JP2012207284A - 表面処理銅箔及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】銅箔と低融点半田である錫−ビスマス半田との半田濡れ性が改善され、錫−ビスマス半田により太陽電池セルと銅箔とをフラックスを使用せずに半田付けでき、しかも銅箔表面が酸化変色しない表面処理銅箔を提供することを課題とする。
【解決手段】銅箔表面に付着量が0.010〜0.030mg/dmのIn層を形成してなる表面処理銅箔である。
また、前記In層の上に半田層が設けられている表面処理銅箔である。
【選択図】なし

Description

本発明は銅箔表面にIn層を施した表面処理銅箔及びその製造方法に関するもので、該表面処理銅箔は防錆力に優れ、かつ半田濡れ性に優れた特性を有するものである。
また本発明は、銅箔表面の設けたIN層の上に半田層を設けた表面処理銅箔に関するものである。
本発明表面処理銅箔は特に太陽電池セル相互を接続するのに適した表面処理銅箔に関するものである。
太陽電池セル相互を接続する方法としてインターコネクタ方式とバックコンタクト方式が推奨されている。いずれの方式においても接続には銅箔が優先的に使用されている。
近時、太陽電池は出力向上を図るために電池のメイン電極、サブ電極共に細線化が進み、銅箔もファインパターンが形成できるものが要望されている。
また、太陽電池モジュールを構成する緩衝材等には折り曲げが可能で、耐久性のあるフィルムが採用されているが、このフィルムは融点が低い。そのため銅箔と太陽電池セルを接続する温度はフィルムの融点に対応させるため、銅箔と太陽電池セルの接続には低融点半田が使われる。
太陽電池セル相互を接続する半田として、錫−ビスマス−銀、錫−銀−銅半田が特許文献1に開示されている。また、低融点半田として熱硬化型導電性ポリマーが特許文献2に開示されている。
しかし、上記提案の半田はいずれも融点が高く、あるいは耐候性が悪く、太陽電池モジュールを構成する緩衝材等に融点が低いフィルムが採用されていると、これらの半田は使用できない結果となる。
そのため、太陽電池セル相互を接続する低融点半田としては錫−ビスマス半田が推奨されている。しかしながら錫−ビスマス半田は亜鉛(以下Znと称することがある)、クロム(以下Crと称することもある)層等で防錆処理された銅箔との濡れ性は良好ではない。
そのため、錫−ビスマス半田と銅箔との濡れ性改善のために半田付けの際にフラックスを使用する場合が多い。しかし、フラックスの使用は作業効率が悪く、フラックスが接続界面に残ることによって接続箇所が時間とともに腐食する危険性があり、品質上の問題が発生する懸念がある。
従って、太陽電池セルと銅箔とを低融点半田である錫−ビスマス半田により接続する工法では、フラックスを必要としない工法の開発が望まれ、特に銅箔表面が酸化変色せず、錫−ビスマス半田との半田濡れ性が改善された表面処理層を有する銅箔の開発が望まれている。
特開2005−216963号公報 特開平1−212489号公報
本発明は、低融点半田である錫−ビスマス半田との半田濡れ性が改善された表面処理銅箔を開発し、錫−ビスマス半田により太陽電池セルと銅箔とをフラックスを使用せずに半田付けでき、銅箔表面が酸化変色しない表面処理銅箔を提供することを目的とする。
また本発明は、銅箔に施されたZn、Cr等からなる防錆層を有する従来の表面処理銅箔は錫−ビスマス半田との半田濡れ性が良好でないこと、また半田付け処理によって防錆機能が低下すること、という2つの課題を解決し、銅箔表面の酸化変色を防止しつつ、表面処理層と半田、特に低融点半田との濡れ性が良好な表面処理銅箔の製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明者等は表面処理を施した銅箔表面と錫−ビスマス半田との半田濡れ性について鋭意研究した結果、表面処理層として銅箔表面にIn層を形成することで錫−ビスマス半田との半田濡れ性が良好となることを突き止め、Inで表面処理することで、防錆効果を維持しつつ錫−ビスマス半田との良好な半田濡れ性を維持できる表面処理銅箔を開発することに成功し、本発明に至った。
なお、本発明の表面処理銅箔は錫−ビスマス半田を対象として開発したが、高融点半田との濡れ性にも優れる効果を有する。従って、本明細書では低融点半田と高融点半田とを区別して表現する必要がないときは単に「半田」と表現する。
