JP2012198332A - 電子写真用トナー及びその製造方法 - Google Patents

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大佑 井上
Osamu Uchinokura
理 内野倉
Satoru Ogawa
哲 小川
Junichi Awamura
順一 粟村
Tsutomu Sugimoto
強 杉本
Tomoyuki Kojima
智之 小島
Daisuke Ito
大介 伊藤
Teruki Kusahara
輝樹 草原
Sachiko Sato
祥子 佐藤
Mamoru Hozumi
守 穂積
Yukifumi Sato
幸史 佐藤
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Abstract

【課題】電気抵抗が高く、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れ、高解像で高画質の画像を形成できる電子写真用トナー及びその製造方法の提供。
【解決手段】少なくとも結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有する電子写真用トナーであって、前記結着樹脂としての、重量平均分子量が1,000〜20,000であるポリエステル樹脂(第1樹脂)及び重量平均分子量が25,000〜40,000であるポリエステル樹脂(第2樹脂)と、前記着色剤とを含有するマスターバッチを用いて、前記結着樹脂中に前記着色剤を分散させてなることを特徴とする電子写真用トナー及びその製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真用トナー及びその製造方法に関し、より詳細には、静電式複写機、レーザービームプリンタなど、いわゆる電子写真法を用いた画像形成装置で用いられるフルカラー用トナー及びその製造方法に関する。
従来より、電子写真装置、静電記録装置などにおいては、電気的乃至磁気的潜像をトナーを用いて顕像化させている。例えば、電子写真法では、まず、感光体上に静電荷像(潜像)を形成し、次いで、該潜像をトナーを用いて現像してトナー画像を形成している。前記トナー画像は、通常、紙などの転写材上に転写され、次いで、加熱などの方法で定着される。静電荷像現像に使用されるトナーは、一般に、結着樹脂中に、着色剤、帯電制御剤、その他の添加剤を含有させた着色粒子であり、その製造方法には、大別して粉砕法と重合法とがある。
粉砕法では、熱可塑性樹脂中に、着色剤、帯電制御剤、オフセット防止剤などを溶融混合して均一に分散させ、得られた組成物を粉砕し、分級することによりトナーを製造する。
粉砕法によれば、ある程度優れた特性を有するトナーを製造することができるが、トナー用材料の選択に制限がある。例えば、前記溶融混合により得られる組成物は、経済的に使用可能な装置により粉砕し、分級できるものでなければならない。この要請から、前記組成物は、十分に脆くせざるを得ない。このため、実際に上記組成物を粉砕して粒子にする際に、広範囲の粒径分布が形成され易く、良好な解像度と階調性のある複写画像を得ようとすると、例えば、粒径5μm以下、特に3μm以下の微粉と20μm以上の粗粉を分級により除去しなければならず、収率が非常に低くなるという問題がある。また、粉砕法では、着色剤、離型剤などを熱可塑性樹脂中に均一に分散することが困難である。また、トナーに添加した着色剤が、得られたトナー表面に露出してしまうため、トナー表面の帯電が不均一となって、トナーの帯電分布を拡げ、現像特性が低下するという問題がある。したがって、これらの問題のため、粉砕法では、高性能化の要求に対して充分に対応できないのが現状である。
近年、これらの粉砕法における問題点を克服するために、重合法によるトナーの製造方法が提案され、実施されている。静電潜像現像用のトナーを重合法によって製造する技術は公知であり、例えば、懸濁重合法によってトナー粒子を得ることが行われている。
前記重合法によれば、従来の粉砕工程、練り工程を省くことができ、省エネルギー、生産時間の短縮、工程収率の向上等、コスト削減の寄与が大きく、更に、トナー粒子を小粒径にすると同時に粒度分布も粉砕法に較べてシャープな分布にすることが容易で、高画質化への寄与も大きいことから、重合法は、大いに期待される工法である。しかしながら、このような工法で製造されたトナーでは、トナー中に着色剤が十分に分散されないことがあり、その場合には、高い画像濃度を得ることができないという問題がある。また、着色剤がトナー中に十分に分散されていないと、トナー表面に着色剤が露出し易く、前記着色剤が、例えば、カーボンブラックのような導電性を有する場合には、トナーの抵抗が部分的に低下することがあり、トナーの帯電量に変動を生じるという問題がある。
こうした着色剤の分散不良の問題に対しては、例えば、特定の酸価と水酸基価とを有するポリエステル樹脂を顔料分散マスターバッチ用樹脂として用いる方法が提案されている(特許文献1参照)。しかし、前記マスターバッチ用樹脂として酸価の高い未変性ポリエステルを用いた場合には、特にトナー中での導電性を有する着色剤の分散が不十分となり、トナーの電気抵抗が低くなる傾向がある。この問題に対しては、pH9〜13のカーボンブラックを使用することにより、酸価の高い未変性ポリエステルを用いても分散性の悪化を抑制する方法が提案されている(特許文献2参照)。また、特定の組成からなるポリエステル樹脂を主成分とし、且つ特定の分光特性を有するカーボンブラックマスターバッチをトナー製造時に用いることにより、トナー中に分散させた状態におけるカーボンブラックの粒径を小さくする方法が提案されている(特許文献3参照)。また、ポリエステル樹脂を主成分とする第1の結着樹脂中にカーボンブラックが含有されてなる黒色マスターバッチを少なくとも、第1の結着樹脂とは異なるモノマー組成からなり、且つテトラヒドロフラン溶媒に実質的に不溶な成分が含有されている第2の結着樹脂中に混合して製造することにより、個々の1次粒子が凝集した状態にあるカーボンブラックが、トナーの製造中や保存中に再凝集することなく、非常に細かく、且つ均一にトナー中に分散することができる方法が提案されている(特許文献4参照)。しかしながら、これらの提案は、前記樹脂の親和性により凝集を防ぐ方法であり、溶融混練時におけるせん断力は、不十分であるため、マスターバッチ作製時の着色剤の分散が不十分であった。
したがって、着色剤の分散性を更に向上させることによって、電気抵抗が高く、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れ、高解像で高画質の画像を形成できる電子写真用トナー及びその製造方法の開発が待ち望まれていた。
特開2004−143421号公報 特許第4189991号公報 特許第3459751号公報 特許第3459750号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、電気抵抗が高く、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れ、高解像で高画質の画像を形成できる電子写真用トナー及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 少なくとも結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有する電子写真用トナーであって、
前記結着樹脂としての、
重量平均分子量が1,000〜20,000であるポリエステル樹脂(第1樹脂)及び
重量平均分子量が25,000〜40,000であるポリエステル樹脂(第2樹脂)と、
前記着色剤とを含有するマスターバッチを用いて、前記結着樹脂中に前記着色剤を分散させてなることを特徴とする電子写真用トナーである。
<2> 第1樹脂及び第2樹脂の酸価が、5KOHmg/g〜40KOHmg/gである前記<1>に記載の電子写真用トナーである。
<3> 第1樹脂及び第2樹脂のガラス転移温度(Tg)が、45℃以上65℃未満である前記<1>から<2>のいずれかに記載の電子写真用トナーである。
<4> 第1樹脂と第2樹脂との混合質量比(第1樹脂/第2樹脂)が、50/50〜90/10である前記<1>から<3>のいずれかに記載の電子写真用トナーである。
<5> 結着樹脂が、ポリエステル樹脂である前記<1>から<4>のいずれかに記載の電子写真用トナーである。
<6> 結着樹脂の酸価が、1KOHmg/g〜50KOHmg/gである前記<1>から<5>のいずれかに記載の電子写真用トナーである。
<7> ブラックトナーである前記<1>から<6>のいずれかに記載の電子写真用トナーである。
<8> マゼンタトナーである前記<1>から<6>のいずれかに記載の電子写真用トナーである。
<9> 結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有する油相を水系媒体中で懸濁し、造粒させてなることを特徴とする前記<1>から<8>のいずれかに記載の電子写真用トナーである。
<10> 結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有する油相を得る工程、前記油相を水系媒体中で分散させ懸濁液を得る工程、前記懸濁液を減圧濾過し濾過ケーキを得る工程、濾過ケーキを乾燥させトナーを得る工程を含む電子写真用トナーの製造方法であって、
前記油相を得る工程において、前記結着樹脂としての、重量平均分子量が1,000〜20,000であるポリエステル樹脂(第1樹脂)及び重量平均分子量が25,000〜40,000であるポリエステル樹脂(第2樹脂)と、前記着色剤とを含有するマスターバッチを用いて、前記結着樹脂中に前記着色剤を分散させることを特徴とする電子写真用トナーの製造方法である。
<11> マスターバッチが、開放型の溶融混練機で溶融混合される前記<10>に記載の電子写真用トナーの製造方法である。
<12> 着色剤が、顔料洗浄後のプレスケーキ顔料である前記<10>から<11>のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、電気抵抗が高く、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れ、高解像で高画質の画像を形成できる電子写真用トナー、及びその製造方法を提供することができる。
(電子写真用トナー)
本発明の電子写真用トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有してなり、更に必要に応じて、その他の成分を含有してなる。また、本発明の電子写真用トナーは、前記結着樹脂としての、重量平均分子量が1,000〜20,000であるポリエステル樹脂(第1樹脂)及び重量平均分子量が25,000〜40,000であるポリエステル樹脂(第2樹脂)と、前記着色剤とを含有するマスターバッチを用いて、前記結着樹脂中に前記着色剤を分散させてなる。
<結着樹脂>
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、ポリp−スチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン又はその置換体の単重合体、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプロピル共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、ポリチメルメタクリレート樹脂、ポリブチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン樹脂、変性ロジン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は芳香族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが挙げられる。これらの中でも、耐久性、定着性などの点で、ポリエステル樹脂が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ポリオール成分と、ポリカルボン酸成分とを主成分として合成される樹脂が、結晶性を得られやすい点で好ましい。
