JP2012218153A - 光学用ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 液晶ディスプレイのバックライトユニットの用途に好適に使用でき、光拡散性に優れ、プリズムシートに加工する際に、プリズム層との接着性が良好であるポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 微細気泡含有ポリエステル層を少なくとも1層有する、厚み20〜300μmの積層ポリエステルフィルムであり、当該積層ポリエステルフィルムの片面に塗布層を有し、ヘーズが5〜40%の範囲であり、全光線透過率が80%以上であることを特徴とする光学用積層ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は光学用ポリエステルフィルムに関するものであり、詳しくは、光学特性に優れ、高度な輝度を実現でき、光学製品の品質向上に寄与することができる光学用ポリエステルフィルムに関する。
従来、ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートの二軸延伸フィルムは、優れた機械的性質、耐熱性、耐薬品性を有しており、磁気テープ、強磁性薄膜テープ、写真フィルム、包装用フィルム、電子部品用フィルム、電気絶縁フィルム、金属ラミネートフィルム、ガラスディスプレイ等のガラス表面に貼るフィルム、各種部材の保護用フィルム等の素材として広く用いられている。
ポリエステルフィルムは、近年、特に各種光学用フィルムに多く使用され、LCDの部材のプリズムシート、光拡散シート、複合シート、反射板、タッチパネル等のベースフィルムや反射防止用ベースフィルムやPDPフィルター用フィルム等の各種用途に用いられている。これらの光学製品において、明るく鮮明な画像を得るために、光学用フィルムとして用いられるベースフィルムはその使用形態から透明性が良好であることが必要だが、近年は特に画像の高精細化に伴い、バックライトユニットとして高度な輝度を実現でき、かつ消費電力の低減を要求されるようになってきた。特にノート型のコンピュータの普及により、小画面での高精細化と電池の消費量低減の必要性が急激に高まり、上記した要求が強く高度になっている。
バックライトユニットには導光板から出射した光を拡散、散乱させ、照光面の輝度を均一に光拡散フィルムが設置されている。さらに、正面輝度を向上させるため、光拡散性フィルムを透過した光をできるだけ正面方向に集めるように、プリズムシート、あるいはレンズシートと呼ばれる集光機能を有するシートが用いられる場合がある。このシートの表面にはプリズム状やウェーブ状、ピラミッド状等の微小な凹凸が多数並んでおり、光拡散性フィルムを透過した出射光を屈折させて正面に集め、照光面の輝度を向上させる。この様なプリズムシートは、前記光拡散性フィルムの表面側に、1枚もしくは2枚重ねで配設され使用される。
さらに、上記プリズムシートの配設によって生じた輝度ムラやプリズムシートの欠陥、キズ等を目立たなくするため、つまり隠蔽性を向上させるために、プリズムシートの表面側にも、光拡散性フィルムを配設する場合がある。
上記のようなバックライトユニットに用いられる光拡散性フィルムとしては、二軸延伸ポリエステルフィルムの表面上に微粒子含有の透明樹脂からなる光拡散層をコーティングするものが主流となっている。
しかしながら、この方法ではコーティングにより基材フィルムに光拡散層を設ける必要があるため、光拡散層と基材フィルムとの線膨張係数の違いにより、加熱によるカールを生じやすいという問題がある。特に近年の大型液晶TVなど、直下型バックライトユニットを採用する液晶ディスプレイにおいて、重要な問題となりつつあり、液晶TVが大面積化するとカールが顕著になる。
この問題解決方法として、基材フィルムの光拡散層の表面に、数μmから数十μmの厚みでハードコート層(非光拡散性層)を形成させ、光拡散層を挟んだ両面で線膨張応力をバランスさせるという策がとられているが、そもそもハードコート層の厚みは本来不要なものであって、薄型化が進んでいる今日では、不要な厚みの増大と製造コストの増大を招く原因となっている。さらに、表裏の線膨張応力のバランス対策にも限界があり、先に述べた大画面、高輝度ディスプレイにおいては、不十分な効果しか得られない。
