以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1、2は、ソレノイドバルブ1の概略構成を示す図であり、以下、これについて説明する。
ソレノイドバルブ1は、流入側(圧力源側)と流出側(負荷側)を連通するバルブ通路2の開口面積をソレノイド推力に応じて変え、このバルブ通路2を通過する作動油(以下作動流体と呼ぶ)の流量を調節するものである。
バルブハウジング9にはバルブ通路2を構成するバルブポート12、13が形成される。バルブポート12、13の一方が図示しない配管等を介して圧力源に連通し、バルブポート12、13の他方が図示しない配管等を介して負荷に連通する。
ソレノイドバルブ1は、両方向開閉タイプのものであり、図1に矢印で示すようにバルブポート12からバルブポート13に向かう作動流体の流れ(以下、第一流れと呼ぶ)に対して開閉作動するとともに、図2に矢印で示すようにバルブポート13からバルブポート12に向かう作動流体の流れ(以下、第二流れと呼ぶ)に対しても開閉作動する。
ソレノイドバルブ1は、上記した第一、第二流れの流量を調節する弁体として、大流量を制御するメインポペット20と、小流量を制御するポペット40と、微少流量を制御するピンポペット60とを備える。円筒状のメインポペット20の内側にポペット40が摺動可能に嵌合し、メインポペット20とポペット40とピンポペット60とは、同軸上に直列に配置される。
ソレノイドバルブ1のバルブ通路2は、メインポペット20によって開閉されるメイン通路10と、ポペット40によって開閉されるメインパイロット通路100、110と、ピンポペット60によって開閉されるサブパイロット通路30、50とによって構成される。このメイン通路10とメインパイロット通路100、110とサブパイロット通路30、50とは、互いに並列に設けられる。
円筒状のメインポペット20は、バルブハウジング9内に摺動可能に介装され、メイン通路10を開閉する。
メイン通路10は、単一のバルブポート12と、複数のバルブポート13とによって構成される。
バルブポート12は、メインポペット20が摺動する軸方向に延びる円筒面によって形成され、バルブポート12の開口端に環状のバルブシート11が形成される。
メインポペット20は、バルブシート11に着座する円錐面状のテーパ部20aを有する。
メインポペット20は、そのテーパ部20aがバルブシート11に着座することによって閉弁し、この閉弁状態から図1、図2にて上方に摺動し、テーパ部20aがバルブシート11から離れることによって開弁する。メインポペット20は、このバルブシート11に対して軸方向に変位し、メイン通路10の開口面積を変える。
メインポペット20は、バルブシート11より内側に設けられる円盤状の受圧部と、バルブシート11より外側に設けられる環状の受圧部とを有する。メインポペット20は、これらの受圧部が受けるバルブポート12、13の供給圧力によって開弁方向に付勢される。
バルブハウジング9にはメインポペット20の背後にメインパイロット室21が画成される。メインポペット20は、その背面に受けるメインパイロット室21のメインパイロット圧力によって閉弁方向に付勢される。
バルブハウジング9とメインポペット20の間にはメインリターンスプリング8が介装される。メインポペット20は、メインリターンスプリング8のバネ力によって閉弁方向に付勢される。
バルブポート12、13の供給圧力による開弁力が、メインパイロット室21のメインパイロット圧力による閉弁力とメインリターンスプリング8のバネ力(閉弁力)とを合わせた力より大きくなると、メインポペット20は図1、図2にて上方に摺動して開弁可能なように構成される。
メインパイロット室21に生じるメインパイロット圧力を制御する手段として、バルブシート11を迂回してバルブ通路2を流れる作動流体を導くメインパイロット通路100、110が設けられる。
このメインパイロット通路100、110に、メインパイロットオリフィス24、25、メインパイロット室21、メインシート31とがそれぞれ介装される。
メインパイロット通路100は、バルブポート12からバルブポート13に向かう作動流体の第一流れに対して開通し、作動流体を図1に矢印で示すようにバルブポート12→メインパイロットオリフィス24→メインパイロット室21→メインシート31→バルブポート13の順に導く。一方、メインパイロット通路110は、バルブポート13からバルブポート12に向かう作動流体の第二流れに対して開通し、作動流体を図2に矢印で示すようにバルブポート13→メインパイロットオリフィス25→メインパイロット室21→メインシート31→バルブポート12の順に導く。
