まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。図2は、パチンコ遊技機を示す背面図である。図3は、主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。
パチンコ遊技機1は、図1及び図2に示すように、縦長の方形枠状に形成された外枠100と、外枠100に開閉可能に取り付けられた前面枠101と、で主に構成されている。前面枠101の前面には、ガラス扉枠102及び下扉枠103がそれぞれ左側辺を中心に開閉可能に設けられている。
下扉枠103の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4(下皿)や、打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。また、ガラス扉枠102の背面には、遊技盤6が前面枠101に対して着脱可能に取り付けられている。
遊技盤6は、遊技領域7が前面に形成された合成樹脂製の盤面板(図示略)と、所定の厚み幅寸法を有し、盤面板を取り付ける取付面が前面に設けられたスペーサ部材(図示略)と、から構成され、該遊技盤6の背面側には、演出表示装置9及び演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニット(図示略)等の遊技に関連する遊技用部品が組み付けられる遊技用部品ユニット310が一体的に組み付けられている(図2参照)。
遊技盤ユニット310は、遊技盤6と、該遊技盤6の背面側に配置され、遊技盤6を背面側から装飾する装飾体(図示略)と、該装飾体の背面に取り付けられ、演出表示装置9及び演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニットと、から主に構成され、遊技盤6に対して着脱可能に取り付けられる。
図1に戻って、遊技領域7の中央付近には、それぞれが演出用の飾り図柄(演出図柄)を可変表示する複数の可変表示部を含む演出表示装置(飾り図柄表示装置)9が設けられている。演出表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの可変表示部(図柄表示エリア)がある。演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bによる特別図柄の可変表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の可変表示を行う。演出図柄の可変表示を行う演出表示装置9は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。
遊技盤6における右側下部位置には、第1識別情報としての第1特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器(第1可変表示手段)8aが設けられている。この実施例では、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。また、第1特別図柄表示器8aの上方位置には、第2識別情報としての第2特別図柄を可変表示する第2特別図柄表示器(第2可変表示手段)8bが設けられている。第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。
この実施例では、第1特別図柄の種類と第2特別図柄の種類とは同じ(例えば、ともに0〜9の数字)であるが、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bは、それぞれ、例えば2つの7セグメントLED等を用いて00〜99の数字(または、2桁の記号)を可変表示するように構成されていてもよい。
以下、第1特別図柄と第2特別図柄とを特別図柄と総称することがあり、第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bとを特別図柄表示器と総称することがある。
第1特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第1始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口13aに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。また、第2特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第2始動条件が成立(例えば、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第2特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。
演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aでの第1特別図柄の可変表示時間中、および第2特別図柄表示器8bでの第2特別図柄の可変表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄(飾り図柄ともいう)の可変表示を行う。第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における演出図柄の可変表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における演出図柄の可変表示とは同期している。同期とは、可変表示の開始時点および終了時点がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であって、可変表示の期間がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であることをいう。また、第1特別図柄表示器8aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器8bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置9において大当りを想起させるような演出図柄の組み合せが停止表示される。
演出表示装置9の下方には、第1始動入賞口13aを有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13aに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ14a(例えば、近接スイッチ)及び第1入賞確認スイッチ14b(例えば、フォトセンサ)によって検出される。
また、第1始動入賞口(第1始動口)13aを有する入賞装置の下側には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口13bを有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)13bに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ15a及び入賞確認スイッチ15bによって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。可変入賞球装置15が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。可変入賞球装置15が開状態になっている状態では、第1始動入賞口13aよりも、第2始動入賞口13bに遊技球が入賞しやすい。また、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、遊技球は第2始動入賞口13bに入賞しない。なお、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。
また、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14bの検出結果及び第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15bの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。
