JP2012205096A - 帯域通過フィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の共振器と入出力電極とを空気層を介して配設した構成の帯域通過フィルタにおいて、振動などによる入出力容量の変化が起こり難く、しかも、組立作業や調整作業が容易なものを提供する。
【解決手段】この帯域通過フィルタ1は、一端が短絡されて他端が開放され、隣り合う共振器間で互いに空気層を介して電磁界結合する柱状の共振器2A、2Bと、共振器2A、2Bとの間で負荷容量を形成する周波数調整電極3A、3Bと、共振器2A、2Bに装着され、その外側面の一部を囲む環状部4Aa、4Baを有する誘電体スペーサー4A、4Bと、環状部4Aa、4Baの外側面に接着され、共振器2A、2Bとの間で電界結合して入出力容量を形成する導体箔製の入出力電極5A、5Bと、入出力電極5A、5Bに導線7A、7Bで電気的に接続された入出力端子導体6Aa、6Baを有しフィルタケース1aに固定された入出力端子6A、6Bと、を備えてなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、無線通信機器などに組み込んで使用されるマイクロ波やミリ波などの高周波領域で用いる帯域通過フィルタに関する。
近年、マイクロ波やミリ波などの高周波領域では多くの帯域通過フィルタが使用されている。この帯域通過フィルタは、エネルギー損失が少ないなどの利点から、複数の共振器を空気層を介して配置するタイプのものが多く用いられている。
このタイプの典型的な帯域通過フィルタ101を、図13に模式的に示す。帯域通過フィルタ101は、そのフィルタケース101aの内部に、一端が短絡されて他端が開放された2個の共振器102A、102Bが設けられている。共振器102A、102Bは、空気層を介して互いに電磁界結合により段間結合しており、短絡端同士及び開放端同士が隣り合うように設けられたコムラインフィルタの構成になっている。また、帯域通過フィルタ101には、共振器102A、102Bの各々との間で負荷容量を形成して共振周波数を調整する周波数調整電極103A、103Bが設けられており、共振器102A、102Bはこれらの負荷容量が組み合わさることによって所望の周波数で共振するようになる。また、帯域通過フィルタ101には、入出力電極(入力電極又は出力電極)105A、105Bが設けられ、これらと共振器102A、102Bとの間で空気層を介して入出力容量を形成することで電界結合する。これらの入出力電極105A、105Bは、共振器102A、102Bに空気層を介して対向するように、入出力端子106A、106Bの入出力端子導体106Aa、106Baに機械的に固定されており、そして、これらの入出力端子106A、106Bは、フィルタケース101aの両側において機械的に固定されている。
このような典型的な帯域通過フィルタ101については、種々の改良が提案されている。例えば、特許文献1には、共振器間の結合の一部を遮蔽して帯域通過フィルタの周波数特性の傾きを調整することが提案されている。また、特許文献2には、入出力電極を対向する共振器と同様な曲面としてそれらの間の結合度を上げ、また、結合度を調整する部材を入出力電極に接合することが提案されている。
特開2005−311862号公報 米国特許7796000号公報
しかしながら、特許文献1、2を含めても従来の構成では、共振器102A、102Bに空気層を介して対向する入出力電極105A、105Bが入出力端子106A、106Bを介してフィルタケース101aに機械的に固定されているので、振動などにより入出力電極105A、105Bと共振器102A、102Bとの間の間隙距離が変化して入出力容量も変化するおそれが有る。そのため、それに伴うフィルタ特性の変化を避けるように入出力端子導体106Aa、106Baへの入出力電極105A、105Bの固定やフィルタケース101aへの入出力端子106A、106Bの固定は、頑強な構造としなければならなくなり、その結果、組立作業や調整作業が容易ではなかった。
