結果Aの場合)、又は軽微な断続的エラーが発生している場合(即ち、検出結果Cの場合)には、この所定時間T1分の12セグ映像データを出力すべきであると判定する。出力切換部34は、この判定結果に応じて、この所定時間T1分の12セグ映像データを出力する。つまり、本実施例では、所定時間T1分の12セグ映像データにエラーがあっても視聴にほとんど或いは全く悪影響を与えないような場合には、この所定時間T1分の12セグ映像データを出力する。なお、12セグ映像データに発生するエラーが短時間かつ軽微なエラー或いは軽微な断続的エラーである場合には、視聴にほとんど或いは全く悪影響を与えない。特に、映像が静止画像である場合には悪影響は実際上ほとんど無い。
図4(b)に示すように、出力切換判定部32は、エラー推移検出部30から検出結果Bが入力された場合には、出力切換部34が出力を12セグ映像データからワンセグ映像データへ移行すべきあると判定する(ステップS52)。即ち、出力切換判定部32は、PESバッファ20に保持された所定時間T1分の12セグ映像データに発生するエラーが、瞬間的なバーストエラーから軽微なエラー以下へ推移する場合(即ち、検出結果Bの場合)には、この所定時間T1の前半部分ではワンセグ映像データを出力し、この所定時間T1の後半部分では12セグ映像データを出力すべきであると判定する。出力切換部34は、この判定結果に応じて、この所定時間T1の前半部分ではワンセグ映像データを出力し、この所定時間T1の後半部分では12セグ映像データを出力する。つまり、本実施例では、所定時間T1分の12セグ映像データについて、所定時間T1の前半部分において一時的に大きなエラーが数フレーム分発生し、その後、エラーが無くなるか、視聴にほとんど或いは全く悪影響を与えないような場合には、所定時間T1の前半部分ではワンセグ映像データを出力し、所定時間T1の後半部分では12セグ映像データを出力する。
図4(c)に示すように、出力切換判定部32は、エラー推移検出部30から検出結果D、E又はFが入力された場合には、出力切換部34がワンセグ映像データを出力すべきであると判定する(ステップS53)。即ち、出力切換判定部32は、PESバッファ20に保持された所定時間T1分の12セグ映像データに発生するエラーが、軽微なエラーからバーストエラーへ推移する場合(検出結果Dの場合)、PESバッファ20に保持された所定時間T1分の12セグ映像データのPESパケットに断続的エラーが発生している場合(検出結果Eの場合)、又はPESバッファ20に保持された所定時間T1分の12セグ映像データのPESパケットにバーストエラーが発生している場合(検出結果Fの場合)には、この所定時間T1では、ワンセグ映像データを出力すべきであると判定する。出力切換部34は、この判定結果に応じて、この所定時間T1分のワンセグ映像データを出力する。
このように、本実施例に係る放送信号受信装置100によれば、エラー推移検出部30によって検出されたエラーの推移に応じて、12セグ映像データとワンセグ映像データとが選択的に出力される(即ち、出力が12セグ映像データとワンセグ映像データとの間で切り換えられる)ので、エラーが多く発生した状態の12セグ映像が表示されてしまうことを回避して、エラーがほとんど或いは全く発生していない状態のワンセグ映像データによる映像を確実に表示できる(ステップS53)。更に、例えば、単に、単位時間あたりのエラーパケット数(エラー率)が所定の閾値よりも大きいか否かに応じて、12セグ映像データとワンセグ映像データとのいずれかを選択的に出力する場合と比較して、12セグ映像データによる映像を表示する時間、即ち、視聴者が12セグ映像を視聴可能な時間を長くすることができる(ステップS51、S52)。言い換えれば、可能な限り、高解像度映像である12セグ映像を視聴したいという視聴者の要請に応えることができる。加えて、例えば、12セグ映像データのエラー率が急に増加する場合に、12セグ映像データからワンセグ映像データへの切り換えが間に合わず、映像が途切れてしまったり、エラーが多く発生した状態の12セグ映像データによる映像が表示されてしまったりすることを低減或いは抑制できる(ステップS52)。したがって、本実施例に係る放送信号受信装置100によれば、高画質な映像を視聴者に視聴させることができる。