以下、第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bとを総称して始動入賞口または始動口ということがある。
可変入賞球装置15が開放状態に制御されているときには可変入賞球装置15に向かう遊技球は第2始動入賞口13bに極めて入賞しやすい。そして、第1始動入賞口13aは演出表示装置9の直下に設けられているが、演出表示装置9の下端と第1始動入賞口13aとの間の間隔をさらに狭めたり、第1始動入賞口13aの周辺で釘を密に配置したり、第1始動入賞口13aの周辺での釘配列を、遊技球を第1始動入賞口13aに導きづらくして、第2始動入賞口13bの入賞率の方を第1始動入賞口13aの入賞率よりもより高くするようにしてもよい。
第2特別図柄表示器8bの上部には、第1始動入賞口13aに入った有効入賞球数すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する第1特別図柄保留記憶表示部と、該第1特別図柄保留記憶表示部とは別個に設けられ、第2始動入賞口13bに入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する第2特別図柄保留記憶表示部と、が設けられた例えば7セグメントLEDからなる特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。第1特別図柄保留記憶表示部は、第1保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器8aでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。また、第2特別図柄保留記憶表示部は、第2保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器8bでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。なお、この例では、第1始動入賞口13aへの入賞による始動記憶数及び第2始動入賞口13bへの入賞による始動記憶数に上限数(4個まで)が設けられているが、上限数を4個以上にしてもよい。
また、演出表示装置9の表示画面には、第1保留記憶数を表示する第1保留記憶表示部9aと、第2保留記憶数を表示する第2保留記憶表示部9bとが設けられている。なお、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計である合計数(合算保留記憶数)を表示する領域(合算保留記憶表示部)が設けられるようにしてもよい。そのように、合計数を表示する合算保留記憶表示部が設けられているようにすれば、可変表示の開始条件が成立していない実行条件の成立数の合計を把握しやすくすることができる。
なお、この実施例では、図1に示すように、第2始動入賞口13bに対してのみ開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられているが、第1始動入賞口13aおよび第2始動入賞口13bのいずれについても開閉動作を行う可変入賞球装置が設けられている構成であってもよい。
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の下方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は大入賞口扉を備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、および第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって大入賞口扉が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。
大入賞口内には、大入賞口内に入賞した遊技球を検出可能な2つのスイッチ(カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23a)が設けられている。この実施例では、大入賞口内で、カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23aとが配置されている(本例では、カウントスイッチ23が上側に配置され、第3入賞確認スイッチ23aが下側に配置されている)。従って、この実施例では、大入賞口内に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、まずカウントスイッチ23で検出され、次いで第3入賞確認スイッチ23aで検出される。
カウントスイッチ23によって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。こうして、特別可変入賞球装置20において開放状態となった大入賞口を遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口13aや第2始動入賞口13bといった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出される。したがって、特別可変入賞球装置20において大入賞口が開放状態となれば、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置20において大入賞口が閉鎖状態となれば、大入賞口に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることができないため、遊技者にとって不利な第2状態となる。
第1特別図柄表示器8aの右側には、普通図柄表示器10が設けられている。普通図柄表示器10は、例えば2つのランプからなる。遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。この実施例では、上下のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、例えば、可変表示の終了時に下側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器10の下側のランプが点灯して当りである場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる。すなわち、可変入賞球装置15の状態は、下側のランプが点灯して当りである場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口13bに遊技球が入賞可能な状態)に変化する。特別図柄保留記憶表示器18の上部には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(例えば、7セグメントLEDのうち4つのセグメント)を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器41は点灯する表示部を1増やす。そして、普通図柄表示器10の可変表示が開始される毎に、点灯する表示部を1減らす。
なお、7セグメントLEDからなる普通図柄保留記憶表示器41には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(セグメント)とともに、例えば大当り時における特別可変入賞球装置20の開放回数(大当りラウンド数)を示す2つの表示部(セグメント)、及び遊技状態を示す2つの表示部(セグメント)が設けられているが、これら表示部を普通図柄保留記憶表示部とは別個の表示器にて構成してもよい。また、普通図柄表示器10は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」および「×」)を可変表示可能なセグメントLED等にて構成してもよい。
特別可変入賞球装置20の周辺には普通入賞装置の入賞口29a〜29dが設けられ、入賞口29a,29cに入賞した遊技球は入賞口スイッチ30aによって検出され、入賞口29b,29dに入賞した遊技球は入賞口スイッチ30bによって検出される。各入賞口29a〜29dは、遊技球を受け入れて入賞を許容する領域として遊技盤6に設けられる入賞領域を構成している。なお、第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13bや大入賞口も、遊技球を受け入れて入賞を許容する入賞領域を構成する。
