JP2012225881A - 位置検出器用センサーロッド - Google Patents
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Abstract
【課題】位置検出感度を損なうことなく耐摩耗性及び環境遮断特性を高めた実用的な位置検出器用センサーロッドを提供する。
【解決手段】強磁性材料の母材上に導電層をリング状に形成したセンサーロッドである。導電層は、粒子積層構造を有し、ビッカース硬さHVが60以上、固有電気抵抗が15μΩcm以下、膜厚が0.1mm以上である導電性皮膜である。さらに、この導電性皮膜を含む母材の表面を導電層よりも高硬度の少なくとも一層以上からなる硬質皮膜で被覆すると共に、前記硬質皮膜の膜厚が0.3mm以下に調整されている。このような構成によれば、測定誤差が小さく耐久性の大きい位置検出器用センサーロッドが得られる。
【選択図】図4
【解決手段】強磁性材料の母材上に導電層をリング状に形成したセンサーロッドである。導電層は、粒子積層構造を有し、ビッカース硬さHVが60以上、固有電気抵抗が15μΩcm以下、膜厚が0.1mm以上である導電性皮膜である。さらに、この導電性皮膜を含む母材の表面を導電層よりも高硬度の少なくとも一層以上からなる硬質皮膜で被覆すると共に、前記硬質皮膜の膜厚が0.3mm以下に調整されている。このような構成によれば、測定誤差が小さく耐久性の大きい位置検出器用センサーロッドが得られる。
【選択図】図4
Description
本発明は、位置検出器に用いられるセンサーロッドに関する。
従来のセンサーロッドの構成として、母材となる強磁性材料の表面に一定間隔でリング状に溝を設け、ここに銅めっき膜を形成し、これをクロムめっき膜で覆ったセンサーロッドが知られている。
特許文献1は、位置検出器用センサーロッドにおいて、渦電流路を形成するためリング状に形成した良導電性皮膜として表面加工処理技術により形成した銅を用い、その外周にクロムメッキ等によるコーティング層(硬質層)を形成する技術を開示する。
機械的強度を向上させた変位検出用部材として、溶射材料を利用したものが知られている。特許文献2は、磁気センサと組み合わせて用いる「変位検出用部材」において、「磁性金属部材の表面に一定間隔おきに溝を形成し、前記溝に銅又は銅と同等以上の導電率を有する導電材と銅よりも硬い溶射材料を混合した導電性混合材料を溶射により埋め込んだ」ことを特徴とする変位検出用部材を開示し(第5段落)、実施例において、溶射方法として、HVOF(High Velocity Oxigen Fuel)法又はHVAF(High Velocity Air Fuel)法を用いること、導電性混合材を溶射し、全体表面を表面強化層で覆うこと等を開示している(第14〜24段落等)。
しかし、めっき浴の浴槽の大きさには限界があるため、銅やクロムの形成に「めっき法」を用いる限り、長いセンサーロッドを製造することは困難であった。
また、銅めっき膜は、固有電気抵抗(比抵抗)が小さい利点がある反面、経時変化により軟化しやすいという欠点を有する。このため、銅めっき膜をリング状の導電性部材として用いた従来のセンサーロッドを例えば製鉄所の圧延炉や鋳造炉などのような過酷な条件下で用いると、わずか数年で寿命を迎えることもあった。クロムめっきによる硬質皮膜は、耐摩耗性向上及び亀裂等による環境遮断特性の低下の観点から代替材料が求められていた。さらに、渦電流路となるリング状の導電性部材は、硬質の銅めっきを用いても経時変化で軟化するため、鉄基母材との硬度差が大きく母材と銅めっき境界部でクロムめっきに割れが生じる問題もあった。
上記の通り、センサーロッドの導電材部分やその表面を被覆する表面強化材の材料に「溶射材料」を用いること自体は提案されているが、位置検出器用センサーロッドの技術と溶射技術とは、技術分野も大きく相違するため、溶射材料や溶射方法など種々の製造条件の具体的な選択は、センサーロッドの測定結果と照らしながら行う必要がある。特に、センサーロッドは渦電流損及び磁気抵抗の違いを磁気センサで検出するため、溶射材料を用いる場合には、固有電気抵抗、硬さ及び膜厚の関係を、センサーロッドの測定誤差等のデータに基づいて綿密に調整することが不可欠である。すなわち、先に示された溶射技術によると、例えば導電層が混合物であることから、導電層における固有電気抵抗の高い事が予想され、また硬質溶射層の皮膜厚さにも影響を受け、位置検出感度の低下を招くことがあった。
