JP2012213838A - 加工装置及び加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】加工時に生じる切粉などの除去に用いるエアー出力の適正化を行う。
【解決手段】加工対象物Wに加工を行う工具が取り付けられる主軸5と、加工対象物Wに向けてエアーを放出するエアーブロー部41を有する。制御部30が、加工対象物Wを加工する際の加工負荷状態を判定して、加工負荷に応じて、エアーブロー部41によるエアー出力を制御する。加工対象物Wに加工する際の加工負荷状態は、主軸5への加工指示、使用電力値等に基づいて判定する。
【選択図】図4

Description

本発明は、加工台に固定した加工対象物に対して切削などの加工を行う加工装置及び加工方法に関する。
加工装置は、主軸に工具を取り付け、この主軸と加工台とを例えば3軸(x、y、z軸)方向に相対移動させることにより、加工台に固定した加工対象物に所定の加工を施す。このような加工装置として、加工台を固定のままとし、主軸を3軸方向に移動させる構造の他、加工台をx軸方向(或いはy軸方向)に移動させ、主軸をz軸方向及びy軸方向(或いはx軸方向)に移動させる構造もある。何れの場合も、加工時に生じる切粉などが生じる。一般に加工装置では、発生する切粉が加工部位に溜まって加工の障害となる場合は、エアーブローを行い切粉を除去している。
同様の目的で、工具による被削材の加工箇所へ切削液等のクーラントを、噴射するよう供給して加工が行われることがある。これは、切粉除去の目的以外に、工具の加工面での摩擦の低減を図り、工具による良好な加工性を維持している。しかしながら切削油の回収等の機構が必要となる。
そのため切削油等を必要としないドライ加工を行う場合に、特許文献1のように、工具刃先より切削用ガスを切削刃面からワーク加工面に直接ガスを噴射させ、刃先冷却と切粉排除を行う加工装置が知られる。
特開2001−334439号公報
特許文献1は、工具刃先より切削用ガスを切削刃面からワーク加工面に直接ガスを噴射させ、刃先冷却と切粉排除を行えるものの、加工時には、ガスを常に噴出する構成であるため省エネルギー化を行うものではない。
本発明は、このような事情に鑑み、省エネルギー化を図ることができる加工装置及び加工方法を提供するものである。
上記課題を解決するために本発明の加工装置は、加工対象物に加工を行う工具が取り付けられる主軸を動作させる駆動手段と、前記加工対象物に向けてエアーを放出するエアー放出手段と、前記加工対象物を加工する際の加工負荷状態を判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に基づいて、前記エアー放出手段によるエアー出力を制御するエアー放出制御手段とを有する。
上記課題を解決するために本発明の加工方法は、工具が取り付けられる主軸を移動させながら当該工具により加工対象物を加工するに際し、前記加工対象物を加工する際の加工負荷状態に応じて前記加工対象物に対するエアー出力を制御することを特徴とする。
本発明によると、エアー出力を最適化することによって省エネルギー化を図ることができる。
第1の実施形態における加工装置の概略構成断面図。 第1の実施形態の加工台周辺及び主軸部分の概略斜視図。 第1の実施形態における加工装置の加工時における概略構成断面図。 第1の実施形態に係る加工装置のブロック図。 駆動指示によりエアーブローするか否かの判定処理の流れ図 主軸モータの電流値によりエアーブローするか否かの判定処理の流れ図 加工指示と電流値によりエアーブローするか否かの判定処理の流れ図
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について、図1ないし図5を用いて説明する。まず、本実施形態の加工装置Aの全体構成について、図1及び図2により説明する。加工装置Aは、加工対象物W(図2)を固定する加工台1と、ドリルなどの工具を取り付けて、不図示のスピンドルモータ等により工具を回転させる主軸5と主軸5先端に工具Tを支持する支持部51を備える。これら加工台1と主軸5とをx軸、y軸、z軸の各方向に相対移動可能に構成されている。
