JP2012200823A - メタルシール部の加工方法および加工装置 - Google Patents

メタルシール部の加工方法および加工装置 Download PDF

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Abstract

【課題】簡易な方法で加工精度を高め、真円度および面粗度を向上させて油密性を確保するとともに、装置の簡素化により、生産コストを抑制できるメタルシール部の加工方法および加工装置を実現する。
【解決手段】ボデーB1に設けたテーパ面状のボデーシートB2に、ニードルNの先端に形成したテーパ面状のシート面N3を着座させるメタルシール部の加工を、ボデーB1の中心軸に対してニードルNの中心軸を傾斜させ、ボデーシートB2中心に対してシート面N3中心を偏芯配置して行なう。シート面N3とボデーシートB2の間に遊離砥粒を介在させた状態で、ニードルNに自転運動と、ボデーB1の中心軸周りに偏芯回転させるすりこぎ運動を与えることにより、シート面N3とボデーシートB2を同時に仕上加工する。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、内燃機関の燃料噴射装置や燃料供給装置に用いられる燃料噴射弁、圧力制御弁または流量制御弁等のように、テーパ形状のシート面を有する2つの部材を密着させるメタルシール部において、シート面を仕上加工するための加工方法および加工装置に関する。
一例として、燃料噴射弁のメタルシール部構造を、図8(a)に示す。図中に拡大して示すように、燃料噴射弁のノズル部は、ボデー101の先端部内周に、テーパ状のボデーシート面102を有しており、ニードル103先端のテーパ状のシート面104のなす角度を、ボデーシート面102のなす角度よりも大とし傾斜を緩やかにすることで、ニードルエッジ105がボデーシート面102に着座してシールする構成となっている。
このメタルシール部構造は、ニードルエッジ105が当接する位置での線状シールとなるために、シート面の真円度と面粗度が油密性に大きく影響する。そこで、一般に、所定のテーパ形状に加工した後、さらにシート表面の仕上加工を行って油密性を高めている。メタルシール部の加工方法として、例えば、特許文献1には、ノズルボデーの弁座面と
ニードル弁先端の着座面との間にラップ材を介在させ、両者のうちいずれか一方を回転させるとともに、他方を回転しないように把持して摺合わせる方法が開示されている。
また、特許文献2には、円錐状砥石を使用して、ボデーの弁座に着座するニードル先端のシート部を形成する加工方法が開示されている。特許文献2の方法を、図9(a)、(b)に示すと、ニードル201は、フレキシブルチャック202に上端が保持され、ガイド203に案内されて、先端が円錐状砥石204に対向している。円錐状砥石204は、ニードル201のシート面205に対応する円錐面206を有し、スピンドル207を回転させてニードル201に回転運動を与え、円錐面206の凸部でシート面205の凸部を除去する。また、加工中にニードル201と円錐状砥石204を離間させて、接触状態を変えることにより削り残しを少なくしている。
特開昭60−242956号公報 特開平8−105370号公報
近年、車両から排出されるHC量が問題となっており、規制がより厳しくなる傾向にある。特に、燃料圧力が高圧となる燃料噴射装置では、機関停止中に燃料噴射ノズルから燃料が漏れ出るおそれがあり、メタルシール部の油密性をさらに高めて、燃料漏れ量を最小限とすることが要求されている。燃料噴射装置の各部において圧力制御や流量制御に用いられる制御弁についても、制御性を向上させるためにメタルシール部の加工精度を向上させることが望まれている。
しかしながら、特許文献1に開示される方法は、実機のニードルとノズルボデーの組み合わせにおいて予め摺合わせを行い、当接する両シート面をなじませる効果はあるものの、加工面の真円度向上に十分な効果は得られない。このため、実機以外の組合せにおいて、油密性要求を満足させることは難しい。また、図8(a)のように、ニードルエッジ105がボデーシート面102に圧接した状態で加工されるため、図8(b)のように、当接位置が削られて、ボデーシート面102に段差ができやすい。この場合、何らかの理由で段差にニードルが乗り上げ、本来のシート位置からずれると、隙間が形成されて燃料漏れを生じるおそれがある。
特許文献2に開示される方法は、テーパ形状の研削面を有する総型砥石を、メタルシール部のテーパ面に同軸で押し付ける精密仕上加工(シートホーニング)に関する。この方法は、図9(a)、(b)におけるニードル201と円錐状砥石204の同軸度が、加工精度に大きく影響するために、高精度な位置決め制御が必要で、装置構成が大掛かりになりやすい。また、円錐状砥石204による加工では、加工位置が一定であり、加工が進行して円錐面206の凸部が磨耗すると、それ以上真円度や面粗度が向上しにくくなる。特許文献2の方法では、加工中にニードル201を離間させニードル201を離間させて接触位置を変えることで対応しているが、加工に手間がかかる上、真円度や面粗度の改善にも限界がある。