ポペット40がメインシート31の開口面積を変えて、メインパイロット通路100、110を流れる作動流体の流量を調節することにより、メインパイロットオリフィス24、25とメインシート31との間に生じるメインパイロット圧力(中間圧力)が制御される。
メインパイロット通路100、110は、メインパイロット室21をバルブシート11より流入側のバルブ通路2に連通する第一、第二流入側メインパイロット通路22、23と、メインパイロット室21をバルブシート11より流出側のバルブ通路2に連通する第一、第二流出側メインパイロット通路26、27とを備える。
メインパイロット通路100におけるバルブポート12からバルブポート13に向かう作動流体の第一流れは、図1に矢印で示すように、第一流入側メインパイロット通路(流入側メインパイロット通路)22と第一流出側メインパイロット通路(流出側メインパイロット通路)26とを通る。
第一流入側メインパイロット通路22は、その上流端がバルブポート12に連通し、その下流端がメインパイロット室21に連通する。
第一流入側メインパイロット通路22には、チェック弁34とメインパイロットオリフィス24とがそれぞれ介装される。このチェック弁34は、バルブポート12から第一流入側メインパイロット通路22を通ってメインパイロット室21に向かう作動流体の流れに対して開弁し、逆方向の流れに対して閉弁する。
メインパイロット室21から延びる第一流出側メインパイロット通路26は、メインポペット20に形成される通孔29と、メインポペット20とポペット40の間に画成されるポペット間室48と、ポペット40の先端に開口するポペット内室49とを介して連通し、その下流端がバルブポート13に連通する。
第一流出側メインパイロット通路26には、メインシート31とチェック弁36とが介装される。このチェック弁36は、第一流出側メインパイロット通路26を通ってバルブポート13に向かう作動流体の流れに対して開弁し、逆方向の流れに対して閉弁する。
一方、メインパイロット通路110におけるバルブポート13からバルブポート12に向かう作動流体の第二流れは、図2に矢印で示すように、第二流入側メインパイロット通路23と第二流出側メインパイロット通路27とを通る。
第二流入側メインパイロット通路23は、その上流端がバルブポート13に連通し、その下流端がメインパイロット室21に連通する。
第二流入側メインパイロット通路23には、チェック弁35とメインパイロットオリフィス25とがそれぞれ介装される。このチェック弁35は、バルブポート13から第二流入側メインパイロット通路23を通ってメインパイロット室21に向かう作動流体の流れに対して開弁し、逆方向の流れに対して閉弁する。
メインパイロット室21から延びる第二流出側メインパイロット通路27は、メインポペット20に形成される通孔29と、メインポペット20とポペット40の間に画成されるポペット間室48と、ポペット40の先端に開口するポペット内室49とを介して連通し、その下流端がバルブポート12に連通する。
第二流出側メインパイロット通路27には、メインシート31とチェック弁37とが介装される。このチェック弁37は、第二流出側メインパイロット通路27を通ってバルブポート12に向かう作動流体の流れに対して開弁し、逆方向の流れに対して閉弁する。
円筒状のポペット40は、メインポペット20内に摺動可能に介装される。メインポペット20内には、圧力補償スリーブ81が介装され、この圧力補償スリーブ81にメインシート31が形成される。ポペット40はメインシート31に対して変位することによってメインシート31の開口面積を変える。
圧力補償機構80として、ポペット40を着座させる圧力補償スリーブ81がメインポペット20内に摺動可能に介装され、この圧力補償スリーブ81に形成されるメインシート31をポペット40に押し付ける方向に付勢する圧力補償スプリング82が介装される。後述するサブパイロット圧力が上昇するのに伴ってサブシート51が図1、図2において下方に移動し、ピンポペット60を開弁させるソレノイド推力(開弁力)が高まることが抑えられる。
ポペット40は、メインシート31より外側に設けられる環状の受圧部を有し、この受圧部にメインパイロット室21のメインパイロット圧力がポペット間室48を介して導かれ、このメインパイロット圧力によって開弁方向に付勢される。
