JP2012220416A - センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】剥離を抑制することができるシール構造を有するセンサを提供する。
【解決手段】NOxセンサの回路部10は、基部13の支持面13bの中央部分に突設された台座部12を備える出力基台11を有しており、台座部12の設置面12aには、NOxセンサの個体情報が記憶された記憶媒体17が実装された配線基板16が配されている。また、回路部10は、基部13の支持面13bの上方に配され、配線基板16を上方及び側方から覆うことで、配線基板16を水密に封止するシール部15を有しており、シール部15は、支持面13bの周縁から、基部13の第2の側周面13aにはみ出した状態で、該周縁に沿って基部13を取り囲む包囲部15aを有している。
【選択図】図2

Description

検出対象ガス中の特定成分を検出するセンサに関する。
従来より、検出対象ガス中の特定ガス成分濃度(例えば内燃機関の排気ガス中のNOx濃度)を検出するガスセンサが知られている。このようなガスセンサには、特定ガス成分濃度に応じた信号を生成するセンサ素子や、センサ素子を加熱するヒータ等が設けられており、ヒータにより加熱されたセンサ素子からの信号に基づき、特定ガス成分濃度の検出が行われる。
ここで、このようなガスセンサにおいては、センサ素子からの信号と特定ガス成分濃度との関係を表すガス濃度特性や、ヒータの抵抗値とヒータ温度との関係を表すヒータ温度特性に、ガスセンサ毎の個体間のばらつきが存在し得る。
また、上述のガスセンサ以外にも、検出対象ガス中の煤の濃度を検出する煤センサが知られており、このような煤センサにおいても、センサ素子からの信号と検出対象ガス中の煤の濃度との関係を表す特性に、煤センサ毎の個体間のばらつきが存在し得る。
これに対し、特許文献1に記載のNOxセンサには、当該NOxセンサにおけるガス濃度特性やヒータ温度特性等を示す個体情報が記憶された記憶媒体が設けられている。そして、該NOxセンサを制御するセンサ制御装置は、該記憶媒体から個体情報を取得し、この個体情報を用いて個体間のばらつきを補正することで、NOx濃度をより正確に検出するよう構成されている。
特開2011−064587号公報
ここで、特許文献1に記載のNOxセンサでは、センサ制御装置からのケーブルが接続されるコネクタ部分に、NOxセンサの個体情報が記憶されている記憶媒体を有する回路部100が配されている(図7参照)。この回路部100では、記憶媒体111が実装された配線基板110が出力基台120の頂部に位置する設置面121に配置されており、また、該出力基台120の側面には、第1の側周面122と、第1の側周面122よりも外側に突出した第2の側周面123が形成されている。そして、設置面121と第1の側周面122の全体が熱可塑性樹脂からなるシール部130により覆われており、これにより配線基板110が水密に保たれている。
しかしながら、特許文献1に記載のNOxセンサでは、回路部100におけるシール部130は、その外面131が第2の側周面123に沿うようにして配されており、シール部130と出力基台120との当接面が第2の側周面123に達していない。このため、回路部100の周囲に温度変化に起因してシール部130が収縮すると、第1の側周面122と第2の側周面123の境界付近からシール部130が剥離してしまうおそれがある。
本願発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、剥離を抑制することができるシール構造を有するセンサを提供することを目的とする。
上記課題に鑑みてなされた本発明のセンサは、検出対象ガス中の特定成分を検出するセンサ素子と、センサ素子に関する個体情報が記憶されている記憶媒体が実装されている配線基板と、配線基板が配置される台座部と、台座部が中央部分に突設された支持面が形成された基部とを有する出力基台と、台座部を上方及び側方から覆った状態で支持面の上方に配され、配線基板を水密に保つシール部と、を備える。そして、シール部は、基部における支持面の周縁から、該周縁で支持面と交差する基部の側面にはみ出した状態で、該周縁に沿って該側面を取り囲む包囲部を有していることを特徴とする。
