以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(各実施例を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
〔1〕一実施形態の説明
(1−1)システム構成
図1は、一実施形態に係るプロセス管理システムの一例を示す図である。図1に示すプロセス管理システム1は、例示的に、スマート通信に対応した1又は複数のフィールド機器(以下「スマート通信対応機器」と称することがある。)10や、スマート通信には非対応であるが他の種類の通信に対応した1又は複数のフィールド機器12を備える。
「スマート通信」の一例は、HART(Highway Addressable Remote Transducer)通信プロトコルに準拠した通信やフィールドバス通信プロトコルに準拠したフィールドバス通信である。「他の種類の通信」の一例は、後述するXbus等の独自規格の通信である。HART(登録商標)通信、フィールドバス通信及び独自規格の通信は、いずれもデジタル通信の一例である。
フィールド機器10や12の一例としては、発信器やポジショナが挙げられる。発信器の一例は、流量センサ、圧力センサ、温度センサ等の各種センサである。ポジショナの一例は、電気信号を例えば制御目的の空気圧力に応じた信号に変換し、当該信号に従って流量制御弁や圧力制御弁等のバルブの位置制御を行なう。
また、プロセス管理システム1には、スマート通信対応の1又は複数の入出力(IO)ユニット11、スマート通信非対応の1又は複数の入出力(IO)ユニット13、機器監視ユニット15、リンクモジュール15A、コントローラ17、及び、運転操作ユニット19等を備えることができる。
概略的に、運転操作ユニット19は、コントローラ17、IOユニット11及び13を介してフィールド機器10及び12とそれぞれ通信することができる。当該通信によって、運転操作ユニット19は、フィールド機器10及び12の測定値を取得したり、当該測定値に基づいてフィールド機器10及び12へ設定値や制御値を与えたりすることができる。別言すると、コントローラ17及び運転操作ユニット19は、IOユニット11及び13を経由する第1の通信路を通じてプロセスを制御する制御系統の一例を成す。
これに対し、機器監視ユニット15は、例えばリンクモジュール15Aと連携し、スマート通信対応のIOユニット11を介してスマート通信対応のフィールド機器10と通信することができる。当該通信によって、機器監視ユニット15は、例えばフィールド機器10の状態を示す情報(例えば、プロセス情報や故障情報等)を取得することができる。別言すると、機器監視ユニット15及びリンクモジュール15Aは、IOユニット11を経由する第2の通信路を通じてスマート通信対応機器10の状態等を監視する監視系統の一例を成す。
より詳細には、スマート通信対応のIOユニット11、機器監視ユニット15、リンクモジュール15A、コントローラ17、及び、運転操作ユニット19は、所定の通信路16に接続することができる。通信路16の一例は、TCP(Transmission Control Protocol)又はUDP(User Datagram Protocol)に準拠したデジタル通信が可能なTCP/UDP通信路である。
TCP/UDP通信路(デジタル通信路)16の一例としては、イーサネット(登録商標)通信路(ケーブル)が挙げられる。したがって、運転操作ユニット19は、例えば、機器監視ユニット15やコントローラ17等とTCP/UDP通信が可能であり、機器監視ユニット15は、例えばリンクモジュール15AやIOユニット11等とTCP/UDP通信が可能である。
コントローラ17には、例示的に、所定の通信路18を介してIOユニット11及び13を相互通信可能に接続することができる。通信路18の一例は、コントローラ17及びIOユニット13の通信機能に特化した独自規格のXbusである。Xbusは、コントローラ17とIOユニット13との間でデジタル通信を可能にするデジタル通信路の一例である。
スマート通信対応のIOユニット11には、スマート通信対応機器10を接続することができる。IOユニット13には、フィールド機器12を接続することができる。これらの接続には、アナログ直流信号(例えば、4mA〜20mA)を伝送するアナログ通信路を用いることができる。
アナログ直流信号は、フィールド機器10やフィールド機器12に応じた変数を表す信号の一例である。変数の一例としては、流量計、圧力計、温度計等のフィールド機器10で得られる流量、圧力、温度等の測定値や、ポンプやバルブ等の弁開度等の制御値が挙げられる。
したがって、フィールド機器(以下「デバイス」ともいう)10及び12は、測定値に応じた電流値(4〜20mA)のアナログ直流信号を、IOユニット(以下「IOモジュール」ともいう)11及び13を介してコントローラ17へ送信することができ、また、コントローラ17からIOユニット11及び13を介して送信されてくる設定値や制御値等に応じた電流値(4〜20mA)のアナログ直流信号を受信することができる。
ここで、スマート通信対応のIOユニット11及びフィールド機器10は、上記アナログ直流信号にデジタル信号を重畳した信号を互いに伝送することができる。別言すると、IOユニット11及びフィールド機器10は、アナログ直流信号(4〜20mA)によるアナログ通信とデジタル信号によるデジタル通信とを同時に行なうことができる。
アナログ直流信号に重畳されるデジタル信号は、例示的に、スマート通信対応機器10において取得可能な各種データを表す信号である。各種データの一例としては、スマート通信対応機器10の状態を示す情報(例えば、プロセス情報や機器10の状態を示す情報等)が挙げられる。なお、スマート通信対応機器10の測定値や制御値等を各種データに含めてもよい。
アナログ直流信号にデジタル信号を重畳するスマート通信プロトコルの一例が、既述のHART(登録商標)通信プロトコルである。HART通信プロトコルでは、4〜20mAのアナログ直流信号に、2種類の周波数信号(例えば、1200Hzと2200Hz)でデジタル値の0及び1をそれぞれ表すように変換(例えば位相変調)されたデジタル信号を重畳する。
IOユニット11(又はフィールド機器10)は、このようにデジタル信号が重畳されたアナログ直流信号をフィールド機器10(又はIOユニット11)から受信すると、受信した信号をアナログ直流信号とデジタル信号とに分離する。これにより、IOユニット11(又はフィールド機器10)は、分離した信号のそれぞれが示す値やデータを取得することができる。
別言すると、フィールド機器10及び12とIOユニット11及び13との間のアナログ通信路、並びに、IOユニット11及び13とコントローラ17との間のデジタル通信路18が、制御系統における第1の通信路の一例を成す。
一方、スマート通信に対応したフィールド機器10及びIOユニット11の間のアナログ通信路、並びに、スマート通信に対応したIOユニット11とリンクモジュール15A及び機器監視ユニット15との間のデジタル通信路16が、監視系統における第2の通信路の一例を成す。
次に、上述したようなスマート通信(HART通信)に対応したIOユニット11及びフィールド機器10の構成例を図2にそれぞれ示す。
(1−1−1)スマート通信対応IOユニット
図2に示すIOユニット11は、例示的に、Xbus18との接続を提供するインターフェース(IF)110、演算部111、アナログ−デジタル変換器(ADC)112、デジタル−アナログ変換器(DAC)113、メモリ114、及びスマート通信処理部115を備える。スマート通信処理部115は、複数のデバイスに対応可能なよう複数設ける。スマート通信処理部115には、例示的に、TCP/UDP通信路16との接続を提供するネットワークインターフェースカード(NIC)1151、演算部1152、メモリ1153、スマート通信(HART通信)モデム1154、分離重畳部1155、及びインターフェース1156が備えられる。
概略的に、IOユニット11を経由したコントローラ17とフィールド機器10との間の通信は、IF110、演算部111、ADC112又はDAC113、分離重畳部1155、及びIF1156を経由するルートで行なわれる。入力される。
なお、演算部111は、ADC112から入力されたデジタル信号とDAC113へ与えるデジタル信号をメモリ114に記憶する。別言すると、メモリ114には、フィールド機器10に与える制御値やフィールド機器10から取得した測定値等の情報を記憶しておくことができる。
コントローラ17(運転操作ユニット19)とフィールド機器10との間の上記通信に対し、IOユニット10を経由した機器監視ユニット15(又はリンクモジュール15A)とフィールド機器10との間の通信は、NIC1151、演算部1152、スマート通信モデム1154、分離重畳部1155及びIF1156を経由するルートで行なわれる。
例えば、機器監視ユニット15(又はリンクモジュール15A)から与えられたデジタル信号であるコマンド等の制御情報は、NIC1151及び演算部1152を通じてスマート通信モデム1154に入力され、当該モデム1154にて、デジタル値に対応する2種類の周波数信号に変換〔例えばFSK(Frequency Shift Keying)変調〕された後、分離重畳部1155にてフィールド機器10へのアナログ直流信号に重畳される。これにより、アナログ直流信号にデジタル信号が周波数信号として重畳されたスマート通信信号が生成され、当該スマート通信信号がIF1156を通じて当該フィールド機器10へ出力される。
一方、IF1156を通じて受信されたスマート通信信号は、分離重畳部1155にてアナログ直流信号と当該アナログ直流信号に重畳されている2種類の周波数信号とに分離される。アナログ直流信号は、上述のごとくADC112にてデジタル信号に変換された上で演算部11に与えられる。2種類の周波数信号は、例えばフィールド機器10から取得した情報(デバイス情報等)を示し、スマート通信モデム1154にてそれぞれに対応するデジタル値に変換(例えば復調)された上で、演算部1152に与えられる。演算部1152は、モデム1154から入力されたデジタル信号を、NIC1151を通じて機器監視ユニット15(又はリンクモジュール15A)へ送信することができる。
なお、演算部1152は、NIC1151から入力されたデジタル信号とスマート通信モデム1154から入力されたデジタル信号との一方又は双方をメモリ1153に記憶しておくことができる。別言すると、メモリ1153には、機器監視ユニット15(又はリンクモジュール15A)から与えられた制御情報や、フィールド機器10から取得したデバイス情報等を必要に応じて記憶しておくことができる。
