JP2012203093A - 反射防止フィルム、およびそれを用いた偏光板と電子ディスプレイ - Google Patents

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Abstract

【課題】透明基材上にハードコート層と反射防止層を備え、ハードコート層に帯電防止機能を付与する反射防止フィルムにおいて、干渉縞の発生を抑え、かつ、湿度依存性が無く、耐光性に優れ、しかも高透過率である反射防止フィルムを提供すること。
【解決手段】透明基材11上にハードコート層12、低屈折率層13を順に備える反射防止フィルム1であって、該ハードコート層がカーボンナノチューブおよびフラーレンを含有し、且つ、低屈折率層表面での視感平均反射率が1.5%以下であり、反射防止フィルムの全光線透過率が85%以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、反射防止性能及び帯電防止性能を備える反射防止フィルムに関する。さらには、LCD、PDP、CRT、プロジェクションディスプレイ、ELディスプレイ等の電子ディスプレイの表示画面に適用される反射防止フィルムに関する。
一般にディスプレイは、室内外での使用を問わず、外光などが入射する環境下で使用される。この外光等の入射光は、ディスプレイ表面等で正反射され、それによる反射像が表示画像と混合することにより、画面表示品質を低下させてしまう。そのため、ディスプレイ表面等に反射防止機能を付与させる必要があり、反射防止機能の高性能化、反射防止機能以外の機能の複合化が求められている。
一般に反射防止機能は、透明基材上に金属酸化物等の透明薄膜からなる多層膜を反射防止層として形成することで得られる。これらの多層膜は、化学蒸着(CVD)法や、物理蒸着(PVD)法といったドライコーティング法により形成する方法が提案されている。また、反射防止層の形成方法として、大面積化、連続生産、低コスト化が可能であるウェットコーティング法も提案されている。
また、これらの反射防止層は、その表面が比較的柔軟であることから、表面硬度を付与するために、ハードコート層と併用される。ハードコート層には、一般にアクリル多官能化合物の重合体を使用している。このハードコート層はアクリル樹脂の特性により、高い表面硬度、光沢性、透明性、耐擦傷性を有するが、絶縁性が高いために帯電しやすく、ハードコート層を設けた製品表面への埃等の付着による汚れや、ディスプレイ製造工程において、帯電することにより障害が発生するといった問題を抱えている。
このため、透明基材上にハードコート層と反射防止層を備える反射防止フィルムにおいては、ハードコート層に帯電防止機能を付与する方法(特許文献1参照)や、透明基材とハードコート層間もしくは反射防止層とハードコート層間に新たに帯電防止層を備える方法(特許文献2参照)が提案されている。
透明基材とハードコート層間もしくは反射防止層とハードコート層間に帯電防止機能を付与する方法においては、製造工程が増えることにより、コストアップしてしまう。そのため、ハードコート層に帯電防止機能を直接付与する方法が望まれている。
帯電防止機能の発現機構はイオン伝導型と電子伝導型の2種に大別される。イオン伝導型としては、四級アンモニウム塩に代表される界面活性剤を樹脂バインダ中に分散させ、帯電防止機能を発現させる手法が一般的である。また、電子伝導型としては、アンチモン含有酸化スズ(以下、ATOと略称)に代表される金属酸化物粒子を樹脂バインダ中に分散させる手法、また導電性高分子による帯電防止が知られている。
特開2010−160464号公報 特開2010−72423号公報
しかしながら、四級アンモニウム塩においては、四級アンモニウム塩がイオン伝導型の帯電防止発現機構であることから、低湿度下で帯電防止性能が低下することが問題となる。また、電子伝導型の帯電防止発現機構を有するATOにおいては、バインダ中に金属粒子を分散させることにより、ハードコート層の屈折率が上昇してしまい、干渉縞の発生が問題となる。さらに、電子伝導型の帯電防止発現機構を有する他の材料である導電性高分子においては、光を吸収することで電子が発生し、発生した電子は導電性高分子を破壊してしまうことから、耐光性の面で問題がある。
上記の各種材料の他に、帯電防止性能の向上が期待できる添加材料として、カーボンナノチューブ、フラーレン等の炭素系材料が考えられる。上記炭素系材料のハードコート層への添加によれば、ハードコート層への金属酸化物粒子フィラーの添加時と比較して、ハードコート層の屈折率の上昇を抑えることが可能であり、従って干渉縞の発生を抑制できる。また、カーボンナノチューブおよびフラーレンの帯電防止発現機構は電子伝導型であり、低湿度下でも帯電防止性能の悪化は起きないという特徴を有する。さらに、カーボンナノチューブおよびフラーレンは、電子の直接的な移動により電子伝導を起こしているので、導電性高分子のような光による劣化は見られないという特徴を有する。しかしながら、これらの炭素系材料をハードコート層に添加した場合には、一般的に、全光線透過率が低下してしまうという問題があった。
本発明は、前記の問題点に鑑みて提案するものであり、本発明が解決しようとする課題は、干渉縞の発生を抑え、かつ、湿度依存性が無く、耐光性に優れ、しかも高透過率である反射防止フィルムを提供することである。さらに、本発明が解決しようとする課題は、上記の反射防止フィルムを用いた偏光板と電子ディスプレイを提供することである。
