JP2012202911A - 分析チップ - Google Patents

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Abstract

【課題】被検物質と結合した光応答性標識物質から生じる光を検出して被検物質の分析を行う光検出法に使用される分析チップにおいて、励起光の迷光(不要な散乱光や反射光)に影響されず、正確な検出を行えるようにする。
【解決手段】流路15(試料液保持部)を形成するための溝が設けられた基盤11a上に上蓋11bが取り付けられ、溝部分が流路15(試料液保持部)として機能するように構成された分析チップ10において、蛍光は透過させるとともに励起光Lは遮断する励起光カットフィルタ―60を上蓋11bの上面に設ける。
【選択図】図6

Description

本発明は、被検物質と結合した光応答性標識物質から生じる光を検出して被検物質の分析を行う光検出法に使用される分析チップに関するものである。
バイオ測定等において、蛍光法は高感度かつ容易な測定法として広く用いられている。蛍光法とは、特定波長の光に励起されて蛍光を発する被検出物質を含むと考えられる試料に、上記特定波長の励起光を照射し、このとき発せられる蛍光を検出することによって定性的または定量的に被検出物質の存在を確認する方法である。また、被検出物質自身が蛍光材料ではない場合、この被検出物質を有機蛍光色素等の蛍光標識で標識し、その後同様にして蛍光を検出することにより、その標識の存在をもって被検出物質の存在を確認する方法である。
上記蛍光法において、試料を流しながら特定の被検出物質のみを効率よく検出できる等の理由から、以下に示す2つの方法により被検出物質を分析チップのセンサ部表面に固定し、その後蛍光検出を行う手法が一般的である。このような手法の1つは、例えば被検出物質が抗原である場合に、センサ部表面に固定された1次抗体に、抗原を特異的に結合させ、次いで、蛍光標識が付与された、抗原と特異的に結合する2次抗体を、さらに上記抗原に結合させることにより、1次抗体―抗原―2次抗体という結合状態を形成し、2次抗体に付与されている蛍光標識からの蛍光を検出する、所謂サンドイッチ法である。また、もう1つは、例えば被検出物質が抗原である場合に、センサ部表面に固定された1次抗体に、抗原と蛍光標識が付与された2次抗体(前述の2次抗体と異なり、1次抗体と特異的に結合する)とを、競合的に1次抗体と結合させ、競合的に結合した2次抗体に付与されている蛍光標識からの蛍光を検出する、所謂競合法である。
また、蛍光検出においてS/N比を向上できる等の理由から、上記のような方法によって間接的にセンサ部に固定された蛍光標識を、エバネッセント光により励起するエバネッセント蛍光法が提案されている。エバネッセント蛍光法は、励起光をセンサ部裏面から入射し、センサ部表面に染み出すエバネッセント光により蛍光標識を励起して、その蛍光標識から生じる蛍光を検出するものである。
一方、エバネッセント蛍光法において、感度を向上させるため、プラズモン共鳴による電場増強の効果を利用する方法が、特許文献1、非特許文献1などに提案されている。この表面プラズモン増強蛍光法は、プラズモン共鳴を生じさせるため、センサ部に金属層を設け、この金属層に表面プラズモンを生じさせ、その電場増強作用によって、蛍光信号を増大させてS/N比を向上させるものである。
また、エバネッセント蛍光法において、表面プラズモン増強蛍光法と同様に、センサ部の電場を増強する効果を有する方法として、光導波モードによる電場増強効果を利用する方法が非特許文献2に提案されている。この光導波モード増強蛍光分光法(OWF:Optical waveguide mode enhanced fluorescence spectroscopy)は、センサ部に金属層と、誘電体などからなる光導波層とを順次形成し、この光導波層に光導波モードを生じさせ、その電場増強効果によって、蛍光信号を増強させるものである。
また、特許文献2および非特許文献3には、上記に示した蛍光法のように蛍光標識からの蛍光を検出するのではなく、その蛍光が金属層に新たに表面プラズモンを誘起することによって生じる放射光(SPCE: Surface Plasmon-Coupled Emission)を検出する方法が提案されている。
以上のように、バイオ測定等における測定方法としては、種々の方法が提案されている。
特開平10−307141号公報 米国特許出願公開第2005/0053974号明細書