メインポペット20内にはポペット40の背後にサブパイロット室41が画成される。ポペット40は、その背面が受けるサブパイロット室41のサブパイロット圧力によって閉弁方向に付勢される。
メインポペット20のサブパイロット室41に対する受圧面積は、メインパイロット室21に対する受圧面積より小さく設定される。
ポペット40とバルブハウジング9の間にはサブリターンスプリング7が介装される。ポペット40は、サブリターンスプリング7のバネ力によって閉弁方向に付勢される。
ポペット40は、メインパイロット圧力による開弁力が、サブパイロット室41のサブパイロット圧力による閉弁力とサブリターンスプリング7のバネ力(閉弁力)とを合わせた力より大きくなると、図1、図2にて上方に摺動して開弁する。
サブパイロット室41に生じるサブパイロット圧力を制御する手段として、バルブシート11を迂回してバルブ通路2を流れる作動流体を導くサブパイロット通路30、50が設けられる。
このサブパイロット通路30、50に、サブオリフィス44、45、サブパイロット室41、サブシート51とがそれぞれ介装される。ピンポペット60がサブシート51の開口面積を変えて、サブパイロット通路30、50を流れる作動流体の流量を調節することにより、サブオリフィス44、45とサブシート51との間に生じるサブパイロット圧力が制御される。
サブパイロット通路30は、バルブポート12からバルブポート13に向かう作動流体の第一流れに対して開通し、作動流体を図1に矢印で示すようにバルブポート12→サブオリフィス44→サブパイロット室41→サブシート51→バルブポート13の順に導く。一方、サブパイロット通路50は、バルブポート13からバルブポート12に向かう作動流体の第二流れに対して開通し、作動流体を図2に矢印で示すようにバルブポート13→サブオリフィス45→サブパイロット室41→サブシート51→バルブポート12の順に導く。
サブパイロット通路30、50は、サブパイロット室41をバルブシート11より流入側のバルブ通路2に連通する第一、第二流入側サブパイロット通路42、43と、サブパイロット室41をバルブシート11より流出側のバルブ通路2に連通する第一、第二流出側サブパイロット通路46、47とを備える。
サブパイロット通路30におけるバルブポート12からバルブポート13に向かう作動流体の第一流れは、図1に矢印で示すように、第一流入側サブパイロット通路(流入側サブパイロット通路)42と第一流出側サブパイロット通路(流出側サブパイロット通路)46とを通る。一方、サブパイロット通路50におけるバルブポート13からバルブポート12に向かう作動流体の第二流れは、図2に矢印で示すように、第二流入側サブパイロット通路43と第二流出側サブパイロット通路47とを通る。
第一流入側サブパイロット通路42は、その上流端がバルブポート12に連通し、その下流端がサブパイロット室41に連通する。
第一流入側サブパイロット通路42には、チェック弁34とサブオリフィス44とがそれぞれ介装される。
このチェック弁34は、バルブポート12から第一流入側サブパイロット通路42を通ってサブパイロット室41に向かう作動流体の流れに対して開弁し、逆方向の流れに対して閉弁する。
第一流入側サブパイロット通路42は、第一流入側メインパイロット通路22に対して、チェック弁34とこのチェック弁34より上流側の通路部分が共通して設けられており、構造の簡素化がはかられている。なお、これに限らず、第一流入側サブパイロット通路42と第一流入側メインパイロット通路22とをそれぞれ独立して設けてもよい。
第二流入側サブパイロット通路43は、その上流端がバルブポート13に連通し、その下流端がサブパイロット室41に連通する。
第二流入側サブパイロット通路43には、チェック弁35とサブオリフィス45とがそれぞれ介装される。このチェック弁35は、バルブポート13から第二流入側サブパイロット通路43を通ってサブパイロット室41に向かう作動流体の流れに対して開弁し、逆方向の流れに対して閉弁する。
第二流入側サブパイロット通路43は、第二流入側メインパイロット通路23に対して、チェック弁35とこのチェック弁35より上流側の通路部分が共通して設けられており、構造の簡素化がはかられている。なお、これに限らず、第二流入側サブパイロット通路43と第二流入側メインパイロット通路23とをそれぞれ独立して設けてもよい。