また、演算部1152は、図示を省略した内部バスによって演算部111と通信可能に接続されており、メモリ14に記憶された情報を演算部111から受信することができる。同様に、演算部111は、メモリ1153に記憶された情報を演算部1152から受信することができる。
フィールド機器10から取得されたデバイス情報(以下「ライブリスト情報」ともいう。)には、機器監視ユニット15で記憶、管理されているデバイス定義情報と同等の情報要素が必要に応じて含まれてよい。
当該情報要素の一例としては、スマート通信プロトコルのレビジョン、リンクモジュール15Aのノード番号、リンクモジュール15Aのネットワークアドレス情報、IOモジュール11のネットワークアドレス情報、IOモジュール番号、スロット番号、デバイスタグ、デバイスID、デバイスタイプ、デバイスレビジョン、ベンダ、ベンダID、モデル名等が挙げられる。
なお、演算部111及び1152は、演算処理能力を備えた信号プロセッサの一例である。演算部111及び1152には、CPU(Central Processing Unit)や、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Processor)等を用いることができる。
(1−1−2)スマート通信対応機器
一方、スマート通信対応機器10は、図2に示すように、例えば、演算部101、ADC102、DAC103、メモリ104、分離重畳部105、センサ処理部106、スマート通信モデム107、及びIOモジュール11との間のアナログ通信路への接続を提供するインターフェース(IF)108を備える。
概略的に、スマート通信対応機器10とIOユニット11との間のアナログ通信は、演算部101、ADC102及びDAC103、分離重畳部105、並びにIF108を経由するルート(別言すると、スマート通信モデム107を経由しないルート)で行なわれる。
例えば、IF108を通じてIOユニット11からアナログ直流信号によって受信した制御値は、分離重畳部105を通じてADC102に入力され、ADCにてデジタル信号に変換された上で演算部101に入力される。演算部101は、当該デジタル信号の制御値に基づいてセンサ処理部106の処理(例えばバルブの制御等)を行なう。一方、演算部101が例えばセンサ処理部106から取得した測定値は、DAC103にてアナログ直流信号に変換された上で、分離重畳部105及びIF108を通じてIOユニット11へ入力される。
なお、演算部101は、ADC102から入力されたデジタル信号とDAC103へ与えるデジタル信号をメモリ114に記憶する。別言すると、メモリ104には、コントローラ17から与えられた制御値やセンサ処理部106から取得した測定値等の情報を記憶しておくことができる。
上記アナログ通信に対して、スマート通信対応機器10とIOユニット11との間のデジタル通信は、演算部101、スマート通信モデム107、分離重畳部105、及びIF108を経由するルートで行なわれる。
例えば、IF108で受信されたアナログ直流信号に重畳されている2種類の周波数信号(例えばスマート通信コマンド等の制御情報)は、分離重畳部105にて分離され、スマート通信モデム107にて当該周波数信号に対応するデジタル値に変換されて、演算部101に入力される。これにより、演算部101は、受信した制御情報に応答してコマンド発行元である例えば機器監視ユニット15(又はリンクモジュール15A)への応答を生成することができる。当該応答には、例えばメモリ104に記憶されているデバイス情報を含めることができる。
一方、演算部101で生成された機器監視ユニット15(又はリンクモジュール15A)宛のデジタル信号(例えば上記応答)は、スマート通信モデム107にてデジタル値に対応した2種類の周波数信号に変換され、分離重畳部105にて、IOユニット11へのアナログ直流信号に重畳された上で、IF108を通じIOユニット11へ入力される。
なお、演算部101は、IOユニット11における演算部111や演算部1151と同様に、演算処理能力を備えた信号プロセッサの一例であり、CPUや、MPU、DSP、ASIC等を適用できる。
次に、図1及び図2において、コントローラ17は、例えば、フィールド機器10及び/又はフィールド機器12を制御することで、プロセスの実施状態を制御する。非限定的な一例を挙げると、コントローラ17は、センサ等の発信器としてのいずれかのフィールド機器10(又は12)から取得した測定値に基づいて、アクチュエータ等のポジショナとしてのいずれかのフィールド機器10(又は12)を制御することで、バルブ等の開度等を調節することができる。
運転操作ユニット19は、コントローラ17から受信したフィールド機器10及び12の測定値に基づいて、フィールド機器10及び12の運転状況等をモニタ等に出力することができる。その一方で、運転操作ユニット19は、コントローラ17に設定値や制御値を与えることで、コントローラ17を通じてフィールド機器10及び/又は12の運転状態を個別的に制御することができる。
リンクモジュール15Aは、TCP/UDP通信路16を通じてスマート通信対応のIOユニット11と通信し、例えば、当該IOユニット11に接続されているスマート通信対応機器10のデバイス情報を取得する。取得したデバイス情報(ライブリスト情報)の一部又は全部は、リンクモジュール15Aのメモリ(図示省略)等に記憶しておくことができる。リンクモジュール15Aは、機器監視ユニット15からの問い合わせに応じ、ライブリスト情報の一部又は全部を、TCP/UDP通信路16を通じて機器監視ユニット15へ提供することができる。
その一方で、リンクモジュール15Aは、スマート通信対応機器10からの応答やイベント通知等を受信して、受信した応答やイベント通知等をTCP/UDP通信路16経由で機器監視ユニット15に送信することもできる。なお、図1及び図2においてリンクモジュール15Aは、機器監視ユニット15とは別個のものとして図示されているが、機器監視ユニット15に組み込まれていてもよい。
機器監視ユニット15は、リンクモジュール15Aと連携して、TCP/UDP通信路16経由でスマート通信対応のIOユニット11と通信し、当該IOユニット11に接続されているデバイス10の監視や診断等を行なう。監視や診断の一例としては、デバイス10のプロセスの実行状況や、デバイス10の状態等のチェック、デバイス10の保守及び修理の必要時期等の診断等が挙げられる。
当該監視や診断のために、機器監視ユニット15には、エンジニアリングツール(以下「機器定義ツール」ともいう。)等を用いて定義、設定されたデバイス定義情報(管理機器情報)が例えばデバイス定義ファイルとしてメモリ(図示省略)等に記憶される。
デバイス定義ファイルには、例示的に、スマート通信プロトコルのレビジョン、リンクモジュール15Aのノード番号、リンクモジュール15Aのネットワークアドレス情報、IOユニット11のネットワークアドレス情報、当該デバイス定義ファイルのファイル番号、IOモジュール番号、スロット番号、デバイスタグ、デバイスID、デバイスタイプ、デバイスレビジョン、ベンダ、ベンダID、モデル名等の情報が必要に応じて含まれてよい。
なお、ノード番号、ファイル番号、IOモジュール番号、及びスロット番号の情報セットは、例えば、機器監視ユニット15からデバイス10に至る経路を特定する情報(経路情報)として使用できる。
機器監視ユニット15によるデバイス10に対する各種チェックや診断等の処理には、以下に例示する処理(1)〜(5)の一部又は全てが含まれてよい。なお、当該処理(1)〜(5)を以下「ループチェック」と総称することがある。
(1)デバイス生存確認
(2)コミッショニング
(3)アナログ入力(AI)チェック
(4)アナログ出力(AO)チェック
(5)上記(1)〜(4)の作業の進捗確認
(1)「デバイス生存確認」は、例えば、監視系統を通じて、IOモジュール11に接続されているデバイス10の電気的な接続状態(以下「デバイス接続ステータス」ともいう。)をチェック(OK/NGを判定)する処理である。チェック結果は、機器監視ユニット15のモニタ156(図3参照)等に出力される。「デバイス接続ステータス」の非限定的な一例としては、「接続」、「切断」、「未定義」、「不明デバイス接続」、「不一致」等がある。例示的に、機器監視ユニット15は、デバイス接続ステータスが、「接続」、「切断」及び「未定義」のいずれかであれば「OK」、「不明デバイス接続」及び「不一致」のいずれかであれば「NG」とそれぞれ判断することができる。
(2)「コミッショニング」は、例えば、デバイス10を管理するためにエンジニアリングツール等を用いて機器監視ユニット15に設定、保存されたデバイス定義情報と、監視系統(例えばリンクモジュール15A)を通じてデバイス10から取得したデバイス情報(ライブリスト情報)との整合性をチェック(OK/NG)する処理である。なお、「コミッショニング」に関連して、機器監視ユニット15は、(2−1)レンジチェック及び/又は(2−2)出力値チェックを実施することもできる。「レンジチェック」は、例えば、デバイス10に設定された変数の上限値(ハイレンジ)及び/又は下限値(ローレンジ)が適正であるかを確認する処理であり、「出力値チェック」は、デバイス10の出力値をチェックする処理である。チェック対象の出力値の一例としては、圧力値(PV)、流量値(SV)、温度値(TV)、熱量値(QV)等が挙げられる。
(3)「AIチェック」は、監視系統を通じてデバイス10に対して出力値(4〜20mAのアナログ直流信号)を指定し、当該指定に対するデバイス10の応答(アナログ出力)に基づいてデバイス10のアナログ入力をチェックする処理である。
(4)「AOチェック」は、制御系統(コントローラ17)を通じてデバイス10の出力値(4〜20mAのアナログ直流信号)を設定(制御)し、監視系統を通じて当該設定に対するデバイス10の応答(アナログ出力)をチェックする処理である。
(5)「進捗確認」は、例えば、以上の処理(作業)の一部又は全部についての確認(進捗)状況をデバイス10の別に管理する処理である。進捗状況の情報は、プロセス管理者や保守者等の作業員が利用するモニタ等に表示することができる。
なお、「コミッショニング」、「AIチェック」及び「AOチェック」の一部又は全部の実行は、「デバイス生存確認」の結果が「OK」であり接続状態に問題が無いことが確認されたデバイス10に制限する仕様にしてもよい。これにより、不要なチェックを省略することができ、ループチェックの作業効率を向上できる。
(1−2)機器監視ユニット15のハードウェア構成
ループチェックの一部又は全てを実施可能な機器監視ユニット15は、例えば図3に示すように、パーソナルコンピュータ(PC)等の情報処理装置を用いて実現できる。