遊技領域7の左側には、遊技中に点滅表示される装飾LED25aを有する装飾部材25が設けられ、下部には、入賞しなかった遊技球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上下部には、効果音を発する4つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cが設けられている。天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cおよび装飾LED25aは、遊技機に設けられている装飾発光体の一例である。
図1および図2では、図示を省略しているが、左枠ランプ28bの近傍に、賞球払出中に点灯する賞球ランプが設けられ、天枠ランプ28aの近傍に、補給球が切れたときに点灯する球切れランプが設けられている。なお、賞球ランプおよび球切れランプは、賞球の払出中である場合や球切れが検出された場合に、演出制御基板に搭載された演出制御用マイクロコンピュータによって点灯制御される。さらに、特に図示はしないが、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするプリペイドカードユニット(以下、「カードユニット」という。)50が、パチンコ遊技機1に隣接して設置されている。
遊技者の操作により、後述する打球発射装置から発射された遊技球は、発射球案内通路(図示略)を通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13aに入り第1始動口スイッチ14aで検出されると、第1特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第1特別図柄および演出図柄の可変表示は、第1始動入賞口13aへの入賞に対応する。第1特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第1保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第1保留記憶数を1増やす。
遊技球が第2始動入賞口13bに入り第2始動口スイッチ15aで検出されると、第2特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器8bにおいて第2特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第2特別図柄および演出図柄の可変表示は、第2始動入賞口13bへの入賞に対応する。第2特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第2保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第2保留記憶数を1増やす。
第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の可変表示及び第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄(特定表示結果)であると「大当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄とは異なる所定の小当り図柄(所定表示結果)であると「小当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄及び小当り図柄とは異なる特別図柄が停止表示されれば「ハズレ」となる。
特図ゲームでの可変表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。また、特図ゲームでの可変表示結果が「小当り」になった後には、大当り遊技状態とは異なる小当り遊技状態に制御される。
演出表示装置9に設けられた「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアでは、第1特別図柄表示器8aにおける第1特図を用いた特図ゲームと、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームとのうち、いずれかの特図ゲームが開始されることに対応して、飾り図柄の可変表示(変動表示)が開始される。そして、飾り図柄の可変表示が開始されてから「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリアにおける確定飾り図柄の停止表示により可変表示が終了するまでの期間では、飾り図柄の可変表示状態が所定のリーチ状態となることがある。ここで、リーチ状態とは、演出表示装置9の表示領域にて仮停止表示された飾り図柄が大当り組み合せの一部を構成しているときに未だ仮停止表示もされていない飾り図柄(「リーチ変動図柄」ともいう)については変動が継続している表示状態、あるいは、全部又は一部の飾り図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。具体的には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける一部(例えば「左」及び「右」の飾り図柄表示エリアなど)では予め定められた大当り組み合せを構成する飾り図柄(例えば「7」の英数字を示す飾り図柄)が仮停止表示されているときに未だ仮停止表示もしていない残りの飾り図柄表示エリア(例えば「中」の飾り図柄表示エリアなど)では飾り図柄が変動している表示状態、あるいは、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける全部又は一部で飾り図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。
次に、パチンコ遊技機1の背面の構造について図2を参照して説明する。図2は、遊技機を背面から見た背面図である。図2に示すように、パチンコ遊技機1の背面側では、演出表示装置9を制御する演出制御用マイクロコンピュータが搭載された演出制御基板80を含む変動表示制御ユニット49、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31、音声制御基板70、ランプドライバ基板35、および球払出制御を行なう払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37等の各種基板が設置されている。なお、遊技制御基板31は基板収納ケース150に収納されている。
さらに、パチンコ遊技機1背面側には、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5V等の各種電源電圧を作成する電源回路が搭載された電源基板90やタッチセンサ基板(図示略)が設けられている。電源基板90には、パチンコ遊技機1における遊技制御基板31および各電気部品制御基板(演出制御基板80および払出制御基板37)やパチンコ遊技機1に設けられている各電気部品(電力が供給されることによって動作する部品)への電力供給を実行あるいは遮断するための電力供給許可手段としての電源スイッチ、遊技制御基板31の遊技制御用マイクロコンピュータ156のRAM55をクリアするためのクリアスイッチが設けられている。さらに、電源スイッチの内側(基板内部側)には、交換可能なヒューズが設けられている。
なお、この実施例では、主基板31は遊技盤側に設けられ、払出制御基板37は遊技枠側に設けられている。このような構成であっても、後述するように、主基板31と払出制御基板37との間の通信をシリアル通信で行うことによって、遊技盤を交換する際の配線の取り回しを容易にしている。