また、近年では、バックライトユニット部品点数の削減や製造工程の簡略化、低コスト化を目的として、光拡散性フィルムと他の光学機能性フィルムとを一体化する検討も多くなされている。
例えば、第1面および第2面の2つの主表面を有する透光性基材の第1面側にプリズム列が形成されており、第2面側に多数のガラスビーズを含む光拡散層が形成させた、プリズムシート(特許文献2参照)が開示されている。
さらに、フィルム内部に添加された光散乱剤と、その周りに発生したボイドにより光拡散性を付与した、プリズムシート用光散乱性二軸延伸ポリエステルフィルム(特許文献3参照)が開示されている。
しかしながら、特許文献2に開示された方法では、レンズ作用を有する透光性ビーズが光の入射面側に設置されるため、いわゆる逆拡散状態となり、正面輝度が大きく低下するという問題がある。そのため、この方法では十分な輝度と光拡散性を付与することはできない。
一方、特許文献3に開示された方法は、ポリエステル層の不活性粒子の周りに延伸後発生する気泡により、光拡散性を持たせたプリズムシート用光散乱製ポリエステルフィルムについての発明だが、不活性粒子による光の吸収が発生して、全光線透過率が低くなってしまう問題がある。
優れた耐熱性、機械的強度、厚み均一性を併せ持つ二軸延伸ポリエステルフィルム自体に光拡散性を持たせようとするアプローチも多くなされている。二軸延伸ポリエステルフィルム自体に光拡散性を持たせることは、前記加熱カールの問題解決や、光拡散シートとプリズムシート機能の一体化にも道を開くものであり、バックライトユニット部品点数の削減や製造工程の簡略化、低コスト化を行う上で、その工業的価値は非常に大きい。
特開平6−59108号公報 特開平9−281310号公報 特開2005−181648号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その解決課題は、二軸延伸ポリエステルフィルム自体に光拡散性を持たせ、特にレンズシートやプリズムシート、レンズ層と組み合わせて、低コスト、かつ、優れた輝度特性を有する光拡散性ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有する二軸延伸ポリエステルフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、微細気泡含有ポリエステル層を少なくとも1層有する、厚み20〜300μmの積層ポリエステルフィルムであり、当該積層ポリエステルフィルムの片面に塗布層を有し、ヘーズが5〜40%の範囲であり、全光線透過率が80%以上であることを特徴とする光学用積層ポリエステルフィルムに存する。
本発明によれば、多数のプリズム単位からなるプリズム層をフィルムの片面に形成すときプリズム層とポリエステルフィルムの接着性が良好で、かつ光散乱性を有する二軸延伸ポリエステルフィルムを提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
本発明におけるポリエステルとは、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のような芳香族ジカルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のようなグリコールとのエステルを主たる成分とするポリエステルである。当該ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接重合させて得られるほか、芳香族ジカルボン酸ジアルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応させた後、重縮合させる方法、あるいは芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重縮合させる等の方法によっても得られる。当該ポリエステルの代表的なものとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)、ボリブチレンテレフタレート等が例示される。
