まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。図2は、パチンコ遊技機を示す背面図である。図3は、主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。図4は、パチンコ遊技機を開放した状態を示す斜視図である。
パチンコ遊技機1は、図1、図2及び図4に示すように、縦長の方形枠状に形成された外枠100と、外枠100に開閉可能に取り付けられた前面枠101と、で主に構成されている。前面枠101の前面には、ガラス扉枠102及び下扉枠103がそれぞれ左側辺を中心に開閉可能に設けられている。
下扉枠103の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4(下皿)や、打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。また、ガラス扉枠102の背面には、遊技盤6が前面枠101に対して着脱可能に取り付けられている。
遊技盤6は、図4に示すように、遊技領域7が前面に形成された合成樹脂製の盤面板200と、所定の厚み幅寸法を有し、盤面板200を取り付ける取付面が前面に設けられたスペーサ部材250と、から構成され、該遊技盤6の背面側には、後述する導光板ユニット700や、演出表示装置9及び演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニット49等の遊技に関連する遊技用部品が組み付けられる遊技用部品ユニット300が一体的に組み付けられている(図5参照)。
遊技盤6と遊技用部品ユニット300とが一体的に組み付けられた遊技盤ユニット400(図5参照)を前面枠101の前面に取り付けるには、遊技盤6の左端部を図中太矢印に示すように、前面枠101に形成された縦長長方形状の開口部115の左上下位置に設けられた係止凹部116a,116bに、遊技盤6の左端部を差し込んだ状態で、右端部を盤押え金具117a,117bで係止することにより取り付けられるようになっている。係止凹部116a,116bには盤押えバネ118a,118bが設けられており、係止凹部116a,116bに係止された遊技盤6の前後のガタツキが防止されている。盤面板200が取り付けられた状態において、該遊技盤6の背面に設けられた遊技用部品ユニット300が開口部115を介して前面枠101の背面側に臨むようになっている。
図1に戻って、遊技領域7の中央付近には、それぞれが演出用の飾り図柄(演出図柄)を可変表示する複数の可変表示部を含む演出表示装置(飾り図柄表示装置)9が設けられている。演出表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの可変表示部(図柄表示エリア)がある。演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bによる特別図柄の可変表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の可変表示を行う。演出図柄の可変表示を行う演出表示装置9は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。
遊技盤6における右側下部位置には、第1識別情報としての第1特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器(第1可変表示手段)8aが設けられている。この実施例では、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。また、第1特別図柄表示器8aの上方位置には、第2識別情報としての第2特別図柄を可変表示する第2特別図柄表示器(第2可変表示手段)8bが設けられている。第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。
この実施例では、第1特別図柄の種類と第2特別図柄の種類とは同じ(例えば、ともに0〜9の数字)であるが、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bは、それぞれ、例えば2つの7セグメントLED等を用いて00〜99の数字(または、2桁の記号)を可変表示するように構成されていてもよい。
以下、第1特別図柄と第2特別図柄とを特別図柄と総称することがあり、第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bとを特別図柄表示器と総称することがある。
第1特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第1始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口13aに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。また、第2特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第2始動条件が成立(例えば、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第2特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。
演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aでの第1特別図柄の可変表示時間中、および第2特別図柄表示器8bでの第2特別図柄の可変表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄(飾り図柄ともいう)の可変表示を行う。第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における演出図柄の可変表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における演出図柄の可変表示とは同期している。同期とは、可変表示の開始時点および終了時点がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であって、可変表示の期間がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であることをいう。また、第1特別図柄表示器8aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器8bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置9において大当りを想起させるような演出図柄の組み合せが停止表示される。
演出表示装置9の下方には、第1始動入賞口13aを有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13aに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ14a(例えば、近接スイッチ)及び第1入賞確認スイッチ14b(例えば、フォトセンサ)によって検出される。
また、第1始動入賞口(第1始動口)13aを有する入賞装置の下側には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口13bを有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)13bに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ15a及び入賞確認スイッチ15bによって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。可変入賞球装置15が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。可変入賞球装置15が開状態になっている状態では、第1始動入賞口13aよりも、第2始動入賞口13bに遊技球が入賞しやすい。また、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、遊技球は第2始動入賞口13bに入賞しない。なお、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。
また、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14bの検出結果及び第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15bの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。
以下、第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bとを総称して始動入賞口または始動口ということがある。
可変入賞球装置15が開放状態に制御されているときには可変入賞球装置15に向かう遊技球は第2始動入賞口13bに極めて入賞しやすい。そして、第1始動入賞口13aは演出表示装置9の直下に設けられているが、演出表示装置9の下端と第1始動入賞口13aとの間の間隔をさらに狭めたり、第1始動入賞口13aの周辺で釘を密に配置したり、第1始動入賞口13aの周辺での釘配列を、遊技球を第1始動入賞口13aに導きづらくして、第2始動入賞口13bの入賞率の方を第1始動入賞口13aの入賞率よりもより高くするようにしてもよい。
第2特別図柄表示器8bの上部には、第1始動入賞口13aに入った有効入賞球数すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する第1特別図柄保留記憶表示部と、該第1特別図柄保留記憶表示部とは別個に設けられ、第2始動入賞口13bに入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する第2特別図柄保留記憶表示部と、が設けられた例えば7セグメントLEDからなる特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。第1特別図柄保留記憶表示部は、第1保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器8aでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。また、第2特別図柄保留記憶表示部は、第2保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器8bでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。なお、この例では、第1始動入賞口13aへの入賞による始動記憶数及び第2始動入賞口13bへの入賞による始動記憶数に上限数(4個まで)が設けられているが、上限数を4個以上にしてもよい。
また、演出表示装置9の表示画面には、第1保留記憶数を表示する第1保留記憶表示部(図示略)と、第2保留記憶数を表示する第2保留記憶表示部(図示略)とが設けられている。なお、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計である合計数(合算保留記憶数)を表示する領域(合算保留記憶表示部)が設けられるようにしてもよい。そのように、合計数を表示する合算保留記憶表示部が設けられているようにすれば、可変表示の開始条件が成立していない実行条件の成立数の合計を把握しやすくすることができる。
なお、この実施例では、図1に示すように、第2始動入賞口13bに対してのみ開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられているが、第1始動入賞口13aおよび第2始動入賞口13bのいずれについても開閉動作を行う可変入賞球装置が設けられている構成であってもよい。
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の下方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は大入賞口扉を備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、および第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって大入賞口扉が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。大入賞口に入賞した遊技球はカウントスイッチ23で検出される。
カウントスイッチ23によって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。こうして、特別可変入賞球装置20において開放状態となった大入賞口を遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口13aや第2始動入賞口13bといった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出される。したがって、特別可変入賞球装置20において大入賞口が開放状態となれば、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置20において大入賞口が閉鎖状態となれば、大入賞口に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることができないため、遊技者にとって不利な第2状態となる。
第1特別図柄表示器8aの右側には、普通図柄表示器10が設けられている。普通図柄表示器10は、例えば2つのランプからなる。遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。この実施例では、上下のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、例えば、可変表示の終了時に下側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器10の下側のランプが点灯して当りである場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる。すなわち、可変入賞球装置15の状態は、下側のランプが点灯して当りである場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口13bに遊技球が入賞可能な状態)に変化する。特別図柄保留記憶表示器18の上部には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(例えば、7セグメントLEDのうち4つのセグメント)を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器41は点灯する表示部を1増やす。そして、普通図柄表示器10の可変表示が開始される毎に、点灯する表示部を1減らす。
なお、7セグメントLEDからなる普通図柄保留記憶表示器41には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(セグメント)とともに、例えば大当り時における特別可変入賞球装置20の開放回数(大当りラウンド数)を示す2つの表示部(セグメント)、及び遊技状態を示す2つの表示部(セグメント)が設けられているが、これら表示部を普通図柄保留記憶表示部とは別個の表示器にて構成してもよい。また、普通図柄表示器10は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」および「×」)を可変表示可能なセグメントLED等にて構成してもよい。
特別可変入賞球装置20の周辺には普通入賞装置の入賞口29a〜29dが設けられ、入賞口29a,29cに入賞した遊技球は入賞口スイッチ30aによって検出され、入賞口29b,29dに入賞した遊技球は入賞口スイッチ30bによって検出される。各入賞口29a〜29dは、遊技球を受け入れて入賞を許容する領域として遊技盤6に設けられる入賞領域を構成している。なお、第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13bや大入賞口も、遊技球を受け入れて入賞を許容する入賞領域を構成する。
第1始動入賞口13a内には、始動入賞口内に入賞した遊技球を検出可能な2つのスイッチ(第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14b)が設けられている。この実施例では、第1始動入賞口13a内で、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14bとが上下に配置されている(本例では、第1始動口スイッチ14aが上側に配置され、第1入賞確認スイッチ14bが下側に配置されている)。従って、この実施例では、第1始動入賞口13a内に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、まず第1始動口スイッチ14aで検出され、次いで第1入賞確認スイッチ14bで検出される。
