図1を参照して、携帯電話機10は、通信端末の一種であり、コンピュータまたはCPUと呼ばれるプロセッサ24を含む。また、プロセッサ24は、無線通信回路14、A/D変換器16、D/A変換器20、キー入力装置26、表示ドライバ28、フラッシュメモリ32およびRAM34などが接続される。また、無線通信回路14にはアンテナ12が接続される。A/D変換器16にはマイク18が接続され、D/A変換器20にはスピーカ22が接続される。表示ドライバ28にはディスプレイ30が接続される。
プロセッサ24は、携帯電話機10の全体制御を司る。RAM34は、記憶部として機能し、プロセッサ24の作業領域(描画領域を含む)ないしバッファ領域として用いられる。フラッシュメモリ32には、アプリケーションのデータなどが記録される。
A/D変換器16は、マイク18を通して入力される音声ないし音についてのアナログ音声信号を、デジタル音声信号に変換する。D/A変換器20は、デジタル音声信号をアナログ音声信号に変換(復号)して、図示しないアンプを介してスピーカ22に与える。したがって、アナログ音声信号に対応する音声ないし音がスピーカ22から出力される。また、プロセッサ24は、アンプの増幅率を制御することで、スピーカ22から出力される音声の音量を調整することができる。
キー入力装置26は操作部として機能し、通話キー、終話キー、テンキーおよびアプリケーションキーなどが含まれる。また、使用者が操作したキーの情報(キーデータ)はプロセッサ24に入力される。
表示ドライバ28は、プロセッサ24の指示の下、当該表示ドライバ28に接続されたディスプレイ30の表示を制御する。また、表示ドライバ28は表示する画像データを一時的に記憶するビデオメモリ(図示せず)を含む。
無線通信回路14は、CDMA方式での無線通信を行うための回路である。たとえば、使用者がキー入力装置26を用いて電話発信(発呼)を指示すると、無線通信回路14は、プロセッサ24の指示の下、電話発信処理を実行し、アンテナ12を介して電話発信信号を出力する。電話発信信号は、基地局および通信網(図示せず)を経て相手の電話機に送信される。そして、相手の電話機において着信処理が行われると、通信可能状態が確立され、プロセッサ24は通話処理を実行する。
通常の通話処理について具体的に説明すると、相手の電話機から送られてきた変調音声信号はアンテナ12によって受信される。受信された変調音声信号には、無線通信回路14によって復調処理および復号処理が施される。そして、これらの処理によって得られた受話音声信号は、D/A変換器20によってアナログ音声信号に変換された後、スピーカ22から出力される。一方、マイク18を通して取り込まれた送話音声信号は、A/D変換器16によってデジタル音声信号に変換された後、プロセッサ24に与えられる。デジタル音声信号に変換された送話信号には、プロセッサ24の指示の下、無線通信回路14によって符号化処理および変調処理が施され、アンテナ12を介して出力される。したがって、変調音声信号は、基地局および通信網を介して相手の電話機に送信される。
また、相手の電話機からの電話発信信号がアンテナ12によって受信されると、無線通信回路14は、電話着信(着呼)をプロセッサ24に通知する。これに応じて、プロセッサ24は、表示ドライバ28を制御して、着信通知に記述された発信元情報(電話番号など)をディスプレイ30に表示する。また、これとほぼ同時に、プロセッサ24は、図示しないスピーカから着信音(着信メロディ、着信音声と言うこともある。)を出力させる。
そして、使用者が通話キーを用いて応答操作を行うと、無線通信回路14は、プロセッサ24の指示の下、電話着信処理を実行する。さらに、通信可能状態が確立され、プロセッサ24は上述した通常の通話処理を実行する。
また、通話可能状態に移行した後に終話キーによって通話終了操作が行われると、プロセッサ24は、無線通信回路14を制御して、通話相手に通話終了信号を送信する。そして、通話終了信号の送信後、プロセッサ24は通話処理を終了する。また、先に通話相手から通話終了信号を受信した場合も、プロセッサ24は通話処理を終了する。さらに、通話相手によらず、移動通信網から通話終了信号を受信した場合も、プロセッサ24は通話処理を終了する。