本発明のポリエステルフィルムは、チタン化合物およびリン化合物の双方を含有することが好ましい。本発明のフィルムの少なくとも一つの層中のチタン元素含有量は、好ましくは20ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下であり、下限は好ましくは1ppmであるが、さらに好ましくは2ppmである。チタン化合物の含有量が多すぎると、ポリエステルを溶融押出する工程で、ポリマーの着色や、ポリエステル分子量の低下を引き起こすことがある。ポリマーの着色は、ディスプレイ用として使用した場合画像の色調が劣る、輝度が低くなる等の点で不適切となることがある。ポリエステル分子量の低下はフィルムの強度や生産時の製膜連続性が悪化するために問題となることがある。また、チタン元素を全く含まない場合、ポリエステル原料製造時の生産性が劣る傾向があり、目的の重合度に達したポリエステル原料を得られないことがある。一方、リン元素量は、好ましくは30ppm以上であり、上限は好ましくは300ppm、さらに好ましくは200ppm、最も好ましくは100ppmである。上記したチタン化合物を特定量含有するとともに、リン化合物を含有させることにより、含有オリゴマーの低減に対して著しい効果を発揮できる。リン化合物の含有量が多すぎると、ゲル化が起こり、異物となってフィルムの品質を低下させる原因となることがある。本発明においては、チタン化合物、リン化合物を上記した範囲で含有する場合、高度な透明性を得ることができ、溶融押出時のオリゴマーの副生も防止できるため、本発明の効果が極めて高度に得られる。
また、上記チタン化合物およびリン化合物を含有する層中には、アンチモン元素を含まないことが好ましく、通常は100ppm以下、好ましくは60ppm以下、最も好ましくは実質的に含まない、すなわち10ppm以下である。アンチモン元素の量が多すぎると、溶融押出する際に上記リン化合物によって還元され、凝集して異物の原因となったり、フィルムが黒ずみ、透明性が損なわれたりする恐れがある。
なお、本発明で用いるポリエステルは、溶融重合後これをチップ化し、加熱減圧下または窒素等不活性気流中に必要に応じてさらに固相重合を施してもよい。得られるポリエステルの固有粘度は0.40dl/g以上であることが好ましく、0.40〜0.90dl/gであることが好ましい。
本発明のフィルムは、少なくとも1層の微細気泡含有ポリエステルからなる光拡散層(以下、A層と略記することがある)と透明ポリエステル支持層(以下、B層と略記することがある)からなる積層ポリエステルフィルムであって、上記フィルムの少なくとも片方の表面にプリズム層と接着性が良好な塗布層が設けられている。
本発明のフィルムのヘーズは、5〜40%の範囲である必要があり、好ましくは5〜30%、さらに好ましくは5〜25%の範囲である。フィルムヘーズが5%未満では、光散乱性が劣り、キズなどの品質欠陥を見えなくする効果に乏しい。一方、フィルムヘーズが40%以上では、全光線透過率の低下が大きくなり、液晶への光量が低下してしまう。
また、本発明のフィルムの全光線透過率は、80%以上であり、好ましくは85%、特に好ましくは87%以上である。全光線透過率が80%未満では、輝度が減少して好ましくない。
本発明の光学用ポリエステルフィルムは、透過法1枚で測定した色調b*値が、好ましくは−5〜+3の範囲、さらに好ましくは−4〜+2の範囲、特に好ましくは−3.5〜+1の範囲である。b*値が+3を超える場合には、黄色味が強くディスプレイ用として使用した場合画像の色調が劣るようになったり、輝度が低くなったりする等の点で不適切となることが多い。一方、−5より低いフィルムでは、色調の問題もあるが、通常ポリエステルフィルムの場合、b*値は−5より低くないので、添加物を使用する等の方法を用いることになるが、その方法では添加物のブリードアウトや長期使用時の信頼性等で問題になることがある。
かかる色調のフィルムとするために、原料のポリエステルを製造する際の触媒、助剤を選択し、なるべく触媒の量を少なくすることや、重合および製膜時にポリエステルが必要以上に高温度になったり、溶融時間が長くなったりしないようにすること、再生された原料の配合量を少なくすることなどの方法を採用できる。
本発明では、A層に微細気泡を含有させるため、ポリエステルに対して非相溶性である熱可塑性樹脂を使用する。すなわち、ポリエステルに配合された非相溶性熱可塑性樹脂は、後述の製膜工程において、未配向シートの段階では分散粒子を形成するが、その後の延伸によりA層に微細気泡を生成する。
上記の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリメチルブテン等のポリオレフィンの他、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリエステル等が挙げられるが、これらの中では、コストや生産性の観点からポリプロピレンが特に実用的である。
