JP2012215144A - 圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】摺動による摩擦ロスを低減する。
【解決手段】圧縮機は、圧縮室31および圧縮室31に連通したブレード収容部を有するシリンダ30と、シリンダ30の軸方向両端に配置されるフロントヘッド20およびリアヘッド50と、圧縮室31およびブレード収容部の内側に配置されるピストン40とを備えている。ピストン40は、圧縮室31に配置された環状のローラ基材43aと、ローラ基材43aの外周面から延在し且つブレード収容部に対して進退可能に配置されたブレード基材とを有する。ローラ基材43aおよびブレード基材43bの上下面とローラ基材43aの外周面とに凹部44、45を形成し、凹部44、45内に樹脂層46、47、48を配置する。
【選択図】図5

Description

本発明は、冷媒を圧縮するための圧縮機に関するものである。
従来から、圧縮機として、シリンダと、シリンダの内側に配置されるローラとを備えるロータリ圧縮機がある。このロータリ圧縮機では、ローラは、偏心回転する軸に装着されており、軸の回転に伴って、シリンダの内周面に沿って移動する。
このようなロータリ圧縮機では、ローラの端面とこの端面に対向して配置される端板部材との間、および、ローラの外周面とシリンダの内周面との間には、微小な隙間が形成されている。かかる隙間の大きさは、冷媒や潤滑油の漏れを防止する観点から、できるだけ小さいことが好ましい。上述のような隙間を設けていても、例えばローラの熱膨張量がシリンダの熱膨張量よりも大きくなった場合等には、上記の隙間が無くなって、ローラが対向する部材に接触することがある。このような場合には、摺動による焼付き、および摩擦ロスによる圧縮機の効率低下、の2つの問題が生じる。
上記2つの問題のうち焼付きの問題に対して、例えば特許文献1では、樹脂コーティングによって摺動性を向上させることが提案されている。これにより、隙間の大きさを拡大することなく、焼付きを防止することが可能となっている。
特開2006−275280号公報
しかしながら、特許文献1の圧縮機では、摩擦ロスによる圧縮機の効率低下の問題は解消されていない。また、樹脂コーティング層は、冷媒や潤滑油を吸収して膨潤するので、上記の隙間は無くなり易いことから、摩擦ロスによる圧縮機の効率低下の問題を解消する必要性が大きい。
そこで、本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、摺動による摩擦ロスを低減することのできる圧縮機を提供することを目的とする。
第1の発明に係る圧縮機は、圧縮室および前記圧縮室に連通したブレード収容部を有するシリンダと、前記シリンダの軸方向両端に配置される第1端板部材および第2端板部材と、前記圧縮室および前記ブレード収容部の内側に配置されるピストンとを備え、前記ピストンは、前記圧縮室に配置された環状のローラ基材と、前記ローラ基材の外周面から延在し且つ前記ブレード収容部に対して進退可能に配置されたブレード基材とを有し、前記ローラ基材および前記ブレード基材の少なくとも一方の軸方向端面には、凹部が形成されており前記凹部内には樹脂層が配置されている。
この圧縮機では、樹脂層が膨潤した際に、凹部内に配置された樹脂層のみが端板部材と接触する。したがって、ローラ基材やブレード基材の軸方向端面の一面に形成された樹脂層全体が端板部材と接触する場合に比べて、摺動による摩擦ロスを低減することができる。
第2の発明に係る圧縮機は、第1の発明に係る圧縮機において、前記凹部が、前記ローラ基材の軸方向端面において全周にわたって形成されている。
この圧縮機では、ローラの軸方向端面と端板部材との間の隙間のシール性を向上させることができる。したがって、ローラの軸方向端面と端板部材との間の隙間から冷媒や潤滑油が漏れて、冷媒の圧縮効率が低下するのを防ぐことができる。
第3の発明に係る圧縮機は、第1または第2の発明に係る圧縮機において、前記凹部が、前記ローラ基材の軸方向端面の外周縁部に形成されている。
この圧縮機では、ローラの軸方向端面と端板部材との接触、およびローラの外周面と圧縮室の周壁面との接触に対して効果を発揮できる。
第4の発明に係る圧縮機は、圧縮室および前記圧縮室に連通したブレード収容部を有するシリンダ基材と、前記シリンダ基材の軸方向両端に配置される第1端板部材および第2端板部材と、前記圧縮室および前記ブレード収容部の内側に配置されるピストンとを備え、前記ピストンは、前記圧縮室に配置された環状のローラ基材と、前記ローラ基材の外周面から延在し且つ前記ブレード収容部に対して進退可能に配置されたブレード基材とを有し、 前記ローラ基材の外周面、および前記シリンダ基材の内周面、のいずれか一方の周方向の少なくとも一部には、軸方向の一部に配置された凹部が形成されており、前記凹部内には樹脂層が配置されている。
この圧縮機では、樹脂層が膨潤した際に、凹部内に配置されている樹脂層のみが対向部材と接触する。したがって、ローラ基材またはシリンダ基材に設けられた樹脂層の軸方向全体が対向部材と接触する場合に比べて、摺動による摩擦ロスを低減することができる。
第5の発明に係る圧縮機は、第4の発明に係る圧縮機において、前記凹部が、前記ローラ基材を含むローラの外周面と前記圧縮室の周壁面との間のすき間が最も小さくなる部分を含むように形成されている。
この圧縮機では、ローラの外周面と圧縮室の周壁面とが接触する虞が最も高い箇所に樹脂層が配置される凹部を設けることで、確実に摺動による摩擦ロスを低減することができる。
第6の発明に係る圧縮機は、圧縮室および前記圧縮室に連通したベーン収容部を有するシリンダと、前記シリンダの軸方向両端に配置される第1端板部材および第2端板部材と、前記圧縮室の内側に配置される環状のローラ基材と、前記ローラ基材の外周面に押圧される先端を有し且つ前記ベーン収容部の内側を進退可能に配置されたベーン基材とを備え、前記ローラ基材の軸方向端面および前記ベーン基材の少なくとも一方の軸方向端面には、凹部が形成されており、前記凹部内には樹脂層が配置されている。
この圧縮機では、樹脂層が膨潤した際に、凹部内に配置された樹脂層のみが端板部材と接触する。したがって、ローラ基材やベーン基材の軸方向端面の一面に形成された樹脂層全体が端板部材と接触する場合に比べて、摺動による摩擦ロスを低減することができる。
第7の発明に係る圧縮機は、第6の発明に係る圧縮機において、前記凹部が、前記ローラ基材の軸方向端面において全周にわたって形成されている。
この圧縮機では、ローラの軸方向端面と端板部材との間の隙間のシール性を向上させることができる。したがって、ローラの軸方向端面と端板部材との間の隙間から冷媒や潤滑油が漏れて、冷媒の圧縮効率が低下するのを防ぐことができる。
第8の発明に係る圧縮機は、第6または第7の発明に係る圧縮機において、前記凹部が、前記ローラ基材の軸方向端面の外周縁部に形成されている。
この圧縮機では、ローラの軸方向端面と端板部材との接触、およびローラの外周面と圧縮室の周壁面との接触に対して効果を発揮できる。
第9の発明に係る圧縮機は、圧縮室および前記圧縮室に連通したベーン収容部を有するシリンダ基材と、前記シリンダ基材の軸方向両端に配置される第1端板部材および第2端板部材と、前記圧縮室の内側に配置される環状のローラ基材と、前記ローラ基材の外周面に押圧される先端を有し且つ前記ベーン収容部の内側を進退可能に配置されたベーン基材とを備え、前記ローラ基材の外周面、および前記シリンダ基材の内周面、のいずれか一方の周方向の少なくとも一部には、軸方向の一部に配置された凹部が形成されており、前記凹部内には樹脂層が配置されている。
この圧縮機では、樹脂層が膨潤した際に、凹部内に配置されている樹脂層のみが対向部材と接触する。したがって、ローラ基材またはシリンダ基材に設けられた樹脂層の軸方向全体が対向部材と接触する場合に比べて、摺動による摩擦ロスを低減することができる。
第10の発明に係る圧縮機は、第9の発明に係る圧縮機において、前記凹部が、前記シリンダ基材の内周面となる部分であって、前記ローラ基材を含むローラの外周面と前記圧縮室の周壁面との間のすき間が最も小さくなる部分を含むように形成されている。
この圧縮機では、ローラの外周面と圧縮室の周壁面とが接触する虞が最も高い箇所に樹脂層が配置される凹部を設けることで、確実に摺動による摩擦ロスを低減することができる。
第11の発明に係る圧縮機は、第1〜第10のいずれかの発明に係る圧縮機において、前記凹部は、その開口端から深さ方向に幅が次第に狭くなっている。
この圧縮機では、樹脂層が膨潤した際に、凹部内に配置された樹脂層は、先端に向かって次第に幅が狭くなるように膨らむ。したがって、凹部内に配置された樹脂層が、先端に向かって一定の幅で膨らむ場合に比べて、樹脂層に対向する部材への樹脂層の接触面積を小さくできる。
第12の発明に係る圧縮機は、第1〜第111のいずれかの発明に係る圧縮機において、前記凹部は、段差を有しており、その開口端から深さ方向に幅が段階的に狭くなっている。