また、携帯電話機10には、使用者がファイルを表示・操作できるように、ファイルマネージャがインストールされている。たとえば、フラッシュメモリ32に保存されている画像ファイルを、RAM34に移動させる場合、使用者はファイルマネージャによって表示された画像ファイルのアイコンを見ながら、RAM34に移動させる操作を行う。
さらに、携帯電話機10には、メールを送受信するために、メーラがインストールされている。たとえば、携帯電話機10に対する新着メールがメールサーバ102に蓄積されると、メールサーバ102から携帯電話機10に新着メールの通知信号が送信される。携帯電話機10は、通知信号を受信すると、メールサーバ102とのデータ通信を、ネットワーク100を介して確立し、新着メールを受信する。一方、携帯電話機10からメールを送信する操作が行われると、メールサーバ102とのデータ通信が確立された後に、そのメールがメールサーバ102に送信される。その後、メールサーバ102から相手の端末に対してメールが送信される。そして、使用者は、メーラを利用して送受信したメールを確認することができる。
ここで、本実施例の携帯電話機10のファイル・システムは、「隠し属性」を利用することができる。たとえば、隠し属性が設定されたファイルは、ファイルマネージャがそのファイルを表示できなくなる。つまり、使用者は、隠し属性が設定されたファイルを認識することができない。なお、この隠し属性は、「FAT16」、「POSIX.1」および「Java」などの様々なファイル・システムにおいて広く一般的に利用されているため、詳細な説明は省略する。
図2は受信したメールをRAM34に保存するときの流れを示す図解図である。図2を参照して、ファイルが添付されたメールをメールサーバ102から受信した場合、その受信データがRAM34のバッファに格納される。このとき、発信元のメールアドレスが後述する秘匿アドレスのメールアドレスと一致しなければ、受信データから読み出された通常メールデータは、通常メールフォルダに保存される。また、メールに添付されたファイルは、受信データをデコードすることで取得され、その後データフォルダに保存される。そして、通常メールデータと添付ファイルとは別々に保存されるため、通常メール管理データには、通常メールと添付ファイルとを関連付ける「リンク」が記録される。なお、リンクについては後述するため、ここでの詳細な説明は省略する。
図3は、添付ファイルの構成の一例を示す図解図である。図3を参照して、添付ファイルは、テキストデータおよびメタデータを含む。テキストデータは、数字や、名前、電話番号などの文字列などを含む。また、メタデータは、テキストデータのデータ名および作成日などのメタ情報を含むと共に、属性フラグの設定も含む。この属性フラグは、上述した隠し属性が設定されているかを示すフラグである。なお、属性フラグは初期状態ではオフ(0)にされているが、所定の処理が行われるとオン(1)にされる。
たとえば、図3に示される添付ファイルは、「2011年3月1日」に、「名簿.txt」と言うデータ名で作成された、「テキストファイル」であることが分かる。そして、この添付ファイルには隠し属性が設定されているため、ファイルマネージャは、この添付ファイルを表示することができない。
図4はアドレス帳データのデータ構成の一例を示す図解図である。アドレス帳データは、通常アドレスデータおよび秘匿アドレスデータを含んでおり、図4では各行が1つのアドレスデータを示す。また、アドレスデータは、氏名およびメールアドレスなどを含むともに、秘匿メールアドレスかを示す秘匿フラグも含まれる。そして、秘匿フラグがオン(1)にされている場合、そのアドレスデータは秘匿アドレスデータとして扱われる。一方、秘匿フラグがオフ(0)にされている場合、そのアドレスデータは通常アドレスデータとして扱われる。
ここで、秘匿アドレスデータとして登録されている人物からメールが送信された場合、そのメールは秘匿メールとして保存される。また、そのメールに添付ファイルが含まれていれば、添付ファイルに隠し属性を設定して、その添付ファイルを秘匿の状態にする。
具体的には、図4および図5を参照して、秘匿アドレスとして登録されている「XXX」が発信したメールをメールサーバ102から受信した場合、受信データにおいて、メールデータは秘匿メールフォルダに保存される。また、添付ファイルは、メタデータの属性フラグがオンに設定される。そして、隠し属性が設定された添付ファイルは、隠し属性が設定されていない他のファイルと同じようにデータフォルダに保存され、秘匿メール管理データにリンクが記録される。
