JP2012201853A - 蛍光体組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い無機EL蛍光体濃度と優れた塗工性を有する紫外線硬化可能な蛍光体組成物を提供する。
【解決手段】
無機EL蛍光体粒子、25℃における比誘電率が10〜30の範囲である(メタ)アクリル酸エステル誘導体、およびHLB値が7以上であるリン酸エステル系分散剤を含む蛍光体組成物。蛍光体粒子は硫化亜鉛を母体とする硫化亜鉛蛍光体粒子であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、分散型無機EL素子の発光層に用いる蛍光体組成物に関する。
分散型無機EL素子は無機EL蛍光体粒子(特許文献1〜4参照)を含む発光層を備える。当該発光層は、通常、無機EL蛍光体粒子を流動性のバインダーに分散させた蛍光体組成物を電極層または電極層上に形成された発光層に塗工して形成される。したがって蛍光体組成物には高い生産性を実現できる塗工性が要求される。また、分散型無機EL素子が均一かつ高い発光輝度を実現するためには、発光層中における無機EL蛍光体粒子が均一かつ高濃度に分散している必要がある。
有機溶媒を含有する蛍光体組成物が知られている(特許文献5および6参照)。該蛍光体組成物を塗工した後に有機溶媒を除去して発光層とする。当該蛍光体組成物の粘度は有機溶媒の量によって調整でき、高い塗工性の実現が容易である。また蛍光体組成物中の有機溶媒の量を増やすことによって無機EL蛍光体粒子の凝集を抑制できるので、保存安定性に優れる。しかしながら、かかる有機溶媒を含有する蛍光体組成物は、加熱を伴う有機溶媒の除去工程が必要であり製造工程が複雑になること、かかる有機溶媒の除去工程において発光層にボイドが発生したり、無機EL蛍光体粒子が凝集したり、バインダーの着色が起こる場合があること、さらには有機溶媒の使用、回収等によって製造コストが上がること等の問題がある。
一方、有機溶媒を含まない蛍光体組成物も知られている(特許文献7参照)。特許文献7には、(メタ)アクリル酸とシアノエチル化合物とのエステル化反応で得られる活性エネルギー線硬化可能な(メタ)アクリル酸エステル誘導体100質量部と、無機EL蛍光体粒子360質量部とを無溶媒で混合して得た蛍光体組成物が提案されている。当該蛍光体組成物は高圧水銀灯などによる紫外線照射で速やかに硬化することで発光層が形成できる。
特開2004−2867号公報 特開2005−132947号公報 特開2006−8806号公報 特開2006−131836号公報 特許第2719559号 特開2006−188705号公報 特許第2654490号
しかしながら、本発明者らが特許文献7に記載の方法を追試したところ、蛍光体組成物中の(メタ)アクリル酸エステル誘導体と無機EL蛍光体粒子とが分離しやすく、無機EL蛍光体粒子が均一に分散した発光層を形成することが困難な上、当該蛍光体組成物の粘度がスクリーン印刷に適さないため工業的な生産に不利であることが明らかとなった。
かかる状況を鑑み、本発明は、無機EL蛍光体粒子が均一かつ高濃度に分散しており、優れた塗工性を有し、活性エネルギー線による硬化によって発光層を形成できる蛍光体組成物を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、
(1)無機EL蛍光体粒子、25℃における比誘電率が10〜30の範囲である(メタ)アクリル酸エステル誘導体およびHLB値が7以上であるリン酸エステル系分散剤を含む蛍光体組成物;
(2)粘度調整剤をさらに含む、(1)の蛍光体組成物;
(3)光増感剤をさらに含む、(1)または(2)の蛍光体組成物;
(4)前記無機EL蛍光体粒子が硫化亜鉛を母体とする硫化亜鉛蛍光体粒子である(1)〜(3)のいずれかの蛍光体組成物;
(5)第一電極層または第一電極層の上に絶縁層を有する積層体を準備する準備工程、
前記第一電極層または積層体の絶縁層の上に、(1)〜(4)のいずれかの蛍光体組成物を塗工して塗工層を形成し、当該塗工層に活性エネルギー線を照射して硬化して発光層を形成する発光層形成工程、および
前記発光層の上に、第二電極層、または絶縁層と第二電極層とをこの順に形成する第二電極形成工程を備える、分散型無機EL素子の製造方法;および