この圧縮機では、樹脂層が膨潤した際に、樹脂層が膨潤した際に、凹部内に配置された樹脂層は、先端に向かって段階的に幅が狭くなるように膨らむ。したがって、凹部内に配置された樹脂層が、先端に向かって一定の幅で膨らむ場合に比べて、樹脂層に対向する部材への樹脂層の接触面積を小さくできる。
第13の発明に係る圧縮機は、第1〜第12のいずれかの発明に係る圧縮機において、前記樹脂層の曲げ弾性率が、前記樹脂層を挟むように設けられた2つの部材のヤング率の少なくとも一方よりも小さい。
この圧縮機では、樹脂層に対向する部材と樹脂層とが接触した際に、樹脂層が撓む。よって、樹脂層に加わる面圧を小さくし、樹脂層の損傷を防ぐことができる。
第14の発明に係る圧縮機は、第1〜第13のいずれかの発明に係る圧縮機において、前記樹脂層が前記凹部内のみに配置されている。
この圧縮機では、樹脂層の膜厚の管理は1箇所のみで行えばよいので、樹脂層の形成を容易にできる。
第15の発明に係る圧縮機は、第14の発明に係る圧縮機において、前記樹脂層の表面は、当該樹脂層が膨潤していない状態において、前記凹部が形成された基材の表面と同一面上にある。
この圧縮機では、樹脂層の形成が容易である。また、樹脂層の表面が基材の表面から突出している場合に比べて、装置組立時に基材表面と対向部材との間のすき間を小さくできるので、対向部材との間のシール性を向上させることができる。
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
第1の発明では、樹脂層が膨潤した際に、凹部内に配置された樹脂層のみが端板部材と接触する。したがって、ローラ基材やブレード基材の軸方向端面の一面に形成された樹脂層全体が端板部材と接触する場合に比べて、摺動による摩擦ロスを低減することができる。
第2の発明では、ローラの軸方向端面と端板部材との間の隙間のシール性を向上させることができる。したがって、ローラの軸方向端面と端板部材との間の隙間から冷媒や潤滑油が漏れて、冷媒の圧縮効率が低下するのを防ぐことができる。
第3の発明では、ローラの軸方向端面と端板部材との接触、およびローラの外周面と圧縮室の周壁面との接触に対して効果を発揮できる。
第4の発明では、樹脂層が膨潤した際に、凹部内に配置されている樹脂層のみが対向部材と接触する。したがって、ローラ基材またはシリンダ基材に設けられた樹脂層の軸方向全体が対向部材と接触する場合に比べて、摺動による摩擦ロスを低減することができる。
第5の発明では、ローラの外周面と圧縮室の周壁面とが接触する虞が最も高い箇所に樹脂層が配置される凹部を設けることで、確実に摺動による摩擦ロスを低減することができる。
第6の発明では、樹脂層が膨潤した際に、凹部内に配置された樹脂層のみが端板部材と接触する。したがって、ローラ基材やベーン基材の軸方向端面の一面に形成された樹脂層全体が端板部材と接触する場合に比べて、摺動による摩擦ロスを低減することができる。
第7の発明では、ローラの軸方向端面と端板部材との間の隙間のシール性を向上させることができる。したがって、ローラの軸方向端面と端板部材との間の隙間から冷媒や潤滑油が漏れて、冷媒の圧縮効率が低下するのを防ぐことができる。
第8の発明では、ローラの軸方向端面と端板部材との接触、およびローラの外周面と圧縮室の周壁面との接触に対して効果を発揮できる。
第9の発明では、樹脂層が膨潤した際に、凹部内に配置されている樹脂層のみが対向部材と接触する。したがって、ローラ基材またはシリンダ基材に設けられた樹脂層の軸方向全体が対向部材と接触する場合に比べて、摺動による摩擦ロスを低減することができる。
第10の発明では、ローラの外周面と圧縮室の周壁面とが接触する虞が最も高い箇所に樹脂層が配置される凹部を設けることで、確実に摺動による摩擦ロスを低減することができる。
第11の発明では、樹脂層が膨潤した際に、凹部内に配置された樹脂層は、先端に向かって次第に幅が狭くなるように膨らむ。したがって、凹部内に配置された樹脂層が、先端に向かって一定の幅で膨らむ場合に比べて、樹脂層に対向する部材への樹脂層の接触面積を小さくできる。
第12の発明では、樹脂層が膨潤した際に、樹脂層が膨潤した際に、凹部内に配置された樹脂層は、先端に向かって段階的に幅が狭くなるように膨らむ。したがって、凹部内に配置された樹脂層が、先端に向かって一定の幅で膨らむ場合に比べて、樹脂層に対向する部材への樹脂層の接触面積を小さくできる。
第13の発明では、樹脂層に対向する部材と樹脂層とが接触した際に、樹脂層が撓む。よって、樹脂層に加わる面圧を小さくし、樹脂層の損傷を防ぐことができる。
第14の発明では、樹脂層の膜厚の管理は1箇所のみで行えばよいので、樹脂層の形成を容易にできる。
第15の発明では、樹脂層の形成が容易である。また、樹脂層の表面が基材の表面から突出している場合に比べて、装置組立時に基材表面と対向部材との間のすき間を小さくできるので、対向部材との間のシール性を向上させることができる。
本発明の第1実施形態に係る圧縮機の概略断面図である。 図1のA−A線に沿った断面図であって、シリンダ内でのピストンの動作を示す図である。 図1に示した圧縮機のフロントヘッドを図中の下方から見た図である。 (a)は図1に示した圧縮機のピストンの基材を示す斜視図であり、(b)は図1に示した圧縮機のピストンを示す斜視図である。 図1の部分拡大図を模式的に示した図であって、(a)は樹脂層が膨潤していない状態を示し、(b)は樹脂層が膨潤している状態を示している。 図2の部分拡大図である。 図5に示す樹脂層を形成する手順を説明するための図である。 図2に示すようにローラが移動する際のローラの外周面と圧縮室の周壁面との間の径方向隙間の大きさの変化を示すグラフである。 本発明の第2実施形態に係る圧縮機の概略断面図である。 図8のB−B線に沿った断面図である。 本発明の第3実施形態に係る圧縮機における、シリンダ内でのローラおよびベーンの動作を示す図である。 (a)は図11に示した圧縮機のローラおよびベーンの基材の斜視図であり、(b)は図11に示した圧縮機のローラおよびベーンの斜視図である。 (a)は図12のC1−C1線に沿った断面図であり、(b)は図12のC2−C2線に沿った断面図である。 第1実施形態の第1変形例に係る圧縮機の圧縮機構の部分拡大図を模式的に示した図である。 第1実施形態の第2変形例に係る圧縮機の圧縮機構の部分拡大図を模式的に示した図であって、(a)は樹脂層が膨潤していない状態を示し、(b)は樹脂層が膨潤している状態を示している。 (a)は第1実施形態の第3変形例に係る圧縮機の圧縮機構の部分拡大図を模式的に示した図であり、(b)は(a)の部分拡大図である。 第1実施形態の第4変形例に係る圧縮機のピストンの部分拡大断面図であり、(a)は樹脂層が膨潤していない状態を示し、(b)は樹脂層が膨潤している状態を示している。 第1実施形態の第5変形例に係る圧縮機のピストンの部分拡大断面図であり、(a)は樹脂層が膨潤していない状態を示し、(b)は樹脂層が膨潤している状態を示している。 第1実施形態の第6変形例に係る圧縮機のピストンの部分拡大断面図であり、(a)は樹脂層が膨潤していない状態を示し、(b)は樹脂層が膨潤している状態を示している。 第1実施形態の第7変形例に係る圧縮機の圧縮機構の部分拡大図を模式的に示した図であって、(a)は樹脂層が膨潤していない状態を示し、(b)は樹脂層が膨潤している状態を示している。 第1実施形態の第8変形例に係る圧縮機の圧縮機構の部分拡大図を模式的に示した図であって、(a)は樹脂層が膨潤していない状態を示し、(b)は樹脂層が膨潤している状態を示している。
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
本実施形態は、1シリンダ型のロータリ圧縮機に本発明を適用した一例である。
図1に示すように、本実施形態の圧縮機1は、密閉ケーシング2と、密閉ケーシング2内に配置される圧縮機構10および駆動機構6を備えている。なお、図1は、駆動機構6の断面を示すハッチングを省略して表示している。この圧縮機1は、例えば、空調装置などの冷凍サイクルに組み込まれて使用され、吸入管3から導入された冷媒(本実施形態では、CO2)を圧縮して排出管4から排出する。図1の上下方向を単に上下方向として、圧縮機1について以下説明する。
密閉ケーシング2は、両端が塞がれた円筒状の容器であり、その上部には、圧縮された冷媒を排出するための排出管4と、駆動機構6の後述する固定子7bのコイルに電流を供給するためのターミナル端子5が設けられている。なお、図1では、コイルとターミナル端子5とを接続する配線は省略して表示している。また。密閉ケーシング2の側部には、圧縮機1に冷媒を導入するための吸入管3が設けられている。また、密閉ケーシング2内の下部には、圧縮機構10の摺動部の動作を滑らかにするための潤滑油Lが貯留されている。密閉ケーシング2の内部には、駆動機構6と、圧縮機構10とが上下に並んで配置されている。
駆動機構6は、圧縮機構10を駆動するために設けられており、駆動源となるモータ7と、このモータ7に取り付けられたシャフト8とから構成されている。