次に、放送信号受信装置100におけるワンセグ映像データと12セグ映像データとの切り換えについて、図5から図9を参照して説明を加える。以下では、比較例に係る放送信号受信装置におけるワンセグ映像データと12セグ映像データとの切り換えと比較しながら、本実施例に係る放送信号受信装置100におけるワンセグ映像データと12セグ映像データとの切り換えについて説明する。
比較例に係る放送信号受信装置は、MPEG2ビデオデコーダによってデコードされる直前の12セグ映像データのエラー率(即ち、単位時間あたりのエラーパケット数)に応じて、出力をワンセグ映像データと12セグ映像データとの間で切り換える。比較例に係る放送信号受信装置は、12セグ映像データを出力している(即ち、出力が12セグ映像データである)ときに、エラー率が閾値C1よりも大きくなった場合には、出力を12セグ映像データからワンセグ映像データに切り換える。また、比較例に係る放送信号受信装置は、ワンセグ映像データを出力している(即ち、出力がワンセグ映像データである)ときに、エラー率が閾値C2(但し、閾値C2は閾値C1よりも小さな値)よりも小さくなった場合には、出力をワンセグ映像データから12セグ映像データに切り換える。
図5は、本実施例に係るワンセグ映像データと12セグ映像データとの切り換えの一例を、比較例と比較して示す概念図である。図5には、前述したエラー推移検出処理の検出結果として検出結果Aが得られる場合の12セグ映像データのエラー率(図中、12セグのエラー率)の経時的な変化に対応するワンセグ映像データと12セグ映像データとの切り換えが、本実施例及び比較例の各々について示されている。
図5では、時点t11から時点t12までの期間Ta1において、12セグ映像データに短時間かつ軽微なエラーが発生している。
図5に示すように、比較例に係る放送信号受信装置は、12セグ映像データを出力しているときに、12セグ映像データのエラー率が時点t11で閾値C1よりも大きくなる場合には、時点t11で出力を12セグ映像データからワンセグ映像データに切り換え、その後、12セグ映像データのエラー率が時点t12で閾値C2よりも小さくなる場合には、時点t12で出力をワンセグ映像データから12セグ映像データに切り換える。即ち、比較例に係る放送信号受信装置は、短時間かつ軽微なエラーが発生する期間Ta1において、ワンセグ映像データを出力する。
これに対して、本実施例に係る放送信号受信装置100は、12セグ映像データに短時間かつ軽微なエラーが発生している場合には、短時間かつ軽微なエラーは視聴にほとんど或いは全く悪影響を及ぼさないので、期間Ta1においても12セグ映像データを出力する。即ち、12セグ映像データに短時間かつ軽微なエラーが発生することがエラー推移検出部30によって検出された場合(即ち、検出結果Aの場合)には、12セグ映像データを出力する(図4のステップS51も参照)。よって、本実施例に係る放送信号受信装置100によれば、比較例に係る放送信号受信装置よりも、12セグ映像データによる映像を表示する時間、即ち、視聴者が12セグ映像を視聴可能な時間を長くすることができる。
図6は、本実施例に係るワンセグ映像データと12セグ映像データとの切り換えの他の例を、比較例と比較して示す概念図である。図6には、前述したエラー推移検出処理の検出結果として検出結果Bが得られる場合の12セグ映像データのエラー率の経時的な変化に対応するワンセグ映像データと12セグ映像データとの切り換えが、本実施例及び比較例の各々について示されている。
図6に示すように、比較例に係る放送信号受信装置は、12セグ映像データを出力しているときに、12セグ映像データのエラー率が時点t22で閾値C1よりも大きくなる場合には、時点t22で出力を12セグ映像データからワンセグ映像データに切り換え、その後、12セグ映像データのエラー率が時点t23で閾値C2よりも小さくなる場合には、時点t23で出力をワンセグ映像データから12セグ映像データに切り換える。即ち、比較例に係る放送信号受信装置は、瞬間的なバーストエラーが発生する期間Ta2において、ワンセグ映像データを出力する。ここで、比較例に係る放送信号受信装置では、バーストエラーが発生し始める時点t22における12セグ映像データからワンセグ映像データへの切り換えが間に合わず、映像が途切れてしまったり、エラーが多く発生した状態の12セグ映像データによる映像が表示されてしまったりするという事態が生じ得る。