また、第2始動入賞口13b内には、始動入賞口内に入賞した遊技球を検出可能な2つのスイッチ(第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15b)が設けられている。この実施例では、第2始動入賞口13b内で、第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15bとが上下に配置されている(本例では、第2始動口スイッチ15aが上側に配置され、第2入賞確認スイッチ15bが下側に配置されている)。従って、この実施例では、第2始動入賞口13b内に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、まず第2始動口スイッチ15aで検出され、次いで第2入賞確認スイッチ15bで検出される。
また、大入賞口内には、大入賞口内に入賞した遊技球を検出可能な2つのスイッチ(カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23a)が設けられている。この実施例では、大入賞口内で、カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23aとが配置されている(本例では、カウントスイッチ23が上側に配置され、第3入賞確認スイッチ23aが下側に配置されている)。従って、この実施例では、大入賞口内に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、まずカウントスイッチ23で検出され、次いで第3入賞確認スイッチ23aで検出される。
また、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15b、カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23aとして、それぞれ異なる検出方式のスイッチが用いられる。この実施例では、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ15aおよびカウントスイッチ23として近接スイッチを用い、第1入賞確認スイッチ14b、第2入賞確認スイッチ15b、第3入賞確認スイッチ23aとしてフォトセンサを用いている。
また、第1始動口スイッチ14aによって遊技球が検出されたことにもとづいて、第1特別図柄の変動表示が開始され、賞球払出が実行される。また、第2始動口スイッチ15aによって遊技球が検出されたことにもとづいて、第2特別図柄の変動表示が開始され、賞球払出が実行される。また、カウントスイッチ23によって遊技球が検出されたことにもとづいて、賞球払出が実行される。また、第1始動口スイッチ14aによる検出結果に加えて第1入賞確認スイッチ14bの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。また、第2始動口スイッチ15aによる検出結果に加えて第2入賞確認スイッチ15bの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。また、カウントスイッチ23による検出結果に加えて第3入賞確認スイッチ23aの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。従って、第1入賞確認スイッチ14b、第2入賞確認スイッチ15b、第3入賞確認スイッチ23aは、異常入賞の判定のみに用いられる。
このように、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ15a、カウントスイッチ23は近接スイッチを用いて構成し、第1〜第3入賞確認スイッチ14b,15b,23aはフォトセンサを用いているが、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15b、カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23aの検出方式はこの実施例で示したものにかぎらず、例えば、第1,2始動口スイッチ14a,15a及びカウントスイッチ23と、第1〜3入賞確認スイッチ14b,15b,23aとで異なる検出方式であれば、逆に第1,2始動口スイッチ14a,15a及びカウントスイッチ23としてフォトセンサを用い、第1〜3入賞確認スイッチ14b,15b,23aとして近接スイッチを用いてもよい。この場合、フォトセンサである第1,2始動口スイッチ14a,15a及びカウントスイッチ23の検出結果にもとづいて特別図柄の変動表示や賞球払出処理が実行され、近接スイッチである第1〜3入賞確認スイッチ14b,15b,23aの検出結果は、第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13b、大入賞口の異常入賞の判定のみに用いられることになる。また、例えば、電磁式のスイッチである近接スイッチや光学式のフォトセンサに代えて、第1,2始動口スイッチ14a,15a及びカウントスイッチ23または第1〜3入賞確認スイッチ14b,15b,23aとして、機械式のスイッチ(マイクロスイッチなど)を用いてもよい。
また、この実施例では、特別図柄の変動表示や賞球払出処理の実行の契機となる第1,2始動口スイッチ14a,15aカウントスイッチ23は、異常入賞の判定に用いられる第1〜3入賞確認スイッチ14b,15b,23aよりも上流側に設けられていたが、異常入賞の判定に用いられるスイッチの下流側に設けてもよい。
そして遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ14a(近接スイッチ)から入力した検出信号と第1入賞確認スイッチ14b(フォトセンサ)から入力した検出信号とにもとづいて、第1始動口スイッチ14aにて検出された遊技球数と第1入賞確認スイッチ14bにて検出された遊技球数との差が所定の閾値を超えた(本例では、15以上となった)と判定すると、所定のエラーとして、第1始動入賞口13aへの異常入賞が発生したと判定する。また、第2始動口スイッチ15a(近接スイッチ)から入力した検出信号と第2入賞確認スイッチ15b(フォトセンサ)から入力した検出信号とにもとづいて、第2始動口スイッチ15aにて検出された遊技球数と第2入賞確認スイッチ15bにて検出された遊技球数との差が所定の閾値を超えた(本例では、15以上となった)と判定すると、所定のエラーとして、第2始動入賞口13bへの異常入賞が発生したと判定する。また、カウントスイッチ23(近接スイッチ)から入力した検出信号と第3入賞確認スイッチ23a(フォトセンサ)から入力した検出信号とにもとづいて、カウントスイッチ23にて検出された遊技球数と第3入賞確認スイッチ23aにて検出された遊技球数との差が所定の閾値を超えた(本例では、5以上となった)と判定すると、所定のエラーとして、大入賞口への異常入賞が発生したと判定する。
このように、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15b、カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23aと、を互いに異なる検出方式のセンサ(本例では、近接スイッチとフォトセンサ)により構成していることで、例えば電磁波などを用いて第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13b、大入賞口への入賞数が実際の入賞数よりも多くなるように認識させるような不正行為が行われた場合に、近接スイッチにて検出された遊技球数とフォトスイッチにて検出された遊技球数とに差が生じ、遊技制御用マイクロコンピュータ156はこの差球数が所定の閾値を超えた場合に異常入賞が発生したと判定するため、確実な不正行為対策を講ずることができる。
遊技領域7の左側には、遊技中に点滅表示される装飾LED25aを有する装飾部材25が設けられ、下部には、入賞しなかった遊技球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上下部には、効果音を発する4つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cが設けられている。天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cおよび装飾LED25aは、遊技機に設けられている装飾発光体の一例である。
また、演出表示装置9の周囲には、表示画面の周囲を装飾するセンター枠飾り11が設けられており、このセンター枠飾り11の上部には、後述する導光板701の端面に光を出射するセンター枠飾りLED62a〜62d(図3参照)が設けられている。
図1および図2では、図示を省略しているが、左枠ランプ28bの近傍に、賞球払出中に点灯する賞球ランプが設けられ、天枠ランプ28aの近傍に、補給球が切れたときに点灯する球切れランプが設けられている。なお、賞球ランプおよび球切れランプは、賞球の払出中である場合や球切れが検出された場合に、演出制御基板に搭載された演出制御用マイクロコンピュータによって点灯制御される。さらに、特に図示はしないが、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするプリペイドカードユニット(以下、「カードユニット」という。)50が、パチンコ遊技機1に隣接して設置されている。
遊技者の操作により、後述する打球発射装置から発射された遊技球は、発射球案内通路(図示略)を通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13aに入り第1始動口スイッチ14aで検出されると、第1特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第1特別図柄および演出図柄の可変表示は、第1始動入賞口13aへの入賞に対応する。第1特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第1保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第1保留記憶数を1増やす。
遊技球が第2始動入賞口13bに入り第2始動口スイッチ15aで検出されると、第2特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器8bにおいて第2特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第2特別図柄および演出図柄の可変表示は、第2始動入賞口13bへの入賞に対応する。第2特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第2保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第2保留記憶数を1増やす。
第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の可変表示及び第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄(特定表示結果)であると「大当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄とは異なる所定の小当り図柄(所定表示結果)であると「小当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄及び小当り図柄とは異なる特別図柄が停止表示されれば「ハズレ」となる。
特図ゲームでの可変表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。また、特図ゲームでの可変表示結果が「小当り」になった後には、大当り遊技状態とは異なる小当り遊技状態に制御される。
この実施例では、特図ゲームにおける確定特別図柄が「非確変」または「確変A」に対応する大当り図柄が停止表示された場合には、多ラウンド特定遊技状態としての第1大当り状態(15ラウンド大当り状態)に移行する。大当り遊技状態(通常15ラウンド大当り状態)では、特別可変入賞球装置20の大入賞口扉が、第1期間となる所定期間(例えば29.5秒間)あるいは所定個数(例えば8個)の入賞球が発生するまでの期間にて大入賞口を開放状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させるラウンドが実行される。こうしてラウンドの実行中に大入賞口を開放状態とした大入賞口扉は、遊技盤6の表面を落下する遊技球を受け止め、その後に大入賞口を閉鎖状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって不利な第2状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。15ラウンド大当り状態では、大入賞口の開放サイクルであるラウンドの実行回数が、第1ラウンド数(例えば「15」)となる。ラウンドの実行回数が「15」となる15ラウンド大当り状態における遊技は、15回開放遊技とも称される。このような15ラウンド大当り状態では、大入賞口に遊技球が入賞するたびに15個の出玉(賞球)が得られる。なお、15ラウンド大当り状態は、第1特定遊技状態ともいう。
特図ゲームにおける確定特別図柄として「確変B」に対応する大当り図柄が停止表示された場合には、多ラウンド特定遊技状態としての第2大当り状態(高速15ラウンド大当り状態)に移行する。第2大当り状態では、特別可変入賞球装置20の大入賞口扉が、第1大当り状態における第1期間よりも短い第2期間(例えば0.5秒間)あるいは所定個数(例えば3個)の入賞球が発生するまでの期間にて大入賞口を開放状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させるラウンドが実行される。こうしてラウンドの実行中に大入賞口を開放状態とした大入賞口扉は、遊技盤6の表面を落下する遊技球を受け止め、その後に大入賞口を閉鎖状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって不利な第2状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。第2大当り状態では、大入賞口の開放サイクルであるラウンドの実行回数が、第2ラウンド数(例えば「15」)となる。
このような第2大当り状態では、大入賞口に遊技球が入賞すれば15個の出玉(賞球)が得られるが、大入賞口の開放期間が第2期間(0.5秒間)であって、非常に短い。そのため、第2大当り状態は実質的には出玉(賞球)が得られない大当り遊技状態である。なお、第2大当り状態は第2特定遊技状態ともいう。また、第2大当り状態は、第1大当り状態に比べてラウンドの実行回数が少ないものであってもよい。すなわち、第2大当り状態は、各ラウンドで大入賞口を開放状態に変化させる期間が第1大当り状態における第1期間よりも短い第2期間となることと、ラウンドの実行回数が第1大当り状態における第1ラウンド数よりも少ない第2ラウンド数となることのうち、少なくともいずれか一方となるものであってもよい。
また、「非確変」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき第1大当り状態が終了した後には、特別遊技状態の1つとして、通常状態に比べて特図ゲームにおける特別図柄の可変表示時間(特図変動時間)が短縮される時間短縮制御(時短制御)が行われる時短状態に制御される。ここで、通常状態とは、大当り遊技状態等の特定遊技状態や確変状態及び時短状態とは異なる遊技状態としての通常遊技状態であり、パチンコ遊技機1の初期設定状態(例えばシステムリセットが行われた場合のように、電源投入後に初期化処理を実行した状態)と同一の制御が行われる。時短状態は、所定回数(例えば100回)の特図ゲームが実行されることと、可変表示結果が「大当り」となることのうち、いずれかの条件が先に成立したときに、終了すればよい。このように「非確変」に対応する大当り図柄特別図柄のように、特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づく第1大当り状態が終了した後に時短状態に制御される大当り図柄は、非確変大当り図柄(「通常大当り図柄」ともいう)と称される。また、大当り図柄のうち非確変大当り図柄が停止表示されて可変表示結果が「大当り」となることは、「非確変大当り」(「通常大当り」ともいう)と称される。
「確変A」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき第1大当り状態が終了した後や、確変状態において「確変B」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき第2大当り状態が終了した後には、時短状態とは異なる特別遊技状態の1つとして、例えば通常状態に比べて特図変動時間が短縮される時短制御とともに、継続して確率変動制御(確変制御)が行われる確変状態(高確率状態)に制御される。この確変状態では、各特図ゲームや飾り図柄の可変表示において、可変表示結果が「大当り」となって更に大当り遊技状態に制御される確率が、通常状態や時短状態よりも高くなるように向上する。このような確変状態は、特図ゲームの実行回数にかかわりなく、次に可変表示結果が「大当り」となるまで継続する。