モータ7は、密閉ケーシング2の内周面に固定されている略円環状の固定子7bと、この固定子7bの径方向内側にエアギャップを介して配置される回転子7aとを備えている。回転子7aは磁石(図示省略)を有し、固定子7bはコイルを有している。モータ7は、コイルに電流を流すことによって発生する電磁力によって、回転子7aを回転させる。また、固定子7bの外周面は、全周にわたって密閉ケーシング2の内周面に密着しているわけではなく、固定子7bの外周面には、上下方向に延び且つモータ7の上下の空間を連通させる複数の凹部(図示省略)が、周方向に並んで形成されている。
シャフト8は、モータ7の駆動力を圧縮機構10に伝達するために設けられており、回転子7aの内周面に固定されて、回転子7aと一体的に回転する。また、シャフト8は、後述する圧縮室31内となる位置に、偏心部8aを有している。偏心部8aは、円柱状に形成されており、その軸心がシャフト8の回転中心から偏心している。この偏心部8aには、圧縮機構10の後述するローラ41が装着されている。
また、シャフト8の下側略半分の内部には、上下方向に延在する給油路8bが形成されている。この給油路8bの下端部には、シャフト8の回転に伴って潤滑油Lを給油路8b内に吸い上げるための螺旋羽根形状のポンプ部材(図示省略)が挿入されている。さらに、シャフト8には、給油路8b内の潤滑油Lをシャフト8の外側に排出するための複数の排出孔8cが形成されている。
圧縮機構10は、密閉ケーシング2の内周面に固定されるフロントヘッド(第1端板部材)20と、フロントヘッド20の上側に配置されるマフラー11と、フロントヘッド20の下側に配置されるシリンダ30と、シリンダ30の内部に配置されるピストン40と、シリンダ30の下側に配置されるリアヘッド(第2端板部材)50とを備えている。詳細は後述するが、図2に示すように、シリンダ30は、略円環状の部材であって、その中央部に圧縮室31が形成されている。シリンダ30は、リアヘッド50と共に、フロントヘッド20の下側にボルトにより固定されている。なお、図2は、シリンダ30に形成されているボルト孔は省略して表示している。
図1および図3に示すように、フロントヘッド20は、略円環状の部材であって、その中央部に、シャフト8が回転可能に挿通される軸受け孔21が形成されている。フロントヘッド20の外周面は、密閉ケーシング2の内周面にスポット溶接などによって固定されている。フロントヘッド20の下面は、シリンダ30の圧縮室31の上端を閉塞している。フロントヘッド20には、圧縮室31において圧縮された冷媒を吐出するための吐出孔22が形成されている。吐出孔22は、上下方向から視て、シリンダ30の後述するブレード収容部33の近傍に形成されている。図示は省略するが、フロントヘッド20の上面には、圧縮室31内の圧力に応じて吐出孔22を開閉する弁機構が取り付けられている。また、フロントヘッド20のシリンダ30よりも径方向外側の部分には、複数の油戻し孔23が周方向に並んで形成されている。フロントヘッド20は、金属材料で形成されている。
リアヘッド50は、略円環状の部材であって、その中央部にシャフト8が回転可能に挿通される軸受け孔51が形成されている。リアヘッド50は、シリンダ30の圧縮室31の下端を閉塞している。リアヘッド50は、金属材料で形成されている。
マフラー11は、フロントヘッド20の吐出孔22から冷媒が吐出される際の騒音を低減するために設けられている。マフラー11は、フロントヘッド20の上面にボルトによって取り付けられ、フロントヘッド20との間にマフラー空間Mを形成している。また、図示は省略するが、マフラー11には、マフラー空間M内の冷媒を排出するためのマフラー吐出孔が形成されている。
図1および図2に示すように、シリンダ30には、上述した圧縮室31と、圧縮室31内に冷媒を導入するための吸入孔32と、ブレード収容部33が形成されている。なお、図2(a)は、図1のA−A線断面図であって、フロントヘッド20の吐出孔22は本来表れないが、説明の便宜上表示している。シリンダ30は、金属材料で形成されている。
吸入孔32は、シリンダ30の径方向に延在して形成されており、その端部(圧縮室31と反対側の端部)には、吸入管3の先端が内嵌されている。
ブレード収容部33は、シリンダ30を上下方向に貫通しており、圧縮室31と連通している。ブレード収容部33は、圧縮室31の径方向に延在している。ブレード収容部33は、上下方向から視て、吸入孔32とフロントヘッド20の吐出孔22との間の位置に形成されている。このブレード収容部33内には、一対のブッシュ34が配置されている。一対のブッシュ34は、略円柱状の部材を半分割した形状に形成されている。この一対のブッシュ34の間にブレード42が配置されている。一対のブッシュ34は、その間にブレード42が配置された状態で、ブレード収容部33内において周方向に揺動可能となっている。
図4に示すように、ピストン40は、円環状のローラ41と、このローラ41の外周面から径方向外側に延在するブレード42とから構成されている。図2に示すように、ローラ41は、偏心部8aの外周面に相対回転可能に装着されて、圧縮室31内に配置されている。ブレード42は、ブレード収容部33に配置された一対のブッシュ34の間に進退可能に配置されている。
図5(a)は、出荷時の圧縮機1を示している。図5(a)に示すように、出荷時のピストン40の上下方向長さH1は、圧縮室31の上下方向長さH2よりも僅かに小さく、その差は例えば5〜15μm程度である。圧縮機1の運転時には通常、図5(a)に示すように、ピストン40の上端面とフロントヘッド20との間、および、ピストン40の下端面とリアヘッド50との間の微小な隙間D1、D2(以下、この隙間を軸方向隙間D1、D2という)に、シャフト8の排出孔8cから排出された潤滑油Lが存在する。
また、図6に示すように、ローラ41の外径は、偏心部8aに装着された状態でローラ41の外周面と圧縮室31の周壁面との間に、隙間d1(以下、この隙間を径方向隙間d1という)が生じる大きさとなっている。この径方向隙間d1は微小であり、その大きさは、後で詳述するように、圧縮機1の駆動中に、例えば1〜50μm程度の範囲内で変化する。圧縮機1の運転時には通常、図5(a)に示すように、この径方向隙間d1には、シャフト8の排出孔8cから排出された潤滑油Lが存在する。また、このように径方向隙間が微小であるので、図2(b)〜図2(d)に示すように、ブレード42がブレード収容部33から圧縮室31側に出ている状態では、ローラ41の外周面と圧縮室31の周壁面との間に形成される空間は、ブレード42によって低圧室31aと高圧室31bに区画される。なお、軸方向隙間D1、D2および径方向隙間d1に存在する潤滑油Lによって、高圧室31bから低圧室31aへの冷媒の漏れが抑制される。
図4(b)、図5(a)および図6に示すように、本実施形態のピストン40は、金属材料からなる基材43と、基材43の表面を被覆する薄膜状の樹脂層46、47、48とから構成されている。基材43の外形は、ほぼピストン40の外形を構成している。なお、以下の説明では、基材43におけるローラ41に対応する部分をローラ基材43aとし、ブレード42に対応する部分をブレード基材43bとする。
基材43の上下面には、図4(a)に示すように、環状部分44aおよび直線部分44bとからなる凹部44がそれぞれ形成されている。凹部44の環状部分44aは、ローラ基材43aの上下面において、ローラ基材43aの内周面に沿って環状に形成されている。環状部分44aは、ローラ基材43aの径方向に関してローラ基材43aの上下面のほぼ中央に形成されている。凹部44の直線部分44bは、ブレード基材43bの上下面において、ブレード基材43bの延在方向に沿って延びる直線状に形成されている。なお、直線部分44bの一端は、環状部分44aに接続されている。直線部分44bは、ブレード基材43bの幅方向(上下方向とブレード基材43bの延在方向とに直交する方向)に関してブレード基材43bの上下面のほぼ中央に形成されている。ローラ基材43aの外周面には、その全面にわたって周方向に伸延する凹部45が形成されている。凹部45は、上下方向に関してローラ基材43aのほぼ中央に形成されている。なお、図5(a)に示すように、凹部44、45の伸延方向と直交する断面の形状は、一方が開口した矩形形状である。すなわち、凹部44、45は、その開口端から底面まで一定幅である。
樹脂層46、47は、それぞれ、基材43の上面と下面の全面を被覆している。つまり、樹脂層46、47は、ピストン40の上端面と下端面との全面に形成されている。また、樹脂層48は、ローラ41の外周面の全面に形成されている。各樹脂層46、47、48の曲げ弾性率は、その樹脂層を挟むように設けられた2つの部材のいずれのヤング率よりも小さい。樹脂層を挟むように設けられた2つの部材とは、ピストン40の上端面に形成された樹脂層46については、基材43およびフロントヘッド20であり、ピストン40の下端面に形成された樹脂層47については、基材43およびリアヘッド50であり、ローラ41の外周面に形成された樹脂層48については、基材43およびシリンダ30である。樹脂層46、47、48を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリアミドイミド、ポリテトラフルオロエチレン等、またはそれらの混合物が挙げられる。