これに対して、本実施例に係る放送信号受信装置100は、12セグ映像データに発生するエラーが瞬間的なバーストエラーから軽微なエラー以下へ推移する場合(即ち、検出結果Bの場合)には、バーストエラーが発生する期間Ta2においてワンセグ映像データを出力し、12セグ映像データに発生するエラーが軽微なエラー以下である時点t23以後の期間において12セグ映像データを出力する。ここで、本実施例に係る放送信号受信装置100によれば、12セグ映像データに発生するエラーが軽微なエラーからバーストエラーへ推移する場合(即ち、検出結果Dの場合)には、出力切換判定部32はワンセグ映像データを出力すべきであると判定する(図4のステップS53も参照)。即ち、本実施例に係る放送信号受信装置100では、バーストエラー(即ち、図6においてエラー率が所定時間以上連続して閾値C1以上となるエラー)が発生し始める時点t22よりも前の時点21において、出力が12セグ映像データからワンセグ映像データに切り換えられる。よって、比較例に係る放送信号受信装置では生じ得る、12セグ映像データからワンセグ映像データへの切り換えが間に合わず、映像が途切れてしまったり、エラーが多く発生した状態の12セグ映像データによる映像が表示されてしまったりするという事態を回避できる。
図7は、本実施例に係るワンセグ映像データと12セグ映像データとの切り換えの他の例を、比較例と比較して示す概念図である。図7には、前述したエラー推移検出処理の検出結果として検出結果Cが得られる場合の12セグ映像データのエラー率の経時的な変化に対応するワンセグ映像データと12セグ映像データとの切り換えが、本実施例及び比較例の各々について示されている。
図7では、時点t31から時点t32までの期間、時点t33から時点34までの期間、及び時点35から時点36までの期間において、12セグ映像データに軽微な断続的エラーが発生している。
図7に示すように、比較例に係る放送信号受信装置は、12セグ映像データを出力しているときに、12セグ映像データのエラー率が時点t31で閾値C1よりも大きくなる場合には、時点t31で出力を12セグ映像データからワンセグ映像データに切り換え、その後、12セグ映像データのエラー率が時点t32で閾値C2よりも小さくなる場合には、時点t32で出力をワンセグ映像データから12セグ映像データに切り換える。更に、比較例に係る放送信号受信装置は、12セグ映像データのエラー率が時点t33で閾値C1よりも大きくなる場合には、時点t33で出力を12セグ映像データからワンセグ映像データに切り換え、その後、12セグ映像データのエラー率が時点t34で閾値C2よりも小さくなる場合には、時点t34で出力をワンセグ映像データから12セグ映像データに切り換える。更に、比較例に係る放送信号受信装置は、12セグ映像データのエラー率が時点t35で閾値C1よりも大きくなる場合には、時点t35で出力を12セグ映像データからワンセグ映像データに切り換え、その後、12セグ映像データのエラー率が時点t36で閾値C2よりも小さくなる場合には、時点t36で出力をワンセグ映像データから12セグ映像データに切り換える。このように、比較例に係る放送信号受信装置によれば、12セグ映像データに軽微な断続的エラーが発生する場合、12セグ映像データとワンセグ映像データとの切り換えが頻繁に行われる。よって、12セグ映像データとワンセグ映像データとの切り換えに伴う頻繁な画質変化の発生や映像に生じるノイズが増大してしまうおそれがある。