図6は上記した秘匿メール管理データの構成の一例を示す図解図である。図6を参照して、秘匿メール管理データには、秘匿メールの題名やヘッダなどが記録される。また、受信時に添付ファイルが含まれていた場合は、別々に保存された添付ファイルとのリンクとしてアドレスパスが記録される。さらに、対象となる秘匿メールの既読/未読を判断するための既読フラグの状態も記録される。また、「既読」とは、対応する秘匿メールの内容が表示された状態のことを言う。そのため、未読フラグは初期状態でオフ(0)が設定されている。また、秘匿メールが表示された後、その表示が消去されると、秘匿フラグはオン(1)にされる。
たとえば、図5に示す秘匿メールの題名が「データ送付」であり、添付ファイルが保存されたデータフォルダのアドレスパスが「0x0000AAAA」であれば、秘匿メール管理データには、「題名」の列に「データ送付」が記録される。また、「データ送付」が記録された題名の欄に対応して、リンクの列には「0x0000AAAA」が記録される。さらに、上記秘匿メールが未読の状態であれば、既読の欄には既読フラグがオフであることを示す「0」が記録される。
なお、通常メール管理データは、構成が秘匿メール管理データと略同じであるため、詳細な説明は省略する。
図7(A)は通常メールを受信した後の待機画面であり、図7(B)は秘匿メールを受信した後の待機画面である。まず、ディスプレイ30の表示は、日時、電池残量および受信状態などを表すアイコンを含む状態表示領域60および待機状態を示す壁紙画像を表示する機能表示領域62から構成される。また、通常メールを受信した直後は、通常メールが未読の状態(既読フラグがオフ)であるため、状態表示領域60には新着メールアイコン64が表示されると共に、機能表示領域62には新着メールキーが表示される。
この状態で、新着メールキーに対応するハードキーが操作されると、通常メールフォルダに保存されているメールデータと対応するメールアイコンが、図8に示すように表示される。そして、メールアイコンがカーソルCによって選択された状態で確定操作がされると、そのメールアイコンに対応する通常メールの内容がディスプレイ30に表示される。また、未読の通常メール対応するメールアイコンが選択された場合、その通常メールに対応する既読フラグがオンにされる。なお、新着メールキーではなく、メール機能を実行するアプリケーションキーが操作された場合でも、図8に示すGUIが表示される。
図7(B)を参照して、秘匿メールが未読の場合、状態表示領域60および機能表示領域62には、新着メールアイコン64および新着メールキーは表示されない。つまり、秘匿メールは受信したことが通知されない。また、この状態でメール機能を実行するアプリケーションキーが長押しされれば、図9(A)に示すように、パスワードを入力するためのGUIが待機画面上に表示される。入力されたパスワードが正しければ、図9(B)に示すように、秘匿メールフォルダに保存されている秘匿メールに対応して、メールアイコンがディスプレイ30に表示される。なお、図9(B)に示す状態では、新着メールアイコン64が状態表示領域60に表示される。
図10(A)を参照して、秘匿メールに対応するメールアイコンがカーソルCによって選択された状態で確定操作が行われると、秘匿メールの内容が表示される。機能表示領域62には、送信者表示部70、題名表示部72、添付ファイル表示部74および本文表示部76が表示される。さらに、機能表示領域62の下側には、キー入力装置26のハードキーに対応して、返信メールを作成するための返信キー78、カーソルCによる選択を確定するための確定キー80およびメニューを表示するためのメニューキー82も表示される。
また、送信者表示部70、題名表示部72および添付ファイル表示部74はカーソルCによって選択することができ、確定キー80が操作されると選択された表示部に対応してGUIが変化する。
たとえば、送信者表示部70がカーソルCに選択された状態で確定キー80が操作されると、発信元(送信者)のメールアドレスがアドレスデータから読み出され、発信元のメールアドレスが表示される。また、題名表示部72がカーソルCに選択された状態で確定キー80が操作されると、題名に利用されている文字列のコピーや、辞書検索などのメニューが表示される。そして、添付ファイル表示部74がカーソルCに選択された状態で確定キー80が操作されると、添付ファイルの内容を表示する処理が実行される。