(6)前記(5)の方法で製造された分散型無機EL素子;
である。
本発明により、優れた塗工性を有する硬化可能な蛍光体組成物およびかかる蛍光体組成物を用いた無機EL蛍光体粒子を提供できる。
分散型無機EL素子の断面図である。
[1.蛍光体組成物]
蛍光体組成物とは、無機EL蛍光体粒子を含む塗工可能なペースト状の組成物である。本発明の蛍光体組成物は、無機EL蛍光体粒子、25℃における比誘電率が10〜30の範囲である(メタ)アクリル酸エステル誘導体およびHLB値が7以上であるリン酸エステル系分散剤を含む。
(1)無機EL蛍光体粒子
本発明においては、公知の無機EL蛍光体粒子を用いることができる。このような無機EL蛍光体粒子は、焼成法(例えば特許文献1参照)、尿素溶融法(例えば特許文献2報参照)、噴霧熱分解法(例えば特許文献3参照)または水熱合成法(例えば特許文献4参照)等により製造できる。無機EL蛍光体粒子の形状については特に制限はない。
かかる無機EL蛍光体粒子として、入手の容易性、発光性等の観点から、硫化亜鉛蛍光体粒子が好ましい。硫化亜鉛蛍光体粒子とは、硫化亜鉛結晶、付活剤および共付活剤を含有する粒子であり、外部からのエネルギーを光に変換する物質からなる粒子である。
硫化亜鉛蛍光体粒子が含有する付活剤は、硫化亜鉛結晶の格子欠陥中に少量含まれ、キャリアを受け取り、励起されることで発光中心となる。付活剤の例には、銅、マンガン、銀、金等の遷移金属;セリウム、ユーロピウム、テルビウム等の希土類金属;が挙げられ、電場を印加することにより硫化亜鉛蛍光体粒子を配向させやすいという観点から、銅、金または希土類金属が好ましく、入手性などの観点から銅がより好ましい。硫化亜鉛蛍光体粒子における付活剤の含有率は所望する発光色により異なるが、硫化亜鉛蛍光体粒子に対し質量基準で、通常50〜50000ppm、好ましくは100〜30000ppmである。
硫化亜鉛蛍光体粒子が含有する共付活剤は、硫化亜鉛結晶の格子欠陥中に少量含まれ、付活剤が放出する電子を受け取る。共付活剤の例には、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン;アルミニウム、ガリウム等の金属;が挙げられ、このうち塩素が好ましい。共付活剤の量は付活剤1質量部に対して、通常0.2〜10質量部、好ましくは、0.3〜5質量部である。
硫化亜鉛蛍光体粒子の粒径は、取扱い性、生産の歩留まり等の経済性を考慮すると、通常、メジアン径が10〜30μmであることが好ましく、14〜27μmであることがより好ましい。
また、本発明で用いる無機EL蛍光体粒子は、シリカ、アルミナ、チタニアなどの金属酸化物でコーティングされていてもよい。
本発明の蛍光体組成物における無機EL蛍光体粒子の含有率は、高い発光輝度を得る上で、30〜90体積%(あるいは74〜98質量%)の範囲であることが好ましく、40〜80体積%(あるいは81〜96質量%)の範囲であることがより好ましく、50〜70体積%(あるいは86〜93質量%)の範囲であることがさらに好ましい。
(2)(メタ)アクリル酸エステル誘導体
本発明で用いる25℃における比誘電率が10〜30の(メタ)アクリル酸エステル誘導体は、本発明の蛍光体組成物の塗工性を高めるための流動性バインダーの役割を担い、本発明の蛍光体組成物に紫外線または電子線等の活性エネルギー線を照射した際に硬化して発光層の非流動性バインダーとなる。
なお、(メタ)アクリル酸エステル誘導体とは、(メタ)アクリル酸エステル(すなわちアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステル)または当該(メタ)アクリル酸エステルから誘導される化合物である。(メタ)アクリル酸エステルから誘導される化合物の例としては(メタ)アクリル酸アミドが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル誘導体の比誘電率が25℃における比誘電率が10〜30の範囲にあると、発光層としたときに発光する光を吸収しにくいので、分散型無機EL素子の発光輝度を高められる。誘電率は、2つの電極間に薄いシート状材料を挟んでコンデンサを形成する平行板コンデンサ法に準じて測定できる。