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、透明基材上にハードコート層、低屈折率層を順に備える反射防止フィルムであって、該ハードコート層がカーボンナノチューブおよびフラーレンを含有し、且つ、低屈折率層表面での視感平均反射率が1.5%以下であり、全光線透過率が85%以上であることを特徴とする反射防止フィルムである。
また、請求項2に記載の発明は、前記反射防止フィルムを温度100℃、湿度50%の環境下に500時間保管した後における低屈折率層表面の表面抵抗値が1×1012(Ω/□)以下であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルムである。
また、請求項3に記載の発明は、ハードコート層が、カーボンナノチューブ(A)とフラーレン(B)とバインダ樹脂(C)とを含有して導電性を有し、該ハードコート層に含まれる材料の比率は、合計100重量部に対して、(A)2〜15重量部(B)2〜15重量部(C)70〜96重量部、で構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止フィルムである。
また、請求項4に記載の発明は、低屈折率層が、バインダマトリクス中に低屈折率粒子を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止フィルムである。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止フィルムを用いたことを特徴とする偏光板である。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止フィルムを用いたことを特徴とする電子ディスプレイである。
本発明の構成の反射防止フィルムとすることにより、十分な帯電防止機能を有し、湿度依存性がなく、耐光性を有し、高透過率の反射防止フィルムを提供することができる。また、請求項5に記載の偏光板は、上記本発明の反射防止フィルムの有する性能を保持しつつ、偏光性を有する偏光板を一体で提供することができるので、請求項6に記載の電子ディスプレイを薄型で、かつ、簡単な組み立て工程で提供することができる。
本発明の反射防止フィルムの模式断面図である。 本発明の反射防止フィルムを用いた偏光板の模式断面図である。 本発明の反射防止フィルムを用いた電子ディスプレイの例としての透過型液晶ディスプレイの模式断面図であって、(a)は、反射防止フィルムを偏光板と分離して用いた例、(b)は、反射防止フィルムを一体として用いた偏光板を用いた例である。
図1に本発明の反射防止フィルムの膜式断面図を示す。本発明の反射防止フィルム1にあっては、透明基材11上に、ハードコート層12、低屈折率層13を順に備えることを特徴とする。
本発明の反射防止フィルム1にあっては、ハードコート層12が帯電防止機能を有する。新たに帯電防止層を設けることなく、ハードコート層に帯電防止機能を付与させることにより、本発明の反射防止フィルムを安価に製造することができる。また、ハードコート層上に設けられる低屈折率層13が単層構造で反射防止フィルムに反射防止機能を付与することができる。
また、本発明の反射防止フィルムにあっては、カーボンナノチューブおよびフラーレンの両方がハードコート層中に含まれていることを特徴とする。本発明の反射防止フィルムに用いられるカーボンナノチューブとしては、公知の材料を用いることができ、単層または多層の同軸管状のカーボンナノチューブを使用することができる。また、本発明の反射防止フィルムに用いられるフラーレンとしては、公知の材料を用いることができ、60個以上の炭素原子が球状に結合した構造をもつフラーレンを使用することができる。
ハードコート層中へカーボンナノチューブを添加した場合には、カーボンナノチューブの分散性の悪さから全光線透過率が低下してしまうことが問題となる。また、ハードコート層中へフラーレンを添加した場合には、導電性を得るためにフラーレン同士を接触させるために多量の添加が必要となってしまう。そこで、カーボンナノチューブおよび分散性のよいフラーレンの両方を添加してハードコート層を形成することにより、カーボンナノチューブとフラーレンのハードコート層への添加量を少なくすることができる。それにより、十分な帯電防止機能を付与し、高透過率であるハードコート層の形成が可能となる。
また、従来のカーボンブラック等のカーボン微粒子の添加により帯電防止機能を付与する方法にあっては、カーボン微粒子が脱落することが問題となっている。これは、カーボン微粒子の添加量を多くしなければならないことに起因し、添加量が多くなることで材料表面にカーボン微粒子が露出してしまい、微粒子の脱落がおこる。しかし、本手法においては、カーボンナノチューブおよびフラーレンの添加量が少量で済むこと、また、カーボンナノチューブの使用により、カーボンナノチューブ同士が絡み合い、自由空間が狭くなることにより、カーボンナノチューブおよびフラーレンの表面露出が抑えられ、脱落を防ぐことができる。
本発明の反射防止フィルムは、低屈折率層表面での平均視感反射率が1.5%以下であ
ることを特徴とする。低屈折率層表面の平均視感反射率が1.5%を超える場合にあっては、十分な反射防止機能を有する反射防止フィルムとすることができない。また、低屈折率層表面の平均視感反射率は低いほど高い反射防止機能を備えることから、低いほど好ましい。しかしながら、後述する低屈折率層材料とハードコート層材料との選択範囲により、実用上の平均視感反射率は、現状では、0.5%以上となる。本発明の反射防止フィルムの分光反射率曲線の測定は、反射防止フィルムの低屈折率層と反対側の面を黒色塗料で艶消し処理した後におこなわれ、低屈折率層表面に対しての垂直方向からの入射角度は5度に設定され、光源としてC光源を用い、2度視野の条件下で求められる。視感平均反射率は、可視光の各波長の反射率を比視感度により校正し、平均した反射率の値である。このとき、比視感度は明所視標準比視感度が用いられる。