上記のポリプロピレンとしては、通常95モル%以上、好ましくは98モル%以上がプロピレン単位である結晶性ポリプロピレンホモポリマーが好ましい。非晶性ポリプロピレンは、フィルム製造工程において未配向シートの表面にポリプロピレンがブリードアウトし、特に、A層(光拡散層)/B層(支持層)の2層構造の積層フィルムの場合は、A層により冷却ドラムや延伸ロール等の表面が汚染されやすい。また、プロピレン単位以外の例えばエチレン単位が5モル%を超えて共重合されているポリプロピレンの場合は、光拡散層A層中の独立気泡の生成量が不足する傾向にある。
また、上記のポリプロピレンのメルトフローインデックス(MFI)は、通常0.5〜30g/10分、好ましくは1.0〜15g/10分の範囲から選択される。MFIが0.5g/10分未満の場合は、A層中に生成する気泡が大きくなり過ぎ、製膜時にフィルム破断が起こりやすい傾向があり、また、MFIが30g/10分を超える場合は、延伸装置であるテンターにおけるクリップ外れが起こることがあり、また、密度の経時的安定性が悪くて密度コントロールが難しくなる場合がある。
ポリエステルに対して非相溶性である熱可塑性樹脂(以下、ポリプロピレンを代表例として説明する)のA層中の含有量は、ポリエステルとの合計量に対して、通常5〜45重量%、好ましくは5〜35重量%、さらに好ましくは10〜25重量%の範囲である。ポリプロピレンの含有量が5重量%未満の場合は、A層中の独立気泡の生成量が不足するため、光拡散性が悪くなる傾向がある。一方、ポリプロピレンの含有量が45重量%を超える場合は、製膜時にフィルム破断が起こることがあり、積層フィルムの機械的強度が不足し、積層フィルム表面の粗度が大きくなる傾向がある。
A層中の微細気泡は、ポリプロピレンから成る分散微粒子を含有する未配向シートを少なくとも1軸方向に延伸することにより生成される。
上記の分散微粒子は、ポリエステルとポリプロピレンとを押出装置の中で溶融混練する際、ポリプロピレンが粒状化して形成されるため、分散微粒子の平均粒径は、ポリエステルとポリプロピレンとの混合比、溶融混練時の混練条件などにより設定できる。
本発明では、ポリプロピレンを配合する原料中に界面活性剤を含有させることが好ましく、界面活性剤としては非イオン系界面活性剤が好ましい。ここで言う界面活性剤とは、異なる融液ポリマーのブレンド体において、その界面の性質を著しく変じるもの、すなわちポリエステルと当該ポリエステルに非相溶な熱可塑性樹脂の界面において両者の相溶性を高める作用を持つ化合物を指す。具体的にはポリアルキレングリコール型類、多価アルコール型類、シリコーン系類等の非イオン系界面活性剤が好ましく、これらの中でもシリコーン系界面活性剤が好ましい。より具体的にはオルガノポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体やポリオキシアルキレン側鎖を有するアルケニルシロキサン等が高い界面活性化作用を有しており、好ましい。
A層を構成するポリエステル中の界面活性剤の含有量は、通常0.001〜1.0重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%の範囲である。界面活性剤の含有量が0.001%未満の場合は、その使用効果が小さく、1.0重量%を超える場合は、界面活性剤の効果が頭打ちとなり、しかも、押出機でのトラブルやポリエステルの劣化を引き起こすことがある。
A層の密度は、通常1.25〜1.40g/cm、 好ましくは1.33〜1.40g/cm範囲である。A層の密度が1.20g/cm未満の場合は、微細気泡が多いためヘーズが高くなりすぎて、光学用途には使用できないことがある。
また、光拡散層には、必要に応じて、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、蛍光増白剤等の添加剤を含有してもよい。
A層を構成するポリエステルのフィルム段階の固有粘度の下限は、通常0.45以上であり、好ましくは0.50以上である。固有粘度が0.45未満の場合は、製膜時にフィルム破断が起こりやすくなり、気泡の大きさが不均一になって密度のコントロールが難しくなるため生産性が低下することがある。一方、その上限は、ポリエステル製造時の生産性の点から、通常1.0以下である。