本発明の表面処理銅箔は、銅箔表面にインジウム(以下Inと称することがある)層が形成されている表面処理銅箔であって、該銅箔表面に形成のIn付着量が0.010〜0.030mg/dmであることを特徴とする。
本発明の表面処理銅箔は、銅箔表面にIn層が形成されている表面処理銅箔であって、該In層の上に半田層が設けられていることを特徴とする。
前記In層のIn付着量は0.010〜0.030mg/dmであることが好ましい。
本発明の表面処理銅箔の製造方法は、銅箔表面に0.010〜0.030mg/dmのInを付着してIn層とすることを特徴とする。
本発明の表面処理銅箔の製造方法は、銅箔表面に0.010〜0.030mg/dmの付着量のIn層を形成し、該In層の上に半田層を形成する。
本発明の表面処理銅箔は、銅箔表面に形成のIn層のIn付着量を制御することにより、In層は銅箔表面の防錆効果を維持し、銅箔表面の酸化変色を防止すると共に高融点半田との半田濡れ性はもとより低融点半田(錫−ビスマス半田)との半田濡れ性にも優れる表面処理銅箔であり、特に、太陽電池セル相互を接続するのに適した表面処理銅箔を提供することができる。
本発明は、銅箔表面に設けるIn層により、防錆効果と酸化耐熱性が発揮される。またIn層によって従来の高融点半田だけでなく、低融点半田との間でも優れた半田濡れ性が得られるため、In層上に半田層を設け、特に、太陽電池セル相互を接続するのに適した表面処理銅箔を提供することができる。
本発明において対象とする銅箔は電解銅箔および圧延銅箔である。電解銅箔は銅を含む電解液中に浸漬させた回転ドラム状のカソード上に銅を電解析出させて得られた銅箔である。また、圧延銅箔は無酸素銅に各種の微量元素を添加したインゴットを圧延機で繰り返し圧延することで得られた銅箔である。
なお、本発明において銅箔とは銅合金箔を含むものである。
本発明は、銅箔表面に0.010〜0.030mg/dmの付着量のIn層が形成されている表面処理銅箔である。
本発明において銅箔表面に設けるIn層の付着量を0.010〜0.030mg/dmに限定する理由は、以下の通りである。
In層のIn付着量を0.010mg/dm以上とした第一の理由は、銅箔表面の防錆機能の付加である。
In層の付着量が0.010mg/dm未満では短時間で銅箔表面が酸化変色してしまい、防錆機能に問題が生じるためである。
In層のIn付着量が0.010mg/dm以上であると、使用条件によっては多少不安があるが実用上、問題の無い程度の防錆力を発揮する。
In層のIn付着量を0.030mg/dmまでとした理由は、Inの付着量を0.030mg/dmを超えて付着しても、防錆力および半田濡れ性に付着量を増やしたことによる大きな改善は見られず、効果が一定となることとIn自体が希少金属であることを考慮したためである。
また、本発明は銅箔表面に設けるIn層のIn付着量を0.010〜0.030mg/dmの範囲に限定している第二の理由は、低融点半田との濡れ性をより向上させるためである。
In層の付着量が0.010mg/dm未満では低融点半田、特に錫−ビスマス半田との半田濡れ性に向上が見られず、また0.030mg/dmを超えて付着しても、ほとんど半田濡れ性の向上に差が生じないためである。なお、Inは高価なため付着量は必要最小限に止めることが好ましい。
[Inめっき処理]
本発明は、銅箔表面に0.010〜0.030mg/dmの付着量のIn層が形成されている表面処理銅箔である。
In層を形成させるのは銅箔表面の防錆と低融点半田(例えば錫−ビスマス半田)との半田濡れ性を向上させるためである。Inの付着量は防錆力の面においても、半田群れ性の面においても0.030mg/dm以下で十分であり、これ以上厚くすると不経済となる。一方、付着量が0.010mg/dm未満では、In層が薄すぎるため、防錆力と半田濡れ性の両方において問題が生じる。
銅箔表面に0.010〜0.030mg/dmの付着量のIn層被膜を形成するためのめっき液およびめっき条件の一例を以下に示す。
[Inめっき]
In濃度 10〜50g/dm
硫酸 10〜50g/dm
pH 1.0〜4.0
温度 20〜40℃
電流密度 0.1〜10A/dm
処理時間 30秒〜2分
銅箔表面にIn層を設け表面処理銅箔とすることにより、該表面処理銅箔と低融点半田(例えば錫−ビスマス半田)との半田濡れ性が改善され、フラックスを使用することなく太陽電池セルとの半田付けが可能となる。なお、上記は低融点半田を対象として記載したが、本発明表面処理銅箔は高融点半田との半田濡れ性にも優れるため、フラックスを使用することなく、錫−ビスマス−銀半田、錫−銀−銅半田、熱硬化型導電性ポリマー等の高温半田を対象とする半田処理にも有効であることは勿論である(後述する表1参照)。