本発明で用いることのできる(メタ)アクリル酸エステル誘導体の例には、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、3−シアノプロピル(メタ)アクリレート等のシアノアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;2−(2−シアノエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−[2−(2−シアノエトキシ)エトキシ]エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(2−シアノエトキシ)プロピル(メタ)アクリレート等のシアノアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;N−N−ビス(2−シアノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチロール−N−シアノエチル(メタ)アクリルアミドなどのシアノアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アミド;ならびにこれらの混合物が含まれる。中でも、製造容易性、入手性、経済性を考慮すると、シアノアルキル基またはシアノアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
本発明の蛍光体組成物における(メタ)アクリル酸エステル誘導体の含有量は、無機EL蛍光体粒子100質量部に対して5〜40質量部が好ましく、10〜30質量部がより好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル誘導体の含有量が40質量部よりも多いと、蛍光体組成物における無機EL蛍光体粒子の含有率が低くなり、高い発光輝度を実現するのが困難になる。また5質量部よりも少ないと、塗工性に悪影響を与えるだけでなく、蛍光体組成物を発光層とした場合に電極と無機EL蛍光体層が剥離したり、無機EL蛍光体粒子が接触して抵抗が大きく増加する場合がある。
(3)リン酸エステル系分散剤
リン酸エステル系分散剤とは、蛍光体組成物中に無機EL蛍光体粒子を良好に分散させるための、リン酸エステルまたはその誘導体である。本発明ではHLB値が7以上であるリン酸エステル系分散剤を用いる。HLB(Hydrophile−Lipophile Balance)値は、水相と油相への親和性の程度を表す値である。HLB値は、グリフィン法によって、親水基の式量と分子量から下記式で決定される。
HLB値=20×(親水基の質量%)
すなわち、HLB値は0〜20の値であり、20に近づくほど親水性が増加する。本発明で用いるリン酸エステル系分散剤のHLB値は7以上である。また、本発明で用いるリン酸エステル系分散剤のHLB値は18以下であることが好ましい。
25℃における比誘電率が10〜30の(メタ)アクリル酸エステル誘導体は、無機EL蛍光体粒子との親和性が小さいため、無機EL蛍光体粒子の凝集が起こりやすく分散させにくいが、本発明においては、HLB値が7以上であるリン酸エステル系分散剤を用いることによって、無機EL蛍光体粒子を良好に分散できる。この機構は明確ではないが、リン酸エステル系分散剤が無機EL蛍光体粒子の表面に薄い膜を形成することで、無機EL蛍光体粒子と比誘電率が10〜30の(メタ)アクリル酸エステル誘導体との親和性が発現し、無機EL蛍光体粒子同士の凝集を抑制し、分散性を向上させるものと推定される。
このような効果を奏しやすくする観点から、本発明では、アルキル基等の疎水性炭化水素基とリン原子とが(ポリ)エチレングリコール基を介して結合されているリン酸エステル系分散剤、または(メタ)アクリル酸エステル基とリン原子とが(ポリ)メチレン基を介して結合されているリン酸エステル系分散剤が好ましい。
入手容易性等を考慮すると、以下の化学式で表されるリン酸エステル系分散剤が特に好ましい。
式(1)〜(3)において、Rは疎水性の分子量1000以下の脂肪族炭化水素基または芳香環を含む脂肪族炭化水素基である。疎水性とは極性を有さないことを意味する。このような官能基の具体例としては、カプリル基、ラウリル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基、およびリノリル基が挙げられる。