B層を構成するポリエステルのフィルム段階の固有粘度は、B層の場合と同一であっても異なっていてもよい。
本発明のフィルムの少なくとも片面には塗布層を設ける。塗布層を設けることで、プリズムを構成する樹脂とフィルムとの接着性を向上させることができる。
塗布層は、ポリマーおよび架橋剤を主成分として構成されることが好ましい。ポリマーは、水性ポリウレタン、水性ポリエステルおよび水性アクリル樹脂の少なくとも1つからなり、好ましくは、ガラス転移温度(Tg)が0℃以上、さらには40℃以上のものであり、さらに好ましくはポリウレタンの中でもポリエステルポリウレタンであり、カルボン酸残基を持ち、その少なくとも一部はアミンまたはアンモニアを用いて水性化されているものである。また架橋剤は、メラミン系、エポキシ系、オキサゾリン系樹脂が一般に用いられるが、塗布性、耐久接着性の点で、メラミン系樹脂が好ましい。
塗布剤の塗布方法としては、例えば、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるような、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーターまたはこれら以外の塗布装置を使用することができる。塗布層は、ポリエステルフィルムの片面だけに形成してもよいし、両面に形成してもよい。片面にのみ形成した場合、その反対面には必要に応じて上記の塗布層と異なる塗布層を形成して他の特性を付与することもできる。なお、塗布剤のフィルムへの塗布性や接着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理や放電処理を施してもよい。また、表面特性をさらに改良するため、塗布層形成後に放電処理を施してもよい。
塗布層の厚みは、最終的な乾燥厚さとして、通常0.02〜0.5μm、好ましくは0.03〜0.3μmの範囲である。塗布層の厚さが0.02μm未満の場合は、接着性が劣る傾向がある。一方、塗布層の厚さが0.5μmを超える場合は、フィルムが相互に固着しやすくなったり、特にフィルムの高強度化のために塗布処理フィルムを再延伸する場合は、工程中のロールに粘着しやすくなったりする傾向がある。上記の固着の問題は、特にフィルムの両面に同一の塗布層を形成する場合に顕著に現れる。
本発明のフィルムの厚みは、20〜300μmの範囲である。フィルム厚みが20μm未満では、加工作業性が悪い。一方、フィルム厚みが300μmを超えると、プリズムシートの重量が増加してしまい、好ましくない。
次に本発明のフィルムの製造方法を具体的に説明するが、本発明の構成要件を満足する限り、以下の例示に特に限定されるものではない。
本発明のフィルムを製造するときには、まず、各層に対する組成のポリエステル原料を共押出用押出装置の各々の層に対応する押出機に供給する。すなわち、積層構成に応じて2または3台以上の押出機に原料樹脂を投入し、それぞれの押出機ライン毎に溶融混練した後、2または3層以上のマルチマニホールドまたはフィードブロックに導いてダイから溶融シートとして押し出す。上記溶融混練条件は、A層中に生成させるべき非相溶性熱可塑性樹脂の分散微粒子の平均粒径に応じて調節される。次いで、Tダイから溶融シートとして押出す。続いて、溶融シートを回転冷却ドラム上でガラス転位温度未満にまで急冷し、非晶質の未延伸フィルムを得る。このとき、未延伸フィルムの平面性を向上させるために、静電印加密着法や液体塗布密着法等によって、未延伸フィルムと回転冷却ドラムとの密着性を向上させてもよい。そして、ロール延伸機を用いて、未延伸フィルムをその長手方向に延伸(縦延伸)することにより一軸延伸フィルムを得る。このときの延伸温度は、原料レジンのガラス転移温度(Tg)のマイナス10℃からプラス40℃の温度範囲で延伸する。また、延伸倍率は、好ましくは2.5〜7.0倍、さらに好ましくは3.0〜6.0倍である。さらに、縦延伸を一段階のみで行ってもよいし、二段階以上に分けて行ってもよい。次いで、易接着層を設けるためコーターにより水性塗布剤を塗布する。その後、テンターに導きテンター延伸機を用いて、一軸延伸フィルムをその幅方向に延伸(横延伸)することにより二軸延伸フィルムを得る。このときの延伸温度は、原料レジンのガラス転移温度(Tg)からプラス50℃の温度範囲で延伸する。また、延伸倍率は、好ましくは2.5〜7.0倍、さらに好ましくは3.5〜6.0倍である。さらに、横延伸を一段階のみで行ってもよいし、二段以上に分けて行ってもよい。また縦と横を同時に行う同時二軸延伸を行ってもよい。そして二軸延伸フィルムを熱処理することにより積層フィルムが製造される。このときの熱処理温度は、130〜250℃である。二軸延伸フィルムを熱処理するときには、二軸延伸フィルムに対して20%以内の弛緩を行ってもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および本発明で用いた測定法および用語の定義は次のとおりである。