前記ポリオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジオール、3価以上のアルコール、ジオールと3価以上のアルコールの混合物などを用いることができるが、ジオール又はジオールと少量の3価以上のアルコールの混合物が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のアルキレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のオキシアルキレン基を有するジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環式ジオール;脂環式ジオールに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類;ビスフェノール類に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの等のビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。なお、アルキレングリコールの炭素数は、2〜12であることが好ましい。これらの中でも、炭素数が2〜12であるアルキレングリコール又はビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物又はビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物と炭素数が2〜12のアルキレングリコールの混合物が特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記3価以上のアルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、3価以上の脂肪族アルコール、3価以上のポリフェノール類、3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキシド付加物等を用いることができる。前記3価以上の脂肪族アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどが挙げられる。前記3価以上のポリフェノール類としては、例えば、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどが挙げられる。前記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキシド付加物としては、例えば、3価以上のポリフェノール類に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したものが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ジオールと3価以上のアルコールとを混合して用いる場合、ジオールに対する3価以上のアルコールの質量比としては、0.01%〜10%が好ましく、0.01%〜1%がより好ましい。
前記ポリカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジカルボン酸、3価以上のカルボン酸、ジカルボン酸と3価以上のカルボン酸の混合物などが挙げられる。これらの中でも、ジカルボン酸又はジカルボン酸と少量の3価以上のポリカルボン酸の混合物が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2価のアルカン酸、2価のアルケン酸、芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。前記2価のアルカン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸などが挙げられる。前記2価のアルケン酸の炭素数としては、4〜20であることが好ましく、炭素数が4〜20である2価のアルケン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。前記芳香族ジカルボン酸の炭素数は、8〜20であることが好ましく、炭素数が8〜20である芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、炭素数が4〜20の2価のアルケン酸又は炭素数が8〜20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記3価以上のカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、3価以上の芳香族カルボン酸が挙げられる。前記3価以上の芳香族カルボン酸の炭素数は、9〜20であることが好ましく、前記炭素数が9〜20である3価以上の芳香族カルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられる。
なお、前記ポリカルボン酸としては、ジカルボン酸、3価以上のカルボン酸及びジカルボン酸と3価以上のカルボン酸の混合物のいずれかの酸無水物又は低級アルキルエステルなどを用いてもよい。前記低級アルキルエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなどが挙げられる。
ジカルボン酸と3価以上のカルボン酸を混合して用いる場合、ジカルボン酸に対する3価以上のカルボン酸の質量比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01%〜10%が好ましく、0.01%〜1%がより好ましい。
前記ポリオールと前記ポリカルボン酸を重縮合させる際の混合比としては、ポリカルボン酸のカルボキシル基に対するポリオールの水酸基のモル当量比で、通常、1〜2が好ましく、1〜1.5がより好ましく、1.02〜1.3が特に好ましい。前記モル当量比が、1未満であると、耐オフセット性が低下することがあり、2を超えると、低温定着性が低下することがある。
本発明に用いられる結着樹脂としては、前述したポリオールとポリカルボン酸とを重縮合したものに限られず、活性水素基を有する化合物と、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体(以下、「プレポリマー」と称することがある)とを架橋反応、伸長反応などさせることにより生成されたものでもよい。
前記活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、活性水素基を有する化合物と反応可能な変性ポリエステル系樹脂が好ましい。
前記活性水素基を有する化合物と反応可能な変性ポリエステル系樹脂としては、活性水素基に対する反応性を有する重合体としてのイソシアネート基を有するポリエステルが好ましい。なお、イソシアネート基含有ポリエステル樹脂と活性水素基を有する化合物を反応させる際にアルコール類を添加することにより、ウレタン結合を形成してもよい。このようにして生成するウレア結合に対するウレタン結合のモル比(イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーが有するウレタン結合と区別するため)としては、0〜9であることが好ましく、1/4〜4であることがより好ましく、2/3〜7/3が特に好ましい。前記モル比が9より大きいと、耐ホットオフセット性が低下することがある。
前記活性水素基を有する化合物は、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体が水系媒体中で伸長反応、架橋反応等する際の伸長剤、架橋剤などとして作用する。前記活性水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基等が挙げられる。これらの活性水素基は、単独であってもよいし、二種以上の混合物であってもよい。
前記活性水素基を有する化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体がイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーである場合には、ポリエステルプレポリマーと伸長反応、架橋反応等により高分子量化できることから、アミン類が好ましい。
前記アミン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、具体的には、ジアミン、三価以上のアミン、アミノアルコール、アミノメルカプタン、アミノ酸及びこれらのアミノ基をブロックしたものなどが挙げられる。これらの中でも、ジアミン及びジアミンと少量の三価以上のアミンとの混合物が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ジアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族ジアミン、脂環式ジアミン、脂肪族ジアミンなどが挙げられる。前記芳香族ジアミンの具体例としては、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。前記脂環式ジアミンの具体例としては、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミンなどが挙げられる。前記脂肪族ジアミンの具体例としては、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記三価以上のアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アミノアルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アミノメルカプタンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アミノ酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アミノ基をブロックしたものとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ基を、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類でブロックすることにより得られるケチミン化合物、オキサゾリゾン化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、活性水素基を有する化合物と、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体の伸長反応、架橋反応等を停止させるには、反応停止剤を用いることができる。前記反応停止剤を用いると、結着樹脂の分子量等を所望の範囲に制御することができる。前記反応停止剤の具体例としては、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン等のモノアミン及びこれらのアミノ基をブロックしたケチミン化合物などが挙げられる。
前記アミン類のアミノ基の当量に対するポリエステルプレポリマーのイソシアネート基の当量比としては、1/3〜3であることが好ましく、1/2〜2がより好ましく、2/3〜1.5が特に好ましい。前記当量比が、1/3未満であると、低温定着性が低下することがあり、3を超えると、ウレア変性ポリエステル系樹脂の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が低下することがある。
前記プレポリマーとしては、特に制限はなく、公知の樹脂等の中から適宜選択することができ、例えば、ポリオール樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂及びこれらの誘導体などが挙げられる。これらの中でも、溶融時の高流動性、透明性の点で、ポリエステル樹脂が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記プレポリマーが有する活性水素基含有化合物と反応可能な部位としては、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、カルボンキシル基、化学構造式 −COClで示される官能基などが挙げられる。これらの中でも、イソシアネート基が好ましい。これらの官能基は、1つを有してもよいし、2種以上を有してもよい。
前記プレポリマーとしては、高分子成分の分子量を調節し易く、乾式トナーにおけるオイルレス低温定着特性、特に、定着用加熱媒体への離型オイル塗布機構の無い場合でも良好な離型性及び定着性を確保できることから、ウレア結合を生成することが可能なイソシアネート基等を有するポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
前記イソシアネート基を含有するポリエステルプレポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオールとポリカルボン酸を重縮合することにより得られる活性水素基を有するポリエステル樹脂と、ポリイソシアネートの反応生成物などが挙げられる。
前記ポリオール及びポリカルボン酸としては、特に制限はなく、前述したものの中から適宜選択することができる。
前記イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー中のポリオール由来の構成単位の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5質量%〜40質量%が好ましく、1質量%〜30質量%がより好ましく、2質量%〜20質量%が特に好ましい。前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が低下し、トナーの耐熱保存性と低温定着性とを両立させることが困難になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が低下することがある。
前記ポリイソシアネートは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、イソシアヌレート類、これらをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等でブロックしたものなどが挙げられる。