pは1〜22の整数であり、2〜10が好ましい。Mは水素原子またはアルカリ金属である。
式(4)において、Xは水素原子またはメチル基である。
nは1〜22の整数である。Mは水素原子またはアルカリ金属である。本発明においては、リン酸エステル系分散剤として、式(1)〜(4)の化合物を単独で使用しても、複数を混合して使用してもよい。
本発明の蛍光体組成物におけるリン酸エステル系分散剤の含有量は、無機EL蛍光体粒子100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、経済性、取扱性を考慮すると0.2〜5質量部がより好ましい。リン酸エステル系分散剤の含有量が0.1質量部よりも少ないと無機EL蛍光体粒子を分散させる効果が低くなり、20質量部より多いと(メタ)アクリル酸エステル誘導体の活性エネルギー線硬化を妨げるおそれがある。
(4)粘度調整剤
本発明の蛍光体組成物は、塗工性能を向上させる観点から粘度調整剤をさらに含んでいてもよい。使用できる粘度調整剤の例としては、シアノエチル化エチレンビニルアルコール共重合体、シアノエチル化ポリビニルアルコール共重合体、シアノエチル化ジヒドロキシポバール、シアノエチル化セルロース、シアノエチル化ハイドロキシエチルセルロース、シアノエチル化プルラン、シアノエチル化ジヒドロキシプルラン、シアノエチル化スターチ、シアノエチル化サッカロース、シアノエチル化アミロース、シアノエチル化ソルビトール、シアノエチル化ペンタエリスリトール、シアノエチル化マンニトール、シアノエチル化メチルグルコース、シアノエチル化トリメチロールプロパン、シアノエチル化グリセリン、シアノエチル化ジグリセリン、シアノエチル化チオグリコール等のシアノエチル化物;トリフルオロエチルビニルエーテル重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂;サクシノニトリル、ブタジエンアクリロニトリルゴム、フタロニトリル等のニトリル化合物;ポリビニルアルコール樹脂;ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール樹脂;エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂等が挙げられる。粘度調整剤の誘電率が過度に低いと組成物全体の誘電率が低くなり、分散型無機EL素子としたときの発光輝度が低下することがあるので、粘度調整剤の誘電率は、比較的高いことが好ましい。
粘度調整剤を添加する場合、その量は、(メタ)アクリル酸エステル誘導体100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
(5)その他の任意成分
本発明の蛍光体組成物は必要に応じて光増感剤をさらに含んでいてもよい。光増感剤の例には、ベンゾインイソプロピルエーテル、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(チバガイギー社製:イルガキュア−184)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製:ダロキュア1173)、ベンジルジメチルケタール(チバガイギー社製:イルガキュア−651)が含まれる。光増感剤を添加する場合、その量は、(メタ)アクリル酸エステル誘導体100質量部に対して0.5〜5質量部が好ましい。
本発明の蛍光体組成物は、さらに公知のフロー添加剤、消泡剤、または可塑剤を含んでいてもよい。
[2.蛍光体組成物の製造方法]
本発明の蛍光体組成物は、(メタ)アクリル酸エステル誘導体中に、無機EL蛍光体粒子およびリン酸エステル系分散剤、必要に応じてその他の成分を分散させることにより製造することが好ましい。分散は、ホモジナイザー、遊星型混練機、ロール混練機、超音波分散機等の公知の分散機または混練機を用いて行うことができる。ただし、分散においては無機EL蛍光体粒子が損傷しないように混練条件を調整する必要がある。
[3.分散型無機EL素子の製造方法]
本発明の蛍光体組成物を基材の上に塗工した後、硬化して発光層を調製することにより、分散型無機EL素子を製造できる。
具体的に分散型無機EL素子は、
第一電極層、または第一電極層の上に絶縁層を有する積層体を準備する準備工程、