本発明はこれらの状況を鑑みて鋭意研究の末、位置検出感度を損なうことなく、耐摩耗性及び環境遮断特性を高める全く新たな条件範囲を見出し、実用的な位置検出器用センサーロッドを提供することを技術的課題とする。
本発明に係るセンサーロッドは、強磁性材料の母材上に導電層をリング状に形成したセンサーロッドであって、前記導電層は、粒子積層構造を有すると共にビッカース硬さHVが60以上、固有電気抵抗が15μΩcm以下、膜厚が0.1mm以上であり、
前記導電層を含む前記母材の表面は前記導電層よりも高硬度の少なくとも一層以上からなる粒子積層構造を有する硬質皮膜で被覆されていると共に、
前記硬質皮膜の膜厚が0.3mm以下に調整されたことを特徴とする。なお、本明細書において、材質の硬さは、いずれもビッカース硬さHV(HV;Vickers hardness)で表現する。
前記導電層を含む前記母材の表面は前記導電層よりも高硬度の少なくとも一層以上からなる粒子積層構造を有する硬質皮膜で被覆されていると共に、
前記硬質皮膜の膜厚が0.3mm以下に調整されたことを特徴とする。なお、本明細書において、材質の硬さは、いずれもビッカース硬さHV(HV;Vickers hardness)で表現する。
かかる構成を備えたセンサーロッドを用いて位置検出器を構成することで、従来と同等以上の検出感度を維持しつつ、耐久性を大幅に向上させることができる。
本発明の構成によれば、位置検出感度を損なうことなく耐摩耗性を高めた実用的な位置検出器用センサーロッドやこれを用いた位置検出器を得ることができる。しかも、導電層と硬質皮膜はいずれも粒子積層構造を有する膜で構成されるため、適切な材料の選択、溶射条件の選択により、導電性、硬さ、膜厚などを本発明の範囲で調整することにより、めっき法を適用することが困難な長いセンサーロッドにおいても容易に製造することができるといった極めて顕著な効果をも奏する。
−位置検出器の基本原理−
図6(a)は、3相式位置検出器の基本構成例を示す図である。位置検出器50は、センサーロッド51と検出コイル52とで構成される。センサーロッド51には、磁性体53と非磁性体54が等しいピッチずつ交互に配置され、センサーロッド51の外周に検出コイル52がセンサーロッド51の軸方向に移動できるように設けられる。
検出コイル52は、内周側に3組の1次コイルU,V,Wが、1次コイルの外周側に2次コイルu,v,wが、それぞれ同心円状に、かつ、1ピッチを3等分した距離ずつ離間して、配置される。そして、1次コイルに印加した励磁信号と2次コイルから出力される出力信号とを解析することで、センサーロッド51と検出コイル52との相対変位を求める。
図6(a)は、3相式位置検出器の基本構成例を示す図である。位置検出器50は、センサーロッド51と検出コイル52とで構成される。センサーロッド51には、磁性体53と非磁性体54が等しいピッチずつ交互に配置され、センサーロッド51の外周に検出コイル52がセンサーロッド51の軸方向に移動できるように設けられる。
検出コイル52は、内周側に3組の1次コイルU,V,Wが、1次コイルの外周側に2次コイルu,v,wが、それぞれ同心円状に、かつ、1ピッチを3等分した距離ずつ離間して、配置される。そして、1次コイルに印加した励磁信号と2次コイルから出力される出力信号とを解析することで、センサーロッド51と検出コイル52との相対変位を求める。
図6(b)は、1次コイルに入力した励磁信号と2次コイルに誘起される出力信号を表す波形を示している。なお、グラフの横軸は位相、縦軸は出力電圧である。1次コイルU,V,Wに励磁信号として3相信号を入力したとき、1次コイルへの印加電圧の和を入力信号と、2次コイルu,v,wに誘起される各コイル電圧の和を出力信号とする。このとき、出力信号Eは、Kを比例定数として、以下の式(式1)で表される。