このような構成によれば、周囲の温度変化に起因してシール部の収縮が生じた際には、出力基台における基部を取り囲む包囲部が収縮して基部の周囲をより強く締め付けるようになるため、包囲部が側面から剥離し難くなり、出力基台からのシール部の剥離を抑制することができる。さらに、包囲部による基部の周囲の締め付けが強くなることで、包囲部と基部の側面との間の密着力が高まり、シール部の防水効果を高めることができる。
しかしながら、シール部の収縮により包囲部による基部の締め付けが強くなると、包囲部における基部との当接面にストレス(応力)が生じることが懸念される。特に、基部の側面と包囲部により覆われる基部の側面との境界がエッジ(角度90°のエッジ)として形成されている場合には、シール部に収縮が生じた際に当該シール部における上記エッジへの当接部分にストレスが集中し、シール部にクラック等が生じるおそれがある。
そこで、本発明のセンサは、基部における支持面の周縁には、面取り部が形成されていることを特徴とする。
こうすることにより、周囲の温度変化に起因してシール部の収縮が生じた際に、シール部における支持面の周縁への当接部分に強いストレスが生じることを防ぐことができ、シール部におけるクラック等の発生を未然に防ぐことができる。なお、面取り部は、アール面取り部として形成されていても良いし、C面取り部として形成されていても良い。
また、例えば、台座部の周囲や基部の上方に熱可塑性樹脂を充填させることでシール部を形成することが考えられるが、支持面の周縁に面取り部を形成することで、台座部の周囲や基部の上方に熱可塑性樹脂を行き渡り易くすることができる。
なお、本発明のセンサは、包囲部における台座部の突設方向の長さは、少なくとも0.1mmであっても良い。
また、本発明のセンサは、包囲部の厚さは、少なくとも0.1mmであっても良い。
こうすることにより、周囲の温度変化に起因してシール部の収縮が生じた際の包囲部による基部の側面に対する面圧を効果的に高めることができ、より確実に出力基台からのシール部の剥離を抑制することや、シール部の防水効果を高めることができる。
NOxセンサを備えるガス検出装置の概略構成を示す構成図である。 NOxセンサにおける回路部の構成を示す斜視図等である。 NOxセンサにおける接続用ケーブル部等の構成を示す断面図である。 回路部の出力基台及びシール部の寸法を示す説明図と、該寸法が変化した場合の、シール部に生じる面圧のシミュレーション結果を示すグラフである。 出力基台及びシール部の寸法が変化した場合の、シール部に生じる面圧のシミュレーション結果を示すグラフである。 変形例における回路部の側面図である。 特許文献1に記載のNOxセンサにおける回路部の側面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
[全体構成]
図1は、本発明が適用されたNOxセンサ2を備えるガス検出装置1の概略構成を示す構成図である。
図1に示すように、ガス検出装置1は、車両の内燃機関やボイラ等の各種燃焼機器の排気経路内に設けられて排気ガス中の特定ガス成分濃度としての窒素酸化物(NOx)濃度を検出するNOxセンサ2と、このNOxセンサ2を制御するセンサ制御装置3とを備えている。
NOxセンサ2は、NOx濃度に応じた濃度信号をセンサ制御装置3に出力するセンサ素子60と、このセンサ素子60に第1リード線40を介して接続されたコネクタ30を有する接続用ケーブル部4と、接続用ケーブル部4に取り付けられるコネクタブーツ50とを備えている。
コネクタ30は、センサ制御装置3に接続されたリード線の一端に設けられたコネクタ5に対して着脱可能な構成をなし、コネクタ30がコネクタ5に嵌合して取り付けられることにより、NOxセンサ2とセンサ制御装置3とが電気的に接続される。
また、接続用ケーブル部4は、コネクタ30に第2リード線20を介して接続されてセンサ制御装置3に対して入出力を行う回路部10を有する。回路部10は、NOxセンサ2(センサ素子60)毎の個体間のばらつきを補正するために予め設定された個体情報を記憶しており、センサ制御装置3から要求信号に応じて、センサ制御装置3に個体情報を出力するように構成されている。なお、第1リード線40や、第2リード線20や、コネクタ5とセンサ制御装置3とをつなぐリード線は複数本存在するが、図1ではガス検出装置1の構成の理解を容易にするために1本で表示している。
なお、本実施形態のガス検出装置1と、特許文献1における「発明を実施するための形態」に記載のガス検出装置とは、回路部10の構成が異なっているが、他の部位は同様の構成を有している。このため、以下の説明では、回路部10を中心に説明し、他の部位については概略のみを説明する。