前記第一電極層、または積層体の絶縁層の上に、本発明の蛍光体組成物を塗工して塗工層を形成し、当該塗工層に活性エネルギー線を照射して硬化して発光層を形成する発光層形成工程、および
前記発光層の上に、第二電極層、または絶縁層と第二電極層とをこの順に形成する第二電極層形成工程を備える方法で製造されることが好ましい。以下、各工程について説明する。
(1)準備工程
本工程では、第一電極層、または第一電極層の上に絶縁層を有する積層体を準備する。第一電極層は、公知の透明電極層または不透明な背面電極層であってよい。例えば、透明電極層としてITO電極層または表面にITO等の蒸着膜を有するポリマーフィルムを用いることができる。また背面電極層としては、銀ペーストを硬化させてなる電極層を用いることができる。
積層体は、第一電極層の上に絶縁層を形成してなる。絶縁層は、分散型無機EL素子において発光層の絶縁破壊を防止することを目的として設けられる層である。
絶縁層を構成する材料は、絶縁性が高く、かつ高い絶縁破壊電圧を有する材料であれば特に限定されず、無機材料および有機材料のいずれも使用できる。絶縁層を構成する材料としては、金属酸化物または金属窒化物が特に好ましい。金属酸化物または金属窒化物の具体例として、TiO、BaTiO、SrTiO、PbTiO、KNbO、PbNbO、Ta、BaTa、LiTaO、Y、Al、ZrO、AlON、ZnS、SiO、SiON、HfO、AlN等が挙げられる。
透明電極板に隣接する絶縁層は、透明であることが好ましい。かかる透明絶縁層を構成する材料は、透明性および絶縁性が高く、かつ高い絶縁破壊電圧を有する材料であれば特に限定されず、無機材料および有機材料のいずれも使用できる。透明絶縁層を構成する材料としては、SiO、SiON、Al、HfO、AlN等の無機材料や光硬化性樹脂等の有機材料が挙げられるが、化学的安定性の観点から無機材料が好ましく、SiO、SiON、Alがより好ましい。透明絶縁層における、波長400〜800nmの光線の透過率は、通常は70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
絶縁層の形成方法は特に限定されない。例えば、無機材料を前記電極板または後述する流動性マトリックス層の表面にスパッタ、化学気相成長(CVD)、真空蒸着する方法や、有機材料を前記電極板または流動性マトリックス層の表面にスクリーン印刷、スピンコートにより塗工した後、光照射や熱処理によって硬化させる方法により絶縁層を形成できる。絶縁層の厚みは5〜50μmが好ましい。
(2)発光層形成工程
本工程では、第一電極層または積層体の絶縁層の上に本発明の蛍光体組成物を塗工して塗工層を形成した後、当該塗工層に活性エネルギー線を照射して硬化して発光層を形成する。塗工層の厚みは、硬化後の発光層厚みが5〜75μmとなるような厚さであることが好ましい。活性エネルギー線としては、電子線、紫外線を照射でき、これらは単独でまたは併用して照射できる。併用する場合は、紫外線、電子線の順で照射してよい。塗工膜に照射される活性エネルギー線の量は、電子線の場合は1〜10メガラッドが好ましく、紫外線の場合は1,000〜10,000mJ/cmが好ましい。
(3)第二電極層形成工程
本工程では、発光層の上に第二電極層または絶縁層と第二電極層とをこの順に形成する。第二電極層は、第一電極層と同様に形成できる。また、絶縁層も既に述べたとおりに形成してよい。
本製造方法においては、第一電極層および第二電極層の選択により、得られる分散型無機EL素子の光取出タイプを選択できる。すなわち、第一電極層および第二電極層をともに透明電極層とする場合、両面から光を取り出すことができる。第一電極層および第二電極層の一方を透明電極層、他方を背面電極層とすると透明電極層側から光を取り出すことができる。第一電極層および第二電極層を背面電極層とすると側面から光を取り出すことができる。
本工程の後に、さらに、リード線を付設する工程、および保護を目的としてポリマーフィルム等で当該分散型無機EL素子にカバー層または背面基板等を設けてもよい。
(4)分散型無機EL素子