図3に示す機器監視ユニット15は、例示的に、CPU151、RAM(Random Access Memory)152、ROM(Read Only Memory)153、ハードディスク等の記憶装置154、1又は複数のインターフェース(IF)155A〜155D、モニタ156、キーボード157、マウス等のポインティングデバイス158を備える。
キーボード157及びポインティングデバイス158は、作業員が機器監視ユニット15に情報(例えば、デバイス定義情報や、ループチェックに用いられる設定データ等)を入力するために用いられる入力デバイスの一例である。
モニタ156は、液晶ディスプレイ、PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)等の表示装置であり、例えばCPU151による表示制御の下、RAM152やROM153、記憶装置154に記憶されているデータを表示する。なお、モニタ156は、タッチパネル等の情報入力が可能な入力デバイスを備えていてもよい。
インターフェース155A〜155Cは、それぞれモニタ156、キーボード157及びポインティングデバイス158等の周辺機器(ペリフェラル)を接続するために用いられるインターフェースである。当該インターフェースには、例示的に、USB、IEEE1394、シリアル、パラレル、赤外線、無線等のインターフェースを用いることができる。インターフェース155Dは、機器監視ユニット15を例えばTCP/UDP通信路16に接続する通信インターフェースである。
記憶装置154は、例示的に、既述のループチェックを実施する機器監視プログラムや設定データ(コンフィギュレーションデータ)を記憶する。機器監視プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供することができる。記録媒体には、例えば、ハードディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、BD(Blue-ray Disk)、ROMカートリッジ、バッテリバックアップ付きRAMカートリッジ、フラッシュメモリカートリッジ、不揮発性RAMカートリッジ等が含まれる。コンピュータの一例である機器監視ユニット15は当該記録媒体から機器監視プログラムや設定データを読み取って記憶装置154やRAM152に転送し格納して用いる。また、機器監視プログラムは、例えばTCP/UDP通信路16を介して機器監視ユニット15に提供することもできる。
なお、「コンピュータ」とは、例示的に、ハードウェアとオペレーティングシステム(OS)とを含む概念であり、OSの制御の下で動作するハードウェアを意味することがある。また、OSが不要でプログラム単独でハードウェアを動作させることが可能な場合には、そのハードウェアがコンピュータに相当すると位置付けることができる。ハードウェアは、CPU等の演算装置と、記録媒体に記録されたプログラムを読み取り可能な読み取り装置とを含むことができる。
機器監視プログラムは、上述のようなコンピュータに、機器監視ユニット15としての機能を実現させるプログラムコードを含んでいる。その機能の一部はプログラムではなくOSによって実現されてもよい。
ROM153は、不揮発性記憶媒体の一例であり、例えば、機器監視ユニット15が起動する際に、CPU151にマイクロコードを設定したり、各部を初期化したり、記憶装置154からOS等を起動し、プログラムが実行されるような指示を行なったりするためのプログラムやデータを記憶する。
RAM152は、揮発性記憶媒体の一例であり、CPU151の作業領域(ワークメモリ)を提供する。
CPU151は、演算処理能力を備えた信号プロセッサの一例である。CPU151は、ROM153や記憶装置154に記憶された機器監視プログラムや設定データ、インターフェース155A〜155Cを通じて与えられる各種入力情報を作業領域であるRAM152に展開し、展開した機器監視プログラム等に従って動作することにより、コンピュータを機器監視ユニット15として機能させる。なお、CPU151の代わりに、MPUや、DSP、ASICを用いてもよい。
(1−3)機器監視ユニット15の機能ブロック
図4に、機器監視ユニット15の機能ブロック図を示す。図4に示す機器監視ユニット15は、上述したようにCPU151がRAM152、ROM153及び記憶装置154と協働して機器監視プログラムを実行することで、以下に例示する各部(ツール)151−1〜151−6としての機能(以下「ループチェックツール」と総称することがある。)の一部又は全部が具現される。
(1)デバイス生存確認部(デバイス生存チェックツール)151−1
(2)コミッショニング部(コミッショニングツール)151−2
(3)AIチェック部(AIチェックツール)151−3
(4)AOチェック部(AOチェックツール)151−4
(5)進捗確認部(進捗管理ツール)151−5
なお、コミッショニング部151−2は、レンジチェック部(レンジチェックツール)151−6及び出力値チェック部(出力値チェックツール)151−7の一方又は双方の機能を具備していてもよい。
また、機器監視ユニット15(CPU151)は、起動時等においてコンフィギュレーションデータを例えば記憶装置154からRAM152へ読み込む。コンフィギュレーションデータには、例示的に、「レンジチェック」、「AIチェック」、及び「AOチェック」等における合否(OK/NG)判断に使用するしきい値(例えば誤差しきい値)や、デバイス出力の読み取り回数、間隔(周期)等を規定するデータ等が含まれる。
コミッショニング部151−2(レンジチェック部151−6)、AIチェック部151−3、及びAOチェック部151−4は、RAM152に読み込んだコンフィギュレーションデータに基づいて、「レンジチェック」、「AIチェック」、及び「AOチェック」をそれぞれ実行することができる。
(1−4)機器監視ユニット15によるループチェック
機器監視ユニット15によるループチェックは、例えば、工場やプラント等の立ち上げ時(図5参照)や、それらの運用時(図6参照)に実施することができる。すなわち、機器監視ユニット15は、工場やプラントの立ち上げ時及び運用中等にフィールド機器の接続状態や、パラメータの設定状態、フィールド機器の動作の正常性等のチェックを実施することにより、現場の立ち上げ作業や運用を円滑に行なえるように支援する。
例えば、プラントの立ち上げ時には、図5に例示するように、機器監視ユニット15は、デバイス生存確認部151−1、コミッショニング部151−2、AIチェック部151−3、及びAOチェック部151−4によって、「デバイス生存確認」、「コミッショニング」、「レンジチェック」、「AIチェック」、「AOチェック」、及び「出力値チェック」を実施することができる。
一方、プラントの運用時には、図6に例示するように、機器監視ユニット15は、デバイス生存確認部151−1、及びコミッショニング部151−2によって、「デバイス生存確認」、「コミッショニング」、「レンジチェック」、及び「出力値チェック」を実施することができる。
以下、「デバイス生存確認」、「コミッショニング」(「レンジチェック」及び/又は「出力値チェック」を含む)、「AIチェック」、「AOチェック」、及び「進捗確認」の詳細な内容を項目別に説明する。
機器監視ユニット15は、ループチェックツールが起動されると、例えば図7に示すようなグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を用いた画面(ループチェックツールウィンドウ)を例えばモニタ156(図3参照)に表示する。
(1−4−1)デバイス生存確認
「デバイス生存確認」は、当該ループチェックツールウィンドウを通じて実行することができる。
図7に示すループチェックツールウィンドウには、例示的に、検索(Search)ボタン201、フィルタ(Filter)ボタン202、レポート作成(Report)ボタン203、ページ切替ボタン204、進捗率(Progress rate)表示フィールド205、クリア(Clear)ボタン206、設定(Setting)ボタン207、実行(Execute)ボタン208、全選択(Select All)チェックボックス209、デバイス一覧表示フィールド210、及び、ステータスサンプル表示フィールド211が設けられている。
また、ループチェックツールウィンドウには、図7に例示するように、「デバイス生存確認」、「コミッショニング」、「AIチェック」、「AOチェック」、及び「進捗確認」の各機能(ツール)を切り替えるためのタブ221〜225を設けてもよい。
デバイスリストタブ221、コミッショニング(Commissioning)タブ222、AIチェックタブ223、AOチェックタブ224、及び進捗確認(Progress)タブ225のいずれかを選択(クリック)することで、選択したタブがループチェックツールウィンドウにおいて他のタブに対して前面に表示される。
図7の表示例は、デバイスリストタブ221が選択されて「デバイス生存確認」の機能(デバイス生存確認部151−1)が実行可能な状態の表示例である。同様に、コミッショニングタブ222、AIチェックタブ223、AOチェックタブ224、及び進捗確認タブ225が選択された場合は、それぞれ、図10、図13、図15、及び図17に示すような表示例となる。なお、タブ221〜225の切り替えによる機能(ツール)選択に代えて、ループチェックツールを成す機能のそれぞれに対応したポップアップウィンドウ等を個別的に表示するようにしてもよい。
検索ボタン201は、例えば、検索条件(検索キー)を指定してデバイス10を検索する際に用いることができる。デバイス生存確認部151−1は、検索条件に合致(ヒット)したデバイス10をデバイス一覧表示フィールド210に表示することができる。検索キーには、デバイス10への経路情報及び作業完了ステータスを使用できる。検索キーは、ループチェックツールを終了しない限り機器監視ユニット15(例えばRAM152や記憶装置154;図3参照)において保持しておくことができる。
検索条件の設定は、例示的に、GUIを用いた検索条件設定画面(ウィンドウ)を通じて行なうことができる。検索条件設定ウィンドウの表示例を図8に示す。図8においては、経路情報(例えば、「ノード」、「ファイル」、「IOモジュール」、及び「スロット」)のそれぞれについて範囲指定で検索条件を設定できる。また、デバイス情報(「タグ」、「デバイスID」、「デバイスタイプ」、「デバイスリビジョン」、「ベンダ」、「モデル」等)については、例えば文字列の部分一致で検索可能である。
次に、図7の表示例において、フィルタボタン202は、未完を表示(Filter)するか、すべてを表示(Show All)するかを切り替えるボタンである。「未完を表示(Filter)」する状態では、「デバイス生存確認」が未完のデバイス10のみがデバイス一覧表示フィールド210に表示される。「すべて表示(Show All)」する状態では、フィルタが解除されて全デバイス10がデバイス一覧表示フィールド210に表示される。その際、検索(Search)ボタンで指定した検索条件による絞り込みも解除することとしてよい。ただし、検索条件の指定は保持しておくこともできる。