前記脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトカプロン酸メチル、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネートなどが挙げられる。前記脂環式ジイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。前記芳香族ジイソシアネートの具体例としては、トリレンジイソシアネート、ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトジフェニル、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジフェニル、4,4’−ジイソシアナト−3−メチルジフェニルメタン、4,4’−ジイソシアナト−ジフェニルエーテルなどが挙げられる。前記芳香脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。イソシアヌレート類の具体例としては、トリス(イソシアナトアルキル)イソシアヌレート、トリス(イソシアナトシクロアルキル)イソシアヌレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリイソシアネートと、水酸基を有するポリエステル樹脂とを反応させる場合、ポリエステル樹脂の水酸基に対するポリイソシアネートのイソシアネート基の当量比としては、通常、1〜5であることが好ましく、1.2〜4がより好ましく、1.5〜3が特に好ましい。前記当量比が、1未満であると、耐オフセット性が低下することがあり、5を超えると、低温定着性が低下することがある。
前記イソシアネート基を含有するポリエステルプレポリマー中のポリイソシアネート由来の構成単位の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5質量%〜40質量%が好ましく、1質量%〜30質量%がより好ましく、2質量%〜20質量%が特に好ましい。前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が低下することがあり、40質量%を超えると、低温定着性が低下することがある。
前記ポリエステルプレポリマーが1分子当たりに有するイソシアネート基の平均数としては、1以上であることが好ましく、1.2〜5がより好ましく、1.5〜4がさらに好ましい。この平均数が、1未満であると、ウレア変性ポリエステル系樹脂の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が低下することがあり、5を超えると、低温定着性が低下することがある。
ここで、前記プレポリマーとして、ビスフェノール類のプロピレンオキサイド付加物を使用する場合の例を説明する。
前記付加物の含有量としては、着色剤の分散性の点で、ビスフェノール類のプロピレンオキサイド付加物をジオール成分に対して50モル%以上含有することが好ましく、70モル%以上がより好ましく、80モル%以上が特に好ましい。前記ジオール成分としてプロピレンオキサイド付加物が一定以上含有したポリエステル樹脂と所定の酸価、アミン価を有するポリエステル誘導体である高分子分散剤を組み合わせたときに着色剤の分散性が優れ、また、トナーの色再現性が向上する。この理由は定かではないが、おそらくポリエステル樹脂と高分子分散剤の親和性が高まり顔料を安定化するためと考えられる。
前記ジオール成分中にビスフェノール類のプロピレンオキサイド付加物を50モル%以上含有し、特定の水酸基価と酸価を有するポリエステル樹脂に対するイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーの質量比としては、5/95〜25/75が好ましく、10/90〜25/75がより好ましい。前記質量比が、5/95未満であると、耐ホットオフセット性が低下することがあり、25/75を超えると、低温定着性や画像の光沢性が低下することがある。
したがって、トナーに含有される結着樹脂の具体例としては、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物;ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物;ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物(ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物混合比率が50モル%以上)及びテレフタル酸の重縮合物との混合物;ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物;ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーを、ヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物;ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物(ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物混合比率が50モル%以上)及びテレフタル酸の重縮合物との混合物;ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをエチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物;ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物;ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸/ドデセニルコハク酸無水物の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物(ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物混合比率が50モル%以上)及びテレフタル酸の重縮合物との混合物;ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をトルエンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物:ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸、トリメリット酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをアミノ基をケトン類でブロックしたケチミン化合物でウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物(ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物混合比率が50モル%以上)及びテレフタル酸、アジピン酸、トリメリット酸の重縮合物との混合物などが挙げられる。
前記結着樹脂の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000〜30,000が好ましく、1,500〜15,000がより好ましい。前記重量平均分子量が、1,000未満であると、耐熱保存性が低下することがある。このため、重量平均分子量が1,000未満である成分の含有量は、結着樹脂成分全体に対して、8質量%〜28質量%であることが好ましい。一方、前記重量平均分子量が30,000を超えると、低温定着性が低下することがある。
ただし、前記結着樹脂を後述するマスターバッチとして用いる場合には、重量平均分子量が1,000〜20,000の範囲内であるポリエステル樹脂(第1樹脂)、及び重量平均分子量が25,000〜40,000の範囲内であるポリエステル樹脂(第2樹脂)を用いることを必須とする。
前記結着樹脂のガラス転移温度としては、通常、30℃〜70℃であり、35℃〜60℃が好ましく、35℃〜55℃がより好ましい。前記ガラス転移温度が、30℃未満であると、トナーの耐熱保存性が低下することがあり、70℃を超えると、低温定着性が低下することがある。
前記結着樹脂の酸価としては、1KOHmg/g〜50KOHmg/gが好ましく、5KOHmg/g〜30KOHmg/gがより好ましい。前記酸価が、1KOHmg/g未満であると、低温定着性を損なうことがあり、50KOHmg/gを超えると、帯電安定性、特に環境変動に対する帯電安定性が低下することがある。一方、前記結着樹脂の酸価が前記範囲内であると、トナーが負帯電性となりやすく、更には、紙への定着時に、紙とトナーとの親和性が良くなり、低温定着性を向上させることができる。
<着色剤>
前記着色剤としては、特に制限はなく、通常使用される樹脂を適宜選択して使用することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びこれらの混合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、これらの中でも、本発明の電気抵抗特性に関する効果が最も顕著に現れる着色剤としては、カーボンブラックなどが挙げられる。
前記カーボンブラックとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、C.I.ピグメントブラックが、高解像で高画質の画像を形成できる点で好ましい。前記C.I.ピグメントブラックとしては、例えば、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7、C.I.ピグメントブラック8、C.I.ピグメントブラック9などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらは、市販品を用いてもよく、該市販品としては、例えば、Printex35(デグサ社製)などが挙げられる。
前記着色剤のトナー中の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。前記含有量が、1質量%未満であると、十分な画像濃度が得られないことがあり、15質量%を超えると、高解像で高画質の画像を形成できないことがある。
<離型剤>
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天然ワックス、合成ワックスなどが挙げられる。前記天然ワックスとしては、例えば、蜜蝋、鯨蝋、セラック蝋等の動物由来のもの、カルナバ蝋、木蝋、米糠蝋(ライスワックス)、キャンデリラワックス等の植物由来のもの、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油由来のもの、モンタンワックス、オゾケライト等の鉱物由来のものなどが挙げられ、また、前記合成ワックスとしては、例えば、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、油脂系合成ワックス(エステル、ケトン類、アミド)、水素化ワックスなどが挙げられる。これらの中でも、離型性の点で、石油の減圧蒸留留出分を分離精製して得られた炭化水素ワックス(パラフィンワックス)をカルボン酸などで変性させたものが好ましい。前記パラフィンワックスは、比較的低温で低粘度であると共に、針入度が低く、また変性することにより、比較的容易に酸価を制御することが可能である。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、離型性の点で、結着樹脂の融点より低いことが好ましく、70℃〜110℃が好ましい。
前記離型剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、離型性と高温高湿下での保存性及び帯電性の点で、トナー100質量部に対して、1質量部〜20質量部が好ましく、3質量部〜10質量部がより好ましい。前記離型剤の含有量が、1質量部未満であると、高解像で高画質の画像を形成できないことがあり、20質量部を超えると、高解像で高画質の画像を形成できないことがある。
前記離型剤の酸価としては、高解像で高画質の画像を形成できるの点で、3KOHmg/g〜20KOHmg/gが好ましく、5KOHmg/g〜15KOHmg/gがより好ましい。
前記離型剤の粘度としては、帯電を阻害しないための離型剤のブリード性の観点から、90℃において、5mPa・s〜50mPa・sが好ましい。
<その他の成分>
本発明の電子写真用トナーは、さらに必要に応じて、帯電制御剤などのその他の成分を含む。
−帯電制御剤−