センサ素子60は、第1酸素ポンプセル,酸素分圧検知セル,第2酸素ポンプセル,第1測定室,第2測定室,酸素基準室等を有するセンサ本体部や、センサ本体部を加熱するヒータを備えた公知の構成からなる。なお、第1酸素ポンプセル、酸素分圧検知セル、第2酸素ポンプセルは、それぞれ酸素イオン伝導性の固体電解質層に一対の電極を設けた構成からなる。
一方、センサ制御装置3は、第1酸素ポンプセル,酸素分圧検知セル,第2酸素ポンプセルを駆動するセンサ駆動部と、ヒータを駆動するヒータ駆動部と、センサ駆動部及びヒータ駆動部を制御する制御部とを備えている。
センサ制御装置3の制御部は、ヒータ駆動部を介してヒータの温度制御を行うと共に、センサ駆動部を制御する。そして、検出対象ガス中の酸素濃度を示す濃度信号として、第1酸素ポンプセルを流れる第1ポンプ電流Ip1を得ると共に、検出対象ガス中のNOx濃度を示す濃度信号として、第2酸素ポンプセルに流れる第2ポンプ電流Ip2を得る。具体的には、センサ制御装置3はセンサ駆動部を制御することで、第1測定室に導入された排気ガスの酸素濃度に応じて酸素分圧検知セルにて生じる起電力が所定の電圧値(例えば、425mV)になるように、第1酸素ポンプセルに流す第1ポンプ電流Ip1を制御し、第1酸素ポンプセルによる酸素ポンピング動作によって第1測定室中の酸素濃度を調整する。このとき、センサ駆動部は第1ポンプ電流Ip1を検出する。また、第1室にて酸素濃度が調整されたガス(調整ガス)は、第2測定室に流入される。そして、第2測定室に一方の電極を配置し、他方の電極を第2測定室外に配置した第2酸素ポンプセルに対し一定の電圧(例えば、450mV)を印加することで、調整ガス中に含まれるNOxが解離されることになる。そして、センサ駆動部は、第2酸素ポンプセルによりNOxの解離によって生じた酸素を第2測定室の外部に汲み出す際に、一対の電極間に流れる第2ポンプ電流Ip2を検出する。
そして、センサ制御装置3の制御部は、第1ポンプ電流Ip1に基づき排気ガス中の酸素濃度を検出し、また、第2ポンプ電流Ip2に基づきNOx濃度を検出する濃度検出処理を実行するが、このとき、NOxセンサ2の回路部10から取得したセンサ素子60の個体情報により、濃度信号の補正を行う。この個体情報としては、第1ポンプ電流Ip1
と酸素濃度との関係を表す特性を設定するための情報(O2ゲインとO2オフセット)や、第2ポンプ電流Ip2とNOx濃度との関係を表す特性を設定するための情報(NOxゲインとNOxオフセット)等が考えられる。また、制御部は、検出した酸素濃度やNOx濃度を、図示しない外部装置(例えば、エンジンECU)に送出する。
[回路部の構成]
次に、回路部10について説明する。図2の(a)は、後述するシール部15が形成されていない状態の回路部10の斜視図であり、(b)は、回路部10の側面図である。
なお、本実施形態のガス検出装置1における回路部10と、特許文献1における「発明を実施するための形態」に記載のガス検出装置における回路部とは、シール部15の構成と出力基台11の構成が異なっており、他の部位は同様の構成を有している。このため、以下では、この相違点を中心に説明する。
図2に示すように、回路部10は、NOxセンサ2についての個体情報を記憶する記憶媒体17と、記憶媒体17が実装される板状の配線基板16と、第2リード線20に接続され、記憶媒体17から個体情報を出力するための柱状の端子部21が貫通して配置された設置面12aを有する出力基台11と、配線基板16を水密に覆うシール部15とを備えている。
また、出力基台11は、ナイロン系樹脂(例えば、PA66ナイロン)を材料として形成され、第2リード線20を収容するためのケース部14と、ケース部14に繋がる基部13と、基部13におけるケース部14に対向する位置に形成された支持面13bの中央部分に突設された台座部12を備える。なお、基部13及び台座部12の内側には、ケース部14の内部に連通する空洞領域が形成されており(図示省略)、この空洞領域において、端子部21が第2リード線20に接続されている。
台座部12は、その頂部が上述の設置面12aとして形成されていると共に、該設置面12aと基部13の支持面13bに繋がる第1の側周面12bを有しており、基部13は、支持面13bに繋がる第2の側周面13aを有している。そして、第2の側周面13aは、第1の側周面12bに対して外側に突出するように配されており、基部13の支持面13bは、第1の側周面12bと第2の側周面13aとの間の段差をなしている。また、支持面13bと第2の側周面13aとの境界線(換言すれば、支持面13bの周縁)には、アール形状をなした面取り部(アール面取り部)13cが形成されている。