なお、各制御基板には、制御用マイクロコンピュータを含む制御手段が搭載されている。制御手段は、遊技制御手段等からのコマンドとしての指令信号(制御信号)に従って遊技機に設けられている電気部品(遊技用装置:球払出装置97、演出表示装置9、ランプやLEDなどの発光体、スピーカ27等)を制御する。以下、主基板31を制御基板に含めて説明を行うことがある。その場合には、制御基板に搭載される制御手段は、遊技制御手段と、遊技制御手段等からの指令信号に従って遊技機に設けられている電気部品を制御する手段とのそれぞれを指す。また、主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板をサブ基板ということがある。なお、球払出装置97は、遊技球を誘導する通路とステッピングモータ等により駆動されるスプロケット等によって誘導された遊技球を上皿や下皿に払い出すための装置であって、払い出された賞球や貸し球をカウントする払出個数カウントスイッチ等もユニットの一部として構成されている。なお、この実施例では、払出検出手段は、払出個数カウントスイッチによって実現され、球払出装置97から実際に賞球や貸し球が払い出されたことを検出する機能を備える。この場合、払出個数カウントスイッチは、賞球や貸し球の払い出しを1球検出するごとに検出信号を出力する。
パチンコ遊技機1の背面には、各種情報をパチンコ遊技機1の外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板91が設置されている。ターミナル基板91には、例えば、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号(始動口信号、図柄確定回数1信号、大当り1信号、大当り2信号、大当り3信号、時短信号、セキュリティ信号、賞球信号1、遊技機エラー状態信号)を外部出力するための情報出力端子が設けられている。なお、遊技機エラー状態信号に関しては必ずしもパチンコ遊技機1の外部に出力しなくてもよく、該情報出力端子から、この遊技機エラー状態信号の替わりに遊技枠が開放状態であることを示すドア開放信号等を出力するようにしてもよい。
貯留タンク38に貯留された遊技球は誘導レールを通り、カーブ樋を経て払出ケース97aで覆われた球払出装置97に至る。球払出装置97の上方には、遊技媒体切れ検出手段としての球切れスイッチ43が設けられている。球切れスイッチ43が球切れを検出すると、球払出装置97の払出動作が停止する。球切れスイッチ43が遊技球の不足を検知すると、遊技機設置島に設けられている補給機構からパチンコ遊技機1に対して遊技球の補給が行なわれる。
入賞にもとづく景品としての遊技球や球貸し要求にもとづく遊技球が多数払出されて打球供給皿3が満杯になると、遊技球は、余剰球誘導通路を経て余剰球受皿4に導かれる。さらに遊技球が払出されると、感知レバー(図示略)が貯留状態検出手段としての満タンスイッチ(図示略)を押圧して、貯留状態検出手段としての満タンスイッチがオンする。その状態では、球払出装置内の払出モータの回転が停止して球払出装置の動作が停止するとともに打球発射装置の駆動も停止する。
図3は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図3には、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)156が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施例では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ156に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ156には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路60が内蔵されている。
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ156においてCPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ156(またはCPU56)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、乱数回路60が内蔵されている。乱数回路60は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
乱数回路60は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
乱数回路60は、数値データの更新範囲の選択設定機能(初期値の選択設定機能、および、上限値の選択設定機能)、数値データの更新規則の選択設定機能、および数値データの更新規則の選択切換え機能等の各種の機能を有する。このような機能によって、生成する乱数のランダム性を向上させることができる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、乱数回路60が更新する数値データの初期値を設定する機能を有している。例えば、ROM54等の所定の記憶領域に記憶された遊技制御用マイクロコンピュータ156のIDナンバ(遊技制御用マイクロコンピュータ156の各製品ごとに異なる数値で付与されたIDナンバ)を用いて所定の演算を行って得られた数値データを、乱数回路60が更新する数値データの初期値として設定する。そのような処理を行うことによって、乱数回路60が発生する乱数のランダム性をより向上させることができる。
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ15aへの始動入賞が生じたときに乱数回路60から数値データをランダムRとして読み出し、特別図柄および演出図柄の変動開始時にランダムRにもとづいて特定の表示結果としての大当り表示結果にするか否か、すなわち、大当りとするか否かを決定する。そして、大当りとすると決定したときに、遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行させる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、払出制御基板37(の払出制御用マイクロコンピュータ)や演出制御基板80(の演出制御用マイクロコンピュータ)とシリアル通信で信号を入出力(送受信)するためのシリアル通信回路61が内蔵されている。なお、払出制御用マイクロコンピュータや演出制御用マイクロコンピュータにも、遊技制御用マイクロコンピュータ156とシリアル通信で信号を入出力するためのシリアル通信回路が内蔵されている(図示略)。
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグや保留記憶数カウンタの値など)と未払出賞球数を示すデータ(具体的には、後述する賞球コマンド出力カウンタの値)は、バックアップRAMに保存される。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。なお、この実施例では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
遊技制御用マイクロコンピュータ156のリセット端子には、電源基板からのリセット信号が入力される。電源基板には、遊技制御用マイクロコンピュータ156等に供給されるリセット信号を生成するリセット回路が搭載されている。なお、リセット信号がハイレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作可能状態になり、リセット信号がローレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作停止状態になる。従って、リセット信号がハイレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を許容する許容信号が出力されていることになり、リセット信号がローレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を停止させる動作停止信号が出力されていることになる。なお、リセット回路をそれぞれの電気部品制御基板(電気部品を制御するためのマイクロコンピュータが搭載されている基板)に搭載してもよい。
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、電源基板からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号が入力される。すなわち、電源基板には、遊技機において使用される所定電圧(例えば、DC30VやDC5Vなど)の電圧値を監視して、電圧値があらかじめ定められた所定値にまで低下すると(電源電圧の低下を検出すると)、その旨を示す電源断信号を出力する電源監視回路が搭載されている。なお、電源監視回路を電源基板に搭載するのではなく、バックアップ電源によって電源バックアップされる基板(例えば、主基板31)に搭載するようにしてもよい。また、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、RAMの内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示すクリア信号が入力される。