圧縮機1出荷時には樹脂層46、47、48はほとんど膨潤しておらず(僅かに膨潤しているか、全く膨潤していない)、図5(a)に示すように、樹脂層46、47、48の表面は平らになっている。樹脂層46、47、48において基材43に形成された凹部44、45に対応した部分は、厚肉部46a、47a、48aとなっている。厚肉部46a、47a、48aの膜厚La1は、基材43の表面上に形成された樹脂層46、47、48の厚肉部46a、47a、48a以外の部分の膜厚Lb1に比べて、凹部44、45の深さの分だけ厚い。すなわち、ローラ41の上下端面となる部分に形成された樹脂層46、47(つまり、ローラ基材43aの上下端面に形成された樹脂層46、47)は、ローラ41の径方向について2種類の異なる厚みを有している。ブレード42の上下端面となる部分に形成された樹脂層46、47(つまり、ブレード基材43bの上下端面に形成された樹脂層46、47)は、ブレード42の幅方向について2種類の異なる厚みを有している。ローラ41の外周面となる部分に形成された樹脂層48(つまり、ローラ基材43aの外周面に形成された樹脂層48)は、上下方向について2種類の異なる厚みを有している。
本実施形態では、圧縮機1出荷時におけるほとんど膨潤していない樹脂層46、47、48の厚肉部46a、47a、48aの膜厚La1は、例えば、50〜100μm程度であり、厚肉部46a、47a、48a以外の部分の膜厚Lb1は、例えば、5〜10μm程度である。なお、膜厚はこの厚さに限定されるものではない。
また、樹脂層46、47、48は、圧縮機1の使用を開始すると、図5(b)に示すように、潤滑油Lや冷媒を吸収して完全に膨潤する。このとき、樹脂層46、47、48の厚肉部46a、47a、48aの膜厚をLa2、厚肉部46a、47a、48a以外の膜厚をLb2とすると、厚肉部46a、47a、48aの膨潤量(La2−La1)は、それ以外の部分の膨潤量(Lb2−Lb1)よりも大きい。したがって、図5(b)に示すように、樹脂層46、47、48の表面は、厚肉部46a、47a、48aが膨らんだ状態となる。このとき、厚肉部46a、47a、48aの膨らんだ部分は、先端に向かって一定の幅となっている。よって、ピストン40の上下端面がフロントヘッド20やリアヘッド50に接触する場合には、ピストン40の上下端面に形成された樹脂層46、47の厚肉部46a、47aにおいて接触する。また、ローラ41の外周面が圧縮室31の周壁面に接触する場合には、ローラ41の外周面に形成された樹脂層48の厚肉部48aにおいて接触する。
ここで、樹脂層46、47、48を形成する手順について、図7を参照しつつ説明する。なお、図7は、ブレード42の上端面に形成される樹脂層46の形成過程を示すものである。まず、図7(a)に示すように、上述のような凹部44が形成された基材43を用意する。次に、樹脂組成物の溶液を基材43の表面に塗布して乾燥する工程を数回行う。これにより、図7(b)に示すように、基材43の表面上にほぼ均一の厚みの樹脂層46bが形成される。すなわち、凹部44が形成された部分では、樹脂層46bの表面が窪んだ状態となっている。最後に、研削加工により樹脂層46bの表面を平らにし、図7(c)に示すように、樹脂層46を形成する。これにより、2種類の異なる厚みを有する樹脂層46、47、48が形成される。樹脂層46、47、48を形成する方法は上述した方法に限定されるものではない。
次に、本実施形態の圧縮機1の動作について、図2(a)〜図2(d)、および図8を参照して説明する。図2(a)は、ピストン40が上死点にある状態を示しており、図2(b)〜図2(d)は、図2(a)の状態から、それぞれ、シャフト8が、90°、180°(下死点)、270°回転した状態を示している。図8に示すグラフは、シャフト8の回転角度θに対する径方向隙間d1の変化の概略(図中実線で示す)と、高圧室31b内の圧力変化の概略(図中破線で示す)とを描いたものである。
吸入管3から吸入孔32を介して圧縮室31に冷媒を供給しつつ、モータ7の駆動によりシャフト8を回転させると、図2(a)〜図2(d)に示すように、偏心部8aに装着されたローラ41は、圧縮室31の周壁面に沿って移動する。これにより、圧縮室31内で冷媒が圧縮される。冷媒が圧縮される工程について、以下、詳細に説明する。
図2(a)の状態から偏心部8aが図中の矢印方向に回転すると、図2(b)に示すように、ローラ41の外周面と圧縮室31の周壁面とによって形成される空間が、低圧室31aと高圧室31bに区画される。さらに偏心部8aが回転すると、図2(b)〜図2(d)に示すように、低圧室31aの容積が大きくなるため、吸入管3から吸入孔32を介して低圧室31a内に冷媒が吸い込まれていく。同時に、高圧室31bの容積が小さくなるため、高圧室31bにおいて冷媒が圧縮される。
図8に示すように、ローラ41の外周面と圧縮室31の周壁面との間の径方向隙間d1の大きさは、シャフト8が上死点から90°回転するまでの間に最大となり、そこから次第に小さくなり、シャフト8が180°回転した位置から270°回転するまでの間に最小となる。
そして、高圧室31b内の圧力が所定の圧力以上になった時点で、フロントヘッド20に設けられた弁機構が開弁して、高圧室31b内の冷媒が吐出孔22を介してマフラー空間Mに吐出される。なお、シャフト8が、径方向隙間d1が最小となる位置の近傍まで回転したとき、高圧室31b内の冷媒の圧力は、弁機構が開弁する所定の圧力に達する。その後、図2(a)の状態に戻り、高圧室31bからの冷媒の吐出が完了する。この工程を繰り返すことにより、吸入管3から圧縮室31に供給された冷媒が連続的に圧縮されて排出される。
マフラー空間Mに吐出された冷媒は、マフラー11のマフラー吐出孔(図示省略)から圧縮機構10の外に吐出される。圧縮機構10から吐出された冷媒は、固定子7bと回転子7aとの間のエアギャップなどを通過した後、最終的に、排出管4から密閉ケーシング2の外に排出される。
このとき、シャフト8の排出孔8cから圧縮室31内に供給された潤滑油Lの一部は、冷媒と共に吐出孔22からマフラー空間Mに吐出された後、マフラー11のマフラー吐出孔(図示省略)から圧縮機構10の外に吐出される。圧縮機構10の外に吐出された潤滑油Lの一部は、フロントヘッド20の油戻し孔23を通って密閉ケーシング2の下部の貯留部に戻される。また、圧縮機構10の外に吐出された潤滑油Lの他の一部は、冷媒と共に固定子7bと回転子7aとの間のエアギャップを通過した後、固定子7bの外周面に形成された凹部(図示省略)と密閉ケーシング2の内周面との間と、フロントヘッド20の油戻し孔23とを通って、密閉ケーシング2の下部の貯留部に戻される。
以上のように、本実施形態の圧縮機1では、ローラ基材43aおよびブレード基材43bの上下面に凹部44が形成されており、樹脂層46、47が、ローラ基材43aおよびブレード基材43bの上下面の全面を被覆している。また、ローラ基材43aの外周面に凹部45が形成されており、樹脂層48が、ローラ基材43aの外周面の全面を被覆している。
したがって、樹脂層46、47、48の凹部44、45内に配置された部分は、その他の部分に比べて膜厚が厚い厚肉部46a、47a、48aとなる。樹脂層46、47、48が膨潤した際、厚肉部46a、47a、48aは、他の部分に比べて大きく膨潤する。よって、樹脂層46、47、48が膨潤した際に、樹脂層46、47、48における厚肉部46a、47a、48aのみが対向する部材(すなわち、フロントヘッド20、リアヘッド50、圧縮室31の周壁面)と接触する。よって、樹脂層46、47、48全体がこれらに対向する部材と接触する場合に比べて、摺動による摩擦ロスを低減することができる。
さらに、本実施形態の圧縮機1では、凹部44が、ローラ基材43aの上下面において全周にわたって形成されている。したがって、軸方向隙間のシール性を向上させることができる。よって、軸方向隙間から冷媒や潤滑油が漏れて、冷媒の圧縮効率が低下するのを防ぐことができる。
加えて、本実施形態の圧縮機1では、樹脂層46、47、48の曲げ弾性率が、その樹脂層を挟むように設けられた2つの部材のいずれのヤング率よりも小さい。したがって、樹脂層46、47、48が、それらと対向する部材と接触した際には、樹脂層46、47、48が撓む。よって、樹脂層46、47、48に加わる面圧を小さくし、樹脂層46、47、48の損傷を防ぐことができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態は、2シリンダ型のロータリ圧縮機に本発明を適用した一例である。