これに対して、本実施例に係る放送信号受信装置100は、軽微な断続的エラーが発生している場合には、軽微な断続的エラーは、エラーコンシールメント技術などを用いることで視聴にほとんど或いは全く悪影響を及ぼさないので、軽微な断続的エラーが発生している期間においても12セグ映像データを出力する。即ち、12セグ映像データに軽微な断続的エラーが発生することがエラー推移検出部30によって検出された場合(即ち、検出結果Cの場合)には、12セグ映像データを出力する(図4のステップS51も参照)。よって、12セグ映像データとワンセグ映像データとの切り換えが頻繁に行われることを抑制でき、12セグ映像データとワンセグ映像データとの切り換えに伴う頻繁な画質変化の発生や映像に生じるノイズを低減できる。更に、本実施例に係る放送信号受信装置100によれば、比較例に係る放送信号受信装置よりも、12セグ映像データによる映像を表示する時間、即ち、視聴者が12セグ映像を視聴可能な時間を長くすることができる。
図8は、本実施例に係るワンセグ映像データと12セグ映像データとの切り換えの他の例を、比較例と比較して示す概念図である。図8には、前述したエラー推移検出処理の検出結果として検出結果Dが得られる場合の12セグ映像データのエラー率の経時的な変化に対応するワンセグ映像データと12セグ映像データとの切り換えが、本実施例及び比較例の各々について示されている。
図8では、時点t42から時点t43までの期間Ta4において、12セグ映像データに軽微なエラーが発生した後にバーストエラーが発生している。
図8に示すように、比較例に係る放送信号受信装置は、12セグ映像データを出力しているときに、12セグ映像データのエラー率が時点t42で閾値C1よりも大きくなる場合には、時点t42で出力を12セグ映像データからワンセグ映像データに切り換え、その後、12セグ映像データのエラー率が時点t43で閾値C2よりも小さくなる場合には、時点t43で出力をワンセグ映像データから12セグ映像データに切り換える。ここで、比較例に係る放送信号受信装置では、軽微なエラーが発生し始める時点t42における12セグ映像データからワンセグ映像データへの切り換えが間に合わず、映像が途切れてしまったり、エラーが多く発生した状態の12セグ映像データによる映像が表示されてしまったりするという事態が生じ得る。
これに対して、本実施例に係る放送信号受信装置100は、12セグ映像データに発生するエラーが軽微なエラーからバーストエラーへ推移する場合(即ち、検出結果Dの場合)には、12セグ映像データに発生するエラーが軽微なエラーからバーストエラーへ推移する期間Ta4においてワンセグ映像データを出力する(図4のステップS53も参照)。ここで、本実施例に係る放送信号受信装置100によれば、12セグ映像データに軽微なエラー(即ち、図8においてエラー率が短時間のみ閾値C1以上となるエラー)が発生し始める時点t42よりも前の時点41において、出力が12セグ映像データからワンセグ映像データに切り換えられる。よって、比較例に係る放送信号受信装置では生じ得る、12セグ映像データからワンセグ映像データへの切り換えが間に合わず、映像が途切れてしまったり、エラーが多く発生した状態の12セグ映像データによる映像が表示されてしまったりするという事態を回避できる。
図9は、本実施例に係るワンセグ映像データと12セグ映像データとの切り換えの他の例を、比較例と比較して示す概念図である。図9には、前述したエラー推移検出処理の検出結果として検出結果Eが得られる場合の12セグ映像データのエラー率の経時的な変化に対応するワンセグ映像データと12セグ映像データとの切り換えが、本実施例及び比較例の各々について示されている。
図9では、時点t51から時点t57までの期間において、12セグ映像データに断続的エラーが発生している。
図9に示すように、比較例に係る放送信号受信装置は、12セグ映像データを出力しているときに、12セグ映像データのエラー率が時点t52で閾値C1よりも大きくなる場合には、時点t52で出力を12セグ映像データからワンセグ映像データに切り換え、その後、12セグ映像データのエラー率が時点t53で閾値C2よりも小さくなる場合には、時点t53で出力をワンセグ映像データから12セグ映像データに切り換える。更に、比較例に係る放送信号受信装置は、12セグ映像データのエラー率が時点t54で閾値C1よりも大きくなる場合には、時点t54で出力を12セグ映像データからワンセグ映像データに切り換え、その後、12セグ映像データのエラー率が時点t55で閾値C2よりも小さくなる場合には、時点t55で出力をワンセグ映像データから12セグ映像データに切り換える。