また、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15a、第2入賞確認スイッチ15b、カウントスイッチ23、第3入賞確認スイッチ23aおよび各入賞口スイッチ30a,30bからの検出信号を基本回路に与える入力ドライバ回路58も主基板31に搭載され、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21と、基本回路からの指令に従って駆動する出力回路59も主基板31に搭載され、電源投入時に遊技制御用マイクロコンピュータ156をリセットするためのシステムリセット回路(図示せず)や、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号を、ターミナル基板91を介して、ホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路64も主基板31に搭載されている。
この実施例では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ156から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出図柄を可変表示する演出表示装置9との表示制御を行う。
演出制御基板80は、演出制御用CPUおよびRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。演出制御基板80において、演出制御用CPU(図示略)は、内蔵または外付けのROM(図示略)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバおよび入力ポートを介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU(図示略)は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)に演出表示装置9の表示制御を行わせる。
演出制御用CPU(図示略)は、受信した演出制御コマンドに従ってキャラクタROM(図示せず)から必要なデータを読み出す。キャラクタROMは、演出表示装置9に表示されるキャラクタ画像データ、具体的には、人物、文字、図形または記号等(演出図柄を含む)をあらかじめ格納しておくためのものである。演出制御用CPU(図示略)は、キャラクタROMから読み出したデータをVDPに出力する。VDPは、演出制御用CPUから入力されたデータにもとづいて表示制御を実行する。
演出制御コマンドおよび演出制御INT信号は、演出制御基板80において、まず、入力ドライバに入力する。入力ドライバは、中継基板77から入力された信号を演出制御基板80の内部に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80の内部から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路でもある。
中継基板77には、主基板31から入力された信号を演出制御基板80に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路(図示略)が搭載されている。単方向性回路として、例えばダイオードやトランジスタが使用される。さらに、単方向性回路であるI/Oポート部を介して主基板31から演出制御コマンドおよび演出制御INT信号が出力されるので、中継基板77から主基板31の内部に向かう信号が規制される。すなわち、中継基板77からの信号は主基板31の内部(遊技制御用マイクロコンピュータ156側)に入り込まない。
さらに、演出制御用CPU(図示略)は、出力ポート(図示略)を介してランプドライバ基板35に対してLEDを駆動する信号を出力する。また、演出制御用CPUは、出力ポートを介して音声制御基板70に対して音番号データを出力する。また、演出制御用CPUは、出力ポートを介して昇降モータ410、ドラムモータ445に対して駆動データを出力する。また、演出制御用CPUは、入力ポートを介して昇降センサ420から検出信号を入力する。
ランプドライバ基板35において、LEDを駆動する信号は、入力ドライバ(図示略)を介してLEDドライバに入力される。LEDドライバは、駆動信号を天枠LED28a、左枠LED28b、右枠LED28c、ドラムLED462などの枠側に設けられている各LEDに供給する。また、遊技盤側に設けられている装飾LED25aに駆動信号を供給する。なお、LED以外の発光体が設けられている場合には、それを駆動する駆動回路(ドライバ)がランプドライバ基板35に搭載される。
音声制御基板70において、音番号データは、入力ドライバ(図示略)を介して音声合成用IC(図示略)に入力される。音声合成用ICは、音番号データに応じた音声や効果音を発生し増幅回路(図示略)に出力する。増幅回路は、音声合成用ICの出力レベルを、ボリュームで設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。音声データROM(図示略)には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば演出図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
次に、演出装置400の構造について、図4〜図15にもとづいて説明する。図4は、(a)は演出装置を斜め前から見た状態を示す斜視図、(b)は斜め後から見た状態を示す斜視図である。図5は、演出装置を示す分解斜視図である。図6は、ベース部と可動部とを斜め後ろから見た状態を示す斜視図である。図7は、ベース部の構造を示す分解斜視図である。図8は、(a)は可動部が上方位置に位置した状態、(b)は下方位置に位置した状態を示す背面図である。図9は、演出装置を示す左側面図である。図10は、図9のC−C断面図である。図11は、可動部の構造を示す分解斜視図である。図12は、(a)は図9のA−A断面図、(b)は(a)のD−D断面図である。図13は、図9のB−B断面図である。図14は、駆動伝達機構の構造を示す概略図である。図15は、駆動伝達機構の作用を説明する図である。尚、以下の説明において、パチンコ遊技機1を正面から見た状態での上下左右方向を基準として説明する。
図4〜図7に示すように、演出装置400は、パチンコ遊技機1の所定箇所に固定されるベース部401と、ベース部401に対して上下方向に移動可能に設けられた可動部402と、可動部402に駆動力を伝達させる駆動伝達機構403と、から主に構成されており、可動部402は、左右方向を向く軸周りに回動可能に設けられるとともに、内部が発光可能とされた八角柱形状をなす演出用の回転ドラム404を有している。
ベース部401は、遊技盤6の背面に配設される図示しない装飾体の下部を構成するベース取付板405と、該ベース取付板405の前面に複数本のネジN1により取り付けられる正面視略横長長方形状をなすベース板406と、から構成されている。ベース取付板405が装飾体(図示略)に取り付けられた状態において、可動部402の回転ドラム404が遊技盤6に形成された表示用開口6aの下部から前面側に臨むように配設されている(図1参照)。
図5〜図7に示すように、ベース板406は、左側辺近傍及び左右方向の中央位置よりやや右側には、可動部402を上下方向に移動案内する案内溝407a,407bが上部から下部にかけて上下方向に延設されている。左側辺には、可動部402を昇降駆動させるステッピングモータからなる昇降モータ410を取り付けるためのモータ取付板411が取り付けられるモータ取付部412が形成されている。モータ取付板411の前部上下位置には、モータ取付部412に取り付けるためのネジN2の取付穴413が形成されているとともに、後部上下位置には、ベース取付板405の前面に取り付けるためのネジN3が取り付けられる取付穴414が形成されている。つまり、モータ取付板411はベース取付板405及びベース板406双方に強固に固定されている。