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の共振器と入出力電極とを空気層を介して配設した構成の帯域通過フィルタにおいて、振動などによる入出力容量の変化が起こり難く、しかも、組立作業や調整作業が容易なものを提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の帯域通過フィルタは、一端が短絡されて他端が開放され、隣り合う共振器間で互いに空気層を介して電磁界結合する柱状の複数の共振器と、該複数の共振器との間で負荷容量を形成する複数の周波数調整電極と、前記複数の共振器の少なくとも一つに装着され、その外側面の少なくとも一部を囲む環状部を有する誘電体スペーサーと、前記誘電体スペーサーの環状部の外側面に接着され、前記共振器との間で電界結合して入出力容量を形成する導体箔製の入出力電極と、前記入出力電極に導線で電気的に接続された入出力端子導体を有しフィルタケースに固定された入出力端子と、を備えてなることを特徴とする。
請求項2に記載の帯域通過フィルタは、請求項1に記載の帯域通過フィルタにおいて、前記誘電体スペーサーは、有底筒状をなし、その底部が前記共振器の前記開放された他端を覆うものであることを特徴とする。
請求項3に記載の帯域通過フィルタは、請求項1又は2に記載の帯域通過フィルタにおいて、前記複数の周波数調整電極は、前記複数の共振器に対しその軸線方向に移動可能なように前記フィルタケースにねじ結合され、接地電位になっている周波数調整ねじを有して構成されていることを特徴とする。
請求項4に記載の帯域通過フィルタは、請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯域通過フィルタにおいて、前記複数の周波数調整電極の少なくとも一つは、前記誘電体スペーサーの外面に接着され、導線により接地電位に接続された導体箔製の電極片を有して構成されていることを特徴とする。
請求項5に記載の帯域通過フィルタは、請求項1〜4のいずれか1項に記載の帯域通過フィルタにおいて、前記複数の共振器には、導体箔製の段間結合電極が前記誘電体スペーサーの外面に接着され、両段間結合電極が導線で電気的に接続されており、前記複数の共振器は、互いに空気層を介して電磁界結合するのに加えて、前記段間結合電極を介して電界結合することを特徴とする。
本発明によれば、共振器との間で電界結合して入出力容量を形成する導体箔製の入出力電極が、共振器に装着された誘電体スペーサーに接着されており、かつ、入出力電極が導線で入出力端子導体に電気的に接続されているので、振動などによる入出力容量の変化が起こり難く、しかも、組立作業や調整作業が容易な帯域通過フィルタを提供することができる。
本発明の実施形態に係る帯域通過フィルタ1の構成を示す模式図である。 同上の帯域通過フィルタ1の共振器2Aの近傍を示す模式的な斜視図である。 同上の帯域通過フィルタ1の実施例の写真である。 同上の帯域通過フィルタ1の実施例のフィルタ特性の測定図である。 同上の帯域通過フィルタ1の変形例を示す模式図である。 同上の帯域通過フィルタ1の別の変形例を示す模式図である。 同上の帯域通過フィルタ1の更に別の変形例を示す模式図である。 図7で示す変形例のフィルタ特性のシミュレーション結果を示す図である。 同上の帯域通過フィルタ1’(共振器が3個の場合)の構成を示す模式図である。 同上の帯域通過フィルタ1’の変形例を示す模式図である。 同上の帯域通過フィルタ1’の別の変形例を示す模式図である。 同上の帯域通過フィルタ1’の更に別の変形例を示す模式図である。 従来の帯域通過フィルタの構成を示す模式図である。
以下、本発明を実施するための好ましい形態を図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態に係る帯域通過フィルタ1は、図1に示すように、それぞれ2個の、共振器2A、2Bと、周波数調整電極3A、3Bと、誘電体スペーサー4A、4Bと、入出力電極5A、5Bと、入出力端子6A、6Bと、を備え、これらを固定する又は内部に含むフィルタケース1aを備えるものである。