本実施形態では、加工台1をy軸方向(所定方向)に、工具Tを把持した主軸5をx軸方向とz軸方向とに、それぞれ移動させる。このために、加工台1をy軸方向(所定方向)に移動させる加工台移動手段としてy軸駆動部20yと、主軸5をx軸方向とz軸方向とにそれぞれ移動させる工具Tの支持部移動手段としてx軸駆動部20x及びz軸駆動部20zとを備える。主軸5は、加工時のエアー放出手段としてエアーブロー部41を備える。エアーブロー部41のエアー放出口は、主軸5の内部に設けられている。主軸5本体または主軸5の支持部51に設けられた工具Tを回転させるモータを冷却し、主軸5の外にエアーを放出する。また、エアーは、工具Tが加工対象Wに対して加工を行っている面に対して吹きつけを行い、加工時における工具Tの冷却とともに、堆積物dとなる切粉の除去を行う。そして、加工対象W(ワーク)の工具Tに対する加工面の状態を切粉の少ない加工を行い易い状態に保つ。エアーとしては、圧縮ガスや装置外部に設置したエアーコンプレッサーによる空気など各種のエアーを適応することができる。またエアーブロー部41は、主軸5に備え切粉を除去する目的であればその設置位置は各種変形可能である。
まず、これら各駆動部20x、20y、20zの共通する構造について説明する。なお、共通する構造については、それぞれの駆動部の構成であることを示す添え字を省略して、総括的に説明する。駆動部20は、モータ21と、送りねじ22と、移動部材23(x軸駆動部に関しては不図示)を備える。
モータ21は、加工装置Aの躯体Bに固定され、例えば、外部端末などの指令に基づいて駆動される。送りねじ22は、外周面に雄ねじ部を有し、各軸方向とそれぞれ平行に配置され、モータ21の駆動により回転する。移動部材23は、送りねじ22の雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を有し、送りねじ22の回転に伴い、雄ねじ部と雌ねじ部との螺合に基づいて送りねじ22に沿って移動する。
次に、各駆動部のそれぞれの構成について説明する。y軸駆動部20yの移動部材23yには、加工台1が固定されており、移動部材23yと共に加工台1が、送りねじ22yの配設方向であるy軸方向に移動する。このようなy軸駆動部20yは、加工台1の下方に配置される。
x軸駆動部20xの移動部材23xには、主軸5をz軸方向の移動自在に支持しており、移動部材23xと共に主軸5が、送りねじ22xの配設方向であるx軸方向に移動する。なお、z軸駆動部20zは、移動部材23xに支持されており、x軸駆動部20xの駆動により主軸5と共にx軸方向に移動する。
z軸駆動部20zの移動部材23zには、主軸5が固定されており、移動部材23zと共に主軸5が、送りねじ22zの配設方向であるz軸方向に移動する。
x軸駆動部20xとz軸駆動部20zは、躯体Bと一体又は躯体Bに固定の覆い部材Cに覆われている。覆い部材Cは、工具による加工領域Sを確保できるように、段付き形状を有し、x軸駆動部20x及びz軸駆動部20zと加工領域Sとの間に配置される。これにより、加工時に生じる切粉などの堆積物が、x軸駆動部20x及びz軸駆動部20zに侵入しにくくしている。即ち、加工領域Sは、不図示の前面の開閉材、上面の覆い部材C、と不図示の左右側板または覆い部材と、底面となるカバー部材2と加工台1などで区画された加工した堆積物dが飛散してしまう領域である。
また、y軸駆動部20yを設置した空間を有する収納部9の上方を覆うように、シート状のカバー部材2を配置している。カバー部材2は加工領域Sを区画し底面の一部を構成している。即ち、収納部9は、y軸駆動部20yを設置した空間の周囲を囲むようにそれぞれ配置された、前側フレーム9a、後側フレーム9b、側方フレーム9c(不図示)から構成されている。そして、これら各フレーム9a、9bらの上面にカバー部材2を配置している。
なお、y軸駆動部20yのモータ21yを収納部9の外に配置しても良い。したがって、収納部9内に配置される駆動部は、少なくとも加工台1を移動させる機構の一部であれば良い。また、駆動部の構成は、上述したような送りねじ機構に限らず、例えばラックアンドピニオンのような他の機構であっても良い。
このようなカバー部材2は、例えば、ゴムベルトやスチールベルトなどのある程度のコシがあり弾性変形可能な部材で、ベルト状の形状を有し、表面(上面)が段差や凹凸がない単一の面により構成される。なお、単一の面とは、加工装置Aによる加工時に生じる切粉などの堆積物が入り込んだり引っ掛かったりするような、段差や凹凸がない面を指す。スチールベルトであれば、より滑らかで堆積物dの分離及び回収が行い易い。ドライ環境での切粉の除去が行い易い構成となっている。