W.Knoll他、Analytical Chemistry 77(2005), p.2426-2431 2007年春季 応用物理学会 予稿集 No.3,P.1378 Thorsten Liebermann Wolfgang Knoll, "Surface-plasmon field-enhanced fluorescence spectroscopy" Colloids and Surfaces A 171(2000)115-130
ところで、上記のような検出装置では、一般的にはフォトダイオードやCCDの光検出素子等を用いてセンサ部を0次元的に計測し、センサ部において発生した蛍光量の総和を計測することにより、被検出物質の存在の確認を行っている。
この場合、センサ部に励起光を入射させるプリズムや分析チップの励起光導入部に光学的な歪があると、センサ部において発生した蛍光のみならず、この歪の部分で散乱した励起光までが光検出素子に入射してしまうようになり、正確な検出が行えなくなるおそれがある。また、プリズムや励起光導入部の各面において励起光が反射し、不要な反射光が光検出素子に入射してしまった場合にも、同様の問題を生じる。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、被検物質と結合した光応答性標識物質から生じる光を検出して被検物質の分析を行う光検出法に使用される分析チップにおいて、
励起光の迷光(不要な散乱光や反射光)に影響されず、正確な検出が可能な分析チップを提供することを目的とする。
本発明の分析チップは、分析チップの誘電体プレートの一面に形成されたセンサ部上に、被検出物質を含む試料液を接触させることにより、試料液に含有される被検出物質の量に応じた量の光標識結合物質をセンサ部上に結合させ、センサ部に全反射条件が得られる入射角度で励起光を照射することによりセンサ部上に電場を発生せしめ、被検出物質の量に応じた量の光標識結合物質を電場により励起し、励起に起因して生じる光を計測することにより、被検出物質の量を検出する蛍光検出方法に使用される分析チップであって、センサ部上に試料液を保持する試料液保持部と、試料液保持部の上面を封止するための上蓋と、少なくとも試料液保持部の上部において上蓋に隣接して配された、励起に起因して生じる光は透過させるとともに励起光は遮断する励起光遮蔽手段とを備えたことを特徴とするものである。
なお、「励起に起因して生じる光」とは、励起により光標識結合物質から生じる蛍光、燐光、遅延蛍光、ラマン散乱光等の光に限らず、光標識結合物質と他の物質との間で生じる蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)により発生した光等、励起光の照射を引き金として発生する光であれば、どのような光であってもよい。
本発明の分析チップにおいて、センサ部は、誘電体プレートに隣接する金属膜を含む積層構造からなるものとしてもよい。
この場合、金属膜は、試料液保持部の底面および内側面の両方に配してもよい。
また、センサ部は、消光防止層を含む積層構造からなるものとしてもよい。
また、励起光遮蔽手段は、励起に起因して生じる光は透過させるとともに励起光は遮断する励起光カットフィルタ―としてもよい。
本発明の分析チップによれば、分析チップの誘電体プレートの一面に形成されたセンサ部上に、被検出物質を含む試料液を接触させることにより、試料液に含有される被検出物質の量に応じた量の光標識結合物質をセンサ部上に結合させ、センサ部に全反射条件が得られる入射角度で励起光を照射することによりセンサ部上に電場を発生せしめ、被検出物質の量に応じた量の光標識結合物質を電場により励起し、励起に起因して生じる光を計測することにより、被検出物質の量を検出する蛍光検出方法に使用される分析チップにおいて、センサ部上に試料液を保持する試料液保持部の上面を封止するための上蓋の少なくとも試料液保持部の上部に、励起に起因して生じる光は透過させるとともに励起光は遮断する励起光遮蔽手段を設け、検出時に試料液保持部の上部に配される光検出素子に励起光の迷光(不要な散乱光や反射光)が入射しないようにしたので、励起光カットフィルタ―を搭載していない一般的な検出装置であっても、励起光の迷光(不要な散乱光や反射光)に影響されず、正確な検出を行わせることが可能となる。
本発明の分析チップにおいて、センサ部について、誘電体プレートに隣接する金属膜を含む積層構造からなるものとすれば、誘電体プレートと金属膜との界面で生じるプラズモンの電場増強作用によって、分析チップ内において発生する蛍光信号の強度を増大させることができるため、S/N比を向上させることができる。
金属膜は遮光性があるため、プラズモン増強を利用した分析チップの場合に、試料液保持部の底面のみならず内側面にも金属膜を配すれば、試料液保持部の上部に到達する励起光の迷光を低減できるので、より正確な検出を行わせることが可能となる。