(1)全光線透過率、ヘーズ
全光線透過率はJIS−K−7361、ヘーズはJIS−K−7136に準じて日本電色工業社製積分球式濁度計「NDH2000」により、全光線透過率、ヘーズを測定した。
(2)フィルムb*値
日本電色工業(株)製分光色色差計 SE−2000型を用いて、JIS Z−8722の方法に準じて、透過法によるb*値を測定した。
(3)フィルム中金属元素およびリン元素量の定量
蛍光X線分析装置((株)島津製作所社製型式「XRF−1500」を用いて、下記表1に示す条件下で、フィルムFP法により単枚測定でフィルム中の元素量を求めた。なお、本方法での検出限界は、通常1ppm程度である。
Figure 2012218153
(4)メルトフローインデックス(MFI)(g/10分)
JIS K−6758−1981に準じて測定した。この値が高いほどポリマーの溶融粘性が低いことを示す。
(5)光学部材適性
光学用部材の代表として、プリズムシートとして使用した場合の特性を評価した。すなわちフィルムの片面に、アクリル系バインダーを塗布してプリズム層を形成した。得られたプリズムシートをバックライトユニットに組み込んで、得られる面状発光の品質を以下の観点で評価した。
・輝度レベル(輝度計を用いて評価し、比較例1のフィルムを使用した場合と比較した)
A:輝度が向上し、改良が見られた
B:輝度の低下は確認できなかった
C:輝度が低下した
(6)光硬化性樹脂との接着性
易接着面の表面にアクリル系光硬化樹脂(日本化薬製KAYANOVA FOP−1700)を硬化後の厚さが6μmになるように塗布し、120W/cmのエネルギーの高圧水銀灯を使用し、照射距離100mmにて約10秒間照射して、表面硬化フィルムを得た。アクリル系光硬化層形成直後、当該層に1インチ幅に碁盤目が100個になるようクロスカットを入れ、直ちに、同一箇所について3回セロテープ(登録商標)急速剥離テストを実施し、剥離面積により評価した。判定基準は以下のとおりである。
○:0≦碁盤目剥離個数≦10
△:11≦碁盤目剥離個数≦20
×:21<碁盤目剥離個数
(7)隠蔽性
バックライトユニットに組み込んで、輝度ムラ、プリズムシートの欠陥、キズなどの隠蔽性の評価を行った。判定基準は以下のとおりである。
A:輝度ムラ、プリズムシートの欠陥、キズなどがなく、隠蔽性が非常に良い
B:輝度ムラ、プリズムシートの欠陥、キズなどが少なく、隠蔽性が良い
C:輝度ムラ、プリズムシートの欠陥、キズなどが確認でき、隠蔽性は悪い
(原料の調整)
<ポリエステルAの製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とジエチレングリコール2重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラブトキシチタネートを反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた後、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステルAの極限粘度は0.63であった。
<ポリエステルBの製造方法>
ポリエステル(A)の製造において、重合触媒として三酸化アンチモンを使用したこと以外は、ポリエステル(A)の製造方法と同様な方法を用いてポリエステル(B)を得た。得られたポリエステル(B)の固有粘度は0.65であった
<ポリエステルCの製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩を加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、正リン酸を添加した後、二酸化ゲルマニウム加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.65に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステル(C)のチップを得た。ポリエステル(C)の極限粘度は0.65であった。