レポート作成(Report)ボタン203が選択(例えばクリック)されると、デバイス生存確認部151−1は、デバイス接続ステータス確認の結果を所定形式のファイルとして生成する。所定形式のファイルの一例は、CSV(Comma Separated Value)ファイルである。
ページ切替ボタン204がクリックされると、デバイス生存確認部151−1は、デバイス一覧表示フィールド210の表示ページを切り替える。例えば、「<<」ボタン241がクリックされると先頭ページ、「>>」ボタン244がクリックされると最終ページ、「<」ボタン242がクリックされると1つ前のページ、「>」ボタン243がクリックされると次ページをそれぞれ表示する。
進捗率表示フィールド205は、「デバイス生存確認」の進捗率を表示するフィールドである。進捗率は、例えば、「デバイス生存確認」実行済みのデバイス10と、全デバイス10との比率で表わすことができる。
クリア(Clear)ボタン206がクリックされると、デバイス生存確認部151−1は、選択中のデバイス10についてのデバイス接続ステータスの確認結果をクリアする。クリアボタン206は、「デバイス生存確認」が完了したIOモジュール11が選択された場合に選択操作を受け付ける(イネーブル)状態にすることができる。
設定(Setting)ボタン207がクリックされると、デバイス生存確認部151−1は、パラメータ設定用ダイアログを開く。
実行(Execute)ボタン208がクリックされると、デバイス生存確認部151−1は、「デバイス生存確認」を実行する。「デバイス生存確認」の実行中、実行ボタン208はキャンセル(Cancel)ボタンに変化する仕様としてもよい。当該キャンセルボタンがクリックされると、デバイス生存確認部151−1は、「デバイス生存確認」の実行をキャンセル(中止)する。なお、実行ボタン208とは別個にキャンセルボタンを設ける仕様でもよい。
全選択(Select All)チェックボックス209にチェックが付けられると、デバイス生存確認部151−1は、デバイス一覧表示フィールド210に表示中のページのデバイス10を全て選択した状態にする。チェックボックス209のチェックが外されると、デバイス生存確認部151−1は、全選択を解除する。
デバイス一覧表示フィールド210には、例示的に、デバイス10の生存確認結果(デバイス接続ステータス)が一覧表示される。いずれかのデバイス10のエントリ(あるいはアイコン)が選択(例えばダブルクリック)されると、デバイス生存確認部151−1は、デバイスタグ等のデバイス情報をツールチップ等として表示するようにしてもよい。デバイス接続ステータスは、ステータスサンプル表示フィールド211及び次表1に例示するように、アイコンで表示することができる。
なお、デバイス生存確認部151−1は、例示的に、デバイス接続ステータスが、「接続」、「切断」、及び「未定義」のいずれかであれば「OK」と判断し、「不明デバイス接続」及び「不一致」のいずれかであれば「NG」と判断する。ステータスチェックの結果が「NG」のエントリは、背景色を他エントリと異なる色(例えば赤)にする等して強調表示してもよい。デバイスステータスリストには、デバイス接続ステータスをチェックした日時を表示してもよい。
次に、図9に「デバイス生存確認」の動作フローチャートの一例を示す。
まず、作業員は、検索ボタン201をクリックして、図8に例示したような検索条件設定ウィンドウを呼び出し、当該検索条件設定ウィンドウにおいて「デバイス生存確認」を実施する対象デバイス10の検索条件を設定する(処理P101)。
デバイス生存確認部151−1は、検索条件設定ウィンドウで設定された検索条件に基づいてデバイス定義情報を検索し、検索条件に合致するデバイス10をデバイス一覧表示フィールド210に表示する。
その後、機器監視ユニット15(デバイス生存確認部151−1)は、実行(Execute)ボタン208がクリックされて「デバイス生存確認」の実行イベントが発生すると、検索されたデバイス10についてデバイス接続ステータスの問い合わせをリンクモジュール15Aに対して行なう。
当該問い合わせには、例えば、スマート通信コマンド(デバイス接続ステータス取得コマンド)を用いることができる。当該コマンドは、個々のデバイス10の単位に発行してもよいし、デバイス10が接続されたIOユニット11の単位(グループ)で発行してもよい。
IOユニット11の単位でコマンドを発行すれば、IOユニット11の単位でまとめてデバイス接続ステータスを確認することができるため、「デバイス生存確認」の高速化を図ることができる。なお、問い合わせに関する処理はマルチスレッドで実施してよい。これにより、問い合わせ処理中でもユーザインターフェースや他システムへの影響を最小限とすることができる。
デバイス接続ステータス取得コマンドを受信したリンクモジュール15Aは、IOユニット11を通じてデバイス10から取得、記録しているライブリスト情報を機器監視ユニット15に送信(応答)する。
機器監視ユニット15は、リンクモジュール15Aから受信したライブリスト情報と例えばRAM152に記憶しているデバイス定義情報とを比較し、その比較結果と表1に例示したような基準とに基づいてデバイス10の接続状態を判断する(処理P102)。当該比較には、ライブリスト情報及びデバイス定義情報のそれぞれ一部の情報要素、例えば「デバイスタグ」及び「デバイスタイプ」を用いることができる。
判断結果は、例示的に、表1及び図7に示すように色違いのアイコンでデバイス単位に表示することができる。アイコンが例えばマウス等でダブルクリックされると、該当するライブリスト情報をツールチップ等として表示するようにしてもよい。
その表示項目には、例示的に、デバイスタグ、デバイスタイプ、デバイスレビジョン、ベンダ名、モデル名、スマート通信プロトコルのレビジョン等が含まれてよい。これにより、作業員は、例えば「デバイス生存確認」結果が「NG」となったデバイス10の現状(NGの原因)を特定し易くなる。
なお、デバイス生存確認部151−1は、リンクモジュール15Aが記録しているデバイス情報のうちの「デバイスタグ」及び「デバイスタイプ」のいずれかが、実際に接続されているデバイス10のものと異なる場合に、デバイス接続ステータスが「不一致」であると判断してよい。したがって、デバイス生存確認部151−1は、デバイス情報の「デバイスID」や「デバイスレビジョン」が異なっていても、デバイス接続ステータスは「接続」(OK)と判断することがある。
機器監視ユニット15(デバイス生存確認部151−1)は、同じIOユニット11に接続された各デバイス10について、デバイス接続ステータスがすべて「OK」(「接続」又は「切断」)であるか否かをチェックする(処理P103)。デバイス接続ステータスがすべて「OK」と判断した場合(処理P103のYルート)、デバイス生存確認部151−1は、「デバイス生存確認」結果を「OK」とする。
そして、レポート作成ボタン203がクリックされれば、デバイス生存確認部151−1は、レポートを作成する(処理P104)。
一方、デバイス接続ステータスのチェック結果が、すべて「OK」ではない(「不明デバイス」又は「不一致」がある)と判断した場合、デバイス生存確認部151−1は、該当デバイス10についての「デバイス生存確認」結果を「NG」とする。なお、IOユニット11よりも上位のレベルでエラーが有った場合は、該当のIOユニット11に接続されている全てのデバイス10について、「不一致」と判断してよい。
機器監視ユニット15(デバイス生存確認部151−1)は、以上の判断結果をデバイス一覧表示フィールド210に表示する。なお、「デバイス生存確認」結果が「NG」であったデバイス10については、作業員がデバイス情報の修正を行なう等して機器状態の修正を行ない(処理P103のNルートから処理P105)。「デバイス生存確認」結果が「NG」のデバイス10が無くなるまで、「デバイス生存確認」を繰り返し実行する(処理P103のNルート)。
以上のように、機器監視ユニット15は、デバイス生存確認部151−1の機能により、IOユニット11に接続されているデバイス10の接続ステータスを、監視系統を通じてチェックすることができる。したがって、作業員は、工場やプラントの立ち上げ時及び運用中等にデバイス10の接続状態の正常性を容易に確認することができ、現場の立ち上げ作業や運用を円滑に行なうことができる。その結果、作業員の作業負担の軽減、工期の短縮(ひいては消費電力等の低減)、工場やプラント等の安全性の確保等に大きく寄与する。
(1−4−2)コミッショニング
「コミッショニング」の機能(コミッショニング部151−2)は、例えば図10に示すように、ループチェックツールウィンドウにおいてコミッショニングタブ222を選択することで実行可能な状態となる。コミッショニングタブ222の表示状態において、図7と同一の符号を付して示すボタンやフィールドは、「コミッショニング」に対応した機能を提供する。
例えば、コミッショニングタブ222の表示状態において、検索ボタン201を用いたデバイス検索には、「コミッショニング」に用いる情報を検索条件(検索キー)として追加的に使用できる。ループチェックツールを終了しない限り機器監視ユニット15において保持しておくことができる。
レポート作成ボタン203がクリックされると、コミッショニング部151−2は、「コミッショニング」の結果をCSVファイル等の所定形式のファイルとして生成する。
進捗率表示フィールド205には、例示的に、「コミッショニング」実行済みのデバイス10と全デバイス10との比率が表示される。
クリアボタン206がクリックされると、コミッショニング部151−2は、デバイス詳細ペイン301に表示されたコミッショニング結果をクリアする。
実行ボタン208がクリックされると、コミッショニング部151−2は、デバイス一覧表示フィールド300に表示されているデバイス10に対して、「コミッショニング」及び/又は「出力値チェック」を実行する。「コミッショニング」及び/又は「出力値チェック」の実行中、実行ボタン208は、キャンセル(Cancel)ボタンに変化する仕様としてよい。当該キャンセルボタンがクリックされると、コミッショニング部151−2は、「コミッショニング」及び/又は「出力値チェック」の実行をキャンセル(中止)する。なお、実行ボタン208とは別個にキャンセルボタンを設ける仕様でもよい。
コミッショニングタブ222の上部には、デバイス一覧を表示するデバイス一覧表示フィールド300を設けることができる。当該フィールド300の表示項目は、例示的に、ノード番号、ファイル番号、IOモジュール番号、スロット番号、デバイスタグ、及びモデル名、「コミッショニング」及び/又は「出力値チェック」の判定結果、日時等である。