また、プラズモン増強を利用した検出の場合には、試料中の光標識結合物質と金属層とが接近し過ぎていると、光標識結合物質内で励起されたエネルギーが蛍光を発生させる前に金属層へ遷移してしまい、蛍光が生じないという現象(いわゆる金属消光)が起こり得るため、センサ部について、消光防止層を含む積層構造からなるものとすれば、金属消光の問題を解消することができる。
本発明の第1の実施の形態の分析チップを用いた蛍光検出装置の模式図 上記蛍光検出装置のブロック図 上記分析チップの一例を示す模式図 図2の検体処理手段によりノズルチップを用いて検体が検体容器から抽出される様子を示す模式図 図2の検体処理手段によりノズルチップ内の検体が試薬セルに注入・撹拌される様子を示す模式図 上記分析チップ、光照射手段および蛍光検出手段の一例を示す模式図 本発明の第2の実施の形態の分析チップの模式図 本発明の第3の実施の形態の分析チップの模式図
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施の形態の分析チップを用いた蛍光検出装置の模式図、図2は上記蛍光検出装置のブロック図、図3は上記分析チップの一例を示す模式図、図4は図2の検体処理手段によりノズルチップを用いて検体が検体容器から抽出される様子を示す模式図、図5は図2の検体処理手段によりノズルチップ内の検体が試薬セルに注入・撹拌される様子を示す模式図、図6は上記分析チップ、光照射手段および蛍光検出手段の一例を示す模式図である。
この蛍光検出装置1は、表面プラズモン共鳴を利用した免疫解析装置であって、蛍光検出装置1により分析を行う際、図1に示す検体が収容された検体容器CBと、検体および試薬を抽出する際に用いられるノズルチップNCと、試薬セルおよびマイクロ流路が形成された分析チップ10が装填される。なお、検体容器CB、ノズルチップNCおよび分析チップ10はいずれも一度使用したら破棄される使い捨てのものである。そして、蛍光検出装置1は検体を分析チップ10のマイクロ流路15に流しながら検体内の被検物質について定量的もしくは定性的な分析を行う。
この蛍光検出装置1は、検体処理手段20、光照射手段30、蛍光検出手段40、データ分析手段50等を備えている。検体処理手段20は、ノズルチップNCを用いて検体を収容した検体容器CB内から検体を抽出し、抽出した検体を試薬と混合撹拌した検体溶液を生成するものである。
ここで、図3は分析チップ10の一例を示す模式図である。分析チップ10は、光透過性の樹脂等の誘電体プレートからなる本体11に注入口12、排出口13、試料セル14a、14b、流路15が形成された構造を有している。注入口12は流路15を介して排出口13に連通しており、排出口13から負圧をかけることにより検体は注入口12から注入されて流路15内に流れ排出口13から排出される。試料セル14a、14bは検体容器CB内の検体に混合する蛍光試薬(第2抗体)を収容する容器である。なお、試料セル14a、14bの開口部はシール部材により封止されており、検体と蛍光試薬とを混合する際にシール部材が穿孔されるようになっている。
また、流路15内には検体内の被検物質を検出するためのセンサ部としてのテスト領域TRおよびテスト領域TRの下流側に設けられたコントロール領域CRが形成されている。このテスト領域TR上には第1抗体が固定されており、いわゆるサンドイッチ方式により標識化された抗体を捕捉する。また、コントロール領域CRには参照抗体が固定されており、コントロール領域CR上に検体溶液が流れることにより参照抗体が蛍光物質を捕捉する。なお、コントロール領域CRは2つ形成されており、非特異吸着を検出するためのいわゆるネガ型のコントロール領域CRと、検体差による反応性の違いを検出するためのいわゆるポジ型のコントロール領域CRとが形成されている。
そして、分析の開始が指示された際、検体処理手段20は図4に示すようにノズルチップNCを用いて検体容器CBから検体を吸引する。その後、検体処理手段20は図5に示すように試料セル14aのシール部材を穿孔し試料セル14a内の試薬に検体を混合・撹拌させた後、検体溶液を再びノズルチップNCを用いて吸引する。この動作を試料セル14bについても同様に行う。すると、検体内に存在する被検物質(抗原)Aに試薬内の特異的に結合する第2の結合物質である第2抗体B2が表面に修飾された検体溶液が生成される。そして、検体処理手段20は、検体溶液を収容したノズルチップNCを注入口12上に設置し、排出口13からの負圧によりノズルチップNC内の検体溶液が流路15内に流入する。
なお、本実施の形態では、検体処理手段20が検体と試薬とを混合した検体溶液を流路15内に供給する場合について例示しているが、流路15内に予め試薬を充填させておき、検体処理手段20が注入口12から検体のみを流入させるようにしてもよい。