このとき、秘匿メールが最初に表示された状態、つまり既読フラグがオフの状態であれば、機能表示領域62には、添付ファイルの属性を変更するかを確認する確認GUIが表示される。たとえば、図9(B)を参照して、確認GUIには、「添付ファイルの隠し属性を解除しますか?」の文章が書かれるとともに、隠し属性の解除を承諾する承諾キー90および解除を拒絶する拒絶キー92が設けられる。そして、承諾キー90がカーソルCによって選択された状態で、確定キー80が操作されると、添付ファイルの隠し属性が解除される。一方、拒絶キー92がカーソルCによって選択された状態で、確定キー80が操作されると、添付ファイルの隠し属性は解除されず、設定されたままになる。
そして、図示は省略するが、承諾キー90および拒絶キー92の選択にかかわらず、確定キー80が操作されると、添付ファイルの内容がディスプレイ30に表示される。たとえば、ここでは添付ファイルである「名簿.txt」の内容がディスプレイ30に表示される。
このように、秘匿メールの最初の表示に合わせて、添付ファイルの隠し属性を任意に解除できるようにすることで、使用者の利便性を向上させることができる。
また、秘匿メールが2回目以降に確認された状態、つまり既読フラグがオンの状態であれば、添付ファイル表示部74がカーソルCに選択された状態で確定キー80が操作されても確認GUIは表示されない。ただし、添付ファイルの属性を変更する場合は、図10(A)の状態でメニューキー82を操作すればよい。具体的には、この状態でメニューキー82が操作されると、上記確認GUIを表示させるための選択メニューが表示される。そして、選択メニューで所定の操作を行うと図10(B)に示す確認GUIがディスプレイ30に表示される。
また、秘匿メールが最初に表示された状態でも、上述した操作によって、添付ファイルの属性が変更されてもよい。つまり、使用者は、添付ファイル表示部74をカーソルCで選択した状態で確定キー80を操作する前に、添付ファイルの隠し属性を解除することもできる。
ここで、添付ファイルの隠し属性が解除された場合、ファイルマネージャによるファイルフォルダの表示は図11(A),(B)に示すように変化する。まず、図11(A),(B)を参照して、ファイルフォルダに保存されているデータに対応するアイコンが、一覧的に表示されている。次に、図11(A)に着目して、たとえば、添付ファイルに隠し属性が解除されなかった場合、秘匿メールの添付ファイル(名簿.txt)に対応するアイコンは表示されない。一方、図11(B)に着目して、添付ファイルの隠し属性が解除された場合、秘匿メールの添付ファイル(名簿.txt)が表示されるようになる。
そして、表示されているアイコンがカーソルCによって選択された後に、確定操作が行われると、対応するデータがディスプレイ30に表示される。また、削除操作が行われると、対応するデータが削除される。さらに、移動操作が行われると、他のフォルダまたはフラッシュメモリ32に対応するデータを移動させる。このように、添付ファイルの隠し属性が解除された場合、他のファイルと同じように、秘匿メールの添付ファイルを表示・操作することができるようになる。
以上の説明から分かるように、添付ファイルの秘匿性は、ファイル・システムが備える隠し属性を利用することで実現することができる。したがって、任意にアプリケーションを追加することができるオープンプラットフォームの携帯電話機10において、アプリケーションの組み合わせが制約されなくなる。よって、使用者は、携帯電話機10にインストールするアプリケーション群を任意に構成しても、その通信端末で秘匿メールを利用することができる。特に、上記の効果は、いわゆるスマートフォンで、仕事で利用するファイルなどを利用するときに、大いに発揮される。
また、ファイル・システムが備える隠し属性を利用しているだけなので、添付ファイルを保存した後に特別な管理をする必要が無い。そのため、ファイルマネージャの処理を単純にすることができる。
さらに、本実施例では、秘匿メールに添付されたファイルを使用者が確認する前に、第三者がメール確認以外の手段(ファイルマネージャによって表示する手段)で確認できてしまうという、秘匿の不完全さも排除することができる。