図9に示すように、本実施形態の圧縮機101は、シャフト108および圧縮機構110の構成が上記第1実施形態と異なっている。また、本実施形態の圧縮機101では、2本の吸入管3が、密閉ケーシング2の側部に上下に並んで設けられている。その他の構成は上記第1実施形態と同様であるため、同じ符号を用いて適宜その説明を省略する。
シャフト108は、2つの偏心部108a、108dを有している。2つの偏心部108a、108dの軸心は、シャフト108の回転軸を中心として180°ずれている。また、シャフト108は、上記第1実施形態のシャフト8と同じく、給油路108bと、複数の排出孔108cを有している。
圧縮機構110は、シャフト108の軸方向に沿って上から下に向かって順に、フロントマフラー111と、フロントヘッド120と、シリンダ130およびピストン140と、ミドルプレート150と、シリンダ160およびピストン170と、リアヘッド180と、リアマフラー112とを有する。なお、フロントヘッド120およびミドルプレート150は、ピストン140の上下端に配置されており、本発明の第1端板部材および第2端板部材に相当する。また、ミドルプレート150およびリアヘッド180は、ピストン170の上下端に配置されており、本発明の第1端板部材および第2端板部材に相当する。
フロントマフラー111は、上記第1実施形態のマフラー11と同様の構成を有し、フロントヘッド120との間にマフラー空間M1を形成している。
フロントヘッド120には、軸受け孔121と、吐出孔122(図10参照)と、油戻し孔123とが形成されている。さらに、フロントヘッド120は、上下方向に貫通する貫通孔(図示省略)が形成されている。この貫通孔は、リアヘッド180とリアマフラー112とによって形成されるマフラー空間M2内の冷媒を、マフラー空間M1に排出するための流路の一部を構成している。フロントヘッド120は、この貫通孔を有する点以外、第1実施形態のフロントヘッド20と同様の構成である。
図10に示すように、シリンダ130には、圧縮室131と、吸入孔132と、ブレード収容部133とが形成されている。さらに、シリンダ130には、圧縮室131の外周側部分に、後述するマフラー空間M2内の冷媒をマフラー空間M1に排出するための貫通孔135が形成されている。シリンダ130は、この貫通孔135を有する点以外、第1実施形態のシリンダ30と同様の構成である。
ピストン140は、上記第1実施形態のピストン40と同様の構成であって、ローラ41と、ブレード42とから構成されている。ローラ41は、偏心部108aの外周面に回転可能に装着されており、ブレード42は、シリンダ130のブレード収容部133に配置された一対のブッシュ34の間に進退可能に配置されている。また、ピストン140は、上記第1実施形態のピストン40と同じく、凹部44、45が形成された基材43と、基材43の表面を被覆する樹脂層46、47、48とから構成されている。
ミドルプレート150は、円環状の板部材であって、シリンダ130とシリンダ160との間に配置され、シリンダ130の圧縮室131の下端を閉塞すると共に、シリンダ160の圧縮室161の上端を閉塞している。また、ミドルプレート150には、後述するマフラー空間M2内の冷媒をマフラー空間M1に排出するための貫通孔(図示省略)が形成されている。ミドルプレート150は、金属材料で形成されている。
シリンダ160は、上述したシリンダ130と同様の構成であって、圧縮室161と、吸入孔162と、一対のブッシュ34が配置されたブレード収容部(図示省略)と、貫通孔(図示省略)とを有する。
ピストン170は、上記第1実施形態のピストン40と同様の構成であって、ローラ41と、ブレード42とから構成されている。ローラ41は、偏心部108dの外周面に回転可能に装着されており、ブレード42は、シリンダ160のブレード収容部(図示省略)に配置された一対のブッシュ34の間に進退可能に配置されている。また、ピストン170は、上記第1実施形態のピストン40と同じく、凹部44、45が形成された基材43と、基材43の表面を被覆する樹脂層46、47、48とから構成されている。
リアヘッド180は、シリンダ160の下側に配置され、シリンダ160の圧縮室161の下端を閉塞している。リアヘッド180は、略円環状の部材であって、その中央部に、シャフト108が回転可能に挿通される軸受け孔181が形成されている。また、リアヘッド180には、シリンダ160の圧縮室161において圧縮された冷媒を、リアヘッド180とリアマフラー112との間に形成されるマフラー空間M2に吐出するための吐出孔(図示省略)が形成されている。さらに、リアヘッド180には、マフラー空間M2内の冷媒をマフラー空間M1に排出するための貫通孔(図示省略)が形成されている。また、リアヘッド180の下面には、圧縮室161内の圧力に応じて吐出孔を開閉する弁機構(図示省略)が取り付けられている。リアヘッド180は、金属材料で形成されている。
リアマフラー112は、リアヘッド180の吐出孔(図示省略)から冷媒が吐出される際の騒音を低減するために設けられている。リアマフラー112は、リアヘッド180の下面にボルトによって取り付けられ、リアヘッド180との間にマフラー空間M2を形成している。マフラー空間M2は、リアヘッド180、シリンダ160、ミドルプレート150、シリンダ130およびフロントヘッド120にそれぞれ形成された貫通孔を介して、マフラー空間M1と連通している。
本実施形態の圧縮機101の動作について説明する。
吸入孔132、162から圧縮室131、161に冷媒を供給しつつ、モータ7の駆動によりシャフト108を回転させると、偏心部108aに装着されたピストン140のローラ41は、圧縮室131の周壁面に沿って移動する。これにより、圧縮室131内で冷媒が圧縮される。これと並行して、偏心部108dに装着されたピストン170のローラ41は、圧縮室161の周壁面に沿って移動する。これにより、圧縮室161内で冷媒が圧縮される。
圧縮室131内の圧力が所定の圧力以上になった時点で、フロントヘッド120に設けられた弁機構が開弁して、圧縮室131内の冷媒がフロントヘッド120の吐出孔122からマフラー空間M1に吐出される。
また、圧縮室161内の圧力が所定の圧力以上になった時点で、リアヘッド180に設けられた弁機構が開弁して、圧縮室161内の冷媒がリアヘッド180の吐出孔(図示省略)からマフラー空間M2に吐出される。マフラー空間M2に吐出された冷媒は、リアヘッド180、シリンダ160、ミドルプレート150、シリンダ130およびフロントヘッド120にそれぞれ形成された貫通孔を介して、マフラー空間M1に吐出される。
マフラー空間M1に吐出された冷媒は、フロントマフラー111のマフラー吐出孔(図示省略)から圧縮機構110の外に吐出されて、その後、固定子7bと回転子7aとの間のエアギャップを通過した後、最終的に、排出管4から密閉ケーシング2の外に排出される。
本実施形態では、上記第1実施形態と同じく、ピストン140、170のローラ基材43aおよびブレード基材43bの上下面と、ローラ基材43aの外周面とに、樹脂層46、47、48が配置される凹部44、45が形成されているので、樹脂層46、47、48が対向する部材と接触した際に、第1実施形態と同様の効果が得られる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態の圧縮機は、圧縮機構210の構成が上記第1実施形態と異なっている。その他の構成は上記第1実施形態と同様であるため、同じ符号を用いて適宜その説明を省略する。
図11に示すように、圧縮機構210は、シリンダ230とシリンダ230の内部に配置される部材の構成が異なっており、その他の構成は上記第1実施形態と同様である。
シリンダ230は、圧縮室231と吸入孔232を有している。また、シリンダ230は、第1実施形態のブレード収容部33に代えて、ベーン収容部233を有しており、その他の構成は、上記第1実施形態のシリンダ30と同様である。ベーン収容部233は、シリンダ230を上下方向に貫通しており、圧縮室231に連通している。また、ベーン収容部233は、圧縮室231の径方向に延在している。
圧縮室231の内側には、円環状のローラ241が配置されている。ローラ241は、偏心部8aの外周面に相対回転可能に装着された状態で、圧縮室231内に配置されている。また、ローラ241の上下方向長さは、第1実施形態のピストン40の上下方向長さH1と同じである。また、ローラ241の外径は、第1実施形態のピストン40のローラ41の外径と同じである。