図6は分析チップ、光照射手段および蛍光検出手段の一例を示す模式図である。なお、図6においてはテスト領域TRに着目して説明するが、コントロール領域CRについても同様に励起光Lが照射されるものである。
分析チップ10の本体11は、詳細には、光透過性の樹脂等の誘電体により形成された基盤11aおよび上蓋11bからなる。基盤(誘電体プレート)11aには流路15(試料液保持部)を形成するための溝が設けられており、この溝上に上蓋11bが取り付けられることにより、溝部分が流路15(試料液保持部)として機能する。流路15のテスト領域TR(コントロール領域CRも同様)の底面には金属膜16が積層されている。また、励起に起因して生じる光は透過させるとともに励起光Lは遮断する励起光カットフィルタ―60が上蓋11bの上面に設けられている。なお、励起光カットフィルタ―60は上蓋11bの下面に設けるようにしてもよい。
光照射手段30は、分析チップ10の裏面側から励起光Lを全反射条件となる入射角度でプリズムを介してテスト領域TRの誘電体プレート17と金属膜16に照射するものである。蛍光検出手段40は、たとえばCCD、CMOS等からなり、テスト領域TRを撮影して画像信号FSを取得するものである。
そして、光照射手段30により励起光Lが誘電体プレート17と金属膜16との界面に対して全反射角以上の特定の入射角度で入射されることにより、金属膜16上の試料S中にエバネッセント波Ewが滲み出し、このエバネッセント波Ewによって金属膜16中に表面プラズモンが励起される。この表面プラズモンにより金属膜16表面に電界分布が生じ、電場増強領域が形成される。すると、金属膜16上に固着された第1抗体B1と結合した蛍光標識物質Fはエバネッセント波Ewにより励起され増強された蛍光を発生する。
なお、プラズモン増強を利用した検出においては、金属消光が発生して感度が低下するおそれがあるため、例えばシリカ層やポリスチレン層等からなる消光防止層を金属層16上に設けるようにすれば、このような問題を解消することができる。また、蛍光標識物質Fについて、例えば、蛍光色素をポリスチレン粒子やシリカ粒子に内包したものや、金コロイド表面をポリスチレンでコーティングしたもの等といった、消光防止性物質としても、金属消光の問題を解消することができる。
図2のデータ分析手段50は、蛍光検出手段40により検出された蛍光信号FSの経時変化に基づいて被検物質の分析を行うものである。具体的には、蛍光強度は蛍光標識物質Fの結合した量によって変化するため時間経過とともに蛍光強度は変化する。データ分析手段60は、複数の蛍光信号FSを所定期間(例えば5分間)において所定のサンプリング周期(例えば5秒周期)で取得し、蛍光強度の時間変化率を解析することにより検体内の被検物質について定量的な分析を行う(レート法)。そして分析結果は、モニタやプリンタ等からなる情報出力手段4から出力される。
なお、分析チップ10の本体11を構成する光透過性の樹脂(誘電体プレート)に光学的な歪があると、蛍光検出手段40において蛍光を検出する際、励起光Lの照射に起因してテスト領域TRで発生した蛍光のみならず、本体11の歪の部分で散乱した励起光までが蛍光検出手段40に入射してしまうようになり、正確な検出が行えなくなるおそれがある。また、基盤11aの各面において励起光が反射し、不要な反射光が光検出素子に入射してしまった場合にも、同様の問題を生じる。
このような問題を解消するため、本実施の形態の分析チップ10では、上蓋11bの上面に励起光カットフィルタ―60が一体的に設けられている。これにより蛍光検出手段40に対して励起光の迷光(不要な散乱光や反射光)が入射しないようにできるので、励起光の迷光(不要な散乱光や反射光)に影響されず、正確な検出を行わせることが可能となる。
また、分析チップ10に励起光カットフィルタ―60を設けることにより、励起光カットフィルタ―を持たない安価な蛍光検出装置を使用する場合でも、励起光の迷光(不要な散乱光や反射光)に影響されず、正確な検出を行わせることが可能となる。
さらに、分析チップ10の上面に励起光カットフィルタ―60を一体的に設けることにより、分析チップ10と蛍光検出手段40との間の空間に励起光カットフィルタ―を設けるような態様と比較して、蛍光検出手段40を構成する集光レンズや検出器等を分析チップ10のセンサ部により近接させることができるようになるので、集光レンズの開口数(NA)を大きくすることができる。従って、センサ部からの光学的応答をより多く検出することが可能となる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図7は本発明の第2の実施の形態の分析チップの模式図である。