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、フッ素変性四級アンモニウム塩を含む四級アンモニウム塩、アルキルアミド、リンの単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系界面活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。ただし、前記帯電制御剤として有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料を用いることが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤としては、市販品を使用してもよく、該市販品としては、四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業株式会社製)、四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業株式会社製)、四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体のLR−147(以上、日本カーリット株式会社製)、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子などが挙げられる。
前記帯電制御剤のトナー中の含有量としては、結着樹脂の種類、添加剤の有無、分散方法などにより異なり、一概に規定することはできないが、結着樹脂に対して、0.1質量%〜10質量%が好ましく、0.2質量%〜5質量%がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%未満であると、帯電制御性が得られないことがあり、10質量%を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、現像ローラとの静電引力が増大し、現像剤の流動性の低下及び画像濃度の低下を招くことがある。
<マスターバッチ>
前記マスターバッチは、少なくとも前記着色剤と、重量平均分子量1,000〜20,000であるポリエステル樹脂(第1樹脂)と、重量平均分子量25,000〜40,000であるポリエステル樹脂(第2樹脂)とを含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記マスターバッチを用いることで、前記着色剤の油相分散時における、ショックを和らげ着色剤の凝集を防ぎ、着色剤の分散性を向上させることができ、良好な色相、着色度、帯電性を有する電子写真用トナーを得ることができる。
前記マスターバッチ用の第1樹脂及び第2樹脂としては、ポリエステル樹脂である限り特に制限はなく、上述したポリエステル樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができる。
前記第1樹脂の重量平均分子量としては、1,000〜20,000であり、前記第2樹脂の重量平均分子量としては、25,000〜40,000である。前記第1樹脂の重量平均分子量が、1,000未満であると、耐熱保存性が悪化し、20,000を超えると、低温定着性が低下する。また、前記第2樹脂の重量平均分子量が、25,000未満であると、予め着色剤を結着樹脂に分散する工程において、十分なせん弾力が得られず、着色剤の分散性が低下し、40,000を超えると、低温定着性に影響を及ぼす。
前記第1樹脂と前記第2樹脂の混合質量比率(第1樹脂/第2樹脂)としては、着色性、帯電性、耐熱保存性、低温定着性に優れる点で、50/50〜90/10が好ましい。前記混合質量比率における第1の樹脂の割合が50/50未満であると、十分なせん弾力がかかるため、着色剤の分散性は向上するものの、低温定着性が悪化することがある。前記混合質量比率における第1の樹脂の割合が90/10を超えると、マスターバッチ混練時のせん断力が乏しく、前記着色剤の分散性が悪化し、トナーの電気抵抗の低下及び着色力の低下を及ぼすことがあり、また、耐熱保存性が悪化することがある。
前記第1樹脂及び第2樹脂の酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5KOHmg/g〜40KOHmg/gが好ましく、10KOHmg/g〜30KOHmg/gがより好ましい。前記酸価が、5KOHmg/g未満であると、着色剤の分散性が悪くなることがあり、40KOHmg/gを超えると、外部環境の影響を受けやすくなり、例えば、高温高湿下で帯電が低下し、地汚れ、トナー飛散などが生じることがある。
前記酸価は、例えば、JIS K0070に準じて測定することができる。
前記第1樹脂及び第2樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、45℃以上65℃未満が好ましく、46℃以上55℃未満がより好ましい。前記ガラス転移温度(Tg)が、45℃未満であると、耐熱保存性に問題が生じることがあり、65℃以上であると低温定着性に問題が生じることがある。
前記マスターバッチは、前記着色剤を前記第1樹脂及び前記第2樹脂に分散することによって得ることができるが、その分散方法としては、溶融混練が好ましい。溶融混練によるマスターバッチは、溶剤系の分散のように着色剤の再凝集のようなことにならないため、立体障害などの着色剤分散剤が必要なく、安定した着色剤の分散が得られる。
溶融混練機としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、一軸押し出し混練機、二軸押し出し混練機、二本ロール混練機、三本ロール混練機などが挙げられる。これらの中でも、着色剤の分散性を向上させる観点から、連続式の開放型二本ロール混練機が好ましい。前記開放型の溶融混練機は、せん断時に発生する熱を開放できるため、比較的低温で混練することが可能であり、低温での混練は、原料に高いせん弾力を付与できるため、より着色剤の分散性が優れたトナーを得ることが可能である。また、前記混練機は、混練物吐出側のロール間隙が原料投入側のロール間隙よりも広くすることにより、通常混練部全体に渡って強い剪断力がかかるオープンロール型混練機の混練力を、混練部前半の原料投入部に集中させて、後半部は溶融による混合を主体とすることで、混練熱の発生そのものを抑制することができるために、混練効果が増す。近接して配設された2本のロールは、一方が加熱媒体を通した加熱ロールであり、もう一方が冷却媒体を通した冷却ロールであることにより、より強いせん弾力を付与することが可能となり、着色剤の分散性が向上する。
また、本発明の電子写真用トナーは、前記着色剤と前記第1樹脂及び前記第2樹脂とを溶融混合する工程で、着色剤として顔料洗浄後のプレスケーキ顔料を用いることが好ましい。前記プレスケーキ顔料は、顔料粒子間に水を含んでおり、溶融混練時に結着樹脂に置換することで凝集することなく、着色剤の分散性に優れたトナーを得ることができる。
前記マスターバッチ中の着色剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、樹脂100質量部に対し、10質量部〜70質量部が好ましく、35質量部〜65質量部がより好ましい。前記含有量が、10質量部未満であると、高解像で高画質の画像を形成することが困難なことがあり、70質量部を超えると、顔料の分散不良がおきることがある。
前記結着樹脂中に着色剤を分散させる際に使用するマスターバッチの量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、高解像で高画質の画像を形成できる点で、結着樹脂100質量部に対して、10質量部〜40質量部が好ましく、20質量部〜30質量部がより好ましい。
(電子写真用トナーの製造方法)
本発明の電子写真用トナーの製造方法は、結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有する油相を得る工程、前記油相を水系媒体中で分散させて懸濁液を得る工程、前記懸濁液を減圧濾過して濾過ケーキを得る工程、濾過ケーキを乾燥させてトナーを得る工程を含み、前記油相を得る工程において、前記結着樹脂としての、重量平均分子量が1,000〜20,000であるポリエステル樹脂(第1樹脂)と、重量平均分子量25,000〜40,000であるポリエステル樹脂(第2樹脂)と、前記着色剤とを含有するマスターバッチを用いて、前記結着樹脂中に前記着色剤を分散させる。
<油相を得る工程>
前記油相を得る工程は、少なくとも結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含むトナー材料を溶媒に溶解又は分散させて油相を得る工程を含む。
前記トナー材料としては、前記結着樹脂、前記着色剤、及び前記離型剤を少なくとも含有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記活性水素基を有する化合物及び前記活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体を更に含有することが好ましく、更に必要に応じて、帯電制御剤などのその他の成分を含有してもよい。
前記溶媒としては、前記トナー材料を溶解又は分散できる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、溶解又は分散を容易にさせ、生産効率性の点で、有機溶媒を含有することが好ましい。なお、前記有機溶媒は、トナーの母粒子を形成する際乃至トナーの母粒子を形成した後に除去することが好ましい。
前記有機溶媒は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、除去の容易性の観点から、沸点が150℃未満であることが好ましい。沸点が150℃未満である有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらの中でも、トルエン、キシレン、ベンゼン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素などが好ましく、酢酸エチルが特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機溶媒の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー材料100質量部に対して、40質量部〜300質量部が好ましく、60質量部〜140質量部がより好ましく、80質量部〜120質量部が特に好ましい。
トナー材料を含有する油相における着色剤と有機溶媒との混合質量比(着色料/有機溶媒)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5/95〜50/50が好ましい。前記混合質量比における着色剤の比率が、5/95未満であると、トナー製造時に有機溶媒の量が多くなり、トナーの製造効率が低下することがあり、50/50を超えると、着色剤の分散が不十分となることがある。
トナー材料を溶解又は分散する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記溶解又は分散には、例えば、ビーズミルのウルトラビスコミル(アイメックス株式会社製)などを用いることができる。
<懸濁液を得る工程>
前述した工程により得られた油相は、水系媒体中で分散されて懸濁液とされる。
前記水系媒体は、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、水、水と混和可能な溶媒、これらの混合物などが挙げられる。これらの中でも、水が、水相と油相の分離性が優れ、生産効率性の点で、好ましい。
前記水と混和可能な溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セロソルブ類、低級ケトン類などが挙げられる。前記アルコールとしては、例えば、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなどが挙げられる。前記低級ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記油相を用いて水系媒体中でトナー材料を乳化乃至分散させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー材料を含有する油相を水系媒体中に攪拌しながら分散させることが好ましい。前記分散には、公知の分散機等を適宜用いることができ、前記分散機としては、例えば、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機などが挙げられる。これらの中でも、分散体(油滴)の粒子径を2μm〜20μmに制御できる点で、高速せん断式分散機が好ましい。
前記高速せん断式分散機を用いる場合の回転数、分散時間、分散温度などの条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記回転数としては、1,000rpm〜30,000rpmが好ましく、5,000rpm〜20,000rpmがより好ましい。前記分散時間としては、バッチ方式の場合は、0.1分間〜5分間であることが好ましく、前記分散温度としては、加圧下において、0℃〜150℃が好ましく、40℃〜98℃がより好ましい。なお、一般に、分散温度が高温である方が分散は容易である。
<濾過ケーキを得る工程>
本発明の電子写真用トナーの製造方法は、少なくとも前記懸濁液を減圧濾過して濾過ケーキを得る工程を含む。
前記減圧濾過の方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができる。
前記減圧の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記濾過として遠心濾過を行う場合、遠心の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<トナーを得る工程>
本発明の電子写真用トナーの製造方法は、少なくとも前記濾過ケーキを乾燥させてトナーを得る工程を含む。
前記乾燥の方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができる。
前記乾燥の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の電子写真用トナーの製造方法は、その他の工程として、上記母体粒子に対し、外添剤を外添する工程を含んでもよい。
前記外添剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)等の有機微粒子、無機粒子などが挙げられる。
前記無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記無機粒子の一次粒子径としては、5nm〜2μmであることが好ましく、5nm〜500nmがより好ましい。また、無機粒子のBET法による比表面積としては、20m/g〜500m/gであることが好ましい。
前記無機粒子のトナー中の含有量としては、0.01質量%〜5.0質量%が好ましく、0.01質量%〜5.0質量%がより好ましい。
前記無機粒子は、流動性及びブロッキング性の向上、耐保存性及び耐水性の観点から、表面処理をして用いることが好ましい。前記表面処理としては、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル等が挙げられる。
−結着樹脂を生成しながらトナー母粒子を形成する工程−
前述した油相を水系媒体中に分散させる方法(溶解懸濁法)により、トナーの母粒子を形成することができるが、トナーの母粒子を形成する方法としては、その他の公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、結着樹脂を生成しながらトナーの母粒子を形成する方法を用いてもよい。
次にトナーの製造方法の一例として、結着樹脂を生成しながら、トナー母粒子を形成する方法を以下に示す。この方法においては、水系媒体相の調製、トナー材料を含有する油相の調製、トナー材料の乳化又は分散、結着樹脂の生成、溶媒の除去、活性水素基に対する反応性を有する重合体の合成、活性水素基を有する化合物の合成などを行う。
前記水系媒体相の調製は、樹脂粒子を前記水系媒体に分散させることにより行うことができる。
前記水系媒体としては、特に制限はなく、前述したものの中から適宜選択することができる。
前記樹脂粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記樹脂粒子の水系媒体中の添加量としては、0.5質量%〜10質量%が好ましい。
前記トナー材料を含有する油相の調製は、前記溶媒中に、前記活性水素基を有する化合物、前記活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体、前記着色剤、前記離型剤、前記帯電制御剤、前記ポリエステル樹脂などのトナー材料を、溶解又は分散させることにより行うことができる。なお、前記トナー材料の中で、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体、着色剤及びポリエステル樹脂以外の成分は、樹脂粒子を水系媒体に分散させる際に水系媒体中に添加混合してもよいし、トナー材料を含有する油相を水系媒体に添加する際に、水系媒体に添加してもよい。
前記トナー材料の乳化又は分散は、トナー材料を含有する油相を、水系媒体中に分散させることにより行うことができる。そして、トナー材料を乳化又は分散させる際に、活性水素基を有する化合物と活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体を伸長反応及び/又は架橋反応させることにより、結着樹脂を生成させる。
ウレア変性ポリエステル系樹脂等の結着樹脂としては、例えば、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー等の活性水素基に対する反応性を有する重合体を含有する油相を、アミン類等の活性水素基を含有する化合物と共に、水系媒体中で乳化又は分散させ、水系媒体中で両者を伸長反応及び/又は架橋反応させることにより生成させてもよく、トナー材料を含有する油相を、予め活性水素基を有する化合物を添加した水系媒体中で乳化又は分散させ、水系媒体中で両者を伸長反応及び/又は架橋反応させることにより生成させてもよく、トナー材料を含有する油相を水系媒体中で乳化又は分散させた後で、活性水素基を有する化合物を添加し、水系媒体中で前記樹脂粒子界面から両者を伸長反応及び/又は架橋反応させることにより生成させてもよい。なお、前記樹脂粒子界面から両者を伸長反応及び/又は架橋反応させる場合、生成するトナーの表面に優先的にウレア変性ポリエステル樹脂が形成され、トナー中にウレア変性ポリエステル樹脂の濃度勾配を設けることもできる。
前記結着樹脂を生成させるための反応条件としては、特に制限はなく、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体と活性水素基を有する化合物の組み合わせに応じて適宜選択することができる。反応時間としては、10分間〜40時間が好ましく、2時間〜24時間がより好ましい。反応温度としては、0℃〜150℃が好ましく、40℃〜98℃がより好ましい。
前記水系媒体中において、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー等の活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体を含有する分散液を安定に形成する方法としては、たとえば、水系媒体相中に、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体、着色剤、離型剤、帯電制御剤、前記ポリエステル樹脂等のトナー材料を溶媒に溶解又は分散させて調製した油相を添加し、せん断力により分散させる方法などが挙げられる。
前記分散には、公知の分散機等を用いることができ、前記分散機としては、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機などが挙げられる。これらの中でも、分散体の粒子径を2μm〜20μmに制御することができる点で、高速せん断式分散機が好ましい。
前記高速せん断式分散機を用いる場合、回転数、分散時間、分散温度等の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記回転数としては、1,000rpm〜30,000rpmであることが好ましく、5,000rpm〜20,000rpmがより好ましい。前記分散時間としては、バッチ方式の場合、0.1分間〜5分間であることが好ましく、前記分散温度としては、加圧下において、0℃〜150℃であることが好ましく、40℃〜98℃がより好ましい。なお、前記分散温度は、高温である方が一般に分散が容易である。
前記トナー材料を乳化又は分散させる際の、水系媒体の使用量としては、トナー材料100質量部に対して、50質量部〜2,000質量部が好ましく、100質量部〜1,000質量部がより好ましい。前記水系媒体の使用量が、50質量部未満であると、トナー材料の分散状態が悪くなって、所定の粒子径のトナー母粒子が得られないことがあり、2,000質量部を超えると、生産コストが高くなることがある。
前記トナー材料を含有する油相を乳化又は分散する工程においては、油滴等の分散体を安定化させ、所望の形状にできる共に粒度分布をシャープにできる点で、分散剤を用いることが好ましい。
前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、難水溶性の無機化合物分散剤、高分子系保護コロイドなどが挙げられる。これらの中でも、界面活性剤が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
前記陰イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどが挙げられ、フルオロアルキル基を有するものが好適に用いられる。フルオロアルキル基を有する陰イオン界面活性剤としては、炭素数が2〜10のフルオロアルキルカルボン酸乃至その金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸乃至その金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)乃至その金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸乃至その金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
前記フルオロアルキル基を有する界面活性剤としては、市販品を用いてもよく、該市販品としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(以上、旭硝子株式会社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(以上、住友3M株式会社製)、ユニダインDS−101、DS−102(以上、ダイキン工業株式会社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(以上、大日本インキ株式会社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(以上、株式会社トーケムプロダクツ製)、フタージェント100、150(以上、株式会社ネオス製)などが挙げられる。
陽イオン界面活性剤としては、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の四級アンモニウム塩型界面活性剤などが挙げられる。これらの中でも、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級乃至三級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などが挙げられる。前記陽イオン界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−121(旭硝子株式会社製);フロラードFC−135(住友3M株式会社製);ユニダインDS−202(ダイキン工業株式会社製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ株式会社製);エクトップEF−132(株式会社ト−ケムプロダクツ製);フタージェントF−300(株式会社ネオス製)などが好ましい。
前記非イオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などが挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどが挙げられる。
前記難水溶性の無機化合物分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなどが挙げられる。
前記高分子系保護コロイドとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、カルボキシル基を有するモノマー、水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキル、ビニルエーテル、カルボン酸ビニル、アミドモノマー、酸塩化物のモノマー、窒素原子又はその複素環を有するモノマー等を重合することにより得られるホモポリマー乃至コポリマー、ポリオキシエチレン系樹脂、セルロース類などが挙げられる。なお、上記のモノマーを重合することにより得られるホモポリマー乃至コポリマーは、ビニルアルコール由来の構成単位を有するものも含む。
前記カルボキシル基を有するモノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸などが挙げられる。前記水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体の具体例としては、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、グリセリンモノアクリレート、グリセリンモノメタクリレートなどが挙げられる。前記ビニルエーテルの具体例としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなどが挙げられる。前記カルボン酸ビニルの具体例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなどが挙げられる。前記アミドモノマーの具体例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどが挙げられる。前記酸塩化物のモノマーの具体例としては、アクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリドなどが挙げられる。前記窒素原子乃至その複素環を有するモノマーの具体例としては、ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどが挙げられる。前記ポリオキシエチレン系樹脂の具体例としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリン酸フェニル、ポリオキシエチレンペラルゴン酸フェニルなどが挙げられる。前記セルロース類の具体例としては、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。
前記分散剤の具体例としては、リン酸カルシウム塩等の酸、アルカリに溶解可能なもの等が挙げられる。分散剤として、リン酸カルシウムを用いた場合は、塩酸等でカルシウム塩を溶解させて、水洗する方法、酵素で分解する方法等を用いて、リン酸カルシウム塩を除去することができる。
結着樹脂を生成させる際の伸長反応及び/又は架橋反応には、触媒を用いることができる。前記触媒としては、例えば、ジブチルスズラウレート、ジオクチルスズラウレートなどが挙げられる。
乳化スラリー等の分散液から有機溶媒を除去する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、反応系全体を徐々に昇温させて、油滴中の有機溶媒を蒸発させる方法、分散液を乾燥雰囲気中に噴霧して、油滴中の有機溶媒を除去する方法などが挙げられる。前記有機溶媒が除去されると、トナー母粒子が形成される。前記トナー母粒子に対しては、洗浄、乾燥等を行うことができ、更に分級などを行うことができる。前記分級は、液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより、行ってもよいし、乾燥後に分級操作を行ってもよい。
前記方法により得られたトナー母粒子は、離型剤、帯電制御剤などの粒子と混合してもよい。このとき、機械的衝撃力を印加することにより、トナー母粒子の表面から離型剤等の粒子が脱離するのを抑制することができる。
機械的衝撃力を印加する方法としては、特に制限はなく、公知の方法から適宜選択することができ、例えば、高速で回転する羽根を用いて混合物に衝撃力を印加する方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させて粒子同士又は粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などが挙げられる。この方法に用いる装置としては、例えば、オングミル(ホソカワミクロン株式会社製)、I式ミル(日本ニューマチック工業株式会社製)を改造して粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(株式会社奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業株式会社製)、自動乳鉢などが挙げられる。
本発明のトナーは、表面が平滑であるため、転写性、帯電性等の諸特性に優れ、高品質な画像を形成することができる。また、本発明のトナーが、活性水素基を有する化合物と、活性水素基に対する反応性を有する重合体を水系媒体中で反応させることにより得られる結着樹脂を含有すると、転写性、定着性等の諸特性に更に優れる。このため、本発明のトナーは、各種分野において使用することができ、電子写真法による画像形成に、好適に使用することができる。
本発明のトナーの体積平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3μm〜8μmが好ましく、4μm〜7μmがより好ましい。前記体積平均粒子径が、3μm未満であると、二成分現像剤では、現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させることがある。また、一成分現像剤では、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するブレード等の部材へのトナー融着が発生することがある。前記体積平均粒子径が8μmを超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
本発明のトナーの個数平均粒子径に対する体積平均粒子径の比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.00〜1.25が好ましく、1.05〜1.25がより好ましい。前記比が1.25を超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合に、トナーの粒子径の変動が大きくなることがある。一方、前記比が、前記好ましい範囲内であると、二成分現像剤では、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なく、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性が得られる。また、一成分現像剤では、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なくなると共に、現像ローラへのトナーのフィルミングやトナーを薄層化するブレード等の部材へのトナーの融着を抑制し、現像装置の長期使用(攪拌)においても、良好で安定した現像性が得られるため、高画質の画像を得ることができる。
前記体積平均粒子径及び前記個数平均粒子径に対する体積平均粒子径の比は、粒度測定器マルチサイザーIII(ベックマン・コールター社製)を用いて、以下のようにして測定することができる。まず、約1質量%塩化ナトリウム水溶液等の電解質水溶液100mL〜150mL中に、分散剤として、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の界面活性剤を0.1mL〜5mL添加する。次に、測定試料を約2mg〜20mg添加する。試料が懸濁した電解質水溶液に、超音波分散機を用いて約1分間〜3分間分散処理を行った後、100μmのアパーチャーを用いて、トナーの体積及び個数を測定し、体積分布及び個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの体積平均粒子径及び個数平均粒子径を求めることができる。
本発明のトナーは、キャリア等の適宜選択されるその他の成分とともに、現像剤として用いることができ、転写性、帯電性等に優れ、高画質な画像を安定に形成することができる。なお、前記現像剤は、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンタ等に使用する場合には、寿命が向上することから、二成分現像剤が好ましい。
本発明のトナーを一成分現像剤として用いる場合、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するブレード等の部材へのトナーの融着が少なく、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。
本発明のトナーを二成分現像剤として用いる場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像装置における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、芯材を被覆する樹脂層を有するものが好ましい。前記芯材の材料としては、公知のものの中から適宜選択することができ、50emu/g〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム系材料、マンガン−マグネシウム系材料などが挙げられる。
前記芯材の体積平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm〜150μmが好ましく、40μm〜100μmがより好ましい。前記体積平均粒子径が、10μm未満であると、キャリア中に微粉が多くなり、一粒子当たりの磁化が低下してキャリアの飛散が生じることがあり、150μmを超えると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特に、ベタ部の再現が悪くなることがある。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例中、各例における「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものである。
(製造例1)
以下のようにして、マスターバッチに使用する樹脂1〜7を合成した。
<樹脂1の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、更に10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸44部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[樹脂1]を得た。
<樹脂2の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物562部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物75部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物87部、テレフタル酸143部、アジピン酸126部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、更に10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸69部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[樹脂2]を得た。
<樹脂3の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物255部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物480部、テレフタル酸223部、アジピン酸49部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、更に10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸7部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[樹脂3]を得た。
<樹脂4の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物309部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物480部、テレフタル酸159部、アジピン酸114部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、更に10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸43部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[樹脂4]を得た。
<樹脂5の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物319部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物449部、テレフタル酸243部、アジピン酸53部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、更に10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸7部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[樹脂5]を得た。
<樹脂6の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物113部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物500部、テレフタル酸143部、アジピン酸126部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、更に10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸79部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[樹脂6]を得た。
<樹脂7の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物289部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物432部、テレフタル酸135部、アジピン酸119部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、更に10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸86部を入れ、180℃、上圧で2時間反応し、[樹脂7]を得た。
<<重量平均分子量の測定>>
前記樹脂1〜7の重量平均分子量を次の手順で測定した。
まず、試料の前処理として、前記樹脂をテトラヒドロフラン(THF、安定剤含有、和光純薬株式会社製)溶媒に0.15質量%となるように溶解した後、0.2μmフィルターで濾過し、その濾液を試料として用いた。前記THF試料溶液をゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定装置(HLC−8220GPC、東ソー株式会社製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
前記測定装置の条件を以下に示す。
カラム:TSKgel SuperHZM―H 15cm 3連(東ソー株式会社製)
温度:40℃
溶媒:THF
流速:0.35ml/min
試料:0.15%の試料を0.4ml注入(100μl注入して測定した)
前記試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、昭和電工株式会社製ShowdexSTANDARDのStd.No.S−7300、S−210、S−390、S−875、S−1980、S−10.9、S−629、S−3.0、S−0.580、及びトルエンを用いた。
<<酸価の測定方法>>
前記樹脂1〜7の酸価をJIS K0070−1992に記載の測定方法に準拠して以下の条件で測定した。結果を表1に示す。
−試料調製−
試料0.5gをトルエン120mlに添加し、室温(23℃)で約10時間撹拌して溶解させた。前記溶解液に更にエタノール30mlを添加して試料溶液とした。
前記測定は、JIS K0070−1992に記載の装置にて計算することができるが、具体的には次のように計算する。
あらかじめ標定されたN/10苛性カリ(KOH)−アルコール溶液(アルコールカリ液)で滴定し、アルコールカリ液の消費量から下記式(1)の計算で酸価を求める。
〔式1〕
酸価=KOH(ml数)×N×56.1/試料質量 ・・・式(1)
(ただし、Nは、N/10KOHのファクター)
<<ガラス転移温度(Tg)の測定>>
前記樹脂1〜7のガラス転移温度(Tg)は、示差走査型熱量測定(DSC)において、そのDSC曲線の最大吸熱量を示したピークトップで決定することとした。前記測定は、島津製作所製TA−60WS、及びDSC−60を用い、次に示す測定条件で測定した。結果を表1に示す。
−測定条件−
サンプル容器:アルミニウム製サンプルパン(フタあり)
サンプル量:5mg
リファレンス:アルミニウム製サンプルパン(アルミナ10mg)
雰囲気:窒素(流量50ml/min)
−−温度条件−−
開始温度:20℃
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
保持時間:なし
降温温度:10℃/min
終了温度:20℃
保持時間:なし
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
(製造例2)
以下のようにして、マスターバッチ1〜13を調製した。
<マスターバッチ1の調製>
水1,200部、カーボンブラック(Printex35、デグサ社製、DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5)540部、[樹脂1]を840部、[樹脂5]を360部加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて150℃で30分混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕し、[マスターバッチ1]を得た。
<マスターバッチ2の調製>
水1,200部、カーボンブラック(Printex35、デグサ社製、DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5)540部、[樹脂1]を1,020部、[樹脂5]を180部加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて150℃で30分混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、[マスターバッチ2]を得た。
<マスターバッチ3の調製>
水1,200部、カーボンブラック(Printex35、デグサ社製、DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5)540部、[樹脂1]を660部、[樹脂5]を540部加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて150℃で30分混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、[マスターバッチ3]を得た。
<マスターバッチ4の調製>
水1,200部、カーボンブラック(Printex35、デグサ社製、DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5)540部、[樹脂2]を840部、[樹脂5]を360部加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて150℃で30分混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、[マスターバッチ4]を得た。
<マスターバッチ5の調製>
水1,200部、カーボンブラック(Printex35、デグサ社製、DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5)540部、[樹脂1]を840部、[樹脂6]を360部加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて150℃で30分混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、[マスターバッチ5]を得た。
<マスターバッチ6の調製>
水1,200部、カーボンブラック(Printex35、デグサ社製、DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5)540部、[樹脂1]を840部、[樹脂7]を360部加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて150℃で30分混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、[マスターバッチ6]を得た。
<マスターバッチ7の調製>
水1,200部、カーボンブラック(Printex35、デグサ社製、DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5)540部、[樹脂3]を840部、[樹脂5]を360部加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて150℃で30分混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、[マスターバッチ7]を得た。
<マスターバッチ8の調製>
水1,200部、カーボンブラック(Printex35、デグサ社製、DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5)540部、[樹脂4]を840部、[樹脂5]を360部加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて150℃で30分混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、[マスターバッチ8]を得た。
<マスターバッチ9の調製>
水1,200部、銅フタロシアニン(C.I.Pigment Blue(PB)15:3、大日精化工業社製)540部、[樹脂1]を840部、[樹脂5]を360部加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて150℃で30分混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、[マスターバッチ9]を得た。
<マスターバッチ10の調製>
水1,200部、ナフトール顔料(C.I.Pigment Red(PR)269、大日精化工業社製)540部、[樹脂1]を840部、[樹脂5]を360部加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて150℃で30分混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、[マスターバッチ10]を得た。
<マスターバッチ11の調製>
水1,200部、イソインドリン系イエロー顔料(C.I.Pigment Yellow(PY)185、ビーエーエスエフ社製)540部、[樹脂1]を840部、[樹脂5]を360部加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて150℃で30分混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、[マスターバッチ11]を得た。
<マスターバッチ12の調製>
水1,200部、カーボンブラック(Printex35、デグサ社製、DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5)540部、[樹脂1]を1,500部加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて150℃で30分混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、[マスターバッチ12]を得た。
<マスターバッチ13の調製>
水1,200部、カーボンブラック(Printex35、デグサ社製、DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5)540部、[樹脂5]を1,500部加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて150℃で30分混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、[マスターバッチ13]を得た。
(実施例1)
−有機微粒子エマルションの合成−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業社製)11部、スチレン83部、メタクリル酸83部、アクリル酸ブチル110部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、3,800回転/分で30分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。
加熱して、系内温度75℃まで昇温し4時間反応させた。
さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で6時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液1]を得た。
[微粒子分散液1]をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LA−920:株式会社堀場製作所製)で測定した体積平均粒径は、110nmであった。
[微粒子分散液1]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。
該樹脂分のTgは58℃であり、重量平均分子量は13万であった。
−水相の調整−
水990部、[微粒子分散液1]83部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業社製)37部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相1]とする。
−低分子ポリエステル1の合成−
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、テレフタル酸276部を入れ、常圧下230℃で7時間重縮合し、さらに10〜15mmHgの減圧下で5時間反応して[低分子ポリエステル1]を得た。
[低分子ポリエステル1]は、数平均分子量2,300、重量平均分子量6,700、ピーク分子量3,800、Tg43℃、酸価4であった。
−中間体ポリエステルの合成−
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧下230℃で7時間反応し、さらに10mmHg〜15mmHgの減圧で5時間反応した[中間体ポリエステル1]を得た。
[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2,200、重量平均分子量9,700、ピーク分子量3,000、Tg54℃、酸価0.5、水酸基価52であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]410部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応し、[プレポリマー1]を得た。
[プレポリマー1]の遊離イソシアネート(質量%)は、1.53%であった。
−ケチミンの合成−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部とメチルエチルケトン75部を仕込み、50℃で4時間半反応を行い、[ケチミン化合物1]を得た。
[ケチミン化合物1]のアミン価は417であった。
−油相の作製−
撹拌棒及び温度計をセットした容器に、[低分子ポリエステル1]378部、パラフィンワックス(融点70℃)100部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。
次いで、容器に[マスターバッチ1]500部、有機変性モンモリロナイト(クレイトンAPA、Southern Clay Products社製)30部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液1]を得た。
[原料溶解液1]1,324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル:アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、ワックスの分散を行った。
次いで、[低分子ポリエステル1]の65%酢酸エチル溶液1,324部を加え、上記条件のビーズミルで2パスし、[顔料・ワックス分散液1]を得た。
[顔料・ワックス分散液1]の固形分濃度は50%であった。
−乳化及び脱溶剤−
[顔料・ワックス分散液1]749部、[プレポリマー1]115部、[ケチミン化合物1]2.9部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)で5,000rpmで2分間混合した後、容器に[水相1]1,200部を加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで25分間混合し[乳化スラリー1]を得た。
撹拌機及び温度計をセットした容器に、[乳化スラリー1]を投入し、30℃で7時間脱溶剤した後、45℃で7時間熟成を行い、[分散スラリー1]を得た。
[分散スラリー1]100部を減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水100部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行った。得られた濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液20部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで30分間混合した後、減圧濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行った。更に、得られた濾過ケーキに10質量%塩酸20部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行い、濾過ケーキを得た。
得られた最終濾過ケーキを、循風乾燥機を用いて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、トナー母粒子を得た。得られたトナー母粒子100部に対し、外添剤としての疎水性シリカ1.0部と、疎水化酸化チタン0.5部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて混合処理し、[トナー1]を作製した。
(実施例2)
実施例1において、[マスターバッチ1]を[マスターバッチ2]に変更した以外は、実施例1と同様にして、[トナー2]を得た。
(実施例3)
実施例1において、[マスターバッチ1]を[マスターバッチ3]に変更した以外は、実施例1と同様にして、[トナー3]を得た。
(実施例4)
実施例1において、[マスターバッチ1]を[マスターバッチ4]に変更した以外は、実施例1と同様にして、[トナー4]を得た。
(実施例5)
実施例1において、[マスターバッチ1]を[マスターバッチ5]に変更した以外は、実施例1と同様にして、[トナー5]を得た。
(実施例6)
実施例1において、[マスターバッチ1]を[マスターバッチ6]に変更した以外は、実施例1と同様にして、[トナー6]を得た。
(実施例7)
実施例1において、[マスターバッチ1]を[マスターバッチ9]に変更した以外は、実施例1と同様にして、[トナー7]を得た。
(実施例8)
実施例1において、[マスターバッチ1]を[マスターバッチ10]に変更した以外は、実施例1と同様にして、[トナー8]を得た。
(実施例9)
実施例1において、[マスターバッチ1]を[マスターバッチ11]に変更した以外は、実施例1と同様にして、[トナー9]を得た。
(比較例1)
実施例1において、[マスターバッチ1]を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして、[トナー10]を得た。
(比較例2)
実施例1において、[マスターバッチ1]を使用せず、着色剤としてC.I.PR269を用いた以外は、実施例1と同様にして、[トナー11]を得た
(比較例3)
実施例1において、[マスターバッチ1]を[マスターバッチ12]に変更した以外は、実施例1と同様にして、[トナー12]を得た。
(比較例4)
実施例1において、[マスターバッチ1]を[マスターバッチ13]に変更した以外は、実施例1と同様にして、[トナー13]を得た。
(比較例5)
実施例1において、[マスターバッチ1]を[マスターバッチ7]に変更した以外は、実施例1と同様にして、[トナー14]を得た。
(比較例6)
実施例1において、[マスターバッチ1]を[マスターバッチ8]に変更した以外は、実施例1と同様にして、[トナー15]を得た。
前記実施例1〜9及び比較例1〜6で作製されたトナー1〜15について以下のようにして各種評価を行った。結果を表2に示す。
<体積固有抵抗値>
体積固有抵抗値は、次のようにして求めた。
トナー粒子粉末3gを、電動プレス機(前川テスティング株式会社製)にて6t/cmの加重で1分間プレスし、直径4cmの円柱状ペレットを作製した。得られたペレットをTR−10C型誘電体損測定器(安藤電気株式会社製)にセッティングし、下記測定条件における導電率を測定し、下記式(2)により、体積固有抵抗(logΩcm)を求めた。
−測定条件−
周波数 :1KHz
RATIO :1× 1/10(Gr)
Ro :零点測定時の導電率
R :平衡時の導電率
〔式2〕
体積固有抵抗(logΩcm)=log(A/Gx×l) ・・・式(2)
ここで、Gx=Gr×(R−Ro)vであり、Aは、電極面積(cm)を表し、lは、ペレットの厚み(cm)を表す。
<画像濃度>
トナーの付着量が0.4mg/cmとなるように作像し、定着部材の温度を160℃となるよう常に制御した上で線速280mm/secにて定着して評価用サンプルとした。前記サンプルとして形成されたベタ画像について、色度計(X−Rite938、エックスライト社製)を用いて画像濃度を測定した。
<定着性>
定着ローラとして、テフロン(登録商標)ローラを使用した複写機MF2200(株式会社リコー製)の定着部を改造した装置を用いて、タイプ6200紙(株式会社リコー製)に複写テストを行った。具体的には、定着温度を変化させてコールドオフセット温度(定着下限温度)及びホットオフセット温度(定着上限温度)を求めた。
定着下限温度の評価条件としては、紙送りの線速度を120mm/秒〜150mm/秒、面圧を1.2kgf/cm、ニップ幅を3mmとした。
また、定着上限温度の評価条件としては、紙送りの線速度を50mm/秒、面圧を2.0kgf/cm、ニップ幅を4.5mmとした。
<耐熱保存性>
トナーを50℃で8時間保管した後、42メッシュの篩で2分間篩い、金網上のトナー残存率を測定した。ここで、前記残存率が小さいトナー程、耐熱保存性が良好であることを表す。
<総合評価>
前記体積固有抵抗値、前記画像濃度、前記定着性、及び前記耐熱保存性の評価のうち、全てが良好な場合には「○」、特に良好な場合には「◎」、一つでも不良な評価を含む場合には「×」とした。
実施例1〜9、比較例1〜6の電子写真用トナーの組成を以下の表1に、上述の各種評価の結果を表2に示す。
Figure 2012198332
Figure 2012198332
評価結果によると比較例1及び2のトナーは、マスターバッチを使用していないため、着色剤の分散性が悪く、得られる画像の画像濃度が低いトナーとなった。また、比較例3では、マスターバッチに第2の樹脂を含まないため、得られる画像の画像濃度が低いトナーとなった。比較例4のトナーは、マスターバッチに第1樹脂を含まないため、得られる画像の画像濃度が低いトナーとなった。比較例5のトナーは、第1樹脂の分子量が低く、高温でのオフセット性が悪く、また耐熱保存性が著しく悪いトナーとなった。比較例6のトナーは、第1樹脂の分子量が高いため、低温での定着性の悪いトナーとなった。
一方、重量平均分子量が1,000〜20,000であるポリエステル樹脂(第1樹脂)及び重量平均分子量が25,000〜40,000であるポリエステル樹脂(第2樹脂)を含有するマスターバッチを用いて製造した実施例1〜9のトナーは、抵抗値及び着色度が高く、定着性に優れ、耐熱保存性にも優れたトナーが得られた。
本発明の電子写真用トナーの製造方法により、電気抵抗が高く、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れ、高解像で高画質の画像を形成できる電子写真用トナーを得ることができる。
本発明の電子写真用トナーは、電気抵抗が高く、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れ、高解像で高画質の画像を形成できるため、フルカラー印刷用電子写真用トナーとして、好適に利用可能である。

Claims (12)

  1. 少なくとも結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有する電子写真用トナーであって、
    前記結着樹脂としての、
    重量平均分子量が1,000〜20,000であるポリエステル樹脂(第1樹脂)及び
    重量平均分子量が25,000〜40,000であるポリエステル樹脂(第2樹脂)と、
    前記着色剤とを含有するマスターバッチを用いて、前記結着樹脂中に前記着色剤を分散させてなることを特徴とする電子写真用トナー。
  2. 第1樹脂及び第2樹脂の酸価が、5KOHmg/g〜40KOHmg/gである請求項1に記載の電子写真用トナー。
  3. 第1樹脂及び第2樹脂のガラス転移温度(Tg)が、45℃以上65℃未満である請求項1から2のいずれかに記載の電子写真用トナー。
  4. 第1樹脂と第2樹脂との混合質量比(第1樹脂/第2樹脂)が、50/50〜90/10である請求項1から3のいずれかに記載の電子写真用トナー。
  5. 結着樹脂が、ポリエステル樹脂である請求項1から4のいずれかに記載の電子写真用トナー。
  6. 結着樹脂の酸価が、1KOHmg/g〜50KOHmg/gである請求項1から5のいずれかに記載の電子写真用トナー。
  7. ブラックトナーである請求項1から6のいずれかに記載の電子写真用トナー。
  8. マゼンタトナーである請求項1から6のいずれかに記載の電子写真用トナー。
  9. 結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有する油相を水系媒体中で懸濁し、造粒させてなる請求項1から8のいずれかに記載の電子写真用トナー。
  10. 結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有する油相を得る工程、前記油相を水系媒体中で分散させ懸濁液を得る工程、前記懸濁液を減圧濾過し濾過ケーキを得る工程、濾過ケーキを乾燥させトナーを得る工程を含む電子写真用トナーの製造方法であって、
    前記油相を得る工程において、前記結着樹脂としての、重量平均分子量が1,000〜20,000であるポリエステル樹脂(第1樹脂)及び重量平均分子量が25,000〜40,000であるポリエステル樹脂(第2樹脂)と、前記着色剤とを含有するマスターバッチを用いて、前記結着樹脂中に前記着色剤を分散させることを特徴とする電子写真用トナーの製造方法。
  11. マスターバッチが、開放型の溶融混練機で溶融混合される請求項10に記載の電子写真用トナーの製造方法。
  12. 着色剤が、顔料洗浄後のプレスケーキ顔料である請求項10から11のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014151478A (ja) * 2013-02-06 2014-08-25 Dainichiseika Color & Chem Mfg Co Ltd 樹脂着色用マスターバッチ及びその製造方法

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