本発明の反射防止フィルムにあっては、全光線透過率が85%以上であることを特徴とする。本発明の反射防止フィルムにあっては、カーボンナノチューブとフラーレンの両方を添加してハードコート層を形成することにより、カーボンナノチューブとフラーレンのハードコート層への添加量を少なくすることができ、反射防止フィルムの全光線透過率を85%以上とすることができる。なお、本発明の反射防止フィルムは全光線透過率は高ければ高いほど好ましいが、全光線透過率は85%以上92%以下の範囲内であることが好ましい。全光線透過率を92%以上とした場合には、十分な帯電防止機能を発揮することが困難になる。なお、反射防止フィルムの全光線透過率はJIS K 7105(1981年制定)に基づき測定される。
本発明の反射防止フィルムは、低屈折率層表面の表面抵抗値が1×1012(Ω/□)以下であることが好ましい。表面抵抗値が1×1012(Ω/□)以下といった帯電防止性をハードコート層に付与するにあっては、金属粒子や金属酸化物粒子といった導電性粒子のみを用いて帯電防止性を有するハードコート層を形成する場合には相当量の導電性粒子を添加する必要があり、このとき、ハードコート層の屈折率が上がることにより干渉縞が発生する。しかしながら、カーボンナノチューブおよびフラーレンを含む帯電防止性のハードコート層を形成する本発明にあっては、ハードコート層の屈折率上昇を抑え、干渉縞の発生を抑えることができ、且つ、低湿度下においても帯電防止性能の劣化を防ぐことが可能である。すなわち、本発明の反射防止フィルムにあっては、高い帯電防止性を有しながらも、干渉縞が無く、表面の耐擦傷性が高く、低湿度下において帯電防止性能の劣化を防げ、全光線透過率の低下を抑制し、透明基材とハードコート層間の密着性も良好な反射防止フィルムとすることができる。
本発明の反射防止フィルムにあっては、低屈折率層表面の表面抵抗値は低ければ低いほど帯電防止機能が向上するため好ましいが、低屈折率層表面の表面抵抗値は1×10(Ω/□)以上1×1012(Ω/□)以下であることが好ましい。低屈折率層表面の表面抵抗値は1×10(Ω/□)未満とした場合には、反射防止フィルムの全光線透過率を85%以上とすることが困難となる。
本発明の反射防止フィルムにあっては、低屈折率層が湿式成膜法により形成されることが好ましい。さらには、バインダマトリクス中に低屈折率粒子を含む構造であることが好ましい。低屈折率層を形成する方法としては、低屈折率層形成用塗液をハードコート層表面に塗布し反射防止層を形成する湿式成膜法による方法と、真空蒸着法やスパッタリング法やCVD法といった真空中で反射防止層を形成する真空成膜法による方法に分けられる。本発明の反射防止フィルムにあっては、低屈折率粒子とバインダマトリクスを含む低屈折率形成用塗液を用い、湿式成膜法により反射防止フィルムを形成することにより、安価に反射防止フィルムを製造することができる。
このとき、低屈折率層は、その膜厚(d)に低屈折率層の屈折率(n)をかけることによって得られる光学膜厚(nd)が可視光の中央波長の1/4と等しくなるように設計さ
れ形成される。
なお、本発明の反射防止フィルムにあっては、ハードコート層と低屈折率層の間に、他の機能層を設けても良い。他の機能層としては、防眩層、紫外線吸収層、赤外線吸収層、ハードコート層等を挙げることができる。ただし、全光線透過率の低下を考慮すると本発明の反射防止フィルムは他の機能層をもたない方が好ましい。
本発明の反射防止フィルムは、ディスプレイ表面に好適に用いることができる。ディスプレイとしてはLCD、PDP、CRT、プロジェクションディスプレイ、ELディスプレイ等を挙げることができる。また、ディスプレイ内部に用いることもできる。以下に本発明の反射防止フィルムを液晶ディスプレイの部材として用いる場合について説明する。
図2に本発明の反射防止フィルムを用いた偏光板の模式断面図を示す。本発明の偏光板にあっては、透明基材11の一方の面にハードコート層12と低屈折率層13とを積層し、その反対側にあたる他方の面に、偏光層22と透明基材23とを順に備える。従って、本発明の偏光板は、偏光層22が2枚の透明基材11、23で狭持された構造の一方の外側に、ハードコート層12を伴って反射防止機能を有する低屈折率層13を積層した構造であるともいえる。偏光層22としては一軸延伸させたポリビニルアルコール系フィルムに、例えばヨウ素を用いて染色して形成することができる。偏光層22を、図1に示した反射防止フィルムに貼り合わせて、最後に保護層となる透明基材23を貼り合わせることもできるが、偏光層22に保護層となる透明基材23を先に貼り合わせ、しかる後に、図1に示した反射防止フィルムに貼り合わせて、本発明の反射防止機能付きの偏光板を形成することもできる。
図3に本発明の反射防止フィルムを用いた電子ディスプレイの例として透過型液晶ディスプレイの模式断面図を示した。図3(a)の透過型液晶ディスプレイ6においては、バックライトユニット5、偏光板4、液晶セル3、偏光板2、反射防止フィルム1をこの順に備えている。このとき、反射防止フィルム1の反射防止層形成面である低屈折率層13側が観察側すなわちディスプレイ表面となる。
バックライトユニット5は、光源と光拡散板を備える公知の部品を用いることができる。液晶セル3は、一方の透明基材に電極が設けられ、もう一方の透明基材に電極及びカラーフィルターを備えており、両電極間に液晶が封入された公知の構造となっている。液晶セル3を挟むように設けられる偏光板2、4にあっては、透明基材21、23と、透明基材41、43とのそれぞれの間に、偏光層22と偏光層42とをそれぞれ挟持した構造となっている。