「コミッショニング」及び/又は「出力値チェック」の結果が「NG」であるエントリについては、作業員が視認し易いように、他のエントリと表示色を異ならせる(例えば赤で表示する)ようにしてもよい。
デバイス一覧表示フィールド300の1ページ分に表示可能なエントリ数(リストビューの行数)は自由に決定してよい。非限定的な一例では、1ページに表示可能なデバイス数は最大80台とする。表示するデバイス数が1ページに表示可能な最大数よりも多い場合、例えば、デバイス一覧表示フィールド300の右端に縦スクロールバーを表示し、スクロールによってページ内のデバイスすべてを表示できる仕様としてもよい。
コミッショニングタブ222におけるデバイス一覧表示フィールド300の下部には、デバイス詳細情報を表示するデバイス詳細ペイン301を設けることができる。デバイス詳細ペイン301には、例示的に、デバイス一覧表示フィールド300において選択中のデバイス10の詳細情報が表示される。
デバイス詳細ペイン301の表示項目は、例示的に、「デバイスタグ」、「デバイスID」、「デバイスタイプ」、「デバイスレビジョン」、「ベンダ」、「ベンダID」、「モデル名」、「スマート通信プロトコルレビジョン」、「レンジ情報」(ハイレンジ及び/又はローレンジ)等である。
デバイス詳細ペイン301には、エンジニアリングツール等で定義されたデバイス定義情報を表示するデバイス定義情報フィールド309と、スマート通信コマンドを用いてデバイス10から取得したライブリスト情報を表示するライブリスト情報フィールド310とを設けることができる。これらのフィールド309及び310を例えば左右に並べて表示することで、それぞれの情報の一致/不一致が視認し易くなる。
デバイス定義情報フィールド309の「デバイスID」及び/又は「デバイスレビジョン」が空欄である場合(つまり未定義の状態)、当該情報以外の項目が一致していたら判定結果を「OK」とし、ライブリスト情報から未定義の情報をコピーするようにしてよい。当該コピーは、自動的に実施してもよいし、例えばコピー(Copy)ボタン302がクリックされることで実施するようにしてもよい。「デバイスID」及び/又は「デバイスレビジョン」が空欄でない場合は、当該情報を「コミッショニング」における判定対象に追加してもよい。
コピー(Copy)ボタン302がクリックされると、コミッショニング部151−2は、選択中のデバイス10のライブリスト情報から、「デバイスID」の内容をデバイス定義情報にコピーする。「出力値チェック」においてコピーボタン302がクリックされると、出力値チェック部151−7は、ライブリスト情報から「PV」、「SV」、「TV」、「QV」等の内容をデバイス定義情報にコピーする。
実行(Execute)ボタン303がクリックされると、コミッショニング部151−2は、選択中のデバイス10に対して、「コミッショニング」及び/又は「出力値チェック」を実行する。「コミッショニング」の実行により、エンジニアリングツール等で定義されたデバイス定義情報と、デバイス10からスマート通信コマンドを用いて取得したライブリスト情報とが比較される。
なお、「コミッショニング」及び/又は「出力値チェック」の実行中、実行ボタン303は、キャンセル(Cancel)ボタンに変化する仕様としてよい。当該キャンセルボタンがクリックされると、コミッショニング部151−2及び/又は出力値チェック部151−7は、「コミッショニング」及び/又は「出力値チェック」の実行をキャンセル(中止)する。なお、実行ボタン303とは別個にキャンセルボタンを設ける仕様でもよい。
Squawkボタン304がクリックされると、コミッショニング部151−2は、選択中のデバイス10に対してスマート通信コマンドの1つであるSquawkコマンドを送信することができる。これにより、デバイス10固有の視覚的、聴覚的、及び/又は機械的なコマンド受信を示す反応を確認できる。なお、デバイス10がSquawkコマンドをサポートしていない場合、コミッショニング部151−2はエラーメッセージをモニタ156等に表示してよい。
「コミッショニング」ラジオボタン305がチェックされると、CPU151は、「コミッショニング」機能を有効とする。「出力値チェック」ラジオボタン306がチェックされると、CPU151は、「出力値チェック」機能を有効とする。
判定結果フィールド307には、例示的に、選択中のデバイス10の「コミッショニング」及び/又は「出力値チェック」の判定結果が表示される。例えば、「コミッショニング」の結果がすべて一致した場合、判定結果として「OK」が表示される。「コミッショニング」の結果に不一致がある場合、判定結果として「NG」が表示される。判定結果が「NG」の場合、作業員が視認し易いように、不一致であった項目の表示色を他と異ならせる(例えば赤で表示する)ようにしてもよい。
日時フィールド308には、例示的に、選択中のデバイス10に対して実行した最後の「コミッショニング」及び/又は「出力値チェック」の日時(yyyy/MM/dd HH:mm:ss)が表示される。
なお、デバイス定義情報フィールド309には、レンジ情報設定フィールド311を設けることができ、当該フィールド311には、レンジ情報の変換係数(例えば、デフォルトで1.0)を設定する変換係数フィールド312を設けることができる。変換係数は、分散制御システム(DCS)(例えばコントローラ17)における設定値から実際の値への変換係数である。変換係数は、「コミッショニング」実行完了時に、ライブリスト情報に含めて保存するようにしてもよい。
次に、図11に「コミッショニング」の動作フローチャートの一例を示す。
まず、作業員は、検索ボタン201をクリックして、図8に例示したような検索条件設定ウィンドウを呼び出し、当該検索条件設定ウィンドウにおいて「コミッショニング」を実施する対象デバイス10の検索条件を設定する(処理P201)。
コミッショニング部151−2は、検索条件設定ウィンドウで設定された検索条件に基づいてデバイス定義情報を検索し、検索条件に合致するデバイス10をデバイス一覧表示フィールド300に表示する。
その後、ループチェックツールウィンドウ(デバイス一覧表示フィールド300の上部)に設けられた実行(Execute)ボタン208か、デバイス詳細ペイン301に設けられた実行(Execute)ボタン303がクリックされると、コミッショニング部151−2は、デバイス一覧表示フィールド300に表示中のデバイス10に対してコミッショニングを実行する(処理P202)。
例えば、コミッショニング部151−2は、デバイス10のデバイス情報をリンクモジュール15Aに対して問い合わせる。当該問い合わせには、例えば、スマート通信コマンド(コミッショニング用データ収集コマンド)を用いることができる。当該コマンドは、個々のデバイス10の単位に発行してもよいし、デバイス10が接続されたIOユニット11の単位(グループ)で発行してもよい。
IOユニット11の単位でコマンドを発行すれば、IOユニット11の単位でまとめて「コミッショニング」を実施できるため、「コミッショニング」の高速化を図ることができる。なお、問い合わせに関する処理はマルチスレッドで実施してよい。これにより、問い合わせ処理中でもユーザインターフェースや他システムへの影響を最小限とすることができる。
デバイス10のデバイス情報(ライブリスト情報)が取得されると、コミッショニング部151−2は、デバイス定義情報とデバイス10から取得したライブリスト情報とを比較し、両情報の一致/不一致を判断する(処理P203)。
判断の結果、すべて「OK」であり(処理P203のYルート)、レポート作成ボタン203がクリックされれば、コミッショニング部151−2は、「コミッショニング」の結果をCSVファイル等としてレポートを作成する(処理P204)。
なお、「コミッショニング」の結果で「NG」となった場合(処理P203のNルート)でも、機器監視ユニット15は、デバイス定義情報の更新やライブリスト情報の書き換え等を行なわなくてもよい。必要であれば、デバイス定義情報の更新については、機器定義ツールを使用して行なうことができる(処理P205及びP206)。ライブリスト情報(デバイス10が保有しているデバイス情報)の書き換えについては、機器監視ユニット15の機器管理ツール(図示省略)からDTM(Device Type Manager)を呼び出して行なうことができる(処理P207及びP208)。
以上のように、機器監視ユニット15は、コミッショニング部151−2の機能により、予め設定されたデバイス定義情報と、IOユニット11に接続されているデバイス10のデバイス情報との整合性を、監視系統を通じて簡単にチェックすることができる。
したがって、作業員は、現場の立ち上げ作業や運用を円滑に行なうことができる。その結果、作業員の作業負担の軽減、工期の短縮(ひいては消費電力等の低減)、工場やプラント等の安全性の確保等に大きく寄与する。
(1−4−2−1)レンジチェック
機器監視ユニット15(CPU151)は、レンジチェック部151−6(図4参照)としての機能により、「コミッショニング」実行時にデバイス10のレンジ設定(ハイレンジ及びローレンジ)のチェック(レンジチェック)を実施することができる。「レンジチェック」は、デバイス10のアナログ入力(AI)及びアナログ出力(AO)のうち少なくともAIについてのレンジ設定を対象とする。
CPU151(レンジチェック部151−6;図4参照)は、デバイス定義情報におけるレンジ設定値に変換係数(デフォルトは例えば1)を乗じた値とデバイス10から取得したライブリスト情報におけるレンジ設定値とを比較する。レンジチェック部151−6は、両者が許容誤差範囲内で一致していたら「OK」、異なっていれば「NG」とそれぞれ判定し、判定結果を例えば判定結果フィールド307に表示する。なお、「レンジチェック」には、コントローラ17に設定されたレンジ情報を、デバイス定義情報におけるレンジ情報との比較対象として含めてもよい。
(1−4−2−2)出力値チェック
コミッショニングタブ222で「出力値チェック」ラジオボタン306がチェックされた状態で実行ボタン208又は303がクリックされると、機器監視ユニット15(CPU151)は、出力値チェック部151−7(図4参照)としての機能により、PV(圧力値)、SV(流量値)、TV(温度値)、QV(熱量値)のチェックを実施する。なお、「出力値チェック」ラジオボタン306がチェックされた状態での画面(ウィンドウ)表示例を図12に示す。
比較対象のPV、SV、TV、QV等の指定値は作業員が適宜入力できる。当該指定値は、RAM152や記憶装置154に記憶される。コピーボタン302をクリックすることで、監視系統を通じてデバイス10から取得したPV、SV、TV、QV等の出力値を例えばRAM152あるいは記憶装置154にコピー(記憶)し、当該出力値を指定値として用いるようにしてもよい。