E=K・sin(ωt− 2π・X/P) (但し、Pはピッチ、Xは直線変位)・・・(式1)
E=K・sin(ωt− 2π・X/P) (但し、Pはピッチ、Xは直線変位)・・・(式1)
よって、(式1)に基づいて、位相データから直線変位Xの大きさを算出する。なお、3相式の構成をより簡素化した2相式も存在するが詳細な説明は省略する。
(第1の実施形態)
図1(a)及び図1(b)は、第1の実施形態のセンサーロッドの構成図である。センサーロッドは略円柱形状であり、図1(a)はセンサーロッドの中心軸方向に切断した構造断面図を、図1(b)は中心軸に垂直方向(A−A線)で切断した構造断面図を示している。センサーロッド10は、略円柱形の強磁性部材からなる母材11の表面に等間隔にリング状の溝12を有する。溝12は内部に良導電性の導電層13が埋め込まれている。この導電層13は、非磁性体であることが必要である。導電層13の表面は母材11と面一になるように研磨され、母材11及び導電層13の表面は、硬質皮膜14で被覆されている。なお、導電層13は、母相として単一の金属元素からなることが好ましく、粒子状又は膜状の添加物により硬化させても良い。母相が多元素系合金では良導電性の膜が得られにくいためである。硬質皮膜14は単層とは限らず、2層以上の積層膜で構成しても良い。また、母材11の腐食防止の観点から、有機、無機またはその混合物で封孔処理を行っても良い。
図1(a)及び図1(b)は、第1の実施形態のセンサーロッドの構成図である。センサーロッドは略円柱形状であり、図1(a)はセンサーロッドの中心軸方向に切断した構造断面図を、図1(b)は中心軸に垂直方向(A−A線)で切断した構造断面図を示している。センサーロッド10は、略円柱形の強磁性部材からなる母材11の表面に等間隔にリング状の溝12を有する。溝12は内部に良導電性の導電層13が埋め込まれている。この導電層13は、非磁性体であることが必要である。導電層13の表面は母材11と面一になるように研磨され、母材11及び導電層13の表面は、硬質皮膜14で被覆されている。なお、導電層13は、母相として単一の金属元素からなることが好ましく、粒子状又は膜状の添加物により硬化させても良い。母相が多元素系合金では良導電性の膜が得られにくいためである。硬質皮膜14は単層とは限らず、2層以上の積層膜で構成しても良い。また、母材11の腐食防止の観点から、有機、無機またはその混合物で封孔処理を行っても良い。
一般に、導電層の固有電気抵抗の値が高くなるほど測定精度が低下する。そのため、測定可能な固有電気抵抗の値を求めておくことは極めて重要であると考えられる。このような観点から、本件発明者は基礎実験として、母材を炭素鋼として0.3mmの溝に固有電気抵抗の値の大きい金属の例として、硬質クロムメッキを埋め込み、さらに硬質クロムメッキを用いて0.04mmの硬質皮膜を形成したセンサーロッドを用いて位置検出器を構成し、位置測定を行った。図7は、基準スケール位置と直線性誤差の関係を求めたグラフである。この結果、直線性誤差が最大で+70μm、−220μm程度の範囲で測定可能であることが判った。クロムメッキ膜の固有電気抵抗は18.9μΩcm(0℃)であるから、溶射材等で導電層を構成する場合、少なくともこの値以下、理想的には母材の固有電気抵抗以下に設定することとした。
図2は、各種の金属のビッカース硬さHVと固有電気抵抗との関係を示す図である。なお、固有電気抵抗の値は四端針法を用いて測定したものである。銅合金の一例として、タフピッチ銅(C1100)、黄銅(C2600)、リン青銅(C5191)、炭素鋼(C%0.4)の各値が示されている。なお、これらはいずれもバルクの値である。硬質銅めっき膜は、一般に、硬さが概ねHV60〜140程度、固有電気抵抗が1.6〜7.3[μΩcm]程度の範囲をとる。
図2に記載した銅溶射1〜3の各条件は下記の表1の通りである。
(表1)
酸素量は、皮膜を切断し、その断面をEDS(エネルギー分散型X線分析装置)で分析することにより得た値である。図2から明らかなように、酸素濃度(酸化物)を増加させると容易にHVを大きくすることができるが同時に固有電気抵抗は大幅に大きくなってしまう。このため、酸素量を制御して、電気抵抗と硬さを綿密に調整することが必要となる。なお、定性的には、酸化物の代わりに粒子状の物質が介在しても、皮膜を硬化させる機構は同じであるが、実際には粒子の形状や材質によって有効な添加量は異なってくる。