さらに、特許文献2の方法では、ニードル用とボデー用の総型砥石をそれぞれ用意して、別々に加工する必要がある。例えば、シートホーニング用の加工装置では、ノズルボデーを加工対象とする場合、ワークとなるノズルボデーを保持するワーク保持コレットを台座上に固定し、その上方に、シート加工用の砥石を対向配置する。砥石は、モータを備える砥石軸の先端に固定され、砥石位置を任意に調整可能な高精度ステージを使用して、ワークとの同軸度を確保し(例えば、同軸1μm以下)、モータを高速回転させて(例えば、回転数20000rpm)、加工を行う。また、砥石の円錐面を成形するための角度可変なドレッサやドレッサ駆動用の高速回転モータを付設している。
このように、従来の加工方法では、メタルシール部の加工精度が不十分であるか、あるいは、高度な位置決め機構や砥石のドレッサを含む大型装置が必要となり、生産コストが増大しやすい。そこで、本発明の目的は、より簡易な方法でメタルシール部の加工精度を高め、真円度および面粗度をさらに向上させることが可能であり、油密性を確保して燃料漏れ等を防止し、生産コストを抑制できるメタルシール部の加工方法および加工装置を実現することにある。
本発明の請求項1に記載の発明は、ボデー部材に設けた第1のテーパ面に、軸部材の先端に形成した第2のテーパ面を当接させるメタルシール部の加工方法であって、上記ボデー部材の中心軸に対して上記軸部材の中心軸を傾斜させるとともに、上記第1のテーパ面中心に対して上記第2のテーパ面中心を偏芯させて配置し、上記第2のテーパ面と上記第1のテーパ面の間に遊離砥粒を介在させた状態で、上記軸部材をその中心軸周りに回転させる自転運動と、上記ボデー部材の中心軸周りに偏芯回転させるすりこぎ運動を与えることにより、上記第1のテーパ面および上記第2のテーパ面の仕上加工を行うことを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の発明は、ボデー部材に設けた第1のテーパ面に、軸部材の先端に形成した第2のテーパ面を当接させるメタルシール部の加工方法であって、上記ボデー部材を加工対象とし、上記軸部材と同一形状の第2のテーパ面を有する加工用軸部材を用いて、上記ボデー部材の中心軸に対して上記加工用軸部材の中心軸を傾斜させるとともに、上記第1のテーパ面中心に対して上記第2のテーパ面中心を偏芯させて配置し、上記第1のテーパ面と上記第2のテーパ面の間に砥粒を介在させた状態で、上記加工用軸部材をその中心軸周りに回転させる自転運動と、上記ボデー部材の中心軸周りに偏芯回転させるすりこぎ運動を与えることにより、上記第1のテーパ面の仕上加工を行うことを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の発明は、ボデー部材に設けた第1のテーパ面に、軸部材の先端に形成した第2のテーパ面を当接させるメタルシール部の加工方法であって、上記軸部材を加工対象とし、上記ボデー部材と同一形状の第1のテーパ面を有する加工用ボデー部材を用いて、上記加工用ボデー部材の中心軸に対して上記軸部材の中心軸を傾斜させるとともに、上記第1のテーパ面中心に対して上記第2のテーパ面中心を偏芯させて配置し、上記第1のテーパ面と上記第2のテーパ面の間に砥粒を介在させた状態で、上記軸部材をその中心軸周りに回転させる自転運動と、上記加工用ボデー部材の中心軸周りに偏芯回転させるすりこぎ運動を与えることにより、上記第2のテーパ面の仕上加工を行うことを特徴とする。
本発明の請求項4に記載の発明は、上記砥粒を、上記第1のテーパ面と第2のテーパ面の間に介在させた遊離砥粒とする。また、本発明の請求項5に記載の発明は、上記砥粒を、上記加工用ボデー部材の第1のテーパ面、または上記加工用軸部材の第2のテーパ面に埋設した砥粒とする。
本発明の請求項6に記載の発明は、上記ボデー部材または上記加工用ボデー部材の上記第1のテーパ面と、上記軸部材または上記加工用軸部材の上記第2のテーパ面のシート角度の差を、角度差αとし、上記ボデー部材または上記加工用ボデー部材の中心軸と、上記軸部材または上記加工用軸部材の中心軸とのなす角度を、偏芯角度βとした時に、上記偏芯角度βが上記角度差αより小さくなるように設定する。
本発明の請求項7に記載の発明は、上記偏芯角度βが、上記ボデー部材と上記軸部材の組付け後の上記軸部材倒れ角度範囲より大きくなるように設定する。
本発明の請求項8に記載の発明は、ボデー部材に設けた第1のテーパ面に、軸部材の先端に形成した第2のテーパ面を当接させるメタルシール部の加工を行なう加工装置であって、