共振器2A、2Bはそれぞれ、一端が短絡されて他端が開放され、隣り合う共振器2A、2B間で互いに空気層を介して電磁界結合するようにフィルタケース1aに固定されており、柱状をなした金属製のものである。共振器2A、2Bは、それらの長さが約1/4波長となる周波数(或いは、その奇数倍の周波数)で共振する。また、共振器2A、2Bは、TEM型共振器であり、それらは、隣り合って並行して配設され、電磁界結合により段間結合している。より詳細には、これらの共振器2A、2Bは、短絡端(上記短絡された一端)2Aa、2Ba同士及び開放端(上記開放された他端)2Ab、2Bb同士が隣り合った構成、すなわち、コムラインフィルタの構成になっている。なお、共振器2A、2Bは、典型的には円柱状(図2参照)又は角柱状などであるが、特に限定はされない。
周波数調整電極3A、3Bは、2個の共振器2A、2Bとの間でそれぞれの負荷容量を形成するものである。これらの負荷容量の値は調整可能となっており、負荷容量が共振器に組み合わさることにより、上記の共振時の周波数(共振周波数)が所望の周波数に調整される。具体的には、周波数調整電極3A、3Bは、従来のものと同様の、いわゆる周波数調整ねじ3Aa、3Baを用いることができる。周波数調整ねじ3Aa、3Baは、共振器2A、2Bに対しその軸線方向(長さ方向)に移動可能なようにフィルタケース1aにねじ結合されている。そして、周波数調整ねじ3Aa、3Baは、接地電位(通常はフィルタケース1aの電位)になっており、回動させることにより、共振器2A、2Bの開放端2Ab、2Bbに対して近接又は離反する方向に移動し、周波数調整ねじ3Aa、3Baの端面と共振器2A、2Bの開放端2Ab、2Bbとの距離を変えて負荷容量の値を変える。
誘電体スペーサー4A、4Bはそれぞれ、共振器2A、2Bに装着され、その外側面の少なくとも一部を囲む所定の厚さの環状部4Aa、4Baを有する(図2参照)。誘電体スペーサー4A、4Bは、所定の誘電率を有する誘電体であり、例えばポリカーボネートなどの合成樹脂製である。誘電体スペーサー4A、4Bは、環状部4Aa、4Baの内側面が共振器2A、2Bの外側面に密着するようにして、接着剤などによって共振器2A、2Bに固定されている。
入出力電極5A、5Bはそれぞれ、誘電体スペーサー4A、4Bの環状部4Aa、4Baの外側面に接着され、共振器2A、2Bとの間で電界結合して入出力容量を形成する導体箔(例えば、銅テープ(接着層付き)など)製であって、例えば略矩形状をなしている。
入出力端子6A、6Bはそれぞれ、入出力電極5A、5Bに導線7A、7Bで電気的に接続された入出力端子導体6Aa、6Baを有してフィルタケース1aの両側に固定されている。入出力端子導体6Aa、6Baはそれぞれ、外部との電気的な接続がなされる導体である。
帯域通過フィルタ1は、入出力端子6A、6Bのいずれか一方に、マイクロ波やミリ波などの高周波領域の高周波信号が入力されると、共振器2A、2Bがそれらの長さと負荷容量などで決まる共振周波数で共振し、その共振周波数を中心とした通過帯域の信号が入出力端子6A、6Bの他方から出力される。
このような構成の帯域通過フィルタ1では、共振器2A、2Bとの間で入出力容量を形成する入出力電極5A、5Bが、共振器2A、2Bに装着された誘電体スペーサー4A、4Bの環状部4Aa、4Baの外側面に接着され、かつ、導線7A、7Bで入出力端子導体6Aa、6Baに電気的に接続されているので、入出力電極5A、5Bと共振器2A、2Bとの間隙距離や間隙状態が常に一定に保持されて、振動などによる入出力容量の変化が起こり難い。
また、入出力電極5A、5Bは、誘電体スペーサー4A、4Bへの接着により容易に固定され、また、フィルタケース1aへの入出力端子5A、5Bの固定は、多少ずれても、入出力容量には影響しないため、それほど頑強な固定にする必要がないので、組立作業が容易なものとなる。
また、導体箔製の入出力電極5A、5Bを所望の面積に切り取って誘電体スペーサー4A、4Bに接着させることにより、共振器2A、2Bとの間の入出力容量を容易に調整できる。また、入出力電極5A、5Bは、共振器2A、2Bの外側面の曲率に対応した曲率で誘電体スペーサー4A、4Bに密着しているので、入出力容量の数値計算が容易であり、所望のフィルタ特性に合わせた帯域通過フィルタ1の設計が容易である。