(表1)
酸素量は、皮膜を切断し、その断面をEDS(エネルギー分散型X線分析装置)で分析することにより得た値である。図2から明らかなように、酸素濃度(酸化物)を増加させると容易にHVを大きくすることができるが同時に固有電気抵抗は大幅に大きくなってしまう。このため、酸素量を制御して、電気抵抗と硬さを綿密に調整することが必要となる。なお、定性的には、酸化物の代わりに粒子状の物質が介在しても、皮膜を硬化させる機構は同じであるが、実際には粒子の形状や材質によって有効な添加量は異なってくる。
導電層は上述のとおり可能な限り低抵抗であることが望ましいが、硬質皮膜の割れ抑制という観点でみると、母材と同等以上の高硬度であることが望ましい。
一般に、銅は合金化することで高硬度になることが知られているが、硬さが高くなるほど導電性を阻害する不純物量が増え、固有電気抵抗が大きくなり、一方、硬質銅めっき膜は固有電気抵抗が比較的小さい利点がある反面、長期的な使用に対し、経時変化によって軟化することが知られている。
このため、溝12に埋め込む非磁性体としては、銅(Cu)などの良導電体を溶射して得られる導電層が、硬さ及び固有電気抵抗の両方の観点から好ましい。一般に、溶射により得られる膜の硬さを高くするには酸素、酸化物或いは硬質粒子等の不純物を皮膜中に導入すればよいが、不純物の導入量が増大するほど導電性が失われる。本実施形態における導電層は、酸素や酸化物粒子或いは硬質粒子等の添加物が含まれていてもよいが、硬さ及び固有電気抵抗の両立を目的として酸素を導入する場合、その添加量を0.05%〜1%程度とすることが好ましく、その中でも耐久性及び測定精度を両立させるためには0.1%〜1%が特に好ましい。
導電層の硬さ及び固有電気抵抗の値はいずれも燃料と酸素の供給量及び供給速度等、形成条件によって変わりうるが、少なくとも銅めっきと同等以上(例えばHV60以上)、更に好ましくは、炭素鋼相当以上(HV150以上)の硬さ、かつ、固有電気抵抗の値が炭素鋼以下(15μΩcm)の値であれば、測定可能圏内であるため導電層を用いる利点があるといえる。もちろん、導電層よりもさらに硬さの大きい硬質皮膜を設けることで、耐久性は一層向上する。
このような観点から、導電層13として銅粉末を溶射した場合、概ね硬さ60[HV]〜250[HV]、固有電気抵抗は0.1〜15[μΩcm]の範囲が好ましい範囲である。この場合、導電層13の粉末粒径は10〜200μmの範囲がよい。図2における溶射銅1は後述の実施例1〜3における導電層と同一条件で形成した膜の数値を示し、硬さが約180、固有電気抵抗が約4.5μΩcm程度である。溶射銅2は不純物の含有量がやや小さいため、導電性はよいが硬さが小さくなった例である。また、導電層13の材質は、銅に限らず、弱磁性を有する非磁性体で固有電気抵抗が純金属で7μΩcm以下となるような元素でも、同様の結果が得られるのは明らかである。これらの中で、材料価格において工業的に使用する材料としては、銅(Cu)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)が好ましい。
硬質皮膜の材質としては、炭化物、金属、酸化物又はこれらの混合物からなる非磁性材料であって硬さHVが500以上、固有電気抵抗の値が50μΩcm以上であることが好ましい。このような条件を満たす溶射膜として、炭化物、ホウ化物、酸化物及びそれらと金属を混合したサーメットがある。具体的には、タングステンカーバイトとクロムカーバイトとニッケルを含有する合金(WC−20%Cr3C2−7%Ni)[HV1120]、酸化アルミニウム酸化チタン(Al2O3−TiO2)[HV880]、或いは、各種エロージョン・コロージョン環境に特化させた種々の合金いわゆる「ニッケル基合金」とこれらの積層膜などが挙げられる。ニッケル基合金とは、ニッケルを45重量%以上含有する合金であり、ニッケル−モリブデン合金や、ニッケル−モリブデン−クロム合金、モネル鋼として知られているニッケル−銅合金等が挙げられる。