上記ボデー部材を位置決め保持するボデー保持部と、
上記軸部材を上記ボデー部材の中心軸に対して傾斜させ上記第1のテーパ面中心に対して上記第2のテーパ面中心を偏芯させた状態で支持するボール部材と、該ボール部材を上記ボデー部材の中心軸周りに偏芯回転させる回転部材を有し、上記軸部材にすりこぎ運動を与えるすりこぎ運動伝達部と、
上記軸部材に装着される保持部材と、該保持部材と一体的に上記軸部材をその中心軸周りに回転させる回転部材を有し、上記軸部材に自転運動を与える自転運動伝達部と、を備えることを特徴とする。
本発明の請求項9に記載の発明は、上記第1のテーパ面が上記ボデー部材に設けたテーパ面状の座面であり、該座面に、上記第2のテーパ面であり上記軸部材となる弁部材の先端に形成したテーパ面状のシート面を着座させてメタルシールする。
本発明の請求項1の方法は、メタルシール部の軸部材とボデー部材を組み合わせ、軸部材に自転運動とすりこぎ運動を与えながら、第1のテーパ面と第2のテーパ面の間に介在させた遊離砥粒が当接面の凸部を削る動作を繰り返す。すりこぎ運動により、第1のテーパ面と第2のテーパ面の当接位置が固定されず、円周方向と軸方向の動作を行なうことで、加工範囲を広くし、かつ均一に加工することができる。さらに、第1のテーパ面と第2のテーパ面の間に遊離砥粒が入りやすくなり、加工を促進する。これにより、真円度と面粗度を向上させる効果が得られ、簡易な方法で加工精度を大きく向上させることができる。
したがって、燃料噴射弁のノズル部の加工等に適用されて、従来より油密性を高めることができる。また、軸部材とボデー部材を、同時に仕上加工することができるので、それぞれの形状に合わせた総型砥石が不要で、加工時間も短縮できる。しかも、加工時の同軸度を従来のように高精度に設定する必要がなく、砥石の位置決め機構や砥石成形用のドレッサ等を備える大掛かりな装置が不要となるので、製作コストを大幅に削減できる。
本発明の請求項2に記載の方法は、メタルシール部のボデー部材の加工を、軸部材と略同一形状の加工用軸部材を用いて行なう。本発明の加工方法は、軸部材およびボデー部材のそれぞれについて、真円度および面粗度を向上させる効果があるので、その一方、例えばボデー部材のみを加工対象とすることもできる。その場合は、他方を専用の加工用軸部材とすることで、効率良い加工が可能になる。
また、請求項3に記載の方法は、メタルシール部の軸部材の加工を、ボデー部材と略同一形状の加工用ボデー部材を用いて行なう。同様に、軸部材のみを加工対象とし、専用の加工用ボデー部材を用いることもでき、効率良い加工が可能になる。
請求項4に記載の方法は、請求項2、3において、第1のテーパ面と第2のテーパ面の間に遊離砥粒を介在させることで、容易に第1のテーパ面または第2のテーパ面を加工することができる。また、砥粒を加工用軸部材または加工用ボデー部材と一体化したものを使用することもでき、同様の効果が得られる。
本発明の請求項6に記載の方法は、ボデー部材に対する軸部材の偏芯角度βを、両部材のテーパ面のシート角度差αよりも小さくするので、軸部材の第2のテーパ面が加工時にボデー部材の第1のテーパ面から浮き上がることがない。そして、第2のテーパ面の全周が第1のテーパ面に当接した状態で仕上加工がなされるので、加工面の全体を均一に加工することができる。
本発明の請求項7に記載の方法は、偏芯角度βを、ボデー部材と軸部材の組付け後に想定される軸部材の倒れ角度範囲より大きくするので、ボデー部材の着座範囲より広い範囲を確実に加工することができる。
本発明の請求項8に記載の装置は、ボデー保持部によってボデー部材を保持した状態で、すりこぎ運動伝達部のボール部材によって軸部材の位置決めを行い、この状態で、回転部材によりボール部材を介して、軸部材にすりこぎ運動を与える。同時に、自転運動伝達部の回転部材により保持部材を介して、軸部材に自転運動を与えることができるので、これら複合動作により、簡易な構成で効果的にメタルシール部の仕上加工ができる。
本発明の請求項9に記載の発明のように、好適には、ボデー部材に設けたテーパ面状の座面に、弁部材の先端に形成したテーパ面状のシート面を着座させてメタルシールする構成に適用されると、加工精度を大きく向上させ、弁部のシール性を高めるために有効である。