ベース板406の背面における左右の案内溝407a,407bの外側長手方向の中央位置には、板部材の先端に形成された半円形の切欠からなる軸受部415a,415bが後方に向けて突設されている。また、左右の軸受部415a,415bの上下部には、ギヤカバー416a,416bを取り付けるためのネジN4の取付穴417a,417bが端面に形成された取付用ボスが突設されている。また、案内溝407a,407bの下方近傍位置には、左右方向を向くストッパ片418a,418bが突設されている。
ベース板406の左側の案内溝407aの下部右側には、可動部402の駆動初期位置(下方位置)を検出する昇降センサ420のセンサ取付部419が、背面側に膨出するように形成されている。また、左側の案内溝407aの長手方向の中央位置及び右側の案内溝407bの長手方向の下部位置には、取り付けの際に左右の第2従動ギヤ432a,432bに対して左右のラックギヤ435a,435bを同高さ位置で噛合させるためのマークMがそれぞれ刻設されている。
次に、駆動伝達機構403について説明する。
図6〜図10に示すように、昇降モータ410の駆動軸410aの先端には、駆動ギヤ430が相対回転不能に固定されている。一方、左右の軸受部415a,415bには、左右方向に延びるシャフト433の左右端部が軸心周りに回動可能に支持されている。具体的には、シャフト433の左端部には、駆動ギヤ430に噛合される第1従動ギヤ431が固着されているとともに、第1従動ギヤ431の内側及びシャフト433の右端部には、第2従動ギヤ432a,432bが固着されている。
駆動軸410aの先端部と、シャフト433の左右端部とは、縦断面略D字形(非円形)をなすように形成されているとともに(図9、図10参照)、駆動ギヤ430に形成された軸嵌合部430aと、第1従動ギヤ431に形成された軸挿通孔431a及び第2従動ギヤ432a,432bに形成された軸挿通孔432cとは、断面略D字形(非円形)をなしている。よって、駆動ギヤ430は、駆動軸410aの先端部に軸嵌合部430aを圧入することで、軸心周りに相対回転不能に固定される。
また、第2従動ギヤ432a,432bは、シャフト433の左右端部から軸挿通孔431a,432cを圧入することで、軸心周りに相対回転不能に挿通される。尚、縦断面略D字形の非円形部は左右端部にのみ形成されていることで、長手方向の中心側への移動が段部にて規制されるようになっている。一方、シャフト433の左右端部には、環状のワッシャ溝433aが形成されており、シャフト433の左右端部に第2従動ギヤ432a,432b及び第1従動ギヤ431を圧入した後、ワッシャ溝433aに、C字形をなすワッシャ434を軸心に対して直交する方向から嵌合させることで、第2従動ギヤ432a,432b及び第1従動ギヤ431のシャフト433の端部方向への移動が規制され、これによりシャフト433からの逸脱が防止される。
第2従動ギヤ432a,432bの外側には筒状部432dが形成されており、該筒状部432dの前半部が軸受部415a,415bにより回動可能に軸支されているとともに、筒状部432dの後半部が、ギヤカバー416a,416bの内部に形成された軸受部(図示略)により軸支される。つまり、図7に示すように、ギヤカバー416a,416bに取り付けたネジN4を取付穴417a,417bに螺入してベース板406に取り付けることで、軸受部415a,415bとギヤカバー416a,416bとにより円形の軸受部(図示略)が形成される。
また、このようにシャフト433が軸受部415a,415bにより回動可能に軸支された状態において、シャフト433は左右方向に向けて水平に支持されるとともに、第1従動ギヤ431が駆動ギヤ430に噛合される。さらに、第2従動ギヤ432a,432bには、ワッシャ436a,436bを介して可動部402に取り付けられるラックギヤ435a,435bが噛合される。
左右のラックギヤ435a,435bは、縦長長方形状をなす板部材にて構成され、背面における外側辺に沿って上下方向に向けて直線状に形成されている。ギヤの内側にはネジの取付穴438a,438bが上下に形成されており、該取付穴438a,438bに背面側から取り付けたネジN5を、案内溝407a,407bに挿通させてベース板406の前面側に突出させ、ワッシャ436a,436bを介して可動部402に形成されたネジ穴439a,439bに螺入することで、可動部402の背面に取り付けられる。
そして可動部402の背面に取り付けられた状態において、ワッシャ436a,436bが案内溝407a,407b内に摺動可能に嵌合されることで、案内溝407a,407bにより上下方向に移動案内されるようになっている。また、左側のラックギヤ435aの右側辺には、昇降センサ420により検出される検出片437が外向きに突設されている。さらに、左側のラックギヤ435aの背面上部及び右側のラックギヤ435bの背面下部位置には、駆動初期位置において上下一対のマークMの間に配置されるマークM’が刻設されている。これにより、取り付けの際において、上下一対のマークMの間にマークM’が配置されるように左右の第2従動ギヤ432a,432bに左右のラックギヤ435a,435bを噛合させることで、左右の第2従動ギヤ432a,432bに対し左右のラックギヤ435a,435bを同じ高さ位置に噛合させて配置することができる。
このように駆動伝達機構403は、可動部402を駆動する昇降モータ410と、可動部402に連結されて該可動部402を下方位置と上方位置との間で変位(昇降)させる動力伝達ギヤであるラックギヤ435a,435bと、ラックギヤ435a,435bに噛合し、該ラックギヤ435a,435bに昇降モータ410の回動力を伝達する複数のギヤ(ここでは駆動ギヤ430、第1従動ギヤ431、第2従動ギヤ432a,432b)と、を備えており、第1従動ギヤ431及び第2従動ギヤ432a,432bは、昇降モータ410の回動力が第1従動ギヤ431から第2従動ギヤ432a,432bを介してラックギヤ435a,435bに伝達されるように配設されている。
次に、可動部402の構造について、主に図11〜図13にもとづいて説明する。
図11〜図13に示すように、可動部402は、昇降板440と、昇降板440の左右側に配設された支持部441L,441Rと、これら左右の支持部441L,441Rにより回動可能に支持される回転ドラム404と、回転ドラム404を回転駆動するステッピングモータからなるドラムモータ445と、から主に構成されている。昇降板440は、正面視略横長長方形状をなす板部材にて構成され、左右側部には、上方に向けて漸次前方に突出する側面視三角形状の取付部442が形成され、該取付部442の上部に支持部441L,441Rを固設できるようになっている。
支持部441L,441Rは、それぞれ左右の外側面が開口される箱状の本体443と、本体443の開口を閉塞するカバー444と、から構成されている。また、左側の支持部441Lには、駆動機構部が設けられている。詳しくは、カバー444には、ドラムモータ445の駆動軸445aの挿通孔446が形成されており、その外面には、挿通孔446に挿通させた駆動軸445aが内側に突出するようにドラムモータ445が固定されている。内側に突出された駆動軸445aの先端には、駆動ギヤ447が相対回転不能に固着されている。
駆動ギヤ447の上方には、駆動ギヤ447に噛合される従動ギヤ448aが外周に形成されたギヤ円盤448が、本体443に形成された円形の軸受孔449に本体443の左側から回動可能に嵌合されている。ギヤ円盤448の中央には軸挿通孔448bが形成されているとともに、軸挿通孔448bの周囲に形成された取付穴448cに取り付けたネジN6を介して回転ドラム404の左側面に固定される。
回転ドラム404は、左右端が支持部441L,441Rに支持される発光部460と、発光部460の周囲を覆うように回動可能に設けられた回動部461と、から構成される。発光部460は、前面に複数のドラムLED462が長手方向に向けて上下2列に設けられた横長長方形状をなすLED基板463と、LED基板463の前面側を被覆するように設けられる透光性部材からなるレンズ464と、レンズ464の前面を被覆する非透光性部材からなるレンズカバー465と、を有し、左右方向に延設されている。