コバルト合金としては機械特性に優れたコバルト−クロム合金のステライト等が挙げられる。また、これらの合金に炭化物粒子を分散させた炭化物サーメットも有効である。溶射による硬質皮膜形成においては、使用環境において必要な耐酸化性、耐熱性、耐食性、耐摩耗性等に合わせて種々の材料を選定可能であるため、材料選択の自由度においてもめっき処理より耐久性の高い皮膜形成が可能である。一般的には、耐食性が必要なケースが多いため、特に、クロムを含むニッケル基合金が好ましい。金属材料は、セラミックス及びサーメットと比較して割れ感受性が低いため、硬質膜の割れが懸念される環境に適しているが、硬質皮膜として耐摩耗性も必要なため、HV500以上が好ましい。
センサーロッド10において、導電層13及び硬質皮膜14の皮膜の厚さは重要である。皮膜が厚すぎると測定精度が低下したり測定困難になったりするためである。このため、硬質皮膜は、高荷重による変形防止及び耐食性向上の点では厚膜化及び積層膜にすることが好ましいが、他方、硬質皮膜の合計膜厚が厚くなると測定精度が低下するデメリットもあり、両者はトレードオフの関係にある。
実験によると、導電層が銅である場合、測定精度を担保する観点から、導電層13の厚さは0.1mm以上であることが好ましい。センサーとして測定精度を担保するという意味においては、上限膜厚は特に不要である。製造コストや作りやすさの観点を加味すると上限は1mm程度までと考えられるがそれ以上の膜厚であっても導電層の膜厚が厚いことはセンサーとしての動作には影響しない。また、母材11の露出部分と導電層13を被覆する硬質皮膜14の厚さは、0.3mm以下、特に好ましくは0.25mm以下であることが好ましい。硬質皮膜14は非磁性材料であり、位置検出器を構成した際に検出コイルとの距離を決めるものであるから、硬質皮膜14の厚さの上限値は材質によらないものと考えられる。一方、硬質皮膜の膜厚の下限値は0以上である。耐久性及び測定精度を両立させるために最も好ましい範囲は0.1〜0.25mmである。
−溶射方法についてー
前記導電層及び硬質皮膜を形成する方法としては、溶射方法を採用することが好ましい。具体的には、高速フレーム溶射、爆発溶射、プラズマ溶射、減圧プラズマ溶射及びコールドスプレーなどの公知の溶射方法を採用することができる。これらのうちで、大気中において比較的酸化物の形成の少ない高速フレーム溶射が、導電層の電気的特性及び皮膜硬さを調整することができる点で、最も好ましい。高速フレーム溶射は、溶射ガン内部で燃焼により発生した高温高圧のガス流れに材料粉末を投入し、加速加熱させた溶射粒子として母材に積層する方法である。硬質皮膜の形成においては、材料の融点及び溶射原料の形態に合わせて、種々の溶射方法から選択することが好ましい。
前記導電層及び硬質皮膜を形成する方法としては、溶射方法を採用することが好ましい。具体的には、高速フレーム溶射、爆発溶射、プラズマ溶射、減圧プラズマ溶射及びコールドスプレーなどの公知の溶射方法を採用することができる。これらのうちで、大気中において比較的酸化物の形成の少ない高速フレーム溶射が、導電層の電気的特性及び皮膜硬さを調整することができる点で、最も好ましい。高速フレーム溶射は、溶射ガン内部で燃焼により発生した高温高圧のガス流れに材料粉末を投入し、加速加熱させた溶射粒子として母材に積層する方法である。硬質皮膜の形成においては、材料の融点及び溶射原料の形態に合わせて、種々の溶射方法から選択することが好ましい。
なお、溶射とは、厳密には「溶融」を伴う成膜方法であるが、いわゆる「コールドスプレー」などの溶融を伴わない粒子積層による成膜方法を用いても良い。この意味において、本発明において「溶射」という場合は、広義に解するものとし、母材上に粒子を衝突扁平させて得られた粒子積層構造を形成する全ての方法を指し、溶融を伴わない場合を含むものとする。
[実施例]