ベーン収容部233の内側には、ベーン251が配置されている。図12に示すように、ベーン251は、平板状の部材であって、その上下方向長さは、ローラ241の上下方向長さと同じである。ベーン251の圧縮室231の中心側の先端部(図11中の下側の先端部)は、上方から視て先細り状に形成されている。また、ベーン251は、ベーン収容部233内に設けられた付勢バネ234によって付勢されており、圧縮室231側の先端部が、ローラ241の外周面に押し付けられている。そのため、図11(a)〜図11(d)に示すように、シャフト8の回転に伴ってローラ241が圧縮室231の周壁面に沿って移動すると、ベーン251は、ベーン収容部233内で、圧縮室231の径方向に沿って進退移動する。また、図11(b)〜図11(d)に示すように、ベーン251が、ベーン収容部233から圧縮室231側に出ている状態では、ローラ241の外周面と圧縮室231の周壁面との間に形成される空間は、ベーン251によって低圧室231aと高圧室231bに区画される。
図12(b)および図13(a)、(b)に示すように、ローラ241は、金属材料からなるローラ基材242と、ローラ基材242の表面を被覆する薄膜状の樹脂層246、247、248とから構成されている。また、ベーン251は、金属材料からなるベーン基材252と、ベーン基材252の表面を被覆する薄膜状の樹脂層256、257とから構成されている。ローラ基材242およびベーン基材252の外形は、それぞれ、ほぼローラ241とベーン251との外形を構成している。
図12(a)および図13(a)、(b)に示すように、ローラ基材242の上下面には、その全周にわたって環状の凹部244が形成されている。凹部244は、ローラ基材242の径方向に関してローラ基材242の上下面のほぼ中央に形成されている。ローラ基材242の外周面には、その周方向に伸延する凹部245が形成されている。凹部245は、上下方向に関してローラ基材242のほぼ中央に形成されている。ベーン基材252の上下面には、ベーン基材252の延在方向に沿って延びる直線状の凹部254が形成されている。凹部254は、ベーン基材252の幅方向(上下方向とベーン基材252の延在方向とに直交する方向)に関してベーン基材252の上下面のほぼ中央に形成されている。
ローラ241の樹脂層246、247は、それぞれ、ローラ基材242の上面と下面との全面を被覆している。つまり、樹脂層246、247は、ローラ241の上端面と下端面との全面に形成されている。また、樹脂層248は、ローラ241の外周面の全面に形成されている。樹脂層246、247、248において、ローラ基材242に形成された凹部244、245に対応した部分は、厚肉部246a、247a、248aとなっている。
ベーン251の樹脂層256、257は、それぞれ、ベーン基材252の上面と下面との全面を被覆している。つまり、樹脂層256、257は、ベーン251の上端面と下端面との全面に形成されている。樹脂層256、257において、ベーン基材252に形成された凹部254に対応した部分は、厚肉部256a、257aとなっている。
樹脂層246、247、248、256、257の材料および膜厚は、第1実施形態のピストン40の樹脂層46、47、48と同様である。
次に、本実施形態の圧縮機の動作について説明する。
図11(a)は、ローラ241が上死点にある状態を示しており、図11(b)〜図11(d)は、図11(a)の状態から、それぞれ、シャフト8が、90°、180°(下死点)、270°回転した状態を示している。
吸入管3から吸入孔232を介して圧縮室231に冷媒を供給しつつ、モータ7の駆動によりシャフト8を回転させると、図11(a)〜図11(d)に示すように、偏心部8aに装着されたローラ241は、圧縮室231の周壁面に沿って移動する。これにより、圧縮室231内で冷媒が圧縮される。冷媒が圧縮される工程について、以下、詳細に説明する。
図11(a)の状態から偏心部8aが図中の矢印方向に回転すると、図11(b)に示すように、ローラ241の外周面と圧縮室231の周壁面とによって形成される空間が、低圧室231aと高圧室231bに区画される。さらに偏心部8aが回転すると、図11(b)1〜図11(d)に示すように、低圧室231aの容積が大きくなるため、吸入管3から吸入孔232を介して低圧室231a内に冷媒が吸い込まれていく。同時に、高圧室231bの容積が小さくなるため、高圧室231bにおいて冷媒が圧縮される。
そして、高圧室231b内の圧力が所定の圧力以上になった時点で、フロントヘッド20に設けられた弁機構が開弁して、高圧室231b内の冷媒が吐出孔22を介してマフラー空間Mに吐出される。マフラー空間Mに吐出された冷媒は、第1実施形態の圧縮機1と同様の経路を通り、最終的に、排出管4から密閉ケーシング2の外に排出される。
本実施形態では、ローラ基材242の上下面、ローラ基材242の外周面、および、ベーン基材252の上下端面に、上記第1実施形態の基材43と同様に、樹脂層246、247、248、256、257が配置される凹部244、245、254が形成されているので、樹脂層246、247、248、256、257が対向する部材と接触した際に、第1実施形態と同様の効果が得られる。
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、上述の第1実施形態では、ローラ41の外周面に樹脂層48が形成されている場合について説明したが、これには限定されない。図14に示すように、第1実施形態の第1変形例においては、ローラ41の外周面に形成された樹脂層48に代えて、圧縮室31の周壁面に形成された樹脂層337を有している。かかる変形例においては、シリンダ330は、金属材料からなるシリンダ基材335と、シリンダ基材335の内周面を被覆する薄膜状の樹脂層337とから構成されている。シリンダ基材335の内周面には、その周方向に伸延する凹部336が、ほぼ全周(吸入孔32やブレード収容部33が形成されている部分を除いた部分)にわたって形成されている。凹部336は、上下方向に関してシリンダ基材335のほぼ中央に形成されている。そして、樹脂層337の凹部336に対応する部分は厚肉部337aとなっている。このような場合でも、樹脂層337が対向するローラ41の外周面と接触した際に、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、上述の第2および第3実施形態においても、この変形例を適用することができる。
さらに、上述の第1実施形態では、樹脂層46、47がピストン40の上下端面の全面に形成されており、樹脂層48がローラ41の外周面の全面に形成されている場合について説明したが、これには限定されない。
図15に示すように、第1実施形態の第2変形例においては、樹脂層446、447、448は、凹部44、45内のみに配置されている。また、樹脂層446、447、448の表面は、圧縮機1出荷時の樹脂層446、447、448がほとんど膨潤していない状態(図15(a)の状態)において、凹部44、45が形成された基材43の表面と同一面上にある。すなわち、ピストン40の表面は平らである。
なお、運転中の軸方向隙間D1、D2や、径方向隙間d1の大きさと、経験的な樹脂層の膨潤率を考慮して、凹部44の深さd2、凹部45の深さd3は、10μm〜1mm程度であることが好ましい。
本変形例においては、図15(b)に示すように、樹脂層446、447、448が膨潤した際には、樹脂層446、447、448の表面が基材43の表面から突出した状態となるので、いずれも金属材料で作成されたピストン40の基材43とその対向部材(フロントヘッド20、リアヘッド50、シリンダ30)とが直接接触することはない。
上述の第1実施形態においては、樹脂層46、47、48を形成する際に、厚肉部46a、47a、48aの膜厚とそれ以外の部分の膜厚との2箇所の膜厚を管理する必要があるが、本変形例においては、樹脂層446、447、448の膜厚の管理は1箇所のみで行えばよいので、樹脂層446、447、448の形成を容易にできる。
また、本変形例の樹脂層446、447、448は、凹部44、45が形成された基材43を用意し、基材43の表面にほぼ均一の厚みの樹脂層を形成した後、研削加工により凹部44、45内のみに樹脂層446、447、448が残るように樹脂層を削ることで形成できる。よって、樹脂層446、447、448の形成が容易である。また、樹脂層446、447、448の表面が基材43の表面から突出している場合に比べて、装置組立時に基材43の表面と対向部材との間のすき間を小さくできるので、対向部材との間のシール性を向上させることができる。
なお、樹脂層446、447、448の表面は、圧縮機1出荷時の樹脂層446、447、448がほとんど膨潤していない状態において、基材43の表面から突出していてもよいし、基材43の表面から窪んでいてもよい。ただし、樹脂層446、447、448の表面が基材43の表面から窪んでいる場合でも、樹脂層446、447、448が膨潤した際には、樹脂層446、447、448の表面が基材43の表面から突出する。さらに、上述の第2および第3実施形態においても、この変形例を適用することができる。
また、図16(a)、(b)に示すように、第1実施形態の第3変形例においては、樹脂層546、547、548は、凹部44、45と凹部44、45の伸延方向に直交する方向に関して凹部44、45の両側の領域のみに形成されている。本変形例においては、ピストン40の表面は平らではなく、基材43が露出している部分と、樹脂層546、547、548が形成された部分との境界に段差が生じている。なお、上述の第2および第3実施形態においても、この変形例を適用することができる。