[半田層の形成]
本発明は、銅箔表面に0.010〜0.030mg/dmの付着量のIn層が形成され、該In層の上に低融点半田層が設けられている表面処理銅箔である。
太陽電池モジュールで耐折曲性に優れる緩衝材として一般に用いられるEVA(エチレンビニルアセテート)は融点が74〜105℃であるため、太陽電池セルには低融点半田として錫−ビスマス半田がより好ましく使用される。
太陽電池セル相互を接続するために銅箔表面に半田層を設ける。半田を銅箔表面に設ける方法として、銅箔表面にIn層を設けた表面処理銅箔上に半田を乗せ、リフロー炉で半田が溶融する温度(低融点半田、高融点半田それぞれに応じた温度)にまで加熱する。
なお、本発明表面処理銅箔は高融点半田との半田濡れ性にも優れるため、フラックスを使用することなく、例えば錫−ビスマス半田(低融点半田)、錫−ビスマス−銀半田、錫−銀−銅半田、熱硬化型導電性ポリマー等(高温半田)を対象とする半田処理にも有効であることは勿論である(後述する表1参照)。
[アルカリ処理によるめっき付着量の制御]
太陽電池セル相互を接続する銅箔は先ずプリント配線板に加工される。プリント配線板にはファインな回路が形成される。ファインな回路のプリント配線板を作成する方法の一つに銅箔表面にレジストを塗布し、回路パターンを焼き付け、エッチング後、レジストをアルカリ処理して除去する工程が含まれる。このアルカリ処理工程で銅箔表面に設けられている、In層が溶解除去される。そのため、このアルカリ処理工程で除去されるInの量を適正に補足することで、半田濡れ性に優れ、表面の変色が防止された表面処理銅箔とする必要がある。
アルカリ処理に用いる溶液の組成および処理条件の一例は下記のとおりである。本発明において、めっき処理によって目的の付着量のめっき層を形成した場合と、アルカリ処理によって目的の付着量のめっき層に調整した場合とでは、高融点半田、低融点半田共にその半田濡れ性、防錆力ともに有意な差は見られなかった。
[アルカリ処理液]
水酸化カリウム 0.10〜0.50g/dm
水酸化ナトリウム 0.10〜0.50g/dm
温度 20〜40℃
処理時間 10秒〜40秒
次に、本発明の実施様態を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
No.1〜5
銅箔(電解銅箔、電解銅合金箔又は圧延銅箔、圧延銅合金箔の未処理銅箔)に、前記の方法で0.010〜0.030mg/dmの付着量となるようにInめっきを施した。In付着量を表1に示す。
比較例
No.1
表面処理を施しておらず、銅箔(電解銅箔、電解銅合金箔又は圧延銅箔、圧延銅合金箔の未処理銅箔)そのままの状態である。
No.2
銅箔(電解銅箔または圧延銅箔)に、前記の方法で0.040mg/dmの付着量となるようにInめっきを施した。
実施例および比較例で得られた各種表面処理銅箔について、半田濡れ性、防錆力(表面酸化変色度合い)、めっき均一性、めっき液管理のし易さ、経済的評価を評価し、その結果を表1に示した。なお、評価方法、評価条件は以下の通りである。
[半田濡れ性]
実施例および比較例によって得られた銅箔の半田濡れ性を評価するために、従来公知の試験法である、濡れ広がり試験法を用いて測定を行った。
測定方法は、ホットプレート等の上に試験サンプルを置き、その上に重量の影響を無視できる程度の微量の半田を置いて、ホットプレートの熱によって溶融させた半田の形状を測定する方法である。
本発明においては、濡れ広がった後の高さhと濡れる前の形状を球体とみなした場合の直径Dとの比から、次の式で濡れ広がり率S(%)を算出した。
S={(D−h)/D}×100(%)
半田濡れ性は高融点、低融点半田ともにSが40%以下では半田濡れ性が悪く、40%〜60%では実用上問題無い半田濡れ性であり、70%以上では非常に良好な半田濡れ性となる。
[防錆力]
実施例および比較例によって得られた銅箔の防錆力を評価するために、従来公知の試験法である恒温高湿試験によって、その酸化変色の度合いについて調査した。
温度条件は30℃と50℃の2条件とし、湿度は90%以上として7日間、銅箔を静置した後に銅箔表面10dmの面積内に何個の酸化変色点が観察されるかを計測した。
評価は銅箔表面10dmの面積内において、酸化変色がなかった物を最も効果ありとして◎、酸化変色箇所が1〜5個観察されたものを効果ありとして○、酸化変色箇所が5〜10個観察された物を使用状況によっては問題がない程度の効果と判断して△、11個以上観察された物を効果なしとして×、とし、表1にその結果を示した。