(a)は本発明の加工方法を説明するための加工装置の概略構造図、(b)は(a)の部分拡大図、(c)は加工方法を説明するためのボデー展開図である。 (a)は本発明の加工装置の全体構成図、(b)は(a)のA−A矢視図である。である。 (a)は本発明が適用される燃料噴射弁の全体構成を示す縦断面図、(b)はニードルの全体構成図および一部拡大図、(c)はボデーの全体構成図および一部拡大図である。 (a)、(b)は偏心角度βとシート角度差αの関係を表す図、(c)はシート角度差αを説明するための図である。 (a)はニードルとボデーの位置関係を表す図、(b)は偏心角度βの設定範囲を説明するための図である。 (a)は本発明の効果を説明するためのノズル先端部の概略図、(b)は従来の加工方法を説明するための図、(c)は本発明による加工位置を説明するためのノズル先端部の拡大断面図、(d)は本発明の効果を説明するためのボデーシートの概略図である。 (a)は本発明方法により加工したボデーのシート表面形状を示す図、(b)は本発明方法により加工したニードルのシート表面形状を示す図である。 (a)は燃料噴射弁のノズル部構成を説明するための部分拡大断面図、(b)は従来の加工方法によるボデー加工面の状態を説明するための図である。 (a)は従来の加工方法を説明するための加工装置の概略構造図、(b)は(a)の部分拡大図である。
以下、本発明の具体的な実施形態を、図面により詳細に説明する。図1は、本発明の加工方法を説明するための装置概略図であり、図2は、本発明の加工方法を実現するための加工装置の全体構成図であり、図3は、本発明の加工対象となるメタルシール部として、ガソリンエンジン用燃料噴射弁Iのノズル部構成を示す図である。まず、図3により本発明方法が適用される燃料噴射弁Iのメタルシール部について説明する。図3(a)において、燃料噴射弁Iは、筒状ハウジングHの下端部に固定した筒状部材H1内に、軸部材(弁部材)としてのニードルNを摺動可能に保持し、筒状部材H1の下端部に、ボデー部材としてのボデーBを固定して、燃料噴射ノズルを形成している。
ボデーBは概略筒状で、その筒内にニードルNの先端部(図の下端部)が挿通保持されている。ニードルNの基端部(図の上端部)外周には、筒状の電磁コイルH2が配設されており、ハウジングHの上端部外周に突設したコネクタH3を介して外部の通電制御装置に接続される。ハウジングHの筒内は燃料流路となっており、外部の燃料供給通路から、上端開口部に装着されるフィルタ部材Fを通過して、燃料が内部に流入する。
図3(b)に示すように、筒状のニードルNは、内部をハウジングHの筒内に連通する燃料流路としており、下端部筒壁に設けた複数の開口N1を介して、ボデーB内空間と連通している。ニードルNの上端部は、やや肉厚の大径部N2となり、筒状部材H1に対して摺動可能に配置されてニードルNを位置決め保持している。ニードルNの先端部外周面は、第2のテーパ面でありシート面N3となるもので、下方へ向けて縮径するテーパ面状に加工されている。
一方、図3(c)に示すように、ボデーBは、下端部に噴孔プレートB1が溶接固定され、その直上の下端内周面を、第1のテーパ面であり座面となるボデーシートB2として、下方へ向けて縮径するテーパ面状に加工している。図3(a)において、ニードルNは上端側に配置されるスプリングH4によって下方に付勢され、先端のシート面N3が、ボデーシートB2に着座して、燃料流路を閉鎖するようになっている。電磁コイルH2に通電すると、ニードルNがスプリングH4のばね力に抗して上方に吸引駆動され、先端のシート面N3が、ボデーシートB2から離座して、燃料が噴射される。
この時、図1(b)に示すように、ニードルNのシート面N3とボデーBのボデーシートB2は、テーパ面の角度に差を持たせてあり(シート角度差:α)、ニードルNのシート面N3を、ボデーシートB2に対して傾斜がわずかに緩やかとなるように設定している。これにより、ニードルNのシート面N3先端側において、ボデーシートB2との間に隙間が形成され、シート面N3上端側のエッジ部N4が、ボデーシートB2に着座する。すなわち、ニードルNのシート面N3は、エッジ部N4の全周がボデーシートB2に当接して、円環状のメタルシール部を形成する。
このメタルシール部からの燃料漏れを防止するには、エッジ部N4近傍のシート面N3と、ボデーシートB2のエッジ部N4着座範囲の加工精度を高める必要がある。従来、メタルシール部の加工は、例えば、ニードルNのシート面N3とボデーBのボデーシートB2を、予め所定のテーパ形状に研削加工した後、さらにシート位置の仕上加工を行っているが、上述したように、総型砥石によるシートホーニングは装置が大型となり、真円度や面粗度の向上にも限界がある。そこで本発明は、ニードルNのシート面N3とボデーBのボデーシートB2の仕上加工を行うための、新たな方法を提案するものである。
図1(a)により本発明の加工方法の基本的な概念と、加工装置の基本構造について説明する。図1(a)において、ボデーBは、図示しないボデー保持部にて位置決め保持されるようになっており、ボデーBの筒内に上方からニードルNが挿通されている。本発明の方法では、ニードルNを、その中心軸がボデーBの中心軸に対して傾斜するように、かつ、ボデーシートB2の中心に対してシート面N3が偏芯するように配置する。ニードルNは、上方に配置したすりこぎ運動伝達装置1により、偏芯した状態でボデーB1に押し付けられ、ボデーシートB2にシート面N3の全周を当接させている。この時、図1(c)にボデーBの展開図を示すように、ニードルNのシート面N3とボデーシートB2との当接形状は、ボデーBの中心軸に対して偏芯する楕円形状となる。