また、上述の第1実施形態では、凹部44、45が、その開口端から底面まで一定幅である場合について説明したが、これには限定されない。
基材43の上面に形成される凹部644の延在方向と直交する断面図である図17(a)、(b)に示すように、第1実施形態の第4変形例においては、凹部644の断面の形状は、半円形状である。すなわち、凹部644の幅(図17中左右方向に沿う長さ)は、その開口端において最も広くなっており、深さ方向(図17中上方から下方に向かう方向)に沿って次第に狭くなっている。凹部644の深さは、幅方向中央部分が最も深くなっており、幅方向両端に対応する部分から中央部分に対応する部分にかけて次第に大きくなっている。なお、基材43の下面に形成される凹部と、基材43のローラ41に対応する部分の外周面に形成される凹部とについても、凹部644と同様の形状であるので、ここでは説明を省略する。
上述のような基材43の上面を被覆する樹脂層646の厚肉部646aの厚みは、凹部644の幅方向中央部分に対応する部分において最も厚くなり、凹部644の幅方向両端に対応する部分から中央部分に対応する部分にかけて次第に厚くなっている。ここで、樹脂層の膨潤量は、樹脂層の厚みとほぼ比例する。したがって、本変形例においては、図17(b)に示すように、樹脂層646が完全に膨潤すると、樹脂層646の膨潤量は、凹部644の幅方向中央部分に対応する部分が最も大きくなり、凹部644の幅方向両端に対応する部分から中央部分に対応する部分にかけて次第に大きくなる。すなわち、樹脂層646の厚肉部646aは、半円形状に膨らんだ状態となる。
本変形例においては、ピストン40の上端面がフロントヘッド20に接触する場合には、半円形状に膨らんだ厚肉部646aの上端部分のみが接触する。したがって、厚肉部646aの全体がフロントヘッド20と接触する場合と比べて、樹脂層646とフロントヘッド20との接触面積を小さくできる。よって、摺動による摩擦ロスをさらに低減することができる。なお、上述の第2および第3実施形態においても、この変形例を適用することができる。
上述の変形例のように、その幅が、開口端において最も広くなっており、深さ方向に次第に狭くなっているような凹部の形状としては、図18(a)、(b)や図19(a)、(b)に示すようなものも考えられる。
図18(a)、(b)に示すように、第1実施形態の第5変形例においては、凹部744の断面の形状は、V字形状である。このような凹部744が形成された基材43の上面を被覆する樹脂層746の厚肉部746aは、図18(b)に示すように、完全に膨潤した際に、略逆V字形状に膨らんだ状態となる。よって、ピストン40の上端面がフロントヘッド20に接触する場合には、略逆V字形状に膨らんだ厚肉部746aの上端部分のみが接触するので、樹脂層746とフロントヘッド20との接触面積を小さくできる。また、上述の第4変形例に比べて、厚肉部746aの上端部分が細くなっているので、フロントヘッド20との接触面積をさらに小さくできる。なお、上述の第2および第3実施形態においても、この変形例を適用することができる。
図19(a)、(b)に示すように、第1実施形態の第6変形例においては、凹部844の断面形状は、逆台形形状である。このような凹部844が形成された基材43の上面を被覆する樹脂層846の厚肉部846aは、図19(b)に示すように、完全に膨潤した際に、略台形形状に膨らんだ状態となる。よって、ピストン40の上端面がフロントヘッド20に接触する場合には、略台形形状に膨らんだ厚肉部846aの上端部分のみが接触するので、樹脂層846とフロントヘッド20との接触面積を小さくできる。なお、上述の第2および第3実施形態においても、この変形例を適用することができる。
また、上述の第1実施形態の第4変形例〜第6変形例においては、凹部の深さが、幅方向中央部分で最も深くなっている場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、例えば、凹部の形状は、幅方向に関して一方の端部において深さが最も深くなっており、幅方向に関して一方の端部から他方の端部に向けて次第に深さが浅くなるような形状であってもよい。
また、図20に示すように、第1実施形態の第7変形例においては、基材43に形成された凹部944、945の底部にさらに凹部944a、945aが形成されている。凹部944a、945aは、凹部944、945の伸延方向に沿って延びている。すなわち、凹部944、945は、段差を有しており、その幅が開口端から深さ方向に段階的に狭くなっている。そして、樹脂層946、947、948は凹部944、945内に形成されており、凹部944a、945aに対応する部分が厚肉部946a、947a、948aとなっている。本変形例においては、図20(a)に示すように、ほとんど膨潤していない状態の樹脂層946、947、948の表面は、基材43の表面とほぼ一致しており、ピストン40の表面は平らになっている。そして、樹脂層946、947、948が膨潤した状態では、図20(b)に示すように、ピストン40が対向部材に接触する場合、樹脂層946、947、948の厚肉部946a、947a、948aにおいて接触するので、凹部944、945に段差が形成されていない場合に比べて、樹脂層946、947、948と対向部材との接触面積を小さくできる。なお、上述の第2および第3実施形態においても、この変形例を適用することができる。
さらに、図21に示すように、第1実施形態の第8変形例においては、ローラ基材43aの上下端面における外縁部分の全周に凹部1044がそれぞれ形成されている。すなわち、凹部1044はローラ基材43aの外縁部分を切り欠いた切欠であり、各凹部1044は、ローラ基材43aの上端面または下端面と外周面との2方向に開放している。本発明の凹部は、このような切欠状のものも含んでいる。凹部1044は、ローラ41の上端面または下端面に沿って延びる第1部分1044aと、外周面に沿って延びる第2部分1044bとからなり、その断面形状は鉤形である。凹部1044が形成されることによって、ローラ基材43aの上下方向に関する厚みは、径方向外側から内側に向かうにつれて段階的に厚くなっている。また、ローラ基材43aの径方向に関する厚みは、上端面および下端面において最も薄く、内側に向かうにつれて段階的に厚くなっている。
そして、樹脂層1046、1047は凹部1044内に形成されている。本変形例においては、図21(a)に示すように、ほとんど膨潤していない状態の樹脂層1046、1047の表面は、基材43の表面とほぼ一致しており、ピストン40の表面は平らになっている。樹脂層1046、1047は、ローラ41の上下端面における径方向外側部分が径方向内側部分よりも厚い厚肉部となっている。また、ローラ41の外周面の上下縁部分がその内側部分よりも厚い厚肉部となっている。すなわち、樹脂層1046、1047は、ローラ41の径方向について2種類の異なる厚みを有すると共に、上下方向についても2種類の異なる厚みを有する。
本変形例においては、図21(b)に示すように、樹脂層1046、1047が膨潤すると、樹脂層1046、1047のローラ41の上下端面側および外周面側において、厚肉部がそれ以外の部分に比べて大きく膨潤する。そして、ピストン40が対向部材に接触する場合には、樹脂層1046、1047の厚肉部において接触するので、いずれも金属材料で作成されたピストン40の基材43とその対向部材(フロントヘッド20、リアヘッド50、シリンダ30)とが直接接触することはない。すなわち、本変形例においては、樹脂層1046、1047によって、フロントヘッド20またはリアヘッド50との接触、およびシリンダ30との接触に対して効果を発揮できる。
なお、上述の第2および第3実施形態においても、この変形例を適用することができる。
本変形例の凹部1044は、ローラ基材43aの上下端面における外縁部分の全周に形成されていなくとも、少なくとも外縁部分の一部に形成されていればよい。この場合、ローラ基材43aの外周面において、ローラ41が圧縮室31の周壁面に沿って移動する際に、ローラ41の外周面と圧縮室31の周壁面との間の径方向隙間d1が最も小さくなる(図8参照)部分付近に形成することが好ましい。
また、凹部1044は、第1部分1044aおよび第2部分1044bのいずれかのみからなっていてもよい。この場合、凹部1044内に形成される樹脂層1046、1047の厚みは、ローラ41の径方向についても上下方向についても均一となる。さらに、凹部1044は、図17、18、19に示す各凹部644、744、844を幅方向中央部分で半分にした形状を有していてもよい。この場合、凹部1044の幅は、ローラ41の上下端面において最も広くなっており、深さ方向に沿って次第に狭くなる。そして、凹部1044の深さは、ローラ基材43aの径方向外側端部が最も深くなっており、径方向内側端部に向けて次第に小さくなる。