また、入出力電極5A、5Bと共振器2A、2Bとの間の入出力結合度は、このようにして入出力容量を調整することによって調整する他、入出力電極5A、5Bの位置又は入出力電極5A、5Bが接着される環状部4Aa、4Baの位置を共振器2A、2Bの軸線方向に変えることによっても調整することができる。この場合、入出力電極5A、5Bが共振器2A、2Bの開放端2Ab、2Bb近傍に位置するとき、入出力結合度が最も大きく、短絡端2Aa、2Ba側にスライドすることによって入出力結合度は連続的に徐々に小さくなる。こうして、入出力容量や入出力電極5A、5Bの位置によって入出力結合度を調整すると、帯域通過フィルタ1の通過特性S21や反射特性S11などのフィルタ特性を調整することができる。
図3は、帯域通過フィルタ1の実施例の写真である。この実施例の帯域通過フィルタ1は、内部に電磁界を閉じ込めるように、写真に表れているフィルタケース1aの半分に、写真に表れていないフィルタケース1aのもう半分(蓋部)が組み合わされ、しっかりとねじ止めして組み合わされるものである。共振器2A、2Bは、直径約6mm、長さ約11mmの円柱状とし、共振器2A、2Bの間の距離は約20mmとした。誘電体スペーサー4A、4Bの厚さは約1mmとした。
図4は、実施例の帯域通過フィルタ1のフィルタ特性を示したものである。共振器2A、2Bの共振周波数は、約2.45GHzとしている。図4より、通過特性S21において、通過帯域の最大値が大きく、通過帯域の両側が十分に減衰し、また、反射特性S11において通過帯域での最大値が約−14dB以下という良好なフィルタ特性を得ることができている。
次に、帯域通過フィルタ1の変形例である帯域通過フィルタ1A、1B、1Cを図面に基づいて説明する。なお、帯域通過フィルタ1A、1B、1Cは、互いの特徴を組み合わせることが可能である。
図5は、帯域通過フィルタ1Aを示すものであって、上記誘電体スペーサー4A、4Bを変形した誘電体スペーサー4A’、4B’が設けられている。この誘電体スペーサー4A’、4B’は、有底筒状をなし、その底部4Ab、4Bbが共振器2A、2Bの開放端2Ab、2Bbを覆うようにしている。このようにすると、底部4Ab、4Bbの厚さの分だけ周波数調整電極3A、3Bと共振器2A、2Bとの間に形成される最大の負荷容量を増大させることができるため、負荷容量の値の調整可能な範囲を広げることができる。
図6は、帯域通過フィルタ1Bを示すものであって、上記周波数調整電極3A、3Bを変形した周波数調整電極3A’、3B’が設けられている。この周波数調整電極3A’、3B’は、上記の周波数調整ねじ3Aa、3Baと電気的に並列になるように導体箔製の電極片3Ab、3Bbを誘電体スペーサー4A、4Bの外面に接着したものである。電極片3Ab、3Bbは、接地電位(通常はフィルタケース1aの電位)に導線7Aa、7Baにより接続されている。電極片3Ab、3Bbは、周波数調整ねじ3Aa、3Baとともに共振器2A、2Bとの間に負荷容量を形成する。このようにすると、大きな容量の調整は、導体箔製の電極片3Ab、3Bbを所望の面積に切り取って誘電体スペーサー4A、4Bに接着させることにより行い、容量の微調整は、周波数調整ねじ3Aa、3Baによって行うことができるので、調整がし易くなる。
図7は、帯域通過フィルタ1Cを示すものであって、2個の共振器2A、2Bには、導体箔製の段間結合電極5Aa、5Baが誘電体スペーサー4A、4Bの外面に接着されており、両段間結合電極5Aa、5Baは導線7Abで互いに電気的に接続されている。これにより、共振器2A、2Bは、互いに空気層を介して電磁界結合するのに加えて、それと並列に、共振器2Aと段間結合電極5Aaの間及び共振器2Bと段間結合電極5Baの間を介して電界結合する。このようにすると、共振器2A、2Bの間の空気層を介した電磁界結合の磁気結合の成分を弱めることになるので、帯域通過フィルタ1Cの通過特性S21の通過帯域を狭帯域にすることが可能であり、また、それによって、共振器2A、2Bの間の距離を短くして小型化することも可能である。また、空気層を介した電磁界結合と、段間結合電極5Aa及び段間結合電極5Baを介した電界結合と、の共振によって、通過帯域近傍に減衰極(ノッチ)を形成させることができる。この減衰極により、後続の電子素子による所望の通過帯域とその他の帯域との選択が容易になる。