カバー部材2は、加工台1に固定され、y軸駆動部20yの駆動により加工台1と共に移動する。言い換えれば、カバー部材2は、加工台1を介してy軸駆動部20yによりy軸方向に駆動され加工台1とカバー部材2はともに移動しカバー付加工台として機能する。加工台1の上面は、カバー部材2の表面に露出するように固定されている。このために、カバー部材2の一部に開口部を設け、この開口部内に加工台1の上半部を挿入した状態で、加工台1とカバー部材2とを例えば接着などにより固定している。
また、カバー部材2は、所定方向一端部である前側(図1の左側)の端部2aが収納部9の下方に回り込むように案内されている。一方、カバー部材2の後側(図1の右側)の端部2bは、躯体Bの後側に配置された第2のカバー収納部94に収納される。第2のカバー収納部94は、後側フレーム9bと一体に形成され、カバー部材2の厚さよりも僅かに大きな隙間を有する空間が、後側フレーム9bから上方に延出されるように構成されている。
カバー部材2の後側の端部2bは、カバー部材2が後側に移動すると、第2のカバー収納部94の入り口に構成されたフレームによる立ち上がり部との間に案内されて、上述のように構成される第2のカバー収納部94に収納される。カバー部材2は第1のカバー収納部93と第2カバー収納部94との間を移動しても加工領域Sに完全に露出しない構造となっており、弾性変形の撓みにより前側ワイパー6、後側ワイパー7と摺接する押圧力を得て堆積物が除去されやすくなっている。またカバー部材2の加工領域Sに露出しない部分には、目印となる段差等を設けることも可能である。
本実施形態の場合、このように、カバー部材2の前側の端部2aが収納部9の下方に配置された第1のカバー収納部93に、カバー部材2の後側の端部2bが躯体Bの後側にz軸方向に配置された第2のカバー収納部94にそれぞれ収納される。このため、加工装置Aの前後方向の寸法を小さくでき、小型化を図れる。
また、摺接部材である前側ワイパー6、後側ワイパー7を、それぞれ固定しカバー部材2の表面に摺接させている。これにより、カバー部材2が前側に移動した場合には、カバー部材2上の堆積物dが、前側ワイパー6によりカバー部材2から分離され、カバー部材2が後側に移動した場合には、カバー部材2上の堆積物dが、後側ワイパー7により堰き止められる。そして、カバー部材2上の堆積物dが各収納部93、94に入り込むことを防止している。後側ワイパー7は、立ち上がって収納されているカバー部材2に対して、堆積物dの除去を行っているため、カバー部材2の弾性変形による復元力と後側ワイパー7による分離作用で堆積物dを除去しやすい。また、前側ワイパー6は、カバー部材2の構成する曲面に接しているため堆積物dの自重と前側ワイパー6の分離作用により除去が行い易い。
図3は、本発明の実施形態に係るエアー放出動作の横断面図である。図3がエアーブロー部41からエアーを放出している状態である。主軸5内を通過したエアー41aが工具Tを回転させるモータを冷却する。エアー41aは工具Tを支持している支持部51内の把持部が工具Tを把持している隙間もしくは、z軸方向下方に吹き出すように設けられた放出口から支持部51の外に放出されエアー41bが加工空間Sに放出される。
また、カバー部材2の前側の下方には、回収部である回収ボックス4が、躯体Bと着脱自在に配置されている。そして、カバー部材2が前側(所定方向一端部側)に移動して収納部9の下方に回り込む際に、前側ワイパー6により分離された堆積物dが回収ボックス4内に落下するようにしている。
このように構成される本実施形態の場合、図1に示すように、加工台1上に加工対象物Wを固定した状態で、主軸5の先端に設けたドリルなどの工具により加工対象物Wに所定の加工を施す。この際、主軸5をx軸駆動部20xとz軸駆動部20zによりx軸とz軸とに移動させ、加工台1をy軸駆動部20yによりy軸に移動させる。この加工の際に生じた切粉などの堆積物dは、カバー部材2上に溜まる。また、図2に示すように、カバー部材2はy軸方向と直交する幅方向から落下することを防止する摺接部材3a、3bを備える。摺接部材3a、3bは堆積物落下防止手段として機能し、駆動部20yに堆積物dが落下しないようになっている。摺接部材3a、3bは、後側ワイパー7に向かって幅方向に狭くなるように傾斜を持って設置されている。加工台1の移動方向両側にそれぞれ配置され、対向する一対の摺接部材3a、3bの間隔は他方側に沿って除々に小さくなっている。