母材は直径φ28mm、長さ200mmの略円柱状の鉄(Fe)で構成され、深さd=0.1mmの溝が設けられている。この溝の中には導電層13が埋め込まれ、母材の外側を硬質皮膜14が被覆している。導電層13の形成には、いずれも高速フレーム溶射を用いた。実施例1の硬質皮膜14の形成には高速フレーム溶射を用い、実施例2の硬質皮膜14及び実施例3の硬質皮膜14a及び14bの形成にはプラズマ溶射を用いた。いずれの硬質皮膜も封孔処理を実施後に表面の研磨加工を行った。
母材は直径φ28mm、長さ200mmの略円柱状の鉄(Fe)で構成され、深さd=0.1mmの溝が設けられている。この溝の中には導電層13が埋め込まれ、母材の外側を硬質皮膜14が被覆している。導電層13の形成には、いずれも高速フレーム溶射を用いた。実施例1の硬質皮膜14の形成には高速フレーム溶射を用い、実施例2の硬質皮膜14及び実施例3の硬質皮膜14a及び14bの形成にはプラズマ溶射を用いた。いずれの硬質皮膜も封孔処理を実施後に表面の研磨加工を行った。
溶射用粉末材料は、所定の配合で混合した後に、造粒焼結法又は焼結粉砕法により冶金結合化処理を行い、例えば、粒度1〜200μmの大きさの粉末とすることが可能である。1μm 未満の粒径を多く含む場合、凝集しやすく、粉体送給が困難であったり、溶射フレーム(火炎) 中で過度の溶融を生じ、変質して特性を損なうためである。一方、200μmを超える場合、適切な温度まで加熱することが困難で、未溶融粒子の割合が増大し、気孔率が増加する等、良好な皮膜を得ることが困難となる。従って、より好ましい数値範囲は、10〜100μmである。
以下の実施例1〜3で用いた各溶射粉末材料の粉末粒度又は粒径は、以下の通りである。
・銅粉末:ガスアトマイズ法で作製した球状の、粉末粒度:15〜63μm
・WCサーメット粉末:造粒焼結法で作製した、粉末粒度:15〜63μm
・Al2O3−TiO2粉末:溶融粉砕法で作製した、粒径:10〜45μm
・ニッケル基合金粉末:粉末粒径:15〜63μm
・銅粉末:ガスアトマイズ法で作製した球状の、粉末粒度:15〜63μm
・WCサーメット粉末:造粒焼結法で作製した、粉末粒度:15〜63μm
・Al2O3−TiO2粉末:溶融粉砕法で作製した、粒径:10〜45μm
・ニッケル基合金粉末:粉末粒径:15〜63μm
以下の実施例1〜3は、導電層としていずれも銅溶射膜が用いられており、硬質皮膜の材質及び厚さが異なるセンサーロッドである。このようにして得られたセンサーロッドに検出コイルを取り付け、位置検出器を作成し、直線性誤差を計測した。なお、比較の対象とするために、従来の銅めっきによる非磁性体層とクロムめっきによる保護膜から構成されたセンサーロッドによる測定結果を「標準センサーロッド」とした。
−実施例1−
導電層13の材質は銅(Cu)で構成され、硬質皮膜14の材質はタングステンカーバイドとクロムカーバイトとニッケルを含有する合金(WC−20%Cr3C2−7%Ni)で構成されている。
導電層13の材質は銅(Cu)で構成され、硬質皮膜14の材質はタングステンカーバイドとクロムカーバイトとニッケルを含有する合金(WC−20%Cr3C2−7%Ni)で構成されている。
−実施例2−
母材側の導電層は実施例1と同様の条件で形成されているが、硬質皮膜14の材質は酸化アルミニウム酸化チタン(Al2O3−TiO2)で構成されている。
母材側の導電層は実施例1と同様の条件で形成されているが、硬質皮膜14の材質は酸化アルミニウム酸化チタン(Al2O3−TiO2)で構成されている。
−実施例3−
母材側の銅溶射層は実施例1と同様の条件で形成されているが、硬質皮膜はニッケル基合金とアルミナ−酸化チタン(Al2O3−TiO2)の2層から構成されている。実施例3における中間層にはニッケル基合金を用いた。
母材側の銅溶射層は実施例1と同様の条件で形成されているが、硬質皮膜はニッケル基合金とアルミナ−酸化チタン(Al2O3−TiO2)の2層から構成されている。実施例3における中間層にはニッケル基合金を用いた。
−比較例1−
比較例として、従来の硬質銅めっき膜をクロムめっきで被覆したセンサーロッドを測定した。
比較例として、従来の硬質銅めっき膜をクロムめっきで被覆したセンサーロッドを測定した。