すりこぎ運動伝達装置1は、ニードルNにすりこぎ運動を付与するもので、その上端部を支持して傾斜状態を保持し、ボデーシートB2にシート面N3を当接させながら、偏芯回転させる。すりこぎ運動伝達装置1は、ボデーB1と同軸に位置する円盤状の回転部材11と、回転部材11の下端面に設けた円錐状の凹部12と、凹部12内に保持され、ニードルNの上端開口部に当接する鋼球からなるボール部材13と、回転部材11を下方に付勢しニードルNに定荷重を付与するスプリング部材14を有する。回転部材11は、図示しない駆動装置によってその軸周りに回転可能となっている。凹部12は、回転部材11となる円盤の中心より外方にずれた位置に形成され、凹部12に保持されるボール部材13が、スプリング部材14の付勢力によりニードルNの上端面中央に押し付けられる。
これにより、ニードルN上端面におけるボデーB1からの偏芯量Fを一定に保持し、シート面N3とボデーシートB2の当接を維持している。なお、ニードルNの中心軸とボデーB1の中心軸がなす角度を、偏芯角度βとする時、図1(b)に示すシート角度差αに対して、偏芯角度β<シート角度差αとなるように設定するのがよい。偏芯角度βをシート角度差αより小さくすることで、加工時のニードルNの浮きを抑制し、加工性を向上させることができる。この偏芯角度βの設定については、後述する。
この時、回転部材11を自転させると、凹部12に保持されるボール部材13は、回転部材11の軸周りに偏芯して回転することになる。これに追従して、ニードルNの上端面が円運動するとともに、ニードルNの先端側においても、シート面N3がボデーBの中心軸に対して偏芯回転する。つまり、ニードルNは、ニードルNの中心軸とボデーB1の中心軸との交点を回転中心として、すりこぎ運動することが可能となる。また、ニードルNは、ボール部材13に対して固定されないので、自身の中心軸回りに自由に回転することができる。
そこで、本発明方法では、メタルシール部となるニードルNのシート面N3とボデーシートB2の間に、遊離砥粒を介在させ、図1(a)のように、ニードルNとボデーBを組合せる。そして、一定時間、定荷重をかけながらニードルNを自転運動させるとともに、回転部材11を回転させてすりこぎ運動させ、遊離砥粒によって、シート面N3とボデーシートB2の当接面を研磨する。図1(c)は、すりこぎ運動によってニードルNが円運動し、シート面N3とボデーシートB2の当接位置が、楕円形状を保持しながら移動していく様子を示している。
このように、本発明方法によれば、ニードルNのすりこぎ運動により、接触点が固定されることなく、より広い範囲を均一に加工することが可能となる。また、自転運動を組み合わせることで、遊離砥粒による加工が促進され、これらの組み合わせにより真円度および面粗度を従来より向上させて、所望の加工精度を達成可能であることが判明した。自転運動の方向は、特に限定されないが、好適には、図1(c)に示すように、すりこぎ運動1による回転の方向と逆方向とすることが望ましい。このようにすると、加工の際に遊離砥粒がメタルシール部に入り込みやすく、遊離砥粒による加工の進行に有利になると推測される。
図2は、本発明の加工装置をより具体的にしたラッピング装置2の構成例である。図2(a)、(b)において、ラッピング装置2は、ボデーBを台座21上に保持固定するボデー保持部3と、ボデーBに対してニードルNを所定の偏心角度βで支持し、すりこぎ運動を付与するすりこぎ運動伝達部4と、自転運動を付与する自転運動伝達部5を備えている。
ボデー保持部3は、台座21上に載置されるボデー位置決め治具31と、ボデー受け治具32およびスプリング33を有する。ボデー位置決め治具31は、円筒体の上端から内方に突出するフランジ状の把持部34にてボデーBの上端部外周を保持しており、ボデーBの下端面は、ボデー位置決め治具31内に収容される凸型円盤状のボデー受け治具32上に支持されている。スプリング33は、ボデー受け治具32と台座21の間に介設されて、ボデーBを上方に付勢している。
すりこぎ運動伝達部4は、すりこぎ運動の駆動力を発生するすりこぎ運動動力モータ41と、回転部材としてのすりこぎ運動伝達シャフト42と、ニードルNの上端部に当接するすりこぎ運動伝達ボール43を有する。すりこぎ運動伝達シャフト42は、ボデーBと同軸的に位置し、上端面に設けた動力伝達ギア44が、すりこぎ運動動力モータ41の出力軸に取り付けられた動力伝達ギア45と噛合して、ボデーBの軸周りに回転する。すりこぎ運動伝達シャフト42の下端面には、中心より外周側に図示しない凹部が形成されて、図1(a)と同様にすりこぎ運動伝達ボール43の上半部を凹部内に収容保持している。