[めっき均一性]
銅箔表面を被覆するIn層の被覆状態を目視で観察した。観察した結果、銅箔全面をIn層が均一に大手いる状態を○、全体を被覆しているが厚さが不均一である状態を△、部分的に被覆されていない個所がある状態を×とした。
[めっき液管理のし易さ]
銅箔表面にIn層をめっきする時に、めっき液内のIn濃度を均一に保つ難しさを定性的に判断し、濃度の自動管理が容易に可能であった状態を○、比較的容易であった状態を△、自動管理に難点があった状態を×とした。
[経済性]
In金属のコストと生産性のバランスを定性的に判断し、バランスがとれていると判断される状態を○、比較的バランスがとれていると判断される状態を△、バランスがとれていないと判断される場合を×とした。
Figure 2012207284
評価
実施例1〜5
表1から明らかなように実施例1、2はZn付着量が最低限であるため、酸化変色度合いにやや難点が見られるが、使用状況によっては実用性に問題ない範囲であった。
実施例3〜5の酸化変色度合いは良好であり、また半田濡れ性は低融点半田と高融点半田の両方において良好であった。これはIn層が防錆力を発揮するためには一定以上のIn層が必要であり、表面に形成されたIn層によって半田濡れ性が改善された結果であると推測される。
めっきの均一性、めっき液の管理のし易さ、経済性に関する生産性の評価では、実施例1でめっき液管理の難しさがあったが、全体として生産性については問題はなかった。
比較例
比較例1はInの付着量が少ないため半田濡れ性、酸化変色度合いに難点が見られた。
比較例2はInの付着量を多くしたが、実施例1〜5と効果に差がなく半田濡れ性と防錆力の向上は見られなかった。また、生産性の評価においても高価なInの消費量を増やす結果となっているため、得策ではない、との評価結果となった。
従来の銅箔はその出荷時点で箔表面の酸化変色を防止するために表面に安全性を考慮して比較的厚くZn層を設け、あるいはZn層の上にCr層を施している。しかし、これらZn層上に、あるいはCr層上に錫−ビスマス半田を載せようとすると、いずれの表面処理層においても半田濡れ性が悪く、特に太陽電池相互の接続には良好に接着させることが困難で不適であった。これに対し、本発明の表面処理銅箔はZn層を形成しないものの、In層を適量付着、形成させることで、防錆力および半田濡れ性に優れた表面処理銅箔が得られる。
また、太陽電池セル相互を接続する(半田付けする)際に銅箔表面をアルカリ処理により洗浄することがある。このような時には上述した回路形成時のアルカリ処理によるIn消費量を予め考慮し、Inの消費される量に見合うIn付着量を付着する対策で対処することができる。
本発明は、低融点半田である錫−ビスマス半田との半田濡れ性が改善された表面処理銅箔を開発し、錫−ビスマス半田により太陽電池セルと銅箔とをフラックスを使用せずに半田付けでき、銅箔表面が酸化変色しない表面処理銅箔を提供することができる。
また本発明は、銅箔に施されたZn、Cr等からなる防錆層を有する従来の表面処理銅箔は錫−ビスマス半田との半田濡れ性が良好でないこと、また半田付け処理によって防錆機能が低下すること、という2つの課題を解決し、銅箔表面の酸化変色を防止しつつ、表面処理層と半田、特に低融点半田との濡れ性が良好な表面処理銅箔の製造方法を提供することができる。
本発明は特に太陽電池相互を接続する表面処理銅箔として半田濡れ性の改善に加えて、防錆力を発揮する表面処理銅箔を提供することができる。

Claims (5)

  1. 銅箔表面にIn(インジウム)層が形成されている表面処理銅箔であって、該銅箔表面に形成のIn付着量が0.010〜0.030mg/dmである表面処理銅箔。
  2. 銅箔表面にIn層が形成されている表面処理銅箔であって、該In層の上に半田層が設けられている表面処理銅箔。
  3. 前記In層のIn付着量が0.010〜0.030mg/dmである請求項2に記載の表面処理銅箔。
  4. 銅箔表面に0.010〜0.030mg/dmの付着量のIn層を形成する表面処理銅箔の製造方法。
  5. 銅箔表面に0.010〜0.030mg/dmの付着量のIn層を形成し、該In層の上に半田層を形成する表面処理銅箔の製造方法。
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