また、出力値を記憶しておくことで、機器監視ユニット15(出力値チェック部151−7)は、例えば、プロセスの保守や点検等の作業ためにデバイス10の動作が停止された時点及び当該デバイス10の動作が再開された時点での各出力値をチェックすることが可能である。デバイス10の動作が停止された時点は、第1の時点の一例であり、当該デバイス10の動作が再開された時点は第2の時点の一例である。
そして、RAM152や記憶装置154は、監視系統におけるデジタル通信路16を通じてデバイス10から受信した、デバイス10が第1の時点においてIOモジュール11(アナログ通信路)へ出力しているアナログ出力値を記憶するメモリの一例である。
これにより、出力値チェック部151−7は、デジタル通信路16を通じてデバイス10から受信した、デバイス10が第2の時点においてIOモジュール11(アナログ通信路)へ出力しているアナログ出力値と、上記記憶した第1の時点でのアナログ出力値とを比較する。当該比較により、出力値チェック部151−7は、デバイス10のアナログ出力動作が適正であるか否かをチェックすることができる。
例えば、第2の時点の一例であるデバイス10の動作が再開された時点のアナログ出力値が第1の時点の一例である当該デバイス10の動作が停止された時点のアナログ出力値に対して許容範囲を超えて大きく異なっていたとする。この場合、出力値チェック部151−7は、「出力値チェック」の結果がNGであると判断する。一方、両時点のアナログ出力値のずれが許容範囲内であれば、出力値チェック部151−7は、「出力値チェック」の結果がOKであると判断する。
以上のような「出力値チェック」終了後にレポート作成(Report)ボタン203がクリックされると、CPU151(出力値チェック部151−7)は、出力値チェックの設定(変換係数やデバイス定義情報のPV、SV、TB、QV)、出力値、チェック結果、日時等を含むレポートを作成する。
当該レポートを基に、作業員は、例えばプロセスの保守や点検等の作業前後でデバイス10のアナログ出力動作に何らかの問題が生じたか否かを把握することができ、適切な対処を実施することができる。
(1−4−3)AIチェック
「AIチェック」は、既述のとおり、監視系統経由でIOモジュール11からデバイス10に対して出力値(4〜20mAのアナログ直流信号)を指定し、当該指定に対するデバイス10の応答に基づいてデバイス10のアナログ入力を確認する処理である。
「AIチェック」の機能(AIチェック部151−3;図4参照)は、例えば図13に示すように、ループチェックツールウィンドウにおいてAIチェックタブ223を選択することで有効となる。AIチェックタブ223の表示状態において、図7と同一の符号を付して示すボタンやフィールドは、「AIチェック」に対応した機能を提供する。
例えば、AIチェックタブ223の表示状態において、検索(Search)ボタン201によるデバイス検索の検索条件(検索キー)には、デバイス10への経路情報を使用できる。検索キーは、ループチェックツールを終了しない限り機器監視ユニット15において保持しておくことができる。
レポート作成(Report)ボタン203がクリックされると、AIチェック部151−3は、「AIチェック」の結果をCSV等の所定の形式でレポートファイルを作成する。
進捗率表示フィールド205には、例えば、「AIチェック」が実行済みのデバイス10と、全デバイス10との比率が表示される。
クリア(Clear)ボタン206がクリックされると、AIチェック部151−3は、AIチェックタブ223のデバイス一覧表示フィールド403に検索結果として表示されているデバイス一覧の中で、選択中のデバイス10の「AIチェック」の結果をクリアする。クリアボタン206は、「AIチェック」の結果が空欄でないデバイス10が選択された場合に選択操作を受け付ける(イネーブル)状態にすることができる。
実行(Execute)ボタン208がクリックされると、AIチェック部151−3は、AIチェックタブ223のデバイス一覧表示フィールド403に検索結果として表示されているデバイス一覧の中で、選択中のデバイス10に対して「AIチェック」を実行する。「AIチェック」の実行中、実行ボタン208は、キャンセル(Cancel)ボタンに変化する仕様にしてよい。キャンセルボタンがクリックされると、AIチェック部151−3は、「AIチェック」をキャンセルする。なお、実行ボタン208とは別個にキャンセルボタンを設ける仕様でもよい。
AIチェックタブ223には、チェックポイント数設定メニュー401及び往復チェックボックス402を設けることができる。
チェックポイント数設定メニュー401は、デバイス10に対して実施する「AIチェック」のポイント数(Nポイント:Nは自然数)を指定するために用いられる。例えば、チェックポイント数設定メニュー401をクリックすると、プルダウンメニューとして3ポイント(3Pts)及び5ポイント(5Pts)のポイント数候補が表示され、これらのいずれかを選ぶことができる。
往復チェックボックス402は、デバイス10に対する「AIチェック」を上り方向(デバイス10からIOモジュール11への方向)についてのみ実施するか、デバイス10とIOモジュール11との間の往復(Round Trip)で実施するかを指定するために使用される。往復チェックボックス402にチェックを入れると、「往復」指定となる。
非限定的な一例を挙げると、チェックポイント数設定メニュー401で「3ポイント」を選択し、往復チェックボックス402にチェックを入れた場合、AIチェック部151−3は、デバイス10に対して4mA→12mA→20mA→12mA→4mAの合計5ポイント分の出力指示を与え、それぞれの出力指示に対するデバイス10の実際のアナログ出力値をチェックする。
「AIチェック」に用いられる設定データには、例示的に、誤差しきい値(%)や、出力値読み取り遅延時間、出力値読み取り回数等が含まれる。
AIチェックタブ223のデバイス一覧表示フィールド403に表示するデバイス10は、デバイス10に対するアナログ入力が可能なIOモジュール11に接続されたデバイス10に制限してもよい。デバイス一覧表示フィールド403の表示項目は、例示的に、「デバイスタグ」、「指定値」、デバイス10の「出力値」、IOモジュール11の「入力値」(図13中では「Xbus」と付記された項目)、AIチェックの「結果」、及び「日時」等である。「AIチェック」の結果が「NG」のデバイスエントリについては、背景色を他とは異なる色(例えば赤)にして強調表示するようにしてもよい。
次に、図14に「AIチェック」の動作フローチャートの一例を示す。
まず、作業員は、検索ボタン201をクリックして、図8に例示したような検索条件設定ウィンドウを呼び出し、当該検索条件設定ウィンドウにおいて「AIチェック」を実施する対象デバイス10の検索条件を設定する(処理P301)。
AIチェック部151−3は、検索条件設定ウィンドウで設定された検索条件に基づいてデバイス定義情報を検索し、検索条件に合致するデバイス10をデバイス一覧表示フィールド403に表示する。
次いで、作業員は、デバイス一覧表示フィールド403に表示されているデバイス一覧の中から「AIチェック」を実行するデバイス10のエントリを選択し、選択したデバイス10についての「AIチェック」のチェックポイント数(3ポイント又は5ポイント)をチェックポイント数設定メニュー401から選択する(処理P302)。また、作業員は、「AIチェック」を「往復(Round Trip)」で実施する場合は、往復チェックボックス402にチェックを入れる(処理P303)。
AIチェック部151−3は、以上の設定に従ってデバイス10に対して出力指示する電流値を設定する(処理P304)。例えば、出力指示が0%なら電流値は4mA、50%なら12mA、100%なら20mAをそれぞれ設定する。出力指示には、スマート通信コマンドを用いることができる。
AIチェック部151−3は、デバイス10に対する出力指示(コマンド)をTCP/UDP通信路16へ送信した後、所定時間(AIチェック出力読み取り遅延時間)だけ待機する(処理P305)。当該遅延時間は、出力指示コマンドを受信したデバイス10がIOユニット11へ出力するアナログ直流信号が安定するまでの時間に応じた時間に設定できる。
デジタル信号である出力指示コマンドは、IOモジュール11のスマート通信処理部115(NIC1151、演算部1152、スマート通信モデム1154、分離重畳部1155、及びIF1156)を通じてスマート通信によりデバイス10へ送信される。
デバイス10(演算部101)は、IOモジュール11からスマート通信で受信した出力指示コマンドが指定する電流値でIOモジュール11へアナログ直流信号を出力する。なお、演算部101は、出力指示コマンドで指定された電流値(スマート通信モデム107を通じて得られたデジタル設定値)を例えばメモリ104に記憶する。
一方、機器監視ユニット15(AIチェック部151−3)は、AIチェック出力読み取り遅延時間経過後、デバイス10に対してメモリ104に記憶されている電流値(デジタル設定値)、別言すると、DAC103でDA変換されてIF108からIOモジュール11へのアナログ通信路へ出力されている電流値を取得するためのスマート通信コマンド(読み取りコマンド)を、TCP/UDP通信路16へ送信する(処理P305)。
読み取りコマンドは、TCP/UDP通信路16を通じてIOモジュール11のスマート通信処理部115で受信される。スマート通信処理部115(演算部1152)は、受信した読み取りコマンドを、スマート通信モデム1154及び分離重畳部1155を通じてデバイス10へのアナログ直流信号に2種類の周波数信号として重畳することによりデバイス10へ送信する。
当該読み取りコマンドを示す2種類の周波数信号は、デバイス10の分離重畳部105にてアナログ直流信号から分離され、スマート通信モデム107にて元のデジタル信号に変換(復調)された上で、演算部101に入力される。演算部101は、このようにしてIOモジュール11からスマート通信により読み取りコマンドを受信すると、メモリ104から電流値(デジタル設定値)を読み出し、当該電流値をスマート通信モデム107に与える。これにより、メモリ104から読み出された電流値のデジタル設定値は、スマート通信モデム107にてデジタル値に対応する2種類の周波数信号に変換(変調)され、分離重畳部105にてIOモジュール11へのアナログ直流信号に重畳されることで、IOモジュール11へ送信される。