そして本発明の要旨とするところであるが、ピンポペット60に働く流体力を調節するために、サブシート51が円錐面状に形成されるとともに、サブシート51に着座するピンポペット60のピンシート62がサブシート51と略同一頂角を有する円錐面状に形成され、ピンポペット60の開弁時にサブシート51とピンシート62の間に作動流体の流れを絞る絞り間隙63が画成される。
図3は、ピンポペット60のピンシート62及びサブシート51を示す断面図である。
サブシート51は、ピンポペット60が中心軸O方向の通路長さ(深さ)sが、その開口径dより大きい深穴形状に形成される。
ピンシート62の頂角θ62は、サブシート51の頂角θ51と略等しい所定角度(例えば30度)に形成される。
実際には、ピンシート62の頂角(シート角)θ62は、サブシート51の頂角(シート角)θ51よりわずかな角度差αだけ小さく形成される。これにより、ピンポペット60の閉弁時に、ピンシート62の先端角部62aがサブシート51に環状の線上に着座し、ピンシート62とサブシート51間の密封性が確保される。
なお、これに限らず、ピンポペット60の閉弁時に、ピンシート62の先端がサブシート51の先端から突出し、ピンシート62の外周面がサブシート51の開口先端角部51aに環状の線上に着座する構成としてもよい。これによっても、ピンシート62とサブシート51間の密封性が確保される。
また、ピンシート62の頂角θ62は、サブシート51の頂角θ51よりわずかな角度だけ大きく形成される構成としてもよい。この場合には、ピンポペット60の閉弁時に、ピンシート62がサブシート51の開口基端角部51bに環状の線上に着座し、ピンシート62とサブシート51間の密封性が確保される。
図3に示すように、ピンポペット60の開弁時に、ピンポペット60が中心軸O方向に移動し、ピンシート62がサブシート51から離れると、サブシート51とピンシート62の間に作動流体の流れを絞る絞り間隙63が円筒状に画成される。
これにより、絞り間隙63を通る作動流体は、ピンシート62に沿って流れることにより、その粘性抵抗によってピンポペット60を閉弁方向に付勢する。
ピンシート62の頂角θ62、サブシート51の頂角θ51、角度差αは、シミュレーション、実験に基づいて設定され、ピンポペット60の変位(流量)に応じて適度な粘性抵抗が生じるように構成される。
第一流出側サブパイロット通路46は、その上流端がサブパイロット室41に連通し、その下流端がバルブポート13に連通する。
第一流出側サブパイロット通路46には、サブシート51とチェック弁36とが介装される。このチェック弁36は、サブパイロット室41から第一流出側サブパイロット通路46を通ってバルブポート13に向かう作動流体の流れに対して開弁し、逆方向の流れに対して閉弁する。
第一流出側サブパイロット通路46と第一流出側メインパイロット通路26とは、両者の間で共通のチェック弁36が用いられ、チェック弁36の前後通路部分を共用することによって、構造の簡素化がはかられている。なお、これに限らず、第一流出側サブパイロット通路46と第一流出側メインパイロット通路26とをそれぞれ独立して設けてもよい。
第二流出側サブパイロット通路47は、その上流端がサブパイロット室41に連通し、その下流端がバルブポート12に連通する。
第二流出側サブパイロット通路47には、サブシート51とチェック弁37とが介装される。このチェック弁37は、サブパイロット室41から第二流出側サブパイロット通路47を通ってバルブポート12に向かう作動流体の流れに対して開弁し、逆方向の流れに対して閉弁する。
第二流出側サブパイロット通路47と第二流出側メインパイロット通路27とは、両者の間で共通のチェック弁37が用いられ、チェック弁37の前後通路部分を共用することによって、構造の簡素化がはかられている。なお、これに限らず、第二流出側サブパイロット通路47と第二流出側メインパイロット通路27とをそれぞれ独立して設けてもよい。
図1には、バルブポート12からバルブポート13に向かう作動流体の第一流れが矢印で示されている。以下、この第一流れについて説明する。
・ソレノイド推力によってピンポペット60がサブシート51から離れ、サブパイロット通路30が開通すると、作動流体は、バルブポート12→第一流入側サブパイロット通路42(チェック弁34、サブオリフィス44)→サブパイロット室41→絞り間隙63→第一流出側サブパイロット通路46(サブシート51、ポペット内室49、チェック弁36)→バルブポート13の順に流れる。