ニードルNは、シート面N3を含む先端部がボデーB内に挿通され、上端開口内にすりこぎ運動伝達ボール43の下端部を支持するようになっている。この支持構造は、上述した図1と同様であり、ニードルNの偏心角度βは、すりこぎ運動伝達ボール43の位置によって決まる。なお、本実施形態では、スプリング33がボデーB側に配設されるが、スプリング33の付勢力でニードルNがボデーBとすりこぎ運動伝達ボール43の間に保持され、シート面N3がボデーシートB2に押圧される構成は同様である。これにより、すりこぎ運動の駆動力が、すりこぎ運動伝達シャフト42、すりこぎ運動伝達ボール43を介して伝達され、ニードルNを偏心回転させる。
一方、自転運動伝達部5は、自転運動の駆動力を発生する自転運動動力モータ51と、回転部材としての自転運動伝達シャフト52および自転運動伝達アーム53と、ニードルNの上端部外周に装着される保持部材としてのケレ54を有する。自転運動伝達シャフト52は、ボデーBと同軸的に位置し、すりこぎ運動伝達シャフト42の外周に同心的かつ独立回転可能に位置している。自転運動伝達シャフト52は、上端面に設けた動力伝達ギア55が、自転運動動力モータ51の出力軸に取り付けられた動力伝達ギア56と噛合して、ボデーBの軸周りに回転する。自転運動伝達シャフト52の下端面には、軸対称位置となる2箇所から下方へ、一対の自転運動伝達アーム53が突出している。ニードルNに装着される円環状のケレ54は、外周面の2箇所から外方へ突出する一対のアーム部57を有し、この一対のアーム部57に一対の自転運動伝達アーム53が当接して、ケレ54を回転させるようになっている。
これにより、自転運動の駆動力が、自転運動伝達シャフト52、一対の自転運動伝達アーム53に伝達され、一対の自転運動伝達アーム53がケレ54の一対のアーム部57を回転させることにより、ニードルNを自転運動させる。このように、本実施形態のラッピング装置2を採用することで、ニードルNに容易に自転運動とすりこぎ運動を与えることができる。
次に、図4、5により、偏心角度β(ニードルNとボデーBの中心軸のなす角度)の範囲について検討する。図4は、偏心角度βとシート角度差αの関係を表すもので、図4(c)において、ニードルNのシート面N3とボデーシートB2のシート角度差αを、ニードルNのシート面N3のテーパ角度ηとボデーBのボデーシートB2のテーパ角度θを用いて表すと、角度差α=(η−θ)/2となる。この時、図4(a)のように、角度差α>偏心角度βであれば、シート面N3のエッジ部N4が、全周でボデーシートB2に着座するので、ニードルNのすりこぎ運動により、当接位置を良好に加工することができる。一方、図4(b)のように、角度差α<偏心角度βの場合は、図示するようにニードルNのエッジ部N4が、部分的に浮き上がってしまうために、加工が成立しなくなる。したがって、角度差αより小さい角度範囲で偏芯角度βを設定するのがよい。
図5(a)は、ニードルNとボデーBの位置関係を表したものであり(ただし、角度差α>偏心角度β)、ニードルNとボデーBの中心軸が一致する時に、ニードルNのエッジ部N4がボデーBと接する点をA、Bとする。今、ニードルNの中心軸がボデーBの中心軸に対して偏心角度βだけ傾いたとした場合、両軸の交点を回転中心F’としてニードルNが偏心回転することになり、エッジ部N4は点A’、B’にてボデーBに着座する(ただし、AB=A’B’)。ここで、ニードルNのシート中心を点Oとし、これを中心とする座標を考え、O(0,0)、A(r,0)、B(−r,0)とおくと、O(0,0)、点A’、B’、O’、F’は、図中に記入した座標で表され、O’F’=r/aとなる。
つまり、偏心角度βによらず、回転中心F’からシート中心O’までの距離は、常に一定であり、回転中心F’は偏心角度βによって変化することがわかる。ただし、a=tan[(180−θ)/2)]、であり、θは、図4(c)中に示すボデーシートB2のテーパ角度である。そして、偏心角度βに応じて、ニードルNのエッジ部N4がボデーシートB2に接触する範囲、すなわち図5(b)中に示す加工範囲が決まることになる。ただし、ニードルNは摺動部となる大径部N2の外周に所定のクリアランスを有するため、組付け後にわずかに傾く可能性がある。このためニードルNの着座位置は、実際には外周のクリアランスによrって決まる傾き等により、ある着座範囲で変化する。そこで、偏心角度βをこの倒れ角度範囲よりも大きくなるように設定し、倒れ角度範囲を考慮した着座範囲よりも、加工範囲が広くなるようにすることが望ましい。