このようにして得られた分散型無機EL素子の概要を図1に示す。図1中、10は発光層、20は絶縁層、30は透明電極層、32は背面電極層、40はカバー層、42は背面基板である。分散型無機EL素子は、発光層中に高濃度の無機EL蛍光体粒子が凝集せずに良好に分散しているので高発光輝度を実現できる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明をさらに説明するが、限定されない。
[製造例1]
ブチラール樹脂(商品名:B30T 株式会社クラレ製)5.3gと、電子線により硬化可能なモノマーである2−ヒドロキシエチルアクリレート(和光純薬工業株式会社)61.8g、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(商品名:アロニックスM408 東亞合成株式会社製)3.2g、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート(商品名:M600A 共栄社化学株式会社)35gとをよく混合し、さらに光増感剤(商品名:イルガキュア−184 チバガイギー社製)1gを添加して撹拌混合して、モノマーペースト(I)を製造した。90μmのギャップを設けたITOガラス間に前記モノマーペーストを封入し、LCRメーター(製品名:6440A Wayne Kerr社製)を用いて比誘電率を算出した。さらに、2000mJ/cmの紫外線を3分間照射することで硬化し、硬化後の比誘電率を算出した。結果を表1に示す。
[製造例2]
ブチラール樹脂(商品名:B30T 株式会社クラレ製)5.3gと、電子線により硬化可能なモノマーである2−ヒドロキシエチルアクリレート(和光純薬工業株式会社製)95g、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(商品名:アロニックスM408 東亞合成株式会社製)5gとを混合し、さらに光増感剤(商品名:イルガキュア−184 チバガイギー社製)を1g添加し撹拌混合して、モノマーペースト(II)を製造した。製造例1と同様にして、モノマーペーストおよびその硬化物の比誘電率を算出した。結果を表1に示す。
[製造例3]
シアノエチル化ポバール樹脂(商品名:CR−V 信越化学工業株製)8.1gと、電子線により硬化可能なモノマーである2−(2−シアノエトキシ)エチルアクリレート(商品名:CEEA 株式会社ケミカルソフト製)95g、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(商品名:アロニックスM408 東亞合成株式会社製)5gとをよく混合し、さらに光増感剤(商品名:イルガキュア−184 チバガイギー社製)を1g添加し撹拌混合して、モノマーペースト(III)を製造した。製造例1と同様にして、モノマーペーストおよびその硬化物の比誘電率を算出した。結果を表1に示す。
[実施例1]
硫化亜鉛系無機EL蛍光体粒子(商品名:813 GTP社製)100gをモノマーペースト(I)21g、リン酸エステル系分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸ナトリウム、商品名:フォスファノールRD−715 東邦化学工業株式会社製、HLB値14.0)1gに混合して分散し、次いで自転・公転ミキサー(製品名:あわとり錬太郎 株式会社シンキー製)を用いて脱泡した。得られた蛍光体組成物はペースト状であった。Thermo−HAAKE社製のレオメーター(製品名:HAAKE MARS)を用いて、10−3〜10s−1の各せん断速度における粘度を測定した。蛍光体組成物の組成、物性を表2に示す。
[実施例2]
硫化亜鉛系無機EL蛍光体粒子(商品名:728 GTP社製)100gをモノマーペースト(II)17g、リン酸エステル系分散剤(リン酸2−(メタクリロイルオキシ)エチル、商品名:PPME 東邦化学工業株式会社製、HLB値7.5)1gと混合して分散し、実施例1と同様にして脱泡した。得られた蛍光体組成物はペースト状であった。実施例1と同様にして蛍光体組成物の粘度を測定した。結果を表2に示す。
[実施例3]
硫化亜鉛系無機EL蛍光体粒子(商品名:813 GTP社製)100gをモノマーペースト(III)17g、リン酸エステル系分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸ナトリウム、商品名:フォスファノールRD−715 東邦化学工業株式会社製、HLB値14.0)1gと混合して分散し、実施例1と同様にして脱泡した。蛍光体組成物はペースト状であった。実施例1と同様にして蛍光体組成物の粘度を測定した。結果を表2に示す。