<ポリエステルDの製造方法>
ポリエステルAを製造する際、結晶性ポリプロピレン(PP)チップ15重量%、シリコーン系界面活性剤0.2重量%となる様に配合した後、均一にブレンドしてポリエステル原料組成物をポリエステルDとする。
<ポリエステルEの製造方法>
ポリエステルBを製造する際、結晶性ポリプロピレン(PP)チップ15重量%、シリコーン系界面活性剤0.2重量%となる様に配合した後、均一にブレンドしてポリエステル原料組成物をポリエステルEとする。
<ポリエステルFの製造方法>
ポリエステルAを製造する際、平均粒子径2.2μmのシリカ粒子を0.3部添加してポリエステルE得た。
・水性塗布剤A
水性塗布剤は下記a、b、c、dの化合物を各々47/20/30/3の重量比で混合した混合物である。
a:テレフタル酸/イソフタル酸/5−ソジウムスルホイソフタル酸/エチレングリコール/1.4−ブタンジオール/ジエチレングリコールを各々28/20/2/35/10/5のモル比で反応させたポリエステル水分散体
b:メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリロニトリル/N−メチロールメタアクリルアミドを各々45/45/5/5のモル比で重合された重合物水分散体(乳化剤:アニオン系界面活性剤)
c:メラミン系架橋剤(ヘキサメトキシメチルメラミン)
d:平均粒径0.06μmの酸化ケイ素の水分散体
実施例1:
ポリエステル(A)、(C)、(D)をそれぞれ94%、5%、1%の割合で混合した混合原料を光拡散層の原料として、ベント付き2軸押出機(サブ) に供給し、ポリエステル(A)、(C)をそれぞれ95%、5%の割合で混合した混合原料を支持層の原料として、別のベント付き2軸押出機(メイン)に供給して溶融温度280℃で溶融し、サブ押出機の溶融ポリマーと、メイン押出機からの溶融ポリマーとをギヤポンプフィルターを介してフィードブロックで分流させ、ダイを通してキャスティングドラムに引き取り2種2層の未延伸フィルムとした。キャスティングの際、静電密着法を採用した。かくして得られた未延伸フィルムを縦延伸ロールに送り込み、まずフィルム温度83℃(IRヒーター付与)で3.7倍延伸した後、片面に水性塗布剤Aを塗布しテンターに導き95℃で横方向に4.0倍延伸して二軸配向フィルムを得た。次いで、得られた二軸配向フィルムを熱固定ゾーンに導き、230℃で5秒間幅方向に3%弛緩させながら熱固定し、易接着層厚み0.1μmを有する厚み250μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、光拡散層18μm/支持層170μmである。
実施例2〜4:
実施例1において、使用したポリエステル原料を表2の様に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚み188μmのポリエステルフィルムを得た。
比較例1〜3:
実施例1において、使用したポリエステル原料を表2の様に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚み188μmのポリエステルフィルムを得た。
比較例4:
実施例1において、水性塗布剤Aを塗布しないで易接着層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして厚み188μmのポリエステルフィルムを得た。
以上、得られた結果をまとめて下記表2、表3 に示す。
Figure 2012218153
Figure 2012218153
本発明のフィルムは、拡散シート、プリズムシート、複合シート用の基材として好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. 微細気泡含有ポリエステル層を少なくとも1層有する、厚み20〜300μmの積層ポリエステルフィルムであり、当該積層ポリエステルフィルムの片面に塗布層を有し、ヘーズが5〜40%の範囲であり、全光線透過率が80%以上であることを特徴とする光学用積層ポリエステルフィルム。
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