こうした「確変A」に対応する大当り図柄のように、特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づく第1大当り状態が終了した後に確変状態に制御される大当り図柄は、確変大当り図柄と称される。また、「確変B」に対応する大当り図柄のように、特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づく大当り遊技状態が終了した後に確変状態に制御される大当り図柄は、突確大当り図柄と称される。また、大当り図柄のうち確変大当り図柄が停止表示されて可変表示結果が「大当り」となることは、「確変大当り」と称される。突確大当り図柄が停止表示されて可変表示結果が「大当り」となることは、「突確大当り」(「突確大当り」ともいう)と称される。なお、これら大当り図柄は任意であり、例えば、遊技者に大当り図柄であることや、大当り種別を認識されないようにするために、大当り図柄を数字とせずに予め定められた記号等にしてもよい。
「小当り」に対応する特別図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示された後には、小当り遊技状態に制御される。この小当り遊技状態では、第2大当り状態と同様に特別可変入賞球装置20において大入賞口を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させる可変入賞動作が行われる。すなわち、小当り遊技状態では、例えば特別可変入賞球装置20を第2期間にわたり第1状態(開放状態)とする動作が、第2回数{第2ラウンド数に等しい実行回数(本例では、15回)}に達するまで繰り返し実行される。なお、小当り遊技状態では、第2大当り状態と同様に、特別可変入賞球装置20を第1状態とする期間が第2期間となることと、第1状態とする動作の実行回数が第2回数となることのうち、少なくともいずれか一方が行われるように制御されればよい。小当り遊技状態が終了した後には、遊技状態の変更が行われず、可変表示結果が「小当り」となる以前の遊技状態に継続して制御されることになる。ただし、可変表示結果が「小当り」となる特図ゲームが実行されたときに、特別遊技状態における特図ゲームの実行回数が所定回数に達していれば、小当り遊技状態の終了後には、特別遊技状態が終了して通常状態となることがある。可変入賞動作により特別可変入賞球装置20を第1状態とする回数が「15」である小当り遊技状態における遊技は、第2大当り状態における遊技と同様に、15回開放遊技とも称される。なお、第2大当り状態における各ラウンドで特別可変入賞球装置20とは別個に設けられた入賞球装置を第1状態に変化させる場合には、小当り遊技状態でも、第2大当り状態と同様の態様で、その入賞球装置を第1状態に変化させるようにすればよい。
確変状態や時短状態では、普通図柄表示器10による普図ゲームにおける普通図柄の変動時間(普図変動時間)を通常状態のときよりも短くする制御や、各回の普図ゲームで普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となる確率を通常状態のときよりも向上させる制御、可変表示結果が「普図当り」となったことに基づく可変入賞球装置15における可動翼片の傾動制御を行う傾動制御時間を通常状態のときよりも長くする制御、その傾動回数を通常状態のときよりも増加させる制御といった、遊技球が第2始動入賞口13bを通過(進入)しやすくして第2始動条件が成立する可能性を高めることで遊技者にとって有利となる制御が行われる。なお、確変状態や時短状態では、これらの制御のいずれか1つが行われるようにしてもよいし、複数の制御が組み合せられて行われるようにしてもよい。このように、確変状態や時短状態において第2始動入賞口13bに遊技球が進入しやすくして遊技者にとって有利となる制御は、高開放制御ともいう。高開放制御が行われることにより、第2始動入賞口13bは、高開放制御が行われていないときよりも拡大開放状態となる頻度が高められる。これにより、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームを実行するための第2始動条件が成立しやすくなり、特図ゲームが頻繁に実行可能となることで、次に可変表示結果が「大当り」となるまでの時間が短縮される。したがって、確変状態や時短状態では、通常状態に比べて大当り遊技状態となりやすくなる。高開放制御が実行可能となる期間は、高開放制御期間ともいい、この期間は、パチンコ遊技機1における遊技状態が確変状態と時短状態のいずれかに制御されている期間と同一であればよい。また、高開放制御期間であるときには、遊技状態が高ベース中であるともいう。これに対して、高開放制御期間でないときには、遊技状態が低ベース中であるともいう。この実施例における時短状態は、低確高ベース状態とも称される遊技状態であり、通常状態は、低確低ベース状態とも称される遊技状態であり、高開放制御期間ではない確変状態である潜伏確変状態は高確低ベース状態とも称される遊技状態である。
また、この実施例では、通常状態において「確変B」に対応する「突確大当り」となったことに基づく第2大当り状態の終了後には、確変制御のみが行われて時短制御や高開放制御が行われない第2確変制御(潜伏確変状態)へ移行する。また、確変状態において「突確大当り」となったことに基づく第2大当り状態の終了後には、確変制御とともに時短制御や高開放制御が行われる第1確変状態へ移行する。
このように確変状態のうちには、確変制御とともに時短制御や高開放制御が行われるものの他に、確変制御のみが行われて時短制御や高開放制御が行われないもの(潜伏確変)が含まれていてもよい。また、例えば、特図ゲームにける可変表示結果が「確変大当り」となったことに基づく第1大当り状態の終了後には、確変制御とともに時短制御や高開放制御が行われる第1確変状態(高確高ベース状態ともいう)に制御され、その後、特図表示結果が「大当り」となることなく、特図ゲームの実行回数が所定回数(例えば70回)に達したときには、確変制御は継続して行われるものの、時短制御や高開放制御が終了して行われなくなる第2確変状態(高確低ベース状態ともいう)に制御されるようにしてもよい。
また、この実施例では、確変状態であるときに特図ゲームにおける可変表示結果が「突確大当り」となったことに基づく第2大当り状態の終了後には第2確変状態(潜伏確変状態)へと移行するようになっていたが、確変状態だけでなく、時短状態であるときに特図ゲームにおける可変表示結果が「突確大当り」となったことに基づく第2大当り状態の終了後にも第1確変状態へと移行するようにしてもよい。あるいは、「確変大当り」に基づく第1大当り状態の終了後には、再び特図表示結果が「大当り」となるまで第1確変状態に制御される一方、「突確大当り」に基づく第2大当り状態の終了後には、第1確変状態に移行して、特図表示結果が「大当り」となることなく特図ゲームの実行回数が所定回数に達したときに第2確変状態へと移行するようにしてもよい。時短制御と高開放制御は、それらの開始と終了が同時に(連動して)行われる一方で、確変制御の開始と終了は、時短制御や高開放制御の開始や終了と必ずしも連動するものでなくてもよい。
演出表示装置9に設けられた「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアでは、第1特別図柄表示器8aにおける第1特図を用いた特図ゲームと、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームとのうち、いずれかの特図ゲームが開始されることに対応して、飾り図柄の可変表示(変動表示)が開始される。そして、飾り図柄の可変表示が開始されてから「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリアにおける確定飾り図柄の停止表示により可変表示が終了するまでの期間では、飾り図柄の可変表示状態が所定のリーチ状態となることがある。ここで、リーチ状態とは、演出表示装置9の表示領域にて仮停止表示された飾り図柄が大当り組み合せの一部を構成しているときに未だ仮停止表示もされていない飾り図柄(「リーチ変動図柄」ともいう)については変動が継続している表示状態、あるいは、全部又は一部の飾り図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。具体的には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける一部(例えば「左」及び「右」の飾り図柄表示エリアなど)では予め定められた大当り組み合せを構成する飾り図柄(例えば「7」の英数字を示す飾り図柄)が仮停止表示されているときに未だ仮停止表示もしていない残りの飾り図柄表示エリア(例えば「中」の飾り図柄表示エリアなど)では飾り図柄が変動している表示状態、あるいは、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける全部又は一部で飾り図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。
次に、パチンコ遊技機1の背面の構造について図2を参照して説明する。図2は、遊技機を背面から見た背面図である。図2に示すように、パチンコ遊技機1の背面側では、演出表示装置9を制御する演出制御用マイクロコンピュータが搭載された演出制御基板80を含む変動表示制御ユニット49、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31、音声制御基板70、ランプドライバ基板35、および球払出制御を行なう払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37等の各種基板が設置されている。なお、遊技制御基板31は基板収納ケース150に収納されている。
さらに、パチンコ遊技機1背面側には、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5V等の各種電源電圧を作成する電源回路が搭載された電源基板90やタッチセンサ基板(図示略)が設けられている。電源基板90には、パチンコ遊技機1における遊技制御基板31および各電気部品制御基板(演出制御基板80および払出制御基板37)やパチンコ遊技機1に設けられている各電気部品(電力が供給されることによって動作する部品)への電力供給を実行あるいは遮断するための電力供給許可手段としての電源スイッチ、遊技制御基板31の遊技制御用マイクロコンピュータ156のRAM55をクリアするためのクリアスイッチが設けられている。さらに、電源スイッチの内側(基板内部側)には、交換可能なヒューズが設けられている。
なお、この実施例では、主基板31は遊技盤側に設けられ、払出制御基板37は遊技枠側に設けられている。このような構成であっても、後述するように、主基板31と払出制御基板37との間の通信をシリアル通信で行うことによって、遊技盤を交換する際の配線の取り回しを容易にしている。
なお、各制御基板には、制御用マイクロコンピュータを含む制御手段が搭載されている。制御手段は、遊技制御手段等からのコマンドとしての指令信号(制御信号)に従って遊技機に設けられている電気部品(遊技用装置:球払出装置97、演出表示装置9、ランプやLEDなどの発光体、スピーカ27等)を制御する。以下、主基板31を制御基板に含めて説明を行うことがある。その場合には、制御基板に搭載される制御手段は、遊技制御手段と、遊技制御手段等からの指令信号に従って遊技機に設けられている電気部品を制御する手段とのそれぞれを指す。また、主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板をサブ基板ということがある。なお、球払出装置97は、遊技球を誘導する通路とステッピングモータ等により駆動されるスプロケット等によって誘導された遊技球を上皿や下皿に払い出すための装置であって、払い出された賞球や貸し球をカウントする払出個数カウントスイッチ等もユニットの一部として構成されている。なお、この実施例では、払出検出手段は、払出個数カウントスイッチによって実現され、球払出装置97から実際に賞球や貸し球が払い出されたことを検出する機能を備える。この場合、払出個数カウントスイッチは、賞球や貸し球の払い出しを1球検出するごとに検出信号を出力する。
パチンコ遊技機1の背面には、各種情報をパチンコ遊技機1の外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板91が設置されている。ターミナル基板91には、例えば、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号(始動口信号、図柄確定回数1信号、大当り1信号、大当り2信号、大当り3信号、時短信号、セキュリティ信号、賞球信号1、遊技機エラー状態信号)を外部出力するための情報出力端子が設けられている。なお、遊技機エラー状態信号に関しては必ずしもパチンコ遊技機1の外部に出力しなくてもよく、該情報出力端子から、この遊技機エラー状態信号の替わりに遊技枠が開放状態であることを示すドア開放信号等を出力するようにしてもよい。
貯留タンク38に貯留された遊技球は誘導レールを通り、カーブ樋を経て払出ケース97aで覆われた球払出装置97に至る。球払出装置97の上方には、遊技媒体切れ検出手段としての球切れスイッチ43が設けられている。球切れスイッチ43が球切れを検出すると、球払出装置97の払出動作が停止する。球切れスイッチ43が遊技球の不足を検知すると、遊技機設置島に設けられている補給機構からパチンコ遊技機1に対して遊技球の補給が行なわれる。
入賞にもとづく景品としての遊技球や球貸し要求にもとづく遊技球が多数払出されて打球供給皿3が満杯になると、遊技球は、余剰球誘導通路を経て余剰球受皿4に導かれる。さらに遊技球が払出されると、感知レバー(図示略)が貯留状態検出手段としての満タンスイッチ(図示略)を押圧して、貯留状態検出手段としての満タンスイッチがオンする。その状態では、球払出装置内の払出モータの回転が停止して球払出装置の動作が停止するとともに打球発射装置の駆動も停止する。
図3は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図3には、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)156が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施例では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ156に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ156には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路60が内蔵されている。
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ156においてCPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ156(またはCPU56)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、乱数回路60が内蔵されている。乱数回路60は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
乱数回路60は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
乱数回路60は、数値データの更新範囲の選択設定機能(初期値の選択設定機能、および、上限値の選択設定機能)、数値データの更新規則の選択設定機能、および数値データの更新規則の選択切換え機能等の各種の機能を有する。このような機能によって、生成する乱数のランダム性を向上させることができる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、乱数回路60が更新する数値データの初期値を設定する機能を有している。例えば、ROM54等の所定の記憶領域に記憶された遊技制御用マイクロコンピュータ156のIDナンバ(遊技制御用マイクロコンピュータ156の各製品ごとに異なる数値で付与されたIDナンバ)を用いて所定の演算を行って得られた数値データを、乱数回路60が更新する数値データの初期値として設定する。そのような処理を行うことによって、乱数回路60が発生する乱数のランダム性をより向上させることができる。
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ15aへの始動入賞が生じたときに乱数回路60から数値データをランダムRとして読み出し、特別図柄および演出図柄の変動開始時にランダムRにもとづいて特定の表示結果としての大当り表示結果にするか否か、すなわち、大当りとするか否かを決定する。そして、大当りとすると決定したときに、遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行させる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、払出制御基板37(の払出制御用マイクロコンピュータ)や演出制御基板80(の演出制御用マイクロコンピュータ)とシリアル通信で信号を入出力(送受信)するためのシリアル通信回路61が内蔵されている。なお、払出制御用マイクロコンピュータや演出制御用マイクロコンピュータにも、遊技制御用マイクロコンピュータ156とシリアル通信で信号を入出力するためのシリアル通信回路が内蔵されている(図示略)。
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグや保留記憶数カウンタの値など)と未払出賞球数を示すデータ(具体的には、後述する賞球コマンド出力カウンタの値)は、バックアップRAMに保存される。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。なお、この実施例では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
遊技制御用マイクロコンピュータ156のリセット端子には、電源基板からのリセット信号が入力される。電源基板には、遊技制御用マイクロコンピュータ156等に供給されるリセット信号を生成するリセット回路が搭載されている。なお、リセット信号がハイレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作可能状態になり、リセット信号がローレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作停止状態になる。従って、リセット信号がハイレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を許容する許容信号が出力されていることになり、リセット信号がローレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を停止させる動作停止信号が出力されていることになる。なお、リセット回路をそれぞれの電気部品制御基板(電気部品を制御するためのマイクロコンピュータが搭載されている基板)に搭載してもよい。
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、電源基板からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号が入力される。すなわち、電源基板には、遊技機において使用される所定電圧(例えば、DC30VやDC5Vなど)の電圧値を監視して、電圧値があらかじめ定められた所定値にまで低下すると(電源電圧の低下を検出すると)、その旨を示す電源断信号を出力する電源監視回路が搭載されている。なお、電源監視回路を電源基板に搭載するのではなく、バックアップ電源によって電源バックアップされる基板(例えば、主基板31)に搭載するようにしてもよい。また、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、RAMの内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示すクリア信号が入力される。
また、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15a、第2入賞確認スイッチ15b、カウントスイッチ23、第3入賞確認スイッチ23aおよび各入賞口スイッチ30a,30bからの検出信号を基本回路に与える入力ドライバ回路58も主基板31に搭載され、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21と、基本回路からの指令に従って駆動する出力回路59も主基板31に搭載され、電源投入時に遊技制御用マイクロコンピュータ156をリセットするためのシステムリセット回路(図示せず)や、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号を、ターミナル基板91を介して、ホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路64も主基板31に搭載されている。
この実施例では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ156から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出図柄を可変表示する演出表示装置9との表示制御を行う。
演出制御基板80は、演出制御用CPUおよびRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。演出制御基板80において、演出制御用CPU(図示略)は、内蔵または外付けのROM(図示略)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバおよび入力ポートを介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU(図示略)は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)に演出表示装置9の表示制御を行わせる。
演出制御用CPU(図示略)は、受信した演出制御コマンドに従ってキャラクタROM(図示せず)から必要なデータを読み出す。キャラクタROMは、演出表示装置9に表示されるキャラクタ画像データ、具体的には、人物、文字、図形または記号等(演出図柄を含む)をあらかじめ格納しておくためのものである。演出制御用CPU(図示略)は、キャラクタROMから読み出したデータをVDPに出力する。VDPは、演出制御用CPUから入力されたデータにもとづいて表示制御を実行する。
演出制御コマンドおよび演出制御INT信号は、演出制御基板80において、まず、入力ドライバに入力する。入力ドライバは、中継基板77から入力された信号を演出制御基板80の内部に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80の内部から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路でもある。
中継基板77には、主基板31から入力された信号を演出制御基板80に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路(図示略)が搭載されている。単方向性回路として、例えばダイオードやトランジスタが使用される。さらに、単方向性回路であるI/Oポート部を介して主基板31から演出制御コマンドおよび演出制御INT信号が出力されるので、中継基板77から主基板31の内部に向かう信号が規制される。すなわち、中継基板77からの信号は主基板31の内部(遊技制御用マイクロコンピュータ156側)に入り込まない。
さらに、演出制御用CPU(図示略)は、出力ポート(図示略)を介してシャッタモータ505、昇降モータ660、役物モータ832に対してモータを駆動する信号を出力する。出力ポート(図示略)を介してランプドライバ基板35に対してLEDを駆動する信号を出力する。また、演出制御用CPUは、出力ポートを介して音声制御基板70に対して音番号データを出力する。
ランプドライバ基板35において、LEDを駆動する信号は、入力ドライバ(図示略)を介してLEDドライバに入力される。LEDドライバは、駆動信号を天枠LED28a、左枠LED28b、右枠LED28c、導光板LED95、役物LED606などの枠側に設けられている各LEDに供給する。また、遊技盤側に設けられている装飾LED25aに駆動信号を供給する。なお、LED以外の発光体が設けられている場合には、それを駆動する駆動回路(ドライバ)がランプドライバ基板35に搭載される。
音声制御基板70において、音番号データは、入力ドライバ(図示略)を介して音声合成用IC(図示略)に入力される。音声合成用ICは、音番号データに応じた音声や効果音を発生し増幅回路(図示略)に出力する。増幅回路は、音声合成用ICの出力レベルを、ボリュームで設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。音声データROM(図示略)には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば演出図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
次に、本実施例のパチンコ遊技機1の構造について、図面にもとづいて説明する。図5は、遊技盤ユニットを示す分解斜視図である。
(遊技盤ユニット)
図5に示すように、遊技盤ユニット400は、遊技盤6と、該遊技盤6の背面側に配置される導光板ユニット700と、遊技盤6の背面側に配置され、遊技盤6を背面側から装飾する装飾体301と、装飾体301の背面に取り付けられ、演出表示装置9及び演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニット49と、から主に構成されている。
導光板ユニット700は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂等の透明な合成樹脂材(透光性材)にて形成される導光板701と、該導光板701の周囲に装着される取付枠702と、から主に構成される。取付枠702内には、複数の導光板LED95(図3参照)が配設されており、該導光板LED95からの光を導光板701の周端面に入射させるとともに、該入射した光を該導光板701の背面に形成された反射部にて反射させて前面側に出射させることで、導光板701を光により装飾するようになっている。
装飾体301は、後述するように透明に形成される遊技盤6の遊技領域7を背面側から装飾する立体状に形成された装飾部材であって、前後方向に所定幅の板厚を有し、前方の遊技盤6の背面に着脱可能に取り付けられ、取り付けられた状態において、遊技盤6を透して遊技者から視認可能とされる。装飾体301の前面は、特に詳細な図示はしないが非平坦面状に形成され、奥行き感のある立体装飾部とされている。また、遊技盤6の主に下部側に設けられる各種表示装置(例えば第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8b等)、駆動手段(ソレノイド16,21等)、LED、各種スイッチ(例えば第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ15a、カウントスイッチ23等)から延出される配線は、遊技盤6の背面と装飾体301の前面との間から側方に引き出される。
装飾体301の略中央位置には、背面側に配設される演出表示装置9の表示面を視認可能とするための開口部303が形成されている。
装飾体301や変動表示制御ユニット49だけでなく、他の装置や基板等の遊技に関連する複数の遊技用部品が一体的に組み付けられてなる遊技用部品ユニット300は、後述するように遊技盤6に対して着脱可能に取り付けられる。なお、装飾体301の詳細な構造については後述することとする。
(第1演出装置)
次に、本実施例のパチンコ遊技機1に設けられた第1演出装置500の構造について、図6〜図14にもとづいて説明する。図6は、(a)は第1演出装置の駆動機構の要部を斜め前からみた状態を示す斜視図、(b)は斜め後から見た状態を示す斜視図である。図7は、第1演出装置の駆動機構の要部を斜め前からみた状態を示す分解斜視図である。図8は、第1演出装置の駆動機構の要部を斜め後ろからみた状態を示す分解斜視図である。図9は、(a)は閉止状態を示す正面図、(b)は開放状態を示す正面図である。図10は、駆動モータをベース板に組み付ける状態を示す斜視図である。図11は、(a)はガイドギヤとラックギヤとの位置関係を示す概略図、(b)は斜め後ろから見た状態を示す斜視図である。図12は、(a)(b)は駆動モータをベース板に取り付ける状態を示す図9のA−A断面図である。図13は、同じく(a)(b)は駆動モータをベース板に取り付ける状態を示す図9のA−A断面図である。図14は、(a)は変形例としての駆動機構を示す正面図、(b)は(a)のB−B断面図である。
尚、以下の説明においては、第1演出装置500をパチンコ遊技機1の正面から見たときの上下・左右方向を基準として説明する。
図6〜図8に示すように、第1演出装置500は、例えば遊技盤6における演出表示装置9の上部所定箇所に固設され、縦長に形成された板状のベース部材501及び該ベース部材501に対して移動可能に設けられた可動部材としての左右一対のシャッタ502a,502bを含むベースユニット515と、所定の駆動源であるシャッタモータ505を有する駆動ユニット508と、から構成され、シャッタ502a,502bに駆動力を伝達させる駆動伝達手段としての駆動機構503を備えている。
駆動機構503は、ベース部材501の背面所定箇所に取り付けられる取付板504と、取付板504の背面にネジ(図示略)にて固着され、シャッタ502a,502bを駆動するシャッタモータ505と、シャッタモータ505の回動軸506の先端に固着されたピニオンギヤ507と、が一体的に組み付けられてなる駆動ユニット508と、ベース部材501の前面側に左右方向に移動可能に取り付けられ、ピニオンギヤ507に噛合するラックギヤ510a,510bが形成された上下一対のギヤ部材509a,509bと、から主に構成されている。
取付板504の略中央位置には貫通孔(図示略)が形成されており、シャッタモータ505は、回動軸506を貫通孔に挿通して前面側に突出させた状態で取付板504に固設され、突出した回動軸506の先端にピニオンギヤ507が固着されている。つまり、ピニオンギヤ507は前後方向を向く回動軸506の先端に、歯筋が回動軸506の軸心方向を向くように固着され、軸心周りに回動可能とされている。
また、取付板504の左右側上下位置には、前面に開口する複数の取付凹部511a〜511dが形成されており、その底面には、取付板504をベース部材501に取り付けるための取付ネジN1が取り付けられる取付孔512a〜512dが形成されている。取付凹部511a〜511dは、ベース部材501の背面に突設された円柱状の取付用ボス513a〜513dに対応して配置され、かつ、各取付用ボス513a〜513dに嵌合可能に形成されている。
よって、各取付用ボス513a〜513dに取付凹部511a〜511dを嵌合させることにより、ベース部材501に対する取付板504の取付位置が決定され、その状態で取付ネジN1を各取付用ボス513a〜513dの後端面に形成されたネジ穴514a〜514dに螺入することで、ベース部材501の背面に固定される。尚、取付用ボス513a〜513d及び取付凹部511a〜511dは前後方向に所定長さ(嵌合深さ)を有していることで、取付板504を前後方向に所定長さ移動案内できるようになっている。
下方のギヤ部材509aは、左右方向に延びる横長帯状のギヤ板520aと該ギヤ板520aの左端から下方に垂下される縦長帯状の取付板521aと、からL字形に構成されている。取付板521aは、他方のギヤ板520bとの干渉を回避するためにギヤ板520aに対し略板厚分だけ前位置に配置され、その前面には前述したシャッタ502aがネジにより取り付けられる。
ギア板520aの上縁辺には、ピニオンギヤ507に噛合するラックギヤ510aが左右方向に延設されている。ラックギヤ510aの歯筋は、前後方向、つまりピニオンギヤ507の歯筋と同じ方向に向けて形成されているとともに、ギヤ部材509aの左右の移動範囲内においてピニオンギヤ507との噛合が解除されない長さに形成されている。
また、ギヤ板520aの背面には、ベース部材501に形成された左右方向を向くスライド溝530a内に挿通される円柱状のガイド部522aが左右側にそれぞれ突設されている。また、左右のガイド部522aの外周には、スライド溝530a内に摺動案内されるガイドローラ523aが回動可能に環挿されるとともに、その先端側には、ベース部材501の背面側に配置されるリングワッシャ524aが、ガイド部522aの後端面に形成されたネジ穴525aにネジN2を螺入することでガイド部522aに取り付けられている。よって、ギヤ部材509aは、これらガイドローラ523aとリングワッシャ524aとによりベース部材501に対して左右方向に移動可能に保持されるとともに、移動範囲が規制されている(図12(b)参照)。
一方、上方のギヤ部材509bは、左右方向に延びる横長帯状のギヤ板520bと該ギヤ板520bの右端から下方に垂下される縦長帯状の取付板521bと、からL字形に構成されている。取付板521bは、他方のギヤ板520aとの干渉を回避するためにギヤ板520bに対し略板厚分だけ前位置に配置され、その前面には前述したシャッタ502bがネジにより取り付けられる。
ギア板520bの下縁辺には、ピニオンギヤ507に噛合するラックギヤ510bが左右方向に延設されている。ラックギヤ510bの歯筋は、前後方向、つまりピニオンギヤ507の歯筋と同じ方向に向けて形成されているとともに、ギヤ部材509bの左右の移動範囲内においてピニオンギヤ507との噛合が解除されない長さに形成されている。
ギヤ板520bの背面には、ベース部材501に形成された左右方向を向くスライド溝530b内に挿通される円柱状のガイド部522bが左右側にそれぞれ突設されている。また、左右のガイド部522bの外周には、スライド溝530b内に摺動案内されるガイドローラ523bが回動可能に環挿されるとともに、その先端側には、ベース部材501の背面側に配置されるリングワッシャ524bが、ガイド部522bの後端面に形成されたネジ穴525bにネジN2を螺入することでガイド部522bに取り付けられている。よって、ギヤ部材509bは、これらガイドローラ523bとリングワッシャ524bとによりベース部材501に対して左右方向に移動可能に保持されるとともに、移動範囲が規制されている(図12(b)参照)。
尚、ギヤ板520bの上縁辺には、左右方向に延びる検出片526が上方に向けて立設されており、ベース部材501に設けられる検出センサ527(図9参照)に検出されることで、ギヤ部材509bの初期位置を特定できるようになっている。
また、ギヤ部材509a,509bは、ベース部材501の前面側に左右方向に移動可能に組み付けられた状態において、ベース部材501の前面に対してラックギヤ510a,510bの背面が所定の隙間L2(図12(a)参照)を隔てて配置されており、この隙間L2は、ピニオンギヤ507の歯筋の長さ寸法P2よりも短寸とされている(図12(a)参照)。
ベース部材501に形成されたスライド溝530a,530bは、上下に離間するとともに互いに平行をなすように左右方向に向けて延設されている。また、これら上下のスライド溝530a,530b間における左右方向の中央位置には、ピニオンギヤ507を通過可能な大きさを有する略長方形状の通過孔531が形成されているとともに、該通過孔531の上縁辺には、ピニオンギヤ507に噛合可能であり、かつ、ラックギヤ510aの一部に対し前後方向に合致するガイドギヤ532が形成されている。尚、通過孔531及びガイドギヤ532の詳細については後述する。
図9に示されるように、ベース部材501の背面に駆動ユニット508が取り付けられるとともに、ベース部材501の前面にギヤ部材509a,509bが取り付けられた状態において、取付板504から前面側に突設されたピニオンギヤ507は、通過孔531を通過してベース部材501の前面側に配置され、双方のギヤ部材509a,509bのラックギヤ510a,510bの上下部にそれぞれ噛合される。
具体的には、ピニオンギヤ507は、上下のギヤ部材509a,509bが互いに近接する近接位置(図9(a)参照)にて双方のラックギヤ510a,510bの一端側にて噛合され、上下のギヤ部材509a,509bが互いに離間する離間位置(図9(b)参照)にて双方のラックギヤ510a,510bの他端側にて噛合される。
特に本実施例では、上下のギヤ部材509a,509bが近接位置に位置しているときが駆動初期位置として設定されており、該近接位置にてピニオンギヤ507に対し上下のギヤ部材509a,509bが同時に噛合されている。また、ギヤ板520a,520bの前面所定箇所にはマークM1が設けられ、近接位置においてベース部材501の前面に形成されたマークM2に対向する位置に配置されている。これらマークM1,M2とを合致させることにより、ギヤ部材509a,509bが近接位置に配置されたことを目視にて容易に確認することができる。
このように、駆動初期位置である近接位置においてピニオンギヤ507がラックギヤ510a,510b双方に噛合され、該近接位置から離間位置に移動する間は噛合状態が解除されない。よって、本実施例では、ギヤ部材509a,509bを駆動初期位置となる近接位置にセットした状態でピニオンギヤ507をラックギヤ510a,510b双方に噛合させることで、ギヤ部材509a,509bが近接位置と離間位置との間を移動する間、ピニオンギヤ507とラックギヤ510a,510bとの噛合状態が維持される。
また、ギヤ部材509a,509bが近接位置にあるときには、左右のシャッタ509a,509bは互いの対向辺同士が当接する閉止状態となり(図9(a)参照)、ギヤ部材509a,509bが離間位置にあるときには、左右のシャッタ509a,509bは互いの対向辺同士が離間して開放状態となる(図9(b)参照)。
尚、本実施例では、可動部の一例としてシャッタ509a,509bが記載されているが、ギヤ部材509a,509bに取り付けられる可動部はシャッタに限定されるものではなく、種々に変更可能である。
次に、駆動機構503のベース部材501に対する組み付け状況を、図10〜図13にもとづいて説明する。
駆動機構503をベース部材501に組み付けるには、まず、ギヤ部材509a,509bをベース部材501の前面側から取り付けておく。このとき、図9(a)に示すように、マークM1,M2とを合致させて、ギヤ部材509a,509bを近接位置(駆動初期位置)に配置しておく。
このようにギヤ部材509a,509bを近接位置に配置した状態において、図11に示すように、上方のラックギヤ510bの一部と、通過孔531の上縁辺に沿って左右方向に直線状に形成されたガイドギヤ532の一部とが前後方向に合致するとともに、上方のラックギヤ510bの一部と下方のラックギヤ510aの一部とが対向して配置されている。
言い換えると、上方のラックギヤ510bとガイドギヤ532との一部の歯部及び谷部同士が前後方向に重なり合い、互いに前後に重畳したラックギヤ510bとガイドギヤ532との歯筋が前後方向に向けて一直線上に配置されるとともに、上方のラックギヤ510bと下方のラックギヤ510aとの一部の歯部及び谷部同士が上下に対向して配置されている。尚、下方のギヤ部材509aは、ラックギヤ510aの一部が通過孔531の下部に臨むように配設されている。
また、通過孔531は、下縁辺からガイドギヤ532の歯部先端までの上下幅寸法L1が、ピニオンギヤ507の直径寸法P1(歯先円直径または基準ピッチ円直径)よりも短寸に形成されているため(P1>L1)、ピニオンギヤ507を通過孔531を通過させるとき、必ずピニオンギヤ507がガイドギヤ532の一部に噛合されるようになっている。尚、ピニオンギヤ507の直径P1は通過孔531の左右幅寸法L1’よりも短寸とされている(L1’>P1>L1)。
このようにギヤ部材509a,509bがベース部材501の前面側に移動可能に組み付けられた状態で、駆動ユニット508をベース部材501の背面に取り付ける場合、図10に示すように、まず、取付板504の前面側に突出されたピニオンギヤ507を、ベース部材501の背面側にて通過孔531に対向させた姿勢で、該ピニオンギヤ507を通過孔531に挿通させるように駆動ユニット508をベース部材501に近づけていく(図12(a)参照)。
次いで、ピニオンギヤ507が通過孔531に差し込まれると、ピニオンギヤ507の上部がガイドギヤ532とのみ噛合される(図12(b)参照)。ここで、ピニオンギヤ507の直径P1は通過孔531の左右幅寸法L1’よりも短寸とされているため(P1<L1’)、通過孔531に対してピニオンギヤ507を左右方向のいずれの位置にも挿通できるが、いずれの位置に挿通しても噛合されるとともに、左右方向に動いても噛合状態は解除されない。
そして、ピニオンギヤ507とガイドギヤ532とが噛合された状態で、駆動ユニット508を前方、つまりピニオンギヤ507とガイドギヤ532との歯筋方向に沿って押し込んでいく。このとき、図11に示すように、ガイドギヤ532とその前方にある上方のラックギヤ510aとは、前述したように前後方向に合致した状態で配置されているとともに、下方のラックギヤ510bは上方のラックギヤ510aに対して対向配置されている。すなわち、ガイドギヤ532及びラックギヤ510a,510bそれぞれの歯筋が前後方向に並設されているため、図13(a)に示すように、ピニオンギヤ507をガイドギヤ532に噛合させた状態で前方にスライドさせるだけで、その前方にある上下のラックギヤ510a,510bに噛合される。
このように、ピニオンギヤ507の歯筋方向の寸法P2がガイドギヤ532とラックギヤ510a,510bとの間の隙間L2よりも長寸とされていることで、ガイドギヤ532とその前方にある上下のラックギヤ510a,510bとに跨るように噛合されるため、ガイドギヤ532によりガイドさせた状態でラックギヤ510a,510bに噛合させることができる。
また、この状態でピニオンギヤ507が通過孔531に対し左右方向に移動しても、上記したようにガイドギヤ532との噛合が解除されることはないので、少なくとも上方のギヤ部材509bが近接位置から位置ずれすることはないとともに、ピニオンギヤ507が左右方向に移動するときは該ピニオンギヤ507が回転するため、これに応じてピニオンギヤ507に噛合されている下方のギヤ部材509aも移動することで、上方のギヤ部材509bに対する下方のギヤ部材509aの相対位置関係が変わることはない。
さらに、図13(a)に示すように、ピニオンギヤ507がガイドギヤ532とラックギヤ510a,510bとに跨って噛合されたときに、各取付用ボス513a〜513dが取付凹部511a〜511dに嵌合されることで、ベース部材501に対する駆動ユニット508の上下・左右方向の移動が規制されて取付位置が決定される。
そして、各取付用ボス513a〜513dが取付凹部511a〜511d内に完全に嵌合されると、ピニオンギヤ507がガイドギヤ532から離脱して、ラックギヤ510a,510bとのみ噛合された状態となるため、シャッタモータ505によりピニオンギヤ507が回動可能になる。この状態で各取付孔512a〜512dに取り付けた取付ネジN1をネジ穴514a〜514dに螺入することで、駆動ユニット508がベース部材501の背面に固定される。
以上説明したように、本発明の実施例としてのパチンコ遊技機1に設けられた第1演出装置500にあっては、取付部としての取付板504をベース部材501の背面に取り付ける場合、予めラックギヤ510a,510bを特定位置に配置させた状態で、ピニオンギヤ507を背面側から通過孔531を介して前面側に通過させる際に該ピニオンギヤ507が案内ギヤ部であるガイドギヤ532に噛合されることで、ラックギヤ510a,510bに噛合可能な噛合位置に案内され、取付板504が背面に取り付けられたときに通過孔531を介して前面側に突出してラックギヤ510a,510bに噛合される。
すなわち、ピニオンギヤ507がベース部材501に固設されたガイドギヤ532に噛合されることによりラックギヤ510a,510bに対する噛合位置が決定されるため、該噛合状態で取付板504をベース部材501に取り付ければ、ラックギヤ510a,510bが駆動初期位置からずれないようにピニオンギヤ507を噛合させることができるため、取付板504の取り付け作業が容易になる。仮に、取り付けの際にベース部材501に対し駆動ユニット508が動いても、ガイドギヤ532に対するピニオンギヤ507の噛合が解除されない限り、ピニオンギヤ507のラックギヤ510a,510bに対する相対位置は変化しない。
よって、本実施例の駆動機構503のように、ベース部材501の背面側に取り付けられる駆動ユニット508のピニオンギヤ507を、ベース部材501に形成された通過孔531を挿通して、該ベース部材501を挟んで反対側(前面側)に配設されたラックギヤ510a,510bに噛合させるような場合において、ラックギヤ510a,510bに対してピニオンギヤ507を手で合致させたりしなくても、ラックギヤ510a,510bが近接位置からずれないようにピニオンギヤ507を噛合させることができるため、駆動ユニット508の取り付け作業が容易になる。
また、ベース部材501には案内部である取付用ボス513a〜513dが設けられ、取付板504には被案内部である取付凹部511a〜511dが設けられており、取付用ボス513a〜513dは、図13に示すように、少なくともピニオンギヤ507がガイドギヤ532に噛合されてからラックギヤ510a,510bに噛合されるまで、取付凹部511a〜511dを歯筋(前後)方向に移動案内するので、ピニオンギヤ507がガイドギヤ532に噛合されてからラックギヤ510a,510bに噛合されるまでに位置ずれが生じることがないので、ピニオンギヤ507をラックギヤ510a,510bに確実に噛合させることができる。
また、本実施例では、取付用ボス513a〜513dと取付凹部511a〜511dとにより移動案内手段が構成されていたが、案内部と被案内部とはこのような凹部と凸部とに限定されるものではなく、例えばガイド軸と該ガイド軸が挿通可能なスライド溝とにより構成されていてもよい。
また、図13(b)に示すように、ピニオンギヤ507の歯筋方向の幅寸法(P2)は、ガイドギヤ532とラックギヤ510a,510bとの間の隙間L2よりも長寸に形成されていることで、ピニオンギヤ507を、ガイドギヤ532に噛合させたままラックギヤ510a,510bに噛合させることができるため、ピニオンギヤ507をラックギヤ510a,510bに確実に噛合させることができる。
尚、本実施例では、図13に示すように、取付用ボス513a〜513dは、少なくともピニオンギヤ507がガイドギヤ532に噛合されてからラックギヤ510a,510bに噛合されるまで、取付凹部511a〜511dを歯筋(前後)方向に移動案内するとともに、ガイドギヤ532に噛合させたままラックギヤ510a,510bに噛合させることができるようになっていたが、取付用ボス513a〜513dにより取付凹部511a〜511dがガイドされていれば、必ずしもピニオンギヤ507の歯筋方向の幅寸法P2を隙間L2よりも長寸としなくてもよい。
具体的には、ピニオンギヤ507の歯筋方向の寸法P2がガイドギヤ532とラックギヤ510a,510bとの間の隙間L2よりも長寸とされていたが、P2<L2の関係であってもよい。この場合、ピニオンギヤ507がガイドギヤ532から離脱したときにラックギヤ510a,510bに噛合されていないので、少なくともピニオンギヤ507がガイドギヤ532から離脱する前から、ラックギヤ510a,510bに噛合するまでの間、例えば、各取付用ボス513a〜513dと取付凹部511a〜511dとからなる移動案内手段により、駆動ユニット508が前方に移動案内されるようにすればよい。
逆に、ピニオンギヤ507の歯筋方向の幅寸法P2が隙間L2よりも長寸である場合、取付用ボス513a〜513dにより取付凹部511a〜511dがガイドされなくても、駆動ユニット508を案内することができる。
さらに、通過孔531は、該通過孔531を通過する際にピニオンギヤ507がガイドギヤ532に必ず噛合される大きさに形成されている。すなわち、ガイドギヤ532は、横長長方形状の通過孔531の下縁辺に形成され、ピニオンギヤ507の直径寸法P1(歯先円直径または基準ピッチ円直径)は、通過孔531の下縁辺からガイドギヤ532の歯部先端までの上下幅寸法L1よりも長寸に形成されている(P1>L1)ことで、ピニオンギヤ507が通過孔531を通過する際にガイドギヤ532との噛合が解除されることがないので、位置ずれが生じにくくなる。
また、本実施例では、ラックギヤ510a,510bを複数備え、ガイドギヤ532は、複数のラックギヤ510a,510bそれぞれが駆動初期位置に位置しているときに該複数のラックギヤ510a,510bそれぞれの少なくとも一部に対し歯筋方向に合致する位置に設けられる(図11参照)ので、一のピニオンギヤ507により複数(上下)のラックギヤ510a,510bを連動させる場合でも、ピニオンギヤ507を複数のラックギヤ510a,510bに同時に噛合させることができる。
また、ガイドギヤ532は、複数のラックギヤ510a,510bのうち一の上ラックギヤ510bにのみ対応して設けられていることで、複数のラックギヤ510a,510bそれぞれに対応するガイドギヤ部532を個別に形成しなくて済むため、構造を簡素化できる。
また、ベース部材501には、ラックギヤ510a,510bが形成されたギヤ部材509a,509bを移動案内するスライド溝530a,530bが形成されていることにより、ベース部材501に対するラックギヤ510a,510bの位置ずれが生じにくくなるため、ピニオンギヤ507をラックギヤ510a,510bに確実に噛合させることができる。
また、ベース部材501及びラックギヤ510a,510bには、ラックギヤ510a,510bが駆動初期位置に位置していることを目視にて確認可能な特定位置表示手段としてのマークM1,M2が設けられていることで、ラックギヤ510a,510bが駆動初期位置に配置されているか否かを目視にて容易に確認できるため、ピニオンギヤ507に対してラックギヤ510a,510bを正確な位置で噛合させることができる。
また、本実施例では、ピニオンギヤ507、ラックギヤ510a,510b、ガイドギヤ532の歯筋と回動軸506とは全て同じ前後方向に向けて設けられていたが、例えばシャッタモータ505がベース部材501に対して回動軸506の一端を上下左右いずれかに僅かに傾倒させた姿勢で取り付ける場合においては、ピニオンギヤ507、ラックギヤ510a,510b、ガイドギヤ532の歯筋と回動軸506とが同一方向に向けて設けられていればよく、必ずしもベース部材501に対して直交する方向に設けられていなくてもよい。
また、本実施例では、駆動ギヤとしてのピニオンギヤ507に噛合する従動ギヤの一例として直線状に配置されるラックギヤが適用されていたが、図14に示す変形例としての駆動機構503’のように、円盤状の従動ギヤ540等であってもよい。つまり、駆動ギヤに噛合可能な従動ギヤであれば、その形態は任意である。
また、このような従動ギヤ540は、図示しない可動部に駆動力を伝達するギヤボックス等の駆動力伝達ユニット550等に設けられていてもよいし、あるいは可動部が軸周りに回転する回転体であれば該回転体に直接形成されていてもよい。つまり、従動ギヤは、ギヤ部材509a,509bのように可動部を取り付けるための取付部材や本変形例のように可動部に連結される駆動力伝達ユニットに設けられていてもよい。
また、駆動ユニット508’は、前述したシャッタモータ505のような駆動モータのみから構成されるユニットであってもよいし、駆動モータ等の駆動力を回動軸506に伝達するギヤボックス等の駆動力伝達機構が組み込まれたユニットであってもよい。
また、駆動ギヤをベース部材501を通過させるための通過部は、必ずしも通過孔531のような孔部にて構成されていなくてもよく、本変形例に示すような切欠部531’等であってもよいし、ベース部材501の側方を通過させるものであってもよい。
また、本実施例では、案内ギヤ部の一例として、ピニオンギヤ507に噛合可能な直線状のラックギヤからなるガイドギヤ532が適用されていたが、本発明の案内ギヤ部はこのような直線状のギヤに限定されるものではなく、円盤状のギヤでもよい。
また、本実施例では、案内ギヤ部としてのガイドギヤ532は、通過孔531の上縁辺にのみ形成されていたが、下縁辺や左右側縁、あるいは周縁全域に形成されていてもよい。さらに、通過孔531の内周面ではなく、ベース部材501の前面または背面における通過孔531の周縁所定箇所から突設されていてもよい。
さらに案内ギヤ部は、複数の歯部と谷部とから凹凸状に形成されるギヤ部に限定されるものではなく、例えば、ピニオンギヤ507の2つの歯部間に噛合される1つの歯部のみからなるギヤ部であってもよい。すなわち、駆動ギヤに係合されて該駆動ギヤの軸心周りの回転を規制し、かつ、軸心方向の移動を許容するギヤ部であれば、その形態は歯部形状のギヤ部に限定されるものではない。
(第2演出装置)
次に、本実施例のパチンコ遊技機1に設けられた第2演出装置600の構造について、図15〜図25にもとづいて説明する。図15は、第2演出装置を斜め前からみた状態を示す斜視図である。図16は、同じく第2演出装置を斜め前からみた状態を示す斜視図である。図17は、第2演出装置の内部構造を示す斜視図である。図18は、第2演出装置を斜め後ろからみた状態を示す斜視図である。図19は、第2演出装置の内部構造を示す斜め前分解斜視図である。図20は、同じく第2演出装置の内部構造を示す斜め後分解斜視図である。図21は、(a)〜(c)は配線処理装置、(d)は第1,2リンクの変形例を示す概略図である。図22は、(a)は役物が突出位置にあるときの昇降ユニット、(b)は配線処理装置を示す概略図である。図23は、(a)は役物が中間位置にあるときの昇降ユニット、(b)は配線処理装置を示す概略図である。図24は、(a)は役物が収納位置にあるときの昇降ユニット、(b)は配線処理装置を示す概略図である。図25は、(a)は変形例としての配線処理装置の伸長状態を示す概略正面図、(b)は屈曲状態を示す概略正面図である。
尚、以下の説明においては、第2演出装置600をパチンコ遊技機1の正面から見たときの上下・左右方向を基準として説明する。
図15〜図18に示すように、第2演出装置600の本体は、合成樹脂材により板状に形成されたベース部材601と、該ベース部材601の前面側に組み付けられるカバー部材602と、により箱状に形成されるケース体603にて構成されており、ケース体603の上面には、カバー部材602の上面に形成された切欠部により開口604が形成されている。また、ケース体603内部には後述する可動部としての役物605が設けられており、該役物605は、開口604を介して、ケース体603内部に収納される収納位置とケース体603の上方に突出した突出位置との間で昇降可能に設けられている。
尚、本実施例における役物605は、特に詳細な図示はしないが、例えばロボット等の胴体部を模した第1可動部605aと、第1可動部605aに軸支され脚部を模した第2可動部605b,605cと、から構成されているが、このように複数の可動部にて構成されていなくてもよいし、形態等も種々に変更可能である。
また、第1可動部605aには、電気部品の一例である役物LED606が複数配設されたLED基板607(図17参照)が設けられている。LED基板607は、前述した演出制御基板80に配線接続されており、演出制御基板80から役物LED606に対し電力供給や制御信号の出力が行われる。尚、この配線構造については後述することとする。
ケース体603の内部には、役物605を昇降させる昇降モータ660と、該昇降モータ660の駆動力を上下方向に変換して役物605を昇降させる昇降ユニット650と、が主に設けられている。
図19、図20及び図22に示すように、ベース部材601の前面側中央位置には、後述する昇降ユニット650が組み付けられるとともに、その左右側には、上下方向に向けて斜めに移動案内する案内溝608が形成された案内パネル608a,608bが取り付けられている。案内溝608には、第2可動部605b,605cの背面に突設されたガイド軸605dが移動可能に挿通されている。
また、ベース部材601の左右方向の中央位置の下半部には開口609が形成されているとともに、その左下部前面には、昇降モータ660が、前後方向を向く駆動軸660a(図20参照)を背面側に貫通させた状態で取り付けられている。ベース部材601の背面側に突出された駆動軸660aには、駆動ギヤ610が固着されるとともに、その隣には、該駆動ギヤ610に噛合される従動ギヤ611がベース部材601の背面に取り付けられるカバー部材(図示略)に設けられた前後方向を向く軸部材(図示略)周りに回動可能に設けられている。従動ギヤ611は、開口609を背面側から被覆するように配置され、その前面における周縁上部には連結軸612が突設されている。
また、ベース部材601の前面側には、縦長帯板状の固定板614a,614bが開口609の左右側辺に沿うように固着されているとともに、この左右一対の固定板614a,614bの上部における対向端面には、第1ラックギヤ613が上下方向に向けて延設されている(図22(a)参照)。尚、左右の固定板614a,614bの上端部間は連結板614cにて連結されている。これら固定板614a,614b及び連結板614cは、ベース部材601の前面に固設される部材である。
左右の固定板614a,614b間には、正面視略長方形状をなし、上辺の左右方向中央位置に突設部620aが上向きに突設された第1昇降板620が昇降可能に配設されているとともに、その前面側には、第1昇降板620よりも幅狭な縦長帯板状の第2昇降板630が昇降可能に配設されており、第2昇降板630の上部には、第1可動部605aが取り付けられる。
図22に示すように、第1昇降板620の下部には、下辺に沿って左右方向に延設される連結長孔621が形成され、該連結長孔621には、従動ギヤ611の連結軸612が長手方向に向けて移動可能に挿通され、従動ギヤ611に連結されている。この連結長孔621は、従動ギヤ611の中心位置から連結軸612までの長さ寸法の2倍以上の長さ寸法を有している。また、第1昇降板620の左右方向の中央位置には、上下方向に延びるスライド長孔622が、第1昇降板620の下部位置から突設部620aにかけて形成されている。
第1昇降板620の前面上部左右側には、連結ギヤ623a,623bが前後方向を向く軸周りに回動可能に軸支されており、左右側に配置される第1ラックギヤ613と、左右の連結ギヤ623a,623b間に配置される第2昇降板630の左右側辺に形成される第2ラックギヤ631と、にそれぞれ噛合されている。
第2昇降板630は、左右側辺における上下方向の中央位置から下端にかけて連結ギヤ623a,623bに噛合する第2ラックギヤ631が形成されているとともに、背面下部には、スライド長孔622に移動可能に挿通されるガイド突部632が上下2箇所に形成されており、第1昇降板620に対して上下方向に移動可能に連結されている。
第2昇降板630の上部には、第1可動部605aが取り付けられているとともに、第1可動部605aの下部位置には、前後方向を向く連結軸605eを介して第2可動部605b,605cが軸支されている。
また、第2昇降板630の上部前面には、役物LED606が複数設けられた正面視縦長長方形状のLED基板607が、第1可動部605aを構成するカバー体の所定箇所に形成された透光領域に向けて光を出射可能に設けられている。第2昇降板630の下部には、LED基板607と、ケース体603を設置する設置部(図示略)所定箇所に設けられた中継基板635と、の間に掛け渡される配線ケーブルCを挿通可能な筒状の配線ダクト633が上下方向に形成されている。
このように昇降ユニット650は、昇降モータ660、駆動ギヤ610、従動ギヤ611、第1ラックギヤ613、連結ギヤ623a,623b、第1昇降板620、第2昇降板630、第2ラックギヤ631と、から主に構成される。
ここで、昇降ユニット650の昇降動作状況を、図22〜図24にもとづいて説明する。まず、役物605は、図22(a)に示すベース部材601の上方に突出する突出位置(上限位置)と、図24(a)に示すベース部材601の前面に収納される収納位置(下限位置)と、の間で移動可能とされている。
図22(a)に示す突出位置において、従動ギヤ611の連結軸612は上部に位置しており、連結長孔621の左右方向中央位置に配置されている。第1昇降板620はベース部材601前面上部に位置し、連結ギヤ623a,623bは第1ラックギヤ613の上部に位置している。第2昇降板630は、第1昇降板620に対し上方に突出した位置に配置され、ガイド突部632はスライド長孔622の上端に位置するとともに、第2ラックギヤ631の下部位置にて連結ギヤ623a,623bと噛合されている。また、第2可動部605b,605cは、上端が連結軸605eを介して第1可動部605aに軸支され、下端がガイド軸605dを介して案内溝608の上端に連結されている。
ここで、昇降モータ660により駆動ギヤ610が回転すると、従動ギヤ611が回転して連結軸612が周方向に移動しながら下降する(図23(a)参照)。これにより、連結長孔621を介して連結軸612に連結された第1昇降板620とともに、該第1昇降板620に連結された第2昇降板630が下降する。ここで、第1昇降板620の連結ギヤ623a,623bは、第1ラックギヤ613に噛合されていることで回転しながら下降するため、この回転により、第2昇降板630は第1昇降板620に対して相対移動することになる。つまり、第1昇降板620の下降に伴い、該第1昇降板620の前面側に重畳する領域が漸次大きくなっていく。
また、第1昇降板620の下降に伴い、第1可動部605a及び第2可動部605b,605cが下降される。このとき、左右の第2可動部605b,605cそれぞれの下端が案内溝608により外側に広がるように案内される。
そして、図24(a)に示すように、従動ギヤ611が約180度回転して連結軸612が最下位置まで移動することで、第1昇降板620がベース部材601の下部位置に配置されるとともに、第2昇降板630の下部が第1昇降板620の前面側に重畳するように配置される。このとき、第1可動部605aがベース部材601の上端よりも下方に配置される。すなわち、ケース体603内に収納される収納位置に配置される。
図22(b)に示すように、このようにベース部材601に対し昇降可能に設けられた第2昇降板630には、役物LED606が設けられたLED基板607が取り付けられている。LED基板607は、ケース体603を設置する設置部(図示略)所定箇所に設けられた中継基板635を介して演出制御基板80に配線接続されており、演出制御基板80から電力が供給されるとともに、演出制御用マイクロコンピュータにより発光制御されるようになっている。
図22(b)に示すように、LED基板607と演出制御基板80とを電気的に接続する配線のうち、中継基板635とLED基板607との間は、可撓性を有する線状のケーブルCにて接続されている。詳しくは、ケーブルCは、一端に設けられた配線側コネクタCNH1を介してLED基板607に設けられた基板側コネクタCNK1に接続されているとともに、他端に設けられた配線側コネクタCNH2を介して中継基板635に設けられた基板側コネクタCNK2に接続されている。
つまり、中継基板635はベース部材601が設置される図示しない設置部に固定されているのに対し、LED基板607はベース部材601に対し上下移動可能に設けられているため、中継基板635とLED基板607との間は可撓性を有するケーブルCにて接続されている。また、固定された中継基板635に対してLED基板607は、第1可動部605aが収納位置に位置したときに突出位置に位置したときよりも近い位置に配置されることで、予め中継基板635からの距離が遠くなる突出位置に合わせた長さのケーブルCを確保する必要があるが、収納位置に位置したときにケーブルCが余ってしまうため、収納位置において第2昇降板630とベース部材601との間にケーブルCが挟まれる虞がある。よって、このように構成された第2昇降板630とベース部材601との間には、ケーブルCを配線処理するための配線処理装置640が設けられている。
配線処理装置640は、図21及び図22(b)に示すように、第2昇降板630の下端部とベース部材601の下端部とを連結するように設けられるリンク機構にて構成される。尚、この配線処理装置640は、役物605を昇降するための昇降ユニット650に組み付けられ、昇降ユニット650の駆動に応じて連動するが、役物605を昇降させるために必要な駆動機構ではない。
詳しくは、配線処理装置640は、第1リンク641と、該第1リンク641の下端に前後方向を向く連結軸643を介して上端が枢支された第2リンク642と、から屈曲可能に構成されたリンク機構からなり、第1リンク641の上端は、第2昇降板630の前面下部に突設された連結軸644に軸支され、第2リンク642の下端は、ベース部材601の前面下部に突設された連結軸645に軸支されている。
そして、役物605が突出位置に位置したときは、図21(a)(b)に示すような伸長状態となり、役物605が収納位置に位置したときは、図21(c)に示すような屈曲状態となる。本実施例では、連結軸643〜645は前後方向に向けて設けられているため、役物605が収納位置に近づくにつれて、屈曲部である連結軸643が正面から見て右側に移動して正面視逆「く」の字に屈曲するようになっている。
また、第2リンク642の上端と下端の軸受部からは、中央に係止孔646cが形成された係止片646a,646bが左側方に向けて突設されており、この係止孔646cには、結束バンド647a,647bを挿通して環状に結束できるようになっており、環状に結束された結束バンド647a,647bによりケーブルCの所定箇所を第2リンク642の近傍位置に係止できるようになっている。
詳しくは、ケーブルCの一端側は、配線側コネクタCNH1を介して基板側コネクタCNK1に接続されることで、第1可動部605aが取り付けられる第2昇降板630の下端に保持される。配線側コネクタCNH1から延出されたケーブルCは、配線ダクト633内に上方から挿通された後、連結軸644の上方近傍位置にて下方に延出され、その下方位置において係止片646aの結束バンド647a及び係止片646bの結束バンド647bに係止され、そこから左側に延出された他端側は、配線側コネクタCNH2を介して基板側コネクタCNK2に接続されている。
すなわち、第2昇降板630とベース部材601との間に掛け渡されたケーブルCは、一端が第2昇降板630の基板側コネクタCNK1に保持され、他端がベース部材601の基板側コネクタCNK2に保持されており、この間のケーブルCの長さは常時一定とされている。そしてベース部材601側に固定され、ケーブルCの他端側を保持する基板側コネクタCNK2は、役物605が突出位置に位置したときよりも収納位置に位置したときの方が基板側コネクタCNK1との離間距離が短くなる位置に配設されている。すなわち、基板側コネクタCNK2と基板側コネクタCNK1との離間距離は、役物605が突出位置に位置したときはL10であるのに対し(図22(b)参照)、役物605が収納位置に位置したときは、L10よりも短いL11(図24(b)参照)となる(L11<L10)。
従って、ケーブルCは、少なくとも基板側コネクタCNK2と基板側コネクタCNK1との離間距離が最長となる位置において必要な長さ寸法が確保されているため、役物605が収納位置に近づくにつれて余ってしまうが、屈曲部に設けられた結束バンド647aにケーブルCの所定箇所が係止されていることで、図22(b)に示すように、役物605が突出位置からが収納位置に近づくにつれて、図23(b)及び図24(b)に示すように、第1リンク641と第2リンク641とが伸長状態から屈曲状態に変位することで、結束バンド647aに係止された箇所が、第2昇降板630の移動領域から離れる方向、つまり上下方向の移動領域に対し交差する方向である右側方に移動される。
よって、余ったケーブルCが下端の連結軸645と第2昇降板630との間に挟まったり、伸縮の繰り返しによりケーブルCが意図しない方向に屈曲したり捩れたりすることが防止される。
また、ケーブルCの所定箇所を結束バンド647a,647bにて第2リンク642の近傍位置に係止することができれば、ケーブルCの所定箇所が結束バンド647a,647bにより長手方向に移動不能に係止(保持)されてもよいし、あるいは、長手方向にスライド移動可能に係止されていてもよい。
尚、本実施例では、ケーブルCを第1,2リンク641,642に沿って配線するために結束バンドが用いられていたが、例えば図21(c)に示すように、第1,2リンク641,642を中空状の管体にて構成し、挿通孔648a〜648cを介してケーブルCを内部に挿通することにより、第1,2リンク641,642に沿って配線できるようにしてもよい。この場合、挿通孔648bが移動係止部に対応する。
以上説明したように、本発明の実施例における第2演出装置600にあっては、可動部としての役物605が突出位置(第2位置)から移動して少なくとも収納位置(第1位置)に到達したときには、可動側配線保持部である基板側コネクタCNK1とベース側配線保持部である基板側コネクタCNK2とが近づくことによりその間に掛け渡されたケーブルCに余りが生じるが、移動係止部である係止片646a及び結束バンド647aが基板側コネクタCNK1,2双方から離れる方向に移動することで、余ったケーブルCの所定箇所が常に基板側コネクタCNK1,2から引き離され、役物605が収納位置に位置したときに基板側コネクタCNK1,2間にケーブルCが存在しなくなるため、役物605が取り付けられる第2昇降板630とベース部材601の連結軸645との間に余ったケーブルCが挟まれたり屈曲や捩れが生じたりすることによる断線が防止される。
また、互いに近づく基板側コネクタCNK1,2とこれらから離れる係止片646a及び結束バンド647aとの3点にケーブルCが略「く」の字形に掛け渡されるため、ケーブルCをコンパクトに折り畳みながら引き離すことができる。
また、配線処理装置640は、第2昇降板630の昇降動作に連動して係止片646aが移動するように構成されているため、第2昇降板630の昇降動作に応じて、係止片646を昇降モータ660とは別個のモータ等により移動させる必要がない。
尚、本実施例では、ケーブルCの一部は、配線ダクト633内に収納されるとともに、下方の係止片646bに取り付けられた結束バンド647bにも係止されていたが、第1,2リンク641,642の伸縮動作に影響がなければその他の箇所が係止されていてもよいし、少なくとも基板側コネクタCNK1,2との間の一箇所が、係止片646aの結束バンド647aのような移動係止部に係止されていればよい。この場合、その一点が屈曲部に設けられた係止片646aでなくても、その近傍に設けられた係止部であってもよい。また、本実施例では、ケーブルCの両端は基板側コネクタCNK1,2にて保持されていたが、ケーブルCを保持する箇所は任意に変更可能であるとともに、ケーブルCの保持部はコネクタだけではなく、例えば結束バンドや配線押え、あるいは半田による固着部等にて構成されていてもよい。
また、本実施例の配線処理装置640は、屈曲部である連結軸643が、役物605の移動方向に対し右側方に移動可能とされていたが、左側方、前方、後方に移動可能とされていてもよい。つまり、互いに近接する基板側コネクタCNK1,2から離れる方向とは、例えば、基板側コネクタCNK1,2を結ぶ仮想線に対して交差する方向であることが好ましい。
また、配線処理装置640は、ベース部材601に一端が軸支された第2リンク642と、可動部に一端が軸支されるとともに、他端が第2リンク642に軸支された第1リンク641と、により屈曲可能に構成されたリンク機構にて構成され、移動係止部である係止片646a及び結束バンド647aは、第2リンク642と第1リンク641との連結部(屈曲部)である連結軸643近傍に設けられていることで、係止片646a及び結束バンド647aは役物605の移動に連動するので、役物605の動力を利用してケーブルCを移動させることができるため、構造を簡素化できる。
また、配線処理装置640は、第1リンク641と第2リンク642とから伸縮可能に構成されていたが、2以上のリンク部材にて構成されていてもよいし、図25に示す変形例としての配線処理装置670のように、1本のリンク部材にて構成されていてもよい。
詳しくは、図25に示すように、配線処理装置670は、上端が連結軸672を介して第2昇降板630の下端に軸支され、下端が連結軸673を介してベース部材601に連結されたリンク部材671から構成される。連結軸673は、ベース部材601の下部に形成された左右方向を向く連結長孔674に摺動可能に挿通されており、第2昇降板630の昇降に応じて左右方向に移動案内される。また、リンク部材671の上端と下端には係止片646a,646bが形成され、これらに取り付けられた結束バンド647a,647bによりケーブルCの2箇所が係止されている。
このような配線処理装置670にあっては、係止片646aは、役物605が突出位置にあるときに連結長孔674の左端部に位置しているのに対し(図25(a)参照)、役物605が下降して収納位置に近づくにつれて、連結長孔674の右側、つまり基板側コネクタCNK1,2間から離れる方向に移動するため、配線処理装置640と同様の作用・効果を奏する。
また、これら配線処理装置640,670は、役物605の移動に応じて移動係止部である係止片646aを移動させるためのリンク機構にて構成されていたが、役物605の移動に応じて移動係止部を移動できるものであれば、種々に変更可能である。例えば、役物605の移動に応じて左右前後いずれかの方向(移動方向に交差する方向)に移動する移動部材にケーブルCの係止部を設けてもよい。この場合、移動部材をギヤ機構等の駆動伝達機構等にて役物605に連動させてもよいし、あるいは、モータ等により駆動させて該モータと役物モータとを連動制御してもよい。
また、移動係止部の一例として、係止片646a及び該係止片646aに結ばれた結束バンド647aから構成されていたが、ケーブルCを係止できれば、例えばフックや配線押え、あるいは挿通穴等であってもよい。
(第3演出装置)
ここで、本発明の変形例としての配線処理装置690が設けられた第3演出装置800について、図26〜図31にもとづいて説明する。図26は、第3演出装置を右斜め前から見た状態を示す斜視図である。図27は、第3演出装置を右斜め後ろから見た状態を示す斜視図である。図28は、第3演出装置を左斜め前から見た状態を示す斜視図である。図29は、第3演出装置の内部構造を示す分解斜視図である。図30は、役物の駆動機構を説明するための概略図である。図31は、(a)は役物が下限位置にあるときの配線処理状況、(b)は上限位置にあるときの配線処理状況を示す概略図である。
尚、以下の説明においては、第3演出装置800をパチンコ遊技機1の正面から見たときの上下・左右方向を基準として説明する。
図26〜図29に示すように、第3演出装置800は、所定のベース部上に立設され、上下方向に延びる垂直部802と、該垂直部802の上端から前側に屈曲される水平部803と、からなるベース部801と、ベース部801に対し移動可能に設けられた可動部807と、から主に構成されている。
垂直部802は、前面板810と後面板811とにより中空状に形成され、内部には後述するケーブルCを収納するための配線収納室812が上下方向に向けて形成されている。また、上部にはケーブルCの挿通口813が形成されるとともに、後面板811の上部にはケーブルCの挿通孔814が形成されている。また、前面板810と後面板811とには、収納室812内に移動可能に配設される後述する配線処理装置690を移動案内するガイド溝815a,815bが上下方向に延設されている。また、前面板810の上部には、ケーブルCを挿通口813に案内する案内壁816が前後方向に向けて設けられている。
垂直部802の左側面には、可動部807を移動案内するガイド枠820が組み付けられている。ガイド枠820は垂直部802と水平部803とを構成する基枠であって、垂直部802に相当する部位には、上端から下端にかけて直線状の昇降溝821が形成されているとともに、水平部803に相当する部位には、互いに平行をなす上下一対の進退溝822a,822bが昇降溝821の上部からそれぞれ連設されている。さらに、左側面には、下方の進退溝822bよりも幅広なガイド凹溝823が、前端から進退溝822bの前部にかけて前後方向に形成されるとともに、後端は下端辺にかけて下方に屈曲形成されている。
また、ガイド枠820の上部には、ケーブルCを摺動案内する案内ローラ828aが前後方向に向けて設けられたケーブルガイド828が取り付けられている。この案内ローラ828aは、前後方向を向く軸周りに回動可能に、かつ、前後方向に所定の長さを有してなり、ケーブルCを長手方向に案内するだけでなく、前後方向にもスライド案内できるようになっている。
ガイド枠820の左側面には、上下方向に延びる第1ラックギヤ825が前面側に向けて形成されるとともに、該第1ラックギヤ825の上端から前面側に延設される第2ラックギヤ826が下向きに形成された側面視略逆L字形のギヤ部材827が取り付けられている。
可動部807は、特に詳細な図示はしない役物806(図26参照)と、該役物806をベース部801に対し移動可能に連結するための取付部材805と、から構成される。取付部材805は、図26及び図27に示すように、前面に透光性を有する装飾部805aが形成された横長の板状部材にて構成され、その先端側には役物806の取付部が形成されるとともに、背面側には、該可動部807を前後及び上下に駆動するための駆動ユニット830と、装飾部805aを背面から照明する役物LED(図示略)が前面に設けられた中継基板850と、が設けられている。
駆動ユニット830は、水平部803に平行に配置される取付基板831と、取付基板831の左側面に取り付けられる役物モータ832と、取付基板831を貫通して右側面に突出された役物モータ832の駆動軸に固着され、第1ラックギヤ825と第2ラックギヤ826とに噛合可能に設けられるピニオンギヤ833と、取付基板831の右側面のピニオンギヤ833の上下位置に突設され、進退溝822a,822bそれぞれに挿通される上下一対のガイド軸834a,834bと、進退溝822a,822bに挿通され右側面に突出されたガイド軸834a,834bの先端に取り付けられ、進退溝822a,822bからのガイド軸834a,834bの逸脱を規制するワッシャ835a,835bと、下方のガイド軸834bに並設され、ガイド凹溝823内に摺動可能に嵌合されるガイド支柱836と、から主に構成される。
図30(a)に示すように、このように構成された駆動ユニット830は、役物806が上限位置に位置しているときには、ガイド軸834a,834bが進退溝822a,822bに挿通されるとともに、ガイド支柱836がガイド凹溝823内に嵌合されることでにより3点が支持された状態で案内され、ピニオンギヤ833が第2ラックギヤ826に噛合されていることで、役物モータ832の駆動により前後に移動案内される。
ガイド軸834a,834bが進退溝822a,822bの後端に位置したとき、昇降溝821の上部に配置されることになるとともに、ピニオンギヤ833が第2ラックギヤ826の後端に位置することにより第1ラックギヤ825にも噛合されるため、役物モータ832の駆動により下降可能となる。また、下降する際はガイド支柱836はガイド凹溝823の後端からはずれてフリーになるが、上下一対のガイド軸834a,834bにて姿勢が維持される。
役物モータ832及び役物LED(図示略)は、垂直部802の所定箇所に固定された中継基板860(図31参照)を介して演出制御基板80に配線接続されており、演出制御基板80から電力が供給されるとともに、演出制御用マイクロコンピュータにより駆動及び発光制御されるようになっている。尚、特に図示しないが、役物モータ832から延出された配線は中継基板860に接続され、ケーブルCを介して演出制御基板80と接続される。
図31に示すように、中継基板850と演出制御基板80とを電気的に接続する配線のうち、中継基板850と中継基板860との間は、可撓性を有する線状のケーブルCにて接続されている。詳しくは、ケーブルCは、一端に設けられた配線側コネクタCNH10を介して中継基板850に設けられた基板側コネクタCNK10に接続されているとともに、他端に設けられた配線側コネクタCNH20を介して中継基板860に設けられた基板側コネクタCNK20に接続されている。
つまり、中継基板860はベース部801の上部に固定されているのに対し、中継基板850はベース部801に対し前後及び上下移動可能な可動部807に設けられているため、中継基板860と中継基板850との間は可撓性を有するケーブルCにて接続している。また、固定された中継基板860に対して中継基板850は、役物806が上限位置であり前方の前進位置及び後退位置に位置しているときに下限位置に位置したときよりも近い位置に配置されることで、予め中継基板635からの距離が遠くなる下限位置に合わせた長さのケーブルCを確保する必要があるが、収納位置に位置したときにケーブルCが余ってしまう。よって、このように構成された第2昇降板630とベース部材601との間には、ケーブルCを配線処理するための配線処理装置640が設けられている。
すなわち、中継基板860と中継基板850との間に掛け渡されたケーブルCは、一端が中継基板850の基板側コネクタCNK10に保持され、他端がベース部801の基板側コネクタCNK20に保持されており、この間のケーブルCの長さは常時一定とされている。そしてベース部801側に固定され、ケーブルCの他端側を保持する基板側コネクタCNK20は、役物806が下限位置に位置したときよりも上限位置に位置したときの方が基板側コネクタCNK10との離間距離が短くなる位置に配設されている。すなわち、基板側コネクタCNK20と基板側コネクタCNK10との離間距離は、役物806が下限位置に位置したときはL20であるのに対し(図31(a)参照)、役物806が上限位置に位置したときは、L20よりも短いL21(図31(b)参照)となる(L21<L20)。従って、ケーブルCは、少なくとも基板側コネクタCNK20と基板側コネクタCNK10との離間距離が最長となる位置において必要な長さ寸法が確保されている。
配線処理装置690は、図29及び図30に示すように、所定長さを有するテープ部材691が巻回された状態で容器692内に収容されてなり、容器692の前面には、ガイド軸694aが突設され、背面側にはガイド溝815bに挿通されるガイド軸694bが突設されており、これら前後のガイド溝815a,815bにより、配線収納室812内を上下昇降可能に設けられている。
テープ部材691の一端は容器692内に設けられたゼンマイバネ(図示略)により一方向に回転付勢された巻取軸(図示略)に固定され、他端は容器692から引き出されて配線収納室812の下部所定箇所に固定されている。つまり、テープ部材691を巻き取る巻取軸は、ゼンマイバネにより常時テープ部材691を巻き取る方向に付勢されている。
また、ガイド軸694aには、ケーブルCを掛け渡し可能なケーブル係止用プーリ693がガイド軸694a周りに回動可能に設けられており、ケーブルCが掛け渡されている。
このようにケーブル係止用プーリ693にケーブルCが係止されている配線処理装置690は、図31(a)に示すように、役物806が下限位置にある場合、基板側コネクタCNK20と基板側コネクタCNK10との離間距離が長くなり、基板側コネクタCNK10が上部のケーブルガイド828から離れ、ゼンマイバネによる付勢力に抗してケーブルCが引張られるので、容器692は上昇されていく。
役物806が上昇した場合、基板側コネクタCNK20と基板側コネクタCNK10との離間距離が漸次短くなり、基板側コネクタCNK10が上部のケーブルガイド828に近づくことでケーブルCが余る、つまり張力が減衰することになる。ここで、ゼンマイバネによる付勢力により容器692が下方に常時付勢されていることで、ケーブルCにおけるケーブル係止用プーリ693に係止された箇所が、中継基板850,860間から離れる方向、つまり上下方向の移動領域に対し平行な方向である下方に移動される。
よって、余ったケーブルCが可動部807とベース部801との間に挟まったり、屈曲の繰り返しによりケーブルCが意図しない方向に屈曲したり捩れたりすることが防止される。また、互いに近づく基板側コネクタCNK10,20とこれらから離れたケーブル係止用プーリ693との3点に掛け渡されることで、ケーブルCをコンパクトに折り畳みながら引き離すことができる。
以上説明したように、本発明の実施例における第3演出装置800にあっては、可動部807の役物806が下限位置(第2位置)から上限位置(第1位置)まで下降すると、可動側配線保持部である基板側コネクタCNK10とベース側配線保持部である基板側コネクタCNK20とが近づくことで、その間に掛け渡されたケーブルC(配線部材)が余剰となるが、移動係止部であるケーブル係止用プーリ693が役物806に連動して下方に移動することで、余ったケーブルCの所定箇所が基板側コネクタCNK10,20間から引き離されるため、上昇してきた可動部807とベース部801との間に余ったケーブルCが挟まれたり屈曲や捩れたりすることによる断線が防止される。
また、配線処理装置690は、ケーブルCを係止する係止部であるケーブル係止用プーリ693を、常時下方に付勢する付勢手段としての巻取り装置にて構成されていることで、余ったケーブルCの所定箇所を係止して移動させるだけでなく、ケーブルC全体に常時適度な張力を付与するため、配線収納室812内に収納されているときでも捩れたりしにくいばかりか、ケーブル係止用プーリ693に係止されていない部位に弛みが生じて意図しない方向に移動して折れ曲がったりすることが防止される。
さらに、移動係止部であるケーブル係止用プーリ693は、役物806が上限位置(第1位置)に位置したときに、常にケーブルCの所定箇所を予め定められた位置まで移動させるのではなく、付勢力により移動可能な位置まで移動させるだけなので、例えばケーブルCの所定箇所が何らかの要因で引っ掛かりが生じた場合において、予め定められた位置まで無理に移動させることがないので、断線等が防止される。
また、ゼンマイバネにより付勢していることで、役物806の昇降に応じてケーブルCの余剰長さが変位しても、コイルバネ等に比べて付勢力が変化しにくいため、ケーブルCの張力が強くなりすぎたり弱まりすぎることが防止される。
また、ケーブル係止用プーリ694を基板側コネクタCNK10,20双方から離れる方向に付勢することにより移動させるゼンマイバネを含むことで、余ったケーブルCに常に張力が付与されることで弛みが生じにくいので、ケーブルCが意図しない方向に移動することが防止される。
また、容器692内に設けられたゼンマイバネにより移動されたケーブルCを収納する配線収納室812を備え、配線処理装置690は配線収納室812内に収納されていることで、移動されたケーブルCも配線処理装置690の容器692も配線収納室812にまとめて収納されるので、ケーブルCが意図しない方向に移動することが防止される。
また、配線収納室812は、役物806の移動方向に延設され、容器692内に設けられたゼンマイバネは、ケーブルCを役物806の移動方向に沿った方向である下方向に付勢することで、ケーブルCを役物806の移動方向に沿ってコンパクトに収納することができる。
また、付勢手段は、ケーブル係止用プーリ694が設けられるケース部材である容器692と、一端がベース部801の後面板811にテープ部材691を介して取り付けられ、他端が容器692に取り付けられたゼンマイバネと、から構成されていることで、ゼンマイバネはコイルバネ等に比べて付勢力の変化が小さいため、役物806の下降位置側への移動に応じてケーブルCにかかる張力が増大することが防止される。
次に、本発明の他の変形例としての第4演出装置900について説明する。図32は、(a)は下降位置にある第4演出装置を示す正面図、(b)は(a)のC−C断面図、(c)は第1駆動機構を示す概略図、(d)は(a)のD−D断面図である。図33は、(a)は上昇位置にある第4演出装置を示す正面図、(b)は(a)のE−E断面図、(c)は第1駆動機構を示す概略図、(d)は(a)のF−F断面図である。
第4演出装置900は、正面視略円形状の枠状部901a及び該枠状部901aの下部から下方に延出される基部901bからなり、ベース部909に対し上昇位置(図33参照)と下降位置(図32参照)との間で上下方向に移動可能に案内された移動部材901と、前記枠状部901a内に配置される発光部902a及び該発光部902aの下部から下方に延出され基部901b内に回動可能に軸支される回動軸902bからなる発光部材902と、移動部材901を上下方向に往復駆動する第1駆動機構903と、移動部材901に対して発光部材902のみを回動させる第2駆動機構904と、から主に構成される。枠状部901a内には、発光部902aに向けて光を出射可能に設けられたLED905が複数配設されている。
第1駆動機構903は、ベース部909に固定された第1駆動モータ906と、第1駆動モータ906の駆動軸に固着された駆動盤907aの周縁所定箇所に突設された連結軸907と、基部901b背面に左右方向に形成され、連結軸907が移動可能に嵌挿される連結長孔908と、から構成されている。第1駆動モータ906により駆動盤907aが回転されることにより、連結軸907が連結長孔908内を左右方向に移動しながら移動部材901を上下に移動させる。
第2駆動機構904は、ベース部909に固定された第2駆動モータ910と、第2駆動モータ910の駆動軸に固着されたピニオンギヤ911と、ピニオンギヤ911に噛合されるとともに、回動軸902bに対し軸心方向に摺動可能、かつ、軸心周りに回動不能に嵌挿された従動ギヤ912と、から構成されている。詳しくは、図32(d)に示すように、回動軸902bは断面視略D字形(非円形)をなし、従動ギヤ912にはこの回動軸902bとほぼ同形の貫通孔912aが形成されていることで、従動ギヤ912は回動軸902bに対し軸心方向に摺動可能、かつ、軸心周りに回動不能に嵌挿されている。
よって、第2駆動モータ910によりピニオンギヤ911及び従動ギヤ912が回転することで回動軸902bが回転して発光部902aが回転する一方、第1駆動モータ906による移動部材901の上下昇降時に回動軸902bの摺動を阻害することはないので、上下昇降させながら発光部902aを回転させることができる。
このように、長手方向にわたって特定の異形断面(D字形)で形成される異形状部を有する回動軸902bと、回動軸902bの異形状部に相当する形状の貫通孔912aが形成され回動軸902bが摺動可能に挿入される従動ギヤ912とを有してなり、回動軸902bおよび従動ギヤ912のうち一方の部材がベース部側に、他方の部材が可動部側に連結される駆動伝達軸と、該駆動伝達軸のベース部側の部材である従動ギヤ912に形成されたギヤに噛合されて回転方向の駆動力を伝達する回転駆動源(ピニオンギヤ911、第2駆動モータ910)と、前記駆動伝達軸の軸心方向(上下方向)に進退(昇降)駆動可能な進退部である連結軸907を有する進退駆動源(駆動盤907a、連結軸907、第1駆動モータ906)と、前記駆動伝達軸の可動部側の部材(回動軸902b)を軸心周りに回転可能に軸支するとともに軸心方向には移動不能に固定し、前記進退部の進退駆動に連動して前記軸心方向に移動可能な軸受部と、を備え、前記回転駆動源および前記進退駆動源はベース部909に固定されていることが好ましい。
すなわち、進退駆動源により可動部を軸心方向に移動させる際に回転駆動源の荷重が加わることがなく、また、回転駆動源により可動部を回転させる際に進退駆動源の荷重が加わることがないので、それぞれの駆動源にかかる負荷を軽減することができる。
このように昇降可能に設けられた第4演出装置900にあっても、LED905と演出制御基板80とを接続する配線のうち、移動部材901に設けられた基板側コネクタCNK50とベース部909側に設けられた基板側コネクタCNK60との間を接続するケーブルCが、第3演出装置にて適用された配線処理装置690と同様に2本のリンク部材にて形成される配線処理装置920に掛け渡されることで、配線処理装置690と同様の作用・効果を得ることができる。すなわち、移動部材901が下降位置に到達したときに、基板側コネクタCNK50,60の間からケーブルCの所定箇所を離れる方向に移動させることができる。
次に、本発明の他の変形例としての第5演出装置1800について説明する。図34は、(a)は第5演出装置が上昇位置にある状態を示す概略図、(b)は中間位置、(c)は下降位置にある状態を示す概略図である。
第5演出装置1800は、ベース部1801と、ベース部1801に対し可動自在に設けられた役物1802(図中点線で示すハート型の部材)と、役物1802を駆動する駆動機構1803と、から主に構成されている。駆動機構1803は、ベース部1801に対して回動軸1804を介して左端を中心として回動可能に設けられるとともに、右端に長孔1808が形成されたアーム1805と、図示しないモータにより駆動される駆動ギヤ1809と、から主に構成される。長孔1808には、役物1802が取り付けられる取付部材1807の上部に突設された連結軸1806が長手方向に摺動可能に嵌挿され、アーム1805と連結されている。
また、アーム1805の長手方向の中央位置には長孔1810が形成されており、該長孔1810内には、駆動ギヤ1809の偏心位置に突設された連結軸1811が長手方向に摺動可能に嵌挿され、アーム1805と連結されている。また、アーム1805の長孔1810近傍位置には、上端がベース部1801に取り付けられた引張りバネ1812の下端が取り付けられており、常時上方に付勢されている。
取付部材1807には、上下方向を向く左右一対のガイド溝1814が延設されており、ベース部1801の下部に突設された左右一対のガイド軸1813が嵌挿されている。ガイド溝1814は、上下方向に延びる直線部1814aと、直線部1814aの下端から連設された短寸の湾曲部1814bと、から構成されている。
このように構成された第5演出装置1800は、図示しないモータの駆動により駆動ギヤ1809が回転することにより、ベース部1801に対して役物1802が正面に位置する上昇位置(図34(a)参照)と、ベース部1801に対して役物1802が下方に位置する下降位置(図34(c)参照)と、の間で昇降可能に設けられている。
図34(a)に示すように、上昇位置において、アーム1805は、右端が回動軸1804よりも上方に位置するように右上がり傾斜状態となり、連結軸1811は、駆動ギヤ1809の回動軸1809aを通過する上向きの垂線Pよりもやや左側にずれた位置に配置される。この状態において、回動軸1809aと連結軸1811とを通過する直線が長孔1810の周縁上部に対して略直交する状態となるため、アーム1805に役物1802の荷重がかかったときに、連結軸1811が長孔1810の端部に当接されることにより回動が規制、つまりロックされることで、図示しないモータを停止しても駆動ギヤ1809が回転することはないため、アーム1805の下降が規制される。言い換えると、役物1802やアーム1805に何らかの力が加わっても、モータの駆動軸が回転してしまうことがない。また、取付部材1807は、ガイド溝1814の下端にガイド軸1813が位置するように配置されている。
また、アーム1805は、引張りバネ1812により上方に向けて付勢されている。具体的には、ベース部1801の前面側に設けられる役物1802と取付部材1807とを含む全ての部材の自重により引張りバネ1812にかかる下向きの力F2に対し、引張りバネ1812によって役物1802及び取付部材1807にかかる上向きの力F1の方が小さくなるように設定されている(F1<F2)。
つまり、引張りバネ1812にかかる上向きの力F1よりも役物1802及び取付部材1807にかかる下向きの力F2の方が大きいことで、引張りバネ1812の付勢力によって役物1802が上昇することがないようにしている。なお、上昇位置においても、引張りバネ1812は完全に縮小せずに若干の収縮力が残されていることで、上昇位置に配置されたときにも付勢力が働き、これにより上昇位置において連結軸1811にかかる荷重が僅かに軽減されるため、アーム1805の回転時にモータにかかる負荷を軽減することができる。
次いで、図示しないモータにより駆動ギヤ1809が時計回りに回転を始めると、図34(b)に示すように、連結軸1811は回動軸1809aの直上位置まで僅かに上昇したのち、頂部を乗り越えて下降を開始する。これに伴い、アーム1805の先端が回動軸1804を中心に回転して下降し始める。これにより、引張りバネ1812はアーム1805により下方に向けて引張られることでバネの付勢力も高まっていくが、引張りバネ1812にかかる下向きの力F2に対し、引張りバネ1812によって役物1802及び取付部材1807にかかる上向きの力F1の方が小さいことから、下降途中で引張りバネ1812にかかる下向きの力F2と役物1802及び取付部材1807にかかる上向きの力F1とが釣り合うことがないので、常に連結軸1806が長孔1808の下端縁を下方に向けて付勢する状態が続く。
なお、ステッピングモータからなるモータは、役物1802及び取付部材1807を上昇および下降させるのに必要なトルクを有しているため、下降させる際に、役物1802及び取付部材1807の荷重に負けて一気に落下されることはない。
図34(c)に示すように、下降位置において、アーム1805は、右端が回動軸1804よりも下方に位置するように右下がり傾斜状態となり、連結軸1811は、駆動ギヤ1809の回動軸1809aを通過する下向きの垂線P上、つまり駆動ギヤ1809の最下位置に配置される。また、取付部材1807は、ガイド溝1814の上端にガイド軸1813が位置するように配置される。
引張りバネ1812は、アーム1805により下方に向けて引っ張られることで付勢力も最大値になるが、このように付勢力が最大値となる下降位置においても、引張りバネ1812にかかる下向きの力F2に対し、引張りバネ1812によって役物1802及び取付部材1807にかかる上向きの力F1の方が小さいことから、例えば下降位置においてモータが停止された場合等において、役物1802及び取付部材1807が引張りバネ1812の付勢力によって下降位置から浮き上がることが防止される。
すなわち、アーム1805により下方に向けて引っ張られることで付勢力が最大値となる下降位置において、引張りバネ1812にかかる下向きの力F2に対し、引張りバネ1812によって役物1802及び取付部材1807にかかる上向きの力F1の方が小さいことから、例えば中間位置や上昇位置においても、F1<F2の関係が変わることがなく、昇降途中においてF1とF2とが釣り合う遊び区間が存在しないので、昇降動作が一時的に停止することが防止される。
このように構成された第5演出装置1800にあっては、役物1802が下降位置から上昇位置まで移動され、上昇位置に到達する直前に、ガイド軸1813が直線部1814aから湾曲部1814bに差し掛かる際に移動方向が変更されることで、役物1802の上昇スピードが抑制されるため、上昇位置においてガイド軸1813がガイド溝1814の端部に当接規制され、その反発力により役物1802が下降位置に向けて逆戻りすることが防止される。
また、一端が回動可能に軸支されたアーム1805を、該アーム1805の回動軸1804と平行に設けられた回動軸1809a周りを周回可能に設けられた連結軸1811に連結することにより揺動させる構造が採用されていることで、アーム1805は、上昇位置及び下降位置近傍では、中間位置辺りに比べて駆動ギヤ1809の回転に伴う昇降ストロークが小さくなる。これにより、上昇位置や下降位置手前においてアーム1805の移動速度が抑制されるため、特に上昇位置においてアーム1805が跳ね返って役物1802が上昇位置から僅かに下降してずれた位置に停止することが防止される。
このように構成された第5演出装置1800において、役物1802に設けられた図示しないLEDが設けられたLED基板と演出制御基板80とを接続する配線のうち、ベース部1801側に設けられた基板側コネクタCNK30と役物1802側に設けられた基板側コネクタCNK40との間が、配線側コネクタCNH30,40を介して基板側コネクタCNK30,40に接続されたケーブルCにて構成されている。また、ケーブルCの所定箇所は、一端がベース部1801に固定された引張りバネ1821の下端に設けられるケーブル係止用プーリ1820に掛け渡されている。つまり、これら引張りバネ1821及びケーブル係止用プーリ1820により配線処理装置が構成されている。
この配線処理装置にあっても、図34(a)に示すように、役物1802の上昇位置において基板側コネクタCNK30,40の距離が近づくことになるが、このとき引張りバネ1821の付勢力によりケーブル係止用プーリ1820が上方に付勢され、基板側コネクタCNK30,40との間から離れる方向に移動するため、余ったケーブルCがベース部1801と取付部材1807との間に挟まることがなく、前記実施例の配線処理装置と同様の作用・効果を奏する。
また、配線処理装置を構成するケーブル係止用プーリ1820及び引張りバネ1821は、ケーブル係止用プーリ1820を基板側コネクタCNK30,40双方から離れる方向に付勢することにより移動させる引張りバネ1820を含むことで、余ったケーブルCに常に張力が付与されることで弛みが生じにくいので、ケーブルCが意図しない方向に移動することが防止される。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
また、前記実施例では、遊技媒体の一例として、球状のパチンコ球(遊技球)が適用されていたが、球状の遊技媒体に限定されるものではなく、例えばメダル等の非球状の遊技媒体であってもよい。
また、遊技機の一例として、遊技媒体としてのパチンコ球を用いて遊技を行うことが可能なパチンコ遊技機1が適用されていたが、メダルやクレジット等の遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の図柄を変動表示可能な可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシン、雀球、アレンジボール等の種々の遊技機にも適用可能である。