レンズ464の前面における各ドラムLED462に対応する位置には、複数の円柱状部464aが前方に向けて突設されているとともに、レンズカバー465には複数の嵌合孔465aが形成されていて、レンズ464の前面にレンズカバー465を装着したときに各嵌合孔465aを介して円柱状部464aの前端面が前面側に臨むようになっている。
レンズ464の左右端部には、凸部466が外向きに突設されているとともに、該凸部466の先端面には縦断面非円形状をなす嵌合部467が形成されている。そしてこの嵌合部467には、支持部441L,441Rそれぞれに形成された軸固定孔468に一端が軸周りに相対回転不能に嵌合された軸部材469の他端が嵌合されている。つまり、発光部460は、左右の支持部441L,441Rに対して、左右方向を向く軸心周りに相対回動不能に支持されている。また、左右方向に向けて支持された状態において、LED基板463は上端をやや後方に傾倒させた傾斜姿勢で保持されているため、各ドラムLED462の光は、レンズカバー465の円柱状部464aを介して斜め上前方に向けて出射されるようになっている。
回動部461は、透光性部材からなる2つのカバー部材461a,461bにより八角筒状に形成されてなる。左右側面の開口には、八角形状の蓋板470がネジN7(図11参照)を介してカバー部材461a,461bに取り付けられることで、2つのカバー部材461a,461bが蓋板470を介して一体化されている。蓋板470の中央位置には、軸挿通孔470aが形成されており、該軸挿通孔470aを挿通させることで軸部材469を外部に突出させることができるようになっている。
各カバー部材461a,461bの外面、つまり回動部461の外面には、左右方向に延びる長方形状をなす8つの表示面472が形成されているとともに、各表示面472には、所定の文字、図柄、絵柄、記号等が表示された大小の表示部材473a,473bが取り付けられている。
また、左側の蓋板470の外面には、ギヤ円盤448を取り付けるネジN6のネジ穴(図示略)が先端面に形成された3本の取付ボス471が突設されており、本体443を挟んで反対側に位置するギヤ円盤448とネジN6を介して一体化されている。これにより、回動部461の左端部は、本体443の軸受孔449に回動可能に嵌合されたギヤ円盤448と一体化されていることで、支持部441Lに対し回動可能に支持される。一方、回動部461の右端部は、特に詳細な図示はしないが、蓋板470が軸部材469周りにベアリング等を介して回動可能に支持されている。
このように回転ドラム404は、左右の軸部材469が支持部441L,441Rに支持され回動不能に設けられた発光部460と、発光部460の外周を覆うように、かつ、該発光部460の周囲を左右方向を向く軸心周りに回動可能に支持された回動部461と、から構成されている。
そして、ドラムモータ445により駆動ギヤ447及び円盤ギヤ448を介して回動部461に駆動力が伝達されることで、回動部461が回動する。また、ドラムLED462を発光させることで、複数の円柱状部464aの前方に位置する表示面472が該円柱状部464aから出射される光により発光されるようになっている。尚、本実施例では、複数の表示面472をそれぞれ択一的に複数の円柱状部464aの前方に配置できるようになっているが、2以上の表示面472を同時に円柱状部464aの前方に配置できるようにしてもよい。
また、各表示面472や、該表示面472に設けられた各表示部材473a,473bの表示態様を異ならせ、例えば可変表示結果が大当り表示結果になるか否かに応じて各表示面472を所定の割合で発光させるようにすることで、大当りとなる可能性を示唆する予告演出等を実行することが可能となる。
次に、このように構成された演出装置400において、可動部402を昇降させる際における駆動伝達機構403の作用について、図14及び図15にもとづいて説明する。
図14は、ベース部401に対して可動部402が下方位置に位置している状態が示されている。ここで、可動部402を上方位置に向けて移動させる場合、昇降モータ410により駆動ギヤ430を図中時計回りに駆動させる。これにより、駆動ギヤ430に噛合されている第1従動ギヤ431が同じように図中時計回りに回転するとともに、この第1従動ギヤ431とシャフト433を介して一体化されている第2従動ギヤ432a,432bも図中時計回りに回転する。
そして、この第2従動ギヤ432a,432bの回転により、該第2従動ギヤ432a,432bに噛合されるラックギヤ435a,435bが上方に向けて駆動される。つまり、第2従動ギヤ432a,432bによる回転駆動力が上方向への直線駆動力に変換される。これにより、該ラックギヤ435a,435bが取り付けられた可動部402が、ベース部401に対して上方に移動される。
可動部402が上方位置に到達した場合、昇降モータ410への電力供給を停止せずに励磁状態とすることにより駆動軸410aの回転を規制することで、可動部402を上方位置に停止させた状態で保持する。また、可動部402を上方位置から下降させる場合には、昇降モータ410を逆駆動させて各ギヤを逆方向に駆動することで、可動部402を下降させることができる。
次に、各ギヤの詳細について図15にもとづいて説明する。尚、図15は説明用の概略図であるため、各ギヤの配置位置等は実際のものとは異なっている。
本実施例では、駆動ギヤ430の半径r3と第1従動ギヤ431の半径r2と第2従動ギヤ432a,432bの半径r1とは、r1<r2≒r3とされている。つまり、駆動ギヤ430と第1従動ギヤ431の半径r2,3はほぼ同一であり、第2従動ギヤ432a,432bは第1従動ギヤ431よりも小径とされている。
また、第1従動ギヤ431と第2従動ギヤ432a,432bとは、回動軸であるシャフト433を介して一体化されていることで、同一方向に回動する。そして、第1従動ギヤ431は、昇降モータ410側の駆動ギヤ430と噛合されているとともに、第2従動ギヤ432a,432bは、可動部402側のラックギヤ435a,435bと噛合されている。
ここで、例えば可動部402が上昇位置に位置する場合において、可動部402の荷重によりラックギヤ435a,435bを介して第2従動ギヤ432a,432bの外周(例えば作用点P1)に作用するモーメント力はF1×r1となる。また、第2従動ギヤ432a,432bとともに回転する第1従動ギヤ431の外周(例えば作用点P2)に作用するモーメント力はF2×r2となる。
第2従動ギヤ432a,432bの半径r1は、第1従動ギヤ431の半径r2よりも短いため(r1<r2)、第1従動ギヤ431の外周に作用するモーメント力(F2×r2)は、第2従動ギヤ432a,432bの外周(例えば作用点P1)に作用するモーメント力(F1×r1)よりも小さくなる(F1>F2)。
すなわち、第1従動ギヤ431に駆動ギヤ430を噛合させて回転を止める方が、第2従動ギヤ432a,432bに駆動ギヤ430を噛合させて回転を止める場合よりも小さい力で回転を止めることができる。よって、可動部402を上方位置に停止させる際において、昇降モータ410により駆動軸410a周りに、第2従動ギヤ432a,432bに駆動ギヤ430を噛合させて回転を止める場合よりも小さなトルクを発生させるだけで、可動部402を上方位置に停止させることができる。
このように、可動部402側のラックギヤ435a,435bに噛合される第2従動ギヤ432a,432bの半径r1が、昇降モータ410側の駆動ギヤ430に噛合される第1従動ギヤ431の半径r2よりも小さくすることで、第2従動ギヤ432a,432bの方が第1従動ギヤ431よりも回転させるのに大きな力が必要となるとともに、可動部402を上方位置にて停止させる場合、可動部402の荷重により第2従動ギヤ432a,432bに作用するモーメントの少なくとも一部を該第2従動ギヤ432a,432bよりも径が大きい第1従動ギヤ431にて受けることができる、つまり第2従動ギヤ432a,432bよりも小さな力で第1従動ギヤ431の回転を止めることができるため、昇降モータ410の駆動力や磁力、係止力等を利用することなく、簡単な構成で可動部402を上方位置から落下させにくくすることができる。