更に、比較例に係る放送信号受信装置は、12セグ映像データのエラー率が時点t56で閾値C1よりも大きくなる場合には、時点t56で出力を12セグ映像データからワンセグ映像データに切り換え、その後、12セグ映像データのエラー率が時点t57で閾値C2よりも小さくなる場合には、時点t57で出力をワンセグ映像データから12セグ映像データに切り換える。このように、比較例に係る放送信号受信装置によれば、12セグ映像データに軽微な断続的エラーが発生する場合、12セグ映像データとワンセグ映像データとの切り換えが頻繁に行われる。よって、12セグ映像データとワンセグ映像データとの切り換えに伴う頻繁な画質変化の発生や映像に生じるノイズが増大してしまうおそれがある。
これに対して、本実施例に係る放送信号受信装置100は、12セグ映像データに断続的なエラーが発生する場合(即ち、検出結果Eの場合)には、ワンセグ映像データを出力する(図4のステップS53も参照)。即ち、本実施例に係る放送信号受信装置100は、断続的なエラーが発生する時点t52から時点t57までの期間において、ワンセグ映像データを出力する。よって、12セグ映像データとワンセグ映像データとの切り換えが頻繁に行われることを抑制でき、12セグ映像データとワンセグ映像データとの切り換えに伴う頻繁な画質変化の発生や映像に生じるノイズを低減できる。更に、本実施例に係る放送信号受信装置100によれば、12セグ映像データに断続的なエラーが(即ち、図9においてエラー率が断続的に閾値C1以上となるエラー)が発生し始める時点t52よりも前の時点51において、出力が12セグ映像データからワンセグ映像エータに切り換えられる。よって、比較例に係る放送信号受信装置では生じ得る、12セグ映像データからワンセグ映像データへの切り換えが間に合わず、映像が途切れてしまったり、エラーが多く発生した状態の12セグ映像データによる映像が表示されてしまったりするという事態を回避できる。
以上説明したように、本実施例に係る放送信号受信装置100によれば、サイマル放送される12セグ映像データとワンセグ映像データとを適切に切り換えることができ、高画質な映像を視聴者に視聴させることが可能となる。ここで特に、本実施例によれば、PESバッファ20によって所定時間T1分の12セグ映像データに相当するPESパケットを保持し、この保持されたPESパケットについて、MPEG2ビデオデコーダ24によるデコード前に、エラーの推移が検出される(言い換えれば、デコード前に、所定時間T1分だけ未来の12セグ映像データについてエラーの推移が予測される)ので、サイマル放送される12セグ映像データとワンセグ映像データとを適切に切り換えることができる。
なお、本実施例では、エラー推定検出部30によって検出されるエラーの推移として、12セグ映像データに相当するPESパケットについてのエラーの推移を例に挙げたが、TSのエラー情報や、BER、C/N(Carrier to Noise ratio)などの各種のエラー情報の推移が検出されるようにしてもよい。
また、本実施例では、PESバッファ20に保持された所定時間T1分の12セグ映像データのPESパケットについてエラーの推移を検出するように構成したが、フレームバッファ28が所定時間T1分の12セグ映像データを保持し、このフレームバッファ28に保持された12セグ映像データを解析することにより、所定時間T1分の12セグ映像データについてエラーの推移を検出するようにしてもよい。この場合にも、12セグ映像データとワンセグ映像データとを適切に切り換えることができ、高画質な映像を視聴者に視聴させることが可能となる。
また、本発明は、音声や字幕についても映像と同様に適用することが可能である。本発明を音声や字幕について適用することで、高品質な音声や字幕を視聴者に視聴させることができる。
本発明は、前述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う放送信号受信装置及び方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。