<加工装置の制御構成>
図4は、本発明の一実施形態に係わる切削加工装置の構成を示すブロック図である。上述の加工装置Aの制御手段である制御部30について、図4を用いて説明する。図4に示すように、加工装置Aは、制御部30と加工装置本体40とを備える。このうちの制御部30は、演算手段であるCPU31、入出力ポート(I/O)32、各モータドライバ33x、33y、33z、主軸コントローラ34、データ入力部35などを備える。CPU31は、入力されたデータや信号に基づいて各種の演算を行う。
I/O32は、加工装置本体40のエアーブロー部41、主軸(スピンドル)5の使用電力値を測定する電力測定手段である電流センサー51に接続される。なお、エアーブロー部41は、主軸5に取り付けた工具Tにエアーを放出し、工具を冷却すると共に工具に付着した切粉を除去するものである。また、主軸に取り付けてあれば、切粉の除去のみでも構わない。また電流センサー51は、主軸(スピンドル)5を回転させるスピンドルモータの電流を測定し、I/O32を介して、CPU31に測定結果の電流値を伝達する。この電流値から使用電力値がわかり、主軸(スピンドル)5の回転動作状態がわかる。制御部30は、使用電力値から加工負荷状態がわかりエアーブロー部41の適切な制御を行うことができる。即ち、制御部30は、エアーブロー部41のエアー放出制御手段として機能する。エアーブロー部41の出力条件として、エアー圧力、エアー出力量またはエアー出力速度等の条件がある。制御部30は、加工対象物Wの加工状況に応じて、エアー出力条件、例えば、エアー圧力、エアー出力量または、エアー出力速度の少なくともいずれか一つを制御してエアー出力を最適化する。これにより、詳細は後述するが、省エネルギー化を図ることができる。
主軸コントローラ34は、主軸5を回転させる不図示のモータを制御して、主軸(スピンドル)5の回転速度を制御するためのプログラムである。また、データ入力部35は、加工対象である被加工物の形状データ入力部35aと、加工データ読み込み部35bと、データ記憶部35cとを有する。そして、データ入力部35aで入力されたデータ及び読み込み部35bで読み込んだデータをデータ記憶部35cに記憶する。CPU31は、データ記憶部35cに記憶されたデータに基づいて各種の演算を行い、各モータドライバ33x、33y、33zなどに指令を送る。エアー出力条件や、主軸5(スピンドル)の使用電力値の閾値もデータ記憶部35cに記憶され、CPU31に読み出され処理の実行や比較に使用される。
各モータ21x、21y、21zは、上述のように、データ入力部35で入力されたデータに基づいてCPU31が演算した指令により、各モータドライバ33x、33y、33zにより駆動される。この時、CPU31は、各モータドライバ33x、33y、33zに指令した各ステージ23x、23y、23zの移動量(位置)をデータ記憶部35cに記憶させる。これと同時に、各エンコーダ45x、45y、45zにより検知した検知結果も、データ記憶部35cに記憶される。
このように制御部30により加工装置本体40の各部を制御することにより、工具を回転させつつ主軸5又は加工台1を移動させながら、加工台1上に固定した加工対象物Wに所定の加工を施す。また、加工は、連続して行う場合と、所定量加工する毎に主軸5及び加工台1を停止させる場合がある。何れにしても、各ステージ23x、23y、23zは、各モータ21x、21y、21zが指令に基づいて駆動されることにより移動する。
制御部30が、エアーブロー部41のエアー出力を制御するエアー放出制御手段及び、加工対象物Wを加工する際の加工負荷状態を判定する判定手段として機能する。
加工対象物Wに加工を行う工具Tが取り付けられる主軸5を動作させるモータである駆動手段と、加工対象物Wに向けてエアー41bを放出するエアーブロー部41と、加工対象物Wを加工する際の加工負荷状態を判定する制御部30は判定結果に基づいて、エアーブロー部41によるエアー出力を制御する。