図8は、帯域通過フィルタ1Cのフィルタ特性を示したものである。上記の図3で示した実施例と同様の共振器2A、2Bと誘電体スペーサー4A、4Bを用い、段間結合電極5Aa、5Baと導線7Abを付加し、共振器2A、2Bの間の距離を約10mmにしたもののシミュレーション結果である。共振器2A、2Bの共振周波数は、約2.45GHzとしている。図8より、通過特性S21において、通過帯域の最大値が大きく、通過帯域の両側が十分に減衰し、しかも、通過帯域の低域側近傍(約2.35GHz)に減衰極が形成されていて、通過帯域の低域側の減衰のスロープは急峻である。また、反射特性S11の最大値は約−14dB以下となっており、通過特性S21とともに良好なフィルタ特性になっている。
以上、本発明の実施形態に係る帯域通過フィルタについて、それを構成する共振器が2個の場合の態様を説明したが、3個以上にすることも可能である。
図9は、上述の帯域通過フィルタ1の構成に更に共振器2Cを追加した帯域通過フィルタ1’を示している。この共振器2Cは、共振器2A、2Bと同様のものであり、それらの中間に配置されている。また、周波数調整電極3A、3Bの周波数調整ねじ3Aa、3Baと同様の周波数調整電極3Cの周波数調整ねじ3Caが、共振器2Cとの間でそれぞれ負荷容量を形成するように、設けられている。この帯域通過フィルタ1’は、帯域通過フィルタ1とはフィルタ特性が多少変化するが、同様に、入出力端子6A、6Bのいずれか一方に、マイクロ波やミリ波などの高周波領域の高周波信号が入力されると、共振器2A、2B、2Cがそれらの長さと負荷容量などで決まる共振周波数で共振し、その共振周波数を中心とした帯域が入出力端子6A、6Bの他方から出力される。
帯域通過フィルタ1’について、帯域通過フィルタ1と同様な変形例である帯域通過フィルタ1A’、1B’、1C’を以下に示す。なお、帯域通過フィルタ1A’、1B’、1C’は、互いの特徴を組み合わせることが可能である。
図10は、帯域通過フィルタ1A’を示すものであって、共振器2Cに上記の誘電体スペーサー4A’、4B’と同様の誘電体スペーサー4C’が装着されている。共振器2A、2Bには、帯域通過フィルタ1Aの場合と同様に、誘電体スペーサー4A’、4B’が装着されている。この帯域通過フィルタ1A’では、底部4Ab、4Bb、4Cbの厚さの分だけ周波数調整電極3A、3B、3Cと共振器2A、2B、2Cとの間に形成される最大の負荷容量を増大させることができるため、負荷容量の値の調整可能な範囲を広げることができる。
図11は、帯域通過フィルタ1B’を示すものであって、上記の周波数調整電極3A’、3B’と、それらと同様の周波数調整電極3C’が設けられている。周波数調整電極3C’は、上記の周波数調整ねじ3Caと電気的に並列になるように導体箔製の電極片3Cbが誘電体スペーサー4Cの外面に接着され、導線7Caにより接地電位(通常はフィルタケース1aの電位)に接続されている。この帯域通過フィルタ1B’では、帯域通過フィルタ1Bと同様に、容量の大きな調整は、導体箔製の電極片3Ab、3Bb、3Cbを所望の面積に切り取って誘電体スペーサー4A、4B、4Cに接着させることにより行い、容量の微調整は、周波数調整ねじ3Aa、3Ba、3Caによって行うことができるので、調整がし易くなる。
図12は、帯域通過フィルタ1C’を示すものであって、共振器2Cに、上記の段間結合電極5Aa、5Baと同様の導体箔製の段間結合電極5Ca、5Ca’が誘電体スペーサー4Cの外面に接着されている。共振器2A、2Bには、帯域通過フィルタ1Cの場合と同様に、段間結合電極5Aa、5Baが誘電体スペーサー4A、4Bの外面に接着されている。段間結合電極5Aaと段間結合電極5Ca及び段間結合電極5Ca’と段間結合電極5Baはそれぞれ、導線7Ab’、7Bb’で電気的に接続されている。これにより、共振器2Aと共振器2Cは、互いに空気層を介して電磁界結合するのに加えて、それと並列に、共振器2Aと段間結合電極5Aaの間及び共振器2Cと段間結合電極5Caの間を介して電界結合する。また、共振器2Cと共振器2Bは、互いに空気層を介して電磁界結合するのに加えて、それと並列に、共振器2Cと段間結合電極5Ca’の間及び共振器2Bと段間結合電極5Baの間を介して電界結合する。この帯域通過フィルタ1C’では、帯域通過フィルタ1Cと同様に、その通過特性S21の通過帯域を狭帯域にすることが可能であり、また、通過帯域近傍に減衰極(ノッチ)を形成させることができる。