加えて、ほとんど膨潤していない状態の樹脂層1046、1047の表面は、基材43の表面と一致していなくてもよい。
さらに、凹部1044に代えて、ローラ基材43aの上下端面における内縁部分を切り欠いた切欠状の凹部を形成し、その凹部内に樹脂層を形成してもよい。
さらに、上述の第1〜第3実施形態では、ローラ基材43a(242)の上下面に形成される凹部44(244)は、ローラ基材43a(242)の全周にわたって形成されている場合について説明したが、これには限定されない。第1実施形態においては、凹部44が、基材43の上下面の少なくとも一部に形成されていればよい。第2実施形態においては、凹部244、254が、ローラ基材242の上下面およびベーン基材252の上下面の少なくともいずれかの一部に形成されていればよい。
加えて、上述の第1および第2実施形態では、ローラ基材43aの外周面に形成される凹部45が、ローラ基材43aの外周面の全面にわたって周方向に伸延する場合について説明したが、これには限定されない。凹部45は、少なくとも、ローラ基材43aの外周面において、ローラ41が圧縮室31の周壁面に沿って移動する際に、ローラ41の外周面と圧縮室31の周壁面との間の径方向隙間d1が最も小さくなる(図8参照)部分付近に形成されていればよい。この場合、ローラ41の外周面と圧縮室31の周壁面とが接触する虞が最も高い箇所に樹脂層を設けることで、確実に樹脂層の弾性効果を得つつ、摺動による摩擦ロスを低減することができる。
また、上述の第1実施形態の第1変形例において、シリンダ基材335の内周面に形成された凹部336についても、少なくとも、ローラ41が圧縮室31の周壁面に沿って移動する際に、ローラ41の外周面と圧縮室31の周壁面との間の径方向隙間d1が最も小さくなる部分付近に形成されていればよい。なお、上述の第2および第3実施形態においても、この変形例を適用することができる。
また、上述の第1〜第3実施形態およびその変形例では、樹脂層の曲げ弾性率が、その樹脂層を挟むように設けられた2つの部材のいずれのヤング率よりも小さい場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、樹脂層の曲げ弾性率は、この樹脂層を挟むように設けられた2つの部材のヤング率の少なくとも一方よりも小さければよい。さらに、樹脂層を挟むように設けられた2つの部材のいずれのヤング率以上であってもよい。
また、上述の第1〜第3実施形態およびその変形例では、圧縮機構は、フロントヘッド20、120の外周部が密閉ケーシング2の内周面に固定されることで支持されているが、シリンダ30、130、160、ミドルプレート150、またはリアヘッド50、180の外周部が密閉ケーシング2の内周面に固定されることで支持される構成であってもよい。
さらに、上述の第3実施形態およびその変形例では、ローラ241とベーン251とを備える圧縮機構を、1シリンダ型のロータリ圧縮機に適用しているが、2シリンダ型のロータリ圧縮機に適用してもよい。
本発明を利用すれば、摺動による摩擦ロスを低減できる。
1 圧縮機
20、120 フロントヘッド(第1端板部材)
30、130、160、230 シリンダ
31、131、161、231 圧縮室
33、133 ブレード収容部
40、140、170 ピストン
43a、242 ローラ基材
43b ブレード基材
44、45、244、245、254、336、644、744、844、944、945、1044 凹部
46、47、48、246、247、248、256、257、337、446、447、448、546、547、548、646、746、846、946、947、948、1046、1047 樹脂層
50、180 リアヘッド(第2端板部材)
233 ベーン収容部
252 ベーン基材
335 シリンダ基材

Claims (15)

  1. 圧縮室および前記圧縮室に連通したブレード収容部を有するシリンダと、
    前記シリンダの軸方向両端に配置される第1端板部材および第2端板部材と、
    前記圧縮室および前記ブレード収容部の内側に配置されるピストンとを備え、
    前記ピストンは、前記圧縮室に配置された環状のローラ基材と、前記ローラ基材の外周面から延在し且つ前記ブレード収容部に対して進退可能に配置されたブレード基材とを有し、
    前記ローラ基材および前記ブレード基材の少なくとも一方の軸方向端面には、凹部が形成されており、
    前記凹部内には樹脂層が配置されていることを特徴とする圧縮機。
  2. 前記凹部が、前記ローラ基材の軸方向端面において全周にわたって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
  3. 前記凹部が、前記ローラ基材の軸方向端面の外周縁部に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の圧縮機。
  4. 圧縮室および前記圧縮室に連通したブレード収容部を有するシリンダ基材と、
    前記シリンダ基材の軸方向両端に配置される第1端板部材および第2端板部材と、
    前記圧縮室および前記ブレード収容部の内側に配置されるピストンとを備え、
    前記ピストンは、前記圧縮室に配置された環状のローラ基材と、前記ローラ基材の外周面から延在し且つ前記ブレード収容部に対して進退可能に配置されたブレード基材とを有し、
    前記ローラ基材の外周面、および前記シリンダ基材の内周面、のいずれか一方の周方向の少なくとも一部には、軸方向の一部に配置された凹部が形成されており、
    前記凹部内には樹脂層が配置されていることを特徴とする圧縮機。
  5. 前記凹部が、前記ローラ基材を含むローラの外周面と前記圧縮室の周壁面との間のすき間が最も小さくなる部分を含むように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の圧縮機。
  6. 圧縮室および前記圧縮室に連通したベーン収容部を有するシリンダと、
    前記シリンダの軸方向両端に配置される第1端板部材および第2端板部材と、
    前記圧縮室の内側に配置される環状のローラ基材と、
    前記ローラ基材の外周面に押圧される先端を有し且つ前記ベーン収容部の内側を進退可能に配置されたベーン基材とを備え、
    前記ローラ基材の軸方向端面および前記ベーン基材の少なくとも一方の軸方向端面には、凹部が形成されており、
    前記凹部内には樹脂層が配置されていることを特徴とする圧縮機。
  7. 前記凹部が、前記ローラ基材の軸方向端面において全周にわたって形成されていることを特徴とする請求項6に記載の圧縮機。
  8. 前記凹部が、前記ローラ基材の軸方向端面の外周縁部に形成されていることを特徴とする請求項6または7に記載の圧縮機。
  9. 圧縮室および前記圧縮室に連通したベーン収容部を有するシリンダ基材と、
    前記シリンダ基材の軸方向両端に配置される第1端板部材および第2端板部材と、
    前記圧縮室の内側に配置される環状のローラ基材と、
    前記ローラ基材の外周面に押圧される先端を有し且つ前記ベーン収容部の内側を進退可能に配置されたベーン基材とを備え、
    前記ローラ基材の外周面、および前記シリンダ基材の内周面、のいずれか一方の周方向の少なくとも一部には、軸方向の一部に配置された凹部が形成されており、
    前記凹部内には樹脂層が配置されていることを特徴とする圧縮機。
  10. 前記凹部が、前記シリンダ基材の内周面となる部分であって、前記ローラ基材を含むローラの外周面と前記圧縮室の周壁面との間のすき間が最も小さくなる部分を含むように形成されていることを特徴とする請求項9に記載の圧縮機。
  11. 前記凹部は、その開口端から深さ方向に幅が次第に狭くなっていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の圧縮機。
  12. 前記凹部は、段差を有しており、その開口端から深さ方向に幅が段階的に狭くなっていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の圧縮機。
  13. 前記樹脂層の曲げ弾性率が、前記樹脂層を挟むように設けられた2つの部材のヤング率の少なくとも一方よりも小さいことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の圧縮機。
  14. 前記樹脂層が前記凹部内のみに配置されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の圧縮機。
  15. 前記樹脂層の表面は、当該樹脂層が膨潤していない状態において、前記凹部が形成された基材の表面と同一面上にあることを特徴とする請求項14に記載の圧縮機。
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