図3(a)にあっては、反射防止フィルム1の透明基材11と偏光板2の透明基材を別々に備える透過型液晶ディスプレイとなっている。一方、図3(b)にあっては、図2に示した偏光板を用いた点のみで、図3(a)とは異なる透過型液晶ディスプレイ7であり、反射防止フィルム1の透明基材11の反射防止層の反対側の面に偏光層22が設けられており、透明基材11が反射防止フィルム1の透明基材と偏光板2の透明基材を兼ねる構造となっている。
本発明の反射防止フィルムを用いた上記ディスプレイは、前述の干渉縞の発生と湿度依存性を回避し、耐光性に優れ、しかも高透過率であるという反射防止フィルムの特性を活かして、表示性能に優れたディスプレイを提供することは勿論、後述するように、反射防止フィルムの低屈折率層表面に防汚性を付与することができるので、上記いずれの透過型液晶ディスプレイであっても、観察面側の防汚性に優れた電子ディスプレイを提供することができる。
また、本発明の透過型液晶ディスプレイにあっては、他の機能性部材を備えても良い。他の機能性部材としては、例えば、バックライトから発せられる光を有効に使うための、拡散フィルム、プリズムシート、輝度向上フィルムや、液晶セルや偏光板の位相差を補償するための位相差フィルムが挙げられるが、本発明の透過型液晶ディスプレイはこれらに限定されるものではない。なお、これら他の機能性部材は、いずれも公知のものを使用できる。
また、本発明の反射防止フィルムの上記以外の応用として、光源からの光の取り出し効率を向上させることを目的として透過型液晶ディスプレイのバックライト部材の一部として用いることもできる。
以下に、さらに詳細に本発明の反射防止フィルムの製造方法について述べる。
本発明の帯電防止フィルムにおける透明基材は、種々の有機高分子からなるフィルムまたはシートを用いることができる。例えば、ディスプレイ等の光学部材に通常使用される基材が挙げられ、透明性や光の屈折率等の光学特性、さらには耐衝撃性、耐熱性、耐久性などの諸物性を考慮して、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セロファン等のセルロース系、6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリアミド系、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、エチレンビニルアルコール等の有機高分子からなるものが用いられる。特に、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートが好ましい。さらに、これらの有機高分子に公知の添加剤、例えば帯電防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤等を添加することにより機能を付加させたものも使用できる。また、透明基材は上記の有機高分子から選ばれる1種または2種以上の混合物、または重合体からなるものでもよく、複数の層を積層させたものであってもよい。
中でも、トリアセチルセルロースフィルムは複屈折が少なく、透明性が良好であることから、本発明の反射防止フィルムを液晶ディスプレイに用いるにあっては好適に使用することができる。トリアセチルセルロースフィルムの屈折率は約1.50であって、他の透明基材と比較して屈折率が低い。例えば、透明基材として広範に用いられるポリエチレンテレフタレートフィルムは、1.60程度である。
透明基材としてトリアセチルセルロースフィルムを用いた反射防止フィルムは、透明基材の屈折率が低いことから、一般的には、ハードコート層との屈折率差による干渉ムラが発生しやすい。しかしながら、本発明の反射防止フィルムにあっては、ハードコート層の屈折率の上昇を抑えることができるため、透明基材としてトリアセチルセルロースフィルムを用いた場合にも干渉縞の発生を抑え、透明基材として好適に使用できる。
本発明の反射防止フィルムにあっては、透明基材上にハードコート層が形成される。ハードコート層を形成するにあたっては、導電性の良好なカーボンナノチューブと分散性の良好なフラーレンのそれぞれから選択される物質を1以上含むハードコート層形成用塗液を湿式成膜法により塗布し、透明基材上に塗膜を形成し、該塗膜に紫外線を照射し、硬化することにより形成することができる。
また、ハードコート層形成用塗液にあっては、光重合開始剤を含んでいてもよい。透明基材上にハードコート層形成用塗液を湿式成膜法により塗布し塗膜を形成後、電離放射線
として紫外線を用い、紫外線照射により塗膜を硬化する場合には、塗液に光重合開始剤が加えられる。光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類等が挙げられる。また、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等を用いることができる。