[比較例1]
実施例1において、リン酸エステル系分散剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様に蛍光体組成物を製造して評価した。
[比較例2]
実施例2において、リン酸エステル系分散剤を添加しなかった以外は、実施例2と同様に蛍光体組成物を製造して評価した。
[比較例3]
実施例3において、リン酸エステル系分散剤を添加しなかった以外は、実施例3と同様に蛍光体組成物を製造して評価した。
[比較例4]
実施例2において、HLB値が5.2のリン酸エステル系分散剤(商品名:フォスファノール GF−185、東邦化学株式会社製)を使用した以外は、実施例2と同様に蛍光体組成物を製造して評価した。
以上から、本発明の蛍光体組成物は、無機EL蛍光体粒子の分散性が良好であり、かつ塗工性も優れていることが明らかである。
[実施例4]
実施例1で得られた蛍光体組成物を用いて、ITO/PETフィルム(商品名:KB300N−125 尾池工業株式会社製)のITO膜上に、スクリーン版(150メッシュ、乳剤:25μm)を用いてスクリーン印刷した。得られた塗工層にグローボックス中で、ブラックライトを用いてITO側(下面)から紫外線を45〜60分間照射し、樹脂を硬化し、50μmの発光層を形成した。
次いで、BaTiO(商品名:BT−03 堺化学工業製、粒径300nm)63gと溶媒(γ−ブチロラクトン/酢酸カルビトール=5/1:質量比)35.6gとの混合液に超音波ホモジナイザー処理を60分間施した後、バインダー樹脂としてシアノ系樹脂CR−S(商品名:CR−S 信越化学株式会社製)7.9g、シアノ系樹脂CR−V(商品名:CR−V 信越化学株式会社製)2.3g、およびシアノ系樹脂CR−U(商品名:CR−U 信越化学株式会社製)2.6gを添加して誘電ペーストを形成した。スクリーン版(200メッシュ、乳剤:25μm)を用いて誘電ペーストを前記発光層表面に印刷し塗工膜を形成した。当該塗工膜を80℃で20分間乾燥した後、さらに400Paの減圧条件下、80℃で20分間乾燥した。この操作を2回繰り返し、20μmの誘電層を形成した。
続いて、誘電層の上面に、スクリーン版(150メッシュ、乳剤:25μm)を用いて電極用の銀ペースト(商品名:461SS アチソン社製)を印刷し塗工膜を形成した。この塗工膜を100℃で10分間かけて乾燥し背面電極を形成した。
このようにして得た分散型無機EL素子に、200V、1kHzにて交流電圧を印加し、発光性を評価した。結果を表3に示す。
[実施例5]
実施例4において、実施例3の蛍光体組成物を用いた以外は、実施例4と同様に分散型無機EL素子を製造し、評価した。結果を表3に示す。
以上から、本発明の蛍光体組成物は、高輝度の分散型無機EL素子を与えることが明らかである。
10 発光層
20 絶縁層
30 透明電極層
32 背面電極層
40 カバー層
42 背面基板

Claims (6)

  1. 無機EL蛍光体粒子、25℃における比誘電率が10〜30の範囲である(メタ)アクリル酸エステル誘導体およびHLB値が7以上であるリン酸エステル系分散剤を含む、蛍光体組成物。
  2. 粘度調整剤をさらに含む、請求項1に記載の蛍光体組成物。
  3. 光増感剤をさらに含む、請求項1または2に記載の蛍光体組成物。
  4. 前記無機EL蛍光体粒子が、硫化亜鉛を母体とする硫化亜鉛蛍光体粒子である請求項1〜3のいずれかに記載の蛍光体組成物。
  5. 第一電極層または第一電極層の上に絶縁層を有する積層体を準備する準備工程、
    前記第一電極層または積層体の絶縁層の上に、請求項1〜4のいずれかに記載の蛍光体組成物を塗工して塗工層を形成し、当該塗工層に活性エネルギー線を照射することにより硬化して発光層を形成する発光層形成工程、および
    前記発光層の上に、第二電極層、または絶縁層と第二電極層とをこの順に形成する第二電極形成工程を備える、分散型無機EL素子の製造方法。
  6. 請求項5に記載の方法で製造された分散型無機EL素子。
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