上記実施例1〜3及び比較例について、日本工業規格JIS H8502に準拠した以下の条件でCASS試験を実施したところ、比較例において4時間程度で軽微な錆が発生し、その後錆は顕著に増加したのに対して、実施例1〜3においては数時間でわずかな表面の変色は見られたものの、500時間経過後においても錆は全く確認されなかった。
<CASSの試験法の条件>
・腐食液:塩化ナトリウム40g/L 塩化第二銅0.205g/L pH3.0(酢酸で調整)
・試験槽温度50℃で腐食液を噴霧。腐食液が試験面に溜まらないようする
<CASSの試験法の条件>
・腐食液:塩化ナトリウム40g/L 塩化第二銅0.205g/L pH3.0(酢酸で調整)
・試験槽温度50℃で腐食液を噴霧。腐食液が試験面に溜まらないようする
−測定結果−
図4は、信頼性の高い基準スケールの表示を絶対位置とし、測定対象のセンサーロッドで計測した距離との差(直線性誤差)を表すグラフである。グラフの横軸は基準スケール位置を示し、縦軸は直線性誤差を示す。実施例1〜3のセンサーロッド及び比較例として従来のセンサーロッドの直線性誤差をそれぞれ計測した。
図4は、信頼性の高い基準スケールの表示を絶対位置とし、測定対象のセンサーロッドで計測した距離との差(直線性誤差)を表すグラフである。グラフの横軸は基準スケール位置を示し、縦軸は直線性誤差を示す。実施例1〜3のセンサーロッド及び比較例として従来のセンサーロッドの直線性誤差をそれぞれ計測した。
このグラフより、基準位置からの直線性誤差について、従来のセンサーロッド(+200μm、−250μm)との比較において、実施例1のセンサーロッド(+200μm、−100μm)の直線性誤差が有意に小さくなっていることが分かる。実施例2のセンサーロッドは微増(+250μm、−300μm)、実施例3のセンサーロッドは増加(+120μm、−500μm)したが、いずれも測定可能範囲内であることが読み取れる。実施例2のセンサーロッドは、耐久性が比較例と比べて大幅に向上したことを踏まえると、実用性の観点からは特に遜色がなく、用途によっては実施例3も実用範囲内の結果であると評価できる。なお、0.5mm以上の場合、材質に関わらず誤差が大きすぎて実用に耐えない。
表2は、各実施例の膜構成、材質、各材質の硬さ及び膜厚と、位置検出器として使用した場合の評価を示している。ここで、図5は、表2の各実施例の膜構成を示している。表中の各実施例における1層目(母材側)はいずれも図5における導電層13を指し、実施例2及び3の2層目及び実施例3の3層目は、いずれも硬質皮膜14(14a,14b)を指している。すなわち、実施例2は硬質皮膜14が単層の場合であり、実施例3は硬質皮膜14が、中間層14aと表面側の相14bの2層からなる場合である。
(表2)
(表2)
これらの結果から、硬質皮膜14の厚さは、0.3mm以下であることが必要である。但し、0.3mmの場合、位置検出精度と耐ノイズマージンがいずれも低下するので、より高精度で測定することが必要である場合には0.25mm以下であることが好ましいと考えられる。
一方、膜厚の下限値は0以上であり、理論的には、必要とする耐久性が得られるのであれば、硬質皮膜14が形成されていなくてもよく、本発明の実施例はこのような場合を含むものである。
本実施形態で示すように、溶射技術を用いた場合、めっき浴が不要であるため、大型のセンサーロッドにも対応することが容易である。また、従来のクロムめっき膜と比較した場合、耐摩耗性に優れ、かつ環境負荷の大きいめっき液が不要である利点もある。
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、第1の実施形態のセンサーロッドの製造工程について説明する。
図3(a)〜図3(e)は、センサーロッドの製造工程を示す工程図である。まず、図3(a)に示すような略円柱状の強磁性部材からなる母材を軸方向に回転させながら切削機械により等ピッチで溝12を形成する(図3(b))。
第2の実施形態では、第1の実施形態のセンサーロッドの製造工程について説明する。
図3(a)〜図3(e)は、センサーロッドの製造工程を示す工程図である。まず、図3(a)に示すような略円柱状の強磁性部材からなる母材を軸方向に回転させながら切削機械により等ピッチで溝12を形成する(図3(b))。