また、ハードコート層形成用塗液には、必要に応じて、溶媒が加えられる。溶媒を加えることにより、塗工適性を向上させることができる。溶媒としては、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、シクロヘキシルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、n−ヘキサンなどの炭化水素類、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、ジオキサン、ジオキソラン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトール等のエーテル類、また、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、およびメチルシクロヘキサノン等のケトン類、また蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n−ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酢酸n−ペンチル、およびγ−プチロラクトン等のエステル類、さらには、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ類、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール等のアルコール類、水等の中から塗工適性等を考慮して適宜選択される。
ハードコート層形成用塗液にあっては、ハードコート層形成用塗液を塗布し、形成される塗膜においてハジキ、ムラといった塗膜欠陥の発生を防止するために、表面調整剤と呼ばれる添加剤を加えても良い。表面調整剤は、その働きに応じて、レベリング剤、消泡剤、界面張力調整剤、表面張力調整剤とも呼ばれるが、いずれも形成される塗膜表面の表面張力を低下させる働きを備える。
また、ハードコート層形成用塗液においては、塗液中に先に述べた表面調整剤のほかにも、他の添加剤を加えても良い。機能性添加剤としては、帯電防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、密着性向上剤、硬化剤などを用いることができる。
以上の材料を調整して得られるハードコート層形成用塗液を湿式成膜法により透明基材上に塗布し、塗膜を形成し、必要に応じて塗膜の乾燥をおこなったあとに、電離放射線である紫外線もしくは電子線を照射することにより、ハードコート層が形成される。
このとき、湿式成膜法としては、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ディップコーターを用いた塗布方法を用いることができる。
ハードコート層形成用塗液を透明基材上に塗布することにより得られる塗膜に対し、電離放射線を照射することにより、ハードコート層が形成される。電離放射線としては、紫外線、電子線を用いることができる。紫外線硬化の場合は、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク等の光源が利用できる。また、電子線硬化の場合はコックロフトワルト型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される電子線が利用できる。
なお、硬化によりハードコート層を形成する工程の前後に乾燥工程もしくは加熱工程を設けてもよい。特に、塗液が溶媒を含む場合、形成された塗膜の溶媒を除去するために電離放射線を照射する前に乾燥工程を設ける必要がある。乾燥手段としては加熱、送風、熱
風などが例示される。
なお、本発明の反射防止フィルムにおいて、形成されるハードコート層の鉛筆硬度は、物理的な耐擦傷性を備えるために、H以上であることが好ましい。
次に、反射防止層として、低屈折率粒子とバインダマトリクス形成材料を含む低屈折率層形成用塗液をハードコート層表面に塗布し、湿式成膜法により低屈折率層を形成する方法について述べる。このとき反射防止層である低屈折率層単層の膜厚(d)は、その膜厚(d)に低屈折率層の屈折率(n)をかけることによって得られる光学膜厚(nd)が可視光の中央波長の1/4と等しくなるように設計される。低屈折率層としてはバインダマトリクス中に低屈折粒子を分散させたものを用いることができる。
低屈折粒子としては、LiF、MgF、3NaF・AlFまたはAlF(いずれも、屈折率1.4)、または、NaAlF(氷晶石、屈折率1.33)等の低屈折材料からなる低屈折率粒子を用いることができる。また、粒子内部に空隙を有する粒子を好適に用いることができる。粒子内部に空隙を有する粒子にあっては、空隙の部分を空気の屈折率(≒1)とすることができるため、非常に低い屈折率を備える低屈折率粒子とすることができる。具体的には、多孔質シリカ粒子、内部に空隙を有する低屈折率シリカ粒子を用いることができる。
本発明の低屈折率層に用いられる低屈折率粒子としては、粒径が1nm以上100nm以下であることが好ましい。粒径が100nmを超える場合、レイリー散乱によって光が著しく反射され、低屈折率層が白化して反射防止フィルムの透明性が低下する傾向にある。一方、粒径が1nm未満の場合、粒子の凝集による低屈折率層における粒子の不均一性等の問題が生じる。
本発明のバインダマトリクス形成材料としては電離放射線硬化型材料、熱硬化型材料を用いることができる。
また、バインダマトリクス形成材料として用いられる電離放射線硬化型材料としては、アクリル系材料を用いることができる。アクリル系材料としては、多価アルコールのアクリル酸またはメタクリル酸エステルのような単官能または多官能の(メタ)アクリレート化合物、ジイソシアネートと多価アルコール及びアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシエステル等から合成されるような多官能のウレタン(メタ)アクリレート化合物を使用することができる。またこれらの他にも、電離放射線型材料として、アクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等を使用することができる。
単官能の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリールアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−アダマンタンおよびアダマンタンジオールから誘導される1価のモノ(メタ)アクリレートを有するアダマンチルアクリレートなどのアダマンタン誘導体モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記多官能の内、2官能の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記多官能の内、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能の(メタ)アクリレート化合物や、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物や、これら(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε−カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
アクリル系材料の中でも、所望する分子量、分子構造を設計でき、形成されるハードコート層の物性のバランスを容易にとることが可能であるといった理由から、多官能ウレタンアクリレートを好適に用いることができる。ウレタンアクリレートは、多価アルコール、多価イソシアネート及び水酸基含有アクリレートを反応させることによって得られる。
バインダマトリクス形成材料として用いられる熱硬化型材料としては、ケイ素アルコキシドの加水分解物を用いることができる。さらには、一般式
(1) RxSi(OR)4−X (但し、式中Rはアルキル基を示し、xは0≦x≦3を満たす整数である)
で示されるケイ素アルコキシドの加水分解物を用いることができる。
一般式(1)で表されるケイ素アルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラペンタエトキシシラン、テトラペンタ−iso−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−プロキシシラン、テトラペンタ−n−ブトキシシラン、テトラペンタ−sec−ブトキシシラン、テトラペンタ−tert−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等を用いることができる。ケイ素アルコキシドの加水分解物は、一般式(1)で示される金属アルコキシドを原料として得られるものであればよく、例えば塩酸にて加水分解することで得られるものである。
さらには、低屈折率層のバインダマトリクス形成材料としては、一般式(1)で表されるケイ素アルコキシドに、一般式
(2) R´zSi(OR)4−Z (但し、式中R´はアルキル基、フルオロアルキル基又はフルオロアルキレンオキサイド基を有する非反応性官能基を示し、zは1≦z≦3を満たす整数である)
で示されるケイ素アルコキシドの加水分解物をさらに含有することにより、反射防止フィルムの低屈折率層表面に防汚性を付与することができ、また、低屈折率層の屈折率をさらに低下することができる。
一般式(2)で示されるケイ素アルコキシドとしては、例えば、オクタデシルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
なお、低屈折率層形成用塗液には、必要に応じて、溶媒や各種添加剤を加えることができる。溶媒としては、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、シクロヘキシルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、n−ヘキサンなどの炭化水素類、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、ジオキサン、ジオキソラン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトール等のエーテル類、また、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、等のケトン類、また蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n−ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酢酸n−ペンチル、およびγ−プチロラクトン等のエステル類、さらには、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、水等の中から塗工適性等を考慮して適宜選択される。また、塗液には添加剤として、表面調整剤、レベリング剤、屈折率調整剤、密着性向上剤、光増感剤等を加えることもできる。
また、バインダマトリクス形成材料として紫外線硬化型材料を用い、紫外線を照射することにより低屈折率層を形成する場合には、低屈折率層形成用塗液に光重合開始剤が加えられる。光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホストフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類等
が挙げられる。
なお、低屈折率層形成用塗液においては一般式(2)で示されるケイ素アルコキシドのようなフッ素系材料、シリコーン系材料を含むことが好ましい。これにより、反射防止フィルムの低屈折率層表面に防汚性を付与することができ、ディスプレイ表面に好適に用いることができる。
以上の材料を調整して得られる低屈折率層形成用塗液を湿式成膜法により透明基材上に塗布し、塗膜を形成し、低屈折率層を形成することができる。バインダマトリクス形成材料として電離放射線である紫外線もしくは電子線を照射することにより、低屈折率層が形成される。また、バインダマトリクス形成材料として熱硬化型材料である金属アルコキシドを用いた場合には、乾燥、加熱等により低屈折率層が形成される。
このとき、湿式成膜法としては、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ディップコーターを用いた塗布方法を用いることができる。
以上により、本発明の反射防止フィルムは製造される。
<調整例1>
(ハードコート層形成用塗液1)
ジペンタエリスリトールトリアクリレート25重量部、ペンタエリスリトールテトラアクリレート25重量部、ウレタンアクリレート50重量部、カーボンナノチューブ4重量部、フラーレン4重量部、イルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ社製(光重合開始剤))5重量部を用い、これをメチルエチルケトンに溶解してハードコート層形成用塗液1を調整した。
<調整例2>
(ハードコート層形成用塗液2)
ジペンタエリスリトールトリアクリレート25重量部、ペンタエリスリトールテトラアクリレート25重量部、ウレタンアクリレート50重量部、カーボンナノチューブ10重量部、イルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ社製(光重合開始剤))5重量部を用い、これをメチルエチルケトンに溶解してハードコート層形成用塗液2を調整した。
<調整例3>
(ハードコート層形成用塗液3)
ジペンタエリスリトールトリアクリレート25重量部、ペンタエリスリトールテトラアクリレート25重量部、ウレタンアクリレート50重量部、フラーレン30重量部、イルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ社製(光重合開始剤))5重量部を用い、これをメチルエチルケトンに溶解してハードコート層形成用塗液3を調整した。
<調整例4>
(ハードコート層形成用塗液4)
ジペンタエリスリトールトリアクリレート25重量部、ペンタエリスリトールテトラアクリレート25重量部、ウレタンアクリレート50重量部、四級アンモニウムカチオンを含有するライトエステルDQ100(共栄社化学製)5重量部、イルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ社製(光重合開始剤))5重量部を用い、これをメチルエチルケトンに溶解してハードコート層形成用塗液4を調整した。
<調整例5>
(ハードコート層形成用塗液5)
ジペンタエリスリトールトリアクリレート25重量部、ペンタエリスリトールテトラアク
リレート25重量部、ウレタンアクリレート50重量部、ATO20重量部、イルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ社製(光重合開始剤))5重量部を用い、これをメチルエチルケトンに溶解してハードコート層形成用塗液5を調整した。
<調整例6>
(ハードコート層形成用塗液6)
ジペンタエリスリトールトリアクリレート25重量部、ペンタエリスリトールテトラアクリレート25重量部、ウレタンアクリレート50重量部、導電性ポリマーを含有したBaytron P CH 8000(エイチ・シー・スタルク社製(固形分3%))33重量部、イルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ社製(光重合開始剤))5重量部を用い、これをメチルエチルケトンに溶解してハードコート層形成用塗液6を調整した。
<調整例7>
(ハードコート層形成用塗液7)
ジペンタエリスリトールトリアクリレート25重量部、ペンタエリスリトールテトラアクリレート25重量部、ウレタンアクリレート50重量部、イルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ社製(光重合開始剤))5重量部を用い、これをメチルエチルケトンに溶解してハードコート層形成用塗液7を調整した。
<調整例8>
(低屈折率層形成用塗液)
多孔質シリカ微粒子分散液(平均粒子径50nm、固形分20%、溶剤:メチルイソブチルケトン)14.94重量部、EO変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名:DPEA−12、日本化薬製)1.99重量部、重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名;イルガキュア184)0.07重量部、TSF4460(商品名、GE東芝シリコーン(株)製:アルキルポリエーテル変性シリコーンオイル)0.20重量部を、溶媒であるメチルイソブチルケトン82重量部で希釈して低屈折率層形成用塗液を調整した。
<実施例1>
(ハードコート層の形成)
トリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム製:膜厚80μm)の片面にハードコート層形成用塗液1を塗布し、80℃・60秒オーブンで乾燥し、乾燥後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン、光源Hバルブ)を用いて、照射線量300mJ/mで紫外線照射をおこなうことにより乾燥膜厚5μmの透明なハードコート層を形成させた。
(低屈折率層の形成)
上記方法にて形成したハードコート層の帯電防止層上に低屈折率層形成用塗液を乾燥後の膜厚が100nmとなるように塗布した。
紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン、光源Hバルブ)を用いて、照射線量192mJ/mで紫外線照射をおこなって硬化させて低屈折率層を形成し、反射防止フィルムを作製した。
<比較例1>
ハードコート層形成用塗液1に替えてハードコート層形成用塗液2を使用した以外は実施例1と同様に、トリアセチルセルロースフィルム上にハードコート層及び低屈折率層を形成し、反射防止フィルムを得た。
<比較例2>
ハードコート層形成用塗液1に替えてハードコート層形成用塗液3を使用した以外は実施例1と同様に、トリアセチルセルロースフィルム上にハードコート層及び低屈折率層を形
成し、反射防止フィルムを得た。
<比較例3>
ハードコート層形成用塗液1に替えてハードコート層形成用塗液4を使用した以外は実施例1と同様に、トリアセチルセルロースフィルム上にハードコート層及び低屈折率層を形成し、反射防止フィルムを得た。
<比較例4>
ハードコート層形成用塗液1に替えてハードコート層形成用塗液5を使用した以外は実施例1と同様に、トリアセチルセルロースフィルム上にハードコート層及び低屈折率層を形成し、反射防止フィルムを得た。
<比較例5>
ハードコート層形成用塗液1に替えてハードコート層形成用塗液6を使用した以外は実施例1と同様に、トリアセチルセルロースフィルム上にハードコート層及び低屈折率層を形成し、反射防止フィルムを得た。
<比較例6>
ハードコート層形成用塗液1に替えてハードコート層形成用塗液7を使用した以外は実施例1と同様に、トリアセチルセルロースフィルム上にハードコート層及び低屈折率層を形成し、反射防止フィルムを得た。
<実施例1>、<比較例1>〜<比較例6>で得られた反射防止フィルムについて、以下の方法で評価を行った。
(平均視感反射率)
得られた反射防止フィルムの低屈折率層表面について、自動分光光度計(日立製作所製、U−4000)を用い、入射角5°における分光反射率を測定した。また、得られた分光反射率曲線から平均視感反射率を求めた。なお、測定の際には透明基材であるトリアセチルセルロースフィルムのうち低屈折率層の形成されていない面につや消し黒色塗量を塗布し、反射防止の処置をおこなった。
(表面抵抗値)
得られた反射防止フィルムの低屈折率層表面の表面抵抗値を、JIS K 6911(1962年制定)に準拠して測定した。また、得られた反射防止フィルムを温度100℃、湿度50%の環境下に500時間サンプルを保管し、保管後の反射防止フィルムの低屈折率層表面の表面抵抗値をJIS K 6911(1962年制定)に準拠して測定した。(干渉縞)
得られた反射防止フィルムについて、透明基材であるトリアセチルセルロースフィルムのうち低屈折率層の形成されていない面につや消し黒色塗料を塗布したのち、蛍光灯直下で低屈折率層表面の干渉縞を確認した。干渉縞が確認されなかったものを○印、干渉縞が確認されたものを×印とした。
(全光線透過率およびヘイズ値)
得られた反射防止フィルムについて、写像性測定器(日本電色工業(株)製、NDH−2000)を使用して全光線透過率及びヘイズ値を測定した。
(耐光性)
得られた反射防止フィルムについて、JIS B 7751に規定される紫外線カーボンアーク灯式の耐光試験機に反射防止フィルムを500時間保管した後における低屈折率層表面の抵抗値(湿度50%環境下)を耐光試験前の値と比較して評価を行った。
(表1)に評価結果を示す。
Figure 2012203093
1・・・反射防止フィルム
2、4・・・偏光板
3・・・液晶セル
5・・・バックライトユニット
6、7・・・透過型液晶ディスプレイ
11、21、23、41、43・・・透明基材
12・・・ハードコート層
13・・・低屈折率層
22、42・・・偏光層

Claims (6)

  1. 透明基材上にハードコート層、低屈折率層を順に備える反射防止フィルムであって、該ハードコート層がカーボンナノチューブおよびフラーレンを含有し、且つ、低屈折率層表面での視感平均反射率が1.5%以下であり、全光線透過率が85%以上であることを特徴とする反射防止フィルム。
  2. 前記反射防止フィルムを温度100℃、湿度50%の環境下に500時間保管した後における低屈折率層表面の表面抵抗値が1×1012(Ω/□)以下であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
  3. ハードコート層が、カーボンナノチューブ(A)とフラーレン(B)とバインダ樹脂(C)とを含有して導電性を有し、該ハードコート層に含まれる材料の比率は、合計100重量部に対して、(A)2〜15重量部(B)2〜15重量部(C)70〜96重量部、で構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止フィルム。
  4. 低屈折率層が、バインダマトリクス中に低屈折率粒子を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止フィルムを用いたことを特徴とする偏光板。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止フィルムを用いたことを特徴とする電子ディスプレイ。
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