図6により本発明方法による作用効果を説明する。図6(b)は、従来のホーニング加工によりボデーBを加工する場合であり、先端にボデーBのシート形状に対応するテーパ面を有する砥石6を用いる。ホーニング加工では、左図に示すように、回転軸を1軸に固定するために、加工時の同軸度を高精度に確保する必要がある。ただし、静止状態で砥石軸がボデー軸と一致しても、何らかの原因で砥石軸に軸振れが発生すると、右図に示すように、加工位置がずれ、その形状が転写されるために、真円度が低下してしまう。
これに対して、本発明方法では、図6(a)に示すように、ニードルNのすりこぎ運動により自動調芯作用が得られ、ボデーシートB2の中心点を中心に、均等な加工が可能になると考えられる。つまり、加工中のニードルNの振れ、傾き誤差が全て、偏芯角度βの変動に変換される。そして、偏芯角度βの変動に対して、動作中心点F’の位置変化は微小であり、かつF’ O’は一定である(図5(a)参照;例えば、偏芯角度β0.2での動作中心点F’の位置変化量は0.02μm)。この時、加工中の接触点動作は、ある球面上を常に動作することになり、加工面が均一化する。
したがって、ニードルNを自転運動させながら、すりこぎ運動させることで、図6(c)に示すように、ニードルNの着座範囲の全域を精度よく加工することができる。この時、ボデーシートB2に当接するニードルNのシート面N3も、同様に高精度に加工される。また、接触点が固定されないので、図6(d)に示すように、ボデーシートB2の加工面に段差を残すことがなく、緩やかなR形状となる。これにより、ニードルNのシート面N3をボデーシートB2の加工面に確実に着座させることができる。このように、ニードルNおよびボデーBの双方の真円度および面粗度が向上し、油密性を大きく向上させてメタルシール部からの燃料漏れを防止することができる。
また、図2に示したラッピング装置2を採用することで、ニードルNに容易に自転運動とすりこぎ運動を与えることができる。そして、簡易な構成でニードルNとボデーBを、同時に仕上加工することができ、高精度な仕上加工が可能になるとともに、加工時間が短縮できる。なお、ニードルNとボデーBは、それぞれの加工精度が高いので、必ずしも実機の組み合わせとする必要はない。さらに、従来のホーニング用の装置のように、それぞれの形状に合わせた総型砥石や砥石の位置決め機構、砥石成形用のドレッサ等も不要となるので、製造コストを低減できる。
図7は、図2のラッピング装置2を用いて、実際にニードルNとボデーBのメタルシール部を加工した結果を示すものである。図中に本発明による加工後のシート形状と加工部を示す。図7(a)のボデーシートB2と、図7(b)のニードルNのシート部N3のいずれも、本発明による加工部では、シート表面が他の部位より凹凸の少ない形状となっており、面粗度が向上していることがわかる。また、本発明により加工したニードルNとボデーBを実機に組み付けて、油密測定機で油密試験を行なったところ、従来に比べて油密漏れ量を70%低減することができた。
なお、図1、図2の装置では、ニードルNとボデーBを同時に仕上加工する場合について、説明したが、ニードルNおよびボデーBの一方のみを加工対象とすることもできる。この場合は、他方を、同等形状の加工用ニードル(加工用軸部材)、または加工用ボデー(加工用ボデー部材)とし、同様の装置を用いて、自転運動とすりこぎ運動を与える同様の方法で加工を実施すればよい。例えば、生産工程において、ニードルおよびボデーを別々に生産し、仕上加工も別々を行なう方が効率的である場合には、このように専用の加工用部材を用いることで、生産性良く仕上加工を行うことが可能になる。
また、この場合は、上記実施形態と同様に、遊離砥粒を介在させる方法の他、加工用ニードルのシート面(加工用軸部材の第2のテーパ面)または加工用ボデーの座面(加工用ボデー部材の第1のテーパ面)に砥粒を埋設して砥石状に形成してもよい。このように、専用の加工用部材に砥粒を一体化することで、加工が容易にできる。
本発明方法および加工装置は、燃料噴射弁のニードルとボデーによる燃料噴射ノズルのメタルシール部に限らず、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンの燃料噴射装置、燃料ポンプ等の燃料供給装置に用いられる各種油圧制御弁、流量制御弁等のメタルシール部に好適に用いられる。その他、燃料以外の各種高圧流体のシールに用いられるメタルシール部にも利用することができる。
I 燃料噴射弁
B ボデー(ボデー部材)
B1 噴孔プレート
B2 ボデーシート(第1のテーパ面、座面)
N ニードル(軸部材、弁部材)
N1 ニードル(軸部材、弁部材)
N2 大径部
N3 シート面(第2のテーパ面)
N4 エッジ部
1 すりこぎ運動伝達装置
11 円盤状回転部材
12 凹部
13 ボール部材
14 スプリング部材
2 ラッピング装置(加工装置)
21 台座
3 ボデー保持部
31 ボデー保持部
32 ボデー位置決め治具
33 ボデー受け治具
3 スプリング
4 すりこぎ運動伝達部