なお、添付ファイルが音楽ファイルの場合には、音楽プレイヤ機能が実行され、音楽が図示しないスピーカから出力される。さらに、添付ファイルが画像ファイルの場合、画像がディスプレイ30に表示される。
図12は、RAM34のメモリマップを示す図である。RAM34のメモリマップには、プログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304が含まれる。また、プログラムおよびデータの一部は、フラッシュメモリ32から一度に全部または必要に応じて部分的かつ順次的に読み出され、RAM34に記憶されてからプロセッサ24によって処理される。
プログラム記憶領域302には、携帯電話機10を動作させるためのプログラムが記憶されている。たとえば、携帯電話機10を動作させるためのプログラムは、メール保存プログラム310、メール表示プログラム312および一覧表示プログラム314などを含む。
メール保存プログラム310は、メールサーバ102から受信したメールを通常メールまたは秘匿メールとして保存するためのプログラムである。メール表示プログラム312は、保存された通常メールまたは秘匿メールの内容をディスプレイ30に表示するためのプログラムである。一覧表示プログラム314は、添付ファイルなどが保存されるファイルフォルダの内容を、一覧GUIを用いて表示するためのプログラムである。なお、メール保存プログラム310およびメール表示プログラム312は、メールの送受信を管理するアプリケーション(メーラ)プログラムの一部としてRAM34に記憶されている。
なお、図示は省略するが、携帯電話機10を動作させるためのプログラムには、ファイルマネージャのプログラムや、ネットワーク100を介して外部機器(メールサーバなど)との通信を確立するためのプログラムなどが含まれる。
続いて、データ記憶領域304には、受信バッファ330、一覧バッファ332などが設けられると共に、アドレス帳データ334、メールフォルダデータ336およびファイルフォルダデータ338が記憶される。
受信バッファ330には、たとえばメールサーバ102から受信したメールのデータが一時的に記憶される。一覧バッファ332には、一覧GUIを表示する際に、表示するアイコンの一覧テーブルが一時的に記憶される。アドレス帳データ334は、たとえば図4に示す、複数のアドレスデータを含む。
メールフォルダデータ336は、通常メール管理データ336a、通常メールフォルダデータ336b、秘匿メール管理データ336cおよび秘匿メールフォルダデータ336dなどを含み、メーラが実行されると読み出される。通常メール管理データ336aおよび秘匿メール管理データ336cは、図6に示すように構成されており、メールフォルダに保存されている通常メールおよび秘匿メールを表示したりするために利用される。通常メールフォルダデータ336bは通常メールとして保存されたメールデータを含み、秘匿メールフォルダデータ336dは秘匿メールとして保存されたメールデータを含む。
ファイルフォルダデータ338は、ファイルフォルダに保存されている添付ファイルデータ336aなどを含む。添付ファイルデータ336aは、受信したメールの添付ファイルが保存されたものである。そのため、添付ファイルデータ336aには、テキストファイル、音楽ファイルおよび画像ファイルなどが含まれることがある。
なお、図示は省略するが、データ記憶領域304には、待機状態で表示される画像データや、文字列のデータなどが記憶されると共に、携帯電話機10の動作に必要なカウンタや、フラグも設けられる。
プロセッサ24は、Android(登録商標)およびREXなどのLinux(登録商標)ベースのOSや、その他のOSの制御下で、図13に示すメール保存処理、図14に示すメール表示処理および図15に示す一覧表示処理などを含む複数のタスクを並列的に処理する。
図13はメール保存処理のフロー図である。たとえば、メールサーバ102から新着メールの通知があると、プロセッサ24はステップS1でメール受信処理を実行する。つまり、メールサーバ102からメールのデータを受信する。このとき、受信したデータは、受信バッファ330に格納される。続いて、ステップS3では、秘匿メールか否かを判断する。たとえば、受信バッファに保存されている発信元のメールアドレスとアドレス帳データ334とに基づいて、メールの発信者が秘匿アドレスとして登録されているか否かを判断する。なお、ステップS3の処理を実行するプロセッサ24は判断部として機能する。