上記2種類の周波数信号は、IOモジュール11のスマート通信処理部115(IF1156)にて受信され、分離重畳部1155にてアナログ直流信号から分離され、スマート通信処理部115にてそれぞれに対応するデジタル値(つまりは上記電流値のデジタル設定値)に変換された上で、演算部1152にて受信される。演算部1152は、受信した電流値を、NIC1151を通じてTCP/UDP通信路16経由で、機器監視ユニット15へ送信する。このようにして機器監視ユニット15は、デバイス10がアナログ通信路を通じてIOモジュール11へ出力しているアナログ直流信号の電流値をDAC103によるDAC変換前のデジタル値として取得する。
また、機器監視ユニット15(AIチェック部151−3)は、リンクモジュール15Aと連携してIOモジュール11(例えばスマート通信処理部115の演算部1152)と通信し、デバイス10からIOモジュール11に実際に入力されているアナログ直流信号の電流値として、例えばADC112のAD変換値を取得する(処理P306)。ADC112のAD変換値は、例えば演算部1152が演算部111と通信(CPU間通信)し当該通信によって取得したAD変換値をNIC1151からTCP/UDP通信路16へ送信することで、機器監視ユニット15へ提供できる。
機器監視ユニット15(AIチェック部151−3)は、必要に応じて、デバイス10においてDAC103に与えられている電流値(以下「デバイス出力値」ともいう)の取得(処理P305)と、デバイス10からIOモジュール11に入力されているアナログ直流信号のAD変換値(以下「IOモジュール入力値」ともいう)の取得(処理P306)と、を所定回数(AIチェック出力読み取り回数)だけ繰り返してよい。AIチェック部151−3は、当該繰り返しにより取得したデバイス出力値及びIOモジュール入力値のそれぞれについて平均をとる。平均をとることで「AIチェック」の判定精度を向上できる。
その後、機器監視ユニット15(AIチェック部151−3)は、上記の処理P304〜P306をチェックポイント数設定メニュー401で指定されたチェックポイント数だけ繰り返す(処理P307のNルート)。
当該繰り返しが完了すると(処理P307のYルート)、AIチェック部151−3は、「往復」の「AIチェック」が指定されていれば(処理P307のYルート)、チェックポイントを逆順に辿り、0%まで処理P304〜P308を繰り返す。例えば、3ポイント往復の場合、0%→50%→100%→50%→0%の順にチェックを実施することになる。
「往復」チェックが完了すると(処理P309のYルート)、AIチェック部151−3は、「AIチェック」対象のすべてのデバイス10について「AIチェック」が完了するまで、処理P304〜P309を繰り返す(処理P310のNルート)。
すべてのデバイス10について「AIチェック」が完了すると(処理P310のYルート)、AIチェック部151−3は、デバイス10に対する指定値と、デバイス出力値、および、IOモジュール入力値とを比較する。
比較の結果、デバイス出力値及びIOモジュール入力値がそれぞれ指定値に対して所定の許容誤差範囲(AIチェック誤差しきい値(%))以内であれば、AIチェック部151−3は、「AIチェック」結果が「OK」であると判定し、許容誤差範囲内でなければ「NG」であると判定する。
そして、AIチェック部151−3は、レポート作成ボタン203がクリックされると、「AIチェック」結果のレポートファイルをCSV等の所定の形式で作成する(処理P311)。レポートファイルには、例示的に、AIチェックの設定(ポイント数/往復等)、機器監視ユニット15による指定値、デバイス出力値、IOモジュール入力値、判定結果、及び日時等を含めることができる。
以上のように、機器監視ユニット15は、AIチェック部151−3の機能により、監視系統を通じてデバイス10がアナログ入力に対して適正に動作するかをチェックできる。したがって、作業員は現場の立ち上げ作業を円滑に行なうことができ、作業負担の軽減、工期の短縮(ひいては消費電力等の低減)、工場やプラント等の安全性の確保等に大きく寄与する。作業員の保守、運用作業等を軽減することができる。
また、機器監視ユニット15は、監視系統を通じてデバイス出力値とIOモジュール入力値とを取得し、両者を比較できるので、例えば、DAC103とIOモジュール11のADC112との一方又は双方の正常性を確認することもできる。さらには、デジタル通信路16を通じた通信の状態(正常/異常)や、デバイス10とIOユニット11との間のアナログ通信路を通じた通信の状態(正常/異常)を確認することも可能である。
(1−4−4)AOチェック
「AOチェック」は、既述のとおり、制御系統(コントローラ17)経由でデバイス10の出力値(4〜20mAのアナログ直流信号)を設定(制御)し、当該設定に対するデバイス10の応答に基づいてデバイス10のアナログ出力を確認する処理である。
「AOチェック」の機能(AOチェック部151−4;図4参照)は、例えば図15に示すように、ループチェックツールウィンドウにおいてAOチェックタブ224を選択することで実行可能な状態となる。AOチェックタブ224の表示状態において、図7と同一の符号を付して示すボタンやフィールドは、「AOチェック」に対応した機能を提供する。
例えば、AOチェックタブ224の表示状態において、検索(Search)ボタン201によるデバイス検索の検索条件(検索キー)には、デバイス10への経路情報を使用できる。検索キーは、ループチェックツールを終了しない限り機器監視ユニット15において保持しておくことができる。
レポート作成(Report)ボタン203がクリックされると、AOチェック部151−4は、「AOチェック」の結果をCSV等の所定の形式でレポートファイルを作成する。
進捗率表示フィールド205には、例えば、「AOチェック」が実行済みのデバイス10と、全デバイス10との比率が表示される。
クリア(Clear)ボタン206がクリックされると、AOチェック部151−4は、AOチェックタブ224のデバイス一覧表示フィールド503に検索結果として表示されているデバイス一覧の中で、選択中のデバイス10の「AOチェック」の結果をクリアする。クリアボタン206は、「AOチェック」の結果が空欄でないデバイス10が選択された場合に選択操作を受け付ける(イネーブル)状態にすることができる。
実行(Execute)ボタン208がクリックされると、AOチェック部151−4は、AOチェックタブ223のデバイス一覧表示フィールド503に検索結果として表示されているデバイス一覧の中で、選択中のデバイス10に対して「AOチェック」を実行する。「AOチェック」の実行中、実行ボタン208は、キャンセル(Cancel)ボタンに変化する仕様にしてよい。キャンセルボタンがクリックされると、AOチェック部151−4は、「AOチェック」をキャンセルする。なお、実行ボタン208とは別個にキャンセルボタンを設ける仕様でもよい。
AOチェックタブ224には、チェックポイント数設定メニュー501及び往復チェックボックス502を設けることができる。
チェックポイント数設定メニュー501は、デバイス10に対して実施する「AOチェック」のポイント数(Nポイント)を指定するために用いられる。例えば、チェックポイント数設定メニュー501をクリックすると、プルダウンメニューとして3ポイント(3Pts)及び5ポイント(5Pts)のポイント数候補が表示され、これらのいずれかを選ぶことができる。なお、「AOチェック」において設定可能なチェックポイント数は、「AIチェック」の場合と同じでもよいし異ならせてもよい。
往復チェックボックス502は、デバイス10に対する「AOチェック」を上り方向についてのみ実施するか、往復(Round Trip)で実施するかを指定するために使用される。往復チェックボックス502にチェックを入れると、「往復」指定となる。
非限定的な一例を挙げると、チェックポイント数設定メニュー501で「3ポイント」を選択し、往復チェックボックス502にチェックを入れた場合、AOチェック部151−4は、デバイス10に対して4mA→12mA→20mA→12mA→4mAの合計5ポイント分のデバイス10の出力値をチェックする。
「AOチェック」に用いられる設定データには、例示的に、誤差しきい値(%)やAOチェック読み取り間隔(周期)等が含まれる。
AOチェックタブ224のデバイス一覧表示フィールド503に表示するデバイス10は、デバイス10からのアナログ出力を受信可能なIOモジュール11に接続されたデバイス10に制限してもよい。デバイス一覧表示フィールド503の表示項目は、例示的に、「デバイスタグ」、「指定値」、デバイス10の「出力値」、デバイス10の「入力値」(IOモジュール11の出力値;図15中に「Xbus」と付記された項目)、AOチェックの「結果」、及び「日時」等である。「AOチェック」の結果が「NG」のデバイスエントリについては、背景色を他とは異なる色(例えば赤)にして強調表示するようにしてもよい。
次に、図16に「AOチェック」の動作フローチャートの一例を示す。
まず、作業員は、検索ボタン201をクリックして、図8に例示したような検索条件設定ウィンドウを呼び出し、当該検索条件設定ウィンドウにおいて「AOチェック」を実施する対象デバイス10の検索条件を設定する(処理P401)。
AOチェック部151−4は、検索条件設定ウィンドウで設定された検索条件に基づいてデバイス定義情報を検索し、検索条件に合致するデバイス10をデバイス一覧表示フィールド503に表示する。
次いで、作業員は、デバイス一覧表示フィールド503に表示されているデバイス一覧の中から「AOチェック」を実行するデバイス10のエントリを選択し、選択したデバイス10についての「AOチェック」のチェックポイント数(3ポイント又は5ポイント)をチェックポイント数設定メニュー501から選択する(処理P402)。また、作業員は、「AOチェック」を「往復(Round Trip)」で実施する場合は、往復チェックボックス502にチェックを入れる(処理P403)。
次に、作業員は、例えば運転操作ユニット19を操作してデバイス10に対して出力指示する電流値をコントローラ17へ送信する(処理P404)。例えば、出力指示が0%なら電流値は4mA、50%なら12mA、100%なら20mAをそれぞれ設定する。なお、コントローラ17に対する当該電流値設定は、機器監視ユニット15から行なえるようにしてもよい。
コントローラ17は、運転操作ユニット19から指定された電流値をIOモジュール11へ送信する。当該指定電流値は、IOモジュール11のIF110を通じて演算部111にて受信される。演算部111は、当該指定電流値を、DAC113、分離重畳部1155及びIF1156を通じてデバイス10へアナログ通信により与える。なお、演算部111は、コントローラ17からの指定電流値(デジタル設定値)を例えばメモリ114に記憶する。