・上記サブパイロット通路30の流量が増加するのに伴ってサブパイロット室41のサブパイロット圧力が低下すると、サブパイロット圧力とメインパイロット圧力との差圧力によってポペット40がサブリターンスプリング7に抗してメインシート31より離れ、メインパイロット通路100が開通する。こうしてメインパイロット通路100が開通すると、作動流体は、バルブポート12→第一流入側メインパイロット通路22(チェック弁34、メインパイロットオリフィス24)→メインパイロット室21→第一流出側メインパイロット通路26(メインシート31、ポペット内室49、チェック弁36)→バルブポート13の順に流れる。
・メインパイロット通路100の流量が増加するのに伴ってメインパイロット室21のメインパイロット圧力が低下すると、メインパイロット圧力とバルブポート12に導かれる圧力源からの圧力の差圧力によってメインリターンスプリング8に抗してメインポペット20がバルブシート11より離れ、メイン通路10が開通する。こうしてメイン通路10が開通すると、作動流体は、バルブポート12→バルブシート11→バルブポート13の順に流れる。
図2には、バルブポート13からバルブポート12に向かう作動流体の第二流れが矢印で示されている。以下、この第二流れについて説明する。
・ソレノイド推力によってピンポペット60がサブシート51から離れ、サブパイロット通路50が開通すると、作動流体は、バルブポート13→第二流入側サブパイロット通路43(チェック弁35、サブオリフィス45)→サブパイロット室41→絞り間隙63→第二流出側サブパイロット通路47(サブシート51、ポペット内室49、チェック弁37)→バルブポート12の順に流れる。
・上記サブパイロット通路50の流量が増加するのに伴ってサブパイロット室41のサブパイロット圧力が低下すると、サブパイロット圧力とメインパイロット圧力との差圧力によってポペット40がサブリターンスプリング7に抗してメインシート31より離れ、メインパイロット通路110が開通する。こうしてメインパイロット通路110が開通すると、作動流体は、バルブポート13→第二流入側メインパイロット通路23(チェック弁35、メインパイロットオリフィス25)→メインパイロット室21→第二流出側メインパイロット通路27(メインシート31、ポペット内室49、チェック弁37)→バルブポート12の順に流れる。
・メインパイロット通路110の流量が増加するのに伴ってメインパイロット室21のメインパイロット圧力の低下すると、メインパイロット圧力とバルブポート12に導かれる圧力源からの圧力の差圧力によってメインリターンスプリング8に抗してメインポペット20がバルブシート11より離れ、メイン通路10が開通する。こうしてメイン通路10が開通すると、作動流体は、バルブポート13→バルブシート11→バルブポート12の順に流れる。
図4は、ソレノイドに流れるソレノイド電流値Iと、バルブ通路2の流量Qの関係を示す線図である。
ソレノイド電流値Iが零の場合、バルブ通路2の流量Qは零である。
ソレノイド電流値Iが小さい場合、サブパイロット通路30、50のみが開通し、バルブ通路2の流量Qはソレノイド電流値Iに応じて零から低い増加率で漸次増加する。
これについて詳述すると、ピンポペット60を開弁方向に駆動するソレノイド推力は、ピンポペット60に働く流体力Ffと、ピンポペット60に働く作動流体圧力Fpと、ピンポペット60を閉弁方向に付勢するリターンスプリング(図示せず)のバネ力Fsと、を合わせた力とバランスする位置にピンポペット60を変位させる。
上記のピンポペット60に働く流体力Ffは、サブシート51に対峙する部位に生じる前後差圧力ΔPと、サブシート51からポペット内室49へと流出する作動流体の流量、流速、流出角に応じて増減する流体力f(f=ρQvCOSθ、ρ:定数、Q:流量、v:流速、θ:流出角)と、作動流体がピンポペット60に付与する粘性抵抗による流体力(剪断力)Tと、を合わせた力となる。
図5は、ピンポペット60の変位Xと、ピンポペット60に働く流体力Ffの関係を示す線図である。
図5の線図にて波線で示す特性は、絞り間隙63を備えない従来装置のものであり、ピンポペット60の変位Xが大きくなるのに伴って、ピンポペット60の開弁方向に働く流体力Ffが一旦増加した後に減少する。これは、ピンポペット60の変位Xが大きくなるのに伴って、粘性抵抗による流体力Tが一旦増加した後に減少するためである。