本実施の形態の分析チップ10は、上記第1の実施の形態の分析チップと比較して、流路15のテスト領域TRおよびコントロール領域CRの底面のみならず内側面まで金属膜16を配した点が異なるものであり、これ以外の点は上記第1の実施の形態と同様であるため、同様の点についての説明は省略する。
金属膜は遮光性があるため、図7に示すように、流路15のテスト領域TRおよびコントロール領域CRの底面のみならず内側面にも金属膜16を配すれば、テスト領域TRの上部に到達する励起光の迷光をさらに低減できるので、より正確な検出を行わせることが可能となる。
また、金属膜16は励起光の迷光をほとんど反射するので、吸収が少なく、励起光の迷光が照射されても温度が上昇することがほとんどない。また、吸収されるわずかなエネルギーも金属内でのエネルギー散逸が速いので、温度上昇に寄与することはほとんどない。従って、流路15内の温度条件を一定に保つことができるので、正確な検出を行わせることが可能となる。
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図8は本発明の第3の実施の形態の分析チップである。
上記第1の実施の形態の分析チップが表面プラズモン増強蛍光法に対応したものであるのに対し、本実施の形態の分析チップは表面プラズモンによる電場増強を行わないエバネッセント蛍光法に対応したものである。これ以外の点は上記第1の実施の形態と同様であるため、同様の点についての説明は省略する。
図8に示すように、本実施の形態の分析チップ10´は、流路15内に金属膜16を設けていないものであるが、このような態様としても、上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、分析チップの上面全体に励起光カットフィルタ―を設けるようにしてもよい。このような態様とすることにより、チップの上面から出射した励起光の迷光が装置内壁面で反射して蛍光検出手段に入射するのを防止することができる。さらに、光照射手段からセンサ部への励起光の照射を妨げない範囲で、分析チップの側面や下面にも励起光カットフィルタ―を設けるようにすれば、より効果的である。
また、本発明の蛍光検出装置は、表面プラズモン増強蛍光法やエバネッセント蛍光法以外にも、光導波モード増強蛍光分光法等、種々の方式に対応させることが可能である。
また、上記以外にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行なってもよいのは勿論である。
1 蛍光検出装置
10 分析チップ
20 検体処理手段
30 光照射手段
40 蛍光検出手段
50 データ分析手段
60 励起光カットフィルタ―
CR コントロール領域
FS 蛍光信号
L 励起光
TR テスト領域

Claims (5)

  1. 分析チップの誘電体プレートの一面に形成されたセンサ部上に、被検出物質を含む試料液を接触させることにより、該試料液に含有される被検出物質の量に応じた量の光標識結合物質を前記センサ部上に結合させ、前記センサ部に全反射条件が得られる入射角度で励起光を照射することにより前記センサ部上に電場を発生せしめ、前記被検出物質の量に応じた量の光標識結合物質を前記電場により励起し、該励起に起因して生じる光を計測することにより、前記被検出物質の量を検出する蛍光検出方法に使用される分析チップであって、
    前記センサ部上に前記試料液を保持する試料液保持部と、
    該試料液保持部の上面を封止するための上蓋と、
    少なくとも前記試料液保持部の上部において前記上蓋に隣接して配された、前記励起に起因して生じる光は透過させるとともに前記励起光は遮断する励起光遮蔽手段とを備えたことを特徴とする分析チップ。
  2. 前記センサ部が、前記誘電体プレートに隣接する金属膜を含む積層構造からなるものであることを特徴とする請求項1記載の分析チップ。
  3. 前記金属膜が、前記試料液保持部の底面および内側面に配されていることを特徴とする請求項2記載の分析チップ。
  4. 前記センサ部が、消光防止層を含む積層構造からなるものであることを特徴とする請求項2または3記載の分析チップ。
  5. 前記励起光遮蔽手段が、前記励起に起因して生じる光は透過させるとともに前記励起光は遮断する励起光カットフィルタ―であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の分析チップ。
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