デバイス10(演算部101)は、IF108、分離重畳部105及びADC102を通じてIOモジュール11から受信した指定電流値に従ってDAC103を通じてIOモジュール11へアナログ直流信号を出力する。なお、演算部101は、IOモジュール11から受信した電流値(デジタル設定値)を例えばメモリ104に記憶する。
一方、機器監視ユニット15(AOチェック部151−4)は、デバイス10のメモリ104に記憶されている電流値、別言すると、DAC103に与えられている電流値(デジタル設定値)を取得するためのスマート通信コマンド(読み取りコマンド)を、TCP/UDP通信路16へ送信する(処理P405)。
読み取りコマンドは、TCP/UDP通信路16を通じてIOモジュール11のスマート通信処理部115で受信され、スマート通信処理部115(演算部1152)は、受信した読み取りコマンドをスマート通信モデム1154に与える。これにより、読み取りコマンドは、スマート通信モデム1154にてデジタル値に対応する2種類の周波数信号に変換(変調)され、分離重畳部1155にてデバイス10へのアナログ直流信号に重畳されることで、デバイス10へ送信される。
上記2種類の周波数信号は、デバイス10のIF108にて受信され、分離重畳部105にてアナログ直流信号から分離され、スマート通信モデム107にてそれぞれに対応するデジタル値(つまりは読み取りコマンド)に変換された上で、演算部101にて受信される。
演算部101は、上記のようにIOモジュール11からスマート通信により読み取りコマンドを受信すると、メモリ104に記憶されたデジタル設定値であってDAC103に与えている電流値をスマート通信モデム107に与える。これにより、当該電流値は、スマート通信モデム107にてデジタル値に対応する2種類の周波数信号に変換(変調)され、分離重畳部105にてIOモジュール11へのアナログ直流信号に重畳されることで、IOモジュール11へ送信される。
上記2種類の周波数信号は、IOモジュール11のスマート通信処理部115(IF1156)にて受信され、分離重畳部1155にてアナログ直流信号から分離され、スマート通信処理部115にてそれぞれに対応するデジタル値(つまりは上記電流値のデジタル設定値)に変換された上で、演算部1152にて受信される。演算部1152は、受信した電流値を、NIC1151を通じてTCP/UDP通信路16経由で、機器監視ユニット15へ送信する。このようにして機器監視ユニット15は、デバイス10がIOモジュール11へ出力しているアナログ直流信号の電流値をDAC103によるDAC変換前のデジタル値として取得する。
一方で、機器監視ユニット15(AOチェック部151−4)は、リンクモジュール15Aと連携してIOモジュール11(例えばスマート通信処理部115の演算部1152)と通信し、メモリ114に記憶されている電流値、別言すると、IOモジュール11がデバイス10に対して出力指示した電流値(デジタル設定値)を、演算部111がDAC113に与えているデジタル値の電流値(以下「IOモジュール出力値」ともいう。)として取得し(処理P406)、所定時間(AOチェック読み取り間隔)待機する(処理P407)。なお、演算部111がDAC113に与えているデジタル値は、例えば演算部1152が演算部111と通信(CPU間通信)し当該通信によって取得したデジタル値をNIC1151からTCP/UDP通信路16へ送信することで、機器監視ユニット15へ提供できる。
AOチェック部151−4は、デバイス10及びIOモジュール11からそれぞれ取得した値がAOチェック誤差しきい値以内となるまで、上記の処理P405〜P407を繰り返す(処理P408のNルート)。
AOチェック部151−4は、デバイス10及びIOモジュール11からそれぞれ取得した値がAOチェック誤差しきい値以内になれば(処理P408のYルート)、AOチェック部151−4は、平均値を記録する。
その後、機器監視ユニット15(AOチェック部151−4)は、上記の処理P404〜P408をチェックポイント数設定メニュー401で指定されたチェックポイント数だけ繰り返す(処理P409のNルート)。
当該繰り返しが完了すると(処理P409のYルート)、AOチェック部151−4は、「往復」の「AOチェック」が指定されていれば(処理P410のYルート)、チェックポイントを逆順に辿り、0%まで処理P404〜P409を繰り返す(処理P411のNルート)。例えば、3ポイント往復の場合、0%→50%→100%→50%→0%の順にチェックを実施することになる。
「往復」チェックが完了すると(処理P411のYルート)、AOチェック部151−4は、「AOチェック」対象のすべてのデバイス10について「AOチェック」が完了するまで、処理P404〜P411を繰り返す(処理P412のNルート)。
すべてのデバイス10について「AOチェック」が完了すると(処理P412のYルート)、AOチェック部151−4は、コントローラ17による出力指定値と、デバイス10及びIOモジュール11からそれぞれ取得したデバイス出力値及びIOモジュール出力値とを比較する。
比較の結果、各出力値がそれぞれコントローラ17による出力指定値に対して所定の許容誤差範囲(AIチェック誤差しきい値(%))以内であれば、AOチェック部151−4は、「AOチェック」結果が「OK」であると判定し、許容誤差範囲内でなければ「NG」であると判定する。
そして、AOチェック部151−4は、レポート作成ボタン203がクリックされると、「AOチェック」結果のレポートファイルをCSV等の所定の形式で作成する(処理P413)。レポートファイルには、例示的に、AOチェックの設定(ポイント数/往復等)、コントローラ17によるデバイス10に対する出力指定値、デバイス出力値、デバイス入力値(IOモジュール出力値)、判定結果、及び日時等を含めることができる。
以上のように、機器監視ユニット15は、AOチェック部151−4の機能により、制御系統経由で指定された出力値に従ってデバイス10が適切に動作するかを監視系統経由で簡単にチェックできる。したがって、作業員は、現場の立ち上げ作業を円滑に行なうことができる。その結果、作業員の作業負担の軽減、工期の短縮(ひいては消費電力等の低減)、工場やプラント等の安全性の確保等に大きく寄与する。
また、機器監視ユニット15は、IOモジュール11がデバイス10に与えた電流値(デジタル設定値)を監視系統経由で取得できるので、制御系統を成すコントローラ17及びデジタル通信路18を通じた制御通信の状態(正常/異常)を確認することができる。さらには、当該制御通信に応じてIOモジュール11が適正に動作しているか等についても確認することができる。
さらに、機器監視ユニット15は、デバイス出力値とIOモジュール出力値とを比較できるので、例えば、デバイス10の103及びIOモジュール11のDAC113の一方又は双方の正常性を確認することもできる。さらには、監視系統を成すデジタル通信路16を通じた通信の状態(正常/異常)や、デバイス10とIOモジュール11との間のアナログ通信路を通じた通信の状態(正常/異常)を確認することもできる。
(1−4−5)進捗確認
「進捗確認」は、上述した「デバイス生存確認」、「コミッショニング」、「AIチェック」、及び「AOチェック」の各処理(作業)の進捗状況をデバイス10別に管理、確認できるようにする機能である。
「進捗確認」の機能(進捗確認部151−5;図4参照)は、例えば図17に示すように、ループチェックツールウィンドウにおいて進捗確認(Progress)タブ225を選択することで実行可能な状態となる。進捗確認タブ225の表示状態において、図7と同一の符号を付して示すボタンやフィールドは、「進捗確認」に対応した機能を提供する。
例えば、進捗確認タブ225の表示状態において、検索(Search)ボタン201によるデバイス検索の検索条件(検索キー)には、デバイス10への経路情報を使用できる。検索キーは、ループチェックツールを終了しない限り機器監視ユニット15において保持しておくことができる。
レポート作成(Report)ボタン203がクリックされると、進捗確認部151−5は、「デバイス生存確認」、「コミッショニング」、「AIチェック」、及び「AOチェック」毎の作業進捗状況(例えば日時等)をCSV等の所定の形式でレポートファイルを作成する。
進捗率表示フィールド205、クリア(Clear)ボタン206、及び実行(Execute)ボタン208のそれぞれは、「進捗確認」において使用しない設定としてよい。
進捗確認タブ225には、デバイス一覧表示フィールド601を設けることができる。デバイス一覧表示フィールド601には、例示的に、デバイス10の別に、「デバイス生存確認」、「コミッショニング」、「AIチェック」、及び「AOチェック」毎の作業進捗状況(日時等)が表示される。
当該フィールド601において、各種チェックの結果が「NG」のデバイスエントリについては、例えば、作業員が視認し易いように、背景色を他のエントリとは異なる色(例えば赤)にする等して強調表示してもよい。なお、チェックが未完了の項目は空欄にしておいて構わない。
このように、機器監視ユニット15では、進捗確認タブ225のデバイス一覧表示フィールド601において、ループチェック作業の工程のうち、デバイス生存確認、コミッショニング、AI/AOチェックがそれぞれ完了したか否かを容易に確認することができる。したがって、チェック漏れやチェックの重複等が発生することを抑制することができ、作業工程の効率化や、作業員の作業労力の軽減、システムの安全性確保等に大きく寄与する。
〔2〕その他
なお、上述した例においては、スマート通信に対応したフィールド機器10及びIOユニット11と、スマート通信に非対応のフィールド機器12及びIOユニット13とが混在したプロセス管理システム1について説明したが、当該システム1に備えられるフィールド機器及びIOユニットは、すべてスマート通信に対応したものとしてもよい。
概略的に、IOユニット11を経由したコントローラ17とフィールド機器10との間の通信は、IF110、演算部111、ADC112又はDAC113、分離重畳部1155、及びIF1156を経由するルートで行なわれる。
一方、IF1156を通じて受信されたスマート通信信号は、分離重畳部1155にてアナログ直流信号と当該アナログ直流信号に重畳されている2種類の周波数信号とに分離される。アナログ直流信号は、上述のごとくADC112にてデジタル信号に変換された上で演算部111に与えられる。2種類の周波数信号は、例えばフィールド機器10から取得した情報(デバイス情報等)を示し、スマート通信モデム1154にてそれぞれに対応するデジタル値に変換(例えば復調)された上で、演算部1152に与えられる。演算部1152は、モデム1154から入力されたデジタル信号を、NIC1151を通じて機器監視ユニット15(又はリンクモジュール15A)へ送信することができる。