ステップS3で“YES”であれば、つまり受信したメールが秘匿メールと判断できれば、ステップS5で秘匿メールを保存する。つまり、受信バッファ330からメールデータを読み出し、秘匿メールフォルダ336dに含まれる秘匿メールデータとして保存する。なお、ステップS5の処理を実行するプロセッサ24は秘匿メール保存部として機能する。続いて、ステップS7では、ファイルが添付されているか否かを判断する。たとえば、MIME(Multipurpose Internet Mail Extension)によってエンコードされたファイルが添付されているか否かを判断する。ステップS7で“NO”であれば、つまり秘匿メールにファイルが添付されていなければ、メール保存処理を終了する。
また、ステップS7で“YES”であれば、つまり秘匿メールにファイルが添付されていれば、ステップS9で添付ファイルに隠し属性を設定する。つまり、受信バッファ330に格納された受信データをデコードして添付ファイルを取得して、その添付ファイルに含まれるメタデータにおいて、属性フラグをオン(1)に設定する。なお、ステップS9の処理を実行するプロセッサ24は設定部として機能する。続いて、ステップS11では、添付ファイルを保存する。つまり、隠し属性が設定された添付ファイルを、ファイルフォルダデータ338に含まれる添付ファイルデータ338aとして保存する。なお、ステップS11の処理を実行するプロセッサ24は第1ファイル保存部として機能する。続いて、ステップS13では、秘匿メール管理データ336cに添付ファイルのリンクを記録する。たとえば、図6に示すように、メールの題名に対応させて、添付ファイルデータ338aの保存先を示すアドレスパス(たとえば、0x0000AAAA)がリンクとして記録される。そして、ステップS13の処理が終了すれば、メール保存処理が終了する。
なお、他の実施例では、添付ファイルを保存するアドレスパスを予め決めておき、ステップS7で“YES”と判断されれば、最初にステップS13を実行して添付ファイルのリンクを記録してもよい。この場合、ステップS13の処理の後、ステップS9,S11の処理が実行される。
また、ステップS3で“NO”であれば、つまり受信したメールが通常メールと判断されれば、ステップS15で通常メールを保存する。つまり、受信バッファ330からメールデータが読み出され、通常メールフォルダデータ336bに含まれる通常メールデータとして保存される。なお、ステップS15の処理を実行するプロセッサ24は通常メール保存部として機能する。続いて、ステップS17でファイルが添付されているか否かを、ステップS7と同様に判断する。ステップS7で“NO”であれば、つまりメールにファイルが添付されていなければ、ステップS23に進む。一方、ステップS7で“YES”であれば、つまりメールにファイルが添付されていれば、ステップS19で添付ファイルを保存し、ステップS21で通常メール管理データ336aに添付ファイルのリンクを記録する。つまり、通常メールの場合、添付ファイルには隠し属性が設定されることなく、添付ファイルデータ338aとして保存される。そして、ステップS13と同様、通常メール管理データ336aにはステップS19で保存された添付ファイルのアドレスパスがリンクとして記録される。なお、ステップS19の処理を実行するプロセッサ24は第2ファイル保存部として機能する。
続いて、ステップS23では、受信通知処理を実行する。つまり、着信音を図示しないスピーカから出力すると共に、ディスプレイ30に新着メールアイコン64および新着メールキーを表示する。このように、通常メールを受信した場合は、その受信が使用者に通知される。なお、ステップS23の処理が終了すれば、メール保存処理は終了される。なお、ステップS23の処理を実行するプロセッサ24は受信通知部として機能する。
図14はメール表示処理のフロー図である。たとえば、メール機能を実行するアプリケーションキーが操作されると、プロセッサ24は、ステップS41で秘匿メールの表示操作がされたか否かを判断する。たとえば、上述したように、メール機能を実行するアプリケーションキーが長押しされたか否かが判断される。なお、ステップS41の処理を実行するプロセッサ24は表示判断部として機能する。