また、本実施例では、可動部402が上方位置に位置したときにも、昇降モータ410を励磁させて駆動軸410aの回転を規制させることで、可動部402を上方位置に停止させていたが、可動部402が上方位置に位置したときに、昇降モータ410の励磁を解除しても、内蔵された磁石の磁力だけで駆動軸410aの回転を規制して可動部402を上方位置に保持できるように、各ギヤの径(ギヤ比)を調整することも可能である。このように、演出制御マイクロコンピュータは、可動部402が上方位置に位置したときに昇降モータ410への電力供給を停止して励磁を解除するようにすることで、昇降モータ410の省電力化を図ることが可能となる。
また、可動部402の荷重を、ベース板406の左右位置に離間して配置された複数(本実施例では2つ)のラックギヤ435a,435b及び該ラックギヤ435a,435bに噛合するとともに同一のシャフト433に固着された第2従動ギヤ432a,432bにて支持できるので、可動部402を上方位置にて安定して停止させることができる。
また、第1従動ギヤ431と複数の第2従動ギヤ432a,432bは、ベース部401に対して回動可能に設けられた同一のシャフト433に固着され一体化されていることで、同心をなす全てのギヤを一つのシャフト433により一体化できるため、構造を簡素化できる。
尚、本実施例では、第1従動ギヤ431と複数の第2従動ギヤ432a,432bとが同一のシャフト433に固着され一体化されていたが、第2従動ギヤ432a,432bは必ずしも複数なくてもよく、例えば第1従動ギヤ431と1つの第2従動ギヤ432とが一体化されていればよい。
また、本実施例では、第1従動ギヤ431と第2従動ギヤ432とは同一のシャフト433を介して一体化されていたが、双方のギヤが同心をなすように一体化されれば、第1従動ギヤ431及び第2従動ギヤ432双方が例えば単一の部材に一体に形成されていてもよい。
また、本実施例では、動力伝達ギヤであるラックギヤ435a,435bに昇降モータ410の回動力を伝達する複数のギヤは、駆動ギヤ430、第1従動ギヤ431、第2従動ギヤ432a,432bが対応していたが、例えば第1従動ギヤ431と駆動ギヤ430との間に複数のアイドルギヤが設けられていてもよい。また、第2従動ギヤ432a,432bとラックギヤ435a,435bとの間に複数のアイドルギヤが設けられていてもよい。
図16には、演出装置400の変形例が示されている。演出装置400のように、ベース部401に対し上下方向(または左右方向等)に移動可能に設けられた可動部402に搭載された電気部品(例えば、昇降モータ410、ドラムモータ445、ドラムLED、昇降センサ420等)を、ベース部401側に設けられる演出制御基板80に接続する場合、ベース部401と可動部402とに、可撓性を有するケーブルCを掛け渡す必要がある。この場合、可動部402が上方位置に位置する際に必要な長さのケーブルCを確保するため、図16(b)に示すように、可動部402が下方位置に位置する際に、可動部402とベース部401との間に、余剰ケーブルCが挟まれて、昇降動作に支障をきたしたり、断線する虞等がある。
そこで、可動部402に、上記各種電気部品等が接続される可動側中継基板482を設けるとともに、ベース部401に、演出制御基板80に接続されるベース側中継基板483を設け、可動側中継基板482に設けた基板側コネクタCNK1と、ベース側中継基板483に設けた基板側コネクタCNK2とを、配線側コネクタCNH1,2が両端に設けられたケーブルCにより接続する。
また、上端が可動部402に軸支された第1リンク480aと、第1リンク480aの下端に上端が軸支されるとともに、下端がベース部401に軸支された第2リンク480bと、により屈曲可能に構成されたリンク部材480を介して、ベース部401と可動部402とを連結する。
そして、第1リンク480a及び第2リンク480bと、第1リンク480aと第2リンク480bとの連結部近傍にケーブルCを係止可能な係止フック481cを設け、ケーブルCをリンク部材480に沿って配線する。
可動部402は、ベース側配線保持部となる基板側コネクタCNK2に近い下方位置と該下方位置よりも基板側コネクタCNK2から遠い上方位置との間を少なくとも移動することになる。よって、リンク部材480は、可動部402が少なくとも上方位置から下方位置に移動するときに、移動係止部である係止フック481cを基板側コネクタCNK1,2双方から離れる方向(右側方向)に移動させ(図16(a)参照)、下方位置から上方位置に移動するときに、係止フック481cを基板側コネクタCNK1,2双方に近づく方向(左側)に移動させる(図16(b)参照)。
よって、可動部402が上方位置から移動して少なくとも下方位置に到達したときには、基板側コネクタCNK1,2が近づくことによりその間に掛け渡されたケーブルCに余りが生じるが、係止フック481cが基板側コネクタCNK1,2双方から離れる方向に移動することで、余ったケーブルCの所定箇所が常に基板側コネクタCNK1,2から引き離されるため、可動部402とベース部401との間に余ったケーブルCが挟まれたり屈曲や捩れが生じたりすることによる断線が防止される。また、互いに近づく基板側コネクタCNK1,2とこれらから離れる係止フック481cとの3点にケーブルCが掛け渡されるため、ケーブルCをコンパクトに折り畳みながら引き離すことができる。
また、前記実施例では、可動部402は直線状のラックギヤ435a,435bにより上下方向に移動(変位)するようになっていたが、このようにラックギヤにより昇降可能に設けられたものに限定されるものではなく、図17に示すように、例えば可動部402は、円弧状のギヤ490により所定の回動軸を中心に揺動可能に設けられたであってもよい。
また、前記実施例では、第1従動ギヤ431と第2従動ギヤ432とは同一のシャフト433を介して双方のギヤが同心をなすように一体化されていたが、必ずしも同一のシャフトを介して一体化されていなくてもよい。
具体的には、例えば図18に示すように、例えば第1従動ギヤ431の回動軸433aに固着された直径L1を有する中間ギヤ495aと、第2従動ギヤ432の回動軸433bに固着された中間ギヤ495aと同じ直径L2(L2=L1)の中間ギヤ495bと、を噛合させることでも、上記駆動伝達機構403と同様の作用・効果を得ることができ、ベース部401や可動部402の構造等による制限で第1従動ギヤ431の回動軸線上に第2従動ギヤ432の回動軸を配置できない場合でも、上記駆動伝達機構403と同様の作用・効果を得ることができる。
またこの場合、中間ギヤ495a,495bのギヤ比が1:1であるため、第1従動ギヤ431と第2従動ギヤ432とは、同一のシャフト433を介して双方のギヤが同心をなすように一体化されている場合と同じように回転する。つまり、第1従動ギヤ431の回動中心から第1寸法離れた第1位置と、第2従動ギヤ432の回動中心から前記第1寸法と等しい第2寸法離れた第2位置と、が同速度で回転するように第1従動ギヤ431と第2従動ギヤ432とが連結されている。
このように第1従動ギヤ431に一体化された中間ギヤ495aと第2従動ギヤ432に一体化された中間ギヤ495bとがギヤ比が1:1となるように噛合されている場合でも、第1従動ギヤ431と第2従動ギヤ432とが同心をなすように一体化されていると言える。尚、この場合、中間ギヤ495a,495bの直径は同一であれば、第1従動ギヤ431や第2従動ギヤ432の直径に関わりなく任意に変更可能である。さらに、これら中間ギヤ495a,495bの間にアイドルギヤが設けられていてもよい。
また、図18において、第1従動ギヤ431に対して該第1従動ギヤ431よりも直径が小さい中間ギヤ495bを第2ギヤとし、該中間ギヤ495bをラックギヤ435に直接噛合させても同様の作用・効果を得ることができる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
また、前記実施例では、遊技媒体の一例として、球状のパチンコ球(遊技球)が適用されていたが、球状の遊技媒体に限定されるものではなく、例えばメダル等の非球状の遊技媒体であってもよい。また、遊技機はパチンコ遊技機に限定されるものではなく、遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の図柄を変動表示可能な可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンであってもよい。