JP2012215866A - 偏光レンズの製造方法、偏光レンズ、防眩製品および防護製品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】偏光性薄膜3の両面に熱可塑性樹脂層1および2を設けた偏光板を、凸面側が該熱可塑性樹脂層1となり、凹面側が該熱可塑性樹脂層2となるように、曲面状に熱曲げ成形する成形工程と、該偏光板の凹面側に射出樹脂4を射出する射出成形工程と、該射出成形物を硬化させる硬化工程と、を有し、該熱可塑性樹脂1の荷重たわみ温度a(℃)、該射出樹脂4の荷重たわみ温度b(℃)、該硬化工程での硬化温度c(℃)が、式(i)(ii)(iii)を満たす偏光レンズの製造方法。a−10≦c≦a+60(i)、c≦b+10(ii)、a≦b(iii)。
【選択図】図1
Description
熱可塑性樹脂シートを用いた偏光板において1.5mm程度の比較的厚みのあるものは球面曲げを行った後そのまま偏光レンズに加工されている。(例えば、参考文献1参照)
この方法で作製された偏光レンズは、屈折率および球面曲げ後の凸面と凹面の曲率半径の違いにより意図しないわずかな度数が発生してしまい、サングラス用レンズとしては実用上好ましくないためレンズの曲率半径に制約を受ける場合があった。
上記問題を解決するため、最近では偏光板を球面成形させた後、その凹面にインサートモールド射出成形により樹脂を射出することによって凸面と凹面の曲率半径を光学的に制御し度数を抑制する方法が用いられている。(例えば、特許文献2参照)
しかしながら、一般的にインサートモールド射出成形を行ったのちに表面処理を行う工程があり、この工程内でレンズを加熱することがある。この加熱によって射出成形型の形状よりも曲率半径が小さくなる現象が起こり、製品の設計によって、例えば両眼一体型レンズを用いたサングラスやゴーグル、バイザーなどでは、設計よりも顔の正面に対し目の位置で斜めにレンズが配されるため、視認性が低下することとなる。
またインサートモールド射出成形を行った後に表面処理を行う工程ではレンズを紫外線照射や電子線照射する工程も含まれることがあり、事実上レンズに熱が与えられる場合もある。その工程でも加熱時と同様に曲率半径が小さくなる現象が起こり、同様の原因により視認性が低下することとなる。
従来は曲率半径が小さくなり、視認性が低下する現象を回避するためには、射出型の再設計が必要となるが、この場合同形状のインサートモールド射出成形されずに製造される非偏光レンズを同様の型で作製することができなくなるため、射出型を2種類作製しなければならないことからコストアップとなり、また金型の交換も必要となるため作業が煩雑となる問題があった。
[1] 偏光性薄膜の両面に熱可塑性樹脂層(1)および(2)を設けた偏光板を、凸面側が該熱可塑性樹脂層(1)となり、凹面側が該熱可塑性樹脂層(2)となるように、曲面状に熱曲げ成形し、偏光板の曲面成形物を得る熱曲げ成形工程と、
該偏光板の曲面成形物の凹面側に、射出樹脂を射出する射出成形により、該偏光板の曲面成形物の凹面側に該射出樹脂層を形成させて、射出成形物を得る射出成形工程と、
該射出成形物に表面処理を施し、偏光レンズを得る表面処理工程と、を有し、
該熱可塑性樹脂(1)の荷重たわみ温度a(℃)、該射出樹脂の荷重たわみ温度b(℃)、該表面処理工程の処理温度c(℃)が、以下の式(i)(ii)(iii)を満たす偏光レンズの製造方法。
a−10≦c≦a+60 (i)
c≦b+10 (ii)
a≦b (iii)
[2] 前記表面処理工程が、加熱工程を有する[1]に記載の偏光レンズの製造方法。[3] 前記加熱工程が、前記射出成形物に熱硬化性樹脂を表面処理した後に、該熱硬化性樹脂を硬化させる加熱工程であって、加熱温度cが40℃以上200℃以下であることを特徴とする[1]または[2]に記載の偏光レンズの製造方法。
[4] 前記熱可塑性樹脂(1)および前記熱可塑性樹脂(2)および前記射出樹脂がポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、トリアセチルセルロース系樹脂、またはこれらの混合物や共重合体である[1]ないし[3]のいずれか1項に記載の偏光レンズの製造方法。
[5] 前記熱可塑性樹脂層(1)および前記熱可塑性樹脂層(2)の厚みが、0.01mm以上1.5mm以下である[1]ないし[4]のいずれか1項に記載の偏光レンズの製造方法
[6] 前記射出樹脂層の厚みが、0.025mm以上1.95mm以下である[1]ないし[5]のいずれか1項に記載の偏光レンズの製造方法
[7] 前記偏光レンズの最小厚みが、0.3mm以上3mm以下である[1]ないし[6]のいずれか1項に記載の偏光レンズの製造方法
[8] 前記偏光板の厚みが、0.05mm以上1.8mm以下である[1]ないし[7]のいずれか1項に記載の偏光レンズの製造方法。
[9] 前記[1]から[8]のいずれか1項に記載の偏光レンズの製造方法によって製造される偏光レンズ。
[10] 前記[9]に記載の偏光レンズを用いて製造される防眩製品または防護製品。
該偏光板の曲面成形物の凹面側に、射出樹脂を射出する射出成形により、該偏光板の曲面成形物の凹面側に該射出樹脂層を形成させて、射出成形物を得る射出成形工程と、
該射出成形物に表面処理を施し、偏光レンズを得る表面処理工程と、を有し、
該熱可塑性樹脂(1)の荷重たわみ温度a(℃)、該射出樹脂の荷重たわみ温度b(℃
)、該表面処理工程での表面処理工程の処理温度c(℃)が、以下の式(i)(ii)(iii)を満たす偏光レンズの製造方法。
a−10≦c≦a+60 (i)
c≦b+10 (ii)
a≦b (iii)
図1は、偏光性薄膜3の両面に熱可塑性樹脂(1)および熱可塑性樹脂(2)を設けた偏光板を、凸面側が該熱可塑性樹脂(1)となり、凹面側が該熱可塑性樹脂(2)となるように、曲面状に熱曲げ成形し、偏光板の曲面成形物を得る熱曲げ成形工程と、
該偏光板の曲面成形物の凹面側に、射出樹脂(4)を射出する射出成形により、該偏光板の曲面成形物の凹面側に該射出樹脂層を形成させて、射出成形物を得る射出成形工程と、
該射出成形物に表面処理を施して、偏光レンズを得る表面処理工程と、を有する偏光レンズの断面図である。
偏光性薄膜としては、例えば、ポリビニルアルコールなどの高分子フィルムをヨウ素や二色性染料などの二色性色素を溶解させた水溶液中にて染色、ホウ酸処理、一軸延伸を施すことによって得られるものが挙げられる。偏光性薄膜は、偏光度が好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上であり、さらには熱曲げ成形工程、射出成形工程、表面処理工程での加熱により極端な変色、クラックが起こらない程度の耐熱性を有することが好ましい。
熱可塑性樹脂層(1)に係る熱可塑性樹脂(1)および熱可塑性樹脂層(2)に係る熱可塑性樹脂(2)は、同じであっても、異なっていてもよい。
さらには、ポリカーボネート樹脂、またはポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂の混合物をいずれかの樹脂層に用いることにより、荷重たわみ温度を分子量や混合比率で制御を行うことが容易となる。
また、偏光板の曲面の内側に配される熱可塑性樹脂と射出樹脂とは、射出時の密着性を考慮して選ばれる。
熱可塑性樹脂層(1)に係る熱可塑性樹脂(1)および熱可塑性樹脂層(2)に係る熱可塑性樹脂(2)の荷重たわみ温度は、特に制限されないが、好ましくは30℃以上190℃以下、特に好ましくは40℃以上150℃以下である。
荷重たわみ温度は測定方法、条件により値が異なるが、本発明内での荷重たわみ温度については後述するJIS K 7191−2「荷重たわみ温度の求め方−第2部:プラスチック及びエボナイト」に記載のフラットワイズ法におけるA法にて測定した値を指す。
熱曲げ成形工程では、偏光板を曲面状に熱曲げ成形する。このとき、凸面側が該熱可塑性樹脂層(1)となり、凹面側が該熱可塑性樹脂層(2)となるように、偏光板を曲面状に熱曲げ成形する。
熱曲げ成形工程の成形条件は、成形方法による影響も大きいことから温度は特に制限されないが好ましくは熱可塑性樹脂層(1)および(2)のうち、高い値を示す荷重たわみ温度よりも30℃低い温度以上、かつ30℃高い温度以下であることが好ましい。また、熱曲げ成形工程では、得られる偏光板の曲面成形物の形状が、レンズとして使用する際の水平方向の断面形状が円弧状または楕円弧状となるように成形する。
そして、熱曲げ成形工程を行うことにより、偏光板の曲面体成形物を得る。
本発明の曲面状に熱曲げ成形を行う工程は、例えば、金型への真空吸引、雄型と雌型によるプレス、圧空などの方法、または、雄型と雌型によるプレスを行った後に真空吸引を行うなど、これらを組み合わせた方法などが挙げられる。
さらには、ポリカーボネート樹脂、またはポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂の混合物をいずれかの樹脂層に用いることにより、荷重たわみ温度を分子量や混合比率で制御を行うことが容易となる。
また、偏光板の凹面側に配される熱可塑性樹脂(2)と射出樹脂とは、射出時の密着性を考慮して選ばれる。
射出樹脂の荷重たわみ温度は、特に制限されないが、好ましくは40℃以上170℃以下、特に好ましくは90℃以上150℃以下である。
また、上記射出樹脂は、射出樹脂以外に各種添加剤を含有した射出樹脂組成物であってもよい。射出樹脂組成物としては、紫外線照射による場合は紫外線によって重合や硬化が進行するように樹脂組成物中に光重合開始剤などを含有していてもよい。
このような樹脂を用いることにより、射出樹脂の収縮を制御することが可能となる。
そのため、本発明では、a≦bとなるような、熱可塑性樹脂層(1)に係る熱可塑性樹脂(1)と射出樹脂との組み合わせを選択する。
射出成形工程では、偏光板の曲面成形物の凹面側に、射出樹脂(組成物)を射出する射出成形により、偏光板の曲面成形物の凹面側に射出樹脂層を形成させて、射出成形物を得る。更に具体的には、射出成形用金型内に、偏光板の曲面成形物を設置し、次いで、溶融させた射出樹脂(組成物)を射出注入することにより、偏光板の曲面成形物の凹面側に射
出樹脂層を形成させる。
そして、射出成形工程を行うことにより、偏光板の曲面体成形物の凹面側に射出樹脂層が形成されている射出成形物(曲面体)を得る。
本発明の射出成形工程は、例えば、熱曲げ成形工程で得られた曲面体成形物を、レンズ形状の金型内に挿入し、曲面体成形物の凹面側に溶融させた射出樹脂を注入することにより行うことができる。
射出圧力、射出温度、金型温度など射出条件は射出歪みの残留応力に影響することから、極力条件のばらつきが起こらないように条件を固定して行うことが望ましい。
また該加熱工程に先立ち、射出成形物表面に対して熱硬化性樹脂を塗布する工程を経ることが好ましい。塗布する工程については一般的に用いられる浸漬法、フローコート法、カーテンコート法、スプレーコート法などが挙げられる。熱硬化性樹脂にはハードコート性、防曇性、易染色性、易印刷性、耐光性、耐薬品性、フォトクロミック性などの機能を付与するために添加材を含むことができる。
加熱工程において、射出成形物(曲面体)を加熱する際の加熱時間は、好ましくは3分以上6時間以下、特に好ましくは10分以上2時間以下である。時間が短いと表面層の基材に対する密着性や表面層の硬度の観点から表面処理の効果が十分に得られない、時間が長いと偏光レンズ表面の外観不良や、偏光レンズ自体が変形してしまうなどの不具合の可能性がある。
本発明の加熱工程は、例えば、熱風オーブン、赤外線ヒーター加熱、熱源との接触などの方法を用いることができる。加熱温度または加熱時間などの加熱条件は、用いる熱可塑性樹脂の種類によって適宜設定を行い、所望のレンズ形状に制御することができる。
このように加熱条件はレンズ形状に影響を及ぼすため、条件のばらつきが起こらないように条件を固定して行うことが望ましい。なお、この加熱工程は、ハードコート処理、蒸着処理、染色処理、印刷処理などに代表される他の処理を行う際に同時に実施しても良い。
このように加熱工程を行うことにより、偏光レンズを得る。
表面塗膜となる硬化層を設ける方法には浸漬法、フローコート法、カーテンコート法、スプレーコート法などが挙げられる。十分な密着性が得られやすく、表面コート膜厚が均一になるように紫外線硬化型樹脂組成物をコートした後に硬化させて表面塗膜となる硬化層を設ける方法が好ましい。
そして紫外線照射による場合は紫外線によって重合や硬化が進行するように樹脂組成中に光重合開始剤などの添加剤を入れることが好ましい。またそれ以外にもハードコート性、防曇性、易染色性、易印刷性、耐光性、耐薬品性、フォトクロミック性などの機能を付与するために添加材を含むことができる。
なお、溶剤を含む樹脂組成物を使用する場合は、硬化工程の前に熱可塑性樹脂シートおよび塗布された樹脂組成物の温度を上げ、充分に溶剤を蒸発させる工程を経ることが好ましい。また樹脂組成物の硬化に電子線照射装置を用いることもできる。このとき電子線は紫外線よりもエネルギーが高く、光重合開始剤の存在なしに重合開始種(ラジカル種)を発生でき、樹脂組成物の硬化が起こるため、光重合開始剤の添加はなくてもよい。
<熱可塑性樹脂層(1)および(2)となるフィルムの作製>
ポリアミド樹脂A(EMS社製 グリルアミド TR−90)をベント式単軸押出機により0.5mmのシートに成形した後に1.9倍一軸延伸して0.33mmの熱可塑性樹脂層(1)Aを得た。またポリカーボネート樹脂Z(ユーピロンE−2000FN、三菱エンジニアプラスチック社製)をベント式単軸押出機により成形を行い同様に延伸し、0.33mmの熱可塑性樹脂層(2)Zを得た。
<荷重たわみ温度測定用試験片の作製>
ポリアミド樹脂A(EMS社製 グリルアミド TR−90)をベント式単軸押出機に
より得られた6.1mmのシートを1.9倍に一軸延伸して4.0mmの試験片を得た。<荷重たわみ温度a(℃)の測定>
上記にて得られた試験片を長さ80mm×幅10mm×厚み4mmにカットした上でテスター産業社製HDTテスターを用いてJIS K 7191−2に記載の方法「フラットワイズ法におけるA法」を用い、荷重たわみ温度を測定した。測定条件は荷重:1.8MPa、昇温速度120℃/時間、測定温度を25℃から昇温させ、規定のたわみ0.34mmが発生するまで昇温を続けた。同様の測定を2回行い、それらの平均値を試験片の荷重たわみ温度とした。試験片の荷重たわみ温度は115.3℃であった。
ポリビニルアルコールフィルム(クラレビニロン#7500、クラレ社製)を水槽中で延伸しながら、C.I.ダイレクトブラック17を溶解した水溶液にて染色した後にホウ酸溶液中に浸漬処理し、さらに水洗、乾燥処理を行うことで得られた偏光性薄膜の両面に、一液型湿気硬化型ポリウレタン系接着剤を塗布した後に、得られた熱可塑性樹脂層(1)Aおよび熱可塑性樹脂層(2)Zをそれぞれ片面ずつ貼り合わせ、0.7mmの偏光板Aを得た。
<曲面体成形物の作製:熱曲げ成形工程>
得られた偏光板Aを吸収軸方向(偏光性薄膜の延伸方向)に180mm、偏光軸方向(偏光性薄膜の延伸方向と垂直な方向)に90mmの長方形に打ち抜いた後、70℃にて12時間予備乾燥し、金型温度130℃、曲率半径83mmの球面形状のプレス成形型を用いプレス成形を行うことによって球面形状を賦形させ曲面体成形物Aを得た。
<曲面体の作製:射出成形工程>
得られた曲面体成形物Aを、曲率半径83mm、中心部のキャビティ間隙2.0mm、中心部から円周上に70mmの位置のキャビティ間隙が1.5mmのレンズ金型を取り付けた射出成形機に挿入し、その凹面側に射出樹脂としてポリカーボネート樹脂Y(ユーピロンH−3000N、三菱エンンジニアプラスチック社製)を用いて、金型温度100℃、射出樹脂温度300℃の条件で射出一体化し曲面体Aを製作した。
射出樹脂の荷重たわみ温度b(℃)は131.2℃であり、測定は上記荷重たわみ温度の測定法で行った。
得られた曲面体Aの吸収軸方向の曲率半径は78mmであった。
この曲面体Aを加熱温度c(℃)として120℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施し、偏光レンズAを得た。得られた偏光レンズAを1時間室温に放置した後の吸収軸方向の曲率半径は86mmであった。
<視認性の評価>
図2に示したように、加熱工程後の偏光レンズA(5)を吸収軸方向(9)が水平に、かつ偏光軸方向が垂直に、かつ観察物とレンズ表面が垂直になるような位置に置き、レンズの水平方向に対して10m離れた場所に観察物(7)を置き、偏光レンズの凹面側にレンズ中心(8)より吸収軸方向に3cm平行移動させて三脚にて固定した倍率30倍の単眼鏡(6)で観察物(7)を観察した。
上記作製した曲面体A(加熱処理前)を同様の方法にて観察した場合の見え方を基準とした比較評価を行ったところ、基準よりも偏光レンズAは、観察物(7)が明瞭に見え、視認性は良好であった。
以下の実施例1〜10および比較例1、3、4、6においても上記と同様の方法にて視認性の評価を行った。基準は該当実施例、該当比較例における加熱処理前の曲面体の観察物(7)の見え方とする。評価結果は偏光レンズを用いた場合の観察物(7)が基準よりも明瞭に見え、視認性が良好であるものを「○」、基準と見え方が同等程度であるものを「△」、基準よりも不明瞭で視認性が劣るものを「×」とし結果を表1、表2、表3に示した。
ポリカーボネート樹脂Zを80重量部と、ポリエステル樹脂B(スカイグリーンJ−2003、SKケミカル社製)を20重量部とをミキサーで混合し、ベント式単軸押出機により得られた熱可塑性樹脂層(1)Bおよび試験片を得た。得られた試験片の荷重たわみ温度a(℃)は、117.9℃であった。
また、熱可塑性樹脂層(2)についても熱可塑性樹脂層(1)Bを用いた。これ以外は実施例1と同様の方法にて曲面体Bを得た。得られた曲面体Bの吸収軸方向の曲率半径は80mmであった。
この曲面体Bを加熱温度c(℃)として120℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施して偏光レンズBを得た後に、この偏光レンズBを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径測定したところ93mmであった。視認性の評価は「○」であった。
[実施例3]
ポリカーボネート樹脂Zを60重量部と、ポリエステル樹脂B(スカイグリーンJ−2003、SKケミカル社製)を40重量部とをミキサーで混合し、ベント式単軸押出機により得られた熱可塑性樹脂層(1)Cおよび試験片を得た。得られた試験片の荷重たわみ温度a(℃)は、101.1℃であった。
また、熱可塑性樹脂層(2)についても熱可塑性樹脂層(1)Cを用いた。それ以外は実施例1と同様の方法にて曲面体Cを得た。得られた曲面体Cの吸収軸方向の曲率半径は79mmであった。
この曲面体Cを加熱温度c(℃)として110℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施して偏光レンズCを得た後に、この偏光レンズCを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径測定したところ95mmであった。視認性の評価は「○」であった。
[実施例4]
アクリル樹脂(三菱レイヨン社製 IRG304)を用いて実施例1と同様の方法で熱可塑性樹脂層(1)Dと試験片を得た。得られた試験片の荷重たわみ温度a(℃)は、94.5℃であった。
また、熱可塑性樹脂層(2)については実施例1の熱可塑性樹脂層(2)Zを用いた。それ以外は実施例1と同様の方法にて曲面体Dを得た。得られた曲面体Dの吸収軸方向の曲率半径は75mmであった。
この曲面体Dを加熱温度c(℃)として110℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施して偏光レンズDを得た後に、この偏光レンズDを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径測定したところ95mmであった。視認性の評価は「○」であった。
ポリエステル樹脂(スカイグリーンK2012、SKケミカル社製)を用いて実施例1と同様の方法で熱可塑性樹脂層(1)Eと試験片を得た。得られた試験片の荷重たわみ温度a(℃)は、89.1℃であった。
また、熱可塑性樹脂層(2)については実施例1と同様の熱可塑性樹脂層(2)Zを用いた。それ以外は実施例1と同様の方法にて曲面体Eを得た。得られた曲面体Eの吸収軸方向の曲率半径は76mmであった。
この曲面体Eを加熱温度c(℃)として110℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施して偏光レンズEを得た後に、この偏光レンズEを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径を測定したところ102mmであった。視認性の評価は「○」であった。
[実施例6]
熱可塑性樹脂層(1)Fとして、厚み80μmのトリアセチルセルロースフィルムF(
フジタックT80SN、富士フィルム社製)を用いた。(これを以下フィルムFとする。)また、熱可塑性樹脂層(2)については実施例1と同様の熱可塑性樹脂層(2)Zを用いた。荷重たわみ温度測定用試験片についてはフィルムFの表面に対して、塩化メチレンを塗布し、さらにフィルムFを重ね溶着し、これを厚み4.0mm±0.1mmになるまで重ね合わせ、試験片を得た。
厚み4.0mmまで重ね合わせた試験片の荷重たわみ温度a(℃)を測定した結果、76.0℃であった。その他は実施例1と同様の方法にて曲面体Fを得た。得られた曲面体Fの吸収軸方向の曲率半径は78mmであった。
この曲面体Fを加熱温度c(℃)として100℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施して偏光レンズFを得た後に、この偏光レンズFを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径測定したところ84mmであった。視認性の評価は「○」であった。
[実施例7]
曲面体は実施例2で用いた曲面体Bを用い、曲面体Bの吸収軸方向の曲率半径は80mmであった。この曲面体Bを加熱温度c(℃)として110℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施して偏光レンズGを得た後に、この偏光レンズGを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径測定したところ87mmであった。視認性の評価は「○」であった。
曲面体は実施例3で用いた曲面体Cを用い、曲面体Cの吸収軸方向の曲率半径は79mmであった。この曲面体Cを加熱温度c(℃)として130℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施して偏光レンズHを得た後に、この偏光レンズHを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径測定したところ97mmであった。視認性の評価は「○」であった。
[実施例9]
曲面体は実施例6で用いた曲面体Fを用い、曲面体Fの吸収軸方向の曲率半径は78mmであった。この曲面体Fを加熱温度c(℃)として70℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施して偏光レンズIを得た後に、この偏光レンズIを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径測定したところ82mmであった。視認性の評価は「○」であった。
[実施例10]
曲面体は実施例6で用いた曲面体Fを用い、曲面体Fの吸収軸方向の曲率半径は78mmであった。この曲面体Fを加熱温度c(℃)として130℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施して偏光レンズJを得た後に、この偏光レンズJを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径測定したところ86mmであった。視認性の評価は「○」であった。
実施例2で用いた吸収軸方向の曲率半径が80mmである曲面体Bを用いた。曲面体Bを加熱温度c(℃)として100℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を行い、偏光レンズKを得た後に、この偏光レンズKを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径測定したところ79mmであった。視認性の評価は「△」であった。
[比較例2]
実施例2で用いた吸収軸方向の曲率半径が80mmである曲面体Bを用いた。曲面体Bを加熱温度c(℃)として155℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を行い、偏光レンズLを得たが、偏光レンズとして使用不可能な形状に変形した。視認性の評価は偏光レンズとして使用不可能であることから行わなかった。
[比較例3]
実施例3で用いた吸収軸方向の曲率半径が79mmである曲面体Cを用いた。曲面体C
を加熱温度c(℃)として145℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を行い、偏光レンズMを得た後に、この偏光レンズMを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径測定したところ73mmであった。視認性の評価は「×」であった。
実施例4で用いた吸収軸方向の曲率半径が75mmである曲面体Dを用いた。曲面体Dを加熱温度c(℃)として155℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を行い、偏光レンズNを得た後に、この偏光レンズNを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径測定したところ76mmであった。視認性の評価は「△」であった。
[比較例5]
実施例5で用いた吸収軸方向の曲率半径が76mmである曲面体Eを用いた。曲面体Eを加熱温度c(℃)として70℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を行い、偏光レンズOを得たが、偏光レンズとして使用不可能な形状に変形した。視認性の評価は、偏光レンズとして使用不可能であることから行わなかった。
[比較例6]
実施例5で用いた吸収軸方向の曲率半径が76mmである曲面体Eを用いた。曲面体Eを加熱温度c(℃)として145℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を行い、偏光レンズPを得た後に、この偏光レンズPを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径測定したところ70mmであった。視認性の評価は「×」であった。
比較例1〜6では、加熱工程を行った際に曲率半径が同等または小さくなり視認性に劣ったり、または射出樹脂が完全に軟化したりすることにより偏光レンズ形状を保持できないため、劣る結果となった。
<熱可塑性樹脂層(1)および(2)となるフィルムの作製>
ポリカーボネート樹脂Z(ユーピロンE−2000FN、三菱エンジニアプラスチック
社製)を80重量部と、ポリエステル樹脂B(スカイグリーンJ−2003、SKケミカル社製)を20重量部とをミキサーで混合した樹脂をベント式単軸押出機により0.5mmのシートに成形した後に1.9倍一軸延伸して0.35mmの熱可塑性樹脂層(1)Aを得た。またポリカーボネート樹脂Zを同様にベント式単軸押出機により成形を行い延伸し、0.35mmの熱可塑性樹脂層(2)Zを得た。
<荷重たわみ温度測定用試験片の作製>
ポリカーボネート樹脂Z(ユーピロンE−2000FN、三菱エンジニアプラスチック社製)を80重量部と、ポリエステル樹脂B(スカイグリーンJ−2003、SKケミカル社製)を20重量部とをミキサーで混合した樹脂をベント式単軸押出機により得られた6.1mmのシートを1.9倍に一軸延伸して4.0mmの試験片を得た。
<荷重たわみ温度a(℃)の測定>
上記にて得られた試験片を長さ80mm×幅10mm×厚み4mmにカットした上でテスター産業社製HDTテスターを用いてJIS K 7191−2に記載の方法「フラットワイズ法におけるA法」を用い、荷重たわみ温度を測定した。測定条件は荷重:1.8Mpa、昇温速度120℃/時間、測定温度を25℃から昇温させ、規定のたわみ0.34mmが発生するまで昇温を続けた。同様の測定を2回行い、それらの平均値を試験片の荷重たわみ温度とした。試験片の荷重たわみ温度は117.9℃であった。
ポリビニルアルコールフィルム(クラレビニロン#7500、クラレ社製)を水槽中で延伸しながら、C.I.ダイレクトブラック17を溶解した水溶液にて染色した後にホウ酸溶液中に浸漬処理し、さらに水洗、乾燥処理を行うことで得られた偏光性薄膜の両面に、一液型湿気硬化型ポリウレタン系接着剤を塗布した後に、得られた熱可塑性樹脂層(1)Aおよび熱可塑性樹脂層(2)Zをそれぞれ片面ずつ貼り合わせ、0.8mmの偏光板A1を得た。
<曲面体成形物の作製:熱曲げ成形工程>
得られた偏光板A1を吸収軸方向(偏光性薄膜の延伸方向)に180mm、偏光軸方向(偏光性薄膜の延伸方向と垂直な方向)に90mmの長方形に打ち抜いた後、70℃にて12時間予備乾燥し、金型温度130℃、曲率半径83mmの球面形状のプレス成形型を用いプレス成形を行うことによって球面形状を賦形させ曲面体成形物A1を得た。
<曲面体の作製:射出成形工程>
得られた曲面体成形物A1を、曲率半径83mm、中心部のキャビティ間隙2.0mm、中心部から円周上に70mmの位置のキャビティ間隙が1.5mmのレンズ金型を取り付けた射出成形機に挿入し、その凹面側に射出樹脂としてポリカーボネート樹脂Y(ユーピロンH−3000N、三菱エンンジニアプラスチック社製)を用いて、金型温度100℃、射出樹脂温度300℃の条件で射出一体化し曲面体A1を製作した。
射出樹脂の荷重たわみ温度b(℃)は131.2℃であり、測定は上記荷重たわみ温度の測定法で行った。
得られた曲面体AAの吸収軸方向の曲率半径は80mmであった。
この曲面体AAを加熱温度c(℃)として120℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施し、偏光レンズAを得た。得られた偏光レンズAAを1時間室温に放置した後の吸収軸方向の曲率半径は91mmであった。
<視認性の評価>
図2に示したように、加熱工程後の偏光レンズAA(5)を吸収軸方向(9)が水平に、かつ偏光軸方向が垂直に、かつ観察物とレンズ表面が垂直になるような位置に置き、レンズの水平方向に対して10m離れた場所に観察物(7)を置き、偏光レンズの凹面側にレンズ中心(8)より吸収軸方向に3cm平行移動させて三脚にて固定した倍率30倍の単眼鏡(6)で観察物(7)を観察した。
上記作製した曲面体AA(表面処理工程前)を同様の方法にて観察した場合の見え方を基準とした比較評価を行ったところ、基準よりも偏光レンズAAは、観察物(7)が明瞭に見え、視認性は良好であった。
以下の実施例11〜34および比較例11〜13、15〜17、19、22、26においても上記と同様の方法にて視認性の評価を行った。基準は該当実施例、該当比較例における表面処理工程前の曲面体の観察物(7)の見え方とする。評価結果は偏光レンズを用いた場合の観察物(7)が基準よりも明瞭に見え、視認性が良好であるものを「○」、基準と見え方が同等程度であるものを「△」、基準よりも不明瞭で視認性が劣るものを「×」とし結果を表4、表5、表6、表7、および表8に示した。
実施例11と同様の方法を用いて作製した曲面体を用いた。この実施例で使用した曲面体ABの吸収軸方向の曲率半径は81mmであった。
この曲面体ABを加熱温度c(℃)として110℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施して偏光レンズABを得た後に、この偏光レンズABを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径を測定したところ85mmであった。視認性の評価は「○」であった。
[実施例13]
実施例11と同様の方法を用いて作製した曲面体を用いた。この実施例で使用した曲面体ACの吸収軸方向の曲率半径は79mmであった。
この曲面体ACを加熱温度c(℃)として140℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施して偏光レンズACを得た後に、この偏光レンズACを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径を測定したところ95mmであった。視認性の評価は「○」であった。
ポリカーボネート樹脂Z(ユーピロンE−2000FN、三菱エンジニアプラスチック社製)を80重量部と、ポリエステル樹脂B(スカイグリーンJ−2003、SKケミカル社製)を20重量部とをミキサーで混合した樹脂をベント式単軸押出機により0.15mmのシートに成形した後に1.9倍一軸延伸して0.1mmの熱可塑性樹脂層(1)を得た。またポリカーボネート樹脂Zを同様にベント式単軸押出機により成形を行い延伸し、0.35mmの熱可塑性樹脂層(2)Zを得た。
実施例11と同様の方法を用いて偏光板の作製を行い、厚み0.55mmの偏光板ADを得た。この偏光板ADを実施例11と同様の方法を用いて曲面体成形物の作製および曲面体の作製を行い、曲面体ADを得た。得られた曲面体ADの吸収軸方向の曲率半径は80mmであった。
この曲面体ADを加熱温度c(℃)として120℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施し、偏光レンズADを得た。得られた偏光レンズADを1時間室温に放置した後の吸収軸方向の曲率半径は86mmであった。視認性の評価は「○」であった。
[実施例15]
ポリカーボネート樹脂Z(ユーピロンE−2000FN、三菱エンジニアプラスチック社製)を80重量部と、ポリエステル樹脂B(スカイグリーンJ−2003、SKケミカル社製)を20重量部とをミキサーで混合した樹脂をベント式単軸押出機により1.5mmのシートに成形した後に1.9倍一軸延伸して1.0mmの熱可塑性樹脂層(1)を得た。またポリカーボネート樹脂Zを同様にベント式単軸押出機により成形を行い延伸し、0.35mmの熱可塑性樹脂層(2)Zを得た。
実施例11と同様の方法を用いて偏光板の作製を行い、厚み1.45mmの偏光板AEを得た。この偏光板AEを実施例11と同様の方法を用いて曲面体成形物の作製および曲面体の作製を行い、曲面体AEを得た。得られた曲面体AEの吸収軸方向の曲率半径は79mmであった。
この曲面体AEを加熱温度c(℃)として120℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施し、偏光レンズAEを得た。得られた偏光レンズAEを1時間室温に放置した後の吸収軸方向の曲率半径は93mmであった。視認性の評価は「○」であった。
実施例11と同様の方法を用いて得た曲面体成形物A1を曲率半径83mm、中心部のキャビティ間隙1.4mm、中心部から円周上に70mmの位置のキャビティ間隙が0.9mmのレンズ金型を取り付けた射出成形機に挿入し、その凹面側に射出樹脂としてポリカーボネート樹脂Yを用いて、金型温度100℃、射出樹脂温度300℃の条件で射出一体化し曲面体AFを製作した。得られた曲面体AFの吸収軸方向の曲率半径は80mmであった。
この曲面体AFを加熱温度c(℃)として120℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施し、偏光レンズAFを得た。得られた偏光レンズAFを1時間室温に放置した後の吸収軸方向の曲率半径は96mmであった。視認性の評価は「○」であった。
[実施例17]
実施例11と同様の方法を用いて得た曲面体成形物A1を曲率半径83mm、中心部のキャビティ間隙2.5mm、中心部から円周上に70mmの位置のキャビティ間隙が2.0mmのレンズ金型を取り付けた射出成形機に挿入し、その凹面側に射出樹脂としてポリカーボネート樹脂Yを用いて、金型温度100℃、射出樹脂温度300℃の条件で射出一体化し曲面体AGを製作した。得られた曲面体AGの吸収軸方向の曲率半径は80mmであった。
この曲面体AGを加熱温度c(℃)として120℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施し、偏光レンズAGを得た。得られた偏光レンズAGを1時間室温に放置した後の吸収軸方向の曲率半径は91mmであった。視認性の評価は「○」であった。
ポリカーボネート樹脂Zを60重量部と、ポリエステル樹脂B(スカイグリーンJ−2003、SKケミカル社製)を40重量部とをミキサーで混合し、ベント式単軸押出機により得られた厚み0.35mmの熱可塑性樹脂層(1)および試験片を得た。得られた試験片の荷重たわみ温度a(℃)は、101.1℃であった。
また、熱可塑性樹脂層(2)についても熱可塑性樹脂層(1)を用いた。それ以外は実施例11と同様の方法にて厚み0.8mmの偏光板AHを作製し、その後に曲面成形物AHを得た。さらに実施例11と同様の方法を用いて曲面体AHを得た。得られた曲面体AHの吸収軸方向の曲率半径は79mmであった。この曲面体AHを加熱温度c(℃)として100℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施し、偏光レンズAHを得た。得られた偏光レンズAHを1時間室温に放置した後の吸収軸方向の曲率半径は90mmであった。視認性の評価は「○」であった。
[実施例19]
実施例18と同様の方法を用いて得られた曲面体を用いた。本実施例で用いた曲面体AIの吸収軸方向の曲率半径は80mmであった。この曲面体AIを加熱温度c(℃)として130℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施し、偏光レンズAIを得た。得られた偏光レンズAIを1時間室温に放置した後の吸収軸方向の曲率半径は95mmであった。視認性の評価は「○」であった。
熱可塑性樹脂層(1)として、厚み80μmのトリアセチルセルロースフィルムD(フジタックT80SN、富士フイルム社製)を用いた。(これを以下フィルムDとする。)また、熱可塑性樹脂層(2)については実施例11と同様の熱可塑性樹脂層(2)Zを用いた。荷重たわみ温度測定用試験片についてはフィルムDの表面に対して、塩化メチレンを塗布し、さらにフィルムDを重ね溶着し、これを厚み4.0mm±0.1mmになるま
で重ね合わせ、試験片を得た。
厚み4.0mmまで重ね合わせた試験片の荷重たわみ温度a(℃)を測定した結果、76.0℃であった。これら熱可塑性樹脂層(1)および熱可塑性樹脂層(2)Zを使用したこと以外は実施例11と同様の方法に偏光板AJを得た。偏光板AJの厚みは0.53mmであった。さらに実施例11と同様の方法で曲面体成形物AJを得た後に曲面体AJを得た。得られた曲面体AJの吸収軸方向の曲率半径は78mmであった。
この曲面体AJを加熱温度c(℃)として100℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施して偏光レンズAJを得た後に、この偏光レンズAJを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径測定したところ84mmであった。視認性の評価は「○」であった。
[実施例21]
実施例20と同様の条件で作製した曲面体を用いた。この実施例で用いた曲面体AKの吸収軸方向の曲率半径は78mmであった。この曲面体AKを加熱温度c(℃)として80℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施して偏光レンズAKを得た後に、この偏光レンズAKを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径測定したところ83mmであった。視認性の評価は「○」であった。
実施例20と同様の条件で作製した曲面体を用いた。この実施例で用いた曲面体ALの吸収軸方向の曲率半径は80mmであった。この曲面体ALを加熱温度c(℃)として140℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施して偏光レンズALを得た後に、この偏光レンズALを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径測定したところ88mmであった。視認性の評価は「○」であった。
[実施例23]
実施例20と同様の方法を用いて得た曲面体成形物を曲率半径83mm、中心部のキャビティ間隙1.13mm、中心部から円周上に70mmの位置のキャビティ間隙が0.63mmのレンズ金型を取り付けた射出成形機に挿入し、その凹面側に射出樹脂としてポリカーボネート樹脂Yを用いて、金型温度100℃、射出樹脂温度300℃の条件で射出一体化し曲面体AMを製作した。得られた曲面体AMの吸収軸方向の曲率半径は79mmであった。この曲面体AMを加熱温度c(℃)として120℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施し、偏光レンズAMを得た。得られた偏光レンズAMを1時間室温に放置した後の吸収軸方向の曲率半径は88mmであった。視認性の評価は「○」であった。
[実施例24]
実施例20と同様の方法を用いて得た曲面体成形物を曲率半径83mm、中心部のキャビティ間隙2.23mm、中心部から円周上に70mmの位置のキャビティ間隙が1.73mmのレンズ金型を取り付けた射出成形機に挿入し、その凹面側に射出樹脂としてポリカーボネート樹脂Yを用いて、金型温度100℃、射出樹脂温度300℃の条件で射出一体化し曲面体ANを製作した。得られた曲面体ANの吸収軸方向の曲率半径は81mmであった。この曲面体ANを加熱温度c(℃)として110℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施し、偏光レンズANを得た。得られた偏光レンズANを1時間室温に放置した後の吸収軸方向の曲率半径は86mmであった。視認性の評価は「○」であった。
ポリアミド樹脂(EMS社製 グリルアミド TR−90)をベント式単軸押出機により0.5mmのシートに成形した後に1.9倍一軸延伸して0.35mmの熱可塑性樹脂層(1)および試験片を得た。得られた試験片の荷重たわみ温度a(℃)は、115.3℃であった。また、熱可塑性樹脂層(2)については実施例1と同様の熱可塑性樹脂層(2)Zを用いた。これら熱可塑性樹脂層(1)および熱可塑性樹脂層(2)Zを使用した
こと以外は実施例11と同様の方法で厚み0.8mmの偏光板AOを得た。さらに実施例11と同様の方法で曲面体成形物AOを得た後に曲面体AOを得た。得られた曲面体AOの吸収軸方向の曲率半径は78mmであった。
この曲面体AOを加熱温度c(℃)として110℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施して偏光レンズAOを得た後に、この偏光レンズAOを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径測定したところ86mmであった。視認性の評価は「○」であった。
[実施例26]
実施例25と同様の方法を用いて得られた曲面体を用いた。本実施例で用いた曲面体APの吸収軸方向の曲率半径は79mmであった。この曲面体APを加熱温度c(℃)として130℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施し、偏光レンズAPを得た。得られた偏光レンズAPを1時間室温に放置した後の吸収軸方向の曲率半径は89mmであった。視認性の評価は「○」であった。
アクリル樹脂(三菱レイヨン社製 IRG304)を用いて延伸により引き延ばす工程を除き、実施例11と同様の方法で厚み0.35mmの熱可塑性樹脂層(1)と試験片を得た。得られた試験片の荷重たわみ温度a(℃)は、94.5℃であった。熱可塑性樹脂層(2)については実施例11と同様の熱可塑性樹脂層(2)Zを用いた。これら熱可塑性樹脂層(1)および熱可塑性樹脂層(2)Zを使用したこと以外は実施例11と同様の方法に偏光板AQを得た。偏光AQの厚みは0.8mmであった。さらに実施例11と同様の方法で曲面体成形物AQを得た後に曲面体AQを得た。得られた曲面体AQの吸収軸方向の曲率半径は75mmであった。
この曲面体AQを加熱温度c(℃)として110℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施して偏光レンズAQを得た後に、この偏光レンズAQを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径測定したところ95mmであった。視認性の評価は「○」であった。
ポリエステル樹脂(スカイグリーンK2012、SKケミカル社製)を用いて実施例11と同様の方法で厚み0.35mmの熱可塑性樹脂層(1)と試験片を得た。得られた試験片の荷重たわみ温度a(℃)は、89.1℃であった。熱可塑性樹脂層(2)については実施例11と同様の熱可塑性樹脂層(2)Zを用いた。これら熱可塑性樹脂層(1)および熱可塑性樹脂層(2)Zを使用したこと以外は実施例11と同様の方法に偏光板ARを得た。偏光板ARの厚みは0.8mmであった。さらに実施例1と同様の方法で曲面体成形物ARを得た後に曲面体ARを得た。得られた曲面体ARの吸収軸方向の曲率半径は80mmであった。
この曲面体ARを加熱温度c(℃)として110℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施して偏光レンズARを得た後に、この偏光レンズARを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径測定したところ102mmであった。視認性の評価は「○」であった。
実施例11と同様の方法を用いて作製した曲面体AAを用いた。この実施例で使用した曲面体AAの吸収軸方向の曲率半径は80mmであった。
<紫外線硬化型樹脂の調製>
ウレタンアクリレートモノマー(ダイセルサイテック社製、EBECRYL2000)225g、ウレタンアクリレートオリゴマー(第一工業製薬社製、GX8644D)225g、ウレタンアクリレートオリゴマー(ダイセルサイテック社製、EBECRYL5129)、315g、アクリレートモノマー(新中村化学社製、NKエステルA−TMMT)
135g、を混合させ、混合物を得た。
この混合物に溶剤として2−プロパノール225g、1−メトキシ−2−プロパノール1558gを使用、重合開始剤(ランベルティ社製、KIP100F)63g、レベリング剤(共栄社製、G410)を16g、増粘剤(山一化学社製、Z482)225gを混合させ曲面体に表面塗布する紫外線硬化型樹脂組成物1を調製した。
<化学線照射工程>
曲面体AAの凸面に対して日油技研工業社製のサーモラベル スーパーミニ3R−120を貼りつけた。紫外線硬化型樹脂組成物1を入れた容器に曲面体AAを浸漬させ、1mm/minの速度で曲面体AAを引き上げ、均一に曲面体Aに紫外線硬化型樹脂組成物1を塗布し、曲面体ASを得た。
その後に曲面体ASを50℃に保ったオーブン内に10分間放置、乾燥させた。乾燥後、80W/cmメタルハライドランプ(ウシオ電機社製)にて紫外線積算照射量900mJ/cm2の紫外線を照射し、紫外線硬化型樹脂組成物1を硬化させ、偏光レンズASを得た。
このときサーモラベルは120℃を示していたため偏光レンズASにおける熱可塑性樹脂(1)Aの表面温度cは紫外線照射時に120℃に達していた。
この偏光レンズASを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径測定したところ88mmであった。視認性の評価は「○」であった。
実施例11と同様の方法を用いて作製した曲面体AAを用いた。この実施例で使用した曲面体AAの吸収軸方向の曲率半径は80mmであった。
曲面体AAの凸面に対して日油技研工業社製のサーモラベル スーパーミニ3R−110を貼りつけた。紫外線積算照射量を600mJ/cm2にしたこと以外は実施例29と同様の方法を用い、偏光レンズATを得た。このときサーモラベルは110℃を示していたため偏光レンズATにおける熱可塑性樹脂(1)の表面温度cは紫外線照射時に110℃に達していた。この偏光レンズATを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径を測定したところ86mmであった。視認性の評価は「○」であった。
[実施例31]
実施例11と同様の方法を用いて作製した曲面体AAを用いた。この実施例で使用した曲面体AAの吸収軸方向の曲率半径は80mmであった。
曲面体Aの凸面に対して日油技研工業社製のサーモラベル スーパーミニ3R−130を貼りつけた。紫外線積算照射量を1200mJ/cm2にしたこと以外は実施例29と同様の方法を用い、偏光レンズAUを得た。このときサーモラベルは140℃を示していたため偏光レンズAUにおける熱可塑性樹脂(1)の表面温度cは紫外線照射時に140℃に達していた。この偏光レンズAUを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径を測定したところ91mmであった。視認性の評価は「○」であった。
実施例20と同様の条件で作製した曲面体AJを用いた。この実施例で用いた曲面体AJの吸収軸方向の曲率半径は80mmであった。曲面体AAの凸面に対して日油技研工業社製のサーモラベル スーパーミニ3R−100を貼りつけた。紫外線積算照射量を500mJ/cm2にしたこと以外は実施例29と同様の方法を用い、偏光レンズAVを得た。このときサーモラベルは100℃を示していたため偏光レンズAVにおける熱可塑性樹脂(1)Dの表面温度cは紫外線照射時に100℃に達していた。この偏光レンズAVを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径を測定したところ82mmであった。視認性の評価は「○」であった。
[実施例33]
実施例20と同様の条件で作製した曲面体AJを用いた。この実施例で用いた曲面体AJの吸収軸方向の曲率半径は80mmであった。曲面体AJの凸面に対して日油技研工業
社製のサーモラベル スーパーミニ3R−80を貼りつけた。紫外線積算照射量を400mJ/cm2にしたこと以外は実施例29と同様の方法を用い、偏光レンズAWを得た。このときサーモラベルは80℃を示していたため偏光レンズAWにおける熱可塑性樹脂(1)の表面温度cは紫外線照射時に80℃に達していた。この偏光レンズAWを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径を測定したところ82mmであった。視認性の評価は「○」であった。
[実施例34]
実施例20と同様の条件で作製した曲面体を用いた。この実施例で用いた曲面体AXの吸収軸方向の曲率半径は78mmであった。曲面体AXの凸面に対して日油技研工業社製のサーモラベル スーパーミニ3R−130を貼りつけた。紫外線積算照射量を1000mJ/cm2にしたこと以外は実施例29と同様の方法を用い、偏光レンズAXを得た。
このときサーモラベルは140℃を示していたため偏光レンズAXにおける熱可塑性樹脂(1)の表面温度cは紫外線照射時に140℃に達していた。この偏光レンズPを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径を測定したところ86mmであった。視認性の評価は「○」であった。
実施例11と同様の方法を用いて作製した曲面体AAを用いた。(曲面体AAの吸収軸方向の曲率半径は80mm)。
この曲面体AAを加熱温度c(℃)として100℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施して偏光レンズBAを得た後に、この偏光レンズBAを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径を測定したところ78mmであった。視認性の評価は「△」であった。
[比較例12]
ポリカーボネート樹脂Z(ユーピロンE−2000FN、三菱エンジニアプラスチック社製)を80重量部と、ポリエステル樹脂B(スカイグリーンJ−2003、SKケミカル社製)を20重量部とをミキサーで混合した樹脂をベント式単軸押出機により2.5mmのシートに成形した後に1.9倍一軸延伸して1.8mmの熱可塑性樹脂層(1)を得た。またポリカーボネート樹脂Zを同様にベント式単軸押出機により成形を行い延伸し、0.35mmの熱可塑性樹脂層(2)Zを得た。
実施例11と同様の方法を用いて偏光板の作製を行い、厚み2.25mmの偏光板BBを得た。この偏光板BBを実施例11と同様の方法を用いて曲面体成形物の作製を行い、曲率半径83mm、中心部のキャビティ間隙3.45mm、中心部から円周上に70mmの位置のキャビティ間隙が2.95mmのレンズ金型を取り付けた射出成形機に挿入し、その凹面側に射出樹脂としてポリカーボネート樹脂Yを用いて、金型温度100℃、射出樹脂温度300℃の条件で射出一体化し曲面体BBを製作した。得られた曲面体BBの吸収軸方向の曲率半径は80mmであった。
この曲面体BBを加熱温度c(℃)として100℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施し、偏光レンズBBを得た。得られた偏光レンズBBを1時間室温に放置した後の吸収軸方向の曲率半径は79mmであった。視認性の評価は「△」であった。
比較例12と同様の方法を用いて偏光板の作製を行い、厚み2.25mmの偏光板BBを得た。この偏光板BBを実施例11と同様の方法を用いて曲面体成形物の作製を行い、曲率半径83mm、中心部のキャビティ間隙2.77mm、中心部から円周上に70mmの位置のキャビティ間隙が2.27mmのレンズ金型を取り付けた射出成形機に挿入し、その凹面側に射出樹脂としてポリカーボネート樹脂Yを用いて、金型温度100℃、射出樹脂温度300℃の条件で射出一体化し曲面体BCを製作した。得られた曲面体BCの吸収軸方向の曲率半径は80mmであった。
この曲面体BCを加熱温度c(℃)として100℃に保たれた熱風オーブンにて1時間
加熱処理を実施し、偏光レンズBCを得た。得られた偏光レンズBCを1時間室温に放置した後の吸収軸方向の曲率半径は78mmであった。視認性の評価は「△」であった。
[比較例14]
実施例11と同様の方法を用いて作製した曲面体AAを用いた。(吸収軸方向の曲率半径は80mm)。
この曲面体AAを加熱温度c(℃)として150℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施して偏光レンズBDを得たが、偏光レンズとして使用不可能な形状に変形した。視認性の評価は偏光レンズとして使用不可能であることから行わなかった。
比較例12と同様の方法を用いて曲面体を作製した。この比較例で用いた曲面体BEの曲率半径は81mmであった。
この曲面体BEを加熱温度c(℃)として150℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施し、偏光レンズBEを得た。得られた偏光レンズBEを1時間室温に放置した後の吸収軸方向の曲率半径は72mmであった。視認性の評価は「×」であった。
[比較例16]
比較例12と同様の方法を用いて曲面体を作製した。この比較例で用いた曲面体BFの曲率半径は83mmであった。
この曲面体BFを加熱温度c(℃)として150℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施し、偏光レンズBFを得た。得られた偏光レンズBFを1時間室温に放置した後の吸収軸方向の曲率半径は72mmであった。視認性の評価は「×」であった。
実施例20と同様の条件で作製した曲面体を用いた。この比較例で用いた曲面体BGの吸収軸方向の曲率半径は79mmであった。この曲面体BGを加熱温度c(℃)として50℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施して偏光レンズBGを得た後に、この偏光レンズBGを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径測定したところ78mmであった。視認性の評価は「△」であった。
[比較例18]
実施例20と同様の条件で作製した曲面体を用いた。この比較例で用いた曲面体BHの吸収軸方向の曲率半径は82mmであった。この曲面体BHを加熱温度c(℃)として150℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施して偏光レンズBHを得た後に、この偏光レンズBHを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径測定したところ70mmであった。視認性の評価は「×」であった。
実施例25と同様の方法を用いて得られた曲面体を用いた。本実施例で用いた曲面体BIの吸収軸方向の曲率半径は81mmであった。この曲面体BIを加熱温度c(℃)として150℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施し、偏光レンズBIを得た。得られた偏光レンズBIを1時間室温に放置した後の吸収軸方向の曲率半径は65mmであった。視認性の評価は「×」であった。
実施例27と同様の条件で作製した曲面体を用いた。このとき曲面体BJの吸収軸方向の曲率半径は75mmであった。この曲面体BJを加熱温度c(℃)として155℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施して偏光レンズBJを得たが、偏光レンズとして使用不可能な形状に変形した。視認性の評価は偏光レンズとして使用不可能であることから行わなかった。
実施例28と同様の条件で作製した曲面体を用いた。このとき曲面体BKの吸収軸方向の曲率半径は76mmであった。この曲面体BKを加熱温度c(℃)として145℃に保たれた熱風オーブンにて1時間加熱処理を実施して偏光レンズBKを得たが、偏光レンズとして使用不可能な形状に変形した。視認性の評価は偏光レンズとして使用不可能であることから行わなかった。
実施例11と同様の方法を用いて作製した曲面体AAを用いた。(吸収軸方向の曲率半径は80mm)。
曲面体AAの凸面に対して日油技研工業社製のサーモラベル スーパーミニ3R−100を貼りつけた。紫外線積算照射量を500mJ/cm2にしたこと以外は実施例29と同様の方法を用い、偏光レンズBLを得た。このときサーモラベルは100℃を示していたため偏光レンズBLにおける熱可塑性樹脂(1)の表面温度cは紫外線照射時に100℃に達していた。この偏光レンズBLを1時間室温に放置した後、再び吸収軸方向の曲率半径を測定したところ78mmであった。視認性の評価は「△」であった。
[比較例23]
実施例11と同様の方法を用いて作製した曲面体AAを用いた。(吸収軸方向の曲率半径は80mm)
曲面体AAの凸面に対して日油技研工業社製のサーモラベル 3E−150を貼りつけた。紫外線積算照射量を1500mJ/cm2にしたこと以外は実施例29と同様の方法を用い、偏光レンズBNを得た。このときサーモラベルは150℃を示していたため偏光レンズBNにおける熱可塑性樹脂(1)Aの表面温度cは紫外線照射時に150℃に達していた。ところが偏光レンズBNの凸側最表面は樹脂が熱により溶けたと思われる表面肌荒れが起こっており、偏光レンズとして使用不可能な状態であると判断し、視認性の評価は行わなかった。
実施例20と同様の条件で作製した曲面体を用いた。このとき曲面体BOの吸収軸方向の曲率半径は80mmであった。曲面体BOの凸面に対して日油技研工業社製のサーモラベル スーパーミニ3R−50を貼りつけた。紫外線積算照射量を200mJ/cm2にしたこと以外は実施例29と同様の方法を用い、偏光レンズBOを得た。このときサーモラベルは50℃を示していたため偏光レンズBOにおける熱可塑性樹脂(1)の表面温度cは紫外線照射時に50℃に達していた。この偏光レンズBOを1時間室温に放置したが、その時点でも紫外線硬化型樹脂組成物1が硬化していなかったため、偏光レンズとして使用できないと判断し、その後の評価は行わなかった。
[比較例25]
実施例20と同様の条件で作製した曲面体を用いた。このとき曲面体BPの吸収軸方向の曲率半径は79mmであった。曲面体BPの凸面に対して日油技研工業社製のサーモラベル3E−150を貼りつけた。紫外線積算照射量を1500mJ/cm2にしたこと以外は実施例29と同様の方法を用い、偏光レンズBPを得た。このときサーモラベルは150℃を示していたため偏光レンズBPにおける熱可塑性樹脂(1)の表面温度cは紫外線照射時に150℃に達していた。しかしこの偏光レンズBPの凸側最表面は樹脂が熱により溶けたと思われる表面肌荒れが起こっており、偏光レンズとして使用不可能な状態であると判断し、視認性の評価は行わなかった。
実施例25と同様の方法を用いて得られた曲面体APを用いた。本実施例で用いた曲面体APの吸収軸方向の曲率半径は79mmであった。
曲面体Uの凸面に対して日油技研工業社製のサーモラベル スーパーミニ3R−150を貼りつけた。紫外線積算照射量を1500mJ/cm2にしたこと以外は実施例29と
同様の方法を用い、偏光レンズBQを得た。このときサーモラベルは150℃を示していたため偏光レンズBQにおける熱可塑性樹脂(1)の表面温度cは紫外線照射時に150℃に達していた。しかしこの偏光レンズBQの凸側最表面は樹脂が熱により溶けたと思われる表面肌荒れが起こっており、偏光レンズとして使用不可能な状態であると判断し、視認性の評価は行わなかった。
比較例11〜26では、加熱工程または化学線照射工程を行った際に曲率半径が同等または小さくなり視認性に劣る結果となった。さらに一部では樹脂が完全に軟化したりすることにより偏光レンズ形状を保持できない状態であったり、紫外線照射により樹脂表面が荒れた状態になり、偏光レンズとして使用できない状態に陥ったため、劣る結果となった。
2 偏光板の凹面側に配される熱可塑性樹脂(2)
3 偏光性薄膜
4 射出樹脂
5 偏光レンズ
6 単眼鏡
7 観察物
8 レンズ中心
9 吸収軸方向
Claims (10)
- 偏光性薄膜の両面に熱可塑性樹脂層(1)および(2)を設けた偏光板を、凸面側が該熱可塑性樹脂層(1)となり、凹面側が該熱可塑性樹脂層(2)となるように、曲面状に熱曲げ成形し、偏光板の曲面成形物を得る熱曲げ成形工程と、
該偏光板の曲面成形物の凹面側に、射出樹脂を射出する射出成形により、該偏光板の曲面成形物の凹面側に該射出樹脂層を形成させて、射出成形物を得る射出成形工程と、
該射出成形物に表面処理を施し、偏光レンズを得る表面処理工程と、を有し、
該熱可塑性樹脂(1)の荷重たわみ温度a(℃)、該射出樹脂の荷重たわみ温度b(℃)、該表面処理工程の処理温度c(℃)が、以下の式(i)(ii)(iii)を満たす偏光レンズの製造方法。
a−10≦c≦a+60 (i)
c≦b+10 (ii)
a≦b (iii) - 前記表面処理工程が、加熱工程を有する請求項1に記載の偏光レンズの製造方法。
- 前記加熱工程が、前記射出成形物に熱硬化性樹脂を表面処理した後に、該熱硬化性樹脂を硬化させる加熱工程であって、加熱温度cが40℃以上200℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の偏光レンズの製造方法。
- 樹脂詳細追加
前記熱可塑性樹脂(1)および前記熱可塑性樹脂(2)および前記射出樹脂がポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、トリアセチルセルロース系樹脂、またはこれらの混合物や共重合体である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の偏光レンズの製造方法。 - 前記熱可塑性樹脂層(1)および前記熱可塑性樹脂層(2)の厚みが、0.01mm以上1.5mm以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の偏光レンズの製造方法
- 前記射出樹脂層の厚みが、0.025mm以上1.95mm以下である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の偏光レンズの製造方法
- 前記偏光レンズの最小厚みが、0.3mm以上3mm以下である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の偏光レンズの製造方法
- 前記偏光板の厚みが、0.05mm以上1.8mm以下である請求項1ないし74のいずれか1項に記載の偏光レンズの製造方法。
- 前記請求項1から8のいずれか1項に記載の偏光レンズの製造方法によって製造される偏光レンズ。
- 前記請求項9に記載の偏光レンズを用いて製造される防眩製品または防護製品。
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