ステップS41で“NO”であれば、つまり、上記アプリケーションキーが短押しされていれば、ステップS61に進む。また、ステップS41で“YES”であれば、つまり上記アプリケーションキーが長押しされていれば、ステップS43で秘匿メールの一覧を表示する。つまり、図9(B)に示すように、秘匿メールフォルダデータ336dに含まれる秘匿メールデータに対応するアイコンが表示される。続いて、ステップS45では、選択処理を実行する。つまり、選択処理が実行されると、秘匿メールに対応するアイコンをカーソルCの移動が制御されたり、カーソルCによる選択が確定されたりする。続いて、ステップS47では、選択が確定された秘匿メールを表示する。たとえば、図10(A)に示すように、確定操作が行われたときにカーソルCによって選択されたアイコンに対応する秘匿メールが、ディスプレイ30に表示される。なお、ステップS43−S47の処理を実行するプロセッサ24は秘匿メール表示部として機能する。
続いて、ステップS49では、リンクが有るか否かを判断する。つまり、秘匿メール管理データ336に基づいて、表示されている秘匿メールに添付ファイルのリンクが記録されているかを判断する。ステップS49で“NO”であれば、つまり添付ファイルのリンクが無ければ、メール表示処理は終了する。また、ステップS49で“YES”であれば、つまり添付ファイルのリンクが有れば、ステップS51で添付ファイルの表示操作がされたか否かを判断する。つまり、添付ファイル表示部74がカーソルCで選択された状態で、確定キー80が操作されたか否かを判断する。ステップS51で“NO”であれば、つまり添付ファイルの表示操作がされていなければ、ステップS51の処理が繰り返される。
ステップS51で“YES”であれば、つまり添付ファイルの表示操作がされれば、ステップS53で既読か否かを判断する。つまり、表示されている秘匿メールの既読フラグがオンであるか否かを判断する。ステップS53で“YES”であれば、つまり秘匿メール管理データ336cにおいて既読フラグがオンであれば、ステップS59に進む。
また、ステップS53で“NO”であれば、つまり秘匿メールが表示されるのが1回目であれば、ステップS55で属性を変更するか否かを判断する。つまり、ステップS55の処理が実行されると、ディスプレイ30には図10(B)に示す確認GUIが表示される。そして、その確認GUIにおいて承諾キー90がカーソルCによって選択された状態で、確定キー80が操作されたか否かを判断する。ステップS55で“NO”であれば、たとえば、図10(B)に示す確認GUIにおいて拒絶キー92がカーソルCによって選択された状態で確定キー80が操作されると、ステップS59に進む。一方、ステップS55で“YES”であれば、たとえば上記承諾キー90がカーソルCによって選択された状態で確定キー80が操作されると、ステップS57で添付ファイルの隠し属性を解除する。つまり、添付ファイルに含まれるメタデータにおいて、属性フラグをオフ(0)にする。なお、ステップS57の処理を実行するプロセッサ24は解除部として機能する。続いて、ステップS59では、添付ファイルの内容を表示する。たとえば、図10(A)などに示すように、添付ファイルがテキストファイル(名簿.txt)であれば、テキストファイルに含まれる文字列がディスプレイ30に表示される。そして、ステップS59の処理が終了すれば、メール表示処理を終了する。
また、ステップS41で“NO”であれば、つまりメール機能を実行するアプリケーションキーが短押しされていれば、ステップS61で通常メールの一覧を表示する。たとえば、図8に示すように、通常メールフォルダデータ336bに含まれる通常メールデータのアイコンがディスプレイ30に表示される。続いて、ステップS63で選択処理を実行し、ステップS65で選択が確定された通常メールを表示する。この2つのステップの処理はステップS45,S47と略同じであるため詳細な説明は省略するが、ディスプレイ30には使用者によって選択された通常メールが表示される。なお、ステップS59−S63の処理を実行するプロセッサ24は通常メール表示部として機能する。