また、配線基板16は、当該配線基板16を厚み方向に貫通して形成された貫通孔16aを有し、この貫通孔16aに端子部21が挿入された上で、記憶媒体17が実装された面に対向する面が、台座部12の設置面12aに突設された突設部12cに当接して支持される。配線基板16における記憶媒体17が実装された面には、貫通孔16aの周縁に記憶媒体17に電気的に接続される接続部が設けられており、接続部は、端子部21に接合(例えば、ハンダ付け)される。
このようにして、突設部12cに配線基板16が支持されることで、出力基台11の設置面12aと配線基板16との間に、突設部12cの高さの分の隙間が形成される。
一方、シール部15は、配線基板16,第1の側周面12b,支持面13bの周囲に熱可塑性樹脂を充填することにより形成される。シール部15は、支持面13bの上方に配された状態で、台座部12の第1の側周面12bを側方から覆うと共に、配線基板16の周囲を覆うように配されている。
また、図2(c)には、シール部15と、基部13及び台座部12の断面図を概略的に示す説明図が記載されている。該説明図が示すように、シール部15は、支持面13bの周縁(本実施形態では、面取り部13c)から第2の側周面13aにはみ出すことで、第2の側周面13aに接触しつつ、上記周縁(換言すれば、基部13の支持面13bと第2の側周面13aとの境界に全周に渡って形成された面取り部13c)に沿って第2の側周面13aを取り囲む包囲部15aを有している。
なお、包囲部15aの厚さを0.1mm以上(さらに望ましくは0.5mm以上)とすると共に、包囲部15aの台座部12の突設方向の長さ(面取りが施されていない場合の支持面13bの周縁から包囲部15aの端部までの長さ)を0.1mm以上とすることが望ましい。また、包囲部15aの厚さを、第1の側周面12bと第2の側周面13aとの間の段差の長さ以下とすることや、該厚さを、上記突設方向の長さよりも小さくすることが望ましく、これにより、包囲部15aが過度に側方に突出することを防ぐことができる。
また、シール部15を形成する熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、本実施形態では、出力基台11(台座部12)を形成するナイロン系樹脂よりも熱膨張率の高いホットメルト樹脂(例えば、ヘンケルジャパン(株)製のマクロメルト(登録商標))を用いた。
[接続用ケーブル部の構成]
次に、コネクタブーツ50の内部に配された接続用ケーブル部4について説明する。図3は、コネクタブーツ50を接続用ケーブル部4に取り付ける方法を示すと共に、接続用ケーブル部4をコネクタ30の上方側から見た図であり、接続用ケーブル部4のうちコネクタブーツ50及び回路部10を断面で示している。
なお、図3では、第1リード線40が2本しか図示されていないが、実際には、センサ素子60の構成に応じて必要な数(本実施形態では6本)の第1リード線40がコネクタ30に接続されている。
図3に示すように、接続用ケーブル部4は、上述のコネクタ30及び回路部10に加えて、回路部10を構成する出力基台11とコネクタ30とを連結するための長板状(金属製)のブラケット70を備えている。
また、コネクタ30には、センサ制御装置3に接続されたコネクタ5が嵌合される嵌合面32と、第1リード線40,第2リード線20が挿入される挿入孔が設けられた挿入面31と、ブラケット70を取り付けるためのブラケット取付面とが形成されている。
そして、ケース部14から引き出された第2リード線20は、ケース部14内に配設された方向と逆向きに折り曲げられ、挿入面31の挿入孔に挿入されることによって、コネクタ30と電気的に接続される。
一方、出力基台11においては、ブラケット70を取り付けるための略矩形状のブラケット取付面がケース部14の下方側に形成されている。また、出力基台11は、このブラケット取付面においてブラケット70を保持するための保持部を備えている。
また、接続用ケーブル部4は、第1,第2リード線40,20と、コネクタ30との接続箇所付近を保護するためのコネクタブーツ50に挿入される。
コネクタブーツ50は、ゴム製の筒状をなした弾性部材であり、第1,第2リード線40,20のうちコネクタ30に接続される側の端部を包囲する開口部51と、回路部10及び第2リード線20を収容する収容部52とを備えている。なお、収容部52は、コネクタ30に接続された第1リード線40の一部も収容する。