次に、溝12に導電層15を形成する(図3(c))。最初、原料粉を投入せずに溶射フレームで製品の予熱を1パス行う。予熱は通常100℃以下、例えば40℃〜50℃程度とする。本実施形態における溶射時の雰囲気は大気中であっても差し支えない。
原料を投入して高速フレーム溶射を1パス行うと、およそ数十μm程度の溶射皮膜が形成される。溶射皮膜形成後に表面を研磨装置などで削り取る場合、削り代として最低0.15mm程度が必要(原料粉の粒度や対象物の大きさ及び寸法精度などにより変わりうる)である。このため、研磨後に0.15mmの膜厚の溶射皮膜を得るためには、削り代の厚み分を考慮して厚めに形成することが必要である。
次に、母材11及び導電層15の一部を研磨することでリング状の導電層13を母材11に埋め込む(図3(d))。
最後に、硬質皮膜14を形成し、表面を研磨し、必要に応じ封孔処理を行って完成する(図3(e))。
10 センサーロッド
11 母材
12 溝
13 導電層
14 硬質皮膜
15 導電層
50 位置検出器
51 センサーロッド
52 検出コイル
11 母材
12 溝
13 導電層
14 硬質皮膜
15 導電層
50 位置検出器
51 センサーロッド
52 検出コイル
Claims (6)
- 強磁性材料の母材上に導電層をリング状に形成したセンサーロッドであって、前記導電層は、粒子積層構造を有すると共にビッカース硬さHVが60以上、固有電気抵抗が15μΩcm以下、膜厚が0.1mm以上であり、
前記導電層を含む前記母材の表面は前記導電層よりも高硬度の少なくとも一層以上からなる粒子積層構造を有する硬質皮膜で被覆されていると共に、
前記硬質皮膜の膜厚が0.3mm以下に調整されたことを特徴とするセンサーロッド。 - 前記導電層であり、弱磁性を有する非磁性体で純金属の固有電気抵抗が7μΩcm以下となるような元素であって、銅(Cu)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)及び亜鉛(Zn)から選択される少なくとも一つ以上を含むことを特徴とする請求項1記載のセンサーロッド。
- 前記硬質皮膜は、硬さHVが500以上であることを特徴とする請求項1記載のセンサーロッド。
- 前記導電層または前記硬質皮膜は、皮膜中の空隙の少なくとも一部が有機、無機またはその混合物で封孔されていることを特徴とする請求項1記載のセンサーロッド。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のセンサーロッドと、検出コイルとからなる位置検出器。
- 略円柱状の強磁性部材からなる母材を軸方向に回転させながら等ピッチで溝を形成する工程と、前記溝に粒子積層構造を有する導電層を形成する工程と、母材及び導電層の一部を研磨することでリング状の導電層を母材に設けられた溝に埋め込む工程と、前記導電層を含む前記母材表面に粒子積層構造を有する硬質皮膜を形成する工程を含み、
前記導電層は硬さHVが60以上、固有電気抵抗が15μΩcm以下、膜厚が0.1mm以上であると共に、
前記硬質皮膜は膜厚が0.3mm以下であることを特徴とするセンサーロッドの製造方法。
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JPS60170702A (ja) * | 1984-02-16 | 1985-09-04 | S G:Kk | 直線位置検出装置及び該装置におけるロツド部の製造方法 |
JPS61137001A (ja) * | 1984-12-07 | 1986-06-24 | S G:Kk | 流体圧シリンダのピストンロツド位置検出装置 |
JP2003329484A (ja) * | 2002-05-14 | 2003-11-19 | Mitsutoyo Corp | エンコーダのスケール |
JP2011022108A (ja) * | 2009-07-21 | 2011-02-03 | Ribekkusu:Kk | 変位検出用部材 |
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