続いて、ステップS67では添付ファイルのリンクが有るか否かを判断し、ステップS69では添付ファイルの表示操作がされたか否かを判断する。そして、ステップS71では添付ファイルの内容を表示する。なお、これらの処理はステップS49,S51と略同じであるため、詳細な説明は省略する。そして、ステップS71で添付ファイルの内容がディスプレイ30に表示されると、メール表示処理は終了する。
図15は一覧表示処理のフロー図である。たとえば、使用者がファイルフォルダデータ338の内容を確認する操作を行うと、プロセッサ24はステップS81で、隠し属性が設定されたファイルが有るか否かを判断する。たとえば、属性フラグがオン(1)にされているファイルが、ファイルフォルダデータ338に含まれているか否かを判断する。ステップS81で“YES”であれば、たとえばファイルフォルダデータ338に隠し属性が設定された添付ファイルデータ338aが含まれていれば、ステップS83で、隠し属性が設定されたファイルを除いて一覧テーブルを作成する。たとえば、隠し属性が設定されている添付ファイルを除いて、ディスプレイ30にアイコンが表示されるように一覧テーブルが作成される。一方、ステップS81で“NO”であれば、つまり隠し属性が設定されたファイルが無ければ、ステップS85で全てのファイルの一覧テーブルを作成する。たとえば、ファイルフォルダデータ338に含まれる全てのファイルが表示されるように、一覧テーブルが作成される。なお、ステップS83,S85で作成された一覧テーブルは一覧バッファ332に格納される。
続いて、ステップS87では、作成された一覧テーブルに基づいて一覧GUIを表示する。たとえば、ステップS83で作成された一覧テーブルに基づいて一覧GUIが表示されると、図11(A)に示すように添付ファイルに対応するアイコンが表示される。一方、ステップS85で作成された一覧テーブルに元ついてGUIが表示されると、図11(B)に示すように添付ファイルに対応するアイコンも表示される。
また、ステップS83,S87の処理を実行するプロセッサ24は第1ファイル表示部として機能する。また、ステップS85,S87の処理を実行するプロセッサ24は第2ファイル表示部として機能する。
なお、他の実施例では、添付ファイルの隠し属性が解除されると共に、パスワードが設定されたフォルダに移動されてもよい。また、その他の実施例では、添付ファイルの隠し属性を解除する代わりに、添付ファイルが削除されてもよい。
また、その他の実施例では、添付ファイルの内容を確認する操作がされれば、添付ファイルの隠し属性が解除されるように、初期設定されていてもよい。つまり、このような初期設定がされている場合、秘匿メールが最初に表示された状態で添付ファイルの内容を表示する操作がされると、図10(B)に示す確認GUIがディスプレイ30に表示されずに、添付ファイルの内容が表示される。
また、さらにその他の実施例では、添付ファイルデータ338aには、アドレスパスに代えてファイル・システムのiノードや、ファイルパス名などがリンクとして記録されてもよい。さらに、受信した添付ファイルに論理ID(管理番号)を付与するようにした場合は、添付ファイルデータ338aには、アドレスパスに代えて論理IDが記録されてもよい。
また、携帯電話機10の通信方式はCDMA方式であるが、LTE(Long Term Evolution)方式、W−CDMA方式、GSM方式、TDMA方式、FDMA方式およびPHS方式などが採用されてもよい。
また、本実施例で用いられた複数のプログラムは、データ配信用のサーバのHDDに記憶され、ネットワークを介して携帯電話機10に配信されてもよい。また、CD,DVD,BD(Blu−ray Disc)などの光学ディスク、USBメモリおよびメモリカードなどの記憶媒体に複数のプログラムを記憶させた状態で、その記憶媒体が販売または配布されてもよい。そして、上記したサーバや記憶媒体などを通じてダウンロードされた、複数のプログラムが本実施例と同等の構成の携帯電話機にインストールされた場合、本実施例と同等の効果が得られる。
さらに、本実施例は、携帯電話機10のみに限らず、いわゆるスマートフォンおよびPDA(Personal Digital Assistant)に適用されてもよい。
そして、本明細書中で挙げた、アドレスパスなどの具体的な数値は、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。