さらに、コネクタブーツ50は、収容部52から第1リード線40を引き出す開口部である引出部53を備えている。なお、引出部53から外部に引き出された第1リード線40は、引出部53に嵌合される被覆部材(図示せず)により被覆される。
つまり、コネクタブーツ50では、収容部52に回路部10や第1,第2リード線40,20が収容されることにより、これらに塵や埃が付着することを防止すると共にこれらに水滴が付着するのを軽減し、開口部51が第1,第2リード線40,20を包囲することにより、コネクタ30の挿入面31付近におけるリード線の屈曲を防止している。
[実験例]
本実施形態の回路部10のシール部15によれば、シール部15の収縮が生じた際に、包囲部15aにより第2の側周面13aが締め付けられるため、シール部15の出力基台11からの剥離が抑制される。ここで、シール部15の収縮がした際の、包囲部15aと出力基台11との当接面における面圧がより高くなるように構成することで、包囲部15aによる第2の側周面13aの締め付けをより強くし、シール部15の剥離をより確実に防ぐことができる。
そこで、シミュレーションにより、110℃から−10℃への温度勾配(温度変化)によりシール部15の収縮が生じた場合における、シール部15と出力基台11の寸法に応じた上記面圧を計測した。なお、該シミュレーションでは、基部13と台座部12とが円筒形状に形成された出力基台11を有する回路部10のモデルを用いた。
図4(a)は、出力基台11等の一部を概略的に示す説明図が記載されている。
該説明図が示すように、包囲部15aの厚さをA(単位:mm),第1の側周面12bと第2の側周面13aとの間の段差寸法をB(単位:mm),台座部12の設置面12aから基部13の支持面13bの周縁までの長さをC(単位:mm),基部13の幅をD(単位:mm),包囲部15aの台座部12の突設方向の長さ(支持面13bの周縁から包囲部15aの端部までの長さ)をE(単位:mm)とする。そして、基部13における支持面13bの周縁を面圧の測定ポイントとして設定し、A〜Eの長さを変化させた場合の測定ポイントの面圧をシミュレーションにより計測した。
なお、基部13の支持面13bの周縁にはR0.2の大きさを有する面取り部13cが形成されているが、C,Eは、面取りが施されていない場合の周縁を起点とする長さを意味する。
そして、図4(b),(c),図5(a)〜(c)に記載のグラフは、シミュレーションの結果を示している。
図4(b)は、B=1.5mm,C=5.0mm,D=7.1mm,E=1.0mmとした状態でAを0〜2.5mmに変化させた場合の、測定ポイントの面圧の変化を示している。
また、図4(c)は、A=0.5mm,C=5.0mm,D=7.1mm,E=1.0mmとした状態でBを0〜2.5mmに変化させた場合の、測定ポイントの面圧の変化を示している。
また、図5(a)は、A=0.5mm,B=1.5mm,D=7.1mm,E=1.0mmとした状態でCを0〜5mmに変化させた場合の、測定ポイントの面圧の変化を示している。
また、図5(b)は、A=0.5mm,B=1.5mm,C=5.0mm,E=1.0mmとした状態でDを3〜7mmに変化させた場合の、測定ポイントの面圧の変化を示している。
また、図5(c)は、A=0.5mm,B=1.5mm,C=5.0mm,D=7.1mmとした状態でDを0.5〜2.5mmに変化させた場合の、測定ポイントの面圧の変化を示している。
[効果]
本実施形態のガス検出装置1のNOxセンサ2の回路部10では、シール部15には、出力基台11の基部13の第2の側周面13aを取り囲む包囲部15aが設けられている。このため、シール部15の収縮が生じた際には、包囲部15aが収縮して基部13の周囲をより強く締め付けるようになるため、包囲部15aが第2の側周面13aから剥離し難くなり、出力基台11からのシール部15の剥離を抑制することができる。
さらに、包囲部15aによる基部13の周囲の締め付けが強くなることで、包囲部15aと第2の側周面13aとの間の密着力が高まり、シール部15の防水効果を高めることができる。
また、シール部15と出力基台11の寸法に応じた面圧のシミュレーション結果から、以下のことがわかった。
すなわち、Aの長さを変化させた場合のシミュレーション結果(図4(b))は、Aが0.5mm以下である場合には、Aの増加に伴う面圧の上昇度合いが高いことを示している。このことから、包囲部15aの厚さを0.5mm以上とすることが望ましいことがわかる。