ここで、加工負荷状態とは、スピンドルモータ等の主軸5を駆動する駆動手段に対する駆動指示情報に基づく加工負荷状態、例えば、駆動指示情報(切削加工を行う加工指示)、駆動手段の駆動状況(スピンドルモータの電流値)などを含むものである。また、本発明では、加工対象物Wの加工途中であっても、加工対象物Wを移動中等で加工していない場合であっても、加工負荷状態に応じてエアー出力を制御する。これにより、加工装置の使用状況に応じて省エネルギー化を図ることができる。特に、加工対象物Wの加工途中は、加工負荷が細かく変動するため、加工対象物Wに対して一律にエアーを放出するのではなく、加工負荷にあわせてエアー出力を最適化することにより、エアーの無駄遣いを防止できる。
また、制御部30は、加工負荷状態に対応する所定のエアー出力条件に基づいてエアーブロー部41を制御することができる。制御部30は、例えば、加工対象物Wに対する複数の加工条件(切削条件等)とエアー出力量、エアー出力速度の少なくとも何れか一方とを対応させたテーブル情報に基づいて、エアーブロー部41を制御する。なお、ここでいうテーブル情報は、複数の加工条件に応じたものでなくても、スピンドルモータの使用電力値に応じたものでもよい。
さらに、制御部30は、スピンドルモータに対する駆動指示情報に基づいて加工負荷状態を判定する機能も備えている。ここで、制御部30は、スピンドルモータの駆動状況(使用電流値や回転数等)に基づいて加工対象物Wの加工負荷状態を判定する。本実施形態では、スピンドルモータの電流値については、電流センサー51により測定する。そして、制御部30は、電流センサー51の測定結果に基づいて、加工対象物Wの加工負荷状態を判定することができる。
このように、本実施形態では、スピンドルモータの電流値に基づいて、加工対象物Wに対する加工負荷状態を間接的に判定している。スピンドルモータの電流値によって加工負荷状態の変動を把握することができるからである。この際、切粉の発生状況も予想することができる。そして、本実施形態では、このようなスピンドルモータの電流値に応じてエアー出力を制御することにより、エアー出力を適正化でき、エアー出力に要するエネルギー消費を低減することができる。
<エアー出力制御のフローチャート>
図5も参照しつつ具体的に説明する。Sは制御工程のステップを表す。加工が開始されると、制御部30は、ステージ23を移動させながら(加工中に)、指令に基づくステージ23の位置とエンコーダ45の検知結果とを比較する。即ち、指令に基づく位置と検知結果とのずれ量の調整をしながら、エアーブロー判定を開始する。制御部30は、自動加工途中か否かを判定する(S101)。自動加工途中でなければ、エアーブローを行わないと判定する(S104)。また、自動加工途中であれば制御部30は、加工指示である加工コードが切削用コードの加工指示か否かを判断する(S102)。
なぜなら、自動加工途中に実行する加工指示は、実際に切削加工する動作に使う加工指示と、切削加工せずに位置決めするための加工指示とがあり、それらを区別する必要があるからである。一般に使われている加工装置用の加工指示はNCコードと呼ばれており、実際に切削加工する動作に使うNCコードは、例えば、G01やG02がある。そして、切削加工せずに位置決めするための加工指示としては、例えば、G00がある。制御部30は、加工データ読み込み部35bから外部のネットワークを介した入力手段や加工装置本体40に備え付けられた不図示の入力手段により入力されたデータを受信する。制御部30が受信したデータがG01やG02などの切削加工用の加工指示を実行中ならば通常通りエアーブローすると判断して終了する(S103)。
制御部30は、G00などの加工対象物Wへ加工を実行する切削加工用ではない移動用などの加工指示を実行中であれば、エアーブロー部41のエアー出力を制御すると判断する(S104)。本実施の形態においては、切削加工を行っていないため加工負荷状態がエアーブローの必要がないと判定できることから、エアーブローしないと判断して終了する。エアー出力を停止することによってさらに消費エネルギーを削減することができる。
<第2の実施形態>
図6も参照しつつ具体的に説明する。制御の構成などの制御ブロック図は第1の実施形態と同様である。主軸(スピンドル)5の電流値によって、エアーブローの行い方を判定する処理の流れ図である。