図4の線図にて波線で示す特性は、絞り間隙63を備えない従来装置のものであり、ソレノイド電流値Iが小さいときに、バルブ通路2の流量Qが段差をもって変化する。
図5の線図にて実線で示す特性は、絞り間隙63を備える本発明のソレノイドバルブ1のものであり、ピンポペット60の変位Xが大きくなるのに伴って、ピンポペット60の開弁方向に働く流体力Ffが漸次増加している。これは、ピンポペット60の変位Xが大きくなるのに伴って、絞り間隙63を流れる作動流体の速度が高まり、粘性抵抗による流体力Tが漸次増加するためである。
これにより、本発明のソレノイドバルブ1は、図3の線図に実線で示すように、バルブ通路2の流量Qがソレノイド電流値Iに応じて零から低い増加率で漸次増加する。
ソレノイド電流値Iが所定値I1を超えて大きくなると、サブパイロット通路30、50に加えてメインパイロット通路100、110が開通し、バルブ通路2の流量Qはソレノイド電流値Iに応じて中程度の増加率で次第に増加する。
ソレノイド電流値Iが所定値I2を超えて大きくなると、サブパイロット通路30、50及びメインパイロット通路100、110に加えてメイン通路10が開通し、バルブ通路2の流量Qはソレノイド電流値Iに応じて高い増加率で次第に増加する。
このように、ソレノイド電流値I(ソレノイド推力)が大きくなるのに伴ってバルブ通路2の流量Qは段階的に増加率を高められる。
以下、本実施形態の要旨と作用、効果を説明する。
本実施の形態では、ソレノイド推力に応じてバルブ通路2の流入側から流出側へと流れる作動流体の流量を調節するソレノイドバルブ1であって、バルブ通路2に介装されるメインシート31と、このメインシート31に対して変位することによってメインシート31の開口面積を変えるポペット40と、このポペット40を閉弁方向に付勢するサブパイロット圧力が生じるサブパイロット室41と、このサブパイロット室41をメインシート31より流入側のバルブ通路2に連通する流入側サブパイロット通路42、43と、この流入側サブパイロット通路42、43に介装されるサブオリフィス44、45と、サブパイロット室41をメインシート31より流出側のバルブ通路2に連通する流出側サブパイロット通路46、47と、この流出側サブパイロット通路46、47に介装されるサブシート51と、ソレノイド推力に応じてサブシート51に対して変位することによってサブシート51の開口面積を変えるピンポペット60と、を備え、サブシート51が円錐面状に形成されるとともに、サブシート51に着座するピンポペット60のピンシート62がサブシート51と略同一頂角を有する円錐面状に形成され、ピンポペット60の開弁時にサブシート51とピンシート62の間に作動流体の流れを絞る絞り間隙63が画成され、ピンポペット60がソレノイド推力によって開弁方向に駆動される構成とした。
上記構成に基づき、ソレノイド推力に応じて移動するピンポペット60がサブパイロット圧力を調節し、サブパイロット圧力に応じて移動するポペット40がメインシート31の開口面積を変えることによって、メインシート31(メインパイロット通路100、110)を通過する作動流体の流量が調節される。
絞り間隙63は、互いに略平行に対峙するサブシート51とピンシート62の間に円筒状の流路として画成される。絞り間隙63を流れる作動流体は、ピンシート62に沿って流れることにより、その粘性抵抗によってピンポペット60を閉弁方向に付勢する。この粘性抵抗による閉弁方向の付勢力とピンポペット60に働く流体力がピンポペット60を開弁方向に駆動するソレノイド推力と釣り合い、ピンポペット60をソレノイド推力に応じて漸次変位させることが可能となり、ピンポペット60により少流量を精度よく調節することと、ポペット40を介して大流量を応答性よく調節することが両立される。
なお、前記実施形態は、メイン通路10における作動流体の一方向の流れと逆方向の流れに対して開弁作動する両方向開閉タイプのソレノイドバルブ1であるが、これに限らず、2系統の通路構成と、これを切換えるチェック弁34〜37等とを廃止した、一方向開閉タイプのソレノイドバルブに本発明を適用してもよい。
また、前記実施形態は、メインポペット20、ポペット40、ピンポペット60を介して流量を3段階に調節するソレノイドバルブ1であるが、これに限らず、メインポペット20を廃止し、ポペット40、ピンポペット60を介して流量を2段階に調節するソレノイドバルブに本発明を適用してもよい。
本発明は上記の実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。