また、Bの長さを変化させた場合のシミュレーション結果(図4(c))は、Bの長さが大きい程、測定ポイントにおける面圧が高くなることを示している。このため、出力基台11における第1の側周面12bと第2の側周面13aとの間の長さをなるべく大きくすることが望ましいことがわかる。
また、Cの長さを変化させた場合のシミュレーション結果(図5(a))は、Cが2mm以下である場合には、Cの増加に伴う面圧の上昇度合いが高いことを示している。このため、出力基台11の設置面12aから支持面13bの周縁までの長さを2mm以上とすることが望ましいことがわかる。また、Dの幅を変化させた場合には、測定ポイントにおける面圧はあまり変化しなかったことから、Dの幅は特に面圧を左右するパラメータでないことがわかる。また、Eの長さを変化させた場合にも、測定ポイントにおける面圧はあまり変化しなかったが、包囲部15aの台座部12の突設方向の長さを0.1mm以上とすれば、高い面圧を得ることができることがわかる。
[他の実施形態]
(1)本実施形態のガス検出装置1では、回路部10の出力基台11における基部13の支持面13bの周縁には、面取り部13cが形成されているが、これに限定されることは無く、該面取り部を形成しなくても良い。なお、図6には、支持面13bの周縁に面取り部が形成されていない場合の、回路部10の側面図が記載されている。このような場合であっても、同様の効果を得ることができる。
(2)本実施形態では、NOx濃度を検出するガス検出装置1を例に挙げて説明を行ったが、これに限定されること無く、本実施形態の回路部10の構成は、センサ素子の個体情報による補正を行うことで、検出対象ガス中の特定のガスの有無や濃度を検出するガス検出装置に適用することができる。また、検出対象ガス中の煤の濃度を検出する煤センサが知られており、このような煤センサにおいても、センサ素子の個体情報に基づく補正を行うことが考えられるが、本実施形態の回路部10の構成は、このような煤センサに適用することもできる。
[特許請求の範囲との対応]
上記実施形態の説明で用いた用語と、特許請求の範囲の記載に用いた用語との対応を示す。
出力基台11における基部13の第2の側周面13aが、基部の側面に相当する。
1…ガス検出装置、2…NOxセンサ、3…センサ制御装置、4…接続用ケーブル部、5…コネクタ、10…回路部、11…出力基台、12…台座部、12a…設置面、12b…第1の側周面、12c…突設部、13…基部、13a…第2の側周面、13b…支持面、13c…面取り部、14…ケース部、15…シール部、15a…包囲部、16…配線基板、16a…貫通孔、17…記憶媒体、20…第2リード線、21…端子部、30…コネクタ、31…挿入面、32…嵌合面、40…第1リード線、50…コネクタブーツ、51…開口部、52…収容部、53…引出部、60…センサ素子、70…ブラケット。

Claims (4)

  1. 検出対象ガス中の特定成分を検出するセンサ素子と、
    前記センサ素子に関する個体情報が記憶されている記憶媒体が実装されている配線基板と、
    前記配線基板が配置される台座部と、前記台座部が中央部分に突設された支持面が形成された基部とを有する出力基台と、
    前記台座部を上方及び側方から覆った状態で前記支持面の上方に配され、前記配線基板を水密に保つシール部と、
    を備え、
    前記シール部は、前記基部における前記支持面の周縁から、該周縁で前記支持面と交差する前記基部の側面にはみ出した状態で、該周縁に沿って該側面を取り囲む包囲部を有していること、
    を特徴とするセンサ。
  2. 請求項1に記載のセンサにおいて、
    前記基部における前記支持面の前記周縁には、面取り部が形成されていること、
    を特徴とするセンサ。
  3. 請求項1または請求項2に記載のセンサにおいて、
    前記包囲部における前記台座部の突設方向の長さは、少なくとも0.1mmであること、
    を特徴とするセンサ。
  4. 請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載のセンサにおいて、
    前記包囲部の厚さは、少なくとも0.1mmであること、
    を特徴とするセンサ。
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