以上、本発明の実施形態に係る帯域通過フィルタについて説明したが、本発明は、上述の実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載する事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。例えば、帯域通過フィルタ1B、1B’において、導体箔製の電極片3Ab、3Bb、3Cbだけで十分に共振周波数が調整されるのならば、周波数調整ねじ3Aa、3Ba、3Caを場合によっては省略することも可能である。また、通常は、共振器2A、2Bについてそれぞれ、誘電体スペーサー4A、4Bと、入出力電極5A、5Bと、を備えて対称的な構造にするが、場合によっては、本発明を共振器2Aのみについて適用する、すなわち、共振器2Aのみについて誘電体スペーサー4Aと入出力電極5Aとを備えるようにし、共振器2Bについては他の構成にすることも可能である。また、帯域通過フィルタが使用される機器によっては、共振器2A、2B(、2C)を、短絡端と開放端が隣り合うように設けられたインターディジタルフィルタの構成とすることも可能である。
1、1A〜1C、1’、1A’〜1C ’ 帯域通過フィルタ
1a フィルタケース
2A〜2C 共振器
3A〜3C、3A’〜3C ’ 周波数調整電極
3Aa、3Ba、3Ca 周波数調整電極の周波数調整ねじ
3Ab、3Bb、3Cb 周波数調整電極の電極片
4A〜4C、4A’〜4C’ 誘電体スペーサー
4Aa〜4Ca 誘電体スペーサーの環状部
4Ab〜4Cb 誘電体スペーサーの底部
5A、5B 入出力電極
5Aa〜5Ca、5Ca’ 段間結合電極
6A、6B 入出力端子
6Aa、6Ba 入出力端子導体
7A、7B、7Aa〜7Ca、7Ab、7Ab’、7Bb’ 導線

Claims (5)

  1. 一端が短絡されて他端が開放され、隣り合う共振器間で互いに空気層を介して電磁界結合する柱状の複数の共振器と、
    該複数の共振器との間で負荷容量を形成する複数の周波数調整電極と、
    前記複数の共振器の少なくとも一つに装着され、その外側面の少なくとも一部を囲む環状部を有する誘電体スペーサーと、
    前記誘電体スペーサーの環状部の外側面に接着され、前記共振器との間で電界結合して入出力容量を形成する導体箔製の入出力電極と、
    前記入出力電極に導線で電気的に接続された入出力端子導体を有しフィルタケースに固定された入出力端子と、
    を備えてなることを特徴とする帯域通過フィルタ。
  2. 請求項1に記載の帯域通過フィルタにおいて、
    前記誘電体スペーサーは、有底筒状をなし、その底部が前記共振器の前記開放された他端を覆うものであることを特徴とする帯域通過フィルタ。
  3. 請求項1又は2に記載の帯域通過フィルタにおいて、
    前記複数の周波数調整電極は、前記複数の共振器に対しその軸線方向に移動可能なように前記フィルタケースにねじ結合され、接地電位になっている周波数調整ねじを有して構成されていることを特徴とする帯域通過フィルタ。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯域通過フィルタにおいて、
    前記複数の周波数調整電極の少なくとも一つは、前記誘電体スペーサーの外面に接着され、導線により接地電位に接続された導体箔製の電極片を有して構成されていることを特徴とする帯域通過フィルタ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の帯域通過フィルタにおいて、
    前記複数の共振器には、導体箔製の段間結合電極が前記誘電体スペーサーの外面に接着され、両段間結合電極が導線で電気的に接続されており、
    前記複数の共振器は、互いに空気層を介して電磁界結合するのに加えて、前記段間結合電極を介して電界結合することを特徴とする帯域通過フィルタ。
JP2011068085A 2011-03-25 2011-03-25 帯域通過フィルタ Withdrawn JP2012205096A (ja)

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