主軸(スピンドル)5は主軸を回転させる駆動部である。加工が開始されると、制御部30は、ステージ23を移動させながら(加工中に)、指令に基づくステージ23の位置とエンコーダ45の検知結果とを比較する。即ち、指令に基づく位置と検知結果とのずれ量を調整しながら、制御部30は、エアーブロー判定を開始する。
まず、制御部30は、自動加工途中か否かを判定し(S201)、自動加工途中でなければ、エアーブローを行わないと判定する(S204)自動加工途中ならば、電流センサー51により主軸(スピンドル)5に流れる電流値を測定し(S202)測定結果をI/O32を介して制御部30に伝達する。制御部30は、電流センサー51で検知した値とデータ記憶部35cに予め記憶した切粉の発生量が通常のエアーを放出する必要のある電流値である所定の閾値と比較し、切粉の発生量がエアーブローを行う必要があるかを判定する(S203)。測定値が閾値を超えない場合は、必要なエアー出力としてエアーブロー部41のエアー出力の閾値を超える場合に比べて少なくすると判断する(S204)。
本実施の形態においては、電流値が切粉発生のほとんどない値であれば、エアーブロー部のエアー放出を停止する。多少の切粉が発生することが見込まれる場合は、通常のエアー出力より削減する。測定値が所定値を超えたならば主軸(スピンドル)5に負荷がかかっており、切り込み量が多い可能性があり、切粉の量が多く発生していると推定できるため通常通りのエアーの放出を行う(S205)。また、本実施例の変形例として、基準のエアーを低い値で設定し、閾値よりも大幅に大きな値である場合は、主軸(スピンドル)5の停止やエアーの放出量を上昇させることもできる。
<第3の実施形態>
図7も参照しつつ具体的に説明する。制御の構成などの制御ブロック図は第1の実施形態と同様である。制御部30が、切削用のデータであるかを判定した後に、電流値によって、エアーブローの行い方を判定する処理の流れ図である。
加工が開始されると、制御部30は、ステージ23を移動させながら(加工中に)、指令に基づくステージ23の位置とエンコーダ45の検知結果とを比較する。即ち、指令に基づく位置と検知結果とのずれ量を調整しながら、エアーブロー判定を開始する。
制御部30は、自動加工途中か否かを判定する。(S301)。自動加工途中でなければ、エアーブローを行わないと判定する(S305)。また、自動加工途中であれば制御部30は、切削用の加工指示か否かを判断する(S302)。切削用の加工指示でなければエアーブローを行わないと判定する(S305)。切削用の加工指示であれば、電流センサー51により主軸(スピンドル)5に流れる電流値を測定し(S303)主軸(スピンドル)5を回転させるために流れる電流値をI/O32を介して制御部30に伝達する。と比較し、切粉の発生量がエアーブローを行う必要があるかを判定する(S304)。測定値が閾値を超えない場合は、エアーブロー部41のエアー出力を制御すると判定し、必要なエアー出力として出力を削減する(S305)。
本実施の形態においては、電流値に応じて、切粉がほとんど発生しない値であれば、エアーブロー部41のエアー放出を停止し、切粉が比較的少なく発生することが見込まれる場合は、通常のエアー出力より削減する。また、電流センサー51で測定した値が所定値を超えるならば主軸(スピンドル)5に負荷がかかっている。そのため、切り込み量が多い可能性があり、切粉の量が多く発生していると推定できるため通常通りのエアーの放出を行う(S306)。また、通常より高い異常値を検出した場合は、停止やエアー出力を上昇させることもできる。
<他の実施形態>
制御部30は、電流センサー51で検知した値と予め記憶した電流と切り込み量の関係のあるデータから求める使用電流値をデータ記憶部35cに複数記憶している場合、切り込み量から切粉の発生量等を求めた所定の閾値などからエアー出力条件を複数の条件から選択することもできる。
規定のエアーの放出量を少なめに設定し、加工データで切削量が多くなることが見込まれる場合や、電流センサー51で測定した主軸5の使用電力値が大きい場合に、エアーの放出量を大きくする制御を行っても良い。通常の動作状態でのエアーの放出出力を抑制することから、エアーの使用量や使用エネルギーを削減できる。また、切削量が多くなることが見込まれる場合や、電流センサー51での使用電力値が大きい場合に、エアーの放出量を大きくするように制御を行うことと、電流センサー51での使用電力が小さい場合に、エアーの放出量を小さくする制御を行うことを組み合わせることもできる。エアーのエアーの放出量を大きくするように制御することとエアーの放出量を小さくする制御を組み合わせることで更に、エアー放出の消費量を減らすことができる。