41 すりこぎ運動動力モータ
42 すりこぎ運動伝達シャフト(回転部材)
43 すりこぎ運動伝達ボール(ボール部材)
44、45 動力伝達ギア
5 自転運動伝達部
51 自転運動動力モータ
52 自転運動伝達シャフト(回転部材)
53 自転運動伝達アーム
54 ケレ(保持部材)
55、56 動力伝達ギア
57 アーム部

Claims (9)

  1. ボデー部材に設けた第1のテーパ面に、軸部材の先端に形成した第2のテーパ面を当接させるメタルシール部の加工方法であって、上記ボデー部材の中心軸に対して上記軸部材の中心軸を傾斜させるとともに、上記第1のテーパ面中心に対して上記第2のテーパ面中心を偏芯させて配置し、上記第2のテーパ面と上記第1のテーパ面の間に遊離砥粒を介在させた状態で、上記軸部材をその中心軸周りに回転させる自転運動と、上記ボデー部材の中心軸周りに偏芯回転させるすりこぎ運動を与えることにより、上記第1のテーパ面および上記第2のテーパ面の仕上加工を行うことを特徴とするメタルシール部の加工方法。
  2. ボデー部材に設けた第1のテーパ面に、軸部材の先端に形成した第2のテーパ面を当接させるメタルシール部の加工方法であって、上記ボデー部材を加工対象とし、上記軸部材と同一形状の第2のテーパ面を有する加工用軸部材を用いて、上記ボデー部材の中心軸に対して上記加工用軸部材の中心軸を傾斜させるとともに、上記第1のテーパ面中心に対して上記第2のテーパ面中心を偏芯させて配置し、上記第1のテーパ面と上記第2のテーパ面の間に砥粒を介在させた状態で、上記加工用軸部材をその中心軸周りに回転させる自転運動と、上記ボデー部材の中心軸周りに偏芯回転させるすりこぎ運動を与えることにより、上記第1のテーパ面の仕上加工を行うことを特徴とするメタルシール部の加工方法。
  3. ボデー部材に設けた第1のテーパ面に、軸部材の先端に形成した第2のテーパ面を当接させるメタルシール部の加工方法であって、上記軸部材を加工対象とし、上記ボデー部材と同一形状の第1のテーパ面を有する加工用ボデー部材を用いて、上記加工用ボデー部材の中心軸に対して上記軸部材の中心軸を傾斜させるとともに、上記第1のテーパ面中心に対して上記第2のテーパ面中心を偏芯させて配置し、上記第1のテーパ面と上記第2のテーパ面の間に砥粒を介在させた状態で、上記軸部材をその中心軸周りに回転させる自転運動と、上記加工用ボデー部材の中心軸周りに偏芯回転させるすりこぎ運動を与えることにより、上記第2のテーパ面の仕上加工を行うことを特徴とするメタルシール部の加工方法。
  4. 上記砥粒を、上記第1のテーパ面と第2のテーパ面の間に介在させた遊離砥粒とする請求項2または3記載のメタルシール部の加工方法。
  5. 上記砥粒を、上記加工用ボデー部材の第1のテーパ面、または上記加工用軸部材の第2のテーパ面に埋設した砥粒とする請求項2または3記載のメタルシール部の加工方法。
  6. 上記ボデー部材または上記加工用ボデー部材の上記第1のテーパ面と、上記軸部材または上記加工用軸部材の上記第2のテーパ面のシート角度の差を、角度差αとし、上記ボデー部材または上記加工用ボデー部材の中心軸と、上記軸部材または上記加工用軸部材の中心軸とのなす角度を、偏芯角度βとした時に、上記偏芯角度βが上記角度差αより小さくなるように設定する請求項1ないし5のいずれか1項に記載のメタルシール部の加工方法。
  7. 上記偏芯角度βが、上記ボデー部材と上記軸部材の組付け後の上記軸部材倒れ角度範囲より大きくなるように設定する請求項6記載のメタルシール部の加工方法。
  8. ボデー部材に設けた第1のテーパ面に、軸部材の先端に形成した第2のテーパ面を当接させるメタルシール部の加工を行なう加工装置であって、
    上記ボデー部材を位置決め保持するボデー保持部と、
    上記軸部材を上記ボデー部材の中心軸に対して傾斜させ上記第1のテーパ面中心に対して上記第2のテーパ面中心を偏芯させた状態で支持するボール部材と、該ボール部材を上記ボデー部材の中心軸周りに偏芯回転させる回転部材を有し、上記軸部材にすりこぎ運動を与えるすりこぎ運動伝達部と、
    上記軸部材に装着される保持部材と、該保持部材と一体的に上記軸部材をその中心軸周りに回転させる回転部材を有し、上記軸部材に自転運動を与える自転運動伝達部と、を備えることを特徴とするメタルシール部の加工装置。
  9. 上記第1のテーパ面が上記ボデー部材に設けたテーパ面状の座面であり、該座面に、上記第2のテーパ面であり上記軸部材となる弁部材の先端に形成したテーパ面状のシート面を着座させてメタルシールする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のメタルシール部の加工方法および加工装置。
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