例えば、データ記憶部35cに、使用電力値がa値からb値より小さい範囲であるときに、放出出力値をABと記憶させる。さらに、データ記憶部35cに、使用電力値がb値からc値より小さい範囲であるときに、放出出力値をBCと記憶させる。さらに、使用電力値がc値からd値より小さい範囲であるときに、放出出力値をCDとすることが定められたエアー出力を設定するためのテーブルを主軸5の複数の使用電力値を設定するといったことも可能である。このように、使用電力値により加工負荷状態を判定するとさらに、エアー出力を最適化することができる。
1 加工台
2 カバー部材
5 主軸(スピンドル)
21 モータ
23 移動部材(ステージ)
30 制御部
31 CPU
32 I/O
41 エアーブロー部
51 電流センサー
A 加工装置
B 躯体
d 堆積物(切粉)
W 加工対象物
S 加工領域

Claims (12)

  1. 加工対象物に加工を行う工具が取り付けられる主軸を動作させる駆動手段と、
    前記加工対象物に向けてエアーを放出するエアー放出手段と、
    前記加工対象物を加工する際の加工負荷状態を判定する判定手段と、
    前記判定手段の判定結果に基づいて、前記エアー放出手段によるエアー出力を制御するエアー放出制御手段とを有することを特徴とする加工装置。
  2. 前記エアー放出制御手段は、前記加工負荷状態に対応する所定のエアー出力条件に基づいて前記エアー放出手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の加工装置。
  3. 前記エアー放出制御手段は、複数の加工条件に応じて規定されたエアー出力量、エアー出力速度の少なくとも何れか一方のエアー出力条件を制御を特徴とする請求項1または請求項2に記載の加工装置。
  4. 前記判定手段は、前記駆動手段に対する駆動指示情報に基づいて前記加工負荷状態を判定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の加工装置。
  5. 前記判定手段は、前記駆動手段の駆動状況に基づいて前記加工負荷状態を判定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の加工装置。
  6. 前記判定手段は、前記駆動手段での使用電力値に基づいて前記加工負荷状態を判定することを特徴とする請求項5に記載の加工装置。
  7. 前記駆動手段の使用電力値を測定する電力測定手段をさらに有し、
    前記判定手段は、前記電力測定手段の測定結果に基づいて前記駆動手段での前記加工負荷状態を判定することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の加工装置。
  8. 前記電力測定手段の測定結果が所定の閾値より小さいと前記判定手段が判定した場合に、
    前記エアー放出制御手段は、前記電力測定手段の測定結果が前記所定の閾値より大きい場合に比べてエアー出力を小さく制御することを特徴とする請求項7に記載の加工装置。
  9. 前記エアー放出制御手段は、前記駆動手段の使用電力値に対応した所定のエアー出力条件に基づいて前記エアー放出手段を制御することを特徴とする請求項7に記載の加工装置。
  10. 前記エアー放出制御手段は、前記加工対象物の加工途中に前記加工負荷状態に応じて前記エアー放出手段でのエアー出力を制御することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の加工装置。
  11. 前記エアー放出制御手段は、前記加工対象物を加工しない場合に、前記エアー放出手段でのエアー出力を停止することを特徴とした請求項1〜9のいずれか一項に記載の加工装置。
  12. 工具が取り付けられる主軸を移動させながら当該工具により加工対象物を加工するに際し、前記加工対象物を加工する際の加工負荷状態に応じて前記加工対象物に対するエアー出力を制御することを特徴とする加工方法。


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